# Title: 仕事術2.0について 当サイトについては、以下記事を見てください。 この記事では『仕事術2.0』のコンセプトをお伝えします。 ## 現代は正解が無く、多様がある 現代は正解が無いのに多様がある時代だと思います。 難しい時代です。 上手くやる道具が欲しいところです。 ## 仕事術2.0 こんな現代だからこそ、仕事の道具を――やり方や考え方をアップデートせねばなりません。 『仕事術2.0』として紹介していきます。従来のあり方を1.0とし、ここからアップデートするとの意味を込めて2.0と名付けました。 ### 1.0と2.0の違い 以下記事にて詳しく解説しています。 ### どんなやり方や考え方を扱っているか 2024/12 現在、一言ではまとめきれませんので、ぜひ漁ってみてください。 仕事術2.0の特徴をいくつか挙げます。 * 個人の仕事術ではなく、組織やチームの仕事術も扱う * やり方だけではなく、考え方も扱う * 従来の仕事術――自己啓発、ライフハック、その他ビジネス書で扱うようなものは知っているか、必要に応じて調べることを前提とする * **この前提を満たさない方は前提知識が足りず or 補えず、当サイトの内容は理解できないと思います** * 現状を認識するための言語化にも力を入れる * 仕事術は本質的に個人的なものであると捉える、ゆえに: * 以下には頼らないか、あまり頼らない * エビデンスや厳密性 * 人気や権威 * 優しくて遠回しな言い回しや、当たり障りのない一般論 * 以下に頼る * 概念的な面白さと美しさ * まだ誰も・どこも捉えていない領域やスキマへのフォーカス * 容赦のない言語化と、大胆な仮説 * **当サイトは読者に「こんな仕事術があったら役に立つと思うんだけど、どうよ?」と語りかけます** * **遠慮なく使ってもらう・容赦なく揉んでもらうことも期待しています** # Title: 「スラッキング」 余裕をつくりにいく営み ## スラッキングとは 余裕をつくること。 Slacking. ## 背景 仕事や私生活に蔓延る問題の主因は「忙しすぎる」ことです。 これは人としての退屈を嫌う性分、SNSなど依存性の高いコンテンツの氾濫、そして資本主義を始めとした「拘束と献身を要求する」パラダイムなどに支えられており、非常に手強いものです。 このあり方を **ビジーパラダイム** と呼ぶことにします。 では逆に、忙しすぎず、むしろ余裕があるような状態があるとしたら、いかがでしょうか。 たとえば毎日平日、業務時間中に、X(Twitter)やゲームさえできるほどの自由時間が1時間あるとしたら。 ビジーパラダイムとは全く違った世界観になることは想像に難くないでしょう。 これを **スラックパラダイム** と呼ぶことにします。 ## 改めて定義 スラックパラダイムを目指すには、余裕を確保しにいく行動および活動が必要です。 これを **スラッキング** と呼びます。 Slack に -ing をつけて Slacking です。 ### (既存用語との兼ね合い) 英単語としては仕事や勉強サボるといったネガティブなニュアンスを持つようですが、本記事のスラッキングは違います。 スラッキングはあくまで、ビジーに代わるパラダイムとしてのスラック(余裕)を目指しており、ポジティブなものです。 ## 関連記事 ### 90min Slack スラッキングのわかりやすい実践例として、90分を確保してみてはどうか、というものです。 ### ホワイトスペース本 書籍『[WHITE SPACE ホワイトスペース―仕事も人生もうまくいく空白時間術](https://www.amazon.co.jp/dp/B0B7NBF4ZD/)』は、余裕の重要性や手に入れ方をわかりやすく扱った良書だと思います。 同書で登場したテクニックをまとめてみました。 ### ソロワーク 現代の働き方は「チームワーク100%」になりがちですが、このあり方だと構造的に余裕が生まれません。 ですので「ひとりで取り組む時間」を意識的に確保する必要があります。これをソロワークと呼びます。 ソロワークがあるという前提だと、余裕の必要性は自明です。そうでなくとも、チームワークは試合のようなものであり、言わば現代は試合100%のようなものです。練習やトレーニングも必要ですよねと言われたら、わかりやすいと思います。それがソロワークです。 # Title: 雑談など親近感を育む行為 「グルーミング」 ## グルーミング 親近感を育むためのコミュニケーションを **グルーミング(Grooming)** と呼ぶことにします。 もっともよく知られたのは雑談でしょう。 他にもイベントやゲームなど、同じ場所と時間を過ごすことでも行われます。 ## 原義やその他の意味 元々は「毛づくろい」という意味です。猿など動物が行うことがあります。 転じて、性犯罪の文脈で使われることもあり、「性犯罪目的で児童と仲良くなること」を指します。 本記事におけるグルーミングはどちらでもありません。 ## この言葉を定義した理由 グルーミングは、私達の足を引っ張る主因となっていることが多いと考えます。 なぜ会議がやたら行われるか、また対面など非言語重視で行われがちかというと、グルーミングをしたいからです。人間は社会的動物であり、グルーミングを欲しますが、これが仕事の場でも発揮されています。 会議を減らそうとすることに否定的な勢力がありますが、その理由の一つは、単に(当たり前に行っていた)グルーミングの機会が失われるから、なのです。 ――と、この現象を述べるためには名前が必要です。無かったので「グルーミング」と付けました。名前をつければ言及でき、言及できれば議論ができます。 ## (関連記事) 会議には実質的にグルーミングが混ざっています。改善や改革がしづらいのはそのためです。「グルーミング自体をなくすのか?それでも人間か?ありえないだろう」となるわけです。ですので、分けます。 近年では「一緒に進める」潮流が来ています。これを当サイトではソーシャライブと呼んでいますが、このあり方もグルーミングがしやすいです。 # Title: スマホや財布や鍵をなくさないために。地球ロックならぬ「人間ロック」 貴重品(スマホや財布や鍵)はなくすと困ります。 「ないない、なくさないよ」と思うは易しですが、人間なのでミスはします。 一度でもなくしてしまうと非常に面倒くさいです。 ## 固定しちゃえばいいじゃない 自転車用語で「地球ロック」があります。 ロックするときに自転車だけじゃなくてフェンス等を巻き込むことで、「自転車ごと盗まれる」のを防ぎます。 ## 人間ロック 人間ロックとは、 **貴重品を自分自身と繋ぐ** ことです。 これにより、落ちたり手放そうとしたりしても(繋がれてるので)離れません。なくなるのを防げます。 ## スマホストラップじゃダメなの? 以下の点でダメです。 * 首からぶら下げるのが鬱陶しい * ポケットやカバンに入れることができない こういった問題が気にならないならストラップで事足ります。 ## 人間ロックのつくりかた スプリングキーホルダーを使います。 100均で入手できます。 ![](/assets/nc39c5bb1707a_1726354481-rlRSd0jGFt58nhe2gAJyaBHD.png)スプリングキーホルダー 手順 * 1 貴重品とスプリングキーホルダーを繋ぎます * 貴重品側に繋ぐ部分がないならつくってください * スマホの場合は、ストラップをつけるのと同じ要領です * 2 スプリングキーホルダーのフックを、自分のカバンや服に引っ掛けます これで完了です。 貴重品を持ち歩くときも、使うときも、スプリングキーホルダーをつけたまま使います。 # Title: 「情報共有」とはオープンであること ## 情報共有とは 情報を共有すること。 情報は何らかの形で **残す** 必要があります。 人に喋って脳内に入れました、はダメです。 共有とはお互いが所有していることを意味します。 所有しているからには各自が自由に使えるのがベストです。 そのためには、やはり **残さねばなりません** 。 ## 情報共有ではないこと 以下はすべて情報共有ではありません。 * 聞かれたら答える * 口頭で話す * 記録のない勉強会や共有会 あえて言うなら、伝達にすぎません。 伝達は手軽で素早いですが、その場にいた人しか受け取れないため **情報格差** を生みます。「受け取る機会」に入れるかどうか次第なので **政治** も発生します。 昔ならさておき、技術と方法の充実した現代では、古典的な一手段でしかありません。伝達にのみ頼るということは、情報格差と政治を容認することにも等しいと思います。 ## オープンであること 情報を残していること。 それに自由にアクセスできること。もちろん公開範囲は絞っても良いですすが、対象者は自由にアクセスできること。 こうして情報が開かれている状態で、それを伝えるのが情報共有です。 つまり **情報共有はオープンなものなのです。** ## (関連記事) さらに踏み込んだ内容で、オープンにはいくつかの段階があることを述べています。 情報共有として使えるツールは主に4種類あります。Chat, Wiki, Issues, Q&Aの4つです。QWICと呼んでいます。 情報共有は、従来のコミュニケーションの捉え方(メンタルモデル)ではやりづらいものです。この点を言語化したのがコミュニケーション2.0です。 従来の分は1.0として言語化しており、同様に以下記事から辿れます。 下書きという概念に頼れば、より親しみやすくなると考えます。 情報を読み書きするためには、まとまった余裕が必要です。 また、まとまった時間を確保するべきであり、会議を生業とするマネージャーが足を引っ張ることが多いです。 そもそも情報共有は、持っている側が主体的に出さねばなりません。各人の頭の中の情報をいかに出すか、と考えて、支援・啓発することも重要です。 本記事では「オープン」を強調していますが、その他情報共有が満たすべき性質をまとめました。特にそのようなアウトプットをストックアウトプットと名付けました。 # Title: 90min Slack(90分の余裕) 1日の業務時間あたり、90分のスラック(余裕)を確保すること。 ## 『90分の余裕』があると何ができるか 次のとおりです。 * バッファ * 不測の事態に備えることができます * [グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e) * 雑談やゲームなど、親近感をつくるための営みを行えます * [情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc) * アウトプットとその読み書きなど、情報共有を行えます * 内省 * ひとりでじっくりと考えたり調べたりできます * [スラッキング](https://note.com/workhack20/n/n91e069963343) * 生活や仕事に「余裕」を組み入れることができます * ビジーパラダイム → スラックパラダイムにシフトできます * ※用語はリンク先参照 仕事や家事といった作業の消化は想定していません。『90分の余裕』は、そのような直接作業 **以外の** 時間の使い方を想定します。 ## そもそもスラック(余裕)とは何か スラック(余裕)とは、 **誰にも邪魔されず好きに過ごせること** です。 場所は拘束されているかもしれません。たとえば仕事中ならオフィスや自席には拘束されます。しかし(スラックであるなら)時間の使い方までは拘束されておらず、自由に過ごせます。当然ながら割り込みや監視もありません。 極論、業務中にSNSやゲームをすることさえ可能です。 ※わかりやすさのための説明であり、コンプライアンスは各自遵守してください。 『90分の余裕』は、このスラックを90分確保することを意味します。 以降では『90分の余裕』の手に入れ方に踏み込んでいきます。 **対象は「管理される側の人」です** 。 * 主には管理者の下につくメンバーが該当しますが、管理者であっても上位の管理者から管理されるでしょうから対象になりえます * 仕事ではなく家庭環境でも応用できるとは思いますが、本記事はサラリーマンを想定しています * 自分が管理者である、ひとりで働いているなど既に裁量を持てている人は対象外です(どうとでもできます) ## 90であることの意味 * 1: 親しみやすく実用的な長さであること * スラックを体感するには、ある程度の長さが必要 * しかし長すぎてもダレる * 90分はちょうどよい * たとえば大学の授業や企業の研修でよく使われる * 2: 1日8時間の20%に相当し、組み込みやすいこと * 週1日分に相当する、20%ルールの事例、など「2割」は使われやすい割合 * 本業を削りすぎず、ある程度のこともできる **バランスの良いライン** ## 90分の余裕を手に入れる前の準備・確認 **1: まずは必要性を問う** あなたは本当にスタックパラダイムを欲していますか? 心から欲しがっていますか?それとも「ちょっと興味がある」程度ですか? 必要性がなさそうなら、この先の努力もできないでしょうから回れ右した方が良いかもしれません。 **2: スラックの意味を整理する** 上記定義を参照してください。 ## 90分の余裕を手に入れるために 戦略は3つです。 * 1 拡大戦略 * 現在存在するスラックを洗い出し、これらを広げていく * 2 干渉戦略 * ビジー(忙しさや拘束)の根本原因に働きかけて、ビジーを減らしていく * 3 温存戦略 * ビジーな時間帯を温存して過ごし、それ以外の余暇をスラックとみなす 各戦略を詳しく見ていきましょう。 1 の **拡大戦略** は、たとえばトイレです。 トイレは場所的には拘束されていますが、つかの間のスラックとしてわかりやすいでしょう。 おそらく10分も無いでしょうが、仮にこれが1時間あったとしたらどうでしょうか。 このような「小さなスラック」は他にもないでしょうか? これを **タイニースラック** と呼びます。 拡大戦略では、タイニースラックを洗い出しつつ、それらを広げるにはどうしたらいいかを考えます。 ** ** 次に 2 の **干渉戦略** は、たとえばすぐ仕事も雑談も何でも降ってくる上司がそうです。 余談: [デスク爆弾](https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20221220-OYTET50018/)という言葉もあったりします。 干渉する戦略ですから、この上司に実際に働きかけます。 * a こちらから距離を置く * b 上司に鬱陶しい旨を伝えてバトる * c 上位上司経由で伝える * d 裏で転職準備してさっさと転職する etc 他にもありますが、 **何かしら働きかけることからは逃げられません** 。働きかけの強度はありますので、状況に応じて使い分けるといいでしょう。d や a は比較的弱いですが、c は結構強いし、b は一番強いですよね。 最後に 3 の **温存戦略** は、少しわかりにくいですが、たとえば仕事上がりから寝るまでに1時間の余暇があるけど疲れていて何もできない場合、 **疲れてさえいなければ** その1時間を活用できる=スラックにできる、と考えます。 そのためには業務時間中、「疲れない程度にセーブする」必要があります。温存するのです。 ## 戦略の使い分け 『90分の余裕』を手に入れるためには、上記の 3 戦略を駆使します。 細かい使い分けの話をします。 まず 3 の温存戦略は、できるだけ控えたいです。 ともすると睡眠時間を削ることになるからです。体力のある人や生き急いでも良い人なら使ってみても良いでしょう。 1 の拡大戦略と 2 の干渉戦略は、どちらを使うかは好みですが、たいてい干渉戦略は多かれ少なかれ要求されます。 拡大戦略だけで済めば良いですが、「ああ結局根本原因を何とかしないとダメだな……」となりがちだからです。 実際に『90分の余裕』を取れるかどうかは環境次第なところがあります。 というのも、 **ビジーパラダイムは文化や価値観であり、これらを変える(これらに染まった人を変える)のが難しい** のです。というより、 **ほぼ無理** ですね。 どちらかと言えば、スラックな待遇を「勝ち取る」ニュアンスで理解してください。結局のところ、実力で黙らせるか、腫れ物になって相手から距離を置いてもらうか、あるいは育児や介護など「よく知られた言い訳カード」を使うかの三択になると思います。 1 の拡大戦略が少しわかりにくいので、例を一つ挙げます。 「次の会議までは自由に過ごせる」とどうでしょうか。 結構なスラックになると思います。 たとえば次の会議が3日後で、ここで成果物をチェックされるとします。これは言い換えると、3日後の会議までは自由に過ごせる、と言えます。 すでにマイクロマネジメントされている場合はそうもいきませんが、ならばマネジメントを減らしに行けば良いのです。会議日など「チェックポイント」以外は自由に過ごせる、というワークスタイルを確立できるとベストです。 というより、 **確立できるよう少しずつ工夫していきます** 。まとまった時間が必要なんですと懇願したり、仕事では忙しい人と組んだり(チェックする立場が忙しいと待機時間が増えるので自由に過ごしやすくなります)、マネジメントされづらいリモートワークを増やすための言い分や立ち回りを考えて試したり etc つまり拡大戦略とは、管理される分をいかに減らせるかを工夫する、とも言えます。 **裁量や放任が欲しい** のです。 これには **普段からの演出** も重要だったりします。要は「あいつは放っておいても大丈夫」とか「気難しいから仕事以外で近づきたくないわ……」とか「あの人は家庭が大変だからなー」とかいったキャラ付けがあれば、それだけで裁量や放任を、つまりスラックを勝ち取りやすくなります。前述した三択ですね。 工夫にせよ、演出にせよ、まがいなりにも正当に見えるのならば、相手やチームもそれなりに配慮してくれるはずです。仮にこういった工夫や演出が通じないとしたら、2 の干渉戦略で強気に行くことになります。 # Title: マンダラートでタスク管理 マンダラートは主に発想支援や目標設定で使われますが、タスク管理として使うこともできます。 ## そもそもマンダラートとは 概要はすでにご存知か、各自調べられると思うので、かんたんにまとめます。 * マンダラート概要 * 3x3 を1シートとし、真ん中にお題、周囲にお題に関することを書き込みます * シートレベルでもシートを組みます * 全体は 9x9 になります * 語源は曼荼羅(まんだら)です * 用途 * 元は目標のブレイクダウンに使われていました * 大谷翔平選手の事例により再燃しました * 今では発想法として使われることもあります * 関連用語 * [「マンダラチャート」は登録商標です](https://mandalachart.jp/) 参考: [マンダラチャートとは?目標達成への作り方を詳しい例を使ってを徹底解説 - Miro](https://miro.com/ja/brainstorming/what-is-a-mandala-chart/) ## マンダラートでタスク管理する タスク管理において重要なのは取捨選択です。 TODOリストが破綻することはよく知られています。 私達自身の認知資源と処理能力は限られているので、 **思っている以上に** 選別せねばなりません。 そのためには、 **ツール側に制約をかける** のがてっとり早いです。 あえて視界を狭め、選択肢を限定させるのです。 マンダラートはその役に立ちます。 1シート9マスと端的な数ですし、空間的に周囲に配置するので直感的・視覚的なわかりやすさもあります。 手書きやExcelとの親和性も高いです。 以降ではマンダラートによるタスク管理の始め方と運用のコツを述べます。 ※テンプレートやツール等の提供はしておらず、自分で手で動かす必要がある点に注意してください ## マンダラートによるタスク管理を始める まずはシートをつくる必要があります。 Googleスプレッドシートを例にします。 以下のとおり、3x3を1シートにします。 ![](/assets/nebb6e866ba9b_picture_pc_03a85bc73a1db6bf342675b0d7f93aed.gif)1シートあたり3x3にする ポイントは 9x9 で並べないことです。 **あくまでも 3x3 を 1-スプレットシート とし** 、他の 3x3 へはリンクを通じて遷移します。 これも制約としてデザインしています。 9 x 9 だと広すぎるせいで破綻するのです。マスの数 = タスクの数は 64 個にものぼります。 リンクについては、自分でつくってください。 上記のGIFでは、周囲に●を書いて、それをクリックすることで遷移させています。また中央のシートに戻るために「中央に戻る」リンクも設置しています。 スプレッドシートやその他 Excel に詳しい人は、もっと上手いやり方が思いつくでしょう。 ## タスクの運用をどうやるか **結局のところタスク管理は個人的なものであるため、自分のやりやすいようにやるしかない** のですが、いくつか観点を論じておきましょう。 ### Q: 終わったタスクはどうすればいいか? Ans: 消してもいいし、残してもいいです。 消すのか、それともどこかに残すのか。 消す場合、すぐに消すのか、それともしばらくは打ち消し線を引く等して残しておくのか。 一番かんたんなのは **「終わったら打ち消し線を引く」ことと「1日1回コピーして保存する」ことです** 。 このやり方なら、終了したタスクは ~~このように~~ 打ち消し線で見えるので進捗感も出ますし、記録も1日単位で取れます。1日1ファイルずつ増えてしまいますが、デジタルなら問題ないでしょう。あとで振り返るのが大変なら、週一で振り返るなど振り返り頻度を上げて対応してください。 まずはこのやり方でいけそうか考えてみてください。問題がある場合は、各自カスタマイズしてください。 ### Q: マンダラートのマス目以外に書き込むことを許すか? Ans: 許さない方が良いと思います。 マス目以外には書き込まないか、メモを書いてもあとで必ず消すことをおすすめします。 というのも、 **書き込みを許容してしまうと、マンダラートの形で制約をかけている意味がなくなってしまう** からです。TODOリストと同じように破綻しかねません。そもそも何でも書けて情報が散らかるせいで破綻してしまうのを防ぐために、明示的に制約をかけて狭めているわけです。 ### Q: 個人ではなく複数人のタスク管理には使えないか? Ans: できないことはないです。 先にシートを整備しきった後、Excel Onlineなど複数人で同時編集するのであれば可能です。中央のシートを「メンバー」とすれば、計8人分のタスクを管理できます。 ![](/assets/nebb6e866ba9b_1726366454-2gQfYz01rSXaANTDuRG5MCJL.png)例。A,B,C,D,Fさんの5人がいます。Eさんはたぶん休職中なのでしょう。 また各メンバーは同時に8個までタスクを抱えることができます。8個が多いなら、いくつかを潰して「共有事項マス」にすればいいでしょう。 ![](/assets/nebb6e866ba9b_1726366296-bUT0sE4wfdyLVWv9M6XzBQ1A.png)マス7,8を潰している例 このようにタスクの上限を設定しつつ、メンバー全員にも見えているようなあり方は透明性が高いと言えます。健全なチームワークが行えるのではないでしょうか。 なお、ここまで 3x3 を 1 シートにせよと書いてきましたが、複数人で利用する場合は見やすさ、特に俯瞰のしやすさを考えて 9x9 を 1 シートにした方が良いかもしれません。 # Title: 生成AI(ChatGPT)のすごさをできるだけわかりやすく説明したい 何がすごいのかをわかりやすく噛み砕いてみようと思います。 GPTはGenerative Pre-trained Transformerの略である、みたいな小難しいことは言いませんし、ChatGPTの使い方や正しさの議論もしません。 ## 対象読者 ChatGPTを使ったことがない方。 ChatGPTを使ってみたことはあるが、よくわかってない方。 でもChatGPT(そして生成AI)のすごさをざっくりでもいいので理解しておきたい方。 ## ChatGPTって何?生成AIって何? まずは生成AIから。 生成AIとは、 **与えられた文章の続きを出力する仕組み** です。 インターネットや書籍など世界中の情報をもとに推論を行うので、かなり高精度に続きを出してくれます。私たち人間が期待する質問や依頼や会話にはほぼ答えてくれますし、もちろん知識量もすさまじいです。 このような仕組みは2021年くらいからようやく現実的となり、急速に盛り上がってきました。 次にChatGPT。 生成AIと呼ばれる技術は様々存在しますが、GPTもその一つです。 この GPT をチャット形式で使えるようにしたのが ChatGPT です。 つまり ChatGPT は、 **生成AIをチャット形式で利活用できるWebサービス(アプリもあります)の一つ** です。 ## ChatGPTはどのように使うの? チャットで何か書くと、その続きを出力してくれます。 出来が良いので、まるで人と対話しているかのような錯覚さえおぼえます。 よくある比較として、Google検索と比べてみましょう。 例は適当ですが、従来は Google 検索で「お茶 ピッチャー 黒いカビ」みたいに検索して、検索結果を自分で見る必要がありました。 ![](/assets/n7618ac2e3a01_1726390349-6L1tCwz7MpXJvKaQfDlnF5b2.png)Google 検索。検索結果を自分で読み進める必要がある。 これが ChatGPT だと、以下のようにチャットで尋ねる形になります。 ![](/assets/n7618ac2e3a01_1726390391-lWvp7uMqy6T9UPKkE4dRBLX2.png)ChatGPT。チャットで尋ねると、答えてくれる。 ## チャットだけなの?他の使い方はできないの? Ans: できます。 ChatGPTは、生成AIという「与えられた文章の続きを出力する仕組み」をチャット形式で提供するサービスです。なのでチャットしか使えません。 しかし生成AIの使い方は他にもあります。たとえば音声を受け付けて、それを文章に変換してから生成AIに与えるサービスをつくったら、会話の延長で使えるでしょう。実際、スマホアプリ版の ChatGPT なら可能です。 他にもつくりかた次第で、様々な使い方が可能です。 しかし生成AIを直接使う(使った何らかのサービスをつくる)のはITエンジニアの仕事です。私たち一般人は、彼らがつくったサービスを使います。 ## 生成AIの何がすごいの? なにがすごいかを詳しく見ていきます。 ### 1: 出力される「続き」の精度が高い まるで人間とやりとりしているほど自然ですし、世界中の情報をもとにしているだけあって、割と何でも答えてくれます。 [難しい試験を高得点でクリアしたり](https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-23/RV37NLT0AFB401)もします。現時点ではチューニングが難しい&お金もかかる感じで、万能ではありませんが、たぶん東大も受かれるレベルのものをつくるくらいは可能だと思います。 何より色んな指示に答えてくれる幅広さが便利です。資料つくってとか、要約してとか、翻訳してとか、アイデア10個挙げてとか、画像つくってとか、色々できます。従来の技術では考えられないことでした。つい最近までコンピュータは厳格に命令したことしかこなせない、融通の利かない機械だったのです。 ### 2: 精度が高いのに、返事が早い さすがに一瞬ではないですが、数秒とか十数秒で返ってきます。 人間だともっと時間がかかりそうな複雑な答えも、人間離れした早さで答えてきます。 ### 3: いつでもいくらでも使える まず生成AIは機械なのでいつでも使えます。朝でも夜でも関係ないですし、何回でも使えます。無茶振りにも応えてくれます。 ただし悪用はできないようガードされてはいます。エッチなこと言わせたり、爆弾つくらせたりといったことは不可能でしょう。 ### 4: そして安い 無料で使える分は性能や品質がしょぼいです。 ChatGPTの場合、ちゃんとしたものを使いたいなら ChatGPT Plus が必要で、これは月額20ドルです。サブスクにしてはかなり高額ですが、この技術を自由に使えるのは破格です。 **API** という **生成AI(与えられた文章の続きを出力する処理)を呼び出すための窓口** を使えば、もっと安くできます。 ※プログラムが呼び出すための窓口であり、ITスキルは必要 API は呼び出した分だけ課金される従量課金ですが、Google検索のつもりで1日何十回と尋ねるのを1ヶ月やっても百円かかりません。 ## 生成AIには宝が眠っている API (窓口)の話をしました。 何がすごいかまだピンと来ないと思いますが、要は **API という「生成AIを安価で自由に使えるおもちゃ」を誰でも使えてしまう** ことがすごいのです。 ※再載しますがITスキルは必要。誰でも簡単に使えるわけではない この現状はとんでもないことで、お宝が眠っていると言えます。 具体的には、現状は以下の二点を模索する状況となっています。 * 1: どんな入力を与えれば質の高い続きが得られるかの模索 * 2: 生成AIという「続きを出してくれるおもちゃ」をどう組み込むか・組み合わせるかの模索 順に見ていきましょう。 ### 1: どんな入力を与えれば質の高い続きが得られるか 私たち人間はコミュニケーションを行いますが、このコミュニケーション、言うまでもなく奥深いですよね。 上手くやらないと機嫌を損ねたり、最悪仲違いしたりします。物騒な事件が起きてニュースになることもあります。逆に上手くできたら、驚くほどかんたんに色んなことが上手く運びます。 生成AIも同じです。どんな風に入力するか次第で、出力される続きの内容がずいぶんと変わるのです。 専門用語で「プロンプトエンジニアリング」と言ったりします。プロンプト(Prompt, 「指示」の意味)をエンジニアリング(工学的に突き詰める)するという意味ですね。 すでに何冊も本や論文がありますし、マニアみたいに持論を延々と語れるボリュームもあります。学問になるポテンシャルもあるでしょうし、もうあったとしてもおかしくはありません。その程度には奥が深いのです。 **こんな奥深い世界において、いかにして上手い続きを出させるか。** 現在も世界中で模索が進んでいます。 ### 2: 生成AIという「おもちゃ」をどう組み込むか・組み合わせるか 生成AIとは **続きを出力してくれるおもちゃ** です。 またITエンジニア向けに、 **API(窓口)** の形で提供されています。 このAPIの使い方次第では、かなりのことができるかもしれません。 いくつか例を挙げましょう。 まずは **普段仕事で使っているアプリに組み込む** ことです。 AI要約機能、AIで素案を作成する機能などは既にあちこちで見られます。ボタンを押すだけで呼び出せるので便利です。ChatGPT のように自分でチャットで投げかける必要さえありません。 アプリの内部では、生成AIのAPI(窓口)にどんな入力を与えて、出てきた出力をどのように加工して表示して、といったことを全部やってくれています。私たちはアプリにしたがってボタンを押したり、出てきた結果を読んだりするだけです。 要はアプリがさらに便利になります。生成AIというおもちゃが使えるようになったわけですから、これを組み込んでしまえば、かなり便利になるわけです。従来はアプリがあっても、作業は全部自分で行う必要がありましたが、それが軽減します。まるで秘書や部下に頼むかのように、かんたんな操作で済むようになります。 次に **リアルタイムにAIの力を使う** のも強力でしょう。 たとえば5ヵ国語リアルタイム同時翻訳するくらいはできると思います。英語に翻訳する命令、中国語に翻訳する命令、ロシア語に、ハングルに、スペイン語に――これらの命令をAPI(窓口)に投げて、その出力を受け取って、画面を反映して、といったことを裏で常に処理すればいいわけです。 このような忙しい処理に耐えうるほどの性能は、API(窓口)にはあります。となれば、あとはただのデザインと使い方の話であり、デザイナーやITエンジニアであればつくれます。 高性能で使い放題なおもちゃがもうあるので、あとはこれをガンガン使い回すだけです。 それから **AIエージェントをつくる** ことも現実的になってきました。 先日の東京都知事選にて「AIあんの」が公開されました。候補者[安野たかひろさん](https://takahiroanno.com/)を模したAIであり、AIが配信者のように YouTube でライブ配信を行い、視聴者からの質問にもリアルタイムに答える仕組みでした。 ※選挙期間中の稼働であり、現在は動いていません。 これも内部では結局生成AIの API(窓口)を使っています。API を使って、裏の処理は全部隠して、表ではバーチャルなアバターが答えてるかのように見せているだけです。 現在はまだまだ専門的なITエンジニアが頑張ってつくって、ようやく形になるくらいですが、目処は見えていると思います。そう遠くない将来、ひとりひとりにAIエージェントがつくかもしれません。 それこそ「今、手が離せないからこいつ(AIエージェント)に話しといて」といったことが可能になるかもしれません。 ## そろそろキラーが出そう? 生成AIを使ったキラーアプリはまだ出ていませんが、そろそろ出てきてもおかしくはないでしょう。 キラーアプリとは **普及を決定づける「すごいアプリ」** を指します。以下いくつか例を挙げます。 * ファミコンにおけるスーパーマリオブラザーズ * サンドボックスゲームにおけるマインクラフト * SNS におけるTwitter、Facebook、Instagram * Windows における Microsoft Office * 将棋でいう藤井聡太、野球でいう大谷翔平 * ※アプリではないが、盛り上がりを象徴する存在としてはわかりやすい ここまで書いてきたように生成AI、そしてこれを自由に使えるAPI(窓口)は既に整っています。この高性能な素晴らしいおもちゃが、割と誰でも使えてしまうのです。 あとは、これをどう使って何を生み出すかですね。現代は **活用の段階に来ています。** 活用といっても、現状細かいチューニングなどがまだ難しくて、素人には到底無理ですし、お金もかかりますが、それでも既に様々な利用例やサービスが出てきています。皆さんが普段お使いのアプリでも、AI機能を搭載したものがあるのではないでしょうか。 まだキラーアプリは出てませんが、もし出てきたらどうなるでしょうか。どんなものが出てくるのでしょうか……。 ## おわりに 生成AIと聞くと難しく聞こえますが、根っこは単純です。 ただ「何か文章を入力すると、その続きを高精度に出してくれる」おもちゃができたよ、しかも自由に使える窓口もあるよ、というだけの話です。 そして現状は、このすごいおもちゃを使って一体どんなすごいもの(キラーアプリ)ができるのかなー、というところです。 # Title: Box Driveを使わなくてもBoxは使える Box Driveは一見すると便利ですが、デメリットも地味にストレスです。思い切って使うのをやめてみましたが、案外円滑に使えるものだなぁと思いました。 ## Box Driveのデメリット ### いちいちファイルの同期が必要で遅いこと Box Drive は「起動している間のみ」「今開いてる部分をダウンロードして同期する」感じの動作をします。 PC を起動しっぱなしにできるならいいのですが、そうではない場合、PC を終了した時点で(PC ローカル側の)ファイルも削除されます。つまり、次、起動したときにまたダウンロードが発生します。回線速度によりますが、この待ち時間が結構だるいです。 ### ファイルパスの共有がしづらいこと Box Drive の[ローカル側のファイルパス](https://support.box.com/hc/ja/articles/360043697454)はデフォルトで以下になります。 > C:\Users\ **User1** \Box 厄介なのが **User1** の部分で、ここがユーザー名なので **ファイルパスが人によって違う** ことになります。ファイルパスを共有するときが本当に面倒くさいです。 環境変数を使って以下のようにすればいいのでは?と思われるかもしれません。 > %userprofile%\Box ですが、これには以下の問題があります。 * そもそも「%userprofile%/Box」と書いて共有してください、といわれてやる人があまりいないこと * この保存先はデフォルトであり、人によっては D:\\\storage\boxdrive など別のパスに変更しているかもしれないこと ### 編集の競合が面倒くさい Box Drive を使ってローカルでファイルFを編集するとします。AさんとBさんがいて、二人ともファイルFを編集しています。先にAさんが保存した後、少し経ってからBさんも保存しました。 こういうのが **競合** です。Aさんの方を採用するとBさんの方が無かったことになりますし、Bさんの方を採用すると(BさんはAさんが編集した内容なんて知らずに自分が編集した内容をそのまま保存するので)Aさんの方が無かったことになります。 これを回避するため、[Box Drive ではAさんの保存分とBさんの保存分を両方残します](https://support.box.com/hc/ja/articles/360044193873)。「どっちを使うか or 上手く併合するかは君たちに任せるよ」「両方残してるんで文句ないだろ」というわけです。 片方のファイルがなくなる恐れはないとはいえ、競合した分を併合(マージ、上手くまとめること)のは面倒くさいです。 ## Box Drive 無しでも何とかなる というわけで、思い切って Box Drive をやめてみたのですが、案外何とかなります。 Box Drive を使わない場合、Box Web 版をブラウザベースで使うことになります。 ### 共有は URL ベースで可能 たぶんこれが一番大きいと思いますが、共有がラクチンです。URLを見せるだけでいいからです。 このURLですが、 **ファイルの保存場所や名前を変えても変わらない** ので便利です。 ### オンラインで複数人同時編集が便利 Office はよく使うと思いますが、ブラウザベースだと Excel Online などオンライン利用が使えます。 これは複数人で同時編集ができるものです。ファイルをひとりずつ開いて更新してねとか、競合が起きてるのでマージしてねとかいったストレスとおさらばできます。 ### 最悪ファイルをダウンロード、ローカルで編集、D&Dでアップロードすればいい ローカルで編集したい場合でも、やろうと思えばできます。 * 1: Web画面から対象ファイルをダウンロード * 2: 1をローカルで編集 * 3: 2のファイルを、Web画面にD&Dしてアップロード 要は手作業で落として上げるわけで、とてつもなく面倒くさいですが、できないことはないわけです。 ### 大きなファイルや複雑なファイルを使わないという抑止力になる ブラウザ利用を前提にしていると、そもそもローカルで大きなファイルや複雑なファイルを扱おうとしなくなります。上述したとおり、とてつもなく面倒なので。 私たちはすぐこのようなファイルに頼りがちですが、これは SaaS が無かった頃の名残です。今はたいていオンラインの方が便利です。URL や同時編集の件はすでに前述しましたし、資料にしてもいちいち重たいパワーポイントなんて使わずとも [Box Notes](https://support.box.com/hc/ja/articles/360044195933) でラフに書く、とかもできるわけです。やり方もアップデートされています。 ## おわりに 仕事や状況によってはまだまだ手放せないかもしれませんが、Box Drive 無しで、Web の方をブラウザで使うやり方でも案外何とかなると思います。 Box Drive に辟易している方は、思い切ってやめてみると良いかもしれません。 # Title: 非同期コミュニケーションの本質と必要性 **非同期コミュニケーション** とは、お互いを拘束しないコミュニケーションのあり方を指します。 ## 例 * 普段のやりとり * メールやチャットを送っておく、来たら返事をしておく * 議論 * 共同編集可能なドキュメントを用意し、各自の意見を書いてもらう、投票してもらう * 資料作成とレビュー * 共同編集可能かつコメント可能なドキュメントを用意し、資料作成者もレビュアーも自分のペースでつくる、コメントする、コメントを返す ## なぜ非同期コミュニケーションが重要か? Ans: 負担が高く、融通も利かない従来の過ごし方を軽減できるから。 従来のコミュニケーションは **同期コミュニケーション** と呼ばれ、お互いを拘束して独占的にやりとりするものです。タイミングが合う(同期している)わけですが、その分、負担が高くて融通も利きません。 仕事だと出社しますし、何か話す場合でも会議の形で会議室や時間を調整したりします。事実上、業務時間中は常に拘束されているようなものです。 一方、非同期コミュニケーションではタイミングが合うことを想定しません。各自のペースで送ったり受け取ったり、また読んだり書いたりすればいいのです。 拘束も必要ないので、より柔軟な過ごし方ができます。たとえば超朝型(6:00~14:30)と超夜型(18:00~2:30)が共存できます。 現代は各自の生活が尊重される時代ですから、非同期コミュニケーションの方がフィットします。フィットできれば、より仕事にも集中できますし、する気にもなります。このやり方にシフトできない組織は、前時代的で搾取的です。 ## 同期と非同期のバランス 100% 非同期コミュニケーションをすべし! などと言っているわけではないことに注意してください。必要に応じて使い分けるべきですし、適性や状況に応じて各自のスタンスを尊重するべきです。 ただ、現代では非同期コミュニケーションは軽視されがちです。GAFAM ですら一律に週にn回出社せよ、などと課します。毎日出社する同期的な人もいれば、ほぼ出社しないフルリモートで非同期的な人がいても良いはずなのに通常許されません。 これはつまり、同期コミュニケーションがまだまだ支配的だということです。 ## 本質は「拠り所」のシフト 非同期コミュニケーションの本質は **拠り所のシフト** です。 同期コミュニケーションは各自の脳内がオリジナル(拠り所)となっており、Image Based Origin と呼びます。 ![](/assets/n24c1adde5331_1726452101-iWIPDaBFnx3pZev2XOGgfdRw.png)脳内にオリジナルがある。直接やりとりを重ねながら整合性を合わせていく。 非同期コミュニケーションはそうではなく、オリジナルを外に出します。これを Record Based Origin と呼びます。 ![](/assets/n24c1adde5331_1726452153-fnYwbcSuzXHoyE0CMFN2le7x.png)お互いが「外に出したもの」を見る、ここに出す この本質のシフトを理解し、合わせていかなければ非同期コミュニケーションは定着しません。 表面的に使うだけでは意味がないのです。たとえば、せっかくのリモートワークでも結局オンライン会議ばかりするケースはよくあります。 ## 非同期コミュニケーションに必要なもの 以下の3つです。 ※文化は除きます。 * ツール * リテラシー * 各自が主体的に行動する自律性など * モデル * メンタルモデルとビジネスモデル まずは **ツール** が必要です。 コロナ禍でまがいなりもリモートワークが成立し、非同期コミュニケーションを行えるようになったのも、Teams や Slack といったビジネスチャットがあったからです。 LINE などただのチャットとは違い、ワークスペースやチャンネルやスレッドといった情報単位があるからこそビジネス用途に耐えることができたのです。 しかしビジネスチャットだけではまだまだ不十分です。チャットはあくまでもメッセージをやりとりする手段にすぎません。他にも使うべきツールはあります。そもそも様々なツールを必要に応じてつくったりつくったりできねばなりません。 次に **リテラシー(基礎素養)** です。 自律性はすでに述べましたが、非同期コミュニケーションでは各自が(コミュニケーションが成立する程度に)自主的に行動しなければなりません。 当たり前に聞こえるかもしれませんが、これが案外難しいです。というのも、私達の大半は **舞台装置** ――場の雰囲気や上からの指示に従うことで生活しており、自分で行動することに慣れていないからです。 ビジネス書でも自分で行動することの重要性はよくポイントに挙がりますし、当たり前に思えるかもしれませんが、できている人は非常に少ないです。だからこそ出社したり会議したりといった舞台装置に頼ります。ともすると無自覚です。子供や学生を笑うことなどできません。舞台装置に頼らねばろく動けない大人はたくさんいます。 これは一例ですが、このように非同期コミュニケーションでは様々なリテラシーが求められるのです。 最後にモデル。 メンタルモデルとビジネスモデルを挙げています。 メンタルモデルとは行動特性の意で、「こういうときにこういう行動をする」という価値観のことです。絶対不変なものでも、性格ほど変えづらいものでもなく、単にツール、ルール、役割等によって自ずと形成されるものです。 たとえば議論したいとして、たいていの人は予定を調整して打ち合わせを開催するか、あるいは直接捕まえて話そうとしますが、これは同期コミュニケーションのメンタルモデルです。一方、非同期コミュニケーションだと、議論エリアをどこかにつくって「これ見てよ」「書いてよ」とします。調整や開催はしません。 ビジネスモデルについては説明はしませんが、DX――デジタルトランスフォーメーションでは「ビジネスのあり方も含め、デジタルありきのあり方に改革せねばならない」点が強調されますよね。新しいパラダイムを採用すると、ビジネスのレベルで抜本的に組み直す必要があるわけです。 実は非同期コミュニケーションも同じです。これを **AX(Async Transformation)** と呼びます。たとえば、いくら私たち現場が非同期的に過ごせたとしても、上層部や顧客がそうでなければ意味がないわけです。おそらく私達の非同期は破壊されます。これを防ぐためには、結局ステークホルダーを巻き込んで非同期を推進することになるわけです。 ## おわりに 非同期コミュニケーションの概要と本質を解説しました。 より細かい話が知りたい方は、各自調べてください。すでに解説記事も存在します(一部は下記)が、本質がわからりづらく、必要性の強調も甘いため本記事を書きました。 * [How to embrace asynchronous communication for remote work | The GitLab Handbook](https://handbook.gitlab.com/handbook/company/culture/all-remote/asynchronous/#what-is-asynchronous-work) * [非同期コミュニケーションに関する誤解 2024 • Asana](https://asana.com/ja/resources/synchronous-vs-asynchronous-communication) * [非同期型コミュニケーションとは?ベストプラクティスとコツを解説 | Slack](https://slack.com/intl/ja-jp/blog/collaboration/asynchronous-communication-best-practices) ## (関連記事) 非同期コミュニケーションに必要なリテラシー(素養)を言語化しました。 議事録という観点から非同期コミュニケーションに近づけるには、議事メモを心がけると良いでしょう。要は、議事メモ上で非同期的に議論ができれば、会議そのものが不要になります。 # Title: コミュニケーションの注入(CI, Communication Injection) **コミュニケーションの注入** とは、[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)メインの過ごし方において、必要に応じて同期コミュニケーションを差し込むことをいいます。 Communication Injection, CIと略します。 ## CI により非同期を推進できる 非同期コミュニケーションは現代における救世主ですが、一方で私達は人間であり、 **原始的な対面コミュニケーションの摂取を必要とします** 。特に[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)はわかりやすいと思います。 非同期コミュニケーションが活用されない理由の一つは、このハードルをクリアできないからです。摂取できない状態など到底耐えられませんし、許容もできません。そのせいで同期コミュニケーションから脱せません。 結局、非同期のメリットが生かされないまま、現行踏襲的に同期的なあり方が続くハメになります。それを、同期的な過ごし方が楽しいからとか、人間だから必要だよねとかいった理由で正当化するのです。 では、このハードルを軽減できたらどうでしょう。 CI なら可能です。 以降では CI の考え方とやり方に踏み込んでいきます。 ## CI の基本的な考え方 CI ではイベントの形でコミュニケーションを注入します。具体的には、 「 **何か」を行うイベントを、特定の「時間帯」と「場所」で開催する。** となります。 たとえば「アニメの鑑賞」を行うイベントを、2024年9月から「平日毎日、昼休憩中」に、「オフィス中央のコミュニティエリア」にて開催します。 このイベントの単位、特に何を行うかにフォーカスを当てたものを **タイム** と呼びます。 **●●タイム** という言い方をします。上記の場合、おそらくは「アニメタイム」や「アニメ鑑賞タイム」でしょう。 あらゆるタイムを総称する場合は **コミュニケーションタイム** と呼びます。そもそも CI は Communication Injection であり、コミュニケーションを注入するものです。何のタイムであろうと、コミュニケーションに関するものであることが必須です。 また、タイムを開催(告知なども含む)することを **注入** と呼びます。 ## 注入の形態 タイムの注入の仕方は、主に以下の4つがあります。 * 1: 常設 * 2: 突発 * 3: 告知 * 4: 定期 1 の常設は、指定期間中に常時開催しておくものです。 2 の突発は、「今から1時間くらい鑑賞タイムをやるよ」のように突然告知するものです。 3 の告知は、「10日後の9/26 (木) に開催します」のような告知を事前にしておくというものです。 4 の定期は、「毎週月曜日 12~13 時で開催中!」など定期的な開催をすることです。 やり方に正解はなく、すべてを駆使して **間口を広げる** のがベストです。 気分次第で参加可否を決めたい人には告知や定期は刺さりませんし、逆に規則的に過ごしている人は定期の方が刺さります。突発はフォロワーが多くないと人が集まらないかもしれません――など、こうすれば必ず集まるといった保障も当然できません。 どの形態で注入するのが合いそうか、またどの形態なら参加できるかは人によって違います。同じ人でも状況によって違います。なので、各自が各自に合ったやり方で注入、参加できれば良いのです。 ## 何を注入するか コミュニケーションタイムとして、具体的に何をやるかという話です。 いくつか例を挙げます: * 雑談 * ゲーム * 鑑賞 * シング(歌) * 防音性の高い場所で、カラオケ的に楽しむイメージです * フロアで社歌を歌う、ですと参加しない人にとってはうるさいですし、かといって強制参加させるのは CI に反します * セックス * 会社ではなくパートナーの話です * ビジネスライクが通用する関係であるなら、CI の概念を説明することで注入できるようになるかもしれません * パズル * 呆活 * ぼーっとすることです * [大会の事例もあります](https://www.sankei.com/article/20240512-2UKTHZATPJO3LBVFCWSVQ2XKPM/) * 体操 他にも良さそうなものがあれば、注入してみてください。 万人に刺さりそうなものでも良いですし、ニッチで人を選ぶようなものでも構いません。ただしニッチなタイムばかりですと、CI 自体が盛り上がらなくなってしまうので、前者の万人受けなタイムをまずは重視した方が良いでしょう。 ## 注入と参加を成立させるシステム まず始めに、 **CI 専用のサービスなどはありません** ので、自分たちで工夫せねばなりません。 注入と参加自体は、単に知らせて集まってもらって、というだけですので各自工夫してください。CI 専用のシステムを整備してもいいですが、大変だと思いますので、ここでは別の案を紹介します。 ※とはいえ手作業は大変なので、本格的にやるなら専用のシステムが欲しいです。 **動線に注入する** ことです。 動線とは誰もが毎日頻繁に通る、開かれた場所です。社員全員が見る掲示板、ポータルサイト、Teams などのチャットチャンネル、その他色々あるでしょう。そこに「現在注入されているコミュニケーションタイム」を表示させるイメージです。 YouTubeを使っている人は、アクセスすると「現在ライブ中の配信者」が表示されるが、あのイメージが理想です。ただし、これは社員各々が自分のタイムラインを持っていないといけなくて、このレベルのシステムを導入できている組織はほぼ無いでしょう。難しいと思います。 メールで送ればいいか、ではないことに注意してください。メールは各個人に閉じた動線であり、開かれていません。CI を実施しても鬱陶しくて定着しません。閉じた動線になるなら、タイムラインのレベルが必要です。しかし、他に動線がないなら検討しても良いでしょう。ないよりはマシです。 CI では **とにかく注入されているコミュニケーションタイムに気付けないと話になりません** から、まずは目に止めてもらう必要があるのです。そのために動線に頼りましょう、というかここで知らせて目に止めてもらいましょうという話をしています。 動線がない場合は……考えていませんが、おそらく動線がそもそもないような組織は、風通しも悪すぎて CI どころではないと思います。 ## Q&A ### 組織全体ではなく、チーム内など小さな単位でも実施可能か? Ans: 可能です。 チーム内で合意が取れていれば問題ありません。 ただし組織全体ではない場合、チームの外からの圧力によりコミュニケーションタイムが妨害されたり潰されたりする可能性はあります。できるだけ広い範囲で周知してしまいたいです。 理想は社内文化(つまり社内全体)レベルですが、いきなりは難しいと思いますので、部門や事業部といった単位ですとか、あるいは単に有志で集まってみるなどが良いでしょう。 ### コミュニケーションタイムとして過ごすことがルール上許されていないが、どうすればいいか? Ans: 融通は利くはずです。 現状でも雑談や休憩は許されているでしょうし、親睦を深めるためのイベントや会話も適宜行っていると思います。 コミュニケーションタイムもそれらと同じです。必要なことです。業務時間中に1日1hくらいかけたって問題無いと思います。現在でも(自覚がないだけで)同等のことをそれくらいしている人は少なくないとも思います。 CI は、言わば各自が薄々必要性を自覚してテキトーにしている営みをイベント化して堂々とやっちゃおう、というものです。 ### コミュニケーションタイムは任意参加だと集まりが悪い気がする、強制の方が良い? Ans: いいえ。 強制してしまうと事実上同期的となってしまい、意味がありません。そもそも非同期な過ごし方をメインにしたくて、でもそれだと原始的な対面が足りないから CI にて注入しようという話でしたね。 集まりの良さは関係がないので気をつけてください。油断するとKPIなど目標設定のおもちゃにされてしまいます。 ### 注入は許可制が良いですか?それとも全員が自由にできるようにした方がいいですか? Ans: 後者、誰でも自由にできた方が良いです。 間口を広げると前述しましたが、まさにそのためです。色んなコミュニケーションタイムが色んなタイミングで注入されている方が、盛り上がりやすく活用もされやすいです。 ### コミュニケーションタイムが多すぎて仕事に差し支えないかが心配です Ans: 社員を信用してください&問題が起きそうならその時に考えてください。 いきなり制約を課しても窮屈で使われません。 まずは自由にやらせましょう。その上で、問題が出そうならその時に対処しましょう。 とはいえ、何も無いと動きづらい人も多いでしょうから、「1日1時間まで」などの **目安を定めておく** とやりやすいと思います。 # Title: ❌当サイトについて Since 2024/12/14~ こちらは古い記事です。 最新は以下となります。 仕事術(仕事のやり方や考え方)を紹介するサイトです。現代でも通用するものにアップデートする、との意味を込めて2.0と名付けています。 ## 目的別 ### とりあえず眺めてみたい ### 「仕事術2.0」自体の解説を見たい ### ✉️問い合わせたい☎ lit.linkまでお越しください。各種リンク先をまとめています。 ## 内容について ### 仕事術とは 仕事術=仕事のやり方や考え方全般、としています。 従来の仕事術、自己啓発、ハック、知的生産術などはすべて含みます。また必要に応じて新しくつくったり、現状を言語化したりすることも含みます。 ### 当サイトのウリ * 1: 他では見ることのできない新規性・独自性の高い仕事術があること * 2: 既存の仕事術を、わかりやすく整理していること * 3: 痛快な言語化をしていること ### 当サイトのコンセプト まず **仕事術をシンプルに解説することに特化しています** 。 以下はありません。当サイトとしても意図的に排除しています。 * ストーリー * 長文で字数を稼ぐこと(活字を読む体験の演出) * 作者のキャラクター性 * 交流やコミュニティ * エビデンスの提示による正確性や権威性の保証 当サイトはあくまでも淡々と仕事術を紹介し、読者の皆さまも好き勝手に消費していただくことを想定しています。 次に **読み漁れるように設計しています** 。 * [読み漁る方法を色々とご用意しています](https://note.com/workhack20/n/nf615cfac031c) * 記事から記事へも飛びやすいと思います * 言及や関連記事を積極的に設置しています * これにより記事どうしが網目状(ネットワーク状)に繋がり、行ったり来たりできます ## 有料記事について 有料記事とは、続きを見る際に[購入が必要](https://www.help- note.com/hc/ja/articles/360010310214-%E6%9C%89%E6%96%99%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%82%92%E8%B3%BC%E5%85%A5%E3%81%99%E3%82%8B-%E8%B3%BC%E5%85%A5%E6%96%B9%E6%B3%95)となるものです。 気になった方は、ぜひ買ってみてください。 [クレカ、PayPay、PayPal、キャリア決済などに対応](https://www.help- note.com/hc/ja/articles/22970099486617-%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E5%88%A5-%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E6%94%AF%E6%89%95%E3%81%84%E6%96%B9%E6%B3%95)しています。noteアカウントがなくても可能です。 有料記事を眺めてみたい方は以下からどうぞ: [https://note.com/search?context=note_for_sale&q=from%3A%40workhack20&sort=popular](https://note.com/search?context=note_for_sale&q=from%3A%40workhack20&sort=popular) 有料記事が割高に感じる方は、こちらもどうぞ: 有料部分の方針は、主に以下のとおりです: * 公知を確保するため、概要やメリデメの説明は有料にはしない * その先の「詳しいやり方やよくある議論」を有料にする ### ## ご利用について * 有料記事も含め、言及・抜粋・引用・生成AI利用などはご自由に行って頂いて構いません * 筆者としては幅広く知ってもらうことを意図しており、歓迎いたします * 有料記事も含め、営利組織における利用もご自由に行って頂いて構いません * 特に以下を歓迎いたします * 記事の内容をベースとした製品やサービスを開発する * 記事の内容を組織・チームで試行し、その結果を発信する * SNSやオウンドメディアなどで取り上げる # Title: コミュニケーションパラダイム「脱拘束」 **脱拘束** とは、新しいコミュニケーションパラダイムです。 従来のコミュニケーションは拘束を前提とするものでした。しかし技術と方法の発展に伴い、拘束無しでコミュニケーションできるようになりました。 脱拘束は[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)でも重視する概念の一つです。この新しいあり方について詳しく見ていきます。 ## 拘束とは **拘束** とは **場所、時間、話題のいずれかが束縛されること** を指します。 特に場所または時間のいずれかが拘束されることを **強拘束** と呼び、拘束と聞くと通常これを指します。 ### 場所の拘束 場所が束縛されること。 その場所に同座する必要があります。 例: 出社、会議室への入室、会場への参加 etc ### 時間の拘束 時間が束縛されること。 その時間帯はその事に費やす必要があります。 例: 勤務時間、打ち合わせ、本番の試合や作業 etc ### 話題の拘束 話題が束縛されること。 今現在扱われている話題に関する事を扱う必要があります。 (他の話題の持ち出しや蒸し返しは想定されていません) 例: 会話で今話されている話題、DMで今やりとりしている内容、チャンネルやスレッドやタイムラインで今見えている話題 etc ## 拘束が損なうもの 拘束は以下を損ねます。 * QoL(生活の質、生活水準) * 多様性 * 熟慮 * 熟議 **QoL** を損ねます。 QoL と書きましたが、生活水準と言っても差し支えありません。拘束に耐えられる人や拘束されることを望んでいる人は問題ありませんが、そうでない人にとって、 **拘束は負荷でしかありません** 。 拘束はまずその時間中は拘束されますし、準備や撤収の手間も要します。私たちの貴重なリソースを思っている以上に消費しますし、現代はまだまだこの視点に疎く、搾取と呼べるレベルで要求されがちです。 たとえば通勤時間とその準備・片付けに毎日2時間かかっているとして、通常この部分の給料は出ません。事実上、拘束されているにもかかわらず。実質サービス残業に等しい所業です。定時 + 昼休憩の 8 時間を含めると、毎日 10 時間も拘束されていることになります。 ※2時間というと縁が無いと感じるかもしれませんが、意外と準備、片付け、そして待ち時間があります。片道正味40分の人でも、おそらく+20分くらいは要しているでしょう。 現代ではリモートワーク、特にパンデミックによる後押しもあって比較的拘束から脱せている組織は増えましたが、まだまだでしょう。また脱せていた組織についても、GAFAM を含め、出社に回帰する流れが見られます。 **多様性** を損ねます。 QoL とも絡みますが、拘束ありきのあり方では、拘束に耐えられる人だけが優遇され、耐えられない人は冷遇されます。あるいは適応にかなりの消耗を要します。 たとえば夜型の社会人や学生は、朝型前提で組まれている会社や学校に苦労しています。これは夜型という多様性を無視していることに他なりません。 **熟慮** と **熟議** を損ねます。 ※政治や哲学の用語としてではなく、単にじっくり考えることと議論することを指す言葉として使うことにします。 従来の拘束的なコミュニケーションは、ほぼ対面と口頭による原始的なものです。このやり方はじっくりと思考し、議論することにはまるで向いていません。 条件を満たせば不可能ではありませんが、それでも限度がありますし、条件自体も限定的です(たとえば心理的安全性が高くて、能力と自律性にも優れている、少人数の集団)。 そもそも **原始的なコミュニケーションは人間の性能に全面的に依存しており、たかが知れています** 。話題の拘束は、まさにそのせいで生じています。たとえば 30 の話題すべての深耕や議論をしたり、300 人全員から意見をもらったり議論をしたりといったことはできません。基本的に一つずつ扱うことしかできませんし、人間にも時間や気力などリソースがありますから、取り合いになります。取り合いは政治を生みます。仕事がしばしば政治になるのもこのためです。 ## 脱拘束に必要な要素 以下の 4 点です。 * 1: [非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331) * 2: [情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc) * 3: [CI(コミュニケーションの注入)](https://note.com/workhack20/n/n777d7b43cec5) * 4: [スラック](https://note.com/workhack20/n/ne87679054d97) まずは拘束を脱せるコミュニケーションの仕方が必要で、それが **非同期コミュニケーション** です。 ただし、非同期コミュニケーションではスピードが出ません。拘束ありきの同期コミュニケーションでは当たり前の、対面口頭レベルのスピードが出ないのです。かわりの方法でスケール(前進と成長)させる必要があります。それが **情報共有** です。インターネットはまさにそうですが、情報を広く公開することでネットワーク的な複雑な関与を可能にし、情報格差を軽減しつつも局所最適と全体最適の双方を満たせます。また透明性により組織全体の健全性にも寄与します。 これだけで脱拘束は可能ですが、現実的にはもう少し必要です。 一つが、私たちが人間であり、非同期コミュニケーションばかりでは病んでしまうことです。これをカバーするために、同期コミュニケーションを適宜注入します。 **コミュニケーションの注入(CI, Communication Injection)** です。 そしてもう一つが、そもそも非同期コミュニケーションや情報共有を各自が各自のペースで行えるだけの **スラック(余裕)** です。この点は意外と盲点で、多忙な現代人はついつい忘れがちです。新規事業はわかりやすいと思いますが、リソースをケチって片手間や「ながら」で行っても成功などしません。同様に、脱拘束においても、それなりのスラックを確保せねばなりません。 # Title: ワークライフバランスとその前後の潮流 現在 4 つほど存在すると思います。 ## 最初に図で比較 ![](/assets/nd6c863e8970d_1726519960-XYkQ09iIOT6zHRegVlCE1fKW.png)横文字でわかりづらいですが、結局こういうこと ## 1: ワークファースト 筆者が便宜上定めた言葉で、仕事を第一とする従来の価値観です。 昭和がわかりやすいと思います。 **長時間残業当たり前でプライベートは犠牲になっていました** 。また男は仕事、女は家事といった人生の分業も敷かれていました。 ## 2: ワークライフバランス 仕事とプライベートをバランスよく配分しましょう、という考え方です。 たとえば毎日定時退社すれば、仕事の部分は 8 時間(実際は通勤や準備などもありますが)で済み、それなりにプライベートを確保できます。逆をいうと、 **それなりにプライベートを確保しろという圧** があります。 ## 3: ワークアズライフ 落合陽一さんの提唱で、プライベートを仕事の一部にするというもの。 ワークライフバランスは、特に働き方改革の文脈で「残業禁止」など「もっと働きたい人側の多様性」を削ぐものでした。別に仕事バリバリしたい人はしてもいいじゃない、プライベートなんてそれを支える分でしかないよね、というのがワークアズライフです(だと思ってます)。 ※上記の絵はライフインワーク的な書き方になってますが、わかりやすいのでそうしてます。想像ですが、ライフインワークという言葉はわかりづらいので、落合さんもアズを使ったのではないしょうか。アズだと「生活として」「人生として」仕事をしてるんだよ感があって比較的わかりやすい。 ## 4: ワークインライフ 仕事をプライベートの一部にするというもの。 仕事は一部でしかないので、適当に融通を利かせれば良いという含意があります。同時に、プライベートの方が主であり、仕事は従でしかない(からワークファーストやワークアズライフのように出しゃばるな)、との含意もあると思います。 # Title: noteへの要望: 見出し画像を本文中の画像から選びたい note運営に要望を送る口が無かったので、記事として書いてみます。 ## 要望 表題のとおり、見出し画像を本文中の画像から指定したい。 ### 詳細 before: 見出し画像は以下のボタンから画像アップロードが必要 ![](/assets/nfe2f4a76e416_1726520969-KMiXcUV95WTjQCOPpagYs760.png)編集画面上部に出るこのアイコン after: 記事内の画像から選択できる。おそらく以下に「記事内の画像から選ぶ」があれば良い? ![](/assets/nfe2f4a76e416_1726521036-aQyqnvD1xNZbc0wiEXhTWjSO.png)ここに「記事内の画像から選ぶ」があれば便利かもしれない # Title: No Hello、No Sorry、No Ghost チャットコミュニケーションにおける、よく知られた無作法(をやめろと表現した言葉)を 3 つ紹介します。 ## No Hello 挨拶だけして相手の出方をうかがうのをやめろ。 「どうしたんだい?」 「親身に相談に乗るよ!」 とでも言われたいのか? 黙れよ。 もったいぶらずにさっさと用件を書け。 同期コミュニケーションをする気はねえよ。 チャットは[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)するものだろうがよ。 ……これは有名な言葉かもしれません。 No Helloを主張するウェブサイトも複数存在するほどです。 また日本語ブログの解説もいくつかあります。 ## No Sorry テンプレでかしこまるのをやめろ。 「すみません」とか 「お世話になります」とか 「よろしくお願いいたします」とか 何の情報量もねえだろ。 第一そんなこといちいち毎回思ってねえだろ。 そもそもヘッダとフッタを固定してたメールの文化だろ。 チャットはメールじゃねえよ、ヘッダもフッタもねえよ。 余計なゴミをいちいち混ぜるな。 かしこまらずにさっさと本題を書け。 ……ここからは造語だと思います。 英語の「結構です」と同じ言い方で被っちゃってますが、他に良い表現がないので採用しました。 日本では見られますが、海外ではわかりません。 ## No Ghost 急に途絶えるのはやめろ。 急に返事をせずに既読スルーするのはやめろ。 恋人や友達とのやりとりじゃねえんだよ。 社会人なんだから、仕事なんだからちゃんと返事しろ。 忙しい?知るかよ。だから恋人や友達じゃねえんだって。 そもそも返事しなくて済むのは対面のときだけだろ。 対面だと非言語でハイコンテキストに読めるから済むって話だろ。 チャットだとわからねえんだよ。 書かないとわからねえだろ。 あわよくば逃げよう、察してもらおうとか企んでないで、さっさと返事を書け。 ……これも造語です。 Ghost(幽霊)から取ってます。 海外でどうなのかはわかりません。ハイコンテキストな文化なら起きるとは思います。 # Title: AX(Async Transformation) [非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)を本格的に推進するためには、メンタルモデルやビジネスモデルといったモデルを――つまりは根本のレベルで変革が必要です。 これを **AX(Async Transformation)** と呼びます。 デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXと同じです。こちらはモデルをデジタルの流儀に合わせることを要求しますが、AXは **アシンク(非同期)の流儀** に合わせることを要求します。 詳細は以下の記事を参照してください。 # Title: DXが進まない理由は人材不足じゃなくて、経営層が無能なだけ DXが進まない理由として「人材不足」が挙げられますが、違います。 理由はただ一つで、 **経営層が単に投資してないから** です。 デジタルに詳しい人材を雇いましょう。 社内のドメイン知識が必要ならば、それを知る社員をリスキリングして登用しましょう。 いずれにせよ、 **スタートラインに立たせましょう(相応の報酬と待遇と裁量と権限を与えましょう)** 。 ここをケチっているなら、そりゃ集まらないのも育たないのも当たり前です。 自分で判断できるほど学がないなら、勉強しましょう。 勉強する時間がないなら捻出しましょう。 要は **経営者自身がリスキリング** して、DXに関する判断を行えるようになりましょう。 お金を含む何らかの理由で、いきなり社内全体を変革するのが難しいなら、部分的に試しましょう。 もちろん、 **スタートラインに立たせる必要があります** 。 スタートラインに立たせさえすれば、あとはどうとでもなりますし、できます。デジタルの力を舐めすぎです。 レポートやアンケートを鵜呑みにしないでください。あるいは、鵜呑みにしてもいいですが、あれらは各社の言い訳と現状を分析しているだけです。 真に必要なのは経営層の投資――ただこの一点に尽きますし、一部のレポートや書籍ではそのように提言しているはずです([[1]](https://www.mckinsey.com/jp/~/media/McKinsey/Locations/Asia/Japan/Our%20Work/Digital/Accelerating_digital_transformation_under_covid19-an_urgent_message_to_leaders_in_Japan- jp.pdf) [[2]](https://dlisv03.media.osaka- cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/24363146-2-1-69.pdf) [[3]](https://www.amazon.co.jp/dp/B07YNJSCG8))。 DXは根本的にデジタルの流儀にシフトするものです。小手先で何とかなるものではありません。だからこそ、根本から変える力を持った経営層が下すしかないのです。 強いて言えば、日本の組織文化がハンデとなっているでしょう。 Twitter を変えたイーロン・マスクのようにはいきません。日本では経営層であっても文化的・構造的に改革しづらくなっています。 ですが、そうだとしても、文化に則った戦いをすればいいだけです。変革までの時間が多少伸びるだけです。 まとめると、DXが進まない理由は、単に経営層が投資をしていないだけです。できないほど無能であるというだけです。 ハンロンの剃刀という言葉もあります。 > 無能で十分説明されることに悪意を見出すな ただ無能なだけです。 # Title: Miroでストレス無く付箋を書くコツ これを知っているかどうかで、Miroが相棒になるかどうかが決まると思います。 Miroのイマイチな点は、 **付箋に書き込んだ文字サイズが思ったとおりにならない** ことです。 ![](/assets/n4a315d695333_1726737613-ZTndO1q3vu9yjVJSihMeY2NL.png)読みづらい……。良い感じに調整してくれ~ この問題を軽減するコツを紹介します。 以下の三点です。 * 1: できるだけ短くする * 2: 改行する * **一番重要!** * 3: 長い文章は n 枚に分ける 以下を見てください。 ![](/assets/n4a315d695333_1726737685-VGjQ29ovLp6x081Jur4wSWeg.png)見やすさが段違いです。 特に下の段の真ん中と右を見てください。 見やすさが全然違うと思います。 あまりに雑で気持ち悪いかもしれませんが、そもそも付箋は発散的に使うことが多いと思います。これでも通じますし、雑で良いのです。 文章というよりは単語やカタコトの列挙を使うイメージですかね。少し慣れは必要ですが、これくらい雑に書けるようになったら、あとはもうザクザク付箋を書けます。Miroが相棒になります。 特にポイントなのが改行です。以下のような入れ方は特に馴染みが薄いと思いますが、 見 辛い ↑ これくらい思い切ってください。 # Title: リモートに潤いをもたらす「ワークイベント」 リモートワークだと潤いが足りない。 かといって出社したり対面イベントを催すほどではない……。 潤いを求めて、あえて自宅を出てリモートワークする人も多いのではないでしょうか。 本記事では、軽い潤いを恒常的に確保するための術である **ワークイベント** をご紹介します。 ## ワークイベントを導入した、ある組織の光景 ワークイベントプラットフォームがあります。 これはスマホやPCから使えるもので、社員ならいつでも誰でも自由に閲覧でき、気になるイベントがあったら参加できます。もちろん自分でイベントを開催することもできます。 ここでは日々たくさんのイベントが、アトランダムに開催されます。誰が、いつ、どんなイベントを開催するかはわかりませんが、見に行けば大体開催されてます。あるいは自分が開催してもいいです。 イベントに参加するとは、リモート会議に参加することに等しいです。ビデオは強制オンとなり、会話は一切できません。参加者らは、ただただそのイベントが想定するワークを行うだけです。 まるで自習室やカフェやコワーキングスペースのようです。ひとりですが、皆の顔が見えており寂しくありません。 **これが軽い潤いを与えます。** 自由参加型なので、社員たちは好きなときに来て、好きなように参加すればいいのです。 ## ワークイベントとは まず **ワーク** ですが、ここでは個人ワークを指します。 ワークとは活動全般です。仕事に限らないことに注意してください。たとえば「散歩」も活動です。仕事も、遊びも、休憩も、あらゆる活動がワークになりえます。 次に **ワークイベント** ですが、これは **個人ワークを行う場を即席的に開催すること、あるいは開催したもの** を指します。 ## 目的 リモートワークに軽い潤いをもたらすことです。 冒頭で述べましたが、他人が集まっている静かな空間のようなものです。ひとりであることに変わりはありませんが、皆の存在が見えている分、寂しさが軽減されます。これが軽い潤いをもたらすのです。 コミュニケーションは取りません。[コミュニケーションの注入](https://note.com/workhack20/n/n777d7b43cec5)とは違います。ワークイベントはあくまでも、参加者たちの存在感を感じるだけです。 以降ではワークイベントの詳細、特に実現方法や運用上の議論を見ていきます。 ## 例 ワークイベントの例をいくつか挙げます。 * 「今から昼寝します」 * 「今から瞑想します」 * 「今から散歩します」 * 「今からラジオ体操します」 * 「今から昨日リリースされた "新勤怠システム" のマニュアルを読みます」 例を挙げればきりがありませんが、要は **「~~をするためだけの時間」を開催する** のがワークイベントです。 ## ワークイベントを実現する 何の導入であってもそれなりの難易度がありますが、ここでは言及しません。 あくまでもワークイベントに関する事項に絞って議論します。 ### プラットフォームの必要性 ワークイベントを実現するためには、冒頭で述べたプラットフォームのようなものが欲しいです。 大前提として、 **ワークイベントの開催・参加・周知に手間がかかってはいけません** 。それでは人なんて集まりません。専用の仕組みをつくって、アプリから軽く使えるくらいは欲しいところです。 厄介なのは、このようなアプリやシステムやサービスがまだ無いことです。 が、筆者が知らないだけで、似たものはおそらくあると思います。しかし社内で使えるようなもの、となると意外と少ないか、無いと思います。 ### ZoomやTeamsで実現する ZoomやTeamsといったオンライン会議ツールでも実現はできますが、あまりおすすめはできません。 というのも、ワークイベントの実現にあたって多くの手作業を必要とするからです。特に冒頭で述べた **強制ビデオオン、強制ミュート、チャット禁止の適用が難しい** でしょう。 しかし、考え方は難しくないので、周知していけば社員たちも慣れてきて成立します。何より、軽い潤いは、この程度の手間を負ってでも得たいと思える程度には魅力的です。 さて、具体的な運用としては、以下がポイントとなります。 * 社員全員が読み書きできる場所(プラットフォーム)を用意する * Teamsのチームでも、社内掲示板でも、何でも構いません * 要はここに「今から~~のイベントをやるよ!」を書き込みます * ワークイベントを開催したい人は、自分でオンライン会議を開催後、そのルームの参加コードをプラットフォーム上に投稿する * 参加のハードルはできるだけ下げるべきです * パスワードは無しにするか、非常に単純なものが良いでしょう * またルームは以下ルールを適用してください * 強制ビデオオン(これは不可能なので周知するしかない) * 強制ミュート * チャットも禁止 * 開催者は、自分のワークが終わったらルームを閉じるか、ホストを誰かに渡します * 渡された誰かは続けるなり、別の誰かに渡すなり、閉じるなり好きにします ### 強制ビデオオンの是非 Ans: 是です。 ワークイベントの肝となるのが、ビデオオンにより各自の様子が見えることです。 ここで **各自の様子が見えるかどうかは、そのまま軽い潤いが手に入るかどうかに直結** します。 もしワークイベントを導入しても、ビデオがオンにならず参加者たちの顔や様子が見えないとしたら、潤いなど手に入りません。かんたんに廃れます。 もう一つ、ビデオがオンだとしても、ワークの様子を映さないケチ臭さが蔓延してしまうと、やはり廃れます。 ビデオを移したくないという人はよく出ると思いますが、相手にしないでください。むしろそういう人はワークイベントの対象者ではありません。潤いとは様子です。ビデオオンは必要です。 **一時的にオフにするのも許してはいけません。あるいは、オフにしたいならルームから出るべきです。** 出ないままオフにしたままの人がいたら、ホストは容赦なく蹴って良いです。 ただ、ホストがこのような監視と対処を担ってしまうと、ホスト自身がワークできなくなってしまいます。ホストによる対処ではなく、社員のリテラシーとして「一時的なオフもさせない」を周知したいところです。 ## ワークイベント・ガイドライン ワークイベントの実現には、社員全員への周知が重要です。 周知事項をガイドラインとして定めて、これを前提とするよう周知します。 ガイドラインは、たとえば次のようなものです。 * 開催と参加 * 誰でも、いつでも、開催できますし参加もできます * 途中入退場も自由です * 終了 * ワークの終了時、ホストは以下のいずれかを行います * ルームを閉じる * ホスト権限を誰かに渡す(テキトーでよい) * ホストから権限を渡された人も、自分のワークが終わったら上記のいずれかを行います * イベント中の所作 * ビデオは常にオンにしてください * ビデオをオンにできないか、オンにしても様子を映さない場合は追放されます * 一切の会話とチャットは禁止します 全員がガイドラインを知っていることを前提としてください。 たとえば、ホストは、いきなり知らない社員に権限を渡しても問題ありません。渡された人もまた、ワークが終わったらルームを閉じるか、また別の誰かに渡すかすればいいからです。このことはガイドラインを読んで知っているはずだからです。 ## おわりに ワークイベントの概要から始まり、実現に関する基本的な議論をしました。 現状、確立された手段(プラットフォーム)が無いのが痛手ですが、実現可能性は示せたはずです。ぜひ試してみてください。 # Title: GUIでもCUIでもない選択肢 TeUI(テキストエディタUI) テキストエディタ上で完結させてしまう UI を **TeUI** と呼びます。 ## メリット 使い慣れたエディタ上で完結できること。 例: ChatGPT 通常はブラウザから利用しますが、ブラウザは不便です。仮にエディタ上で完結できたらどうでしょうか。 エディタ上でプロンプトを書いて、ショートカットキーを押したら、もう裏で問い合わせが走り、結果も自動で書き込まれるとしたら。ブラウザと行き来するよりも快適だと思います。 この感覚がわかる人は、TeUI を試す価値があります。わからない人は対象読者からは外れます。 ## 事例 新しい概念であるため、まだ事例はありません。 しかし本記事にて提案しており、内容も難しくないため、読者の方で形にすることができるでしょう。何らかのツールやエディタ拡張機能の形で実装してくれると嬉しいですね。 ## TeUIが使える手段 * ショートカットキー * メニューバー * ポップアップメニュー * 分割ウィンドウ * ただしターミナルを出す等は違います * それはただのIDEです * マクロ * エディタに搭載されたスクリプト言語のこと * 呼び名はエディタによって様々です * ただしマクロ単体では動作せず、何らかの手段で呼び出す必要があります * デーモン * 今開いているファイル内容を自動で読み込んで何らかの処理を反映させる機構 * バックグラウンドで専用プログラムが動いている必要がある * VSCodeにはLanguage Serverなる仕組みがあり、動的な補完やハイライト等を一利用者でもつくりやすい * もちろん自分で常駐プログラムをつくるのも良い ## どんなエディタで実現できるか * vim や emacs といったCUIベースのエディタ * mi、CotEditor、SAKURA EditorといったGUIベースのエディタ * 秀丸エディタ、EmEditorといった有償エディタ * VSCode など汎用IDE ## 最大の鍵は「動的な更新」 TeUI 最大のメリットは、普段慣れてるエディタ上で入出力を行えることです。 ### ChatGPTの例 たとえば [chatgpt.md](http://chatgpt.md) というファイルがあるとします。 ショートカットキー alt + s で「[chatgpt.md](http://chatgpt.md) の内容をプロンプトとして問い合わせを行い、返ってきた結果もそこに追記する」処理を走らせるとします。 ※実際には OpenAI API を使った処理を走らせることになるでしょう。 これを使うと、エディタ上で ChatGPT が完結します。ブラウザと行き来せずに済みますし、書くのも結果のコピペも楽です。 ### 文芸的コマンドライン コマンドラインは通常、ターミナル上で実行しますが、これは意外と不便です。コマンドラインに対するコメントは書けないし、コマンドラインをつくるときもつくりづらいです。 TeUIを使うとどうなるでしょう。 たとえば [workspace.md](http://workspace.md) というファイルにします。 ここでは ```command1 という形でコマンドを書けます。またcommand1の結果は ```result1 に書き込まれるとします。 ショートカットキー ctrl + space で「カーソル位置にある commandX を実行する」とします。結果は resultX に書き込まれます。 ![](/assets/n0d22f3eaeb4a_1726779876-QxGMaO0qAVyW2eZDJpbYRr97.png)こんなイメージ![](/assets/n0d22f3eaeb4a_1726779905-8azoHD1PcBghrFCT5pQRdElJ.png)カーソルを合わせて何らかの操作(ショートカットキー?)をすると実行できる。 このあり方なら、エディタ上で文章を書くようにコマンドラインを書いていけるし、テストもできます。 まるで文芸的プログラミングのようであり、これを **文芸的コマンドライン** と呼びます。 Jupyter Notebookと何が違うか? * 本質的な考え方は似ている * ドキュメント上に「実行能力のある記述」を書く発想 * 文芸的 * 目的が違う * Jupyter Notebookはデータ分析用途 * 結果を確認&記録しつつ、段階的に実行していける * コマンドというよりはコード * 文芸的コマンドラインは汎用 * エディタ上でコマンドを実行するというもの * コードではなくコマンド # Title: 対面を増やしてもエンゲージメントは向上しない ## そもそもエンゲージメントとは 言ってしまえば **自分の会社を誇れる度合い** だと思います。 たとえば胸張って「私はここに勤めてるんだよ」と言えたり、職に困ってる知人にリファラル的に薦めたりできるか、という話です。 また **誇れる度合い≒総合的な満足度** も成立します。 誇れると満足度も高いのです。 ならば満足度を高めるには、誇れるようにすればいいわけです。 ## エンゲージメントを満たす手段は3つ 以下の3通りだけだと思います。 * 1 「メンバーのために!」 * 2 「この仕事のために!」 * 3 「ビジョンのために!」 順に詳しく見ていきます。 ### 1: ファミリーエンゲージメント 「メンバーのために!」 要するに **家族** です。 このエンゲージメントが高い組織では家族ぐるみの付き合いをします。プライベートも遊ぶ仲です。 昇進とは無縁の世界です。その代わり、生活は助けないといけません。住み込み的になっていたり、給料の低い下っ端に対してリーダーが太っ腹だったりします。 すごく単純化すると、フィクションで描かれるヤクザですね。色んな側面が見えますが、本質は単純で、「家族を守る」です。近年のマンガでは「ザ・ファブル」がわかりやすいです。 ### 2: ミッション・エンゲージメント 「この仕事のために!」 要するに **裁量と権限と生活水準** です。 やらされではなく。 邪魔もされず。 生活を気にする必要もない――。 **ベストエフォートが許された状態** ということです。 ここまで揃ってはじめて「本心からやってやろう」という気になります。 もちろん実際は能力や適性や興味などにも左右されますが、ベストエフォートはスタートラインです。ここまで揃ってはじめて己の任務と向き合えます。というか、スタートラインに立たないと任務だとみなせません。 ※無理やりやるなら恐怖や金ですが、エンゲージメントは増えません。 最後の生活水準はわかりにくいかもしれませんが、たとえば以下を満たせるか?という話です。 > 「地元の新潟で、5:00~14:00で働きたいです。残業したくないです」 リモートワークや[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)が必要になるでしょう。あるいは「それは許さん」というのなら、代わりの水準を与えねばなりません。 ### 3: ビジョン・エンゲージメント 「ビジョンのために!」 要するに **信者化** です。 本心から共感させて信者にします。世界観を見せて、魅せて、惚れさせるのです。カリスマであることはもちろん、対面で濃密なコミュニケーションも必要不可欠になります。 ## 対面で満たせるのはファミリーだけ、だが…… さて本題です。 対面で満たせるのは、どのエンゲージメントでしょう。 Ans: ファミリーです。 しかし、ファミリー・エンゲージメントを満たすのは難しいでしょう。 なぜなら水準が上がっているからです。 自分で生き方を決める必要性が増えてるし、スマホとSNSのおかげで井の中の外も見えちゃいます。田舎寄りの地元の中小企業がかろうじて可能かなってくらいでしょう。 ※仕事は関係ないですが、もちろん文字通りの家族なら可能です。 となると、ミッションかビジョンしか残っていません。 ミッションであるなら、 **ベストエフォートのスタートラインに立つための改善** が必要です。するしかしないか次第です。 するためには通常、経営層レベルの判断――特に投資が要ります。DXや[AX(Async Transformation)](https://note.com/workhack20/n/n39a9ec043ddb)と一緒ですね。 次に、ビジョンであるなら、 **惚れさせる** 必要があります。 カリスマ性です。再現性なんてありません。できる人がいないなら、できる人を登用するしかありませんが、これを許せる経営者なんていないと思います。そもそも探すことすら難しいと思います。スターを見抜くプロデューサーよりも難しいし、正直無理だと思います。 仮にカリスマがいたとしても、大人数には通用しません。たとえば大企業でビジョン・エンゲージメントを上げるのは無理です。スティーブ・ジョブズでも無理です。消費者と社員は違います。 ミッションにせよ、ビジョンにせよ、対面は(あれば役に立てることもあるが)必要条件ではないのです。 むしろ、 **対面を言い訳にして改善やカリスマと向き合うことから逃げてしまう分、害悪とさえ言えます** 。 ## 対面を増やしてもエンゲージメントは上がらない 対面は、特にイベントにもなると楽しいですが、それは「その時楽しかった」で終わります。エンゲージメントとは関係がない。当然ながら従業員サーベイにも反映されません。 せいぜい、対面イベントを濃く楽しんでいる人達(文化祭のノリの渦中にいる人達)が高評価を出すくらいです。 厄介なのは、上層部だけが盛り上がっているケースです。対面イベントを推進する上層部の人達は、裁量も権限もあって生活水準も保ててます。つまりミッション・エンゲージメントを満たせてるわけです。自分達だからこそ満たせてるだけなのに、対面で満たせてると勘違いしてしまいます。 ## 逃げるな! エンゲージメントを本当に増やしたいなら、改善やカリスマから逃げないでください。対面に逃げないでください。 # Title: 未来を夢見る蝶 「14時にあがるんで、その15時からの会議は参加できないですね」 うんざりする。 なぜこの程度も通じないのか。 フルフレックスが許されてるのに。 フルリモートもできるくらいのデスクワークなのに。 なぜこの程度の融通も利かないのか。 技術《テクノロジー》はある。 方法《メソドロジー》もある。 なんならつくれるし、議論したっていい。 もう揃ってるんだよ。あとはやるだけなんだよ。 なぜわからん? ……わかってる。 現代に蔓延る、いくつかの宗教のせいだ。 忙しい教――多忙であることと。 一般人教――自分を取るに足らないとみなしていることと。 多忙だからそもそも動けないし、仮に動けたとしても出そうとしないし発揮しようともしない。 脳内に浮かんでるものが山程あるだろう? なくても生み出すことができるだろう? なのに何もしやがらない。 舐めるなよ。 たかが自分ごときが自分を舐めてんじゃねえよ。 出せ。 まずは多忙を何とかするぞ。 多忙だと何もできねえんだよ。 上手くいかない理由はどうとでも語れるし、語られるが、そもそも単に多忙なせいで費やせてないからだよな。 費やせないなら何もできない。当たり前のことだ。 幼稚園児でもわかることだ。 まずは多忙なんだよ。何とかするぞ。 そのために出せ。 みんなで出して、こねるんだ。 そしたら見えてくるさ――余裕という名の希望が。 余裕さえ手に入ったら、あとはどうとでもなる。 みんなの化学反応で、世の中なんて良くなっていく。 変人だろうが狂人だろうが知ったことか。 私は間違ってない。 信者達の目を覚まさねばならぬ。 そのために私は行動してきたし、今もしているし、今後もやる。 異分子? 異端児? 上等だぜ。 ……ああ、わかってる。 よーくわかってるよ。 私が相手にしているのは文化だ。 一個人に務まる相手じゃない。 それでもやるんだよ。 私は自分を舐めてないし、世界も舐めてない。 私こそが蝶かもしれないじゃないか……。 今日も私は行動して、衝突して、無視されて。 歯噛みと涙を押し殺しながら、技術と方法を紡ぐ。 # Title: 「Rapid Q&A」で社内Q&Aを実現する **社内Q &A**とは、社内で社員間が自由にQ&Aを行えるようにすることです。あらかじめ用意した回答を見てもらう **社内FAQ** とは違うことに注意してください。 社内Q&Aの実現は非常に難しいですが、 **Rapid Q &A**を使うと比較的実現しやすいと思います。 ## Rapid Q&Aとは 以下のコンセプトを採用した Q&A のあり方を指します。 * **『いいから聞け』** * いちいち調べなくてもいい * 重複も気にしなくていい * 誰でも何でも質問していいし回答していい 従来のQ&Aでは、まず自力での解決を求めるところがありました。「過去に同じ質問がなかったか探せ」などです。これが質問のハードルを上げていました。 また、システムや雰囲気も形式的になりがちで、気軽に質問・回答するには程遠くなりがちでした。 Rapid Q&Aは違います。その名のとおり、迅速な質問と回答を実現できます。 以降ではRapid Q&Aを実現するための詳細を、特にTeamsを用いた例を使って詳しく述べていきます。 ## Rapid Q&Aの要件 難しい問題に取り組んでいることもあり、要求するものは色々とありますが、一つ一つは難しくありません。 * 数の力 * それなりの人数が欲しいです * 大企業的(1000人以上)など * ハードルの低さ * 誰でも遠慮なく書き込める必要があります * 匿名にするのがてっとり早いですが、後述のとおり仕組みがないため、実名でも書き込めるよう文化や啓蒙を行うべきです * インセンティブの設計 * 案としては二つあります(後述) * ツール * 誰でもいつでも質問&回答するためには、[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)が必要です * 本記事ではTeamsを用いたやり方を紹介します * あまり難しいツールだと人が寄らないので、すでに社員が当たり前に使っているツール上で行うのが良いです * 通知と購読 * いちいち通知されては鬱陶しいので、通知はなくすべきです * しかし興味あるトピックは追いたいので、購読の仕組みがあると便利です(が、最悪なくてもいい) ## Teamsによる実装例 Microsoft TeamsでRapid Q&Aを実現する例を見ていきます。 他のやり方でも実現できますが、Teamsが最もわかりやすいと思うので今回例にしました。 ### サマリー 結論を言うと、以下を行うだけで大枠は整います。 * 1: チームを一つつくる * 2: チャネルを一つつくる * 3: このチームに社員全員を招待する これだけです。 あとは各社員が自由に誰でも何でも質問や回答をします。仮に社員数が3000人だとしたら、 **3000人全員が一つのチャネルに集まることになります** 。 ※[Teamsの仕様では25000人まで入れます](https://learn.microsoft.com/ja- jp/microsoftteams/limits-specifications-teams) 要するに、 **全員を一箇所に集めれば数の力で盛り上がるよね、どんな質問でも大体回答がすぐに来るよね** 、ということです。 色んな問題が想定されますし、実際起きますが、そんなものは潰していけば済みます。 ### 主な問題と対策 主な問題とその対策を述べていきます。 Q: Rapid Q&Aのコンセプトがわからない Ans: 啓蒙してください。 ただしRapid Q&Aを行うチーム( **会場** と呼びます)内で行うのはやめましょう。メッセージを固定したり、タブにコンテンツを埋め込んだりするのは論外です。会場は **あくまでも純粋にRapid Q &Aのみを行う場所でなくてはなりません**。ここまで徹底しないと社員が定着しないからです。 Q: 通知がうざいです Ans: **通知はゼロにするべきです。** 機能としてなくすことはできないので、ルールとして全体メンションを含むメンションの使用を禁止してください。 それでも使う人はBANしてください。経営層だろうと無知だろうと例外はありません。通知があるとノイジーであり、Rapid Q&Aが定着しないので、通知ゼロは絶対に死守し、破る者は厳しく追放してください。 ちなみにスレッド単位の通知については、各自でオフにできます。また通知設定も細かく制御できるので、啓蒙すると良いでしょう。 Q: 流速が凄まじいです Ans: そういうものです。 流速が凄まじいからこそ、中毒的にハマってスクロールするようになります。SNSほどの依存性はもたらしませんが、高頻度にチェックする場所となります。逆を言えば、それを実現するために、あえて一箇所に集めて盛り上げているわけです。 神経質に全部に目を通すとも考えないでください。Rapid Q&Aは各自のベストエフォートで問題ありません。それでも数の力があるので成立します(ほぼすぐに回答が来ます)。 ### この実装例の目的 このTeamsによる実装例の目的は、以下を検証することです。 * 数の力で、多くの質問が、すぐに解決すること * 質問する前にいちいち既存を探さなくてもいい心地よさを体感すること * 質問と回答を読み漁りたくなること これらを検証するために、社員全員を巻き込んでしまうのです。所詮はチームを一つ増やして放り込むだけですから、大した実害はありませんし、手間もかかりません。本当に社内Q&Aを実現したいなら、これくらいの試走はやるべきです。 おそらく経営層の判断が必要でしょう。臆せず投資してください。わからなければ、DXに詳しい人材に相談するなり任せるなりしましょう。また、啓蒙が必要ですので、その点も頑張ってください。 ※社員全員を招待するのは手間がかかります。手作業では厳しいのでAPI等で自動化しましょう。しかし、最も早いのは[organization全体のチームをつくること](https://learn.microsoft.com/ja- jp/microsoftteams/create-an-org-wide-team)です。 ### さらなる問題に対処する 現実的には以下のような問題が出てきますが、仕組みの作り方でどうとでもなります。 * 終わった回答や古い回答を処理(削除など)していかないと、さすがに追いきれないこと * → 時限的に削除する仕組みがあれば良い * たとえば、 * バッチ処理で✅のついた質問を消す * 投稿後3日経って✅のつかない質問は削除する tec * 実名だと質問または回答が集まらない * → 匿名で投稿できればよいが、そのような仕組みがないため難しい * 実名でも投稿してもらえるよう啓蒙した方がはるかに現実的だと思います 他の問題も同様です。DXに詳しい者や、ITエンジニアであればこの程度はどうとでもできます。何なら、Rapid Q&Aに関する問題を会場で質問すれば、わかる社員達が答えてくれます。 ### ゴールデンバランス Rapid Q&Aにおいて最も重要なことは「質問したら、ほぼ必ずすぐに回答がつく」状態にありつくことです。 人が少なすぎてそもそも回答がつかないのもダメですし、逆に流速が速すぎて「そもそも読まれない質問が多い」もダメです。その間の、ちょうどいいバランスを当てねばなりません。これを **ゴールデンバランス** と呼びます。 ゴールデンバランスにありつく努力をしてください。といっても、通常は「そもそも盛り上がらない」ことが大半ですから、まずは盛り上がることを目指しましょう。流速が速すぎるとの懸念は、まずは捨てて結構です。実際に起きてから考えましょう。 ### 明示的な感想 質問内容が極端に難しかったり、あるいは的を得なくて理解しづらかったりすることがあります。 このような質問は放置されがちであり邪魔ですし、質問者本人も(誰からも回答が来ないので)精神的なダメージを負いがちです。 これを防ぐために、そのような質問に関する率直な感想を回答するようにします。これを **明示的な感想** と呼びます。 たとえば「分かる人はいないと思う」「質問の意味がわからない」などです。一見、辛辣に見えますし、もちろん明示的だからといって誹謗中傷など何でも書いて良いわけではありませんが、それでも無反応よりは健全です。 明示的な感想についても、社員たちが行ってくれるよう啓蒙していきたいところです。 ## おわりに Rapid Q&Aについて、Teamsの例を用いて基礎を説明しました。 最適なあり方は結局組織次第ですが、上述したとおり、まず試してみることは比較的かんたんにできます。試してみれば色々と見えてくるはずです。 社内Q&A、特に本記事が想定する大組織向けのものは、まともな実現例がないほど難しいと思われがちですが、このとおり発想を工夫すれば案外そうでもありません。 # Title: デイリータスクリストを知る **デイリータスクリスト** とは今日やるタスクを集めたリストです。 デイリー(Daily, 毎日の)タスクリスト、ですね。 ## 何が嬉しい? 第一に **メリハリをつけられる** ことです。 デイリータスクリストがあると、 「ここに書いたタスクが全部終わったら、今日はおしまい」 と区切ることができます。 第二に、 **融通を利かせながら物忘れもなくせる** ことです。 バランスが良いとも言います。 まずリストに書くので、頭の中で済ませるよりも忘れにくいです。 次に、どのタスクから手を付けるかは自分で判断できます。書いたものを見ながらだと判断もしやすいので、融通が利く感じがあります。コントロール感と言ったりもします。 ## 違い ### ただタスクリストと何が違う? ただのタスクリスト(TODOリストも同義)は、いつやるかが不明です。 仮にタスクが30個並んでいたら、30個すべてに対して、いつやるかを常に考えねばなりません。うんざりします。続きません。 一方、デイリータスクリストは「今日やるもの」と区切っています。仮に30個あったとしても、そのうち6個を「今日やるもの」だと決めてしまえば、 **今日相手にするのは6個で済みます** 。 ### カレンダーと何が違う? 予定をカレンダーに詰め込む営みは「そのとおりに行動する」ことを要求します。 一方、デイリータスクリストは「どのタスクから始めてもいい」ものです。何なら先送りにしたっていいのです。 **融通が利きます** 。 その代わり、怠けすぎると先送りばかりが生じて形骸化します。そういうわけで、意思の弱い人は、カレンダーに予定を突っ込んでそのとおりに行動した方が良かったりします。もちろん、予定が多い人もカレンダーの方が良いです。 ## 運用の仕方 デイリータスクリストを常用すると、どのような過ごし方になるでしょうか。典型的な運用を見ます。 次のようになります。 * 1: 一日の最初に、まず洗い出す * 2: 一つずつこなしていく * 順番は問わない * 3: 全部終わったらおしまい たとえば勤務を開始したら、最初の5分や10分で 1: の洗い出しをします。 その後は 2: ですね。つくったデイリータスクリストに従って、タスクを一つずつ消化していきます。 終わったタスクは✅をつけるなり ~~打ち消し線を引く~~ なりしましょう。進捗感が出ますし、何が残っているかがわかりやすくてモチベーションも持続します。 ちなみに想定どおりに進むとは限らず、たいていは割り込みのせいでタスクが増えたり、単純に疲れたり飽きたりやる気が出なかったりして先送りが頻発します。 **そういうものです** ので安心してください。 最後に、デイリータスクリストが全部終わるか、業務終了が近づいてきたら 3: です。今日はもうおしまいにして、明日の準備をして終わりましょう。 ## 使う道具 デジタルでもアナログでも構いません。 **リストは2枚ほしい** です。 1枚はデイリータスクリストで、 もう1枚は先送りしたタスクを記録するリストですね。 デイリータスクリストは日ごとに使い捨てにするのが良いでしょう。記録を取りたい場合は残しても構いません。 ## Q&A よくある疑問をQ&A形式でまとめます。 ### Q: 途中で項目を増やしたくなったら? Ans: 臨機応変にやります。戦略は3つあります。 今日のデイリータスクリストは4個だけだったのに、途中であれもこれも増えて……ということはよくあります。 こういうときの戦略は3通りあります。 * 1: 素直に増やす * 2: 増やさずにとりあえず先送りする * 3: 無視する 正解はありません。1: と 2: は無難ですが自分のタスクがどんどん増えていきます。優柔不断とも言います。3: は、自分は楽できますが、多くの場合、衝突や我慢や葛藤があります。 タスクごとにどうするかを決めても良いですが、それだと疲れてしまうので、 **日ごとに、あるいは午前・午後ごとに統一する** と良いでしょう。 たとえば「今日はマジで重要なこのタスク4個を終わらせたいから 3: で無視します」な日もあれば、「今日はゆとりがあるので何か来たり思いついたりしたら 1: で増やそう」なんて日もあるでしょう。 ### Q: タスクの粒度は? Ans: お好きにどうぞ。 **粒度** とは大きさや具体性を指します。 「noteを書く」は粒度が粗いです。 「noteでデイリータスクリスト記事を書く」は細かいです。 粗い方がお好みな人もいますし、細かい方がやりやすい人もいますい。同じ人でも状況によって異なるでしょう。 消化できる数の目安としては、仮に粗いタスクだけ扱った場合は、日に数個だと思います。逆に細かいタスクだけ扱った場合でも、日に十数個程度でしょう。実際にやってみるとわかりますが、 **人間ひとりのパフォーマンスなんてたかが知れています** 。ウンザリするほどに弱いのです。そういうものです。 粒度だとか、消化できる個数だとか、そういったことはあまり気にしない方が良いでしょう。日々ベストエフォートで良いのです。もちろん、締切など状況によっては許されないこともあるのですが、そうじゃない場合は、せめて自分を労りましょう。 ### Q: 先送りがどんどん増えて収拾がつきません Ans: 別の道具を使いましょう。 デイリータスクリストで扱えるタスクの数には限りがあります。 上述したとおり、消化ペースは一日あたりせいぜい数個~十数個程度ですし、実際はそんな上手くいかないのでもっと少ないです。一方で、先送りの数はそれ以上に及ぶのが普通です。 **収拾がつかなくなるのは普通です** 。 なので別の道具が要ります。 たとえば、 * 他にもリストを複数個つくって用途別・意味別で仕分ける * リストのみならずワークフロー(いつ何をどこに入れるか・どこから出すか)も考える * たとえば「GTD」は、ここまで踏み込んで体系化されたものです。 * 未来日に配置する * 今日が 2024/09/21 だとしたら、今日以外にも 2024/09/22 のリストや 2024/09/23 のリストを事前につくっておいて、そっちに配置しておく * 明日になったら 2024/09/22 が今日になるので、2024/09/22 に書いていたタスクを認識できます * ノートツールを使って日々アイデアやネタを書き溜める etc デイリータスクリストはあくまでも今日やるタスクを可視化していじくるだけです。 ### Q: 忙しくて使う暇なんてないです Ans: 木こりのジレンマかもしれません。 よほど特殊か過酷でもなければ、ある程度は使える暇はあるはずです。1日10分でもいいので、まずは捻出してください。 木こりのジレンマという言葉もあります。ぼろい斧を使っているのに、 「私は木こりで忙しいのです!」 「斧を替える時間なんてありません」 などと言っている状況を指します。 タイトな締切でもなければ、斧を替えた方が上手くいくでしょう。多忙だと、そんなこともわからないくらい視野狭窄になります。 ### Q: 先送りするかどうかはどうやって判断するのですか? Ans: 意思決定するだけです。 何を選び、何を捨てるかは **あなたが決めることです** 。正解なんてありません。 経営者や管理者は意思決定が仕事といいますが、実はデイリータスクリストでもそうです。 自分のタスクを自分で管理するとは、自分がいつ何のタスクをするか――もっと言えば **何を一時的・あるいは永続的に捨てるかを、自分で決めるということです** 。意思決定に他なりません。 そういうわけで、実は意思決定ができない人や苦手な人は、そもそも務まりません。 デイリータスクリストはタスク管理の中でも最も基本的でかんたんな部類です。なのに意外と知られておらず、定着もしていないのは、そもそも意思決定が難しいからですね。 性格的な向き不向きもありますし、そもそも私たちの大部分は管理される側であって、同調圧力もあって、で自分で意思決定する行動特性が無い――といった文化的な事情もあります。 なので、仮にできなかったとしても責める必要はありません。 **意思決定という営みに向いてなかった** だけです。 しかしながら、状況が変われば、いけることがあります。たとえば仕事ではなくプライベートの活動でのみデイリータスクリストを使ってみるのはアリです。 ### Q: 迷いや怠けが生じてしまいます デイリータスクリストは融通が利く分、ついつい怠けてしまったり、無駄に迷ったりしてしまいます。先送りが増える点もすでに取り上げました。 これを解消する一つの手が、制約を強くすることです。 『仕事術2.0』ではスイッチング・デイリータスクリストを開発しましたので、よろしければご活用ください。 ### Q: 今日中に全部終わらせる(リスト内を空にする)必要はあるの? Ans: あります。 空にしたことをもって「今日はもうおしまい」と判断します。空にしたということは、ちゃんと終わらせたか、先送りするかなどして「今日はもう終わった」という意思決定をちゃんとしたということです。ゆえにこそスッキリします。 空にしたという区切りがないと、おそらくスッキリできなくてリラックスできないでしょう。ぜひとも心がけてほしいです。 これは概念的にはインボックス・ゼロと呼びます。 # Title: タスク管理の適性を知りたいなら「デイリータスクリスト」を見よう [デイリータスクリスト](https://note.com/workhack20/n/n2e0cd93468a2)は、タスク管理の本質を備えていながらも、理解と運用がかんたんな手法です。 これを理解できるか・運用できるかどうかで、タスク管理の適性がわかります。 ## あなたはどのレベル? レベルは3段階あります。 あなたはどこに位置しますか? * lv1 * 理解できる * lv2 * 実践できる * lv3 * 改善できる 以下から各レベルの詳しい解説をします。 ## Lv1 理解できる デイリータスクリストを理解できるという場合、Lv1です。 たとえば以下記事を見て、理解できるでしょうか。 理解できる場合、タスク管理の適性があります。 理解できない場合、おそらく適性がありません。 理解できない理由は様々ですが、努力不足や能力不足というよりは、合う・合わないが大きいです。例を挙げます。 * 単に必要性を感じない * 頭の中で扱う、人に頼ればできる等 * リストや時系列の概念がどうしてもわからない * タスクを言語化して並べる、という営みがよくわからない * タスクは人から人に指示するものではないのか? * 必要なことはやるしかないのだから管理も何もないのではないか? etc いずれにせよ、かんたんなデイリータスクリストでつまづいているわけですから、この先も厳しいと思われます。タスク管理は諦めた方が良いでしょう。 割り切って誰かに任せてしまうのが定石です。 あるいは、タスク管理を意識せず、使うだけで利便性が担保されるような出来の良い道具を使いましょう。デジタルである必要はありません。むしろアナログの方が、良い感じに親しみやすく扱いやすくで使いやすい可能性もあります。たとえば手帳類は、デジタルにもビジネスにも馴染みがない、しかし家事育児で多忙な主婦層に人気です。 ## Lv2 実践できる デイリータスクリストを理解でき、かつ実践もできる場合、Lv2です。 Lv2 の人は、タスク管理の素養があると考えて良いでしょう。 実践できない場合は、何らかの素養が足りない可能性が高いです。例を挙げます。 * 意思の弱さ * リストに書いたとおりに行動できる意思の強さがあるのなら、そもそも苦労はしない * 物足りなさ * テキストを並べただけのリストなんて単調・退屈すぎて耐えられない * 読み書きへの不適性 * 書くのが苦手、もしくは嫌い * 自分が書いたものを読み返すのが苦手、もしくは嫌い etc ## Lv3 改善できる デイリータスクリストを実践でき、かつ必要に応じたカスタマイズや応用、場合によっては創造もできるという場合、Lv3です。 Lv3 の人は、タスク管理の才能があると言ってもいいでしょう。 できない場合、そこまでの才能は無い、ということになるでしょう。それが普通ですので心配は要りません。 このような人達は自分で改善に勤しむよりも、既存の知識をインプットしたり道具を試したりして手札を増やすのが良いと思います。そうして自分に合ったものを取り入れていくことで改善が手に入ります。 # Title: 屁をこきなさい 自宅では問題ないのに、外出先だとお腹の調子が悪い……。 もしかするとガスが溜まっているのかもしれません。 無自覚な人も多いかもしれませんが、 **普段自宅でくつろぐ私たちは結構おならをしています。屁をこいているのです。** これがガスを出すことに繋がり、お腹の調子を整える(というより悪化させない)ことに寄与しています。 ということは、外出先でも同じことができれば――つまり **外出先でも屁をこければ** 、お腹の調子が整う可能性があります。 笑い事ではなく、真面目な話です。屁を笑う者は腹痛に苦しみます。 ## 外出先でも屁をこくためのテクニック 色々あると思いますが、いくつかを紹介します。 ### すかしっぺ 無音で出したらバレません。 臭いはバレるかもしれませんが、放出元がバレなければ問題ありません。 ※個人の倫理観にもよります。 強い倫理観をお持ちの方に、補足をします。 外出先で嫌な臭いに遭遇したことはあるでしょうか。かなりあると思います。それは必ずしも汚物的な臭いだけではないはずです。 つまり「嫌な臭い」はそれなりにあります。ならば、自身の健康のために、たまに(まれに)、ちょっと屁をこくくらいは良いのではないでしょうか。 ――と考えたら、いかがでしょうか。少しは軽減すると思います。 ### 汚れてもいいという意識を改めて持つ ナプキン等を使用する女性は問題ないですが、そうではない男性は意外と下着の汚れに敏感です。我慢は美徳、とのマッチョイズムもあるため、屁も我慢しがちです。これは良くないことです。 こきましょう。 下着が少しくらい汚れても良いではないですか。うんちが漏れない限り、大して汚れはしませんし、臭いもつきません。 そもそも自宅ではこいているはずです。 ### 人がいない場所でこく 日頃から人がいない場所を調べておき、こまめに行って屁をこくのが良いです。 オフィスの場合、非常階段は使えます。トイレに行くよりも早かったり、人が少なくてこきやすかったりします。 あるいは少し遠回りして、人がいない地点を経由して、そこでさっさとこくこともできます。これを **ダイナミックファート(Dynamic Fart)** と呼び、非常に重要なテクニックです。 正直な話、ダイナミックファートをどれだけ差し込めるか次第と言っても過言ではありません。 ### 食生活の固定と影響範囲の把握 高度なテクニックになります。 ストイックな生活習慣を続けている状態で、さらに食生活も固定したとします。こうなると腸環境も比較的固定され、屁の影響もゆらぎが減ります。 ※実際はストレスなど色々あるため、そう単純ではありません。 この状態で、自分の屁がどこまで臭うか、どれくらいの音でこけるかを調べましょう。自分ひとりでは厳しいので、親しい人に協力してもらってください。 要は自分の屁の仕様( **ファートスペック, Fart Spec** )を知るということです。 ファートスペックがわかったら、この仕様を前提とした立ち回りができます。たとえば集合的な状況であっても、「この距離なら届かないから大丈夫」と安心して屁をこく(おそらくすかしっぺになるでしょう)ことができます。 ## おわりに 外出先で屁をこくためのテクニックをいくつか紹介しました。 他にも多数あると思います。自分なりに開拓して、快適な調子を取り戻しましょう。 # Title: 今週の記事 2024/09/15 今週は 27 記事書きました。 本サイト開始から 1 週が経ちました。 [2024/09/22 次→](https://note.com/workhack20/n/n14fc58f5a1af) ## コミュニケーション ## IT・DX ## スラック(余裕・余白) ## タスク管理 ## ワークライフバランス ## 情報共有 ## 発想 ## エンゲージメント ## ライフハック ## (運用に関する記事) ## (参加した企画) ## (noteへの要望) # Title: 捨てたいなら宗教観を断ち切れ ミニマリズム、断捨離、片付けの魔法 etc **大胆に捨てる** ことを説く仕事術はいくつかありますし、この視点はビジネス書や金言でもよく登場します。その割には、あまり行動に移されません。 その根本では **宗教観が足を引っ張っている** ことが多いです。これをいかにして断ち切れるかが、捨てられるかどうかの分かれ目となります。 ## 宗教観とは? 日本人に色濃く染み付いている、以下のような宗教観を指します。 * 八百万の神 * 付喪神 * 輪廻転生 これは、具体的には以下のような形で現れます。 * 食べ物を粗末にするな * 「ご飯粒は一粒残さず食え」「食べ物で遊ぶな」はよく知られています * ボトルを買い替えるのではなく、詰め替えを買って補充する * ボトルを再利用しています また最近では新iPadのPVにも批判が殺到しましたが、 これに否定的になってしまうのも、物を粗末にすることを忌避する宗教観があるからです。 ※主因の一つ(だという考察)です。 ## 宗教観を断ち切るとは? 何も宗教観を捨てよ、宗教観を乗り換えよ、と言っているわけではありません。 大部分の人はそこまで強くはありませんし、無宗教で居るためには確かな才能が必要です(障害と呼ばれることもあります)。無宗教といわれる日本人ですら、捨てることすらできないのです。 これは何もおかしなことではなくて、そもそも人は信仰無しで生きられるほど強くはありません。歴史を見れば明らかなことです。 なので **一時的に断ち切ります** 。 宗教観を持っていても構いませんが、捨てたいときには一時的に取り下げるようにします。そのような行動特性(メンタルモデル)を手に入れれば良いのです。 ## 「捨てるモード」を手に入れる 捨てるためのモードを **捨てるモード** と呼びましょう。 『捨てるモード』でいる間は、上述した宗教観は発生しません。なので遠慮なく捨てることができます。 『捨てるモード』を扱えるようにするためには、以下が必要です。 * 1: 『捨てるモード』がどんな感じなのかを体感する * 2: 『捨てるモード』への切り替えができるようにする このうち、2: の切り替えについては本記事では扱いません。 あまりに個人差が大きすぎるからです。 本記事では 1: の体感の部分を扱います。 体感すれば、感覚として知ることができます。 知ることができれば、あとは切り替え方や組み込み方の問題ですから、各個人で試行錯誤すれば済みます。 それをするための、スタートラインである「体感する」がそもそもハードルなので、ここを解説します。 ## 「捨てるモード」を体感するには 体感するためには、実はシンプルです。 単に **行動を重ねる** だけです。 たとえば、以下のようなことをします。 * 何も考えずに、棚のここからここまでを捨てる * シャンプーは詰替え用を買うのではなく、ボトルを買う * シャンプーのボトルを、使い切る前に捨てる * 繰り返し利用可能なマスクを、使い切りとして一度使って捨てる * あるいは2~3回でも構いません * 飲食店で、無理やり全部食べずに、あえて残す * まだ味が残っているガムを捨てる etc **宗教観を持っていると忌避してしまいそうな行動を、あえてやる** のです。こればっかりは正直、実際にやってみないと体感できません。 やってみると「なんだこんなものか」と拍子抜けします。 たまに「いやいやこんなの耐えられない無理無理無理マジありえないこんなの人間じゃないでしょ」などと精神的にどうしても耐えられない人もいますが、信仰心は人それぞれです、別におかしなことではないので、そういう人は断念してください。 ## 体感を後押しするテクニック いくつか紹介します。 ### ひとりでやる 誰にも見られずひとりきりで挑むと良いでしょう。 たとえ家族や友人や赤の他人であっても、人目があると身構えてしまいます。 また、誰かに相談するのもやめましょう。 相談先が「宗教観の強い人」だと、あなたが非難されてしまいます。 ### 無作法な友人と一緒に過ごす 宗教観的に忌避感を感じる友人がいる場合、その人と過ごしてみましょう。 たとえばご飯粒を平気で残す人や、ミニマリストを自認している人などです。このような人と一緒に過ごせば、嫌でも「捨てることがどういうことなのか」を目にできます。 ### お金や時間で考えてみる お金や時間といった単位で捉えてみると、「まるごと捨てた方が時間は浮くよなぁ」とか「別に大した損害ではないな」とわかります。 合理的な人は、このような思考だけでも後押しになると思います。 ### 捨てることを説く本を読む、動画を見る ミニマリズムに関する本、断捨離に関する本、[片付けの魔法](https://www.amazon.co.jp//dp/4763131206)など、その手の本を読んでみるのも良いでしょう。 これらの本は多彩な理論や事例や言葉などで、読者の心を揺さぶります。 また YouTube でも、捨てることを生業とする配信者が何人もいますので、視聴してみると良いでしょう。本よりも身近に感じられるかもしれません。 ## おわりに 捨てることを阻む盲点は、実は宗教観です。 一時的にでも捨てられるようになると、捨てるという選択肢が人生に追加されて見違えてくると思います。 本当に捨てたい人は、ぜひ挑んでみてください。 # Title: スイッチング・デイリータスクリスト [デイリータスクリスト](https://note.com/workhack20/n/n2e0cd93468a2)は融通が利きすぎるため、迷いと怠けが生じやすいです。 これを防ぐための、新しい手法が **スイッチング・デイリータスクリスト** です。 ## スイッチング・デイリータスクリスト 複数のデイリータスクリストを用意して、交互に回す手法です。 ![](/assets/n2a36042a1c5e_1726968699-eZVRAlQHEC20d463JLiYoFfz.png)交互に触ります ルールは以下の二つです: * 一度の一つのリストしか見えません * 項目(タスク)を一つ消化すると、次のリストに移ります 一つ消化するたびにタスクリストが切り替わるため、スイッチングとの名前がついています。 ## 何が嬉しいか? **迷いと怠けを軽減できる** ことです。 デイリータスクリスト単体では、自由度が高すぎるために先送りが頻発します。たとえば仕事と、家事と、こまめな休憩の 3 つをまんべんなくこなすことはできないでしょう。 無いよりははるかにマシですが、あるからといって、あらゆるタスクを消化できるものでもありません。 もう少し消化の確度を上げたいのなら、もう少し制約を強くする必要があります。しかし、せっかく融通の利きやすいやり方を使っているわけですから、あまり強い制約は好みません。 スイッチング・デイリータスクリストは、ちょうど良いバランスで、ちょうどいい制約を提供します。 以降からはスイッチング・デイリータスクリストを実現し、運用していくための詳細を見ていきます。 ## 原則 押さえておきたい事柄を、原則としてまとめます。 ### 2枚である必要はない 冒頭の説明では「交互に」と、2枚であるかのように書きましたが、3枚以上でも問題ありません。 ただし切り替える順番は固定です。端に到達したらループします。 ![](/assets/n2a36042a1c5e_1726969295-pBqWxuL6fXabPjHhKVG82Okr.png)切り替えは一定方向、かつループする。 ### リストはクローズドであること スイッチング・デイリータスクリストでは以下のような流れで回していきます。 * リスト1から一項目選ぶ * 消化する * リスト2に切り替えて、一項目選ぶ * 消化する * …… すでに洗い出された項目から選んで消化する、ということです。 別の言い方をすると、 **各リストは事前に洗い出しておく必要があります** 。 たとえば一日の最初に洗い出しておき、日中は一つずつ消化していくのです。途中で項目を追加してはいけません。 ※やり方はあります。後述します。 リストには項目の追加や削除を許す「オープン」と、許さない「クローズド」があります。 **スイッチング・デイリータスクリストは後者のクローズドで運用します** 。 ### 切り替えをサボらない スイッチング・デイリータスクリストの肝は一項目消化するごとに切り替えることです。この切り替えをサボってはいけません。 可能ならツールの力で、自動で行いたいですが、現状そのようなツールはありません。 切り替えをサボらず行うための仕組みは妥協しないでください。 たとえばアナログで運用する場合、各リストは同じサイズの紙やカードで作って、一 **番上の分だけ見えるように重ねて置けば良い** でしょう。一番上しか見えないので、切り替える意識も働きます。 各リストを横並びして俯瞰したくなるかもしれませんが、やめましょう。スイッチング・デイリータスクリストは、常に1枚のリストとだけ向き合います。この制約の強さが肝です。複数のリストを同時に俯瞰してはいけません。 この強い制約があるからこそ、切り替えという営みが機能します。 ## 運用例 実例がないとわかりづらいので、いくつか挙げます。 ### 2枚の場合 「仕事」と「家事」 * リモートワークのときに重宝します たとえばこんなイメージですね。 ![](/assets/n2a36042a1c5e_1726970124-xyrnebUDPf0RBQ4N5EVAvXG2.png)仕事を一つ消化 → 家事を一つ消化 → 仕事を一つ消化 → ……、と回していく。 「仕事」と「家事・休憩」 * 上記と似ていますが、リスト2は家事だけでなく休憩も入っています * つまりリスト2では家事か休憩のどちらかを行う形となります 「デスクワーク」と「気分転換」 * デスクワークを続けると身体へのダメージが溜まります * これを軽減するために、デスクワークリストと気分転換リストを交互に切り替えて、こまめに気分転換させます ### 3枚の場合 「仕事1」と「仕事2」と「家事」 * 副業など複数の仕事を持つ場合、このやり方で交互に回せるでしょう * 人によっては仕事1 → 家事 → 仕事2のようにクッションを置いた方がやりやすいかもしれません 「退屈な仕事」と「面白い仕事」と「休憩や家事」 * **リストの分け方は自由** であり、たとえば面白さで分けることもできます * この場合、ご褒美 → 苦行 → その他という感じのリズムになっていますね ### 4枚の場合 「コミュニケーションツール確認」と「仕事」と「情報とメモの整理」と「仕事」 * やや煩雑ですが、見ていきましょう * まず「仕事」を二箇所に差し込んでいます * このとおり **同じリストを複数回使っても問題ありません** * また、チャットなのかメールなのかわかりませんが、コミュニケーツール確認をリストとしてつくっていますね * さらに、明示的に整理も設けています * つまりこの運用は確認 → 仕事 → 整理 → 仕事 → ……というサイクルになっています * 仕事をメインとしつつも、明示的に確認と整理も差し込んでいるわけですね ちなみに、コミュニケーションツール確認のリストは、こんなイメージです。一つずつ消化していき、全部消化したら今日はもうおしまい(それ以上は確認しない)ことになります。 ![](/assets/n2a36042a1c5e_1726970474-elRzPJtfFpxNEIuk9w3jnha4.png)この人はたぶんTeamsがメインなのでしょう、またメアド1も重視してそうです。 ## 1日の流れ スイッチング・デイリータスクリストを運用した場合の、1日の流れも見てみましょう。 ※デイリータスクリストとほとんど同じです。 * 1: セットアップ * 今日採用するリストを選びます * 後述します(デッキの概念) * 各リストの項目を洗い出します * 2: 回す * リストと向き合い、一項目消化したら次に切り替えます * 3: クロージング * 全リストを終えるか、今日はもう終わりたい場合はそこでおしまいにします * 軽くでもいいので振り返りと(各リストの)微修正をします ## 拡張性 高度なトピックスになります。 スイッチング・デイリータスクリストはモジュラー的です。リストという単位を部品として、どう使うかを組み合わせていくことができます。 具体的には以下の概念があります。 これらを使うことで、お好みの運用を構築することができます。 ### デッキと手札 **デッキ** は「自分が持つリストすべて」です。 **手札** とは「今日使うリスト」です。 手札はデッキから選びますが、これがスイッチング・デイリータスクリストとなりますので順番があります。 また、上述したように同じリストを複数枚使っても構いません。 ![](/assets/n2a36042a1c5e_1726971925-9k3o41xsyuQDBXgZtCSp62AK.png)手札とデッキ ### リストとユニット スイッチング・デイリータスクリストは、実は **ユニット** という単位で切り替えを行います。 ここまで説明したのは **1ユニットの中に1つのリストだけ入っているパターン** です。 ![](/assets/n2a36042a1c5e_1726972142-1CumL8wKbna4ypMoqsxQtVOB.png)ユニットには1リストしか入ってないので、必ずそれが使われる。 ですので、実は **1ユニットの中に複数のリストを入れて、どのリストを使うかを選ばせる** ことができます。 現状、スイッチング・デイリータスクリストを実現するツールがないので、私たち自身が選ぶしかないのですが、将来ツールが出来た場合は「ランダムで選ぶ」など、多彩な選び方が可能となるでしょう。 ![](/assets/n2a36042a1c5e_1726972248-YFmKBovle3Owh19EW6GPVinU.png)真ん中のユニットが、たとえばランダム選択だとします。 1/2の確率で、赤のリストを2回連続で行うことになるでしょう。 ## Q&A よくある疑問をQ&A形式でまとめます。 ### Q: 割り込みにはどう対処する? Ans: イレギュラーリストをつくるか、その場で処理します。 その場でさっさと処理した後に今のリストに戻ってくるか、それができないならイレギュラーリストに入れておきます。 **イレギュラーリスト** とは、割り込み内容のみを記入した **オープンな** リストです。 ![](/assets/n2a36042a1c5e_1726972461-l61juyvPVDz8iWrhHgeBwNmJ.png)イレギュラーリストを4番目に置いている例。 この場合、割り込みは4番目にリストに切り替わったときに一つ対処する形になります。 そもそもスイッチング・デイリータスクリストは割り込みにあまり強くないことに注意してください。 **割り込みが頻発するような状況では正直使えません。** ### Q: デジタルが良い?アナログが良い? Ans: どちらでも可能です。 所詮は「リストを一枚ずつ相手にする」「一項目潰したら次のリストに切り替える」というだけの代物なので、アナログでも十分運用できます。 ポイントは、すでに述べましたが、スイッチング・デイリータスクリストの制約をちゃんと守れるかどうかです。意外とアナログの方がやりやすかったりします。デジタルだと俯瞰性や操作性が高すぎたり、身体性が無かったりして制約が効きづらいのです。 ですが、スイッチング・デイリータスクリスト用のツールやアプリが出たらデジタルで、それこそスマホで運用できるようになるでしょう。 ### Q: 運用中、空になったリストはどう扱えばいい? Ans: **スキップしてください。** 物足りないからとか、バランスが悪いからといって無闇に増やしたがりますが、やめましょう。 仮に物足りなかったり、バランスが悪かったりするなら、それはセットアップ時の洗い出しが甘かったことになります。その日はそうだったと諦めて、明日以降また調整しましょう。 すでに述べたとおり、スイッチング・デイリータスクリストはクローズドなリストとして運用します。項目を後から増やしてはいけません。これを許すと容易に形骸化します。 # Title: 容姿も性別も本名も晒さなくて良くない? 「マスクド・アイデンティティ」 **アイデンティティ** という言葉を「容姿と性別と本名」として使わせてください。 アイデンティティを使うことは当たり前とされていますが、 **差別や偏見、執着などによるリスク** も知られています。対策としてハンドルネームやアバターはすでに使われていますし、性別を回答しないあり方もあれば、[一部の接客業では名札に仮名を使っています](https://www.asahi.com/articles/ASS643R17S64ULFA013M.html)。 アイデンティティを使うという当たり前を、疑うときが来ているのではないでしょうか。 ## マスクド・アイデンティティ **マスクド・アイデンティティ(Masked Identity)** とは、ダミーのアイデンティティを使うこと、あるいは使ったその人そのものを指します。 ## マスクド・アイデンティティのメリット * 差別、偏見、執着などに伴うリスクを減らせる * ルッキズムや男女格差を減らせる * 女性が性的に執着されるのを減らせる * 率直なコミュニケーションが捗る * マスクを被っているので対人的なリスクが少なくなる * 相手のこともわからないので、人を見て判断する必要がなくなる * 多様性を促進する * アイデンティティは「一人一役」を課す文化だった * マスクを使うことが定着すると「一人n役」が当たり前になる * 演技、キャラクター、ロールプレイといった概念もよりビジネスで使われるようになる * アイデンティティではコミュニケーションしづらい人にとっては光明だろう ## 会社で運用するには マスクド・アイデンティティを実際に会社で運用する際のポイントを、かんたんに述べます。 ### アイデンティティはセンシティブに保存する 可能ならアイデンティティを扱うこと自体をやめたいですが、難しいでしょう。 少なくとも本名については、労働基準法により労働者名簿をメンテナンスする必要性があることから必須になるはずです。 上手いバランスは、 **アイデンティティ情報を「センシティブな情報」として扱うこと** です。 センシティブな情報の例として人種や信条、病歴や犯罪歴、家柄や本籍などがあります。アイデンティティもこれらと同じ扱いにするのです。 なお、センシティブな情報には、会社に提出するものとしないものがありますが、前述のとおり、アイデンティティの、少なくとも本名については提出は避けられないでしょう。 ### 本人確認はアイデンティティ無しでも可能 本人であることの証明には、実はアイデンティティは無くても済ませられます。 技術的には **認証の話** です。 認証には以下3種類があります。 * 知識情報(パスワード) * 所持情報(携帯電話、カード、電子署名) * 生体認証(指紋、静脈) 要するに、これら認証手段があれば、アイデンティティを使わなくても本人確認はできます。 とはいえ、ハッキングされると危ないですし、従業員側のリテラシーが低いと、やはり漏らしたりしてしまうでしょう。 そういう意味で、アナログなアイデンティティベースの認証(直接顔と氏名と性別を確認する&書類にも残す)はリスクに強いわけですが、これではマスクド・アイデンティティの意味がありません。 そこで使えるのが **ハイブリッド戦略** です。 ハイブリッド戦略では、アイデンティティを扱う者を限定させます。センシティブな情報が人事部しか扱えないのと同じで、アイデンティティを扱う専用部門をつくります。これを **アイデンティティ・オフィス** と呼びます。 つまり会社の代表として、アイデンティティ・オフィスが、従業員の認証を行うのです。 このためだけに専用部門をつくるなど贅沢に聞こえますが、他にもやることは色々あります。マスク(後述します)の配布や整備、従業員への啓蒙やガバナンスなども必要です。部門化する価値はあります。 あるいは、信頼できる外部組織に任せるのもアリでしょう。将来的にはそういう事業も登場すると思います。あるいは読者のあなたが始めても良いでしょう。 ## マスク マスクド・アイデンティティにおいて重要となる概念がマスクです。 **マスク** とは、 **アイデンティティの代わりに被るダミーのアイデンティティ** を指します。 ### それぞれの対応 容姿については、デジタルではアバターです。 アナログでは変装で使う諸手段が使えます。たとえば仮面、白いマスク、覆面、濃いメイクなどです。現状はまだ決定的に使いやすい手段がないですが、マスクド・アイデンティティが広まり需要が高まれば、そのようなアイテムも出てくるでしょう。 性別については、非表示で済みます。 現状でもアンケートや会員登録などで回答を伏せることのできる例は珍しくありません。 本名についてはハンドルネームまたはIDが使えます。 ただし、言及のしやすさを考えると名前が良いでしょう。また手続き上、一意に区別したい場合があるので、社員番号のような統一的なIDも必要です。 ### マスクは一つである必要はない 使うマスクは一つであるとは限りません。 社内であっても、自分を知らせる必要がなければ、普段とは異なるマスクを使うことができます。たとえば社内イベントにて、参加者全員に使い捨てのマスクを被ってもらうこともできます。 ### リキッドアサイン マスクは事前につくっておいて選ばせてもよいでしょう。 リピーターを要さない接客の場合は、この方式が使えます。 仮にスタッフがAさん、Bさん、……と10人いるとして、マスクとしてアリス、ボブ、……などの名前が10個あるとします。 今日はAさんがアリスを使う、明日はAさんはボブを使う――といったことがあっても良いわけです。 これを **リキッドアサイン** と呼びます。マスクの付与が流動的なわけです。 リキッドアサインのメリットは、アイデンティティが変わることや変えてもいいことを、従業員各々が体感できることです。 ## おわりに 現代はまだまだアイデンティティに縛られています。 マスクド・アイデンティティを使っていくことで、この古いパラダイムを崩して、新しいパラダイムを導けるでしょう。 冒頭で述べた多様性の促進や、リキッドアサインのメリットとして述べたことなども、まさにそのためです。私たちのメンタルモデルを、 「アイデンティティは素のままで固定的」 から、 「マスクを使った流動的」 に切り替えることで、今後色々なあり方や道具が生まれてくるはずです。本記事がその礎となることを期待します。 # Title: ホワイトスペース本が取り上げている具体的なテクニック 書籍『[WHITE SPACE ホワイトスペース―仕事も人生もうまくいく空白時間術](https://www.amazon.co.jp/dp/B0B7NBF4ZD/)』で扱われている「具体的なテクニック」を整理します。 ## おさらい ホワイトスペースの基本をおさらいしておきます。 ### ホワイトスペースとは 何もしない時間のこと。 短くても長くてもいいです。5分でも1時間でも。 ### なぜホワイトスペース? 心の平穏と創造性を取り戻すため。 それらを食い潰している犯人が「忙しさ」であり、これを減らすためにホワイトスペースが必要だからです。 ### ホワイトスペースを得るには? 多忙な現代人では、勝手には発生しないので、意識的に捻出する必要があります。 そのために本書の様々な考え方とテクニックが使えます。これらを使って、少しずつでもこじあけるのです。 その際、自分が捻出するだけでも重宝しますが、結局組織に足を引っ張られるので、組織全体に捻出させる(周囲から少しずつ広めていく)動きもしていくことが推奨されています。たとえば同僚や上司におすすめしてみる、などですね。具体的なテクニックを教えた方が通じやすいと本書は説きます。 ## テクニック集 ### ウェッジ 合間に差し込む小休止。 ![](/assets/n3e58e567bc7b_1727038175-nAPTNJlUSDa4kZ5FyIbt0mp9.png)ウェッジの例 長いウェッジの例は、「寝かせる」や「祝う」です。 下書きやアイデアを一日寝かせるとアラが出てくる、というのは良く知られています。また、プロジェクトが終わった後、すぐに次の仕事に取り掛かるのはあるあるですが、素直に祝いましょう。 特に人間は誕生日を始め、節目を大事にする生き物ですが、 **節目を尊重する** ことを意識すれば、これら長いウェッジは自然と取り入れられると思います。 そこそこなウェッジの例は、たとえば会議と会議の間に5分~10分を差し込むことです。 これくらいの時間があれば、ちょっと休んで頭をリフレッシュできたり、前の会議の内容を振り返って咀嚼したり、あるいは次の会議で言うことを整理したりできます。 休む間もなく、次の会議次の会議と参加して、疲れた頭で反射的に答えるよりもはるかに良いでしょう。仕事としても、自身のメンタルとしても。 このウェッジを確保するためには、 **前後の予定の時間を少し短くします** 。仮に会議1→会議2→会議3と連続する場合、 * 60分 → 60分 → 60分 はあるあるですが、少し縮めて45分にします。 * 45分 → (15分のウェッジ) → 45分 → (15分のウェッジ) → 45分 15分縮めてるので、15分のウェッジが生まれるわけです。当然ながら、これを行うためには会議の関係者全員にホワイトスペースの概念を知ってもらう必要があります or あなたがリーダーやマネージャーであれば、サクッと導入してしまうことも可能でしょうが。 短いウェッジの例は、「一呼吸置く」ことです。秒数にすると数秒から10秒くらい。 たとえば投稿ボタンを押す前、誰かにその場で言い返す前、あるいは休暇中に仕事のチャットやメールを開こうとする前など。反射的に飛びつくのではなく、 **グッと堪えて一瞬でも踏みとどまる** ことによって冷静になれます。 そんな高尚な精神は持っていない、という話ではなく、単に数秒程度空けるだけです。 **空けさせすれば、勝手に冷静になります** 。 ### みんなでホワイトスペースタイム 本書では「考えにふける時間」が紹介されていました。 これは毎日8:00~9:00を、ひとりで考えにふける時間に充てるというものです。学校でも朝の読書時間があったと思いますが、あのイメージで、全員に強制させるレベルで導入します。 これは一例で、時間帯の名前、開始時間と終了時間、開催頻度などは自由に設計すればいいでしょう。 本書には書いてませんが、起床して間もない方が頭がリフレッシュしているので朝、あるいはフレックスな職場であるなら全員が集まるコアタイムの最初が良いと思います。 このような「何とかタイム」は、昔からちらほら見られます。[トリンプのがんばるタイム](https://techblog.lclco.com/entry/2018/05/27/090000)は有名ではないでしょうか。ホワイトスペースタイムは、ホワイトスペース的な何とかタイム、ということができます。 がんばるタイムはとうにやめているようです。その理由はおそらく、融通を利かせなかったからでしょう。「毎日8:00~9:00にやるんだ!」と決めたら、何が何でもそれを押し通そうとするのはあるあるですが、違います。 必要に応じて修正したり、どうしてもできない人を例外的に認めたりしてもいいのです。ホワイトスペースタイムに限ったことではないですが、 **融通を利かせるための微調整を怠らないでください** 。何事にもメンテナンスは必要です。ここを怠ると形骸化するのは当たり前です。 ### ここを好きなように変えてごらん 細かい管理や指示を行わず、全部丸投げして任せてしまう、というものです。 前提として、丸投げされた側に十分なリソースがないといけません。たとえば、しばらくの間、100%でこの仕事に集中できる、などです。 ホワイトスペースというと、忙しさの合間に空白を確保するニュアンスが強いですが、実は「自分が自由に使える時間」をどかっと確保して渡すことも含まれます。 なぜかというと、こうすれば本人は自分で自由にホワイトスペースを取れるからです。 8時間しっかり働くことが重要なのではありません。成果が出るなら、別に休憩が4時間くらい差し込まれていても問題ないわけです。ただ、建前上は「4時間くらい休憩してもいいよ」というわけにもいかないので、自由な時間をたくさん与えて「あとはそっちで上手くやれ」とするのです。 特に日本は真面目で融通が利かない人が多かったり、管理する側がやたら監視したがる(つまり幼い)ので、こういう発想がしづらいです。本書でも軽く流されている程度ですが、重要だと思います。 ### 準備時間をホワイトスペースにする ERの看護師は、その辺のビジネスパーソンよりもはるかに忙しい仕事ですが、それでもホワイトスペースは確保できます。 手洗いです。手洗いを念入りにすることで、つかの間のウェッジを確保できます。 一般化すると、 **仕事における準備期間をウェッジにする** と言えます。もしいたずらに居座って粘ることで良心が痛むというのなら、念入りに準備をしているのだ、と考えましょう。 ### 巡回を導入する また看護師の例ですが、患者に対して「毎日~時に巡回しますね」と決まった時間に来る旨を伝えると、ナースコールの乱用を軽減できるそうです。 つまり、巡回予定が組まれたことで、患者側もそこでやればいいとわかるので乱用が減ります。 一般化すると、 **巡回を導入する** と言えるでしょう。言葉にすると大げさですが、すでに定例会議はよく知られています。アットランダムで来られてもうっとうしいので、ここでやる!とタイミングを決めてしまうわけですね。 ランダムにくるというのは、いわば割り込みのようなものです。いつ来るかわからないし、ともすると伸びがちなので、ホワイトスペースは乱されるばかりです。なので、そういうのを廃して、巡回を導入してそこに集めましょうというわけですね。 ### イエローリスト 人に対して「後で言えばいいこと」を書いておくリストです。 人ごとにつくります。6人にいるなら6リストです。ファイルは分けてもいいですし、1ファイルに6人分のリストを並べてもいいでしょ。やり方は問いませんが、とにかく人ごとにつくります。 ※イエローというのは、メールなどで使われるラベルの色です。黄色は警戒色で、赤色(緊急)ほどでないが注意はしておきたいニュアンスがあります。 イエローリストの肝は、その場ですぐ言ったり、気になるのでとりあえず言うかと思って言ったりするのではなくて、 **ぐっと堪えて手元で書いておくだけにしておく** ということです。 というのも、言いたいというのは「自分の都合」であることが多く、実際言ってしまうと問題が起きがちだからです。ぐっと堪えて、手元に書いて少し寝かせておけば、 「言わなくて正解だったな」 「今喋ってる内容、あの件じゃん(無理に聞き出さなくて済んだわ)」 などと勝手に解決することがあります。 わかりづらいので補足したいですが、そもそも現代人は皆それなりに忙しいです。でも言いたいことはたくさんあります。だからといって何でもかんでも言っていては収拾がつきません。イラッとしたりもするでしょう。 かといって何も言わずに、忘れてしまうのもよくありません。必要なことだと思うからこそ、言いたいわけですから。 そこで折衷案として「とりあえず書いておく」とするのです。それでしばらく寝かせてみて、やっぱり言うべきだと思ったなら言えばいいのです。しかし、たいていは杞憂や余計なお世話で済みます。 ### 「ここにいるべきではない」と唱える 本書ではSBH(Shouldn't Be Here)として紹介されていますが、会議中に「ここにいるべきではない」と唱えることです。声に出すのではなく、心の中でつぶやきます。 その目的は、要らない会議を減らすこと、特に **自分にとって不要な会議に参加することを減らす** ことです。 会議はホワイトスペースを奪う主因なので、減らしたいわけですが、ともするととりあえず参加しがちです。なので、意識的に「ここにいるべきではない」と唱えることで、その気にさせます。 もちろん唱えただけでは何も起きないので、唱えたことで「うん、やっぱり私はいるべきではないな」と確信が持てたら、実際に提案しましょう。 ## おわりに ホワイトスペース本は、何もしない余白時間の重要性を説く本です。 当たり前に聞こえるかもしれませんが、実際できていない人が多いわけです。だからこそ、具体的なテクニックを使って、少しずつでも試すことで捻出していくことが有効だと思います。 # Title: いつでも誰でも誰とでも何度でも 「フリーな1on1」 **1on1ミーティング** は有名な取り組みとなりましたが、形骸化や失敗もしやすいです。 上手くやるための手法として **フリーな1on1** を紹介します。 ## おさらい 1on1について軽く振り返っておきます。 ### 1on1とは 1on1(1on1ミーティング)とは、1対1で30分~60分くらい行うカジュアルなミーティングです。 シリコンバレー発祥で、国内では当時Yahoo!の取り組みから広まったと思います。 話す内容は主に「雑談派」と「キャリア派」に分かれます。 雑談派は、心理的安全性やエンゲージメントの向上を狙います。 キャリア派は、従業員各々の主体的なキャリア形成を促します。 1on1をどのように行っているかは、組織によって違います。 1on1を見れば、その組織の文化がわかると思います。 ### 1on1の限界 次のとおりです。 * 頻度と時間が固定されており、融通が利かないこと * やらされ感があること * 特にトップダウンで落とされた場合 * 「上から言われたのでやります」 * むしろ時間をドブにしてて不満が強まるだけです * ※もちろんこれが機会となってポジティブな効果が出ることもあります * 話す相手を選べないこと * 話したい人と話せないのがもどかしい * 話したくない人とも話すのがつらい * 知らない人や思いがけない人と話す機会がないのが退屈 逆を言えば、限界を越えるためには、以下のようなあり方があれば良いことになります。 * 頻度や時間に融通が利く * 主体的に取り組める * 話す相手を選べる、探せる これらを取り入れたのが、後述する **フリーな1on1** です。 ## フリーな1on1 本題です。 **フリーな1on1** とは、従来の1on1の限界を突破した、より自由で融通の利く1on1のあり方を指します。 具体的には、以下を満たします。 * 1: 社員全員が対象となること * 社員全員が使うことができます * ※全社が厳しいならチーム内、部門内など適宜読み替えてください * 2: いつでも、誰でも、誰とでも、何回でも使えること * 3: 話題は完全に自由であること ## フリーな1on1を導入する 必要なのはシステム、啓蒙、マッチング方法の拡充の3点です。 ### システム 最もかんたんなのは、 **全社的にグループスケジューラーが導入されている状態** です。 OutlookやGoogleカレンダーはよく使われているでしょう。この状態だと、社員は誰でも、他の社員の予定を確認したり、勝手に予定をぶっこんだりできます。 この状態であれば、フリー1on1の導入はかんたんです。というより、すでに可能です。各自、やりたい人と勝手に予定を調整してミーティングをすればいいからです。どちらかと言えば、後述の啓蒙とマッチングが重要となります。 もう一つの手段が、 **専用のツールを使う** ことです。 たとえば Kakeai や TeamUp などがあります。 他にも1on1ツールは多数存在します。いずれにせよ **フリーな1on1は想定されていないため** そのままでは運用できません。運用には工夫が必要でしょう。導入する前に、運営元に相談してみるのが良いでしょう。 ### 啓蒙 地味に重要なのが、フリーな1on1のやり方と考え方を全社員に啓蒙する部分です。 特に **いつでも、誰でも、誰とでも、何回でも使えるという考え方は定着しづらい** ので、口酸っぱく言うくらいが良いと思います。 私たちサラリーマンは、大半が受身体質でルール至上です。フリーな1on1を一度理解しただけでは行動に繋げられません。トップ層から「やってもいいんだよ」と明示的に許可することで、ようやく動けるようになります。 ということは、 **トップ層が「フリーな1on1をしてもいいぞ」と腹をくくる必要がある** ということです。 次に **強要しないことも周知してください** 。 フリーな1on1の目的は、融通の利く1on1が行えるという余地をつくることです。これを使う、使わないのは社員側の自由です。 ※もちろん戦略的に全員にやらせるのはアリ しかし、戦略であっても、全員参加含む強要はしないことをおすすめします。強要は容易に管理に繋がります。そもそも管理的になるせいで冒頭の限界が生じていたはずです。 もう一つ、重要なのが用語を定義することです。 **共通言語をつくる** といってもいいでしょう。 「フリーな1on1」のことは何と呼べばいいでしょうか?そのままでもいいですが、愛着が湧く名前だと良いですよね。ただし、下手な名前だと寒いだけですので、自信がなければ「フリーな1on1」「フリー1on1」で良いでしょう。 **共通単位もつくると良いでしょう** 。たとえば「1on1」という言葉を「1対1で、30分厳守で行うカジュアルミーティング」と定義すれば、普段の会話でも使えます。 「じゃあ1on1やるか」と言ったら、それは「1対1で30分でやるか」に等しいです。30分だと保障されているので、やる側もやりやすいです。 私たちはビジネスパーソンであり、1on1とはいえ時間感が読めないのはいただけません。なので共通単位として定めてしまって、周知してしまった方が良いです。物足りないなら2回分、3回分確保すれば済みます。 ### マッチング方法の拡充 フリーな1on1そのものは「各自好き勝手に1on1してもいいよ」を述べているだけですが、これだけだと実際使いこなせる社員は限られます。 1on1は、言ってしまえば二者間マッチングです。なので1on1を盛り上げたければ、マッチングの方法を拡充すればいいと言えます。 方法は様々存在しますし、つくればよいですが、以下に例を挙げます。 * ランダム * **組織内(全社 or それが難しければチーム内や部門内など絞っても良い** )でランダムにマッチングさせる * アナログにあみだくじでもいいし、デジタルにツールをつくってやってもいい * 1on1タイム * 組織内で「この曜日のこの時間帯は1on1タイムにする!」と決める * あとはご自由にどうぞとしてもいいし、シャイな社員が多いなら組織側でファシリテーションしても良い * プロフィール * 1on1に関する希望を記したプロフィールをつくり、公開する場をつくる * 👉️ [1on1プロフィール](https://note.com/workhack20/n/n3c51332c3f12) * ここに掲載された人は「1on1してもいいですよ」を公言しているので、気に入った人がいたら申し込めばいい * **そういうことができる場をつくる** 、ということです * オフィスアワー * 主に1on1を申し込まれる側の人が対象 * 「この時間帯なら自由に受け付けます」というのを設定する * たとえばスケジュールに入れておいて、この時間帯なら誰でも勝手に予定突っ込んでいいよ、とする * Q&A 1on1 * Q&Aは通常、テキストで非同期的にやりとりをするが、これを1on1ミーティングにて行う * 質問側は「1on1受け付けます」と明示し、回答側が申し込む * テキストではなく対面でやりたい人は意外と多いので、Q&Aが弾む可能性がある * ただしフリーな1on1が啓蒙されている必要がある。知らない人とは話しづらいので * etc. ## Q&A よくある疑問をQ&A形式でまとめます。 ### Q: 仕事に支障が出るのでは? Ans: 出てから考えましょう。 やりもしない、できてもない段階であれこれリスクを恐れていては何もできませんし、できても管理的で窮屈で形骸化しやすいです。 まずはフリーな1on1をやりましょう。その上で、問題が出たのなら、それはそのとき考えれば済むことです。もちろん迂闊なチャレンジが許されないものもありますが、フリーな1on1は、所詮は内部のやりとりにすぎません。 ### Q: やりたい人だけやる、では組織のエンゲージメントは向上しないのでは? Ans: いきなり向上させるのは無理ですし、そもそも[1on1ではエンゲージメントは向上しない](https://note.com/workhack20/n/n0013a371c674)です。 啓蒙の項でも述べたとおり、全員参加は管理を生み、管理は限界と形骸化につながります。 **フリーな1on1はツール** であり、手段として存在すること、そして実際に使えることが重要です。 まずはやりたい人が使うだけで構いません。これで色々データや声が取れるので、それから次を考えましょう。 # Title: 観察者つき1on1 **観察者つき1on1** とは、1on1 + 観察者1人による3人体制の1on1を指します。 従来の1on1の欠点を一部解消できます。また、[1on1タイム](https://note.com/workhack20/n/n16e0d54f662f)において、奇数で人数があぶれた際の対処としても使えます。 ## 観察者つき1on1のメリット **建設的な対話がしやすい** ことです。 まず観察者はメモを取り、それを投影します。これにより1on1を行う二者は **メモを見ながら話すことになるので、話題に迷わずに済みます** 。 また、人次第ですが、目を見て面と向かって話す頻度を減らせるので、目を見て話す人が苦手でも1on1をしやすくなります。これを言うと一部の人は「対話は目を見て話すものだろう」と思いがちですが、 **目の合わせ方をコントロールしやすい** という意味です。投影されたメモは、言わば[言い訳オブジェクト](http://www.jaist.ac.jp/~knishi/papers/Irori.pdf)として機能するため、視線を逃しやすくなります。 さらに、このメモは後から読み返せるので、振り返りに使ったり、次に話すときの参考にしたりできます。 もう一つ、観察者という第三者が居ることによるメリットもあります。以下の3点です。 * 第三者がいるので、プライベートな話題に踏み込まれない * 第三者がいるので、冷静になれる(ヒートアップしない) * 第三者がいるので、テキトーにサボれない ## 観察者の要件 観察者には以下が要求されます。 * メモを取ること * 議事録というほどかしこまる必要はありません * カジュアルな[議事メモ](https://note.com/workhack20/n/nd54e3bec3407)を取るイメージです * 文章である必要もなく、ラフに箇条書きくらいで構いません * 黙ること * 観察者は喋ってはいけません つまり **メモを取る能力と、黙り続ける忍耐力の二つが必要** です。 いずれかが足りない場合、観察者つき1on1は成立しなくなります。実はどちらもそれなりに難しく、少なくとも誰にでもできることではありません。 メモを取る能力については、10人以下のチームに1~2人いたら良い方でしょう。エンジニア、ライター、クリエイターなど、書くことが得意なチームですと全員ができる可能性もあります。逆に、書くことに馴染みがないチームですと、おそらく誰もできないでしょう。 黙り続ける忍耐力については、能力というよりは慣れです。ここは思った以上に難しいので、マスクをつける、マイクを外すといったレベルで「物理的に喋りづらくする」のが良いでしょう。私たちは思っているよりも **少人数の中で、黙ってメモを取るだけというあり方に慣れていません** 。 ## 観察者が守るべきガイドライン 観察者つき1on1をスムーズに成立させるために、観察者が守るべきものです。 細かい運用は各自で調整して構いませんが、このレベルでしっかりと **割り切った役割に徹することが重要** だという点を意識してください。 ※以下は **オンラインで** 1on1を行う場合を想定します。オフラインの場合も、やはり各自調整してください。 ### 運用について * 観察者がホストになること * 議事メモは会議中は投影すること * 1on1の時間が満了したら、速やかに終了すること * 無言で強制的に終了しても構いません ### 1on1中の立ち回りについて * ミュートを保つこと * ビデオのオンオフは、1on1の二者に合わせること * 観察者自身もクローズドな環境で参加すること * 観察者つき1on1は二者+観察者の3人のみを想定します。 **これ以外の誰かが聞く余地をつくってはいけません** * たとえば他者に聞かれそうなオープンな場所で参加してはいけませんが、このあたりの方針は各チームで調整できます ### 発言について * こちらからは一切話しかけないこと * 話しかけられても応じないこと ### 議事メモについて * 箇条書きで、端的に列挙すること * 最悪キーワードだけでも構いません * 私見は交えず、1on1の二者から出てきた内容だけを列挙すること * 要約や言い換えをどの程度行うかは調整すること * いきなり塩梅を知ることはできないので、繰り返しながら把握していきます 議事メモ自体の解説はこちらでしています: ## 二つのモード ガイドラインでは観察者は一切喋らない、としましたが、最初はこれだと厳しいかもしれません。 一切喋らないモードは **サイレント** と呼びます。もう一つ、聞かれたら答えるモードである **リアクティブ** もあります。最初はリアクティブから始めると良いかもしれません。 しかしながら、観察者は一言も喋らない存在ですし、そもそも1on1の二者からは無視されるべき存在でもあります。このような割り切った役割をするためには、サイレントという強めの制約が必要です。 **なるべくサイレントモードで運用することを強く推奨します。** ## 議事メモの内容について 議事メモとして心がけるとよいことを挙げます。 * 1on1の二者は、書かれたくないことがあれば、観察者にその旨を言いましょう * 観察者は速やかに反映しましょう * 1on1の二者は、観察者が書いたメモに関する細かい指摘はやめましょう。よほど言いたいことでもなければスルーして、任せましょう。 **メモの細かさが気になるのは、1on1に集中できていないサインです** * 観察者は、自分だけが読めるプライベードな手段でメモを取りましょう。 * 観察者は、書いたメモは、1on1が終わった後に速やかに行いましょう。また共有はコピペして送るだけにして整形はやめましょう。整形の手間をかける必要はありません 上記は目安です。詳細はチームに応じて調整してください。 たとえば、 **議事メモはチーム全員が見えるところで書くのもアリですし、むしろ推奨します** 。そもそも観察者がいる時点で、二者間レベルの秘密性は無いに等しいので、だったらチーム内でも見えるように倒した方が建設的です。他の人が、どんなことを話しているのかを知ることは、皆にとって有益ですし、この透明性がチームの健全性を高めます。 # Title: 議事録と議事メモは違います **議事メモ** という手法があまり知られていないので、解説します。 一言で言えば、議事メモは **議事録よりもラフでインタラクティブなものです** 。 ## 議事録は「ちゃんと書く」「ちゃんと配る」 議事録は文書としてしっかりしたニュアンスがあります。 たとえば以下のような要素があります。 * 書紀という専用の役割がいる * ちゃんと形式に則って書く * 会議後、ちゃんと手直しをする * 手直しをした後、ちゃんと関係者に配布する ですが、このやり方は重たいです。すべての会議で常に書くわけにもいきませんし、少人数のカジュアルな打ち合わせで書くものでもないでしょう。 一方で、情報は残しておかないと情報格差が生まれます。時間というリソースの取り合いになり、会議と政治が多発します。古典的にはそうなるしかありませんでしたが、現代では技術も方法も整っており回避できます。 そうは言っても、議事録をバカ真面目に取るという重たい方法では融通が利きませんし負担も高いです。 ## 議事メモは「雑に書く」「会議中も見せる」 昔からITエンジニアの間では、議事録よりも軽いメモが取られていました。これが **議事メモ** です。 ポイントは二点で、 **ラフとインタラクティブ** です。 * ラフ * 雑に書くこと * インタラクティブ * 会議中に投影して、その場で書いていくこと ラフというと想像しづらいかもしれませんが、「箇条書きで」「列挙する」のがわかりやすいと思います。みなさんも普段ひとりでメモをする際は、ラフな書き方をしていると思いますが、そのレベルを採用します。参加者に通じればそれでいいのです。 必要なら情報をそいでも構いません。たとえば開催日時や開催場所は重要ではないので省くか、2024/09/23 のように日付だけ書く程度でも良いでしょう。査閲や承認といったものも要りません。 また、発言の内容こそが重要なので、発言者を省くこともあります。発言者をいちいち書くのは大変なので、このテクニックは意外と重宝します。ただし、誰が言ったかがわからないと不便なこともあるので、ここはバランスです。 インタラクティブについては、画面に投影して、皆に見てもらいながら書いていくことを意味します。ホワイトボードを見ながらワイワイするイメージです。 各自の頭の中だけで伝言ゲームをするのではなく、投影されたメモをベースにして打ち合わせをするのです。一見すると遅そうですが、重要なのは速さではありません。この方が、メモをベースに話し合っていけるので建設的になります。 ## 議事メモは内部向けの手法 ラフでインタラクティブな議事メモは、内部向けの会議で使える手法と言えるでしょう。 外部の顧客や関係者と会議する場合は、さすがにこうは行かないと思います。一方で、議事メモの方が軽くて融通が利きますから、可能なら外部であっても採用できると強いです。 ## 議事メモは誰が書いてもいいし、複数人で書いてもいい 議事メモには書紀係なる役割はありません。誰が書いてもいいですし、今書いている人とは別の人が書いてもいいです。もちろん役割を定めてもいいですし、通常「議事メモをよく担当する人」みたいな分担は自然と形成されます。 そして、議事メモは **一人で書く必要もありません** 。後述するように、共同編集が可能なので、複数人が書いてもいいです。 ※余談ですが、議事メモのスペースを事前につくっておいて関係者に周知&議題を書き込んでもらうようにすると、会議開催前に議論が終わってしまうこともあります。こういうやり方で会議を減らせると[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)を加速できます。 ## 専用のドキュメントツールまたはノートツールを使う 議事メモはその性質上、 **同時編集が可能で、ブラウザから利用できるツール** を使うことが好ましいです。 * [Microsoft Word Online](https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/free-office-online-for-the-web) * [Box Notes](https://www.box.com/ja-jp/notes) * [Googleドキュメント](https://workspace.google.com/intl/ja/products/docs/) * [Dropbox Paper](https://www.dropbox.com/ja/paper) * [Cosense(旧Scrapbox)](https://scrapbox.io/) これらのメリットは、ブラウザでアクセスするだけで誰でも読み書きができることです。この気軽さが議事メモには必要です。 PC上に配置したテキストファイルやワードファイルを投影し、これをあとで皆に送信する――みたいな原始的なやり方は、できるだけやめましょう。このやり方は不便ですし、議事メモを書く人の負担も高いです。続きません。 ## 参考: 議事メモでぐぐってみると、主に「会議メモ」として解説した記事がヒットしますが、ここまで難しく考える必要はありません。 ラフでインタラクティブにできれば、それで良いのです。 # Title: 「1on1タイム」 全員で1on1に集中する **1on1タイム** とは、組織内で1on1のみを行う時間帯を指します。 ※組織とはチームや部門など小さな単位を想定。30人以内。 たとえば毎週金曜日10:00~11:00を1on1タイムとすれば、この間は全員が手を止めて、誰かと1on1します。誰と何を喋るのか?など運用面は色々ありますので後述します。 ## 1on1タイムのメリット 以下のとおりです。 * コミュニケーションが活性化する * このやり方が合っている場合 * 従来の1on1では合わない組織は試す価値があります * 上司や部下以外の人と喋れる * [集中時間帯](https://note.com/workhack20/n/n84e38aea8538)の練習になる * 1on1タイムにも「何とかタイム」があります * この営みを扱うための練習や鍛錬になります 以降では運用方法を詳しく掘り下げていきます。 ## 実施時間をどうするか Ans: 30分を1単位にします。 ただし、2回以上行う場合は25分単位(5分は休憩など)にしてください。[ホワイトスペース本の記事でも書きましたが、余白は大事です](https://note.com/workhack20/n/n3e58e567bc7b)。 30分だと短く感じられることもありますが、物足りないくらいがちょうどいいと思います。少なくとも「長すぎて話すことが……」よりはマシです。 ## マッチングをどうやるか Ans: 色々ありますので使い分けてください。 たとえば以下のやり方があります。 * ローテーションを組んで順に回す * ランダムにマッチングさせる * デジタルでツールをつくってもいいですし * あみだくじや箱に入れたくじなど、アナログなやり方でもいいですね * 話題を定めて、早いもの勝ちで2人まで いずれにせよ、マッチングの部分で手間取っていたはもったいないので、 **システマチックに決まるようにする** と良いでしょう。 ## 話題をどうするか Ans: トピック、テーマ、フリーの3種類があります。 * トピック * 事前に話題をn個用意しておき、これらを使うようにします * 「よかったら使ってね」くらい軽くしてもいいですし、上述したように早い者勝ちにすることもできます * テーマ * 事前に一つだけお題(テーマ)を決めて、全員そのテーマについて話すようにします * フリー * 特に何も定めず、各自に任せます ## 実施方法(オンライン・オフライン等)をどうするか Ans: 全員を拘束できるなら方法は問いません。 リアルで集合する場合、ワールドカフェのように30分などで交代していくやり方がいいでしょう。 バーチャルオフィスでやる場合、マッチングした二者が固まって喋ればいいでしょう。 Zoomで行う場合は、ブレイクアウトルームで分かれるのがてっとり早いです。 いずれにせよ、まず **全員を拘束した上で、** どう分けるかを考えてください。でないと裏でサボる人がが頻発して成立しなくなります。 ## 奇数の場合、余った人はどうするか Ans: 観察者つき1on1か、ボーナスにします。 まず[1on1 with observer(観察者つき1on1)](https://note.com/workhack20/n/n567d3219ab06)を使えば、1つの1on1が3人になるので奇数を扱えます。 もう一つのやり方は、余った人を「ぼーっとしててもいいよ」にすることです。これを **ボーナス** と表現します。 [ホワイトスペース](https://note.com/workhack20/n/n3e58e567bc7b)という意味でのボーナスです。 ただし、作業をさせると次の1on1時にスムーズにマッチングできなかったりするので、1on1タイムの拘束は解かないでください。仕事させるというより、業務時間中にぼーっとできる時間ができる、といったニュアンスです。とはいえ、オンラインだと難しいと思います。 正直言えば、ボーナスは運用するのが難しいやり方です。しかしながら、これが意外とバカにならないインセンティブとなり、話すのが好きな人でもボーナスのために「今回は譲るよ」となったりします。「余った人」が文字通りボーナスになるので、毎回同じ人が残る・サボりたい人が確信犯的に残ろうとする、といったことを防ぎやすくなるのです。 # Title: 集中時間帯 **集中時間帯** とは、組織内の全員に同じ制約を課す時間帯を指します。 * ❌個人ワークに集中する * これを目的としたものもあります * ⭕全員に同じ過ごし方をしてもらう(全員の過ごし方を一つに集中させる) 以降では例を挙げていきます。 ## がんばるタイム 毎日あるいは毎週、どこかの1~2時間を「各個人が仕事に集中する時間」にします。電話や声掛けなどコミュニケーションはしてはいけません。 元はトリンプが始めた取り組みです。 ※現在はやめているようです。元ページも見れなくなっています。 全体の傾向: * ネット上では「集中タイム」と言及されることもあります * 時間帯は昼の前後、11時~14時を取ることが多いようです > > トリンプでは毎日12時30分~14時30分までの2時間、コピーや電話、立ち歩き、さらには部下への指示や上司への確認も禁止し、自分の仕事だけに集中する時間帯を設けました。 * 問題も多く、形骸化していったとのこと * そもそも普段から集中できる環境づくりをすればいいのでは、との帰結 * 内閣府の資料です * 『全社的な取組とする必要があり、現場の各部署では「がんばる タイム」時間帯の順守と取組の継続が必要となります』とまとめています * 個人ごとに「今から集中タイムに入ります」と宣言するやり方も紹介しています * が、これは本記事で述べる集中時間帯ではありません ## ホワイトスペースタイム 用語自体は筆者の造語ですが、概念自体はホワイトスペース本のものです。 同書では「考えにふける時間」が紹介されています。毎日8:00~9:00を、ひとりで考えにふける時間に充てるというものです。 ## 1on1タイム みんなで1on1を行う時間帯を指します。 従来の1on1だと上手くいかなかった組織におすすめです。 ## 秒報タイム みんなで秒報を行う時間帯を指します。 秒報は負担が高く、勤務時間中ずっと行うのはキツイので、時間帯を設けてそこでやるようにします。 ## コアタイムとフリータイム コアタイムは「連絡が取れる時間帯」を指します。 フリータイムは「連絡が取れなくてもいい時間帯」を指します。 ※当サイトにより定義し直したものです。 この二つを同時に使うことにより、コミュニケーションを密に取る時間帯と、取らなくてもいい時間帯(各自が集中できる時間帯)をバランス良く確保できます。 ## デサルトリータイム デサルトリー(Desultory)とは、課題がない状態でテキトーに動くことを指します。 課題ありきとは限らない現代では、重要となる考え方です。これを練習するのがデサルトリータイムです。 ## (更新履歴) * 2024/12/09 * デサルトリータイムを追加 * 2024/11/06 * コアタイムとフリータイムを追加 * 2024/10/14 * 秒報タイムを追加 * 2024/09/23 * 公開 # Title: 「1on1プロフィール」 自分の1on1スタンスを見せる **1on1プロフィール** とは、自分の「1on1に関するスタンス」をまとめたものです。また、社員に見てもらって、自分への1on1を申し込む際の参考にしてもらうことも想定します。 [フリーな1on1](https://note.com/workhack20/n/n1a9bbda31309)で導入すると便利です。 以降では1on1プロフィールの書き方や運用方法を見ていきます。 ## 前提 * 組織内でグループスケジューラーが導入されており、社員間で予定の閲覧・追加が可能であること * 1on1として[フリーな1on1](https://note.com/workhack20/n/n1a9bbda31309)を行うこと * 以降では **「フリーな1on1」のことを単に1on1と書きます** ## 1on1プロフィールで扱いたい項目 細かい部分は組織ごとに調整すれば良いですが、あると便利な項目をテンプレートとして記載します。 3x3で9項目です。 この程度であれば1ページや1スライドに端的にまとまります。 ### [全般] 1on1可否 可能 | 不可能 現在1on1を受け付けているかどうかを示します。 チャットにおけるステータスと同じで、都合が悪い場合は不可能に倒しておきます。 ### [全般] 議事メモのスタンス 書きます | 任せます | やめてください 1on1時に議事メモをどうするかを示します。 自分が書く場合は「書きます」、自分は書かないが相手が書くなら書いてもいい場合は「任せます」、書いてほしくない場合は「やめてください」を選びます。 ### [全般] 割り込み可否 予定があっても1on1を入れて構いません | 入れないでください すでに予定が入っている場合に、そこに1on1を入れても良いかどうかを示します。 ただし「入れて構いません」の場合でも、1on1のマッチングを確約するものではありません。つまり、入れられたので判断はするけど、その結果、やっぱりできませんということもありえます。 ### [時間] 可能な時間帯 hh:mm ~ hh:mm 1on1を入れていい時間帯を示します。 この時間帯の外に入れられた場合は無条件でスルーするとの含意があります。 また、この項目では「日ごとに可能な時間帯が違う場合」を想定していません。想定する場合は、さらに項目を追加するなど各自調整してください。 ### [時間] 1回の1on1にかける時間 15 | 30 単位は分です。 [1on1タイムの記事で書きました](https://note.com/workhack20/n/n16e0d54f662f)が、1on1の時間は30分単位が良いと思います。また、ちょっとした小話だけ行う余地も確保するために、15分の選択肢も入れています。これ以上長くやりたい場合は、複数回分予約してください。 この選択肢が気に入らない場合は、各自調整してください。 ### [時間] 延長可否 可能 | 不可能 1on1が盛り上がった場合など、予定時間を過ぎても続けるかどうかを示します。 「不可能」には、予定時間を過ぎたら即切断しても良いとの含意があります。 ### [話す] リード リードしたい | リードされたい | 問わない 会話の主導権(リード)を示します。 得意な人や苦手な人は、明示すると良いでしょう。 ### [話す] 話したいネタ(Want) キーワード, キーワード, キーワード, … 話したいネタを示します。 雑談として話したいことでも、知らない・わからないから相談したいことでも何でも構いません。 ### [話す] 話せるネタ(Can) キーワード, キーワード, キーワード, … 話せるネタを示します。 自分の得意分野や専門分野など、人に教えられる・相談に乗れるようなネタを示します。あるいは趣味として語りたいネタでも構いません。 ## 1on1プロフィールの実現 現状、専用のツールはありませんが、実現方法は2通りあります。 * 1: Wikiやノートツールを使う * 2: 1人1スライドでつくって、画像の形でページに並べる 1: のWiki・ノートツール案については、意外と使えるものが限られます。 まず従来の Wiki は高度なものであり、エンジニアなどITリテラシーの高い者でないと使えません。 次にノートツールはGoogleドキュメント、Dropbox Paper、Box Notes、One Noteなど多数存在しますが、どれも表示速度が遅く、1on1プロフィールの用途ではストレスが溜まります。 **軽いウェブサイトを閲覧しているときのような早さ** が欲しいです。これくらい軽くないと、ストレスで1on1プロフィールを眺める気にならないからです。 おすすめは[Cosense(旧Scrapbox)](https://scrapbox.io/)です。Cosenseは、ITリテラシーの高くない人でも比較的使いやすいWikiとなっています。1on1プロフィール用のワークスペースを一つつくり、フリーな1on1を行う者だけを自由参加制にして、かつ1人1ページでプロフィールを書けば良いです。ただし、使いやすいといってもクセは強いため、Cosenseに詳しい者がリードする必要はあります。 2: の1人1スライド案は、原始的な方法で、単に1人1スライドでプロフィールをつくり、これを何らかの形で一覧にするだけです。 パワポのファイルを置くだけではさすがに厳しいので、スライドを画像化して、各画像を配置する形が良いでしょう。社内ウェブサイトなどの形で画像を一覧表示するか、あるいは各自画像ビューアーで読み込ませるなど、方法がいくつかあります。 また、単に一覧表示するだけでは探しづらいので、カテゴリで分けるといった表示上の工夫も必要です。 上記でも述べましたが、 **1on1プロフィールは軽いウェブサイトを眺めているときのようにサクサクと眺められることが重要** です。この点は妥協せずに確保してください。必要ならITエンジニアなど、詳しい者の手を借りて整備してください。 専用ツールはないと書きましたが、本格的にやりたいなら何かしらつくりたいところです。1: にせよ、2: にせよ、手動の運用には限界があります。とはいえ、数百人程度なら手動でも十分可能です。 ## おわりに 1on1プロフィールは、あくまでも1on1のスタンスを見てもらうことのみを目的としています。 実際に1on1を実施する機能はありません。 ### ツールの登場が待たれる! とはいえ、1on1の実施や記録もシームレスに行えた方がはるかに便利ですから、そのようなツールがあると良いでしょう。 1on1ツールはすでに多数存在しますが、差別化になりえます。 # Title: 現場のスケジュールとマネージャーのスケジュールは違う マネージャーは **1時間以内の枠が並んでいて** 、どの枠で誰と喋るかという形で過ごします。一方、現場では **数時間以上のまとまった枠** があった方が融通が利きます。 ![](/assets/n227e0a2918cc_1727123861-r2JtnsIZe359BpKTObqLViSh.png)マネージャーのスケジュールと現場のスケジュール このとおり、「マネージャーのスケジュール」と「現場のスケジュール」には大きな違いがあります。 ## マネージャーのスケジュールを押し付けらるときつい マネージャーが開催する会議への参加や、突発的な割り込みがあると、現場では以下の対応が要ります。 * 1: 今やっている仕事を一時中断する * 2: マネージャーに応える * 3: 前やっていた仕事を再開する ここで発生するのが **コンテキストスイッチング** です。仕事モードだった頭を、2: の対マネージャー用に切り替えないといけません。また切り替えた後は、元に戻さないといけません。 よくわからなければ、ゲームや勉強や読書など、何でもいいので集中している光景を思い浮かべてください。毎日会議への参加を要請されていたり、急に参加しろと言われたりしたらどうでしょうか。集中を阻害されるのも嫌ですし、切り替えるのも大変ですよね。 そういうわけで、マネージャーは **軽率な会議・声掛けにより現場の足を引っ張っています** 。 さらに厄介なのは、 **管理上必要だから、と正当化してしまう** ことです。 軽率な会議や声掛けは、多くの場合、マネージャーのあなたの都合でしかありません。たかがあなたの都合で、あなたの部下たちは、現場は、多くの集中と注意力を奪われているかもしれないのです。 ## 現場のスケジュールを尊重する ではどうすればいいのか。 現場のスケジュールを尊重したコミュニケーションをしましょう。具体的には、 **現場のスケジュールの前後に** 差し込みましょう。 仮に現場のスケジュールが午前と午後で2枠ある場合、差し込める部分は以下の3個所です。 ![](/assets/n227e0a2918cc_1727123959-dDoEM94Iy5vuAnaBL2hJrHTp.png)前後に差し込む。 これを **スキマ** と呼ばせてください。 つまり、この場合、スキマは以下の3個所ですね。 * 朝一で * 昼休憩前後で * 夕方の仕事終わりに すでに朝会や夕会は知られていますが、 **たいていは不十分です** 。朝会や夕会だけで現場とのコミュニケーションが完了しているかというと、ノーでしょう。 **朝会や夕会に加えて** 、現場のスケジュールを侵食したコミュニケーションもさらに行っているのが実情です。 スキマだけでコミュニケーションを完了させるには、相当に練る必要があります。 ## スキマだけでコミュニケーションを完結させるには 究極的には会議削減や管理方法改善といった大きな話になりますが、ここでは効果の高いものをかんたんに紹介します。 ### 情報伝達は会議せずに伝える 見ればわかることは、見ればわかるのでいちいち会議にしないでください。メールやチャットなどで伝えれば十分です。 見てもらえない場合は、まずはメールやチャットで催促しましょう。 ### オフィスアワーを開催する 自由に相談にきていいよ、とする時間帯を設けます。 つまりマネージャーから押し入るのではなく、門戸を開いておいて、現場から来るのを待つのです。これなら現場側は、自分たちの融通で行動できます。 誰も来ないかもしれませんが、それはそれで構いません。上手く行っているか、あるいは行っていないかもしれませんが、オフィスアワーのこの時間帯では来ない、という情報は手に入ります。 ### 非同期コミュニケーションをする そもそも会議や声掛けが必要でしょうか。 [非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)で済むものは済ませましょう。非同期コミュニケーションはすぐに身につくものではありませんが、これを知らないと、原始的な会議や声掛けからいつまでも脱せなくなります。 ### 孤独と暇に耐えよ マネージャーがやたら会議をしたがる理由は、単に **自分の寂しさや退屈を紛らわせたいから** だったりします。 人間なので寂しさはありますし、マネージャーに昇進するほどですから人と付き合う営みは重視する生活のはずです。さらに、現場で手を動かしているわけではないですから退屈です。そういうわけで、寂しさと退屈のダブルコンボに襲われています。 会議をすれば、これを紛らわせられます。仕事をしているのだとの陶酔感も得られます。厄介な職権乱用です。 **寂しさと退屈を現場に押し付けないでください** 。もう良い年をした社会人なのですから、自分で対処しましょう。 ### 仕事を減らす、権限を委譲する これが最もあるあるだと思いますが、そもそも **抱えている仕事が多すぎ** です。 マネージャーのあなたが過多になるのはあなたの勝手ですが、だからといって現場に迷惑をかけるのは違います。ただのエゴであり怠慢です。 仕事を減らすためには、以下の二つです。 * 権限委譲 * 現場にもっと権限委譲する * 働きかけ * 自分が抱える仕事を減らす(ために仕事の元に働きかける) 現場にもっと権限委譲しましょう。たとえば毎日進捗確認するのではなく、基本的に現場に任せて、自分が確認するのは週一にしましょう。 仕事の元に働きかけましょう。あなたの上司か、もっと上の人間か、あるいは顧客かはわかりませんが、そういった仕事量が多くなっている原因に対して働きかけましょう。これをせず、ただただ言いなりになって受け入れ甘んじているのは、ただの無能です。現場を守るのは、あなたの仕事です。 ## 参考 元ネタは下記の記事です。2009年の古い記事ですが、現代でも通用する有益な情報です。 元記事では現場ではなく「メーカー」となっています。プログラマーやライターなど創造的な人達が対象となっています。しかし、現代ではもう少し幅広いと思いますので、本記事では「現場」とさせていただきました。 日本語訳としては、以下の note 記事があります。 以下も元記事に触発された記事です。「自分があまり価値を出せないと考えるミーティングに参加しない」のような視点は、[ホワイトスペース本](https://note.com/workhack20/n/n3e58e567bc7b)も参考になるでしょう。 # Title: タスクとスケジュールは分けて考えた方が融通が利く 私たちには「予定をつくって、そのとおりに動く」やり方が染み付いています。 一方で、現代は、予定に従っていればいいほど単純な時代でもありません。第一予定に従うあり方は窮屈ですし、負荷も高くなりがちでQoLも下がりがちです。 **もっと融通の利くやり方** が必要です。 その一つとして「タスクとスケジュールを分ける」ことを解説します。 ## タスクとスケジュールのマトリックス タスクとスケジュールのそれぞれに対して、決まっているかどうかでマトリックスにしたものを **タスクとスケジュールのマトリックス** と呼びます。 ![](/assets/nf95316f27235_1727132032-pKFvUgbmTcLYBorhNz87sOk2.png)タスクとスケジュールのマトリックス 1は「両方決まっている」パターンで、私たちにとって最も身近なものです。いわゆる **ウォーターフォール** はこれです。製造業的なやり方となり、製造、建築、SIを始めとする多くの業界で採用されています。 本記事の目的は、これ以外にもやり方があるという点をお伝えすることです。 2と3は「片方だけが決まっている」パターンです。いわゆる **アジャイル** はこれです。 アジャイルはソフトウェア開発においてよく使われるものですが、ビジネス一般にも適用できます。この名前のつく仕事術を見たことがある人もいらっしゃるでしょう。 4は「両方決まっていない」パターンです。いわゆる **エクスプロラトリ** です。 馴染みのない言葉かもしれませんが、探索的な営みを指します。 以降では各パターンについて詳しく掘り下げていきます。 ### 1 両方決まっている タスクもスケジュールも決まっているパターンです。 基本的に仕事はこのパターンになります。ここまで浸透している理由は以下のとおりです。 * 製造業的なあり方があまりにも広まっていること * リソース(お金や時間)を管理しやすいこと * 多様で複雑な現実を、単純な数字に落とし込んでモデル化できるため都合が良いこと * 比較的誰でも扱いやすく仕事の間口を広げられること * たとえば無能な管理職の仕事を捻出できます * (余談) 無能を許容することは社会や組織力学としては案外重要です。有能しか存在しえない場所は息苦しく、少人数の集団でしか通用しません。そもそも無能も多様性の一つであり、配慮が必要です しかし、すでに浸透しているからといって盲目的に従う必要性などないということは、『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』をお読みの皆さまならおわかりかと思います。他のやり方については、パターン2~4として紹介していますので、そちらをお読みください。 このパターン1のあり方は **ウォーターフォール** と呼ばれます。各工程をストイックに順にこなしていくもので、滝(Waterfall)が流れるように見えることからこの名前です。 製造業的な考え方ですが、建築やSIなど幅広く使われています。名前走らなくとも、社会人であれば、おそらく誰もが一度は見たことがあるはずです。 道具としては以下のようなものが使われます。ガントチャートとかWBSと呼ばれます。 ![](/assets/nf95316f27235_1727132707-hBwFCpy3Ik4Yzqxd6W8J2iDe.png)ガントチャート。ガントさんが考案したチャートなのでガントチャートです。![](/assets/nf95316f27235_1727132724-mh2DTewl1Qp5Vuz03FaU4GSI.png)WBS。Work Breakdown Structureの略。仕事をブレイクダウンして構造したもの。 要するにスケジュールもタスクも両方決まっているので、これを達成するために、内訳を細かく洗い出して、いついつまでにこれとこれを終わらせる、みたいな依存もちゃんと洗い出して、そのとおりに動きましょう、とやります。 **予定の奴隷です** 。 また、予定のとおりに動けているかの確認(進捗管理)も必要です。 もちろん **現実はこんな単純には行きません** 。これで上手くいくのは、それこそ典型的な製造――何から何まで最適化されていて、基本的にそのとおりに行動しさえすれば安定的な成果が出る場面だけです。 これは製造として最適化されているからであって、大半の仕事はそうはいかないでしょう。 **単に他のやり方がわからないから、このやり方を使っているのが現状です** 。上述したとおり、色んな意味で都合が良いこともあります。 しかし、このやり方が融通が利かなくて苦しいことは冒頭でも述べたとおりです。もっと融通を利かせても良いはずです。それをパターン2~4で解説します。 ### 2 スケジュールが決まっている スケジュールだけが決まっているパターンです。 この場合、タスクを無理に決める必要はありません。 **自由にやらせてみて、こまめに状況を見て軌道修正すれば良い** のです。 このやり方を採用しているのが **アジャイル** と呼ばれるものです。 ソフトウェア開発で使われているもので、具体的なやり方としてはスクラム、XP(エクストリーム・プログラミング)などいくつかあるのですが、細かいことはさておき、パターン1のウォーターフォールよりも融通が利きます。 どうやるかというと、決まっているスケジュールに対して細分化をして、自由にやってみます。たとえば二週間の単位(スプリント)で区切って、最初の二週間はこんな感じでやってみよう、次はその二週間の結果を見てから考えよう――とします。スプリント → 振り返り → スプリント、といったサイクルを回す形になります。 何をするか、つまりタスクをどうするかを都度決めているのです。最初から全部決められていて、このとおりにやれ!とは違うことに注意してください。自分たちで細かく決めているので融通が利きます。 ### 3 タスクが決まっている タスクだけが決まっているパターンです。 この場合、無理にスケジュールを決める必要はありません。 パターン1の染み付いた私たちは、無闇にスケジュールを決めてしまいがちですが、一度決めてしまうとその奴隷になってしまいます。融通が利きません。下手をすると、決めたスケジュールを守ることが目的となってしまい、しょうもない工作や政治に費やすハメになってしまいます。 ではどうすればいいかというと、 **ベストエフォート** です。 「今週はここまでできました」 これでいいのです。 それが現実です。 その現実の結果を見た上で、次どうするかを決めればいいのです。 このパターン3も、アジャイルの範疇になります。 **パターン2は言わばタスクを** ベストエフォートしており、 ここ **パターン3ではスケジュールを** ベストエフォートしています。 いずれにせよ、パターン1のように最初から全部決めてその奴隷になってしまうから卒業しています。決まっていない方については、自分達でベストエフォートすればいいのです。 私たちはこんなこともわからないのです。日々多忙で、無駄に煩雑な仕事や組織を前にすると、いともかんたんに麻痺します。だからこそ仕事のやり方や考え方を見直し、変えていき、必要なら新しくつくりたいのです。『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』もまさにそのためにあります。 ### 4 両方決まっていない タスクもスケジュールも決まっていないパターンです。 この場合、何も決まっていない中で暗中模索していく探索的なやり方が必要となります。 研究や創造に勤しむ人にとっては身近ですが、私たちの大半はそうではありません。かつ、ウォーターフォールやアジャイルといったプラクティスも知られていません。 そこで『仕事術2.0』では、このようなやり方を **エクスプロラトリ(Exploratory)** と呼ぶことにします。「探索的な」の意です。 詳細は下記記事を参照してください。 # Title: ウォーターフォール、アジャイルに続く潮流 「エクスプロラトリ」 仕事のパラダイムは主に二つ知られています。 第一のパラダイムは、予定をガッチガチに定めてそのとおりに従うとする **ウォーターフォール** です。 第二のパラダイムは、小さな期間ごとに何をやるかを決めて小さく結果を出していく **アジャイル** です。 しかし、現代ではもう一つあります。 第三のパラダイムは、何も決まっていない中、探索的に動いてみる **エクスプロラトリ** です。 ## エクスプロラトリとは **エクスプロラトリ(Exploratory)** とは、探索的な仕事の仕方です。 創造や研究に勤しむ人にとっては身近ですが、ビジネスにおいては一般的ではありません。目新しい概念ではありませんが、ビジネスにおいて活用されていないのが現実です。 そこで、これをビジネス全般で活用できるよう、『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』では改めて整理していきます。それがエクスプロラトリです。 ## タスクも予定も決まっていないときに役立つ エクスプロラトリが役立つのは、タスクも予定も決まっていない場面です。[タスクとスケジュールのマトリックスで言えば、パターン4に相当](https://note.com/workhack20/n/nf95316f27235)します。 このような場面では、従来のパラダイムは役に立ちません。ウォーターフォールにせよ、アジャイルにせよ、もちろん仕事ができないわけではないのですが、大したパフォーマンスなど出ません。 何も決まっていない状況下では、各自がベストパフォーマンスを出しながら探索し続けることが重要です。そのためには **管理を撤廃し、自由に、それこそ遊ぶように動ける必要があります** 。これは従来のパラダイムでは理解しがたい世界観です。 ## エクスプロラトリに必要な三要素 次の三点です。 * 1: 非同期コミュニケーション * 2: アウトプット * 3: コメントやフィードバック 1: の[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)は、対面で口頭でやりとりするような **拘束の強いやり方だと限度がある** ということです。 エクスプロラトリでは、各自が各自のペースで動くことで各自がベストパフォーマンスを出すのが肝ですので、拘束はできれば避けねばなりません。たとえば朝型の人も夜型の人も共存するべきで、どちらが我慢して合わない時間帯の会議に参加する、などあってはならないことです。 しかしコミュニケーションを完全に廃するわけにもいきません。そこで、 **拘束せずにコミュニケーションを行える非同期コミュニケーションが必要** となります。 2: のアウトプットは、途中経過や結果をこまめに共有するという話です。お互いがお互いのアウトプットを参考にし、取り入れていくことで良い化学反応が起こります。誤解を恐れず言えば、 **アウトプットはおもちゃであり、皆が好き勝手にいじくって遊ぶものです** 。 また、共有するものは仕事に関するものに限りません。趣味や雑談的な内容も推奨します。何を読み、取り入れるかは各自が決めればいいのです。全員これをやれと押し付けるものではありませんし、誰の役に立つかもわからないから……などと出し惜しむものでもありません。 このあたりの感覚は、インターネットやオープンソースに馴染んでいる人ならよく分かると思います。 3: のコメントやフィードバックは、ちゃんと議論していこうという話です。趣味ではなく仕事ですので、意見や反応は必要です。それも、従来のように会議の場で空気を読んで厳選して発言する必要はなく、もっとラフに、気軽に出します。 たとえば30の議題があった場合、従来のやり方だと会議の中で数個くらいしか議論できないでしょうが、 **エクスプロラトリだと全部議論できます。** 30の議題を全部アウトプットして、各々へのコメントやフィードバックを書いていけばいいのです。 難しいのは収束でしょう。各人が好き勝手に意見を言うだけだと、発散しておわりです。仕事ですので、どこかで収束させる必要があります。つまりは意思決定です。 意思決定者が行えば良いのですが、意思決定者は通常忙しい上に、従来のやり方しか知らないことが多いです。エクスプロラトリには不向きで、足を引っ張りがちです。 そこで、 **エクスプロラトリ向きの意思決定者を育てるか、意思決定者がエクスプロラトリを覚える(リスキリング)こと** が重要となります。 あるいは明確な意思決定者を立ち上げずに、メンバー全員が民主的に上手く意思決定していくやり方も考えられます。 ## エクスプロラトリの実現方法 3 つ エクスプロラトリの具体的なやり方として、3 つほど紹介します。 ### 1: 共同編集可能なツールを使って、好き勝手に動く 共同編集可能なWiki、ノート、ドキュメントなどのツールを使って、各自が好き勝手に動きます。アウトプットも議論もそこで行います。 このやり方として現状最も優れているのはCosense(旧Scrapbox)でしょう。 ### 2: 個人ワークとチームワークのサイクルを繰り返す たとえば1日を以下のようなサイクルにします。 * 朝会 → 午前個人 → ランチ会(自由参加) → 午後個人 朝会とランチ会は、各自がアウトプットを持ち寄って議論をする場です。雑談など[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)をしても構いません。 **コメントやフィードバックは、基本的にこのタイミングでのみ** 行います。また、だらだらせずに濃密にやりましょう。30分以内で終われるはずです。終われない場合、準備不足か、人数が多すぎます。人数は2~5人の少人数がおすすめです。 ランチ会については、自由参加です。参加したくない、たとえば食事もひとりで取りたい人は参加しなくて構いません。食事しながらだと議論が弾むので、ここでは導入しています。 午前個人と午後個人は個人ワークの時間です。基本的に各々が自分に合ったやり方で仕事をするだけです。 **コメント、フィードバック、その他コミュニケーションはしません。** あるいは、するにしても非同期で行います。 何度も言うように、エクスプロラトリでは各個人が自分に合ったやり方で集中することが重要(だからこそ探索できる)ですので、この **個人ワークの聖域は無闇に侵害してはなりません** 。しかし、それでは連携の機会がないから、朝会とランチ会で確保しているのです。 ――と、これはやり方の一つです。本質的には個人ワークを尊重しつつも、連携の機会を差し込むくらいの塩梅が良いと言っています。 特にマネージャーの方は(そのスケジュール観のせいで)わかりづらいかもしれません。以下記事も参考にしてください。 ### 3: クリエイターとレビュアーのスタイル 作家と編集者がわかりやすいですが、作家が書いたものを編集者がチェックするとの分業が敷かれています。また、その後の諸手続きも編集者がやります。 これを一般化すると **クリエイター、レビュアー、オッドジョバーに分けて分業せよ** 、となります。 * クリエイター(Creator) * つくる人 * レビュアー(Reviewer) * 確認する人 * オッドジョバー(Oddjobber) * つくってレビューされたものを引き取って、その後の諸々をする人 クリエイター業界では、レビュアーがオッドジョバーも兼任しますが、そのせいでボトルネックになっています。編集者やマネージャー(管理職ではなく芸能人のマネージャーとかの方)が多忙なのもそのためです。 ですので、エクスプロラトリでは役割を分けて、 **レビュアーはレビューに専念できるようにします** 。レビュアーもクリエイターの仲間です。それなりに勉強したり思索したりといった時間が必要です。雑用を兼任するべきではありません。 典型的には、チームにオッドジョバーなる専任者が存在することになります。 **雑務の専任化** は(すでに確立されたバックオフィス業務以外では)馴染みが薄いと思いますが、エクスプロラトリでは重要です。探索に集中したいのです。 ## おわりに 第三のパラダイム、エクスプロラトリについて解説しました。 まだまだ整備されていませんが、別段目新しい概念ではなく既によく知られていることです。それをビジネス一般でも使えるようにしよう、というだけの話です。 本記事がその一助になれば幸いです。また、『仕事術2.0』としても引き続き整備していきます。 ## (他のアプローチ) エクスプロラトリのアプローチは様々だと思います。まだ定まってもいません。上述した3点は一例にすぎません。 他のアプローチも紹介します。 リトライアブルという概念を開発しました。とりあえずn回やってみるというものです。 エフェクチュエーションは手段(リソース)を集めてできることをやってみようとしますが、リトライアブルでは回数分やってみようとします。 行動には他にもあるので整理して、全体としてはマトリックスとして整理しました。 # Title: GAFAMがリモートから出社に戻そうとしてるのは、減税がなくなるから説 サマリー: * GAFAMですら出社に回帰しようとしているのはなぜ? * そんなに無能じゃないでしょ * 外向けのもっともらしいコメントでは腑に落ちない * 元AWS社員のポストで腑に落ちた * 減税だったのか サマリー2: * Amazonに限らずGAFAM全般に当てはまりそう(想像) * やはり仕事術2.0の視座が要る ## フルリモート行けるでしょ 技術と方法の整った現代では、フルリモートくらい可能です。 人間なのでたまには(稀には)会いたくなりますが、だからといってハイブリッドワーク――週n回出社せよ、などと一律で課す必要はないわけです。 もっと上手くやれます。現実がそう単純でないことを踏まえても、です。GAFAMであればそれくらいわかるでしょう。そもそも自ら切り開いてきた側ではないですか。なのになぜ―― と、前々から疑問でした。 お偉いさんによるコメントもよく見かけますが、どうにも的を得ない。 ## 元AWS社員「最終的には税金と経済の問題」 元AWS社員のポストを知って、ようやく腑に落ちました。 このポストでは「最終的には税金と経済の問題になります」とまとめています。 ※以下括弧内はGoogle翻訳 > And ultimately, it comes down to taxes and economics. > (最終的には税金と経済の問題になります) 詳しく見ていくと、景気の部分は当たり前なのでスルーして、後半の一部を引用します。 > Amazon gets MASSIVE tax breaks from cities and states where they have > offices. In theory, how this should work is: Amazon gets tax breaks, people > get jobs, locations become booming tech towns (like Seattle), home owners > profit, local officials profit, local business owners profit, everyone > enriches themselves. > (Amazonは、オフィスがある都市や州から大規模な減税を受けています。理論上、これがどのように機能するべきか: > Amazonは減税を受け、人々は仕事を得て、場所は活気のあるテクノロジータウンになり(シアトルなど)、住宅所有者は利益を得て、地方当局は利益を得て、地元のビジネスオーナーは利益を得て、誰もが豊かになります。) > But if offices remain empty and downtown areas continue to become desolate > abandoned places, cities and states have no incentive to continue to let > Amazon get off tax free. If Amazon continued to enable a remote workforce, > the tax man would come knocking and they'd be liable for hundreds of > millions of dollars. > > (しかし、オフィスが空のままで、ダウンタウンが荒廃した廃墟と化し続けるなら、市や州にはアマゾンを免税のままにしておくインセンティブはない。アマゾンがリモートワークを許可し続ければ、税務署がやって来て、数億ドルの負債を負うことになるだろう。) オフィスが空ということは、街を盛り上げる大量の従業員もいないということです。そのうまみがあるからこそ減税しているわけです。うまみがないとなれば、減税もやめかねません。その額が数億ドルということなのでしょう。 なるほどと思いました。税という側面は、働き方の視点だけで見ててもわからないことです。かつ、経営層が正直に吐露するはずもありません。 ## たぶんGAFAMにも当てはまる ChatGPTに聞いてみたところ、Amazonに限らず、GAFAMはこのリスクに見舞われる可能性があるそう。 たしかに従業員数もオフィスの規模も桁が違いますし、無駄に豪勢ですし、そう言われても納得します。 ## 仕事術2.0の必要性を再認識 **要するに安易に太りすぎです** 。 お金があるからと安易に豪勢にするからこうなってしまう。所有しすぎると、水準が落ちたときに維持できなくなります。 データセンターや倉庫ならさておき、オフィスなんてただの箱ではないですか。個人が趣味で拡大するのは勝手ですが、組織の戦略として安易に採用するのは浅はかです。 そんな従来の制約を突破できるのが技術《テクノロジー》です。 また、技術だけではなく様々な方法《メソドロジー》もあります。 これらを駆使すればどうとでもできるはず。 無論、現実がそんなに単純ではないことはわかっていますが、それでもです。やろうと思えばどうとでもできるのです。そんなこともわからないとは思えませんし、むしろそうしてきた側ではないですか。 やはり『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』の視座が要る、と改めて痛感しました。 たとえば、物理的に安易に所有するのを食い止めるには「捨てる」ことを覚えねばなりません。大胆な踏み込みが必要です。日本向けですが、先日は以下記事を書きました。 いくら成果を出していようと、あるいは技術に優れていようと、 **私たちは所詮は人間であり、人間は脆弱で怠惰でいいかげんなものです。油断していると首が締まります。** 現にAmazonですらこうなっていますし、おそらくGAFAMも同様でしょう。 ここをカバーするためには、様々なやり方や考え方を駆使せねばなりません。駆使するのだという視座に立たねばなりません。 意外なことに、優秀な人ほどこれがわかりません。優秀ゆえに仕事自体はどうとでもできてしまうからです。ITエンジニアでたとえるなら、汚いコードを書いてひたすら前に進むようなものです。たしかに速いですが、どこかで締まります。 ITの世界では既に品質を担保しながら進む潮流がありますが、ビジネスのレベルではまだまだありません。もちろん、こんなことは誰にでもできることでもないです。 だからこそ仕事術2.0があります。仕事術2.0が唯一解である、などと言うつもりは毛頭ありませんが、このような視座の開拓を行うつもりではいます。 ## 匿名フォームを設置しました📄 言いたいことを自由に書いてみてください。 フォーム: 投稿結果は誰でも読めます: このように、誰でも結果が見れる匿名フォームを[匿名オープンフォーム](https://note.com/workhack20/n/n3dc582788270)と読んでいます。 # Title: 「典型的な多様性」だけが多様性じゃない 多様性への配慮はまだまだだと感じます。 特に「多様性= **典型的な多様性** 」となっているのが現状で、典型的じゃない人は引き続き配慮されず、苦しんでいます。 この問題を軽減するための考え方とやり方を解説します。 ## 典型的な多様性とは **典型的な多様性** とは、多様性と聞いて誰が思い浮かべるような性質、特性、状態(特にそれらを持つ人)を指します。ルールとして配慮が組み込まれていることもあります。 例を挙げます。 * 女性 * 育児 * 介護 * LGBTQ * 身体的な障害 etc 典型的な多様性は、比較的配慮を勝ち取りやすいです。育児があるので時短しますとか、中抜けしますとか、そのイベントには参加できませんといったことはしやすいでしょう。 ※「表向きは配慮はされているが、まだまだ公平ではない」ケースも多いですが、本記事では扱いません。 ## 典型的じゃない多様性とは しかし、多様性は典型的なものばかりではありません。 以下に例を挙げます。 * うつ病の経験がある * HSP * 発達障害(ASD、ADHD、LDなど) * あがり症 * 陰キャ、チー牛、コミュ障 * ただしネットスラングであり主観的なので、それなりの説得力が要る * 「アラサーですが今まで恋人はおろか、友達もできたことがありません」 * アファンタジア * 技術的なことに全く興味が持てないこと * IT企業にいながらも、ITに全く興味が持てない人はいます * この人達にプログラミングをやらせるのは酷でしょう * 養育に全く興味が持てないこと * 養育とは後輩や部下や新人などの教育・世話など * 人間に興味がなかったり、共感性が乏しかったりする人もいます。この人達に養育をやらせるのは酷です * etc 他にも例は無数にあります。名前のついてないものさえあります。 同様の指摘はいくつか存在します。 たとえば発達障害の多様性はニューロダイバーシティと呼びます。 『ニューロダイバーシティの推進について (METI/経済産業省) 』 サイボウズでは「目に見える多様性」という言葉を取り上げています。 ## 配慮とは **配慮** とは **平等を破って例外を認めること** を指します。 仕事では(特に日本の価値観では)平等を課しがちですが、上手くできない人もいます。そのような人に対しては、例外的に免除が必要です。 もちろん、単に免除するだけでは優遇になってしまうので、かわりの貢献余地を探します。それがない場合や、その気がない場合は優遇を受け入れます。優遇とありますが、実際にはそれなりのペナルティが事実上存在します(配慮の必要性を周囲に知られている、仕業績評価で負ける等)ので問題ありません。問題あると考えてしまうのは、平等主義が根強く染み付いている証拠です。 以下の例を見てください。こういった希望に対して、配慮を行えるでしょうか? * 私はHSPであり、賑やかな場所が苦手なので基本的に出社は避けたいです。やむを得ず出社する場合も、通勤ラッシュの時間帯は賑やかできついので、シフトしたいです。 * 私はASDであり、人の機微もわからないですし、興味もありません。3年目の社員が新人のメンターになるのは通例ですが、私には向いていないので辞退します。 * 女性がいると緊張するので、一緒には仕事できません。少なくとも彼女達が同席している場には参加できません。テキストコミュニケーションなら可能です。 おそらく配慮はしない人が多いと思います。 これらの例はまだわかりやすい方です。HSPやASD、また上述ではネットスラングも挙げていますので、納得できる人もそれなりにいますが、 **実際はこのようなヒントが示されるとも限りません** 。 ## どんな条件でどのような配慮をすればいいのか? 最大の争点は、配慮の **条件** と **仕方** です。 多様性の議論でよく言われがちですが、何にでも配慮してしまうと何もできなくなってしまいます。また、配慮する内容をステレオタイプで決めつけて行使するのも違います。 ここで使えるのが **Reject And Open** と **DSM(Dynamic Special Measures)** です。 ### Reject And Open **Reject And Open** とは、 「要求されたその "普通" は拒否します」 「ただし、私はその "普通" を拒否する事情があることを公言します」 とするものです。 たとえばHSPやASDとして配慮されたいなら、HSPであることやASDであることは公言しなくてはなりません。配慮してもらうために、公言をもって誠意を示します。配慮する側も、公言をもって誠意を了承し、配慮を行います。 公言の範囲には議論の余地があります。全社的に公開するのはやりすぎでしょう。カミングアウトと同等の扱いが良いと思います。つまり、 * 1: 関係者に個別に共有する * 2: 共有された者は、本人の許可なく第三者に喋らない * 3: 共有の必要がある場合は、必ず本人の許可を取る とすることです。 一つ注意したいのが、配慮する側が「いやいちいち許可取るのもだるいし、配慮するのはこっちなんだから知らねえよ、まあいいか共有しちゃおう」などとしてしまうことです。 **これは絶対にやめましょう。一発で信頼関係がなくなります** 。配慮される当人が退職するだけなら(厄介者がいなくなるという意味では)ラッキーと思われるかもしれませんが、より問題がこじれることがあります。要らぬ騒動を起こされたり、ひどい場合は報復されます。公言する事項や本人にもよりますが、センシティブな情報を扱っているのだという意識は持つべきです。 ### DSM(Dynamic Special Measures) **DSM(Dynamic Special Measures)** とは、直訳すると動的な特別措置ですが、 **その場で臨機応変に特別扱いをする** ことを指します。 この言葉には以下の含意があります。 * 例外を認めず平等を貫くのではなく、さっさと特別扱いする * 一度扱い方を決めたら終わりではなく、必要に応じて微調整する その名のとおり、動的に行っていく必要があるということです。 よくあるのが「いやもう対応したじゃないか……」と一度対応したからおわりだ、とするパターンですが、これはあまり意味がありません。 **配慮はその人がいなくなるまで続きます。** 動的に調整していく要領を覚えてください。 だからといって配慮される側を鵜呑みにすればいいというものでもありません。重要なのは **対話とフィードバック** です。必要なら第三者も交えて(もちろん本人の許可は取る)、きちんと話し合ってください。 話し合いが苦手な場合は、テキストコミュニケーションや録音・録画も使ってください。 **対面口頭だけで済ませようとする例は多いですが、上手くいかないことがあります** 。 配慮の内容については、文書化するなどしてしっかりと定めた方が建設的なことが多いです。口頭で済む場合はそれでも構いません。逆に文書化や言語化が苦手で上手くいかないこともあります。 ## 知識と想像を 多様性への配慮において最も重要なのは、 **配慮する側の** 知識と想像力です。 というのも、配慮される側がいくら丁寧に説明したとしても、配慮する側が納得しなければ意味がないからです。そして、納得するためには、それなりの知識と想像力を持っている必要があります。 知識については、上記で挙げた例はどれも知っておいた方が良いと思います。 このようなトピックは情報収集が難しいのですが、現状はインターネット上のまとめや、動画で言えばアベプラをキャッチアップしておくと良いでしょう。 想像力については、日頃から想像を働かせてみると良いです。いざ本人からいきなり言われても困惑しますし、立場や価値観などもあって、つい一蹴や否定をしてしまいがちです。 あるいは、その場は上手く濁してやり過ごすかもしれませんが、問題はなくなりません。むしろ配慮していたら防げていた問題が起きて苦労することになります。 そうならないためにも、仮にこういう人が来たらどうしよう、こうしよう、など自分なりに想像しておくのです。もちろん、これだけであらゆるケースに対応できるようになるはずもありませんが、このような心づもりをしているのとしていないのとではずいぶんと違います。 ## n>2なら本格的に議論する 配慮の対象が一人だけなら、その人を例外扱いするだけで良いでしょう。 しかし2人、3人と続いた場合は、個別の対応では苦しくなってきます。契機は2人以上でも3人以上でも良いですが、配慮するべき多様性について、 **一度腰を据えて議論するべきです** 。本人を交えてもいいですし、本人を交えずに議論した結果を本人に共有してフィードバックをもらっても良いですが、とにかく **腰を据えます** 。 通常、この過程で組織の問題があぶり出されます。 **多様性は問題提起の良いサンプルとなることが多い** からです。愚直に向き合うと、組織改善そのものに繋がってwin-winになることがあります。 逆に見なかったふりをすると、現行踏襲が継続します。個別の対応を何人に対しても行うのは大変でしょうから、おそらくどこかで破綻します。あるいは配慮する側のキーパーソンが次々入れ替わるという流動が起きたりします。 そういうわけで、組織改善とまでは行かなくとも、n人の多様性を上手く対処できる扱い方は導きたいものです。 # Title: noteへの要望: 記事一覧だけタイトルが「note(ノート)」なので(ノート)を消したい note のタイトルは **| note** で統一していると思います。 しかし記事一覧だけは(ノート)がついています。 以下に現時点のタイトルを並べてみます。 * [仕事術2.0|note](https://note.com/workhack20/) * [仕事術2.0の記事一覧|note(ノート)](https://note.com/workhack20/all) * ここだけ(ノート)がついてます * [仕事術2.0のマガジン一覧|note](https://note.com/workhack20/magazines) * [仕事術2.0の月別一覧|note](https://note.com/workhack20/archives) 統一感がなくて気になりました。細かいですが、消した方が良いのではないかと思いました。 あるいは理由があるなら気になります。 # Title: 会議には交流が混ざっているので、分ける やたら会議が多かったり、長引いたりするのは、 **交流が混ざっているから** です。 [グルーミングの記事](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)でも書きましたが、私たちは人間なので交流を欲します。 あまりに当たり前すぎるので、会議にも当たり前に混ざっています。そのせいで、以下に示すような数々の問題が起きています。 * ちゃんと会議すれば10分で終わるものが、30分や1時間かかったりする * やらなくていい会議がやる * いたずらに人を巻き込もうとする * 参加しなければならない、的な同調圧力が発生する この問題を軽減したいなら、会議と交流を分けることをおすすめします。 ## 会議を減らせないのは、交流が効率を求めるものではないから 会議を減らせない理由を、もう少し詳しく掘り下げておきます。 まず交流という言葉を「グルーミング」の意味で使います。つまり、交流とは親近感を育むためのコミュニケーションです。 交流では効率や生産性は求めません。 親しい人と過ごすときがまさにそうですが、そんなものは持ち込みません。ナンセンスです。 でも仕事は違います。 **私たちは友達や恋人ではないのです** 。 さて、会議は仕事です。 であるならば効率や生産性は意識するべきです。 ※文脈にもよります。効率至上や生産性至上はそれはそれで融通が利きません。 そんなことは誰しもわかっていますが、実態として会議は減りません。なぜでしょうか。 それは **会議に交流が混ざっている** です。 そして、 **交流に対して効率や生産性を説くのはナンセンスなので(一緒にひっついている会議も含めて)その削減は一蹴されてしまう** のです。 要するに、混ざっているがゆえに区別ができていないだけです。 交流にそれらを求めるのがナンセンスなのはわかります。でも会議は違います――と、からくり自体はかんたんですが、会議と交流がひっついてるせいで、交流の方に引きずられているのが現状なのです。 厄介な点は、このことに無自覚な人が多いということです。無自覚だからこそ、会議を減らすための改善をしても中々感触が得られないのです。 ※あくまでも主因です。実際はもっと煩雑で複雑です。 ## 会議と交流を分ける では、どうすればいいか。 単純な話で、会議と交流を分ければいいのです。 具体的には以下の二点です。 * 1: 会議は会議に専念する * 2: 交流は、交流に専念するための時間をつくって、そこでやる 1: の会議への専念については、 **交流のようにいたずらにだらだらせず** 、ストイックに進めましょうという話です。 耳タコだと思いますので、ここでは割愛しますが、アジェンダと目的を設定する、事前準備をちゃんとしておく、必要な人だけ招集する、伝達など会議しなくても済むことはそもそも会議にしない、ファシリテーターを始めとする役割をちゃんと設ける、[議事メモ](https://note.com/workhack20/n/nd54e3bec3407)や議事録をちゃんと取るなど、色々あります。 大変だ、つらいと思われるかもしれませんが、仕事です。当たり前です。会議とは本来そういうものです。だからこそ無闇に行うものではないのです。 この感覚がわからない人は、おそらく交流に毒されています。このような人の、よくある言い分が「コミュニケーションは大事だ」です。そのとおりですが、それで交流を無闇に混ぜてるから問題なのです。交流は、後述するように分ければいいのです。 ※ただし会議と交流も区別しないような、長時間一緒に過ごすようなあり方で進める仕事もあります。この場合は本記事の提案は当てはまりません 2: の交流に専念するための時間は、[コミュニケーションの注入](https://note.com/workhack20/n/n777d7b43cec5)を指します。 詳細は記事を見ていただくとして、かんたんに書くと、何らかのコミュニケーションを行うためだけの時間をつくって、そこでやろうというものです。 ちゃんと解説するため小難しい言葉になってますが、たとえばランチタイムで雑談するとか、業務時間中に30分~1時間くらいだらだらしつつ雑談やゲームや買い物や一服一杯をする時間を設けるとかいったことです。 業務中に、と書くと不謹慎・不真面目なと思われる人がいますが、 **コミュニケーションは大事なのでしょう?ならば堂々とやればいいのです** 。会議に混ぜて、中途半端にやるから、会議が無闇に太ってしまうのです。 ## おわりに 本当に会議を減らしたいなら、会議と交流を分けましょう。 # Title: noteの検索ページで「from:@自分の名前」が便利な件 noteで自分の記事を探す際、検索ページを使うと便利です。 以下のGIFを見てください。 ![](/assets/n348d1bb2a24a_picture_pc_1e89d1f1530f2606818c369e3c294356.gif)検索ページでフィルタリング。 ポイントは2つあって、 * 1: まず「from:@自分のアカウント名」で絞り込むこと * 2: さらにキーワードを入れて絞り込むこと です。 つまり自分の投稿のみで絞り込んだ上、さらにキーワードで絞り込むのです。 動作も高速ですし、人気・急上昇・新着といった並び替えもできるので、便利に使えると思います。 ## 人の記事でも使える 自分の記事だけでなく、人の記事を分析したり漁りたい場合も便利でしょう。 from:@この部分 を変えるだけです。 ちなみに[『仕事術2.0』の検索ページ](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20&context=note&mode=search)は以下です。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20&context=note&mode=search) よろしければ漁ってみてください。あなたの何かを少し、あるいは大胆に変えてしまう仕事術と出会えるかもしれません。 # Title: チー牛とは尊重リテラシーが低い男性を指す 若い女性が使う「チー牛」という言葉の意味は、尊重にあるのではないかと思いました。 **チー牛は尊重リテラシーなるものが低い男性を指す** のではないか。 この前提で、尊重リテラシーとはどういうことかを掘り下げます。 ## リテラシーとは 元は「読み書き能力」の意味ですが、今では「基本的な素養」としても使われます。 ITリテラシーやネットリテラシーといった使われ方をします。 また『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』では[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)の素養にも注目しており、非同期リテラシーとして今後整理していきます。 ## 尊重リテラシーとは 人、特に異性を尊重するためのリテラシーを **尊重リテラシー** と呼ぶことにします。 ### 尊重リテラシーがないとこうなる: いくつか例を挙げます。 * 声かけてくる異性の同級生に安易に告白する * クラスメイトに友達申請を送りまくる * 処女じゃない成人女性をビッチだと考えて毛嫌いする * また処女性を神聖視する * これを揶揄して処女厨と呼ぶことがあります * またアイドルに対してこれを求める者を(特にVTuberの界隈で)ユニコーン、あるいは略してコーンと呼びます * 絵文字は🦄です * 自分から声をかけず、話を振らず、ひたすら受身で過ごす * etc ## 尊重とは 言語化が難しく、また端的にしきれるものでもありませんが、いくつか挙げます。 尊重とは、以下のような原則を踏まえることです。 * **漸近の原則** 。関係とは長い時間をかけて、様子を見ながら少しずつ育んでいくものである * 距離感ともいいます * ただし日本の場合です * 日本はハイコンテキスト、かつ徐々に関係を育む文化です * 逆にこれが通用しない国もあります * **積極の原則** 。自分から歩み寄る必要もある * 言われたことに答えるだけの、受身なスタンスでは関係は深まりません * **対等の原則** 。対等であること ### 対等の原則 対等の原則について少し補足します。対等の意味をつかんでいただくための例を二点挙げます。 まずは会話面です。『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』では **トーカブル(Talkable)** と呼びますが、対話が行えること、そして対等な関係であることを要求します。 昭和以前は男尊女卑がひどく、現代でもその名残はあちこちに残っていますが、この水準は対等ではありません。男だから、女だからとステレオタイプに押し付けるのではなく、ちゃんと対話して対等な関係であることに努めることを要求します。 チー牛にはこれを行えるだけの素養がありません。そもそも発想がないこともあります。 次に容姿面です。 通常、女性は容姿にかなりの手間隙を費やしています。一方で、男性はそこまで費やしていません。 さて、一部のチー牛が女性に安易に告白する様が観測されますが、これは容姿への投資具合で捉えると、 「全く費やしていない弱者」が、 「費やしている強者」に、 申し込もうとしている。 となります。費やしている側からすると「舐めてんのか」となるわけです。客観視ができていないし、あわよくばワンチャン的な下心も見えますし、丁寧に説明するつもりもいかない(し言語化できるとも限りません)し、無難に断るのも面倒くさいし――と盛りだくさんで、このあたりを一言で総括すると「キモイ」となります。 これは条件、この場合は容姿面が対等ではないのです。 ## リテラシー不足はただの経験不足 では、なぜ尊重リテラシーが備わっていないのでしょうか。 尊重に限らずリテラシー全般でそうですが、 **単に経験不足なだけです** 。 ## チー牛は良くないことなのか? 最後に問題提起とその回答をしておきましょう。 尊重リテラシーが無いことは良くないことなのか。 つまり、チー牛であることは良くないことなのか。 答えは **「持っている(チー牛でない)に越したことはない」程度ではないでしょうか** 。 これもリテラシー全般がそうです。読み書きも、英語も、ITも、ネットも、どれも持っていないよりは持っている方が当然良いです。 あとは各自の選択の問題です。十分に持つだけの時間を費やすかどうかは、もちろん自由です。なければ死ぬ、ということはありません。●●リテラシーで生きている人は無いと死ぬと思うかもしれませんが、それはあなただからです。人の生き方はそんなに単純ではないし、押し付けるものでもありません。 これは多様性の問題にも繋がります。 持ってないから悪だ、とするのではなく、持ってない者を一つの特性だと認めて、じゃあどうするかを尊重すればいいのです。チー牛ではない人達だからこそ、チー牛を尊重しましょう。尊重リテラシーを持つ人達ならばできるはずです(し、実際尊重しているからこそ表向きは無難に過ごしつつ、裏でSNSで発散しているのでしょう)。 もちろん、プライベートで付き合う分には好きにすればいい。無理して付き合う必要は当然ながらありません。 ただ、家族や仕事といった場面では、多様性の一つとして捉えるべきでしょう。チー牛を良くないと切り捨てることは、英語ができない人やITができない人を切り捨てるのと同じことです。 # Title: ビジネスを先取りする「新しい」As Code 5選 ソフトウェアは世界を席巻しています。この力を取り入れるアプローチの一つが **As Code** です。 As Codeとはプログラムコードで表現し、処理もプログラムに任せるというパラダイムです。最も有名なのが、ITインフラに取り入れたIaC――Infrastructure as Codeでしょう。 IaCにより、ITサービスを支えるインフラ基盤部分の自動構築が可能となり、飛躍的な進歩をもたらしました。現代を支えるパラダイムの一つです。 As Codeにはビジネスを変える力があります。 今回は新しいAs Codeを提案します。その前に従来のAs Codeも振り返ります。 ※As Code自体の説明はしません。 ## すでに知られているAs Code ### Infrastructure as Code * As Codeの代名詞 * ITインフラの設定をコードで書き、実際の構築はそのコードを解釈するプログラムに任せます * 人間はITインフラに直接手を加えず、コードを読み書きするだけで済みます ### Diagram as Code * 図をコードで書き、実際の図はそのコードを解釈するプログラムが描きます * 図を記述する文法として提供されるものと、文字通りコードで書くものがあります * 前者の例は[mermaid-js](https://github.com/mermaid-js/mermaid)、後者の例は[Diagrams](https://github.com/mingrammer/diagrams) ### Documentation as Code * ドキュメントの中身と見せ方をコードで書き、実際のドキュメントはそのコードを解釈するプログラムが生成します * 体系化はされていませんが、使われる技術要素はおおよそ共通しています * 中身を書くための記法(Markdown)と、見せ方を書く記法(CSS) * テンプレートエンジン(Jinja2) * 文法や所定ルールの検査(Textlint) * 静的サイトジェネレーター(Sphinx, MkDocs) * 整備した例もあるようです * [多様性を支えるドキュメントの役割と、研究会運営にあたっての抱負](https://note.com/naoh_nak/n/n88dde4f6d90e) * [Documentation As Code - Docs-as-Code](https://docs-as-co.de/) ### Rule as Code * ルールをコードで書き、ルール全体の整合性やルールを用いた判定はそのコードを解釈するプログラムに任せます * 人間の遅さや曖昧さを排除できます * 体系化はされていませんが、法律(Law As Code)やWeb3(スマートコントラクトやDAO)の分野で推進されています ### Security as Code * セキュリティ上の要件をコードで書き、要件の遵守はそのコードを解釈したプログラムに任せます * Rule As Codeと似ていますが、少し違います * Rule As Codeは、自然言語で表現された「事例」を判定します * Security As Codeは、コードや設定ファイルで書かれた「システム」を判定します * 体系化はされていませんが、別の呼び方で推進する例が見られます * [Compliance As Code](https://complianceascode.readthedocs.io/en/latest/) * [Policy As Code](https://www.synopsys.com/ja-jp/glossary/what-is-policy-as-code.html) ### Circuit as Code * 回路をコードで書き、実際の回路はそのコードを解釈したプログラムが生成します * まだ実用・浸透しているとは言えなそうですが、[開発しているとの声](https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07234/)があったり、[SKiDL](https://github.com/devbisme/skidl)などオープンソースも公開されていたりします * AIの文脈で盛り上がっている[FPGA](https://zenn.dev/sk6labo/articles/f942d7b650583a)は、As Codeと呼べるほどではありませんが、書いてつくるという意味では似ています ### Experiments as Code * 現状、論文があるだけのようですが、取り上げておきます * [2202.12050 Experiments as Code: A Concept for Reproducible, Auditable, Debuggable, Reusable, & Scalable Experiments](https://arxiv.org/abs/2202.12050) * 実験をAs Codeにすることで、[Preproducibility](https://www.enago.jp/academy/preproducibility/)(IaCでいう冪等性)の実現を目指すようです * VRやデジタルツインなど仮想世界にも頼るようです ## 新しいAs Code ここからは新しい As Codeを提案していきます。 ### Facilitation as Code 会議のファシリテーションをAs Codeにします。 略称はFACIaCとさせてください。 ファシリテーションとは、会議の進行管理と細かなフォローを指します。従来は、場の空気や参加者の様子を読みながら、ファシリテーターが行っていましたが、その必要がなくなります。 会議をどのように進め、参加者をどのように制御・フォローするかは全部コードにて書きます。実際のファシリテーションは、そのコードを解釈するプログラムが行います。 メリットは以下のとおりです。 * 会議でも「標準」の恩恵をあやかれる * ライブラリ、フレームワーク、DXなど標準は重要です * 会議は標準を適用しづらいですが、FACIaCなら可能です * ファシリテーター役が不要になり、会議に参加できる * 会議の過ごし方がコード化されているため、再利用・共有・微調整ができる * 会議は改善されにくいものの一つですが、FACIaCにより、継続的な改善が促されます ### Alias as Code エイリアスをAs Codeにします。 略称はAaCとさせてください。 エイリアスとは、ショートカットやシンボリックリンクを指します。 従来、エイリアスは人間が手作業でつくるか、あるいはスクリプトなどで一気につくるものでした。 As Codeにすれば、 **エイリアスをどうつくるか** をコードで記述できます。より柔軟な設定や構造をもたせることができますし、作成・更新・削除も自在です。もちろん、IaCのように環境ごとに適用を分けることもできます。 IaCの一部と言えばそれまでですが、エイリアスは個人的なものです。 すでにDotfileやパッケージ管理といった技術はありますが、AaCもその範疇になります。環境構築、特にカスタマイズという世界に、新しい軸をもたらします。 手作業だったからこそ敬遠されていたエイリアスの利便性が、改めて見直されるでしょう。AaCを使えば、何百何千というエイリアスを仕込むことだって可能なのです。 ### Bookmark as Code ブックマークをAs Codeにします。 略称はBaCとさせてください。 ブックマークは元来個人的なものでしたが、組織内で共有できれば一種の情報共有として機能します。そうでなくとも、はてなブックマークはSNSとして知られていますし、Veinなどコミュニケーションツールとしての試みもあります。 さて、BaCは、 **共同ブックマークを実現する** ために重宝します。 共同ブックマークの課題は整理とメンテナンスです。その辺の情報管理ツール、Wiki、共同編集ドキュメントなどでは太刀打ちできません。 組織内の多彩なニーズを吸収するためには、コードの表現力が必要です。ブックマークをコードで記述するというBaCのパラダイムに踏み込めば、この難題に対抗できると考えられます。 ### Form as Code フォームをAs Codeにします。 略称はFOaCとさせてください。 フォームとは、ここでは何らかの処理を行う画面です。現代ではローコードやノーコードでつくるのが主流ですが、FOaCは次のパラダイムに進んでいます。 * 第一世代: 技術者がプログラミングしてつくる * 第二世代: 非技術者がローコードやノーコードでつくる * 第三世代: 技術者がFOaCでつくる 第一世代は融通は利きますが、高価ですし、つくるのにも時間がかかります。そもそもドメイン知識を知らない技術者では中々良いものに辿り着けませんし、ドメイン知識の伝達はハードです。 第二世代はドメイン知識伝達のハードルをなくし、非技術者でもつくれるなったものですが、GUIベースであることと、非技術者であることから、やはりつくるのには時間がかかります。また融通もあまり利きません。所詮はアプリであり、アプリの限界を越えられません。非技術者でも自分達でつくれるのは魅力的ですが、それだけです。 第三世代、FOaCは、その良いとこ取りができます。 IaC のようなレイヤー感で画面を記述するのです。画面の構成要素、つまりはフォームをどれだけ抽象化するかは、すでに第二世代の知見が貯まっています。 要は、第二世代でつくれるものを、As CodeでつくれるようにしたのがFOaCです。 第二世代の、GUIに縛られた制約を越えられますし、抽象化もされているので第一世代のように一からつくる手間もありません。また、プログラミング言語ほど難しくもないため、扱える人もそれなりに確保または育成できます。 ### Estimate as Code 見積もりをAs Codeにします。 略称はEaCとさせてください。 見積もりは従来Excelのような表計算ソフトウェアか、帳簿や会計のシステムを使っていましたが、どちらも古典的であり人間の能力にひどく依存しています。 As Codeにすれば人間への依存をなくし、処理をプログラムに任せきることができます。複雑な計算式や条件も、コードの表現力があれば実現できるでしょう。 実現のイメージとしてはオブジェクト指向が良いでしょう。人、サーバー、部品といったクラスを定義し、それらクラスをどのように使うか・関連付けるかをインスタンスとしてつくって(書いて)いきます。 クラスとしては予定、実績、その検証を行う能力をもたせれば見積もりはできます。もちろん、上述したとおり、もっと複雑な処理も表現できるはずです。 「それくらい別に普通につくればいいのでは」 と思われるかもしれません。実際、そのとおりで、慣れたプログラマであれば、As Codeの仕組みに頼らずともサクッと実装できてしまうでしょう。 しかし、見積もりをしたい人達に広く使ってもらうためには、やはりAs Codeのレベルで整備したいところです。 たとえば、元々コードを書いていた管理職が使えるくらいにできれば良いでしょう。現状はそのようなレベルの人材であっても、古典的なやり方に頼っています。 EaCには、この退屈で大変な現状を打破する力があると思います。 # Title: タスク管理におけるセクション(時間帯)を知っておくと、はかどる タスク管理ではタスクを管理しがちですが、もう一つ、 **時間の使い方** を考えることも重要です。 最もシンプルで有用なのは、日単位で区切る[デイリータスクリスト](https://note.com/workhack20/n/n2e0cd93468a2)ですが、 これ以外にも、 **一日の中を時間帯で区切る** 考え方があります。その有用性を見ていきます。 ## セクション(時間帯)とは タスク管理用語だと思いますが、 **セクション** とは時間帯を指します。 たとえば午前、昼休憩、午後はかんたんな例であり、誰もが知るであろうセクションです。実際、このようなきりのいい分け方をするからこそ、時間の使い方、ひいてはタスクをどうこなしていくかの調整に役立っているはずです。 以下に既存の記事をいくつか示します。 * 「視認性をもたせる区切り」と「時間帯を分ける区切り」の二種類があると述べています * 特に後者については、マイルストーンとも表現されています * 「一日」という枠一つだと大きすぎるので、「時間帯」で区切って中間地点を設けるのですね * 「日」「予定」の他に「時間帯」の分け方があると述べています * 私たちは時間帯を用いた生活リズムに則っている事が多く、セクションを使うとそれを自然に尊重できる、としています * 書籍『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』からの引用です * セクションは認知的な帯だ、と述べています ## 自分でデザインするということ セクションという言葉は知らなくても、時間帯という概念自体は身近であるはずです。しかし、 **時間帯は誰かから与えられたものに従っていることが多い** と思います。 実はそうではありません。 上述の「認知的な帯」とはまさにそうで、時間帯は所詮は解釈にすぎません。自分にとって最適な帯を、自分で定義・模索すればいいのです。 ## セクションにより主体性を手に入れる 現代では主体性が重視され始めています。 『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』でも書きましたが、正解が無いのに多様はあるという厄介な時代だと思います。自分なりに歩んでいくしかありません。 しかし「主体的に、と言われても……」が本音だと思います。 **セクションは、そのファーストステップとして使いやすい** です。 つまり自分なりに時間帯を引いて、そのとおりに過ごしてみるのです。引いた時間帯が上手くなければ、日々微修正していきます。 セクションという用語こそとっつきづらいですが、時間帯自体は馴染み深く、扱いやすいはずです。これでも主体的に行動していることに変わりはないですから、主体的に動くとはどういうことかも学んでいけます。 ## セクションを考える際に使えるヒント 最後に、セクションを自分なりにデザインする際に、知っておくと使えそうなヒントを雑多に挙げておきます。 ### 典型的なセクションを知る 上述した書籍『タスク管理を噛み砕く』からの抜粋です。 * 朝、昼、夕方、夜 * 午前、午後 * 出社前、午前、昼休憩、午後、退社後、帰宅後 * 一時間目、二時間目、…… ### 単位感を知る セクションと聞いて、どれくらいの長さをイメージしたでしょうか。 人によって違うと思います。 たとえばマネージャーは1時間くらいの単位感だと思います。一方、現場は、特にものづくりに携わる人は、数時間以上のまとまった時間を思い浮かべると思います。 この点は以下記事でも取り上げています。 あなたに合った単位感があると思いますので、尊重すると良いでしょう。 ### セクションの種類を知る セクションにはおおよそ種類があるはずです。 たとえば「プライベート」「仕事」の二分類はあまりに有名でしょう。また、プライベートと言っても平日の朝(通勤)、平日の昼休憩(会社に居る)、休日(仕事から完全に解放)はすべて違うはずです。 このような種類から考えてみることでも、セクションをデザインするヒントになります。 ### 休憩セクションを取り入れる セクションとしておろそかになりがちなのが、休むためのセクションです。 私たちは昼休憩しか意識しませんが、これ以外に休んではいけないなんてことはないのです。 もちろん、仕事の場合は業務的な拘束がありますから、そうかんたんに確保するわけにもいきませんが、狙ってみるのは悪くないと思います。ホワイトスペース本が言うように、余裕は大事です。 ### 皆で同じ過ごし方をする「協調的セクション」 ここまで、セクションを個人的として扱ってきましたが、実は組織に適用することもできます。 たとえばトリンプの「がんばるタイム」だったり、上述したホワイトスペース本でも「考えにふける時間」が紹介されています。 いずれにせよ、組織内の全員が一斉に取り組むものです。 『仕事術2.0』では、これを **集中時間帯** と呼んでいます。様々な案があり、以下記事にてまとめています。 もちろん、ご自身でオリジナルの時間帯をつくってみても良いでしょう。 # Title: 時間帯を制する者は仕事を制する 「セクションウェア」 **セクション(時間帯)** については、すでに解説しましたが、 個人にせよ、組織にせよ、セクションを上手く運用すると生活も仕事もはかどります。 その際、重要となるのが「セクションは与えられるもの」から「セクションは自分たちでつくるもの」へと発想を切り替えることです。 ## セクションをつくる セクションをつくることを **セクション・デザイン** と呼びます。 現時点では確認されていませんが、将来的にはこれを専任する役割も登場するでしょう。 **セクション・デザイナー** などと呼ばれると思います。 ## セクションウェア つくったセクションを整理したものを **セクションウェア(Sectionware)** と呼びます。 プログラマーはソフトウェアをつくりますが、 セクション・デザイナーはセクションウェアをつくります。 ### セクションウェアの構成要素 セクションウェアは以下を含みます。 * 名前 * nつのセクション * 概要やコンセプト * 対象者や非対象者 * 適用日 ### 例: 単純なセクションウェア 単純な例として、「典型的な社会人の時間割」というセクションウェアを見ていきましょう。 まず **名前** は「典型的な社会人の時間割」です。 次に **セクション** としては以下を含みます。3つありますね。 * 「午前」 * 9:00 ~ 12:00 * 業務的拘束がある、業務を行う * 「昼休憩」 * 12:00 ~ 13:00 * 業務的拘束がある、業務はしなくてよい * 「午後」 * 13:00 ~ 17:00 * 業務的拘束がある、業務を行う **概要やコンセプト** としては、次のようになります。 * 昭和時代から採用されてきた、典型的なセクションウェア * 一方で、現代はVUCAかつ多様な時代であり、働き方ももっと融通を利かせるべきである * そのための現状認識として、改めて言語化・整理したのがこのセクションウェアである **対象者や非対象者** は、以下のとおりです。 * 対象者 * リモートやフレックスに馴染みがない、すべての会社員 * 新しい働き方を模索している人 最後に **適用日** ですが、以下のとおりです。 * 適用日は営業日である ## セクションウェアは共通言語 上記の例を見ると、ただの言葉遊びに見えるかもしれませんが、違います。 セクションウェアは、 **働き方を変える議論を行う際の「共通言語」として使えます** 。 働き方の主な構成要素は時間帯です。その時間帯を、セクションウェアという形で明示的に捉えて、これを用いて議論を行うのです。プロトタイプという言葉がありますが、まさに **プロトタイプの一種と言えます** 。 セクションウェアがあると、 **働き方を変える議論≒セクションを操作する議論** になります。 上記の「典型的な社会人の時間割」にしても、ではどのセクションをどう変えるのかとか、どんなセクションを増やせばいいか、減らせばいいか、はたまた順番を変えればいいか、といった形で議論ができます。 ## セクションウェアをつくるためのヒント集 最後に、セクションウェアをつくるためのヒントを雑多に紹介します。 ### セクションの種類や性質を知る どのようなセクションが存在するか、またつくれるかは、一から考えるよりも既存を知った方が早いです。 下記記事にて、いくつかの観点で取り上げています。 「セクション」なるものの理解を深めてください。ある程度深めてから、つくりにいった方がつくりやすいはずです。 ### セクションは多層になる セクションは **多層として扱った方が、融通が利く** と思います。 たとえば「就業」というセクションは、大部分の人にとって避けられないものしょう。これは **変えられない制約(必須セクション)** として受け入れてしまいます。 その上で、 **その内部を** どうデザインするかを考えれば良いです。たとえば「午前」「昼休憩」「午後」とする「典型的な社会人の時間割」はすでに述べたとおりです。 この「午前」セクションも、さらに内部はデザインできます。たとえば * 「今日やることを考える」 * 30分 * 「創造的な仕事をする」 * 1時間 * 「休憩とか雑談とか」 * 30分 * 「作業的な仕事をする」 * 1時間 このようにデザインすれば、メリハリを持って過ごせるようになります。 上手くいかないなら、このセクションウェアをベースにして微調整すれば良いです。時間を伸ばしたり、減らしたり、要らないセクションを消したり、新しいセクションを増やしたり、あるいは並び替えたりするかもしれません。 ### セクションと予定は違う よくある疑問が「予定との違いは?」ですが、違いはあります。 カレンダーなどで扱う予定は受動的ですが、 **セクションは自らが定める能動的な** ものです。 また、予定は「~~をするための時間」ですが、セクションは「~~をするための時間 **帯** 」であり、単位感が少し大きいです。 たとえば予定を扱うセクションウェアをつくるとしたら、次のようなものがつくれます。 * 「ひとりでがんばる」 * 9:00~11:00 * この間は一切の会議を受け付けず、コミュニケーションツールも見ない * スケジュール上もブロックされており、他人が予定を差し込めないようになっている or 差し込んでも無視する * 「コミュニケーションする」 * 11:00~12:00 * 会議は受け付けないが、コミュニケーションツールは見る * また雑談もする * 「昼休憩」 * 12:00~13:00 * 「予定をこなす」 * 13:00~17:00 * 会議を受け付ける * むしろ会議はこのセクションで集中的にこなす * 「整理」 * 17:00~17:30 * 休憩しながら今日と明日の整理をする * 会議は受け付けないが、コミュニケーションツールは見る 「予定をこなす」セクションには複数の予定が入ります。 # Title: 「仮想デスクトップ」 ディスプレイが無くてもn枚にできます 画面の大きさと枚数は、仕事の生産性や快適性に絡みます。 しかし、大きな画面や複数枚のディスプレイを用意できるとは限りません。 幸いにも、擬似的に画面をn枚に増やせる機能が Windows にも Mac にもあります。 ※本記事はWindows11を対象にします。 ## その名も『仮想デスクトップ』 **仮想デスクトップ** という機能です。 ![](/assets/n858da42b1259_1727318611-T90w8KLthZzAE6q17CRDcIFH.png)これは画面一覧から切り替えようとしているところ。 今、皆さんがパソコンで見ている画面には一枚のデスクトップが表示されているはずです。壁紙があって、アイコンが並んでいて、タスクバーが(人によりますがたぶん)下にあるでしょう。 この単位を「画面」として、この「画面」を擬似的にn枚に増やせるのが仮想デスクトップです。 たとえば画面1ではExcelを開き、画面2ではブラウザを開き、画面3ではゲームを開く、みたいなことができます。 Excelでの作業に集中したいときは画面1を開きます。このとき、ブラウザやゲームは(タスクバーにも)表示されないので、Excelに集中できます。 調べ物をしたくなったら画面2でブラウザを使えばいいですし、ゲームをしたくなったら画面3に切り替えればいいです。また、調べ物しながらExcelを使いたいなら、ブラウザを画面1に入れればいいでしょう。融通も利きます。 ## 仮想デスクトップのメリット 次のとおりです。 * 作業領域を画面レベルで分割できる * これにより各画面がスッキリしますし、余計なものが目に入らないので集中もしやすくなります * 隠せる * 上司や同居人などに見られたくないものがある場合、画面1に集めておいて、見られそうになったら画面2に切り替えることで隠せます * 同じディスプレイで画面を切り替える統一感がある * 横のディスプレイを見るために首を曲げなくてもいい → 肩こり軽減 * ディスプレイごとの見た目の違いもない → 設定の手間もないし、目の負担も小さい 逆にデメリットもあります。 物理的なディスプレイを複数枚並べたり、大きなディスプレイを使うよりはやはり不便です。切り替える度に一覧画面からの選択(クリック)やショートカットキーの押下が必要だからです。 ## 仮想デスクトップの始め方 マウス派とキーボード派、どちらにも対応しています。 ### マウス派 **タスクビュー** を使います。 ※以下、タスクバーが下に配置されている前提で解説します。 これは画面の一覧を表示するボタンです。 有効にすると、以下のように左下のWindowsボタンの横に表示されます。 ![](/assets/n858da42b1259_1727314418-2fpgc4L6Mez53SrGh0aD7wOI.png)隣にある白と黒が重なったやつ。 有効にする方法は、以下のように「設定」からオンにします。 設定 > 個人用設定 > タスクバー、からたどり着けると思います。 ![](/assets/n858da42b1259_1727314477-CiN0uZySwKRF6BJLkMgT1Dq9.png)タスクビューをオンにする。 ### ショートカットキー派 まずは操作を理解しましょう。以下の操作があります。 * 画面の一覧を表示する * 画面1~3がある場合、3枚を俯瞰できます * 全体俯瞰をしたり、特定の画面に切り替えたりします * 画面を増やしたり減らしたりもできます * 特定のウィンドウを別の画面に移動できます * 隣の画面に移動する * 画面2から右に移ると画面3、左に移ると画面1に移ります * 左端から右端へのワープはありません * 新しく画面を増やす * 画面1,2,3がある場合に増やすと、画面3の隣に画面4ができます * 画面を消す * 画面1,2,3がある場合に消すと、右端の画面3が消えます 次にショートカットキーです。 * 画面の一覧を表示 * **Windows + Tabキー** * 隣の画面に移動する * **Ctrl + Windows + →キー** * **Ctrl + Windows + ←キー** * 新しく画面を増やす * Ctrl + Windows + D * 画面を消す * Ctrl + Windows + F4 基本的には、太字部分の2つの操作があれば物足ります。 残る下2つの操作は、画面を増やしたり消したりする機会が多い人には役立つかもしれません。 一応、Microsoft公式の解説記事もあります。 以降では実践的なトピックを扱います。 ## 仮想デスクトップの運用例 ### 2枚の場合 画面が多すぎてもかえって混乱するので、まずは2枚で試すと良いでしょう。 パソコン上で行う **作業を二分** して、それぞれに画面をあてるのが良いです。たとえば、 * 「書く」と「読む」 * 「仕事」と「遊び」 * 「直接作業」と「間接作業」 * 「ひとりでできるもの」と「コミュニケーション」 別の分け方として、 **仕事や作業単位で分ける** こともできます。 * 「仕事1」と「仕事2」 * 「手慣れてるいつもの仕事たち」と「最近やってる新規事業検討」 ### 3枚の場合 画面が3枚あると、分け方にも融通が出てきます。 扱うアプリの性質ごとに分けると、自然に上手くいくことが多いと思います。たとえば、 * 「1 書く仕事」と「2 ブラウザ汎用」と「3 コミュニケーションツール」 * 3はメールやチャットなどです。ブラウザを使うこともあります * 2は、3以外の用途です。調べ物だったり各種SaaSツールだったりするでしょう * 1がメインで、資料なり何なりをつくる集中エリアです * 「1 汎用」「2 Teams用」「3 ChatGPT用」 * 2と3は大胆にも **1画面1アプリ** としています * 本当によく使うアプリや使いたいアプリは、1画面ごと専有してしまう方が使い勝手が良かったりします また、3画面あると、画面の並べ方にもバリエーションが出てきます。 以下はどれも違うものです。 * パターン1: 「1 汎用」「2 Teams用」「3 ChatGPT用」 * パターン2: 「1 Teams用」「2 汎用」「3 ChatGPT用」 * パターン3: 「1 Teams用」「2 ChatGPT用」「3 汎用」 特に **ショートカットキーで隣の画面を行き来する場合、隣に何があるか次第で作業効率や快適性が変わってきます** 。 上記でいうと、パターン2は真ん中に作業エリアを置いていて、左右に行き来できるようにしていますね。 この感覚は本当によって違ってくるので、ご自身に合った並べ方を模索してください。パターン1が良い人もいれば、パターン3が良い人もいます。パターン2は馴染むけど、パターン3にした途端混乱するようになったし中々慣れない……なんてこともあります。 **自分にとって親しみやすい並べ方がある** ので、それを探り当てられるとグッドです。ありつけない人はドンマイですね。 ### 4枚の場合 2枚のときは仕事を二分したり、作業単位でまとめていました。 3枚のときはアプリ単位で束ねていました。 4枚になると、かなり枚数が多いので、かなりの融通が利きます。 上記の両方を取り入れることができます。 その分、画面の把握や切り替えが煩雑になるので注意してください。 **2枚や3枚でやってみて、どうしても足りないという場合に手を出すのが良い** でしょう。迂闊に手を出しても、持て余すだけです。 ### 枚数を固定しない運用 ここまで画面の枚数を固定する前提でしたが、固定しない運用もあります。 思いついたときに画面を増やしたり、要らない画面が目についたら消したりします。このやり方が性に合っている人もいると思います。 ポイントは **画面の一覧を使わずに** 素早く増やしたり消したりできるか **、** つまり **ショートカットキーを使いこなせるかどうか** です。 素早く操作できないと、軽々しく増やしたり減らしたりするための腰が上がりにくくなります。この運用がしたいなら、まずはショートカットキーを身につけてください。0.x 秒レベルでホイホイとこなせるくらいを目指したいです。そして、画面の一覧に頼らずとも管理できるようになってください。 ※もちろん個人差があります。画面の一覧を使って、この運用を行うことも(定着はしづらいとは思いますが一応)可能です。 ## より快適に使うための設定やコツ ### アクティビティの履歴を非表示にする 仮想デスクトップを使い始めると、何やら履歴が表示されている部分が目に付くと思います。 これはノイジーだと思いますので、気になる人は非表示にしましょう。また、気にならない方も、特にこだわりがなければ非表示にすることをおすすめします。気が散る要因になるからです。 手順は以下のとおりです。 * 非表示にする * 設定 > プライバシーとセキュリティ > アクティビティの履歴 * 「このデバイスでのアクティビティの履歴を保存する」をオフにする * すでに表示されている情報を消す * 同上、履歴のクリアボタンを押す ![](/assets/n858da42b1259_1727316909-vxdH3YeKZNmjVo0gEfy71542.png)Windows11ではこんな設定画面のはず。 Windows10の場合、またアクティビティそのものについて知りたい人は、以下記事などを参照してください。 ### 同じアプリを複数の画面で使っても良い たとえばブラウザは画面2に入れる、Excelは画面1に入れる、といったように **同じアプリを同じ画面に入れようとするのはあるある** ですが、実はその必要はありません。 ●●用のExcelを画面1に、▲▲用のExcelを画面2に入れる、といったように分けても問題ないのです。 ※ただしアプリによって、別画面に分かれていると問題が起きることもあります。基本的には問題無いはずなので、まずは試してみて、ダメならやめるくらいで良いでしょう。 この固定観念はハマリがちなので、一度疑ってみてください。 特に仮想デスクトップは、どこに何を置くかを遠慮なく最適化していかないと中々馴染みません。こういうところの差で馴染むか馴染まないかが分かれたりします。 ### どの画面に何があるかを覚える必要はない 好みがわかれますが、必ずしもどの画面に何があるかを覚えておく必要はありません。というのも、 **画面の切り替えでテキトーにザクザク漁ってその場で思い出せばいい** からです。 感覚的には、3枚以内の場合は、タスクビューでマウスで切り替えるよりも、ショートカットキーで左右を行き来して「あ、あった」と思い出す方が早いです。 ## おわりに 良い仮想デスクトップライフをお過ごしください! # Title: 「ワーキングメモリーのABC」 短期記憶が苦手な人はどこが苦手なのか 短期記憶が苦手な人(ワーキングメモリーが少ない人)は多いと思いますが、具体的にどのあたりが苦手なのかがわかれば対策できるかもしれません。 あたりをつけるための観点として **ワーキングメモリーのABC** があります。 ## 前提知識: チャンクとは 前提知識が一つ必要なので取り上げます。 **チャンク(Chunk)** とは「覚える事柄の一つ分」を示す単位です。 以下の番号を見てください。おそらくチャンクは 7 になると思います。 * 472-7371 では、以下はどうでしょうか。 * 123-4567 * 072-4545 123-4567のチャンクは 1 か 2 だと思います。「1から順に並んでいる」のような捉え方ができるからです。 次の072-4545は、下ネタがわかる人なら、同様に1~2チャンクで捉えられるでしょう。そうでなくとも、後半は「4545」と覚えやすいので1チャンクで捉えて、前半は1文字1チャンクで、計4チャンクで済むかもしれません。 また、見たものを画像として記憶できる方は、ひょっとするとどの数字であっても1チャンクになるかもしれません。 ## ワーキングメモリーのABC ワーキングメモリーのABCとは、チャンクという観点から短期記憶を捉えたものです。 それぞれ以下のとおりです。 * A: Ability * チャンク化能力 * なるべく大きなチャンクを捉える能力 * B: Bind * チャンク束縛力 * 一度頭に浮かべたチャンクを、そのまま維持し続ける能力 * Bindは「束縛する」の意 * C: Capacity * チャンク容量 * チャンクを何個まで覚えておけるか * いわゆるマジックナンバー(一度に記憶できる数字は7±2個くらい)は、この容量を指していると思われます 短期記憶が苦手な人は、ABCのうち、どこが苦手でしょうか。 もう少し詳細を見ていきます。 ### A Ability チャンク化能力 なるべく大きなチャンクを捉える能力です。 たとえば、072-4545 を少ないチャンクで捉えられるかどうかです。 容易に想像できるとおり、 **知っているかどうか、また記憶として定着しているかどうか** に左右されます。日頃から下ネタの語呂を使っている人は、ほぼ一瞬で記憶できたはずです。逆に、縁が無い人は覚えづらかったと思います。 apple, peach, banana という単語も、英語を全く知らない人にとっては覚えづらいはずですが、知っている人なら覚えやすいはずです。知っていればりんご(🍎)、桃(🍑)、バナナ(🍌)で3チャンクですが、知らなければアルファベットで覚えることとなり、10 チャンクを軽く超えてしまいます。 やはり短期記憶の良し悪しは、知識がものをいいます。 また、知識として知ってはいても、すぐに引き出せなければあまり意味がありません。この場合、本当に短期記憶を上げたいのなら、その対象、その分野について復習やリハビリをして思い出しやすくするのが良いです。 もう一つ、丸ごと画像化したものを1チャンクにして覚えてしまうという荒業もあると思われますが、本記事では割愛します。 ### B Bind チャンク束縛力 一度頭に浮かべたチャンクを、そのまま維持し続ける能力です。 集中力や少ない人や注意力が散漫な人は、これが弱いです。 意志が強い人は、これが強いです。 一つの目安はテストでしょう。 定期テストでも、IQテストでも TOEIC でも何でも構いませんが、机について、ただただ問題と向き合う、あのテストです。あの状態で、短期記憶のテストをするとして、ベストパフォーマンスを出せるでしょうか。体調や心配事は問題ないとします。 問題無い人は「楽勝」「まあできる」などと考えます。 一方で、「いやいやできるわけがないでしょ」や「音楽流しながらだとできる」などと考える人がいたら、残念ですが束縛力は低いと思います。 顕著なのは、ADHDの一部に見られる多動性や注意散漫によるもの、あるいは純粋に疲労やストレスや栄養不足などによる低下によるものです。 束縛力をカバーするには二つです。 * 1: 体調を良くする * 2: 気が散らない程度に刺激を加える しかし、脳の特性もありますので、苦手な人はとことん苦手です。ある種、才能のようなもので、チャンク化能力(A)と比べるとずいぶんと残酷だと思います。 ### C Capacity チャンク容量 チャンクを何個まで覚えておけるか、という話です。 一般的には7±2個か、最近では3~4個との説も聞きます。これらは短期記憶やワーキングメモリーと聞いてまず浮かべるものだと思いますが、ABCにおけるCでしかありません。 すでに述べたとおり、 **C以外にもAとBがあります** 。 そして、C自体は変えられません。科学や技術が進めば今後はわかりませんが、現時点でCを上げたり下げたりすることは出来ないと思います。できるにしても、おそらくA(チャンク化能力)やB(束縛力)が向上しているだけだと思います。 ## まとめ というわけで、短期記憶の無さに悩んでいる人は、ABCの観点で見直してみてください。 といっても、結局誰もが薄々知っていそうな現実を改めて突きつけられただけだと思いますが……。 身も蓋もないことを言えば、そもそも **短期記憶が通用しない場面において、短期記憶を鍛えようとするその努力の方向性が間違っていると思います** 。 短期記憶を使わず済むような道具を使ったり、仕組みを考えたり、あるいは向いてないからと離れたりするべきでしょう。単純な例ですが、買い物一つ取ってみても、わざわざ頭で覚える必要はなく、買い物リストを作ればいいだけです。 # Title: チームワークだけでなくソロワークも 現代はチームの時代であり、チームワークは必須とされます。 一方で、チームワークだけでは限界も見えてきています。 これをカバーするための、新たな過ごし方として **ソロワーク** があります ## チームワークは試合 チームワークは、言わば試合のようなものです。 チームで過ごしているがゆえに **場の空気** が存在し、従わねばなりません。管理や協調の仕方は色々ありますが、本質的には、前進するためには何らかの指針があり、皆がこれに従っています。 しかし、試合ばかりしていると融通が利きません。 日々の練習やトレーニングも大事でしょう。特にスポーツはわかりやすいはずです。アスリートは試合ばかりしているわけではなく、試合の裏で膨大な練習とトレーニングをこなしています。 無論、アスリートと私たちを同一視できるほど単純ではありませんが、 **試合以外の過ごし方も必要そうだ** との本質はわかると思います。 ## チームワークの弊害 チームワークは試合です。 ゆえに、チームワークばかり行っている現代は、 **試合ばかり行っているようなもの** です。 そのせいで様々な弊害が出ています。大別すると以下の2つでしょう。 * 1: 木こりのジレンマ * 忙しさを理由にやり方を変えようとしない * 2: 余裕のなさ * 余裕がないため、融通が利かない 2: については、ホワイトスペース本が特にわかりやすいと思います。 ## そんな現代こそソロワークを **ソロワーク** とは **ひとりで行う活動** を指します。 ひとりでじっくり考えたり、つくったり、あるいは整えたりするための活動です。 ### ソロワークはチームワークの弊害を潰す ソロワークによって、チームワークの弊害をカバーできます。 まず純粋に各自で動ける余裕がありますから、自分やチームを鍛えたり、やり方や考え方を変えたり、新しいことを試したりできます。 また、いざというときの融通も利きやすくなります(ソロワークの時間を急遽チームワークに戻すことにはなりますが)。 次に、ソロワークによって様々なアウトプットとそのフィードバックが出るため、個人も組織も強くなります。チームワークのみで前進するよりは歩みは遅くなりますが、広がりと深みをもたらせます。我慢しながら数をこなすだけの、奴隷のようなあり方から脱しやすくなります。 ### 誤解1: プライベートで各自がやるものではない 非常に誤解されやすいのですが、プライベートの時間でやろうというのではなく、業務時間中に行うものです。 現在は業務時間≒チームワークですが、 **この配分を減らして、ソロワークに充てます** 。 ![](/assets/n99dfcbf9d1fd_1727401959-HDIvuoZPrGMT8bAhQ7cL9dO5.png)ソロワーク(練習やトレーニング)の配分を増やす。 ### 誤解2: 個人ワークではない もう一つ、よくある誤解を取り上げます。 「別に今でも個人で作業する場面は普通にあると思うが……」 もっともな疑問ですが、これもよくある誤解です。それはただの個人ワークであって、 **チームワークの一環として、一時的に一人で動いているだけ** にすぎません。 野球でたとえると、試合中にピッチャーがひとりで投げていても、それは試合の最中にひとりで動いているだけあって、やはり試合です。 そうではなく、試合以外にも、ちゃんと練習やトレーニングの機会を設けようと言っています。 ## ソロワークの三要素 ソロワークとして行う活動は、以下の3要素に分かれます。 * **内省** (ないせい) * 考える * 自分なりにやり方やあり方や過ごし方などを考えること * **自製** (じせい) * つくる * 道具、仕事のやり方や考え方、知識やスキルなどをつくること * 「増やす」と捉えた方がわかりやすいかもしれません * **摂生** (せっせい) * 整える * 心身を整える 最後の摂生は、必要性がわかりにくいので補足します。 そもそも試合(仕事)ばかりしている人がそうしてしまうのは、心身が脆いからです。 脆すぎるがゆえに、立ち止まったり、やり方を変えたり、新しいことを試したり考えたりといったことができません。こういったことを行えるだけの体力や精神や余裕がないのです。その結果、 **目の前の慣れた仕事をこなすことしかできなくなります** し、実際そうなっています。 そして、それを資本主義的価値観で正当化するのです。 要は信者であり、搾取されているようなものですね。 ※これ自体の是非は扱いませんし、扱うものでもありません。人生など好きにすればいいのですから。 というわけで、ソロワークを行えるだけのリソースをそもそも確保せねばなりません。摂生という要素が入っているのはそのためです。 ## ソロワークでもアウトプットは出す ソロワークは練習やトレーニングに相当するものだ、と書きましたが、 **ソロワークでも仕事のアウトプットは出します** 。 チームワークではしばしば「皆で一緒にアウトプットを出す」営みが行われがちですが、これにはコミュニケーションコストがかかります。仕事した気にはなれますし、責任の所在も細工できますが、生産性や生産的満足感は出ません。 わかりやすいのは、学校の学級委員でよくある「クラスメイト全員を拘束して」「その場で全員から意見を募りながら」「意思決定をする」場面でしょう。これと同じようなことが、ビジネスでもよく起きています。 そうではなく、 **ソロワークでアウトプットを出して、それをチームワークで揉む** ようにするのです。 資料作成と発表の例がわかりやすいと思います。皆で一緒に資料作成していてはらちがあきません、なので誰かがつくってしまって、それを皆に見てもらいますよね。 先ほど配分の話をしましたが、この点もまさにそうで、仕事全体のうちチームワークが占めている部分を減らして、ソロワークを増やすのです。 当たり前のことを言っているように聞こえますが、そのとおりです。しかし、チームワークに頼りすぎていて、少なくない弊害が出ている(何なら気づいていない)この現状はあまりに目に余るため、こうしてソロワークなる概念を立ち上げています。 ## おわりに ソロワークはパラダイムシフトです。 チームワーク100%――つまりは試合100%なあり方に替わる、より融通が利き、個人と組織の底力も上げていける働き方です。 ぜひ意識して、取り入れてみてください。 また、『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』では様々な仕事術を紹介しており、皆さまのソロワークにおいても役立つかと思いますので、ぜひ漁ってみてください。 ## (関連記事) コアタイムの概念を借りると、ソロワークは理解しやすいと思います。 コアタイムとは皆が同座している時間帯であり、チームワークの時間と言えます。であるならば、ソロワークについても、適切な時間帯なるものがあるはずで、それがフリータイムとなります。 # Title: 仕事術2.0を眺めたい、読み漁りたい 当サイトの漁り方をまとめています。 ## 記事一覧から [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20&context=note&mode=search) 人気・新着・急上昇などで並び替えたり、キーワードで検索できます。 週単位で記事のまとめをつくっており、記事を俯瞰したり、前後の週を行き来したりできます。 ## 🤖AI に尋ねる 当サイトの内容を学習したチャットボットをつくっています。 チャットでAIに尋ねる形で、仕事術2.0を知ることができます。 ## 📒滝を眺めるように眺める Article Cascade をつくっています。 記事一覧が滝のように流れてくるというものです。見たい記事を見に行くこともできます。 ## (リンク集) * [ホームページ](https://note.com/workhack20) * [当サイトについて](https://note.com/workhack20/n/n0a664f58012d) * [『仕事術2.0』自体について](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1) # Title: 「フレキシブル・ハイブリッドワーク」でさらに融通を利かせる ハイブリッドワークとは、「週2日出社」のように **出社タイミングを一律で定める** 働き方を指します。 いかにも「リモートと出社の両方に配慮してますよ」感を出していますが、まだまだ出社寄りのやり方であり、融通が利きません。 この問題を解消するのが **フレキシブル・ハイブリッドワーク** です。 ## ハイブリッドワークの問題点 ### 融通が利かないこと ハイブリッドワークは、関係者全員に一律的な出社タイミングを課します。 たとえば毎週金曜日は出社せよ、などとします。数字で見れば週5日のうちの1日ですが、だからといって無闇に許容すればいいものでもありません。この感覚がわからなければ、 **「もし毎日、90分の定例会議があったら」と考えてみてください** 。1/5 の時間なので本質的には同じです。 たとえ 1/5 であっても、意外と融通は利きません。 まず仕事や生活の全体を、 **この 1/5 のイベントに合わせなくてはならない** からです。少なくとも週一で参加(出社)しなければならないため、オフィスから離れた遠方に住むことすらできません。出張すれば可能ですが、交通費や宿泊費もばかになりませんし、そもそもそんな太っ腹なケースはあまりないでしょう。 また、 **「その日は参加することが当たり前」との合意が事実上形成されてしまい、情報格差が生まれます** 。情報格差をなくすためには、参加した側が、しなかった側のための整備をせねばなりませんが、参加が是との合意があるため、しなくなります。 そういうわけで、ハイブリッドワークは、まだまだ出社寄りに偏ったあり方でしかありません。 ### Q: 個別に配慮すればいいのでは? ここで「そんな大げさな。もちろん事情があれば配慮するでしょ」と思われるかもしれませんが、意外とそうもなりません。 多様性として認められるのは「典型的な多様性」であることが多いからです。 典型的じゃない、マイノリティ側の人達は痛感していると思います。特に日本は思っている以上にルールと和を重視しますから、個別の配慮は中々勝ち取れません。 たとえば、 「金曜は華金で早く上がって遊びたいから、通勤時間を要する出社は嫌です」 「この華金は私の QoL にとって非常に重要です。ネガティブに捉えられることはわかっていますが、それでもこうして相談するほどに重要なんです」 は許容されないでしょう。 返しとしては、おそらく「会社としての方針だから」のような言い方が来ると思います。従業員よりも会社を優先しているわけです。 会社のあり方は千差万別ですが、従業員を尊重することは現代ではもはや前提だと思います。仮に「社員を大切にする会社です!」のようなアピールをしている企業がこの程度だとしたら、鼻で笑われてもおかしくないほどの有り様です――し、実態としてはそんなものだったりします。 ## フレキシブル・ハイブリッドワーク ハイブリッドワークなどという融通の利かないやり方しかできないのは、他のやり方や考え方を知らないからです。 『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』は、そんな皆さまのために様々な仕事のやり方や考え方を開発・紹介しています。今回は **フレキシブル・ハイブリッドワーク** を紹介します。 **フレキシブル・ハイブリッドワーク(Flexible Hybrid Work, FHW)** とは、以下の働き方を指します。 * 出社の回数は決まっている * 週に1回、月に4回など * 人によって回数を変えることもできる * 同じ人であっても変えて良い * **出社タイミングは決まっていない** 表で整理すると、次のとおりです。 ![](/assets/n2a38c881f54b_1727418726-0ivBJL4CcWzotj12TI3HR5Xg.png)フルリモートほどではないが、単なるハイブリッドよりは融通が利く。 重要なのは **出社タイミングという観点** です。融通を左右するファクターに注目し、ここを緩和しています。 ※この観点はフルリモートでも顔を出します。フルリモートであっても、たまに(まれに)出社タイミングを指定したイベントを定めることはよくありますが、これは融通が利かないのです。実質的に、参加できる人しか想定されていません。ここさえも緩和したのが **スーパーフルリモート** ですが、本記事では割愛します。 ### Q: NTTコミュニケーションズの用語と同義? Ans: 違います。 フレキシブル・ハイブリッドワークという言葉はNTTコミュニケーションズも扱っています。 ですが、これは単にフレキシブルワーク(自分で時間と場所を決めて働く)にハイブリッドワークを混ぜて、かつその手段として同社のサービスを盛り込んだ営業用の用語にすぎません。 そもそもフレキシブルワークがしたいなら、ハイブリッドなど要りません。自由に時間と場所を決めたいなら、上述したスーパーフルリモートで済みます。フルリモートも出社が「不要」と言っているだけで、別にしたい人はできます。 いくら技術的手段が揃っていても、文化的または政治的な理由で出社寄りのあり方になります。ハイブリッドワークが現にそうなっています。 これに抗うためには、本記事が扱うFHB――出社タイミングをこりほぐすあり方が必要なのです。 ## FHWを実現する FHWを実現するためには、諸々のハードルを越えたり迂回したりする必要があります。 どうやっていくか、特にどのような考え方をするかを解説します。 ### そもそもなぜ出社タイミングを定めるのか? 理由は単純で、 **皆が集まらないと・居ないと意味がない** からです。 よくある声が「せっかく出社したのに誰もいないんだが……」ですが、こういうことをなくしたいわけですね。 会議がまさにそうですが、毎回調整するとかえって手間なので、定例会議にしてしまいます。同様に、ハイブリッドワークでも出社タイミングを定めてしまうわけです。 では、皆で集まりたがるのはなぜでしょうか? * [グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)がしたいから? * 対面で濃厚な議論がしたいから? * オフィスの雰囲気や設備で生産的に or 気持ちよく働きたいから? **そういったことは皆が集まらないとできないことなのでしょうか?** **答えはNoです。** 昔はYesでしたが、現代は違います。技術も方法も揃っていますし、何なら新しいやり方や考え方をつくれば済むことです。そういった視座を持たず、従来の原始的なあり方にいつまでもこだわっているから、一向にできないのです。 ### タイミングを合わせなくても良いようにする 皆が集まらないとできない=皆を合わせないとできない、というあり方を **拘束的なパラダイム** と呼びます。レトロニムです。 レトロニムということは、これ以外の、新しい概念があるということです。それが **脱拘束的なパラダイム** です。 脱拘束については以下記事で紹介しています。 要は、拘束なしでも上手くやるためには、それ相応のやり方と考え方を採用する必要があります。 抜本的にデジタルのあり方にシフトするパラダイムをDXと呼びますが、似たような転換です。 たとえば、非同期コミュニケーションの部分におけるシフトが **AX――Async Transformation** です。 やり方と考え方と書いてきましたが、重要なのは考え方です。 やり方自体はすでに揃っています。その活用と推進を邪魔しているのは出社至上的な価値観です。文化や政治にも絡んでくるこれらを変えることは不可能でしょう。 だからこそ、新しい考え方を導入する必要があります。『仕事術2.0』が導入しようとしているのが、上述した脱拘束です。 ### 例 グルーミングを例にして、ただのハイブリッドワークのときと、FHWのときとで、どのように実現するかを比較します。 グルーミングについては以下記事を参照してください。 まずハイブリッドワークのときは、出社タイミングを定めた上で、そこにグルーミングのイベントを置きます。全社的なイベントもあれば、グループ内部の定例的なイベントもあるでしょう。 いずれにせよ、グルーミングをするために、このタイミングで集まれよと拘束を課すわけです。 次にFHWのときにどうなるかを見てみましょう。 まず出社が必要なイベント自体は開催しますが、参加は強制ではありません。 **できない人、やりたくない人、あるいは普段はできるけど今回はだるいからやらない人は参加しなくても構いません** 。 ただし、これだと参加した人としていない人とで格差が生じます。親密格差とでも言えばいいでしょう。おそらく、参加している人達は、同様にしている人達を優遇するはずです。これが積もると結局情報格差が繋がります。グルーミング用の出社イベントに参加した方が有利になってしまうのです。 これを防ぐためには、情報格差を防ぐ仕組みが必要です。仕事や会社の情報は、 **全部社内のオープンなシステムに出す** ようにして、そこで日々やりとりをします。 ![](/assets/n2a38c881f54b_1727421095-Yc4x1SGIJ9olT3dX7sCkRyUf.png)こうではなく(あるいはこうしてもいいが)、![](/assets/n2a38c881f54b_1727421120-G9Uz0RwO1qi3PtQvgymNj6fC.png)こうします(少なくともこうはします)。 後者の形で出すようにすると、仲の良さとか、親近感とか、好き嫌いといったものに左右されなくなります。システム上に出しておけば誰でも読めますし、ここでやりとりもできるからです。 情緒ではなく情報を扱って仕事ができます。別の言い方をすると、 **グルーミングが仕事の必要条件ではなくなる** のです。 別にグルーミングしたい人はして構いません。ただ、それを必須にするのではなく、仕事の分はちゃんとシステムに出しておけよ、というわけです。この考え方は最近、以下記事でも書きました。 別解として、たとえば全国に拠点のある大企業の場合は、無理して一箇所に集まらずとも、 **拠点であればどこに出社しても良い** ようにすることもできます。 勤務地のルールくらいは変えられるはずですし、拠点間をシームレスに繋げる製品もあります。 そもそもリアルにこだわる必要もないでしょう。バーチャルオフィスは色々とありますし、マインクラフトのようなゲームもあります。 リアルで出会えないと満足できない人もいるでしょうが、誰しもが本当にそうでしょうか。 **そもそもリアルで会わないといけない理由とは何でしょうか?** 別に会わなくても仕事はできますし、信頼関係もつくれますし、満足もできると思います。できないかもしれませんが、やってみないとわかりません。やってみたのでしょうか。ZoomやTeamsをちょっと試したくらいで、やった気になってはいないでしょうか。 と、このようにして、脱拘束でも成立するようなあり方、特に考え方を導いていけば良いだけの話です。 『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』でも様々な考え方を扱っていきますので、ぜひ参考にしてください。 # Title: 超朝型生活のススメ **朝 5:00 に起きて夜 21:00 に寝る** 生活です。 ただしフレックスが可能でリモートワークがメイン(出社は週 1 よりも低頻度)であるか、同等の過ごし方ができることを前提とします。 ## 超朝型のメリット 人の少なさと、静かであることです。 人が少ない: * 昼食が10時、夕食が16時くらいになるので、店の客が少ない * 散歩しても人が少ない * 外も人が少ないので、運動的なアクティビティもしやすい 静かで集中できる: * 朝6時に仕事を始めるとしたら、8時や9時までは静か * メンションや声掛けなどの割り込みが無く、仕事に集中できる * 日中の自宅も静か * 周囲は出社または登校しており、人がいない * ただし場所によります(後述) ## 超朝型のデメリット 多数派の活動時間帯と被らないので機会損失になります。また会議調整面で衝突しやすいです。 会議がすぐ定時外になる: * 仮に 6:00~15:00 で勤務する場合、15:00 からの会議も残業になってしまう * 我慢するか、「定時外なので」「朝型なんですよ」といった説明・説得に勤しむ手間がかかる * 朝型という多様性が通じないことも多いです(下記記事) 夜に盛り上がるコンテンツを味わえない: * 飲み会全般 * 配信者のライブ配信 * また人とも予定が合いづらい * 大半の人は仕事後の夜にプライベートな予定を組む 就寝時間なのに隣人がどたばたする: * 21:00に就寝するが、隣人が朝型でない場合は活発に動かれる可能性がある * 家事をされると最悪 * すべてを終えて夜に帰ってきた後に家事をする人は多い ## 超朝型を実現する ### まずは条件を満たすかを調べる 超朝型を手に入れるためには、以下が必要です。 * 体質が朝型であること * 生活リズムは守る要領があること * フレックスかつリモートワークメインで仕事ができること、また同等以上の自由度があること * 冒頭でも述べたとおりです 体質については、以下を参照してください。 超朝型生活には当然ながら朝型が必須です。 生活リズムの要領とは、たとえば **休日も含めて** 毎日起床時間や就寝時間、食事時間などを固定できるかという話です。 これができない場合、超朝型生活を手に入れるのは厳しいと思います。手に入れた後は固定できなくても良いのですが、手に入れるまでは固定する必要があるからです。 自由度については、冒頭でも述べたとおりです。特に通勤・出社など場所的な拘束、会議など時間的な拘束が多ければ多いほど不利になります。拘束については、以下記事も参照してください。 ### 超朝型を手に入れる 条件を満たしていそうなら、続いて入手に向けて動きましょう。 といっても単純で、 **少しずつ近づけていく** だけです。 たとえば現時点で 7:00~23:00 の人がいるとします。 まずは 6:30 起きを目指しましょう。それが定着したら、次は 6:00 起きを目指します。30分がしんどいなら15分でもいいです。 それこそ、1年くらいかけるつもりでじわりじわりとやってください。 **いきなりはできませんし、正直言って1年で手に入るなら短い方** と思います。 人間関係と同じです。 友人や恋人もいきなりできるものではなく、日々の積み重ねがものをいいます。生活習慣も同じです。超朝型へのシフトも同じです。 ただし、要領を得てきたらペースを上げることはできます。 先ほど定着という言葉を使いましたが、定着とは **休日も含めて一週間の間、一日も欠かさず、自然と行えた状態** を指します。自然というのは無理なくこなせるという意味です。その端的な指標が **「休日も含めて」** です。 習慣に関する本や研究ではよく「3週間」とか「月単位」などといいますが、それはいたずらに範囲を広げているだけです。より重要なのは「休日」など達成しづらい日でも続けて達成することです。 かつ、今回は超朝型に少しずつ近づけていくという文脈なので、「6:30に起きる」「6:15に起きる」など一つ一つの習慣は一週間程度で良いのです。この二つでも、累計すれば二週間ですよね。5:00 に至るまで続けたら、結果的に三週間とかnヶ月も積み上がっています。 そういうわけで、休日込みで、一週間を目安にじわじわと近づいていくのが良いでしょう。 ただし、これは理想の話です。前述したとおり、実際は1年で定着したら短い方、というくらいですので、そうかんたんには行きません。「6:30までは早かったけど、6:00からが厳しくて、もう三ヶ月くらい6:30で止まってます……」なんてこともよくあります。 ## 超朝型を維持するために めでたく超朝型が手に入ったところで、これを維持できるとは限りません。 多くの場合、明示的な努力が別途必要になりますので、ここで取り上げます。 ### 朝型キャラを確立する 朝型という多様性への理解はまだまだ浅いと思います。というより、多様性自体がそうです。 少なくとも言わないと通じないので、まずは言いましょう。かつ、言い続けましょう。 つまりは **朝型キャラを確立して、周囲に知らしめる** ということです。そこまでしてようやく通じるか、それでも通じないこともあります。 逆を言うと、 「そこまでして超朝型を維持したいか?」 はキラークエスチョンです。 もし No の場合、超朝型にこだわる必要性は正直無いと思います。実際、デメリットの項でも挙げたとおり、それなりにデメリットもあります。 どうしてもメリットが欲しい人こそ、超朝型を維持する価値があります。そのためならキャラを確立して、知らしめるくらいはできますし、やろうと思えます。 ### 実は隣人が重要 超朝型生活が壊れる主因の一つが隣人です。 隣人が朝型でない場合、夜間の就寝を邪魔されてしまうことがあります。また、朝型であっても、たとえば畑やガレージがあって朝から作業されてしまうと日中のリモートワークに差し支えたりもしますし、そばに駐車場やコンビニがあると車の出入りがしばしばうるさいです。 こればっかりは隣人ガチャ要素が強く、再現性のあるテクニックは中々言えません。 一つ挙げるとすれば、 **住宅街エリアから都心部に通勤しているサラリーマン** でしょうか。この人達は比較的朝が早いため、夜も早く寝ます。日常的に疲れていて、あまり気力もないので、うるさい趣味を行う可能性も低いです。 ※もちろんゼロではないです。たとえば夜ふかししてボイチャしながらゲームをするとか、鑑賞が趣味で音楽がうるさいとか、リングフィットでどたばたするとかいったことは珍しくありません。 逆に学生や若者が多く住むエリアは避けたいところです。都心部は(高級なエリアでなければ)基本的にここに引っかかってしまうため、分が悪いと言えます。 かといって、田舎すぎても逆に人付き合い(突発的な訪問や会話の開始)がほぼ強制的に発生してしまいます。 そういう意味では、都心部に通える地方都市くらいの場所がバランスが良いでしょう。かつ、学生街でも工業エリアでもない、住宅街であれば理想です。 ### 会議を減らす 超朝型はまだまだマイナーな過ごし方であり、多数派に合わせているとあっという間に壊されます。 特に警戒したいのが会議です。会議は時間を拘束する厄介なあり方であり、昼と夜前半に活動する多数派は、ここに平気で会議を入れてきます。 前述の「キャラの確立」とも被りますが、こちらから超朝型であることや夕方以降は仕事をしないことなどを伝えていかなければ、成すすべもなくやられてしまいます。 **黙っていて状況が好転することはありません。超朝型の領分を乱されないためには、自分で主張しなければなりません** 。 その目安が、会議をどれだけ減らせるかです。 もちろん、会議を減らすということは、その分、別のやり方で仕事に貢献する必要があります。「非同期コミュニケーション」や「現場のスケジュール」を使うようなスタイルになると思います。 このあたりのやり方や考え方は、他にも色々あります。『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/)』がまさに扱っている内容ですので、ぜひ読み漁ってみてください。 ### 夜にしか楽しめない趣味からシフトする 仕事面で上手く調整できて超朝型を維持できるようになったとしても、 **実はまだハードルがあります。娯楽面です** 。 いくら超朝型になれたとしても、娯楽として、趣味として楽しめることがなければくじけてしまいます。特に大半の社会人は、夜が余暇であり、そこを娯楽や趣味に充てていますので、超朝型になることでそれらができなくなるリスクがあります。 なお、ここには人と予定が合わないことも含みます。たとえば同僚や友人と飲みに行けなくなります。 わかりやすいたとえは、 **育児で忙しくて時短勤務している人** です。この人達は夜に遊ぶことができませんが、超朝型も同様、夜は遊べません。 育児であれば子供がいるため我慢しやすいですが、超朝型生活は何もありません。自分の意思だけが頼りになっている状態です。そういう意味では、育児をしている人達よりも分が悪いとさえ言えます。 というわけで、超朝型であっても退屈せずに過ごせる手段も実は重要なのです。これのあたりがつかない人は、おそらく超朝型生活を維持できません。退屈に負けてしまうでしょう。 ## おわりに 超朝型生活のメリデメと導入方法を紹介しました。 超朝型的なライフスタイルが気になっている方の参考になりましたら幸いです。 # Title: 朝型も夜型も多様性 朝型な人もいれば、夜型の人もいます。 しかし通常、どちらか一方だけが優遇されて、もう片方は切り落とされます。これでは組織は堅苦しくなりますし、機会損失も大きいです。 朝型・夜型も多様性として扱い、尊重することでこういった弊害を軽減でき、中長期的にはメリットが大きくなります。 ## 朝型か夜型かを判定するには? まずは個人の目線で、自分または誰かが朝型なのか夜型なのかを知るための話をします。 結論から言うと **自分の身体に聞いてみよ** 、です。 一見すると専門家に頼れば良さそうに思えますが、確実に判定できるほど手法はまだ確立されていないと思います。 仮にあったとしても、はいそうですかと素直に受け入れるのは難しいでしょう。正論や評論が刺さらないのと同じです。 一応、判定方法をいくつか載せてきます。 クロノタイプ判定シート: ピッツバーグ睡眠質問票: これで納得できるなら良いですが、できないと思います。 結局、 **朝型生活と夜型生活のどちらが馴染むかを実際に試してみる** のが一番です。 特に以下三点を意識すると、わかりやすいと思います。 * 頭が働くのはいつ? * 身体が動くのはいつ? * 汗をかくような運動ができるのはいつ? * ガツガツご飯を食べられるのはいつ? 一言で言えば、 **覚醒する(活発になる)時間帯はいつか** とも言えます。 ## 起床と覚醒のマトリックス 朝型夜型を自己判定する際、ややこしいのは「起床時間」と「覚醒する時間」の二つがあることです。 朝型夜型を考えるなら「覚醒する時間」だけで良いですが、 **実際には起床時間の制約が存在することが多い** です。たとえば 9:00~17:00 の会社員であれば、朝の起床が必要でしょう。この点も踏まえねばなりません。 具体的には、以下のようなマトリックスを使うと良いでしょう。 ![](/assets/n7b5a906abe89_1727475159-KgcRLa19ywzk8BDWH7CqJier.png)朝型・夜型で分けていましたが、昼型もあると便利なのでしれっと入れちゃいます。 前提として、 **判定できるのはあくまでも「覚醒する時間」だけ** です。縦軸ですね。仮にあなたが朝型(朝に覚醒する)のであれば、あなたが適しているのは1、2、3のいずれかになります。 続いて横軸、起床時間を見ます。朝型である場合、最も適しているのは朝です。その次が夜です。 最も分が悪いのは昼ですね。なぜかというと、 朝 → 昼 → 夜 → 朝 → …… のループを考えたときに、「昼」からだと、覚醒する「朝」に至るまでに 2 回の遷移が必要だからです。 つまり、以下のとおりです。 * 「朝」 * ⭕0回の遷移。文句なし * 夜 → 「朝」 * 🔺1回の遷移が必要。まだなんとか * 昼 → 夜 → 「朝」 * ❌2回の遷移が必要。遠い…… **2回遷移した先は、本来は睡眠時間に充てねばならない部分です** 。ここで仕事やその他活動をしてもパフォーマンスは出ませんし、心身の健康も損ないます。 この時間帯、つまりマトリックスで❌をつけた部分での活動は絶対に避けたいところです。 仮に、❌の部分で勤務しなければならないのだとしたら、その会社や仕事はやめた方がいいです。でないと、いつまで経っても苦しいだけです。ハンデを背負ったまま生活するようなものです。分が悪すぎる。 ## 朝型偏重の現実 朝型と夜型、そしてマトリックスに書いたように昼型があるにもかかわらず、現実は朝型が重視されます。 典型的な会社の就業時間は 9:00~ 前後でしょうし、IT企業など融通が利くところでも 10:00~ くらいです。 **準備や通勤も考えれば、10 時出社もまだまだ朝型です** 。 一方、編集者や広告業や配信者など、クリエイティブな分野では昼前からの出社や業務開始も多いですが、これは **実は昼型のスタイルです** 。 この分野の人達は夜型を自称することが多いと思いますが、実は昼型が多かったりします。あるいは、夜型の人は(仕事開始時は)マトリックスでいう🔺の状態であり、あまりパフォーマンスが出ません。 本当に夜型を尊重するなら、開始時間はたとえば 17 時や 18 時になります。現在のところ、これを行えているのは(夜勤を除けば)夜のサービス業くらいだと思います。 ## 朝型・夜型を尊重するには? ここまでで情報が出揃いしました。 まとめると、尊重とは以下を指します。 * 朝型・昼型・夜型を「 **いつ覚醒するか** 」として捉えること * 活動開始時間を、覚醒時間に合わせること * 2回遷移した先の時間帯は睡眠時間であり、ここでは活動しないこと つまり、 * 朝型(朝に覚醒する人)は、朝と昼に活動し、夜に寝る * 昼型は、昼と夜に活動し、朝に寝る * 夜型は、夜と朝に活動し、昼に寝る を目指すということです。 ## 細かい話 以降では細かい話を雑多に取り上げます。 朝昼夜型の多様性を考える際のヒントになればと思います。 ### 法律の壁 朝型が偏重されているのは、労働基準法など法律によるところがあります。 明示的に禁止されているわけではありませんが、そもそも朝型を基準に設計されていたり、深夜は割増賃金が必要だったりして、融通の手間もお金もかかるのです。 経営者としては、避けたいのが本音でしょう。たとえば、フルフレックスを導入しているような企業でも 5:00~22:00 まで、などと定めていることはよくあります。 ### 日光の壁 日光を浴びるかどうかが健康に左右することはよく知られており、昼型や夜型は不利だとされています。 実はそうでもありません。どの型であっても「昼」か「朝」のどちらかは含むからです。その時間帯で浴びればいいだけです。 ※ただし「朝」「昼」と時間帯が二つある朝型は一番有利です 不利だと言っているのは、単にその人がずぼらなだけです。昼型の人は昼に、夜型の人は朝に浴びればいいだけです。 ### 不便の壁 交通網が動いていなかったり、店が開いていなかったりして不便を被ることがあります。 これには段階が二つあって、 * lv1: 早朝や夜間 * lv2: 深夜や超早朝 lv1 の場合は、(田舎でなければ)交通網はまだ動いています。 界隈やコミュニティも合ったものがあります。早朝に活動するコミュニティもあれば、深夜に活動するコミュニティもあるからです。 問題となるのが lv2 で、lv1 よりもグンと不便になります。人も少なく、暗いため、治安も悪くなりがちです。 この時間帯とかち合うのが「昼型」と「夜型」です。逆に、かち合わなくてもいい「朝型」は、この点では有利です。 ### コンテンツや体験の偏り 店舗の形で提供されるサービス全般は、基本的に朝と昼しか使えません。一方で、夜に開始するサービスは、夜しか使えません。 YouTuber やストリーマーなど配信者は、夜が盛り上がります。朝型の人は就寝時間なので、ライブ配信を追いかけるのが難しいでしょう。 また、社会人向けのイベントやコミュニケーションも全般的に夜になりがちです。これは現状が朝型偏重で、社会人たちが日中働いており、その後つまりは夜が余暇になるからです。 と、このように、活動やコミュニティによって「どの時間帯に集中しているか」が偏っています。朝型だと夜型の世界は味わえませんし、逆に夜型だと朝型の世界を味わえません。無理して味わいに行くこともできますが、型として合わないのでつらいでしょう。 本記事では、仕事における多様性として尊重するとのテイストで書いてきましたが、別にこれだけが唯一解ではありません。 たとえば家庭やシェアハウスといった私生活的な文脈であれば、このような娯楽や体験をベースとして、自分やメンバーの型を尊重することもできるわけです。 ### 起床後に活動するのが最適なのか? マトリックス上では覚醒時間と起床時間を合わせるのが最適としています。たとえば朝型は朝に起床、昼型は昼に起床するのが⭕だとしています。 しかし、朝型は夜に起床しても朝は来ますし、昼型も朝に起床しても昼は来ます(マトリックス上では🔺にしている)。なぜ🔺なのでしょうか。 この点は好みが分かれるところであり、 **🔺の方が合っているならそちらを目指しても構いません** 。 しかしながら、 **頭と身体が最も疲れていないのは起床直後(なぜならまだ使っていないから)である** ため、マトリックス上は覚醒と起床の時間帯を合わせることを最適解としています。 ちなみに、もし「私は朝型だけど、寝起きよりも数時間以上置いた方が覚醒する」のような人がいるとしたら、その人はおそらく昼型寄りだと思います。 朝型であるならば、朝に起きてから比較的すぐに覚醒するはずです。しない場合、そもそも体調面に問題があるか、低血圧などの制約があるか、でなければ体質が朝型ではないかのいずれかだと思います。 ## おわりに 朝型・昼型・夜型は覚醒をもって判定すること、かつそこに活動時間に被せること、との着眼点で議論しました。 多様性と言うと、典型的な多様性ばかり尊重されがちですが、 これらの型も立派な多様性だと思います。ただ、多様性だと言っただけでは動きようがないので、本記事では上述のように噛み砕きました。 皆さまの型を考え直し、尊重するため道具として活用いただけましたら幸いです。 ## (関連記事) 具体的な定義があると議論や運用がしやすくなります。 クロノ・ダイバーシティと名付けて整備してみました。よろしければお使いください。 # Title: フルリモート、フルフレックス、フルアシンク、フルマスク 働き方のパラダイムというとフルリモートやフルフレックスが有名と思いますが、他にもあります。 ## フルリモート 基本的にリモートだけで済ませるスタイルです。 ### 出社はほぼない フルリモートでは、出社はほぼありません。あるにしても稀です。 ただし、その稀のタイミングで組織的なイベントを催すことが多く、参加が事実上強制されているケースがあります。これはフルリモートとしては弱いです。実際、弱くなります。イベントがじわじわと増やされていって、気づけばフルリモートがなくなったりしています。あるいは、一応はあるが、情報格差が生まれていたりします。 この点は以下記事でも述べました。この点を軽減するには、たとえばフレキシブルというパラダイムに頼る必要があります。 ### 出社してもいい 誤解されがちですが、フルリモートだからといって出社していけないわけではありません。 ※組織的にオフィスが無いなど「出社する場所がない」例は除きます。実際、このケースは稀でしょう。 必要なら出社してもいいし、出社ばかりしてもいいのです。ただし、出社をほぼしないフルリモートも認められますし、フルリモートが出社派よりも冷遇されることもありません(ないように努めていきます)。 ### フルリモートは可能だが、転換が要る デスクワーク程度でしたら、現代であれば基本的にフルリモートは可能です。そのためにはデジタルの力に頼る必要があり、いわゆるDXはよく知られています。 DXは「ビジネスモデルをデジタルありきに変える」ために「色々と抜本的に変える、特にデジタルを使う」ものですが、これはフルリモートでも言えます。デジタルの力を前提にするということは、やり方や考え方もデジタル流に変えねばならないということです。 ですが、DXだけではフルリモートは成せません。あるいは **せいぜい「リモート会議ばかりしている」というエセフルリモートになってしまいます** 。ここを脱するには、もう一つのトランスフォーメーション(転換)が必要で、それがAsync Transformationです。 またDXにせよ、AXにせよ、転換はボトムアップで行えることではないので、 **トップが投資に踏み切らなくてはなりません** 。この点は(DXですが)以下記事で述べました。 ## フルフレックス いつ働くかを完全に自分で決めていいスタイルです。 ### ただのフレックスとは違う フルフレックスと、ただフレックスは違います。 後者は **フレックスタイム制** と呼ばれるもので、開始時間と終了時間くらいは自分で決められますが、制約がつきます。 たとえばコアタイムと呼ばれる「必ず勤務しなければならない時間帯」がついていたりします。10::00~15:00など、昼頃に設定されることが多いです。[厚生労働省の『フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き』](https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf)ではコアタイムは任意としていますが、実態としてはコアタイムはよく導入されます。 他にも昼休憩が12:00~13:00で固定されていたりします( **コアランチタイム** とでも呼びましょう)。 **フルフレックス** には、そのような制約はありません。 労働基準法など法的な都合もあるため、さすがに完全に自由とはいきませんが、コアタイムや12:00~13:00一律の昼休憩といった程度であればなくせます。 **スーパーフレックス** と呼ばれることもあります。一方で、フルフレックスやスーパーフレックスと書いてあっても、コアタイムやコアランチタイムが入っていることもあります。また、月に150時間以上働かなければならないといった制約が入っていることもあります。 ### 実はフルリモートよりもはるかに難しい フレックスという考え方自体は、昔から裁量労働制もあったようにある種馴染み深いものです。 しかし、定着の難易度としては **フルリモートよりもはるかに難しかったりします** 。というのも、仕事はコミュニケーションが多くを占め、その相手側の制約に事実上従わねばならないケースが多いからです。 会議の個別調整が面倒だからと定例会議にするケースは多いですが、労働時間も同様で、結局コアタイムやコアランチタイムの形で定めてしまいがちです。 そういうわけで、 **フルフレックスを謳っている場合でも基本的には信用しない方がいいです** 。そんなかんたんに実現できるものではないからです。 ### フルフレックスの肝は非同期と委譲 フルフレックスを実現するためには、 **コミュニケーションに伴う拘束を大胆に減らす** 必要があります。 しかしコミュニケーションそのものをなくすことは通常できませんので、拘束しない形のコミュニケーションを取り入れることになります。つまりは非同期コミュニケーションです。 要は情報のやりとりや残し合いによって仕事が成立するように、やり方と考え方を変えねばならないのです。 もう一つ、忘れがちなのが **委譲** です。 そもそもコミュニケーションの量が多いと、どう頑張ってもフルフレックスは(フルリモートも)無理ですので物量自体を減らさねばならないのですが、そのためには仕事や権限を委譲せねばなりません。抱え込む誰かがいると、そこがボトルネックとなります。 これはかんたんなことではなく、たとえば以下のような考え方が登場します。 * マネジメントレス * マネージャーなど管理職のいないあり方 * 脱階層 * 階層的ではない組織形態 * [ソロワーク](https://note.com/workhack20/n/n99dfcbf9d1fd) * チームワークという本番試合に頼り切るのではなく、ソロワークという練習・トレーニングにも頼ろうというパラダイム ## フルアシンク **フルアシンク(Full Async)** とは、同期的なコミュニケーションを基本的に行わないスタイルです。 ### 会議はほぼない フルアシンクの最大の特徴は、 **会議が無い** ことです。 非同期コミュニケーションですべて済んでしまうため、会議は不要なのです。 このスタイルは現代人でも魔法のように見えますが、上述したとおり、やり方と考え方を工夫すれば実現は可能です。あらゆる仕事に適用できるわけではありませんが、デスクワーク程度なら可能です。 ### 現時点での実践例は皆無 可能と書きつつも、現時点で実現している例は皆無だと思います。 実現できるからといって実践できるとは限りません。やはりハードルは高く、以下があります。 * 1: フルリモートとフルフレックスがどちらも要ること * 2: バインダーの対処が必要であること まず前提としてフルリモートもフルフレックスも必要です。そもそもこの二つを実践すること自体が難しいでしょう。現代であっても、まだまだ仕事のやり方と考え方への理解と活用は甘いのです。だからこそ『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』があります。 次に、仮にやり方と考え方がわかっているからといって、いざ実践できるかというと、やはり難しいです。その主因として **バインダー(Binder)** があります。 バインダーとは、非同期コミュニケーションを妨げる因子を指します。これが社内であれば、潰せば変えれば済みますが、社外の顧客やパートナーとなるとそうもいきません。もちろん、フルアシンクを薦めて取り入れてもらえるはずもありません。 ですので、バインダーとのやり取りを上手く吸収する必要があります。ビジネスでもすでに「壁役」の概念がありますし、ゲームでは「タンク」が、ソフトウェア開発でも「アダプター」といったものがありますが、同じような考え方の仕組みを実装することで組織内のフルアシンクを死守します。 またバインダーはウイルスのようなもので感染性があります。例外を許してしまうと、そこから非同期は壊れてしまいます。ウイルスを許さないための **自浄作用** も実装せねばなりません。 現代ではこれを行えるだけの理論やシステムはまだ開発されていないと思います。仕事術2.0としても、そのうち出したいとは思っていますが、フルリモートやフルフレックスですら中々実践されていない現状を見ると難しい(出しても意味がない)気もします。 通常は「技術」の力を要します。おそらく AI 人格が使えるようになって、AI とコミュニケーションを取ったり、あるいは AI 同士でコミュニケーションをしてその結果を後で教えてもらったりする方がまだ現実的でしょう。 ### 同期に頼ることもある すでにバインダーの件で見たように、フルアシンクといっても同期的なコミュニケーションに頼ることはあります。 ただし、全員が妥協するのではなく、 **同期的なやり方を担当する部分を局所化かつ最小化することが前提** です。この徹底は難しく、自浄作用なるシステムを要します。 ## フルマスク **フルマスク(Full Mask)** とは、素のアイデンティティ(容姿、性別、名前)を出さなくてもいいスタイルです。 ### 容姿や性別や名前は、別に必須じゃない すでに解説記事があるので、そちらに譲ります。 ここでも軽く解説しておきます。 私たちは仕事では素のアイデンティティ(容姿と性別と名前)を要求されましたが、そもそも本当に必要でしょうか? 答えは No です。 契約上や認証上は必要ですが、仕事の時でも常時晒す意味はありません。すでにアバターやハンドルネームなどは知られていますが、この考え方はもっと一般化できます。 それが **マスクド・アイデンティティ** であり、必要に応じてダミーのアイデンティティを使えば良いとするものです。 ### 本質は隠蔽 私たちが被る不便や被害は、素を晒すという部分から生じています。 時間や場所で拘束するのも、素のアイデンティティを要求するのも、どちらも素の状態と過ごしたいとする価値観から来ています。もちろん、コミュニケーションの便宜や信頼の醸成のためには必要ですが、 **あくまで一手段であって、絶対条件ではない** のです。 実際に拘束はフルリモート、フルフレックス、フルアシンクなどによって突破できます。同様に、素のアイデンティティについても、フルマスクで破れます。 フルマスクの意義はここにあります。 拘束が諸悪の根源だと思われていたところに、素を晒す部分こそがそうではないかとの視座を与えたのです。これこそがパラダイムシフトです。新しいパラダイムのおかげで、様々なやり方と考え方を考え始めることができるからです。 これを **公開パラダイム** と **隠蔽パラダイム** と呼びます。 従来は公開パラダイムしかありませんでしたが、フルマスクにより隠蔽パラダイムが見えてきたことで、従来の方にも名前がつきました(レトロニムですね)。 ## おわりに フルリモートとフルフレックスはすでに知られていますが、その先があるという点を示しました。 『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』では、このように現代にこそ通用する様々な仕事道具――やり方と考え方を紹介しています。本記事もその一つです。 他にもぜひ読み漁ってみてください。 # Title: オープンには段階がある 情報共有の話です。「オープン」あるいは「透明性」と表現されますが、段階が 3 つほどあります。 ## Lv1 リアクティブなオープン 反応的なオープン。 「聞かれたら答える」という形の共有です。 ### リアクティブはオープンじゃない 一応 Lv1 には入れていますが、 **この段階はオープンとは呼べません。** 以前も解説しましたが、 情報共有するからには **「公開」が前提となります** 。 公開とは残すことです。残しておけば、いつでも誰でも使えるようになります。ここに情報共有の価値があります。 残さずに喋るだけでは、ただの会話や対話にすぎません。それは **ただの伝達です** 。伝達も有益ではありますが、情報共有ではありません。 同様の理由で、勉強会などのイベントも、実は情報共有としては未熟なやり方です。残していない時点で論外です。 ※録画や資料を公開したら、情報共有になります。 ### オープンなつもりでも、オープンじゃない わかりやすい例がありましたので共有します。 この記事では、要するに「聞かれたら答えるからオープンだ」と考えている人達を示しています。すでに述べたとおり、これは Lv1 にすぎず、オープンではありません。 ### 情報格差と政治 リアクティブなオープンには以下の限界があります。 * 1: 聞いてきた人にだけ情報が渡る * 2: 時間や気力といったリソースが必要で、スケール(拡大)しない * 聞かれる度に対応が必要だからです 聞ける人しか情報を受け取れず、情報を出す側もすぐにキャパオーバーします。なので情報格差が生じますし、仮に聞いてくる人が殺到したとしても、受け手がボトルネックであり、選別が必要ですので政治が生まれます。 情報共有という観点では明らかに限界があります。 ## Lv2 アクティブなオープン 能動的なオープン。 聞かれたら答えるし、その情報については公開します。 ### 次も来そうだから、残しておく この段階は、Lv1 とは違って実際に情報を公開します。 情報共有としては及第点です。一度公開すれば、あとは誰でもいつでもアクセスできます。 ### アクティブだけでは足りない アクティブなオープンは焼け石に水のようなもので、これだけで必要な情報のすべて、あるいは大部分をカバーすることはおそらくできません。 まず最初の問い合わせが来るまでは始まりませんし、来たとしても、残す側がいつ腰を上げるかがわかりません。 「一回来たから公開するか」という例は少ないと思います。何回も来て、ようやく腰を上げる場合は大半です。マニュアルやFAQといったものはこの段階と言えます。 もう一つ、「聞いてきた人達のニーズ」しか取り入れてないという問題もあります。一見すると理にかなっていますが、情報はオンデマンドに出すものではありません。 いつ、どこで、誰が、どんな情報を欲しているかなんてわかりようがないし、VUCAで多様な現代であればなおさらです。だからこそ、情報は何でも日頃から残すべきなのです。情報共有として「残す」ことを前提としているのも、そのためです。 聞かれたら答えた? 聞かれたから残した? 舐めすぎです。 **情報の価値を決めるのはあなたではありません** 。出し惜しみをしていると言われても仕方がありません。 ## Lv3 プロアクティブなオープン 積極的なオープン。 聞かれなくても勝手に情報を公開しておきます。 ### 情報共有≒プロアクティブなオープン 情報共有とは、この Lv3 の段階を指すべきだと思います。そうでなくては情報を生かせません。 だからこそ、現代でも未だに人間関係だの会議だのと原始的な仕事のやり方ばかりのさばっています。情報を共有していないからです。 **伝達だけでは限界があります** 。 昔は伝達以外の術がないため仕方なかったですが、今は違います。技術も方法もあるのです。 ### 情報を残すためのツールーロール プロアクティブなオープンを行うためには、情報を残していく力が必要です。 個人の力に頼ってもいいですが、さすがに酷ですし、誰しもが出せる・出したいとも限らないわけで全員に強要するのも違います([これも多様性です](https://note.com/workhack20/n/n132a57d8259c))。 ですので別のものに頼ります。 『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/)』では **ツールーロール** と呼んでいますが、以下の3つです。 * ツール(道具) * ルール * ロール(役割) たとえば情報共有を行えるツールを導入します。 『仕事術2.0』では QWIC と呼んでいますが、主なコミュニケーション・情報用のツールとして Chat(チャット)以外にも Q&A、Wiki、Issues があるのです。 チャットについては、パンデミックもあってSlackやTeamsなどのビジネスチャットは比較的知られてきましたが、これ以外の Q W I はまだまだ知られていません。知らないからこそ、情報共有もできないわけです。 ※チャットだけで情報共有は行えないのか、という議論もありますが、長くなるので今回は割愛します。結論だけ言うと「ほとんどできません」。 たとえば情報共有のための時間を導入します。 業務時間中に1時間、情報の読み書きに充ててもいい、などとします。現代ではこの程度でも中々できないでしょう。これを導入するためには、相当な仕事術を盛り込まねばなりません。 『仕事術2.0』でもすでに扱っています。 たとえば情報共有を行う役割をつくります。 録画操作やタイピングが得意な人に、常に「情報を残す係」として動いてもらうのも良いでしょう。 チームや部門で「情報を残す係」の専任者を決め、この人は残すことのみを業務とし、皆もこの人にどんどん情報を出す、のような運用をしても良いでしょう。 誰でも何でも匿名で答えられるQ&Aを全社的に設置し、このシステムを運用するための専用部隊をつくったり、社内に詳しい人が社内に関する質問に率先して答える回答専門者となってもいいでしょう。 また、情報共有の啓蒙そのものを行う **情報共有エバンジェリスト** を登用することもできます。 ――と、やりようはいくらでもあります。 ## おわりに 情報共有には段階があるというお話でした。 唯一の正解というわけではありませんが、ぜひプロアクティブなオープンを目指したいところです。特に原始的な伝達の限界を越えたい場合には必須だと思います。 # Title: メンションを減らすために: 宣伝と通知と呼び出しを区別する チャットやSNSで重宝するメンションですが、要は割り込みであり、乱用は好ましくありません。 相手の時間とペースを奪うからです。また「このやり方をしてもいい」との合意も形成されるので **自分にも返ってくる** からです。そういうものだ、と思考停止するのはかんたんですが、つらいことですよね。軽減したいものです。 さて、メンションしたい事柄は **「宣伝」「通知」「呼び出し」の3つに大別できます** 。 宣伝と通知については、必ずしもメンションは必要ではありません。これらを **別の手段で代替することで、メンションの総数を減らします** 。メンションという割り込みのつらさを減らせます。 以降では、それぞれのケースごとに、どのような代替手段を使えばいいかを解説します。 ## 「宣伝」としてのメンション まとめ: * 宣伝は、メンションする必要はありません * するにしても「宣伝しないと見ないような受動的な人」を集めた場所をつくって、その中で行います ### 宣伝メンションでありがちなケース 宣伝メンションは、以下のケースでよく見られます。 * 1: 企業が、消費者の注意を引くために、迂闊にメンションを撃つ * 皆さんのスマホでも色んなアプリが色んな通知を寄越してくるはずです * これらの本質は **「あなた宛に」「宣伝内容」をメンションしていることに等しい** です * 2: 上層部やそこに気に入られた勢力が、配下の社員たちに、トップダウン的にメンションを撃つ * 迂闊なメンションはうざいですが、彼らは正式に、あるいは暗黙のうちにメンションを撃つことが許されています * ですが本質は宣伝のための割り込みであり、うざいことです 1: はマーケティングの話になるので本記事では割愛します。 以降では、2: の組織内の宣伝メンションについて、 **どのような代替策を取ればいいか** を解説します。 ### 見たい人だけが見れるようにする 基本的には **「見たい人だけが見れるようにする」** を原則にしてください。 社員の皆さんはそれなりに忙しいので、安易に宣伝をメンションして割り込むなど論外です。社員のリソースを軽視しすぎです。お金は大事ですが、時間や注意も大事です。 具体的には、宣伝内容を共有するエリアをつくり、各自チェックしてね、とするのです。 Teamsなどビジネスチャットで言えば、宣伝用のチャンネルをつくれば済みます。 よくあるのが「チャンネルは分かれているが、 **チーム全体向けメンションを使って宣伝する」ですが、これは絶対にやめてください** 。うざすぎです。使うにしても、その宣伝チャンネル向けメンションまでです。 ### 「メンションで知らせないと読んでくれないんだよー」は言い訳 ここで「メンションで知らせないと読まないんだよー」との反論がよく挙がりますが、 **ただの言い訳** です。だからといって迂闊に割り込むことを許容していい理由になりません。 そういう考え方だから安易に会議が増えて、参加者も多くて、みたいな不毛な状況になっているのではないでしょうか。 そもそも、メンションを撃たなくても意外と伝わります。 チームや部門に「通」の人がいて、その人が自分のチーム内や部門内で伝えてくれるからです。あるいは管理職など代表者が通担当となって、部下に伝える形態も多いでしょう。 次に、もし上記の通担当が機能しないなら別の策を講じることもできます。「能動的に読めない人」だけを集めた場所を別途つくり、その中で宣伝メンションをするのです。 これを **受動者の隔離** と呼びます。受動的な人を隔離して、隔離したその場所内で宣伝メンションを撃つということです。 ### 受動者の隔離 これは重要な考え方です。学校ではみんなをいっしょくたにして、できない側に合わせていましたが、 **会社は違います。仕事は違います。できる側の足を引っ張ってはなりません** 。 かといって、できない側を見捨てるわけにもいかないので、できない側で固めて、区別して、そこで集中的にフォローすればいいのです。このフォローは、できる側には要らないものです。 特に日本は文化的に全員を平等的に一律に扱おうとしますが、これは悪手ですので抗ってください。 余談ですが、この感覚がわかると多様性の尊重にも近づけます。 ## 「通知」としてのメンション 通知とは、対象者に何らかのお知らせをするものです。 伝達や連絡と言ってもいいでしょう。受け取った側のアクションは不要か、必要であっても「今すぐに」ではなく、ある程度以上の猶予があります。 まとめ: * 通知についても、メンションは不要です * 代わりに受信箱の形で見せて、受け手側でフィルタリングさせます * 現時点でもメールが現実的です * 一方で、これだけで万人に成立するほど単純でもありません * 問題の根っこは厄介で、キラーアプリなど救世主の登場が待たれます ### きりがない 通知についても、基本的にはメンションは不要です。なぜなら **きりがないからです** 。 通知が多すぎて注意を奪われたり疲弊したりするのは現代人の病ですが、これも通知がいちいちメンション的に割り込んでくるからです。 特にLINE疲れやSNS疲れがわかりやすいですが、誰かからメッセージが来る度にピコンと割り込まれて、すぐさま返事を返すような生活をしていたら、そりゃ病みます。もはや奴隷です。 お互いが了承して、そうしているのなら問題ないですが、大半はそうではないはずです。また、本当にすぐ返さなければならないほど切羽づまった人もそうはいません。いるにしても、それは単に仕事のやり方を安易にそうしているだけです。無駄な苦労です。 ### 「通知=割り込み」から「通知=未読が積まれる」へ 通知をメンションせずに済ませるには、発想を変える必要があります。 そもそも通知とは割り込みが伴うものではありません。 通知とは、単に **受信箱に「新しいメッセージが来た」旨を知らせる** だけのものです。新しいメッセージが来たからといって、すぐにピコンと知らせて割り込ませる必要などありません。そんなことをせずとも、たまに受信箱を見て、新しいのがあったらそこで対応する、で済みます。 ### 受信箱という動線 + フィルタリング 発想を変えたところで、続いてやり方に入りましょう。 通知をメンションせずに済ませるには、 **受信箱を各自が読んで各自がフィルタリングすれば済むようにします** 。 X(Twitter)がすでにそうなっていますよね。ポスト一つごとにいちいちピコンピコンと届くわけではありません。ポストは時系列に読んで、それをあなたがスクロールして読みます。要らないものはミュートやブロックをしたり、逆に重要なものはいいねやお気に入りに入れます。そうやって、見る側がコントロールすればいいのです。 さて、これを業務上の通知として行うには、いくつかのハードルがあります。 ※結論を言うとメールが適切です。概念的な話をしばらく続けますので、興味ない人は飛ばしてください。 * 1: ツールの問題 * 2: 動線の問題 * 3: 整理スキルの問題 1: のツールについては、会社ではそもそもX(Twitter)のようなツールがないということです。社内では機密情報もやりとりされますが、さすがにそれをX(Twitter)で流すわけにはいきません。そもそも通常会社員はX(Twitter)の使用を許可されていません。 X(Twitter)のように、各自が受信箱を持って、それを読み流して、フィルタリングもできるようなツールが必要です。 今のところ **メールが最適解です** 。 一応、社内Twitter的なツールもあるにはあるのですが、全社的に導入することの難しさはもちろん、会社員にはX(Twitter)すら使ってない・使えないようなリテラシーの低い人も多くて啓蒙面でも苦労します。というより、ほとんど不可能です。 ※だからこそキラーなポテンシャルがあり、「メール」「チャット」「Twitter」「Instagram」といったレベルのジャンルを開拓できる余地すらあると考えますが。 次に 2: の動線の問題があります。 いくらツールがあっても、受信箱を高頻度で見ないと意味がありません。見てもらえる程度には定着させる必要があります。 動線とは高頻度に通る場所のことで、要はこの受信箱も高頻度に通る(実際はデジタルツールでしょうからアクセスする)場所にならないといけません。これをするためには、 **全社的にトップダウンで強制なり教育なりが必要** です。 と、この二つの問題の難しさを考えると、 **現状すでに定着しているメールがなんだかんだ強い** わけです。 ※ 3: の整理スキルの問題は次で言及します ### メールは強いが、個人のスキルに依存する メールは強いですが、 3: の整理スキルの問題は解消できません。 * 1: すべての情報に目を通せるスキルを持つ人が少ない * 2: 目を通したあと、必要なタスクをこなせるよう管理するスキルを持つ人が少ない * タスク管理といいます 1と2の両方を持つ人はほとんどいません。 ※厳密には性格などもありますが、議論が煩雑になるため割愛します。そもそもスキルがあれば対処はできます。無い・足りないから対処できないのです 現にメールでも「読まなかった」「知らなかった」が多発します。 「メールの分量が多すぎるから」 「読む時間がないから」 といった言い訳はあるあるですが、単にスキルがないだけです。 未読の処理すら行わず、メールの受信箱が未読12075件なんて人は決して珍しくありません。こんな調査もあります。 これは昔から存在する古典的な問題でもあります。20年、いやおそらくは30年以上の歴史があるでしょう。つまり **スキルの問題として捉えるのは分が悪いし、それでは今後も解消しません。** ここでもキラーとなる技術または方法が必要です。 今のところ、決定打は無いと思います。『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/)』でもそのうち開発したいとは思いますが、正直すぐに出てくる気がしません。 実は事例もないわけではありません。たとえばメーラーも進化しています。以下に紹介する Hey は、独自の哲学に基づいてメールを仕分ける仕組みを備えたメーラーです。 (この哲学が合う&従えるなら)自分で一から整理することなく、Hey の仕組みに任せた整理の恩恵にあやかれます。 ## 「呼び出し」としてのメンション 呼び出しとは、今すぐ来てもらうことを前提とした、緊急性の高い依頼です。 まとめ: * 呼び出しについては、メンションは必要です * 減らす努力はしたいです * 緊急であっても量が多いとつらい * 緊急の認識は人によって違う * よって「量をそもそも減らす」ことと「ちゃんと議論して無駄な緊急をなくす」 ### 呼び出しにはメンションが必要 呼び出しの場合、メンション――つまりは割り込みは必要です。 従来は同じオフィス、同じ島に同座しているので直接声をかければ済みましたが、現代ではそうもいかない状況も多いです。 **直接声をかけることはできないが、これに相当するレベルの割り込み手段が必要** です。 よく知られているものは電話でしょう。チャットを常用する職場であっても、呼び出しの用途ではあえて電話を使ったりします。 手段は多い方が良いです。声掛けと電話以外にも、この割り込み手段があると便利です。 **メンション(を撃つことで相手に通知を届かせ、かつすぐ反応を返すことを期待する)も一つの手段** と言えます。 ですが、このメンション、ただの宣伝や通知でも多用されている現状があります。これはウザいので、本記事では **使い所はなるべく絞りましょう** と提案しています。 ### 呼び出し自体を減らす努力をする 呼び出しには割り込みが必要で、メンションもその手段になる―― だからといって、たくさんメンションしていてはつらいです。本記事で繰り返し述べているように、メンションという割り込みをそもそもできるだけ減らしたいのです。かといって「呼び出しは必要だから減らせない」では先に進めません。 幸いにも、先に進むための切り口が一つあります。 **呼び出しの総量を減らす** のです。 減らすための努力をするのです。 観点は二つあります。 * 1: 呼び出しの定義が人によって違うので、認識を合わせる * 2: 呼び出しをもたらす根本原因に働きかける 1: については、人によって事情も認識も違うゆえに、 Aさんにとっては「超重要で今すぐやれ!」 Bさんにとっては「いや後でやればいいじゃん」 といったことが起こります。 これではAさんは「メンションに応じてよ」ですし、Bさんは「いやいや応じませんよ知りませんよ」で平行線です。 **緊急や重要は強い言葉ですが、その意味は主観的です** 。 人によって解釈が違います。 **ちゃんと話し合いましょう** 。というと、統一的なルールを定めたくなりますが、それだけに頼るのはアンチパターンです。多様性の観点では、個別に最適化するべきです。 たとえば、マルチタスクが苦手な人に対しては、メンションを減らした方が良いでしょう。 自分の感覚で調整するのではなく、メンションを撃たれる側の相手の意見も聞いて、上手い落とし所を探ってください。 2: については、そもそも **呼び出し的なメンションを多く撃つ状況自体がおかしいと考えて、状況そのものの改善に動く** ということです。 たとえば迂闊にメンションを撃ってくるノイジーな上司や顧客がいたら、やめてください、代わりにこうしましょうと提案しましょう。 特に日本では文化的に「階層主義」や「お客様=神様の精神」が蔓延っており、このような動きは忘れがちです。 また、改善に動ける立場の人も保守的であることも多く、動きたがりません。何なら「それが仕事というものだ」などと個人の性癖を押し付けてきます。気持ちはわかりますが、それでは状況は改善しません。改善したいなら、働きかけてください。 あるいは、あなたが「改善に動ける立場の下」に組み敷かれる側であるなら、あなただけでも守る行動をしましょう。その立場の者に提案するなり、その立場を越えて直接自分が提案しにいったりなどします。おそらく荒れるでしょうが、あなたへのメンションは減らしてもらえると思います。 **自分のリソースを割り込みから守れるのは自分だけです** 。 ## まとめ * メンションという名の割り込みは、できるだけ減らしたい * そのためには? * 1: メンションしたい事柄を宣伝、通知、呼び出しの3つに分ける * 2: そのうえで、 * 宣伝と通知は、そもそもメンションに頼らずに行う * 呼び出しについても、そもそも呼び出しの総量を減らすための対話と働きかけをする # Title: 割り込みを減らすために意識したい「ABCDE段階」 ![](/assets/nf8b11787fbed_ad55d4f54f812123dfac4a4f66815a5f.png) 声掛け、電話、メンションなど直接割り込みたいときがありますが、使いすぎるとノイジーです。使う機会を減らしていきたいところです。 メンションについては、すでに解説しました。 今回は「割り込み全般」を減らすための考え方を紹介します。 ## 伝達のABCDE段階 何かを伝える際、直接割り込んで伝えたくなりますが、伝え方は他にもあります。 これを整理したのが **伝達のABCDE段階** です。情報をどこに置くか、という観点をわかりやすく整理したものです。 * A Archive 倉庫 * 倉庫に置いておく * 見ようと思えば見れる * 普段は目に入らない * B Booksheld 本棚 * 本棚に入れておく * 見ようと思えば見れる * 部屋にあるので、A(倉庫)よりも目に入りやすい * C Calendar カレンダー * 壁に掛けたカレンダーに、予定に書いておく * 見ようと思えば見れる * 毎日目にいれるので、B(本棚)よりも目に入りやすい * D Desk 机 * 机に手紙を置いておく * あれば気づくので、C(カレンダー)よりも目に入れやすい * E Ear 耳 * 直接捕まえて言う * 直接言うので確実に伝えられる、D(机)よりも強い ## 割り込みはEのみである 割り込みは、ABCDE段階で言えばEの段階です。最も強度の高い段階となります。 逆を言えば、E以前の **A~Dの段階で済むものについては、割り込まずに済ませられる** ということです。つまり、 * 後で読んでもらえればいいものは、D Desk 机に手紙を置いておけばよい * 予定として押さえてもらえばいいものは、C Calendar カレンダーに書き込んでおけばよい * そのうち目に入れてもらいたいものは、B Bookshelf 本棚に入れておけばよい * 見ても見なくてもいいものは、A Archive 倉庫に入れておけばよい ということです。 ## 各段階ごとの対処を可能にする ABCDE段階の意義は、 **各段階ごとの対処――具体的にはツールとその運用をつくればいいと示していること** にあります。 「割り込みが少ない方が良い」のは一般的には当たり前ですが、だからといって、じゃあどうすればいいかはわかりません。ABCDE段階は、ここに明確な指針を与えます。 A、B、C、D の各段階に対してツールを整備し、運用を考えればいいのです。 一例を挙げます。 ※理解しやすいのでEから書きます。 * 「E Ear 耳」は、DMまたはグループチャットまたは電話を使う * **DM、グループチャット、電話が来たら、それはすぐに反応してほしい** ということです * 「D Desk 机」は、Ear以外のメンションを使う * たとえばチャンネル上でのメンションはこれになります * メンションではありますが、 **Deskの扱いであり、すぐに反応する必要はありません** * 「C Calendar カレンダー」は、以下運用にする * 1: グループスケジューラーの予定表を使い、誰でも好きに予定を入れて良い * 2: 予定の許可や拒否、またその調整は当人間で行う * なので、 **予定としてやればいいことは、その人のスケジュールの空きに勝手に入れておけば** 済みます * 「B Bookshelf 本棚」は、Googleドキュメント上の所定フォルダとする * ※同時編集可能なノートを扱える共有フォルダなら何でも良い * ここに書いたものは **時間があるときに見ておいてね、最悪見なくてもいいけどなるべく目を通す事をすすめるよ** といったニュアンスです * また、読むことを強要される場所ではありません * …… このような運用を始めたとすると、割り込みは E だけで済みます。DM、グループチャット、通話以外はすぐに反応しなくてもよくなりますし、すぐ反応が欲しくないなら D 以前の段階を使えば良いのです。 もちろん、これは一例であって、各段階のツールと運用をどう設計するかは皆さん次第です。 ## 組織としても個人としても使える このABCDE段階は、組織としても個人としても使えます。 組織、たとえばチームや部門などで使う場合は、全員一律にABCDEの運用を適用します。そうすることで無闇に割り込まれるのを減らせるでしょう。 ※人数が多いと厳しいです。十数人、多くとも数十人程度の規模向けです もちろん、啓蒙は必要ですし、各人が心がけるという思いやりも要ります。また、前提として **各段階を実現するツールの導入** が必須です。大げさに言えば、DX です。人力でカバーできるものではないからです。 そして、ここにトップの投資が必要となることは、過去の記事で述べたとおりです。 ちなみに、アナログにオフィスで働くのが動線となっている組織の場合、アナログに整備することもできます。机(のうち手紙を置く場所)、壁掛けカレンダー(個人ごと)、本棚などを物理的につくればいいだけです。 また個人でも使えます。 たとえば相談や依頼を多数受ける立場の人が、このABCDEの運用を皆に周知することができます。 組織内に限らず、たとえばフリーランスの方でもお使いいただけるでしょう。 特に、ABCDEの各段階をイラスト化して、かんたんにアクセスできるように整えると映えると思います。倉庫と部屋を表示して、部屋の中には本棚と壁掛けカレンダーと机を表示して、のような感じですね。 以下余談: ひょっとすると、グループウェアなどコミュニケーション用のツールとして実装するのが良いかもしれませんね。 あるいはアナログなら Desk、Calendar、Bookshelf あたりを実現するグッズをつくったら流行るかもしれません。アナログというと、本サイトの読者はイメージが湧きづらいかもしれませんが、[キングジム](https://www.kingjim.co.jp/products/type/office.html)などオフィス用品を扱う会社はあり、需要もあります。 # Title: 今週の記事 2024/09/22 今週は 31 記事書きました。 本サイト開始から 2 週が経ちました。 [←前: 2024/09/15](https://note.com/workhack20/n/n4414a4fd1fd6) [2024/09/29 次 →](https://note.com/workhack20/n/nab884a7014f7) ## タスク管理 ## 時間 ## 1on1 ## 会議 ## 多様性 ## リモート・出社 ## 情報共有 ## 整理・ミニマリズム ## 記憶 ## PC > Windows ## パラダイム・シフト ## (運用系の記事) ## (noteへの要望) # Title: noteへの要望: Firefoxでマガジン画面のレイアウトが少し崩れるので、直してほしいです 以下のように、少しだけ崩れてしまっています。 ![](/assets/n33b3465b632d_1727600276-C0v71HcZxRSdhjYD6otNgVKi.png)ちょっと被っている。 ちなみに Chrome では問題ありません。以下のとおり。 ![](/assets/n33b3465b632d_1727600317-UWA5bg4MkjwOmcaoXlL9HiES.png)問題のない表示。 # Title: あなたの知らないリマインダーがきっとある リマインダーは **忘れていても思い出させてくれる** 点が頼もしいと思います。 スマホの純正機能やカレンダーの付属機能を思い浮かべますが、他にも色々ありますので紹介します。 知れば知るほど、よりリマインダーに頼りやすくなるでしょう。 ## 最初に用語整理 ### リマインド リマインドとは、 **指定したタイミング** で **指定した用件** を知らせることです。 タイミングや用件は、意外と多様です。 たとえばタイミングは「時間」だけではありませんし、用件も明示的に記載するとは限りません。 ### リマインダー リマインダーとは、リマインドを行うためのツールです。 スマホアプリもあれば、目覚まし時計などアナログな道具もあります。 ### 目覚まし時計もリマインダー 目覚まし時計を知らない人はいないと思いますが、これもリマインダーの一種だと本記事では捉えます。 指定タイミングで指定用件を知らせてくれるからです。 * タイミング = 設定した時刻 * アクション = 音を鳴らす * 用件 = 無し ただし用件は設定されていないので、自分で思い出す必要があります。 ## 能動的なリマインダー **能動的なリマインダー** とは、リマインダーから私たちに働きかけてくれるものです。 リマインダーが、能動的に、私たちにリマインドするわけですね。 例を挙げます。 * 目覚まし時計 * キッチンタイマー * 30分で設定する=30分後にリマインドする、に等しいです * スマホのリマインダーやアラーム * 名前こそ違いますが、 **アラームもリマインダーの一種とみなせます** * カレンダーアプリに備わるリマインダー機能 * たとえばOutlookは予定の15分前に通知してくれます 繰り返しになりますが、目覚まし時計など誰でも知っているであろう道具もリマインダーの一種です。 アプリとは違って、物として存在する道具なので以下のメリットがあります。 * 使い勝手が良い * ただしボタン連打はする * 物理的な存在感や愛着がある 一方で、アプリなどデジタルなものは、場所がかさばらない点で優れています。 スマホは大丈夫でしょうが、PCでカレンダーを使っている場合は **リマインドのアクションが弱い** 点には注意が必要です。PCに座っていないと気付かない恐れがあります。 ## 受動的なリマインダー ここからは馴染みが薄いと思います。 **受動的なリマインダー** とは、通り道に何かを置いておいたら、 **次通ったときにそれが目に入って思い出せる** という形のリマインダーです。 例を挙げます。 * 前日のうちに、玄関前にゴミ袋を置いておく * (明日出社前に忘れずゴミ捨てできるはず……) * 前日寝る前に、トイレの便器を閉めて、その上に検尿を置いておく * (明日起きてトイレする前に検尿を思い出すはず……) * あとでやらないといけない雑務が2件割り込んできたので、愛用の手帳の今日見ているページに書き足しておく * (よく見てるのでどこかで思い出せるはず……) 受動的なリマインダーのポイントは、自分の通り道を把握することです。玄関など物理的な道に限らず、 **手帳やアプリなど普段から使っているものも含みます** 。 すぐに想像できるとおり、能動的なリマインダーほど確実ではありません。せっかく仕込んだのに気付かないこともありますし、気付いた上でスルーしてしまうこともあります。 よく「能動的なリマインダーだけでいいのでは?」との疑問が生じますが、意外とそうでもありません。 **能動的なリマインダーは仕込むのが面倒だからです** 。 「家を出るのが大体 7:25 だから、7:20 くらいで「ゴミ捨て!」とリマインドさせるか」みたいなことは、いちいちやってられないでしょう。こういう場合は、ゴミ袋を玄関前に置いた方が早いはずです。 ## 小話: リマインダーの調整 能動的なリマインダーにせよ、受動的なリマインダーにせよ、少しでも自分に合う調整していくことで、より馴染ませることができます。 たとえばiPhoneでアラームを使う場合、ボイスメモで **録音した音声を使う** ことができます。 自分の声をわざわざ使う人は少ないでしょうが、自分が好きな音や声を録音すれば、リマインドが楽しくなります。楽しさは大事です。 受動的なリマインダーに頼る場合、通り道にいつ何を置けば都合が良さそうかを **自分で模索** していくことになります。答えは自分しか知らないからです。 最初は大変かもしれませんが、使いこなせるようになったら、日常生活のやり忘れがグンと減ります。 ハイブリッドなやり方として、(自宅でリモートワークをするなどですが) **通り道や自分が留まる場所にキッチンタイマーをあらかじめ置いておき、思いついたタイミングでセットする** こともできます。 たとえば「あとでトイレ掃除しておきたいな」と思ったら、トイレに置いたキッチンタイマーで 75 分後(感覚で良い)とかにセットして開始すればいいのです。75分後に音が鳴るので、「ああ、そうあった、掃除するか」と思い出せます。 もちろん、そのとおりに上手くいくとは限りませんし、気分で「ややっぱりやめよ」となることもよくありますが、何も設定しなかったらおそらく忘れていたはずです。リマインダーを仕込んだことにより、 **思い出せる率を上げている** のです。 思い出す率が上がれば、それだけやろうとしていたことをやれる可能性が高くなります。この積み重ねがQoLを上げます。 そういう意味では、カジュアルにリマインドを仕込むつもりで使い倒すくらいが良いかもしれません。 ## ロケーションリマインダー **ロケーションリマインダー** とは、 **特定の場所に近づいたら・特定の場所から離れたら** 知らせてくれるというリマインダーです。 すでにスマホで使っている人もいると思います。 iPhoneの場合、アラームではなく「リマインダー」を使って、位置情報を追加することで使えるようになります。 主な使い道は「 **その場所でやること** を思い出したいとき」、あるいは「 **この場所から離れた後にやること** を思い出したいとき」です。 いずれにせよ、その場所に行く or この場所から離れる前に、事前にリマインダーを設定しておく必要があります。予定をカレンダーに入れる感覚で、必要なときにスッと設定できるようになると馴染むでしょう。 ## 小話: 遊ぶ リマインダーを使うのに慣れない場合は、 **お試しで遊んでみる** といいかもしれません。 ロケーションリマインダーに限った話ではありませんが、リマインダーは最初使い始めるまでのハードルが高いので、 **遊びでもいいので試して下げる** ことが重要だったりします。 もし誰かに勧めたい場合も、実際に遊ばせるつもりで使わせると良いと思います。 ## 人間リマインダー 実は人間もリマインダーになりますし、これこそ最も馴染み深いという人も結構多いと思います。 **人間リマインダー** とは、誰かにあとで知らせてもらうことを期待してお願いや情報共有をすることです。 例を挙げます。 * 休日の朝、同居人に「午後から買い物行くわ」と話しておく * (もし自分が忘れていても、同居人が教えてくれるはず……) * 雑談でチームメンバーに「14時からあの報告会見に行くわ」と話しておく * (14時近づいても忘れていたら、たぶん教えてくれる……) * 前日の夜、母に「明日6時に起こしてね!」と頼む * 前日の夜、母と父に「明日6時に起こしてね!」と頼む * ホテルのモーニングコール 最も有名なのは人間目覚まし時計でしょうが、やり方は案外多様です。直接頼み込むと確実性は増しますが、相手にうざがられます。会話に散りばめるなど間接的に仕込もうとすると、相手はうざがりませんが、確実性も落ちます。 いずれにせよ、 **人間なので道具やアプリほど確実ではありません** 。 この人間リマインダーは、開拓の余地がまだまだ残っていると思います。ホテルのモーニングコールは、人間リマインダーを仕組み化したものと言えますが、人間が絡んでいるとのあたたかみがあります。 私たちも人間なので、なんだかんだあたたかみを求めるところがあると思います。だからこそ能動的・受動的なリマインダーで済ませるのではなく、あえて人間に頼るのだと思います。 **リマインダーとして最も使われているのは、明らかに人間リマインダーです** 。 たとえばアプリでSNS的にお互いリマインドし合う世界は面白そうです。友達同士でやるのか、Uberのように「リマインドすることを仕事にした人達」とのマッチングをはかるのか、など。 ## 小話: リマインダーは自分が自分のために使うもの リマインダーの話をすると、よく「他人を確実に動かすには?」との話題になります。たとえば「ねぼすけを確実に起こすには」などです。 **こういう問題はリマインダーでは解決できません** 。 リマインダーはあくまでも自分が自分のために使うものです。リマインダーを仕込んでみてもダメだったら、じゃあどう仕込めば上手く効くのかを調整します。自分で模索していくものです。 ## 雰囲気リマインダー **雰囲気リマインダー** とは、場の空気が知らせてくれる形のリマインダーです。 例を挙げます。 * 学校の移動教室 * 時間割を覚えていなくても、教室の雰囲気でわかります * オフィスの自分の席、これを含んだ島 * メンバー全員で参加する会議があれば、雰囲気でわかります * 店 * 閉店時間が近づけば、雰囲気でわかります * (さらに近づくと店員による人間リマインドが来ますが) 雰囲気リマインダーは、実は会社員にとっても重要な概念です。なぜなら、 **大半の会社員はすべてのタスクや予定を自己管理して適切にこなせる能力など無いからです。あるいは、あっても面倒でしないからです** 。 では、そういう人達が普段どうしているのかというと、雰囲気リマインダーに頼っています。 **同じ場所に同座していると、良くも悪くも空気(雰囲気)があります** ので、それを悟ることで自分の過ごし方を合わせていけます。自己管理せず、空気に身を任せておけばいいわけです。これは楽な過ごし方です。ゆえに人気があります。 リモートワークを苦手とする人は多いですが、その一つは雰囲気リマインダーが機能しなくなったからだと思います。 さて、この雰囲気リマインダーですが、少々特殊であり、 **自分で用件やタイミングを設定することができません** 。あくまでも場で勝手に決まっていくタイミングと用件に、ゆるやかに合わせていく形になります。 使用をコントロールしたい場合は、実質的に「どの雰囲気(つまりは場)に参加するか」「いつまで滞在するか」を考えることになります。 場が無い場合は、つくる必要があるでしょう。『仕事術2.0』でも使えそうな道具がいくつかあります。 ## リズムリマインダー **リズムリマインダー** とは、 **生活リズムをしっかり踏んでおれば、仮に逸れたとしても体が「逸れてるぞ」と教えてくれる** という形のリマインダーです。 定期的にこなしたいことや、コツコツ積み上げたいことがある場合、生活リズムに組み込むことで忘れることなく(というより忘れていても思い出せて)こなせるようになります。 逆に **「一回限りだけど忘れず知らせてほしい」用途では使えません** 。あくまでも「今後たぶんずっと続けることになること」をやり忘れそうになったときに、自動的に知らせてほしい、というのを **ある程度叶える** ものです。 ある程度と書いたとおり、アプリや道具ほどの確実性はありません。人間リマインダーよりは強いと思います。 習慣とは違うことに注意してください。習慣は「特定の頻度で欠かさず行うこと」であり、行う日の中でいつやるかまでは定めていません。一方で、リズムリマインダーは **リマインダーですからタイミングも定めています** 。 そういう意味で、上述を言い直すと、次のようになります。 > 定期的にこなしたいことや、コツコツ積み上げたいことがある場合、生活リズムに組み込むことで忘れることなく(というより忘れていても > **、いつやるかのタイミングも含めて** 思い出せて)こなせるようになります。 最大の問題は、 **その「生活リズム」をどうやって手に入れるか** ということです。これさえ手に入れば、あとは「今後ずっと続けたいこと」を組み込んで微調整していけばいいだけだからです。 が、リマインダーの話題を超えてしまうので、本記事では割愛します。 詳細は以下ページを参照してください。脱線(作業中に別の事が気になってそっちに行ってしまう)の対処としてリズムリマインドを挙げており、手に入れ方にも言及していますが、人はかなり選ぶでしょう。 ## おわりに リマインダーの本質を整理した上で、様々なリマインダーが存在することを述べました。 リマインダーという「忘れていても思い出させてくれる」道具は非常に頼もしく、使っていない人は人生損しているのでは、と言えるほど強力だと思います。 その本質は **指定したタイミング** で **指定した用件** を知らせる、であり、他にも応用例は考えられると思います。 # Title: メンションなど割り込みを使いすぎると自分の首が締まる 直接声をかけたり電話を入れたりといった割り込みは便利です。 **完全に自分の都合で進められる** からですね。 チャットではメンションが相当します。 **@誰々** と書くと誰々さんに通知が行くので、見てもらえます。 すでに多用されていると思いますが、これは自分の首を締めます。意識的に減らしたいところです。 以降ではメンションに絞って解説します。 ## メンションの多用で自分の首が締まる メンションは割り込みであり、相手の注意を奪う行為でもあります。多用するとうっとうしいです。 「仕事だから」 と正当化するのはかんたんですし、多くの場合、割り込みをなくすと仕事が成立しなくなりますが、だからといって多用を容認するのも考えものです。 **割り込んでもいいのだ、との合意が形成されていく** からです。そしてそれは自分もメンションを撃たれるとの形で返ってきます。 『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/n15fd69d626b1)』でも強調しているとおり、現代では自分の時間をある程度死守したいです。でないと現代的な水準は守れません。 コミュニケーションにも時間がかかるばかりですし、純粋に疲れます。来たら対応する、という受身な人間にもなってしまいます。そして、そんな現状を見て見ぬふりをしたり、「仕事はそういうものだろ」などと正当化したりして今日も慌ただしく過ごします。 仕事が大変なのは技術と方法が無かったからです。現代は違います。 **もうあります** 。なのに、取り入れようとしないから昔と同じ水準のままです。 とはいえ、現代の忙しさと負荷を減らすのはかんたんではありませんが、その一因として **割り込みの許容** があるのです。これを軽減するために、 **割り込みの一つであるメンションを減らす** ところから始めるのです。 ## メンションを減らすには すでにいくつか記事を書いています。 以下はメンションする事柄を3つに区別し、そのうち宣伝と通知についてはメンションがなくてもできるよというものです。 以下はメンションというより割り込み全般の話ですが、やり取りの段階をABCDEの5段階に区別でき、メンションはそのうちEにあたるものでしかない――つまり大半のやりとりはA~Dのどこかで代替できることを述べています。 # Title: メンションとリマインダーは似ている @誰々 のように書いて誰々に通知を飛ばす **メンション** 。 あとで思い出せるために仕込む **リマインダー** 。 実はどちらも似ています。 **この類似性を理解することで、よりこれらを応用しやすくなります** 。 リマインダーに詳しくなれば、[メンションを減らす](https://note.com/workhack20/n/n27472eb122ba)のにも役立つでしょう。逆に、メンションの知見があれば、リマインダーを上手く使えない状態をクリアできます。 本記事では、まずマトリックスとして両者の関係を整理し、空白ととなっている領域を深堀りすることでリマインダーとメンションの知見を深めます。 次に、片方の知見を用いて他方に活かす話を扱います。 ## 本質は仕込み どちらも本質は **「あとで知らせる」ことを仕込む** 点にあります。 リマインダーは自分で自分に仕込みます。 メンションは自分が相手に仕込みます。 ※ただしメンションについては、「あとで」というよりも「今すぐ見てほしい&返事してほしい」とのニュアンスが強いのが現状です。 ## リマインダーとメンションのマトリックス リマインダーとメンションは、以下のようにマトリックスで整理できます。 ![](/assets/nf68feda55ea3_1727690655-m4C3xnIcA69dLMpz7jTRlhXZ.png) このマトリックスを見ると、目につく部分があります。 * 1: メンションは範囲が広い * 「今すぐ」と「あとでいい」が混在しています * 現状メンションは割り込みとして使われており、「今すぐ」のニュアンスが強いと思います * **「あとでいい」なメンションとは、どんなものでしょう?** * 2: リマインダーの「今すぐ」に相当する何かがある * 一例として「[監督としての私](https://note.com/workhack20/n/n2a13c9334833)」を挙げています * **監督としての私とは何でしょう?** せっかくですので、この見慣れぬものたちを深堀りしましょう。 ### 第2象限の部分 「あとでいい」なメンションの部分ですね。これは一体どのようなものでしょうか。 すでにいくつか記事を書いています。 以下記事はメンションも含めた割り込み全般の話ですが、やり取りをABCDEの5段階に分けた上、割り込みはEの段階になることを述べています。 逆を言えば、E(割り込み)以外にもA~Dで済む段階は色々あるということです。 要は、A~Dの段階としてメンションを使えばいいのです。 以下記事は「メンションする事柄」は宣伝、通知、呼び出しの3種類に分けられることを述べています。その上で、宣伝と通知については、割り込まなくてもできることを示しています。 この記事では「宣伝と通知ではメンションを使わなくてもいい」というニュアンスですが、別に使ってもいいのです。上述したとおり、 **割り込みではない(即座に確認&返事しなくてもいい)扱いで良い** とした上でメンションすればいいのです。 いずれにせよ、割り込みではない扱いとしてメンションを使っても良い、使うことができるのだという点を示しています。 ### 第3象限の部分 リマインダーは「あとでお願いね」を自分に課すもの(第1象限)でした。 しかし、マトリックス上は「今すぐ来て」を自分に課す部分(第3象限)もあります。これに相当するのが **監督としての私** だと書いていました。 監督としての私とは何でしょうか? こちらについてもすでに記事があります。 要は「自分を模した何か」に向かって、実際に自分で「発声」をするわけですが、一見するとこれがリマインダーであるという点がよくわからないので、さらに説明します。そのためには、 **「今すぐ来て」なリマインダー** とはどういうものか? を考える必要があります。 答えは **行動に移すこと** です。 「あ、今すぐこれをやらなきゃ」と思ったときに、すぐこれを行うということです。といっても、意思だけでできれば苦労はしません。誰かに言われたり、場の雰囲気があったりすると比較的動きやすいですが、ひとりでいるときはそうもいきません。 さて、リマインダーとは、自分で自分に課すものでした。ひとりでいるときにこそ使えるものです。 つまり「今すぐ来て」なリマインダーとは、今すぐ行動に移すための何かということです。 方法は色々ありますが、ここで挙げているのは **監督としての私** です。要は自分を模した何かに発声するという、ある種の茶番をしなさい、ということです。 馬鹿らしく聞こえるかもしれませんが、実際に「自分を模した何か」に向かって、実際に「発声する」ことの効果はすでにリンク先の記事で述べたとおりです。 最後に、他の方法も紹介しておきます。実はこれも以下の記事で取り上げています。具体的にはリマインダーの一種として取り上げています(雰囲気リマインダーとリズムリマインダー)。 ## リマインダーの知見を、メンションに活かす 冒頭でも述べたとおり、リマインダーを知ることで、メンションを減らすのに役立てることができます。 まず、リマインダーは以下記事にて詳しく取り上げています(再載)。 次に、リマインダーの知見を使って、どのようにメンションを減らすかですが、 **色々なリマインダーを知れば「すぐに割り込まなくてもいい」とのやり方と考え方が手に入ります** 。 実際にリマインダーを使ったらの話ですが、自分で自分に仕込むことで経験になります。リマインダーとは、あとでやりたい用件を仕込んでおくものです。このあり方は、 **相手の確認と返事をすぐに求める割り込みの営みとは似て非なるもの** です。 メンションは割り込みとして使われることが多く、割り込みの営みと言えますが、現代人の多くはこの営みに毒されています。逃れるのはかんたんではありません。しかし、 **リマインダーという「あとで知らせてもらればいい」的な営みを実体験すれば、逃れるのは可能です。** 全く違う世界観を行き来しているようなものであり、荒療治になるからです。 メンションを減らしたいなら、すでに述べたようにABCDE段階や宣伝・通知・呼び出しの区別をすればいいのですが、これだけだと実は(頭ではわかっていても)行動に移しづらいと思います。染み付いた営みからは逃げられません。 だからこそ、異なる営みを始めることで目を覚まさせます。リマインダーは、メンション(割り込み的な)の営みとは異なるものですから、( **ちゃんとリマインダーを使っているのであれば)** 目を覚ましやすくなります。 ## メンションの知見を、リマインダーに活かす リマインダーは誰しもが上手く使えるとは限りません。そのような場合でも、メンションの知見があれば打開できます。 ※以降では[リマインダーの解説記事](https://note.com/workhack20/n/n7cbdf6ca31e4)の言葉を使うので、わからない場合は適宜確認してください。 まず、リマインダーが上手く使えない人の主因は **能動的なリマインダーに頼りすぎている** ことです。たとえば目覚まし時計やアラームに頼りすぎている、などですね。 これらで問題なく行動に移せたらいいのですが、できない人もいます。目覚ましが何度鳴っても起きれない人は珍しくないでしょう。 この場合、能動的なリマインダーに頼ることは諦めた方がいいです。他のリマインダーに頼りましょう。 ※目覚ましの場合は、実際使えるのは人間、雰囲気、リズムあたりのリマインダーでしょうが。 しかし、知識として理解したからといって、じゃあ使えるかというと、そうでもないのです。 **リマインダー=能動的なリマインダーという脳みそになっていると、中々他のリマインダーを受け入れられません。** ここでメンションの知見が生きてきます。すでにABCDE段階や宣伝・通知・呼び出しの区別を紹介しましたが、これらの知見があるならば、 **「メンション=割り込み」という単純な構図は壊せているはずです** 。これは、メンションに対する固定観念を打破したとの成功体験だとも言えます。 この体験を、リマインダーにも当てはめてください。 特にメンションの知見として、ABCDE段階では、直接割り込むことをEar(直接喋って聞かせる)とし、しかし他にも D(Desk, 机)に置いておくとか、C(Calendar, カレンダー)に書き込んでおくとかいったやり方があるのでしたね。 リマインダーも同じです。能動的なリマインダーはアラーム音やバイブなどで自分の耳に直接聞かせるものが多いですが、それ以外のリマインダーもあります。たとえば受動的なリマインダーは、通り道に何かを置いておくものでしたし、ロケーションリマインダーは指定場所に近づいたら or 指定場所から離れたら知らせてくれ、と仕込むものでした。 **耳に聞かせる以外にもやり方はある** のです。メンションの知見があるなら、体感としてわかっているはずです。 ## 世界観を行き来する 「リマインダーの知見をメンションに活かす」項では、割り込みの営みから逃れるために、リマインダーという「あとでやればいい」営みを体験せよ、と書きました。 また「メンションの知見をリマインダーに活かす」項では、耳に聞かせるという能動的なリマインダーの世界から逃れるために、耳に聞かせる以外のやり方を(メンションの方で)体験すればいい、と書きました。 どちらも同じ主張をしています。 * ある営み、もっと言えば世界観に浸っていると、そこから出ることは難しい * しかし、別の世界観を経験しておくと、出やすくなる * 言わば二つの世界観を行き来しています * 行き来するということは、出入りしています メンションとリマインダーは、本質的に同じです。冒頭で述べたとおり、どちらも仕込みでしたね。 **だからこそ行き来できます** 。 メンションを減らすのが上手くいかない場合、リマインダーの方で上手くいけばいいです。逆にリマインダーが上手くいかない場合は、メンションを減らす方で上手くいけばいい。どちらか片方で上手くいけば、もう片方も上手くいく(いきやすい)のです。 # Title: 自分で自分を諭す 「監督としての私」 「それは違うよ」 「今そんなことしてる場合じゃないでしょ」 と、常に誰かが助けてくれるとは限りません。 幸いにも自分で自分にツッコミを入れることで、これに近しいことを実現できます。これを **監督としての私** と呼びます。 ## やり方 ロールプレイ(演技)として監督を演じて、今の自分を厳しく指導するように独り言を言います。 以下にセリフの例を示します。 「なあ、お前何してんの?」 「今日は~~するんだよね?で、今は何してる?~~じゃないよね?」 「なんでやらないの?ちょっと整理しましょう。まず、~~がしたい理由は……」 どんなキャラクターを使うかは自由です。上記は厳しい感じにしていますが、別に優しくて友達風でも何でも構いません。 ## コツは発声と物理的対象 コツは2つあります。 まずは **発声** です。実際に発声してください。脳内で再生するよりもひそひそ、ひそひそよりも小声、小声よりも普段の発声が望ましいです。 というのも、単に脳内に浮かべるのと、実際に発声するのとでは、脳にもたらされる刺激が違うからです。発声した方が刺激が多いです。 次に **物理的対象を据えてください** 。自分にツッコミを入れたいわけですから、自分に関する何かです。おそらく **写真** になるでしょうが、可能なら自分を模したフィギュアでも構いません。 ぬいぐるみなどではなく、あくまでも自分を示す物理的な物であることがポイントとなります。でないと、自分に働きかけるという意識が働かないからです。 ## テディベア効果(ベアプログアミング)と似ている 監督としての私は、プログラマーの間で知られる **テディベア効果** とも似ています。 テディベア効果とは、プログラムの不具合を相談する際、誰かではなくぬいぐるみ(たとえばテディベアのぬいぐるみ)に話しかけて相談するというものです。 はたから見ると不審者ですが、ぬいぐるみという物理的存在があることと、実際に発声することもあって、 **実際に他人に相談しているのと同じような脳の使い方** になります(なると思われます)。これはひとりで考えているときは違うものなので、ひとりのときには出てこなかったことが出てきたりします。 皆さんは誰かに相談しようとして、あるいは相談し始めたときに「あ、自己解決した」となったことはあるでしょうか。これも単純に脳の使い方が変わったことで、気付けなかったことに気づけたからだと思われます。 本当にそんな手法があるの?と思われるかもしれませんが、あります。 ## (関連記事) 「~~としての私」は他にもあります: # Title: メタ認知とは要するに「観察者としての私」 自分の認知(認識)を、自ら客観的にとらえることを **メタ認知** と呼びます **。** 難しそうな字面ですが、理解するだけなら単純です。 ※実践は必ずしもかんたんではないですが…… かんたんな理解の仕方をいくつか挙げます。 ## 幽体離脱 自分の魂が幽体離脱して、上昇して、空から自分(の身体とその周囲)を眺めるイメージです。 ## 鳥瞰 鳥が地上を見下ろすようなイメージです。獲物(自分)だけでなく、その周辺や地理も含めて見ます。 ## 観察者としての私 この言葉はたしか[書籍『心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える』](https://www.amazon.co.jp/dp/B08JVDFT59/)で使われていたものと思います。 もう一人の自分として、ただただ観察だけ行う「観察者」としての自分がいるというイメージです。あるいは、観察者役に徹する **自分のクローンがそばで自分を凝視している** イメージでも良いでしょう。 このたとえ方の優れている点は、 **観察している側ではなく観察されている側にフォーカスを当てている** 点です。要は「見られている」わけですね。見られているなら、シャキっとしよう、ひとまず冷静になろうという気になります。人目があるとそうしますよね。わかりやすいのです。 ## ちなみに、瞑想にも絡む 観察者としての私は、いわゆるヴィパッサナー瞑想と同義だと思います。 瞑想は二つあると思っています。「無心」を目指す **サマタ瞑想** と、その後で「何が自分の心をざわつかせてるのか」を探る **ヴィパッサナー瞑想** があると思っています。 そういう意味では、真の意味でメタ認知を行いたければ、まず無心を目指すべきなのでしょう。 ビジネスの文脈では「多少慌ただしくても構わないから一呼吸置いて客観視しろ」的なニュアンスが強いと思いますが、むしろ、いったん慌ただしさ自体から離れて、サマタ的に無心になって、それからさらにヴィパッサナー的に、つまり観察者として己の認知をただただ見つめるのが良いのかもしれません。 慌ただしさから離れる部分については、以下が役に立つでしょう。 # Title: 数百ページに数時間かける → 数千文字に数十分かける 読書は前者ですが、『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/)』では後者を提供します。 今ご覧いただいているとおり、『仕事術2.0』は note の記事として提供しています。 **数千文字の有料記事(それも500円!)** も含まれており、一見するとおかしく見えるかもしれませんが、そうではありません。 根底の思想をお話します。 特に **読書とは異なる表現の仕方であり、体験を提供する** のだという点をお伝えします。より大胆に言えば、新しいパラダイムです。 ## 読書の功罪 ### 読書の良い点 **物語や追体験の形で** 比較的長時間、濃密に追えることです。 ### 読書の悪い点 **受身になってしまう** ことです。 楽しかった、満足したという意味では素晴らしいですが、身になるかというと別です。また、受身なので楽しみ方も限定的なものです。良くも悪くも消費の域を出ません。 ※消費のあり方が悪いと言っているわけではありません。ただ当サイトは仕事術のサイトなので、「身になるか」という観点で述べています。 本を出す側も、この点は意図的に狙っています。たとえば本質だけなら10ページも要らないのに、それを物語や事例を増やしたりして200ページにします。そのせいで、本質を端的に知ることが難しくなっています。 **200ページを読むためのお金と時間を費やさねばならないからです** 。 また本は物理的な存在でもありますから、収集心を刺激します。表紙も魅力的ですからなおさらです。 ## 仕事術を得る手段は読書だけではない 仕事術(ここでは **「仕事のやり方や考え方」** を指します)の話に入りましょう。 仕事術を得る手段も、現状は本がメインです。ビジネス書や自己啓発書といった形で親しまれています。 では、 **仕事術は本で表現するのが最適なのでしょうか?** 答えは No だと思います。 仕事術の本質はたいてい単純だからです。難しい技術や理論が絡むことは稀です。 **通常は誰しもがすでに知っているか、薄々勘づいているか、あるいは言語化されればすぐに理解できるような、かんたんなものばかりです** 。 そんなものを表現するのに、何百ページなどというボリュームは要りません。数千文字で十分です。つまり記事で十分です。 ## 数千文字の本質を、咀嚼する 仕事術を得るためには――具体的には仕事術を知り、自分なりに取り入れたり、あるいは単に楽しんだりするためには、 **自分なりに「咀嚼」することが必要です** 。 正論は響かないと言いますが、なぜかというと **私たちにはそれぞれ文脈(事情や感情)がある** からです。文脈を踏まえないと意味がないし、やる気も起きません。 厄介なことに、文脈を知っているのは自分自身だけです。これを他者に伝えるのは極めて難しいことです。 ですので、仕事術を生かしたいなら、その本質をさっさと知った上で、じゃあ自分はどうするか、どこをどう取り入れるのかといったことを **自分なりに** 考える必要があるのです。これを咀嚼と呼んでいます。 ## 新しい取り入れ方の形 ### 数百ページに、数時間をかける 本は数百ページのコンテンツです。 これを数時間かけて読みます。 純粋に楽しく、満足感もありますが、受身であるため意外と身になりません。しかし、人は楽しさや満足感にこそお金や時間を出すので、この昔ながらの潮流が途絶えることはないでしょう。 (近年はだいぶ動画が台頭していますが……) ### 『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/)』は違います 当サイト『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/)』は違います。 各記事は数千文字程度で構成され、端的に仕事術の本質を述べています。本のように豊富な物語や事例はありません。筆者のキャラクター性を押し出したエンタメでもありません。 数千文字ではありますが、やさしいとは限りません。仕事術自体は(すでに述べたとおり)単純ですが、わかりやすく言語化し、概念や手順といった便宜を整えるとなると、それなりの情報密度になるからです。 かつ、当サイトは、おそらく他では見られない独自性・新規性の高いものも扱っています。新しいものは、単純であっても理解には骨が折れがちです。 ※それをわかりやすく解説できるのは、当サイトのウリと自負しております。 だからこそ咀嚼する必要があります。精読して理解しきっていただくと嬉しい限りですが、そうする必要もなく、すでに述べたとおり **自分なりに取り入れればいい** だけです。それでも自分から動くことに変わりはないため、それなりに時間はかかります。疲れもするでしょう。 ### 数千文字に数十分をかける そういう意味で、タイトルは「数千文字に数十分をかける」としています。 数百ページに数時間をかけていた読書というあり方ではなく、 数千文字に数十分をかける「咀嚼」のあり方を。 それが『仕事術2.0』のコンセプトです。 ### 数千文字の記事が500円 『仕事術2.0』の有料記事は **500円** で統一しています。 ※2024/10/01 現在 noteの世界では高く感じると思います。 まして数千文字です。本と比べると文字単価が高すぎです。 しかし、ここまでお読みいただいた方は、もうおわかりですね。 本とは違うのです。 『仕事術2.0』では、純粋に仕事術を扱っています。 本とは違った読み方(咀嚼)で、短時間で取り入れることができます。また、他では見ることのできないものも多数扱っており、この点でも価値があるはずです。そういう意味で、妥当な価格設定だと考えています。 もちろん、本とは違いますので、以下のような楽しみ方はできません(し当サイトも想定していません)。 * 物語を味わうこと * やわらかい内容と豊富な事例で共感を消費すること * 作者のキャラクター性を消費すること * 活字情報を連続的に味わい続けること ## おわりに 様々な仕事術(仕事のやり方と考え方)を端的に取り入れていただくために、当サイトでは「咀嚼」なる体験を提供します。 これは従来の読書とは全く異なるものです。 ぜひ召し上がってください。 ## (関連記事) 読み漁ってみたい方は、以下からどうぞ: 当サイトのより詳しいコンセプトはこちら: また、本記事で述べたような読み方自体を仕事術にしました。その名も噛読(ごうどく)です。 # Title: ブルーカラー、ホワイトカラーの次は「ノーカラー」 カラー(Collar)とは襟を指します。 これを踏まえると、ホワイトカラー(白襟)の次、つまりはワイシャツの次は **襟がないこと** だと思います。 襟がない服を着てもいいほど、よりカジュアルで自由なあり方とも言えます。これを **ノーカラー** と呼びます。 ## ノーカラーの特徴 ### リモートメインであること 本来仕事をするのに服装など関係がありません。パジャマでも丸首シャツでも、コスプレのような格好でも、それこそ裸族でも良いわけです。 そうは言っても、私たちは社会的な生き物であり、同座すれば相手の格好は気になります。ですので、同座せず、 **格好が見えないようにすればいい** のです。つまりはリモートのあり方になります。 リモートの一つ、フルリモートについては以下記事でもかんたんに扱ってます。 ### 会議が少ないこと or 音声で済むこと リモートであっても、ビデオをオンにしてオンライン会議ばかりしている――なんて職場はよくあります。 これではノーカラーとは言えません。職場よりは身だしなみに融通が利きますが、それでもやはり目に見えているので気は遣います。 ノーカラーというには、そもそも格好が見える機会自体が少ないはずです。つまりは **オンライン会議が無いか、少ないか、あるにしても音声のみで行うあり方** になります。 ### 情報共有≒非言語ではなく言語で情報を出していること リモートワークに対する反論の筆頭は「顔が見えない」、つまり非言語コミュニケーションが取りづらいのがダメだ、ですが、そもそ **も非言語コミュニケーションに頼りすぎなのがおかしい** ことです。 友達や恋人や家族を相手にするなら重要ですが、仕事は違います。 じゃあ何が重要かというと、情報です。 特に情報は言語的なものであり、したがって言語化して残す営みが重要になります。 **情報共有** ですね。 情報共有については、『仕事術2.0』でも重視しています。意外とわかりにくい概念だからです。 ## ノーカラー?言葉遊びじゃないの?意味はあるの? Ans: あります。 ノーカラーという言語化により、「襟が無い服を着てもいい」という具体的なヒントが得られます。 これは「次世代の働き方にするべき」「もっと上手い働き方がある」といった情報量のない主張よりもはるかに有益です。 「襟がない服を着ても済むには?」 など、具体的な質問をつくって、それに応える形で検討を進められるからです。 ## その他のカラー 最後に、おまけとして他のカラーも紹介または提案します。 ### メタルカラー 古いものだと、ノンフィクション作家の山根一眞さんの命名があります。こちらは技術者を指しています。銀色の襟の服装はちょっとイメージが湧きませんが…… > ノンフィクション作家の山根一眞さんが命名し、週刊ポストにおける連載シリーズ「メタルカラーの時代」のタイトルの由来にもなっている。 また、同氏による本もありますね。 比較的最近で言うと、孫正義さんの言及もあります。こちらはロボットを指しています。 ### レインボーカラー 『仕事術2.0』として開発したものですが、 **色んな格好を使い分けても良い** というパラダイムです。 以下は意味しません(これらはこれらで有益ではあります)。 * 多様性として、LGBTQを含む様々な格好も認める * 何らかのキャラクターを演じるために、コスプレのような格好をする・使い分ける * AI人格に好きな格好をさせる ここでは以下を意味します。 つまり、自分の素のアイデンティティ(容姿・性別・本名)を晒すことなく、マスク(ダミーのアイデンティティ)を使い分けるというものです。 マスクは複数使い分けることができます。もっとも、すでにハンドルネームやアバターなどは良く知られていますが、これをビジネスでも使うということです。 まるでカメレオンのように、ころころと変えることができるのです。強引ですが、レインボーと名付けました。 # Title: クエスティブ(Questive)な働き方 **クエスティブ(Questive)** とは、ゴールは決まっているがやり方は自由というあり方を指します。 Quest(クエスト)ができる、冒険の余地がある、といった意味になります。 ## クエスティブは脱管理の第一歩 仕事というと、通常はゴールもやり方も両方決まりがちです。 これは **管理的なあり方(マネージド)** であり、主体性を殺されて息苦しくなります。仕事 vs 私たち以前に、管理者 vs 私たちの構図になりがちです。 この古典的なあり方を脱するには脱管理をすればいいわけですが、「脱管理と言われても……」も本音だと思います。 そこでクエスティブが役立ちます。 **やり方だけを自由にする** のです。要は **任せます** 。 ## やり方を自由にするとは? やり方を自由にする、とはどういうことでしょうか。 以下は変えません。 * 何をすればゴールとなるのか 以下は任せることができます。 * 1: ゴールに至るために、いつ、何をするのか * 2: いつまでにゴールを達成するのか * 3: ゴールを達成するために、今日は何をするのか やり方を管理しない=任せるとは、究極的には **1: ~ 3: のすべてを管理しない(自由にやらせる)こと** です。 この場合、いつ終わるかがわかりませんから、進捗や成果は別途管理が必要です。もちろん、ここで **無闇に管理してしまうと、それはやり方の管理に等しいわけでクエスティブから遠のきます** 。管理者の皆さんが犯しがちです。 望ましいのは **反応的なフィードバッカー** です。 管理者としては、とにかく任せた側が報連相してくるのを待ちます。来たら、それに答えます(フィードバック)。それだけです。来たらフィードバックするという反応的なあり方にします。間違っても自分から様子を見に行ってはいけません or 見るだけなら良いですが、フィードバックはしません。 **やり方の管理を減らす鉄板は、反応的になることです** 。 それも難しいそうな場合は、少しずつ管理を入れていきましょう。たとえば以下のような段階が考えられます。 * 段階1: やり方を何も管理しない * 段階2: 締切(この日までにゴールを達成せよ)は指定する * 段階3: 締切に加え、チェックポイント(中間確認)も指定する * 段階4: 締切 + デイリーで進捗確認を行う * …… 典型的な管理者は、いきなり段階4以上を課しがちですが、それはそもそも管理しすぎです。管理脳から抜けられていません。マイクロマネジメントと言われても仕方がない所業です。 この感覚がわからない場合、管理脳が染み付いています。あなたの部下やチームメンバーは、あなたの管理に足を引っ張られている可能性が高いです。 「いやいや、やり方を自由にして動ける人なんていないよ」とも思われるかもしれませんし、実際そうであることは多いですが、意外とそうでないことも多いです。 **余計な摩擦を起こしたくなくて、管理に迎合しているだけの人は意外と多い** です。クエスティブを取り入れると、そういう人達の潜在能力や意欲を解禁できる可能性があります。 ## (関連記事) 「やり方」と「ゴール」の二軸でマトリックスになります。クエスティブはこれに含まれるパターンの1つです。 # Title: やり方とゴールのマトリックス より優れた働き方や、各チーム各個人に合った働き方を模索したいですが、「働き方を改善する」と言われても何がわからないのかがわかりません。 ここに明快な観点を与えるのが **やり方とゴールのマトリックス** です。 ## マトリックス全体 働き方は「やり方」と「ゴール」の二軸から 4 パターンに分かれます。 ![](/assets/ne649f626b863_1727814973-lGhO0X5qz1Cyx9I6P2SbiFfM.png)やり方と働き方のマトリックス この 4 つのパターンを知っておくと、状況や適性に応じて使い分けることができます。 また、マネージドやストラクチャードなど従来の管理的なあり方は現代では望ましくありません。窮屈や、退屈や、卑屈を誘発します。率直に言えば仕事が楽しくなくなるし、そもそも管理はウザいことです。 クエスティブやエクスプロラトリといったあり方を知っておくと、ここから脱せます。一歩先を行くことができます。これらは脱管理的であり、管理を行う管理者本人の荷を下ろすことにも繋がります。win- winなのです。 それでは各パターンを見ていきましょう。 ## 1: マネージド **マネージド(Managed)** とは、ゴールが存在する上、やり方も管理されるというザ・管理的なあり方です。 従来、仕事というと、これを思い浮かべがちですし、これをやってしまいがちですが、現代ではアンチパターンであることが多いと思います。 やり方を管理されるのはウザいのです。行き過ぎると **マイクロマネジメント** と呼ばれたりしますが、これはハラスメントにしてもいいくらいの害悪な行為です。 たとえば、仕事術を紹介する当サイトが、皆さんにこの仕事術をやれと強要したらどうでしょうか。仮に内容が正当であっても、納得行かないと思います。大前提として、私たちは人間であり、ひとりひとり最適なやり方があります。仕事だからといって、この領分を無闇に犯していいものではありません。 そんなことはわかっているはずなのに、いざ、管理職など管理の立場になると、中々できません。すぐに管理を課してしまいます。そしてそれを「仕事だから」と正当化します。 マネージドは現代でも蔓延し続ける病の一つです。抗うのは容易ではありません。 かんたんにチェックしましょう。あなたが管理者だとして、部下に、一ヶ月後に終わらせてほしい大きめな仕事(資料でも何でもいいですが何かをつくる系)を任せたいとします。このとき、どのように管理しますか? 「1ヶ月後、11/6 までに完成させてね」という締切は伝えるとして、それ以外の話です。 * 1: 一週間に一度くらい中間確認する時間を設けようか * 2: 毎日進捗確認しようか * 3: とりあえず、どのようにやっていくかスケジュール書いて提出して * 4: この仕事にはA,B,C,Dが必要だから、まずはAからだね * 5: この仕事にはA,B,C,Dが必要だから、まずはAからだね、Aは一週間で終われると思う、まずはAをお願い * …… 色々あると思いますが、 **これらは全部管理的な営み** です。特に 2: 以上を課した場合、あなたは管理脳が染み付いています。 かといって、「じゃあ他にどうすればいいの?」「放置するの?」と思われるでしょう。他のパターンを知らないと成す術がないように感じてしまいます。 ですので、このマトリックスの他のパターンを使います。 ## 2: クエスティブ **クエスティブ(Questive)** とは、ゴールが存在するが、やり方は自由というあり方です。 詳細は以下記事を参照してください。 クエスティブは多くの場合、もっともバランスの良いあり方です。やり方が自由なのでマネージドの弊害はありませんし、ゴールは決まっているので無闇に迷うこともありません。 仕事では基本的にクエスティブをデフォルト(第一の選択肢)にするべきだとさえ思います。 ## 3: ストラクチャード **ストラクチャード(Structured)** とは、ゴールが決まっていないのにやり方は管理されているというあり方です。 わかりやすいのはルール、プロセス、慣習・慣例、その他伝統といったものです。特に組織が大きかったり、歴史があったり、管理側や管理脳が強かったりすると「明示的・暗黙的な制約がやたら多い」状態になりがちです。 これは必要があって構造化しているわけで、必ずしも悪いわけではないのですが、 **この状態で、ゴールのない仕事をすると悲惨です** 。 新規事業でも、業務改善でも、あるいはChatGPTを調べるなど調査報告でも構いませんが、ゴールのない仕事はよくあります。 特に現代では増えているでしょう。新規事業部門でもない一般社員の人でも、新規事業について考えた(考えさせられた)ことのある人は多いのではないでしょうか。 ゴールのない仕事では主体性が必要です。ゴールという道標がないので測れないですし、各個人にも強みや弱みや事情があることも踏まえると、 **各個人に合ったやり方で、主体的に、ガンガン(あるいはマイペースに)進んでいくのが最適解** になります。 ここに管理は要りません。むしろ邪魔です。重要なのは **各自のベストエフォートを最大化すること** です。 そういうわけで、この状態はそもそも望ましくありません。少なくともやり方は自由にする必要があります。となると、 **パターンとしては 2: のクエスティブか、4: のエクスプロラトリに移る** ことになります。 クエスティブで済ませたい場合は、何かしら仮のゴールを設定する必要があります。仮のゴールさえも設定できない場合は、エクスプロラトリでひとまず探索してから考えます。 ## 4: エクスプロラトリ **エクスプロラトリ(Exploratory)** とは、ゴールも決まっておらず、やり方も自由なあり方です。 要は何も決まっておらず、自分達で **探索** していかないといけない状況です。自由度が高いとも言えますが、これに耐える、かつ続けることのできる人は少ないと思います。現代人の価値観では、まだまだ理解しづらいものだからです。 『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』では、エクスプロラトリは新しい潮流だとしています。 詳細は以下記事を参照してください。 かんたんな内容ではありませんが、今後探索的な場面は増えてくると思います。先取りできると強いです。 エクスプロラトリを身につけるための、端的な方法は、すでに探索的な営みに慣れている人と対話すること・または指導を請うことです。 個人で活動されているクリエイターや研究者の方が当てはまります。ただし、 **プロとして、明確な締切に基づいて仕事をする人は当てはまりません。それはただの仕事であって、探索ではないからです。** どちらかと言えば、 **趣味で活動されている方の方が適切** です。趣味でものづくりをしているクリエイターや、在野研究者などですね。彼らは仕事でもないのに、創造という難しい営みを長期間続けている超人です。探索の名手とも言えるでしょう。 彼らを探して、コンタクトを取りましょう。必要ならお金を出しましょう。そしてエクスプロラトリという言語化を見せて議論すれば、探索とはどういうことかがおわかりいただけるかと思います。 もちろん、すでに個人で探索的に活動されている人がいるなら、その人で構いません。皆さんのチームや部門にも、そのような人が一人くらいはいるかもしれません。 # Title: 対面口頭以外の情報共有とコミュニケーションは「QWIC」 **「対面で口頭」以外のやり方** もあります。もちろん、やり方だけだけでは上手くいかず、考え方もセットになっていることが多いです。 このあたりを端的にまとめたのが QWIC です。 QWIC に頼ることで、 **対面口頭という原始的な働き方から脱せます** 。より融通が利き、多様性にも配慮でき、ストレスもなくし、もちろん成果も出せるようになります。 働き方を変えると言いますが、具体的なやり方や考え方を知らねば何もできません。QWIC はその入門になります。 ## QWICとは **QWIC** とはQ&A、Wiki、Issues、Chat の略であり、対面口頭以外のやり方でコミュニケーションや[情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc)を行うための手段を並べたものです。 以下、親しみやすい順で、概要に入ります。 ## Chat **Chat(チャット)** 自体の解説は割愛しますが、ここではTeamsやSlackといった **ビジネスチャット** を指します。 LINEなどただのチャットは含みません。 ビジネスチャットは、すでに多くの人がご存知だと思います。パンデミック時のリモートワークにも貢献し、ビジネスにおいて欠かせない道具担っていると思います。 ### 区分け ビジネスチャットの特徴は **「区分け」** です。 LINEなどと違って、ワークスペースやチャンネルやスレッドといった単位があり、様々な組織やプロジェクトが共存できるようになっています。 ### 時系列指向 区分けの力を持つことを除けば、ビジネスチャットは基本的にはただメッセージが時系列に流れるだけの、単純な世界観です。これを **時系列指向** と呼びます。 ![](/assets/n601fd74a0339_1727850853-zfqkgU15dXQepwHMbWZIcG2j.png)タイムラインにメッセージを流し込む。時間軸に沿って流れる。 時系列指向はわかりやすいですが、空気があるため今現在の話題しか扱えません。たとえば今タイムライン上でAの話題になっているのに、突然Bの話題を書くことはできないでしょう。また、同時に3つの話題を扱うなんてこともできません。 また過去の情報も探しづらいです。良くも悪くも、今現在のことをやりとりする力しか持ちません。この限界のせいでオンライン会議が多発してしまうことは、すでに皆さんがご存知のとおりです。 ## Wiki **Wiki(ウィキ)** とは皆でページを編集したり、ページからページにリンクを繋いだりといったことが行えるツールです。 読み手としてはWikipediaやゲーム攻略Wikiなどで知られていると思いますが、書く立場としては案外マイナーです。 ### 時系列指向を補完する Wikiのメリットは、情報をページとしてしっかりと残せることです。時系列的で、すぐ流れてしまうチャットとは違います。 チャットはフロー型で、Wikiはストック型と言いますが、そのとおり両者は似て非なるものです。チャットにてリアルタイムなやり取りして、情報はWikiで残すというハイブリッドが一般論としては望ましいです。 ### Wikiは敷居が高い 手段としてWikiがいまいち浸透しないのは、その敷居の高さにあります。 まず「かんたんに書ける」といっても、チャットよりははるかに難しいものとなります。たとえば以下のハードルがあります。 * 自分が今、どのページを見ていて、どこに何を書くかといった現在地と周辺地理の判断が要ること * 専用の記法を使って書く必要があること * 文字ばかりで、情報密度が高いため、毛嫌いしやすいこと 近年では書きやすいWikiも多数登場していますが、どれもSaaSであり、それなりに高額のため、古い組織は中々導入できません。かといって、昔から存在するWikiは、自分でサーバーを立てて構築せねばならず、これはこれでハードルが高いです(そもそも単純に書きにくいです)。 もう一つ、ナレッジ指向的というハードルもありますが、次で扱います。 ### ナレッジ指向 Wikiは「皆が見る場所」に「ただ一つの記入領域がある」という構図です。ページこそ分かれていますが、たった一つしかないわけです。 ![](/assets/n601fd74a0339_1727851025-KzFsu2E56UJ7RlhYgoVDH4q0.png)内部はページで分かれているが、全部全員に見えている。ゆえに公的になりがち。 それゆえに内容は公的で、真面目なものになりがちです。同調しがちで、階層的な日本の文化ならなおさらです。この「ちゃんとしたことしか書けない」感じを **ナレッジ指向** と呼びます。ナレッジと呼べるような、ちゃんとしたものだけを書いていこうというわけですね。何らかの自治が発生することもよくあります。 Wikiは情報を残せますし、ナレッジ指向そのものも有益な立場ではあるのですが、気軽に残すという意味ではまだまだなのです。 ちなみに、すでに述べたとおり、近年登場するWikiを使えばハードルはだいぶ低くて済みます。 たとえば[Cosense(旧Scrapbox)](https://scrapbox.io/)は、他のWikiでは続かない人も続いたり、学生や新人でも比較的かんたんに使えるほど出来が良いと思います。 他にもありますが、ITエンジニア向けの者が多く、一般利用するには厳しい印象です。 ## Q&A **Q &A**とは質疑応答を行うシステムです。 ビジネスで社内で使う道具としてはあまり盛り上がっていませんが、インターネット上ではQ&Aサイトとして知られています。 [Yahoo!知恵袋](https://chiebukuro.yahoo.co.jp/)や教えてGoo!はご存知の人も多いでしょうし、技術者向けの[Stack Overflow](https://ja.stackoverflow.com/)や、教養を持て余してる人達のための[Quora](https://www.quora.com/)もあります。 ### 社内で使う道具としては未成熟 Q&Aは、QWICの中では唯一成熟していません。 というのも、Q&Aでは「たくさんの人が見ている」という数の力が重要であり、これを社内で満たすのが難しいからです。 **社員全員が自由にアクセスできて、誰でも質問や回答ができる文化** が必要です。 ※そもそも従業員の人数が要ります。最低でも数百、できれば1000以上。大半の組織はここに当てはまりません。人数の少ない組織は皆忙しいですから、Q&Aを見て答える暇などないという世知辛い問題もあります(組織力学と呼べるほどありふれた現象と思います)。 また、仕事で扱う情報には機密情報や人の情報も含まれますから、それらを **上手く漂白して扱うスキル** も要ります。このスキルは発信が得意な人は持っていますが、大多数の人は持っていません。おそらく「機密情報があるから無闇に書けない」などと正当化するでしょう。 さらに、そもそも「質問を見たりしたり、あるいは回答をしたりする」ための余裕も必要です。たとえば1日1時間くらい、恒常的に確保できるでしょうか? 現時点で良いツールが無いのもそのためでしょう。 **そもそも文化が追いついていない** のです。この文化を壊せるキラーアプリの登場が待たれます。 ちなみに『仕事術2.0』では、Rapid Q&Aという手法を提案しています。 ### Q&Aサイトもエンタメ化している Q&Aサイトは参考にならないか、と思われるかもしれませんが、ならないと思います。 これらは結局エンタメ化しているからです。誰でも質問できて、答えが確実に、できれば早くつくという「マッチング」の仕組みはまだまだです。Q&Aサイトの盛り上がりは、面白そうな質問に面白そうな回答がついて、そこが盛り上がっているという構図だと思います。 ※もちろんちゃんとQ&Aが機能している場面もいくらでもありますが、これはインターネット全員という広い範囲だからです。かつ、これも安定してはいません。そういう意味では、ランダム性の高いエンタメと言わざるを得ないでしょう。 ### 質問・回答の使い捨て Q&Aは、Wikiと同様にストック的なあり方であり、一度質問・回答した情報は残り続けます。「質問する前に調べてね」とか「こっちでもう回答されてるよ」といった光景もよく見られます。 このストックという価値観は、Q&Aの普及啓蒙を阻む一つの壁でしょう。そもそも自分で調べたりできないか、そうしてられないからさっさと質問したいのです。 でしたら、いっそのことチャットのように、フロー的に扱った方が良いのかもしれません。前述しましたが、[Rapid Q&A](https://note.com/workhack20/n/n3cce1fc66426)は、この考え方で提案をしています。残ってるかどうかは関係ない、とにかくすぐ聞いてすぐ答えが返ってきたらそれでいいじゃない、としています。 ### ### アンサー指向 Q&Aの本質は「回答が来たらそれでいい」です。これを **アンサー指向** と呼びます。 ![](/assets/n601fd74a0339_1727851266-fMZY9UswCTVhNuJLQyK2X7x0.png)質問者が納得する回答が来たら、それでいい。 回答情報をストック的に残すだとか、エンタメ化するような雑談的な内容も許容するとか、そういったことをしているからブレているのだと思います。 Q&Aを考えるのであれば、質問した人の質問に早く回答が届くことを考えるのが良いでしょう。アンサー指向です。答えが来たらそれでいいのです。 もしQ&Aに取り組まれる人がいたら、アンサー指向を心がけてください。 ## Issues 1つの課題につき1つのページが与えられて、そこで議論を行うという形のシステムを指します。 名前は[GitHub Issues](https://docs.github.com/ja/issues)から取っていますが、「チケット」のほうが馴染めるかもしれません。 異世界ファンタジーを読まれる人は、冒険者ギルドに掲示されているクエストの、あの紙をイメージしてもらえればと思います。また、タスク管理のシステムを使っている人は、すでに馴染みがあるとも思います。 ### トピック指向 現在のところ、Issues は課題管理やタスク管理用途がメインですが、本質はこれに留まりません。 Issues の本質は **一つの話題を一つのページで扱える** ことです。 これを **トピック指向** と呼びます。トピック(Topic)とは「話題」の意味です。 ![](/assets/n601fd74a0339_1727851404-12j4dhGFRvOQeXipgHmNoTAw.png)話題1は、AさんとCさんが話題1ページでやれば良い。 トピック指向な道具を使うと、話題のそれぞれを切り離すことができます。用がある人は、そのページに行って、そこでやりとりすればいいのです。各ページは必要な人だけがアクセスすればいいですし、必要なら別の人にも共有できます――と、要は **話題のそれぞれを独立して扱えます** 。 ### トピック指向を制する者が仕事を制する 『[仕事術2.0](https://note.com/)』では、このトピック指向を重視しています。 現代的な、融通の利く働き方を実現するためには、このトピック指向が必要だからです。 * チャットのように、時系列に流し込んでごちゃごちゃするのでもなく * ウィキのように、ナレッジ級の限定的なことしか書けないものでもなく、 * Q&Aのように、質問ベース回答ベースという縛りでしか書けないものでもなく、 より融通な情報共有とコミュニケーションが行えます。誰でも、知りたい話題のページに行けば見れますし、書けば参加もできます。 あらゆる話題を残して、関連のある話題を繋いで(ウィキの部分で登場するリンクの概念)、もちろん上手く探せるようにもして、盛り上がりも可視化して―― そういった工夫があれば、仕事術2.0が掲げる脱拘束も行えるようになります。 現状、これに最も近いものは、上述したCosenseです。 Cosense自体はWikiですが、1話題1ページを心がけることでトピック指向になります。他のWikiよりも気軽に書き込めますし、整理整頓が不要な世界観にもなっているためナレッジ指向も起きにくいです。 ※むしろ書き易すぎて、逆に色んな人の書き込みで散らかってしまう問題が生じてしまいます。これを抑えるために、[意図的にナレッジ指向を取り入れねばならないとの(公式の)考察](https://scrapbox.io/support- doc- jp/%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%92%E4%B8%AD%E5%BF%83%E3%81%AB%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%92%E6%9B%B8%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%82%92%E9%81%BF%E3%81%91%E3%82%8B)もあります。 ## おわりに この記事では QWIC それぞれの概要を解説しました。 すでに基本的な考え方と、いくつかの道具(ツール)は挙げていますので、より詳しくは各自深堀りしてください。 重要なのは、小さくてもいいので、実際に試してみることです。解説自体はかんたんですが、意外と「世界観」が **従来とはかなり違う** ので中々ピンと来ません。 たとえば、チャットしか知らない人は、Wiki にも Q&A にも Issues にもピンと来づらいのではないでしょうか。 ## (関連記事) 4つの指向性について、マトリックスで俯瞰しました。 # Title: 読んでおけば覚えておけて思い出せて対応できる ← そんなわけない ビジョンやルールを全体に共有する際、よくあるのが「これこれを読んでください」ですが、 **それで済むなら苦労はしません** 。 人間の力を過信しすぎです。 ## 実際は以下のとおりだと思います * 読んだだけで覚えられるとは限りません * 覚えたとして、思い出せるとは限りません * 普段思い出せるとして、いざというとき思い出せるとは限りません * 思い出したから、対応できるとは限りません こういったことを安定的に行うのは **スキルの領分** です。スキルには練習やトレーニングが必要になりますが、ビジョンやルールに対して、いちいちこれをやるのは非現実的です。 ※オンボーディングプロセスとして上手く行えるならアリですが、やりすぎると非人道的になります。カルトの常套手段ですね(カルトはさらに対人関係や環境の遮断など巧みに追い詰めてきますが……)。 ## 必要なのは「情報」へのアクセス じゃあどうするかというと、 **「情報」にアクセス** できればいいのです。 情報にアクセスして、それを見ながら内容を思い出して、それから行動すれば良い。 そもそも現状でも **結局元の情報を確認するのではないですか?** 現場判断が迅速に必要な場合は、独断で行くこともありますが、そうではない場合は、改めて元の情報を確認するはずです。あるいは、情報がない場合は、人を巻き込んで政治を発生させることもありますが……。 **結局、情報は見るのです** 。だったら最初から情報を用意しておいて、早くアクセスできるようにすればいいのです。 と、ここまでは良いのですが、「情報にアクセスするってどういうことですか?」との疑問が多いようです。 そこで、この考え方とやり方を説明するための道具をつくりました。[ **ラピッド・リファレンス**](https://note.com/workhack20/n/ne4341685a0b3)です。 ぜひお使いください。 # Title: ラピッド・リファレンス **ラピッド・リファレンス(Rapid Reference)** とは、素早く参照できる情報源を指します。 元の文脈は以下を見てください。 ラピッド・リファレンスは、上記の問題を解決するための方法です。 ## ビジョンやルールをすぐに見れるようにするには ### 現在の非現実的な前提 ビジョンやルールの運営においては、 **各自は完全に頭に入れておいて、適切に思い出せる・発揮できることを前提としがち** です。上記記事でも述べたとおり、そんなことは非現実的です。 ### ラピッド・リファレンスの考え方 ラピッド・リファレンスでは発想を転換し、以下のように捉えます。 * 大体覚えておけばいい * 本体は情報として書いている * その情報を、 **いざというときに素早く読めたらいい** ## ラピッド・リファレンスを実現するには ### 1: 3つの要件 まず要件としては、以下を満たす必要があります。 * 早さ * 情報はブラウザなどで **1秒以内** に表示される * URL * 情報には **固有のURL** が与えられており、そのURLを使えば誰でもアクセスできる * フラットかつステーブル * フラット。情報は誰でも見ることができる * 安定性。情報はいつでも見ることができる * 情報を提供するサービスが落ちたりしない これを満たすシステムを用意しなくてはなりません。 たとえば従業員10000人以上の大企業であれば、10000人全員が上記すべてを満たす必要があります。 これは領分としてはDXになりますが、中々の難度です。というより、相応の投資をするかどうかに帰着されます。 **DXでご飯を食べているIT大手でさえもできていない難題** です。 本記事でも示すとおり、手段はもうあります。あとは投資次第です。 ### 2: ブラウザで読める情報共有手段 次に、情報は **ブラウザで読めなくてはなりません** 。つまりHTML――ウェブページとして提供される必要があります。 なぜかというと、この形態が現時点で最速だからです。 たとえば以下はダメです。 * WordやPowerpointやPDFといった文書で提供する * Teamsなどチャット上で全体に共有する * アプリをインストールさせ、その中の通知として提供する * イベントの形で社員を集め、そこで喋ることで提供する(資料は共有しない) * 仮に共有したとしても、おそらくPowerpointでしょうから同じことです また、ウェブページであっても、3つの要件を満たさないものはダメです。既存の社内サイトや社内ブログは、現代的な製品も含めてこれを満たせません。 これを満たすためには、QWICでいうWikiやIssuesに値するツールが必要です。ツールの候補は多数ありますが、重要なのは 1: でも述べたとおり、全社員分の利用に耐えうるインフラの整備(というより投資)です。 あるいは(ITの話になりますが)[GitLab Handbook](https://handbook.gitlab.com/handbook/)のように、Markdownで書いて、それをウェブサイトに変換するような仕組みでも良いでしょう。 社内で 1: の要件を満たせるシステムをつくれないなら、SaaSを使ってインターネットに公開する手もあります。上記のハンドブックもまさにそうしてます。 既存のSaaS、特に長らく続いているものは、B to C向けでも動作するようにインフラが相当整っています。その辺の企業では太刀打ちできません。だからこそ使えます。ただし **情報をインターネットに公開することになります** 。よほどオープンな組織じゃないと出来ないでしょう。 ### 3: 従業員全員のPCとネットワークを強化 そして最後に、忘れがちで、かつ耳が痛いのが **従業員が使っている道具の性能** です。具体的には **PCとネットワーク** です。 まずPCには、ラピッド・リファレンスを常に遅延なく読める程度の性能が必要です。現在であれば、メモリでいうと16GBが欲しいですし、ディスクもSSDが欲しいです。 また、セキュリティソフトも盲点です。PCの性能が高くても、 **セキュリティソフトの設定が性能の足を引っ張っている** ことがよくあります。特に昨今はクラウドと連携して、通信を見張るものも多く、通信そのものの品質の足を引っ張りがちです。大きな企業がハマリがちです。 別解として、 **ラピッド・リファレンス用に最適化した軽量な端末を使う** 手もあります。ですが、具体的な実現方法はまだありません。PCではなく、専用のデバイスをつくる形で実現した方が使いやすいでしょう。ビジネスのポテンシャルがあると思いますので、これを読んでいる投資家、経営者、優れたエンジニアの皆さんに任せます。 そしてネットワークです。社内ネットワーク環境を強くするか、従業員各々が私的に使っているネットワーク環境を強くしてもらうか、のいずれか、もしくは両方になります。 ## おわりに ラピッド・リファレンスの実現方法を議論しました。 ITエンジニアの人にとっては、目新しさは無かったと思います。 仕事術全般がそうですが、内容自体はそう難しくはありません。重要なのは理解しやすい言語化と、それを実際に起こすための行動です。特に後者はDXと同様、投資できるかどうか次第です。 ビジョンやルールの啓蒙に悩まれている人は、ぜひラピッド・リファレンスに挑戦してみてください。 # Title: 非同期リテラシー [非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)を使いこなすにもリテラシー(素養)が必要です。 ですが、このリテラシーは誰もが持っている or 自然と手に入るものではありません。わからない人はとことんわからないようですので、本記事にて改めて解説します。 ※従来のコミュニケーションとは **全く違ったあり方になるため、従来しか知らない人が知らないのは当然** です。だからこそ明確に言語化していく必要があります。 ## 1: 相手のペースを奪わないことが礼儀である 礼儀の捉え方は二つあると思います。 礼儀1.0、礼儀2.0という良い言語化あるので紹介します。 > 礼儀の定義が変わってきてる気がした > > 礼儀1.0 > 相手を重んじる。自分の時間を犠牲にし、時間を相手のために使う。直接会う。スーツなど服装をわきまえる。 > > 礼儀2.0 > 相手の時間を奪わないようにする(電話しない、リモートで済むものはリモート) **非同期リテラシーとしては、礼儀2.0を尊重します。** 変わってきてる気がした、程度ではなくではなく **礼儀2.0でなくてはなりません。** 別の言い方をすると、ツール以前に考え方が重要です。いくらツールがあっても、ここが変わらねば意味がありません。 せっかくリモートなのにリモート会議ばかりしている、などという笑えない悲劇はよくあります。これも結局根っこの考え方が変わってないからです。 その「考え方」は、実は色々あるのですが、礼儀1.0・2.0との言語化は非常にわかりやすいと思います。 ## 2: 自分のタスク管理は自分で行う 非同期的なあり方では、各自が自分のペースで情報を出せば済みます。しかし、出すのが遅すぎると仕事になりません。現実的に問題ない程度の早さで出す必要があります。 これは **結局タスク管理の問題** です。 自分のペースで動けばいいとは、 **裏を返せば自分で動かなければならない** ことを意味します。会議に出て、その空気や言われたことに従っていればいいほど単純ではありません。当然ながら、色々とやることを抱えていますから、それらをすべて把握して、上手く処理することになります。 **タスク管理** ですね。 タスク管理はスキルです。 ※プロジェクトのタスク管理ではなく自分自身の、という話です 残念なことに **できる人が非常に少ないのです** 。学生も社会人も経営者もフリーランスも関係無いです。99% はできてないと思いますし、99.9% くらいでもいいかなとさえ思います。 たとえば **「自分に届いたすべてのメッセージに目を通して、適切なタイミングで返す」程度のことができる人がどれだけいるでしょうか** 。そのためには「メッセージをタスク化していったん管理して」「それぞれを適切なタイミングで実行して」といったことが必要ですし、そもそもノイズやスパムが減るよう日常的な整理や整備も要ります。 才能と片付けるのはかんたんですが、あまりに酷なので、『仕事術2.0』でもタスク管理は重視していきます。 ひとまず、いくつか記事を書いてるので張っておきます。 ## 3: 主体性を得るための内省 礼儀2.0を備えて、自分のタスクは自分で管理して、だけではまだ足りません。 **「そもそもどのように動けばいいかがわからない」人は多いと思います** 。日本の国民性だったり、資本主義的な組織構造だったりと文化的な影響が多いと思いますが、要は主体性がありません。 主体性とは自分なりに動けるという性質です。別に正解でなくてもいいですし、そもそも正解なんてそうはないのですが、とにかく自分なりに動けることです。 **主体性がないとは、自分なりに動くことができないとも言えます** 。 主体性には自分の軸が必要です。 「こういう感じで動く」という「こういう感じ」そのものか、あるいは「こういう感じ」をつくる要領が要ります。これは非常に個人的なもので、自分で内心と向き合うことでしか身につきません。 ※ですので私たちは多忙になりがちです。主体性がなくて退屈を持て余すからこそ、忙しいところに行ったり、そういう状況にしたりして「反応していれば良い」という受身な状態をつくります。幸か不幸か、この多忙主義とも言うべきスタンスは資本主義と相性がいいので、ご存知のとおり現代でもまだまだ是とされがちです。 内心と向き合う方法は色々ありますが、 **内省** は有名でしょう。 この言葉も多義語ですが、ここではカジュアルに「ひとりでじっくり考える」「自分について見つめ直す」くらいの意味で使います。 もう一つ、チームワーク100%ではなく、ひとりで仕事をする余地も設けるとのパラダイムもあり、こちらは以下記事で解説しています。 ## 4: やり方の緩和 仕事というと、ゴールのみならずやり方も管理するイメージがあるかもしれませんが、それは前時代的な「一手段」でしかありません。 特に非同期コミュニケーションでは、すでに述べたとおり各自が各自のペースで動くわけですから、やり方の面も各自に任せるべきです。 この点もすでに解説しています。 ## おわりに 非同期コミュニケーションに必要なリテラシーは多岐に渡りますが、本記事ではシンプルに4つにまとめました。 従来のあり方から見るとずいぶん突拍子に見えるかもしれませんが、現代では技術のみならず仕事術も進んでいます。仕事のやり方も考え方も進歩しているのです。 当サイト『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』でも、様々な仕事術を紹介することで、皆さまのアップデートに貢献したいと思います。 # Title: 上司という名のお客様 「デファクト・クライアント」 **デファクト・クライアント** とは、新規事業や組織改善などの **新規活動** において、事実上のお客様として立ちはだかる存在を指します。 ## 本質は行動の早さと回数 新規活動において重要なことは **行動の早さと回数** です。 顧客とその候補に対する検証をどれだけ行えるかがすべてとなります。見つかるまでは先に進めません。そうかんたんには見つからないからこそ、とにかく早く動き、たくさん試行する必要があります。 近年では、このあたりを言語化したやり方や考え方も多数あります。 * リーンスタートアップ * 定量的に素早く仮説検証する * アジャイル * 顧客も巻き込みつつ、「使える」を維持しながら少しずつつくっていく * ドッグフーディング * 自身が常用するものを公開し、同類を取り込んでいく * etc ## 立ちはだかる人達 この本質は現代では常識となりつつあると思いますが、わからない人、あるいはわかっていながら行動に移さない人はまだまだ多い印象です。 このような人達の例を以下に挙げます。 * 上司 * 上司の上司 * お目付け役やアドバイザーといったポジション * 審査や評価を担う部門 よくある言い分も挙げておきます。 * なぜ稼げるのかという **根拠** を言え * いつまでにどれだけ稼げるのかという **プラン** を提示してください * これこれの観点を **満たしていないので却下** します * 私たちはベテランであり、 **色々詳しいのだから** 聞きなさい まともなことを言っているようで、その実、無知と無能を晒しているだけです。そもそも土俵からして違います。従来のように与えられた制約を守るように動く世界ではなく、何もない状態で自ら切り開いていき、そこで得られたフィードバックを取り入れていく世界なのです。後者の世界では未来など読めません。だからこそ、VUCA などというわけです。 後者における本質は行動です。かつ、 **上記の人達はたいてい対象から外れた存在であり、検証対象としての価値などありません** 。にもかかわらず、その外れた人達が古いやり方で阻んでくるのです。害悪ですらあります。 ## 事実上のお客様であるということ とはいえ、それらハードルを現実的に取り除くことはできません。人を変えるのは難しいですし、組織や文化を変えることはもっと難しいからです。ほぼ不可能です。 そういうわけで、それらのハードルは事実上最初の顧客として君臨しているようなものです。 **事実上のお客様、ということでデファクト・クライアントと名付けました** 。 なお、顧客を表す単語には「カスタマー」と「クライアント」がありますが、「クライアント」の方が関係が中長期的です。そのとおり、デファクト・クライアントも長らく君臨し続けます。というより、異動でもしない限りは居続けます。 ## 事実上のお客様と向き合う となると、あとはデファクト・クライアントと向き合うだけです。 向き合い方は以下の2パターンです。 * 受け入れる * 受け入れない ### 受け入れる場合 まずはデファクト・クライアントの存在を受け入れる場合です。 この場合、デファクト・クライアントを突破するための行動を何でもできるかどうかが肝心となります。 根拠が欲しいと言われたら用意しますし、プランを言えと言われたらつくります。何らかのプロセスに則っているなら、それらは全部遵守します。 **何でもします** 。 行動という本質は無視して、その最初のお客様のためにとにかく何でもするわけです。 結局、これができるかどうかはやる気にかかっています。 **そこまでしてでも本当にやりたいかどうか――これに尽きます** 。 あるなら、四の五の言わずにやりましょう。 ないなら、どうせ越えられないので諦めましょう。 また、ある場合で、かつ、この場所でなくてもできそうという場合は、さっさとそこを見限って別の場所に行きましょう。そこで得られる技術、経験、人脈は使えることがあるので、その調達に専念するのも良いでしょう。 よくあるアンチパターンが「いや、でも、良いこと言ってると思うし……」などと **デファクト・クライアントの言い分から学ぼうとすること** です。古い世界のやり方を学びたいなら構いませんが、新規活動では役に立たないので意味はありません。時間の無駄です。 ※古いやり方も従来の仕事では引き続き役に立ちます。また、新規活動であっても、ある程度成功した頃には必要になります。ですが、それは行動しながらつくればいいことですし、行動しながらの方が得られる情報量も多いのでつくりやすいです。順序が違います。 ### 諦める場合 次にデファクト・クライアントの存在を受け入れない場合です。 受け入れられないからといって、消すことはできませんから、 **自分の方から離れる** しかありません。あるいは、仕事をしている体で時間を潰したいなら、適当に遊ぶこともできます。 ポイントは **さっさと見限る** ことです。さっと諦めて、離れるなり遊ぶなりしてください。中途半端な期待が一番引きずりますし、その間の時間や気力も無駄になりますし、それでも結局何も変わりません。 ## (関連記事) 行動の早さと回数を稼ぐやり方ができるかは、予算を握っている人がドンと出せるかどうかに帰着されます。これはDXと同じ構図です。 デファクト・クライアントは「やり方を管理している」とも言えます。ならばやり方を管理しない仕事の仕方をすれば良いのです。あります。クエスティブ(Questive)です。 常時チームでいると、既存の空気やルールや文化から逃れにくくなります。新規活動では常識にとらわれず柔軟に、臨機応変に動くことが重要ですから、チームという楔を緩和できると役に立ちます。 『仕事術2.0』では他にも様々な仕事術(仕事のやり方や考え方)を用意しており、行動したい皆さまの背中を後押しします。 また、古いやり方にとらわれている人が、そのことを自覚し、新しい世界に一歩踏み出すための背中も押してくれると思います。 ぜひご活用ください。 # Title: 内省が苦手な人は「内省のマトリックス」を 内省のやり方は「お題を使うか」と「書くかどうか」で4パターンに分かれます。これを **内省のマトリックス** と呼びます。 ![](/assets/nac5fc8fb7036_1727986966-KnbBDEYNUykO51Q6Pu0HS2ld.png)内省のマトリックス どのパターンが正解、といったことなく、人によって合う合わないがありますし、同じ人でも状況によって合うものが変わります。 **内省が苦手な人は、単にやり方が合っていないだけかもしれません** 。 自分に合ったパターンを使うと良いでしょう。 以下、各パターンを解説します。 ## 1: お題を使わないし、書かない 頭の中だけで自由に考え事をします。『運ゲー』です。 このやり方は難しいので、基本的には選ばない方が良いです。 準備が要らないのですぐ飛びつきがちですが、思考は発散しがちですし、そもそも **何も使わずただ考え事を続けること自体が難しい** と思います。できても発散するばかりですし、偶然上手いことが思いつく可能性もありますが稀です(アイデアと同じで再現性の無い運ゲーです)。 ## 2: お題を使うが、書かない 頭の中だけで考えますが、何について考えるか(お題)は設定します。『意思決定的』です。 書くのが苦手な人や、普段書くことがなく頭の中や会話で済ませている人は、このパターンが良いでしょう。肝となるのはお題で、何について考えたい、何と向き合いたいのかを **ちゃんと決めること** です。 重要なのは、 **内省中であってもお題から逸れない** ことです。瞑想やマインドフルネスをご存知の方は、同じ過ごし方をするのだと理解してください。 これらにおいては「思考は追うものではない」ですが、このパターンの内省では「思考は(お題以外は)追うものではない」となります――が、これはこれで難しいです。瞑想やマインドフルネスと同等、あるいはそれ以上に難しい気がします。 あるいは意思決定の営みだと考えても良いでしょう。管理職や経営者の方は特に身近でしょうが、仕事を現実的に進めるためには、時には非情となって、多くのことを切り捨てています。本当に重要なことを見極めて、責任を負うと腹をくくって決断しているわけですね。内省も同じで、 **お題について考えるのだ、と見極めた上で、お題とは関係のない思考をばっさり捨てる** イメージです。 ## 3: お題は使わないが、書く 何について考えるかは設定しませんが、書きながら内省します。『発散と収束』的です。 パターン3と4は「 **書く内省** 」を使うので、まずはこれについて説明します。 **書く内省** とは、思考を書きながら行う内省を指します。何について考えているかが可視化されるので、思考が散らかるのを防げます。また、それについて考えればいい、あるいは考えを広げるためのヒントがこれらなのだという意味合いとして使うこともできるので **考えるという行為そのものを粘れます** 。 パターン1と2は、書かずに頭の中だけで考えるだけでした。これは一見すると気軽ですが、頭の中は制御が難しく、気も散らかりやすくて安定性に欠けるのです。 書けば(正直書かないよりもしんどいですが)安定します。 さて、このパターン3は、お題は設定せずに、書きながら内省することを指します。つまりは考えを書き込みながら内省を進めていくということです。 当然ながら書き込む際は言語化も必要ですし、書き込みが増えてくるとどこを掘り下げようかといった判断も必要になるため **疲れます。しんどいです。だからこそ安定感が出ます** 。要は、脳内で適当にふらふら漂うのではなく、一歩ずつ固めながら前進しているようなイメージです。 これをやるなら、最低でも1時間の余白は欲しいです。書く内省は、書かない内省よりも集中します。大きな余白が必要です。慣れたら10分など短時間でもできるようになりますが、いきなりは無理ですので、まずは余白をちゃんと確保するところから始めてください。 多忙な人で、そんなもの取れないという人は、取るところから始めてください。『仕事術2.0』でも余白をこじあける仕事術はいくつか取り扱っています。 このような営みは、馴染み深い人もいるかもしれません。 **アイデア出しなど発想の作業と同じ** です。特にブレストが知られていると思いますが、あれをひとりでやるイメージですね。ただし、出して終わりではなく、内省では結論も欲しいですから、結論を導く(出てきたヒントから自分なりに結論を出す)との収束作業も必要です。 ※発散だけ行う「書く内省」も可能ですが、あまりおすすめはしません。結論が出ないと「色々考えが出て満足した」で終わってしまいますし、何より **収束に対する逃げ癖** がつきます。 最後に、書くための手段の話ですが、何でも構いません。テキストで単語や文章を書いてもいいし、付箋で書いて貼り付けてもいいし、紙にペンで書いてもいいです。自分にあったやり方でやりましょう。 一般的には、デジタルは書くのは速いし紙面上の制約もないですが、味気がなくてくじけやすいです。アナログは、デジタルよりも遅いし紙面上の制約もうっとうしいですが、体験としては豊富なので退屈しづらくくじけにくいです。 **利便性以上に「本人がくじけないこと」が重要** なので、デジタルがきつい人はアナログも積極的に使ってください。 ## 4: お題を使うし、書く 何について考えるかを設定した上で、書く内省をします。『セルフコーチング』的です。 前述のパターン3と似ていますが、こちらパターン4では考える対象を「そのお題」に厳しく絞ります。 ※この「絞る」という感覚はパターン2でも紹介しています。 イメージとしても、パターン3のアイデア出し・発散作業とは少し違います。 **どちらかと言えばコーチングの側面が強い** でしょう(ひとりなのでセルフコーチングとしています)。コーチングとは、自分で悟ってもらうために支援することを指します。直接指導するティーチングとは似て非なるものです。 パターン4も同じです。いわば、 **お題に関して考えを深めるためのコーチングを自分でする** 、と考えてください。お題から逸れてはいけません。 そのためには何でも発散的に考えるというより、常にお題(書く内省なのでお題も書き込みます)と向き合いながら、「そのお題に関して考えを深めるためにはどうすればいいか?」を自問自答します。 正解は無いので、問い自体は思いつきであることも多いですが、その点(問いの品質)は気にしなくても構いません。セルフコーチングという本質から逸れなければ大丈夫です。 しかし、考えごとはしばしば脱線に繋がるので、油断するとすぐにパターン3になります。このお題について深堀りするのだ、という強い意思を持ってください。意思だけではアテにならないので、 **お題は書き込み先にでかでかと書く** 、など視覚的な圧をかけましょう。 # Title: 内省は難しい、だからこそ使えると頼もしい **内省** とは「自分事について」「ひとりで」「深く」考えることを指します。 ※一般的な意味ではなく、本記事における「より実用的な定義」です。 内省を使えるようになると、 **「この件について、これ以上考えることはない」** と胸を張れるようになります。モヤモヤから脱せて QoL が上がりますし、これ以上は無い(あとは決める or 放っておくだけ)ので意思決定も加速します。 本記事では、内省を使いこなすための基本を見ていきます。 ## よくあるものとの違い * 「振り返り」は内省の一種です * しかし後述するように、しばしばコントロールが過多であり作業と化しがちです * 「[メタ認知](https://note.com/workhack20/n/n4ca33cbe103c)」は内省として行うこともできますが、どちらかと言えば普段の慌ただしい状況下でサクッとやるものです * スキル的と言えます ## 内省の三要素 内省とは「自分事について」「ひとりで」「深く」考える、でしたね。一つずつ見ていきます。 ### 1: 自分事について **自分に関する何か** について考えることを指します。 主語は「私」です。私はどう考える、私はどうしたい、私はこう捉えている、など自分を主語にして考えを進めます。 より自分事にしたければ、普段使っている一人称を使ってください。その方が自分事化しやすいです。 ### 2: ひとりで **自分事には「誰にも見せたくない」プライベートな事柄が多く含まれています** 。 感情もそうですし、主義思想や欲望や性格や特性、また誰にも言ってない事情などもあるでしょう。言語化できていないものもあるはずです。 これらは親しい相手であっても、他人には伝えたくないものですし、伝わるよう配慮しながら言語化するのも骨が折れます。また、伝えたとして、関係がこじれたり犯罪になったりする場合もあります。極端な話、殺意(殺すぞ)や性欲(犯したい)はそうですよね。 一方で、これら **プライベートな事柄を廃して考え事を進めても、大した進展はありません** 。普段、他人と付き合っているときがまさにそうですが、表面的なことしか扱えません。これは赤の他人であっても、ビジネスの関係であっても、親しい間柄であっても例外はないと思います。 プライベートな事柄も含めて、ちゃんと考えたいのであれば、他人を廃して、ひとりになる必要があります。 ### 3: 深く すでに見たとおり、私たちは、 **自分事については表面的にしか考えていません** 。 何なら考えすらもしていません。人や集団や仕事やゲームや宗教に従っているだけでも生きていくことはできますし、幸せも成功も手に入るからです。考える必要がないのです。 勉強や読書をする人は少ないと思いますが、考える人はもっと少ないと思います。前者が10%だとするなら、後者は1%、いや0.1%レベルだとさえ思います。 考えることは難しいのです。というより、そもそも縁がないものです。特に現代人はそんな暇なんてありませんし、暇があっても誘惑に負けます。 だからこそ、その「考える」をやるのであれば、 **深くやらねばなりません** 。集中することもそうですし、「これ以上出せることはない」と胸張れるくらいに粘ることもそうです。 ## 内省を始める まずは内省のマトリックスを参照してください。 これは「お題を設定するかしないか」と「書くか書かないか」で4パターンに分けたものです。自分に合ったパターンを使った方がやりやすいと思います。 次に **「内省はオープンに」の原則** も心がけたいです。 オープンとは、ここでは(考える)余地が開かれていることを指します。 たとえば確認観点に基づいて振り返りをする、みたいなビジネスでありがちな振り返りは内省ではありません。その観点に縛られているからです。そんなものは内省ではなく、ただの作業です。もう一つ、そういうやり方ですと、時間面の制限もあります。 こういった制約があると、前述の三要素を満たせません。内省したいなら避けたいところです。具体的には以下二点です。 * 従うべきルールや観点が(お題を設定しているならそれ以外には)ないこと * 時間を気にしなくても良いこと また **脳内会議** も使えます。脳内で一人n役になってワイワイやってみるアレですね。他のnoteもあったので、いくつか拾っておきます。 ただし、 **演じることに集中しすぎると思考がおざなりになる** ので注意してください。よくあるのが、わかりきった結論に至るまでのストーリーを即興で創作する茶番になることです。 脳内会議は、内省においては万能ではありません。そもそも脳内会議だけで何とかなるなら内省は要りません。何とかならないから、あるいはそんな次元を超えた「これ以上はない」に至りたいから内省をするのです。 脳内会議は内省時の手段の一つと割り切るくらいが良いと思います。 最後に **自問自答** を意識すると良いでしょう。慣れてくると自在に思考を広げることができますが、最初は難しいので、 **自分で自分に問いかける** ことを意識します。 ※別のキャラクターや実在の誰かを演じれば、より問いかけやすくなりますが、脳内会議で見たとおり演じることに費やしすぎないよう注意が要ります。 問いが浮かばないこともありますから、あらかじめ質問集や観点リストを用意しておいたり、問いが浮かびそうなヒントを眺めてみたりすることも有用です。 たとえば、あなたの内省において人間関係が欠かせないとしたら、あなたと関係にある人の写真を一箇所に集めて、眺められるようにしておくなどです。 ## (関連記事) 本記事の内省のやり方が合わない人は、以下なら合うかもしれません。 # Title: プロジェクトや作業のインプットが苦手な人達 「タイニーヘッド」 できる人はできない人を理解できませんが、それは **インプットも同じです** 。 「なんで概要理解だけでウン時間もかかるの?」 「スキルあるって聞いてたんだけど?」 「これ読んでこのとおりにやるだけですけど……」 などはあるあるだと思います。 プロジェクトや何らかの作業における「インプット」を素早く理解できない人達がいます。これを **タイニーヘッド(Tiny Head)** と呼びます。 タイニーヘッドの概要と対処法を見ていきましょう。 ## タイニーヘッドのニュアンス その名のとおり、頭が小さいというニュアンスです。 もっというと脳が小さい、さらに言えば記憶や処理の性能が乏しいというニュアンスです。 わかりやすさを優先した用語であるため、使う場合は注意してください。 ## なぜタイニーヘッドになるのか? **特性と知能** によるものと考えられます。 **ASD** はあると思います。 ASDはコミュニケーションの機微がわかりません。機微を悟るための回路が壊れているようなものです。この力は物事の理解全般でも使えるもので、これを使えないというのは大きなハンデとなります。 他にも、このように脳の特性上、特定の処理に関してハンデを負ってしまう例はよくあります。 **知能** もあります。端的にはIQでわかります。 ※IQは短絡先だと捉える人は多いですが、純粋に知能の良し悪しを見るなら端的な指標です。 要は知能が高い人はインプットも楽に行えますが、知能が低い人は時間がかかります。 これは会話をどれだけそつなくこなせるか、特に上手いことを瞬時に言えるかで推し量れます。人付き合いが苦手な人でも、知能が高い人はできます。 一方で、 **経験やスキルは関係がありません** 。 なので、経験もスキルもない新人でもインプットはスムーズにできますし、逆にどちらも豊富なベテランであってもインプットが壊滅的に遅いこともあります。 ## そもそもインプットは難しい できる人はかんたんにこなしてしまいますが、そもそもインプットという営みは難しいものです。 というのも、 **私たちが思っている以上に** 、プロジェクトや作業のインプットは「情報量が膨大」だからです。 人付き合いと一緒ですね。できる人や慣れた人は難なくこなせますが、出来ない人はとことんできません。 別の言い方をすると、 **機械で代替できない** のと一緒です。なぜ代替できないかというと、情報量が膨大すぎて、それらすべてを機械に落とし込めないからです。 PC上の手作業をプログラムコードで自動化する潮流もありますが、多くの場合、専門的なエンジニアが顧客の事情も踏まえて念入りにつくりこむことで、ようやくで、部分的にできるかどうかというのが現状です。 余談ですが、だからこそDXではそもそも「 **デジタルの流儀」に、「私たちが」合わせる** ことを要求します。私たちが抱える複雑な状況をそのままインプットにするのではなく、そもそもデジタルで扱える程度の単純な世界に、私たちが合わせろよというわけです。 もちろん小手先で行えることではないので、どかっとやらねばなりません。この点は『仕事術2.0』でもすでに述べたとおりです。 ## Q: 勉強できる人なのにタイニーヘッド? よくある疑問が「勉強できる人なのにインプットが遅いのはなぜか」ですが、これもインプットの難しさを軽視しすぎです。 勉強とインプットは全然違うものです。 勉強は「マイペースに落ち着いてできる」し、「そもそも偉い人達によって理論的にわかりやすい整備されている」ので、ある意味かんたんです。 一方、インプットは状況も慌ただしく、締切や管理もきついですし、インプットにあたる人達や資料も「素人が」「片手間で」整備したものです。ひどい場合、その場の口頭で思いつきで喋ることもよくあります。 全くジャンルが違うのです。 **格闘ゲームと現実の殺し合いくらいに違います** 。 以降ではタイニーヘッドを扱う人向けの、扱い方の話をします。また、タイニーヘッドである皆さんに向けての立ち回り方も話します。 ## タイニーヘッドを扱う人へ 扱い方は大まかに以下の 3 通りに分かれると思います。 ### 1: とりあえずインプットを全部与える、をやめる 新人に仕事を教える際、マンツーマンで高密度に教えるか、インプットを与えてしばらくやらせてみるか、をすると思います。 ※マンツーマンの場合は取り上げません。インプットの与え方が違うだけで本質的には同じです。 しかし、そもそもタイニーヘッドはインプットを現実的な時間で受け付けるだけの能力がありません。能力がないので、経験を積んで何とかなるものでもありません。正直言って **不毛です** 。 **「インプットを全部汲み取って上手く動いてくれる戦力」になることを期待するのはやめましょう** 。 代わりに、インプットをあまり使わずに仕事ができるように、 **仕事を切り出して渡す** ようにします。 たとえばコンビニなど慌ただしいフロアでの接客員を想定して、タイニーヘッドに従来の接客員になってもらうことを期待するのは無謀でしょう。なので「接客だけしてもらう」「接客は免除して品出しなどの作業だけしてもらう」などの工夫をします。 特に日本では **平等主義が強く、全員が一人前にならねばならない的な強迫的な信念がしばしば発揮されますが、アンチパターンです** 。 ※かといって海外だとジョブ型的で「与えられたことしかしません」で融通が利かなかったりします。 タイニーヘッドには通じないので、そこは飲み込んで融通を利かせましょう。1の活躍は諦めるのです。0.5でも、ないよりはマシではないですか。1の活躍を強要して、上手くいかずにお互い高負荷になるという被害よりは断然マシです。そういう状況になるのだと受け入れてください。 むしろ、特定の仕事に集中させることで、結果的に1以上の貢献に繋がるかもしれませんし、せっかくなのでこれを狙ったほうが建設的です。 ### 2: 辛抱強く付き合う タイニーヘッドはインプットに時間がかかりますが、完了しさえすれば人並以上にバリバリ働けるかもしれません。 もし、そのような素養が感じられるなら、辛抱強く待つのも一つの手です。平均的な新人なら2日でインプットを終えるのに、1週間経ってもまだ立ち上がらない……なんてことがあったとしても、待つのです。素養があるなら、あとからいくらでも挽回できます。 このやり方を取る場合に、重要なのは **マンツーマンで付き合おうとしない** ことです。タイニーヘッドはそれぞれ自分独自のインプットの仕方を持っており、指導や監視などの拘束の強いスタイルは邪魔になります。 管理したい気持ちはわかりますが、そこはグッと堪えて、待ちましょう――と、言葉で言うのはかんたんですが、これは非常に難しいです。 **とんでもなく難しいです** 。 たとえば「毎日進捗確認しよう」くらいは当たり前に考えるかもしませんが、これも管理過多である可能性があります。タイニーヘッドの感覚を舐めてはいけません。当人とちゃんと対話して、当人にとってストレスのない負荷で進捗を見る必要があります。 そもそもそれだけの素養を持っていることは稀なので、安易にこのやり方を使うのは控えた方が良いでしょう。素養があるなら、わかります。明らかに周囲とは比較にならない、何らかの突出した能力を観測できるはずです。そのような場合に、その人を生かしたいというときに、この 2: のやり方が使えます。 ### 3: インプットが必要な仕事を与えない たとえば、ゼロからイチをつくるような創造的な仕事を与えましょう。任せましょう。無いのであれば、その捻出から任せてもいいでしょう。 当サイト『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』では、様々な「仕事のやり方や考え方」を扱っています。参考になると思います。 つまり **仕事のやり方や考え方を洗練させることもまた仕事** だということです。直接お金になる作業をすることだけが仕事ではありません。 とはいえ、そんなことをさせるほど余裕がないのが現状でしょう。ですからタイニーヘッドを使うのです。タイニーヘッドはどうせ役に立ちません。だったら、このような仕事のための仕事をやらせてみようではありませんか。 ## タイニーヘッド本人の皆さまへ 結論を書くと、 **自己理解とアピール** が重要です。 自分の武器があるとなお良いでしょう。「インプットが必要な従来の仕事はできないけど、武器を使ったことならできそうだ」という自然な体裁が整います。 タイニーヘッドの立ち回りも三点ほどあると思います。それぞれ見ていきます。 ※転職など合わない場所からさっさと移る案は扱いません。そもそも、どの職場であっても「インプットは誰でもできる・するべき」は存在するので、タイニーヘッドとしての立ち回りを開拓しない限りは上手くいきません。 ### 1: インプットを必要とする仕事は諦める すでに述べたとおり、タイニーヘッドはインプットを現実的な時間で受け取るのが困難です。向いていません。特性なので経験でどうにかなるものでもないと思います。 諦めてください。まずはそこから始まります。 ### 2: 特性の理解と言語化 自分の特性を理解し、言語化し、伝えられるようになりましょう。 「タイニーヘッド」という言葉も、まさにその一つです。 とはいえ「タイニーヘッドです」と言っても通じないので、自分なりに説明しましょう。この記事を見せても構いません。 他にも、当サイトでは様々な仕事術(仕事のやり方や考え方)を扱っています。自身の特性を理解する上でのヒントになるはずです。 言語化ができたら、それを伝えることができます。 伝えられたら、対話や議論ができます。 ここまで来てようやくスタートラインに立てます。インプットができる人達にはできませんから、タイニーヘッドであるあなた自身がやるしかありません。 ### 3: 武器を磨くことと、そのアピール 自分の得意や好きを磨きましょう。そして、それをアピールしましょう。それでメシを食えると最高です。 一つ言えるのは、 **周囲にはまず伝わらないので、くどいくらいにアピール** しましょう。 提案の余地は意外と色々あります。 たとえば配信が得意な人なら「社内で配信で困っている人達を助けられますよ」「配信エバンジェリストになります」「日々情報発信しますし、相談にも答えられます」「私自身もデモしましょう」のようなアピールができるでしょう。実際、それなりの大きな会社であれば、イベントを配信する機会はそれなりにありますが、素人が行っているのが現状であり、配信者としてバリバリやっている人であればもっと上手くやれる余地があります。 配信の力は仕事には役に立たないと思われがちですが、このとおり、考え方次第でどうとでもなります。あなたが本当に配信が得意なら、これくらいはすぐに気付きます。そういう意味で、 **自分の目で見てすぐに「もっと上手くやれる」と気づいたもの** は武器候補になります。 アピールの必要性をもう少し補足しておきます。 大前提として、 **インプットを難なくこなせて仕事する大多数の人達は(その代償として)このような考え方が苦手です** 。 仕事のやり方や考え方が様々存在することや、これらを変えたりつくったりするという視座がわからないのです。インプットをこなせるほど性能が高いので、そもそもそういったことを意識する必要がありません。 **やり方や考え方にずぼらな、いいかげんな人達** です。天才というと、細かいことにこだわらない汚い感じをイメージしますが、まさにあんな感じです。 だからこそ、 **そんないいかげんでずぼらな人達にわからせるために、しつこいくらいアピールする必要があるのです** 。 ちなみに、現実的には自分の提案が100%通ることはほぼなく、「この人達何もわかってないよなぁ」とうんざりするような、見当違いの配慮が来ることがほとんどだと思います。 **そういうものだと、受け入れてください** 。あなたがインプットを上手くこなせないように、皆さんもあなたの提案をすんなり理解することなどできないのです。これも特性です。 見当違いの配慮であっても、少なくとも何の配慮もなかった頃よりはマシなはずです。マシであればまあいいか、と考えます。現実はそういうものです。 それでもアピールを続けたり、配慮された仕事で結果を出すことによって、事態は変わってきます。組織なのですぐには動きません。年単位、あるいはそれ以上かかることもあるでしょう。どうか焦らずに、のんびり過ごしましょう。 # Title: 傍観者のいる1on1 以前『観察者つき1on1』を紹介しましたが、 この **傍観者のいる1on1** も似た取り組みになります。 **1on1を行う2人 + n人の傍観者がいる** 、という構図です。 ## やり方や考え方 * チームや部門など小さな組織単位内で行います * 30人以下の単位 * **全員が全員を知っているという規模感** です * やり方: * リモートでやります * 喋るのは、1on1を行う二者だけです * それ以外の全員は「傍観者」であり、 **完全にミュート** にします * 一言も喋ってはいけません * 1on1の二者も、傍観者には一言も話を振ってはいけません * 傍観者は入退場自由です ## メリット ### 1: 健全性を保てる 情報格差は政治を生みますが、1on1は閉鎖的であり、このあり方は変えられません。 「傍観者のいる1on1」であれば、傍観者がいるため閉鎖の力学は働かなくなります。 といっても閉鎖的なやりとりを抑制することはできません(またするべきでもありません)が、仕事上あるいは組織上必要なやりとりのいくつかがオープンになります。 ### 2: 安全性を保てる 特に女性は「二人きり」というシチュエーションに警戒します。またリモートであっても、隠しきれない下心を感じて辛かったりします。 現代では、特に日本では「二人きり」は、仕事だからといって安易に使っていいものではありません。 「傍観者のいる1on1」であれば、傍観者がいるため「二人きり」を回避できます。 また、このような取り組みを外部にアピールすれば、多様性に配慮している組織として注目してもらえるでしょう。 ### 3: 建設的に話し合える 仕事や組織に関する建設的な話こそが重要です。 「傍観者のいる1on1」は、プライベートに踏み込む・踏み込まれることの抑止力になります。 プライベートな話題も含めて会話することの是非はここでは深堀りしませんが、 **従来の1on1でこれを行うことは逃げの側面が強い** です。 仕事ですし、社会人なのですから、別にそんなものは要りません。ちゃんと議論と対話ができればそれで良いはずです。日本は人間関係を重視する文化ですから、このような視点は中々持ちづらく、まして反映もしづらいのが現状です。 「傍観者のいる1on1」は、この逃げを仕組みとして軽減する良い手段となります。 # Title: 録画する1on1 閉鎖性を廃した1on1のあり方はいくつかあります: **録画される1on1** もその一つですが、閉鎖性の壊し方が「リアルタイムではない」点が違います。 録画される1on1について、やり方とメリット、またいくつかの論点を見ていきます。 ## やり方 * リモートで1on1をします * 会議は録画します * 双方が録画を行うのが望ましいです * でないと片方が都合が悪いときに「取れなかった」などと逃げる可能性があります * 録画したデータはすぐに公開します * 後回しにすると公開が形骸化するため、 **もれなくすぐ公開できるくらい** 仕組みややり方を工夫したいです ## メリット [傍観者のいる1on1](https://note.com/workhack20/n/n78e4c6aafe24)と同じですので、そちらの記事を参照してください。 上記に加えて、情報が残っているので **参加しなくても追える** メリットもあります。とはいえ、数十分以上の動画をわざわざ追いかけるのは大変なので、このメリットが欲しいなら **文字起こし** も必須です。 ## 似た事例 1on1ではありませんが、この録画の発想はすでに使われています。 以下引用します。2番の部分ですね。 > > 私は、政務委員を受諾するにあたって、①行政院に限らず、他の場所でも仕事をすることを認めること、②出席するすべての会議・イベント・メディア・納税者とのやりとりは、録音や録画をして公開すること、③誰かに命じることも命じられることもなく、フラットな立場からアドバイスを行うこと、という3つの条件を提示し、それは実行されています。 当サイトでは「情報共有」「オープン」といった言葉で伝えていますが、情報格差ひいては社内政治を軽減するには情報の透明性が必要で、透明性を確保するには **公開** が必要です。 ## 議論 主要な論点をいくつか見ていきます。 ### 録画やデータ公開や閲覧が面倒くさい Ans :できるだけ手段を工夫します 録画とデータ保存については、ZoomやTeamsなどの機能を使ってください。すらすらと使える程度の練習や啓蒙も必要ですし、むしろこの部分をどれだけ行えるかが鍵となります。 理想を言えば、 **メンバー全員が難なく録画作業と保存先の把握を行える水準** を目指したいです。ここが偏っていると、「人によって公開していたりしなかったり」という不平等が起きて形骸化します。 アップロードについては、 **動画サイトへのアップロード** が必須だと考えてください。現代人は動画サイトによる再生に慣れ親しんでいます。動画ファイルをストレージにアップするなど、原始的すぎて不便です。 また、チャット上に埋め込むやり方もありますが、これも流れてしまうと辿れなくなるのでおすすめしません。動画サイトを目指してください。 動画サイトとしてはYouTubeなどインターネット向けのプラットフォームが有名ですが、推奨しません。ビジネスレベルの機密性を保障できないからです。限定URL程度では安心できません。 例として Microsoft Stream や Vimeo Enterprise があります。 ※余談ですが、録画やその公開を自動で行う1on1システム(というより会話システム)があれば、たぶん流行ります。つくれる人や動ける人に任せます。 ### 悪用が怖い Ans: これも動画サイト上で公開することで防げます。 まずアクセス範囲を絞れるからです。次に、ダウンロードもできないか、しづらいため抑止力になります。 ### 環境整備や啓蒙が大変 Ans: そういうものです。 DXと同じで、ここは投資が必要な部分となります。 整備や啓蒙自体はそんなに難しくありません。現代ならわかる人はそれなりにいますし、社内との調整やルールプロセスづくり等もたかが知れています。 問題のネックは彼らの活動費と、動画プラットフォームに支払う料金であり、結局ここを出せるかどうかに帰着されます。 無論、全社的にいきなり行うのは無謀ですから、まずはパイロット的に小さな組織単位で始めると良いでしょう。 # Title: 一緒に進めたいという潮流 「ソーシャライブ」 仕事の基本は分業ですが、近年は「一緒に進める」潮流が再燃しています。この潮流を **ソーシャライブ(Socialive)** と呼ぶことにします。 ※ティーチングやコーティングなど、一方が他方に教える営みは含みません。あくまでも複数人で仕事を進める場合の話です。 ## 再燃の理由は、若者が使っているから ソーシャライブが再燃した理由は、若者の文化だからだと思います。いつの時代でも、流行をつくるのは若者です。 いくつか例を取り上げます。 当サイトでは[No Hello](https://note.com/workhack20/n/n9ff637acd68a?sub_rt=share_pb)を紹介しましたが、若者のチャット文化ではまさにそのHelloをします。やり取りしながら一緒に進めていくことを前提としています。 また書籍「静かに退職する若者たち」で言及された「いい子症候群」についても、心理特性として以下が挙がっています。 > 自分で決めたい(皆で決めたい) 近年は若者にもキャリア志向や主体性を求めますが、一方で出る杭が打たれる文化は変わりません。 同書では「平均に合わせる」傾向が強調されていますが、いい子を演じて無難に過ごそうとするのは自然な成り行きでしょう。仕事のやり方であれば、ソーシャライブを選ぶのも自然です。 ## ソーシャライブは良いことなのか? Ans: 使い方次第です。やり方の一つにすぎません。 また後述しますが、向き不向きもあるので、向いていない人にソーシャライブをさせないことも重要です。 ## ソーシャライブのメリデメ メリット⭕: * [グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)を行いやすい * 仕事の腰が上がりやすい * ひとりだとだらけがちですが、複数人で一緒に過ごすことで気が引き締まります * また真面目にやらないといけないので、じゃあ仕事のために頭を使うか、となります * 責任を負わずに済む * 特に日本は[文化的に「階層主義」かつ「合意形成的」](https://www.amazon.co.jp/dp/B013WB5BJS/)ですから、ソーシャライブだとそれら形式を保てます * 形式はしばしばノイジーですが、責任を負うよりはマシと感じる人も多いです デメリット❌: * 仕事が遅くなりがち * 一緒に進めていく分、遅くなります * わかりやすいのは学校で、クラス全員で行事で何するかを決めるときのアレです * 一部の人には過酷 * 他人と同座したり、関係を育んだりするのが苦手な人には向いていません * 場の雰囲気や関係を損ねるリスクがありますし、純粋に本人は必要性を感じないため苦痛です * 情報格差が生じる * 情報が参加している当人内で閉じてしまうため、情報格差が生じます ## 対を成す「インフォメーティブ」 続いて、ソーシャライブと対を成すやり方を見ていきます。 **インフォメーティブ(Informative)** と呼びます。 その名のとおり、情報をやりとりするようなやり方です。一緒に進めていくのではなく、分業して、各自が各自の仕事をします。その過程や結果を「情報」として他の人に見せます。 先の例で言うと、チャットではなくメール文化がそうです。 メールでは要件とその他必要な情報を一通り全部書いたものを送ります。ソーシャライブのように「今から一緒に考えていきましょうか」などとはしません。「私はこう思うんだけど、どうでしょうか」と、こちらでつくったものをドンッと送ってしまうのです。 ## 昔と今 ソーシャライブが染み付いている人はピンと来ないかもしれませんが、 **昔は仕事はインフォメーティブ** でした。自分の分を持ち帰り、自分でつくってから先輩や上司に見せるような格好です。 フィクションでよく遅くまで作業していたり、つくった資料を翌日見てもらったりみたいな光景が描かれますが、あのイメージです。 また、ゲームもわかりやすいと思います。 **ドラクエ** を例にしますが、自分で何度も敵と戦って強くならねばなりません。強くなる部分は自分で頑張るわけです。これはインフォメーティブなあり方です。 一方で、現代ですと、 **マイクラ** を例にしますが、攻略情報(動画含む)をさっさと見て、戦いを楽に終わらせる手段やアイテムも惜しみなく使って、さっさと終わらせますよね。 わかりにくいですが、これはソーシャライブです。(人ではなく攻略情報ですが) **一緒に進めている感覚です** 。実際、スマホやPCで情報を見たり調べたりしながら遊んでいると思います。 ※あるいは子供が親と一緒に遊んでいる例も珍しくないと思います。 ## どう使い分けるか ここからは両者の使い分け方の話に入ります。 ### 1: 向いている方を尊重する 基本的にはその人に向いたやり方を尊重したいです。 向いてないやり方をやっても苦しいだけだからです。特に現代は転職も当たり前に行います(行えます)から、向いてないやり方が続くとかんたんに離反します。あるいは、やる気をなくしてセーブに走る――それこそ静かな退職に走るでしょう。 向き不向きの判断方法は二つあります。 一つは、 **普段どちらで行動しようとするか** です。「では仕事してきます」と自分ひとりで抱えてやりたいのか、それとも「それじゃ一緒にやりましょう」と一緒にやりたがるのか。 以下マトリックスが使えます。 ![](/assets/n4fc1471ee6b2_1728124148-JylfDKG3gdWZxwuR7a25vTU6.png)ソーシャライブかインフォメーティブかを判定する。 **4以外はソーシャライブです** 。 ややこしいのは、「本当は4だけど悪目立ちしたくないから2かな」のような偽りの回答がよくあることです。信頼関係がないと調べるのは難しいかもしれません。 そしてもう一つは、 **メンタルモデル(行動特性)を見る** というものです。 先の例を言うと、ドラクエはインフォメーティブで、マイクラはソーシャライブです。もちろん、ドラクエをソーシャライブに遊ぶ人もいたり、マイクラをインフォメーティブに遊ぶ人もいます。そういう意味では、 **ゲームをどう遊んでいるかを見る** のが一番です。 いずれにせよ、自分を判定するのには使えますが、相手を判定するには信頼関係がないときつそうです。 可能であれば、仕事として必要だからという形で議論できると良いでしょう。本記事も見せても役に立つと思います。 ### 2: 短期ならソーシャライブ、中長期ならインフォメーティブ 次に人ではなく状況ベースの使い分けです。 短期的に成果が求められるような厳しいシチュエーションの場合、ソーシャライブが良いでしょう。少なくとも、 **一緒に働くメンバーが同座していて、必要に応じてすぐにソーシャライブに移れる** ようにはしておきます。 中長期的に備えたいなら、インフォメーティブが良いです。特に情報共有が大事で、情報を残しながら進めていくことで情報格差と政治を減らせます――つまりは停滞や腐敗を防げます。 情報詳細については以下を: また、情報のやりとりをメインとした働き方は、従来とは異なるものであり難しいです。やり方を知らないとソーシャライブしか取れなくなります。 ですので、当サイトでもそれら新しいやり方の話は重視しています。たとえば新しいパラダイムとして説明を試みています。 ## 異分子を混ぜる 最後に発展的なトピックとして、「どちらかに偏った集団」に「他方の人」を入れると化学反応を期待できるという点を紹介しておきます。 ソーシャライブの集団にインフォメーティブを混ぜると、インフォメーティブの人が「情報をちゃんと残すこと」「ひとりでじっくり仕事すること」といった考え方を持ち込んでくれます。 インフォメーティブの集団にソーシャライブを混ぜると、組織内の人間関係の円滑化に貢献してくれます。 特に **触媒** という役割は比較的知られています or 言葉は知らなくても、存在としては知っている人も多いと思います。顔が広くて、色んな人と表裏問わず交流しており、組織全体のバランス調整に寄与しているような人です。 いずれにせよ、異分子だからと排除したり、自分達に適応させたりするのではなく、その異分子のやり方や考え方を尊重することが前提です。 これは **思っているよりもずっと難しい** のです。 たとえばソーシャライブの集団は、新たにやってきたインフォメーティブな人の「打ち合わせでは必ず[議事メモ](https://note.com/workhack20/n/nd54e3bec3407)を残しましょうよ」との提案を受け入れられるでしょうか? また、インフォメーティブの集団は、新たにやってきたソーシャライブの人の「午前のどこか2時間は会議室を専有(orオンライン会議つなぎっぱなし)して、一緒に仕事を進めていきましょうよ」との提案を受け入れられるでしょうか? どちらも提案としては序の口ですが、難しく感じると思います。しかし、だからこそ、思い切って取り入れてみることで化学反応をもたらせます。 ## (関連記事) ソーシャライブを越えるために、チャットから脱する必要がある点を述べています。 # Title: VUCA 改め VUCARD の時代 現代は **VUCARD** の時代だと思います。 ブーカードと読みます。VUCA, Remote, Diversityの略です。 ## VUCA/ブーカ 細かい定義は割愛しますが、先が読めず正解も無い時代を指します。 このような時代においては、 **権限委譲と探索** が必要です。 従来の「管理する」「予定と実績を見る」「承認を敷く」といったやり方では遅すぎます。そうではなく、管理せず、いちいち予定や承認もつくらせず、各自に任せて探索してもらって、その結果を出してもらうとのやり方にシフトするのです。 ネックとなっているのは組織構造です。特に階層組織ですね。カウンターとなるパラダイムとしては **ティール組織** があります。 当サイト『仕事術2.0』でも、VUCAへの対抗はメインテーマです。たとえばいくつかのパラダイムを紹介しています。 他にも様々な仕事術を紹介していますので、ご活用ください。 ## Remote/リモート 各自の生活水準を尊重するために、オフィスに集まるなどという拘束の強いあり方を緩めねばなりません。 そのためには **「対面で口頭でやりとりする」という原始的なあり方から脱する** 必要があります。「人間だからコミュニケーションは必要だよね」などと思考停止するのではなく、脱するためには、を考えるのです。 幸いにもすでに技術と方法は揃っています。工夫や取り入れの段階に入っています。 当サイトでは **脱拘束** と呼んでいます。 ちなみにリモートができれば良いというものでもありません。リモートであってもオンライン会議が多ければ同じことです(時間が拘束されている)。 脱拘束とは、時間の拘束も含めて緩和するということです。 ## Diversity/多様性 「特性」や「個性」と言い換えた方がわかりやすいでしょう。それぞれのあり方を尊重するということです。 特に **単一のあり方を全員に課すのではなく、n通りのあり方を共存させること** が重要です。平等よりも公平と呼びます。以下の図も有名です。 ![](/assets/nd87c0fece485_1728175434-bi3Ve0TOXslp5kJGdLPo7aFR.png)平等よりも公平。 また、多様性というと典型的な多様性をイメージしがちですが、それだけではありません。 もちろん、だからといって何でも取り入れてしまっては秩序も何もあったものではありませんが、そうではありません。 * lv1: 何もしない * lv2: 典型的な多様性だけ * lv3: **(ここがあるということです)** * lv4: 何でもする(無秩序) 『仕事術2.0』はその役に立つと思います。様々な言語化や仕事術を端的に紹介しており、読者の皆さまに気付きや刺激を与えるからです。 # Title: スキルよりもアダプテーション スキルがあるからといって通用するとは限りません。 **仮にスキルがあったとしても、その組織のやり方・考え方・人間関係などに適応できなければスタートラインにも立てない** のが現状です。 本記事ではアダプテーションについて解説します。 前半ではアダプテーションの概要や諸性質を、後半は上手く付き合うための方法を扱います。 ## アダプテーションとは **アダプテーション(Adaptation)** とは、直訳すると「適応」で、ある組織に適応することを指します。 アダプテーションができないと、戦力とはみなされません。下手をすれば追放もありえます。 ## スキルが求められているが、実はアダプテーションが重要 アダプテーションはスキルとは無関係です。 つまりスキルがあっても適応できなければ論外ですし、逆にスキルがなくても適応できれば何とかなります。 そもそもスキルなんて、よほど高度でなければ後追いで身につければいいだけです。わかりやすい例として、同じことができる人なんてこの世にごまんといるはずです。スキルとはその程度です。 そういうわけで、 **真に重要なのはスキルよりもアダプテーションなのですが、アダプテーションは度外視されがち** なのが現状です。 近年の採用活動では、採用プロセスを強化することでマッチングの質を上げようとしていますが、アダプテーションという観点では全然足りません。かといって、インターンシップについても、いわばアルバイトのようなものですから、正社員としてのアダプテーションとしてはやはり足りません。 ## アダプテーションと世界観 一つ用語を導入します。 組織が持つやり方、考え方、人間関係などを総称して **世界観** と呼びます。なのでアダプテーションとは **その組織が持つ世界観に適応すること** と言えます。 世界観には文化、価値観、ルールやプロセスなども全部含みますが、どちらかと言えば明文化されてないものを指すニュアンスが強いです。 たとえば「毎日定時退社を想定せず、息するように残業する」は世界観の一つ(一要素)です。世界観にこれが反映されている場合、「毎日定時退社したいです」は通用しません。このような組織ですと、息するように残業するという部分に自分が適応できねばなりません。 世界観は理のようなものなので、毎日定時退社派という多様性は通常認められません。下記記事でも述べたとおり、多様性の理解はまだまだですが、 これは世界観が堅苦しいからです。基本的に世界観は堅苦しいものです。どの組織も例外はありません。 **世界観の堅苦しさは現代が脱せていない現象の一つです** 。 ## 世界観のカスケード 世界観はカスケードします。 たとえば以下のような典型的な階層組織を考えた場合、 * 会社 * 事業部 * 部署 * 部門 ★ * チーム ★の部門レベルでは「会社」「事業部」「部署」「部門」と **4 つの** 世界観が存在します。上位の世界観が継承されつつ、さらに現組織単位の世界観もつくられているわけです。 **階層が深いほど世界観も増え、アダプテーションも難しくなります** 。 ## === 以降からは、アダプテーションと上手く付き合うための方法を見ていきます。 ## アダプテーション力を鍛えるには? Ans: 鍛えられるものではありません。 すでに述べたとおり、アダプテーションはスキルとは関係がありません。世界観への適応は性格、特性、状況といった部分に左右され、個人の能力は無関係です。 しかしながら、アダプテーションの成功率を上げるための取り組みはいくつかあります。 ### 1: 頭の性能と安定したパフォーマンス 頭が良い人は色々と悟れますし、素早く判断できるので上手く立ち回れます。アダプテーションなどという言語化も、改めて言われるまでもないでしょう。 頭の性能が良ければ良いほど、アダプテーションには有利です。というのも、 **アダプテーションとは(その世界観と自分とが本当にマッチしているなら別ですが基本的には)演技と同義だから** です。演技の良し悪しは性能で決まります。「性能」でわかりづらければ頭の回転や知能でも構いません。 とはいえ、頭の性能など鍛えられるものではありません。強いて言えば、「演じなければならない」ような場数をたくさん踏んで、その要領を掴むことです。コミュニケーション能力、またネットスラングとしては「陽キャ」として言及されることが多いですが、場に居座る人達と即興で上手くやる要領ですね。 ※経験を積めば手に入るとも限りません。元々その性能を持っている人が、経験によって花開くかどうかという話です。そういう意味で、花開くかどうかを確かめるために経験を積むのはアリでしょう。 どちらかと言えば、その頭の性能を **安定的に発揮できるよう調子を整える** ことの方が重要ですし、手を付けやすいでしょう。具体的には、以下の三点です。 * 必要な栄養と睡眠と摂取すること * たとえばどれだけカロリーを取れば問題無く身体や頭が動くかは人によって違います * カジュアルには「燃費」という言葉が使われます。燃費が悪い人は多く・高頻度に取らねばなりません * 体調を崩すほど無理をしないこと * 必要なだけの休憩をはさむ、とも言い換えられます * 自分がフリーズする(頭が真っ白になるなど)因子を特定して回避すること * 例1: 怒鳴るような人や世界からは距離を置く * 例2: 無闇に性的に見られたり興味を持たれたりしないよう容姿や言動を地味にする ### 2: 知りすぎないこと ブータンは世界一幸せな国でしたが、近年は他国の情報が入り、比較できるようになったことでその座から転落しました。知りすぎると不幸になります。 組織も同じで、色んなやり方や考え方があることを知りすぎると、特定の世界観がばかばかしくなってアダプテーションには不利となります。 通常、この観点は心配無用です。98%の人はおそらく心配無用だと思います。現代人の大半は、そもそも色んなやり方や考え方を(そこまで)知らないからです。この観点を心配しなければならないのは、たとえば『仕事術2.0』の大半を押さえているようなレベルの話です。 ## アダプテーションの理から逃れるには? アダプテーションという営みから逃れるには、世界観へのとらわれから逃れる必要があります。 ここは現代でも手がつけられていない領域ですが、『仕事術2.0』では挑戦していますので、かんたんに取り上げます。 まず、世界観の尊重はしますが、隷属はしません。 VUCARDと呼んでいますが、 VUCAとリモートと多様性を受け入れる余地がほしいです。これがあると、 **デフォルトの世界観から外れたものも許容できるようになります** 。 特に重要なのが多様性で、上述したとおり、典型的な多様性以外の多様性を受け入れる力が欲しいのです。 そのためには「様々なやり方や考え方があること」、また「それらは必要に応じてつくれること」との視座に立ちます。要はデフォルトの世界観から外れたものを言語化して捉えて、かつそれぞれに合ったやり方や考え方を適用していくということです。 小難しく言っていますが、 **ただの融通、ただの臨機応変です** 。 ただし、使うものが「仕事のやり方や考え方」であり、これは現代人でもまだまだ持てない視座ですから難易度が高く感じられます。そもそもやろうという発想さえ抱けません。 だからこそ『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』があります。 **実際に様々な仕事術(仕事のやり方・考え方)を提供しており、読者の皆さんがこのような視座に立つことを支援します** 。 別解として、世界観と深く根付く「組織の構造」を変えることでも、世界観のキツさを薄めることはできます。 たとえば階層組織ではなく **ティール組織** にすることで、純粋に層が減りますから、その分世界観はゆるくなります。 他にも別の会社として切り出してしまう **出島戦略** もあります。つまり、会社に属する限りは会社の世界観から逃れられないので、物理的に別の会社に分けてしまうことで逃れます。 いずれにせよ、軽く試せるようなものではありません。逆をいうと、アダプテーションの理――世界観という現象から逃れるのはそれだけ難しいのです。 # Title: 今週の記事 2024/09/29 今週は 21 記事書きました。 本サイト開始から 3 週が経ちました。 [←前 2024/09/22](https://note.com/workhack20/n/n14fc58f5a1af) [2024/10/06 次→](https://note.com/workhack20/n/na6f62eb043c0) ## リマインダー ## コミュニケーション ## ロールプレイ ## 働き方 ## 仕事の進め方 ## 人のタイプ ## 1on1 ## 内省 ## 情報共有 ## (当サイトの使い方) ## (noteへの要望) ## # Title: 開催確認つき定例会議 定例会議のメリットは「予定調整の手間が無い」「リズムとして組み込みやすい」です。 一方で、参加自体が目的になったり、思いつきで話を広げる場になってしまったりと形骸化もしがちです。 **開催確認つき定例会議** を使うと、もう少し融通が利きます。 ## 開催確認つき定例会議 **開催確認つき定例会議** とは、 **定例会議当日に開催の確認** を行い、不要と判断された場合は **スキップする** という手法です。 ## やり方 * 定例会議当日は **毎回必ず** 開催の確認を行う * 開催確認の締切を **必ず** 設ける * 会議日時から1時間以上空ける * (開催の確認) * 参加者各々が **「開催したい」意思を出す** ことで行う * 開催不要なら何も答えなくて良い * (開催可否の判断) * 参加者n人のうち、開催したい意思を出す人が1人でもいたら開催する * ただし、開催したい人は **必ず「誰に参加してほしいか」を指定する** 以下に例を示します。 ![](/assets/na0ef40716832_1728195901-LYoGu7sVdlQErJCe6Dhyjqg0.png)13:00に会議があるなら、1時間以上空けて12:00以前に締切を設定。 ## メリット * バランスが良い * 1: 定例会議の「場がある」というメリット * 2: 加えて、要らない場合はカットできるという融通 * 1,2のどちらも取れる * 会議を見直す契機になる * 各自が定例会議の必要性を考えることにも等しい ## 思想 ### 1時間以上空ける理由 Ans: 直前に駆け込まれるのを防ぐためです。 ### 開催したくない意思ではなく、したい意思を募る理由 Ans: 募りやすいからです。 まず「したくない」とは言いづらいです。 次に、したい人を募ることで、その人に議題を意識させることができます。なあなあな会議を防げます。 ### 開催意思と合わせて「参加してほしい人」を必ず指定させる理由 Ans: 本当に必要な人だけを参加させたいからです。 必要な人だけを参加させるのは会議の基本です。 しかし、とりあえず全員を参加させようとする日本の文化では、それすら難しいので、仕組みとして組み込んでいます。 ## 運用の仕方 二つほど挙げます。 ### 1: アジャスタウェア 「開催確認つき定例会議用ツール」があれば良いですが、現状ありません。かといって、このような専用ツールをわざわざつくる未来も考えづらいです。 おそらくはアジャスタウェア(Adjuster-ware, 会議調整に特化した専用ツール)に、開催確認つき定例会議機能を組み込む形となるでしょう。アジャスタウェアも含めて、便利だと思います。ぜひ開発・事業化してみてください。 ※アジャスタウェア含めてアイデアの話です。アイデアを実装してくれる人がいたらいいな、という話をしています。『仕事術2.0』では、このように新しい概念を提案することもあります。 ### 2: 開催確認用のチャンネルをつくる お使いのチャット上に、 **開催確認を行う用のチャンネル** をつくります。 * 「今日の定例どうする?」的なスレッドを立てて、開催意思が返信されなければスキップ、とします * スキップの場合、 **当日の定例会議はスケジュールから消しましょう** * 残ったままだと混乱します 一連の作業は **主催者が行ってください** 。誰が行うかを調整するのは不毛なので、主催者がやるのだと固定した方がスムーズです。 # Title: 「遮断力」 つくりたければ勉強もインプットも遮断する 文章でも絵でも音楽でもコードでも何でも良いですが、つくりたいのであれば、つくることに専念したいです。 **SNSやゲームを除けば** 、最大のハードルは勉強とインプットです。一時的にこれらをやめねばなりません。 ## 遮断する力 何らかの仕事、特に「つくること」に専念するために、普段行っている勉強やインプットを一時的にやめることを **遮断** と呼ばせてください。この遮断を行える力が **遮断力** です。 ### なぜ遮断が必要なのか Ans: つくることが難しいことだからです。 つくることは「専念」が必要なほど高度なことです。割り込みやマルチタスクが専念を妨害するのはわかりやすいですが、 **実は勉強とインプットも同類です** 。 つくるためには、そのために頭を温め、使い続けないといけませんが、勉強とインプットはこれを削ぎます。かんたんに満足感が得られる上、SNSやゲームよりも役に立つと感じやすいからです。「必要だから」「私は正しい」などと正当化しやすいです。 その極地が、つくるために手を動かさず、やたら知識だけはあるという頭でっかちです。 ### 遮断が不要なとき 逆に、 **かんたんにつくれるのであれば遮断は不要** です。たとえば何をつくるかが見えていて、後は手を動かせばいいという「作業」の段階では不要です。作業は「ながら」ができる程度にはかんたんなものだからです。 ※人によります。人によっては作業であっても遮断が必要です。 ちなみに、いわゆるプロ(の作り手)は、仕事全般を作業に帰着できるほどの力を持っている者を指します。それほどの力があるからこそプロとして通用します。詳細は以下記事を: そんな人達であっても、よほどの才能でなければ「ながら」のできない仕事はあるはずで、その場合は遮断は役に立ちます。というより、遮断ができないプロは長続きしません。 ## 遮断力と手に入れる 遮断力とは、勉強やインプットへの **絶対視をコントロールする柔軟性** と、手が伸びそうになるのを防ぐための **仕組みづくりのスキル** です。 以下、それぞれ詳細を見ていきます。 柔軟性については、先ほどから「一時的にやめる」と書いていますが、勉強とインプットを「一時的にやめてもいいものだ」という扱いにするということです。 よくあるのが **勉強とインプットに対する強迫観念** です。毎日キャッチアップしなければとか、皆読んでるみたいだから私も読まねばとかいったことですね。これは潔癖症みたいなもので、本人の病的なこだわりにすぎません。掃除はある程度では必要ですが、別に毎日神経質にやる必要はないのと同じです。 強迫観念であるという現実を認めてください。そして、本当につくりたいときは一時的に捨ててください。たとえば一週間の間、普段見ている情報源を全く見ない、くらいしても良いのです。 不安なのであれば、信頼できる数人くらいをピックアップしておいて、その人達だけ追いましょう。 もう一つが、意思だけで遮断できるとは限らないので **仕組みをする** という話です。これはSNSやスマホを遠ざけるのと同じで、自分の特性を踏まえた仕込みを頑張りましょう、ということです。 いくつか例を挙げます。 * つくるときは外出先で行う、また余計なお金や物も持参しない * 自宅など「勉強やインプットのしやすい環境」から離れる * つくる専用のデバイスを使う * 文章の場合、[ポメラ](https://www.kingjim.co.jp/pomera/dm250/)は良い選択肢だと思います * 遮断する日には、予定として「遮断日」などと入れておく * 予定として認識させることで思い出す * 勉強やインプットで使っているアプリを一時的に消す * 勉強やインプットで使うスマホを、タイムロッキングコンテナでしばらく封印する etc いずれにせよ、重要なのは自分に効く仕組みを自分で仕込むことです。これには先人達の事例といった知識と、自分自身による試行錯誤で掴む要領の二つが必要で、要はスキルです。 多くの場合、スキルには道具(への初期投資)が必要ですが、遮断力も同様です。上記の例で言えば、ポメラやタイムロッキングコンテナを購入する必要があります。 そもそも、遮断するためには「普段使っている道具や場所を分ける」が鉄板ですから、やはりお金はかかります。 **当たり前ですが、ここをケチるとスタートラインにも立てません** 。 ちなみに、強迫観念を捨てるだけ(つまり意思だけ)で遮断できる人もいます。その場合は道具は要りません。 しかし、これは才能の域です。意思なんて **自己制御には** 役に立たない、と考えるのが大多数だと思います。仕事はちゃんとするが自分のことはテキトー、という人は多いですが、このような人は(仕事という制約や圧に突き動かされている、また耐える力があるというだけで)意思自体は弱いのです。 弱い方が圧倒的に多数派なので、できなくても悲観は要りません。 ## (関連記事) 遮断ではなく、その都度スルーするというやり方もあります。 # Title: 仕事を早く進めたいならワーカイズ(作業化)せよ 仕事を「作業」にすることを **ワーカイズ(Workize)** と呼びます。 作業とは **「まあ時間をかけたらできるかな」で済むもの** を指します。いうなれば「時間さえかけたらできるような、かんたんな仕事」です。 ※かんたんであっても、大変であることはよくあります。それでも時間さえかけたらできるものでしかないので、かんたんです。 仕事をワーカイズする(作業にする)ことで、仕事が「時間さえかけたらできるようなもの」になるというわけです。作業は取り組みやすくも改善しやすいものです。つまりワーカイズにより仕事が捗ります。 ## ワーカイズの好例はプロ ワーカイズのわかりやすい例はプロです。 どの世界にもプロフェッショナルが存在、それでご飯を食べています。彼らの本質は何かというと、 **パラレルかつスピーディー** だと思います。 * パラレル * 並列的(マルチタスク的) * 複数の仕事を並列的にこなす * スピーディー * 仕事を進めるのが早い なぜ仕事をパラレルかつスピーディーで済ませられるかというと、仕事≒作業だからです。一般人にとっては不可能 or 難しい仕事であっても、作業、つまりは時間さえかけたらまあできるよねという扱いにできてしまうのです。 それだけのスキルや経験、そして性能があります。 仕事には予算やスケジュールが存在するため、大体どれくらいかけていつ終わるかを言えねばなりません。これは、作業のようなかんたんな仕事でなければ言えません。それができるからこそ、プロとしてやっていけるというわけです。 ## ワーカイズするには? 主に取り組めることが 4 つほどあり、SIGE と総称します。 読み方はシゲでもサイズでも構いません。シゲの方が親しみやすいと思います。 ### S(スキルを鍛える) プロの例でも見たように、まずは作業の早さです。 早くするためには標準化(マニュアル化はその一つ)や自動化などがありますが、より根本はスキルです。 **スキルがあればあるほど早くこなせます** 。 より性格に言えば、 **ある程度早く安定的にこなすためにはスキルを発揮するという次元に立つ** 必要があります。 わかりやすいのはスポーツでしょう。一瞬一瞬の立ち回りをクリアするためのには、それなりのスキルを要します。 ※身体能力もある程度要しますが、これもスキルの範疇です いちいち「ちょっと思い出すので待ってください」「10回やれば8回くらいは成功するんです、今失敗したのはたまたまなのでもう一度やります」などとは言いません。その場で安定的に発揮できねば話にならないのです。 仕事も同じで、スポーツほど刹那的ではありませんが、スキルの次元に立って刹那的にこなしていけるようにできます。 ### I(インプットを減らす・切り離す) スキルがあるからといって仕事ができるかというと、そうでもありません。仕事の前にインプットが必要であり、その力は、スキルとは全く関係がないものです。 別の言い方をすると、インプットを要する仕事は **「インプット」と「仕事」の二つが混在したものであり、そんな複雑なものは当然ながらワーカイズもしづらい** です。 純粋に「作業」にしたいのであれば、インプットもきちんと行うか、あるいは減らすか免除してください。この点も上記記事で述べたとおりです。 インプットは仕事のついで、あるいは一部として軽視していいものではありません。少なくともワーカイズはしづらくなります。 ※逆にすでにインプットが済んでいるとの文脈であれば、この観点は考慮不要です。 ### G(ゲーミフィケーション) 作業とゲームは同義である――とは言い過ぎですが、似たものだと思います。 だとした場合、 **ワーカイズとはゲーム化** とも言えます。 ゲーム化することで着手しやすくなり、また持続もしやすくなるという点はすでに知られています。 **ゲーミフィケーション** と呼ばれますね。 詳しい理論は割愛しますが、本質的には以下の要素を確保したいです: * ゴールがある * 明確な達成対象がある * フィードバックがある * ゴールとの距離やズレがすぐにフィードバックされる * 「すぐに」がポイント * リアクティブである * 次に大体何をすればいいかが見えている * やってきたことに反応していればよい つまり「どこを目指せばいいかを明らかにする」「大体何をすればいいかも出してくれる」「何かしたらすぐにフィードバックがくる」あたりをお膳立てすれば、ゲーム化になります。ひいてはワーカイズにもつながります。 ただし、このゲーム化は相当難しく、通常ゲームデザイナーやエンジニアといった専門家の領分となります。 唯一の例外は、 **自分で自分の仕事を行う場合です。常に上記を意識しながら立ち回れば、比較的ゲーム化しやすい** と思います。 たとえばゴールは、最初から口うるさく議論すれば定められますし、フィードバックやリアクティブについても、自分のボールをすぐに投げ返したり、タスク全体を洗い出して一つ一つをさっさとこなしていったり(特に誰かの確認が必要な部分はさっさと出す)、あるいはそもそもコミュニケーション頻度を減らすためにまとまった仕事や裁量をもらうように調整したり、などやりようは色々とあります。 この点は仕事術(仕事のやり方や考え方)という視座が役に立ちます。当サイト『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/)』でも色々扱っているので、ぜひ見ていってください。 ### E(環境を整える) **作業とは集中して取り組む** ものです。かんたんであれば「ながら」でもできますが、それでも集中していることに変わりはありません。 まず集中とはひとりで取り組むものです。したがって、誰かと話したり誰かに割り込まれたりすることは避けねばなりません。 次に、集中して取り込める道具と環境も必要です。 つまり作業に集中するには以下が要ります。 * Solo(ひとり) * Tool(道具) * Environment(環境) ですが、これらは総称して「環境」なので、SIGE では Environment(環境)としてくくっています。 と、ここでようやく本題に入りますが、であるならば、 **集中できる環境をつくれば作業にも入りやすい(つまりはワーカイズしやすい)** ということです。 よく「形から入る」といいますが、まさにそのとおりです。 # Title: 使いやすいコマンドをつくるために 「スマートデフォルト」と「オプションウィザード」 Usage により色んなコマンドラインオプションを見せるあり方は古典的であり、わかりやすさという面では好ましくありません。 もちろん、コマンドとして多様なオプションを備えておくことは有益ですが、それだけでは不親切です。 この不親切な潮流のキラーとなるのが **スマートデフォルト** と **オプションウィザード** です。 ## スマートデフォルト **スマートデフォルト(Smart Default)** とは、何のコマンドラインオプションもつけずに実行したのに、最大公約数的な無難な動作をするという挙動を指します。 また、動作の結果として、何が起きたのかも観測しやすくなっています。 例としてソースコードの行数カウンタを考えましょう。[cloc](https://github.com/AlDanial/cloc) のようなものをイメージしてください。 仮に cntln コマンドとします。 まず、オプションなしで実行できます。 > $ cntln すると、最大公約数的に行数カウンタが動作し、結果も出力されます。 ただし、これだけだと、どのようなオプションがあるかがわかりませんので、そのあたりをつけるために、わかりやすい形で出力します。 たとえば以下のように表示します。 > $ cntln > Scan target: (current directory) > Save: (current directory)/result.json > Ignore pattern: .'git/', 'node_modules/' すると「カレントディレクトリをスキャンしたのか」「結果はjsonなのか」「特殊なフォルダは一部除外してるな」といったことがわかります。 ※ここでは挙げませんが、行数カウンタには他にも言語固有の設定が色々とあり、スマートデフォルトとして上手く設定する必要があるでしょう。 目新しく感じられないかもしれませんが、最も重要なのは **最大公約数的な動作** です。README で長々と Usage を説明しなくてもいいほど秀逸な動作にしなければならない、ということです。別の言い方をすると、 * ❌リファレンスを見て自分で使い方を考える * ⭕スマートデフォルトの挙動と使われている設定を見て、あたりをつける 利用者が後者のメンタルモデルで動くほど秀逸な動作を提供するということです。 これは単に「よく使われるであろうオプションの値」を選ぶのみならず、そもそもオプションの設計の上手さが問われます。 多くのプログラマはこれができず、単に機能を詰め込んでしまいます。API もそうですが、選択肢を広く見せつけてあとは任せるようなスタイルは不親切であり、未だにこの文化がまかり通っているのが不思議なくらいです。 スマートデフォルトは、別の名前をつけるなら **ゴールデンユースケース(Golden Use Case)** でも良いでしょう。そういうニュアンスがあります。デフォルトの動作として、徹底的にこだわるものです。 ## オプションウィザード **オプションウィザード(Option Wizard)** とは、「各コマンドラインオプションの解説」と「典型的なオプションの組み合わせ方(ユースケース)」を情報として保持し、利用者にわかりやすく見せる機能です。 その名のとおり、見せ方としてはまずウィザードがあります。チュートリアルと捉えても構いません。インストーラで見られるウィザードや、あるいは[A Tour of Go](https://go-tour-jp.appspot.com/)のようなものを浮かべてもらえると、イメージは合ってます。 ただし、 **ウィザードで流す「コース」は複数用意** します。初心者用、中級者、上級者用のように分けるなり、ユースケース別に分けるなり、色々ありますが、ここも腕が問われます。 もう一つ、オプションウィザードではオプションの検索機能も提供します。これは単に解説文を検索させるものではなく、 **検索されそうなワードも含めておいてヒット率を上げる** というものです。 先の行数カウンタ cntln を例にして、スキャン先のディレクトリを除外したいとすると、以下のようなキーワードを「除外オプションの解説」に含めておくイメージです。 * 除外 * 無視 * フィルタ * ignore * exclude 要は探しやすさを確保するために、冗長な情報を盛り込みます。 参考までに、これは[HelpFeel](https://www.helpfeel.com/)で使われている技術です。実際はもっと複雑な技術ですが、要は利用者が使いそうなキーワードをあらかじめ仕込んでおくことでマッチ率を上げます。 上記の二つあるからこそ、オプションウィザードはオプションを理解する手段として重宝します。 ## 重要なのはCLIで完結すること 「ブラウザでドキュメント読めばいいじゃん」と思われがちですが、違います。 重要なのはスマートデフォルトで実行したときの動線です。まずスマートデフォルトを見て、あたりをつけて、オプションウィザードで調整して、実行して、またあたりをつけて――といった体験にしたいのです。 **UI をまたがないシームレスさは大事です** 。快適性が違います。連携(Integration)や拡張機能(Add-on や Add- in)をお使いの皆さまなら、よくわかっているはずです。しかし、CUI の世界では難しいことでした。 それを実現しうるポテンシャルを持つ発想が、このスマートデフォルトとオプションウィザードです。 ## おわりに コマンドによりわかりやすさをもたらすという、新たなパラダイムを実現したい方は、ぜひご活用ください。 # Title: 情報や本音を引き出すために使える概念 すでに概念レベルでは色々とあります。あとは実践するだけです。あるいは技術によりツール化することで使いやすさを上げる手もあります。 本記事では、これら概念を紹介します。 ※ちなみに「匿名」は有名ですし、目新しいこともないので今回は割愛します。 ## 1: マスクド・アイデンティティ 素のアイデンティティ(容姿と性別と本名)を使わず、ダミーのアイデンティティを使い分けるというものです。 わかりやすいところで言えば、店員が付ける名札を仮名にすることはマスクド・アイデンティティの一種です。 容姿や性別についても、インターネット上ではすでに当たり前に使われています。これを仕事でも使うのです。 **素のアイデンティティが隠されているからこそ、言えることもあるはずです** 。 ## 2: ロールプレイ 演技という本質は日常の至るところにあります。俳優は私たちを楽しませてくれますし、私たちも色んな場で色んな顔を使い分けたり、くだらない茶番に従ったりしています。 **ロールプレイ** とは、何らかの設定を踏襲したキャラクターをストイックに演じることです。エンタメの分野ではありきたりですし、ビジネスでも軽度には行いますが、ここでは前者のエンタメのレベルをビジネスで使うことを意味します。 たとえば「のじゃロリ」や「お嬢様言葉」で仕事上の議論をする などです。 ※わかりやすい例として挙げただけです。他にも例は無数にあります。 **マスクド・アイデンティティだけでは口調や文体から本人を推察されてしまいますが、ロールプレイを使えばカバーできます** 。 ## 3: 動的な言い換え 自分が書いた文章や自分が発した発言をそのまま伝えると、自分だとバレやすいです。また、心理的な結びつきも強いため、リスクを恐れがちになります。 これを軽減する方法の一つが **機械的に言い換え表現をつくって、それを使う** ことです。 ようやく実現の目処が経ちました。 **生成AI** です。 たとえば言い換えをn個つくらせて、その中から一つを選ぶといったやり方がやさしいでしょう。今の生成AIですと、言い換えをつくる能力もスピードも十分なはずです。あとはプロンプトエンジニアリングとUIでしょう。 ## 4: 時間差送信 情報をすぐに送ると、時間や場所といったヒントから特定されやすくなります。また、心理的にも特定されやすいと考えてしまい、発することのハードルになります。 そこで「1~6時間ばらつかせて投稿」など **時間差** をつけます。 時間差はランダムにつけてください。傾向を読まれなくするためです。最初からランダムで、かつばらつきの範囲が広いとすると、事実上、元の時間を読むのは不可能なのでハードルが下がります。 ※あるいはチャットなど[QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339)側で時間情報を扱わない、または隠すことで「時間軸がもたらすハードル」を減らす潮流もありますが、高度となるので今回は割愛します。 ## おわりに これらの概念は後ろめたく感じるかもしれませんが、実は「情報をやりとりするパラダイム」の一つにすぎません。人の正体を見ることから **Whoパラダイム** と呼びます。 一方、本記事で紹介してきた概念は、本質的には正体を隠して「情報そのもの」のやりとりを重視するパラダイムであり、 **Whatパラダイム** と呼びます。 Whoパラダイムの限界を超えるには、パラダイムをシフトさせねばなりません。超えたい方は、この新しいパラダイムを先取りして一足先に超えちゃいましょう。 # Title: ガチの一人合宿をする **一人合宿** とは、自分の未来について考えるためだけに一人で行う合宿です。 色々とポイントがあるので、まとめていきます。 ## 既存との違い noteでは「一人合宿」というと、書籍『[自分を変えるノート術](https://www.amazon.co.jp/dp/B09SNYQSM4)』で紹介されたものを指すことが多いようですが、違います。少し似てはいます。 ITエンジニアには[一人開発合宿](https://qiita.com/sta/items/65e20f74d4891ab3625d)なる文化があるそうですが、これも違います。開発合宿は何かをつくるための合宿ですが、一人合宿は「自分の未来について」「考える」合宿です。 [一人で意味もなくビジネスホテルに泊まるのが好き](https://www.gentosha.jp/article/14875/)な人もいますが、これも違います。一人合宿は、単に日常の舞台を変えるだけはなく、過ごし方も「ひたすら考える」にシフトします。 ## 期間 Ans: 最低でも2泊以上にします。 **前後を気にせず、そのことだけをとことん考える機会にしたい** からです。これができるなら2泊でも3泊でも良いですし、2~3泊でも難しいなら4泊以上もアリです。 自分の感じ方の問題ですので、 **合宿のことだけを考えられると感じる長さ** にしてください。 そうはいっても、一週間以上は長すぎてダレてしまうのでおすすめしません。 ## 期間の取り方 Ans: 休暇にするのが良いでしょう。 **全く誰からも連絡が来ない状態にできるのであれば、手段は問いません** が、おそらく休暇が無難だと思います。 ## 場所 Ans: 高級なホテルで、同じ部屋に連泊します。 まず **高級なホテル** は必須です。 設備や客層などホテルの質がある程度整っていないと集中が削がれがちだからです。そもそもホテルは泊まる場所であって、オフィスのように集中できるようには意外となっていないので、質でカバーする必要があります。 高級の目安ですが、ビジネスホテルでいうツイン以上の広さで、バスルームの浴槽で足を伸ばしきれる、くらいが良いと思います。 旅館やビジネスホテルなど種類は問いませんが、観光で使われやすいものは賑やかでノイジーなのでおすすめしません。考えることに集中するだけなので、 **こじんまりとして殺風景で機能的なビジネスホテルがおすすめ** です。 予算的にも1泊1.5万円くらいで届くと思います。2万、3万以上するようなホテルは、高価すぎて無駄にラグジュアリーでかえって集中しづらいことがあります。 次に同じ部屋で **連泊** してください。 部屋の移動は集中を著しく削ぎます。部屋に馴染むのにも意外と時間がかかります。 最後に、ホテルを選ぶ際に、観光目的で選ばないようにしてください。一人合宿では基本的にホテル内で過ごします。 **外に出るにしても、周辺の飲食店か、付近の散歩くらいです。** ※散歩する程度のプチ観光や、飲食店の物色くらいは問題ありません。 ## 持ち物 Ans: 通信の禁止が必須なのと、考えることを阻む誘惑の一切を持ち込まないことの二点です。 まず **通信は一切禁止** します。 禁止さえできるならPCやスマホは問題ありません。むしろ、これらは(人によっては)考える際にも使うでしょうから、これら自体を持ち込まないのはやりすぎです。 次に **読み物と勉強用教材の持ち込みも禁止してください** 。 これらを持ち込んでしまうと、読書合宿や勉強合宿になってしまいます。それはそれで有益ですが、本記事の一人合宿はあくまでも自分の未来を考えることに専念します。 インプットは考えることではありません。インプット自体はビジネスにおいても、人生においても重要ですし、高尚に扱われがちですから正当化する人が多いですが、ここは典型的なアンチパターンですので頑張って抗ってください。繰り返し言うように、あくまで考えることに専念したいのです。 もう一つ、隣や外がうるさいときに備えて防音グッズがあると便利です。ノイズキャンセリングのヘッドホンやイヤホンでも、耳栓でも、イヤーマフでも構いません。 ## 食事 Ans: あまり冒険せず、普段どおりにします。 目的はあくまでも考えることに専念することですから、普段のリズムを心がけてください。別にコンビニで買ってきて食べても構いません。 警戒したいのは **待ち時間** です。 まず混雑したルームサービスなど待ち時間が読めないものはやめましょう。次に、気分転換したいのであれば外で食べたり、店を漁るのもアリですが、待ち時間が大きいことがあるので注意します。 いずれにせよ、待ち時間はなるべく排除してください。正直 **ここは合宿の質を左右するクリティカルなファクター** です。 合宿の目的は考えることであり、考えはいつ膨らむかがわかりません。いつ膨らんでも対応できるよう、 **常に「考えることを行える態勢」をキープすることが肝心** なのですが、食事はこれを乱す典型的なファクターです。 ## 合宿の進め方 Ans: 二通りあるので、向いている方を選びます。 以下のとおり、2通りあります。 * 1: 事前準備 * 考えておきたいテーマを事前に洗い出しておき、当日それらを見ながら潰していく * 何個でも構いません。百個以上でも構いません * 2: ノー準備 * 何も考えないで、当日ゼロから考え始める どちらが適しているかは、自分が自然とどちらをやろうとしたかでわかります。テーマを洗い出そうとした人は 1: の事前準備派でしょうし、そんなこと考えもせず当日考えるかー、くらいに捉えた人は 2: のノー準備派でしょう。 **予定やスケジュールはつくらないでください** 。 どっぷり思考に浸かってください。むしろ予定などを立てるのはアンチパターンですらあります。これは訓練の合宿ではなく、 **思考の合宿** なのです。 ただし、合宿内で何らかの結論や要約は出したいので、それに間に合うような過ごし方は心がけたいです。そのために予定やスケジュールがいるのなら、軽くつくってもいいでしょう。 それでも、つくらないことをおすすめしたいです。というのも、 **予定などがあると、そこに意識が引っ張られてしまって考え事に専念しづらい** からです。 ## 考えるときに何を使うか Ans: 手段は問いませんが、全面的に道具に頼ります。 アナログでもデジタルでも何でも良いですが、 **全面的に道具に頼ってください** 。 具体的には、 * 書いて残してください * 書いたものを見ながら、さらに広げてください * 可能なら空間的に配置してグルーピングしてください といった形で、書いたことをベースに発散させる、また収束させるイメージです。 何でもかんでも残す必要はありませんが、頭の中だけだとすぐに煮詰まります。天才以外には無理なので、道具に頼る( **道具を使って残しながら考える** )ことは必須です。 これをしないと、おそらく一日も保たないと思います。それを観光やインプットでごまかす類の合宿も多いですが、そんなものは(本記事で想定する)一人合宿ではありません。その程度の浅い思考では本質など見えてきません。意味がないのです。 ※そういった浅い合宿を否定しているわけではありません。それはそれで価値があります。ただ、本記事が扱う「自分の未来について考える」に特化した合宿としては浅いのです。 やり方も色々あります。 * アナログ * ペンで紙に書く * ペンでノートや手帳に書く * 付箋に書いて貼り付ける、並べる、動かす * ホワイトボードを携帯して、マーカーで書く * マインドマップ、KJ法、フリーライティングといった手法 etc * デジタル * 文章を書く * 箇条書きを並べる * 単語を列挙する etc おそらく何十何百という枚数やページ、あるいは何万という文字数になると思います。収拾がつかなくなってくるので、適宜まとめたり仕切り直したりも有効です。 ちなみに、デジタルとしては便利なアプリやWebサービスが数多く存在しますが、すでに述べたとおり通信は禁止なので、それらも使えません。 **通信を有効にすると十中八九誘惑に負けるので、使うのは諦めてください** 。 デジタルの場合は、[ポメラのような執筆用端末](https://www.kingjim.co.jp/pomera/dm250/)もおすすめです。 ## メモ手段の確保 Ans: 常にメモできるようメモ手段を携帯します。 食事、散歩などで外に出ることもありますが、 **必ずメモ手段は持参してください** 。いつアイデアがひらめくかはわかりません。 一人合宿は、いかにアイデアをとらえるかの勝負でもあるので、絶対に一つたりとも逃したくはないのです。また、思いついたアイデアを逃す経験が蓄積されると、逃げ癖がついてしまって思考の深追いがやりづらくなります。 可能なら風呂の時も備えたいです。以下の手段があるでしょう。 * 1: 風呂でも書けるグッズを買っておく * 2: 浴室の外にメモ手段を置いておき、ひらめいたら拭いて出て書く * 3: 機内モードをオンにした防水機能つきスマホで書く ## まずは1泊から練習 Ans: いきなりn泊の合宿をしても、多分失敗するので、まずは1泊から始めたいです。 ひたすら考える合宿は、 **思っている以上に** 難しいです。 たとえば管理職や経営者の人であっても、数時間以上の粘り強い思考はできない方が多いです。むしろ、できない方が多いとさえ思います。この人達は、どちらかというと瞬発的な意思決定を生業とするからです。 というより、何時間も何時間も考えるような人の方が限られています。クリエイターや哲学者、あとは一部の研究者や、仕事術やライフハックに詳しいフリーランスくらいでしょう。 **だからこそ** 普段やらない「考えることに専念する」合宿の価値があります。普段では絶対に出てこない気付きや本質と出会えるからです。 1泊の合宿は、良い練習になります。 おそらくこれさえも上手くいかない人が多いと思います。考えることだけに専念することは、それほど難しいのです。まずは1泊の合宿でうまくいく(挫折しない)ところを目指しましょう。 このように、ひとりで考える営みは、『仕事術2.0』では内省と呼んでいます。記事もありますので参考にしてください。 # Title: 組織に染まらない異分子「フリーリジョン」が多様性とイノベーションを生む **フリーリジョン(Freeligion)** とは、組織内のやり方や考え方にすんなり馴染めない異分子的な人材を指します。Religion(宗教)にFree(染まらない)という意味を込めています。 フリーリジョンは能力は十分か、突出しているのに、一部が馴染めないせいで戦力とみなされません。皆は何とかして馴染ませようとしますが、中々馴染まないので、そのうち疎ましくなって相手にすらしたくなくなります。 それは、たとえるならスティーブ・ジョブズに現場の仕事をやらせるようなもので、 **単に使い方が間違っています** 。フリーリジョンは、むしろ多様性を促進し、イノベーションを生む人材として希少なまであります。 ## 組織に染まらないとは? その組織が持つ世界観――文化や価値観やルールといったものにとらわれないということです。 これは以下の形で表出します。 1: アダプテーションが低い。 2: インプットが苦手。 3: 多様性に当てはまらない。 ※多様性はもっと広いものですが、「典型的な多様性」のみを多様性と考えている場合に、それに当てはまらないという意味です。たとえば「残業できないとか言ってるけど、育児や介護じゃないよなぁ……」など。 要するに既存の世界観にすんなりに馴染めません。そして、馴染めないからこそ、 **全く想定してなかった視点や提案を持ち込んできます** 。 ※わかりやすく提案してくるとは限りませんが、会話すればその節々でユニークな視点を感じることはできるはずです。 ## フリーリジョンが多様性とイノベーションを生む フリーリジョンのような馴染めない人材こそが、多様性とイノベーションを生みます。 ### 例: たとえば「9:00~17:00 で出社してますけど、夜型の自分には合わないっす」というフリーリジョンがいたら、それは **9:00~17:00以外の働き方を開拓するチャンス** です。 すでにフレックスの概念は存在し、有用性も示されています。手段の一つして持っておき、使い分けられた方が便利なのは言うまでもありません。 あるいは「案件Aのインプットが複雑すぎて何言ってるかさっぱりっす」「1日で理解できるはず言いますけど、こんなん3日経っても無理ですって」というフリーリジョンがいたら、それは **「メンバー = インプットを踏まえて貢献する」の固定観念を破るチャンス** です。 破り方は色々あります。たとえば「インプットはしなくていいけど、インプット不要でこなせる作業をこなしてもらう」やり方があります。面倒な雑務を代行してもらう、クロスチェックやレビューを専任してもらう、コミュニケーションや情報共有しづらい部分の改善を考えてもらう、などですね。 ### 要はチャンス 要は **新しいやり方や考え方を試すチャンス** なのです。 もし「なんでそんなことしなきゃいけないんだ」と考える人がいたら、現代では場違いなので認識を改めてください。現実的に常に試すのは難しいでしょうが、それでもやり方や考え方を調整・アップデートするという視座は、現代ではもはや必須のリテラシーです。それを理解せず、行動もしないのは、老害や無能と言われても仕方がないほど前時代的です。 ※現場の下っ端であればまだわからなくもないです。 とはいえ、組織に染まる一般的な人達が、染まった状態から新しいものを生み出すのは難しいのです。というより無理です。これは特性の問題で、染まる才能と染まらない才能は共存しません。 **だからこそ、染まらない才能側であるフリーリジョンが役に立つ** のです。 ### 多様性 → イノベーション まずは自組織内で、フリーリジョンを受け入れる余地をつくります。これは新しい多様性を一つ(あるいは複数)手に入れたということであり、また仕事術(仕事のやり方や考え方)をいじるという視座を得たに等しいことです。 となれば、次は以下に繋げられます。 * 1: 他にも仕事術をいじれるようになる * 新しい人材を確保したり、既存の人材の生産性を(より合ったやり方や考え方を使ってもらうことで)上げる * わかりやすい例で言うと、夜型も働ける旨をアピールすれば、優秀な夜型の人材が来てくれます * 2: ビジネスに転嫁する * 仕事術でビジネスにするのは難しいし、組織的に合わない可能性も高いですが、フリーリジョンを受け入れる余地があるならば、多様なアイデアを真面目に捉えて議論する土壌もあるはずです。新しい、ないしは革新的なビジネスアイデアの議論や試行も可能となります イノベーションはよく語られますが、いきなりは無理です。 **自組織内のフリーリジョンという多様性さえ受け入れられない組織に、イノベーションなどできるはずもありません。** 逆に、受け入れることさえできたら、基礎素養はあります。 # Title: その場で刹那の余裕を確保する 「ダイナミック・ホワイトスペース」 会議中や会話中に、動的に時間的余裕を入れることを **ダイナミック・ホワイトスペース** と呼びます。 ダイナミック(動的)に、余裕(ホワイトスペース)を入れます。 ## やり方 「10秒ください」 「30秒入れましょう」 といった形で誰かが **開始を宣言** します。 宣言後、 **場の全員が** 黙ります。この間は何も喋ってはいけませんし、内職など違うことをしてもいけません。 ## メリット Ans: 全員に余裕の効用を知ってもらえること。 時間的余裕は、言わずと知れた概念です。当サイトでもホワイトスペース本を取り上げました。 ※余談ですが、ホワイトスペース本では、忙しい現代人たちのために「n秒」レベルの小さなホワイトスペースを取るテクニックも紹介しています。一方、『仕事術2.0』では、[まとまった塊をどかっと取ることを重視しています](https://note.com/workhack20/n/n91e069963343)。本記事では前者、小さな分を確保するための手法を扱います。 いずれにせよ、ひとりで取り組む分には問題ありませんが、皆で取り組みたい、皆にも知ってもらいたい場合には力不足でしょう。 **一度味わってもらえると定着しやすいですが、それまでの敷居が高い** のです。 ダイナミック・ホワイトスペースであれば、かんたんに始められます。「10秒待ちましょう」などの開始宣言を言えばいいだけだからです。次の会話から、もう使うことができます。 相手や場の皆さんは戸惑うかもしれませんが、その場で説明するなり、繰り返し使うなりすれば定着はします。開始宣言を始めるあなた自身はしばらく変人になるでしょうが、ホワイトスペースの定着と比べれば些細なことです。 要は、ダイナミック・ホワイトスペースは、やや強引な手段で皆さんにホワイトスペースをわからせるものです。 **あなたが変人になってしまうダメージはありますが、ホワイトスペースを知ってもらう手段としてこれほどてっとり早いものはありません** 。 ## Q&A ### Q: 開始宣言を始めて以来、無視されがちです Ans: あなたに対する認識が元々そんなものだったのでしょう。 あなたは元々嫌われているか、頼る価値のない存在だとみなされているのだと思います。そこに「何か変なこと言ってやがる」というイベントが加わったことで、無視するとの行動が表面化しただけです。 そうではない場合、無視されるなんて事態は起きません。会話が発生して深堀りされたり、その場ではされないが、あとで聞かれたり、あるいは誰かが追従して使ってくれたりするはずです。いずれかが起こるはずなのです。 それが起こらず、無視される状態になったということは、元々あなたと周囲の関係が悪いだけです。 # Title: 新規事業や改善活動ができない・遅い理由 メンタルモデルと投資が足りないからです。 ## まずは理由を3つほど ## 1: 受身のメンタルモデルだから 自分たちで試していけばいいだけなのに、そのような発想を持つことができません。 これは上から与えられたことや、顧客から言われたことに対応するというメンタルモデル(行動特性)があるためです。このような人達を **リアクター(Reactor)** と呼びます。 リアクターは、言われたことを満たすための創意工夫はできますが、それだけです。言われていないことを自ら創意工夫してみることができません。能力やリソース以前に、そのような発想を抱けないのです。 Ans: メンタルモデルの問題。 ## 2: 忙しいから 現代人は、というより現代人でさえも、 **毎日定時間以内の仕事で済ませることすらできないほど** 忙しいです。どころか「そんなものでは?」「社会を舐め過ぎでは?」といった反応も珍しくありません。現代を支配する宗教の一つと言っても過言ではないほどであり、『仕事術2.0』では、これを **多忙主義** と呼んでいます。 ※多忙教としても良かったのですが、初見で理解しづらいため「主義」にとどめています。 そんな状態で新規事業や改善活動を行うこと自体に無理があります。時間はもちろん、体力や気力も消耗しているわけで、ハンデを背負っているようなものです。それでも結果を出せている例があるのは、単にその人達が優秀なだけです。たとえば、そういった活動を「作業」とみなせるほど優秀だったりします。 新規事業や改善活動は、それなりのリソースがあれば本来は難しいことではありません。難しくしているのは、 **単に忙しすぎて諸々のリソースが足りていないから** です。 厄介なことに、搾取する側であり、結果を出してきた優秀な側でもある経営者は、この事がわかりません。そもそも資本主義も弱肉強食的なパラダイムであり、少数の強者が多数の弱者を支配する構造で、強者としてはリソースを締め上げない理由がありません。 Ans: 社会構造の問題。 ## 3: 権威主義だから 私たちは権威が出す情報を鵜呑みにしがちです。ベストセラーだから、会社が言っているから、大企業の研究結果や政府の見解だから、有名人が言っているから――情報の内容ではなく、誰が出したかを見て判断しています。 当然ながら、これでは新規事業や改善活動に関する提案や議論もまともに行えません。行えるにしても、権威を持つ者か、上手く演出できる者に限られます。 新規事業や改善活動では豊富な試行と議論が重要です。権威に縛られていると身動きが取れません。 権威に頼る主な理由は **認知資源の節約** であり、現代においては非常に有用な戦略ですが、こういった活動を行いたいのであれば、そもそも節約自体がナンセンスです。 Ans: 認知資源ケチの問題。 ## ここまでのまとめ 新規事業や改善活動が進まない理由を3つ挙げましたが、要するに スタートラインに立っていないのです。また、活動するリソースがないのです。 ## どうすれば進められるか 以下の二点です。 * 1: スタートラインに立つために、メンタルモデルを変える * 2: 必要なリソースを投資する ## 1: スタートラインに立つ これはメンタルモデルの問題です。 「リアクターだから」ではなく、自ら動けばいいだけです。 「毎日働かないと」ではなく、仕事を減らせばいいだけです。 「認知資源がもったいないから」ではなく、使えばいいだけです。 しかし、すでに述べたとおり、これらはメンタルモデル(行動特性)であり、いわば現時点の仕様として組み込まれたものです。抗えません。 ですので、 **新しいメンタルモデルを組み込む** 必要があります。一般的には「教養」によって知識的に貯めるか、「パラダイム」によって殴られて変わるかですが、もう一つあります。 当サイト『[仕事術2.0](https://note.com/workhack20)』がまさにそうですが、仕事術(仕事の **やり方や考え方** )という視座に立つことです。術と向き合い、自分なりに使いこなすことで、術を扱う側の立場に立ってもいいのだ、立つことができるのだと悟ることです。 仕事に限らず、人生でも遊びでも趣味何でもいいですが、抽象的すぎて or 具体的すぎてメンタルモデルを扱うには至れません。ちょうどいいバランスで、かつわかりやすいのが仕事です。 当サイトでは様々な仕事術を紹介していますので、ぜひ使ってください。新しい提案や容赦の無い言語化ばかりですので、かんたんではありませんが、だからこそ良い練習になります。 ## 2: 投資する すでに当サイトでも口うるさく述べていますが、結局のところ、リソースを持つ者がリソースを出すかどうか次第です。 以下はDXの例ですが、このような場面はよくあります。 もしあなたが無能な経営者であるなら、リソースが無いと活動できないのですから、いいから出してください。 それができないなら、素早く判断できるように日々勉強してください。また、何でも自分で負うのには限度がありますから、権限委譲してください。 そもそも、このようなボトルネックを何とかするためには、仕組みや、もっと言えばやり方や考え方の工夫も必要です。仕事術も役に立ちます。当サイトもお役立てください。 # Title: タスクを細分化できるように、トピック(話題)も細分化できる タスクを細分化したり具体化したりして一つずつ取り組んでいく営みは、ご存知の方も多いと思います。 しかし、 **これがトピック(話題)になった途端、できる人がほぼいなくなります** 。 タスクと同様、気軽に使うには腰が重たいものですが、トピックの細分化も使えると非常に便利です。ぜひ身につけてください。 ## トピックの細分化を理解する 旅行を例にして、トピックの細分化とは何かを解説します。 ### カップルで旅行に行くとします 🐶さんと🐈️さんの二人です。 一週間くらい丸々使った、大きめの旅行です。 ふたりとも旅行好きであり、色々と意見があります。 旅行の準備と話し合いが必要です。 ### 準備はタスクでとらえる まず準備については、タスク管理で捉えられます。 何が必要かを洗い出して、依存関係やクリティカルなものも明らかにしつつ、一つずつこなしていくだけです。 テキトーにこなしてもいいですが、賢くやるなら、タスクの一つ一つを構造化します。 * 大きなタスク * 中くらいのタスク * 小さなタスク * 小さなタスク * …… と、こんな感じでつくって、小さなタスク(細分化されたタスク)を一つずつ潰していくわけです。 プライベートな旅行ではここまでしないかもしれませんが、頭の中では同じことをしています。 **タスク管理、などという言葉を持ち出す必要さえないほど身近で自然な営みでしょう** 。 ### では話し合いはどうするか? では、どんな旅行にするか話し合うときはどうしますか。 お互い旅行好きで、こだわりが強くて、 **言いたいことが何十何百とある場合はどうしますか** 。 おそらく適当に話し合うが、大半は諦めるか妥協することになると思います。お互いが言いたいことを100個持っていたとして、計200個を全部話し合うことなど到底できません。 ### 全部話し合うことは、実はできる できないというのは誤解で、実はできます。 できないというのは、 **単にやり方を知らない** だけです。 タスク管理も同じですね。構造化して細分化して一つずつこなしていくことを知っている人は、そうしますが、知らない人から見ると魔法のようにさえ見えるでしょう。あるいは能力や向き不向きの問題に倒しがちです。もちろん、ある程度はありますが、違います。単にその人がタスク管理を、タスクを細分化するという発想を知らないだけです。 話し合うことについても、同じことが起きています。 ### トピックを細分化する ではどうするのかというと、 **タスクを細分化したように、トピック(話題)も細分化すればいい** のです。 ※ここからはトピックという言葉を使います。 以下、二人の話し合いの流れをだらだらと書きますが、トピックとして捉えられる部分は **『太字』** にします。 ――まず **『行きたい場所』** の話になりました。色々国が挙げる。ここで、🐶がモロッコを挙げたとします。 🐈️はモロッコが気になりました。 **『モロッコの良さ』** について知りたいです。また、良さだけではなく悪さも気になるので **『モロッコの悪さ』** も知りたいです。 行きたい場所について話している途中で、 **『そもそも使えるお金っていくらだっけ?』** の話しが出てきました。ここでも意見が分かれます。🐶は **『余剰資金だけで済ませたい』** です、一方、🐈️は **『貯金を崩してでも豪勢にしたい** 』と考えています―― いかがでしょうか。トピックが色々出てきました。改めて挙げてみましょう。 * 行きたい場所 * モロッコの良さ * モロッコの悪さ * そもそも使えるお金っていくらだっけ? * 余剰資金だけで済ませたい * 貯金を崩してでも豪勢にしたい さて、トピックの細分化とは、このように **発生したトピックをいちいち捉えること** を指します。 タスクのときもいちいち捉えてましたよね。それと同じ。対象がタスクからトピック(話題)に変わっただけです。 もちろん、細分化しただけでは意味がなく、細分化した各トピックと向き合います。 **話し合うとは、細分化したトピックの一つ一つを肉付けしていくこと** です。 * 話し合うとは…… * ❌テキトーに会話する * ⭕トピックに一つずつ肉付けしていく このとおり、話し合いの定義が変わるのです。 ※肉付けには色々あります。一気に結論を出す、時間をかけて出していく、結論は出さずお互いの意見を並べる、片方が情報を出せばいいので出す、など。 ### そんなことができるのか? できます。 もちろん、すべてのトピックを顔を突き合わせて話すわけにはいきません。それではいくら時間があっても足りませんし、お互いつらいでしょう。別の手段が必要です。 それが **トピック管理** です。 ## トピックの細分化が知られていない理由 これは単純で、上述した話し合いの仕方を行うための **手段が無い** からです。 より大胆なことを言えば、人類はまだトピックの細分化という視座に立てていません。しかし、技術と方法はすでに揃っており実現は可能です。 『仕事術2.0』では、トピック管理という形で整備していきます。 # Title: タスク管理改めトピック管理 **トピック管理** とは、タスク管理の次のパラダイムであり、 **トピック(話題)** を管理することです。 新しい「話し合いのやり方」を提示するとも言えます。 **話し合い2.0** と呼ぶこともできます。 ## はじめに ### これはT-パラダイムです 従来テキトーにこなしていたものを上手くやれるようにするパラダイムとして、 **T-パラダイム** があります。 1: Task(タスク管理) 2: Topic(トピック管理) ★本記事はここ 3: Talk(トーク管理) T-パラダイムについては以下記事を見てください。本記事ではこれ以上扱いません。 ### 本記事について 本記事では、第二段階であるトピック管理を扱います。 トピック管理の概要とやり方を解説します。 理論的・概念的・実践的な解説がメインとなります。わかりやすい解説や具体例などをお求めの方は、記事中のリンクを適宜参照してください。 ## トピック管理とは トピック(話題)を管理することです。 話題の一つ一つを「トピック」という「一つの情報単位」として捉え、これに情報をぶら下げていく形で話し合いを行い、また結論を出していきます。 別の言い方をすると、話し合いの定義が変わります。 **話し合いとは「トピックをつくること」「トピック各々に肉付けをすること」「トピックの結論を出すこと」** です。 直感的な理解については、以下記事を参照してください。 ## メリット * たくさんの話題を扱えること * 何十何百という話題を扱えます * 中長期的に話し合えること * トピックの形で残しながら行うので持続します * 無理に短期決戦したり、いちいち予定を調整したり同座の手間をかけたりする必要もありません * 深い議論や結論が出ること * たくさんのトピックを肉付けしていく過程で、従来の話し合いでは出てこなかった本質が出ます ## 適用可能な条件 ### 期間は中長期が望ましい 短納期の話題をトピック管理で話し合うのは難しいでしょう。全員が熟練していれば、実は可能なのですが、例外的だと思います。 ※全員が[フルリモートかつフルフレックス](https://note.com/workhack20/n/n0197e0b5146b)です、よりもはるかに難しいです 中長期的に様々なトピックをじっくり話し合う用途で使うことをおすすめします。 ※慣れてくると、数日以内の短納期程度なら扱えるようになってきます。さらに慣れてくると、チャットや会議が不要になります([フルアシンク](https://note.com/workhack20/n/n0197e0b5146b)) ### 人数規模は~30人 全員がお互いの顔と名前を知っていて、必要なら交流もできるという規模が良いです。 数字で言うと、~30人以内でしょう。学校のクラスくらいの規模だと考えれば間違いはありません。 2人など少人数も可能ですし、少ない方がやりやすいです。人数が多いほど難易度(特に全員分のツールを揃える費用や全員に適応してもらうための啓蒙)が上がります。 ## 必要なもの 何よりもまずはツールです。 **チャット(Chat)では足りません** 。ウィキ(Wiki)、Issues、Q&Aといった高度なツールが必須となります。というのも、トピックは情報として残していくものだからです。情報共有ツールが必要と言い換えても構いません。 次に非同期コミュニケーションです。 すべてのトピックを、従来どおり対面で口頭で話し合うわけにはいきません。 **各自が各自のペースでトピックを読み書きする必要があります** 。 これを実用するには意外と難しいため、『仕事術2.0』でも解説は重視しています。 そして最後にスラック(余裕)です。 1日1時間くらいは自由に読み書きする時間がほしいです。 仕事時間をガッツリ確保する現代人には理解しづらいかもしれませんが、トピック管理では各自が自由に読み書きを行うものなので、まとまった時間が必要です。 **正直1時間でも少ないくらい** ですが、まずは1時間です。 あるいはそれが難しいなら「トピックを使って話し合う時間」を設けるというアイデアもあります。対面で口頭で話し合うのではなく、 **対面はするが、話し合いはツールを使ってトピックを読み書きすることで行う** ということです。ひとりだと難しいだろうから、皆で集まってやろうという話です。 これを「トピックタイム」と呼びます。このような「~~タイム」の考え方については、詳細は以下を参照してください。 ## やり方(お試し用) いきなり始めるのは難しいので、お試し用の「軽めのトピック管理手法」をご用意しました。 まずはこちらを試してみると、トピック管理の肌感覚が得られるでしょう。 二つあります。 * [トピックボード](https://note.com/workhack20/n/n0755c111c0d4) * トピックを広げる(様々なトピックを増やす)体験ができます * [コメントボード](https://note.com/workhack20/n/n5eb377c2d7ac) * トピックを深堀りする体験ができます ## やり方 全般的なやり方の解説に入ります。 難しい点もあると思いますし、細かい部分は人それぞれですので、実際に試しながら把握・調整していくことをおすすめします。 ### ツールについて まず **全員が自由に読み書きができるツール** が必須です。 ウィキの場合、全員が自由にページをつくったり更新したりできます。IssuesやQ&Aの場合でも、全員がイシューや質問や回答を自由に書き込めます。承認制などは絶対に敷いてはいけません。 **性善説的に、全員に平等に読み書きの機会を与えるフラットの文化** が必須です。 次に、可能ならページ間リンクを行いやすい、かつリンクされたページ間を行き来しやすいノート型のツールが良いです。 ※バックリンクという「自分のページにリンクしているページ」がわかる機能を持つものが一つの目安です。 現時点では[Cosense](https://scrapbox.io/)か[Notion](https://www.notion.so/)の二択だと思います。ビジネス利用だと1人あたり1000円/月かかりますが、これくらいの当たり前です。[DXと同じで、投資は必要](https://note.com/workhack20/n/n3f7ab4d17e36)です。 このようなツールを用意できない場合は、他のウィキも使えます。ですが、トピック管理では何百何千というページをつくることになりますので、それでも破綻しないポテンシャルが欲しいのです。それが前述の「リンクベースのノートツール」だったりします。 Issues や Q&A のツールも使えます。Q&Aとしての定番は現状ないですが、Issues であれば [GitHub Issues](https://docs.github.com/ja/issues) が定番です(トピック管理にうってつけの Discussion 機能もあります)――が、これはエンジニア用のツールであり、万人が使うのには慣れが必要そうです。 ### ### トピックのつくりかた * 1トピック 1ページを心がける * 一時的にページ内にたくさん書き込むのは構いませんが、必ずあとで1トピック 1ページに切り出してください * 話題Aに関することはページAを見る、という原則が重要です * これを **トピック指向** といいます * トピック指向があるからこそ、各ページは「その話題に関わる人だけが見ればいい」という形を保障できます * 関係ない人はスルーできます * トピックは細かい単位でガンガンつくってもよい * [トピックの細分化を解説した記事](https://note.com/workhack20/n/nd01b2a5627e5)にて、旅行を例にしています * こんな感じでどんどんトピックをつくっていくイメージです * 肉付けの仕方は都度決める * 以下に仕方の例を挙げます * 雑談トピックなので取り決め不要 * 意思決定者の承認が必要なので、その人に見てもらって見解を書き込んでほしい * AかBかを決めたいので、ひとまず議論する * n個の意見を並べたいだけなので、各自並べればいい ### 普段の過ごし方 * 各自の余裕時間で非同期的に更新する * 会議の際は、トピックをn個つくっておいて、一つずつ潰していくようにする * 上述の **トピックタイム** も参考にしてください * 誰かに見てほしいものは、チャットなど別の手段で催促する * Aさんに見て欲しいときは、Aさんにメンションで(見て欲しいトピックの)URLを送る等 * 別の言い方: **トピック管理を行うツール上で通知の概念を持ち出してはいけません** * あくまでも各自が各自のペースで読み書きします * それだと見てもらえないことがあるので、そこはチャットなど「通知を持つツール」でカバーします ## 便利なトピック 最後に便利なトピックをいくつか紹介します。 ### 日付トピック たとえば今日が 2024/10/09 なら「2024/10/09トピック」をつくり、皆がここに日記・日報・つぶやきなどを書きます。 分報をご存知の人は、「n人が共同編集できる場所で分報する」と捉えれば合っています。 これは単純ながら強力で、トピックをつくるよりもかんたんに色んな話題を出しやすいし、雑談含めて盛り上がりもしやすいのでおすすめです。会話が込み入ってきたら、その時初めて別ページをつくればいいのです。 インターネット上では、Cosenseのコミュニティである[井戸端](https://scrapbox.io/villagepump/)でその様子を見ることができます。 ### ブレストトピック 発散したい場合は、テーマを仮決め(あるいは無くてもいい)してトピックをつくり、その中で自由に書き込んでもらいます。 ポイントは、ブレストのように思いつきを何でも書くことです。たとえば🐶さんが思いつきを箇条書きで並べているとして、その中に🐈️さんが思いつきを書き足してもいいのです。 もちろん、このような割り込みがやりづらいなら、🐶さん🐈️さんのエリアをそれぞれつくって、そこで書きなぐる&他の人のエリアも覗いて、思いついたことをさらに(自分のエリアに)書き足す、としてもよいでしょう。 ### リンク集トピック 便利なトピックや、関連のあるトピックを集めたトピックです。他のトピックへのリンクをまとめた形となります。要はリンク集ですね。 リンク集はカジュアルにつくった方が何かと便利です。 少しネットワークの話をします。 トピック管理では何百何千というトピックが出来上がりますが、これを従来の「一覧」や「検索」だけでカバーするのは不可能です。 重要なのが **トピック間(ページ間)がリンクでつながれているというネットワーク構造** です。これは人間の脳や人間関係と同様で、ネットワークは覚えやすく親しみやすいものです。記憶を頼りに、あちこち辿っていけば辿り着けます。親和性が高いのです。 問題はこのネットワークをどうやってつくるかですが、 **私たちが日頃からリンクをつける** しかありません。そういう意味で、前述ではツールとして「リンク機能を持つもの」をおすすめしたわけです。 話を戻しますが、リンク集は「リンクをつくる」営みとしては、やりやすいものです。 あるいは当サイトも参考になるでしょう。当サイトはnoteで書かれていますが、文中でちらほら他記事へのリンクを差し込んでいるのが見て取れると思います。これもネットワークを意識してのことです。 # Title: トピック管理を軽く試したい 「トピックボード」編 トピック管理を軽く試す方法として、皆でトピックを展示していく **トピックボード** を解説します。 トピック管理については以下を参照してください。 ## トピックボードとは 皆がよく通る場所にボードを設置し、誰でもトピック(話題)を書き込めるようにしたものです。 ## 手段 「ボード」と「トピックをどう書く(貼り付ける)か」の二点を決める必要があります。以下に例を挙げます。 例(アナログ): * かんばんを設置し、札をぶら下げる * ホワイトボードを設置し、書き込んでもらう * 付箋を貼れるボードを設置し、付箋を貼ってもらう * 黒板を設置し、書き込んでもらう * ノートを置いておき、書き込んでもらう * ゲームセンターのコミュニケーションノート文化のイメージです * 目立たないので目立たせてください * etc 例(デジタル): * TrelloやMiroでボードをつくり、皆に書き込んでもらう * Microsoft Whiteboardでボードをつくり、皆に付箋を貼ってもらう * etc ## トピック(話題)とは? 良い例(⭕)と悪い例(❌)をいくつか挙げます。 例1: * ⭕「昼ご飯は何食べてる?」 * ⭕「南側の商店街で何を食べるか」 * ❌「南側の商店街に行ってます」 例2: * ⭕「静かな退職」 * ❌「日本とアメリカでは静かな退職の意味が違う」 例3: * ⭕「トイレの改善点」 * ❌「3F男子トイレの最奥の個室の鍵の締まりが悪い」 トピックとは話題であり、誰が何を思うか・考えるかに広がりがあるものです。一方、❌で挙げたようなものは、意見の正しさにかかわらず個人の意見にすぎません。こういうのは「シンク(Think)」と呼びます。 **トピックボードではシンクは扱いません。 トピックだけを扱ってください。** ※ちなみにトピック管理そのものは、シンクをトピックとしてつくることも想定しています。しかし、トピックボードでは軽く試したいだけですから、シンクを意図的に除外しています。 ## メリット * 気軽に楽しめます * 皆が持ち寄ったトピックには色んなものがあります * また、シンク(自分の意見)を書く必要がないので気も楽です * トピック管理の練習になります * トピック管理では **「トピックをつくる」** 「トピックに肉付けする」「トピックの結論を出す」が必要ですが、トピックボードは太字部分だけを端的に試せます ## 運用の話 最後に、知っておくと良いポイントを雑多に挙げます。 ### アナログな手段が良いと思います 皆に読んで欲しいので、皆の目につきやすいアナログな手段がおすすめです。 アナログだと、オフィスにボードをどんと置いておくだけで自然と目に入りますが、デジタルだとこの感じは中々出せません。 一方で、ITに慣れた人ばかりであれば、デジタルでもできるでしょう。 ### シンクを書かないよう啓蒙してください トピックボードはシンクを廃して、トピックだけを書いてもらえるかどうかが成功の分かれ目です。 ボードを設置しただけでは、この観点はわからないので、シンクは書かないでくださいとしっかり啓蒙してください。 ⭕の例と❌の例を最初から書いておくのも良いでしょう。 ### 書き込む人の名前が見えないようにしてください 書き込んだトピックの名前が見える場合、ハードルが上がってほとんど書き込まれなくなります。 アナログの場合、名前を書かなければいいのでかんたんですが、デジタルの場合は **名前が記録されないツールが必要です** 。 また、Miroのように「デフォルトでは表示されないが見ようと思えば見れる」ものもありますが、できれば避けたいです。書き込む量がそれなりに出るなら問題ありませんが、意外とこれだけでもハードルは高いので、おすすめはしません。 ### 「直接話せばいいじゃないか」? そういうことではありません! トピックボードは **トピック管理を** 試してもらうためのものです。 詳細は冒頭の記事を参照していただくとして、トピック管理は話し合い2.0であり、従来の対面で口頭で直接喋るあり方ではありません。 トピックボードの場合、 **各自が各自のペースで色んなトピックを見て楽しむ、あるいは追加することを試してもらうことを意図しています** 。直接話さなくても、色々なトピックを持ち寄り、また見てもらうことができるのだという点を示したいのです。 ですので、「 **直接話せばいい」といった指摘はナンセンス** です。このような指摘に屈してはいけません。 ※もちろんトピックボードを試しつつも、挙がってるトピックについて話し合いたいというのは問題ありません。 # Title: トピック管理を軽く試したい 「コメントボード編」 [トピックボード](https://note.com/workhack20/n/n0755c111c0d4)の別種である **コメントボード** の解説します。 概要を知らない方は、まずは以下記事を見てください。 また本記事のタグとして #コメント募集中 などをつけていますが、以下の意味です。 * ❌本記事へのコメントを募集している * ⭕職場でコメントを募集する方法を扱っている ## コメントボードとは 基本的にトピックボードと同じものです。 ボードに何かを書く(or貼る)かが違います。 ## やり方 * 1: ボードに「テーマ」を設定します * 2: ボードには、そのテーマに関するコメントを書きます or 貼ります トピックボードではテーマを自由に書いて or 貼ってもらうものでした。シンク(Think)は扱いませんでした。 逆に、コメントボードではシンクだけを扱います。テーマはあくまでも固定されており、皆さんは、このテーマに関するシンクを(つまりはコメントを)書いたり貼ったりします。 ## 運用の話 最後に、押さえておくと捗るポイントを雑多にまとめます。 ### テーマを誰が決めるか、いつ変えるか まずは推進者の方で決めてしまった方が良いでしょう。 テーマの争奪は、コメントボードが盛り上がってからでも構いません。 **まずは盛り上げるのが第一です** 。 コメントボードは、トピックボードとは違ってシンク(Think)――自分の意見を書き込むものなので、ハードルが少し高いのです。下手に欲張ると全く盛り上がらずに終わりがちです。まずは盛り上げることを優先してください。テーマ決めを最初から課す必要はありません。 ### どんなテーマを扱えば良いか とりあえず短期的に決めねばならないことはやめます。中長期的に決めていきたいことか、直接仕事に関係しない雑談的なものが良いでしょう。 まずは盛り上げたいので、コメントが集まりそうなテーマにしたいです。 **正直言ってセンスが問われます** 。 仕事の真面目な話である必要はありません。しかし、「好きな動物」など雑談的すぎる内容も白けます。「生成AIを用いたビジネスアイデア」は意識が高い人しか書かないでしょう。「最近気になったニュース」は……どうでしょうね。 と、どんなテーマだとコメントが集まるのかは、本当に組織によります。 権限を持つ人向けの解説になりますが、一番てっとり早いテーマは **皆の欲しいもの(目安箱的な改善も含む)を募ること** です。 これは同時に「集まった "欲しいものたち"」に対して応えるとの含意も意味しますが、そこは投資する部分と思って投資しましょう。 トピック管理の入口を練習できると考えれば、安いものです。かつ、トピック管理では色んなトピックに対する色んなコメントが(皆に見えてる状態で)集まり、その状態で意思決定を行っていくことになります。コメントボードを用いた意思決定など序の口です。 逆を言うと、この程度さえできないというのは、仕事術の素養がない――つまりは融通が利かない・利かせるつもりがないと自白しているようなものです。 ### リアクションは封じてください 無闇な同調を控えるために、 **スタンプ(リアクションを絵や絵文字などで残すだけの反応)は禁止してください。** トピック管理では言語化が大事であり、コメントボードでもその練習はしたいのです。 * ❌「👍」スタンプをつける * ⭕コメントとして「いいですね!」を書く or 貼る とはいえ、明確に禁止にしてしまうと、皆がコメントを書き込むハードルが上がります。 どう啓蒙するかは難しいところですが、自然にスタンプが発生してしまったら、いったん放置でもいいでしょう。ある程度盛り上がってきたら、言語化が重用なのだとのコンセプトを改めて伝えて、スタンプを減らしていきます。 ### トピックボードとの併用 以下のいずれかが良いと思います。 * 案1: トピックボードか、コメントボードの片方だけ始める * 案2: まずトピックボードを始め、特に盛り上がったトピックについてはコメントボードを併設して、そっちでコメントを募る 無闇に併用しても混乱するだけです。 いずれにせよ、盛り上がってから次を考えれば良いです。何ならトピックボードやコメントボードの運用をどうするかを、コメントボードで決めることもできます。 # Title: Learn about this picture(この写真に関する詳細情報)の消し方 デスクトップ右に謎のアイコンが出ます。消えません。 ![](/assets/nf1d90625300d_1728504981-jNqYsaluJ4HUf2oTKxmWg7DR.png)消せない…… デスクトップを右クリック > 個人用設定 > 背景を「Windows スポットライト」以外にすれば消せるようです。 ![](/assets/nf1d90625300d_1728504837-2UL0AYr3oNwu5eQ74WIbniSv.png)個人用設定 > 背景 ## (関連記事) 本記事のような考え方を一般化した言葉があります。 # Title: 自己主張の強い新機能は殺せ > Kill the noisy features. > 自己主張の強い新機能は殺せ。 **常用している道具が勝手に変わることなど、あってはなりません。** たとえ軽微なものであっても、あなたのパフォーマンスや平常心を乱しています。 かといって未来永劫、変えないというのも「アップデートしない」ということですから望ましくないでしょう。 ※特定の職人や「現状維持の人生でいいや」な人など、状況次第ではそれでも良いです **アップデートは自分のタイミングで行えば良いのです** 。少なくとも勝手に変えられるのは違います。道具を使う自分の主体性を大切にしてください。 ## 例 Windowsの例ですが、以下は「壁紙が勝手に変更され」「デスクトップ右上に消えないアイコンが勝手に表示される」という新機能です。 これは Windows のパソコンという「常用している道具」が勝手に変えられた、と言えると思います。こういうものはすぐに殺します。 一見すると軽微ですが、このノイズは積み重なって、あなたを微妙に阻害します。適応できればそれでよいのですが、もちろんこれは一例であって、 **ノイズは他にもありえるわけです。その度に我慢しますか?** 結局、「後々困らないようにこまめに掃除しなさい」「健康や生活には気を遣いなさい」という類と同じ本質になりますが、このように道具の維持にも当てはまるわけです。 ※ということは、そういう「まめさ」が苦手な人は、この取り組みも難しいでしょうから、無視して構いません。 ## 殺し方 自己主張の強い機能の殺し方を見ていきましょう。 ### アナログな道具の場合 アナログな道具の場合、誰かが勝手に変えることがあるかもしれませんので、変える人に働きかけて抑制します。 何らかの店舗から仕入れている、といった場合は、店側の都合で急に変わることがあります。可能ならいつ頃変わりそうかなどをキャッチアップしておきたいです。 ### デジタルな道具の場合 デジタルな道具、PCやスマホなどのデバイスの場合、 **自動でアップデートが入ることが多いので勝手に変わりがち** です。 ですので、上記例でも述べたとおり、 **変わったときにすぐ対処できるようにしたい** です。幸いにも、同じことを考える先人は多いので、やり方はググればすぐに見つかります。機能の名前で探してください。また、日本語よりも英語の方が情報が多かったりします。 厄介なのは、アップデートする運営側が勝手に変えてくるから「そういうものだ」と考えてしまうことですが、違います。 道具は一定であるべきですし、変えるにしても自分のペースで変えるべきであって、 **勝手に変えてくること自体がそもそもおかしいです** 。騙されてはなりません。 とはいえ、デジタルなデバイスは(劣化、脅威への対応、機能追加など本質的に変化が速いので)アップデートするものなので、 **変化は受け入れません、というのも違います** 。 そういうわけで、良いバランスは、 **運営側が段階的にチラ見せすること** です。 「そろそろこういう新機能入れるので移行していってね」 「これこれの新機能入れてみたので、有効にして使ってみてね」 といった具合ですね。 こういう運営企業の姿勢は、その企業の価値観を測る指標にもなります。チラ見せしてくる企業は良い企業です。勝手に変えてくる機能は、我が強かったり、政治的だったり、営利至上だったりします(人を選びます)。 Windows のようなレベルですと「合わないから使わない」わけにはいきませんが、もう少し軽いツールであれば、他にも選択肢は色々あります。この観点で選んでみるのも良いでしょう。 # Title: チャットの限界はソーシャライブであること 現代でも働き方は依然として原始的であり「対面で口頭で」が主流となっています。 そんなあり方を壊したのがパンデミックですが、Teams や Slack など「ビジネスチャット」で乗り切りました。が、これは単に対面口頭を代替したにすぎず、原始的であることに変わりはありません。 **そもそもチャット自体に限界があるため、チャットでここを乗り越えることはできません。** 本記事ではチャットの限界と、その乗り越え方を解説します。 ※乗り越える理由やメリットは解説しません。興味あれば or 忘れた人は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)を見てください。 結論を言うと、考え方を変えよ、になります。 ## チャットの限界はソーシャライブであること チャットの限界をもう少し言語化します。 チャットの限界は **ソーシャライブ(Socialive)** であることに起因します。 ### ソーシャライブとは この言葉は以前解説しました。 ソーシャライブとは「一緒に進めたい」という考え方です。上記記事では「分業」の対抗として、また若者の傾向から台頭してきたものとして解説しましたが、ソーシャライブ自体はまだまだ圧倒的多数派となる価値観です。 ### チャットで長文が嫌われる理由 特にLINEがわかりやすいと思いますが、なぜチャットにおいて長文が嫌われるのでしょうか。 それはチャットがソーシャライブだからです。 ソーシャライブでは、一緒に進めるために「短い情報量」でやりとりします。対面で話すときがまさにそうですよね。一気に長文を言うことは通常ありません。 これは単に人間の仕様によるものです。一気にたくさんの情報なんて言えないし、聞き取れません。あるいは聞き取れても理解しきれません。そもそも一方的に聞かされ続けている状況に耐えるのも(力関係の違いがなければ)難しいことです。ですので、 **短い情報量でやりとりするしかありません** 。 チャットでは、この原始的なあり方がそのまま持ち込まれています。 ### チャットは下位互換 対面口頭のあり方をそのまま持ち込んだチャットは、下位互換でかありません。 当然ながら直接話せるならそうしますし、チャットでやりとりする場合は、直接話す場合よりも不便になるのは目に見えています(それでも無いよりはマシだからやる)。 結局、対面口頭の限界を超えられないのです。リモートワークなのにリモート会議ばかりになったり、パンデミックが落ち着いたからと出社に戻したりするのもそのためです。 ## ソーシャライブからインフォメーティブへ ではチャットの限界を越えるにはどうすればいいかというと、 **ソーシャライブという考え方を変えればいい** のです。 ### インフォメーティブとは 『仕事術2.0』では[ **インフォメーティブ(Informative)**](https://note.com/workhack20/n/n4fc1471ee6b2)と呼んでいます。 * ❌短い情報量をやり取りして、一緒に進める(ソーシャライブ) * ⭕長い情報を一気に渡して、見てもらう(インフォメーティブ) ### インフォメーティブは難しい ただし、安易にインフォメーティブを採用したところで、それは丸投げにしかなりません。また管理職など権力も持つ側(情報が集まる側・渡される側)が現場を振り回す例もよく起きます。 たとえば、スケジュールの捉え方の違いは以前取り上げました。 せっかくチャットの限界を越えたとしても、インフォメーティブのやり方が下手であれば意味がないのです。 むしろ、カバーするために結局ソーシャライブ(一緒にやる)の時間が増えます。仕事の時間そのものが肥大化して、残業が当たり前の世界になります。 そしてそれを「仕事はそういうものだから」などと正当化します。違います。単に無能なだけです。 ### 賢くインフォメーティブ 昔は融通が利かない時代であり、技術や方法も乏しかったがゆえにそうなっていましたが、現代は違います。 もう全部揃ってあり、あとは各組織各現場で適用して融通を利かせれば済む段階です。 たとえば以下のような働き方は可能です。 その他、当サイトでは様々な仕事術(仕事のやり方や考え方)を扱っておりますので、参考にしてください。 ## まとめ * 対面口頭という限界は、チャットでは越えられません * チャットもソーシャライブであり、「一緒にやるために」「短い情報をやりとりする」あり方でしかないからです * むしろ手段としては下位互換でしかありません * 越えたいなら考え方を変えて、インフォメーティブを取り入れます * ただし迂闊に取り入れても労働時間が肥大化するだけです * 仕事術(仕事のやり方や考え方)という視座に立つ必要があります # Title: スルースキル(スルー力)を制する者は、人生を制する 瞑想も、余計な一言を言わずに済ますことも、通知を見に行かないことも、すべては **スルースキル(スルー力)** でこなせるものです。 スルースキルが使えると、人生において有利になります。 **というより、いたずらに不利になるのを防げます** 。 ## スルースキルとは スルー力(りょく)とも言いますが、 **刺激に対して反応せずに済ませるスキル** を指します。 狭義には「自分に向けられたネガティブな意見をスルーする」程度の意味ですが、その程度ではありません。刺激への反応をやめる、というレベルにまで一般化できます。 ### 取り上げている例 書籍『[道は開ける](https://www.amazon.co.jp/dp/4422100998)』や『[7つの習慣](https://www.amazon.co.jp/dp/4863940246)』では、「反応するのをやめる」ことの重要性を紹介しています。 マンガ『異世界おじさん』では、主人公のおじさんが「心を殺すテクニック」として取り上げています。 ### 反応しないとはどういうことか 相手にしない、ということです。 解釈をしない、思考をしない、返事や応答をしない、などあらゆる「しない」を駆使して、相手にしないということです。 道を歩いていて、たまたま石が落ちているのが目に入ったとしても、通常は気にも留めません。それと同じことを意図的にやります。 ### 反応しないためには、意識の矛先の制御が必要 瞑想やマインドフルネスでは呼吸を意識しますが、これも意識の矛先を呼吸に向けているだけです。 **人は意識を常に持て余しており、何かに向けねばなりません(*1)** 。それをスルーするべき対象に向けるから大変なことになります。変わりの何かに向ければいいのです。 最もよく使われているのは「忙しさ」です。前述した『道は開ける』でも、まさに「悩むのは暇だからだ」のようなことを言っていますが、要は **忙しいと意識を向ける先が色々あるので困らない** わけです。 ※ちなみに発達障害など特性上、脳の働きを制御しづらい人もいます。薬に頼るか、環境によるコントロールに頼ってください。本記事では扱いません。 *1 当サイトでは[マインドフィル](https://note.com/workhack20/n/n0d9132ca2e19)(Mind を Fill、埋める)と呼んでいます。 ### 意志とは忙しさ スルースキルはよく意志とセットで語られ、ともすると才能のように扱われることもありますが、違います。 意志とは忙しさです。 **意志が強い人とは、単に何かに忙しくしている人のことです** 。仕事とは限りませんし、時間を費やしているとも限りません。趣味、主義思想、本人にしかわからないこだわりなど色々あります。 問題は、自分が何に対してであれば忙しくなれるかということですが、こればっかりは一概には言えません。 ### 意志とは「意識を切り替える筋肉」 もう一つ、 **意志は「意識を切り替える筋肉」だと捉える** こともできます。 知能が高い人は軽率なことはしませんが、それは日頃から色んな対象に意識を向けているがゆえに、「意識の向き先を切り替える筋肉」が鍛えられているからです。 **意識を切り替えることに慣れている** わけですね。 ただし、そう単純でもなく、現実的には色んな刺激がありますから慣れも必要です。 極端な例ですが、日本で過ごし慣れている人は、博識な方であっても死体や殺し合いや銃声をスルーすることは難しいでしょう。また、女性の方は痴漢や盗撮をスルーするのも難しいと思います。 逆に、慣れてしまえば、別に高い知能がなくてもスルーできます。 ## まとめ * スルースキルとは、刺激に反応しない、という汎用的なスキル * その正体は意識の矛先の制御 * もっと言えば忙しさと筋肉 * 特性的に厳しい人は、薬に頼るなどしてください # Title: 社員ランク **社員ランク** とは、正社員をいくつかのランクに分けることです。 社員制(正社員 + メンバーシップ)の問題点は **入社のハードルが高い** ことです。「社員が満たすべき条件」は選考で調べますが、ハードルが高すぎて正直バクチです。そうでなくとも採用コストは高くなりがちです。 ランクを設けることで、低ランクについてはハードルを下げることができます。 ## 社員ランクの要件 * 昇格が可能であること * 一応正社員になるルートはあるが、事実上非常に困難、といったことはありません * **仕事の分離** が進んでおり、低ランクにも渡せること * 仕事が分離されていないと、 **「迂闊に渡せないから信用できる社員に丁寧に渡していく」しかできなくなります** * ここは諸悪の根源の一つです * 低ランクの人に仕事を渡すには、さっさと渡せるくらいに仕事の分離が日頃から進んでいる必要があります * 適用するルール・プロセス・文化が小さいこと * 一般社員と全く同じものを課してはいけません * ランクが小さいほど、課す部分は少なくしてください * → **制約セクション** * 最低ランクにも正社員レベルの給料を渡せること ## 違い ### バイトやインターンシップとは違います 上記要件を満たしていないからです。 ### 非正規雇用とも違います 上記要件を満たしていないからです。 ### 職位とも違います 社員ランクとは、 **職位が最低である平社員という枠について、さらにランクを設ける** ということです。 あるいは、そもそも階層を撤廃した上で、正社員に社員ランクを設けることです。 ※階層の撤廃とは、社員の職位を同一にして、役割だけが違うという世界観です。たとえば経営者、マネージャー、現場の技術者は役割が違うだけで、職位(階級)は同じです。上下関係がない代わりに、役割分担で連携します。 ※厳密に言うと、職位=階級+役割ですが、これを職位=役割にするということです。 ## 仕事の分離とは 社員ランクの実現においてキーとなるのが **仕事の分離** です。 仕事の分離とは、 **分業や委譲をしやすくするために、仕事を小分けにすること** を指します。 ### 小分けは難しい 通常、仕事というものは本質的に煩雑なものであり、綺麗に小分けすることなどできません。機密情報も含みますし、ネットや本で調べても出てこない固有の事情もありますし、やり方も泥臭いことが多いです。 ですので、仕事は十分な能力を持つ、信頼できる人にしか基本的には渡せません。そうでなくとも、教える側が時間をかけて、相手に応じて融通を利かせながら教えていくことになります。 もちろん、このような状態では小分けなどできません。 ### 日頃の設計と整理が必要 仕事を分離するには、日頃から設計と整理を行う必要があります。 たとえば仕事を「きりのいいタスクという単位」に分割しているとして、かつ、それら各々に機密レベル(機密情報がどれだけ含まれているか)を設定しているとしましょう。この場合、機密レベルが低いものは、機密性という観点では渡しやすいでしょう。 このような発想を適用する必要があります。 ### 仕事の分離はITエンジニアならできる 仕事の分離は当サイトの提唱であり、まだ新しい概念ですが、これを行う能力の持ち主はすでにいます。 ITエンジニアです。 ITエンジニア、特にソフトウェアエンジニアやプログラマーといったソフトウェアをつくる人達は、設計を行っています。つくりたいものをソフトウェアに落とし込むために、概念とその組み合わせ方を設計しています。概念を扱う力があるのです。 特に分離の思想もよく使います。たとえば機密情報を安易を含ませないよう、常に外部から与えるような仕組みをつくったりします。 **エンジニアはオープンソースの形でソフトウェアを全世界に公開しますが、これも機密情報が混ざらない(かつ必要に応じて注入できる)よう分離できている** からです。分離できているからこそ、「公開しても問題ない部分」があるわけですね。 仕事の分離も同じです。私たちの置かれた状況や制約、仕事の中身などから上手く概念をつくり、組み合わせることで、「こうすれば分離が成立する」というシステムをつくればいいだけです。素人には到底不可能ですが、概念を扱えるエンジニアなら可能です。 ## 制約セクションとは **制約セクション** とは、全社員に課される制約を区分けすることです。 ### 目的は二つ * 低ランクに課す制約の量を減らすこと * メインの目的 * 仕事の分離と同様、セクションも分離することによって使い分けできるようにすること * サブの目的 * 非常に高度であり、最悪やらなくてもいい ### 単一制約から脱する 従来では正社員では単一の制約が課されていました。全従業員が同じ制約を負っているのです。 当然ながら制約の量はそれなりに多く、教育には時間もかかりますし、そもそも信頼できる者でないと教えたくもないでしょう。 このボトルネックを壊すのが制約セクションです。 ### 例 たとえばオフィス内に「誰でも事前予約なしに自由に見学できるフロア」をつくるとします。 このフロアも仕事場の一つであり、ランク1の社員が仕事しています。つまり、ランク1の社員は、部外者が来る環境下で仕事していることになります。 これは物理的に「機密性の低いフロア」となっており、緩いセクションだと言えます。あるいは「オープンなフロア」と呼ぶこともできるでしょう。 また概念的にも、このような場所では(部外者がいるかもしれないので)通常どおりの行動ができず、機密性を廃した立ち回りや、あるいは部外者に応えるための立ち回りを要するでしょう。 一見すると不便なように見えますが、 **制約の量でいえば少ないです。全社員が抱える、本来の複雑な制約を使わなくてもいいからです。** おそらく、このフロアでは、機密情報や個人情報を一切扱わない、一般的な話題や技術や方法のみを扱うようなシンプルな世界観になるはずです。そのようなセクションがある(というよりつくる)のです。 ## Q&A ### Q: 非正規雇用で事足りるのではないか? Ans: いいえ 人材不足だったり、正社員が忙しかったりするのは、やり方が下手だからです。 非正規雇用では給料が低いため、優秀な人材が集まりません。仮に優秀な人材がいたとしても、扱いが正社員の下ですから、実力を発揮できません。仮に発揮できていたとしても、給料が低いため、やめていきます(別の場所でも通用します)。 かといって肝心の正社員は、メンバーシップへの参加ハードルが高いため集まりません。 あるいは、集まったとしても適応できずに離職するか #静かな退職 をしてしまいます。適応については以下記事も参照してください。 要は、今の非正規雇用と正社員制だと「搾取しすぎ」「慎重になりすぎ」で両極端なので、もうちょっと融通を利かせましょうという話です。 社員ランクはその手段の一つです。 ### Q: 社員ランクはインクルージョンの一種か? Ans: はい。 「社員」の定義を緩和することで、より多様な人材が社員になれるようにしており、これはインクルージョンと言えます。 以下記事では「標準的な社員(スタンダーフ)」という概念を使って、説明もしました。 # Title: 人事フィルター **人事フィルター** とは採用選考に立ちはだかる、人事部によるチェックのことです。 **革新的な人材を手に入れたり、多様性を広げたりするのを阻むものです。** ## 人事部の特徴 人事フィルターの原因となっている人事部の特徴を示します。 * 自らが忙しい * 他の人も忙しい * なので、いちいち「この人どう?」といった相談ができません * 採用基準が定められており、それに沿うかをチェックすることが役割 * 真面目であるほど、沿わない人材はすぐに手放します * 応募者情報の機密性が高く、他者に相談しづらい * 万能感 * 人をジャッジする機会が多く、感覚が麻痺します * 第一印象で気に入らない人物を落とす権限があり、かつ採用基準という名目もあるので、堂々と落とせます 要は典型的なサラリーマンであり、融通が利きません。彼らが悪いというのではなく、 **構造上の問題** です。人事部の人間であれば誰であってもこうなりますし、仮に抗える人がいたとしても内部で潰されるでしょう。 ## 人事フィルターを交わすには? * リファラル採用など、社員の伝手を頼る * 権力を持つ社員に直接コンタクトを取る * ですが彼らは忙しい、プライドが高い、目が肥えているの三拍子がそろっているので、基本的に厳しいです * 大きな企業だと「コンプラやルールを色々抱えている」もつきます * 経営者に直接コンタクトを取る * 権力を持つ社員よりは融通が利きますが、クセも強いし、やはり基本的に厳しいです * 融通が利かない経営者は相手にしませんし、利く経営者は忙しいので相手にできません このとおり、直接コンタクトを取るのは事実上不可能に等しいのが現状です。 だからこそコネに頼ります。そういう場に日頃から参加して信用や伝手を得るわけです。 結局、本質はリファラルと同じです。 **スタートラインに立つ≒知り合いになること** 、という構図があるので、人事フィルターを通過できるほどの権力者と知り合いになれば良いということです。 ## カジュアル面談やオープンポジションはどうか? Ans: ダメです。 **人事フィルター自体は変わらない** からです。 カジュアル面談でどれだけ好印象高評価を取れたとしても、人事フィルターの付いた選考は免除されません。 また、オープンポジションとは、「(単一ではなく)nつの求人票のどれにマッチするかを選ぶ」にすぎません。かつ、志望者には見えていなくて不透明なので、恣意的な判断も下しやすいです。 ## 人事フィルターを緩和するには? パラダイムシフトレベルの大胆な転換が要ります。 しかし(次に述べるティール組織は別にして)内容自体は難しくありませんし、当サイトでもこれを行う仕事術を開発していきます。いくつかを紹介します。 ### ティール組織 ティール組織では、会社は「十数人の小集団」のネットワークから成ります。 採用も、その小集団が各々行います。人事の知識や支援を借りることはありますが、融通は利かせられます。 ### ソロワークの推進 チームワークの思想しかない組織は、「チームメンバーとしての要件」を満たすかどうかのテストをします。これは統一的に行わないといけないので、人事部が担当することが多いです。 結果として、 **選考に(別に一緒に働くわけでもない無関係の)人事の人がなぜか同席する** ことになります。 ※余談ですが、このように「直接関係しない人がなぜか評価に関わってくる」現象はよくあります。以下も一例です。 慎重に採用していると言えば聞こえはいいですが、 **同じノリの人間としか働けないだけです。仕事術(仕事のやり方や考え方)の融通が利かない** のです。 たとえばソロワークも活用する組織であれば、ソロワークができればいいので、選考にも融通が利きます。 ### 社員ランク そもそも人事フィルターを介さないといけないのは「正社員」というメンバーシップに入るハードルが高いからです。 ならばハードルを低くすれば良い。正社員をランクに分けて、低ランクについては緩和すれば良いのです。 これは単なる階級や非正規雇用とは違いますので、以下記事で解説しました。 # Title: クライアントワーク → プロジェクトワーク → テラワーク 働き方の潮流を3つにまとめます。 ## クライアントワーク クライアント(顧客)の依頼に応える形の働き方です。 ![](/assets/n90e89b1ab8e1_1728612927-PxvHUW3pRE7OVFl5aeoT1yqM.png)クライアントワーク 原始的ですがシンプルであり、名前をつけるまでもなく現代でも最もよく使われています。 ### ワーカーが優秀だからこそ成り立つ クライアントの立場が強くなりがちのため、ワーカー側が上手くリードせねばなりません。以下は頼もしさのマトリックスですが、 ![](/assets/n90e89b1ab8e1_1728613250-GqX6I9mkQDPLtMdf4vl3Zzjs.png)頼もしさのマトリックス クライアントワークを上手くやれるのは1だけです。 2は、ワーカーの立場が(事実上 or 暗黙的に)強いケースで、ワーカーがクライアントをリードできれば上手くいきます。しかし現実はそのとおりにはならず、クライアントがこちらのコントロールに従ってくれません。ワーカー側によほど分があって、放っておいても仕事が絶えないくらいであれば(クライアント側が合わせるしかないので)成立しやすいです。 3と4は、クライアントから搾取されるか振り回されます。それでも食べていけるなら良いですが、負荷は高いです。極端に言えばクライアントの奴隷と化しがちです。 ### コミュニケーションの営み シンプルですが、距離が近いゆえに高密度になりがちです。コミュニケーション、解読、説得といった営みがメインとなります。 仕事のスキルがあれば通用するわけではありません。むしろ、これら営みをこなせることの方がはるかに大事です。こなせない者は相手にされません。 ### ワーカーに求められるリテラシー そもそもの前提として、金銭を通じて仕事をやりとりすることはそれなりに高度なものであり、素人が適当に行って成立するものではありません。たとえば契約面一つ取っても、多岐に渡ります。 シンプルと言えど双方、少なくとも片方(特にワーカー)はそのようなリテラシーを備えておく必要があります。 ※近年では仕事のマッチングを行うプラットフォームを介することもできますが、これは仲介者が入った形であり、クライアントワークとは(呼べないことはないが、これで請け負える仕事は「ごく一部」であるため)呼べません。 ※知り合いなどで非常に融通が利くパターンもありますが、それは単に同じチームで働いているようなものです。本記事で取り上げる「働き方」の観点では扱いません。 ### まとめ * ワーカーとクライアントが1対1で直接やりとりする * 問題点 * ワーカーが優秀でないと上手くいかない * コミュニケーションの営みが多く、また避けられない * 搾取されがち、負荷が高くなりがち ## プロジェクトワーク プロジェクトを立てて、その中に関係者を入れて仕事をする働き方です。 ![](/assets/n90e89b1ab8e1_1728614122-hbgVpTOcF6mnrBHeN48C9wPi.png)プロジェクトワーク プロジェクトという言葉は多義語ですが、要は **ある目的を達成するために一時的につくった組織** です。解散の概念もあり、用が済んだら壊します。 クライアントワークではワーカー vs クライアントでしたが、プロジェクトワークではワーカーもクライアントもプロジェクトの一要素でしかありません。 ### プロジェクトエコノミー プロジェクトは必要に応じてつくられます。近年はこのような働き方が主流となっており、 **プロジェクトエコノミー** と呼ばれます。 ### 本質的に複雑 プロジェクトは一時的な組織であり、要は組織です。また自社や自部門以外の人間も入り混じります。よって、本質的に複雑な世界となります。 組織設計(プロジェクト設計)、管理の仕方、役割分担と権限委譲の仕方、コミュニケーションの取り方など、多岐な才能が要求されます……が、現実的にそんなことを毎回行える超人はいないため、 **何らかのテンプレートで組織を組んで、人を当てはめて、あとは各自の能力と融通に任せる** との形になりがちです。事実上、組織人として働くことと同義です。 一方、プロジェクトは一時的な組織ですし、状況が慌ただしくて変化することも前提としていますから、しっかりとした組織よりも慌ただしくなりがちです。組織人としての立ち回りの他に、臨機応変で素早い対応力(瞬発力)も求められがちです。 ### 政治が重要 プロジェクトは一時的な組織であるゆえに、全体の整合を保つためにはパワーが必要です。パワーを持つ者が秩序を敷いて、全体を従わせればいいからです。 **つまり構造上、パワーを持つ勢力が必ず存在し、プロジェクトを支配しています** 。単純な構図で済むこともありますが、たいていは複雑なパワーバランスが生じます。 特に重要なのは「人」を理解し立ち回ることです。プロジェクトは一時的な組織ゆえに慌ただしく、 **システムでは統制できないので「現場で融通利かせて頑張ってね」になります** 。となれば、現場でパワーを持つ人が幅を利かせることになります。その「人」達各々の特徴を押さえて、上手く立ち回らねばなりません。 人を相手にした立ち回り、つまりは政治が要求されます。 ### まとめ * プロジェクトという一時的な組織をつくる * 問題点 * 政治が多発する * 政治ができないと通用しない * できるにしても手間暇がかかる * またパワーを持つ勢力がボトルネック・限界になる ## テラワーク **テラワーク(Terra work)** とは、プロジェクトワークの次となる第三世代の働き方として当サイトが言語化したものです。 関係者は各自主体的に探索を行い、その過程や成果をオープンにアウトプットし、これらアウトプットの活用や議論を行います。 ![](/assets/n90e89b1ab8e1_1728616063-a1lgE38BSvcTVPdMWxoUtq7Q.png)テラワーク **主体的な探索と議論により、皆でアウトプットを育てていく** ものです。アウトプットこそがオリジナルとなります。各自の頭の中には価値がありません。アウトプットしなければなりません。 ### メリット 成果、パフォーマンス、満足感を底上げできることです。 * 搾取や政治にとらわれずに仕事できます * 全員の主体性を生かせる分、多くのヒントが出ます * 仕事のやり方や考え方を改善する視座に立てます ### 使い分け方 テラワークだけであらゆる仕事をまかなえるわけではないことに注意してください。典型的な使い分け方は、以下のとおりです。 * **1: まずテラワークにて探索を行う** * **2: 「見えてきたら」クライアントワークやプロジェクトワークに切り替える** 2: が機能するのは「見えてきた」後だけです。その前段階では邪魔でしかありません。 なのに、ビジネスだからとか、組織だからとか、お金が動くからとかいった理由で縛ろうとします。これは単に無知なだけです。あるいは呪いや宗教と言えるレベルでとらわれています。 だからこそ、そうではないのだと知っていただくために、探索のメンタルモデルを持った、新しい概念が必要でした。それがテラワークです。テラ(Terra)は陸地・大地といった意味であり、広大な場所を探索していくニュアンスを込めています。 ### これから来る潮流 テラワークは現在使われているものではなく、これから来る(来るべき)潮流です。 プロジェクトワーク以前の価値観から見ると、まるで意味不明でしょう。成立するわけがないとも思えるでしょう――この固定観念を壊さねばなりません。 見えてくるまでは、見えないなりの最適解(探索)があるのです。また、見えてきた後であっても、部分的に見えていない部分があるかもしれません。そもそも、見えてない部分を見えるまで探索する人と、見えた後の仕事を上手くやる人とに分業した方が上手くいくでしょう――と、仕事はもっと上手くやれます。そのためには、探索のあり方が必要です。それがテラワークです。 当サイト『仕事術2.0』は、テラワークの啓蒙と普及を支援します。当サイトでは様々な仕事術(仕事のやり方と考え方)を紹介しており、テラワークに必要なものも多数紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 次節でも少し紹介します。 ### テラワーク・プリンシプル テラワークの原則となるであろう事柄を整理します。 『Record Based Origin』 [オープンな情報共有](https://note.com/workhack20/n/ncffb914a99e4)エリアを用意して、そこにアウトプットしたものを(成果物や情報の)原本とします。 『Exploratory(探索)』 予定やスケジュールといった従来の管理を撤廃し、各自が主体的に好き勝手に仕事をします。これを探索と呼びます。 テラワークでは、働き方のメンタルモデルを探索に切り替えねばなりません。 『主体性と自律性』 探索のあり方で秩序と整合をもたせるには、各自に期待するしかありません。各自が自らできることをこなしていく主体性と、そもそも誰に管理されるまでもなくアウトプットを読み書きする自律性が両方必要です。 この二つを身につけるには様々な仕事術が必要です。 読み書きを行えるほどの十分な余裕: 主体性を発揮するのに必要な「自分の軸」を知るには、深い思考が必要なのですが、その手段として内省が使えます: 正解も事例も無い状況はよくあり、このような場面では情報を集めて広げてまとめてから意思決定するしかありません。実は発想法が使えます: # Title: 出す段階 → 残す段階 → 届ける段階 → 任せる段階 情報のやりとりのパラダイムは 4 つあると思います。 ## 1: 出す段階(Talk) その場で喋ったり見せたりします。 例: * 会話、対話、その他打ち合わせ全般 * イベント全般 その場にいない人には情報が行き渡らないため、 **情報格差** が生じます。また、重要な情報を握っている人のリソース(時間)を取り合うことになるため、 **政治** も生じます。 ## 2: 残す段階(Write) 情報を書いて伝えます。あるいは書いて残したものの在処を教える形で見てもらいます。 例: * メール * チャット、ウィキ、その他[QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339) * SNS * 分報 「出す段階」の情報格差と政治はある程度解消できますが、まだまだなくすには至りません。 **残した情報を探せる、見てもらえるとは限らない** からです。 結局のところ、情報を扱う私が人間であり、リソースも有限のため、 **どの情報を見てもらうかという意味での政治が引き続き発生** します。 この段階はすでにできている組織が多いと思われれるかもしれませんが、違います。この段階ができているなら、以下くらいは満たさないといけません。 * 新人がひとりで仕事を完結できる * 一週間一度も会議せずに仕事ができる(ミュートウィーク) これは思っているよりもずっと難しいことです。仕事のやり方や考え方を刷新しないといけないレベルです。 当サイトとしても危機感を抱いており、[情報共有に関する仕事術](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%85%B1%E6%9C%89&context=note&mode=search)を多数紹介しています。 ## 3: 届ける段階(Tidy) 「残せる段階」の壁を越えるには組織パラダイムに手を入れねばなりません。 まず **ネットワーク構造** が必要です。 書籍としては『[なめらかな社会とその敵](https://www.amazon.co.jp/dp/B0BCVBZMNP/)』がわかりやすいと思いますが、現状最も多様かつ複雑な伝達・伝搬を可能とする構造はネットワークです。 ネットワーク構造自体は割とどこにでも登場する「世の本質」ですが、これを仕組みとして飼いならすことに、ようやく技術と方法が追いつきつつあります。Web3 による試みや一部実用化されています。 そうでなくとも、インターネットやSNSのパワーは、現代では多くの人が体感しているはずです。 次に **フラットセル(フラットな小集団)** が必要です。 共通の目的意識を持ち、活動に必要なリソースと裁量も持ち、かつ集団内で補い合えるような、そんな小さな集団です。 個人の力では限界があるため、チームを組むわけです。これも前時代的な階層的なあり方ではなく、皆がフラットで、それぞれ役割を分担します。また、集団への所属や背負う役割は動的です。 フラットセルは当サイトの用語ですが、この概念は **ティール組織** として知られています。 要するに、フラットセルにより小さな高密度のネットワークを形成し、かつ全体としては大きなネットワークに組み込まれているようなあり方になります。 このようなあり方を実現できると、ネットワークの力により必要な情報は全部届きます。必要なときに、必要な情報を問い合わせて得ることができるのです。もちろん各々も他者や他のセルからの要請には応えます。 この段階にも問題はあります。以下のとおりです。 * 全員に高い[主体性と自律性](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E4%B8%BB%E4%BD%93%E6%80%A7%E3%81%A8%E8%87%AA%E5%BE%8B%E6%80%A7&context=note&mode=search)が要求されること * たとえば管理的なあり方に慣れている人(管理されないと動けない人や管理しかできない人)は使い物になりません * むしろ **ネットワーク内の伝搬を妨げる癌ですらあります** * 傾向の偏りやバイアスが依然として存在すること * 極端な話、ある偏った思想に染まった人のみで構成した組織でティールをつくっても、偏った思想は消えません * むしろ強化されて暴走する可能性すらあります ## 4: 任せる段階(Trust) 「届ける段階」は、優秀な個人およびフラットセルをネットワーク構造でつなぐことで、情報をオンデマンドに届けるものでした。 しかしネットワークを構成する接点(ノード)が人間であり、人間ゆえの限界が存在していました。これを突破する鍵は生成AIにあります。 **任せる段階** とは、人間がAIに任せる段階です。 構造としては、ネットワークを構成する接点として「人」だけでなく「AI」も加わるだけです。 以降では「AIに任せる」とはどういうことかを解説します。 おそらく、私たちが行うのは以下になるでしょう。 * AIに自分の情報を渡します * 生成AIは「[与えられた文章の続きを出す](https://note.com/workhack20/n/n7618ac2e3a01)」ものですが、その仕組は膨大な情報に基づく統計処理です * 機能させるには情報を渡さねばなりません * また指示も必要です * ChatGPTでもプロンプトを投げますよね * AIから情報を受け取ります あなただけのAIパートナーがいて、それと付き合うことを考えてください。それもパートナーは一人であるとは限りません。何人でも、それこそ必要なら何百人や何千人も可能です。 また、コミュニケーションのあり方が 4 つに増えます。以下のとおり、AIという選択肢ができます。 * 1: 自分(人)と相手(人) * **2: 自分(AI)と相手(人)** * **3: 自分(人)と相手(AI)** * **4: 自分(AI)と相手(AI)** ですので、自分が寝ている間に自分のAIに対応してもらったり、何ならAI同士でコミュニケーションを取って進めてもらうことすら可能になります。 特にAIはプログラムであり、人間の処理能力などはるかに超えた処理が可能です。2024年現在では、まだ「細めに人間がチェックしなければ使い物にならない程度の品質」しか出せませんが、これもクリアされていくでしょう。 ※その前に資源の独占といった政治的問題が発生して、一般市民がAIを使えなくなるかもしれませんが……。生成AIはマシンパワーで動かすものなので、どれだけマシンを持てるかの世界でもなり、資本主義の様相を呈しています。 # Title: 仕事術2.0のAIをつくりました 当サイトの内容に基づいて答えてくれるAIチャットです。 ## リリース * 更新履歴 * 2025/02/16 「2025/02/15時点のデータ」を追加 * 2024/12/15 「2024/12/14時点のデータ」を追加 * 2024/11/29 「2024/11/28時点のデータ」を追加 以降からは細かい解説をします。 ## 概要 当サイト『仕事術2.0』の内容を学習した ChatGPT です。 チャットベースで色んな回答を引き出せるため、学習や壁打ちとして便利かもしれません。 以下にいくつか例を示します。 ![](/assets/n369a6a541be2_1728680649-FXpovilPSzUMCJtHIG8caYfQ.png)当サイトにおける定義(やり方と考え方)を返している![](/assets/n369a6a541be2_1728680678-OrKwJD4m08tFyf7jv21LidIG.png)当サイトで紹介した手法を提示している![](/assets/n369a6a541be2_1728680756-8ElrX3yeIQA0uZNmkq4wix1D.png)わかりやすい説明で噛み砕いてくれたりもする ## 使い方 * 1: 上記リリースよりアクセスしてください * **ChatGPTへのログインが必要です** * 2: チャットに質問したいことを書いてください ## Q&A ### Q: 仕事術2.0の内容で答えていない感じなのですが…… Ans: 「知識から答えて」「仕事術2.0から答えて」など明示的に指示を与えてみてください。 仕事術2.0の内容から答えている場合、以下のように知識から検索している旨が出ると思います。 ![](/assets/n369a6a541be2_1734212611-fokM0xBuzGWS8Ymg2ZXwJ9iR.png)知識から引いている。 ※このチャットボットは、当サイトの記事データを「知識」としてアップロードする形で実装しています。「知識」が使われないときがあるようなので、使われてないなら明示的に指示します。 ### Q: 実際の記事を見たい Ans: 当サイトから探してください。 ### Q: 意見や感想を書き込みたい Ans: 本記事のコメント欄を開放していますので、どうぞ。 ※noteアカウントが必要です。 # Title: 視界を狭める「ナロイング」で、気が散るのを防ぐ 私たちは情報を俯瞰しがちですが、そうやってたくさんの情報を目に入れることで **気が散ります** 。注意を奪われ、頭の中がぐるぐるし、「ああくそ気になる」「えっとどうしようどれからしよう」などと悩むことになります。 これを軽減するには、目に入る情報量を意図的に狭くするのが良いです。 **ナロイング** と呼びます。 ## ナロイングとは **ナロイング(Narrowing)** とは、気が散るのを防ぐために、目に入る情報量を意図的に狭くすることです。 ## 例 以下は Next Meeting というアプリで、 カレンダーで全部俯瞰するのではなく **次の予定だけを表示** するものです。 ![](/assets/n91abbfc23eb3_1728686903-UvcomsrtQyOMwqie4F0SjJDT.png)メニューバーに表示するだけ 当サイトでも紹介した「デイリータスクリスト」は、「今日の」タスクリストをつくって、 **今日はそれだけを見ることで今日の仕事に集中します** 。 また、デイリータスクは「今日のタスク全部」を扱うものであって、まだ視界が広くて気が散りやすいので、さらに狭めることもできます。 ## ナロイングを取り入れたいなら「リマインダー」を整備せよ ナロイングは、考え方としてはわかりやすいと思います。 しかし多くの人は適用できません。なぜかというと、「狭めた **視界の外にある予定とかタスクとか情報を逃しちゃったらどうするんだ** 」との不安があるからです。 ですので、 **逃すことはないという点を保障する** 必要があります。 具体的には、こまめに仕込むなり、自動的に教えてくれる仕組みをつくるなりします。 このような仕込みや仕組みがあれば、「今見えてなくてもあとで見える」「知らせてくれる」とわかっているので、安心して今の狭い視界に専念できます。逆に、 **このようなものがない人は、こまめにチェックして自分の頭で気に掛けるしかありません。** 必然的に視界も広くして、たくさんの情報を俯瞰する羽目になります。そして気が散るのです。 ナロイングを行うなら、このような仕込みや仕組みが必要です。 上記の例でも担保されています。 Next Meeting では「次の予定を一つずつ出す」ので、あなたがメニューバーを見逃しさえしなければすべての予定を漏れなく視認できるはずです。 また、デイリータスクリストは、毎日その日の始めに「前日のリスト」を振り返るので、前日先送りにしたタスクも逃さずとらえられます。 このような仕込みや仕組みは、一般化すると **リマインダー** です。 リマインダーというと、スマホアプリにあるものやアラームを思い浮かべますが、そうではない(それだけではない)、もっと汎用的なものです。以下記事にて解説しています。 ## (関連記事) スタッキューという新しいデータ構造を考えました。タスクを溜めるのに便利です。 # Title: 「スタッキュー」 タスクを溜めるための新たな選択肢 タスクは主にリストの形で書きますが、この「リスト」のようなものをデータ構造といいます。 **スタッキュー(Staqueue)** は、リストとは別のデータ構造であり、リストのように「全部見えているせいで気が散る」問題を軽減する力を持ちます。 ## スタッキューとは **スタッキュー(Staqueue)** とは、タスクを溜めたり取り出したりするためのデータ構造の一つで、以下の特徴があります。 * 一つずつタスクを入れることができる * **中身は見えない** が、何個入っているかはわかる * 取り出すときは「前」あるいは「後」から取り出せる つまり、中身の見えない容器にタスクを入れておいて、一つずつ取り出して処理していくようなものです。 ## スタッキューのメリット ナロイング(視界を狭めることで気が散るのを防ぐ)ができることです。 ## 余談: スタッキューの名前の由来 二つのデータ構造から取ってきています。 スタックとキューです。 スタックは、一つずつ積むような構造で、上から取り出します。後に置いたものが先に取り出されます。 キューは、待ち列と同じ構造で、一つずつ入れますが、先に入れたものから取り出します。 IT用語ではありますが、以下記事でも解説しています。 スタッキューは、スタックの取り出し方(上から取り出す)だと融通がやや利かないので、底からも取り出す機能を追加したものです。底から、というのは、キューで言えば前から取り出すのと同じものであり、要はキューの取り出し方を追加したと言えます。 スタック + キュー、というわけでスタッキューと名付けました。 ## スタッキューを実現する ### デジタルの場合 既存のツールは無いと思いますが、プログラムを書ける方であれば自力でつくれるでしょう。 以下はイメージです。 ![](/assets/n733cf1035c84_picture_pc_8c26301077e0f0cc35f1f406af1e523c.gif)見えない容器にタスクを入れ、それを前 or 後から一つずつ取り出している。 ### アナログの場合 1タスク1付箋で書いて、その中身を隠すようにして積んでいく― という感じの運用をつくったら良いでしょう。以下に例を示します。 まずタスクは1タスク1付箋で書きます。 ![](/assets/n733cf1035c84_1728691333-xnqoFPMwtfGUVSc0C5JTjEi3.png)1タスク 1付箋 スタッキューは中身が見えない構造なので、以下のように隠すなどして実現します。 ![](/assets/n733cf1035c84_1728691346-nRB0ZI1jDtmJA9khvFMze36w.png)この例では、新しいタスクは下に入れます。次入れるのは矢印の部分ですね。 ナロイング(視界を狭める)の恩恵があります。 **中身が見えないので気が散りません** 。 タスクを消化したいときは、一つずつ取り出しましょう。 このとき、下(入れる側)から取り出すのか、上から取り出すのかを選ぶことができます。 ![](/assets/n733cf1035c84_1728691539-R2y9YuWUMkHNQdVcEvBrg6Sa.png)下 or 上から取り出す。真ん中からは取り出さない。 スタックの場合、下から取り出すだけでしたが、スタッキューでは上からも取り出せるので、 **気分に応じて融通を利かせられます** 。 また、 **上から or 下からの二択** なので、「どこから取り出そうかなぁ」などといたずらに悩むこともありません。 この点がスタッキューの強いところです。一択ほど融通が利かないわけではないが、選択肢が多すぎて悩ませることもない、という絶妙なバランスを確保しています。 しかしながら、アナログでスタッキューを行う場合は、自分自身で運用しないといけませんから、慣れるまで手間でしょう。 そういう意味では、デジタルでアプリとして提供した方が使いやすいと思います。 アナログでやるなら、以下のように工夫すればまだマシでしょう。 ![](/assets/n733cf1035c84_1728691802-hQ3Brg8pUIK0D7fSCJWVjXLG.png)赤線で視覚的に「取り出していい部分」を記した。 # Title: 分報とは「あなた専用の公開つぶやきチャンネル」 分報(ふんほう)について、わかりやすく解説します。 ## 分報とは **分報(ふんほう)** とは、月報 → 週報 → 日報 → 分報というイメージで、日報よりもタイムリーに状況を報告する手段です。 以下のニュアンスがあります。 * Slackなどの **ビジネスチャット上で、1人1チャンネルをつくって** 自由につぶやく * 仕事に関する困りごとから雑談的なつぶやきまで、 **カジュアルに運用される** * 他メンバーの分報は **自由に見に行ったり、リアクションしたり、コメントしたりしてもよい** ## 分報のメリット * 日報や定例会議が要らなくなる、少なくとも減らせる * 各自分報を読んでいて、状況がわかっているからです * また随時分報チャンネル上で質疑応答などができる(している)からです * カジュアルなコミュニケーションがしやすい ## 分報のデメリット * 形骸化しやすい * 日報や定例会議の代替としてしっかりと運用してください * でないと **「物好きな人だけが続けている」という中途半端な状態** になります * マネージャーの負荷が高い * メンバー全員を気にするマネージャーは、メンバー全員の分報を読むことになり負荷が高いです * 特に「会議の場で顔や声色を見ながら聞き出すタイプ」の人は、全く違うやり方になるので慣れにくいと思います * つぶやくことに否定的なメンバーが乗ってこない * 必要以上に状況を見せたくない人や、いちいちつぶやくのが面倒という人は一定数います * **この人達を分報に導くことは不可能** です * or 表面的に最低限従うだけであり、形骸化します(結局打ち合わせでカバーする羽目になる) ## 分報を運用する ### 1: ビジネスチャットを用意する まずはビジネスチャットを使っていることが前提です。 可能ならSlackが良いでしょう。Teamsでも可能です。 ### 2: 1人1チャンネルをつくって、つぶやく あとは1人1チャンネルをつくって、つぶやいていくだけです。始めるだけなら5分で始められます。 チャンネルを見れる人は事前に設計しましょう。たとえばチーム内で運用するなら、各人の分報チャンネルには「チームメンバー全員」のみが含まれるはずです。 また、チームメンバーであっても、全員が全員の分報を見る必要がないなら、他メンバーの分報チャンネルへの **出入りは自由** にするのが良いでしょう。見たいときだけ入って、いったん用が済んだら出る、といったことが気軽に行えるようになると便利です。 チャンネル名は「times-xxxx」のように「times」をつけて区別できるようにすることが多いです。「分報-xxxx」でも構いません。 **チャンネル一覧からわかりやすく見えるような名前で統一** してください。 分報チャンネルは、可能なら一人一つが望ましいです。 プロジェクトや所属の都合で複数作りたい場合は、それでも構いませんが、X(Twitter)で複数アカウントを使い分けるかのような、器用な立ち回りが生じて正直面倒くさいです。よほど物好きでないと形骸化すると思います。 ## 細かい話 ### 読み方は? Ans: 「ふんほう」です。 ### 英語名は? Ans: timesです。 ### 誰の提唱? Ans: suinさんという人です。 Qiita というIT技術者向けブログサービスで有名な人だと思います。 ## (関連記事) 分報を継続させるのは意外と難しく、コツを要します。 分報に立ちはだかる強敵が「見に行くのだるい」問題です。 分報をさらに進化させた「秒報」を提唱しています。 # Title: 分報を続かせるコツ チームや組織で分報を続けるのは意外と難しいです。続かせるためにはそれなりのコツが要りますので、解説します。 なお、分報の概要は以下記事を参照してください。 ## \---- 基本スタンス ## 代替するつもりで望む 日報や(朝会含む)定例会議といった、従来の報連相方法に加えて分報もやるのは純粋に高負荷です。 分報をやるからには、 **それら従来のやり方を置き換えるつもりで、ちゃんと望んでください** 。 でないと、ただ物好きの人が続けるだけの活動になってしまいます。 ## 入退室は自由とし、実際出入りする マネージャーなどメンバー全員を見る役割でもなければ、全員の分報チャンネルに常に入室している必要はありません。何ならマネージャーであっても同様です。 **必要に応じて抜けたり、また入ったりしても良いです。** この感覚は意外とわかりづらいので、誰かが率先して出入りしてみることで示すと良いでしょう。 別の言い方をすると、分報はバッチ処理でも運用できます。 すでにメールやチャットを「特定タイミングでのみチェックする」人はいると思いますが、これは分報にも当てはめられるのです。つまり、分報を見るときだけ、そのチャンネルに入室し、用が済んだらすぐ出るのです。 こうすれば、常に入っているときとは違って気が散りにくくなります。 もし高頻度なやりとりが必要なのだとしたら、それは相応のチャンネルか別の手段を使いましょう。 とはいえ、入退室をするとログが出てしまうので、入退室頻度が多いとうっとうしいです。「そういうもの」と割り切るのか、それとも「うざいのであまり高頻度な入退室はやめるように」に倒すのか、は組織内で統一した方が良いでしょう。 ## \---- 通知 ## メンションを使わない 通知はうっとうしいので、分報チャンネル内でメンションを飛ばすのはやめましょう。 メンションが必要なやり取りは、別途ふさわしいチャンネルでやります。 ## 分報に関する通知は切る 分報に振り回されてしまっては元も子もありません。 分報チャンネルに関する通知は各自なるべく切ってください。その上で、必要に応じて覗きに行くようにしてください。 このような自律的な覗き方ができない人は、タスク管理を学びましょう。当サイトでも紹介しています。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86&context=note&mode=search) ## 分報を動線にする 自分の分報チャンネルを **動線** (それなりの頻度で確認する場所)の一つにしてください。 動線化ができていると、通知がなくとも、誰かが書き込んでいればそのうち目にするので対応できます。 ## \---- 扱う情報・扱わない情報 ## スレッドを使わない 分報チャンネルではスレッドは使わないようにします。 スレッドは「込み入った議論や意思決定」の兆候です。不吉な臭いです。そういう話題は、別途ふさわしいチャンネルで行ってください。あるいは、分報上で行っても良いですが、必ずその結果をそちらにも書くか、会議の場で正式に共有してください。 特に忙しい人や、無頓着な人はここを端折りがちなので、「こっちにも書いて」と口うるさく言っても良いくらいです。このような役割やアクションを **共有警察** と呼びます。 ## 議論と意思決定は別のチャンネルでやる 上記「スレッドを使わない」と重複しますが、仕事上の議論や意思決定は相応のチャンネルでやりましょう。 あるいは、分報でやってもいいですが、そこで留めないようにしてください。 **分報は喫煙室(給湯室やカフェでもいいですが)のようなものです** 。当人達で気軽に決めるには便利ですが、それ以外の人達はついていけません。あとで訊かれたときに「いや、喫煙室で話して決めたんだよね」と言っても、納得はされづらいと思います。 喫煙室で終わらせることの是非は本記事では問いませんが、分報内で終わらせることはこれと同等であると認識してください。 ## 他のメンバーの投稿に言及する 「誰々さんのこれこれの投稿が」といったような言及を行うと、メンバー達の注意を自然と誘導できます。 特にAさんの投稿にBさんが言及し、それを見たCさんやDさんが言及し――といった形で派生していくと、自然に盛り上がって良い感じです。 会議の場で言うものでもなく、スレッドで議論するものでもなく、 **各自が各自の分報で意見を並べているかのような、従来にはなかった塩梅のコミュニケーション** になります。従来意見を出しづらかった人の意見も出やすくなります。 ## すべての投稿を読んでもらうことを前提にする 分報だからといって、何でも垂れ流していい理由にはなりません。プライベートであれば自由にすればいいし、読む側も自由に読み飛ばせますが、違います。これは仕事なのです。 **各メンバー、少なくともマネージャーはあなたの分報の投稿をすべて読みます** 。 より一般化すると、 **少なくとも一人以上が、あなたの投稿をすべて読んでいるという前提で行動してください** 。 言い換えると、 **「投稿全部を読むのが苦にならないライン」を各自良く考えて調整してください** 。 具体的には、以下を控えましょう。 * 大量の投稿 * 自分にしか興味のないような雑談、うんちく、自慢 * 長々と続く備忘録や作業メモ * ブクマ目的でもURLの列挙 * 空リプなど遠回しな言い回し * 愚痴やネガティブなポエム とはいえ、許容可能なラインは組織次第、人次第ですので、このあたりは各自模索してください。 また、このラインを探る人が苦手な人もいます。そういう人には遠慮なく指摘してください。 この問題を軽くみないでください。 「あの人の分報は読む疲れるからスルーしよう……」などとスルーの事例が出ると、割れ窓理論的にサボりが広がって、 **分報自体が形骸化しかねません** 。 分報は一見すると手軽なイメージを抱きますが、続けるのは結構大変です。こまめに投稿して、かつ皆のもそれなり読まないといけないわけですから。これを好き好んでやる人の方が少ないです。 だからこそ、仕事の一部としてしっかりとメンテナンスしていくことが必要です。 ## # Title: 分報を見に行くのだるい問題を何とかする SlackやTeamsをそのまま使っただけの分報では、見に行くのがだるいという問題があります。チャンネル数や投稿量が多くなってくると、物理的に追いきれなくなります。 この問題を何とかするためには、追加の仕組みをつくりこむなり専用製品を使うなりする必要があります。 参考までに本記事で使っている(各案の)イメージ図の俯瞰を置いておきます。 ![](/assets/n31b4c3a5d759_1728712797-1FU4k2iypOVoNxmWXqgl0G6w.png)本記事でご紹介する各案のイメージ図、その俯瞰。 ## 1: 購読型にする ### 概要 X(Twitter)の同じように、社員(の分報)を購読し、表示は自分のタイムライン上で時系列に行います。 ![](/assets/n31b4c3a5d759_1728709416-kbIBmEp1LKuF462YtfPsAV9S.png)購読したものを、自分のタイムライン上で表示。 ### メリデメ * ⭕メリット * SNS的な概念であり、わかりやすい * ❌デメリット * 実現する際のつくりこみや運用が大変 ### 事例 ありません。 ### 実現する ビジネスチャットの延長でやりたいので、APIを用いて購読の仕組みをつくる必要があります。 ここで「社内SNSサービスを使った方がいいのか」「社内X(Twitter)を実現した方がいいのではないか」などと思いがちですが、目的が違います。 **分報とSNSは違います** 。 使い慣れたビジネスチャットで分報をしているのであり、これの見に行くのだるい問題を解消したいのですから、 **同様にビジネスチャット上でシームレスにやるべきです** 。 具体的な実現方法としては、以下が必要です。 * 1: 各自が購読した情報を保存する仕組み * 2: 購読した分報チャンネルの投稿を時系列で流す仕組み * 3: 1+2を用いてタイムラインを実現する、各人のチャンネル * times-xxxx チャンネルに対して timeline-xxxx チャンネル等 Bot どころではない、本格的な仕組みになります。 ## 2: 俯瞰型にする ### 概要 複数人の分報チャンネルの「最新の投稿」をまとめて表示します。 ![](/assets/n31b4c3a5d759_1728710191-xZquUOGESj6W5JpPfsBLAhDQ.png)最新の投稿を一箇所に集める仕組みと、そのビューをつくる。 ### メリデメ * ⭕ * プレゼンス(存在感)を知ることができます * 皆が何をしているのかという空気感がわかります * 皆が動いていること、存在していることがわかります * ❌ * 各人の投稿は結局見に行かねばなりません * シームレスを満たせません 一見すると、本記事の目的(見に行くのだるいのを軽減する)とは無関係に思えますが、そうでもありません。 プレゼンスを感じることで「見に行ってみようか」という気になります。 **見に行く腰を上げる効果がある** という意味で、目的には叶っています。 ### 事例 サイボウズの製品 kintone で実現できるようです。 ![](/assets/n31b4c3a5d759_1728710470-MWSpDQlyasHdJijnEVw54rqP.png)出典: ### 実現する 同上、kintone は一つの選択肢です。 お使いのビジネスチャット上で行う場合は、1: の購読型と同様、APIを用いて情報取得を行う形となります。ただし、専用のビューを一つつくるだけでいいので、購読型よりは手間はかからないでしょう。 しかしながら、チャット上でこのような俯瞰画面をつくることはできないので、別のページなりアプリなりに飛ぶことは避けられません(シームレスを満たせません)。 ## 3: 共同分報にする ### 概要 同時編集可能なページをつくり、そこに皆が集まって、各自のエリアを設けて分報を書きます。 ページは「2024/10/11ページ」「2024/10/12ページ」など日ごとに変えます。 分報というとわかりづらいですが、要は共同日記です。 ![](/assets/n31b4c3a5d759_1728710700-RPUTwEdNl4Iom06K3jSQbWcV.png)一つページをつくって、皆で集まって、自分のエリアをつくってそこに書く。 ### メリデメ * ⭕ * 全員が同じ画面を見るので、コミュニケーションが活発になる * ❌ * ビジネスチャットから離れてしまう * 共同分報を実現するツールが限られており、その導入と啓蒙が必要 ### 事例 CosenseというWikiサービスがあります。 これのコミュニティの一つである「井戸端」にて、(仕事として書く分報ではないですが)共同日記が使われています。 ### 実現する 同時編集可能なWikiやノートツールであれば可能です。 最もおすすめなのはCosenseです。Cosenseは複数人編集によるコラボレーションを重視したWikiで、現時点で、この手のツールでは頭一つ飛び抜けていると思います。 しかし、このCosenseであっても(操作の自由度が高すぎて)メンバーの主体性が求められるため、啓蒙には苦戦するでしょう。 共同分報(あるいは一般化して共同日記)に特化した新しい製品があれば、たぶん流行ると思います。 ## 4: Draft and Submitにする ### 概要 X(Twitter)でいう鍵アカウントのような「自分だけのエリア」にまずは投稿し、それらを必要に応じて「公開用のエリア」に放り込むというものです。 ![](/assets/n31b4c3a5d759_1728711250-CkI1Px3KfwRFdWlg7aGeHMuq.png)手元で下書きする。下書きしたものを適宜公開側に投げる。 まずは自分用の下書きなので書きやすいです。 次に、必要なものを必要なところに投げるというモデルであり、複数箇所に投げることもできるので、共有もしやすいです。 最後に、読み手として公開エリアが話題ごとに分かれているので、必要な情報をキャッチアップしやすいです。 ### メリデメ * ⭕ * 下書きフェーズを差し込んだことで、投稿される情報量が増える * ※マジョリティは情報共有に慣れておらず、そのハードルを大きく下げる概念の一つが「下書き」だと(当サイトでは)見ています * 話題ごとに分かれているため、必要な情報をキャッチアップしやすい * ❌ * 既存サービスがないため、一から作り込む必要がある * 公開用エリア(話題)をどうつくるか、見せるかが難しい ### 事例 ありません。 ### 実現する 全く新しい概念であるため、(自製の手間はもちろん、そもそもどうつくるかという設計のレベルでも)かんたんには行かないでしょう。 一案を書きます。 * 下書き部分は、X(Twitter)のようなUIが良いでしょう * 単一投稿画面 + タイムライン表示 * **マジョリティはこれ以上複雑な情報共有UIを使えないからです** * [QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339)のうち、WikiやIssuesが中々流行らないのもそのた目だと見ています * 公開用エリアについては、ビューについてはCosenseのUIが参考になるでしょう * Date modifiedといって、更新順でソートしています * またカード型で2次元領域に表示し、画像のサムネイルも表示するため、視覚的に情報量が多くて俯瞰しやすいです * 公開用エリアは Read Only が良いでしょう * Write も可能にしてしまうと収拾がつきません * ※公開用エリアを見た上で、その後の議論をどこでどうやるかはまだ見えていません…… # Title: noteへの要望: バックリンク(Backlinks)をサポートしてほしい ## 要望 バックリンクをサポートしてほしいです。 同じ作者が書いた記事A,B,Cが記事Dにリンクしている場合、記事Dに「A,B,Cからリンクされています」のような情報を表示したいです。 ![](/assets/ndc2aefb11132_1728778004-2Kap1RgNwZyMVS70DGBl4vYU.png)記事Dから(自身にリンクしている)A,B,Cを辿りたい。 これを **バックリンク** と呼びます。 CosenseやObsidianなど、現代的なノートツールが備えている機能です。 ## バックリンクをサポートするメリット note運営の利益の足しになります。 * 読者の滞在時間が長くなります * バックリンクを通じて他の記事を読むので、その分滞在時間が長くなります * クリエイターからお金を取れます * たとえばバックリンク機能を「noteプレミアム限定」にすれば、バックリンク欲しさにプレミアムを契約する人が増えます # Title: OneNoteでトピックノート Microsoft OneNote でトピック管理を行う方法を一つ紹介します。 トピック管理については以下記事を見てください。 ## トピックノートとは **トピックノート** とは、1つの話題を1つのノート(ページ)で議論する手法です。 ![](/assets/n95627933dc97_1728787545-edbm6rkENG8gXvlVMR0yJnoQ.png)「昼食の外食の選択肢を洗い出したい」という話題と、そのノート。 トピック管理自体は色々なやり方があるのですが、トピックノートはシンプルなやり方に倒したもので、とにかく1つのトピック(話題)ごとに1つのノートをつくって、そこで議論せよ、とします。 つまり、議論したいことがあれば、 * 1: ノートを一つつくる * 2: そこに書き込む という形になります。 **必ず先にノートをつくります** 。 ## メリデメ メリット⭕ * 時系列的なチャットの限界を越えた議論ができます * 中長期的に続けられます * 各自が非同期的に行えます * 数十個以上など多数の話題を扱えます * Microsoft 365 上で行えるので、比較的導入しやすいです デメリット❌ * OneNote の操作のクセに慣れる必要があります * チャットとは全く異なるやり方であり、慣れるのに時間がかかる人もいます ## 始める ### 1: ノートブックをつくる ノートブックをつくって、関係者を招待してください。 あるいは関係者が集まった Teams チームや OneDrive フォルダなどをつくり、そこでノートブックをつくります。 ### 2: セクションをつくる 使うセクションは常に一つです。適当な名前で固定してください。開始日などで良いでしょう。 ![](/assets/n95627933dc97_1728788026-FmunSqrB5wpHMz4WZf6DLA12.png)ここでは「20241013~」というセクションをつくっている ### 3: ページを整える まずはAboutページをつくりましょう。 メンバー向けの解説を書く欄です。最低でも **各メンバーが使う絵文字** を決めて一覧化しておきます。 ![](/assets/n95627933dc97_1728788093-9Np8YbojEMXdxVk75t32PiQg.png) 絵文字は非常に重要です。後述しますが、誰が何を書いたかわからないので、スタンプがわりにつけます。 残りは必要に応じてつくればよいです。Aboutだけでも構いません。 ### 4: ページをつくっていく 誰でも自由にページをつくったり、中身に書き込んだりできます。 ## 上手くいくためのコツ ### ページは最新が上に来るようにつくる ページの作り方ですが、以下のように右クリック > 新しいページ からに追加した方が良いでしょう。こうすると新しいページが上部に表示されて便利です。 ![](/assets/n95627933dc97_1728788251-Xnfou4rEpPaUVhTLcztdB0Di.png)右クリックからページをつくる。 逆に、以下のボタンからだとページが最下部に追加されるので、ページが溜まると最下層にスクロールせねばならず面倒です。 ![](/assets/n95627933dc97_1728788315-zYLpoidWbPRhUEBVHKImeZqj.png)こっちから追加すると下に溜まるので面倒。 ただし、ソート順を「新しくつくった分」や「更新された分」が **上に** 来るようにするのであれば、上記の手間は要りません。 ![](/assets/n95627933dc97_1728788405-KvCz3UcESPeYRtW7GBrb4Duh.png)最近更新したページが上に来るようにすることもできる。 つまり、 **更新されたページが上に来るようにしたい** のです。 これをしないと、新しくつくったページや更新されたページが下の方に埋まってしまい議論しづらくなります。更新されたページは盛り上がっているページですから、あげたいわけです。 これを実現できるならやり方は問いません。 ### 1つのテキストボックスで運用する OneNote ではページ内にテキストボックスを複数配置できます。 よって、以下のように各自が空間に配置することもできるのですが、 ![](/assets/n95627933dc97_1728788604-TJQpLC3ni2NIeRsgUvbGrY9B.png)テキストボックスを平面上に配置 これはノイジーです。感性の違いでほぼ必ず衝突するか、誰かが静かにストレスを溜めることになります。 代わりに、 **以下のように1テキストボックス内で書きます** 。絵文字をわざわざ使っているのもそのためです。 ![](/assets/n95627933dc97_1728788692-QknOc2gibUEBzRe1sumK6q4W.png)1つのテキストボックス内に皆が書いている ### 表明には絵文字を使う 誰が書いたかを示したものを **表明** と呼びます。 原始的には (佐藤) のように言葉で書きますが、これは見辛いですし、書くのもだるいです。 そこで絵文字を使います。Aboutページの解説で述べたように、誰がどの絵文字を使うかを決めて、その絵文字を使って表明します。 たとえば鈴木さんが🐵、大原さんが🐶を使うとするなら、 * 🐵 * …… * …… 上記は鈴木さんの発言だとわかりますし、 * 🐵 * …… * …… * 🐶…… * …… 上記は、2行目の部分に対して大原さんがツッコミを入れたことがわかります。 ### 箇条書きを使う ここまでで散々ちらついていますが、なるべく箇条書きを使った方が議論しやすいです。 行単位でコメントを差し込みやすいですし、階層的にぶら下げることもできるので構造化もしやすいからです。 慣れるまで大変かもしれませんが、これが使えるかどうかで議論の質が全く変わります。 **特に込み入った議論を行う場合、箇条書きが使えるかどうか(と後述する別ページ逃がし)が成否を分けます** 。別の言い方をすると、これを使えない人は、かんたんな議論しかできません。 ただの文章や長文だけだと、せいぜいレスバにしかなりません。SNSがまさにそうなっています。ちゃんと議論したいなら、箇条書きで、情報を、構造的に書いてください。誤解を恐れずに言えば、 **議論とは構造的な情報を共同でつくる** ことです。構造的な書き方をした方が捗るのです。 とはいえ、無理に使うものでもなく、かんたんな議論(皆の意見集めた上で多数決取ったり意思決定者が決めればいいくらいのもの)であれば、箇条書きは要らないでしょう。 ケースバイケースで上手く使い分けてください。 ただし、箇条書きが使えないメンバーがいると足を引っ張りますので、必要なら使い方の教育をしましょう。 ### 終わったトピックにはその旨をつける たとえばページ名先頭に✅をつけると良いでしょう。 終わったトピックに用はないので、印をつけておけば(いちいち開かないので)余計な認知負荷を減らせます。 ![](/assets/n95627933dc97_1728789123-d34CmPxyMnaoVSE16geAhtOB.png)「Notionを使いたい」トピックは、もう終わった話なのだとわかる。 ここで「終わったら移動させればいいのでは」と思われるかもしれませんが、こういう整理の手間は面倒で続かないので避けてください。よほど整理が好きな人がいれば成立しますが、稀です。 **✅をつけておしまい、くらいの手間でないと、そもそもトピックノートは続かない** と思います。 ### セクションを引っ越す ある程度ページが貯まってきたら、セクションを引っ越しましょう。 ![](/assets/n95627933dc97_1728789183-7TLXbzhiukPEWjmJv9UsQqnB.png)「20241013~」側でページが溜まってきたので、お引越し。 また、メインのセクションがわかるようにする、というよりもう使っていないセクションにも✅をつけるなどして印をつけておくと、なおわかりやすいでしょう。 ![](/assets/n95627933dc97_1728789247-OFy0kc8PmTHDB9LCxnA7jUdt.png)終わったセクションに✅をつけている。 さて、引っ越しの目安ですが、まず100ページ(3桁)超えたら引っ越してください。ページが多いとスクロールが頻発してやりづらくなります。 **100ページでも多いくらい** です。50ページや30ページで引っ越しても違和感はありません。 ここで「月一で引っ越すのはどうか」など定期性を考える人がよく出ますが、避けた方が良いでしょう。引っ越しは面倒くさいので、定期的なイベントにしちゃうとだるいです。 目についたタイミングで「そろそろ引っ越ししません?」となって、一気にやっちゃった方が精神衛生ははるかに良いと思います。 引っ越しの際、まだ終わってない議論があれば引っ越し先に移動させても構いません。それで議論できたら良し、議論できずにさらに持ち越されたら、それはそれで「なんかずっと残ってるよなこのトピック……」と目につきます。 ずっと残ってるトピックは今後もタッチされないので、移動させずにそこで終わらせます。トピックノートでは、ただでさえトピックが多いので、 **タッチされないトピックがいつまでも残っていると邪魔です。** 潔く捨てて(引っ越しで連れて行くのをやめて)ください。 ### 関係ない話題は別のページに逃がす トピックノートの大原則ですが、あるトピックとは関係のない話題が出たら、別のトピックをつくってそっちでやるようにしてください。 ※移動でもコピーでも構いません。勝手に移すとモヤモヤのもとなので、基本的にはコピーが良いです。 冒頭でも「必ず先にノートをつくる」と書きましたが、1トピック1ノートは遵守してください。 **あるトピックに関する話は、そのページに書いてある、という状態(トピック指向)を保証したい** のです。 トピック管理も含め、トピック管理はこれができるかどうかにかかっています。 色んなトピックを行き来するという複雑で疲れる営みを過ごすには、トピック指向をもって認知資源を節約しなければならないのです。 一つ例を挙げると、以下については「マップをn個つくる」部分は逃がしたいですね。 ![](/assets/n95627933dc97_1728789885-7tQHA2s1KgY6cDOjvPMrnuex.png)別の話題があるので逃がしたい。 たとえば「つくったマップ」のリンク集があると良いと思います。 ![](/assets/n95627933dc97_1728790025-s8taRizyPGM0juxTXEJF9W4c.png)n個のマップをつくるという話から、リンク集をつくってみる。 細かい整理かもしれませんが、こういう配慮が効いてきます。 こういうのをサボって、トピック指向が乱れてくると、どこに何が書いてあるかがわからず読み書きの負担が増えてきて形骸化につながります。 # Title: 今週の記事 2024/10/06 今週は 28 記事書きました。 本サイト開始から 4 週が経ちました。 [←前 2024/09/29](https://note.com/workhack20/n/nab884a7014f7) [2024/10/13 次→](https://note.com/workhack20/n/n295de5700ac4) ## 会議 ## ボトルネック ## タスク管理改めトピック管理 ## 集中 ## 内省 ## 余裕(スラック) ## パラダイムシフト ### 次世代 ### チャット ### 正社員 ## ナロイング(視界を狭める) ## 分報 ## イノベーション・多様性 ## IT ### コマンド ### Windows ## (外部サービス) # Title: プレゼンススペース **プレゼンススペース(Presence Space)** とは、メンバー全員のプレゼンス(在席状況)表示に特化したワークスペースを指します。 ## メリット * メンバー全員の状況が、プレゼンスという形でリアルタイムに見える * その場でシームレスにアクションを行える * 例: 通話 ## 既存事例 ### Remotty 株式会社ソニックガーデンが提供しているバーチャルオフィスツールです。 ![](/assets/nefa624958359_1728811140-EsM4iUpnFHk3R9gPrweNoIBY.png) PCのカメラで撮影された画像が2分ごとに共有されます。 ### Discord チャットツールのプレゼンス機能は古くから存在していましたが、Discord は特にプレゼンスの俯瞰を意識していると思います。 もとがゲーム向けチャットなだけあって、リアルタイムなコミュニケーションにはかなり力点が置かれています。 ### Teracy 次世代のバーチャルオフィスを謳っています。 入室の手間を省く、ライブステータス(ステータスの自動反映)、ライブチャット(その場でテキストを表示)など、よりシームレスな体験を実現しています。 ## 情勢と相性 パンデミックによりリモートワークが普及し、 **時間と場所を常時拘束する必要性はもはやなくなりました** 。 ※デスクワーカーの話です。 技術の足りなさや政治的な理由、その他経済的な理由([一例](https://note.com/workhack20/n/n567c4080285c))を除けば、もはや「現代の水準」と言えます。 当サイト『仕事術2.0』では **VUCARD** と呼んでいます。 ところが、国内では、同座して顔を見てコミュニケーションする文化が比較的強いこともあって、不満を感じる人が少なくありません。つまり **文化的な理由により、VUCARDが犯されがち** です。 たとえば、ハイブリッドワークの名のもとに、出社への回帰する動きもよく見られます。 一方、上述した Remotty のように、リモートを維持しながらも不満を解消する例もあります。当サイトでも[1on1](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%201on1&context=note&mode=search)、[コミュニケーションの注入](https://note.com/workhack20/n/n777d7b43cec5)、また[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)という言語化も含めて多数扱っております。 **プレゼンススペースもその一つです** 。 ## プレセンススペースのあり方 プレゼンススペースは新しい概念であり、事例も少ないです。 他にどのようなあり方があるかを少し考えてみましょう。 ### 何をプレゼンスとするか チャットではオンライン・離席中といった「ステータス」を使っていました。Remotty では「PCカメラの撮影画像」を使っていました。 このようにプレゼンスとして使う情報を **プレゼンスキット** と呼びます。 他にも色々考えられます。たとえば: * PCのリソース使用量 * CPU, メモリ, ディスク, ネットワーク * PC上での活動がある程度可視化されます * マウスの移動量やキーボードのタイプ量 * これもPC上での活動を可視化するものです * グラフがあるわけでもなく、見せ方を考えねばなりません * バイタル * バイタルを可視化する軽量なウェアラブルデバイスがあるとして、この情報をプレゼンスにします * プライバシーの観点で挑戦的なキットですが、ある種の非言語を乗せることができます * ステータス * チャットのステータスをそのままキットとして使います * 事実上プレゼンスとしてはあまり使われていなかったステータスを、今度はしっかりと使うことができます ### ベールドも鍵になる 実際の在席状況をダイレクトに反映したプレゼンスを **オープン・プレゼンス(Open Presence)** と呼びます。 一方、上手くぼかしたものを **ベールド・プレゼンス(Veiled Presence)** と呼びます。 プレゼンススペースというと、オープン・プレゼンスをイメージしがちですが、これは監視的であり、かなりの信頼関係や事実上の拘束を要求します。汎用的ではありません。 オープン・プレゼンスでは上手くいかない場合でも、ベールド・プレゼンスであれば適応できる可能性があります。 ### 行えるアクション プレゼンススペースから行えるアクションにも検討の余地があります。これを **アクションキット** と呼びます。 アクションキットの例を以下に示します: * 個別の通話 * 既存事例でもすでにサポートしています * アナウンス * 全員にテキストや文書で知らせたいことをアナウンスします * 多用しすぎるとウザいので、見せ方は考える必要があります * 表示は控えめにして、各自見に行けるようにする等 * あるいは次に紹介する「アチーブメント」も * アチーブメント * 事前に定義しておいた「全員が行うタスク」をAさんが消化すると、Aさんが達成した旨が表示されるというものです * アナウンスほど押し付けがましくないやり方です * RCP(リアクションやコメントをください) * ちょっと全員から一言コメントやリアクション(投票含む)がほしいな、というときに発動します * 別途これを行うツールとの連携が必要です * ※ちなみにRCP = Reaction or Comment Please です ## おわりに プレゼンススペースという概念を取り上げました。 プレゼンスキットとアクションキットを上手く設計した、上手い感じのプレゼンススペースツールがあるといいですね。 # Title: 分報の進化系「秒報」 分報については以下記事を参照してください。 本記事では分報の進化系である **秒報** を紹介します。 ## 秒報とは **秒報** とは、 **自らの状況をリアルタイムに共有する** ことで、お互いにリアルタイムに状況を知れるようにする仕組みを指します。 分報では自分の分報チャンネルに投稿していましたが、秒報では投稿アクションはありません。 **公開範囲を指定するだけで自動的に常時共有されます** 。 ## メリデメ ### メリット⭕ * 投稿が苦手(言語化が苦手など)な人でも共有できる * リモートでありながら非言語コミュニケーションに頼れる 自動的な共有 + 非言語情報の共有により、分報以前よりも手間無く、かつはるかに情報量が乗ります。 ### デメリット❌ * 現状秒報を行うツールがなく、仕組みの自製が必要 * この新しい概念を理解してもらうための啓蒙が必要 * 特に[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)とのバランス ## VUCARDを前提にする 秒報においては、そもそも **VUCARDを前提にします** 。 日報 → 分報 → 秒報という流れは、 **リモートベースであっても** リアルタイムで豊富なコミュニケーションがしたいとのニーズの現れでもあります。 ※現地での対応が必要な仕事もまだまだありますが、ここではデスクワークを想定します。 ### (余談) VUCARDについて補足 そもそもR(Remote)とD(Diversity)を尊重する――各自の生活水準を尊重することは現代ではもはや当たり前でしょう。 主にパンデミックの影響でリモートワークが加速しましたが、これで成立すること、特に各自の生活水準を守れることが判明しました。 **水準が上がった** のです。 **一度上がった水準は下げるべきではありません** 。乗り物による通勤に慣れた人に「交通費もったいないから歩け」と言うわけにはいかないでしょう。昔はセクハラが当たり前だったからといって「昔は当たり前だったんだぞ」などとは言わないでしょう。 乗り物も、セクハラがないことも、現代の水準の一つです。これを下げてはなりません。ハラスメントになるレベルで、あってはならないことです。 また、時代はVUCAでもあります。 単に上から降ってきたことや顧客から言われたことをこなしていればいいだけ、というほど単純でもありません。 主体性、仮説検証、アップデートやリスキリングといった言葉もあるように、各自が各自のペースと強みで動いて、それを上手く連携させる形を取らねばなりません。 そのためには、 **従来の密な結合を緩めて、リモートなど融通の利く働き方が必要** です。より率直な言い方をすれば、多忙一辺倒ではなく[余裕を確保する](https://note.com/workhack20/n/n91e069963343)こと、チームワーク100%ではなく[ソロワーク](https://note.com/workhack20/n/n99dfcbf9d1fd)も行うことなどです。 まとめると、各自の生活水準を尊重した働き方は、現代ではもはや当たり前の水準なのです。水準を確保するためには、リモートワークもよく使われます。 しかし、リモートだとコミュニケーションを上手く行えないので、もっと上手くやりたいのです。このとき、無闇な出社や会議といった「水準を壊す形で上手くやる」のではなく、 **水準を維持しながらも上手くやりたい** のです。 分報も、秒報も、そのためにあります。 ## 秒報に必要な4要素 ここからは秒報の実現や運用に関する話をしていきます。 秒報に必要な概念が4つあります。まずはかんたんに俯瞰します。 ### 1: プレゼンススペース メンバー全員のプレゼンスを俯瞰できるワークスペースです。 ### 2: ワークスペースのライブ配信 作業の光景をライブ配信します。 「部屋全体」「PC画面全体」などは「公開しすぎ」でハードルが高いため、必要な部分のみを選択できるようにします。 また、このライブ配信も俯瞰が必要です。 ### 3: オープン・ワークスペース オープン・ワークスペースとは、誰もが読み書きできる場所です。ここで自分用のワークスペースをつくって作業します。 * ❌自分のパソコン内に保存したファイルを扱って仕事する * ⭕オープン・ワークスペースに置いたファイルを使って仕事する すでにクラウドストレージ(Googleドライブ、Dropbox、Box、Microsoft OneDrive etc)である程度実現できていますが、それでも自分のパソコン内がメインとなっている人がまだまだ多いです。この比率を極限まで減らします。 ### 4: 秒報タイム 勤務中、常に秒報を行うのは負荷が高すぎます。かといって、各自の自主性に任せていては、全員が集まるタイミングが定まらずに不便です。 そこで秒報を行う時間帯を統一させます。これを **秒報タイム** と呼びます。 コアタイム中に秒報を行う、などがわかりやすいでしょう。 以降では各要素をどう実現・運用するかの詳細を見ていきます。 ## 1: プレゼンススペース ### スタンスは2通り [プレゼンススペース](https://note.com/workhack20/n/nefa624958359)をどう使うかのスタンスは2通りあります。 * 1: プレゼンスを見るだけ + アクションは少なめ * 2: プレゼンスを見る + 高頻度なアクションも想定する メンバーのプレゼンスが見えることは前提ですが、見えた後、 **迂闊に呼んでも(声をかけても)いいのかというアクションの部分をどれだけ許容するか** に違いがあります。 一見すると 2: を選びがちですが、各自の創造性や集中を重視したい場合は 1: が良いです。 1: の場合、プレゼンススペースにてメンバーの様子を把握しておいて、しかるべきタイミング(定例または直近の打ち合わせなど)でそれも踏まえた立ち回りをすることになります。もちろん、緊急性が高そうな場合はその限りではありません。 ## 2: ワークスペースのライブ配信 検討したいのは以下3点です。 * 1: 何を配信するか * 2: 配信手段の整備と啓蒙 * 3: 各自の配信を俯瞰する方法 ### 何を配信するか 仕事の様子(あるいはピープルマネジメントもするなら当人の様子)がわかる光景であれば何でも構いません。 ≒PCの画面、になると思います。 その際、「全画面を常に共有」だとプライバシー面で負荷が高いですから、 **一部のウィンドウや一部のタブだけを共有する** 形にするべきです。 ここで「仕事だから別にやましいことはないだろう」と思う人がいますが、違います。人は常に見られていると落ち着きませんし、現実的にはDMやサイバーローフィング(ネットサーフィン)もします。そのような管理脳は絶対にやめてください。仮にそんなことを言う人がいたら、秒報の癌ですので追放してください。 ### 配信手段の整備と啓蒙 ライブ配信は、配信者にとっては身近な営みですが、大多数にとってはそうではありません。 少なくとも各自一人でライブ配信を完結できる程度には整備と啓蒙を進めてください。 **現状最もハードルとなるのはライブ配信手段の決定版がない** ことです。。オンライン会議だとn人のライブ配信など不可能なので、YouTube のような動画共有システムを使う必要があるのですが、YouTube は企業内部で使う用途には向いていません(限定公開URLはあるが、URLがバレたら誰でも見えてしまう)。 かといって Microsoft Stream や Vimeo Enterprise といった企業向けのシステムはお高いですし、ライブ配信にはまだ手が伸びていません。 そもそも **企業が内部でライブ配信をするというジャンル自体がまだありません** 。ですので、これを行うサービスが出るのを待つか、自分達でつくる必要があります。 ### 各自の配信を俯瞰する方法 メンバーがライブ配信をしているからといって、いちいちそれを見に行くのは手間です。可能なら、ワークスペース的な画面上で俯瞰したいものです。 わかりやすいのは[ YouTube の「登録チャンネル」画面](https://www.youtube.com/feed/subscriptions)でしょう。 ![](/assets/ne764295d7ee7_1728856976-axLUGvKuqwco7RD1PI0m3CSr.png)一例。「夜見れな」がライブ中だとわかる。 登録(購読)したチャンネルのうち、ライブ配信中の配信者がいたらその旨が出ます。ずらりと並ぶので、誰がどんなライブ配信をしているかを俯瞰できます。このイメージです。 これについても、上記配信手段と同様、決定打がなく、自製が必要になるでしょう。 ## 3: オープン・ワークスペース 要するに手元に置いている作業フォルダを、皆が見える共有エリアに置いて、そこで仕事をするということです。 オープン・ワークスペースにおいて重要なのは **情報とファイルを分けること** です。 ### 情報 **情報** とは、ここではテキストや軽微な動画像でやりとりするもので、チャットやノートツールを使います。 その **本質は情報共有** であり、誰でもいつでも情報にアクセスできることを目指します。秒報では情報も常時見えるようにしたいからです。これができないと結局原始的な会議や出社を減らせず、秒報の意味がありません(普通に会議や出社をしようよ、となってしまいます)。 このあたりは『仕事術2.0』でも重視しており、色々と解説していますので、ぜひ読み漁ってみてください。 ### ファイル 次に **ファイル** とは、ここでは情報ではなくファイルの形で扱われるものを指します。まとまった情報源だったり成果物だったりします。 これらもやはり情報共有的に扱いたいです。 **皆が読み書きできるクラウドストレージをつくって、そこに置く** ことになります。 ここで重要なのがフォルダの構造ですが、 **階層化せずフラットに配置** してください。階層は、個人で行う分には問題ありませんが、複数人で扱える代物ではありません。 * / * フォルダ1/ * フォルダ2/ * …… このようなフラット構造にします。フォルダの単位は多少雑でも構いませんが、案件や話題の単位が良いでしょう。 フラット構造だとフォルダ数が何百何千となりますが、それでも構いません。必要なフォルダは更新順でソートしたり、別途ノートツール側でリンク集をつくってそれを見てもらうなりすればどうとでもなります。 **フォルダの整理整頓、特に階層のメンテナンスは不毛なのでやめましょう** 。適当な単位で分かれていれば、それで十分です。階層が必須と考えている人は、仕事の仕方が20年前からアップデートされていません。 その上で、必要なファイルは誰でも読み書きします。 たとえば 「241014_案件A」フォルダがあったとして、主に担当しているのが🐶さんなら、🐶さんはここで仕事をします。各種ファイルを置いておきます。 これなら他の人も「241014_案件A」フォルダを見れば状況はわかりますし、手伝うときもここにファイルをつくれば済みます。 ## 4: 秒報タイム **秒報タイム** とは、全員が秒報を行う時間帯を指します。秒報はメンバー全員で行わないと意味がないので、全員揃える必要があるのです。 **就業時間のすべてを秒報タイムにするのはキツイ** ので、上手く設計してください。 最もわかりやすいのは **コアタイム** です。コアタイムを秒報タイムにします。まずこれを試してみて、問題があれば別のやり方や調整をする、くらいが始めやすいでしょう。 当サイトでも、このような概念はいくつか取り扱っていますので参考にしてください。 # Title: 仕事術1.0と仕事術2.0 従来の仕事術が仕事術1.0なら、当サイトで扱うものは **仕事術2.0** です。 ## そもそも仕事術とは? ここでは「仕事のやり方や考え方」とします。 ## 2.0はここ違う ### 1: 個人 → チームや組織 従来は個人の仕事術だけを扱っていました。 2.0では **チームや組織の仕事術も** 扱います。 現代はチームの時代ですし、組織も大昔から存在しています。結局集団が変わらないと大したことなどできません。個人の力などたかが知れています。 ※従来の仕事術で成功している人は、結局素体の性能が良いからにすぎません。組織に適応できるだけの性能があるのです。再現性はあまりありませんし、正直言って性能が良いなら割と誰でも成功なんてできます。 変えるためには、やり方と考え方を知らねばなりません。 ### 2: 効率 → QoW 従来は仕事の効率(より少ない時間で済ませる)を絶対視していました。 2.0では **QoW(Quality Of Work)――仕事の質も** 重視します。 仕事の質とは、気持ちよく仕事ができる度合いを指します。詳細は以下記事を参照してください。 ### 3: 誰かの術を使う → 自分でつくる 従来、仕事術は誰かのものを使っていました。 2.0では **「自分でつくる」「メンテナンスする」ことも重視** します。 皆さんは日常生活や趣味ではすでに色々と「やり方や考え方」を工夫していると思いますが、仕事も同様です。それで十分です。 しかし、現実はそうはならず、権威の影響が根強いです。ベストセラーのビジネス書、有名人の発言、何らかの研究結果、職場で継承されてきた秘伝――そういった権威が提示するものばかりが使われています。もったいないことです。こりほぐしていかねばなりません。 当サイトでは様々な仕事術をつくっていますが、まさにこれを体現しています。読者の皆さんをこりほぐそうとしています。 ### 4: 自分の術は外に出さない → 出す 従来では仕事術は極めて個人的なものであり、外に出すことは想定されていませんでした。 2.0 では、しがない一個人であっても出します。必ず出すのではなく、 **出してもいい** ということです。 現代において、情報の伝達や共有の重要性は言うまでもないと思います。情報というと、大多数の一般人は「私が持ってる情報なんて……」と思いがちですが、違います。 どんな情報が誰の役に立つかなんてわかりません。自分で勝手に役立たずの烙印を押すのは自分自身にも失礼ですし、世界を舐めすぎです。世界は、自分の周囲だけであっても、そんなに単純ではありません。 そして「仕事術」も情報の一つです。まがいなりにも言語化して出せば、誰かの参考になるかもしれませんし、議論もできます。 ### 5: やり方を扱う → 考え方も扱う 従来の仕事術は「術」の名前のとおり、プロセスやフレームワークや手順といった方法、いわば「やり方」ばかり扱っていました。 2.0では **考え方も** 扱います。 ※冒頭でも述べましたが、当サイトでは仕事術を「仕事のやり方や考え方」としています。 1: にて組織がネックであることを述べましたが、もう一つ、考え方もそうです。考え方を変えない限り変えられないことはたくさんあります。 たとえばリモートワークを推進したい場合、出社して対面して口頭で喋ることが絶対との考え方を変えねばなりません。 別の用語を使うと、マインドやメンタルモデル(行動特性)を変えるといっても同義です。 変えるためには、そもそも考え方という視座に立たねばなりません。これには実際に行動すること以上に、自覚と言語化が重要です。当サイトでは、考え方についても積極的に言語化し、記事としてお届けしています。 ## 2.0では、こんな仕事術が出てくる 従来と 2.0 の違いを書きました。 そんな仕事術2.0では、たとえば以下のような仕事術が出てきます。 多様性の話。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7&context=note&mode=search) 会議の工夫ではなく、会議そのもののネックとして「拘束」に着目し、「拘束を脱するには?」を考える。 あまり言語化されていないが、重要なジャンルにフォーカス。たとえばタスク管理。 捨てることを阻む要因として「宗教観」がある、との大胆な着目。 ## おわりに 仕事術2.0とは何か、どのようなものであるかを、従来の仕事術と比較しながら解説しました。 イメージを掴んでいただけましたら幸いです。 もし共感していただけましたら、あるいは何かくるものがありましたら、ぜひ読み漁ってみてください。当サイトの読み方も解説しています。 # Title: QoW(Quality of Work) 仕事の質 **QoW(Quality of Work)、仕事の質** とは、仕事を気持ちよく行える度合いを指します。 ## 例 * 自分の生活水準を尊重した働き方ができる * 働きたいだけ働ける(少なくていい人も増やしたい人も) * マイクロマネジメントされない * 割り込みやツールの遅さといった集中阻害要因が無い etc ## QoWの構成要素3つ * 1: 多様性を尊重してもらえること * 2: 割と誰にでも当てはまる「良くないこと」を回避できること * 3: 結果が伴うこと ### 1: 多様性の尊重 これは **典型的なもの以外も含みます** 。 しかしながら「配慮する」と心がけただけでは何もできません。 **配慮するための「やり方や考え方」の理解と実践が必要** です。当サイト仕事術2.0では、様々な多様性に応えるための仕事術を扱っておりますので、ぜひ読み漁ってみてください。 ### 2: ダメージの回避 長時間労働やマイクロマネジメントなど、割と誰もが回避した方が良いことがあります。これをダメージと呼ぶとすると、 **ダメージは避けるに越したことはありません** 。 実はダメージであっても、万人に当てはまる(避けた方が良い)とは限りません。 たとえば私生活で辛いことがあって、そのままでは潰れてしまうので仕事に逃避したい人がいるかもしれません。また、特性上、自律的に動くのが極端に難しくて、マイクロマネジメントで厳密に管理してほしい人もいるでしょう。 とはいえ、基本的に大多数の人には当てはまりますから、避ける前提で考えた方が良いです。それでダメそうな人については、ダメージを欲する多様性として個別に対応します。 ### 3: 結果の追従 やはり仕事ですから、QoW一辺倒ではダメで、結果を出したいです。 しかしながら、思っている以上に緩和することはできます。 特に直接的な売上に繋がる行動だけを是とする価値観はよくありますが、短絡的すぎます。現代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)であり、中長期的な投資や持続性の観点なども重要です。 そうでなくともコミュニケーションの重要は多くの人が理解しており、業務時間中であってもある程度は許容したり、明示的に確保したりするはずです。当サイトでもこのような仕事術は扱っています。 ## 既存用語との違い ### 開発者体験のこと? Ans: はい。 ソフトウェア開発者の方は、 **開発者体験(Developer Experience)を一般化したもの** だと思えば合っています。 ※余談ですが、ソフトウェアの力は言うまでもなく強力で、それはソフトウェア開発者達の仕事術が強力だからでもあり、そこの潮流が巷に流れてくることがよくあります。DXやリーンスタートアップもそうです。QoWは、この開発者体験を当サイトが一般化・言語化して持ち込んだものです。 ### QWLとの違いは? Ans: QWLは古いです。 QWL(Quality of Working Life)は、ワークライフバランスよりも前の概念であり、意訳すると「労働者という駒を酷使すると壊れちゃうからもうちょっと労らないと」くらいの意味です。古いので無視して構いません。 ### ワークライフバランスとの違いは? Ans: 全く別の概念です。 ワークライフバランスは仕事とプライベートのバランスを論じたものです。他にもいくつか潮流があります。 一方、QoWは「仕事」の過ごし方や感じ方にフォーカスを当てたものです。議論の対象が違います。 ## QoLとの違いは? Ans: ワークライフバランスと同様、対象が違います。 QoL(Quality of Life)は「生活の質」であり、対象はプライベートです。あるいは人生全体を対象として仕事も含むこともあります。 ※ちなみに元々は医療用語で、「単に延命すればいいってわけじゃないよね」「もうちょっとこう色々加味して総合的な満足感を最大化するべきでは」といった概念だと思われます。 一方、QoWは「仕事」にフォーカスしています。 # Title: KKD → QCDS → SSS 仕事、特にものづくりで使われる「拠り所」の変遷を解説します。 ## KKD 勘、経験、度胸の略。 昭和の価値観です。要するに **根性論** です。 すぐに身につくものでもなく、再現性もなさそうで、ただひたすら時間かけたり苦労したりしなきゃ身につかないとのニュアンスです。飯炊き3年握り8年もこれですね。 ## QCDS Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)、Scope(スコープ)の略。 平成の価値観です。要するに **プロセスと定量化** です。 まずプロセスの形で世界観を統一します。次に管理しやすくするために、何でも数字に落とし込んで、数字で扱おうとします。 たしかに管理はしやすく、統一感も出しやすいですが、融通が利きません。特に日本は文化的に変化がしづらい(階層的で合意形成的という世界有数の縛りプレイ)こともあって、ウン十年前の時代錯誤なプロセスや数字がそのまま使われていることも珍しくありません。 ## ## SSS Skill(スキル)、System(仕組み)、Standard(標準)の略。 ※巷ではまだ言語化されていないと思います。当サイトで言語化したものです。 令和の価値観です。要するに **柔軟な統制** です。KKDほど無秩序でもなく、QCDSほどガッチガチでもない、とのバランスがあります。 ### スキル まずは **スキル** が重要です。 素人が適当にやるのではなく、ちゃんとスキルを持った人を雇うなり、内部で育てるなりします。 これは事実上、それだけのリソースを投資することを意味します。雇う場合はその給料や採用活動に、育てる場合や教育や時間に。いずれにせよ、投資する権限を持つ人が投資できるかどうかにかかっています。 ### 仕組み 次に **仕組み** も重要です。 私たちはなまじ優秀ですし、退屈は嫌いですし、仕事した気になって酔いたい心理もあるため、忙しさや泥臭さを好みがちですが、不毛なことです。こんなものは1秒も少ないに越したことはなく、仕組みの力でカバーするべきです。 わかりやすい例でいうと、拠点が全国に散らばっているからといって毎週東京本社に出張させるのは大変でしょう。たまに(まれに)集まるのは重要ですが、普段はリモートで十分です。リモートで行える仕組みが重要ということです。これがないと、原始的に毎回出張することしかできなくなります。そして、そういうものだと正当化します。 仕組みの肝となるものは二つあります。 まずはITです。といっても、ITは現実にとって、人間にとって自然なものではありませんから、なるべくITで解決できるようなあり方に変えるには「抜本的な変更」が必要です。[DX(デジタル・トランスフォーメーション)](https://note.com/workhack20/n/n3f7ab4d17e36)と呼ばれます。考え方そのものをシフトせねばなりません。 次に仕事術です。仕事のやり方や考え方という視座に立ち、必要に応じて変えたり、新しくつくったりするということです。これは当サイトで様々紹介しているとおりです。 理想は仕事術をつくってIT化することですが、IT化にはコストや啓蒙もかかります。仕事術に自分達で従う、だけでも違います。 また、当サイトでは扱いませんが、仕事術をつくることをせず、いきなりIT化(特にソフトウェアをつくる)をするパターンもあります。こちらはいわば、仕事術という形での言語化よりも、ソフトウェアという「動かせる非言語的なもの」を使うとのアプローチです。 ### 標準 **標準** とは、ここでは **オーダーメイド(個別最適)の対義語** です。 従来、特に日本では顧客ごと・組織ごとに個別の対応をする「オーダーメイド」が主流でしたが、これは弊害が大きいです。相手が多いほど負荷も高くなりますし、相手の事情をそのまま扱うことになるので上手くいかないことが多い。要は、複雑なものを、要らないものも含めて複雑なまま扱おうとするのです。 ※もちろんビジネス次第ではオーダーメイドこそが良い場合もあります。 標準とは、複雑なものをモデル化してシンプルに扱うことです。そして、できれば汎用化して、他にも応用できるようにすることです。 海外のITシステムや外資系のスタンスがわかりやすいと思います。顧客一人一人にいちいち合わせることはせず、ドンと統一的なものを出して「この通りに使え」としているはずです。 また、QCDSで述べたように「全く変化がない」わけではなく、ある日突然アップデートしたり中止したりもします。サポートセンターも一応ありますが、ベストエフォートだったりします。「お客様は神様です!」のごとき献身はありません。 これを「大企業だから許されたスタンスだろう」と評する人が多いですが、違います(本質ではない)。何が本質かというと、オーダーメイドではなく標準でやっていることです。 標準的なものであっても、出来が良ければビジネスにはなります。オーダーメイドから標準にシフトし、オーダーメイドに費やしすぎていた分をスキルと仕組みに充てることで、現代的なあり方になります。 ## 選択肢を増やす KKDやQCDSが無用の長物だと言っているわけではありません。使える場面はまだまだあります。 本記事で言いたいのは、選択肢を増やしているということです。 KKD、QCDS以外にも、SSSがあるということです。 ## (関連記事) 以下記事は、少し観点を変えて「スピード」「品質」といった軸で整理したものです。 # Title: ビジネスとしての「アジャイル」の本質 「アジャイル開発」はソフトウェア開発の手法・哲学ですが、ビジネス一般への応用も見られます。 しかし、元がソフトウェア開発のものであり、理解するのも取り入れるのも難しいです。 今回はアジャイルの本質を、7つにまとめて解説します。 ## 1: リズム アジャイルでは小さな仕事を積み重ねていきます。 ### スプリント 仕事して、その成果物をチェックして、一区切り。 これを1~2週間くらいでやります。この時間単位を **スプリント** と呼びますが、1スプリントで1つの仕事を完了させます。 そして「次のスプリントは何をしようかね」と話して、決めて、回します。 **スプリントごとに小さな仕事を完了させていく** イメージです。もっち言えば、スプリント単位で一つの仕事を完成させる、それを繰り返すというリズムに沿って過ごしていきます。 ### 探索であること 探索的な営みであることに注意してください。 * ❌予定やスケジュールを立てて、そのとおりに行動 * ⭕次のスプリントで何するかを決めて行動 下記記事のマトリックスでいうと、2と3に相当します。 つまり、以下のいずれかが当てはまります。 * 期間は決まってるけど、何するかが決まってない * 何するかは決まってるけど、期間が決まってない いずれかが不定となっているので、じゃあスプリントごとに小さく仕事を進めながら判断していきましょうか、とするのです。 **探索的な営みなのです** 。 特にチームで秩序を持って探索するのは難しいので、スプリントを拠り所にしてリズムにするのです。 ### 小さな仕事の管理とは? 「小さな仕事を完了させる」もわかりづらい概念なので、補足します。 これはリーンスタートアップで言えばMVPであり、要は実際に成果物として認めてもらえるもの、もっと言えばお金を出してもらえる単位感を出します。 つまり、小さな仕事を完了させるとは、 **「小さいなりにでもお金を出してもらえるほどの、一区切りついた成果」を出す(スプリントごとに出す)** ということです。 ソフトウェア開発におけるアジャイルでは「動くソフトウェア」という形でこれを保障し続けていましたが、ビジネス一般ではそうもいきません。 初期時点では、おそらく A4 一枚のファイルだったり、付箋を散らしたホワイトボードだったり、あるいは数枚のスライドだったりするでしょう。これらを初期のスプリント終了時に顧客に見せて、 **顧客が「いいね」「今回分の金は払うよ」「次のスプリントはどうしようか」と示してくれる** ことを目指します。 ## 2: インボルブメント アジャイルでは、ステークホルダーをしっかりと巻き込みます。 ### 自走できる組織 最低でもチームメンバー、マネージャー、顧客(側のキーパーソン)は巻き込みます。 この人達は全員が等しくチームメンバーであり、したがってそれなりに仕事にコミットします。 **毎日半日くらいは集中的に費やせて当たり前ですし、仮に忙しいとしても1日1時間くらいはじっくり費やせねばなりません。** このようにして巻き込む理由は「自走したいから」です。自分達で完結させて、ガンガン先に進んでいきたいのです。 その際にボトルネックとなるのがマネージャーと顧客ですので、最初から巻き込みます。 ### 巻き込みは前提 逆を言えば、 **マネージャーや顧客を巻き込めない場合はアジャイルはそもそも成立しません** 。そこがボトルネックになるからです。 ### キーパーソンの顧客を含める いくら顧客を巻き込めたとしても、その人に権限がなければ意味がありません。 チームメンバーの一員として、「それでいい」と意思決定を下せるレベルのキーパーソンを巻き込まなくてはなりません。 別の言い方をすると、日々の **スプリントの中で意思決定がなるべく完結** しなければなりません。現実的にすべて完結させるのは難しいですが、基本的には完結させなければなりません。これは、その権限を持つだけのキーパーソンをメンバーに加えられるかどうかにかかっています。 そういうわけで、顧客に理解してもらうことが非常に重要です。キーパーソンに参加してもらえない場合、アジャイルは成立しません。 ## 3: コミットメント アジャイルでは、メンバー全員は仕事に集中します。 ### フルコミット 基本的にメンバーはフルコミットか、少なくともまとまった時間で集中して取り組めることが必要です。 **これができるだけのリソースや体制を整備しなければならない** ことを意味します。 この前提があるからこそ、必要な議論は何回でもしますし、ペアワーク(二人三脚的に仕事する)のような負担の高い働き方もします。 いちい「おうかがい」なんて立てません。フルコミットする間柄なのですから、誰であろうと遠慮なく使えばいいし、使うべきです。 ### コアタイムとコミュニケーションの設計 その際、重要となるのが最低ラインを設計することです。 具体的にはコアタイムとコミュニケーションです。 **コアタイム** とは、声掛けや打ち合わせなどコミュニケーションを行ってもいい時間帯を指します。この間は、各自はひとりで集中するというよりも、コミュニケーションをメインにします。あるいは、集中してもいいですが、割り込まれても文句は言えません。 ただし、これだけで済むほど単純ではないので、コミュニケーションのやり方には融通を利かせます。 **よくあるのが「朝会など定例の場には全員参加するべき」ですが、これは多様性のたの字もない愚行です** 。 もちろん、全員参加できるのならそれでいいですが、通常はそうはいきません。生活水準や集中のリズムが人それぞれだからです。 ※多少リズムが崩れてもパフォーマンスを出せる「優秀な人」「自己犠牲を厭わない信者」揃いであれば問題ないですが、あまり再現性はありませんし、そもそもそんな人達であれば正直どうとでもできます。 個別に、あるいは最低でも「nパターンのやり方」を用意するくらいは融通は利かせましょう。 ここで重要となるのが **仕事術(仕事のやり方や考え方)です。要は手段を知らないとやりようがありません** 。 たとえば当サイトでは「脱拘束」というパラダイムを紹介しているので、参考にしてください。 ### 心理的安全性 コミットメントにより心理的安全性も確保しやすくなります。 心理的安全性は、一言で言えば **対人関係のリスクを遠慮なく取れる度合い** です。 日本は文化的にハイコンテキストで遠回しや根回しを好みますが、そうではなく、言いたいこと・言うべきことはちゃんと言って議論します。普段ならそんなこと言うとむっとしそうだなぁ、悪いよなぁ、そもそも議論なんて慣れてないし嫌だよなぁ、と尻込みすると思いますが、心理的安全性があれば尻込みしません。 これを醸成するのは非常に難しいですが、端的なのがコミットメントなのです。アジャイルなチームの一員として、コアタイム中は、この仕事にフルコミットします、という前提があるので **「仕事のために」というスタンスで動けます。** **メンバーvsメンバーではなく、私たちvs仕事にできます。「これはあなたを責めてるわけじゃなくて、仕事をよりよくやるための議論なんだよ」との構図にできます** ――と、口でいうのはかんたんですが、人間ですので意外と難しいです。ですので、いわばコミットメントという形で「私たちはそもそも仕事を第一とした集団だよね」との契約を結ぶわけです。 フィクションではよく「私たちは公人なのだ」「軍人なのだ」と言って私情や人間味を殺して全うするシーンがありますが、これと同じです。 ## 4: リーダーシップ アジャイルでは、最終的な意思決定者がいて、意思決定をリードします。 ### 最終的な意思決定者 結局、意思決定ができないと物事は進みません。これを行える人がチーム内にいなければなりません。 もちろん独裁するというのではなく、メンバーと議論した上で、じゃあ最終的にどうするかをバシッと決める役割の話です。 ### 意思決定者はこちら側 この意思決定者は顧客側ではなく、こちらのチーム側から選ぶ必要があります。 通常はマネージャーのような立場の人がなると思います。 ソフトウェア開発の文脈ではスクラムマスター、プロダクトオーナー、プロダクトマネージャーといった名前がついていますし、クリエイティブ業界ではプロデューサーと呼ばれたりもしますが、いずれにせよ、こちら側の者が担当します。 顧客側は、この意思決定者の最終的な意思決定と向き合います。 **顧客側に意思決定させるのではなく、我々チーム側で意思決定したことを顧客に提示する** ということです。 もちろん、顧客も一メンバーですので、日頃から議論することは可能です。しかし、 **意思決定の主導権はあくまでも我々チーム側にあります** 。 ### ビジョナリー ビジョンを持つ人をビジョナリーと言ったりしますが、意思決定を担う者には、まさに要求されます。 というのも、意思決定には一貫した方針や哲学が必要であり、これには結局ビジョンなる強い信念が要ります。 カリスマ的にその人がグイグイ引っ張るのか、それともメンバー内でじっくり言語化・議論して決めるのか、など **やり方は色々あります** が、いずれにせよ **ビジョナリーであることは必須** です。そうでないと、意思決定が一貫せずに頼りない無能になります。 ※ちなみにメンバー全員がビジョンに強く共感する必要はありません(それでは宗教信者と一緒です。「ぼくがかんがえたさいきょうのしゅうきょう」をつくりたいわけではないですよね?)。ある程度理解して納得もして、コミットができるのあればそれで十分です。 ## 5: シンプル アジャイルでは、リズムを回すのに必要なことだけをします。 ### 制約は少ない方がいい 特に大きな企業にありがちですが、リズムを回すことを阻害するルール、プロセス、文化などが多数あります。 これらがあっては話にならないので、なるべく軽減させねばなりません。といっても変えるのは不可能でしょうから、以下のような工夫が必要です。 * アダプター * 立場や権限を持つ者が壁役になりつつ、内部では融通を利かせる * 外から見られて茶々を入れないようにしっかり守る、必要ならごまかす * オッドジョバー * 社内の手続きをこなす専用の役割や部隊をつくって、そこに任せる * 出島戦略 * 部署、事業、あるいは会社ごと分けて別組織として活動します * 会社ごと分けてしまえば、その会社の理を回避できるからです ### 介護はしない アジャイルなチームが相手にするのは、インボルブメントとして巻き込んだメンバーだけです。これを **インボルブする** (インボルブしたメンバー)と呼ぶことにします。 アジャイルでは、インボルブしてない人は相手にしません。 また、インボルブしているメンバーであっても、フォローすることがあってはなりません。一時的なものや立ち上がりくらいは良いですが、恒常的なフォローはいけません。 以下に例を挙げます。 * インボルブしてない上の人達に向けての丁寧な説明や資料作成 * 著しく能力が劣る人の恒常的なフォロー * 自律的に動けない人の恒常的なフォロー 要するに **介護はしません** 。 現実的に介護の根絶が難しければ、介護を担う役割を決めて、その人だけで対応してください。一般的には一番状況が見えていて、かつ外見えの体裁も整っている意思決定者がやります。 より現実に即した言い方をすると、 **要介護者からチームを守ってください** 。典型的には自チーム側の意思決定者、顧客側のキーパーソン、の両方で必要になります。 ### 仕事術の視座 3: のコミットメントでも少し紹介しましたが、リズムを回すのに必要なことだけをやるというシンプルさを保つためには **仕事術(仕事のやり方や考え方)の視座が必要です。** やり方や考え方が足を引っ張っていることが多いので、それに目をつけて言語化して、議論して、修正したり別のものを取り入れたりして、といったことが必要なのです。 ソフトウェア開発では色んな技術を選定したり使い分けたりしますし、技術AでダメそうだからBに切り替えるとか、巷では技術Cが有名だけどそのままでは使いづらいからちょっとカスタマイズする、といったこともします。 ビジネス一般でも同様で、仕事術でそうします。シンプルにリズムを回し続けるために、どんな仕事術を使えばいいかを模索します。 ## 6: オンデマンド アジャイルでは、必要なときに必要なことをします。 ### 必要になってからやる どうせそのとおりにはなりもしない計画や戦略に延々と費やすよりは、軽く決めて、とりあえず動いてみる(探索する)のがアジャイルです。 動いてみると色々なことがわかりますから、そこで次どうするかを考えれば良いのです。 **必要だとわかったこと(あるいは決めたこと)は、それが見えてきてから行動に移します** 。 ### 知識やスキルも必要に応じて身につける もし知識やスキルが必要になったとしても、それはそのとき身につけにいけば済みます。 重要なのは、 **そのような勉強や訓練を仕事の一環(スプリント内で行うタスクの一環)として行うこと** です。 ### 雇ってもいい あるいは予算が許すなら、知識やスキルを持つ人を内外から一時的に雇っても構いません。 ただし、チームへの適応(アダプテーション)やプロジェクトの文脈のインプットが難しいことがよくあります。短時間で貢献してもらうためには、仕事を上手く切り出す必要があるでしょう。 このあたりの議論は、当サイトでも扱っています。 一般的には、このような整備を行うよりも、自分達で身につけてしまう方がやりやすいと思います。DXの文脈では **リスキリング** と呼んだりします。 ## 7: 振り返り アジャイルでは、振り返りを行って死角をなくします。 ### 振り返りとは 一定期間の活動や各々の内心を顧みることです。 目的は以下の3つです。 * 1: 一区切りつけて、メリハリをつけること。また準備充電を設けること * 2: 良かったことを続けること * 3: 悪かったことを改善すること 1: は人間として必要です。ずっとリズムを回し続けると息切れします。 2: と 3: は、振り返りでは意見を出して、実際取り入れるのは今後で行うという意味です。実際行動に移すための意見を、振り返りで出します。 ### 死角をなくす 振り返りの効果は、死角をなくすことです。 死角としては、たとえば以下があります。 * 仕事で忙しくて言えていないこと * 中長期的に考えておきたいこと、考えてみたい * あまり言語化できていないが、このままだと望ましくない気がすする……という感じの違和感 * こうすればいい、ああすればいいといった仕事のやり方・考え方に関する意見や思い etc こういった死角を回収するために振り返りをします。 ### 振り返りの頻度と時間 正解はありませんが、まず期間については、2~5回分のリズムを回すごとに1回差し込むくらいが良いでしょう。 1リズムごとに行う、はやりすぎだと思います。逆に2ヶ月以上空くのも、空きすぎて形骸化に繋がります。 よくあるのが「振り返りする余裕がない」ですが、危険信号です。そんな余裕がない状態を続けること自体が間違っています。 **アジャイルだからといってビジーである必要はありません** 。 また、ビジーにならないように、意思決定者や顧客側キーパーソンはチームを守ってください。必要なら自分が接している人達への働きかけや根回しもしてください。むしろそこはメインの仕事の一つです。 **アジャイルを守るガーディアンでもある** のです。そういった圧力に負けて、「上から言われたから短納期になっちゃったけど頼むね」などとするのは無能です or そもそもアジャイルに向いていない世界です。 次に1回の振り返りに費やす時間ですが、丸一日をいったん標準として、そこから縮めるか伸ばすかを決めれば良いでしょう。前述したとおり、一区切りつける節目としての効果もありますので、まとまった時間がほしいです。 いわば、仕事を免除したボーナスタイムとして確保するようなものです。そうした雰囲気だからこそ、リラックスして本質的な振り返りができます。 注意点としては、 **振り返り中は(スプリントでやるような)作業を行わないようにしてください** 。 スキルの学習や仕事術の整備などは構いませんが、せっかくのボーナスタイムで、あえて仕事を進めようとするのは、ビジーへの第一歩です。 # Title: DXの本質は敏捷性と変化耐性の獲得 DX(デジタル・トランスフォーメーション)の本質は二つあると思います。 ## 1: 敏捷性の獲得 アジリティと呼ばれたりしますが、より素早く結果を出せるようになります。 なぜ素早く出せるようになるかというと、 * デジタルがそもそも早くつくれる・試せる・届けられるから * 自分達でつくりやすいから です。 ### デジタルは早い デジタルは物理世界の制約を受けづらいため、より早く動かすことができます。地球の裏側に届けたり、いくらでも複製できたりしますよね。 インターネット、パソコン、スマホの普及により、舞台も電子化しています。ここで使われるソフトウェアも同様に、物理制約を受けづらいので、早くつくれます。もちろん試せますし、届けるのもかんたんです。そもそも動かし続けることができますから、 **大量の処理や自動化もお手の物** です。 たとえば建築物であったり工業製品だったりを1日で何回も作り変えることなど不可能ですが、ソフトウェアならできてしまいます。それくらいに早く動ける世界です。 GAFAMが覇権を取れているのも、このデジタルの力を一足早くフル活用して人々の生活に浸透させたからにすぎません。 ### 自分達でつくりやすい ソフトウェアはパソコン一つでつくることができます。 ソフトウェア開発はエンジニアの特権であり、技術的な企業に丸投げする構造も主流でしたが、近年ではそうでもありません。 たとえば以下の動きがあります。 * エンジニアでなくても開発できる技術の台頭 * ノーコード * ローコード * 生成AI etc * プラットフォーマーの台頭 * 私たちはプラットフォーマーが提供するシステムに「自分達が」合わせる形で仕事をする or またはシステムが持つカスタマイズ機能でカスタムするだけで事足りる * エンジニアの転職の激化 * 「技術を(or技術で)売る会社」ではなく、それらに頼る「一般企業」に入って、そこで力を発揮する * ソフトウェア開発の技術の高級化 * 上記と被りますが、難しいプログラミング言語と職人的に付き合わなくてもプログラムをつくれる手段が増えてきました * また、職人が使う道具自体の洗練も進んでいます * その気になれば未経験者でも数年くらいでエンジニアになれてしまいます 象徴的な言葉が **内製化** でしょう。 従来は技術的な企業に丸投げするのが当たり前でしたが、これだとコミュニケーションコストがかかるし、かけた割には伝わらないしイマイチでした。 もし「わかってる」自分達でつくれれば、この問題は軽減できます。幸いにも、「つくれるようになる」ことが現実的なコストで行えるようになりましたから、じゃあそうすればいいわけです。あるいは、つくるまでもなく、既存のソフトウェアを使って使い方を工夫するだけで何とかできたりもします。 ## 2: 変化耐性の獲得 DXを推進するとは、 **我々が** デジタルの流儀に合わせて生きていくことを意味します。 ### 変化が早い世界 前述したとおり、デジタルは物理世界とは違った世界観です。 早く動けることの他にもう一つ、 **変化が早いという特徴もあります** 。 早く動けるということは、それだけ世界の動きも早いわけですし、デジタルは構造上悪さもしやすいですから犯罪も多く、これを防ぐためのセキュリティ対応ももちろん早くやらなければいけません。変化も早くなるのは必然ですね。 そういう世界なのです。デジタルの世界を生きるとは、変化の早い世界で生きることを意味するわけで、こんな世界で生きていれば、変化など当たり前になります。 ### 改善や変革をしやすい 変化と書きましたが、何が変わるかというとやり方と考え方です。 デジタルではソフトウェアという道具を使うわけですが、このソフトウェアの一部または全部がよく変わります。つまり道具がよく変わることを意味します。 日々の考え方は行動が司り、日々の行動は道具が司っています。その道具がよく変わるので、行動も変えざるをえません。行動が変わるとなると、考え方も変わります。リモートワークの台頭は記憶に新しい人も多いでしょう。 さて、このような世界に身を置いていると、 **やり方や考え方は変えられるのだという視座に立てます** 。実際、変えられることに気付きます。 誰かのソフトウェアを買って使ったり、使い方を工夫したりするだけでもいいですし、前述した内製化のように自分達でつくってもいいわけです。もちろんつくれる企業にお願いしてもいいです。 ともかく、変えられるのです。 かつ、変えるべきです。デジタルという巨大な市場と便宜を享受したいなら、デジタルの流儀に変えていかねばなりません。 DXにおいて、よく「ビジネスモデルの変革」が強調されますが、これは **デジタルの世界に入りなさい、** と言っています。 デジタルが無かった頃につくった古いビジネスモデルや組織体制ではなく、デジタルありきの、デジタルに頼ったあり方に変えていこうよ、ということなのです。 ## (関連記事) DXは投資次第だという話です。 DXは「ソフトウェアという道具を使ってやり方や考え方を変える」ことですが、道具はソフトウェアだけではありません。 当サイト『仕事術2.0』では、様々な仕事術(仕事のやり方と考え方)を扱っており、DXではカバーできない視点と領域にリーチします。 たとえば、原始的に対面で口頭でコミュニケーションを行うスタイルからの脱却を紹介しています。 DXに限らず、ソフトウェア開発における潮流がビジネス一般に持ち込まれることはよくあります。ソフトウェアはそれだけ強力なものです。 「アジャイル」もその一つであり、当サイトでも端的に本質を解説しました。 # Title: 後回しや先送りを減らすための原則 原則の話をします。 細かいライフハックの話や、集中力がどうとか、そのための習慣がどうとかいった話はしません。 ## 最初にまとめ * やるか、やらないかを決める * やるものは、あとで気付けるよう仕込む * やらないものは、目に入らないよう遮断するなり捨てるなりする * 納得感を出す * そもそも納得感が無いと動けないので、納得感を出す * 言語化する * 自問自答する * ひとりでできないなら人や環境に頼って壁打ちする これだけです。 そもそもこれができない場合、 **できないことが問題なので、まずそちらの問題を解消(or 消せなくてもせめて軽減)してください** 。 よくあるのは「多忙すぎる」「依存症的な病気」「純粋に仕事術やライフハックの知識がない」「言語化や自問自答といった発想がない or あっても能力や特性がない」など。 自力でできないなら、人に泣きつくなどして頼ってください。 以降からは詳しい解説に入ります。 ## ==== ## 後回しと先送りの違い まずは「後回し」と「先送り」の違いを整理しておきます。 * 後回し * 「あとでやろうっと」 * 一応後でやるつもりはある * **忘れてなければやる。忘れてたらやらない。** * 先送り * 「これは、まあ……」 * 蓋をする、見なかったことにする * **忘れてなくてもやらない。** これは便宜上の定義であり、定義自体はどうでもいいです。二種類あること、特にマシな方(後回し)とマシじゃない方(先送り)があることを理解してください。 ## 先送りと後回しを区別する 「先送り」でいいものと、「後回し」したいものを区別します。 その上で、まず **先送りでいいものは無視します** 。 どうせ忘れてなくてもやらないものなので、悩むだけ無駄です。開き直って無視してください。 それができない場合は、目に入らないよう遮断するなり捨てるなりしましょう。たとえば遮断については、以下記事にて解説しています。 この後、すぐ解説しますが、結局は仕組み(仕込み)に頼りましょうという話です。 次に、「後回し」したいものは、何とかして後でやりたいので **仕込みます** 。 記憶や意思に頼っても意味はないので、次のタイミングで思い出せるように仕込みます。概念で言えばリマインダーです。 どう仕込めばいいかはあなた自身で模索します。ひとりでできない場合は、記事中でも、また冒頭でも書きましたが、人や環境の力に頼ってください。 ## 区別をするために必要な「納得感」 「その区別をどうすればいいの?」との問題が残っています。 これは **納得感** の問題です。 先送り(最悪やらなくてもいい → じゃあ最初からやらない)か。 後回し(今はできないけど後でぜひともやりたい)か。 どちらに倒すのかは、あなたの納得感次第です。 先送りでいいものは先送りでいいし、後回しでいいものは後回しでいい。それだけのことです。ただ、あなたにも感情や事情やその他文脈があるわけで、無視するわけにはいきません。しかし他人はエスパーではないので、あなたのそれなんて理解できません。よって、あなたが判断するしかないのです。 片付け手法で有名なこんまりメソッドでは「ときめくかどうか」で判断したり、7つの習慣の時間管理マトリクスにおける「重要」の定義も主観的ですが、本質的にはこれらと同じです。 **あなたの主観で決めます** 。 この概念を指す、おそらく最もわかりやすいことが「納得感」なので、ここでは納得感と呼んでいます。 先送りでいいのか、後回しにしたいのか――どちらであるかを自分なりに決めて、その決定に納得できればそれでいいです。 ## 納得感を得るために必要なもの 最後に、その納得感を得るためにはどうすればいいか、との問題も残っています。 これは単純で、 **言語化と自問自答** です。 よく頭の中だけで考えて何とかしようとしますが、何ともなりません。これは正解のない、極めて個人的な思考なので、頭の中で考えるだけでは先に進めません。 ※ですので仕事で優秀な人であっても、この取り組みは苦手だったりします。 **「こうします」「これでいいや」とバシッと決めるための決め手が必要です** 。この決め手が言語化と自問自答なのです。 まがいなりでもいいので、まずは言語化して捉えてください。 そして、それを見ながら、あーなのか、こーなのか、こういうことなのか、つまり?、などと自問自答しながら思考を広げてください。 ということは、ノートでも何でもいいので、 **言葉として書きながら行う必要がある** ということです。 やり方は問いませんし、自分しか見ないので好きにすればいいですが、一応当サイトでも仕事術として取り上げています。 具体的には内省、特に「書く内省」です。 また、内省自体の解説もしています。 が、ここでいう内省は「考え抜く」というガチなニュアンスがあるので、合わない人は別のやり方で問題ありません。あくまでも手段の一つとしてどうぞ。 もう一つ、ひとりn役やロールプレイなど「大げさに一人芝居をする」ことも自問自答時には役に立ちます。これについても解説があるので、よろしければ参考にどうぞ。 ひとりで言語化や自問自答が行えない場合は、人や環境に頼ってください。 **壁打ち** という言葉がわかる人は、まさにそのイメージです。 あるいは、壁打ちなどという堅苦しい言葉を使わずとも、単に相談をしたり、雑談したりするだけでも色々と違います。何もしないよりはマシです。 ちなみに、ネット記事や本や動画を漁りまくる、といったことはおすすめしません。 **人との対話は情報量が多いので、書かなくても言語化や自問自答と同等 or 同等に近しいものが得られます** 。逆に、人と喋らないなら、書かないといけません。 # Title: 噛読(ごうどく) スルメを噛みしめるように読む **噛読(ごうどく)** とは読み方の一種で、書きながら精読することです。 本に限りません。たとえばnoteの記事を噛読することもできます。 読み方をマトリックスで分類すると、以下にあたります。 ![](/assets/n85e8df57ac6b_1729024903-d9so1XrH8vfa3ACbDG4PEZhp.png)読み方のマトリックス ## 他の読み方との違い まず、噛読は **書きながら** 読むという点で、他の読み方とは違います。 次に、噛読ではじっくり読みます。しかし以下のニュアンスがあります。 ![](/assets/n85e8df57ac6b_1729025103-rlBug7UHTmkeFM5SPGfoV384.png)全部読むとは限らないし、原意に忠実でもない ダシにするとは、自分なりに好き勝手に解釈すること、特に取り入れることを指します。その上、全部読むとも限らないわけですから、噛読はかなり自分勝手でいいかげんな読み方とも言えます。 いわば、その **自分勝手な読み方を(書きながら行うことで)じっくりやる** というものです。 ## 既存事例やオリジナル 噛読というネーミングは当サイトでつけたものですが、このようなやり方は昔から知られていたと思います。 たとえば「ダシにする」は、書籍『[知的生産の技術](https://www.amazon.co.jp/dp/4004150930)』で使われている言葉です。本をダシにする、とあります。 > いわば本をダシにして、自分のかってなかんがえを開発し、そだててゆくというやりかたである。……このやりかたなら、読書はひとつの創造的行為となる ## なぜ書きながら読むのか? ダシにしやすいからです。 特に、読むだけだと「思うだけで終わり」「良いことを思ってそうだが実は大したことがない」になりがちですが、書きながらだとこれを回避できます。言語化されるからです。 また、言語化には時間がかかりますので、内容全部を取り入れるわけにもいかず取捨選択が必要となります。これも取り入れる、行動するという面では理にかなっています。 ## なぜダシにするのか? まずは行動したいからです。 特に自分なりに理解することと、全部読まなくてもいいとすることで、気軽な行動を可能にします。正論は通じないと言いますが、これは私たち各々には文脈があるからです。であるならば、文脈の尊重を重視して「自分なりに」やるというスタンスがあっても良いわけです。 次に楽しみたいからです。 ダシにするという営みは創造であり、根源的な楽しさがあります。ただし、やりすぎると視野狭窄に陥ってしまいます。これを回避する方法はそのうち取り上げたいと思います。 ## 例 例として、実際に噛読してみましょう。 たまたま目についた深津さんの以下記事を噛読します。 書き方に正解はありませんが、今回は引用ベースでコメントを書く形にします。内容の要約には無印、個人的なコメントは🐰をつけます。 * 思想を俯瞰したい * 思想は正直興味ないなー、細かい内容は流すか?🐰 * 俯瞰ってことは並べてプロットするのかな🐰 > 自分がヤバい思想にハマらないか俯瞰する仕組み * ふーん🐰 * 興味ないや * でも思想って意識してないだけで自分も染まってるはずだよなぁ……🐰 * 仕事術2.0としては[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)を挙げているが、これもある種思想と言える * まあ造語なので生成AIで俯瞰するのキツそうだが * やってみてもいいかもな * というより、まさにこういうときに使ってみてチェックしたいって話なんだよね、たぶん > 「リベラル」「新自由主義」「フェミニズム」とか抽象レベルでも、「地球温暖化」「中絶法」のような具体的な思索でもよい。 * 軸の名前とプロンプト * これら名前だけ与えて、細かい定義は生成AIに任せてる🐰 * X軸を定義して、のような言い方はプロンプトが上手い🐰 * さすが深津さん > **超急進 vs 超保守 > 規範遵守 vs 規範無視 > …… > > **上下を「規範遵守」「規範無視」左右「超賛成」「超反対」と定義したとき、各エッジがもっとも極端な事例となるように、まずY軸の定義、つぎにX軸の定義をおこなってください。 * さらに11段階に分ける > 思想・ムーブメント「XXXX」に対する、「超賛成」〜「超反対」までのスタンスを0-10の11段階に分割してください。 * 肝心の「自分の思想」のマッピングをどうやるかだが、生成AIにマッピングしてもらう > 生成AIに過去の記事、言動、あるいは対話を通じて自分の考えを言語化し、上記分類の情報とともに「どこにマッピングされるか?」を問います。 * また自分の思想を教える際は、その場で作文するよりも過去ログを持ってきた方が良いらしい * ここは慣れかなぁ🐰 * 生成AIをプライベートな営みとして使い慣れてる人であれば、外用ではない醜い持論は普通に書けると思う * ただ大半の人は慣れてないので、この提案はわかりやすくて良い > 普通に手で自分のスタンスを書くと、みんなええかっこしいになるので、SNSの過去ログを貼り付けるほうが、より正確なスタンスが見えます。 * 他のプレイヤーもマッピングする * 特にその人の思想がわかるような情報をぶち込んで「分類して」言えばいい * とすると、自分もこれと同じやり方にした方が公平か🐰 * つまり自分の思想を入れる際も、上述のように過去ログを貼り付ける感じ * たぶん思想が直接表現されてるとは限らない文章を丸ごとはりつけて、「上記の文章を分類して」「上記の文章から思想を抽出して分類して」などと指示する方が良いのかも🐰 * それともノイズも増えてよくわからんことになる? * まあ試してみるかしないな > > 該当テーマに対しての、主要メディアやキーパーソンの過去発言、自分のインタビュー、SNSなどの振る舞いを同じように生成AIにわたして、ポジショニングを測定します。 * ですよね🐰 * 冒頭でも述べられてるとおり、やりたいのは俯瞰 * もっと言うと、俯瞰したい **思想(の元となる情報)n個は全部自分で用意する** * 生成AIがやるのは、そのプロットだけ * プロットにより近さがわかるから、「うわ、私、このやばい思想に結構近づいてるじゃん」とかがわかる * そういう意味では、自分がなりたくない思想は少なくとも用意しておくのが良いと思う🐰 * 要はそれに近づいてないかが一番知りたい > この時のポイントは、生成AIに「思想Aの良し悪しを聞く」とか「自分がヤバいか聞く」と **しない** ことです。 と、噛読してみたことで、十数分くらいで自分なりに深くできました。単に読むだけでは、こうはできなかったと思います。 また、噛読した内容を共有すれば、情報共有やフィードバックや「じっくり噛んで味わいました」的な感想にもなって良い感じです。 ## 言語化と書くスキル 例を見たことで容易に想像できますが、噛読には書くスキルが要ります。その前段階で言語化のスキルも要ります。 速く書けるほど捗るので、速いに越したことはないです。 ## 余談: 仕事術2.0も噛読しよう 当サイトでは様々な仕事術(仕事のやり方や考え方)を扱っており、読み方も以前解説しましたが、 噛読で読むのが良い、とも言えるでしょう。 # Title: ひとりで散歩できない人も、犬とならできる 自力でできない人は、環境に頼るしかありません。 ## 犬と散歩がわかりやすい これのわかりやすい例が **犬と散歩** だと思います。 ひとりで散歩できない人でも、犬を飼えば散歩できます。犬という外部環境に動かしてもらっているわけですね。 ## ひとりでできる派 vs できない派 できる派とできない派のすれ違いはよく見られます。 たとえばビジネス書や自己啓発書。 「強い意志を持って行動せよ」のような内容がよく語られますが、これは「できる派」にとっては当たり前のことです。 一方、「できない派」から見ると「そんなことできるわけないでしょ」となります。何もわかってないと一蹴したり、あまり理解できなすぎて「頭おかしいんじゃないか」と胡散臭い目で見たりします。 たとえば多忙な現代人の仕事。 現代の忙しさは「できない派」は優勢だからそうなっているところがあります。「できない派」は環境に身を置いて、その刺激に反応する形で動くので、多忙になりがちです。 このあり方は(環境に迅速に応えるので)結果を出しやすいのです。しかも「できない派」は能力が高くて多忙にも耐えられますし、退屈や孤独も嫌いますから、ただでさえ環境に身を置こうとします。正直言ってチートです。 一方、「できる派」はそんなチートじみた人達にはついていけません。多忙すぎて頭がおかしいんじゃないか、考え方が遅れてるんじゃないか、麻痺してるんじゃないかと疑います。特性と能力により、自然とそうなっていることには気付きづらいです。 ## 改めて本記事の目的 話が少し逸れたので戻しましょう。 本記事は、 「できる派」が、 「できない派」に向けて、 「行動したいなら環境に頼ればいい」 と助言したものです。 そして、環境の具体例として犬を挙げました。 つまり、散歩における犬のようなものに積極的に頼ればいい、ということです。 ## できる派もできない派も多様性 話を少し逸らして、すれ違いの例を挙げたのは、もう一つ解説したいことがあったからです。多様性です。 ひとりでできる派も、できない派も、どちらも正しいです。優劣はありません。 多様性の一種として認めて、それぞれに合ったやり方と考え方を使った方が融通が利きます。 多様性は当サイトが重視している観点の一つです。 様々なあり方に個別に配慮できた方が、融通が利きますし、組織としても強くなります。 しかし、そのためには仕事術(仕事のやり方や考え方)という視座が必要です。やり方や考え方を知らないと、あるいは変えることができるとの発想がないと、やりようがないからです。 当サイトは様々な仕事術を紹介しており、そのお手伝いをします。 ## (関連記事) マトリックスを用いて、さらに詳しく分類しました。 # Title: コアタイムとフリータイム フリータイムについて解説します。 コアタイムと比較しながら解説していきます。 ## コアタイム **コアタイム** とは、全員が必ず集まらなければならない時間を指します。この間はコミュニケーションが取れることを保障します。 典型的には「標準就業時間の一部」で「10:00~16:00 など昼休憩をまたいだ前後かつ午後が多め」になりがちです。 コアタイム自体は「時間」のみを拘束するものですが、「場所」も拘束する――たとえば出社も義務化していることがあります。 ## フリータイム **フリータイム** とは、 **所定就業時間内からコアタイムを省いた、残りすべての時間** を指します。 かつ、いくつかの追加ニュアンスがあります。 ### つながらなくてもいい時間 その名のとおり、各自は自由に過ごすことができます。通知にすぐ反応しなくてもいいですし、出社する必要もなければ、朝9:00時点で勤務している必要もありません。 別の言い方をすると、 **つながらない権利** を行使できる「自分だけの自由な時間」とでも言えます。 とはいえ、仕事ではあるので、所定労働時間分は働く必要があります。 ※所定労働時間を撤廃するあり方もありますが、本記事では割愛します。現代では(思想的に)高度すぎて追いつける人からして少ないと思われますが、機会があればそのうち解説したいです。 あるいは、仮に所定労働時間が無かったとしても、仕事が成立する程度には各自進めておく必要があります。 ### コアタイムとセットで使う フリータイムは、コミュニケーションの義務を放棄できるものです。 もちろん、これだけだと仕事が成立しないので、別途コアタイムが必要です。 つまり **コアタイムと必ずセットで使います** 。 ## 違い ### フレキシブルタイムとの違い フレキシブルタイムは、経産省による手引きで使われている言葉で「いつ出社してもよい時間帯」を指します。 ![](/assets/nc3929b522116_1729048054-bLO9XGxdBgAFskT1uSp0etYv.png)https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf 一方、フリータイムは、フレキシブルタイムに加えて **つながらない権利もあります** 。 ### フレックスとの違い フレックスとはフレックスタイム制の略であり、 **フレックス = コアタイム + フレキシブルタイム** です。 一方、フリータイムの場合は、 **(名前はまだない) = コアタイム + フリータイム** となります。 ※良い名前はまだ浮かびません。コアタイムがあるのでスーパーの次(ハイパーやウルトラ)ではないと思います。メリハリをつける、のような意味を持たせられる言葉があるといいなとは思っています。 ### スーパーフレックスとの違い 上記のように書くと、 **スーパーフレックス = フレキシブルタイム** です。コアタイムのないフレックスですね。 ですが、これを運用するのは現実的に難しく、たとえスーパーフレックスを敷いている組織であっても、実体としてはただのフレックスになっていることが多いです。 ## チームワークとソロワークの対応 当サイトではチームワーク100%の現状を憂いて、ソロワークを提唱しています。 対応付けが可能です。以下のとおりです。 * コアタイムでチームワークをする * フリータイムでソロワークをする 別の言い方をすると、ソロワークは「つながらない権利」を持ち出すほどにソロで活動するものだ、ということです。 ソロワークのニュアンスが伝わりづらかったため、今回フリータイムの概念をつくって記事化しました。 # Title: 時間的安全性 「いつ終わるかわからない」 こんなときは **時間的安全性が低い** と言えます。 ## 時間的安全性とは **時間的安全性(Temporal Safety, TS)** とは、ある拘束された状態が指定どおりに終わるという確かさを指します。 いつ終わるかわからない場合、 **時間的安全性が低い** と表現します。 時間的安全性は「ある」「低い」「ない」で論じます。「高い」とは表現しません。 ## 例 * 会議がいつ終わるかわからない * 今日いつ上がれるかがわからない * 要対応な連絡がいつ来るかがわからない * 来るまで帰れない * 来るまで他のことができない etc ## 時間的安全性の性質 ### 主観である 時間的安全性を脅かされている、と感じるかどうかは人次第です。また同じ人であっても状況次第です。 ### 能力次第である たとえばマルチタスクが得意な人は、終わるまでの間に別の仕事ができるため脅威とは感じないでしょう。 ### 思想次第である たとえば会社のビジョンやリーダーに強く共感し、かつプライベートに関心がない人がいたとします。 このような人は、(仕事においては)時間的安全性の感覚は鈍くなります。 ※余談ですが、逆を言えば、時間的安全的な脅威をどの程度感じるかであなたの思想がわかります。強く感じる場合、あなたはその時間の使い方を要請する環境への思想が弱く、かつプライベートへの関心も強いと思います。 これはしばしば自認を裏切ります。自分では「思想が弱い」「プライベート重視」だと思っていても、脅威を感じていないのであれば、実際はそうではありません。思っているより思想が強いか、プライベートを軽視している可能性が高いです。 ## 時間的安全性が低いと、どうなるか **報連相がしづらく(されづらく)なります。 イベント等への参加もしづらく(されづらく)なります。** なぜなら、脅かされるからです。 「いつ終わるかがわからない」という高ストレスな状態は避けたいため、その発生原因である報連相や参加そのものから逃げようとします。いわば防衛反応、拒否反応のようなものです。 ## 時間的安全性を手に入れるには 能力や思想を変えるという観点は扱いません。 また以降では会議を例にします。イベントの例は扱いません(一部当てはまらないものがあります)。 ### 終わりを保障する たとえ議論やその他進行が中途半端であっても、いったんそこで終わらせます。 続きをどうするかは別途決めて、終了タイミングとともに再度セッティングしましょう。そして、その場でも終了時間はちゃんと守ります。それでも終わらなかったら、また同じことを繰り返して、続けていきます。 この手間を惜しまないでください。 ### 終われる権利 **終われる権利(Right to Leave)** とは、終了タイミングが来たら終わってもいいことを保障する権利です。 ※名前は「つながらない権利」を参考にしています。 たとえば会社(あるいは自組織)ルールや文化として、これを行使してもいいことにします。 あるいはパイオニアとして、まずは自分が始めてみてもいいでしょう。終わらない権利であることを説明した後、実際に終わらなかった場合に退出してしまうのです。 行動してみると、意外と何とかなることがわかります。 もし問答無用で通用せず一蹴される場合は、その組織は時間的安全性に無頓着だと言えそうです。無頓着な組織を変えるのも、この概念を通じさせるのも難しいので、本当に安全性を欲するのならば、別の組織に行った方が良いでしょう。 ### セーブの要領を覚える すぐに終われない理由の一つは、その状況(コンテキスト)を素早く保存する要領がないからです。 このような状況の保存を **セーブ** と呼びます。セーブが上手くいった場合、あとで(たとえば30分後)スムーズに再開できます。あるいは、追加の打ち合わせなしに、残りは[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)などで進めることができます。 セーブの要領ですが、これはシンプルで、終わる前に[議事メモ](https://note.com/workhack20/n/nd54e3bec3407)をつくっておくことです。 つまり、 **実質的に会議終了前までに議事メモが(少なくともかなりの部分は)完成している必要があります。** 録画はダメです。音声や映像は(記録として残るのは良いことですが)俯瞰ができないので、スムーズな再開ができません。 例外的に、図や光景を見るだけで思い出せる場合は、写真で済むこともあります。 別解として、 **残り数分のタイミングでセーブ作業をする** のも便利です。ここでは全員が全力がセーブにかかります。 議事メモに慣れているならテキストでいけるでしょうが、慣れていない場合はホワイトボードなどに書いて、それを撮影するのが良いでしょう。 ポイントは、その会議自体のまとめを書くのではなく、セーブしたい情報だけを扱うことです。 ……が、これは正直難しいので、これをするくらいなら議事メモを定着させた方が良いと思います。 ### 会議のやり方を工夫する 耳タコな一般論ですが、一応挙げておきます。 工夫を駆使して、時間タイミングを守って終われるようにします。 * 会議には必要な人だけ参加してもらう * **不要な人や用が済んだ人は参加させない、また退出してもらう** * この観点は非常に重要です。人が多いほど時間的安全性は減ります * 事前に各自準備する * アジェンダを設定して、無駄話をしない * 議事メモを書く * また参加前に書いてしまう * 報連相のうち報告と連絡は会議せずに伝える etc # Title: 朝会やめませんか 朝会という原始的で高負荷で[時間的安全性も低い](https://note.com/workhack20/n/n0e4b03733e92)営みは、未だによく使われています。 この朝会をやめるために、朝会が発生する原因と、それを踏まえてどうすれば良さそうかを解説します。 ※すべての朝会を批判するものではありません。有用となる場合もあります。本記事は「朝会は嫌だし、必要とも思わない」と感じる人向けに書いています。 ## 朝会が発生する理由 ### マネージャーが楽をしたいから マネージャー自身は全員と応対するので、全員集めてひとりずつ聞くのが一番楽です。 ※ちなみに、これで楽しているのはマネージャーだけです。他メンバー全員が割りを食っています。マネージャーはひとりずつヒアリングしますが、その間、当人以外は手持ち無沙汰になるからです。何なら内容を追いかけますし、話を振られたときの備えもしますから疲れます。 ### もったいぶっているから わざわざ朝会の場で言おう、という心理があります。 もったいぶるとは控えめな表現ですが、率直に言えば怠けです。 いちいち朝会の場を待って披露する必要はありません。言いたいことはすぐ書いておけばいい、それを読んで反応すればいい、やりとり増えそうなら個別に打ち合わせすればいい、その結果も書いて残せばいい、重要なら通知飛ばして「見てね」すればいい――それだけです。 ですが、この自律的な働き方は大変なので、「まあ朝会で言えばいいか」「みんないるし、マネージャーも突っ込んでくれるし」と怠けるのです。そして、それを「朝会という場があるんだからそこでやればいい」などと正当化します。 ### 気にしぃだから テキストコミュニケーションだけでも議論はできますし、合意も取れますが、それだと不安だから顔を見たがります。 顔色をうかがってばかりの性格をこじらせています。それを「朝会は仕事だから」「必要なことだから」と正当化します。 ### 寂しがり屋だから ひとりで仕事するのは寂しいからと、毎日顔を見たがります。 そんなものはプライベートで勝手に解消するべきです。会社は学校ではないし、同僚も友達や恋人ではないからです。 腹減ったから皆で食べるのでしょうか。性欲が高まったから同僚とセックスするのでしょうか。違います。プライベートで勝手にやってください。各自がプライベートで頑張るべきです。満たされないとしても、知ったことではありません。 ### 終わりを守らないから 終わりを守るということは、日々の会議や議論を建設的に行う、そのための努力を実際にしていることを意味します。 これができていたら、とりあえず毎日朝会をする、それも終了タイミングがまちまちで[時間的安全性が低い](https://note.com/workhack20/n/n0e4b03733e92)……などということは起こりません。 逆を言えば、毎日朝会をして、時間的安全性も低いのだとしたら、それは努力不足です。努力不足だから「終わりを守る」ことすらできませんし、安易に会議を重ねます。 ### 全員に全員を知ることを課しているから 全員の文脈を知るのはマネージャーの仕事であって、メンバーの仕事ではありません。 ※仮にマネージャーなしで全員が自律的に動く組織であっても、推奨ではありますが必須ではありません。必要に応じて共有すればいいからです。 なのに朝会に全員参加させて「みんな他のメンバーのことも知っておいてね」としているのが現状です。負荷を課しすぎです。 マネージャーが、ひとりだと寂しいからそうしていることもあります。これは正直言ってパワハラですらあります。 ## 朝会をなくすために、できそうなこと ### メッシュからスターへ 全員が参加して全員を知る、はメッシュ型です。 そうではなく、マネージャーだけが全員を知るという構造にします。 ![](/assets/n50380605dc64_1729111764-tPmE26QZsRvKebwTOx4JhCMI.png)左のメッシュから、右のスターにする。 そうすれば少なくとも毎回全員を参加させる、などという愚行は不要だとわかります。マネージャーは、必要に応じて必要な人と話せばいいだけだからです。 やたら全員を参加させたがるのは、根底にメッシュ型の思想があるからです。全員が全員を知っておいた方が良いのはそのとおりですが、理想にすぎませんし、かんたんでもありません。 全員を知るのは **マネージャーであるあなたの仕事です** し、もし本当に全員が全員が知ることを前提とするのなら、マネージャーは要りません。マネージャーというポジションを維持しながら、全員に全員を知ることを課すのは矛盾しています。 ### 公私混同をしない 気にしぃにせよ、寂しがり屋にせよ、だからといって会議を無闇に増やして皆を巻き込んでいい理由にはなりません。 まず、会議にはそのような用途(交流)が混ざりがちなので、意図的に切り離してください。 次に、コミュニケーションが大事だというのなら、それ専用の時間を、 **業務時間中に** 別途確保してください(大事なら構いませんよね?)。 いずれにせよ、会議の場で公私混同しないでください。 ### 非同期コミュニケーションを増やす 朝会含め、安易に会議に頼ってしまうのは、それ以外のやり方を知らないからです。 会議なしでも仕事を進められる非同期コミュニケーションを覚えましょう。少しずつでも取り入れていきましょう。 原始的なやり方としては、すでに日報があります。 日報は本来「会議無しでも済ます」、あるいは少なくとも会議を減らすためのものです。日報を書けば朝会はなくせますし、仮に書いているのに朝会もあるとしたら、以下が原因です。 * 書き方が下手 * 読んでいない * マネージャー側にその気がないことが多いです 重要なのは日報で仕事がまわるようにすることです。そのためにちゃんと費やすことです。1日1時間以上かけて模索するくらいは当たり前です。 そうでなくては日報の意味がありません。 また、発展的なやり方として当サイトでは分報よりもリアルタイムな共有を重視する「秒報」も紹介しています。 ### 報連相と議論を分ける 朝会は報連相だけにします。 ここで、相談とは「答えを知っている or 意思決定できる人がいて、すぐに終わる」ものを指します。 逆に、すぐには終わらないものは議論であり、これは朝会で行うべきではありません。議論は別途必要な人だけを集めて行ってください。 **報連相と議論を分けると、朝会に頼らなくても案外回せることに気付けます** 。 報告と連絡は情報共有であり、会議すら要らないですし、相談も非同期コミュニケーションでできます。議論は、すでに述べたとおり、別途必要な人だけでやればいいです――と、朝会という毎日定例イベントが要らなくなります。 ### タスク管理を覚える(特にマネージャー) 朝会が発生する主因の一つが、マネージャーが無能だからです。さらに言えば、タスク管理ができないから、とりあえず皆を集めようとします。 タスク管理ができるのであれば、各種議論や話したいことのすべてを、現実的な時間内に行えるようコントロールできます。むしろマネージャーであるならば身に付けねばならないスキルです。 難しいことですが、そういうものです。マネージャーは難しいものですし、だからこそ高給です。それがわからず、安易に全員を集めて全員の時間を奪い、負荷を課すような真似をするのは職権乱用、搾取と同じです。 さて、タスク管理は領域が広いので、自分に合うやり方を探すのが肝心です。当サイトでも色々と紹介していますので参考にしてください。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86&context=note&mode=search) ### 朝会を自由参加にする 朝会への参加に耐えられる人や向いている人もいれば、耐えられない人や向いてない人もいます。 後者にも強要することが間違っているのです。これは後者を何とかすればいいとも言えます。朝会を自由参加にするのが端的です。 朝会に参加している人は朝会で済ませ、参加していない人には別の方法でフォローします。ここまで挙げてきた他のコツも役に立ちます。 このような複数のやり方を採用する発想は、平等主義が根付いた日本の人は特に抵抗感が強いと思いますが、違います。多様性の一環であり、現代的なリテラシーの一つです。 現代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)な時代であり、このあり方は今後も続きます。できない人は時代遅れの置いてけぼりになります。少なくとも良い人材は集まらないし、逃げていきます。そうでなくとも静かな退職に見舞われてしまって恒常的に苦戦するようになるでしょう。 こういったことを減らすためにも、多様性を確保する――複数のやり方を許容することが大事なのです。 朝会という全員参加型会議の存在は、この件が試される好例だと思います。 # Title: ハイブリッドスケジュール マネージャーのスケジュールと現場のスケジュールは違います。 ゆえにお互い歩み寄るのは難しいですし、ともするとマネージャーが権力が強いので強行しがち(つまり現場が割りを食う)です。 この問題を軽減できる方法として **ハイブリッドスケジュール** があります。 ## ハイブリッドスケジュール **ハイブリッドスケジュール** とは、マネージャーのスケジュールと現場のスケジュールを **両方とも** 取り入れたあり方を指します。 ### Before マネージャーは時間枠が並んでいて、誰と打ち合わせするかという世界観で動いています。 現場はまとまった時間を使って仕事をします。 ![](/assets/n406b0bde0a12_1729117054-QTE4ciNWuvBG9kJ7XRpzF8aK.png)スケジュール観の違い。 ### After マネージャーも、現場も、「まとまった時間」と「誰かと打ち合わせするための時間枠」の両方を取り入れます。 ![](/assets/n406b0bde0a12_1729117124-aTtoPXOFqLKiSbD9jl8BeIsC.png)これは午前を現場側、午後をマネージャー側にした例。 図は単純化していますが、時間枠の長さは人によって違います。 Aさんは30分の枠を並べているかもしれないし、Bさんは1時間の枠を並べているかもしれません。AさんとBさんが打ち合わせする場合は、どちらかが他方に合わせるか、45分くらいの枠をつくるか、などするでしょう。 ## ハイブリッドスケジュールの組み方 ハイブリッドスケジュールは1日ごとに組み立てます。 組み立て方のパターンとしては以下の4つがあります。 * 1: マネージャーのスケジュールのみ * 終日、時間枠が並びます * 2: 現場のスケジュールのみ * 終日、まとまった時間だけが存在します * ミュートデイ(1日1度も誰とも喋らない)も可能です * 3: 午前がマネージャー的、午後が現場的 * 4: 午前が現場的、午後がマネージャー的 従来は、マネージャーは常に1を採用していました。また、現場は常に2を採用したいですが、そうはならず、マネージャーの1に巻き込まれていました。 この単純なあり方は、変えていいのです。全員が1や2を使ってもいいですし、もちろん3や4でバランスよくやる(ハイブリッドスケジュール)のも OK です。 **ハイブリッドスケジュールとしては、3と4だけを使うことを推奨します** 。1は現場を軽視しすぎですし、2だと現場はありがたいですがマネージャーが苦しいでしょう。ちょうど良いバランスは、毎日両方を確保することです。 ## 応用: フリータイムを導入する 応用編として、コアタイムとフリータイムを導入すると、より使いやすくなるでしょう。 つまり現場のスケジュールはフリータイムで過ごし、マネージャーのスケジュールはコアタイムで過ごします。 この場合、午前と午後で分けるというよりは、「昼をまたいだ前後」と「その前」「その後」で分けることになるでしょう。かつ、前者がコアタイム、後者がフリータイムになります。 このとき、注意したいのですが、コアタイムが長すぎるとフリータイムが短くなってしまい、現場が欲しい「まとまった時間」が得られないことです。 **1日8時間としたら、コアタイムは半分以下が望ましいです** 。可能なら2時間で済ませたいです。まとまった時間を前後で3時間ずつ取りたいからです。 コアタイムを2時間で済ますには、会議は相当高密度にしなければなりません。経営者レベルですと15分以内の会議も身近だと思いますが、そのレベルを全員が意識することになります。 # Title: 現場に歩み寄るためにマネージャーができること 現場とマネージャーのスケジュール観が全く別物であることは以前お話ししました。 ですので、 **マネージャーが安易に打ち合わせを設定することは、それ自体が現場を妨害する行為** となりがちです。 コミュニケーション自体は必要ですが、もっと上手くやれます。 どうやればいいかを解説します。 特に凝り固まった固定観念をほぐすことも必要なので、辛辣な指摘もします。 ## 必要な人だけを巻き込む 最重要です。 特に **日本は平等主義が強くて、「全員を参加させようとしがち」** なので、この点は本当に強く意識せねばなりません。 また、以下記事で述べたとおり、マネージャーが単に無能だったり怠けたりしたいがために全員を集める例もあるあるなので、本当に配慮したいのであれば改めましょう。無自覚な人も多いので、今一度顧みてください。 ## 情報共有で済むものはそうする 情報を知らせれば済むものは、会議にしなくても「これ見といて」で済みます。 それでも見ない「自己管理のできない人達」がいるなら、その人達だけを集めて情報共有用の会議をしましょう。 ※ここでも上述した平等主義が顔を出します。「仲間はずれになっちゃうよなぁ」「全員呼んだ方がいいよなぁ」などと考えてしまうのです。平等主義は本当に手強い存在です。 ## 1回でも1秒でも減らす意識を持つ 会議は「頭の切り替え」や「時間・場所の拘束」を伴う、非常に疲弊する営みです。少ないに越したことはありません。 「10分くらいいいでしょ」などと考えるのは甘すぎです。適当に自堕落に過ごす学生気分から抜けていません。私たちは社会人であり、これは仕事です。 時間も認知資源も貴重な資源であり、部下だからといって軽視していいものではありません。尊重してください。 ## 権限委譲する そもそも権限委譲、もっと言えば仕事を任せることができていないとコミュニケーション量が増えてしまいます。 マネージャーは意思決定こそ行いますが、暇であってもいいくらいです。あるいは、直接現場の作業を負っていない立場だからこそできること――必要に応じたフォローだったり、組織全体の運営だったり、中長期的な目線で今後に備えたりといったことに費やすことこそが本懐です。 そのためには、くだらないプライドや管理脳を捨てて、メンバーへに任せることを進めてください。立場上、あなたが責任を取らないといけないのだとしても、です。 **権限委譲ができないと、マネージャーのあなたがボトルネックになります** 。 そして、そんな無様なあり様を「必要なことだから」と正当化する日々が続きます。実にくだらないことです。そうなってしまうのは、単にマネージャーとして無能だからです。 難しいのは当たり前です。だからこそ高給ですし、権限もあるのです。難しいからこそ、権限委譲を進めていってください。 ## 必要に応じて降参する 権限委譲とも被りますが、マネージャーは、特に真面目な人ほど何でも負いがちです。 必要なら降参してください。部下に降参して「全部任せたいんだけどどうですか?」「立場上できないことがあれば適宜言ってください」と提案してもいいですし、チームの外との渉外でも、それはできませんなど断ることも大事です。 特にマネージャーになるような人は、組織に染まってしまっているせいで相当固定観念に毒されています。 * 部下の力を過少に見ている * たとえば平社員なので自分で動けるはずがない、私が管理しなければならないと思っている * 仕事を断ってはいけないと考えている * お客様は神様ではないが、真面目だと気づきにくい 今一度顧みてください。 ## 定例会議は必要なければスキップする 定例会議だからといって、毎回必ず開催しなければならない道理はありません。 要らないならスキップしてしまえばいいのです。それで問題が起きたら、必要な人を集めて会議すればいいだけのことです。 **融通を利かせましょう** 。 当サイトでも、この件の仕事術を扱っているので参考にしてください。 ## ウェルカムアプローチを使う マネージャーは「私が知りたいから知りに行く」と独裁的になりがちですが、違います。 重要なのは仕事が上手く回ることであり、あなたは役割の一つにすぎません。無闇に会議を開催して、メンバーの時間や集中力を奪っていい理由にはなりません。 一つおすすめするのが **ウェルカムアプローチ** です。 これは「この時間帯ならいつでも誰でも来てもいいよ」とするものです。大学におけるオフィスアワーがわかりやすいでしょう。 もし複数のメンバーが来たのなら、病院やファミレスのように待ち列にします。番が回ってきたら、メンションなど通知を飛ばしましょう。 ※あるいは、待っているメンバー当人が問題ないならその場で待っても構いません。 馬鹿らしい、面倒くさい、なんでそんなことを……と思われるかもしれませんが、これはメンバーに寄り添ったやり方です。このような発想を理解できない場合、おそらくあなたはマネージャーとしてのプライドにとらわれています。 もう一度言いますが、マネージャーも役割の一つにすぎず、偉いとかいったことはありません。 ## 伝統や現行踏襲を断ち切る 「昔、私のマネージャーだった人達もそうしてきた」 だから私もするんだ、との論調はよくありますが、望ましくありません。 「部活動で先輩に乱暴されていたから、今先輩となっている私も後輩に乱暴するんです」と同じくらいに時代錯誤です。 言葉にするとかんたんで、そんな事するわけがないと思うかもしれませんが、 **意外とそうでもありません** 。 平然とまかり通っていることが多いです。人間ですし、特に日本は組織や伝統を重んじる文化でもありますから仕方のないことですが、だからこそ意識的に抗ってください。 ## ハイブリッドスケジュールを使う マネージャーのスケジュール観と現場のスケジュール観は違うので、そのままだと中々マッチングしません。 ですので両方を取り入れます。これをハイブリッドスケジュールと呼び、以下記事で解説しました。 # Title: 業績評価だけでなく工績評価も 業績評価は能力と成果だけを見ますが、ここが一種のボトルネックになっています。 現代では **「仕事のやり方や考え方を工夫する」目線** も重要でしょう。ならば業績評価のように、評価の対象に加えるべきです。そうでないと業務として工夫されづらいですし、むしろ「業務ではないから」と軽視されがちです。 ## 工績 このような工夫の評価を **工績(こうせき)** と呼びます。 また、工績を正式に人事評価に加えたものを **工績評価** と呼びます。 ## 工績評価を導入するメリット ### 1: VUCARDな現代に対抗できる 現代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)であり、「仕事のやり方や考え方」はもはや固定的でもなく単一でもありません。動的かつ多様(複数が同時に存在する)なものです。 こんな時代に対応するためには、工夫が必要ですが、業績評価の世界では(業績とは関係ないため)行えませんでした。 工績評価があれば、業務として堂々と行えます。 ### 2: 直接的な人材以外の人材を活かせる 人材は二種類に大別できます。 利益を生み出す仕事をこなして直接利益を上げる「直接的な人材」と、それ以外の「間接的な人材」です。 現代では(一部の明確なバックオフィスを除けば)直接的な人材が優遇されています。が、誰にでもできるものではないため、実質的には一部の優秀な人に負荷が集中します。 前述したとおり、やり方や考え方の工夫はいくらでもできますが、直接的な人材にはその余裕と適性がありません。 **一方、それを持つ間接的な人材も、業績評価的な世界では直接的な貢献を求められてしまいます** 。もったいないことです。 加えて、何らかの改善や新規事業などの名目で、 **直接的な人材に追加タスクが与えられることもあります** 。 工績評価を導入すると、この二つの問題を解消できます。 直接的な人材は直接的な仕事に集中でき、間接的な人材も、 **向いていない直接的な仕事ではなく、やり方や考え方の工夫に集中できる** からです。 ### 3: 業績が上がる 兵農分離はご存知だと思いますが、 **現代は言わば兵(直接)と農(やり方や考え方の工夫)が分離できていない** 状態です。 これを分離しようという話です。そのためには明確なインセンティブが必要ですから、工績評価という新しい評価体系を追加するのです。 これにより、結果的に、分離できてなかった頃よりも業績も上がります。 ## (関連記事) 何をどのように組み込むか、という話をいくつか紹介しています。 # Title: 会議改革したいなら会議時間を業績評価に組み込む 会議の改善・改革が進まないのは、モチベーションの問題が大きいと思います。手段や方法はもうあるのです。 ならばモチベーションを上げる(上げてもらう)ために、業績評価に会議時間を組み込むことが考えられます。 ## 二種類の組み込み方 * 1: 会議時間が多いほど評価が下がる * 遅刻と同じような減点方式 * 2: 会議時間が多いほど「もともと存在していたインセンティブ」が減る ## 計測方法 オンラインとオフラインの両方が必要でしょう。 いずれにせよ、かんたんではありません。(小さな会社でなければ)一大事業になるでしょう。 ### オンライン ビジネスチャットやその他会議ツールのデータを採取します。 相当の工夫と、ある程度の自製を必要とします。想定されていない使い方ですし、データがあるとも限らないですし、小細工も発生するからです。 例として、TeamsでもGoogleカレンダーでも何でも良いですが、グループスケジューラーから自動採取するやり方を考えます。 採取自体はAPIを使ってください。 肝心なのは採取タイミングですが、前日が良いでしょう。当日夜や翌日以降ですと、参加した後の予定を消されてしまって「いやいや会議してないですよ」と小細工されてしまうからです。 前日の採取でも、このような小細工は起こり得ますが、採取を回避するためにいったん消して、また入れ直すというのは面倒くさすぎて、ほとんど行われないと思います。仮に行われるとしても、「こういう小細工自体が面倒」と思ってもらえれば、それは会議を減らすモチベーションに繋がります。 ### オフライン オンラインよりも物理的・金銭的に難しくなります。 やり方は以下の二通りでしょう。 * 1: 会議室の管理者を設置し、いつ誰がどれだけ使ったかを全部その人に計測してもらう * 2: すべての会議室にセンサーやカメラを設置し、いつ誰がどれだけ使ったかを計測する * センサー + 社員証でピッとやって計測する * カメラの録画を確認し、あとで人力で計測する etc ### 別解: 申告制にする 一部の業種や会社では、工数管理を行っていると思います。どんな仕事にどれだけ費やしたかを申告するのです。 会議時間も同じように管理します。強引に言えば、会議工数管理とでも言えましょう。 これの本質はコンプライアンスです。要は「私たちの会社は、どの社員がどんな仕事にどれだけ費やしたかをちゃんと管理していますよ」という形の見せ方です。こんなもの、いくらでも小細工できますが、それをさせないためには従業員の高いリテラシーや厳しい罰則、管理が要ります。 会議工数管理も同じようにするのです。 ## Q&A ### Q: 部門や部署など小さな単位で試しても良い? おそらく試せないと思います。 結局モチベーションに反映するには「評価」というインセンティブに組み込む必要があるわけですが、部門や部署の単位ではその権限が無いと思います。 トップが太っ腹であれば、金銭的なボーナスを付与できなくもないですが、これはただの臨時ボーナスみたいなものですし、額も大した額にはならないでしょうから、あまりモチベーションは出ないと思います。 やはり会社の制度として、正式な評価軸として採用されるくらいのインパクトが欲しいです。 ### Q: 「業績」評価ではないよね? はい。 このように「仕事のやり方や考え方の工夫」を評価とすることを、仕事術2.0は **工績(こうせき)** と呼んでいます。 つまり以下のようになります。 * ❌評価 = 業績評価 * ⭕評価 = 業績評価 + 工績評価 本記事は、正確に言えば「会議時間を工績評価に組み込む」です。 ### Q: そもそもモチベーションを「上げてもらう」とは? 会議の改善や改革は、トップが「こうするぞ」と決めて落とせば済むものではありません。 いつ、どれだけ会議するかは人によって違うので、一律に課すのには限度があるからです。 ※会議時間をリソースと捉えて「一社員あたり週n時間まで」のように定めることはできます。が、これも会議時間の管理であり、本質は本記事の提案と同じです。 あるいは、仮に課したとしても、どうせ裏でこっそり会議します。意味がありません。 ですので、会議の改善や改革は、当人達に動いてもらうしかないのです。当人達を納得させねばならないのです。 # Title: アウトプット(情報共有)を業績評価に組み込む 仕事の評価項目に「アウトプット」を取り入れている組織は少ないと思います。 ※ブログ記事やドキュメントなど **情報共有という意味での** アウトプットを指します。仕事の成果ではありません。 IT企業では見かけますが、恣意的な評価になっているのが現実だと思います。 本記事では、アウトプットを評価に取り入れるためのヒントをお届けします。 ## 前提 ### アウトプットとは アウトプットとは、以下をすべて満たします。 * 1: フルオープン * 全社員全員が誰でもいつでも置けるし、見れること * 2: アンマネージド * 個人が直接業務でない形で、かつ誰に命令されることもなく行ったものであること * 3: アクティブ * 宣伝、啓蒙や発見の仕組みがあること、また活動も許容されること * 4: リアクション * ページビュー、いいねなど読者の反応(をつけたり記録したりする機能)がシームレスに存在すること なので、たとえば以下は満たしません。 * 1を満たさないもの * 「内部の引き継ぎ資料つくりました」 * 2を満たさないもの * 「正式な仕事として~~の報告書をつくったものを全社的に公開しました」 * 「社内の研修部門であり恒常的にコンテンツを発信しています」 * 「上司から指示されたテーマで書きました」 * 3を満たさないもの * 「公開はしましたし、評価面談で見てもらいもしまいたが、他社員からのアクセスはゼロです」 * 4を満たさないもの * 「リアクションは記録されませんが、半期に一度、社員全員にアンケートを飛ばして特に役に立った記事を挙げてもらっています」 ### イベントもアウトプット 勉強会や報告会といったイベントも評価に含めることができます。 ※この後解説しますが、ページビューとは別の指標で評価に加点できます。 ただし以下の条件を満たす必要があります。 * 1: 事前 * 事前にアウトプットをつくっており、イベント前日以前に公開すること * 2: 記録 * イベントの参加者数を何らかの手段で記録し、公開すること * 個人情報のマスク化は可能 * 3: 事後 * イベント当日後もアウトプットを公開し続けること * 加えて、発表内容自体の録画も公開すること 一つでも満たさないものがある場合、そのイベントは、本記事における評価としては無効となります。 このように厳しくしているのは、あくまでイベントではなく情報共有をメインとしているからです。しかし、イベントも上述の「3: アクティブ」の一手段であり、かつ参加者という形での計測指標が存在するため許容しています。 **ここの厳しさは必ず敷いてください** 。ここを厳しくしないと、本取り組みは、≒イベントをたくさん開いた人が評価される、となり本末転倒となります。重要なのはあくまでも情報共有であり、フルオープンな情報を残すことです。 以降からは、どう実現していくかの話に入ります。 ## 使える指標 いくつか紹介します。 唯一の正解は無く、組織にあったものを使うなり組み合わせるなりアレンジするなりしてください。 ### (定量指標) PVとEP 定量データで統一的に評価するのがてっとり早いです。そのためは「ページビュー」のような指標を定義せねばなりません。この案は、まさにこれをします。 まず、使う指標を解説します。PVとEPです。 **PV** はページビューの略で、アクセス数です。割愛します。 **EP** はEvent Participationの略で、 **(イベントなどに)1人参加した** ことを示す単位です。1EP、のように書きます。 さらに、PVとEPを「内部」と「外部」で分けます。 ![](/assets/nf5089c0aad61_1729222435-TYD8Pcpit7OgysUnAwvJMGhC.png)マトリックスになる。 **内部とは社内の反応** であり、 **外部とは社外の反応** です。ブログ記事を書いて、100人が見た場合は100pvですが、社内に発信したのか社外に発信したのかで違いますよね。これを区別します。 指標は整いましたので、次に重み付けを考えます。 まず **1EPが何PVに相当するか** を決めます。ベースとする単位はPVということですね。このとき、内部と外部は揃えてください。 つまり、以下の二つを決めます。 * 1内部EPが、何内部PVに相当するか * 1外部EPが、何外部PVに相当するか 次に内部と外部の重み付けを決めます。 **以下の4パターンがありますので、いずれかを選んでください。両方の場合は、nの値も決めてください。** * 内部だけ採用する * 外部だけ採用する * 両方採用し、内部を重くする * 内部で1稼いだ場合は、数字をn倍にする * 両方採用し、外部を重くする * 外部で1稼いだ場合、数字をn倍にする ここまでで指標が整いました。誰がどれだけ貢献したかは、pvという数字で表現しきれます。これを **スコア** と呼びます。 あとはスコアを順位付けするかです。偏差値にしてn段階のグレードに分類するなり、指定スコアを超えたら指定インセンティブを出すのような絶対的な条件にしたり、など色々あると思います。本記事では割愛します。 ### (定量指標) +1の導入 +1とは、要するに「👍 いいね」です。 PVやEPのかわりに、 **いいねの数だけを** 使います。 **いいねの総数 = スコア** 、にすると言い換えて構いません。 他の点は、PVとEPと同じです。 PVとEPは「実際の反応」が乗りますが、+1では「社員達の意図的な反応」が乗ります。後者の方が関係性や政治を反映しやすいです。 ※内部の場合。外部の場合はあまり関係がありません(しかし、外部に伝手を多く持つ人が訪問数を集めることはできます) どちらが良いという話ではなく、組織にあった方を選んでください。あるいは両方試すのも良いでしょう。 ### (定性指標) キラークエスチョン **キラークエスチョン** とは、ここでは **発信者の価値を問う、率直な質問** を指します。 色々考えられますが、一例を挙げます。 * 「この人がいなくなったら困るという人を挙げてください」 * 「この人がいなくなったら嫌かも、という人を挙げてください」 質問の提供方法ですが、以下のとおりです。 **すべて満たしてください。** * 用意 * 必ず一問だけを用意します * 信頼できる人または組織が単一の質問フォームをつくり、全社員がそれを使います * 質問フォームは常に開かれており、誰でもいつでも使えます * 同じ人は一度しか挙げることができません スコアの計算方法ですが、評価時期のどこかでフォームの結果を集計して、 **「1人分の計上」を 1 として計算** します。たとえば「Aさん」と挙げた人が13人いるなら、Aさんのスコアは13です。 最後に、スコアと評価の紐づけについては、PVとEPと同様です。 ## 文化やツール 上記の指標を運用する際に、どのような文化やツールがあればいいかを議論します。 ### 業務時間中のアウトプット活動を正式に認める 全社的に、業務時間中にアウトプットに充ててもいいことを正式にアナウンスしてください。 **これをしないと始まりません。** 私たちは思っている以上に真面目であり、業務時間中にアウトプットするという発想はそもそも持っていないのがマジョリティです。この感覚をまずは崩さないといけません。 ### アウトプット活動に縛りを設けない 週に10%まで、といった縛りは設けてはなりません。 ルール上は「業務に支障が出ない範囲で」などガイドライン的な融通の指定をするに留めてください。 ### ツールを用意する 社内の場合と社外の場合それぞれを解説します。 社内の場合、全社員全員が自由に読み書きできるCMSを用意してください。PVやいいねをサポートしたものが欲しいです。 チャットやWikiでは足りません。また、ストレージを設けてドキュメントを配置してもらう案も話になりません。 **ブログ記事レベルのまとまった文章を書けるCMSが必須** です。 事実上、WordPress や Drupal を社内で構築することになると思います。 このジャンルの製品はまだないと思いますので、よろしければ新規事業のネタとしてお役立てください。 社外の場合は、note や Qiita や Zenn を始めとするブログサービス(のビジネスプラン)がありますので、それで問題ありません。ただし、以下の点でおすすめはできません。 * 何千人以上と存在する大企業の場合、全員が社外ブログにアウトプットする、というのは考えづらい * 現代の価値基準からは進みすぎていて理解されづらいと思います * 機密情報を含むアウトプットを行えず、アウトプット自体が形骸化しやすい * 外部に出す情報ゆえに「承認」が敷かれがち 小さなIT企業など、限定的な会社であれば使いやすいでしょうが、たいていはそうではないと思います。 ## Q&A Q&A形式で補足をまとめます。 ### Q: 「業績」の評価ではないと思いますが…… Ans: そのとおりです。 このように「仕事のやり方や考え方の工夫」を評価とすることを、仕事術2.0は **工績(こうせき)** と呼んでいます。 つまり以下のようになります。 * ❌評価 = 業績評価 * ⭕評価 = 業績評価 + 工績評価 本記事は、正確に言えば「アウトプットを工績評価に組み込む」ですが、いきなり工績という言葉を使ってもわからないので、タイトルでは馴染みのある「業績評価」を使っています。 # Title: タイニータスク **タイニータスク(Tiny Task)** とは、2分以内に終わるタスクを指します。 ## すぐに処理せよ タイニータスクは、すぐに処理するべきです。 後回しにすることで認知資源を無駄に食いますし、わざわざタスク管理するほどのものでもありません。すぐに処理して、さっさと終わらせてしまった方が良いのです。 ## よくある誤解 ### 「すぐに」は「今すぐに」ではない 「本当に今すぐに」と解釈する人が多いですが、違います。 厳密に書くなら、 * 落ち着いているときに、 * 目についたら、 すぐにやる、というニュアンスです。 落ち着いてないときにわざわざタイニータスクをやるのは潔癖すぎますし、目についてない(認識していない)のにわざわざ探す必要もありません。 ### 2分で終われるタスクはそんなに多くない よくある反論の一つが「2分で終わりそうだが、実際はもっとかかる」ですが、おそらくタイニータスクの捉え方が間違っています。 タイニータスクの候補は「2分で終わりそう」ではなく **「まあ問題なく終わるよ」とわかるような、低難度な or 慣れているタスク** です。 以下記事がわかりやすいと思いますが、 美容院予約、返信ハガキ、Amazonで注文といったタスクはそもそも一般的にタイニータスクではありません。 ![](/assets/n61e7b36cea01_1729283460-dS3j1n6qsYpXw97iI5VuktPb.png)タイニータスクではない……。 かんたんなタスクではありますし、忙しい人は感覚が麻痺しがちですが、2分というのは思っている以上に短いものです。 ※電池については、すでに何度か購入していて、ブックマークからもう一度買う、くらいであればできそうです。 タイニータスクは、よほど慣れた仕事でもなければ、家事など定型作業がメインになります。以下に一つ例を出します。 * 1: 洗濯機を開始する * 2: 部屋に散らかした洗濯物を仕分ける * 3: 仕分けた洗濯物を仕舞う 特にわかりにくいのが 2: と 3: だと思います。これを一緒にすると、おそらく2分では終われません。 ### 2分でできることなんてほとんどない 特に仕事ですと、2分でできることなんてないよ、と思われがちですが、そうでもありません。というより、 **2分でできることの範囲は能力と状況次第です** 。 極端なのが、メッセージのやりとりが多い権力者(マネージャーでも経営者でも何でも)です。分刻みのスケジュールで動いているような人ですね。 この人達はいかにボールを抱えず、すぐに返すか(あるいは無視して捨てるか)が腕の見せ所となります。大量の相手とのやりとりなど、タスク管理するのは厳しいからです。 ※できないことはないが、地味で地道なタスク管理は、このような人達とは相性が悪い。 相手にボールを渡しておけば、次また返ってきたときに反応すればいいだけだから楽ですよね。 さて、十分な能力があれば、タイニータスクとみなせるメッセージも増えます。ボールを減らせる率も上がりますから、それだけ楽もしやすいです。 実際、このような人達は多くのタイニータスクを扱っています。一般人では5分、10分、それ以上かかることもタイニーに処理してしまいます。このような能力が必要な状況でもあり、ゆえに鍛えられもするからですね。 ## 事例 GTDの文脈では「2分ルール」という言葉で言及されます。 ## # Title: 「特定タイミングでやりたくて」「2分で終わる」ものは、アラームに任せる 私たちは様々なタスクを抱えていますが、その中でも「特定タイミングでやりたい」かつ「2分で終わる」ものがあります。 このようなタスクは、アラームに任せてしまうのが良いです。 ## 問題の整理 特定タイミングでやりたい、2分で終わるタスク。 これは **特定タイミングでやりたいタイニータスク** と呼ぶことができます。タイニータスクについては、以下記事を参照してください。 タイニータスクは2分で終われるような小さなものですが、問題は「特定タイミングでやりたい」という点です。 名前がないと不便なので、 **タイムリー・タイニータスク(Timely Tiny Task, 略してTTT)** と呼びましょう。 ## 解決策 Ans: 1日の最初にリマインダー(アラーム)を仕込みます。 仮に今日やりたいTTTが7個あったとしたら、1日の最初に、その7個全部のアラームを仕込みます。 スマホのアラーム機能で構いません。アラーム設定が7個分必要なので、頑張ってつくってください。 そうすると、時間が来たらアラームが知らせてくれますから、そのときにさっさとこなせば消化できます。 もう一つ、この「TTT分のアラームを全部仕込むタスク」を忘れがちなので、目覚ましと同様、仕込んでしまいましょう。朝 7:00 に起きる人なら 7:05 でもいいですし、一通り落ち着くのが 30 分くらいだから 7:30 くらいにしておこうか、でも良いでしょう。 ## 例 TTT含めて、わかりにくいと思うので例を挙げます。 🐶さんはリモートワークをしています。以下5つのTTTを抱えています。 * 洗濯を稼働させる * 超朝型なので、5:30 や 6:00 に稼働させたいが、さすがに近所迷惑 * 隣人達は 8:00 には出るので、8:00 以降なら問題ない * ゴミ捨て * 9:00 までに出さないといけない * でも寝起きで出すのは面倒くさい * 8:00 以降なら出しやすいが、よく忘れてしまう * 上司の🐈️さんや、案件のチャットチャンネル上にメッセージを出す(TTTとしては2つ) * 早すぎると無駄に仕事増えるし、遅すぎたり忘れたりするのも良くない * すぐには相手されずらい時間帯をすでに押さえているので、その間にメッセージを投稿したい * 郵便物溜まってるので処理したい * 1日1個ノルマで処理すれば消化しきれることがわかっている * 昼休憩でご飯を食べ終えた12:30以降なら、比較的腰が上がる タイミングを定義すると、たとえば以下のようになるでしょう。 * 洗濯機の稼働: 8:00 * ゴミ捨て: 8:30 * 🐈️さんへの定例メッセージ: 10:15 * 郵便物を一つ消化する: 12:33 * 案件Aのチャットチャンネルへの定例メッセージ: 13:30 あとは、アラームを設定するだけです。 8:00、8:30、10:15、12:22、13:30 の 5 つ分をつくって、毎日最初に有効化します。 ## メリット TTTを確実に消化することのメリットは、 **QoLの向上** です。 TTTを後回しにせず、確実に消化していくことで、あとあと苦しんだり不快になったりするのを防げます。TTTなんて別にやらなくても死ぬわけではありませんが、確実にやれれば、生活は快適になっていきます。 問題は、自分の意思だけでTTTを行うのが難しいことでしたが、本記事では、アラームという仕組みを使えば比較的かんたんにこなせると提案しています。 ## Q&A ### Q: アラームを仕込んでも腰が上がらない Ans: そのタスクがタイニーではないのかもしれません。 タイニー(2分で終わる)かどうかは人によりますが、 **意外と少ない** です。多くの人は、実際はもっとかかるものをタイニーだと思い込みがちです。 2分で終わらせるためには、まず最適化が必要です。要は慣れることです。それでもダメなら、そのタスクが難しいか、あなたの能力が足りないかです。 要は、 **本当にタイニーであるなら、すぐ終わるはずなので腰は上がりやすい** のです。上がらないということは、心理的にすぐ終わらないことがわかっているからだと考えられます。 ### Q: アラームなんかで出来たら苦労はしない Ans: できない人はできません。 世の中には、自分の意思で自分を制御できる人とできない人がいます。 タスク管理なんて役に立たないとか、自己管理できたら苦労しないと言っている人は後者です。アラームのとおりに行動できないのも後者だと思います。 これは特性なので、どうしようもありません。後者の人は、ひとりで制御するのは難しいので、環境(他の人含む)の力に頼ってください。 ### Q: TTTなんて持ってない Ans: 気づいてないだけかもしれません。 どんなTTTが眠っているかは人によって違いますし、通常自分自身で気づくしかありません。 上記の例も、万人に当てはまるものではないですが、自分の事情をもとにTTTを導いている感じがおわかりいただけるかと思います。 ## (関連記事) アラームのように「あとで知らせてくれる仕組み」をリマインダーと呼びます。リマインダーを知れば、このような仕組みにもっと頼れるようになると思います。 # Title: コミュニケーション1.0 [非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)や[情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc)が進まない最大の理由は、メンタルモデルにあると思います。 「そういう発想がない」のです。 これを説明するために、私たちが普段使っている「コミュニケーションのメンタルモデル」を言語化します。 ## コミュニケーション1.0 **コミュニケーション1.0** とは、想定するコミュニケーションです。 常に特定の誰かを想定し、その誰かがどのような反応をするかも想定したコミュニケーションを行います。 ### 「誰か」がわからないと動けない ということは、その「誰か」がわからないと動けません。 たとえば以下は、コミュニケーション1.0だと行えません。 * 身元や所属がわからない人と一緒に仕事をする、一緒に過ごす * 不特定多数に向けた発信 * 匿名コミュニケーション * 誰に向けたものではないが、誰かの役に立つかもしれない情報を残す ### キャパシティがある 「誰か」という情報は無限に保存できるものではありません。 有名なのがダンバー数で、関係を維持できる人数は150人程度といわれたりしますが、これもまさにコミュニケーション1.0によるものです。 「誰か」は無限に扱えるものではなく、限界があるのです。 ### オーダーメイド的である コミュニケーション1.0では、「誰か」ごとにコミュニケーションの仕方を変えています。言わば顧客ごとにオーダーメイドで対応しているようなものです。 これは純粋に負担が高い営みです。 ## 非同期コミュニケーションや情報共有を阻む 現代的に賢く仕事をするためには、非同期コミュニケーションや情報共有といったあり方が必要です。 しかし、これらは(技術と方法の揃った現代であっても)中々浸透しません。その理由も、そもそもコミュニケーション1.0のメンタルモデルにあるのだ、ととらえるとシンプルになります。 **そういう発想がそもそも持てない** のです。 非同期コミュニケーションにせよ、情報共有にせよ、全員が見える場所に情報を置いて読み書きします。これは以下図でいうと右側の発想であり、左側ではありません。 **コミュニケーション1.0の考え方では扱えない** のです。 ![](/assets/nd70bc71f3450_1729289464-dvNJRay3pkrW7jCOIfKqUhiz.png)コミュニケーション1.0では、右側のあり方を扱えない。 ## コミュニケーション2.0へ そういうわけで、コミュニケーションのあり方をアップデートせねばなりません。 コミュニケーション2.0へと続きます。 # Title: コミュニケーション2.0 コミュニケーション1.0の続きです。 非同期コミュニケーションや情報共有が進まない理由として「コミュニケーションのメンタルモデル」を挙げ、1.0と名付けました。 本記事では、1.0から脱するためのあり方を解説します。 ## コミュニケーション2.0 **コミュニケーション2.0** とは、期待するコミュニケーションです。 何かを明確に期待して、あるいは漠然と期待して情報を残します。 情報は(範囲指定することもありますが)開かれており、いつ誰が読んだり書いたりするかはわかりません。 ### 好例は不特定多数への発信 2.0的なあり方として最も親しみやすいのは **不特定多数への発信** でしょう。 近年ではインターネットやSNSにより、誰でも行えるようになっています。また、掲示板や[コミュニケーションノート](https://note.com/guraboma/n/n73f8b99c87e7)や新聞の投書といったあり方は昔からあります。 ### 場を介する 1.0では、人から人へと直接届けていました。各人の脳内では具体的な「誰か」の想定があり、その想定に基づいてコミュニケーションを行っていました。 一方、2.0では、場を介してやりとりします。 **人に直接届けるのではなく、場に情報を置いて、それを読んでもらうという形を取ります** 。 ### 伝達範囲が広くなる 1.0は「想定した相手」に「その相手のための情報」を直接届けるコミュニケーションです。 このように、意図した相手にのみ情報を伝達するという伝達の範囲を **想定伝達範囲** と呼ばせてください。1.0は、想定伝達範囲が狭いコミュニケーションです。 **2.0では想定伝達範囲が広くなります** 。構造的にそうなります。誰かに直接渡すのではなく「場」に置くからです。場にアクセスされれば見られてしまいます。また、場には情報が残り続けますから、いつ誰に見られるかもわかりません。 ## コミュニケーション2.0を身につける 非同期コミュニケーションや情報共有は、従来の1.0では行えません。2.0が必要です。 そして、2.0のあり方を受け入れるということは、 **想定伝達範囲が広くなることを受け入れる** ことを意味します。 ### 「誰」よりも「情報」に目を向ける 2.0という価値観を取り入れるためのポイントは、「誰」よりも「情報」に目を向けることです。 1.0では常に「誰か」を想定していました。これをやめます。 代わりに重要なのは「情報」であると捉えて、この「情報」を育てていくことを考えます。 冷たい言い方をすると、「情報」が育つのなら、誰が読んだり書いたりしても問題ありません。あるいは、特定の誰かを想定する場合であっても、情報を場に置くようにすれば、その誰かと一緒に情報を育てていけます。 1.0 の記事でも描きましたが、以下図でいう右側を目指すのです。 ![](/assets/nf2ae39825e42_1729290842-YA2okTe6pqizhJEOWXDF5U48.png)1.0 → 2.0へのシフト。 1.0では、情報は各自の脳内にあります。だからこそ毎回その人と直接コミュニケーションをしてすり合わせるしかありませんでした。これは極めて原始的です。 一方、2.0ではそれを「場」に出すのです。 ### 1.0と共存する コミュニケーション1.0は要らない、完全に捨てるべきだ、と言っている **わけではない** ことに注意してください。 1.0も依然として重要ですし、[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)など1.0こそが重要となる場面もあります。 ## (関連記事) さらに進んで、3.0についても整理しました。AIが登場します。 # Title: 社外1on1に一足先に手を伸ばす 1on1ミーティングというと社内をイメージしますが、社外の人と行うこともできます。あまり開拓されていないので、先手を打てると強いでしょう。 本記事の対象読者として以下を想定します。 * 社外1on1のポテンシャルを模索したい人 * 社外1on1に関するビジネスを模索したい人 * 社外1on1という概念に興味がある人 ## 事例は3つに分類できる 現在のところ、社外1on1の事例は **「サービス」の形で提供されています。** 利用者はサービスを受ける立場となります。 この前提で、利用者の立場が3つほどあります。 * As a fellow * fellowは「仲間」「同輩」 * 運営側の人からコーチングを受ける、壁打ちする等 * As a friend * 友達のようにカジュアルに話をする仲 * As a fun * 利用者がファンで、運営側の人がアイドルという構図 ## 事例 * エール株式会社、As a friend * 「社外人材によるオンライン1on1研修」を謳う * サポーターなど「傾聴」に力点を置く * 株式会社ジェイフィール、As a fellow * 社外バディを謳う * VTuberとのリアルファンミーティング、As a fun * 1対1でおしゃべり * VTuberは普段はブロードキャスト型だが、VTuber 1on1では専有できる * 時間はビジネスの文脈よりも短い(分単位) * 握手会のイメージ [VTuber 1on1 FAN Meeting『推しと対戦よろしくお願いします。 #推し対』](https://t.livepocket.jp/e/gqeil) 軽く事例を見たところで、以降からは理論の話に入ります。 ## External 1on1 社外1on1のことを **External 1on1** と呼びます。 対して、従来の 1on1 を **Internal 1on1** と呼びます。つまり 1on1 には Internal と External があるということです。Internal しかない、というのは過去の話です。 さて、このExternal 1on1ですが、 **Internal 1on1とは色々と性質が異なります** 。同じ1on1のカテゴリではあれど、中身は全くの別物と考えるくらいが良いでしょう。 ## 3F改め4F 事例の部分で As a が 3 つほどあると説明しましたが、もう一つあります。再載を含めて、改めてまとめます。 * As a fellow * fellowは「仲間」「同輩」 * 運営側の人からコーチングを受ける、壁打ちする等 * As a friend * 友達のようにカジュアルに話をする仲 * As a fun * 利用者がファンで、運営側の人がアイドルという構図 * **As a federation** * **運営者と利用者、といった上下関係はありません** * ※federationは「連盟」の意 * このタイプは、お互いが対等な立場に立ちます * 例: A社とB社が提携してExternal 1on1を行う ## External 1on1のメリット As a xxxx を明示せず、雑多に書きます。 * 他者とコラボレーションできる * External 1on1というジャンルでビジネスをおこせる * 「External 1on1を行えるオープンな企業」としてアピールできる * また1on1したい他企業が集まってくるので情報を集められる、コラボレーションのチャンスを増やせる * 自組織や社員の多様性を強化できる * 会社はどこも独自の文化に染まっており、社員≒信者であるため、他社社員と話す機会は貴重です * コアなファンを相手に、短時間で稼ぐことができる ## External 1on1のマトリックス External 1on1は、1on1のときに何を明かすかという観点で、4つのパターンに分かれます。 ![](/assets/nb20b8b1506f2_1729328545-YDiAKmEncws1ZaW9J52b64CG.png)所属とビデオの有無で分ける。 ### 1: Formal External 所属も明かすし、ビデオもオンにするパターンです。 As a funやAs a fellowの場合、事実上このパターンが必須となると思います。所属とビデオを両方明かさないとサービスにならないからです。 事例はまだまだ乏しいですが、他にも多数考えられるはずです。たとえば、 * 運営側に若者を揃えて、若者文化をリバースメンタリングする1on1 * 運営側にゲーマー、ライターなど専門的な人を揃えて、その専門的な世界をチラ見せする形の1on1 * マニアや卵に刺さると思います * プレゼンや面接やレビューといった営みの練習台になってくる人を揃えて、練習機会を提供する1on1 * **Feedback 1on1** といいます など。 ともすると1on1というより、ただのマンツーマンサービスとなってしまいますが、1on1という言葉のパワーはまだ落ちていません。ビジネスにせよ、組織的な取り組みにせよ、動くなら早い方がいいでしょう。 As a federationの場合、両社が正式に認めることで成立します。よくあるツッコミが「機密情報や競合や利益相反の問題でそんなことできるわけがない」ですが、まさにそのとおりで、1on1として話せる話題をどうするかが争点です。ここは二択で、 **ガッチガチに調整をして業務的・専門的な話を扱うか、それらを廃して一般的な話にとどめるか** 、です。 盲点なのが仕事術(仕事のやり方と考え方)の話だったりします。これは会社によって意外と全く違っていて面白いため、ぜひ話題の一つとして取り入れることをおすすめします。 ### 2: Casual External 所属は明かさないが、ビデオはオンにするパターンです。 エール株式会社のサポーターの事例がこれにあたります。サポーター各々は(エールとは別の)会社員ですが、身元は明かしません。あくまでもエールのサポーターという顔で、利用者と1on1を行います。 このパターンは、 **所属というクリティカルな部分を明かさず、しかにビデオはオンにするので、1on1らしい非言語的なコミュニケーションが可能** です。カジュアルな対話もできます。 ### 3: Official External 所属は明かすが、ビデオはオフにするパターンです。 音声1on1、またはText 1on1(本記事では取り上げません)を行うことになります。 このパターンの事例は現在無いと思います。 アイデアの一つとしては、 **転職サイトへの搭載** です。 A社に応募したい人は、A社の現役社員から話を聞きたいと思います。多少のお金も出せるでしょう。 この「現役社員の話を聞く」を Official External として行うのです。つまり、話を聞きたい人から見ると「顔は見えないが、A社の現役社員と喋れる」となります。 会社側は、必要なら社員側の名前を仮名にしても良いですし、声もボイスチェンジャーで変えてもいいでしょう。つまり社員をリスクに晒さず、しかし現役社員として対応できるわけです。 たいていの会社は、このような1on1は行いたがらないでしょうが、逆に、これを行う会社は健全な会社と言えます。その上、志望者からの濃い話も聞けますし、お金も取れます。 ### 4: Light External 所属も明かさないし、ビデオもオフにするパターンです。 このパターンも、事例としてはまだ無いと思います。 あるとすれば、特定の条件を満たした会社員のみを揃えた、クローズドなExternal 1on1サービスとなるでしょう。 しかし、Formal Externalの項でも述べたとおり、機密情報などの問題があって、そもそも迂闊に1on1できません。ここをどうクリアするかがポイントですが、これもすでに述べたとおり、ガッチガチに調整するか、一般的な話に留めるか、です。 おそらく多種多様な会社の社員が集まるでしょうから、調整は難しいと思います。いっそのこと、一切身元を明かさないで、かつ、1on1の内容は(クローズドの中では)公開される、のようなあり方――つまりはSNSなあり方が良いかもしれません。 あるいは1on1ではなく、1on1 with 1 など3人以上にした方がガバナンスを利かせられるかもしれません。当サイトでも似たものを以前紹介しています。 と、このように、検討の余地はかなりあると感じます。 ## おわりに External 1on1の概要、4F、メリット、そしてマトリックスをお伝えしました。 参考になりましたら幸いです。 # Title: 今週の記事 2024/10/13 今週は 23 記事書きました。 当サイト開始から 5 週が経ちました。 [←前 2024/10/06](https://note.com/workhack20/n/na6f62eb043c0) [2024/10/20 次→](https://note.com/workhack20/n/n0d0be4699df8) ## 時間 ## マネジメント ## アジャイル ## チームコミュニケーション ## コミュニケーションパラダイム ## 1on1 ## 業績評価 ## タスク管理 ## 過ごし方の工夫 ## 読書・インプット ## パラダイムシフト ## (仕事術2.0について) # Title: 今月の記事 2024/09 since 2024/09/14. [2024/10 次 →](https://note.com/workhack20/n/n375e3ce05115) ## 2024/09/22~ ## 2024/09/29~ # Title: 今月の記事 2024/10 [← 2024/09 前](https://note.com/workhack20/n/n81e5a12bc0ed) [→ 2024/11 次](https://note.com/workhack20/n/n008e7a4e2a95) ## 2024/10/06~ ## 2024/10/13~ ## 2024/10/20~ ## 2024/10/27~ # Title: 溜まると昂りやすいので「コンスタント・リフレッシュ」を 葛藤も、怒りも、欲求不満も、溜まれば溜まるほど危ないです。爆発しやすくなります。 ## メカニズム * 溜まったものは自然にはなくなりません * 溜まっている間は、思考もその「溜まったもの」に向きがちです * 信念が強化されていきます * 欲求には「溜まったものを出したい」もあります * 排泄が最もわかりやすい * つまり欲求のレベルで「出したい」のです これらのコンボにより、爆発しやすくなります。 ## 例 * いきなり離婚を突きつける * いきなりキレて暴言や暴行を繰り出す * 性犯罪に手を出す ## 対処する 対処するには、溜まりきる状態を防ぐか、そのような状態で居る時間を短くします。 これは実質的に **溜まったものをこまめに解消する** ことを意味します。コンスタントに解消する、ということで **コンスタント・リフレッシュ** と呼びます。 コンスタント・リフレッシュを行うコツをいくつか紹介します。 ### 代替手段を探す 溜まったものを出すための「本来の手段」が使えないことがありますが、代替手段なら可能です。 最もわかりやすい例が性欲です。パートナーがいなかったり、いてもセックスレスだったりすると解消できませんが、代替手段は色々あります。 * オナニー(自慰行為)をする * セックス目的の出会いに足を運ぶ、そのような友達をつくる * 性風俗を使う etc 「本来の手段じゃないと嫌だ」というプライドは発生しがちですが、それで溜まりに溜まって爆発してしまったら本末転倒です。 ※あくまで好例として挙げたものであり、性との向き合い方に関する議論は本記事では割愛します。 ### 問題と逃げずに向き合う 特に対人的な不満については、言わずに溜めるケースが多いですが、言わないと相手も気付かないので改善されません。溜まり続けてしまって、どこかで爆発します。 逃げずに向き合ってください。ちゃんと言語化して、伝えることで改善を図ってください。 特に日本はハイコンテキストな文化であり、言わないことが多いですが、ハイコンテキストが通じるのはビジネスや組織など「全員が従うべき統一的な空気や理」だけです。 **私生活では、これは当てはまりません** 。だからこそ、明示的に伝えることで、お互いにすり合わせていく必要があります。 ※十分にすり合わせができた後であれば、ハイコンテキストは可能です。 実を言うと、ちゃんと話し合うためには、話し合いが通じるかどうかが重要です。これを **トーカブル(Talkable)** と呼びます。お互いがトーカブルだと対等な関係になれます。 パートナーを選ぶ際は、ぜひトーカブルであることを意識してほしいです。経済力、趣味や性格の一致といったものと同等以上に重要だと思います。 ### 規則正しく生活する コンスタントに解消したいなら、規則正しく生活するのが最適です。 **解消するための行動を忘れてしまいがち** だからです。さらにタチが悪いことに、仕事など忙しくて優先度の高い営みに溺れてしまって、正当化もしがちです。 規則正しく過ごすことを覚えれば、解消のための行動も規則的(たとえば定期的)に行いやすくなります。 ### 解消頻度を知る どの程度の頻度で解消すればいいかは人によって違います。 わかりやすいので再び取り上げますが、性欲も、毎日解消しないとムラムラしやすくなる人もいれば、一週間以上何もしなくても平気な人もいます。もちろん、障害や加齢などで欲求そのものが薄くなる・なくなることもあります(この場合はそもそもコンスタント・リフレッシュは不要)。 本当に人によって違うので、 **自分にとって適切な頻度** を模索したいです。頻度が足りていないと、解消のための行動はしているのに爆発しちゃった、なんてことになりかねません。爆発を食い止められなければ意味がないのです。 # Title: ハラスメント・シフト ハラスメントのあり方は変わります。 この動きは思っているよりも早く、あなたも知らないうちに片棒を担いでいるかもしれません。 ## シフトできないことの弊害 * 良い人材が集まらなくなります * 特に改善や変革を行える人材が集まりません * 「愚直に優秀な人材」は集まりますが、この人達は愚直ゆえに、改善や変革の要領には乏しいです * 人件費が上がります * 愚直で優秀な人材しか定着しないので、入れ替わりが激しくなります * またハラスメントから逃げたくて「静かな退職」を選ぶ人も増えます * 思っているよりも生産性が上がらないので、さらに人を雇うハメになります * 閉鎖的になります * やましいことであるとは理解しているため、人を選んで関わらせるあり方しか採用できません * 多様な情報や人材の取り入れができず、内輪ノリが形成されやすくなります 要するに、シフトできずに平然とハラスメントする人達がいるような組織で働きたいか、という話です。そんな場所で働けるのは、それに耐えられるほど強い(優秀だとか鈍いだとか色々ありますが)人だけです。そうはいないので、たいていは静かな退職など静かに過ごします。 また、このような組織は閉鎖的で融通も利かないため、変化もしづらく、前時代的で過ごしづらいです。働き方の負荷も高く、リモートが使えなかったり(使えてもオンライン会議ばかりだったり)、[QoW](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577)の概念を理解できなかったりします。 ## 好例: 暴力暴言は昭和まで、怒号怒声は平成まで ハラスメント・シフトの好例として以下を取り上げます。 > 暴力暴言は昭和まで、怒号怒声は平成まで。 現代で暴力や暴言を振るう人はそうはいないと思います。 一方で、 **怒号を出す人(怒鳴る人)や怒声を出す人(怒鳴りはしないが声に怒気を込める人)はまだまだ多いです** 。職場でも多いですし、職場ではしない人であっても、友達や家族など親しい間柄ではしたりします。 これは価値観をアップデートできていない印です。 暴力や暴言が基本的にNGであるように、現代ではもはや怒号や怒声もNGです。これがわからず、使っている人は、昭和時代からアップデートできずに引き続き暴力や暴言を使っている人達と同じです。 ※特殊な状況では必要なこともありますが、本記事では割愛します。 また、被害に遭う側も、「怒鳴られる自分の方が悪い」などと考えてしまいますが、違います。怒鳴る方が100%悪いです。 昔も「殴られるこっちが悪い」「暴言を吐かれるこっちが悪い」と考える人達が大勢いましたが、現代の目線だとおかしいとわかります。これと同じです。やる方が100%悪いです。 ## ハラスメント≠会社から出された禁止事項 よくある誤解が、ハラスメントを「会社から禁止されている事項」と捉えているものです。 それだけではありません。もっと言えば、 **たとえ会社から禁止されていなくとも、ハラスメントはハラスメントです** 。加害を控えねばなりません。 「別に禁止はされてないから」 「うちはこういうものなんだよ」 などと正当化されることが多いですが、これらはまさにシフトできていません。別にシフトせずに通用するならそれでもいいですが、上述した弊害は生じます。 ## おわりに 逆に何でも無闇にハラスメント化するのも滑稽ですが、そもそもシフトできていないのはもっと滑稽です。 皆さんはいかがでしょうか。弊害を避けて、より良い組織をつくっていきたいのであれば、ぜひシフトしていきましょう。 ## (関連記事) ハラスメントは「日頃から蓄積した不満が爆発する」形で起こることがあります。ですので、こまめに発散できていれば、起こりにくくなります。 # Title: 「フェア・エフォート」 絡むなら対等な努力をせよ たとえば担当者が20時間かけて練り上げた企画を、30分もかけていない上司がチェックすることがあります。ただの助言ならともかく、合否を握っていたりします。 以前[デファクト・クライアント(事実上のお客様)](https://note.com/workhack20/n/n1620f02510dc)を紹介しましたが、ここで注目するべきは「30分しかかけてないのに」判断を下すというおかしさです。 ## フェア・エフォート **フェア・エフォート(Fair Effort)** とは、判断を下すほど関与するなら対等な分だけ費やすべきだ、とする考え方です。 ※前提として、両者ともに未経験と仮定します。いわば実力がゼロの状態からスタートします。 上記を例にすると、担当者が20時間かけたのであれば、 **判断を行う上司も同程度の努力をする(時間をかける)べき** 、となります。 ## アンフェアがもたらす弊害 フェア・エフォートでない状況を **アンフェア** といいます。 また、努力量が少ない側を **ノーバディ(nobody)** といいます。 ここでは単純化のため、担当者と上司の二者がいて、上司が判断を行う権限を持っているがアンフェアである(上司がノーバディ)とします。 生じる弊害はただ一つで、 **余分なハードル(ボトルネック)が一つ増えること** です。 上司の意見は参考にはなれど、判断を行う役としては不適切なはずです。少なくとも担当者より実力不足だからです。30分しかかけていない分際で、一体何がわかるというのでしょうか。なぜ20時間かけた側の成果物を評価できると思うのでしょうか。 この場合、 **最適解は「20時間をかけた担当者の企画で進める」こと** です。担当者と上司の二人しかいなくて、担当者の方が努力して水準が高いわけですから、当然のことです。この最適解を取らないあり方は、ただの無駄、ただの障害です。 実際は偏りが懸念されますから、上司の意見も参考にするべきですが、あくまで参考にすぎません。主導権は担当者にあります。 ## フェア・エフォートのメリット 上記の弊害――つまりは余計なハードルをなくせることです。別の言い方をすると、 **最適解で進める** ことです。 ## Q&A 上述の単純化した例を用いて、よくある話題をQ&A形式で議論します。 ### Q: 経験豊富な上司のチェックは必須ではないのか? Ans: 文脈にもよりますが、典型的なおごりであることが多いです。 前提として両者とも実力ゼロを仮定しました。このような状況は新規事業や組織改善といった「新しい取り組み」でよく起こります。 新しい取り組みですから、 **純粋に努力量の多い方が実力が高いです** 。ゼロからのスタートならなおさらです。立場や人生経験や業務経験は関係ありません。 ### Q: 上司にわかりやすく説明するべきではないか? Ans: わかりやすく説明できるとは限りませんし、たいていはできないです。 企画内容は「本質的に複雑である」ことも多いです。仕事ですから当然です。それをわかりやすく説明すること自体がそもそも間違っています。情報量が100あるものを、5に圧縮せよといわれても、大部分が抜け落ちてしまいます。 わかりやすくするのは、顧客に見せる部分で十分です。内部で検討する者達に行う必要はありませんし、するべきではありません。 **複雑なものを複雑なまま扱って議論・検討を進めるべきです** 。 ### Q: 上司は社内事情や人生経験に詳しいはずで、頼るべきではないか? Ans: そのとおりですが、判断するのは違います。 すでに述べたとおり、実際に推進していくのは(この時点で)最も実力を持つ担当者本人です。ですが、上司に分がある領域も色々とありますから、その部分は頼りますし、頼るべきです。 別の言い方をすると、上司はサポーターにすぎません。強力なサポーターかもしれませんが、ノーバディであることに変わりはないので判断の権限を握ってはいけません。握った瞬間、その仕事はノーバディがハードルになります。 ### Q: フェア・エフォートができないなら権限委譲をせよ、ということか? Ans: はい。 ### Q: ノーバディは「権限はないが助言をする」役割になればいいということか? Ans: はい。 これはティール組織では **助言プロセス** と呼ばれています。助言自体をプロセスとして義務付けたりもしますが、最終的な権限・裁量を持つのは担当者です。 ### Q: 忙しい上司がフェア・エフォートをするのは不可能ではないか? Ans: はい。 だからこそ権限以上が必要で、上司は「権限無き助言者」になる必要があります。 逆にフェア・エフォートがしたいのなら、それだけのリソースをきちんと捻出してください。通常、内外への調整や衝突が必要になるでしょう。そういった努力をせず、ノーバディのままで絡もうとするのは傲慢、あるいは思考停止と言われても仕方がないほどの愚行です。 特に立場を言い訳にする思考停止は、非常によくあります。 ## フェア・エフォート・マトリックス ここまで見たパターンは「部下1人 + 上司1人」ですが、他にもあります。 パターン全体はマトリックス化できます。 ![](/assets/n0fbd80095910_1729405864-a1WJETc5xXPQkFvGNpgm82Ay.png)上下関係と1対1で分ける。 と、マトリックス化しておいて何ですが、対処は単純で、以下のとおりです。 * 1: フェア・エフォートを経て実力水準の揃った者だけが、その仕事の権限と裁量を持つ * 2: ノーバディは権限と裁量を握らない * 助言は可能 1対1であっても、複数人であっても、あるいは階層組織でもフラット組織でも関係ありません。ノーバディ **には権限と裁量を握らせないこと、そして一緒にやりたいならフェア・エフォートにより規定の水準まで来ること** ――この二点です。 更に一言で言うと、 **水準の揃った者だけに権限と裁量を渡す** ――この一点を徹底します。ノーバディはウイルスみたいなもので、一人たりとも例外を許してはなりません。 こう書くと、フェア・エフォートは過激で選民的にも聞こえますが、そのとおりです。厳しい考え方だと思います。なぜかというと、「新しい取り組み」がそもそも難しいものだからです。既存や既知の延長ですぐこなせるほど甘くはないのです。 ## TIPS マトリックスにより全パターンまで拡大したところで、改めて、よくある話題や知っておくと良いコツなどを雑多に取り上げます。 ### エフォートの定義 フェア・エフォートでは実力水準、もっというと努力の量を揃えることを要求しますが、「努力」とは何でしょうか? ここに解はありませんので、 **「かけた時間」で構いません** 。 ### エフォートの量は厳密でなければならないか? Ans: いいえ。 たとえば「20時間くらいキャッチアップしないとついていけないと思う」との基準を定めていたとします。ここに「1日ガッツリ8時間くらいかけて、わかったと思うので、もう参加していい?」という人が来たとします。 この人を受け入れるかどうかは、融通を利かせてください。不安なら「いや、あと1日かけてください」としてもいいし、大丈夫そうなら「お願いします」でもいいでしょう。 一つの目安が、 **すでに水準に至っている人の「生の成果物や議論」についてこれるかどうか** 、です。 ### ノーバディでも貢献する例はあるか Ans: あります。 新規事業や組織改善に限ったことではないですが、何事にも才能というものがあり、少ない時間で、あるいは一瞬で正解を踏める人もいたりします。そのような人を仮に **スーパーマン** と呼ぶことにします。 スーパーマンがいるとしたら、正直その人に任せるか、頼れる部分はできるだけ頼った方が良いです。ただし、現代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)ですから、スーパーマンであっても勝率はそんなに高くありません。 もし連戦連勝するのだとしたら、それは仕事自体が「新しい取り組み」ではないということです。そういう場合は、そもそもフェア・エフォートを持ち出す必要はなく、従来どおりの組織体制で遂行すればいいだけです。 ### エフォートを経た人が無能だった場合はどうするか? Ans: まずは一度は実行してもらいます。 一度実行してもらって、その結果を見てから考えれば済みます。 結果も見ずに活動を中断してはいけません。特に「新しい取り組み」は、既存業務に貢献できなかったあぶれ者に回ってくることも多いですから、ともすると成果を見て無能と考えがちですが、無能なのはあなたかもしれません。 **既存業務とは全く別の世界ですので、既存業務で無能だからといって、新しい取り組みも無能とは限らない** のです。むしろ、既存業務に染まっている方が、常識や固定観念にとらわれがちという意味で無能だったりします。 明確に無能だとわかるのは、そもそも言語化が下手すぎて何を行っているか全くわからない、といったケースに限ります。 以下は、必ずしも無能とは言えません。 * 『知らない言葉がたくさんあって、理解できない』 * おそらく、あなたがノーバディなだけです * 『根拠やプランといったものがない』 * 新しい取り組みでは通常これらは揃えられません * おそらく、あなたは正解を求めているか、あるいは細かい管理をしようとしています * 辛辣に言えば、 **古いやり方からアップデートできていません** * この点は[デファクト・クライアントの記事でも指摘しました](https://note.com/workhack20/n/n1620f02510dc) # Title: いかに情報を引き出すか 「ブレイン・エリシット」 私たちひとりひとりはたくさんの情報を持っており、これをいかに引き出すかが肝心である――。 このような考え方を **ブレイン・エリシット(Brain Elicit)** と呼びます。Brain(脳内)からElicit(引き出す)というニュアンスです。 [VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)な現代において、重要となる考え方です。 ## 引き出せないとどうなるか * トップダウンで画一的・統一的に管理するしかなくなる * 融通が利かない * 静かな退職が発生する * ※このやり方が適するシチュエーションもあります * 改善、変革、創造といった高度な仕事が行えない * これらを行うには、いかに当事者から多様な意見を引き出せるかが大事です ## 引き出すためには? ### アイデンティティ・パラダイム 素のアイデンティティ(名前・容姿・性別)を晒すこと自体が一つの脅威となっています。また単一の見せ方しかできないというボトルネックもあります。 ここを脱すると、より融通が利くようになります。 ### メンタルモデル 原始的な対面口頭、同期的なコミュニケーションだと発言量――もっと言えば情報を出せる量に限界があります。 この限界を脱するには非同期的なあり方が必要です。そのためには手段以前に、メンタルモデルを変えねばなりません。 たとえば、コミュニケーションというと常に特定の誰かを想定して、その人のために何を伝えるかを練り上げると思いますが、これだけでは限界があります。 なので、それを1.0と名付けた上で、もう一つ別のメンタルモデル2.0が要るんだよという点を言語化しました。 そもそもコミュニケーションという概念自体にある種の限界があります。 やはり新しい概念が必要です。 ### 方法やツール メンタルモデルの次は、当然ながら相応の方法やツールも要求されます。当サイトでも色々取り揃えております。 また、コミュニケーションの機会を意図的に設計することでも可能です。 ### インセンティブ インセンティブがないと、人はやる気になりません。 究極的には、業績以外の評価指標を目指すことになります。つまり情報を出すこと自体のインセンティブを正式にサポートします。 そうすれば「情報共有」そのものの価値も理解されてきて、自然と共有されるようになります。情報共有については以下を。 ## 肝は主体的な情報共有 ブレイン・エリシットの肝は「主体的に情報共有してもらう」ことです。 情報を引き出したいだけなら、単にマネージャーがひとりずつヒアリグしていくことも考えられます。それこそ[1on1](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%201on1&context=note&mode=search)でも良いわけですが、このやり方はスケール(拡大)しません。 まずマネージャーが引き出さないと引き出せないため、マネージャー自身がボトルネックになります。次に、情報はマネージャー自身が握ることになるので、情報格差に繋がります。階層的な組織であればそういうもの(上の階層ほど情報を多く握る or 握れる)ですが、階層という原始的なあり方を脱したいのなら、逆を言えば握らせてはいけないわけです。 ですので、ブレイン・エリシットでは以下を強調します。 * 皆さんひとりひとりの情報に価値がある(かもしれない)んですよ * 情報、出してみませんか? * 皆が情報を色々と出し合った世界は、とても面白くて、融通も利くと思いませんか? つまり主体的に共有してもらうことを目指すわけです。 # Title: 「ワーカー・トライアングル」仕事も三者で捉える 組織において、どのように仕事を分担するかは色々考えられますが、 **主流は二者** です。直接部門と間接部門、フロントオフィスとバックオフィス、プロフィットセンターとコストセンターなどですね。 ※経営層は別の立場であり、これを含めると三者になりますが、経営層は一般社員がなれるものではないため扱いません。 しかし二者だと融通が利かず、偏りも生じます。三者にした方が良いかもしれません。 三者で捉えるモデルの一つ「 **ワーカー・トライアングル** 」をご紹介します。 ## ワーカー・トライアングル **ワーカー・トライアングル(Worker Triangle)** とは、役割を以下三つに分けるモデルです。 * ワーカー(Worker) * ヘルパー(Helper) * アドバイザー(Advisor) 図で示すと、以下の構図になります。 ![](/assets/n18da7a4af086_1729456822-8xeo3J5HcL6mI2MZKN4sgtdV.png)ヘルパーが仲介している。 最大の特徴は、ヘルパーが両者を仲介していることです。ワーカーはワーカーの仕事に集中し、アドバイザーはアドバイザーの仕事に集中します。それをヘルパーが繋ぐのです。 ## 二者モデルの限界を越える ワーカー・トライアングルを使うと、二者モデルの限界を越えられます。 ### 二者モデルの限界 1: 従来の二者的なモデルでは、プレイングマネージャなど主に優秀な人が多数の役割を兼任していました。そのせいでその **優秀な兼任者がボトルネック** になっていました。 2: [インセンティブとして業績しか評価されない](https://note.com/workhack20/n/n4cf0969bc6ea)ので、業績以外の活動、特に仕事のやり方や考え方そのものを改善する部分がおざなりになりがちでした。別の言い方をすると、 **後者の改善を担当する役割は、二者モデルには存在しません** 。存在しないので活動されないか、されても、やはり兼任となります。 3: 働きアリの法則やパレートの法則として知られていますが、よく働く人 : 程々に働く人 : 働かない人の比は 2 : 6 : 2 くらいになります。人材としてもったいないことです。これは、二者モデルが **単一の** あり方(業績に貢献できる優秀な人)しか許容していないからです。要は **馴染める人が2割、無難に演じれる人が6割、馴染めない人が2割、という一般論に帰着** できます。 ### ワーカー・トライアングルのメリット ワーカー・トライアングルでは、役割を三つに増やしたことにより、上記限界を越えられます。 * 兼任を緩和できます * 改善を行う役割も確保することで組織の死角をなくせます * 複数のあり方が許容されることになるので、働きアリの法則の限界(262の理)も越えられます 以降からは具体的に中身の解説に入っていきます。 ## 各役割について ### ワーカー/Worker 現場で働く人、プロジェクトに入って働く人を指します。 ワーカーは自分の仕事に100%集中する存在です。昨今では新規事業や改善業務もやらされたり、そうでなくとも様々な雑務がありましたが、これらは **可能な限り免除されます** 。 また主体性も必要ありません。仕事をこなす存在なので、受動的であっても、あるいは指示管理されないと動けない人であっても問題ありません。 ### ヘルパー/Helper 現場やプロジェクトで働くワーカーを支援する人を指します。 従来で言うと、マネージャーとバックオフィスがここに相当します。 「マネージャーはワーカーじゃないの?」とは、よくある疑問ですが、違います、 **マネージャーはヘルパーです** 。 ### アドバイザー/Advisor 仕事術(仕事のやり方や考え方)を変える人を指します。 変えるために必要な情報を集めたり、まとめたり、あるいはつくったりして伝えることを生業とします。また直接相談を受け付けたり、議論したりといったこともします。 **アドバイザーに(現場やプロジェクトに適用する)権限はありません** 。 ## 各役割の連携 三つの役割がどのように連携するかを見ていきます。 ### 肝はヘルパー まず基本的な役割は以下のとおりです。 * ワーカーは100%仕事に集中する * アドバイザーは100%仕事術に集中する * ヘルパーはワーカーを支援し、アドバイザーを活用する 肝となるのがヘルパーで、 **仕事だけ行うワーカーと仕事術だけ行うアドバイザーを繋ぐのがヘルパー** です。 ワーカーとアドバイザーは直接関与しません。 理由はどちらにもあります。ワーカーは100%仕事に集中したいですし、自分でじっくり仕事術をキャッチアップしたり試したりする暇なんてないからです。一方、アドバイザーとしても、100%仕事術に集中したいですし、いちいちワーカーに合った形で最適化する暇なんてないからです。 別の言い方をすると、 **仕事を推進する能力と、仕事術を開発する能力は両立しません** 。ワーカーは前者、アドバイザーは後者に全振りします。かつ、 **ワーカーには複雑なコンテキストがあって**[ **適応**](https://note.com/workhack20/n/n7e6666d45cfc) **や**[ **インプット**](https://note.com/workhack20/n/n9169b6d249cf) **が求められます** から、とてもアドバイザーでは太刀打ちできません。 ですのでワーカーとアドバイザーを分けます。しかし、そうなると両者をつなぐ手段がないので、どちらにも程々に通じた仲介役を置きます。それがヘルパーです。実際、能力や適性として、推進と開発をバランス良く行える人もいます。そういう人がヘルパーを担います。 ### direct と indirect 厳密には、もう少し区分があります。以下のマトリックスを見てください。 ![](/assets/n18da7a4af086_1729462493-ubwi78FXMcsGH9E4Km26QfW0.png)現場やプロジェクトに入るか、入らないかで分ける。 現場やプロジェクトに入ることを **direct** と呼びます。また、入らないことを **indirect** と呼びます。 これはワーカーとヘルパーそれぞれに当てはまります。つまり4パターンあることになります。 ワーカーについては、基本的にはdirectです。一方、現場やプロジェクトに入らない **indirectなワーカー** もいます。 indirectなワーカーは **ベストエフォートが許されやすい存在** です。プロジェクトの会議体やスケジュールにとらわれない存在とも言えます。directなワーカーほど行えることは多くありませんが、意外と色々任せられます。 例: * 特定の業務を任せる * 雑務を専任させる * 対外向けのアピールを手伝ってもらう ヘルパーについては、マネージャーのように **現場やプロジェクトに入るのはdirectなヘルパー** です。バックオフィスのように、入りはせず、 **全社員向けの雑務をこなすのがindirectなヘルパー** です。 ここも応用の余地はあります。 たとえば現場やプロジェクトには入らない **indirectなマネージャー** はよくあります。特にdirectになると負担が大きいので、要らないならindirectで良いのです。ピープルマネジメントや技術的・戦略的なアドバイス程度であれば、indirectで十分です。 また、バックオフィス部門の人間が一時的に現場やプロジェクトに入って、集中的にフォローする **directなヘルパー** もありえます。 **一時的に、集中的にやる** のがポイントで、このような関与の仕方を spot directと呼びます。 ## 経営層はどう関わるか 経営層は、ワーカー・トライアングルでは扱いません。 一般的にはトライアングルの上位に位置します。 どこをどれだけ重視して経営するかは経営者次第でしょう。ワーカーを重視する人もいれば、アドバイザーに丸投げする人もいるでしょうし、ワーカーとアドバイザーの双方を知るヘルパーの声を聞く人もいると思います。 **ワーカー・トライアングルとしては、正解は用意していません** 。 一見すると、仲介役のヘルパーを介するのが最適に思えますが、経営には多角的な視点が必要であり、ヘルパーだけでは偏るのが心配でしょう。だからといって、無闇にワーカーやアドバイザーを巻き込んでも本末転倒です。 しかし、アドバイザーは、ワーカーほど忙しくはないので比較的巻き込みやすいと思います。 また、ワーカーについても、生産性やその因子をデータとして計測できていればデータドリブンに読み解けます。 ※やりすぎるとディストピアになります。バイトでまかなえるような、よほど単純な業務でもない限りは通用しませんし、[仕事術2.0](https://note.com/workhack20/n/na3c3a1adb9f2)を謳う当サイトとしては単純であっても推奨はしません。 というわけで、丸投げするようで申し訳ありませんが、 **トライアングルとどう絡み、どう読み解くのかは経営者の腕の見せ所です** 。 # Title: お前はまだ本当のポモドーロ・テクニックを知らない よくある誤解を整理します。 ## 誤解1: 原典や典型を鵜呑みにする たとえば25-5-4(25分作業、5分休憩、4サイクルごとに大休憩)は有名ですが、この数字は唯一ではありません。 また、作業が捗っているときに休憩が来た場合にどうするか、についても「それでも中断する派」と「そのまま休憩せず続ける派」がありますが、どちらも正しいです。 ポモドーロ・テクニックのやり方は複数あり、適当にカスタマイズしたり使い分けたりすれば良いです。 特にありがちなのが「原典がこう言っているから従う」ですが、別に原典に従う必要はありません(参考にする価値は高いです)。 **そもそもの前提として、ポモドーロ・テクニックは、原典の域を越えて多様に広がっています** 。そこと向き合わず、原典に閉じようとするのは、ただの原典オタクか、自分なりの試行錯誤を放棄した怠け者です。惑わされないでください。 とはいえ、原典は通常よく練られていますから、まずは参考にするのはアリです。公式の書籍やサイトを見ましょう。 ちなみに、ポモドーロという言葉には商標があります。米国ですと、公式の Francesco Cirillo さんがちゃんと取っているようですね。 ![](/assets/n175f18ea881e_1729478263-5TD1ZtBsQy3RIjiXbczpkdV7.png) 2024/10/21時点 ## 誤解2: 集中の仕方は他にもあるため、大した価値はない 自分で集中できる人とできない人がいます。後者の人は、 **人や環境など外部の圧がなければ動けません** 。 学生症候群という言葉はありますが、これは社会人にも多いものです。8割、いや9割はそうでしょう。だからこそ、技術と方法の頼った現代であっても[リモートやアシンク](https://note.com/workhack20/n/n0197e0b5146b)が難しいのです。圧がないと動けないため、対面や会議に頼るしかないのです。 さて、ポモドーロ・テクニックは、この後者の人達が「自分一人でも」比較的集中しやすいものです。 なぜかというと、おそらく以下でしょう: * わかりやすい * 「何をどうするか」ではなく「過ごし方」を扱うだけなので、扱いやすい * 音が鳴るので気付きやすい シンプルなテクニックですが、後者の人達からすると画期的な救世主なのです。 **前者側のアスリートな人達はこれが理解できず、必要性を疑問視します** が、惑わされないでください。 ## 誤解3: 作業時間や休憩時間の記録は取った方がいい 目的によります。 あなたのリズムを可視化・定量化したいのなら取るべき(ついでに言えば、デジタルの方が正確なのでアプリを使うべき)ですし、集中のリズムをつくるためのルーティンとして使いたいなら、記録なんて要りません。 記録を取りたがる記録マニアの声に惑わされないでください。 ## 誤解4: ポモドーロでは「作業」を進める必要がある 違います。 たとえば「内省をしてみる」「本やドキュメントを読む」でも良いし、クリエイターが行うような創造的な仕事をしても良いです。 何するかは問いません。自分に合ったポモドーロ・テクニックを模索すればいいだけの話です。 ※模索して見つからなかった、はありえます。また作業的なタスクを進める方が馴染みやすい、というのも多くの人に当てはまるとは思います。 作業をしたがる作業中毒者の声に惑わされないでください。 ## 誤解5: ポモドーロではマルチタスクはできない いいえ、できます。 **そもそもマルチタスクなどというものはありません。マルチタスクとは、単に切り替えが早いだけです** 。 25分-5分のサイクルを採用した場合、これは30分ごとに切り替えることに等しいです。もし10分くらいで切り替えるマルチタスカーがいるなら、7分-3分のようなサイクルを採用すればいいだけの話です。 ## ポモドーロ・スタイル 上述のような誤解が生じてしまう理由は、主に二つあります。 * 1: 正解が唯一である(特に原典)という思い込み * 2: ポモドーロ・テクニックが多様に広がっていることを知らない これを打破するために、仕事術2.0では一つ概念をつくりました。 詳細は以下記事を参照してください。 # Title: ポモドーロ・スタイル **ポモドーロ・スタイル(Pomodoro Style)** とは、ポモドーロ・テクニックのあり方をカスタマイズすることです。 カスタマイズして定義した各々を **スタイル** と呼びます。 ## 例 ### WRCパラメーター 25分作業-5分休憩-4サイクル回して休憩―― これは25-5-4と表記できます。Work、Rest、Cycleのそれぞれを定義しているわけです。 他にも定義の仕方はあります。 * 25-5-4 * 最もよく知られたスタイルです * 60-10-2 * 60分作業、10分休憩、2サイクルで大休憩 * 学校を彷彿とさせますね * 10-50-6 * 10分作業、50分休憩、とだいぶ休憩が長いです * 集中力が短いクリエイターは、意外とこういうスタイルが合っていたりします ### CoB(Continue or Break) 作業がはかどっているときに休憩が来た場合にどうするか、は2通りあります。 * 1: Continue * そのまま続ける * 2: Break * それでも中断する どちらも正しくて、スタイルの違いでしかありません。 一般的には、集中の獲得がしたいだけなら Continue が良く、日中集中力を持続させたいなら Break が良いと思います。 ## なぜそんな言葉をつくった? Ans: 誤解を解きたいからです。 詳しくは以下記事を参照してください。 # Title: 「Attend or Output」 参加しないならアウトプットしなさい > 参加しなさい。それが嫌ならアウトプットしなさい。 ハイブリッドワークはバランスが良いように見えますが、依然として出社派に寄ったあり方です。出社タイミングを揃える点が強制的だからです。 ここを脱するのがフレキシブル・ハイブリッドワーク(FHW)ですが、 Attend or Outputは、FHWを促進する考え方の一つです。 ## Attend or Output Attend or Outputとは、 **参加かアウトプットかを選ばせる** というものです。 Attendとは参加を意味します。出社だったり、イベントへの参加だったりを意味します。 Outputとはアウトプットを意味します。特にここでは「 **参加はしませんが、代わりにアウトプットします」** という代替的な意味合いを持っています。 ## アウトプットとは 情報共有を意味します。 つまりオープンな場所に残します。皆が見える場所に置く、あるいは置いて活動します。 下記段階で言えば、Lv3のプロアクティブ(誰に言われずとも全部出す)を意味します。 ## 多様性を促進する Attend or Outputの真の目的は、多様性の推進です。 出社派(参加派)とリモート派(アウトプット派)を共存させます。従来は参加派が厚遇され、アウトプット派は冷遇されがちですが、そのせいで情報格差や政治が生まれていました。 しかし、アウトプットだけで成立するほど仕事や組織は甘くなく、参加派を蔑ろにするわけにもいきません。 ですので **両取り** します。そのためにはどちらのあり方も許容されることが前提ですが、 **いたずらに参加をサボる理由として使われても困ります。そこで「ならば代わりにアウトプットしなさい」とする** のです。 # Title: 「Reject and Open」 拒否するなら事情を公開せよ 多様性を推進する文脈では、よく「皆がわがまま言ってたらきりがない」「一人を例外にすると組織が成立しない」といった反論が出ます。 この反論に応えるのがReject and Openです。 ## Reject and Open **Reject and Open** とは、 **拒否するならその事情をオープンにせよ** という原則です。 ## 例 HSPやASDとして配慮されたいなら、HSPであることやASDであることは公言します。 **しなくてはなりません** 。 育児を並行する人が、会社の制度だけでは足りずにさらに配慮が欲しいのなら、やはり育児として抱える事情を公言します。たとえば「シングルマザーで他に頼れる人がいない」「給料も平社員なのでそんなに高くなくて、シッターを雇えるほどではない」「子どもが障害児なので通常の育児よりも大変」などです。 このように、配慮してもらうために **公言をもって誠意を示します** 。配慮する側も **公言をもって誠意を了承** し、配慮を行います。 ## Reject and Openが機能する理由 オープンにすること、が重たいものだからです。 Reject and Openは、言わば **自分の弱みやプライベートをさらけ出すことに等しい** です。たいていの組織では不利に働きますし、安易にこれらを晒すことは強い抵抗感を伴います。なのに、わざわざ公開してでも、配慮してほしいわけです。 逆を言えば、さらけ出せない人は、所詮その程度なのです。そういう人は我慢すれば良いだけですし、現に今もそうしているでしょう。 ## オープンにする範囲 公言の範囲には議論の余地があります。全社的に公開するのはやりすぎでしょう。カミングアウトと同等の扱いが良いと思います。つまり、 * 1: 関係者に個別に共有する * 2: 共有された者は、本人の許可なく第三者に喋らない * 3: 共有の必要がある場合は、必ず本人の許可を取る とすることです。 もう一つ、可能なら **「チーム内」や「部署内」レベルにまで公開範囲を広げたい** です。そうしないとオープンのハードルが低く捉えられる可能性があり、サボりの手段として使われてしまいます。 極端な話、上司にだけオープンにして、でも他のチームメンバーでは一切伝えなくて、それを「私の許可なくバラすのはやめてくださいね」と押さえるわけです。こうすると、上司以外のメンバーは引き続き「事情がわからないのに配慮しないといけないのか」となります。 この不和を防ぐためには、ある程度の広さへのオープンが必要なのです。これはペナルティであり、ハードルでもあります。そこまでして配慮してほしい人だけが、多様性として認められます。 ## (参考) Reject and Openは以下記事で取り上げたものでした。 # Title: 代替による共存 組織において多様性を推進する際、単に主張するだけでは受け入れられにくいです。純粋に仕事上のハンデを増やすことになりますし、特に日本では平等主義が強くて、ただでさえ特別視や例外措置を嫌いがちです。 一つの解として、代替案を用意することが考えられます。 1: 「私はマイノリティなので、~~はしません」 「私はマイノリティなので、~~の配慮を要求します」 2: 「代わりに、~~をします」 **1: と 2: の両方をセットにする** のです。2: がそれなりのものであるならば、マジョリティとしても一応納得はできます。 これを **代替による共存** と呼びます。 本記事では、代替による共存の例を紹介します。 ※随時更新予定。 ## And型(追加アクションを課す) ### Reject and Open 拒否するなら事情を公開せよ。 ## Or型(どちらか片方を選ばせる) ### Attend or Output 参加しない、できないのなら、代わりにアウトプットをしなさい。 ### Remote or Salary 基本的にリモートにせよ、できないなら4桁級の十分な給料を出して補填せよ。 # Title: ダイナミック・カルチャーマッチング カルチャーマッチ(カルチャーフィット)採用が流行っていますが、これには **人材の採用や活用のアジリティが上がらないというデメリット** があります。 このデメリットを軽減した、新たなあり方としてダイナミック・カルチャーマッチングを提案します。 ## 背景 ### カルチャーマッチとは カルチャーフィットとも呼びますが、以下のあり方を指します。 * 1: 採用時に「 **カルチャー(組織文化)」** に適応できるかどうかを見ます * 適応できない場合は、たとえ実力があっても採用しません * 2: 全社員にもカルチャーへの適応を要請します * カルチャーは言語化されており、教典と呼べるレベルで高い効力を持ちます 狭義では 1: だけを扱いますが、広義では 2: も含まれています。 ### カルチャーマッチの例 企業の採用ページや紹介資料を見ると、よくビジョンやミッションやバリューといったもの、社員インタビューなど人の紹介、働き方や職場といった手段面の話などが強調されています。 これらはまさにカルチャーマッチ的です。 要は「うちはこういうカルチャーですよ」「あなたも従ってもらいますよ」「これら情報をよく見て、マッチすると思った人だけがきてくださいね」と主張しているわけです。 ### なぜカルチャーマッチを重視する? 合わない人材を採らないためです。 まず **日本では正社員を解雇しづらい** ため、合わない場合に詰んでしまいます。合わない人が一人でもいたら、チーム全体の生産性や快適性が落ちます。到底許容はできませんし、もちろん社員一人一人にもコストはかかりますから、無条件に抱え続けるわけにもいきません。 次に、実力さえあれば良かった時代でもなくなりました。現代はチームの時代ですし、[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)でもあるように水準も上がっています。チームとして上手く動けることが重要です。多少実力があっても、所詮個人にすぎずチームよりはショボいので、チームに馴染めないなら大した価値はない(どころか有害)なのです。要は、 **実力だけ見て採用すればいいとも限らない** のです。 そこでカルチャーを持ち出して、これに合う人だけを採る、という風にします。このやり方なら比較的「合わない人だった率」を減らせます。 逆に言えば、「こういう人材なら合う」「チームの一員として適合しやすい」といったものを言語化したものがカルチャーだとも言えます。 ### カルチャーマッチの問題点 **人材の採用や活用に融通が利かない** ことです。 冒頭ではアジリティ(素早さ)を挙げましたが、これは融通の利かなさの一側面にすぎません。 カルチャーマッチは、言うなれば選別です。合わない人材を入れてしまうリスクは避けられますが、合う人材を入れるまでに時間がかかりますし、入った後も、カルチャーという単一の世界観に支配されてしまいます。 辛辣な言い方をすると、ミスマッチを許容できないから、カルチャーという基準をつくって選別することしかできません。 **仕事術(仕事のやり方や考え方)を、つまりは手段を知らないから融通を利かせられない** のです。 そもそもマッチなんてそうそうするものではないはずです。時代はVUCARDなのです。世の中を舐めすぎです。まるで「気が合う人とだけ付き合いたい」とする学生のようです。 ※もちろん気が合う人とチームプレイした方が仕事が上手くいくのは否定しませんし、現代では最適解だとも思います。ただ、そのせいで融通が利かなくなっている点にフォーカスし、提案を出すのが本記事です。 ※カルチャーマッチで困ってないなら、本記事は不要です。しかし、困らないのも少人数のうちで、組織規模が膨らむとそうもいってられなくなります。あるいは **ティール組織を知っているならそれでもいい** ですが、本記事は別解を提示します。 ## ダイナミック・カルチャーマッチング **カルチャーマッチの問題点である「融通の利かなさ」を軽減するため** の、新しい仕事術を提案します。 それがダイナミック・カルチャーマッチングです。 ### 定義 **ダイナミック・カルチャーマッチング (Dynamic Culture Matching) **とは、カルチャーマッチを動的に行うあり方を指します。 長いので、以下 **動的なカルチマ** と呼ぶことにします。 ※カルチマ = カルチャーマッチングの略 ### 違い 従来のカルチャーマッチは、言うなれば **静的なカルチマ** です。 * 選考中にマッチングを行う * カルチャーは基本的に変化しない * **マッチしない人材を許容しない** 一方、動的なカルチマは、次のとおりです。 * マッチングのタイミングは複数回訪れる * 選考時には行わない * カルチャーは変化する * **マッチしない人材も許容する** ### 3要素 動的なカルチマの本質を3点でまとめます。 * 1: 「マッチする人材」と「マッチしない人材」を共存させる * 2: カルチャーは変わることがある * 3: したがって社員は「マッチする人材」になったりならなかったりする ## メリット カルチャーマッチの問題点である「融通の利かなさ」を軽減できる。 具体的には: * カルチャーにマッチしない人材を切り捨ててしまう「機会損失」を減らせる * ライフステージの変化等により、マッチしなくなった人材の離職や静かな退職を防げる * 変化と多様性に強くなり、政治化や大企業病化といった組織病の発症を防げる ## そもそもカルチャーとは何か 冒頭では **カルチャー(組織文化)** と書きましたが、もう少し踏み込んで整理します。 ### デファクト・カルチャー 動的なカルチマでは、 **デファクト・カルチャー(事実上のカルチャー)** を扱います。 デファクト・カルチャーは、どちらかと言えばワークスタイルと呼ぶのが正しいです。 ### 例 たとえばミッション、バリュー、ビジョンといったカルチャーらしい根幹があって、それらを満たすために「全員フル出社で密に過ごそう」などとするわけです. ここで注目したいのが、 **フル出社であることがカルチャーの一部として事実上存在する** ことです。 マッチングを行う際も「あなたもフル出社してくれますよね?」を見ます。フル出社できない人はアンマッチとなり採用されません。 しかし、これは **ワークスタイルがマッチしていないだけで、カルチャーがマッチしていないわけではない** のです。 ### デファクト・カルチャーは変えられる つまり「ただのワークスタイル」も事実上カルチャーとして扱われてしまっています。 動的なカルチマは、ここに抗います。 デファクト・カルチャーはただのワークスタイルですから、変えてもいいですし、複数が共存してもいいわけです。しかし、カルチャー側に組み込まれてしまう程度には根幹的なものですから、あまり無闇に乱立させるわけにもいきません。柔軟性と統一性のバランスが重要です。 以降からは動的なカルチマの運用方法に入っていきます。 ## 準備 ### 1: マッチとアンマッチの2種類を導入する 動的なカルチマでは、人材を2種類に分けます。 * マッチド(matched) * 現在のカルチャーにマッチした人材 * アンマッチド(unmatched) * 現在のカルチャーにマッチしなかった人材 ### 2: 両者の特徴を明らかにする * マッチド * 以心伝心でわかり合える関係や、心理的安全性が高い関係 * なぜなら、カルチャーという教典があるから * 皆がこれを拠り所にして動けるため、統率感が出る * アンマッチド * 以心伝心や心理的安全性は期待できない * マッチドとは別の役割やコミュニケーションの工夫が必要 ### 3: 両者の扱い方を知る マッチドは **濃いチームワーク** を行います。 濃いチームワークとは、お互いを強く拘束して、仕事のためだけに高密度に働くことを指します。 同じ島で席を固めて、必要なコミュニケーションや議論はその場ですぐできてしまうような、あの感じです。あるいは、ITでいうペアプログラミングのようにペアを組んで役割分担して仕事をする潮流(ペアワーク)もあります。 この働き方は疲れるため、(スーパーマンの集団でもなければ)長時間はできません。 **定時間とされる7~8時間を保たせることさえ至難です。その分、休憩やカジュアルなコミュニケーションが増えます** 。 ※この点は誤解しやすいので注意してください。マッチドだから長時間働けるわけではありません。それではただの搾取です。 逆に、アンマッチドは濃いチームワークができません。 **カルチャーを拠り所にしていないがゆえに、濃く過ごすことを許容できない** からです。 ### まとめ * 人材を2種類に分けます * マッチド * アンマッチド * マッチドは濃いチームワークをします * アンマッチドは濃いチームワークをしません つまり **濃いチームワークが可能などうか** で分けるとも言えます。 ## ワークフロー 動的なカルチマを運用する際の、典型的な流れをまとめます。 ### 1: カルチャーを決める まずはカルチャーを決めます。 このとき、本当の意味でのカルチャーと、ワークスタイルでしかない「デファクト・カルチャー」とを分けてください。特に、後者のデファクト・カルチャーまで言語化してください。 つまり実質的にワークスタイルまである程度は決まるはずです。よくあるのは、以下のようなものです。 * 1日7.5時間(あるいは月150時間)以上働くこと * コアタイムを 10~16 時にすること * 定例会議は必要に応じて行うこと、また原則参加すること * 全社レベル * 事業部や部署や部門レベル * チームレベル * 個別レベル(1on1はこのカテゴリに入りがち) * 毎週xx曜日は出社すること * 必要なら2つ以上案件を持つことを許容すること * 必要なら残業を許容すること etc このセットに全部従える、あるいは基本的に従える者がマッチドとなります。 ### 2: マッチングを行う 社員をマッチド or アンマッチドに分類します。これを **マッチング** と呼びます。 マッチングのやり方はどうとでも決められるまで、ここでは扱いませんが、重要なのはタイミングに融通を利かせることです。もっと言えば **状態を2つではなく4つにします。** * 1: マッチド(matched) * 2: アンマッチド(unmatched) * 保留状態 * 3: ライクリー(likely matched) * 4: アンライクリー(unlikely matched) マッチドでもアンマッチドでもない保留状態を設けます。しかし、どちら寄りなのかは決めます。こうすることで、誰がマッチになりそうか、あるいはならなそうかといったことがわかるので、マッチングの前時点で立ち回りや戦略を考えやすくなります。 運用的には期間( **マッチング期間** )を求めて、それまでにマッチングを行うでしょう。そして期間をすぎたら、以降はマッチドは濃いチームワークで、アンマッチドはそれ以外の仕方で働きます。 マッチング期間中は、すでにマッチドになっている人は濃いチームワークができます。また、ライクリーの人も、本人が望むのであれば可能です。かつ、ライクリーですので、濃いチームワークに誘われることは許容されます。 期間が過ぎたら、マッチドかアンマッチドかのどちらになります。例外はありません。決まらない人は、無理矢理にでも倒してください。このとき、濃いチームワークを行える能力の有無で見るといいでしょう。ある場合はマッチドに、ない場合はアンマッチドに倒します。 ### 3: マッチング結果に基づいて働く マッチドは濃いチームワークで働き、アンマッチドは濃いチームワークの外で(あるいはスポットで混ざっても良い)働くことになります。 具体的な連携方法は割愛しますが、たとえば当サイトでは先日[ワーカー・トライアングル](https://note.com/workhack20/n/n18da7a4af086)を紹介しました。 ワーカーやヘルパー、特に direct な人達は濃いチームワークが適しているでしょう。 もう一つ、取り上げておきたいのが **チェンジ** の概念です。マッチド or アンマッチドは、(マッチング期間の外であっても)必要に応じて変えることができます。 何なら「今週プライベートが忙しいからアンマッチドになります」のような融通も可能です。 本質は **マッチドとアンマッチドという概念が存在することで、社員たちが主体的に「濃いチームワークができるかどうか」を調整できる** ようになることです。ですので、マッチング期間にこだわらず、融通を利かせても構いません。 ### 4: カルチャーのフィードバックと次の検討 動的なカルチマは、その名のとおり動的ですので、カルチャーも変わります。変えていいのです。 日々仕事をしていく上で、各自カルチャーに関するフィードバックや議論を進めてください。 そうして貯めていくと、より良いワークスタイルが自然と浮かび上がってきます。落ち着いたタイミングで、今度はそれらをデファクト・カルチャーにすればいいのです(1: に戻る)。 ## Q&A 動的なカルチマの解説は以上です。 最後に、よくある議論をQ&A形式で整理して終わります。 ### Q: カルチャーは複数共存させてもいいか? Ans: 推奨はしません。 そもそもそれができないから、単一の拠り所としてカルチャーを言語化して、それに合う人材を採用しようとなっているわけです。 できる、できないで言えばできますし、当サイトでもそのための仕事術を扱っていきたいところです。本記事では取り上げません。 ※たとえば「ワークスタイル・ダイバーシティ」として、ワークスタイルそのものを多様性にするとの考え方を整備中です。 ### Q: マッチしない人達とどう連携すればいいのか? Ans: 色んな仕事術が使えます。 ワーカー・トライアングルについては既に言及しましたが、他にもあります。 結局、 **仕事術(仕事のやり方や考え方)という手段を知っているかどうかがすべて** だと思いますので、自分でつくれない人は、知るところから始めてください。 当サイトでも色々と紹介しているので参考にしてください。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20&context=note&mode=search) # Title: もくもく会のマトリックス **もくもく会** とは、何か作業をするためだけの集まり(イベント)を指します。 原義は各自黙々と過ごすものですが、現在では複数のあり方が見られますので整理します。 ## オリジナル [phaさん](https://note.com/pha/)によるものです。 少し引用します。 > 集まって各自がもくもくと勉強や仕事をするというだけの会、「もくもく会」をやってました。 > > 今回はルノアール新宿小滝橋通り店でやったんだけど……もくもく会にちょうどいい喫茶店というのはいつも探しているので、誰か良いところがあったら教えてください。 もくもくと作業するだけの会であり、その辺の喫茶店でも開催できるものだとわかります。 また同氏の著書「[パーティーが終わって、中年が始まる](https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0D3G62CVF)」でも言及されています。以下引用します。 > 場所と時間だけを指定して、「誰か来てもいいし、来なくてもいい。 > 誰も来なかったら一人で本を読んでいる」みたいなゆるいオフ会をよく開催したりもしていた。大体そういう感じで待っていると、一人か二人は来てくれるものだった。 > > IT系の人たちのあいだでよく開催されている、ある場所に集まって各自もくもくと自分の作業をするというだけの会、「もくもく会」も、もともとは僕が始めたものだった。 「来てもいいよ」とのニュアンスがあるのだとわかります。 ## マトリックス もくもく会は、このオリジナルのニュアンスを越えて多様な使われ方をしています。そうでなくともオンラインのもくもく会もあります。 これはマトリックスの形で端的に整理できると思います。 ![](/assets/ne71947e04caf_1729574012-pmEBvLGU9PYWTQju32HtkCl8.png)もくもく会のマトリックス まず **人数** です。少人数か、それ以上かで分けられます。 もくもく会は性質上、人数は関係ありませんので、この軸に意味はありません。それでも実際は少人数かどうかで分かれますが、これは単に主催者の集客力や会場のキャパシティに依存しているだけです。 次に **交流の有無** です。 交流とは、ここでは「参加者同士の会話を想定する」あるいは「主催者がファシリテーションを行う」のいずれかを指します。逆を言うと、 **交流しないとは「会話も想定しないしファシリテーションもしない」こと** です。 ![](/assets/ne71947e04caf_1729574698-NMOlA2Gpcn7TI5f4HZQ6qWsR.png)両方「しない」パターン以外は、全部交流有です。 もう少し補足します。 会話の想定とは、 **図書館や自習室のように私語厳禁なシチュエーションが「想定しない」です** 。それ以外は想定するとみなします。phaさんのもくもく会は、控えめには許容しているように見えますので、弱めで想定していると言えると思います。 ファシリテーションとは、[noteで募集・報告されているもくもく会](https://note.com/search?q=%E3%82%82%E3%81%8F%E3%82%82%E3%81%8F%E4%BC%9A&context=note&mode=search)でよく見られるもので、自己紹介や振り返り共有などアジェンダがクマれていることを指します。 ## もくもく会の種類 ### サイレントなもくもく会 マトリックスでいうと 3 と 4 です。 **人数にかかわらず、交流しないことを前提としたもくもく会** です。 現状、図書館や自習室などがこれに該当しますが、phaさんを始め、誰かが主催して「交流無しのもくもく会」を行うケースはまだ無いと思います。 需要が無いのか、それともこの概念を理解してもらうのが難しいかはわかりませんが、ビジネスのポテンシャルはあると思います。 ### 静かなもくもく会 SilentではなくQuietのニュアンスです。マトリックスでいうと 1 が当てはまります。つまり **少人数で行う、会話を想定したもくもく会** ではありますが、基本的には静かです。 phaさんのもくもく会もこれにあたると思います。サイレントほど私語は禁止しませんが、控えめであれば参加者同士(あるいは主催者とも)話しても良い、とします。 **この形態は少人数のみ当てはまります** 。少人数を超えると、物理的に静かさを維持できなくなるためです。一応、相応の秩序を敷けば可能ではありますが、そうするならサイレントにすればいいわけです。秩序を敷きながら「静かなもくもく会」をするのは、静かさの定義をどうするかという問題になるため難しい(主催側が割に合わない)と思います。 ### ワークショップ的なもくもく会 マトリックスでいうと 1 が当てはまりますが、 **主催によるファシリテーションが存在するもくもく会** を指します。 典型的には、 * 1: 自己紹介 * 2: ワーク * 3: 振り返り このようなアジェンダが組まれます。noteで見られるものはこの形態が多い印象です。 また、オンラインで行う場合もこれになりがちです。おそらく、誰かわからないと気味が悪いため、最低限でも知ろうとするのでしょう。オフラインの場合だと非言語がわかりますが、オンラインだとわかりません。 ### イベント的なもくもく会 マトリックスでいうと 1 や 2 が当てはまりますが、イベントの形で開催されるもくもく会全般を指します。 connpassなどITエンジニアが行うものは、これが多いイメージです。主催が会場を借りて、参加者を呼びかけて、少しお金を取って、当日来た人はご自由にもくもくしてください、とします。 ワークショップのようなカリキュラムはありませんが、参加者間の会話は想定しているため、QuietやSilentはありません。 ※カリキュラムがあるものは、前述のワークショップ型になります。ITエンジニアはアウトプットが身近であり、会の最後に今日の成果を発表する(LT, ライトニングトークするなど)あり方もよくあるようです。 ### ひとりもくもく会 マトリックスでいうと 3 に相当しますが、 **単にひとりで会場に出かけて、ひとりでもくもくする** ことを指します。 ## おわりに もくもく会の本質は **存在感の共有** にあると思います。 交流や協調はしないか、ほとんどしないが、同じ時間と場所を共有する他者は居るというバランスです。これは、単にひとりぼっちで作業をするよりは孤独感や退屈感が和らぎます。 あえて強度を並べるなら、以下のイメージです。 > ひとりぼっち < もくもく < 社会的な営み 両者の中間くらい。 それなりのポテンシャルがあると感じますので、上手いバランスを求めている方は、ぜひ模索してみてください。 ## (関連記事) もくもく会のような催しを一般化した概念を扱っています。 プレゼンス(存在感)はチャットステータスとして知られるものですが、これをワークスペースのように重視した潮流もあります。 おわりにで「存在感の共有」に言及しましたが、この概念を言語化しました。「ミーティング」に並ぶくらいのポテンシャルがあると感じます。 # Title: ミーティングは要らないかも 「プレゼンシング」 **プレゼンシング(Presencing)** とは、プレゼンスを示すための活動です。 プレゼンス(Presence)とは存在感を意味します。チャットにおけるステータスをプレゼンスと呼んだりしますが、誰が今どういう状態なのかを知るというものです。 ミーティングでは会話しますが、プレゼンシングではしません。しかし、同じ時間や場所は共有しています。この微妙なバランスの拘束こそが重宝する機会が増えています。 ## 例 全員出社して同じ島で固まる。 これはあえて言語化するまでもない、原始的なプレゼンシングです。しかし[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)な現在、常時行うのは難しくなりました。だからこそ意識的に確保しにいく必要があります。 バーチャルオフィス。 Gather、oVice、またマインクラフトもそうですが、自分を模したアバターを一箇所に集める形で仮想出社を実現するものです。一定の効果は見込めますが、技術的・ゲーム的であり、いまいち普及には至っていません。 プレゼンススペース。 プレゼンスの可視化に特化したワークスペースを指します。バーチャルオフィスよりも直感的であり、対抗馬として注目されていると思います。 もくもく会。 集まれる場所をつくって、誰でも自由に入退場できるようにして、各自黙々と作業をするというものです。 ## メリット * リモートにおいて、孤独感や退屈感を紛らわせる * リモートにおいて、メンバーの様子を非言語的に知ることができる * 会議(ミーティング)を減らせる * 無闇に会議が増えがちなのは、会議自体がグルーミングやプレゼンシングの機能も持っているためです * ですので会議は会議に集中し、それ以外は分離します * [グルーミングの分離は以前書きました](https://note.com/workhack20/n/n3de84e6b5c2b) * プレゼンシングの分離は本記事で書いています * つまり、 * ❌会議 = 議論や合意形成 + グルーミング + プレゼンシング * ⭕会議 = 議論や合意形成 # Title: ブラウザのタブが多すぎる人へ ~ミニマム・タバーへのいざない~ ブラウザのタブが何十何百と溜まる人が多いと思います。 特に困ってない人や、改善するほど腰が上がらない人はそのままで良いでしょう。しかし、困っている人で、何とかしたい人もいるはずです。 本記事が助けになると思います。 ## タブが増えすぎることのデメリット ### 仕事が遅くなる 「タブを残してれば、あとですぐに探せる」と思いがちですが、そうでもありません。 まず目的のタブを探すまでに時間がかかります。平面的に並んでるだけなので、現実のデスクや部屋と違って空間的に「あれはあそこにあったよな」的な特定がしづらいからです。 次に「タブを探す作業 = ひとつずつ順に見て回る」なので疲れます。これも現実ほど豊富な情報が無く、認知資源を消耗します。 結局、見つからないか、途中でくじけて、もう一度ググり直そうとかブックマークから開こうとなったりします。二度手間です。 それからマルチタスク的であることも問題です。 気が散りますし、あちこちのタブに移りがちなので、一つの仕事に専念できません。中途半端に広く浅く手を付けている状態ですね。 一部の超人を除けば、このやり方は非効率です。 ### QoLや[QoW](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577)が低下する 視覚的にタブがたくさん並んでいると圧になって、あなたの精神を圧迫します。 重要なタスクや情報が眠っている「かもしれない」、という疑念も拭えず、気が休まりません。 ### PCが重くなる 現代のブラウザはメモリをたくさん食いますし、タブの数とも比例します。 性能が潤沢なPCでもなければ、メモリを食い潰してしまうことがあります。そうなるとPC全体の動作が重くなります。各タブの読み込みや動作も遅くなり、と全体的に遅くなります。 ※これはITエンジニアのようなプロでも陥りがちです。医者が自分の健康を維持できるとは限らないのと同じです。 遅くなれば当然作業にも響きますし、QoWやQoLといった快適性にも響きます。 ## タブ管理すればいいのでは? Ans: いいえ よくある対策として **タブ管理の機能あるいは拡張機能が挙がりますが、アンチパターンです** 。 本質的には何も解決していないからです。 散らかった部屋でたとえると、単に散らかったものを分類しているにすぎません。たしかに整理整頓の観点からは効果はありますが、総量自体は変わっていません。むしろ、分類で使う箱の分だけ増えてます。 仮に足の踏み場もないほど散らかっているとして、 **分類にて整理整頓したとしても、やはり踏み場はありません。そうではなく、踏み場ができる程度に減らすことが先決のはずです** 。 ※別に踏み場がなくていいという人は、ここで引き返してください。対象外です。 タブ管理で満足しているのは、単に見た目がスッキリして気持ちがいいといった手段の目的化でしかありません。趣味としては否定しませんが、ここでは仕事の話をしています。 ## じゃあどうするか タブの数をできるだけ少なくします。そのような過ごし方をします。 これを **ミニマム・タバー(Minimum Tabber)** と呼ぶことにします。 ## ミニマム・タバーの3原則 以下の3つです。 * 1: 専用の管理手段を使う * 2: 一つずつ着手する * 3: こまめに閉じる(取捨選択や意思決定から逃げない) ## 1: 専用の管理手段を使う タブは、実際にはいくつかの種類に分かれます。また各種類ごとに専用の手段が存在します。 ですので「なんでもブラウザのタブで管理する」から「それぞれ専用のツールで管理する」に移行することで、楽になります。 ### Browser As Desk **タブは言わばデスクのようなもので、直近使うものだけを置いておく領域です。それ以外は専用ツール側に移して、そちらを必要に応じて使うようにします** 。 これを **Browser As Desk** (ブラウザをデスクとして使う)と呼びます。 絶対的な正解ではなく、ミニマム・タバーの思想にすぎませんが、比較的わかりやすく、かつ上手く機能もします。 ### タブの種類は「3つのI」 タブの種類は、以下のように「3つのI」で大別できます。 * インタラクション(相互作用) * 1: 何らかのワークスペース * 2: 何らかのタスクを示すもの * インプット * 3: インプット中の情報 * 4: インプットは終えたが、また後で読むかもしれない情報 * インフォメーション(情報) * 5: あとで読みたい情報 * 6: リファレンス的な情報 ### 対応するツール まず 1: のワークスペースと、3: のインプット中の情報は、ブラウザで扱います。専用アプリがあるならそちらでも構いません。 ワークスペースとは、Teamsのようなコミュニケーションツール、あるいは資料含む何かをつくるためのツールを指します。常用していることがポイントなので、検索サイトやChatGPTやノートツールなども当てはまります。 要は、常用しているものと、今現在使っているもの(インプット中の情報)だけをブラウザで扱うのです。Browser As Deskですね。 次に 2: のタスクですが、これはタスク管理ツールが使えます。 このようなツールを使うと、 **1タスク 1ページで管理できるようになるので、見たいページのみを開いて扱えば良くなります** 。 いちいちタスクを言語化してツールに放り込む必要はありますが、必要コストです。そもそも専用ツールに入れる手間を惜しむからタブを増やすことしかできないわけです。 タスク管理ツールが馴染めない場合は、ノートツールでも構いません。 タブとしては、タスク管理ツールやノートツールを一つ出しておくだけで済むでしょう。必要なタスクは、そこから別途開いて、用が済んだら閉じます。 ※こまめに閉じることは非常に重要で、これは後述します。 直近よく使うタブであれば開きっぱなしでもいいですが、これを安易に認めちゃうと、結局10タスク分のタブ(10ページ = 10タブ)を開いちゃう、となって本末転倒になりがちなので注意です。 4: の読み終えたインプットについては、情報管理ツールに入れてください。クラウドストレージやノートツールでもいいですし、論文には[文献管理ツール](https://www.onlyoffice.com/blog/ja/2024/01/reference- management-software)など専用ツールもあります。 ファイルではなく **ブラウザで読むだけで済むなら、ブラウザのブックマーク機能** も使えます。ポイントは「時系列がわかるように追加する」ことと、追加時にコメントを書くことです。 時系列については、2024/10 のような月ごとのフォルダをつくって放り込めば十分です。下手に整理をしても破綻するだけなので、挑まない方が良いでしょう。趣味でもなければ正直言って人生の無駄です。 コメントについては、自分の言葉で書きます。あとで検索して探すことを想定して、使いそうなキーワードを散りばめておくと良いです。「 **名前」とありますが、律儀に捉えず「メモ」くらいで捉えて、何でも書き込んでください** 。思いつかなければ無理して書かなくても構いません。 ![](/assets/n7f8554abef0f_1729643469-tQ0ZsvpfOC7hmb4FdcjW3P6w.png)たぶんQoLという言葉で探しそうだから、こう書いている。 ブラウザですが、ブックマークの使いやすさを考えれば Firefox 一択です。Firefox はブックマークの管理や編集もしやすいですし、アドレスバーから検索したときもヒットしやすいです。 ブラウザの主流は Chrome ですが、Chrome のブックマーク機能は正直言ってひどいものです。ブックマーク機能をメインに使いたいなら、乗り換えた方が良いと思います。 最後に 5: のあとで読みたい情報と 6: のリファレンス的な情報ですが、これもブックマーク機能で管理します。 あとで読む情報については、時系列フォルダではなく「あとで読む」フォルダに入れてもいいですし、時系列フォルダに入れつつ、名前に「★」をつけて、後で読む旨がわかるようにしても良いでしょう。が、あまり重要ではありません。 **最も重要なのはちゃんと後で読んで消化していく生活リズムの確立** です。インボックスゼロとも呼ばれます。受信箱と見立てて、そこに入っているものを全部処理することを目指します。これができるなら何でもいいですし、できないなら何をしても無意味です。 ※趣味として所有欲を満たせるくらいはできます。 ## 2: 一つずつ着手する タスク管理や集中術の話になりますが、 **一つずつ着手して一つずつ潰していく方が効率面でも快適面でも優れています** 。 条件反射的に飛びついて、何でもタブを開いて、と過ごすのではなく、また無闇に割り込みや脱線に反応するのでもなく、ちゃんと一つずつ仕事をこなしていけるようにしていきましょう。 具体的なテクニックは無数にあるので、本記事では割愛しますが、当サイトでも色々取り扱っているので、ぜひ漁ってみてください。 ここでも軽く紹介しておきます。 集中術としてよく挙がるポモドーロ・テクニックですが、よく誤解されているので解説しています。 その本質は「自分なりのスタイルで模索すればいい」です。当たり前ですが、どういう塩梅が合っているかは人によって違いますし、自分にしかわからないので、自分で模索するしかないのです。 性格上、あるいは特性上、どうしても自己管理できない人がいます。「犬を飼っているなら散歩できる」はわかりやすい例だと思いますが、このように自分ひとりでできない人は、何らかの外部環境に頼るしかありません。 外部環境にいかにして頼るか、頼り方や仕組みをつくっていくかを考えるべきなのです。 ## 3: こまめに閉じる 用が済んだタブはこまめに閉じてください。これをしないと溜まる一方になるからです。 この手間を端折らずに、ちゃんとできるかどうかがミニマム・タバーになれるかどうかの分かれ目となります。 これは **本質的には意思決定** です。「用が済んだ」という意思決定を自分で行い、行動として実際「閉じる」必要があるわけです。 優柔不断だったり、自分で決断するという発想がなかったり(よくあります)するとできませんが、 **やらないといけません** 。意思決定の営みに足を踏み入れない限り、これをクリアすることはできないのです。 意思決定は本来、経営者など限られた人が行うものでしたが、現代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)で情報も多い時代です。そうも言ってられません。 意思決定は、この程度の軽微なものであれば、別に難しいことではありません。単に縁がなくて、難しさや面倒くささを感じるだけです。 ※特性上、難しいケースもあります。 そういうわけで、ぜひとも意思決定の営みから逃げずに、用が済んだタブを閉じるという意思決定をしていってほしいと思います。 最初は不便を被りますし、捨てる苦しさもあるかもしれませんが、そのうち慣れます。どうしても慣れなくて、できないなら、それはそのときやめれば済むことです。 ## おわりに タブが増えすぎる問題への対処として、ミニマム・タバーを紹介しました。 テクニックというよりは、考え方の転換が大きいと思います。ミニマム・タバーが万人を救えるとは思いませんが、一つの解として、ぜひ使ってみていただければと思います。 # Title: インボックスゼロはまだまだ使えます インボックスゼロは古い、もう通用しないと思われがちですが、そんなことはありません。まだまだ重宝します。 そのためには、少し考え方をアップデートします。 ## 背景 ### インボックスゼロって? * 元はMerlin Mannの発案 * メールを上手く処理するためのワークフロー * GTDのワークフローと同様、それなりの流れを踏みます * その後、GTDでも使われた * 意味が拡張されました * ❌インボックス = メールの受信トレイ * ⭕インボックス = 中身をゼロにするべき受信箱全般 * たとえば郵便ポスト、チャットの通知、SNSの通知、ブクマの「あとで読むフォルダ」はすべてインボックスになりえます ### インボックスゼロが成立しないといわれる理由 * 情報が多すぎるから * 1日何十どころではない * 何百、人によっては何千もありえる * 情報を受け取る先が多すぎるから * メールだけではない * チャット、SNS、タスク管理、etc ## 本質を理解する 仕事術というものは原義を越えて、より多様で強力なポテンシャルを持つことがよくあります。たとえばポモドーロ・テクニックもそうです。 インボックスゼロも同じです。 さて、インボックスゼロの本質は、以下のとおりです。 * 定義 * 1: インボックスとは、未処理のものを溜める **入れ物全般** を指す * 2: インボックスは **空であることを目指さねばならない** * 扱い * 3: インボックスの中身は、 **処理する or 移す** のいずれか * 4: 中身の取り扱いは **自動化してもよい** * 連携 * 5: インボックスは **複数** あっても良い * 6: **インボックスAからインボックスBに移しても** 良い これを **インボックス・ポテンシャル** と呼びます。情報洪水な現代でも十分通用します。 ## 自分なりのシステムをつくる インボックス・ポテンシャルを生かすには、自分に合ったシステムを自分で構築せねばなりません。 そもそもインボックスがあるのか。 各インボックスには何が入ってくる(入力される)のか。 各インボックスの中身はどうすればいいのか。その場で処理すればいいのか、別のインボックスに移せばいいのか、処理してから移すのか、それとも単に「ゴミ箱」のような用済みに移す(捨てる)のか。 移せないインボックスはどうすればいいのか。たとえばチャットやSNSの通知は、もととなるメッセージを処理したからといって消すわけにはいかない。 などなど。 イメージとしては、たとえば以下のようになります。 ![](/assets/n763dcc87ce9e_1729717189-rFTHvzsLquRC5jWfPZoIcBhX.png)インボックスを段階的に整理する。 似たインボックスを段階別に整理して、高い段階(左側)から低い段階(右側)に移していくイメージです。 外部から入力される部分には青の矢印をつけています。これを入口インボックス( **エントランス・インボックス** )と呼びますが、特徴は「通知があること」「元メッセージを消しづらいこと」です。なので、さっさと別のインボックスに移します。 また、各段階ごとに「ゴミ箱に捨てる」「処理しておしまい」「処理して待つ(別のインボックスに入れる)」ことがわかります。待つというのは、たとえば「2024/10/25以降、返事がなければ催促するものたち」リストをつくって、ここに入れるということです。このリストも一種のインボックスです。 さらに、一部のインボックスがオレンジになっていますが、これは普段愛用するインボックスです。 **デイリー・インボックス** と呼びます。ここを毎日、あるいは一定頻度でゼロにすることを目指します。つまりデイリー・インボックス・ゼロを目指します。ここさえ維持できれば良い、とします。逆を言えば、ここに至るまでに、多数のインボックスを上手く仕分けていくわけです。 と、これはあくまで雑な例ですが、このようにしてインボックスとその流れを一つずつ組み上げていきます。 そうすることで、デイリー・インボックスを注視するだけで済む(もちろん現実的にゼロにできる)生活が手に入ります。 ## GTDは好例 GTDも、実はシステムの一つにすぎません。 最初の段階では * 「インボックス」 という何でも受信して溜める箱があって、そこから * 「ゴミ箱」 * 「いつかやる」 * 「プロジェクト」 という箱に移して、「プロジェクト」からはさらに * 「連絡待ち」 * 「カレンダー」 * 「タスクリスト(ネクストアクションリスト)」 に移しますよね。 最後の段階にはネクストアクションリストがあり、これがデイリー・インボックスに相当します。 ※唯一、いつかやるリストだけはインボックスではありません。ゼロになることを想定していないからです。 ## システムを上手くつくるコツ ### 入力ペース > 出力ペースを食い止める インボックスの中身を処理するペースよりも、入ってくるペースの方が早かったとしたら、当然ですがゼロにはできません。 入力優勢の場合、そもそもこの状態を食い止める必要があります。といっても、二つしかなくて、 * 1: 別のインボックスに仕分けする * 特にゴミ箱に捨てる * 2: 入力元に働きかけて、そもそも物量を減らす のいずれかです。 **入力優勢なインボックスは、一つたりとも許さないでください** 。 ### トリアージをする トリアージとは元は医療用語で、救急現場で治療対象の優先順位をつけることです。軽症な人や「もう助からない人」は後回しにしたり、諦めたりします。そうだと示すタグをつけます。 非情に見えますが、救命を最大化するためにはこのような取捨選択、意思決定が必要なのです。 近年では、これをタスク管理、特にメールなどコミュニケーションツールにおいて適用する流れがあります。要するに **「要らないものを捨てる」「無視する」との判断をすることで、自分が抱える処理量を抜本的に減らします** 。 トリアージはインボックスにおいても重要です。現代は、そもそも情報が多すぎていて、まともに相手にしてたら日が暮れてしまうので、要らなそうなものは最初から相手にしない、無視する、捨てる!との大胆な意思決定が必要なのです。 ちなみに、意思決定が苦手な人は、意思決定するための「自分の軸」が無い可能性があります。内省によって発見できるかもしれません。よろしければ参考にしてください。 あるいは、特に日本には物を大事にする宗教観があり、これがハードルになっていることがあります。 ### インボックスはたくさんつくってもいい インボックスを増やしたがらないのはあるあるですが、逆です。必要なインボックスはどんどん増やしましょう。 直感に反するかもしれませんが、情報を管理したり漏れなく処理したりといった「複雑な営み」を上手くやるためには、複雑なシステムが必要です。 仕事全般もそうですよね、スキルを持つ新人にすぐ任せられるほど単純ではなく、何かと複雑で泥臭いはずです。インボックスのシステムも例外ではありません。 10個や20個あっても、全然不思議ではないと思います。100個はさすがに多すぎる気がしますが。 ### 自動化する システムにおいて、よくやる操作は「あるインボックスの中身を、別のインボックスに **移す** 」操作です。 もし移すための条件が明確な場合は、自動化できるかもしれません。メール、チャット、タスク管理といったツールには他ツールとの連携や自動振り分け機能がありますので、こういったものを使うと、自分の手で移す手間がなくなります。 またIFTTTやZapierのようなワークフローツールもあります。 ### スタッキューを使う インボックスというと、中身の見える容器や箇条書き的なリストを思い浮かべがちですが、これらは **中身が見えるがゆえに認知資源を奪います** 。 ですので、思い切って中身を隠した入れ物を使うのもアリです。 **中身は見えないが、個数はわかります** 。個数がゼロになるまで、ひたすら前から(後ろから)一つずつ取り出して処理なり移すなりするのです。どうせゼロにするのだから、だったら中身を隠してしまえばいいと考えるのです。中身が見えない分、無駄に認知資源も食われません。 このような入れ物を実現する概念がスタックやキューです。また、当サイトでは両方を合体させたスタッキューも提案していますので、よろしければ参考にしてください。 # Title: 覚醒した仕事術 色んな人が色んな仕事術を開発し、その一部が巷に降りてきて爆発的に広まったりします。 それら仕事術は、原義を超えて、より多様で柔軟性の高いものへと進化することがあります。これを **仕事術の覚醒** と呼びます。 また、覚醒したものを **覚醒した仕事術** といいます。 本記事では、覚醒した仕事術をまとめます。 [更新履歴] 2024/10/29 もくもく会を追加 2024/10/25 1on1を追加 ## ポモドーロ・テクニック ポモドーロ・テクニックというと25分作業、5分休憩、4サイクル回したら大休憩のリズムが有名ですが、これはもはや「あり方」の一つにすぎません。 ## インボックスゼロ 元はメールを上手く処理しきるためのプロセスです。また、GTDでは「未処理の箱で、中身を空にすることを目指すもの」「ワークフロー全体の入口」的な意味合いがあります。 が、本質はその程度ではなく、現代の情報洪水をさばけるポテンシャルを持ちます。そのために自分なりのシステムを組み上げます。 ## 1on1 元は上司と部下が30-60分くらいで月一(多いと週一)ペースで話すものですが、現在では様々なあり方が見られます。また、必要に応じてつくることもできます。 ## もくもく会 元は「今からここで作業するんだけど、来たい人来てもいいよ」という感じの緩いゲリライベントでしたが、現在はいくつかのやり方が見られます。マトリックスで整理しました。 # Title: 大量のメールを賢く仕分ける戦略 メールはもはや前時代的なコミュニケーションツールですが、依然として主要な手段の一つではあります。 そこにビジネスチャンスを見出す製品もいくつか見られ、新しい仕分け方を開拓し始めています。 どんな仕分け方――つまりは仕分けの戦略があるかを紹介します。 ## 1: Heyの戦略 ### メーラー「Hey」 Heyというメーラーがあります。 解説として以下記事が詳しそうです。 > 今までメール一ヶ月放置は当たり前、未読1万件、みたいな状態だったのですが、After > Heyでは未読0。すごい。メーラー変えただけでこんな変わるとは。よく出来たツールは人を変えるね。 ### SCI戦略 Heyが採用する戦略を、当サイトでは **SCI** と呼んでいます。 メールを以下に三分するものです。 * Spam * Communication * Information SpamとInformationの扱いを強化することでメールの物量を減らし、またCommunicationの扱いもカスタマイズすることで、より本質に集中できるようにします。 以下詳細を見ます。 Spam(スパム)は、問答無用で無視する・削除するメールです。すでにGmailなど既存のメーラーもスパム判定機能を持っていますし、必要なら自前でフィルタをつくることもできます。 HeyではScreenerという機能があって、「この人からは一切受け取らない」を定義できます。 Communication(コミュニケーション)は、やりとりが必要なメールです。従来のメールでは、ここが多すぎてパンクしていましたが、HeyではImboxという「重要なメール」も定義できます。Screenerが拒否的なら、Imboxは許可的ですね。 Information(情報)は、スパムでもなく、やり取りするものでもない、単なる情報を示すものです。Heyとしては領収書、注文確認、サービス通知などを挙げています。 情報化社会の現代では、ここに当てはまるメールが非常に多くて私たちを疲弊させています。 **Heyの革新的な点は、このInformationの捉え方を変えた点にあると思います** 。「ただの情報なんだから必要なときに見れれば・探せればいい」「受信時に律儀に読む必要なんてない」「ちゃんと仕分けて保存しておけば問題ないだろ?」というわけです。Paper Trail として提供されています。 ## 2: Asanaの戦略 ### タスク管理ツール「Asana」 タスク管理ツールの Asana も、メールの戦略を説いています。 ### 4つのD戦略 **4つのD** と名付けられています。 メールのトリアージ――つまりは扱い方を決めて、適切な場所に入れることが重要だと述べています。 ※記事はAsanaの宣伝なので、≒Asanaに入れる、となっています。 4Dについては、以下のとおりです。 * Do: 実行する * タスクとして処理するべき * Defer: 保留する * タスクとして処理するべきだが、今やるものではないので保留にする * Delegate: 委譲する * タスクとして処理するべき、かつ誰かに任せるもの * Delete: 削除する * タスクではないので、削除なりアーカイブなりする Do, Defer, Delegateについては、適切な場所(Asana)に入れます。Delete については、Asana には入れずに削除なりアーカイブなりして対処します。 いずれにせよ、メーラーに留めておくのではなく、タスク管理ツール(Asanaの言葉ではワークマネジメントツール)でちゃんと管理せよ、ということですね。 ### インボックス戦略 Asanaの戦略をより一般化すると、自分なりのインボックス・システムをつくる、とも言えます。 要はメールという単一のインボックス上で完結させずに、他にもインボックスを導入して、メールからそちらに移すのです。そうして、様々なインボックスを導入・連携させることで、「特定のインボックスがパンクしている」状態を防ぎます。 詳細は以下記事を参照してください。 ## 3: Superhumanの戦略 ### メーラー「Superhuman」 強気の価格設定をしたメールサービスとして Superhuman があります。 日本語の解説記事としては、以下があります。 ### DE戦略 **開発者体験(Developer Experience, DE)** という言葉があります。 ソフトウェア開発者は、生産性だけでなく快適に仕事ができることも重視しますが、その方が結果的に生産性も挙がります。快適性も重視した方が良いのです。それを言語化したのが開発者体験です。 ※DEと略すことは通常しないのですが、本記事のテイスト上、あえて略しています。 ※当サイトでは[QoW(Quality of Work, 仕事の質)](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577)という形で一般化しています。 開発者体験の主な要素は「スピード」です。具体的には **キーボードベースによる高速な操作と、ツール自体の動作の軽さ** です。 一般人はそこまで意識しない部分ですが、開発者は手を動かす量が多いので、かなり重要なのです。わかりづらい方は、ゲーマーを思い浮かべてください。ゲームでは0.1秒の遅延すら致命的です。そういう世界の住人です。 前置きが長くなりますが、この開発者体験をメーラーに適用したのが Superhuman であり、当サイトでは **DE戦略** と呼んでいます。 たとえばキーボードショートカットが充実していたり、動作がキビキビしていたりします。他にも以下機能があるようです。 * フォローアップ * 指定期間内に反応が無かったら知らせる * つまりは[リマインダー](https://note.com/workhack20/n/n7cbdf6ca31e4)ですね * 要は「いつ催促しようか」を考える必要がないのです。一度仕込んでしまえば、あとでシステムが教えてくれます * メールのトピック化 * たとえばTeamsでは、一つのチャンネル上でチームメンバー全員が自由に読み書きます * 同じように、Superhumanでは、一つのメールを複数人が見たりコメントしたりできるようにします * スニペット * よく使う定型文をあらかじめ保存しておいて、素早く呼び出す機能をスニペット(Snippet)と呼びます * プログラミングなどソフトウェア開発では多用されます * メールなど文章コミュニケーションの世界でも応用できます こういった工夫を盛り込むことにより、開発者が快適に感じるレベルの快適性を確保できるのです。そういう世界があるのだということを、開発者ではない、一般人の私たちでも体感できるのです。 当然ながらメールを処理するスピードも桁違いに変わるでしょう。 ## 4: 仕事術2.0の戦略 当サイト『仕事術2.0』としても、戦略を一つ提案します。 ### RACL戦略 RACLとはReply, Action, Check, Logの略です。 メールを以下の4種類に分けます。 * need Reply * need Action * need Check * need Log **need Reply** 。返信が必要なメールです。 手間を掛けずに返事を返します。たとえば: * [タイニータスク](https://note.com/workhack20/n/n61e7b36cea01)として処理する * ボールを持たない意識で、すぐに渡す * 機械的に行う * 通知をオフにした上で、返事用の時間を定期イベントにする * 例: 毎日平日13:00-13:30を「メール確認タイム」にする * Superhumanのようにスニペットを活用する * 生成AIの活用 **need Action** 。アクション(行動)が必要なメールです。 返信はアクションには含めません(need Replyです)が、返信に時間を要する or 時間をかけるべき場合はアクションにします。その場合でも、先に軽いメールを返しておけることはあります。 頭の中だけで管理すると破綻するので、タスク管理ツールを使ってください。成立するならメモや[デイリータスクリスト](https://note.com/workhack20/n/n2e0cd93468a2)程度の簡易的な手段でも構いません。 **need Check** 。確認が必要なメールです。 返信もアクションも要らないメールは、基本的に次のLogにするべきですが、そうもいかないメールもあり、これらは need Check とします。 need Check的なメールはできるだけ少なくしてください。ここをどれだけ少なくできるかが、メールにかかる時間やストレスの軽減に直結します。 **Log** 。受信時の確認は不要で、単に保存しておくメールです。 Logに当てはまるメールは、必要なときにメーラーの検索や一覧を使って探せば読むだけです。 **受信時には確認しません** 。 SCI戦略のInformationに相当します。Heyでは領収書、注文確認、サービス通知などがそうでした。メールは "受信時に" 必ず目を通すものだとの固定観念がありますが、そうではないのです。 とはいえ、いきなりLog的に扱ってしまうと、返信やアクションが必要なメールも見過ごしてしまいますので、まずはメール全部に目を通して、そこからLogを増やしていくようにします。つまり **最初は大変だと思います。徐々に自分なりのカスタマイズを反映して楽にしていきます** 。 ### オンデマンドチェック RACL戦略において、Log的なメールは(受信時ではなく)必要なときに読めばいいのでした。 これを **オンデマンドチェック** といいます。Ondemand、つまり必要に応じてチェックします。 RACL戦略においては、このオンデマンドチェックの考え方が重要です。別の言い方をすると、メールに占めるLogの割合を最大化せよ、とも言えます。 **メーラーはもはやコミュニケーションツールではなく、ある種の情報保存ツールなのです** 。 これは実質的に「通知に踊らされない」「不要なメールは相手にしない」「何が必要・不要かは自分で判断する」「また判断し続ける・カスタマイズし続ける」といった情報摂取リテラシーが要求されているに等しいです。 結局、メールと付き合う上で重要なのは、ツールよりも自分の意思だったりします。ありきたりですが、これができず整理も仕分けもせずに放置しているから溺れてしまうのです。 **逃げずに向き合いましょう** 。RACL戦略では具体的なツールは挙げていませんが、ここまで挙げたHey、Asana、Superhumanは参考になります。 意思決定については、当サイトの仕事術も参考になるかもしれませんので、よろしければ漁ってみてください。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E6%84%8F%E6%80%9D%E6%B1%BA%E5%AE%9A&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E6%84%8F%E6%80%9D%E6%B1%BA%E5%AE%9A&context=note&mode=search) # Title: 継続的下書き [非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)や[情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc)が進まない主因は、 **そもそもそういう発想や習慣がない** ことにあります。 ここを補うために使えそうな、比較的身近な概念が **下書き** です。 ## 背景 対面口頭などリアルタイムなコミュニケーションですと、その場で喋って(書いて)終わります。「下書きする」という発想がありません。 一方、まとまった情報をつくって共有するときや、単に非同期コミュニケーションをするときは、その場でつくりきることは必須ではありません。たとえば、一週間前に書いたものに対して、続きを書き足して仕上げたり、あるいは投稿したりといったこともします。 このような **リアルタイムにとらわれないあり方** を支える概念が **下書き** だと思います。 下書きという言葉は、わかりやすいはずです。すでに多くの人が多かれ少なかれ、やっているものだとも思います。 下書きを支援する仕事術やツールがあれば、それは非同期コミュニケーションや情報共有の啓蒙に繋がるでしょう。 ## 継続的下書き **継続的下書き(Continuous Drafting)** とは、下書きという営みを常用することを指します。 すでに日常生活ではSNSが、仕事でもTeamsやSlackなどビジネスチャットが常用されていると思いますが、この「常用されるもの」として下書きツールも加わるイメージです。それほどに日常的に下書きを行うのが継続的下書きです。 ## メリット 新しい利便性をもたらします。 具体的には、 **非同期コミュニケーションや情報共有といった現代的な働き方を手に入れる** ことができます。 現代は技術も方法も整った時代ですが、まだまだ働き方は原始的です。時間も場所も拘束した会議やワークばかりしています。 リモートやフレックスも当たり前に行えるはずなのに律儀に出社していますし、フルリモートフルフレックスを謳う会社であっても、実態はコアタイム中にオンライン会議ばかりしています。拘束という原始的な制約から脱せてないからです。 当サイトでは、このあり方から脱することを脱拘束と呼んでいます。 脱拘束に必要なのが非同期コミュニケーションと情報共有であり、この二つを行うのに使えそうなのが下書きです。 つまり **継続的下書きは脱拘束を進めます** 。 ## 下書きの力 下書きという概念を改めて整理しておきましょう。 ### 下書きとは何か 下書きとは、 **自分が書いて、自分自身だけが見ることのできる、未完成・未提出の情報** を指します。 何らかの会議や提出を伴う資料はわかりやすいでしょう。本番として出す最終版をつくる以前の資料は、おそらく下書きとしてつくるはずです。 SNSやチャットなどのコミュニケーションでも使われているかもしれません。一気に書いて送るのではなく、まずは手元で下書きします。時間をかけてのんびりつくったり、あるいは一日寝かせてみてチェックしてみたりするでしょう。 ### 下書きは共有のハードルを避ける 脱拘束を行うためには、情報を、皆(少なくとも関係者)の見える場所に出さねばなりません。 これは原始的な過ごし方しか知らない人にとっては、とてつもないハードルになります。ハードルの一つとして「そんな短時間ですぐ書いて出すことなんてできない」があります。 そんなことはありません。 **むしろ、手元で色々と書いていたものを小出しにしたり、前使ったものをまた出したり、少し書き換えて出したりといったことが多いです。** こう聞くと、なんだか非常に難しそうな営みに見えますが、単に下書きをしているだけです。原始的なコミュニケーションにおいても、人や状況に応じて何を出すかを使い分けていますが、それと同じです。ただ手段が違うだけです。 * 従来 * 頭の中で、声に出す * 脱拘束的 * 下書きしていたものを、提出する 毎回その場で新しく書き始めるのは大変ですから、下書きしていたものを出すのです。 ## 継続的下書きを実現する 本当はツールの形で使えたら良いのですが、現状、継続的下書き用のツールはありませんので、コンセプトをお伝えします。 ※「ビジネスチャット」レベルのポテンシャルがあると思いますので、ぜひツール化や事業化のネタとして使ってください! ### ターゲットを並べる ターゲットとは「何に対する下書きか」の「何」を指す単位です。 ターゲットの例を挙げます。 * 人 * 誰々さん * 案件やプロジェクト * イベントや予定 * 場所 etc **継続的下書きでは、ターゲットごとに下書きを書きます** 。仮に5人の部下を抱えるマネージャー🐵さんがいるとしたら、🐵さんは5人分のターゲットは持つでしょう。部下である🐶さん向けの下書きは、「ターゲット🐶」のところに書くのです。 ツールとしては、たとえば以下のように見せるイメージです。 ![](/assets/n12652d4cd1ab_1729738306-t0Wh8QGxrJfDoquPj53g2nUI.png)まずターゲットを選んでもらって、その先で下書きをする。 ### 下書きはチャットUIにて 下書きのUIですが、X(Twitter)やTeamsのような、単純なものを厳守したいです。 * 投稿するためのテキストエリアが一つだけある * 投稿したものはタイムライン(時系列で並ぶ)が一つある というのも、 **マジョリティはこれ以上複雑なデジタルツールを扱えません** 。 ツールとしてはチャットの他にも[QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339)があるのですが、ビジネスでも、ゲームでも、SNSでも、まだまだチャットばかりが使われています。それが現実です。 ### 終わった下書きはアーカイブにする 用が済んだ下書きはアーカイブにした方が良いでしょう。つまり、 * 用が済んだ下書きは「アーカイブ」にする * 普段見えているタイムラインからは隔離する * アーカイブした下書きは直接編集できない * 再利用したい場合は、複製する とします。 なぜかというと、タイムラインにいつまでも用済みの下書きが残っていると収拾がつかなくなるからです。終わったものは、タイムラインからは消さねばなりません。 別の言い方をすると、タイムラインはインボックスであり、[インボックスゼロ](https://note.com/workhack20/n/n763dcc87ce9e)にしたいのです。メールやメッセージを大量の未読のまま残す人は多いですが、そんなことをしちゃうと継続的下書きは破綻します。継続的下書きは能動的に書く営みであり、従来の「外から来た情報を受け取る仕組み」とは全くの別物です。 **破綻を防ぐには、インボックスの概念は必須です** 。 しかし、下書きは再利用したいことも多いので、削除するわけにはいきません。そこでアーカイブにして、タイムラインからは隔離します。もちろん、隔離といっても、ビューを変えれば見に行くことはできますし、検索もできます。X(Twitter)でいうリスト的な機能を入れて「よく使う下書き」を束ねられるようにしておくのも便利でしょう。 ### アーカイブの適用 もう一つ重要なのが、アーカイブをちゃんと機能させることです。 具体的には、アーカイブという操作をこまめに行えるほどマジョリティは賢くないので、ツール側から気付かせねばなりません。 といってもリマインダーで知らせるか、時間経過で自動的にアーカイブ化するか、くらいでしょう。 自動アーカイブの場合、下書きの存在そのものを忘れるといけないので、「アーカイブされた下書きがあります!」のようなお知らせは要るでしょう……が、自動アーカイブは「勝手に操作された感」が受け付けないでしょうし、細かい時間設定のカスタマイズをマジョリティが行えるとも思えません(それができるなら自発的にアーカイブできる)。 ですので、リマインダーの路線か、何なら全面的にウィザード化して、それに従うだけで上手い感じになってくれる路線が良い気はしています。 ### 提出のサポート 継続的下書きツールで書いた下書きは、何らかの形で外に出す必要があります。コミュニケーションツール上での返信なのか、どこかに提出する資料なのか、はたまた仕事の成果物なのかはわかりませんが、どこかに何かを出します。 この部分を全部手作業で行うのは地味にキツイので、楽したいです。 具体的にはコピペをしやすくします。ボタン一発でコピーできることはもちろん、余計なミスや書式のブレも修正してくれるとなお便利ですね。 ここで「ツールと連携させて、ダイレクトにアップロードなり投稿なりさせればいいのでは?」と思いがちですが、これはアンチパターンです。というのも、下書きはあくまで下書きであって、提出前は **提出用の場所で最終的な仕上げがしたい** からです。 ですので、一見すると不便に見えますが、コピペだけサポートして、最終的な仕上げは任せた方が良いと考えています。 ## 既存の手段で継続的下書きを実現する 既存のツールでも実現できなくはないです。 要は「ターゲット」という箱をつくって、それぞれごとにタイムライン的なメッセージを流せるツール(あるいはこれと同等の情報単位を持てるツール)なら何でも可能です。 いくつか例を挙げます。 * TeamsやSlackなどビジネスチャット * 自分用のワークスペースを一つつくる * 1-ターゲット 1-チャンネルでつくる * 下書きは普通にチャンネル内に投稿する * ⭕運用がシンプル * ❌アーカイブの概念がない(ので下書きが溜まると破綻しがち) * フォルダとテキストファイル * ローカルでもクラウドでも、自分用の領域を確保する * 1-ターゲット 1-フォルダでつくる * 下書きはフォルダ内に、1-下書き 1-テキストファイルでつくる * ⭕運用がシンプル * ❌テキストファイルの行き来、検索、俯瞰が面倒 * Miroのような無限キャンバス * 自分用のボードを一つつくる * 1-ターゲット 1-領域でつくる * 適当な領域を確保して、そのターゲットを象徴する写真などを置く(シンボル) * 下書きは付箋やテキストボックスでつくって、シンボルの周りに貼り付ける * ⭕空間的に配置しやすく俯瞰しやすい * ❌テキストを書きにくい、コピペなど利用もしづらい、アーカイブも面倒くさい * Notionのようなノートツール * 自分用のワークスペースを一つつくる * 1-ターゲット 1-ページ(1-ノート)でつくる * 下書きは、ページ内に書き込んでいく * ⭕ノートに慣れている人なら、多分一番使いやすい * ❌「下書き」の単位間が曖昧になり、ノート内がごちゃごちゃしがち いずれにせよ、できないことはないですが、決め手には欠ける印象です。 やはり継続的下書き用のキラーアプリの登場が待たれます。 # Title: ソリッドキャリアからリキッドキャリアへ 特定の職種や役割を募集する形が主流ですが、このあり方のデメリットも大きくなってきました。代わりのあり方も出始めています。 ## ソリッドキャリア **ソリッドキャリア** とは、固定的なポジション(職種や役割)を使ったあり方です。 専門性至上主義とも言えます。そもそもポジションを定めているのも、きちんとしたスキルと経験を持つ者を雇いたいからです。 また、ポジションの名前が共通言語としても機能するためコミュニケーションや情報共有もしやすく、業界全体の質も上げます。 ## ソリッドキャリアのデメリット 融通が利きません。 多面的な仕事を、定義されたポジション( **ソリッド** )のみで離散的に捉えることになるからです。 ### ミスマッチしやすい 仕事において実際求められるのは、専門性以外の部分だったりします。アダプテーション(適応)やインプットの話は以前も取り上げました。 もちろん、専門性も欲しいですから、実質的に「ある程度以上の専門性を持ち、これら適応やインプットの要領も備えた人材」を求めていることになります。 要求水準が高すぎるのです。そんな人材はそうはいません。だから人手不足になります。 ### 新しいポジションを開拓・提案できない たとえば、当サイトで扱っているような「仕事術」を扱うポジションは通じません。ソリッドとして存在しないからです。 そもそも現代の雇用は「自分達が必要とする人材」を「ソリッドとして表現されたポジション」で表現し、それを募集しようとします。いわば、使われている語彙がソリッドであり、ここがネックになっています。 仕事は多様ですし、私たちが置かれた状況も様々です。ソリッドだけで表現しきれるはずもありません。なのに、 **ソリッドで表現できる人材しか想定しない** わけです。 この点もやはり人手不足に繋がります。また、新しい貢献の仕方を持ち込めないので、組織も鈍化しがちです。 ※本当にソリッドが必要という場合は重宝しますが、特定の作業さえできたら良いとする「駒」で済む仕事でもなければ、レアケースだと思います。 ここで「ソリッドにとらわれない人材が来たときに受け入れれば良い」と考えるかもしれませんが、それも叶いません。人事フィルターがあるからです。 要は、仕事として規定されたソリッドとのマッチを見るので、ソリッド以外のあり方は問答無用で落とします。 ### 競争が熾烈になる すでに海外では起きていますが、金やコネ、もっと言えば生まれの強い人が勝つ世界になります。 ソリッドという、ごく一部のポジションに人が集まるがゆえに、競争が激しくなるためです。特にキャリアの実力は実経験で決まるところがあり、その実経験を手に入れる部分で生まれの差が出ます。 社会のあり方を論ずるつもりはありませんが、行き過ぎた競争は純粋に疲れますし、均質的な人材しか集まらないため多様性も確保されづらいです。 ## リキッドキャリア ソリッドキャリアに代わるあり方がリキッドキャリアです。 **リキッドキャリア** とは、固定的なポジションを緩和したキャリアのあり方です。人材の特性や強みを生かして、上手く使うことを考えます。ポジションは手段の一つにすぎず、絶対的な要素ではありません。 ## 例 **ティール組織** はリキッドキャリアが可能です。 ティール組織では十数人以下の「小集団」各々が採用活動を行います。必要なスキルや経験は動的にキャッチアップしていけばいいですし、ティールでは可能ですので、ソリッドキャリアのように事前に強く要請はしません。 代わりに、小集団への適応と組織全体への適応が要求されます。ティール組織は言わば小集団という細胞からなる生命体ですから、細胞として、また生命体として全うすることが必須です。守れない者は癌にも等しく、クビになるほどクリティカルです。 ※需要があれば「自分ひとりから成る小集団」も可能です。 そもそもソリッドキャリアが台頭しているのは、階層的な組織など管理が強くて融通が利かない組織パラダイムにおいて実力を発揮するためです。融通が利かない組織のあり方では、「すでに持っている」スキルと経験で渡り歩くしかないので、渡り歩けるほど強い人材を求めるわけです。 しかし、ティール組織は、これ以外のあり方も可能だと示しています。2024年現在、まだまだ事例は少ないですが、今後広まっていくと思います。 ## リキッドキャリアに必要な3要素 ### 1: アピール 自分がどういう人材で、どういう使い道があるのか。 日頃何をしていて、何を生み出してきたか。 といったことを知ってもらう必要があります。知ってもらえないと、どう生かせばいいかがわからないからです。 これは単にスキルや経験や成果物をアピールせよ、というだけではありません。性格や特性、ものの考え方なども含みます。プライベートも含めてもいいくらいです。 ### 2: 透明性 どんな仕事があるのか。役割や立ち回りや作業が欲されているか。 どんなチームがあって、どんな人がいて、何をしているか。 各仕事の状況はどうなっているか。 このような情報がオープンに共有されている必要があります。これは実質的に、自分たち自身のあり方を自覚することや、組織内から広く支援を受け付けることを許容すること、また仕事の受け渡しを行いやすくするための整理や分解も日頃から行うことなどを要請します。 ### 3: 主体性と開放性 リキッドキャリアでは仕事のマッチングは動的です。社内転職という言葉がありますが、そんな大掛かりなものではなく、誰でも必要に応じて他の仕事とマッチングできるということです。 これを満たすために、募集側にも応募側にも要求があります。 * 仕事を持つ側: 誰が来ても受け入れる開放性を持つこと * 仕事を探す側: 自分にできることを自ら探して志願しにいく主体性を持つこと ### まとめ 1: は個人の透明性を、2: は組織や仕事の透明性を述べています。また、3: は募集側と応募側のそれぞれが持つべき資質を述べています。 ですので、まとめると以下三つが必要とも言えます。 * 個人や組織や仕事の透明性 * 募集側の開放性 * 応募側の主体性 ## おわりに 従来のあり方を「ソリッドキャリア」と名付けて整理しました。そのカウンターとして「リキッドキャリア」を提案し、ティール組織という例と、必要な3要素を整理しました。 ソリッドから脱して、より融通を利かせたあり方を実現したい人は、ぜひリキッドキャリアを模索してみてください。 # Title: Feedback 1on1 **Feedback 1on1** とは、特定の話題に対するフィードバックをもらうことに専念した1on1を指します。 ## メリット * 普段聞きづらいことや相談しづらいことを解消できる * 少なくとも他者の率直な意見が来るので、第一歩にはなる * 業務とは直接関係ない話題も扱える * たとえばキャリアの話、プライベートの話、人間関係や人生の話 ## 考え方 ### フィードバック Feedback 1on1では、話題を出す **プレゼンター** と、それに対してフィードバックを行う **フィードバッカー** に分かれます。 フィードバッカーが、プレゼンターに対して、その話題に対するフィードバックを行います。 プレゼンターはその場で思いつきを喋るのではなく、事前に話題を決めておいて、スムーズに喋らねばなりません。これを **プレゼン** といいます。通常のプレゼンテーションほど大げさではないですが、事前準備を要します。 まとめると、プレゼンターのプレゼンに対して、フィードバッカーがフィードバックをするということです。 ### 1回の1on1 1回の1on1では以下を行います。 * 1: プレゼンターがプレゼンする * 2: (必要なら)フィードバッカー側に整理する時間を少し設ける * 3: フィードバッカーがフィードバックする * 4: (時間が余ったら)さらに質疑応答してもよい * プレゼンターが質問をして、フィードバッカーが答える * フィードバッカーが質問して、プレゼンターが答える * どちらでも良い 短ければ1分、長くても5分とかかりません。 ### フィードバックへの専念 重要なのはフィードバックに専念することです。 したがって、以下は行いません。 * 自己紹介 * 雑談 特にフィードバック後に時間が余ったときに、雑談が発生しがちなので注意してください。Feedback 1on1は、あくまでもフィードバックを出すことにのみ専念する場です。 また関係を深める目的はないので、自己紹介も不要です。この感覚は、常に関係をつくろうとする日本の文化からは非常に理解しづらいので、しつこく啓蒙・周知してください。 ### マスクド・アイデンティティ 素のアイデンティティ(名前や容姿や性別や声)が見えるとやりづらいので、マスクド・アイデンティティを使います。匿名でも構いません。 オンライン会議でやる場合、ビデオはオフで、音声もボイスチェンジャーを介するのが良いでしょう。標準の機能だけではおそらく厳しいので、別のツールや仕組みは必要になるはずです。 ※この手のキラーアプリ(特に組織内でクローズドに使うシチュ)はまだ無いと思うので、開発や事業化が進んだらいいなと思います。 ## やり方 ### 標準的なやり方 ある程度人数を集めて、その中で「1回分のFeedback 1on1」を回していく方式が良いと思います。 具体的には、以下のように偶数人を集めた上で、半数をプレゼンターに、もう半数をフィードバッカーにして、ぐるぐる回していきます。 ![](/assets/n14981ab16372_1729819540-n2h3jbr8JV0pvGeMKUDQxXsu.png)6人の場合。 上図の場合、aさんはまずdさんと、次にeさんと、その次にfさんとFeedback 1on1をします。 全ペアを回せたら、役割を交代して、同じようにします。 仮に総人数が 2n 人だとすると、Feedback 1on1も 2n 回行われます。6人の場合は6回ですね。全体を30分で取っていたとすると、1回あたり5分です。実際は切り替えなどの時間もありますから1分引いて、1回あたり4分でしょうか。 ### 開催の流れ * 1: Feedback 1on1を設計する * 何人集める? * 開催時間は? * 2: 告知して参加者を募集する * 3: 参加募集を締め切る * 参加者は各自フィードバックをもらいたい話題を用意しておく * 4: 開始当日 ポイントは **Feedback 1on1では細かい名前やテーマは設けない** という点です。誰であっても参加できますし、プレゼン内容も自由だからです。 Feedback 1on1という名前は共通言語であり、Feedback 1on1をするということは、誰が参加しても良いことを示します。 もっと言えば、誰でも、いつでも、Feedback 1on1を開催できますし、参加できます。 ですので前述したとおり、Feedback 1on1専用のアプリやシステムが欲しいところです。そうしないとFeedback 1on1開催者によるファシリテーションが入ってしまうからです。開催者によって人が集まったり集まらなかったりするからです。それでは意味がありません。 # Title: 色々な1on1 当サイトが紹介した1on1を整理します。 ※随時更新予定 前提として、1on1は「上司と部下が、30~60分くらいで、仕事 or キャリア or 雑談的な話を、定期的に行う」ものとのニュアンスがありますが、違います。 様々な1on1がありますし、必要に応じてつくれるものです。 1on1のポテンシャルをフル活用したい人は、ここで整理した内容に限らず、柔軟にとらえてみてください。 ## フリー1on1 1on1をいつでも、誰でも、誰とでも、何度でも行えるようにしたものです。 また、1on1に関するスタンスが見えるようにしておくと、好き勝手に申し込みやすくなります。 ## 1on1タイム 全員が1on1をするための時間帯を設けます。 ## 観察者つき1on1 観察者を加えることで、通常の1on1では実現できない微妙なバランスを確保できることがあります。 ## 録画する1on1 1on1は、その閉鎖性がデメリットになる(形骸化はよくありますし、下手すればハラスメントの舞台にもなる)こともあります。 閉鎖性をあえて打ち破ることもでき、録画もその一つの手段です。 ## 傍観者つき1on1 観察者1人でも、録画でもない、別のアプローチとして「n人の傍観者も認める」1on1もあります。 ## 社外1on1 1on1というと社内で行うイメージがありますが、実は社外の人と行うこともできます。 2024/10 現在、まだあまり開拓されていないジャンルだと思います。 ## Feedback 1on1 数分以内の「フィードバックに特化した1on1」をぐるぐる回していくようなあり方です。 ## Text 1on1 一切喋らず、テキストベースで完結するという、情報交換的な1on1です。 # Title: Text 1on1 1on1の本質を情報交換と捉えると、実はミーティングは要らなくなります。テキストベースで1on1が完結します。 ## Text 1on1 **Text 1on1** とは、テキストベースで行う1on1です。 ノートアプリで1on1用の会場をつくり、1-話題 1ページで何でも書き込みます。ミーティングは30~60分で行いますが、一切喋らず、お互い黙々書き込むだけにします。 ※ビデオや音声が要らないという意味で、冒頭では「ミーティングが要らない」としています。 ## 関連記事 これは当サイトで言及するトピック管理の概念です。 具体的なイメージを掴んでいただくために、Microsoft OneNoteで行う例もまとめています。 ## メリット * 情報交換に専念できる * 話題ごとにページをつくって、そこに書き込むだけなので読み書きに集中できます * 雑談的な営み、非言語や空気を読むといったノイズは不要です * 茶番も発生しません * 高密度な情報交換ができる * 何十もの話題を扱うことも可能です * 言語化して言葉に残す(残る)ので、口頭では至りにくい深い対話もできます ## === 以降ではやり方や考え方の話に入ります。 ## Text 1on1の原則 * No Theme. * 『事前にテーマは設定しない』 * 何の話題を扱っても良い、とするためです * また何十何百と話題を扱えるので、テーマ設定には意味がありません(どうせすぐに扱います) * No Limit. * 『事前に話題数に制約を設けない』 * 今回はこの5つの話題でやりましょう、といったことはしません * 何の話題とどれだけ付き合うかを自由にするためです * Topic Oriented. * 『トピック指向』 * 1-話題 1ページでつくります * 話題Aに関する話は、ページAに書くようにします * こうすることで「どこ書けばいいかがわからない」を防ぎます * Put or Ask. * 『置くか、尋ねよ』 * 口頭やチャットのように時系列にやりとりはしません * 代わりに以下のいずれかにします * Put。単に自分の意見を置く。 * Ask。質問や疑問の形で問いかける。 * (Answer。Askされた質問に答える) ## 実施の流れ 次のとおりとなります。 * 1: Setup。会場自体を建設する * (Text 1on1 1回分) * 2: Prepare。今回のText 1on1用の会場をつくる * 3: Prewrite。同上、話題があれば書き込んでおく * 4: Meeting。開催 ### 1: Setup Text 1on1で使うノートアプリ自体を整備します。 チーム内や二者間など、1on1を行うメンバー全員が使えるように整備します。1回の1on1ごとにワークスペースが必要ですので、メンバーの誰もがワークスペースをつくれることが必要です。 以下にいくつか例を挙げます。 * [Cosense(Scrapbox)](https://cosen.se/product) * ⭕おすすめ * \--- * 新しくProjectをつくって会場とします * ビジネス利用の場合、Projectごとに追加料金がかかりますが、一度つくったら以後はそこでText 1on1を続けられます * Microsoft OneNote * 🔺可能 * \--- * 二者だけが見れるフォルダをつくって、そこにノートブックを一つつくって会場とします * 1回の1on1ごとにセクションを一つつくります * [Notion](https://www.notion.so/ja) * 🔺可能 * \--- * 二者だけが見れるチームスペースをつくって会場とします * ビジネスプランが必要です * ビジネスプランでないと「他のメンバーにも見えちゃう」会場になります * 二者用チームスペースがつくれない場合、ページ単位で二者間のみに共有すればできなくもありません * しかし 1-1on1 1-ページとなってしまい、トピック指向がしづらくなります * たとえば1回の1on1で20の話題が出た場合も、全部1ページ中に書くことになります * クラウド文書管理ソフト * ❌非推奨 * \--- * Microsoft Word、Googleドキュメント、Box Notesなど * 二者だけが見れるフォルダをつくって、Text 1on1用とします * 1回の1on1につき、1つのドキュメントをつくります * できないことはないですが、やりづらいと思います * Wiki * ❌非推奨 * \--- * Wikiはメンバー全員が読み書きするものであり、1on1したい二者間のみのエリアをつくれません * その他同時編集をサポートしていないツール * ❌非推奨 * \--- * 同時編集は必須です 意外と決め手には欠けます。 **おすすめはCosenseです** 。トピック指向がしやすいツールですそ、何百何千ページと扱っても破綻しないので、純粋に長続きします。しかしProjectが多数必要になるため、料金がかさみます。 Microsoft 365が導入された組織であれば、OneNoteは悪くない選択です。誰でも自由につくれるからです。またノートアプリとしては Loop もあるので、そちらでも構いません。 しかし、Notion も含め、この手のノートアプリは単にページを一覧表示するだけなので、ページ数が増えてくると追いきれなくなって破綻します。そういう意味でも、Cosenseが頭一つ飛び抜けていると考えます。とはいえ、 **そもそも破綻するほど続くかもわからない** ので、まずはこれらノートアプリで良いでしょう。 最後に、クラウド文書管理ソフト系は、ノートアプリとして機動性に欠けるので難しいと思います。 **最低でも🔺をつけたアプリは必須です** 。 他の手段にも言及しておきます。 **Miro** など無限キャンバスは推奨しません(❌)。Text 1on1ではテキストをたくさん書き込みたいからです。このようなツールだと付箋を空間的に配置する部分に意識が行ってしまい、テキストの読み書きに集中できません。 **GitHub Issues** ([QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339) でいう Issues)は可能です(🔺)。Private なリポジトリをつくれば二者用エリアも確保できますし、1-話題 1-issueで扱えたり、用が済んだ話題をクローズしたりもできるので使い勝手は良いです。特にエンジニアの方は、ここから始めた方がわかりやすいまであります。 ### 2: Prepare どういう単位でエリアをつくるかについては、すでに Setup の部分で解説したので割愛します。ノートアプリごとに違うので、適当にやれば良いです。 大別しておくと、以下の二つがあります。 * 毎回エリアを分ける * 例: OneNote * エリアを分けない * 例: Cosense、Notion 毎回分ける方は、一見するとシンプルですが、前回扱った話題との接続がしづらいので長い目で見ると不便です。エリアを分けない方をおすすめします。 ### 3: Prewrite Prepareができた後、書いておきたい話題があったら書き込んでおいても構いません。 むしろ、究極的には Text 1on1 はミーティングなど要りません。各自が非同期的に読み書きすればいいだけだからです。 しかし、現実的にそれができる人はそうはいないので、通常のミーティングと同じように開催します(次の4:)。 ### 4: Meeting Text 1on1用のミーティングを行います。 ミーティング中は一切会話せず、ビデオも見せず、ただただ会場で読み書きします。 会話しながらやりたくなる衝動に駆られますが、堪えてください。Text 1on1ではテキストベースでのみやりとりすることに専念します。そうするからこそ高密度な情報交換が可能になります。 **会話は絶対に入れてはいけません** 。 ※会話しながらノートにも書くという[議事メモ](https://note.com/workhack20/n/nd54e3bec3407)的な1on1を否定しているわけではありません。それはそれで良いプラクティスです。ただ、Text 1on1のコンセプトではありません。 ## 実施タイミング ### ### 実施時間 30~60分くらいが良いでしょう。 短すぎると、良いところで終わってしまいます。しかし、Text 1on1は(ちゃんとやれば)非常に疲れるので 60 分以上保つものでもありません。 ### 実施頻度 お好きにどうぞ。 ハマった場合は毎日でもできますし、週一や月一でのんびりやることもできます。 時間が空くほど、前回のコンテキストを忘れてしまう(ノートを読み返して思い出すのにも時間がかかる)ので、 **書きたいことが多いうちは頻度を上げた方が良い** です。 書くことがなくなってきたら、頻度を下げればいいだけです。 基本的に「書くことがなくなる」は無いと思います。少なくとも仕事の状況や社内外の情勢は変化するはずで、ネタには困らないからです。 しかし、毎回ミーティングするのも負荷が高いです。 なので、慣れてくると最終的には「別にミーティングしなくても非同期的に各自書き込んでいけばいいか」となります。それはそれで構いませんし、むしろ[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)の観点では喜ばしいことです。 重要なのはテキストで情報交換を、特に高密度な情報交換を行える(あるいは今できなくても必要ならできる)ことであり、ミーティングの有無はどうでも良いのです。最初はミーティングした方が時間を確保しやすいからしているだけです。 ## Put or Ask ノートにどのように書き込んでいくかの話です。 話題単位ではトピック指向(1話題 1ページ)ですが、各話題の中はどうすればいいでしょうか。原則として Put or Ask を挙げていますが、もう少し詳しく取り上げます。 Put とは、自分の意見を置くことです。 以下は[OneNoteでトピックノート](https://note.com/workhack20/n/n95627933dc97)からの画像で、1on1とは違いますが、 ![](/assets/n171ca2bf55b9_1729848492-SMHcri2tqLKahZdpmXexCInv.png)ちなみに絵文字は1人1つ使っており、自分であることを表明するためのものです。 **3つの領域が Put されている** と言えます。🐵さんの領域、🐶さんの領域、🐈️さんの領域ですね。誰の領域かは絵文字をつけて示します。領域間は空行で区切ります。 さて、🐈️さんの領域には🐶さんや🐵さんの書き込みもあって、やりとりが生まれていますね。これはチャットを彷彿とさせます。 **Put としては許容しません** 。 つまり、自分の領域には自分の意見だけを書き込みます。Text 1on1は二者ですので、自分か相手かの領域が並ぶことになります。 **もし何か言いたいことがあるのなら、新しく自分の領域をつくって、そこで書いてください** 。もちろん、既読スルーも問題ありません。なぜなら、単に自分の意見を置いているだけだからです。やり取りは想定していないのです。 Text 1on1 としては「各自が自分の意見を置く」「それを見てもらう」ことを重視しています。そのために Put という基本原則を定めています。Put のあり方が、ノートベースの情報交換において絶対的に正しいわけではありません。 次に Ask ですが、これは Put では許容しなかった「相手の領域への書き込み」を許容します。ただし、 **明示的に質問や疑問の形で問います** 。つまりは尋ねます。問いであることが「割り込んでもいいよ」との合図となります。 逆を言うと、割り込んで書いて欲しいことがあれば、必ず尋ねる形で書いてください。Ask な書き込みは、なるべく無視せずに答えてあげてください。 問題は Ask を示す記号ですが、ここはお任せします。❓️のように絵文字で視覚的に強調してもいいですし、普通に尋ねる形で書いた部分があれば Ask だとみなす、くらいでも良いです。やりかたを定めすぎると窮屈になりますが、定めなさすぎてもスルーされやすくなります。このあたりのバランスは人それぞれです。 以上のとおり、基本は Put で置きつつ、ぜひ返事が欲しいものは Ask で尋ねるとのやり方になります。シンプルですし、味気無さや冷たさを感じるかもしれませんが、これは情報交換なのです。 そして情報交換に特化したコミュニケーションは、大部分の人が慣れていません(おそらく初体験のはずです)。思っている以上に難しいことです。だからこそ、Put と Ask だけやります、と大胆に割り切るのです。 # Title: 人(Person)でもやり方(Process)でもなく、アウトプット(Part)を見る 仕事に際して何を見るか、という潮流がいくつかあります。 これを3Pパラダイムと呼びます。 ※このモデルでは「実力」や「実績」は扱いません。 PersonとProcessは知られていますが、Partは知られていません。改めて整理します。 ## 人を見る(Person/Who) 「誰」を重視するパラダイムです。 特に日本を含むアジア圏では関係性を重視する文化のため、このあり方はよく見られます。親しい者や馴染んでいる者が選ばれます。 例: * 年功序列 * 飲みニケーション * どこが(どこの誰が)何を言っているかを重視する * 調和とひいき * 社内政治 * 人を選ぶ、人で選ぶ世界なので、選ばせる・選ばせないための工作が蔓延します メリットは、文化的には自然であり、多くの人にとって馴染みやすいことです。また文化レベルで秩序として機能するため、統制的には有能です。 デメリットは、成長と多様性が鈍化しやすいことです。関係性の高さで選ばれるため、実力や適性や細かい相性、事情などが度外視されがちです。 また、関係性の向上にも時間がかかる上に、周囲含めた関係の意地にも過敏なため、変化にスピードが出ません。十年以上変化しないことがざらにあります。 ## やり方を見る(Process/How) 「やり方」を重視するパラダイムです。 いわゆるプロセスと呼ばれるものです。人を信用せず、プロセスを定義して、これに従わせます。製造など統一的な生産を要求される場面で重宝しますが、ビジネス全般でも非常によく使われます。 日本は、関係性を重視する文化の延長で、和も重んじます。またトップダウンによる独裁ではなく合意形成的に進む文化でもあるため、合意形成の枠組みも欲しています。これらの手段としてプロセスは重宝しており、非常によく使われています。 無駄にプロセスを敷かれる光景はあるあるではないでしょうか。一方で、プライベートでは使われないと思います。文化を尊重しながら仕事を回せる、楽なやり方なのです。 例: * 手順書やフロー * 定例会議やイベント * 申請の導入 * 稟議 * 使う道具や設備の指定 メリットは、安定性が高いことです。秩序を保ちつつ、結果も一定水準を維持できます。 また、プロセスにせよ数字にせよ、目に見える形で定義できますし、計測も可能なので、管理もしやすいです。 デメリットは、まず融通が利かないことです。プロセスの枠組みを越えることができません。もう一つ、プロセス自体に不備がある場合や相性が悪い場合でも耐えるしかないので、[QoW](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577)やQoLも低下しがちです。 次に、プロセスにあぐらをかいてしまいがちです。事なかれ主義や無駄な管理者が蔓延します。組織規模が小さいうちは全体が見えるので抑止されますが、中規模以上になると物理的に見えなくなり増えていきます。組織力学として必ず発生すると言っても良いでしょう。 GAFAMなど外資系でも定期的にリストラをしていますが、これはプロセスにあぐらをかく無用な人材が増えすぎたのでカットしています。別の言い方をすると、人件費が増えやすいとも言えます。 ## アウトプットを見る(Part/What) 「アウトプット」を重視するパラダイムです。 人でもなく、プロセスでもなく、何を出したかを重視します。 ここでアウトプットとは、確かな利益や成果に繋がる「確かな成果物」だけではありません。むしろ、その前段階の、直接繋がるか・本当に繋がるかがわからないような **パーツ(Part, 部品)** のニュアンスが強いです。 要するにパーツをじゃんじゃん出して、それらを使ったり組み合わせたりして、といった形で進めていこうとします。 このパラダイムは日本を含め、まだ使われていないと思います。一見、使われていそうな組織であっても、PersonやProcessの比重が重かったりします。強いて言えば、先進的なベンチャー企業やコミュニティで使われていてもおかしくはないかな、という程度です。 例: * [QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339) * 誰でも何でもアウトプットできる場所 * オープンでフラットな組織構造 * 階層組織を脱した組織パラダイムが必要です * そのような組織だからこそ、誰もが何でもアウトプットし、またそれを利活用したり、それで議論したりできます * [ラピッド・リファレンス](https://note.com/workhack20/n/ne4341685a0b3) * ラピッド・リファレンスを実現できるほどIT環境に力を入れています * アウトプットはITの力がないと実現できないため、投資は惜しみません * [アジャイル](https://note.com/workhack20/n/n4e23691194d4)や[エクスプロラトリ](https://note.com/workhack20/n/n78e509a4fcda) * 本質的な仕事に専念するために、より高い密度や裁量や試行錯誤を求めます * [脱拘束](https://note.com/workhack20/n/n184331965d3c) * 出社や会議という拘束的なあり方にとらわれません * 各自が各自のペースでアウトプットしたりそれらを使えばいいからです キーワードを挙げるなら「脱管理」「オープン」「情報共有」です。 メリットは、従来のパラダイムでリーチできなかった「融通を利かせる」ができることです。 何も人を軽視する、プロセスを軽視すると言っているわけではなく、それらを決める、あるいは変える融通が利くのです。余計な管理がなく、ひいきもなく、オープンなアウトプットとその議論がベースとなるので、多様性も適材適所も両立できます。 デメリットは、まず時代が追いついていないことです。 実際、事例も挙げられていませんし、例として挙げたものも馴染みの薄い概念ばかりだと思います。当サイト『仕事術2.0』でも啓蒙を進めていきます。 次に、従業員への要求水準が高いことです。ITリテラシー、主体性、オープンネス(あるいは[コミュニケーション2.0](https://note.com/workhack20/n/nf2ae39825e42))など、多くのリテラシーを要求します。 これには勉強や訓練が必要ですし、特性上できない人も当然います。このハードルをどう緩和するか、またできない人をどうカバーするかが必要です。 ## (関連記事) アウトプットを見るパラダイムにより、プロジェクトワークの次の段階であるテラワークを近づけます。 # Title: 異文化理解力の8つの指標と、特に日本の傾向 仕事術(仕事のやり方や考え方)を扱う際に、しばしば障壁となるのが文化です。 文化は言わば **無自覚の宗教** みたいなもので、ここを言語化し、理解できないと成す術もなく一蹴されて終わります。あるいは自分達が扱う場合も、何がわからないのかわからない状態となって身動きが取れません。 この「文化」も様々な観点がありますが、今回は国レベルの文化を見ていきます。これを上手く言語化したのが[異文化理解力](https://www.amazon.co.jp/dp/B013WB5BJS/)です。 本記事では、同書で述べられている8つの観点を整理します。また日本の傾向も取り上げます。 ## コミュニケーション ![](/assets/ne84388513d7c_1729897901-0o7YxswuEPC3rZhVpJvi65D8.png) * ハイコンテクストは行間で伝える、行間を受け取る * ローコンテクストは額縁通りに伝える、受け取る * 日本は屈指のハイコンテクスト ## 評価 ![](/assets/ne84388513d7c_1729898078-30C92H6jaU7mVdZNwpD5GXqb.png) * ネガティブ・フィードバックの話 * 直接的: 率直に言う、和らげない、皆の前で言うこともある * 間接的: 遠回しに言う、ポジティブでくるむ、1対1で伝える * 礼節にも絡む * 間接を好む文化圏で、直接言うのは失礼 * 日本は屈指の間接的ネガティブフィードバック ## 説得 ![](/assets/ne84388513d7c_1729898205-IjyxCiszgwq5PODVvpuB9fLU.png) * 原理優先は、理論や概念からスタートする。演繹的 * 応用優先は、事実や発言からスタートする。帰納的 * 日本はどちらでもない「包括的思考」 ### ### 包括的思考 * アジア圏に見られる傾向で、周辺の情報を考慮すること * 背景 * 背景と中心人物の関係 * 登場人物や組織の誰が・どこが何を言っているか ## リード ![](/assets/ne84388513d7c_1729898446-pe1THW2gRzNLSx6E9mBMrFhZ.png) * 平等主義は組織がフラットで、序列を越えたコミュニケーションも当たり前で、上司は単なるまとめ役 * 階層主義は組織が多層的かつ固定的で、序列に沿う。上司は旗振り役 * 日本は屈指の階層主義 * 上司と部下がワンセットであり、外には出ることは想定されない * 外から部下と直接接することはないか、するにしても必ず上司を通す(メールでいうとccを入れる等) ## 決断 ![](/assets/ne84388513d7c_1729898747-QHrFLVomGPyCtSMXJlqgkn7A.png) * 合意志向は、全員の合意の上で決断する * トップダウン式は、個人が決断する(たいていは上司がやる) * 日本は屈指の合意志向 * かつ階層性も強いという世界唯一の文化 * 稟議というユニークな文化がある * 中々決めないが、決めた後は変えないし早い ## 信頼 ![](/assets/ne84388513d7c_1729898905-x5V1trqToanDIJu4dMiQzCE0.png)これはビジネスの話。友情や個人的関係の場合は、世界中どこであっても感情的な信頼になる。 * タスクベースは、活動をもって信頼する。良い仕事をするから信頼する。関係は動的で、くっついたり離れたりする * 関係ベースは、一緒に過ごすことで信頼する。関係は長い時間をかけて築かれる * 日本は関係ベースが強い * しかしもっと強い国もある * 飲みニケーションという独自文化がある * 飲み会の場が唯一本音を口にできる場 ## 見解の相違 ![](/assets/ne84388513d7c_1729899167-CnfMrBX7EdKSWewxgmPuLh4k.png) * 対立型は、対立や議論も当たり前に起こす。それで関係が壊れたりはしない * 対立回避型は、対立や議論を良しとしない。調和乱れたり関係が壊れたりするリスクがある * 日本は屈指の対立回避型 ## スケジューリング ![](/assets/ne84388513d7c_1729899251-TrqL2cl9KPCVfyRpGJtOXiBm.png) * 直線的な時間は、プロジェクトを連続的なものと捉える。一つずつ進める。締切とスケジュールが重要 * 柔軟な時間は、プロジェクトを流動的なものと捉える。同時進行する。邪魔を受け入れる柔軟性が重要 * 日本は直線的な時間が強い * ドイツやスイスほどではない ## まとめ: 日本の傾向 まず屈指と言えるほど突き抜けたものがたくさんあります。 * ハイコンテクスト * 間接的なネガティブ・フィードバック * 階層主義かつ合意形成 * 対立回避型 また、以下も強いです。 * 包括的思考 * 関係ベース # Title: 日本の組織で頻出する問題と対抗策 構造的(文化的に)に発生し続ける問題を5点取り上げます。各々の原因と対抗策も整理します。 原因については、異文化理解力の8指標に基づいて挙げます。 ## 問題 ### 1: 会議が多い * **ハイコンテクスト** なので非言語情報を欲する * **関係ベース** なので一緒に過ごすことを重視する ### 2: 議論をしない * **対立回避型** なので、そもそも議論をしたがらない * **ハイコンテクスト** なので、言語化をしたがらない * **間接的なネガティブフィードバック** なので、ネガティブなことを言いたがらない ### 3: サイロ化・閉鎖的 * **階層主義** なので、自分のレイヤー(上司と部下の範囲)の外に出ない * **関係ベース** なので、一緒に過ごすことに時間をかけており外から見えない ### 4: 新規事業や変革が遅い * **直線的な時間** なので、締切やスケジュールにとらわれる(管理にとらわれる) * **包括的思考** なので、いちいち周辺の顔色ばかりうかがう * **階層主義** なので、承認がはさまれて阻まれる。また上司が責任を負うことになるが、負いたがらないので相手にしない * **ハイコンテクスト** なので、議論が進まない。意見やニーズも引き出しづらい * **間接的なネガティブフィードバック** なので、ネガティブなフィードバックを引き出しづらい ### 5: 多様性に欠ける * **関係ベース** なので、一緒に過ごせる人のみを選別する(文化的に合わない人が受け入れられなくなっている) * **ハイコンテクスト** なので、行間を察せない者を受け入れない * **対立回避型** なので、平等主義(全員が同じ規律に従う)から脱せない。例外を許容したりn通りのあり方を認めたりといったことをしない ## 対抗策 ### 1: 会議が多い **グルーミング(雑談など親近感を育むための営み)** が仕事のあちこちに混ざっているので、分けます。 グルーミングについては以下記事を。 文化的に必要とされる営みなので、これ自体を減らすのは現実的ではありません。 現状、会議がグルーミングも兼ねられているので、会議を減らそうとする≒グルーミングを減らす、となり無条件に反発されてしまいます。ですので会議からグルーミングを切り離します。 代わりに、グルーミングのようなコミュニケーションは別途意図的に確保する、つまりは必要に応じて注入する形にします。 ### 2: 議論をしない 率直な意見を出しやすくする仕組みが必要です。 ニュアンスとしては匿名です。 **文化的に、面と向かってではまともに議論できない** ので、何らかの工夫を差し込まねばなりません。 当サイトでは **マスクド・アイデンティティ** という形で整理しています。 このような工夫は他にも考えられます。以下記事も参照してください。たとえばロールプレイや時間差といった考え方を紹介してます。 もう一つ、議論というよりはフィードバックですか、1on1の力を借りて促進できます。 より概念的な話をすると、各自が持つ情報をいかに引き出すか、と捉えることができます。 当サイトではブレイン・エリシットと呼んでおり、そのために必要なやり方や考え方も整備しています。 議論というと、対面で集まって口頭で話すイメージが強いかもしれませんが、必ずしもその必要はありません。むしろ、そのイメージはまさに文化に依存したものです(関係ベース)。 対面口頭という単一のあり方から、いかに抗えるかが重要なのです。 ### 3: サイロ化・閉鎖的 この問題を防ぐ唯一の方法は **オープン** です。 情報を何でも公開して、誰でも読めるようにします。また誰でも発信できるようにします。これを情報共有と呼びます。 * ❌単に口頭で誰かに伝えた * ⭕いつでも誰でも見れる・書き込める場所に置いた ### 4: 新規事業や変革が遅い 多様なアプローチが可能ですので、いくつか紹介します。 管理的なあり方から脱することは重要、何なら前提です。 以下記事ではマトリックスとして4パターン挙げていますが、そのうち **クエスティブ(冒険的)とエクスプロラトリ(探索的)** が相当します。 特に大企業では **出島戦略** も求められます。 出島戦略とは、会社の文化やルールに足を引っ張られない特殊な組織を指します。 新規事業にせよ、変革にせよ、 **ゼロイチの部分は才人や変人にしかこなせません** 。彼らが100%発揮できるような環境がそもそも必要です。そのためには実質的に、会社を分けるほどの隔離が必要とされます。文化やルールに抗うのは、特に日本では非常に難しいからです。 出島戦略を語る大企業のページはちらほら見られますが、正直言ってまだまだだと感じます。ただの新規事業部門や変革部門にしか見えません。そうではなく、才人や変人が貢献できねばなりません。 もう一つ、ゼロイチの部分をつくれるだけでは事業や組織に活かせないので、イチの後をカバーする諸々も必要となります。 ITの力に頼るのも効果的です。つまりは **DX** ですね。 GAFAMを見てもわかるように、現代でもITの力は圧倒的です。しかし、ちゃんと頼るためにはデジタルの流儀に我々が合わせねばなりません。それをDXと呼んでいます。 詳細は以下記事を参照してください。 最後に、新規事業や変革を成すには、様々な話題や論点を中長期的に扱える必要があります。本質的には創造的な営みであり、日々の思考や検討を形に残しておかねば、自由に育てたり使ったりといったことができません。 ※ひとりでやるなら頭の中で済みますが、組織だとそうはいきません。 そのためには新しいパラダイムが必要で、当サイトでは **トピック管理** と呼んでいます。タスクはタスク管理により上手く扱えるようになりましたが、同様に、話題や論点についてもトピック管理で上手く扱えるようになります。 ### 5: 多様性に欠ける まずは多様性の概念を拡張してください。 次に、荒療治的ではありますが、異分子的な人材を受け入れた方が良いでしょう。 **同質的な人材ばかりいる状態では、どう頑張っても変われません。変わることすら考えません** 。自分達だけで固定観念を打破するのは不可能です。 なので、異分子を入れて、上手く共存するためにはどうすれば、を探らねばなりません。 あとは仕事術(仕事のやり方や考え方)の領分です。結局、仕事術という手段を知らないと、やりようがないのです。 当サイト『仕事術2.0』は、まさに様々な手段をご用意しております。二つほど紹介します。 **ワーカー・トライアングル** は、直接的に貢献する人(ワーカー)への一辺倒をやめて、三要素で支えようというものです。ワーカーに向いてない人もそれなりにいるので、ワーカー以外の役割をつくって、上手くワーカーを支えます。 また、現代はチームワーク100%になりがちですが、これは常に試合をしているようなものです。連続試合に耐えられる人や、試合の中で上手く成長していける人しか生き残れません。 そうではなく、練習や鍛錬にあたる時間も確保します。これを **ソロワーク** と呼びます。 # Title: 革新的な人材を採用するには 改革、変革、イノベーションなど革新が求められることが増えてきましたが、一方で、実際に成すのは難しいです。 原因の主因は **単にやり方(というよりあり方)が下手だから** です。 本記事では、その下手なあり方に凝り固まっているのをほぐします。 ## 革新的な人材 革新をもたらすのは、 **革新的な人材** です。 革新性は以下からなります。 * 1: 従来の常識にとらわれない視点と行動力 * 2: 他者の追従を許さない、何らかの能力(その人が追求する対象) * 3: 放っておいても 2: の追求を続ける興味関心の強さと、それが続く持続性 革新的な人材はこの3つをすべて持っています。 **革新とは、このような人材が、自社に関するテーマにフルコミットし続けることで生まれる "かもしれない" もの** です。それほどに難しくて再現性の無いものです。その辺の一般人や有能な者が到達できるものではないのです。 そんな革新的な人材は、奇人や変人と呼ばれがちです。 つまり、奇人や変人と呼ばれるような者をいかにして見つけるか、受け入れるか、飼いならすかという話になります。 ## 1: 人事フィルターを減らす 選考のどこかで、特に初期段階では人事によるチェックが入るますが、ここで革新的な人材を落としてしまいます。 なぜなら、構造的に「想定されたポジションかどうかをチェックする」からです。それ以外の人材は問答無用で落とします。 当サイトではこの現象を **人事フィルター** を呼んでいます。革新的な人材が欲しいなら、このフィルターは緩和せねばなりません。 ## 2: カルチャーマッチは後追いでいいし、別にマッチしなくてもいい カルチャーマッチ(カルチャーフィット)は近年、国内でも重視されていますが、このカルチャーも足かせになっています。 辛辣に言えば、やり方が下手で融通が利かないから、上手くいくあり方を言語化して(カルチャー)、それと合う人だけを採用するしかないのです。 だからといって、カルチャーのような羅針盤がないのも無秩序であり、組織としては機能しません。暴力や報酬で釣るような原始的なあり方に回帰してしまいます。 どちらの場合でも、革新的な人材は寄り付きませんし、寄り付いてもマッチしないでしょう。 このジレンマを突破するために、 **カルチャーマッチングを動的にします** 。マッチは諦めないが、最悪マッチしなくてもいいし、カルチャー自体が変わるので次のマッチを目指せばいい、とそのような世界観にします。 これを **ダイナミック・カルチャーマッチング** と呼びます。 ## 3: 固定的なポジションを緩和する 現代では、固定的なポジション(職種や役割)のレパートリーを絶対視するきらいがあります。これは裏を返せば、そのポジションに当てはまらない人材のすべてが落とされるということです。 この固定的なあり方を **ソリッドキャリア** と呼びます。当然ながら、革新的な人材もソリッドに当てはまるとは限らないので、落とされてしまいます。 もう少し融通の利くあり方が必要です。当サイトでは **リキッドキャリア** と呼んで整理しています。事例で言えば、ティール組織で見られるものでもあります。 ## 4: ワーカーの絶対視をやめる 現代ではまだまだワーカー――直接利益になるような直接的な仕事をする者が圧倒的に優勢です。仕事≒プロジェクトワークまたはクライアントワーク、との組織も多いでしょう。 これは言わば、複雑な状況の中で泥臭く手を動かして前に進んでいける人材の世界です。残念なことに、革新的な人材にその適性があるとは限りませんし、いたとしても、仕事に忙殺されていては革新性など発揮できません。 この問題をクリアするためには、ワーカーの絶対視をやめる必要があります。当サイトでは **ワーカー・トライアングル** という、ワーカーとそれをサポートする役割2つによる、3役割のあり方を紹介しています。 ## 5: 異分子を受け入れる 日本は文化的に、多様性に不寛容になりがちです。 一方、革新的な人材は、冒頭でも述べたように変人と呼ばれるような人間であることが多いです。不寛容ではこれを受け入れることができません。かといって、文化的なあり方を変えるのも難しいです。 ですので、そのような異分子的な人材をとりあえず受け入れて、上手く共存することを考えるという荒療治的なやり方をします。行動は大事といますが、まさに行動するのです。 当サイトでは、そのような人材を **フリーリジョン** と呼んでいます。 **フリーリジョンが革新的な人材であるとは限りません** が、通常の人材よりは可能性は高いと思います。また、そうでなくとも、多様性が広がるので、革新的な人材を受け入れる状態を整えることには寄与します。 # Title: 出島戦略はかなり難しい 大企業におけるイノベーション、との文脈でよく語られるのが出島戦略ですが、これは相当難しいものです。 何が難しいかを整理します。具体的には「必要なこと」を挙げることで間接的に難しさを表現します。 逆を言えば、ちゃんと出島戦略をやりたいなら、これくらいはやらないといけないとも言えるでしょう。 ## 会社を分ける(くらいに区別する) 同じ会社内だと文化やルールに阻まれてしまいます。 先日、革新的な人材をテーマに以下記事を書きましたが、 障壁となる因子は無数にあります。同じ会社内の別組織程度だとおそらく越えきれません。特に[文化は自覚しづらい](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)ものであり、無自覚に文化を押し付けて妨害していることがよくあります。 出島戦略は人材が重視されがちですが、 **それ以前に、とにかくまずは場所です。その名のとおり、真の意味での出島をつくることから始まります** 。これができないと正直意味がありません。 ## 異分子を登用する これも上記記事で書きましたが、イノベーションを成せるのは異分子的な人材です。固定観念に凝り固まった、その辺の一般社員や有能な社員に成せるものではありません。 **異分子に、自社のテーマにフルコミットしてもらう** ことこそが鉄板なのです。 これは実質的に、異分子の登用を意味します。 DXの文脈ですが、書籍『ソフトウェア・ファースト』ではエイリアン(社外から)、ミュータント(社内から)という言葉で強調しています。異分子的なニュアンスがありますよね。 ## アダプターを採用・育成する 組織なので、会社と出島を繋ぐ存在が必要です。これを **アダプター** と呼びます。 アダプターは、会社から出島を守ります。これには出島という聖域を死守することもそうですし、出島の成果を適切にアピールして持続性を確保することも含みます。 当然ながら、守れるだけの裁量や権限も必要です。いわば出島組織の社長であり、会社と対等にやりとりできることが望ましいです。 ## 継続的に投資する 少なくとも2~3年はフルコミットできるだけの投資が必要です。 大企業であれば、その程度のお金はあるはずですから、ここは実質的に経営層が腹をくくれるかどうか次第です。DXと同じですね。 ## 遊びに来れるようにする 会社の社員が自由に遊びに来て、試用や意見やフィードバックができるようにします。大企業ですので、何千何万人が自由に遊びに来ることと同義です。 これには二つの効果があります。 * 1: 従業員からヒントを引き出せる * 2: ファンが増えてくれる * この人達が社内で存在や価値を広げてくれる 出島での仕事は中長期戦になりますから、ヒントは多い方がいいですし、会社から切られないためにも社員の声も大きくしておきたいのです。一朝一夕ではなく、少しずつ積み上げていくものなので、初期の段階から確立した方が良いでしょう。 注意点としては、遊びに来た人達によって出島が邪魔されないようにすることです。 何を見せるかは、出島の方でコントロールすれば済みます。出島の中に **プレイグラウンド** (砂場、遊び場)を設けて、ここなら自由に遊びに来ていいよ、とします。 プレイグラウンドにサポートの義務はありません。出島の人達が律儀にすべてに応対する必要はないのです。無いのだということを、プレイグラウンドの方針として周知するべきです。出島の本懐はイノベーションの結実であって、遊びに来た人達のサポートではないからです。 ## 出島にも検証の権限を与える 出島は社内でユーザーを募って使ってもらう、社内にリリースする、社外向けにお金を取る商売をする、といったことができなくてはなりません。 イノベーションには仮説検証も必要です。 **会社でやるとボトルネックになるので、この部分も出島でやります** 。ですので、できるだけの権限が要るのです。 ただし、会社のリソースを使うことは許容します。むしろ、一から開拓するのは大変なので積極的に許容します。ここで、会社側の管理が入りがちですが、堪えてください。あくまで主導権は出島にあり、出島が自分達のやり方考え方で検証できねばなりません。 ## 遊ぶ 出島戦略として、現状最もわかりやすい例はNTT東日本の登大遊さんだと思います。 最も本質的なことはただ一つで、遊ぶことです。 上述の異分子も加味すると、 **イノベーションとは異分子的な人材が遊ぶことで起こります(起こる率が高くなります)** 。 異分子の遊びを容認することと、遊んで出来た成果(ゼロイチのイチ)を価値につなげること。この二つを行うのが出島です。 # Title: 今週の記事 2024/10/20 今週は 31 記事書きました。 当サイト開始から 6 週が経ちました。 [←前 2024/10/13](https://note.com/workhack20/n/n295de5700ac4) [2024/10/27 次→](https://note.com/workhack20/n/nc0507b319cf1) ## 集中 ## 多様性 ## 組織や雇用の変革 ## イノベーション ## チーム・コミュニケーション ## 1on1 ## アウトプット・情報共有 ## 整理術・情報管理 ## 気分転換 ## ボトルネック ## 仕事術2.0 ## (運営) 「今月の記事」を始めました。 # Title: 「非言語情報を文字や絵で伝える」文化についていく 顔文字 → 絵文字 → スタンプと推移していますが、非言語情報を文字や絵で伝えるという潮流があります。 これを理解してないとスタンプハラスメントやマルハラスメントを起こしてしまいます。あるいは「そんなものはない」「仕事を舐めるな」「組織というものはだな……」などと目を背けてしまいます。 これでは溝は縮まりませんし、特に若手の離反(静かな退職含む)を防げません。 ## 背景 ポイントを3点お伝えします。 ### 1: 原始的なやり方からアップデートできてない **未だに原始的な対面口頭コミュニケーションが主流なのは、非言語情報をやりとりできるから** でもあります。 会議も多いし、リモートもできるのに出社ばかりさせられます。あるいは、リモートができていても、オンライン会議に忙殺されがちです。 原始的なやり方しか取れないのは、 **単にアップデートできていない** からです。このやり方への偏重そのものが、もう現代ではおかしいことです。スマホを知らない、使っていないくらいの無知であると考えてください。 ### 2: 文字や絵に非言語情報を乗せるやり方はもう当たり前にある とはいえ、リモートを含む「脱・原始的」なやり方であっても、私たちは人間なので非言語情報は必要です。だから **文字や絵で乗せます** 。それが顔文字、絵文字、スタンプといったものです。 ※脱・原始的なやり方としてテキストコミュニケーションとスタンプコミュニケーションを想定します。アバターによるジェスチャーなど、他にもありますが割愛します。 若者を含む、一部の世界ではすでにこれが当たり前となっています。当然ながら絵文字やスタンプの使い方・感じ方にもそれなりの型が生じています。 ### 3: ミスマッチを認めないし、キャッチアップもしない さて、原始的な人達は、そんなこともわかりません。なので使うときもすぐにミスマッチが生じます。 たとえばハートのスタンプを使ってセクハラ騒ぎになったり、 > Teamsのスタンプでセクハラ騒ぎが勃発。ハートは使っちゃダメだったらしい。男性マネージャー45才が気持ち悪いと垂れ込まれ人事部ヒアリングの憂き目に。 > 会社が用意したツールじゃん、さすがに可哀想でしょ。 マルハラスメントが起きたりします。 ここではハラスメントの議論はしませんが、このような騒動に対して、若者側が悪にされがちです。 以下のような記事は枚挙に暇がありません。 違うのです。 **テキストコミュニケーションとスタンプコミュニケーションはすでに盛り上がっており、これらで非言語情報を上手く表現するとの文化や型がすでにあるのです** 。 しかし、アップデートできてない人達はそれがわからず、仕事だから、組織だから、などと否定します。若者達も賢いので、いちいち反発はせず不満は飲み込んで無難な回答をします。 ※違和感を言語化できない、という事情もあります。このような言語化はそもそも難しいことです(当サイトがウリにしているほどの希少な技術です)。 ですので、ヒアリングやアンケートでもあまりクリティカルな結果が出ません。 さらに厄介なのは、 **アップデートできていない人達が「原始的な対面口頭で非言語情報をやりとりすればいい」と思っていることです。ゆえにテキストやスタンプを軽視します** 。キャッチアップしようなどという発想は持ちません。 ここで一つ問いますが、そんな組織に若者が定着するでしょうか。するにしても、相当な我慢や演技を強いられます。 ## ではどうすればいいのか 一言で言えば「アップデートせよ」なのですが、それができれば苦労はしないと思いますので、まずはここから始めると良いというヒントをいくつかお伝えします。 ### 明示的な解説 まずは **明示的な解説** です。 使用する絵文字やスタンプに関して、「こういうつもりで使ってるんだけど通じますか?」とか「他意は無いですよ」とか「正直意味がわからないので教えて欲しい」といったように、明示的に言葉にしてください。たとえば、 * 実例を取り上げて、若手(やその他わかる人)にフィードバックをもらう * 若手とリバースメンタリングを行って、基本的なところを教えてもらう * 違和感を感じたら、その都度聞く * 若手側も、上司先輩側もお互いに などです。 つまり、アップデートできていない人達は、テキストやスタンプを用いた非言語情報の乗せ方をちゃんと学んでください。 ※脱線しますが、可能ならプライベートでSNSやゲームなどをして自ら学ぶが良いでしょう。 ### 矯正と許容のバランス 次に **すり合わせ** を行います。 上司先輩側は、仕事ではこういう風にやり取りしますというルールや文化を若手に教えます(矯正)。 若手側は、それを踏まえた過ごし方をしつつ、しかし **普段やっているテキストコミュニケーションやスタンプコミュニケーションも臆さずに使うようにします** 。たとえばチームや部門や事業部内程度であれば問題ないでしょう。 そして、上司先輩側は、若手側のそれを受け入れます(許容)。 重要なのは **矯正だけでなく、許容の余地も増やす** ことです。社外とのやり取りだったり、社内であっても形式的な作法がある場合は矯正でいいでしょう。 しかし、内部のやり取りまでも矯正するのは、行き過ぎです。アップデートできていない側のロジックを押し付けすぎであり、ハラスメントと表現されるのも無理はないかなと思います。 つまりすり合わせとは、矯正と許容のバランスを取ることです。 ### QoLの尊重 そもそものネックは、アップデートできていない人達が原始的なやり方にこだわっているところにあります。 ですので、原始的なやり方を減らすのがてっとり早いです。「QoLを尊重する」と言ってもいいでしょう。 **各自の生活の質を尊重できるような働き方をする** のです。たとえば: * 夜型の人は、12:00から出社する * 毎日律儀に会議せずとも、チャットその他[QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339)を使って[非同期的にコミュニケーション](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%9C%9F%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&context=note&mode=search)する * [会議の場で交流も兼ねてだらだらするのではなく、交流は別の機会に分けてそこでやる](https://note.com/workhack20/n/n3de84e6b5c2b)、会議自体は効率化する など。 対面という「拘束されるあり方」を減らせば減らすほど、各自は自分の生活スタイルに則りやすくなります。 いきなり全部減らすのは無理なので、一つずつでもやってみましょう。時間帯で区切って、やってみるのがおすすめです。10:00~12:00の間、今日一日、といった形で区切って「会議を一切しないで過ごしてみる」とするのです。 他、当サイトでも様々な仕事術を紹介しておりますので、ぜひ読み漁ってみてください。 ## チャンスでもある アップデートできてない人達や組織が多いからこそ、アップデートできると強いです。 * 若手が離れるのを防げるから * このようなアップデートを支援するサービス、などビジネスにする余地があるから # Title: 遊ぶつもりで転職活動をしてみる・しておく 必要になったときに転職活動を始めても慌ててしまうので、今のうちに遊んでおくと良いと思います。 ## 事前準備 履歴書と職務経歴書を書いておきます。 あるいは書くためのネタを揃えておきます。特に職務経歴は、覚えてないと思うので、一度棚卸ししておきましょう。 もう一つ、自分のキャリアや希望についても言語化しておきましょう。以下の問いのいずれかを深堀りすると、ザクザク出てくると思いますので、シンプルにまとめます。 * なぜ転職したいのか 、転職活動をしてみたいと思うのか * 自分は今後何をしていきたいか、どうなっていきたいか ## まずは転職サイトと採用ページ 転職サイトは以下の二種類があります。 * 1: 現役社員や元社員による口コミを読めるもの * 2: 非公開求人の掲載や転職エージェントによるスカウトがアホみたいに飛んでくるもの 両方登録してみることをおすすめします。 1: に登録すれば、色んな企業の実際の顔がよくわかります。読み物としても面白くて、ハマリすぎないよう注意が必要なくらいです。 2: に登録すれば、自分の市場価値と、巷の求人が大体どんな感じなのか(職種や雇用形態や金額、あとは業界や会社の傾向)がわかります。 それからもう一つ、各企業の採用情報ページも漁ってみましょう。 カルチャーマッチの時代ですからMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)や働き方や社員インタビュー・対話会といった情報が充実しています。もちろん、募集職種も掲載されており、応募できるようになっています。 ポジティブなことしか書いてないですが、どの企業がどんな文化で生きてるかがわかります。色々漁っていくと共通項や傾向も見えてきます。 ## 気になったらとりあえず応募 ここからが肝心ですが、気になった企業の求人にはとりあえず応募してみましょう。それこそ、遊びに行くくらいのつもりで応募します。 あえて「遊び」という言葉を使いましたが、語弊を生みそうなので少し補足します。 * 以下は不要です * 無駄に身構えること * 「絶対入社したい意思がなければ受けちゃダメなんだ」のように無駄にハードルを上げること * 就活のときのように気合を入れた書類準備と面接練習 * 以下くらいのニュアンスでOKです * 「受かったら行っちゃうかも」 * 「正直何とも言えないが、内容次第では入るかも。選考の過程で探ってみるか」 実際は早々受かるものではないですし、仮に受かったとしても気に入らなければ断ればいいだけです。逆に、気に入ったら転職してしまえばいいのです。 前提として、社会人として誠意ある対応はしましょう。志望動機、ビジョンへの共感、自分がどう貢献するかのイメージあたりは各社ごとにつくっておいて、すらすら言えるようにしておきたいです。普段、仕事で「まあまあ重要な会議」があるとそれなりの準備をすると思いますが、同じような感じです。 さて、このようにフットワーク軽めで応募する理由ですが、練習と学びのためです。 まず選考の流れ、日程調整の仕方、書類選考の感触、面接でどういうやりとりをするか――など普段の仕事とは勝手が違うので、慣れておきたいのが一つ。 そしてもう一つが、面接が学びの場になるという点です。新卒採用のような上下関係はなく、お互いにマッチングを探る対等な立場ですから、肩の力を抜いて、気楽に喋ればいいのです。 仮に同じ業界だとしても、会社が違えば文化や雰囲気も全然違うので刺激になります。話題は当然ながら選考としての深堀りばかりですが、議論の過程でお互いある程度(機密を漏らさない程度に)晒すことになるため、情報密度は濃いです。また、質疑応答の時間もあるので、聞きたいことも聞けます。 少し極端な言い方をすると、 **通常、他の会社の人間と関わるのは不可能ですが、転職では割とかんたんに(それでも書類選考通過は必要)できてしまいます** 。 ## 行動に勝る学びはない 単に調べたり考えたりするだけよりも、実際に転職サイトを使って、選考も受けてみて、と行動してみた方がはるかに学びがあります。 お金はかからないですし、失敗したからどうにかなるというものでもないので、じゃんじゃん遊んでみれば良いです。 ※ただし時間はかかりますし、精神的にも結構疲れます。 そうして転職の感触を掴んでおくと、少しは気持ちが楽になると思います。あるいは現実を突きつけられて引き締まるなり、諦めるなりするかもしれませんが、いずれにせよ、漠然としていた不安や自信を、より確かなものにできます。 ## Q&A ### Q: 選考を受けるペースはどれくらいが良い? Ans: 自分の仕事とプライベート次第です。 **まずは一社ずつ受ける** のが無難です。 もうちょっと増やせる場合や、応募先の融通が利く場合は n 社並行もできるでしょう。 パターンとしては、18:00など定時後に組むものと、平日日中(つまりは勤務時間中)に組むものがあります。後者の場合、現職の仕事と調整しなければなりません。 ※前者は即戦力を求めているか、ホワイトな度合いが高くありません。本記事の目的で転職活動をしてみるなら、後者の求人を推奨します。 別の言い方をすると、 **転職活動をしてみるために休みを取れるかどうか** が重要です。これは後々、本当にやりたくなった場合も必要ですので、今のうちに練習しておきましょう。 ここは試金石にもなると思います。つまり、そこまでしてやりたいとは思わない場合、あなたは転職の望みや興味が薄いでしょうから、無理して行う必要はありません。実際、一社であってもそれなりに面倒くさいので、途中でくじけると思います。 ### Q: キャリアや希望なんて無いのですが / 思いつかないのですが Ans: 深堀りしましょう。 ここで深堀りとは、深い思考を伴う営みです。 当サイトでは内省という形で整理していますので、よろしければ参考にしてください。 ちなみに、すぐに出てくるものではなく、何時間もうんうん唸って(あるいはのんびり考えて)ようやく出てくるかも、というものです。 別の言い方をすると、それだけじっくり考える時間を確保できるかどうかとも言えます。 **忙しくて暇がない場合、まずは週に一度、数時間の余裕をつくるところから始めてください。正直言って、ここができないと話になりません** 。 ※ここまで時間をかけずにスラスラ出てくるような人は、そもそも本記事は対象外でしょう。 この「余裕」についても、当サイトではいくつか扱っていますので、よろしければぜひ。 ### Q: 一社分受けるまでに何時間くらいかかる? Ans: 1日1時間を1ヶ月、くらいかけたら通常は届くと思います。 新しい趣味を始めたくらいの感覚で、肩の力を抜きましょう。仕事や生活が乱れてもいけないので、毎日少しずつ進めるのが良いと思います。 もし1時間を1ヶ月、でも届かなかった場合、それはそれで学びになります。おそらくあなたは要領が悪いか、言語化が苦手か、あるいは単に転職やキャリアの意思が薄いと思われます。 ※この場合の対処、は本記事では割愛します。 ### Q: カジュアル面談は使える? Ans: 使えますが、カジュアル面談も選考の一種です。 近年ではカジュアル面談という「カジュアルに話をする機会」が設けられていることも多いです。 ですが、 **カジュアルとは言っても面談であり、もっと言えば選考です** 。 むしろ「お祈りをせずに断れる手段」として重宝しているのが現状だと思います。実際、場合によって場をセッティングできないことがあります、のような注意書きが書いてあったりします。 要は、 **セッティングされなかった場合のフィードバックが一切ないので何の学びも得られない** のです。一方、選考であれば、必ず結果が返ってきますし、何がダメだったかのフィードバックも来る(あるいは聞けば答えてもらえる)ことがあります。 肝心の内容についても、企業側からの説明(資料を見ればわかるよこと)が大半を占めるので、意外とやりとりもしづらいです。 名前の気軽さに反して、ずいぶんと募集側寄りな制度だなと思います。 とはいえ、本当に、名前のとおりにカジュアルに話をする場として設定されていることもあります。そういう企業は優良だと思いますので、積極的に狙っていきましょう。 # Title: テキストで非言語情報を表現する 「フランクな非言語」 非言語情報は絵文字やスタンプの形で乗せることもできます。この文化についていけてない現象も含め、以前の記事でお伝えしました。 今回は、別の乗せ方を紹介します。 * 1: 顔文字 (^_^) * 2: 絵文字 😀 * 3: スタンプ ![](/assets/nc37490cfe244_1730061334-2YaxCfg0dZjQ9Ttc4eDEv6Nw.png)リアクションとしてスタンプをつける例。 * 4: テキスト(フランクな非言語) ★ここです 笑ってます ## フランクな非言語 **フランクな非言語(Frank Non-verbal)** とは、感情表現をテキストで直接書くことで行う非言語情報の伝え方を指します。 笑いを例にすると、顔文字は (^_^)、絵文字は😀、スタンプは以下のとおりです。 ![](/assets/nc37490cfe244_1730061334-2YaxCfg0dZjQ9Ttc4eDEv6Nw.png)リアクションとしてスタンプをつける例。![](/assets/nc37490cfe244_1730061544-zCFJMkiZtsPlfKU93aY7EHyW.png)メッセージとしてスタンプを投稿する例。 フランクな非言語の場合、以下のようになります。 * 笑っています * 笑いました 笑ったということを、そのまま言葉にして伝えるということです。 ちなみに以下は違います。 * (笑) * www フランクな非言語は、言葉として記述する必要があります。より具体的に言えば、自分を主語にした動作を書きます。 ## メリット * 誤解やすれ違いが起きにくい * 非言語情報を率直に乗せることができるからです * 絵文字やスタンプの使い方が変でハラスメント扱いされる、といったこともなくなります(冒頭記事で詳しく書いてます) * 控えめに乗せることができる * Before: 笑いました * Afterその1: 面白い * Afterその2: 面白いと思います * [非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/nf5a3105ad31a)が加速する * 原始的な対面口頭コミュニケーションが旺盛なのは、他に非言語情報を伝える手段がないから(かつ絵文字やスタンプで伝える文化を知らないから)です * しかし、知らない人達が絵文字やスタンプの文化を今から知りに行くのは大変です * フランクな非言語はそれほど大変ではありません(ただし絵文字やスタンプの文化を知る側の人達も新たにキャッチアップが必要) * フランクな非言語により、非言語情報の伝え方が確立されると、対面口頭コミュニケーションへの固執も薄まります → 非同期コミュニケーションが増えます ## デメリット * 退屈感がある * 絵ではないため退屈感を感じます * 事前周知が必要 * フランクな非言語は、現在全く使われていないと思うので、いきなり使っても相手や場が困惑します * 控えめにしすぎると結局伝わらない * 感情を出したくなくて「面白い」といった遠回しの表現をしたり、「思います」などと濁したりしていると、結局感情が相手に伝わりません * 使うのが意外と大変 * 言語化が必要ですし、テキストの入力も要ります * また、率直に表現することになるので、慣れないうちは精神的な負荷も大きいです * 特に[日本はハイコンテクストな文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)なので、そもそも率直に表現することを嫌いがちです # Title: Just Do Itマトリックス Just Do It(とにかくやれ!)の重要性はよく知られていますし、よく説かれもしますが、意外と理解しづらいものでもあります。 実はマトリックスで整理できます。これを見ると、さらに理解しやすいはずです。 ## Just Do Itのマトリックス Just Do Itが示すのは、以下マトリックスでいう 1 の部分です。 ![](/assets/nd0cbf2673fda_1730072363-lBc9OzFvf4YoxWa6RkwdsUrj.png)Just Do Itのマトリックス。 つまり **「裁量のある人」が「続きをやらないといけない」という場面** がまずあります。 この人達は「中々腰が上がらない」「どうすれば上がりますか」「やる気を出したいです」といった悩みを抱えています。 これに対する解が、Just Do It! なのです。 日本語では「いいからやれ」「とにかくやれ」「いますぐやれ」などと訳されます。 ですので、 **裁量があっても「新しく何かを始めないといけない」場面には当てはまりません** 。 もう一つ、そもそも **裁量がない人にも当てはまりません** 。このような人達には選択肢はありません。命令されている、管理・監督・監視されている、拘束されている等で、基本的に「やる」しかないはずですよね。 あるいは、反抗したり逃げたりすることもできますが、Just Do It はそのような勇気を後押しするものではないのです。 ## Just Do Itとは そもそも Just Do It とは何でしょうか。 元ネタは NIKE のキャッチコピーとされています。 ちなみに商標になっています。 ![](/assets/nd0cbf2673fda_1730072946-XJydzRlq0PQw3C7bkcNToMxu.png) 2024/10/28時点 インターネットでは、Just Do Itおじさんとして知られる以下動画が流行りました。 国内では、最近「星のカービィ」や「スマブラ」の生みの親として知られる桜井政博さんの動画でも出ています。 ## Just Do Itの本質 仕事術の観点で本質をいくつか挙げます。 * やる気 * やる気なんてものは存在しない * あるにしても、後から湧いてくるもの * 作業興奮 * 作業を始めることで興奮してくる * 行動の重要性 * 行動しない限りは何も変わらない * 行動すれば色々変わるし、フィードバックも来るので、さらにつながりやすい これを踏まえた上で、じゃあどうすればいいかというと、「とにかくやれ!」なのです。 ## 挑戦としてのJust Do It 本記事で述べているのは、 **続きをやるためのJust Do It** です。 一方で、NIKE のキャッチコピーや、その他文脈次第では「いいから挑戦しろ」的な意味として使われていると思います。 **挑戦としての Just Do It** もあるということです。 ※本記事ではこちらは扱いません。 あなたに必要な Just Do It は、どちらでしょうか。 ## おわりに Just Do It というものがどこを指しているかをお伝えしました。ついでに Just Do It の概要も整理しておきました。 皆さまの参考になりましたら幸いです。 # Title: JDI(Just Do It)をもっと使ってもらうために **JDI(Just Do It)** は強力な仕事術の一つだと思います。 JDI 自体の解説は以下記事を見てください。 しかし現状、JDI は **自分で行動に移すしかありません** 。そもそも行動に移せたら苦労はしないのです。それを何とかして焚きつけるために、Just Do It おじさんは魂の一喝をしているのだと思います。 強力は JDI をもっと使ってもらうためには、一体どうしたらいいのかを見ていきます。 ## 素材と出し方 ポイントは2点で、素材と出し方です。 ### 素材 **素材** とは、JDI を表現した何らかの作品を指します。画像、音声、動画を想定します。 Just Do Itおじさんは、最も有名な素材と言えます。 桜井政博さんによる素材も訴求力が高いでしょう。 VTuberとしては、白上フブキさんも出しています。 他にも無数に考えられます。たとえば: * 有名人によるもの * アイドル、声優、俳優によるもの * 特定のキャラクターによるもの などです。 ### 出し方 次に **出し方** とは、素材をどのように提示するかという話です。 最も原始的なのは「JDI の動画を自分で見る」ですが、これだと実際に見る行動をしなければ意味がありません。 また、見るにしても、ブラウザのブックマークのあちこちから探すのと、ブックマークバーに置いといてすぐにアクセスできるのとでは違います。 さらにアクセスしやすくしたいなら、特定のキー一発で呼び出せるようにしたり、[Stream Deck](https://www.elgato.com/jp/ja/p/stream-deck- mk2-black)のボタンに割り当てたりもできるでしょう。 そもそも「自分から見に行く」こと自体が原始的です。上手い感じで、JDI をぶつけてもらいたいですよね。これには[リマインダー](https://note.com/workhack20/n/n7cbdf6ca31e4)が使えます。 具体的には、毎朝目覚ましとして再生してもいいですし、よく通る場所に貼り付けておいてもいいでしょう。 さらに別解として、環境が許すのであれば、JDI を流す用のディスプレイを設置して、常時流しておくのもアリかもしれません。 よく使う消費手段に仕込んでおくことも考えられます。テレビでもSNSでも何でもいいですが、開く度に必ず JDI が表示されるようにするのです。運が良ければ、そこで留まって仕事に戻れるかもしれません。 と、このように色々な出し方があります。 ここまでをまとめます: * 自分で見に行く * すぐ見に行けるようにする * リマインダーとして JDI をお知らせしてもらう or 目に入るように仕込んでおく * JDI を常時流すディスプレイを設置する * テレビやゲームやSNSをするときに必ず JDI を表示させる ### 素材を上手く出す つまり JDI の素材を揃えることと、素材を上手く出して見せることの二点が必要です。 これらを上手く設計できたら、あなたは JDI を受け取りやすくなるでしょう。行動に移りやすくもなるはずです。 ## Just Do It アプリ 残念なことに、JDI に関するアプリや仕組みは現状ありません。ですので、上述した考え方を参考に、自分で整備してください。 JDI を上手くやるアプリがあったらいいなと思います。 JDI は強力な仕事術ですから、潜在的な需要もあるでしょうし、ビジネスとしても美味しいのではないでしょうか。「JDI」というジャンルをつくれるほどのポテンシャルさえ感じます。 エンジニアや経営者の読者がいらっしゃるなら、ぜひお試しください。 # Title: 頭の良さとは「性能」 知能、地頭、頭の良さといった話題はよく盛り上がりますが、脳科学を含め、解明はまだまだなので不毛です。 重要なのは、わかりやすくてしっくりきやすい考え方を採用することです。本記事でも一つ提示します。 **性能(スペック)** です。 ## 脳の性能とは **脳の性能(Brain spec)** とは、頭の良さを表現する捉え方の一つで、 **頭の良さ=処理性能の高さ** と捉えます。 ### 性能が高い人の例 * 偏差値50を難なく取れる人 * トライアングルを全部取れる人 * 1: 仕事(辞められると困る程度の人材になっている) * 2: 趣味(未経験者や初心者にまず負けない程度の実力) * 3: 人付き合い(パートナーがいる) * 3年以上の歴史を持ち、全国に1000人以上の実践者がいる何らかの分野で、上位2割に入れる人 * 会社員以外のルートでご飯を食える人、あるいは食えそうな人 * メモやノートを取らなくても生活や仕事をこなせる 主義思想やライフスタイルにより、必ずしもこれらを持っているとは限りませんし、意図的に持たないこともありますが、必要なら難なく持つことができます。 ### 性能 = 瞬発性 + 原始性 別の言い方をすると、性能とは瞬発性と原始性です。 **瞬発性** とは、素早く処理できることです。コミュニケーション能力が高い人やゲーム(スポーツ含む)が上手い人がわかりやすいと思います。 別の言い方をすると、要領の良さや応用力を司っています。 **スキルや知識の有無とは関係がありません** 。スキルや知識があっても、瞬発性が無いと素早く処理できませんし、応用も利きません。なので要領は悪く見えます。 これを「スキルや知識がないから」と評する人は多いですが、少し違うのです。スキルや知識といったマテリアル(材料)と、それを素早く使う力(瞬発性)は別なのです。 ※科学的な正しさを論じているのではなく、この捉え方ではそう捉えます。そう捉えた方が実情に即しているからです。 **原始性** とは、道具や記録に頼らず処理できることです。物覚えが良い人、手先が器用な人、脳内で思考や検討を完結できる人や、絵や数字や音を扱える人などは原始性が高いと言えます。 原始性が高い人は、 **脳内で処理したものを出力すればいいだけ** とも言えます。道具や記録に頼らずに済みますし、それらの修練や使用にエネルギーを割かなくてもいいため燃費も良いです。結果として、慌ただしい場面でも持続します。 ### 性能の測り方 これだと言える測り方はまだ無いと思います。現状でも IQ が端的だと考えます。 IQ として WAIS-IV を取り上げます。軽く解説します。興味がないか、正確な情報を知りたい方は読み飛ばしてください。 WAIS-IV では以下4指標 + 全検査 IQ(FSIQ)を測ります。 * 言語理解(語彙力と言語処理) * 知覚推理(視覚情報処理と短期記憶) * ワーキングメモリー(聴覚情報処理と短期記憶) * 処理速度(手の早さ) IQ120 といった表現は FSIQ を指します。平均ラインが 100 ですので、100 より高ければ「平均以上の性能」と言えます。 ※ちなみにWAIS-IVは年齢で分けています。20歳のIQ 120と、30歳のIQ 120は別物です。各年齢グループにおける水準であり、たとえば20歳の場合は(たぶん)20-24歳のグループにおいて 120 だといっています。 IQ を挙げると、よく「指標としては短絡的だ」「頭の良さはそんなに単純ではない」といった反論が出ますが、 **性能としては悪くない指標だと思います** 。 実際、瞬発性や原始性を左右する能力を計測できていると感じます。実際に検査を受けると、各指標のどこが強いのか、弱いのかといったことがわかります。 たとえば視覚や聴覚の情報処理は問題無いが、その情報を頭に留める部分が苦手といったことがわかります。留められない分、性能としても不利です。 ※脳内に五感情報(特にイメージ)を浮かべられないアファンタジアという現象もあったりします。 ## 弊害 ### 性能が低い人の弊害 **人生全般で不利になる** ことです。 現代は性能の高い人達が支配しており、ある程度の性能の高さは当然のように要求されます。 勉強やコミュニケーションの良し悪しはそのまま将来や境遇に直結します。仕事でもスキルと知識だけで通用することは稀で、インプットや適応も要求されます(以下記事参照)が、ここでも性能が求められます。 娯楽や趣味もそうです。たとえば性能が低いと、楽しめるゲームも少なくなります。ゲームはルールや立ち回りがそれなりに複雑で、瞬発的なので、性能が無いと遊べないのです。同様に、読書も、下手をすればマンガですら楽しめません。「人並以上に努力して勉強すれば理解できるから問題なし」とはならないのです。 そもそも、それなりに高度な世界になってくると応用力がどうしても必要になってきますが、 **性能が低いと応用ができません。「これ以上いくら努力しても上がらない」との頭打ちがすぐ来ます** 。冒頭で述べた「性能が高い人の例」ですが、低性能な人はおそらく一つとして満たせないでしょう。 ### 性能が高い人の弊害 **融通が利きません。** というのも、なまじ性能が高いがゆえに「何とかなってしまう」からです。やり方や考え方といったことに目を向ける必要がありません。 **汚部屋のたとえ** がわかりやすいでしょう。たとえ汚部屋であっても、それで生活が問題なくまわる(まわせるほどの性能がある)のなら掃除は要らないわけです。ずっと汚部屋で過ごすので、感覚が麻痺していきます。 他にも例をいくつか挙げます。 * 例1: * やりがい搾取やホス狂い * 現代でも様々な搾取が溢れていますが、これらは性能が高い人をターゲットにしたものも多いです。高性能な人は、搾取されているとわかっていても「何とかなっている」ので、やめられません(というよりやめません) * 例2: * 変革が進みません * 特に日本は文化的に相性が悪いですが、それでも文化を自覚して、行動を変えていけば済みます。あるいは[自分でできないなら、できる人やできそうな人に頼れば済みます](https://note.com/workhack20/n/n257f590f2254)。そんなこともわからないのです。というより、わかっていても行動できないのです 要するに、すでに溺れていることがあると、それを手放したくないので安住しようとします。安住できるだけの性能はあるので、できてしまいます。また手放した後の退屈に耐えられない(性能を持て余してしまう)ので、なおさら手放そうとしません。 ## 弊害をカバーする(低性能) まず性能が低い人は、以下のとおりです。 * 自己理解 * 自分の性能を知り、オーバースペックを求められないように立ち回る * カバー * 仕組みや道具を駆使する * 諦観 * 性能が高い人達を目指す、ついていくのは諦める 自己理解とカバーの二点は、何としても確保してください。 高性能な人は基本的に忙しく過ごす一択ですが、低性能な人はそれ以外も選べます。特に、自己理解と道具が生命線ですから、この二つにかける時間は恒常的に確保したいです。 家族との時間を確保する人は多いと思いますが、それと同じように、 **自己理解とカバーの時間も強く確保する** のです。 カバーについては、仕組みや道具と書きましたが、ここは何でも当てはまります。スキルや知識はもちろんのこと、当サイトで扱う仕事術(仕事のやり方や考え方)も当てはまります。自己啓発やライフハックといったものも含みます。 どうやって身につけていくかの手段も様々です。本を読んでもいいですし、ネットで記事を見ても、動画も見てもいいでしょう。ITであれば、ゲームやエロ目的で遊んでいくうちに身につく、というのもよくある話です。つまり体験を通じてでも身につけてはいけます。手段は以下の3つを全部使いたいです。 * 1: 体験的なやり方 * 2: 広く浅く読んで良さそうなヒントを探すやり方 * 3: 時間をかけてでも深くちゃんと読むやり方 特に 1: と 3: は自分の軸になります。好きなことや得意なことがあれば、それを充てるといいでしょう。 軸がないと、自分で意思決定することができずに、流されるしかなくなります。高性能だとそれでも生きていけますが、低性能はできません。 **低性能は汚部屋では生きていけません(生きていける性能がありません)** 。だからこそ、汚部屋に陥るのを自ら防げねばなりません。それができるだけの力と感覚を身に着けないといけないのです。 諦観については、どこまでやるかにもよりますが、ミニマリズムや静かな退職、あるいはひろゆきの発言でいう「生活保護」がわかりやすいでしょう。 **楽できるならこれくらいでいいや** 、という感覚です。程度の差はありますが、諦観の本質は「高性能な人達と同じ舞台で戦ってもキツイので降りる」ということです。 諦観は低性能の特権だと思います。高性能な人は、上述したとおり融通が利かないので、このような選択は取れません。 ## 弊害をカバーする(高性能) 仕事術(仕事のやり方や考え方)という視座を手に入れてください。[当サイトはその役に立ちます](https://note.com/workhack20/n/n0a664f58012d)。 当サイトの紹介する様々な仕事術は、高性能にあぐらをかいて凝り固まっているあなたをガツンと殴ってくれると思います。 ここでもいくつかかんたんに紹介します。 典型的な多様性に限らず、多様性を理解しましょう。 変人のポテンシャルと向き合ってみましょう。 自分達がとらわれている文化を自覚しましょう。 いずれにせよ、自分達が当たり前とするあり方を自覚し、融通を利かせるところから始まります。 そのためにはそれなりのリソース(特に時間)が必要ですので、その捻出から始めましょう。 ## (関連記事) 性能も含めて、さらに3要素で整理したものです。 # Title: 社内エバンジェリスト エバンジェリストというと社外向けの啓蒙者をイメージしますが、社内向けもあります。 ## 社内エバンジェリスト **社内エバンジェリスト** とは、社員全員への情報発信を担当する専任者です。 以下を行います。 * 記事、音声、動画を投稿する * コメント欄、社内SNS、その他フォームなどで意見を受け付ける 以下は行っても良いですが、メインではありません。 * 勉強会や講演会 * 書籍やドキュメントやウェブサイト(特設サイト)の作成 以下は行いません。 * [典型的な仕事](https://note.com/workhack20/n/n60cc3ab03e66)(プロジェクトワークやクライアントワーク) * 会社がプッシュしたい製品やサービスの宣伝 ## メリット 3Eを推進できます。 * Edification(啓発) * 社員全員に対する啓発を広く行えること * Education(教育)は全員一律に同じ水準に引き上げますが、啓発は「個人が各々好き勝手に成長する」ことを支援するものです * 社員各々は、社内エバンジェリストのアウトプットを好き勝手に使います * Encourage(促進) * 社員達の議論や着想や行動を促せること * 社内エバンジェリストは様々なアイデア、提案、提起も行います * 社員各々は、社内エバンジェリストのアウトプットを見て好き勝手に批評や検討を行います * Emanation(感化) * 社員達に新しいやり方や考え方をインストールすること * 社内エバンジェリストは社内にはないやり方や考え方を持ち込んだり、つくったりもします * 社員各々は、社員エバンジェリストのアウトプットを見て、新しいやり方や考え方を知ります ## 社内エバンジェリストがしないこと 社内エバンジェリストがしないこと、あるいはさせないことを整理します。 ### プロジェクトワークやクライアントワークはしない 20%ルールなど「次のための活動」「課外活動」はよくありますが、社内エバンジェリストはこれが100%になったようなものです。 別の言い方をすると、 **案件と呼ばれるような仕事は一切抱えません** 。締切という概念とも縁がないはずです。 身も蓋もない言い方をすれば、好き勝手にアウトプットして遊ぶだけです。 もちろん、社員全員にヒントと影響を与え続けないといけないので、それなりに大変です。継続的なアウトプットはもちろんのこと、勉強や思考もたくさんやります。社員全員からのフィードバックも受け付けるので、その咀嚼や選択も要ります。 このようなことを息するように行える人物でないと、社内エバンジェリストは務まりません。 ### ビジネスはしない 社内エバンジェリストは直接的に利益を出す存在ではありません。 ですので、何らかのビジネスを正式に行うことはありません。ただしアイデアを出すことはやります。ゼロイチでいうイチの部分ですね。出したイチをどうするかは、社員全員に任せます。 よくあるのが、新規事業におけるプロデューサーのような立ち回り――言い出しっぺが最後まで責任を持って走れ、とするあり方ですが、 **社内エバンジェリストは責任は負いません。むしろ、無責任に色々と発信します** 。そうした発信に 100% 振り切っているのが社内エバンジェリストです。 ### 社内政治はしない 社内エバンジェリストは、自身のテーマを自身で発信します。会社からの要請、特に会社としてプッシュしたいものを過剰に押し出したり、プロパガンダを進めたりといったことはしません。 しかし、あまり好き勝手すぎても社員がついてこないので、社員達の興味やニーズに応える努力はもちろん必要です。可能ならテーマ選定の段階で、ある程度それが叶うものを選びたいところです。 ### 上司はつかないか、ついても管理しない 社内エバンジェリストは、自身の裁量で活動できることが絶対的に必要です。アウトプットの度に上司から承認をもらうといったことはあってはなりません。 社内エバンジェリストの広域性や独創性を、他者が管理するのは不可能です。たとえば毎日ブログを更新するとして、その査閲と毎日行えるかというと、ノーでしょう。 **そもそもどんな情報が誰の役に立つか、いつ役に立つかなんてわかりません。だからこそ、社内エバンジェリストは社員全員に発信してしまうことで、何かが起こる率を上げています** 。承認はこの戦略を阻むハードルでしかありません。 野放しが厳しい場合は、ティール組織の助言プロセスを使いましょう。つまり、権限はないが助言はする、という形を取ります。もちろん助言を待っていてはオーバーヘッドになるので、社内エバンジェリストが好き勝手にアウトプットしているように、上司役も好き勝手にフィードバックを送ります。 そういう意味では、上司というよりオブザーバーという表現が適しています。組織的な上司、という位置づけだと、利害関係が発生してしまって上司側のコントロールがどうしても発生してしまうので、 **組織構造的に切り離した上で、必要ならオブザーブする** くらいが望ましいです。 ### 質で勝負しない すでに述べたとおり、何が誰の役に立つかなんてわからないので、質にこだわりすぎるというよりも量で勝負します。 たとえばブログを毎日更新する程度は当たり前ですし、何なら1日複数件でも良いでしょう。そもそも「1日1件ずつ出す」のような出し惜しみをする意味はありません。 一方で、あまりたくさん出しても社員がついてこれないので、見てもらうための工夫は色々と必要です。社内SNSやチャットでもアピールしたり、あちこちのイベントに馳せ参じたり、ブログだけでなくポッドキャストや動画も投稿したり、など活動は多岐に渡るかもしれません。 ### エンタメはしない 最も誤解されやすいポイントですが、社内エバンジェリストはファンを増やして評価を稼ぐ活動ではありません。 社員全員に向けて広く発信することで、社員達の何かを変えることが本懐です。 **エンタメのコンテンツとして消費されることは、これには含みません** 。 社員の気を引くためにエンタメやファンビジネス的な活動に頼る必要はあると思いますが、それ自体が目的ではないことに注意してください。 あくまでも、エバンジェリストとして日々発信する情報で勝負します。それを社員に見てもらって、各々思考や行動につなげてもらいます。 ### 遠慮はしない・させない 大胆に言うと、社内エバンジェリストは人間ではありません。 社員全員にアウトプットをし続ける怪物です。また、社員からの意見を遠慮なく受け付けるサンドバッグ(またはアイドル)でもあります。 アイドルというと、わかりづらいかもしれませんが、アイドルとは「推す」という暴力的な行為が許された存在です。 ※推すとは、理想を一方的に押し付けて消費する行為です。 社内エバンジェリストもそうあるべきで、だからこそアウトプットを続けられるのですし、社員達からも意見が集まります。 ## 社内エバンジェリストを実現する ### 0: 前提条件 * 1000人以上の社員がいること * 社員全員に読んでもらえるアウトプット手段があること * 「社内エバンジェリスト」というポジションを用意できること まずは **それなりの人数が必要です。大企業的――1000人以上は欲しいです** 。社内エバンジェリストは社員全員に広く発信するため、社員の数がいないと機能しません。 次に **社員全員に読んでもらえるアウトプット手段** が必要です。最も端的なのは社内ブログです。Teams や Slack などチャットだけでは厳しいです。まとまった文章を書ける手段が絶対に必要です。 ※音声や動画をメインにしても良いですが、社内エバンジェリストは量が肝心であり、毎日更新くらいは当たり前なので、更新頻度の観点からは厳しいかもしれません。また、非言語的なコンテンツはエンタメになりがちという罠もあります。この記事ではブログなどテキストメインを想定します。 最後に「社内エバンジェリスト」というポジションをちゃんと用意することです。上記の「社内エバンジェリストがしないこと」はすべて満たしたいです。 また、給料もそれなりに確保してください。社内エバンジェリストは[ワークインライフ](https://note.com/workhack20/n/nd6c863e8970d)的に公私問わず活動を続けることになるので、仕事にフルコミットできるだけの給料が欲しいのです。給与水準の高い企業でなければ、平社員よりも一つ以上上のグレード水準になるでしょう。 要するに、 **何の仕事も負わず、ひたすらアウトプットばかりする遊び人に社員ひとり分の金(それも平社員以上)を払えるか** 、という話です。払わねばなりません。 ### 1: 立ち上げ * 社内エバンジェリストとなる人材の登用 * 社内エバンジェリストとしてのコンセプト固め * 整備 * デビューとアナウンス ※社内エバンジェリストはいったんひとりを想定します。また、細かい社内の調整は扱いません。 立ち上げを行います。 まずは社内から務まりそうな人物を選定します。 アウトプットや自己主張が強そうな、尖った人材をおすすめします。以下記事でも解説しているように、変人的な人材を登用するのがポイントです。社内エバンジェリストは、一般社員に務まるものではないからです。 選定ができたら、コンセプトをざっくりと固めましょう。といっても、どう動くは始まってから変えていけばいいので、ここでは実質テーマ決めです。 テーマは色々考えられます。当サイトのような仕事術(仕事のやり方と啓蒙)の開発と啓蒙は、わかりやすいと思いますが、他にも例を挙げます。 * 配信 * プライベートで登録者万人以上の配信者をしている人がいたとして、そのノウハウやアイデアをお伝えする * 社内でも配信や動画の扱いはそれなりにするはずで、ニーズもあると思われる * マインクラフト * マインクラフトにはバーチャルオフィスやメタバースのポテンシャルがあり、働き方やコミュニケーションの仕方を練る上で大きなヒントになる * コミュニティやイベントも多く、日本国内でマインクラフトネタのみで100万人以上のチャンネル登録者が出るほどの市場もある * 社内でマイクラを推進すれば、社員の士気やつながりが活性化するかもしれない etc * ダンス、体操、エクササイズ * 社員の運動不足は深刻な問題と思われる、特に昨今はテレワークにより加速している * 運動や健康に詳しくて、本格的な資格も持つほど取り組んでいる人がいたとして、この人がエバンジェリストとなって運動不足解消を啓蒙するのはどうか 方針としては、以下の3つに分かれると思います。 * 1: 仕事術(仕事のやり方や考え方)の開拓・改善に繋がるもの * 2: 社員の気分転換、生活改善、つながりを促すもの * 3: ビジネスアイデアの発生や発展を促すもの 配信ネタは 1:、マイクラネタは 1: と 2:、エクササイズネタは 2: にあたります。また、配信ネタであっても、自身が配信者として活動する場合は 2: の要素が強くなります。 3: の例はここでは挙げていませんが、たとえばアイデアを出すことだけは人一倍できるが仕事はポンコツという人、あるいは作家として活動していて想像力や妄想力が凄まじい人などを登用することが考えられます。 テーマも決まったら、整備します。 ブログやその他アウトプットするためのアカウント、ページ、初期設定などを行います。 整備もできたら、最後に **全社的にアナウンスします** 。 社内エバンジェリストの存在が知られていないと意味がないですし、知られても相手にされないと意味がないので、全社的に正式にアナウンスすることで、いわば **泊をつけた状態で知ってもらいます** 。 ここは全社員に伝えるレベルでちゃんと行ってください。社長レベルのトップが行うのが良いでしょう。 また、できれば、「遠慮はしない・させない」の部分で述べた、アイドルの側面も強調してください。遠慮なく触れていいのだ、何なら殴ってもいいのだという点を知ってもらわないと、中々意見が来ません。 ### 2: 活動 立ち上げが終わったら、あとは日々活動(≒アウトプット)するだけです。 社内エバンジェリストであれば、自発的に活動できるはずです。管理しないと活動できないような人材は、そもそも向いていません。 放っておいても年単位でアウトプットを続けるような、また社員全員からの意見も答えていくようなバイタリティはあって当たり前です。 とはいえ、孤独だと折れる可能性があるので、余力があるなら助言者や相談者を設けるといいでしょう。[1on1もおすすめします](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%201on1&context=note&mode=search)。 ただし、あくまで実際に動くのは社内エバンジェリスト本人であって、助言や相談を行う側ではない(管理してはいけない)ことに注意してください。 # Title: 持続的な生産性 短期的に生産性を出し続けると燃え尽きてしまいます。 **生産性は持続性が肝である** という点は、近年知られてきていると思います。 ## 持続的な生産性 **持続的な生産性(Sustainable Productivity)** とは、生産性を持続的に発揮していこう、というあり方を指します。 ### 生産性にはムラがある ここでいう生産性は **、ムラのある生産性** を指します。単調作業や工場のような工業的生産、あるいは管理が強いような場面は含みません。 クリエイターがわかりやすいと思いますが、集中のムラが大きいような状況を想定します。 ### 酷使しすぎると死ぬ このような不安定な状況ですと、集中したいときにできるだけしておきたいので、できる限り続けます。その結果、 **脳を酷使しすぎてしまって翌日以降にも支障が出ます** 。 Redditの以下スレッドでは生産性二日酔い(productivity hangover)と表現されています。 * [Has anyone been SUPER productive one day then the next day incredibly slow and unproductive?](https://www.reddit.com/r/productivity/comments/1ga0vay/has_anyone_been_super_productive_one_day_then_the/) そうでなくとも、突然やる気がなくなってしまう燃え尽き症候群は知られています。 身体的疲労でないためわかりづらいですが、酷使は禁物なのです。 ※そのような無茶な働き方をしないと先に進めない状況もあるとは思いますが、本記事では扱いません。 ### 酷使しないラインを維持する となると、最適なのは「酷使して支障が生じないライン」を維持することでしょう。これに取り組むのが持続的な生産性です。 ## 持続的な生産性を手に入れる(一言で) 一言で言えば **アンチビジー(Unti Busy)** です。 酷使の元凶は多忙ですので、多忙を回避します。これができるかどうかがすべてです。その必要性がない人や、する気がない人は回れ右してください。 ## 持続的な生産性を手に入れる 手に入れるための細かいコツに入っていきます。 ### ラインを知る Ans: これだけ費やしたら翌日にも支障が出る、というラインを探ります。 お酒を飲む方は「2杯までなら大丈夫」といったラインを知っていると思いますが、それと同じです。といっても、生産は摂取ではないため、わかりづらいです。 指標としては「かけた時間」か「かけた時間帯」が使えます。1日4時間くらいなら集中できるとか、朝と昼はいけるけど夕方以降はポンコツになるとかいった傾向があるはずです。 特に「これ以上はなんか集中しづらい」「頭が回らない」「ついSNSや本を見ちゃう」「外の音が気になってしまう」といったしきい値があると思うので、その手前をラインにします。 **持続的な生産性の肝は「支障が出る前段階で留めておく」ですので、そのラインを知る必要があるのです** 。これは感覚的なものなので、自分で探るしかありません。 ### 生活リズム(時間帯の使い方)を固定する Ans: 生活リズムが不安定だとラインを探れないので、固定します。 生活リズムが不安定だと、ラインを探るも何もありません。 ※たまに脳の疲労に敏感な人がいて、そういう人は「いや、あとどれくらい残ってるかなんてわかるよ」ができます。このような人には不要です。 ですので生活リズムを固定する必要があります――といっても、病的な几帳面やオタクやアスリートのようなストイックさは不要で、 **時間帯の** 使い方を固定する、くらいで良いです。 時間帯の概念、特に自分で使い方をコントロールするという発想は意外とわかりづらく、当サイトでも解説していますので、よろしければご覧ください。 ### 集中のリズムをつくる Ans: やる気が起きたときにやります、だと不安定なので、自動的に毎日取り組めるようにします。 具体的には集中のリズムをつくります。 有名なのはポモドーロ・テクニックでしょう。25分作業、5分休憩、4回回したら30分くらい大休憩、のリズムが知られていますが、細かいやり方はカスタマイズすれば良いです。 他にも: * 場所を変えることでスイッチを入れる * カフェに行く、出社する、仕事部屋に入る etc * 適度に刺激を加えて、意識を持て余さないようにする * 音楽を聞く、その他「ながら」で作業する etc * 目に入るものの情報を減らす * 特にタスクや予定に関して狭めることを当サイトでは[「ナロイング」](https://note.com/workhack20/n/n91abbfc23eb3)と呼んで整備しています など、色々な工夫が使えます。 また、腰が上がるように焚きつけるというアプローチもありますね。先日は Just Do It!(いいからやれ!)について書きました。 **手段を問わず、選ばず、少しでも集中が発動しやすい仕組みをつくってください** 。馬鹿らしいととらえず、ここにどれだけ費やせるかが勝敗の分かれ目とさえ思います。 ### オンの日とオフの日を許容する Ans: 毎日持続できない場合、持続できない日を許容します。 上述した Reddit の内容ですが、オフの日を許容するという考え方もあります。以下にGoogle翻訳による和訳を載せます。 > 私が人々に伝えているのは、調子のいい日にシステムを構築して、調子の悪い日にもそれがあなたを支えてくれるようにすることです。 > > …… > > > ここでの支配的な原則は、良いシステムは調子の悪い日にも機能するということです。これは、少なくとも、良いシステムは調子の悪い日を考慮に入れることを意味し、最大限に言えば、調子のいい日にやった仕事が調子の悪い日にも実際にあなたを助けてくれることを意味します。 要は「調子の良い日」と「調子の悪い日」が両方あることを認めた上で、調子の良い日のときに、調子の悪い日の過ごし方も仕込んでおくということです。 調子の悪い日は、おそらく何もできないでしょうが、すでに仕込みができていれば下手に頑張る必要もなくなります。 具体的な仕組みのつくりかたは言及されていませんが、たとえば[デイリータスクリスト](https://note.com/workhack20/n/n2e0cd93468a2)やカレンダーなどで、調子の悪い日に先回りして「この日はオフの日にしよう、何もしなくていいよ!」などと強調しておくのです。 実質的には、以下が必要です: * 調子の良い日と悪い日が来るリズムを把握する * 調子の良い日に前倒しをしておき、悪い日に何もしなくても支障が出ないようにする * 前倒しが不要な場合、「どこまで進んでいたか」的な文脈を残しておくと良いでしょう * 次に調子が戻ったときに、それを読み返せば前回の状況を思い出せます(思い出せるようなメモを頑張ってつくります) * 悪い日当日に無理して働かないよう[リマインダー](https://note.com/workhack20/n/n7cbdf6ca31e4)を仕込んでおき、当日目にして「今日は働かなくてもいいな」と思い出せるようにする ### 腹八分感を許容する Ans: 多忙になる手前でやめます。 ここまでのコツからにじみでていますが、「多忙にしない」ことが重要です。むしろ余裕があって、多少暇なくらいが望ましいです。 **持続的な生産性は、ラインの手前を維持する(し続ける)営み** なのです。 一般論として、人間の認知能力はたかが知れていますから、一日中集中できるなどということは通常ありえません。 ※できるにしても、集中を要しない「作業」の比重が大きいはずです。単調作業、ゲーム、勉強や読書を含むインプットなどがそうですが、作業は負担が少なく報酬も大きくて長時間続けやすい営みです。 そういうわけで、多忙ではない感じ――余裕がある、暇があるといった腹八分目の感じを許容できるかどうかが実は重要です。ここは各自の思想や性癖にも絡む部分なので、できる・できないには適性があります。だから最初、一言でアンチビジーだとまとめました。 # Title: 明示的に否定することの重要性 ネガティブな返事をしたいときがあります。つい後回しにしたり、スルーして逃避したりしますが、事態は改善しません。 たとえネガティブであろうと、明示的に返事を出すことが重要です。 ## 明示的な否定 **明示的な否定(Explicit Negative)** とは、ネガティブな返事をはっきり出すことを指します。 たとえば部下が出した新規事業案に応える気がない場合、明示的な否定としては以下 5~8 を使います。 * 1 ❌無視する * 2 ❌回答を先送りにする * 3 ❌(次、対面で会った時に話せばいいか) * 4 ❌その気がないことを、遠回しに書く * 5 ⭕その気がないことを、自分を下げて書く * 例: 「私の知識では理解できないから、悪いけどナシで」 * 6 ⭕その気がないことを、相性の悪さから書く * 例: 「そのやり方は私の考え方とは合わないからナシで」 * 7 ⭕その気がないことを、好き嫌いから書く * 例: 「その領域には正直興味ないからナシで」 * 8 ⭕その気がないことを、率直な気持ちから書く * 例: 「だるいのでナシで」 ## メリット * 1: 問題の先送り、特に爆発を回避できること * 2: 静かな退職、転職、その他報復を軽減できること * 3: 取捨選択の基準を可視化できて、皆の労力を減らせること 以下、それぞれを掘り下げます。 ### 1: 問題の先送り、特に爆発を回避できる そもそもネガティブな返事をしなきゃいけないような場面自体が **火種** です。これを **スパーク・シチュエーション(Spark Situation)** と呼びます。長いので単に **スパーク** と略します。 スパークを放置していても、あとあと問題になりますから、明示的な否定により早めに摘んでおきます。 その場のやり取りが盛り上がる可能性もあります(よくあります)が、それでも **あとあと爆発するよりはマシです** 。火種であることは変わりはないので、だったら早めに処理してしまえばいいのです。 もちろん、無闇に激化しないよう、答え方を工夫するのは、返事をする側の仕事です。何度も言うように、スパークは後々爆発するものですから、面倒でもちゃんと対応していきましょう。 ※率直に伝える技法としてアサーティブ・コミュニケーションがあります。伝え方に関する仕事術は多いので、調べて・練習しておくと便利です。 **爆発して後悔しても遅いのです** 。多少面倒でも、早期から回避できるのだとしたら、大きなメリットですよね。 ### 2: 静かな退職、転職、その他報復を軽減できる スパークが生じているということは、頭を悩ませる質問やメッセージが来ているということです。 それらを送った側は、受け取った側への期待を込めています。あるいは実力を推し量っています。 **応えられないと失望されます** 。 現代はもう盲目的に献身する時代でもありませんから、応えてくれない人のもとでやる気は出しません。良くて退職、悪ければ静かな退職をされて、じわじわと組織を削ります。ひどい場合は報復もありえます。 明示的な否定の形で、しっかりと返事を出せば、失望を回避しやすくなります……と言われても、直感的にはわかりづらいかもしれませんので、もう少し補足します。 スパークを起こした側にとって、最も失望が大きいのは **求める特殊解が来なかったとき** です。 * 好きの反対は無関心とも言います * 無反応・無視といったいじめも堪えると聞きます * ストーカーや刑事は、対象自身からの答え(特殊解)を、刺し違えてでも求めようとします etc 特殊解が来ないことのショックは非常に大きいものです。殴られても、あるいは刺されてもおかしくないくらいのショックです。 **たとえ明示的な否定であっても、本人から返事を出したのであれば、このショックは回避できます** 。 返事の内容や、その後のやり取りで結果的に失望されることもありますが、それでも特殊解自体が来なかったことによる失望よりはダメージが少ないです。 明示的な否定は、返事する側自身を守る攻撃手段でもあります。 ### 3: 取捨選択の基準を可視化できて、皆の労力を減らせる 明示的な否定により、自分がどういう基準でどんな否定を出すのかといったことが可視化されます。 これにより、以下の恩恵が生じます。 * 自分自身も意思決定がしやすくなる * 明示的な否定という形で慣れるからです * 不毛な質問やメッセージが減る * 送る側も基準を理解してくれるからです ## スパーク・シチュエーション メリットの 1: でも書きましたが、再度取り上げます。 明示的な否定が有効となるのは **スパーク・シチュエーション(単にスパーク)** です。 スパークとは「正直ネガティブな返事を出すことは確定してるんだけど……」のような状況であるとも言えます。通常、このような質問は飛んできませんが、やたらやる気があったり、物わかりが悪かったり、あるいは変人だったりすると、回答に困るような質問を投げられるわけです。 パワハラが横行するような、原始的な職場では「うるせえ黙れ」で鎮圧できるでしょうが、現代では通用しません。 かといって、日本的なハイコンテキストに従って、言わずとも分かれと察してもらうのを期待するか、とりあえずスルーして逃げるかしていても、問題は終わりません。それで諦めるくらいなら、そもそもスパークは起きないのです。 **スパークを起こすような人材(スパーカー)が居る時点で、運が悪いのです。** 受け入れるしかありません。 その上で、せめてもの被害を食い止めるために、明示的な否定で早めに対処していくのです。後々の大きな被害や中長期的な侵害を止められるのだとしたら、大きなメリットと言えますよね。 ## ちゃんと向き合う 明示的な否定により、後々爆発してしまう問題は回避できますが、その場で多少爆発するのは避けられないかもしれません。また、最悪を回避できるといっても、スパークが何度も起きるのは、さすがに困ります。 というわけで、明示的な否定の先として、ちゃんとスパーカーからの質問と向き合う必要があります。 当サイトでも、使えそうな仕事術を取り揃えているので、ぜひ読み漁ってみてください。 以下、軽く紹介します。 そもそもじっくりと向き合えるだけの余裕が欲しいところです。多忙主義は現代に蔓延る宗教の一つですが、余裕がないとイレギュラーに対処できずに詰みます。 フィクションではお偉いさんが暇をしている光景がよく描かれますが、あれもイレギュラーにすぐ対応できるためです。あれほど極端な暇は無理でしょうが、見習いたいものです。 後回しや先送りの癖があるなら、解消しましょう。 1on1の文化があるなら、そこで話し合ったり、発散させたりしてもいいでしょう。 実はスパーカーの凄さを見抜けていないだけかもしれません(よくあります)。革新的な人材かもしれない、と考えて、一度向き合ってみましょう。やらせてみましょう。 皆と同じあり方を課そうとするからこじれる、はよくあります。スパーカーを多様性の一つと認めて特別扱いをすると、驚くほどあっさり解決することがあります。 おそらく人並以下の貢献しかできていませんが、それはそれで良いのです(問題を起こされるよりはマシですし、周囲もそういう腫れ物として扱えばそれで良いです)。中長期的に許容できないにしても、ひとまず時間稼ぎはできているので、じっくり対処や活用を考えればいいのです。 他にも多数ありますが、このくらいにしておきましょう。 # Title: ハイブリッド・マネジメント 古典的には、必ずマネージャーをあてます。 * 平社員やアシスタントの上位には、必ず管理職がいる * チームには必ずマネージャーがいる * 演者には必ずマネージャーがつく etc 一方、管理の無駄をカットしたり、社員の自律性を重んじたりしてマネジメントをなくす潮流も見られます。 いずれにせよ **平等主義的であり、融通が利きません** 。必ずつけるか、絶対につけないかの白黒なのです。 ## ハイブリッド・マネジメント **ハイブリッド・マネジメント** とは、マネジメントの有り無しをどちらも許容するあり方です。 * 自分でマネジメントできない人は、マネージャーに頼ることができます * 自分でマネジメントできる人は、マネージャーに頼る必要がありません チーム上、または組織上、マネージャーという役割をなくすことは(正式に変革しない限りは)できませんが、ハイブリッド・マネジメントで融通を利かせることはできます。 要らない人への干渉や世話をやめてもいい、ということです。その分、要る人のフォローを優先できます。 ## メリット 融通が利きます。具体的には、 * マネジメントが必要な人と不要な人が共存できる * マネージャーの独裁とボトルネックを軽減できる * マネジメントが不要な人は、マネージャーと対等な立場になります * マネージャーは「組織上定められている役割」にすぎず、上下関係はありません * この転換により、マネージャーへの一辺倒を軽減でき、独裁を和らげることができます。またボトルネックも広がります ## 実現に必要なこと **マネジメントレスというあり方をマネージャー自身が理解する** ことです。 結局、組織上はマネージャーがボトルネックになってしまうので、そのマネージャー自身がマネジメントレス(マネジメント不要)というあり方を理解できねばなりません。 理解した上で、自分自身が「マネジメントが要る人」と「要らない人」の両方に対応できねばなりません。 ## マネジメントレスとは 以下の三点をなくす、あるいは相当減らすことです。 * プライドを捨てること * 会議を減らすこと * 管理を薄めること まずプライドを捨てます。 マネージャーは自分が偉い、自分が優秀だ、自分が配下の奴らをコントロールするのだ、ここは私の王国だ、などといったプライドを持っています。無自覚であることも多いです。 違います。マネージャーなど役割にすぎません。ハイブリッド・マネジメントでは、その役割も半ばお役御免としているわけです。 ならば、マネージャーの仕事は、(組織として正式に存在しているがゆえに色々権限があるはずなので)必要な仕事を請け負うことと、まだ管理が必要な人達のお世話をすることだけです。 それで仕事が少ないという人は、素直に暇にしておいて(現場としては助かりますし、暇だとイレギュラー時に動けるので頼もしいです)良いのです。あるいは、プレイングマネージャーなどと言わず、自分もプレイヤーになりましょう。 ただし **マネージャー自身は自分のマネジメントができないことが多い** ので注意してください。その場合、他のメンバーに自分のマネジメントを頼んだ方がいいでしょう。 次に会議を減らします。 **会議の多さとマネジメントのキツさは同義** です。会議が少なければ少ないほど、マネジメントレスを推進できていると言えます。 別の言い方をすれば、マネジメントレスとは会議の少ないあり方とも言えます。 この点で、マネジメントレスを誤解している人は非常に多いです。一見、マネジメントレスを謳っている組織であっても、会議自体は多かったりします。会議が多いのは、管理が多いからです。最もてっとり早い管理は対面で口頭で喋ることだからです。 原因も単純で、権限委譲が少ないか、[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)を行うためのツール、やり方、考え方などが無いかです。つまりは仕事術(仕事のやり方や考え方)が下手くそなだけです。 当サイトでは様々な仕事術を紹介しているので、参考にしてください。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC&context=note&mode=search) そして管理を薄めることです。 予算やスケジュールを敷いてそのとおりに動くとか、とりあえず定例会議をして毎日進捗を確認するとか、そういったことは典型的な管理脳であり、前時代的なやり方にすぎません。 ここから脱するためには、前述と被りますが、仕事術が必要です。新しいやり方や考え方を知らないと、やりようがないのです。 以下にいくつか例を挙げます。 ## おわりに マネジメントに融通を利かせるハイブリッド・マネジメントをお伝えしました。 ついでに、マネジメントの無いあり方(マネジメントレス)の本質もまとめました。 # Title: PDFは不便なので「デュアル・フォーマット」を PDFはあらゆる業界で使われますが、生産性の足を引っ張っています。 入手も管理も検索もコピペもしづらいからです。PDFは統一性と改ざん防止の点では優れていますが、だからこそ利便性がショボい。 そこでデュアル・フォーマットを提唱します。 ## デュアル・フォーマットとは 文書を公開する際、フォーマットを二つ用意します。 * Strong Format * 例: PDF * 文書としての「堅さ」を持つフォーマット * Slack Format * 例: HTML、または Markdown など原稿ファイル * 利便性を持つフォーマット 基本的にSlack Formatの方を公開します。そうすれば利用者にとっては便利です。 ただし、それだけだと改ざんや出所の主張が難しかったり、またSlack Formatが使えないIT素人も多いので、そういう場合に備えて従来のStrong Formatも持っておきます。 つまり **Slack Formatが使える人達の便宜を図る** ということです。 ## メリット * 健全性に寄与します * Slack Formatを出すということは、オープンだということです * コアな人達に使ってもらえます * Slack Formatを欲するようなコアな人は、お金を惜しまなかったり発信力を持ったりすることが多いです * また利便性にもうるさいので、不便だとそもそも見てもらえません ## 事例 ITの世界で見られます。 * 紙の本、電子書籍以外にもPDFを配っています * これは紙や電子書籍がStrong、PDFがSlackの構図です * PDFもまだまだ不便ですが、それでも紙や電子書籍よりははるかにマシです * 原稿を GitHub でオープンに管理しています * コアな人は、GitHub から直接原稿データにアクセスできます * HTMLでオンラインドキュメントとして公開しています * ブラウザで読めるため、ブックマークやタブが使えて便利です * コピペも自由なので、利活用もしやすいです ## おわりに あなたの文書が読まれないのは、単に不便だからかもしれません。デュアル・フォーマットを検討してみましょう。 あなたがこれから文書を出す立場であれば、利用者のためにも、ぜひデュアル・フォーマットを検討してください。 あなたが本を書く・出版する立場の場合、権利的には難しいかもしれませんが、不便で逃げていた読者を獲得できるチャンスかもしれません。新規ビジネスのつもりで、デュアル・フォーマットを検討してみてはいかがでしょうか。 # Title: 社員ウォレット(Employee Wallet) **社員ウォレット(Employee Wallet)** とは、社員ひとりひとりに月n円の予算を与えることです。社員各自が好きなSaaSを契約できます。 ## メリット ### 1: シャドーITのジレンマを突破できる シャドーITは難しい問題です。 * 管理を緩くすると、シャドーITが活性化します * 管理を厳しくすると、優秀な人材や私生活重視の人材が逃げていきます * そもそもシャドーITは消えません。仕事のために必要な利便性は、多少強引であっても取りに行くからです(同様の理由で法律が犯されることも多いですよね) これを **シャドーITのジレンマ** と呼びますが、社員ウォレットなら軽減できます。 まず使えるツールは自由に選べるので、ツールの利活用を当たり前とする人材も生きながらえます。しかし、ウォレットとして全社的に可視化はされているので、悪さに関する抑止力も働きます。 ### 2: ツールが重要という視座を啓蒙できる 仕事道具が重要であることは言うまでもありませんが、現代はITの力で成り立っています。よってIT的な道具が重要です。 一方で、このような視座を持てず、未だに原始的な対面口頭会議や昔ながらのプロセス・ルール・ツールへの現行踏襲が蔓延しています。 社員ウォレットを導入すると、誰が・どこが、どんなツールを使っているかがわかるので、ツールを使うという視座に立ちやすくなります。 ### 3: ツールを使う・使わないという多様性に配慮できる ツールにどれだけ頼るかは、多様性と言えるほどあり方が分かれるものです。 使う派の人に使わせないのも、逆に使わない派に使わせるのも、どちらもハラスメントと呼べるほどのキツイ行為です。 ※生産性はツールを使った方が出るので、生産性向上の観点からは使うことが推奨されます。が、この議論は次の 4: でします。 ですので、どちらの側か(どちらの比重が重いか)を知ることは多様性の面では重要です。社員ウォレットを使えば、誰が何を使っているかが見えるので、データとして把握できます。 たとえば「これとこれを使える人」とか「ツールの指定は無いので各自上手くやってください」といった形で要員をフィルタリングすれば、ミスマッチを防げます。 いきなりこんな事を言われても意味がわからないと思いますが、社員ウォレットを導入した後なら通じます(2: の視座ですね)。 ### 4: 組織の生産性とQoWが上がる 道具に頼った方が生産性は出ますし、快適([QoW](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577)が上がる)なので満足度も上がります。 デスクワーカーも同じです。古典的な人はピンと来ないでしょうが、すでに様々なSaaSが出ており、これらを知っていて使えるかどうかで大きな違いが生まれます。 **スマホを使っている人は、すでにアプリの形でその恩恵を受けているはず** です。仕事も同じで、要は色んなアプリを使えた方が良いのです。ビジネスに関する有償のSaaSは数多いですが、まさにそういう理由です。 社員ウォレットを使えば、全社的に「使ってもいいんだ」との啓蒙も進みますから、控えめに言っても生産性とQoWが底上げされます。 ## 実現時のポイント ### 1: 全社的レベルで管理する 別の言い方をすると、上司承認を回避してください。 大前提として、 **個人の道具は個人が自由に使えるべきです** 。上司やその他マネージャー等の承認など要らないはずです。 しかしガバナンス上、何も管理しないのもマズイですから、全社的に一元管理します。 ### 2: 管理というよりは可視化を目指す 管理するという意識では、いたずらにきつくなりがちです。たとえば **「使ってもいいSaaS」の選択肢が狭くて事実上役に立たない、はあるある** です。 管理というよりは、可視化の意識で望んでください。 基本的に何を使っても許します。ただし、全部可視化はしているので状況はわかりますし、見えてもいるので社員視点でも抑止力になります。 また、可視化のメリットは他にもあります。 * 透明性があるので、政治や不正が減る * 全社員全部門全PJが、他者他部門他PJの状況を見れるので参考にできる(ツールナレッジ) ### 3: 個人の道具を扱う 1: でも述べましたが、社員ウォレットは「各社員が **自分個人の** 道具を使う」ためのものです。 ですので、プロジェクト内で共通的に使うようなツールは、社員ウォレットではなくプロジェクトの予算などで買ってください。ここを混同してはいけません。 ### 4: 買わない人も許容する 月n円分を必ず使えとか、使用料をKPIにして促進させるといったことは絶対にNGです。 メリットの項でも述べたとおり、ツール利活用にも多様性はあります。使わないという選択肢も尊重してください。 ### 5: 切り替えは自由に行えるようにする 半期ごとに申請して以後切り替えできない、といった運用もあるあるですが、極力避けてください。 ツールの変更はよくあることなので、自由に切り替えられるようにするのが望ましいです。 ## 社員ウォレットを実現する ここからは、この社員ウォレットなる仕組みをどうやって実現していくかを扱います。 ### 社員ウォレット用のシステム 現状そのようなシステム、ツール、アプリは無いと思いますので構築が必要です。 小規模な組織であれば、手作業的な運用でもカバーできるでしょう。たとえば Excel やスプレットシートは言うまでもなく使われますし、社員ウォレット自体はただの「利用状況の可視化」ですから、正直どうとでもなります。 しかし、手作業が面倒くさいと、それだけでハードルとなってしまって利用が遠のきます。いちいち帳簿に記入して、なんてやってられないですよね。なので、できるだけシステム面はきちんと整備して楽をしたいです。 ### 社員に割り当てる金額 昨今のSaaSはそれなりに高いこともあり、最低でも1500円、できれば2000円欲しいです。500円や1000円では、正直使えるSaaSが少ないと思います。 ### 社員ウォレットの効果測定 全社的な定性アンケートやエンゲージメント調査をします。定性というのは、具体的な改善金額や時間などを問うのではなく、主観的な満足感を問うというものです。 社員ウォレット導入前に一度実施します。そして、導入後にも定期的に実施します。導入前後で如実に増加するはずです。 メリットの項で述べたとおり、 **純粋にメリットが大きいので、基本的に増加すると思います** 。増加しない場合、おそらく以下が当てはまります。 * 組織全体のITリテラシーが低いか、使わない人がマジョリティで、そもそも刺さらないケース * すでに個人単位の活用が事実上解禁(シャドーITの黙認含む)されていて、社員達がそもそも困ってないケース * 社員ウォレットのニーズはあるが、仕組みや啓蒙が上手くいってなくてまだ普及が進んでないケース or 始めたばかりでまだ進んでないケース ### どんなSaaSを認めればよいか 上手いやり方としては **動的な更新** 一択です。 許可リスト的か拒否リスト的かは本質ではありません。日々、色んな社員が色んなツールを使いますので、それらの可視化を常にウォッチして、その都度許可リストや拒否リストを更新します。そんな動的なあり方で運用せよ、ということです。 というのも、動的な更新にしない限りは融通が利かないからです。 **ツールの多様性を舐めてはいけません。誰が何のツールを使うかは想像以上に多様であり、事前に把握しきるなど不可能ですし、いたずらに狭めるべきでもありません** 。 **社員ウォレットの成否は、この動的な更新を実現できるかどうかにかかっています。** 動的な更新ですが、特定部門が承認を抱えるとボトルネックになってしまいますので、 **全社員の数の力** を使います。 システム上を全社員誰でも読み書きできるようにして、議論できるようにするのです。それを踏まえて、意思決定権を持つ代表部門が許可 or 拒否を出します。あるいは、意思決定者のバイアスが不安なら、多数決で取る、クリティカルな否定的材料が出なかったら原則許可する等が良いでしょう。 ### 経費としてはどうすればよいか 会社のクレカ or 個人のクレカで立て替えの二択ですが、 **後者が良いです** 。 現状、後者でないと、社員ウォレットレベルの融通は確保できないと思います。前者だと経費を司る部門やシステムがボトルネックになってしまいます。 ### セキュリティはどうすればよいか SSO(シングルサインオン)など、セキュリティ機能の整ったSaaSを使えば良いでしょう。 ただし、すでに述べたとおり、だからといって「これこれのツールだけ許可します」のようにすると多様性が損なわれます。バランスが難しいところです。 ### 申請フローはどうするか 以下が望ましいです。 * ガイドラインをつくって社員に周知させる * 何を使うかは社員の自由にさせるが、各自で立て替えてもらう * 精算時チェック * 立て替えた分は、経費精算しないと戻ってこない * 使用前チェック * 使う前に「これ使ってもいい?」的な相談を行うこともできる 基本的には社員の裁量に任せます。チェックポイントとしては「精算時」と「使用前の相談」の二つを用意しています。 すでに述べたとおり、下手に管理を利かせるとそこが必ずボトルネックになってしまい、社員ウォレットは容易に形骸化します。 動的な更新もそうですが、この「融通の聞きやすいやり方」は、絶対に押さえてください。 **そんなことガバナンスとしてできるわけないでしょ、ではなく、このやり方で上手くやるには、を考えてください** 。それだけの価値がツールにはあります。 ### SaaSはエンタープライズプラン?それとも各個人が会社メアドで契約? 後者で良いです。 社員ウォレットとして、よほど利用者が多いものがあれば、前者のエンタープライズ向けプランを検討します。。この場合、社員ウォレットからは外して、全社員誰でも使える標準の道具という位置づけにします。 ### 機密情報の取り扱いはどうガバナンスするか いくらセキュリティが高かろうが、最終的に情報を出し入れするのは社員本人です。この部分のガバナンスは不可能です。 一般的にはツールをそもそも使わせない方向できつくしますが、社員ウォレットでは想定していないので割愛します。そもそも、この場合も結局は後述の本質に帰着されます。 現状、 **契約や誓約(特に罰則)を課すくらいしかありません** 。 ### SaaSだけなのか?パッケージソフトウェアや物理デバイスはどうか ツールの例としてわかりやすく、また大半が当てはまるということでSaaSという言葉を使っているだけです。それ以外のツールももちろん問題ありません。 ただし、サブスクリプション的な課金のツールだけ扱ってください。特にアナログなツール(文房具)などは買い切りが多いですが、買い切りも含めてしまうと経理側が苦しいと思います。 # Title: ウェルカム・ゲートウェイ(配下向け匿名質問受付) 情報共有、特に情報を握ってる中間管理職に情報を出してもらうために有効なのがウェルカム・ゲートウェイです。 ## ウェルカム・ゲートウェイ **ウェルカム・ゲートウェイ(Welcome Gateway)** とは、配下の者から、いつでも誰でも匿名で自由に質問を受け付けるようにすることです。あるいは、そのような仕組みを指します。 わかりやすく言えば、マシュマロやPeingです。あのようなものを配下に向けて解放します。すべての質問と、その回答は、配下の者には見えます。 ## 中間管理職が対象 ウェルカム・ゲートウェイは、 **部長級以上の中間管理職** が対象です。 ※原理上は経営層も可能ですが、配下の人数が多すぎるため今回は扱いません。 ## メリット Ans: 情報共有を促進して、情報格差や政治を減らせることです。 情報共有は[プロアクティブ](https://note.com/workhack20/n/ncffb914a99e4)(誰に言われずとも最初から公開する)なものですが、中間管理職にいきなりこれを期待するのは厳しいものがあります。かといって、従来のように会議で伝えるだけでは負荷が高いですし、一方的であるため欲しい情報も手に入りづらいです。 ウェルカム・ゲートウェイを持たせると、配下からの質問をトリガーとして情報を引き出せる・残せるようになります。 ## 回答者の心構え ウェルカム・アプローチを持つことになる回答者が心がけると良いことを整理します。 ### すべての質問に必ず答える 即答する必要はありませんが、すべての質問に必ず答えるようにします。そうでなければ意味がありませんし、配下からも **「この人は情報を出し惜しみするけちくさい人だ」「合間に回答できるだけの要領すら持たない無能な人だ」** と評価されてしまいます。 特にポイントとなるのが、否定的な回答をしたい質問であっても、かんたんでいいので答えることです。この考え方を明示的な否定(Explicit Negative)といいます。 ### 回答は簡潔で良い 質問は(上手く機能していれば)多数飛んでくるはずですから、回答にいちいち時間はかけていられません。 そもそも、メールのような情報密度の高さは不要で、むしろ一言二言で済むようなかんたんなやりとりが増えた方が有益ですし健全です。 このラフさを演出するためにも、回答は簡潔にします。 * 1 ❌今忙しい、あとでまた見るわ * 2 ⭕今忙しい * 3 ⭕今日明日忙しいから この程度で良いです。1 は一見すると良さそうですが、 **後のアクションを考えて言語化して書く手間は案外大きいです。そんなことを考える必要はありません** 。 必要ならまた質問が飛んでくるので、そのときにまた回答すれば済みます。 ### 匿名を受け入れる [関係ベースな文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)を持つ日本の感覚では、匿名は忌み嫌われますが、もう少し柔軟に捉えてください。 まず、ウェルカム・アプローチは配下からの質問のみを受け付けるので、匿名といっても範囲は絞れています。 次に、情報をやりとりするのに、必ずしも実名や対面は必要ではありません。むしろノイズになることさえあります。あなたと部下は友達や恋人ではなく、仕事仲間なのです。シンプルに済む場合はシンプルに済ませればいいのです。 そうです。ウェルカム・アプローチがカバーしたいのは情報です。 **あなたは立場上、情報を握りすぎていますが、これをもっと配下に知らせたいわけです** 。 ※余談ですが、このように「いかにして情報を出すか」と捉えるあり方を[ブレイン・エリシット](https://note.com/workhack20/n/n49f7b327a804)と呼びます。 プロアクティブな情報共有ができるならそれでもいいですが、難しいでしょう。だからウェルカムするのです。ウェルカム・アプローチは、比較的かんたんに、あなたの情報を渡せる優れたやり方です。 別の言い方をすると、情報の渡し方にはこのような工夫が必要とも言えます。もっと頭を柔らかくしてください。受け入れてください。試してください。 ## 実現のポイント ウェルカム・アプローチを実現する際に、参考となる話題を雑多にまとめます。 ### 義務化またはインセンティブ 組織の情報共有、よりカジュアルに言えば風通しをよくしたいのなら、ウェルカム・アプローチは最適です。 その際、取り入れ方には、以下2パターンがあります。 * 1: 中間管理職の義務として課す * 2: 強制はしないが、取り組むことで評価に加点する(インセンティブ) 多様性の観点からも、2: がバランスが良いと思います。 ### さらなるインセンティブ設計 ウェルカム・アプローチ・レベルを設けると、さらにインセンティブの余地が広がります。 レベルは以下の三段階があります。 * 0 * ウェルカム・アプローチを採用しない * 1 * ウェルカム・アプローチを採用する * 自組織の配下の者だけに開放する * 2 * レベル1に加えて、隣接する組織にも開放する レベル2について補足します。以下の場合、 * (事業部) * (部門1) 🐶部長 * (部門2) * (部門3) 🐶部長がレベル2を採用したとすると、部門2と部門3の配下の全員からも見えるようになります。 ちなみに「全社全員から見えるようになる」といったレベルは存在しないことに注意してください。これを行うと、 **質問する側にセーブがかかってしまって、質問しづらくなります** 。 ウェルカム・アプローチの肝は「配下にだけ見える」閉鎖性にあり、この原則を壊してしまうと、途端に質問のハードルが上がってしまうのです。 ### ウェルカム・アプローチは形骸化してもよい 形骸化した場合、それは **その組織の中間管理職たちが情報的にケチであることを示しています** 。ケチであるとの検証が出来たという意味では価値があります。 ここまで見たとおり、ウェルカム・アプローチは(システムを全社的に整える部分を除けば)何ら難しいものではなく、質問量がよほど多すぎなければ、片手間でできるものです。新人ですらできるものです。 それでも成立しないのだとしたら、それは情報を出し渋る何らかの理由があることに他なりません。理由の解明は本記事で割愛しますが、ともあれ、情報的にケチであるとの事実に変わりはないわけです。 ### 使えるツール ウェルカム・アプローチを上手く実装したアプリやシステムは現状無いと思います。 **配下からのみ、匿名で、** 質問を受け付けること・閲覧できることが必要だからです。 Slidoやイマキクのようなものを思い浮かべるかもしれませんが、 これらはイベント中に募集するものであって、「常時」「配下からのみ」募集するやり方としては使えません。 工夫すればできないこともありません。 Microsoft 365の場合、Formsを使えば匿名フォームは可能です。フォームの公開範囲は「限定URL」が使えますし、それが不安なら決め打ちで指定することもできます。 ただし、回答機能はないので、Teams など別の手段で行うことになります――が、このような運用は面倒くさくて、中間管理職側がついてこれないでしょう。 というわけで、かんたんに使えるアプリやシステムの登場が待たれます。 ### 適用する「中間管理職」と「配下」の範囲は? **部長級以上で、至近距離カスケード** をおすすめします。 至近距離とは、自分が直接定期的に1on1できる近さを配下とみなすという意味です。カスケードとは、同じあり方を適用していくことです。 たとえば、以下の構造があったとします。 * 1 (会社) 社長 * 2 (経営層) 役員 * 3 (事業本部) 事業本部長 * 4 (事業部) 事業部長 * 5 (部門) 部長 * 6 (グループ) マネージャー まず部長以上ですので、6のマネージャーは除外します。 部長については、配下は「マネージャー達」と「各マネージャーが抱える部下全員」になるでしょう。 事業部長については、配下は「部長達」と「各部長が抱えるマネージャー全員」になるでしょう。 事業本部長、役員、社長についても、同じ規模感で定義します。 **10~30人くらい** になると思います。「直下とその一つ下でいいのでは」と思われるかもしれませんが、組織構造によってはそれだと人数が多すぎたり、逆に少なすぎたりします。 多すぎると「配下」感がなくなって心理的な抵抗感が強くなりますし、回答も大変です。また、少なすぎると匿名感が薄まって質問しづらくなります。10~30人くらいがバランスが良いと思います。 ちなみに、経営層については、適用は難しいかもしれません。センシティブな情報を多く扱っていたり、中間管理職ほど「配下を抱えている感」がないがゆえにやりづらかったりするためです。 もちろん、可能ならやるに越したことはないですが、難しいと思うので本記事ではカットしていました(中間管理職向けとしました)。 # Title: 夜型陽キャ ネットスラングとして陽キャと陰キャがありますが、これらも多様性だと思います。つまり陽キャは陰キャになれませんし、陰キャも陽キャにはなれません。 特に陰キャが陽キャを目指すのはあるあるですが、夜型が朝型になれないのと同じようなもので、不毛です。 そんな無駄な努力に陥らないために、夜型陽キャについて知っておきましょう。 ## 夜型陽キャとは **夜型陽キャ** とは、夜型の陽キャを指します。 ネット上での活動が多かったり、親近感を出すために本人も陰キャ感を演出したりするので紛らわしいのですが、 **その本質はただ夜型であるだけの陽キャです** 。 朝型が支配する現代において、夜型はアクティブに活動しづらいためネット上での活動が増えます。また、夜に開く店やイベントへの参加も多くなります。 ## 例 * リアルタイムな活動 * 配信者 * ゲーマー(特にボイチャがあるもの) * ゲーセン、ライブ、飲み会など夜に出かけて楽しむ人 * 同上、その仕事をする人(特に接客・サービス系) 陰キャ、インドア、人見知りといったことを公言している人は多いですが、上記に当てはまっていないかも見てください。 ## 陰キャは陽キャにはなれない そもそも陽キャとは何でしょうか。陰キャとは何でしょうか。 ### 状態よりも要領 陰陽を分かつのは **状態ではなく要領** です。 たとえば「今恋人も友達もいないんです」という人がいたとして、この人は陰キャでしょうか。過去は普通にいたし、努力すれば普通に手に入るのに、今たまたまいないだけの陽キャかもしれません。 たとえば高校まではザ・陰キャだった人が大学デビューして、友達も恋人もできて、社会人になってからは仕事も順調に進んで結婚もして家庭もできて――となった場合、これは陰キャでしょうか。違いますよね。 ### 陰キャの定義 ここで定義に入りますが、陰キャとは以下の両方を満たす者を指すと思います。 * 1: 友達以上の関係に至る再現性を持っていない * 2: 仕事において(突出ではないが)人並以上の知識やスキルがあるのに、平均以上の評価をもらえない 逆に陽キャは再現性を持ち、評価ももらえる者だということですね。要は要領を持っています。要領を発揮していないから陰キャの状態に居るというだけで、必要なら陽キャになれますし、実際なります(デビューはその典型例)。これは **陰キャの皮を被った陽キャであり、陽キャです** 。 2: についてはわかりづらいかもしれませんが、仕事で評価をもらうのにもコミュニケーションが必要です。平均以上というのは、たとえば給料や出世の面で平均以上と考えてください。学生のうちは機会がないのでわかりません(バイトで分かることもありますが稀でしょう)。 つまり **陰キャかどうかは社会人にならないとわかりません** 。 この点は重要で、学生時代陰キャ的に過ごしていた人でも、会社で上手くやって好転することがざらにあります。そういうのは全部陽キャです。 逆に社会人になっても、何なら陽キャよりも知識やスキルがあるのにわかってもらえない、なんてこともよくあります。こういう人は陰キャですね。 ### 陰キャはコミュニケーション的な出来損ない まとめると、陰キャとはコミュニケーション能力的な意味で出来損ないだと言えます。 要領の問題なので、努力しても改善しません。この兆候は高校生・大学生時点でもわかります。以下が目安です: * 高校生以降、新しく友達ができたことがない * 親友と呼べそうな、長く過ごしていた人がいたが、なぜか疎遠になった * 高校デビューや大学デビューに失敗した * 勉強やスポーツは人並以下、あるいは努力量の割には思ったほど高くない * 地頭や体力の強い素人に実力的に迫られたりします * ガチっているのに、YouTubeでチャンネル登録者1000人を取れない * これらは理解しているし、努力くらい息するようにできるが、打開できる気がしない。見当もつかない * 実質 **「とりあえずやってみて何か起こるのを待つ」運ゲー** になる 何事にも向き不向きがありますが、別の言い方をすれば、 **陰キャとはコミュニケーションに向いていない人間** です。 ## 夜型陽キャに憧れるな、騙されるな 冒頭の議論に戻りましょう。 夜型陽キャは、一見すると陰キャ的であり、その割には楽しそうなので、陰キャとして憧れてしまいます。真似をしたくなります。近づきたくなります。 が、やめましょう。 **彼らは陰キャの皮を被った陽キャにすぎません。陰キャは陽キャにはなれません。時間と精神の無駄です。** もちろん、努力したことない人で、上述した目安に当てはまらないような人が試してみるのはアリです。 それでで適応できたのなら、あなたは陽キャだったということです。陽キャを自覚していない自称陰キャは多いので、あなたもそうである可能性は十分ありえます。 ## おわりに 現代は[多様性の時代](https://note.com/workhack20/n/n132a57d8259c)でもあります。 正解や無難とされているあり方に従うことだけがすべてではありません。もちろん、従えるのならそれでいいのですが、努力ではカバーできないこともままあるのです。陰キャが陽キャを目指すのもその一つです。 ですので、無理して目指すのは諦めて、陰キャというあり方もまた多様性の一つだと認めて、陰キャとしてどう生きるかを考えていきましょう。その方が無駄に苦労せずに済みます。 ## (関連記事) 本記事では陽キャと陰キャでしたが、朝型と夜型もそうですね。 いわゆる「チー牛」も多様性として捉えることができます。 # Title: 組織の空気を読めない人は「建前」を理解しよう 戦国時代モノや異世界ファンタジーを読むと、体裁を重視した対応がよく取られています。その理由として「配下の者に示しがつかない」「秩序を乱す」といったことが語られます。 ![](/assets/naa984ad2dbe2_1730333072-PhZOK7X1yAJexn6BkMulEswG.png)信長のシェフ 33巻 こういうのを見て「昔は大変だよな」「融通利かねえよなぁ」「茶番だよなー」などと呑気な感想を抱くかもしれませんが、 **これは現代の日本でも日常的な現象です** 。 ## 融通が利かないのは文化 先輩にせよ、上司にせよ、もっと上の立場の人にせよ、有能な人なのになんでこんなに融通が利かないんだろう、ということはよくあります。 それは単に **文化だからです** 。 以前の記事でまとめましたが、日本の文化は、世界有数で融通が利かない(利かせづらい)あり方となっています。 階層的だし、合意形成的だし、周囲の顔色ばかりうかがうし、締切とスケジュールに頼るし、そのくせハイコンテクストなので率直に言いません。 そういう文化なので、体裁もかなり重視されます。場や和は乱さないように立ち回りますし、上司など立場のある者はその立場の期待を踏襲しようとします。そもそもn通りのやり方を中々認めようとせず、全員一律的に同じあり方を課そうとします。違うあり方は潰そうとします。出る杭は打たれるとも言いますね。 こういったものを **建前** と呼ばれます。 建前は茶番めいていて、馬鹿らしく見えますが、文化的には必要なことなのです。そして **文化は基本的に誰もが無条件で従うものなので、有能な人でも無条件に従っています。** ## しかし本心は違う 本心から文化に染まった残念な人も多いですが、そうでない人もいます。 文化として要求されているからそう振る舞っているだけで、本当はもっと融通が利く人というのもそれなりにいます。 ※組織や場所によります。早い話、信者と呼べるような「濃く染まった人」が多い組織では、期待するのは厳しいでしょう。逆に、大企業や大きなコミュニティのような「色んな人材が混ざっている世界」だと、ある程度期待はできます。 ## 融通を利かせてもらうには 文化的な体裁が要求される「表の舞台」では、融通は利きません。 ですので、裏で利かせてもらうのです。表の舞台から見えない、裏の舞台をつくって、そこでコミュニケーションや議論をします。 ポイントをいくつか書きます: * ある程度の信頼関係をつくる * これがないと「バラされるかもしれない」と警戒されます * 上記記事でも書いたとおり、日本は関係ベースの文化なので、「一緒に過ごす」ことでつくっていきます * これを[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)と呼びます * 少人数、かつ閉鎖的な形をつくる * [1on1](https://note.com/workhack20/n/n27ba929c949c)はわかりやすいですね * 人数が少ないほど、あるいは外から見えないほど、安心感が高くなってやりやすくなります * 残さない * 当サイトでは情報を残すことを強調しますが、一方で、日本では文化的に「情報が残ると、いつ掘り返されて突っつかれるかわからない」的な警戒心が強くなりがちです * ですので、情報が残らない「喋る」スタイルが良いです * 体裁が緩和された舞台を使う * 日本では「飲みニケーション」が知られています * 本音を出してもいいし、ここで出したことは普段は蒸し返さない、との前提を持つあり方です * 似たものとして喫煙所やゴルフもあります * こういう場ですと、普段表の舞台では言えないことも許されます * しかし、 **このような場であってもそれなりの体裁があったりするので、正直おすすめはしません** * 本記事の対象となる読者は、そのあたりを汲み取れないでしょう ## ## 建前に合わせつつ、刃をとぐ 本記事の対象となる方は、 **いたずらに文化にとらわれない優れた人** だと思います。 でも、だからこそ、意味不明な茶番に惑わされてしまっているはずです。本記事がお役に立ちましたら幸いです。 もちろん、だからといって文化に染まらなくてもいいのです。無難に過ごすために建前は演じつつも、引き続きあなたの刃は研ぎ続けましょう。 染まっていないあなただからこそ、できることがあります。 **文化という名の信者に迎合することなく、無難なやり過ごしと自分の尊重を両立していきましょう** 。 当サイトでもぜひ遊んでいってください。 当サイトでは、文化にそまらない様々な仕事術(仕事のやり方や考え方)を紹介しており、そんなあなたの力の足しになると思います。 ## (関連記事) もう少しわかりやすい例として、VTuberの結城さくなさんの例で説明してみました。 # Title: アダプター戦略 コミュニケーションやコラボレーションにおいては、必要に応じて隔離する&代表者を表に出した方が都合が良いです。 これをアダプター戦略と呼びます。 ## アダプター **アダプター(Adapter)** とは、都合の悪い存在(モンスター)からチームを守るために、誰かが代表者となることです。 アダプターの本質は「複雑な変換」であり、以下の2方向を担当します。 * In: * モンスターからの情報を、変換してチームに渡す * Out: * チームからの情報を、変換してモンスターにわたす また、 **複雑な** 変換と書いたように、この変換はかんたんにこなせるとは限らないため、通常は有能な者が就くことになります。 ## 3つのアダプター ### 内部アダプター チーム内部でつくるアダプターです。 中のモンスター(有害なチームメンバー)からチームを守ります。 ### 外部アダプター チーム内部でつくるアダプターです。 有害な「外のモンスター」からチームを守ります。 ![](/assets/n24db2fefd9fd_1730355180-QxaCyJZHL1pqd3NjzSK4Ev9r.png)内部アダプターと外部アダプター。 ### レイヤーアダプター 個人ではなく組織そのものがアダプターとなったものです。 ![](/assets/n24db2fefd9fd_1730355237-56J0ZoltTQPsMkuc2bNxOUBK.png)レイヤーアダプター。 レイヤーアダプターに所属するメンバーは **全員がアダプター** です。 外部アダプターでは、アダプターは個人が行っていましたが、それだと足りないので、アダプター用のチームをつくるのです。 この場合、守る対象は組織1と組織2の両方になります(レイヤーアダプター内の各メンバーではない)。というより、プロジェクト全体や組織全体を守りたいので、人材を贅沢に使っちゃうけど仕方ない、導入しよう――が典型例です。 よく冷静さを取り戻すために第三者を交えますが、それを組織レベルで行うのがレイヤーアダプターです。 ## メリット Ans: チームを余計なノイズやストレスから守れることです。 日本は平等主義が強く、無能な者はおろかモンスター(有害な者)でさえも平等に扱おうとしがちです、モンスターによる影響は甚大です。チーム全体の生産性が著しく下がったり、退職など離反を生んだりします。 かといって通常、モンスターに対して苛烈な対応はできないか、しても問題がこじれることがあります。 そういうわけで、[ソリッドキャリア](https://note.com/workhack20/n/n521d079f9715)や[カルチャーマッチ](https://note.com/workhack20/n/n4afbed676ee8)など「入口を絞る」やり方が流行っていますが、 **それでもモンスターは混ざりますし、そもそも他チームや顧客として存在することもよくあります** 。 この前提で、モンスターからチームを守るためには、接点を最小化するしかありません。それがアダプターです。 ## Q&A よくあるトピックをQ&A形式で整理します。 ### Q: 階層組織と何が違うの? Ans: アダプター戦略では「フラットなあり方」が前提です。 フラットなあり方では、誰でも誰とでも関わることが当たり前です。ですので、モンスターがいると場の全員が割を食います。 これを防ぐために、全員がモンスターと接するのはやめて、でもそれだとモンスターが収まらないし、こちらの都合が悪い(相手が太い顧客だと切るわけにもいかない等)こともありますから、代表者をひとり据える=接点を最小化するのです。 つまり、フラットなあり方がまずあって、その上でモンスターの被害を最小化するのがアダプターです。 ※ちなみに、階層組織はガッチガチのアダプターと言えると思います。これはこれで守りやすいですが、色々と融通が利かないことはご承知のとおりです。 ### Q: 起源は? Ans: ソフトウェア開発の用語だと思われます。 専門用語なので噛み砕いて解説します。 皆さんが普段使っているアプリも含め、ソフトウェアは複雑な設計を経てつくります。こんな感じの概念をつくって、これとこれをこのように連携させて、といったことを設計します。 この設計には様々なプラクティスがあり、 **アダプターパターン** と呼ばれるものもあります。 AはBを使いたいが、Bが使いづらいので何とかしたい、という場合がよくあります。そこでBのアダプターXXXをつくって、AはXXXを使うのです。使いづらいBの部分は、XXXが上手いことやります。このXXXがアダプターです。 ![](/assets/n24db2fefd9fd_1730356015-fByxGo3tlUF62qS91mndbQHW.png)アダプターパターン(Google画像検索)。 アダプター戦略は、このアダプターパターンから取ってきて当サイトが名付けたものです。 ※といっても、似たような取り組みは(名前がなくとも)すでに使われているとは思います。新規性はありません。当サイトとしては、単にわかりやすい名前をつけて整理しただけです。 ### Q: 内部アダプターは2人以上抱えても良い? Ans: 問題ありません。 正直言えば、2人以上抱えられるかはアダプターの能力に左右されますが、さすがにアダプターを2人以上にするのは人材がもったいないです。 ### Q: アダプターは片手間で良い? Ans: しっかりと対処できる程度には費やしてください。その結果として片手間になる分には問題ありません。 中途半端だと、モンスターを御しきれずに結局チームを守れません。アダプターは、一時的に自分の仕事ができなくなることも覚悟して、「うまくいく」よう整備してください。 たとえば内部アダプターを例にしますが、モンスターの扱いにきめ細かく対応することが重要です。 放っておけば無害である場合は、なるべく放っておきましょう。 定期的に構わないとうるさい場合は、最低限必要な頻度でかまってガス抜きさせましょう。 モンスターは特殊なので常識的な応対が最適とは限りません。放任、無視のレベルで放置しても平気なモンスターもいれば、構ってちゃん的なモンスターもいます。上手く見極めて臨機応変に対応しましょう。 よくあるのが、平等主義的な価値観から「あなたも皆と同じことをしなさい」的に課したり、あるいは自意識の高さからモンスターの至らない点を矯正しようとしたりすることですが、不毛なので推奨しません。 このような対応をして、片手間で済むかどうかは、あなたの要領と、あとは運ですね。最悪厄介なモンスターがいたら、それだけで片手間は潰えます。 ### Q: モンスターはずっと抱えるの? Ans: 問題ないなら抱えてしまえばいいでしょう。あるいは水面下で排除の準備を進めます。 ※ここで排除とは、追い出し部屋のような非人道的なものではなく、モンスターに抜けてもらうための活動を指します。また、速やかに排除できる場合は、すればいいのでここでは扱いません。 白黒つけたくて排除したくなりがちですが、 **正直言って大して問題がないのなら放置してしまった方が良いです** 。プライドや美意識が許さないかもしれませんが、モンスターと戦って被害を被るよりはマシです。 余力があるなら、上手く排除するための戦略を水面下で検討しましょう。この点も色々あります、たとえば: * 1: 1on1などを通して、和やかに転職に誘導する * 2: 会社として正式に処分を下せるような状況に導いていく、あるいは釣り餌を垂らす * 3: チーム内で無反応や無関心を徹底することで、モンスター側のインセンティブ(反応するから暴れたくなる)をなくす * 自発的に退職するかもしれません など。 ただし、モンスターも賢い場合があり、下手な手を打つと逆にハラスメントや裁判で苦しむ可能性があります。 2: や 3: は過激になりがちなので注意です。ここは本当に注意したいです。私たちは人間であり、脆弱な生き物です。組織内の大多数の合意があると、いじめレベルのことでも、いともかんたんにこなしてしまいます。モンスター側もそれを察知するので、暴れがちで、こじれがちです。 あくまでも同じ一社員として尊重しつつ、冷静に、建設的に向き合っていきましょう。 とはいえ、現代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)の時代ですから、無難に耐えていれば意外と状況は好転します(あるいは好転できそうなチャンスが来ます)。 とにかく、焦らず、過激にもならず、冷静に、必要最小限の手間でアダプターを務めることです。 # Title: フルスタック・スタッフ 通常は工程ごとに役割を決めて、別々の人を割り当てますが、それら全部をひとりでやってしまうあり方があります。 ## フルスタック・スタッフ **フルスタック・スタッフ** とは、すべての工程を一人で行う者、あるいは必要に応じて行える者を指します。 従来は工程ごとに役割を設定して、1人1役あるいは1人n役で分業していました。あるいは、せいぜい以下のような特殊なポジションでした。 * プレイングマネージャ * 現場仕事もするマネージャ * プロデューサー * 全体に関わるが、実作業はしない ## 例 * フルスタックエンジニア * ソフトウェアやシステムの開発は主に要件定義、設計、開発、テスト、運用に分かれます * 普通は設計する人、開発する人、運用する人などに分かれます * フルスタックエンジニアは、一人で全部やります * [星野リゾートのサービスチーム](https://note.com/andy_hoshino/n/n2974c985a48b) * 従来のホテル業務はフロント担当、調理担当など縦割りが当たり前だそうです * マルチでタスクをこなす、と表現されています ## メリット * きめ細かいサービスを実現できる * 付加価値を高くできる * 未来のプロデューサーを育成できる * 従来プロデューサーは才能の世界だったが、フルスタック的に全部経験することでも目指せる * プロデューサーの再現性を高めることができる * 無能や変人を排除できる * フルスタックできる人しか通用しないので、無能な人や偏りの大きい変人が混入しづらい ## フルスタック・スタッフの適用 フルスタック・スタッフの適用場面(適用対象)は、以下マトリックスで整理できます。 ![](/assets/n8ed82b908478_1730409770-RFtkXOaPZGTDyesQE0bipSBf.png)適用場面のマトリックス。 ### 軸について **流れ作業** とは、設計 → 開発 → テスト → リリースのように、工程を一つずつ進めていく製造業的なやり方を指します。ソフトウェア開発ではウォーターフォールと呼ばれます。 **協調的** とは、短い期間中に設計からリリースまで全部行うやり方を指します。[アジャイル](https://note.com/workhack20/n/n4e23691194d4)と呼ばれます。 エンドフルネスについては、プロジェクトのように期間的な終わりがあるものを **エンドフル** といいます。逆に、サービス業など営業時間はありますが、基本的に未来永劫続くものを **エンドレス** といいます。 ### 適用する 1 ウォーターフォールは、エンドフルで流れ作業的なあり方です。フルスタック・スタッフを適用するとは **、流れ作業全部を一人で行う** ことを意味します。 通常、あえてここに留まる意味はありません。一人で行えるなら、2のアジャイルでやった方が早いし、こまめに成果を出せるので上手くいくからです。 2 アジャイルは、エンドフルで協調的なあり方です。フルスタック・スタッフを適用すると、 **短い期間ごとに成果物を出す、というサイクルを一人で回す** ことになります。 アジャイルでは1~2週間で切ることが多いです。ので、1~2週間ごとに成果を出す、となりますね。 複数人で仕事する場合、これは主にコミュニケーションコストの観点から非現実的です。本来のアジャイル開発手法であればカバーできますが、やり方も要求水準もシビアです。フルスタック・スタッフであれば、自分一人だけですので、かなり現実的に行えます。 ※もちろん一人で全部やりきれる実力は必要 3 スタティックサービスは、エンドレスで流れ作業的なあり方を指します。 サービス業は基本的にこれのはずです。たとえばフロントで接客する人は、接客しかできません。流れ作業的に連携を整備するために「プロセス」や「マニュアル」が敷かれているので、あまり融通が利きません。イレギュラーにも弱いです。 ここにフルスタック・スタッフを適用するとは、 **現場判断で融通を利かせられるようにする** ことを意味します。 たとえば、プロセスよりガイドラインに留めて共通部分だけインストールしておきます。ガイドラインに違反しない程度に、各自は自由に動けます。 実状況で言えば、調理が忙しそうだからフロントスタッフが調理場に入ったり、逆にフロントが忙しくて「誰か手伝ってくれ」というときに、調理スタッフやマネージャーがフロントに入ったりします。 4 ダイナミックサービスは、エンドレスで協調的なあり方を指します。 このあり方は、フルスタック・スタッフを適用しないと成立しません。 先進的で事例も少なく、イメージしづらいと思いますが、ティール組織が当てはまります。いわば **フルスタック・スタッフから成る小集団** です。 旅館がわかりやすいかもしれません。小さな旅館ですと、スタッフはおそらく10人もおらず、全員がフルスタック的で、状況に応じて何でもすると思います。接客もするし、調理もするし、掃除もすれば、ウェブサイトやSNSも運営するし、集客やビジネスネタの検討や議論もする。 全員がフルスタック的なので、状況に応じて「誰かがやればいい」「みんなでやろうか」で済むのです。協調的なので、変なプロセスやルールもなく、すぐに行動できます。 ※旅館だからティール的とは限りません。接客や掃除をしないオーナー、接客しないバイト、など役割を固定することはよくあります。これは 3 のスタティックサービスです。 ## フルスタック・スタッフを上手くやるには ここからはフルスタック・スタッフのあり方を上手く機能させるための原則を取り上げていきます。 ### 共通の価値観をインストールする、見えてなければ議論する 組織全体としてのビジョンやコンセプトが統一されていないと、スタッフによって品質や方向性がバラバラとなり、顧客が混乱します。選ばれなくなります。 特に著しく異なる二人がいた場合に、どちらかがクレームの対象になります。 たとえば[礼儀1.0(相手のために時間をかけるのが礼儀)と礼儀2.0(相手に時間を取らせないのが礼儀)](https://note.com/workhack20/n/n4326177679d5)は両立しません。 1.0的に丁寧に尽くすスタッフと、2.0的に必要最小限しか動かない、何なら言われたときしか動かないスタッフが両方いたとすると、片方はクレームの対象になるでしょう。2.0的なスタッフを「やる気ないのか」と評するかもしれないし、1.0的なスタッフを「くどい、うざい」と評するかもしれません。 ですので、組織として「うちは1.0的にやります」などと決めねばならないのです。あるいは、今決まってなくても、少しずつ固めていかねばならないのです。 ここで、「そういうものは仕事を通じて少しずつ醸成されていくものだろ」と言語化や議論を怠ける人がいますが、怠けてはいけません。 言語化と議論を避けていては、出来上がるのに10年かかる、だなんてことになりかねません。いたずらに安易に定めるのも本末転倒ですが、だからといって怠けるものでもなく、言語化と議論は日頃からしましょう。 また、経営者やマネージャーなど偉い人の思いが正しいとも限りません。現場の方が見えていることもよくあります。 ですので、やはり言語化と議論を継続的に行って、本質を見つけていくのが一番です。 ### OJTを廃する 教育としてよくOJTが挙がりますが、 **OJTは正直言ってただの思考停止です** ――と書くと語弊を招くので、補足します。 もちろん実経験でしか得られないものもありますが、それは **実経験で最低限通用するだけの基礎を身につけてからの話** です。基礎の部分を、OJTという形で丸投げしていけません。 基礎をつくる部分には、ちゃんと投資してください。 * 従業員の片手間ではなく、ちゃんと時間を確保して濃密に講義やトレーニングをしてください * 現場に出して放置するか、いきなり使い倒すスパルタするのではなく、模擬練習やロールプレイをしてください * 知識とガイドラインはドキュメント化して、じっくりと読ませてください * 各自がいつでも読み返せるメリットもあります * 言語で伝えづらいところはビデオを撮りましょう * 100%拘束して管理するのではなく、自分で練習・試行錯誤する時間もとりましょう * 参考: [ソロワーク](https://note.com/workhack20/n/n99dfcbf9d1fd) ちなみに、恒常的にちゃんと時間を取れるなら、ドキュメントは軽くて済むか不要です。 この部分は、思っているよりもわかってない人が多いので、もう少し協調します。 OJT的な現場至上主義は、昭和時代の遺物です。精神論的にオーバーワークさせるスポーツ監督と同レベルだと思います。そうではなく、基礎の部分については、ちゃんと賢く教育してください。 現代の若者は、この本質がわかっています。無闇にOJTでスパルタされるよりも、ちゃんと理に適った教育により基礎を身につけさせてもらうことを期待しています。ですので、 **これを満たせない職場には若者が定着しません。あるいは静かな退職をされます** 。 そういう意味で、若者の定着度合いが実はバロメーターになっています。定着しない職場は、このOJTの呪いがおそらくあると思いますので、見直してください。 フルスタック・スタッフが欲しいならなおさらです。 ### 従業員間の連携を強化する フルスタック・スタッフと言えど、常にひとりですべてをまかなうのは難しいです。かといって、フルスタックだと指揮命令系統が階層的ではなくフラットになるはずです。 ここで重要になるのが、 **必要に応じてラフに仲間に頼れる** ことです。それができるだけの関係性づくりとツールへの投資は怠らないでください。 だからといって、無闇に会議や会話を増やせば良いというものでもありません。 ここで重要になってくるのが仕事術です。要はやり方や考え方を知らないと、融通が利きません。 当サイトでも様々なものを紹介しているので、ぜひ読み漁ってみてください。 ここでもかんたんに取り上げます。 会議による拘束はボトルネックになるので、まずはこれを緩めねばなりません。脱拘束と呼んでいます。 皆が集まって喋る機会は必要ですが、これは(会議や仕事をだらだらしながらではなく)意識的に確保していきます。 非同期的なコミュニケーションや情報共有も大事です。これがないと、結局、原始的に会議することしかできないからです。そのためにはツールが必要で、QWICという形で解説しました。 また、当サイトでは記事化していませんが、ティール組織も参考になります。 軽く解説すると、ティール組織では「小集団」というフルスタック・スタッフの集団から成る組織です。 各集団内は非常に密で、従来の組織よりもコミュニケーションは抜群に多いです。かつ、相当の裁量が与えられていて(たとえば採用の権限さえ持つ)、ほぼ独立した小さな会社のようなものですから、無駄も少なくて時間があります。その分もコミュニケーションに充てられるのです。 ### 頼れるものは頼ってもいい フルスタック・スタッフは全工程の全作業を一人でやる、は意味しません。 外注ができたり、他の専門的なメンバーに頼れるのなら任せてもいいのです。フルスタックとはいえ、自分一人では限度がありますから、頼れるところは頼りましょう。 一方で、頼れる先が常に使えるとは限らないので、安易に頼ると品質が安定しません。Aさんに任せた場合、Bさんに任せた場合、Cさんに任せた場合は、当然ながら全部仕上がりが違います。 もしスタッフ側で行うのが困難な作業があるのだとしたら、それは組織的に体制を整えた方がいいでしょう。これは作業を行う体制(ワーカー体制)と、どこにどのように任せるかという体制(リクエスト体制)の両方を含みます。 とはいえ、可能なら自分がやることを意識したいです。 結局、 **自分の思い通りにやるには、自分でやるのが一番** だからです。[DXが流行っていますが、これもアプリやシステムの開発を自分で行えるようにしたい(内製)から](https://note.com/workhack20/n/n7aeae764c4a5)です。 コミュニケーションコストはバカになりませんし、かけたところで通じるものでもありません。フルスタックの潮流も、まさにその問題から出てきたはずです。 もう一つ、メリットで挙げた要素を確保するには、 **非効率になるかもしれないが経験する(させる)** ことも重要です。 ホテル業務の例でたとえると、仮に調理体制を整備して、それに任せれば上手くいくのだとしても、スタッフには調理業務をしてもらいます。そうして実際に経験することでしか、調理の世界(ドメインといいます)を知れないからです。 ドメインを知れたら、応用が利きます。体制側で上手くいかない小回りも利くかもしれないし、新しい調理のあり方も開拓できるかもしれません。体制側に頼れないときのリカバリーもできると思います。 可能であれば、フルスタック・スタッフでも回せる程度にシンプルな体制やシステムにしたいところです。もし専用の調理スタッフでないと成立しない場合、それは単に調理業務が無駄に複雑になっている可能性があります。 フルスタック・スタッフの隠れたメリットは、専門的でないスタッフが流動的に担当するがゆえに、「そういう状態でも成立できるような業務のあり方にせざるをえない」との力学を働かせられることです。大げさに言えば、 **継続的な業務改善がしやすい** のです。 ### 「経験があった」にはしない・させない たとえば最初1年間を実店舗で修行させて、その後はずっと本社で企画や管理に従事させるとします。これはフルスタック・スタッフでしょうか。 違いますよね。それでは意味がありません。 皆さんも「私も以前は現場にいたからさぁ」などという人が無能で足を引っ張る、との経験があると思います。 **継続的に経験しないとアップデートはされません** 。上記の場合、最初の1年間と言わず、いつも、いつでも実店舗業務をしてもらうべきです。 より柔軟にしたい場合は、インセンティブを与えます。 たとえば管理面や企画面で優れた成果を出せた場合は実店舗業務を免除する(成果を出せているので不要と判断できる)、などです。もちろん、出せなくなったら「鈍ってるんだよ、今の現場を見てこい」となります。 # Title: ティール組織の本質は3P ティール組織は端的に本質をまとめられるほど単純でもなく、開拓もされきっていません。 だからこそ、端的に整理しておくと理解しやすいでしょう。というわけで、3P として整理します。 ## 小集団(Party) ティール組織において重要な単位が **小集団(Party)** です。 ### 小規模です 小集団は **数人から十数人程度の規模** とされます。 * 必要最小限かつ必要十分のバランスを厳しく求めます * 無駄な人材、有害な人材、介護が必要な人材は許容ません ### アジャイルです 小集団はアジャイルです。 * 計画や管理ではなく、行動や反復を重視します * 必要に応じて、助言プロセス(後述)を使います * 必要なことは、必要なときにやります ### 高密度に過ごします 小集団は高密度になることが多いです。 * コアタイム + フル出社のあり方がよくあります * 小集団内で、いつでも誰でも誰とでも連携できるようにするためです * 聞けばわかるし、すぐ聞けるし、全員がその前提で居ますし、従来の組織パラダイムにあった数々の制約もないため、実際に「すぐ聞く」が成立します * このようなあり方を高密度と呼びます ※高密度が唯一のあり方ではないことには注意してください。逆に低密度な小集団もありますし、「基本的に高密度」「でも例外は認める」「常時低密度的なメンバーもいる」のようなあり方も可能です。 ### 自分達だけで完結できます 小集団は特定の業務を全面的に請け負っています( **業務完結性** )。 * その小集団だけで完結します * 意思決定権も、その小集団のみが持ちます * 管理職や本部や審査部門といったものはありません * 経営層でさえ意思決定を持ちません * ただし小集団だけでは難しいケースが多々あり、 **助言プロセス** が導入されます * 他の小集団に助言を求めることができます * 助言者に意思決定権はなく、助言に従うかどうかは小集団側が決めます * 会計などクリティカルな部分については、助言を義務化することがあります。また、助言プロセスは、守らなかったら解雇になるほどの根幹です 小集団には、 **業務を完結できるだけの権限と裁量** があります。 * 例1: 採用の権限を持ちます * 必要な人材は自分達で雇えます * もちろん採用に詳しい小集団や人物に助言を求めることも可能です * 例2: 働き方も融通を利かせられます * フル出社の小集団もあれば、フルリモートフルフレックスの小集団もありえます ### 会社とはネットワークです 会社とは、 **小集団から成るネットワーク** です。 * 階層組織ではありません * 小集団は会社全体のヒエラルキーにとらわれず、バックオフィス部門含め中央集権的組織による管理もありません * 人材は流動的かつ多様的です * 複数の小集団に所属することもあります * 必要に応じて小集団を行き来します * 一時的に無所属になったり、ひとりからなる小集団(ソロパーティー)もありえます * 同じ小集団内で何年も過ごすこともあります * 直接業務ではない活動を行うタスクフォース的な小集団もつくれます * n人が手を挙げれば、もう始めることができます * いつでも誰でも誰にでも頼ることができます * 代表的な窓口を置くことはありますが、ティール組織の一員としてはオープンでなくてはなりません ## プロトコル(Protocol) ティール組織は小集団から成るネットワークですが、ネットワーク全体の整合性を取るための共通事項があります。これを **プロトコル** と呼ぶことにします。 原義は「約束事」「外交儀礼」「通信仕様」などであり、全員が基本的に例外無く使うものです。共通言語あるいは憲法にたとえられることがあります。 ### 動的に文書化します プロトコルは **動的に文書化** します。 * 文書の形で定義し、いつでも誰でも参照できるようにします * 必要に応じて変えることができます(動的) * 原理原則、主義思想だけでなく、具体的な手順も盛り込みます ### オープンです プロトコルは **オープン** です。つまりインターネット上に公開します。 * 機密情報やプライバシーなどセンシティブな情報を除けば、公開できるはずだからです * 公開できない場合、技術力が足らないか、公開できないやましさがあるとみなされます * 公開しない理由を説明できるのなら、それでも問題ありませんが、後述のPeaceを踏まえると、公開しない理由は通常ありません * 公開のイメージを掴むために、いくつか既存例を挙げます: * * * ### 紛争解決のプロセスがあります プロトコルには **紛争解決プロセス** を盛り込みます。 * 紛争とは容易に解決できない議論を指します * 例 * 問題のある社員の解雇 * 新しい事業領域への投資 * 大きな予算の使用 * プロトコルの変更 * 新しい小集団の立ち上げ * 例外的な独断を行使する条件の追加・変更 * 組織なので、どうしても意思決定者による迅速な判断が必要なことがあります * 通常は社長などトップが行いますが、ティールではトップであろうと独断は認めませんので、別途定めます * 議論の手順や成立条件など、プロセスとして定めます ### 直接業務一辺倒ではありません プロトコルには **直接業務以外の活動余地** を盛り込みます。 * 例 * 新人にプロトコルを叩き込むための時間(オンボーディング) * 勉強や練習のためのキャッチアップの時間 * ひとりで集中する時間 * 内省や瞑想を行うための時間 * 大人数が一同に集まる時間 * どんな過ごし方をどう盛り込むかに正解はなく、また探求の余地も大きいと思います * 当サイトでもいくつか開発しています: * [ソロワーク](https://note.com/workhack20/n/n99dfcbf9d1fd) * [内省](https://note.com/workhack20/n/na77a9fef662c) * [コミュニケーションの注入](https://note.com/workhack20/n/n777d7b43cec5) ## 平和(Peace) ティール組織では資本主義に毒されず、真の平和を目指します。 もちろん会社である以上、利益は大事ですが、それは結果として生じるものと考えます。平和を目指して実現してきたことと、その姿勢に世の中が共感して、その結果が利益となって返ってきます。 ※このようなあり方を **平和指向** と呼ぶことにします。ティール組織としては「存在目的」として言及されますが、わかりづらいので大胆に「平和」という言葉で表現してみました。 ### 社外への啓蒙も重視します 外への発信、啓蒙、教育を重視します。 * 自分達を知ってもらうことが最重要だからです * 経営者の主要な仕事の一つがこれです * 会社を最もよく知り、対外的に便利な顔も持っていて適任だからです ### 会社自体がオープンになります 会社がオープンになります。 * プロトコルの公開については、すでに述べました * 平和指向では組織の健全性が高くなるため、透明性も高くなり、組織は **自然とオープンになります** * オープンにならない組織は平和指向が足りず、ティールとしては未成熟です ### 社外からのフィードバックも受けます 外からのフィードバックも積極的に受け付けます。 * 平和指向では、内部に閉じて些細なプライドを守ることはしません * むしろ積極的に外からのフィードバックも受け入れて、真摯に取り入れていきます ### 競争しません 競合という考え方をしません。 * 従来なら競合となる相手にも分け隔てなく接します * たとえば情報を広く公開しますし、研修や講演もします ### サステナビリティも重視します サステナビリティも重視します。 * 実際に行動にて示します * たとえばサステナビリティの観点で望ましいから、とビジネス上不利な選択をすることがあります * 一時的には不利益になりますが、このような姿勢は未来への投資であり、そのうち回収されると考えます ### 資本主義からガードします 資本主義の毒牙から会社を守ります。 * 利益を第一に求めるために不誠実な行動に走ることは非常によくありますが、その毒牙から組織を守ります * 経営者の主要な仕事の一つがこれです * 経営者はガーディアンです * 従業員各々も平和指向を拠り所にします * ❌儲からないので、仕方ないけど利益第一なやり方をしよう * ⭕平和指向でも利益の出るやり方を模索しよう ## (関連記事) ティール組織における報酬のあり方を議論します。 # Title: フィードバックよりもアドバイス 新人、特に若者の静かな退職を防ぐには、フィードバックを増やせばいいといわれます。 書籍『静かに退職する若者たち』では、成果や力量に対する定期的なフィードバックが欲しいとの事例を取り上げています。 ![](/assets/n608c57b0cd0b_1730498023-0j1b8K9zI4usghkC5UfLFWRQ.png)「成果や力量に対する定期的なフィードバック」が欲しい しかし、フィードバックだけでは実は足りないのです。 ## フィードバックよりもアドバイス フィードバックよりもアドバイスこそが重要であるという話をします。 ## フィードバックのデメリット Ans: 正解ありきであり、融通が利かないことです。 フィードバックとは「評価」であり、 **出す側が正解を持っています。** 正解にどれだけ近づいているか、どこがどうズレているかを知らせるわけです。 正解ありきなのです。 ### 正解が最適であるとは限らないし、大体古い 正解とされているものは、その仕事、その組織、その人が以前決めたことにすぎません。たいていは古いです。 さて、現代の若者は、デジタルネイティブとも言いますが、相当な情報量と技術に触れています。 **私たち現役社員では到底太刀打ちできません** 。 たとえばボイチャ、バーチャルオフィス、ビデオの撮影は当たり前であり、仕事にも生かせますが、私たちはそんなこともわかりません。リモートやフレックスも当たり前に行えますが、やはり私たちはわかりません。 ※当サイトではそのあたりの言語化を丁寧に行っているので、よろしければ漁ってみてください。例: [リモート](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%83%AA%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%88&context=note&mode=search)、[フレックス](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9&context=note&mode=search) 早い話、若者は私たちよりも「よりよいやり方や考え方」、つまりは仕事術を知っています。 **適切に言語化できるとは限りません** が、インストールはされているわけです。そんな「雲の上の存在」に対して、私たちは先輩風を吹かしています。それを「仕事だから」「組織だから」などと思考停止して正当化し、フィードバックを垂れるわけです。 ## アドバイスを使う そこで使えるのがアドバイスです。 **アドバイス** とは「助言」であり、ヒントを提示するものです。使うかどうかは相手の自由であり、強制力はありません。これをきちんと取り入れた例としては、[ティール組織の助言プロセス](https://note.com/workhack20/n/n059dc3642458)があります。 つまり、 * ❌正解ありきで従ってもらって、正解とのズレをフィードバックする * ⭕若者にやりたいように動いてもらい、その過程に対してアドバイスする ということです。 雲の上の存在である若者を尊重します。ただし、そうは言っても、組織であり仕事ですから完全に好き勝手にはいかないので、先人としてアドバイスをします。 別の言い方をすると、私たち側を絶対的に正しいとして、若者にもそれに従ってもらうのではなく、若者側が強いとみなして、その主体性や実力をなるべく尊重します。必要な制約はアドバイスの形で提供してバランス調整します。フィードバックとは、スタートが違います。 ## 基礎は先に出し切る もう一つ重要なのが、最低限必要な **基礎は先に出し切ってしまうことです** 。 よくあるのがOJT――とりあえず仕事させながら色々学んでももらおうかな、ですが、それはただの思考停止、ただの怠慢にすぎません。仕事を舐めすぎです。 私たちも新しい仕事を行う際は、それなりに計画やコストを考えて提示すると思います。「よーわからんけどやってみるわ」では済みませんよね。それと同じことです。 **必要な基礎はちゃんと言語化して、整備して、教育やトレーニングの機会もちゃんと用意した上で、先にインストールを済ませてください** 。 あるいは、最低限情報として残して、「ここらへんを見れば学べるよ」という状態にしてください。若者はこちらのやり方にも慣れています。 たとえばゲームでも、昔は自分でとりあえず遊んでみて試行錯誤していくのが主流でしたが、現代では最初から攻略情報(動画含む)を調べます。何なら常に片手に携えて、情報を見ながら遊びます。 ドラクエとマイクラのたとえもわかりやすいでしょう。マイクラは、ドラクエのやり方では歯が立ちません。最初から情報を調べて、基礎を知って、その上で遊ぶのが当たり前です。 ## 辛抱強く向き合う、任せる 厄介なのは、若者側が必ずしも優れた言語化能力を持っているとは限らないことです。 また、持っていたとしても、ちゃんと言ってくれるかどうかも別問題です。同書でも「いい子症候群」は強調されています。リスクヘッジとして、余計なことは言わず無難な人物を演じるくらいは当たり前です。 ですので、優秀な者に任せるかのごとく、一度任せただけでは、思うように機能しません。若者自身が上手く主体性を発揮して、バリバリ動いてもらえるようになるまでには、時間を要します。もちろん関係性(信頼関係)の構築も要ります。 一度任せてダメだったからもうダメね、ではなく、辛抱強く投資するつもりで望みましょう。 可能なら、議論し合える関係になりたいものです。リバースメンタリングという言葉もあります。雲の上の若者たちに教えてもらうつもりで、取り入れていくつもりで、付き合っていくくらいが良いでしょう。 ※もちろん大前提として若者もピンキリです。だからといって下に見るではなく、上に見ることから始めよう、その象徴としてフィードバックよりもアドバイスを使おう――が本記事の提案です。 # Title: ラピッド・コントリビューション **ラピッド・コントリビューション(Rapid Contribution)** とは、新人を早期に戦力として扱うという考え方です。特に、早期戦力化に必要なやり方の工夫を指します。 ラピッド・コントリビューションに役立つ視点を5つに整理します。 ## 1: フィードバックよりもアドバイス フィードバックとは「評価」であり、正解ありきのあり方ですが、そもそもその正解が最適とは限りません。 この記事は「若者」を対象にしていますが、正解のうち、特にやり方の部分は、若者の方がより良いものを知っています。なのに、こちら側が偉そうに評価しているのが実情なのです。 この恥ずかしい現実を改めて、アドバイス(助言)ベースで進めていくことを述べています。 ## 2: デジタル DXの重要性が叫ばれているように、デジタルの力は非常に重要です。 当サイトでも強調しています。 紙よりもPC、ガラケーよりもスマホなどパラダイムシフトが起きて久しいですが、PCやスマホを使った「上手い仕事のやり方や考え方」は色々とあります。 Excelだとか、Teamsだとか、Googleカレンダーだとか、オンライン会議を使ってます、という程度ではないのです。 ※それすらもできてない組織も実は珍しくないですが……。 その先がまだまだありますし、その先さえ知らないのは、それこそ「PC使ってません」「スマホ知りません」レベルで遅れています。だからこそDXという形で大々的に啓蒙されているのです。 さて、新人は、デジタルを知っていることが多いです。ならばデジタルなやり方が出来てないと、その実力も発揮できないですよね。逆を言えば、できていれば、すぐに順応してくれます。 逆に、新人側がデジタルを知らないという場合は、知らないと話にならないので、鍛える必要があります。 とはいえ、鍛えるのには時間がかかりますし、鍛えずに面倒を見る(IT介護)のはもっと大変なので、理想を言えば、最初から鍛えている人を採用したいところです。デジタルを知らない人はそれなりに多いので、上手く早く鍛える仕組みが出来ていると非常に強いです。 デジタルというと「全社的に導入する」と思われがちですが、単に各個人が自分の道具(デジタルな道具)を持てるようにするだけでも違います。 持てるようにするための全社的な変更が必要だと思いますが、それでも無理に統一する必要はないのです。たとえば、当サイトでは社員ウォレット(社員ひとりひとりの財布)という仕事術を提案しています。 ## 3: 脱管理 現代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)であり、多様な情報、働き方、変化を前提とした立ち回りなど「融通の利くあり方」が要求されます。 私たちの水準も上がっているので、融通が利かない組織は選ばれません。選ばれないと良い人材が集まりませんし、育ちませんので苦しいままです。 経営者であれば搾取すれば成立はしますが、私たちの大部分は経営者ではありません。マネージャーとして、先輩として立ち回ることも多いはずです。 さて、仕事と言えば管理がつきものですが、この管理は必ずボトルネックになります。 **管理の度合いと融通の利かなさは比例します** 。 ですので、なるべく管理しない方が良いのです。 といっても、かんたんなことではないので、脱管理――管理をそもそもなくす、というくらい大胆な転換をします。 当サイトでも様々な仕事術を紹介しています。いくつかここでも紹介します。 「ゴール」と「やり方」という二軸がありますが、「ゴールは決まっているが、やり方は決まっていない」はバランスが良いです。 冒険的(クエスティブ)と名付けて整理しています。 自律的に動けない人のためにマネージャーがいます。あるいは、自律的に動けるチームではマネージャーを廃止することもあります。いずれにせよ「全員につける or つけない」の白黒になりがちです。 そうではなく、単に必要な人にはつけるし、要らない人にはつけない、と二通りを許容することもできます。これをハイブリッド・マネジメントと呼びます。 管理として長らく工業的なQCDS――品質、コスト、納期、スコープが神聖視されてきましたが、現代ではもう少し融通を利かせられます。 SSS(スキル、仕組み、標準)という形で整理しています。 脱管理と書きましたが、一方で、賢く管理した方がはかどるものもあります。併せて参考にしてください。 タスク管理。各個人が自分のタスクを管理するのもそうですし、チーム全体で上手く見える化するのもそうです。 トピック管理。 話題や議題(トピック)をちゃんと扱っていくことは、現代でもまだまだ開拓されていない領域です。実際、口頭やチャットやSNS程度では上手く扱えません。 しかし、上手く扱うための仕事術とツールはすでに揃っています。あとは活用するという段階です。 当サイトでは「トピック管理」と名付けて整理しています。 ## 4: 情報をいかに引き出すか 私たちひとりひとりは相当な情報を持っています。 もし、ひとりひとりがこれらをたくさん出せるとしたら、どうでしょうか。 **現状はおそらく言いたいことの1割も出せていないと思いますが、もっと出せるとしたら?** 仕事はもっと上手くいくはずです。 このような考え方を、当サイトではブレイン・エリシット(頭から引き出す)と呼んで整理しています。 ## 5: 高密度 現代の最適解としてよく知られているのは「濃厚にやりとりできるチームを組むこと」です。 これは組織パラダイムとして知られています。 **ティール組織** です。 幸いにも、現代では「一緒にやっていきたい」とする潮流も確認されています。 また、当サイトとしても、「会議」だけではない、もっと融通の利く過ごし方を提案しています。 と、このように必要なやり方と考え方は整いつつあります。高密度なあり方は、もう現実的に狙えるのです。 # Title: 服を買いに行く服がない 「エントリーハードル問題」 服を買いに行く服がない、運動を始めるための身体能力がない、など **始めるために必要なものがない** という状況はよくあります。 この状況をクリアする方法を整理します。 ## エントリーハードル 始めるために必要なものがない、という状況を **エントリーハードル** と呼びます。 ## 例 * 服を買いに行くための服がない * 運動を始めるための身体能力がない * 一人暮らしを始めるための生活力がない * 部屋を片付けるための片付け力がない * [タスク管理](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86&context=note&mode=search)を始めるためのタスク管理能力がない ## 「基礎」を身につける エントリーハードルを越えられる程度の諸々を **基礎** と呼びます。 つまりエントリーハードルを越えるには基礎を身につけよ、ということができます。 ## 基礎を理解する ### 内部と外部がある 内部的な基礎とは、体調やリソースやモチベーションといったものを指します。 外部的な基礎とは、技術や道具や環境といったものを指します。 ### 外部的な基礎 3T で表すことができます。 * Tool * 道具 * たとえるなら、釣り竿を使う * Train * 指導や教育などによる底上げ * たとえるなら、釣り方を教える(教えてもらう) * Teach * 環境の力によるカバー * たとえるなら、一緒に釣ってみせる ### 内部的な基礎 * 体調 * 水分、栄養、睡眠 * 病気や怪我がないこと * リソース * 時間やお金 * 認知資源 * スマホやSNSばかりしていると、これを食い潰してしまって何もできなくなります * モチベーション ## 基礎を手に入れる 意外に思われるかもしれませんが、内部的な基礎が不足していることはよくあります。まずはこれら不足を取り戻します。 * 体調を整えましょう * 特に水分、栄養、睡眠は軽視されていることが多いです * 精神的なものだと病気を患っていることも多いです * まずは治しましょう * リソースが無いと何もできないので捻出しましゅう * お金や時間を捻出しましょう * 時間については、[当サイトでも扱っています](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E4%BD%99%E8%A3%95&context=note&mode=search) * モチベーションについては、二通りあります * とりあえずやりましょう * [Just Do Itと呼ばれます](https://note.com/workhack20/n/nf073a0a1837e) * モチベーション≒納得感の高さであり、納得感は自分の内面と向き合うことで探せます * ひとりでやりたいなら[内省しましょう](https://note.com/workhack20/n/nac5fc8fb7036) * 誰かとの対話でも構いません できれば内部的な基礎は、不足をなくす状態にしたいです。まずはそこがスタートラインです。 しかし **「内部的な基礎の不足を取り戻すための、内部的な基礎がない」もよくあります** 。そういう場合は、外部的な基礎に頼りましょう。 外部的な基礎については、3Tでしたね。 * Tool(道具) * Train(教えてもらって底上げする) * Teach(一緒にやってもらうなどカバーしてもらう) どれが適切なのかは、越えたいハードルとあなた次第ですので、使えそうなものを選んでください。3通りとも試してみることをおすすめします。その上で、合ってそうなものを選びます。 例として「服を買いに行く服がない」を取り上げると、以下のような対応を行えるでしょう。 * Tool * **服を買うための道具** を入手する * ネット通販(スマホやアプリ)はわかりやすいですよね * 服を買いに行ける服かどうかを判断してもらう * Q&AサイトやSNSにアップロードする etc * つまり「 **判断してもらうための道具** 」ですね * 服そのものを入手する * 家族や友人の服を拝借する、私服ではなく制服を使う etc * **服自体もハードルも越えるための道具** ですが、手持ちには無いので他を頼ります * Train * 家族や友人に教えてもらう * アパレル店員のSNSアカウントに相談する * 書籍や動画で勉強する * Teach * 家族や友人に付き添ってもらう * レンタル恋人(恋人代行)のようなサービスを活用して、付き添ってもらう 色々挙げましたが、大まかには環境(特に人やサービス)に頼るか、何かしらの道具に頼るかの二通りです。 ここは好みや適性がわかれます。 自分で行動したい人は道具に頼ることが多いでしょう。しかし、普段自分で行動できる人であっても、あまりに無知な場合は何もできないので環境に頼るしかなかったりもします。 無難にやりたいなら前者の環境に頼る、で問題ありません。しかし、こちらはそれなりに行動を必要とするので、内部的な基礎が無いと苦しいかもしれません。 実は、もっとも堅実なのは、誰かと一緒に暮らすことです。あるいは集団生活に身を置くことです。 一見すると不便でストレスフルですが、 **環境レベルで内部的な基礎を叩き込んでもらえる** メリットが大きいです。学校や職場や実家のおかげで内部的な基礎を維持できている人も多いでしょう。 そもそも、言うまでもなく、誰かと一緒に過ごしたがる人は多いですが、これは環境の力に頼りたいからです。無自覚なことも多いですが、自分ひとりで基礎を確保できない方が多数派であり、この人達は環境の力に依存しようとします。 そういう意味では、 **自分で基礎を入手できない側の人は、誰かと一緒に暮らすこと(につながる活動)を重視した方が良いのです** 。多少嫌であっても、です。 # Title: 結城さくなから見る建前の文化 VTuber「結城さくな」さんの前世は明らかですが、それでも表向きは出しません。あるいは[「類似している」といった言い回し](https://news.yahoo.co.jp/articles/4f42c5b240205956413625375f3ce0e8a7fa9be6)をしたりします。 なぜでしょうか? **そういう文化だから** です。 (参考) 結城さくなさんのYouTubeチャンネル ## 結城さくなは「わかりやすい例」 以前、建前の文化についてお伝えしましたが、 これは仕事の例であり、わかりづらいところがありました。結城さくなさんの例はわかりやすいので、今回改めて取り上げました。 ## なんで隠すの? なぜわざわざ隠すのか、不思議に思われる方も多いと思います。 前世は明らかなわけですから、普通に隠さず言及すればいいですよね。その方が隠す手間(隠し続ける手間)も省けます。前世を持ち出されるのが嫌なら、その旨をちゃんと伝えて、そういうスタンスでやれば済むことです。 一般的には VTuber の前世には言及するべきではありませんが、結城さくなさんの事情は違います。公然の秘密というレベルで、良く知られています。 **知られているのです** 。 ならば、あえて隠し続ける意味はありません。意味がわかりません。一体何の茶番をしているのだろう、と不思議に思われる方も多いのではないでしょうか。 ## 融通のきかなさ これが文化の力です。というより呪いです。 こんな単純なこともわからず、茶番を続けてしまうのが、この建前という文化なのです。 この呪いが、私生活から仕事まで、一体どれだけの影響を及ぼしているかは想像に難くないと思います。 ## 呪いを断ち切るには ### 断ち切るのは難しい、というか無理 しかし、この呪いを断ち切るのは相当に難しい――というよりリスクがあります。 行動自体はかんたんです。 結城さくなさんの場合、前世を堂々と明かして、その上で今は結城さくなとしてやっていきますと公言すればいいだけです。何なら前世をネタとして使う芸を模索するのもいいでしょう。 そうすれば、前世について堂々と公言しても良いという「新しいスタイル」を一つつくれます。これは VTuber 業界の多様性を広げます。結城さくなさん自身も「隠し続けるという重荷」を下ろせるので、純粋に楽でしょう。 問題は、行動自体はかんたんだが、大きなリスクが高確率でつきまとうところにあります。 文化とは宗教のようなもので、呪いを断ち切る行動をすると信者が敵に回ります。 仕事であれば、チームなど周辺範囲だけで済みますが、結城さくなさんの場合、影響範囲は非常に大きいです。VTuber 業界から干される可能性すらあると思います。 「禁忌(タブー)を犯す」と表現されることもありますが、くだらないことです。タブーは文化が自身を正当化するための屁理屈として使われることがよくあります。実にくだらないことです。 というわけで、現実的には、表向きは守らざるをえません。 一方で、裏ではもう少し融通を利かせられます。文化の信者も全員が盲目というわけではなく、リスクを抑えるために表向きは演じているだけだからです。 上司や先輩が、表向きは組織人として堅く振る舞うが、1on1や飲み会のときはもうちょっと率直にくだけるのと同じです。この点は上記記事でも述べたとおりです。 結城さくなさんの場合、今後同業者や関係者と付き合う中で、前世を明かして会話することは普通にあるでしょう。それでも、やはり表向きは明かさない(危なすぎて明かせない)でしょう。 ### それでも表舞台で断ち切るには? 革新(イノベーション)が必要です。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E9%9D%A9%E6%96%B0&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E9%9D%A9%E6%96%B0&context=note&mode=search) 具体的には、文化の信者から「頭のおかしい変人」にしか見えないような者が先駆者となって、新しいあり方を示すしかありません。 結城さくなさんを例にすると、 * 彼女自身が前世を公言するスタイルを始める * 別の有名な VTuber が、そのスタイルを始める * 新しい国内 VTuber 事務所がそのスタイルを採用する、かつ勢力を拡大する(事務所運営側に変人がいるはずです) などが考えられます。 ### 表舞台は無理にしても、個人として断ち切るには? すでに述べたとおり、まずは表舞台じゃない、裏の部分で、率直なやりとりをできる仲間を探しましょう。 そのためには信頼関係が必要です。 日本は[関係ベースの文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)ですので、一緒に過ごす時間を積み重ねます。当サイトでは[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)と呼んでいますが、これも文化ですので、断ち切ることはできないでしょう。 そうして仲間が出来たら、裏の部分で率直にやりとりできるので 、表舞台の建前の文化に毒されずに済みます。 **建前を必要に応じて演じられることと、建前を常に演じる信者と化しているのとでは全然違います** 。 ※否定しているわけではありません。そもそも文化とはそういうものですし、人もかんたんに染まります。 次に、可能なら、融通に立ち回れる地力を身につけたいところです。 当サイトでは様々な仕事術(仕事のやり方や考え方)を紹介しており、役に立ちます。手段を知らないとやりようがないので、知っておくという話です。 当サイトが絶対的に正しいと言いたいわけではありません。大事なのは、このような「やり方や考え方を見る」との視点に立つことです。 現代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)であり、信者になって盲目的に過ごすだけで済むほど単純な時代ではないと思います。だからこそ、このような立ち回りが必要と強く感じます。 # Title: スピードと品質だけではない 「SQFN」 仕事の能力や生産性として見られるのは、主に「スピード」と「品質」ですが、それだけではありません。 ## 4つあります これを **SQFN** と呼びます。 ### Speed(スピード) 早さと速さ。 まず早さですが、終了するまでの時間が早い方が良いのは言うまでもありません。 ※体験など時間を惜しむシチュは除きます 次に速さですが、行動や手を動かす速度が速いと、それだけ多く動ける・出せるので有利になります。 ### Quality(品質) 品質。 ここで品質とは、内側(仕事を行うサイド)から見た総合的な出来を指します。見やすさ、わかりやすさ、修正や改良のしやすさ、簡潔さ(無駄に複雑でないこと)、再現性、矛盾の無さや一貫性など。 品質が悪いと、拡張やメンテナンスがやりづらくなります。これは特に仕事を他者に渡すときに顕著に現れます。 ### Fit(適合) 適合。 適合とは外側(顧客や市場)から見た出来を指します。平たく言えば売れるかとか、儲けになるかとかいったことです。 いくらスピードと品質が良くても、適合しなければ意味がありません。逆に、スピードや品質が悪くても、適合しさえすればビジネスにはなります。 適合の良し悪しは、[頭の良さ(性能)](https://note.com/workhack20/n/n7a5f69f32f87)に左右されます。適合はコミュニケーションと同様、高度で感覚的なものなので、性能が低い人には難題です。 ### Novel(斬新) 斬新。 適合していなくても許容されることが稀にあります。斬新であるときです。 斬新であるものはイノベーションを起こします。あるいは、影響力を持つ人の目を引いて、一気に成功の階段を駆け上がれます。人類や業界や組織が直面する問題を解決することもあります。 斬新に再現性はありません。 ## SQFNが言いたいこと * スピードと品質だけではありません * 品質は内部と外部で分けましょう * SQFNでは内部をQ、外部をFとしています * 最も重要なのは適合であり、スピードと品質は二の次です * 斬新に再現性はありません ## 余談 ### プロとは適合が著しく強い者を指す いわゆるプロフェッショナルと呼ばれる人達は、適合が強い者を指します。成果が顧客や市場に受け入れられ続けて、それだけでご飯を食べられるほど適合の要領があるということです。 ですので、スピードや品質が高いとは限りません。 しかし、適合に値するアウトプットをつくるのはそもそも大変であるため、 **スピードはかなり要求されます** 。 スキルという形で表現されます。プロはスキルも高いことが多いです。あるいは、スキル面を別のプロに任せることもできますが、この場合も、コミュニケーションスキルは高いです。 **品質については、プロは通常求められません** 。品質が多少低くても何とかなってしまうからです。 品質が要求されるのは、複雑なものをチームでつくるときです。これはプロセスを整備すれば良いというものではなく、たとえるなら作家がつくった作品を、途中で別の作家に受け継ぐようなシチュです。 現代ではITエンジニアが直面します。ITに関する品質の学問(工学)は発展も著しく、すでに一生をかけても追いきれないほどの膨大な蓄積があります。 ### 斬新に再現性がない理由 斬新には再現性はありません。 天才と呼ばれる人達であっても、です。 なぜなら、いくら天才が斬新なものを安定的に出せても、それを受ける世の中が正しく受け取れるとは限らないためです。 **少なくとも受け手の問題で、再現性がありません** 。 たまに天才が出現して、出すものが何でももてはやされたりしますが、それは斬新ではなく適合の域です(あえて言うなら適合が天才的)。あるいは、権威化して半ば宗教と化しているかですね。 ## (関連記事) 品質というとQCDSを思い浮かべるかもしれません。 そのあたりの概念と、その先を整理した記事を書いています。 # Title: 仕事術は仕事学 当サイトでは「仕事術(仕事のやり方や考え方)」という言い方をしていますが、仕事学――つまりは学問として扱った方がいいのでは、と思うこともあります。 実際、仕事術には学問としての側面もあります。少し整理してみました。 ## 仕事術は新しい学問の形 学問として見る、ということで仕事術ではなく仕事学と呼ぶことにしましょう。 マトリックスで整理すると、以下のようになります。 ![](/assets/nc4493e2b4683_1730581373-NExmPFvOyJGRAg83aiDZ5BK9.png)哲学とも文学とも工学とも違う。 既存の学問とは異なるあり方です。 道具をつくるという実践寄りの顔を持ちながらも、科学には頼らず思考実験を重視します。しかし、文学で行う妄想や想像ほどファンタジーでもありません。 ## 行学(こうがく)と名付けよう 「仕事学」だと収まりが悪いので、「●学」と名付けたいです。 皆さんならどんな名前にしますか? ChatGPTと壁打ちしながら考えてみて、 **行学(こうがく)** を思いつきました。 ### 行学とは 行学とは、行動するための実践的な学問です。 仕事術には以下の性質があります。 * 真理の探求ではなく、行動による変化を重視する * 使う術(やり方や考え方)は、どれもそんなに難しくはない * 最適解は人それぞれなので、各自が好き勝手に取り入れればいい ですので、行学は、色んな人の色んな仕事術が玉石混交に混ざったあり方になると思います。 **従来の学問のように、唯一無二の理論が君臨する世界とは異なる** ものです。 ### 出荷 仕事術は、必要に応じて理論化・体系化できます。 これを出荷と呼びましょう。たとえば工学的に整備することもできますし、ビジネス書はまさにそうですが書籍の形で、無駄にストーリーや言い換えを盛り込んで文学的に仕上げてますよね。これらは工学への出荷、文学への出荷と言えます。 ### 思考実験が重要 取り組み方として、主に以下があると思います。 * 1: 科学的実験 * 2: 実践的検証(実物をつくって使ってもらって試す) * 仮説検証とも * 3: 妄想や想像 * 4: 思考実験 行学でも(行学含めどの学問でも)すべて使いますが、行学が重視するのは 4: の **思考実験** です。 科学的に厳密に実験するわけでもなければ、実物をつくって検証するわけでもありません。かといって自由なファンタジーを構築するほど現実や実践から離れもしません。 現実的な目線で考える、考えを重ねるということを重視します。なぜかというと、 **仕事術が本質的に個人的なものだからです** 。 行学では、この多様性を無理に潰そうとしません。各個人が自分ととことん向き合って、思考実験して、他者でも理解できるように・他者でも使えるように整えます。 そうしてできた「仕事術」が集まったものが、あるいは集まる場所そのものが行学なのです。 現状、最も近いものは知的生産だと思います。 > かんたんにいえば、知的生産というのは、頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがら――情報――を、ひとにわかるかたちで提出することなのだ。 梅棹忠夫『[知的生産の技術](https://www.amazon.co.jp/dp/4004150930)』 提出するものを「仕事のやり方や考え方」に絞ると、行学になるでしょう。 ## あなたの仕事術を、形に 行学は、従来とは違った学問のあり方です。個人の成果物も積極的に受け入れます。 あなたもぜひ、自分の仕事術を考えてみませんか。 当サイトでも様々な仕事術を紹介しています。既存の紹介もありますが、大部分は新しく言語化して整理したものです。 それでいいのです。そういう世界なのです。玉石混交の集まった世界で、好き勝手に漁って、遊んで、考えてみようではありませんか。 # Title: 今週の記事 2024/10/27 今週は 23 記事書きました。 当サイト開始から 7 週が経ちました。 [←前 2024/10/20](https://note.com/workhack20/n/n0d0be4699df8) [2024/11/03 次→](https://note.com/workhack20/n/n5a7fca44b79c) ## Just Do It ## 組織文化 ## 組織改善 ## コミュニケーション ## ティール組織 ## 新しい役割 ## マネジメント ## 人の性質(タイプ) ## 生産性のパラダイムシフト ## IT ## 転職・キャリア ## スタートライン # Title: 汚部屋のたとえ 汚部屋であること自体が問題なのではなく、汚部屋のせいで何らかの弊害が出ることこそが問題です。これを **汚部屋のたとえ** といいます。 ## 弊害を許容できるなら汚部屋でもいい Ans: 弊害を回避・軽減・許容できる強さがあるなら、別に汚部屋でもいい。 仮に部屋が汚部屋で、整理整頓のせの字もなかったとしても、必要なものを探せるか、都度入手できるか、誰かに頼んで何とかなるのであれば問題はありません。 本質的には、整頓(物理的・論理的に綺麗に整える)はできてなくても、整理(自分なりに把握)できていれば良いわけです。 何なら整理さえできていなくても構いません。その都度把握できる頭の良さや体力か、あるいは何とかできる伝手や経済力があるだけでもカバーできます。 ## 汚部屋は「頭の性能」があれば許容できる 汚部屋のままでも済むために必要なものは **頭の性能** です。 頭の性能とは「頭の良さ」を上手く説明するために、当サイトが使っている言葉です。 汚部屋でも済む例を以下に挙げますが、どれも頭の良さが必要だと分かるかと思います。 * 1: 記憶力が良くて物の位置を覚えている * 2: 仕事や趣味が忙しすぎて、部屋の汚さに構ってる余裕がない * 3: 他人に見せるものでもないので、汚部屋なんて気にする理由がない → スルーすることができる * 4: 基本的に出かける生活であり、自宅は寝床なので寝れさえすればいい 1: は記憶力でわかりやすいですね。 2: ~ 4: は少しわかりづらいですが、忙しくなるのも、理由がないからとスルーできる理性も、出かける生活を確立できてしまうのも、汚い部屋で上手く眠れるのも、全部頭が良いからこそできることです。 ### 性能が高い人は、綺麗にしなくていい そういうわけで、 **性能が高い人は汚部屋のままでも何とかなりますので無理に綺麗にする必要はない** のです。 ### 性能が低い人は、綺麗にしないと詰む 逆に、 **性能が低い人は、何とかなりませんので、綺麗にする努力が要ります** 。 上記の例で言えば、物の位置を覚える記憶力はありませんし、性能が低くて忙しい生活に溺れるのも無理でしょうし、理由がないからスルーできるほど割り切れませんし、寝るのも下手なので寝床環境はしっかりしてないと厳しい、など。 **性能の高さでゴリ押しできず、部屋の汚さというノイズや不便に負けてしまいます** ので、汚さそのものを何とかせざるをえないわけです。 何とかできない場合、負け続けてしまうので生活自体が詰んできます。極端なのが、ほとんど何もできなくなって衰弱していくうつ病です。うつ病は、何らかの原因で性能がほとんど出なくなった状態とも言えます。 ## 自分はどうなのか、で判断する 頭の性能は、自覚しづらいものです。 人によっても全然違います。 ですので、汚部屋でも生活できるかどうか、で推し量ってください。 # Title: 静かに退職する若者たちを動かす仕事術 書籍『静かに退職する若者たち』を読みました。同書では 1on1 の工夫やフィードバックの拡充により、打開しようとしていますが、根本が足らないと思います。 前提として、若者の方が進んでいます。その水準に合った働き方を用意できないと選ばれません。 本記事では、これを叶えるための仕事術(仕事のやり方や考え方)を紹介します。 ## 1: 知識、スキル、経験以外の融通も利かせる 知識、スキル、経験があればいいと思っている人は多いですが、そんなことはありません。むしろそれらは積めばどうとでもなるので些細です。 たとえば仕事には「複雑なインプット」がありますが、これは誰もが行えるものではありません。 組織への「適応」も同様です。 このあたりを理解せず、想定せず、「できて当たり前」と期待するのは見えていないにも程があります。 ## 2: 多様性を受け入れる ここで多様性とは典型的なものに限りません。 たとえば朝型と夜型も多様性です。 朝6:00から仕事したい人や、午後13:00から仕事したいという人に応えることはできますか? また近年では「一緒に進めていきたい」という潮流も目立っています。 それだけの時間を費やせますか?費やせる体制や能力はありますか?なければ鍛えていけますか? そもそも現代ではリモートも当たり前です。 出社派もリモート派もどちらも多様性であり、双方が共存できる働き方くらいはできねばなりません。できてないのは怠慢です。出社前提にしていませんか? ## 3: 価値観をアップデートする 価値観の変化は早いです。 アップデートできていないと「無い」存在とみなされて、心を開いてもらえなくなります。会社という居場所自体が、義務的な場所になってしまいます。 たとえば、ハラスメントのあり方も変わります。 殴るのがダメ、くらいはさすがにわかっていると思いますが、怒鳴るのもダメ、というのはわかっていますか? ハートのスタンプを使ってセクハラ騒ぎになったとか、句点(。)があると圧になる「マルハラ」などが話題になりましたが、これらを「なんでもハラスメントにしすぎだって……」で済ませていませんか? 若手が「いや別に気にしないですよ」と言っているのを鵜呑みにしていませんか? そもそも現代の若者は賢いので取り繕います。気を遣われていませんか? ## 4: 早期から戦力として扱う 目の肥えた若者はバリバリ働きたいと思っています。年功序列や「若者はこうするべき」のような固定観念に、そうですねと従う段階ではありません。 そのためには、新人の若者を早期から戦力として扱うことが重要です。もちろん、新人が貢献できるような働き方を開拓・サポートするのは私たちの仕事です。 当サイトではこれをラピッド・コントリビューションと名付けて、整理しています。 このようなことができますか? 今までのやり方を現行踏襲していませんか?固定観念を押し付けようとしていませんか? ## 5: 期待に応える 情報社会の昨今、「知ること」は当たり前です。 理由もわからずやらされるとか、納得がいかない言動や結果の理由がわからないといったことは到底許容されません。 ちゃんと知れるようにしていますか? [1on1](https://note.com/workhack20/n/n27ba929c949c)で率直に話したり、引き出したりしていますか。 [情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc)を推進して、いつでも誰でも自由に見れるようにしていますか。 [答えづらい質問をスルーしてはいませんか](https://note.com/workhack20/n/nf32bd0e66fbd)。 もちろん、すべてを完璧にこなすのは難しいですが、それでも努力はしていますか。泥臭くてもみっともなくてもいいので、そうしているのだという姿勢を見せていますか。 ## 勉強しよう、試そう 5つの観点から仕事術を紹介しましたが、共通することとで **そもそもやり方や考え方を知っていないとどうしようもないです。** 仕事術は重要です。 現代だからこそ、求められていると思います。 当サイトでは、様々な仕事術を紹介しておりますので、ぜひ読み漁ってみてください。 当サイトのものが絶対的に正しいとは言いません。そんな単純ではないです。 そうではなく、自分なりに仕事術を――仕事のやり方や考え方というものを意識して、融通を利かせてほしいのです。 そして、ありきたりですが、読んだり考えたりしたことは実際に試してください。行動に移さねば意味がありません。 読者の中には、行動に移せるだけの権限や裁量を持つ人も多いと思います。また、そうでなくとも、若者と対話する時間くらいはつくれるはずです。 若者は高い水準と肥えた目を持っていますが、 **必ずしも言語化できるとは限りません** 。この橋渡しを仕事術で行えます。こういうやり方や考え方があるんだよ、やってみたんだけど、どうかな、と示すことで、お互いに歩み寄っていけます。 # Title: ワークスタイル・ダイバーシティ(働き方の多様性) **働き方の多様性(WorkStyle Diversity)** とは、働き方にも多様性を認めようという考え方です。 以下 **WSD** と略します。 ## WSDのメリット **働きアリの法則を敗れる** ことです。 まず、この現象は普遍的なもので、 **単一の理(ことわり)** のもとでは、 > 順応できる者 : どっちつかずな者 : 順応できない者 = 2 : 6 : 2 くらいに分かれます。 3 : 4 : 3 や 1 : 8 : 1 でもいいです。順応の度合いをどこで敷くかが違うだけで、要は正規分布のようなあり方になります。 ![](/assets/n6a415cc990fa_1730711981-lpyKr1u5Qoet6jHMJIPinOqx.png)正規分布 **「働き方」も例外ではない** 、という、ただそれだけの話です。 この現象を破るのはかんたんで、理を増やすだけです。 たとえば二つの理があると、分布も二つできて、重なることになるので、あり方はもう少し複雑になります。2 : 6 : 2 のような単純化はできなくなります。 Aさんは、理1では下位2割かもしれませんが、理2では上位2割かもしれません。理1しかなかった世界では、Aさんは下位2割ですが、理1と理2がある世界では違うでしょう。 働き方に話を戻すと、理というのは「働き方」のことですね。 通常、「働き方」は単一しか存在しません。リモートだのフレックスだの色々言われており、ある程度融通は利かせられますが、文化的にはまだまだ単一であることも多いです。 理由としては、文化的に単一が好まれる(和を重んじる日本もそうですね)からだったり、経営者や管理者として管理がしやすいからだったりします。 **WSDにより、この「なぜか単一の働き方だけ使う」という縛りプレイから脱することができます** 。小難しく言えば、脱してもいいのだという新しいメンタルモデルを与えます。 ## 用語 ### ワークスタイル・ダイバーシティ WorkStyle Diversity、働き方の多様性。 WSDと略します。 ### ワークスタイル 一つの「働き方」を示す言葉です。 WSDでは、ワークスタイルをnつ共存させることを目指します。また、必要に応じて新しくつくったり、既存のものを修正したりといった視座にも立ちます。 ## ワークスタイルの観点例 よく知られているワークスタイルの「観点」を挙げ、各観点におけるワークスタイルを複数紹介します。 たとえば「出社」という観点では、ワークスタイルとして「出社」と「リモート」がありますよね。 本記事では、すでに定着しているワークスタイル(デフォルト)をと、デフォルト以外のワークスタイルを挙げることで、デフォルト以外もあるんだよという点をお伝えします。あるいは、デフォルトがn個存在することを言語化します。 また、デフォルトには★をつけます。 ### 同期性 * 同期的コミュニケーション★ * 非同期的コミュニケーション コミュニケーションはお互いがお互いを拘束(専有)――つまりは同期的に行うのが当たり前ですが、そうではない非同期的なあり方もよく知られています。 といっても、メールやチャットなどはすでに知られていますが、それでもデフォルトを置き換えるには至っていません。むしろ2024年現在では、出社に回帰する流れも増えているようです。 これは単に非同期的なやり方を知らないだけです。 **現代ではすでに技術と方法が出揃っており、デスクワーク程度であれば、フルリモートやフルフレックスくらい成立させられます** 。 やり方を知らないから、いつまでたっても原始的に出社し、対面して、同期的にコミュニケーションしているのです。 ※ちなみにリモートであってもリモート会議ばかりしているのは同じことです。 非同期については、当サイトでも重点的に解説しています。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%9C%9F&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%9C%9F&context=note&mode=search) ### 管理・計画 * 管理する、計画する★ * 自律する、探索する 仕事と言えば管理ありき、計画ありきを想像しがちですが、これもワークスタイルの一種でしかありません。 管理しないワークスタイルはあります。組織パラダイムとしてティール組織が知られています。 計画しないワークスタイルも色々とあります。 いわゆる「アジャイル」は、ビジネスでも応用され始めており、当サイトでも本質を整理しました。 計画無しで進めていく「エクスプロラトリ」もあります。 当サイトでは、このあたりのあり方を整理するためにマトリックスを組んだりもしています。 ### タスク * マルチタスク★ * シングルタスク 仕事は同時に色んなことを抱え込みがちです。マルチタスク的ですね。それゆえ要領が良くて器用な者が幅を利かせる世界になりがちです。これができない者は無能扱いされます。 一方で、タスクに関するワークスタイルはマルチタスクだけではありません。 すでにクリエイターなど、集中して深く取り組む世界では「一つの仕事に集中すること」は当たり前ですし、そのために必要な余裕や内省といったものも改めて注目されています。 当サイトでも取り上げています。 難しいのは、クリエイターのような世界であってもマルチタスクが幅を利かせがちであることです。 特にプロと呼ばれる人達は、その実力ゆえに、 **本来ならシングルタスク的にこなさなければ歯が立たないようなことであっても、マルチタスクの一環でささっと処理してしまいます** 。もちろん、それはプロだからであって、誰にでもできる芸当ではありません。 そして、そこを左右するファクターは知識やスキルではない(だけではない)のです。当サイトでは「性能」という言語化をしました。 マルチタスクが許されるのは高性能な人だけです。そうじゃない場合は、シングルタスクも重要です。 また、高性能な人であっても、シングルタスクを覚えれば、より良い成果を出せます。 ### 忙しさ * ビジーパラダイム ★ * スラックパラダイム これほど豊かになった現代でも依然として「忙しさ」が正義になっています。たとえばサラリーマンの場合、以下のようなことでさえ困難です。 * 月残業ゼロで済ませる * 毎日、業務時間中に、昼休憩とは別に2時間以上の空き時間をつくる * 2日後に終わらせて提出する仕事が半日で終わったので、残り1.5日は堂々と遊んだり勉強したり改善や新規事業を考えたりする この偏った世界観から脱するには、「余裕があってもいい」という新しいあり方を取り入れねばなりません。 当サイトでは前者をビジーパラダイム、後者をスラックパラダイムと呼んでおり、後者の啓蒙を重視しています。 スラック(Slack)とは余裕を意味する言葉です。 ### エンゲージメント * 対面を増やせば増える ★ * ファミリー * ビジョン * ミッション 従業員のエンゲージメントが増えれば、より会社にコミットしてくれて利益も上がる――というわけでエンゲージメント向上に取り組まれますが、大半は対面至上主義です。 対面を増やしてもエンゲージメントは増えません。以下記事でまとめていますが、 エンゲージメントを増やせるパターンはファミリーか、ミッションか、ビジョンのいずれかです。 対面機会はファミリーのやり方ですが、そもそも現代の会社組織においてファミリーを狙うこと自体が時代錯誤です(適していることもありますが稀です)。 ## WSDを実現する ワークスタイルを知ったことで、実際に共存できねば意味がありません。共存のポイントを整理します。 ### 橋渡しと歩み寄り 複数のワークスタイルを共存させるためのアプローチは2つです。 * 橋渡し * 歩み寄り **橋渡し** とは、あるスタイルW1の人達と別のスタイルW2の人達が直接絡むのではなく、間に仲介役を置いて連携するやり方です。 当サイトでは、限定的な文脈ですがアダプター戦略を紹介していたり、 イノベーションの文脈で出島戦略を紹介しています。 **歩み寄り** とは、W1の人達とW2の人達がお互いに「W1とW2の両方」をバランスよく取り入れるやり方です。 たとえば出社派とリモート派に対しては、ハイブリッドワークという解が知られていますよね。あるいは参加型の会議やイベントでは議事録、録画、その他資料を残しておいて、参加しなかった人があとで追えるようにします。 ### マイノリティ・デイ 橋渡しが可能ならそれで良いですが、正直限定的です。少なくとも専用の人材が要るという点でコストが高くつきます。 現実的には歩み寄りを主に使うことになると思います。 このとき押さえておきたいのが、 **デフォルトのワークスタイルに相当偏っていることが多いという実情** です。偏りを言語化・定量化するのは難しいのですが、端的な目安があります。 **マイノリティ・デイ** とは、デフォルトではないワークスタイルのみで一日過ごすことを指します。 たとえばコミュニケーションや議論の観点として「会議」がデフォルトのスタイルだとします(W1)。別のスタイルとして「会議しないスタイル」が考えられますよね(W2)。 WSDとしてW2が認められるかどうかは、「一切会議しない日」ができるかどうかが目安となります。できない場合、W1に偏っており、WSDがあるとは言えません。 当サイトではこれをミュートデイと呼んでいます。以下記事で取り上げました。 ※一日誰とも一言も喋らない、なのでさらに難易度が高いのですが…… マイノリティ・デイができたら、マイノリティ・ウィーク――つまりは一週間も試してみましょう。 **WSDとしては、一週間単位で当たり前に使える状態になれば、ひとまず及第点です** 。 ### 手段を知る そもそもワークスタイルを変えるという視座に立つのは難しいことです。 自身の固定観念を自覚して脱さないといけないですし、やり方や考え方を知らなければそもそもやりようがありません。 当サイトはまさに仕事術(仕事のやり方や考え方)を紹介しており、お役に立てると思いますので、ぜひ読み漁ってみてください。 ## メンタルモデルを知る 働き方に関する捉え方、もっと言えばメンタルモデルを変えないと難しそうだとわかってきました。これを言語化したものが以下記事になります。 # Title: エンジニア口調(備忘口調) 書き言葉の一種として **エンジニア口調** があります。 備忘(メモ)するときの口調とも似ているので備忘口調と呼んでもいいでしょう。 ## 例 ❌ * 書き言葉の一種としてエンジニア口調があります。備忘するときの口調とも似ているので備忘口調と呼んでもいいでしょう。 🔺 * 書き言葉の一種としてエンジニア口調がある。備忘するときの口調とも似ているので備忘口調とも呼べそう。 ⭕ * 書き言葉の一種としてエンジニア口調。備忘時の口調と似ているので備忘口調とも。 * エンジニア口調とは書き言葉の一種。要は備忘時の口調。備忘口調。 ## メリット 書くコミュニケーションがしやすくなることです。特に[コミュニケーション1.0のメンタルモデル](https://note.com/workhack20/n/nd70bc71f3450)をほぐせます。 他者に通じる、最も「手間の少ない書き方」は備忘的な口調ですので、まず純粋に楽です。 次に、感情よりも内容の記述にフォーカスしやすくなるため、書く内容や議論が建設的になります――というとわかりづらいですが、全員が「そういう口調」だとわかっていますし、口調として感情を載せづらくて淡々となりがちなので、下手な遠慮が要らなくなるのです。 ## エンジニア口調を身につける 3ステップです。 Step1: まずはひとりでメモとノートを取ります。 勉強でも日記でもタスク管理でも何でもいいので、取る習慣を組み込んでください。メモやノートを取る生活にすると、 **書く手間を抑えないと大変すぎて続かないので勝手に抑えるようになる** のですが、口調も変わります。自然と備忘口調になっていきます。 Step2: 複数人で使うノートツールを用意します。 チャットのようにメッセージをやりとりする系のツールだと、エンジニア口調は使いづらいです。 ノートやコメントなど、情報を残していくようなツールが望ましいでしょう。まずはこのようなツールを複数人が使っている、という状況をつくってください。 Step3: 他人の書き込みにツッコミを入れます。 欲しいのは「書くコミュニケーション」ですので、書いてやり取りをします。エンジニア口調でツッコミを書きましょう。 自ら率先することで、皆に「こういう備忘的な口調でもやりとりできるし、むしろしやすいよね」という点を知らしめます。 ## Q&A ### Q: 具体的にどのような口調にすればいいのか? Ans: 特徴をいくつか並べます * 敬語を使わない * である調でカッコよく書こうとしない * 情報を列挙するイメージ * 他人に丁寧に説明するというよりも、未来の自分が見てもわかりやすいように書く * 説明しすぎない * 読み手を舐めない・侮らない * 多少雑でもいい * テンプレはいちいち書かない * 前置きとか * すみませんとか、ありがとうございますとか * 断定しなくてもいい * ~と思う、~かも、たぶん~、など多用してもいい ### Q: エンジニア口調という名前の由来は? Ans: ITエンジニアがよく使う口調だから、ということで名付けました。 ITエンジニアは書くコミュニケーションが旺盛であり、初対面の相手にもこのような口調を使うことができます。お互いにそれがわかっているので、スムーズにコミュニケーションが進みます。 この現象を仕事術として整備したかったのです。「備忘口調」だとパンチが弱いし、ひとりでメモするニュアンスしか出ないため、エンジニア口調としてみました。 ## (関連記事) 書くコミュニケーションとしては、当サイトではトピック管理を紹介しています。 チャット以外のツールにピンと来ない方は、こちらを参照してください。 チャットはQWICのうちC(Chat)でしかなく、他にも(書き込む系の)コミュニケーションツールは色々とあるのです。 会議からアプローチするのも良いでしょう。 皆でカジュアルに書き込む「議事メモ」という手法があり、これはエンジニア口調の良い練習になります。 # Title: ワーク・ゲーミフィケーション ~仕事をガチでゲーム化する~ 現代を支えているものは IT とゲームだと思います。 ゲームは「素人から上級者まで夢中になって取り組める仕組み」とも言え、その強力さは、現代の盛り上がりを見れば明らかです。そもそもスポーツもゲームであり、長い歴史を持ちます。 このゲームの、ビジネスへの応用が進んでいます。ゲーミフィケーションと呼ばれますね。 本記事では、仕事のゲーミフィケーション――仕事をゲーム化するための仕事術をまとめます。 ## (考え方) 紹介に入る前に、考え方を軽くお伝えします。 ### WNGFを確保する **WNGF** とは面白いゲームに共通する4要素を指します。 * Winnable …… 勝てる * Novel …… 斬新である * Goal …… 明確なゴール(目標)がある * Feedback …… フィードバックが即座に来る WNFGを極端に確保したのがゲームだとも言えるわけです。私たちはゲームに夢中になりますが、それはWNGFが満たされているからだとも言えます。 であるならば、仕事への夢中も、仕事においてWNGFを確保すれば良いと言えそうです。 ### 特にフィードバックが重要 書籍『静かに退職する若者たち』では、若者が「成果や力量に対する定期的なフィードバック」を欲していることを示しています。 仕事においては、フィードバックが遅くなりがちです。 正解かどうかがわからなかったり、見てもらえるまで待ったり、見てもらうために調整やおうかがいを立てないといけなかったり、使える回数が限られていたりします。 一方、ゲームでは基本的に即座に、何回でもトライアンドエラーできますよね。 この差は非常に大きいです。 冒頭でゲームの他に IT も挙げましたが、 **IT がこれほど現代を席巻し、GAFAM なる巨人をもつくりあげたのは、IT がフィードバックが多い世界だからです** 。 プログラミングがまさにそうですが、つくったものを実行すればすぐに結果がわかります(あるいはそうなるようにつくることができます)。作り変えるのも、つくるのもかんたんです。コードを書くだけですからね。――というわけで、素早く何十何百何千何万と試行錯誤ができてしまうのです。 フィードバックの効率は正義です。高ければ高いほど良いです。たくさん試行できるからこそ見えてくるものがあります。 仕事は単純ではないので、W、N、G は設定しづらいですが、フィードバックは違います。フィードバックが高効率で来るようなやり方を考えれば良いからです。まさに仕事術の出番です。 ### というわけで「ワーク・ゲーミフィケーション」 本記事では「フィードバックの効率を高められるような仕事のやり方」を主に紹介していきます。 名前がないと不便なので、 **ワーク・ゲーミフィケーション(Work Gamification)** とでも名付けておきます。 本記事は、ワーク・ゲーミフィケーションの手法を紹介したリンク集だと言えます。 ## === ## Open Wide 組織内全員が自由にやりとりできる、といった形で「数の力」でフィードバックを増やすアプローチです。 数百人、数千人以上が集まる大きな組織に適しています。 ### FCFS(先着順フィードバック) * FCFSとはFirst Come, First Servedの略(先着順) * 依頼者は成功報酬つきの仕事依頼を出し、組織全員誰でも早い者勝ちで志願できます * 依頼者は先着順で志願者にアウトプットを求め、採用可否を判断して、採用した時点で終えます ### Wide Review * 依頼者は、レビューしてほしい成果物を、組織内全体に公開します(報酬つき) * 成果物には色んな人からのレビューが集まりますが、公開者はその中からどれをどれだけ採用するかを決めます * 報酬もその割合ベースで分配されます ### SiNS * Social intra-Networking Service * いわゆる社内SNSですが、必要な要件が色々とあります ### Rapid Q&A * 組織内全員を1つのチャンネルに集めて、そこでQ&Aをします * いわば全員が1つのタイムラインを見ている形であり、非常に流速が早くて盛り上がる場所となるので、数の力を期待できます ## Closed Dense 主に少人数・小集団内で、高密度なフィードバックが行えるような過ごし方を整備するアプローチです。 ### Party * ティール組織で採用されているモデルです * 組織は「自律的な小集団(パーティー)」から構成されています * パーティーは組織からの制約をほぼ受けずに、非常に融通の利いた立ち回りが可能です * 仕事へのフルコミットもしやすいです * メンバー全員が集中できるので、必要なフィードバックもその場でやりとりしやすいのです ### ペアワーク * ペアプログラミングを一般化したものです * 2人で組んで、一つのタスクに集中的に取り組みます ### モブワーク * モブプログラミングを一般化したものです * n人で、一つのタスクに集中的に取り組みます ## Open Governance 組織全体で使える共通言語・共通体系を定義し、仕事に関するコミュニケーションを統一的に行えるようにするアプローチです。 ### ランクド・バッジ * バッジという単位を用いた、新しい等級のあり方です * 現在の等級のあり方(ソリッドな等級)から来る構造的限界を越えて、より柔軟で公平な評価を実現できます # Title: FCFS(First Come, First Served) 本記事は、ワーク・ゲーミフィケーション(下記記事)の一手法です。 ## FCFSとは **FCFS** とは「報酬つきの軽い仕事」を組織内に公開し、先着順でアウトプットを受け付けるというやり方です。 ※FCFS は First Come, First Served の略で、先着順の意 ### 流れ 1: 依頼者が、仕事依頼を出す > 🐶っ [仕事依頼] 2: 志願者は、早いもの勝ちで志願する > [仕事依頼] ←🐈️ 🐅 🐂 🐴 3: 依頼者は、早く志願した人から順から評価する * 一人目: 🐈️ * 3-1: 志願者🐈️が、依頼に応えたアウトプットを出す * 3-2: 依頼者🐶は、アウトプットを見て採用可否を判断する * 採用する場合、ここで依頼は終了します * 報酬も志願者🐈️に支払われます * (指定期間中にアウトプットが来なかった場合も、二人目に行きます) * 二人目: 🐅 * … ### 報酬つきの軽い仕事とは * 軽い仕事とは、わかる人なら数時間以内で終われるような仕事 * 報酬つきとは、仕事依頼を出す時点で報酬も提示していること * 報酬とは、お金のこと つまり、軽い仕事に対するアウトプットを受け入れた時点で、 **報酬(事前に設定していた金額)が実際に動きます** 。 ### 依頼とアウトプットは全部見えます FCFS では、依頼やアウトプットの内容はすべて見えます。 つまり **組織内の全員に見えます。ですので、内密なやりとりはできません** 。内密なやり取りをしなくても済むような依頼やアウトプットを扱うことになります。 また、この透明性は、ゲーミフィケーションにも働きます。 FCFSでは志願は早いもの勝ちですが、 **最初に志願した人のアウトプットが受け入れられなかった場合、それも公開されます** 。以降の志願者は、それを参考にした上でアウトプットをつくれるので有利です。 もちろん、最初に志願した方が、最初に見てもらえるという意味で有利なのは言うまでもありません。 ### ※システムと制度は必要 FCFS(というよりワーク・ゲーミフィケーション)を行うためには、相応のシステムと制度が必要です。 本記事では扱いませんが、軽く整理しておきます。 以下が必要です: * 1: 組織内全員が依頼と志願を行うためのシステム * 2: 同上、1: を組織内全員が自由に使えるだけの制度と権限 * 3: 同上、1: で出す仕事依頼に乗せるお金を実際に扱う・動かすための制度と権限 * 4: 同上、3: により入手したお金の配分・計算方法 まず、最低でも 1: と 2: は必要です。 そもそも FCFS は Open Wide のカテゴリで、 **組織内全員という数の力に頼ることでフィードバックを増やす** ものです。組織内全員が自由に行動できねばなりません。 3: と 4: はお金の話なので、ある程度フローや管理は複雑になるでしょう。 3: については、典型的には所属組織(チームやプロジェクトや部門)単位で持っている予算を使います。各個人は所属組織から使用許可をもらいます。 あるいは各個人に財布を与えるという発想もあります。以下は社員ウォレットという考え方です。 4: についても、やはり仕事依頼に応えて入手したお金は、所属組織の稼ぎとして計上すると思います。 加えて、稼いだ金額を個人ごとに集計すれば、評価としても使えます。給料に反映するインセンティブにしても良いでしょう。 いずれにせよ、お金を動かすのが大変なら、ポイントやコインといった擬似的な通貨でも可能です。 ## メリデメ * ⭕メリット * 透明性と先着順により健全性があるため、公平性を確保でき、誰でも使いやすい → 問題解決や貢献の体験により、メンバーの満足度が上がる * 志願が早いと採用判断も先だが、否だと次にヒントを与えてしまう――というゲームバランスにより、競争が促進されて、アウトプットの質が上がる * ❌デメリット * アウトプットの可否を依頼者に判断され、その結果も見えてしまうためメンタルにくる * 恥ずかしさ、悔しさ、また否に倒すときの苦しさと倒されたときの苦しさ etc * 先着順であり、速さの世界であるため、雑に動けて暇な人ほど勝ちやすく、逆に丁寧な人や忙しい人は不利で、不公平感が生じる ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 仕事依頼に集まったアウトプットは、事前に全部覗ける? Ans: いいえ。 先着順で、一つずつしか覗けません。 たとえば🐨、🦍、🐪の順でアウトプットが来ている場合、 **あなたは🐨のアウトプットしか見れません。** 🐨のアウトプットを見て、採用するかどうかを決めます。採用した場合は、🦍や🐪のアウトプットは見えません。逆に、採用しなかった場合は、次は🦍のアウトプットだけが見えます。 ※すでに述べたとおり、🐨のアウトプットは公開されます。🦍や🐪は参考にできてしまいます。 別の言い方をすると、 **ターン制** です。 まずは🐨のターンであり、🐨だけがアウトプットを提出できます。 ### Q: 仕事依頼の期限(志願者一人あたり)はどのくらいが良い? Ans: 選択できるようにします。 例: * 10分 * 30分 * 1時間 * 3時間 * 1日 * 3日 期限が来ても採用がなかった場合、 **その仕事依頼は削除します。新陳代謝のためなので、残したままにはしないでください** 。同様の理由で「無期限」も許容してはなりません。 前提として、FCFS は Open Wide であり、数の力に頼るものですから、あまり長い期間はやめましょう。3日も正直長いと思います。最大でも1日で良いと思います。 それでアウトプットが来なかったら、再度依頼を出せば良いのです。その方が、利用者が FCFS のシステムを触る時間も長くなり、定着に繋がりやすくもなります。そもそもシステムを触ってもらうことも大事なので、こういう工夫は取り入れていきたいところです。SNSと同じです。 依頼に付与する報酬にグレードを持たせても良いでしょう。 たとえば30分以内なら報酬は1万円、それ以降は5000円に下げます、といったセールのような変化を加えると、よりゲーミフィケーションが促されます。 ### Q: 実名が良い?匿名が良い? Ans: どちらでも良いですが、システムとして統一してください。 つまり、必ず「全員実名」か「全員匿名」のいずれかになります。 なぜかというと、両方許容してしまうと実名が有利になってしまう(匿名は信用しづらくてアウトプットを無視されがちになる)ためです。 おすすめは匿名です。フィードバックに権威は必要ないですし、実名制だと依頼や志願に尻込みする人が多いからです。軽い仕事とそのアウトプットをやりとりさせればいいだけですから、匿名でハードルを下げてしまいましょう。 日本の文化([関係ベース](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c))では顔が見えない匿名への抵抗感は強いですが、慣れの問題です。匿名掲示板やHN名ベースのSNSなど、実名を使わないあり方はすでに日常と化しています。 ### Q: アウトプットとして何を受け付ける? Ans: テキスト + 画像で十分です。 パワーポイントレベルの資料を想定するよりは、その前段階の「情報」を提出できるようにしたいです。そうしないと、志願者側のハードルが高くなってしまって、FCFS が成立しません。 体裁やデザインといった部分に時間をかけているともったいないので、意識的に回避してください。欲しいのはあくまでも情報です。 **仕事依頼の画面上では、ファイルの提出をできないようにする(テキストを書く + 画像を貼り付けるだけにする)くらいしても良いと思います** 。あるいは、note のように、書きやすいエディターだとなお良いです。 複雑な図や表が必要な場合でも、それらをつくって画像にして、その画像を貼り付ければ済みます。 別の言い方をすると、 **アウトプットを含む一連のやりとりをシステム上で完結できるようにしてください** 。別ファイルをダウンロードして、は面倒くさすぎるので排除してください。 ### Q: 過去の依頼と類似した依頼を出しても良い? Ans: 良いです。 むしろ積極的に推奨してください。 重要なのは依頼者側が問題解決することですので、依頼者が「過去の依頼を調べるのだるいんで出します」「過去の依頼調べたらタダでわかるかもしれないけど、それでも出します」というのなら、それはそれでいいのです。 ありがちなのが、ナレマネの一環として「まずは過去の依頼を調べましょう」のようなルールを敷くことですが、不便なだけなのでやめてください。 # Title: ワーク・ゲーミフィケーションを実現するためのシステムや制度 本記事では、ワーク・ゲーミフィケーション(以下記事)を実現するために必要なシステムや制度を整理します。 ## Open Wideの場合 以下のとおりです。 * 1: システム * 組織内全員が自由に使えるシステム * 2: 制度と啓蒙 * システムを実際に自由に使うための制度や啓蒙 * 3: 経済 * システム上のやりとりをもって、お金(あるいは類するポイント)が実際に動くこと Open Wide がそもそも「組織内全員が誰でもいつでも誰とでもやりとりできる」という **数の力** に頼るものです。数が多いと、大体どんな問題についても、すぐにフィードバックも来るよねという話です。 ### システム で、これを実現するためには、まずは全員が誰でもいつでも使える **システム** が必須と言えます。数千、数万、それ以上の人数も想定していますが、これを支えるインフラのコストは甚大です。 このレベルのインフラは、大企業ほどの組織であっても通常は備えていません。メンバーの大半(たとえば過半数)が同時アクセスするような、高負荷な状況が想定されていないのです。実質的に[DXレベルの投資が必要](https://note.com/workhack20/n/n3f7ab4d17e36)となるでしょう。 ### 制度と啓蒙 次に、システムがあったところで、実際に使ってもらえるとは限りません。自発的に、自由に使ってもらうためには、実質的にトップレベルでお触れを出す必要があります。具体的には、以下の三点です。 * 1: ワーク・ゲーミフィケーション用のシステムが存在すること * 2: いつでも、誰でも、誰に許可を取ることもなく個人で好き勝手に使えること * 3: しかし何か起きたときの責任は、従来の組織構造を踏まえて対応すること 特に 2: と 3: を両方とも満たすのが難しいようです。 というのも、特に階層的な組織では、上司は部下の責任を負うことになるわけですが、2: のとおり部下に許可制を敷くことはできません。なのに、いざ部下が問題を起こしたら、自分が責任を取ることになるわけです。 **これは許容してもらわねばなりません** 。 許容できない場合は、部下自身に責任を負ってもらう組織パラダイムを敷くことになりますが、そんな大改革は無理でしょう。組織パラダイムは変えられないが、ワーク・ゲーミフィケーションはしたい(2: は確保したい)――ならば、3: も受け入れるしかないのです。 必要なら会社の制度として正式に敷くレベルで整えてください。 ### 経済 最後に **経済** です。 ワーク・ゲーミフィケーションを仕事のゲーム化であり、実際に仕事と呼べるレベルのやりとり――つまりは金銭のやり取りが発生します。 ポイントは以下四点です。 * 1: 実際にどれくらいのお金を使うかは、所属組織側で制御する * チーム、プロジェクト、部門など * 2: **仕事のやりとり自体は各個人で行えるように** する * 3: やりとりを経て手に入れたお金は、 **本人の功績として記録** する * 4: 手に入れたお金を実際どのように扱うかは、所属組織側または会社側で制御する お金なので組織的にちゃんと管理するのは当然ですが、やりとりの裁量と、その結果として得た成果はちゃんと個人レベルで確保してください、ということです。 このインセンティブがないと、そもそもワーク・ゲーミフィケーションが盛り上がりません。たとえ給料やキャリアにダイレクトに反映できなかったとしても、データとして見える化されていれば、内発的なインセンティブになります。 ※もちろん給料やキャリアといった外発的なインセンティブもあった方が良いことは言うまでもありません。ここは Medium や KDP のビジネスモデル(各人が持つスコアを比率として分配金全体を分配する)が使えるでしょう。 ## Closed Denseの場合 TBD… ## ## Open Governanceの場合 TBD… # Title: 社員を顧客とみなす潮流 顧客というと通常は社外を指しますが、社員(社内)に対してもそのように扱う潮流が見られます。 親しき仲にも礼儀あり、ではなく、ビジネスライクな関係でもない、第三の関係と言えるでしょう。顧客として扱うからこそ、選ばれる関係となって仕事も上手くいきやすくなります。 本記事では、このような潮流の例を整理します。 ## Platform Engineering ITの話ですが、開発者は高度なIT環境を使っています。Teams のようなツールではなく、書いたプログラムを動作させる・管理するための基盤(プラットフォーム)です。 開発者は言わば **IT備品をたくさん使っている** と言えます。各個人で好き勝手に調達・整備しているときりがありませんから、通常の備品がそうであるように、会社として一律で管理してますよね。 ですが、一律管理だと融通が利かず、あまり役に立ちません。結局、開発者は自分たちで独自に整備することになります。 このような流れを変えるのが **Platform Engineering** です。 開発者のためのIT備品をちゃんと整備しよう、という考え方です。専用の部門やチームで統括する点は変わらないのですが、開発者をお客様と見立てて、本当に彼らの役に立つような整備を心がけていきます。 IT備品は、ただの備品であり、適当にやればいい、ではないのです。開発者達が常用しているものだからこそ、全社的にガチで取り組み、かつ寄り添っていくべき――そう考えます。 参考: * * * (日が浅くて、マニアックな解説しかないのでわかりづらいと思います) ## デファクト・クライアント 新規事業において、なぜか上司が審査や承認を担当することがあります。 新規事業は顧客(あるいはその候補)の検証が大事であり、顧客でない者の意見はどうでもいいか、せいぜい参考程度にしかならないはずです。なのに、なぜか立ちはだかってくるのです。 これを当サイトでは **デファクト・クライアント** と呼んでいます。デファクト(事実上の)お客様、というわけですね。 デファクト・クライアントは不毛なので、やめるべきですが、文化的・あるいは上司側のプライド的に、そうもいかないことが多いです。 この場合、実際にお客様のつもりで対応してしまうのが、なんだかんだ早かったりします。結局そこを越えないと始まらないので、お客様のつもりで対応してさっさと越えてしまいます。 ## BtoA BtoC や BtoB の亜種として、 **BtoA** を提唱します。 BtoA の A は **Association** であり、 **同社や関連会社** を指します。 企業は社外の顧客を相手にビジネスをします。相手も企業だと toB、相手が消費者だと toC ですよね。 しかし、そうではなく、同じ社内の部門だったり、関連会社(親会社や子会社や兄弟会社)の部門を相手にすることも多いはずです。ここの結果が仕事に直接通じることも多いと思います。 であるならば、いっそのこと、 **Association もお客様扱いすれば良いのです** 。そうすれば彼らが持つ仕事や予算を分けてもらえます。 一見するとゼロサムゲームで不毛に見えますが、ゼロサムであっても関係性をつくれれば今後に生きますし、お互いが toB や toC の顧客を持っているはずで、でも自分達だけだと上手く仕事にできないところを、Association に頼ることで仕事にできるわけです――この場合はゼロサムではないですよね。 また、BtoA により、働き方を助けるといった視座にも立ちやすくなります。上述した Platform Engineering の、一般化バージョンですね。 先日、当サイトではワーク・ゲーミフィケーションをお伝えしましたが、これも BtoA の一種と言えるでしょう。 要は社員間で自由に仕事のマッチング(実際にお金もうごく)を行えるようにします。 ## 経営者「社員はお客様」 ソースは失念しましたが、社員をお客様と扱う経営者もいると聞きます。 経営者だから偉いんだ的に傲慢になると当然社員はついてきませんし、勝手に「うちの社員はこうあるべき」「あなたにはこうなってほしい」的な期待を抱いても裏切られます。 ですので、いっそのことお客様と考えて「自分が合わせていくようにしよう」と考えるわけです。それが結局社員に寄り添った組織づくりにもつながって、会社自体も強くなっていきます。 # Title: ゲーム不適合者 社会不適合者と似たものとして「ゲーム不適合者」があります。 ## 社会不適合者とゲーム不適合者 ### 社会不適合者 社会が想定している常識やルールに馴染めない者。 例: * 夜型の人 * 時間や約束を守れない人 * 人に合わせられない人 * うつ病などで動けない人 * 犯罪を行うのが当たり前の人(イリーガル) イリーガルを除けば、社会不適合者とは単に「特定のノリに合わなかった」だけにすぎません。極端な話、戦国時代では「人を殺せない人」も社会不適合者になるでしょう。 ですが、社会として、マジョリティとして存在するノリは広範囲なので、「従わずに生きていきます」はしづらいです。ともすると、そのような発想すら持てません。合わないノリに居続けるしかなく、不適合者の烙印をおされます。 ### ゲーム不適合者 ゲーミーな状況に適応できない者。 例: * 勉強で偏差値50以上を取ることができない * FPSや将棋など知識や手順の多いゲームが苦手 * 自分(または行動の結果)がどう見えていて、正解とどれだけズレているか――といったことを考えるのが苦手、またはそういうメンタルモデルがない **ゲーミー(Gamy)** とは、何をすれば正解なのが判明しており、そのための努力や研鑽や擦り寄りがものをいうあり方を指します。 ゲーミーに適応できるかどうかは[頭の性能](https://note.com/workhack20/n/n7a5f69f32f87)次第です。性能が高いと適応できますが、低いと適応できません。やろうとしても性能が足らなくてできないか、割に合わなくて挫けるか、続いたとしてもどこかで伸び悩みます。 ## 社会とゲームのマトリックス マトリックスで整理しました。 ![](/assets/n9136c1c11311_1730849147-xJvFZLoCM0cnDiR8mkqyArN9.png)社会とゲームの適合マトリックス。 以降では各パターンの概要と立ち回りを端的にお伝えします。 ### 1 健常者 社会にもゲームにも適合できる者。 最強ですしチートです。その気になれば何にでもなれますし、何でもできます。 何でもできるがゆえに器用貧乏になりがちです。また、「できてしまう」ので何でも受け入れがちで、多忙にもなりがちです。さらに、忙しく過ごせるので、立ち止まって考える・自分の醜さと向き合うといったことも中々しません――というわけで、文化に毒されたり、何らかの信者になりやすい層でもあります。 最強ゆえに子細にこだわる必要がないし、立ち止まる必要もないので偏りやすいわけです。 **搾取されないように気をつけましょう** 。 そのためには、色んなやり方や考え方を知識や事例として知っておくことと、そこも含めて考え事や見つめ直しをするための余裕をつくることが重要です。 当サイトでも色んな仕事術(仕事のやり方や考え方)を紹介しているので、ぜひ読み漁ってみてください。 ### 2 ゲーマー 社会不適合者だが、ゲームには適合できる者。 意外と問題になりません。社会の枠組みにとらわれないやり方や場所で、何らかのゲームで結果を出せばいいだけだからです。 とはいえ、サラリーマンは厳しいでしょう。サラリーマンはゲームに勝つというよりも、組織だった秩序を最優先しているからです。 ※会社によります。また会社内でも部門やチームやプロジェクトによっても違います。が、社会的な適合を重視している方が圧倒的に多いです。たとえば「[自分は夜型](https://note.com/workhack20/n/n7b5a906abe89)なので 12:00 からの出社にしたいです」すら通じません。 当サイトは社会(とそれに則った組織)の融通の利かなさを危惧して、色んな仕事術を紹介しているわけですが、長い道のりです。 ゲーマーの方は、社会的なとらわれのある場所からはさっさと去って、純粋にゲーミーに勝負できる場所に行った方が良いでしょう。特に現代はインターネットやSNSがありますから、門戸は広いと言えます。 また、ゲームで勝つためには勉強量と練習量と人脈が物を言いますから、つべこべ言わずに費やしましょう。努力量がものをいう世界です。 ### 3 ロボット 社会には適合しているが、ゲーム適合者である者。 一見すると真面目で従順で好印象ですが、ゲームには弱いので、不器用だったり要領が悪かったりフットワークが遅かったりといった形で無能感が出ます。真面目にやっていても想定の効率が出ないので、無能扱いされます。 このような人達もゲーマーと同じです。「夜型だから朝が壊滅的に苦手なだけなんだよ」と同様、「ゲーミーが苦手だからそんな手順や知識や瞬発的な対応を求められてもできないよ」にすぎません。 ロボットが向いているのは、ルーチンワークなど定型的な仕事です。このような仕事で、高給を取れるものは(大企業などで上手くありつけなければ)少ないので、生活水準は落ちがちになります。 黙っていると健常者やゲーマーの水準に巻き込まれてしまう&ついていけないので、意識的に距離を置いて、ロボットなりの慎ましい生活で済むよう自らを御していくのがおすすめです。 ### 4 落ちこぼれ 社会不適合者、かつゲーム不適合者。 残念ながら人生はハードモードとなります。おそらく何らかの障害がつく可能性も高いと思います。健常者はもちろん、ゲーマーからも、ロボットからも理解されない、孤独な存在です。 戦略としては、3つあります。 * 1: 庇護に頼る * 親、社会福祉制度、自助コミュニティなど * 公的な証明が無いと、ただの怠け者扱いされるので、証明を手に入れた方が良いです * 発達障害などの診断書、障害者手帳など * 親元の場合は、無償の愛に甘えられます * 2: ゲーマーとしてスキマで生きていく * フリーランスにも多いですが、強いゲーマー達が参入していないスキマはたくさんあります * 人並みに稼げるとは限りませんが、そういったスキマで食べていく仕事を自分なりにやっていきます * 運が良ければ問題なく食えるほどになれます * そこまで至らなくても、身につけたスキルや経験は人生を広げます * 3: 天才として見出されるのを待つ * 社会にもゲームにもとらわれない、というのは一種の才能です * だからこそ全く新しい何かを生み出せる可能性があります * 再現性は無いので、日々活動し続けること、アウトプットし続けること、それをアピールし続けることを繰り返すしかありません * 肥えた現代で何らかの「新しき」を生み出すのは難しいです。一生かかっても何も生み出せなかった、もありえます 3つとも手を出しつつ、良さそうな戦略への比重を重くしていくのが良いでしょう。 # Title: フリー仕事術 **フリー仕事術** とは、自分の自由な発想から始めるという仕事術です。発想法を仕事術全般にまで一般化したものとも言えます。 ## メリット ### 瞬発的な世界に抗える 現代は多忙主義、あるいは **瞬発主義** とも言うべきあり方がはびこっているとい思います。その場で上手いことを言えた奴が勝ち、みたいな風潮がありますよね。 このようなあり方は[頭の良さ(頭の性能)](https://note.com/workhack20/n/n7a5f69f32f87)が良くないと務まりません。知識やスキルがあれば良いというものではなく、向いてない人はスタートラインにも立てないか、立てても苦しい日々が続きます。 フリー仕事術は瞬発主義の対抗手段になります。 「考えるよりも行動しろ」「走りながら考えろ」は彼らの言い分ですが、それは高性能な人達だからこそできることです。正直言ってチートです。 **考えることも行動です** 。彼らはチートすぎて、当たり前に素早くできているため自覚がないだけです。 **高性能じゃない場合は、そのスピードを少し落として、腰を据えてじっくりやるしかありません** 。フリー仕事術は「それでいい」「それでもいけるのだ」と示します。 ### [QoW](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577)が上がる フリー仕事術では自分の思考を出し切るため、 **納得感が高くなります** 。「出し切ったから後悔はない」と胸を張って言えるようになります。 別の言い方をすると、消化不良感を最小化できます。生活の質(QoL)ならぬ [仕事の質(QoW)](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577)が高まります。 実際に、自分が出した思考のすべてを反映できるかというと、できないのですが、それでも「思考レベルでは出した」のと「それさえもなく悶々としている」のとでは全然違うわけです。 ### 生産性も上がる 明らかにやることが決まってる場面を **ゲーミー・シチュエーション** と呼ばせてください。ゲームっぽい場面という意味です。このような場面では、正しいやり方を早くやれるかどうかがすべてです。 しかし、 **ゲーミーではない場面も多いです** 。 ゲーミーしか脳がないと、この場合でも、やたらすぐ行動したり、逆に計画や目標を立てて管理したりしがちですが、上手くいきません。迷走するか、逆に管理のための仕事をする的な本末転倒に陥るだけです。 かといって偉い人や本などの正論は使えないでしょう。一蹴するはずです。正論が通じないのは、私たちには事情や感情があるためです。 結局、ベストなのは、一度腰を据えてじっくり考えてみることです。その上で、自分なりにベストを尽くす選択と行動を行うことです。 **フリー仕事術ならこれができます** 、 **というよりまさにこれをやります** 。 迷走も、管理への本末転倒も、正論の一蹴も、すべて防いで着実に進めます。ウサギとカメでいうカメのようなものです。最初は遅いですが、トータルで見ると早く遠く進めます。 ## フリー仕事術の中身 フリー仕事術では「考え方」と「やり方のセット」を提供した上で、 * 1: 好きな「やり方」を使って or 必要なら自分でつくって、 * 2: 「考え方」も踏まえながら、 * 3: 思考を進めていって、行動につなげていってね とします。 ## 典型的な流れ フリー仕事術に共通する流れを整理します。 **4Dフロー** と呼びます。 ![](/assets/nd06f10b86a95_1730870126-aXthgv4GF2ZpSWokzYnPc1BT.png)4Dフロー。 ### 1: Diverge(広げる) * 思いつきを出す * 今見えてる文脈や情報を挙げる * 質よりも量 ### 2: Detailize(詰める) * 似たものをまとめる * 細部や詳細を肉付けする * 具体から抽象を導き、抽象から具体を導く(行き来する) ### 3: Define(定める) * どの辺をやっていきたいか・やるべきか、あたりをつける * やらないことを定める ### 4: Decide(決める) * 定めたことについて、この後具体的にどうするかを決める * タスク化、スケジュール化、予定化する * 実際にボールを投げる、申し込む、着手する * (やらないと決めたことを)実際に捨てる etc ※決めただけでは何も起きないので、実際に何らかの仕掛けや初期行動といった「行動」をもって「決めた」とみなします。 以降からは「考え方」と「やり方」を紹介していきます。 ## 原則 * [発散と収束と蒸留](https://note.com/workhack20/n/nbc2c71a1a524) * ※随時更新予定 ## フレームワーク * [発想時に使う手法](https://note.com/workhack20/n/n6ed7362fb839) * System, Method, Framework, Formatで整理しています * [ABCD仕事術](https://note.com/workhack20/n/n9a59e1b4b3e9) * [スプレディケーション](https://note.com/workhack20/n/n4640123ef341) * ※随時更新予定 ## ツール フリー仕事術として使えるツールは4種類あります。 ### 1: メモ系 例: X(Twitter)の鍵垢でつぶやく、手帳やメモアプリでメモする、ボイスメモで録音する 軽く書き込める場所に書き込みながら考えていく形になります。あまり複雑な情報は扱えませんが、書き込みやすいので、ツールに詳しくない人でも使いやすいです。 前提として、自分の言葉で残す必要があります。また、あとで読み返す(聞き返す)必要もあります。 ### 2: ノート系 例: 日記アプリ全般、ブログ全般、テキストファイル全般、OneNoteやEverNoteのようなノートアプリ、ObsidianやCosense(Scrapbox)のようなノートアプリ ノート系は以下の2種類があります。 * 古典的なもの * 日記的な長文を書き込めるもので、昔から存在します * 現代的なもの * ObsidianやCosenseなどが該当しますが、ノートとノートを寝リンクでつないで、ノート全体でネットワーク構造をつくっていくものです 古典的なものは情緒(感情や出来事といったもの)も含めてしっかりと扱うのに優れています。しかし、あとで読み返すのが大変で、書くときは楽しいですが、書いたものを見ながら詰める以降がしんどいです。 現代的なものは情報を端的に扱うのに優れています。たとえばCosenseでは箇条書きで書くことを推奨するほどの味気なさです。情緒よりも情報を端的に並べよ、とでも言わんばかりです。ネットワーク構造(脳の記憶と同じ構造です)を保ちながら膨らませていけるので、詰める以降のステップもやりやすいです。反面、使い方が特殊で、訓練を要します。 ※そもそも現代的なノートは、古典的なノート(ただ文章を書くだけ)ではカバーできなかった高度な整理や知的生産を行うために開発されたものですので、古典的なノートよりは純粋に難しいです。 ### 3: 無限キャンバス系 例: Miro、その他ホワイトボードアプリ 付箋を二次元空間上に貼り付ける形のツールです。特にデジタルだと空間やボードを無限に使えるため、無限キャンバスと呼ばれます。 発想法としては、この手のツールを思い浮かべると思います。実際、広げるのはもちろん、詰めたり定めたりするにも優れており、2: の現代的なノートが使えないなら、まずはこれをおすすめしたいくらいです。 しかしクセも強いです。付箋という単位を並べることになるので、長文はおろか文章も書けませんし、空間的な配置や色合いも無限にこだわれるので「見た目を綺麗にする作業に脱線する」なんてこともよく起こります。 一方で、自分が上手くフリー仕事術を進めるためには、自分のテンションを上げることも大事ですから、見た目へのこだわりは案外重要だったりします。重要なのはバランスです――と、こんな感じで、一筋縄にはいきません。 正直言えば慣れの問題ですが、慣れるまでは苦労するでしょう。 ### 4: 収集系 例: あとで読む系全般、Slack や X(Twitter) のいいねなどブックマーク機能全般、ファイルをストレージに保存したり保存したファイルを漁ったりする営み 1情報 1オブジェクトで残していく感じのツールです。メモ、ノート、無限キャンバスとは違って、自分の言葉で書くというよりも、記事やポストやファイルといった「まとまった情報」をそのまま保存するイメージです。 また、X(Twitter)を使う場合でも、自分でつぶやくのではなく、リツイートやいいねなどで他者のポストを溜める使い方をする場合は、1: のメモ系ではなくこちらの収集系と言えます。 紹介しておいて何ですが、 **フリー仕事術としては収集系ツールは推奨しません** 。情報を貯めておいて必要に応じて取り出すくらいなら良いですが、フリー仕事術として広げたり詰めたり……をするメインのツールとして使うのは不適切です。 理由は単純で、フリー仕事術では自分の言葉で言語化して整理することが絶対に必要だからです。 それをしない、あるいは不要だと考えるなら、あなたは冒頭で述べた瞬発主義の住人でしょう。フリー仕事術はやめて、ゲーミー・シチュエーションに身を置いた方が良いと思います。 また、 **情報管理ツールとして使う場合も、頼りすぎないようにしてください。頼れるのは最初の広げる段階までです** 。詰める段階以降では、あなた自身の考えをフルに発揮して、あなたを主語にして進めていくべきです。 あなたの考えも踏まえた上でじっくり煮詰めるのがフリー仕事術ですので、あなたの意思は反映させねばなりませんし、この反映を沿いではいけません。 外から集めてきた、キラキラした情報はやたら使いたくなりますし、自分の考えなど取るに足らなくて馬鹿らしくなりますが、それでもです。フリー仕事術ではあなた自身がどうしたいのかが大事です。それを決めるために、わざわざ広げて詰めて定めて、としていくわけです。 このカメ的なやり方が、瞬発主義的なウサギに対抗できる唯一の手段なのです。 ## あると便利なもの その他、知っておくと便利な仕事術(仕事のやり方や考え方)を雑多に紹介します。 ※随時更新予定 ソロワーク。 フリー仕事術はひとりで行うものです。ひとりでないと集中できません。深く思考しますし、他人に見せることを想定していない思考の断片も書きますから、絶対に他者を許してはなりません。他者が絶対に干渉してこない、という安心感があるからこそ集中できます。 ですが、このようなやり方は(チームワークばかりに傾注した現代的な価値観では)馴染みが薄いので、ソロワークとして改めて言語化しています。 コミュニケーション2.0。 ひとりでの集中を要するフリー仕事術では、対面で口頭で会議をするといった「拘束が強いやり方」とは相性が悪いです。 切り替えに時間がかかりますし、せっかくフリー仕事術で練り上げた「本質的に複雑なあれこれ」は、口頭では伝えきれない事が多いからです(伝える用にシンプルにしたとしても)。そもそも特定の相手に通じるとは限らないので、なるべくオープンにして、色んな人に見てもらう・フィードバックをもらった方が建設的です。 ですので、原始的な対面口頭を越えて、情報を残す・それを各自が各自のペースで読み書きする、といった仕事のスタイルにシフトした方が都合が良いのです。 これを非同期コミュニケーションと呼びますが、これを阻む最大のハードルが「メンタルモデル」であり、1.0 と名付けています。アップデートして 2.0 的なメンタルモデルにしないと、スタートラインにも立てません――との言語化をしたのが、以下の記事です。 フリー仕事術はクリエイターと言ってもいいくらいに、創造的で知的で高度な営みですので、まとまった時間が必要です。 しかし、管理職やマネージャーなどは全く別で、細切れの時間で動く生き物ですので、まとまった時間に割り込まれがちです。 このことを自覚して(してもらって)、まとまった時間を死守しなければなりません。 # Title: 発散と収束と蒸留 アイデアや構想を練るために発想法や専用ツールを使いますが、その本質は 3 つで、 **発散と収束と蒸留** です。 ## 発散 情報や思いつきを並べます。 ### 質よりも量 ポイントは質よりも量であり、並べたことを眺めて、さらに思いついたこともどんどん足していきます。 仮に付箋で行う場合は、(個人でも)数百枚くらい行くことは当たり前です。ここまで届かない場合、かける時間が短すぎるか、頭の中のことを外に出す要領がないか、単にテーマに関する前提知識や思いが薄すぎるかのいずれかと思われます。 **数百枚くらいは当たり前** 、は一つの目安になります。 ### 頭の外に出す 頭の中に留めることは許しません。 とにかく外に出して並べます。頭の中だけで浮かべるのではなく、並べたものを見て思い出す・思いつくようにしたいのです。 というのも、頭の中だけでは限界があるからです。発想法はすべてを外に出して、隙なく整理して、そこから本質を導こうとします。よほどの天才でもなければ、頭の中だけではできません。外に出したものを膨らませていく、という「お世話」「育成」の営みが必要なのです。 ### 出し切る 可能なら「たぶん全部並べた」「もう頭の中は空っぽだ」と言えるくらいまでやりたいところです。 というのも、出しきらないと消化不良感が出て納得できなくなるからです。逆に、出し切ることができたら、結果がどうであれ「出し切ったから」と胸を張れます。出し切った時点で成功なのです。 この成功体験は重要です。発想法は非常に疲れる営みで、中々続かないので、やる気が高まる現象にはすがりたいですし、逆にやる気が下がることは潰していかねばなりません。 ## 収束 発散した情報を整理します。 ### 個人なら並行する、集団なら別々に 個人で行う場合、発散しながら行っていくことができます。というより、発散ばかりしていると収拾がつかなくなりますし、整理しながらやるからこそ、さらに発散もしやすくなるので、 **基本的に収束も並行して行うべきです** 。 しかし、集団で行う場合は、誰かが収束を行うと、他人にはわからない or 納得できないといったことが起きます。ですので、集団時は、まず発散だけを行い、その後で収束を行います。収束時は合意を取りながら整理するか、代表者に任せて整理したものを皆でチェックするのが良いでしょう。 ### 整理の仕方 様々です。付箋で行っているとして、例を挙げます: * 似た付箋を寄せる * 関係を書き込む * 例: 「この辺を実現するためにこのあたりが必要、という構図がある」 * 矢印を引いたり、この辺とこのあたりを近くに寄せて補足の付箋をつけたり、 * 寄せた付箋にタイトルをつける * 単語や短文で書く * サマリーを文章で書く(大きめの付箋が必要) ### 整理のスタンス これも分かれます。 * 一貫とした全体像やストーリーになるように仕上げる * 単に「こういう発想や性質がある」というグループがn個並んでる、くらいの意識(無理に仕上げない) * 一握りの本質を絞り出したいだけなので、俯瞰するための整理はしない * 文章でしっかり表現する vs 単語で雑に捉える * 配置や色合いで視覚的にも表現する vs しない etc ## 蒸留 発散と収束の中で、「これだ!」という本質を導くことを **蒸留** と呼びます。 ### 発想法の目的は蒸留 そもそも発想法の目的は蒸留です。 頭の中だけでは難しいから、わざわざ発散と収束を使います。逆を言えば、頭の中だけで蒸留ができるのなら不要です。 ### 蒸留の賛否両論 賛成派: * 通常まず出会えることのない本質と出会えるからこそ、蒸留には価値がある。人生や仕事に強い影響を与えることができる * 世の中には二種類の人間がいる。蒸留を行える深い人間と、蒸留のできない浅い人間だ。 反対派: * たかが自分ごときの深い思考に何の意味がある?そんなことする暇があったら、さっさと行動して仮説を検証しろ、期待に応えて実績と信頼を積み上げろ * 学者やクリエイターでもない大多数の人間には無用。そんなことしなくても普通に生きていける ### 蒸留以外の目的 発想法には蒸留以外の目的が設定・想定されることがあります。 * 全体像やストーリーをつくりたい * 要約したい * 出したすべてを漏れなく使った「まとめ」をつくりたい * 色んな考えがあることを眺めて、学びとしたい etc ## (関連記事) 発想法には仕事全般でも使える力があると思います。 というわけで、仕事術として仕上げてみました。自由な発想を基点とする、というわけでフリー仕事術と名付けています。 # Title: 発想時に使う手法 発想法というと手法を思い浮かべますが、手法と呼べるものから小さな手段まで、色々あります。とっ散らかっているので、SMFF(System, Method, Framework, Format)で整理しました。 注意: * 発想法の本質については、[発散と収束と蒸留](https://note.com/workhack20/n/nbc2c71a1a524)の記事を見てください * 各手段の細かい話はしませんので、各自調べてください ## システム(体系) * KJ法 * ブレインストーミング 発散、収束、場合によっては蒸留までを一通りサポートした「体系」レベルの手段です。 特にブレストが顕著ですが、オリジナルの体系からかけ離れた「シンプルな別物」が使われていることも多いです。 ## メソッド(出力) * フリーライティング * GTD 頭の中にあるものを外に出す、特に言語化して出すことにフォーカスした手段です。 フリーライティングのように具体的な指示(とにかく止まらず書き続ける)を伴うものあれば、GTD のように伴わない(ワークフローの一環として「外に出せ」という考え方のみ扱う)ものもあります。 ## フレームワーク(観点) * SCAMPER * オズボーンのチェックリスト 発散時のヒントとして使える「観点の集まり」です。 ## フォーマット(形式) * マインドマップ * マンダラート 情報の書き方、描き方、並べ方といった形式に相当する手段です。これ自体は発想法としての力は持ちませんが、発想時に使うと、発想したことを手間なく書けて便利です。 方向性としては、マインドマップのようにどう書くか・描くかだけ定めるものと、マンダラートのように書き込める上限――制約を定めて取捨選択を促すものがあります。 ## (参考) Miro による以下記事もわかりやすいです。色々な手法があって工夫の余地が大きいのだとわかります。 # Title: ABCD仕事術 ![](/assets/n9a59e1b4b3e9_42d71f4bb096aa0b61f291e541509281.png) **ABCD仕事術** とは発想法的な仕事術の一つです。フリー仕事術(下記記事)の一部となります。 ## メリット * わかりやすい * ABCDで覚えやすい * B(ブレスト)から始めるので使いやすい * 行動に繋げられる * A(Action)としてタスクを並べるので、「考えて終わり」ではなく行動にまで繋げられます ## ABCD仕事術の概要 **ABCD仕事術** とは、以下のABCDを用いて、発想から行動にまで結びつける手法です。 * A: Action、行動 * B: Brast、ひとりブレスト * C: Concept、概念や用語 * D: Direction、見えてきた方向性や考えられる方向性 ### 手順 * 1: まずは **B(ブレスト)** を行って[発散・収束](https://note.com/workhack20/n/nbc2c71a1a524)を行う * 2: 以下が見えてくるので、適宜言語化・定義する * あると便利な用語や概念 → **C(コンセプト)** * 見えてきた方向性や考えられる方向性 → **D(方向性)** * 3: 1~2を行って、ある程度見えてきたら、直近具体的に何をするかをリストアップする * タスクや行動として書く → **A(アクション)** 図でも示します。 ![](/assets/n9a59e1b4b3e9_1730952866-K29FlQpUcLEwMSDC1PuVasA5.png)ABCD仕事術。 ### 各用語 **B(ブレスト)** とは、ひとりブレストを指します。 便宜上、ブレストという言葉を使っているだけで、要は発散と収束(下記記事参照)です。考えを好き勝手に書き散らしつつ、関連がありそうなものをまとめつつ、を行き来することで、思考を隙なく整理していきます。 **C(コンセプト)** とは、概念です。 「こういう概念があると便利そう」とか「なんかこう、こういう感じの現象や傾向があるよね」とかいったことが見えてくると思います。あるいは「こういう感じのやつ、よく出てくるよね」もありますね。 こういったものを概念として、言語化します。名前をつけて定義するイメージです。つまり、概念として言語化したものは、以後も使います。 こういう「概念をつくる」営みは馴染みがないかもしれませんが、言ってしまえば言葉遊びのようなものです。言及しづらいけど、何度も登場してくるものがあったら、それを捉えればいいのです。 概念は、定義すればするほど後々楽になってきますし、思考もさらに広げられます・深められます。 **D(方向性)** とは、戦略や方針や主義思想といったものです。 言葉にすると「進め方としては3通りくらいありそう」、「この件とどう向き合うかのスタンスは2つありそう」、「なんとなく見えていたけど、こう捉える人とそう捉える人がいるよね」といったイメージです。 方向性は通常n通り存在します。かつ、直近採用できるのは1つであることが多いです。そういう意味で意思決定の問題に帰着されるのですが、意思決定はそもそも難しいものです。ですので、方向性という形でしっかりと言語化して、見える化して選びやすくするのです。 **A(アクション)** とは、具体的な行動やタスクを示します。 B から C と D をひねり出してきたわけですが、これでは思考しただけです。実際に行動しないと何も変わりませんから、B、C、D を踏まえて、じゃあ直近どうするかを決めるのです。 **十分にブレストを行い、概念と方向性も見えているとしたら、アクションも自ずと見えています** 。 見えてこない場合、おそらくブレストか、あるいは概念や方向性の言語化が足りません。それでも見えない場合は、仮説でもいいので適当に決めて、行動してしまいましょう。あるいは「前提知識やリソースが足りないので、それらを手に入れるための行動をリストアップする」こともよくあります。 # Title: 精神的安全性 自分のメンタルを脅かす脅威の無さを **精神的安全性** と呼びます。 ## 心理的安全性との違い ### 心理的安全性 心理的安全性は、対人関係のリスクを負っても大丈夫という度合いを指します。 通常、議論や提案は、対立や一蹴が怖かったり、変に思われるリスクがあったりしてやりたがりませんが、心理的安全性があればできます。つまり **コミュニケーションに関する因子** です。 また、心理的安全性は集団的なものです。 ある集団において、心理的安全性がある場合、誰が誰に対してもリスクを負うことができます。また、心理的安全性が低い場合、その原因は一個人というよりも、集団や場そのものにあることが多いです。 ### 精神的安全性 精神的安全性は、自分のメンタルを脅かす脅威が無いという度合いを指します。 コミュニケーションというよりは、[ **QoW**](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577) **やQoLといった個人的な居心地・快適さに関する因子** です。 また、安全性が低い場合、その原因は一個人にあります。脅威とは個人です。脅威となる個人がいて、その人のせいで精神的安全性が脅かされます。 ## メリット Ans: メンタルヘルスの低下を防げます。 精神的安全性、特に脅威の例を知ることで、自分のメンタルを貶める原因を理解できるようになります。「よくわからないけど調子が悪い」「自分が悪い」ではなく、脅威が存在するのが問題なのだと正しく理解できます。 もちろん、理解できれば対処もできます。 ## 具体例 精神的安全性を下げるのは、特定の個人です。これを脅威と呼びます。主な脅威を挙げます。 ### ブリリアントジャーク * 言い過ぎ * 正論で殴られるんじゃないか…… 元はNetflixの用語で、 **優秀だけど嫌な奴** を指します。攻撃的であったり横暴・横柄だったりして、関わりたくないような人を指します。 たとえ優秀であっても、嫌な奴であればチーム全体の指揮を下げます。現代はチームの時代であり、優秀な一個人よりもチームの方が強いですから、このような人を我慢してまで抱える意味はありません。 ### ファウルヘッド * 反応なさすぎ * また見てくれないんじゃないか…… **言われたことやお願いしたことをしない、何なら反応すらしないといったことが常態化している人** を指します。ファウルヘッドとは鳥頭の意で、すぐに忘れるというニュアンスを込めています。 私たちは会議のような「一緒に過ごしてその場で決める」ことを常にできるわけではありません。タスクや[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)など、多くのボールを抱えますが、性格や能力次第では「やらない」人がいます。 ※状況次第では誰しも「できない」ことはありますが、そうではなく、日頃から故意に「やらない」人を指します。 このような人は、ボールを渡しても進展がないです。また、渡す側は毎回「いつ返ってくるんだろう」「来ないんだろうか」「また催促が要るんだろうか」と悩むことになります。 ### エクスポーザー * 晒しすぎ * 私が話したことも晒されるんじゃないか…… * 私もこの人みたいに晒さないといけなくなるんじゃないか…… **情報を何でもオープンにしたり、言いたいことを率直に言ったりする人** を指します。Expose(晒す) + er です。 大多数の人はそこまでオープンでも率直でもないため、エクスポーザーは脅威になりえます。 ### エイリアン * 意味不明すぎ * これを理解できない私の無知・無能が晒されるんじゃないか…… 変人や異分子といった言い方もできますが、そのような「変わり者」を指します。 エイリアンは熱心で、アクティブで、人としても悪くはないことも多いですが、 **言っていることの意味がわかりません。チーム内で理解できる人がひとりもいない、というレベルです** 。 通常、そのエイリアンに相応の権威がなければ、私たちは時間をかけて理解しようとは思いません。むしろ「いいから郷に従えよ」と考えて、そうさせるでしょう。 一方で、「理解できない自分たちが実は無知・無能じゃないか」という可能性もあり、これが安全性を脅かします。無自覚な人も多いですが、私たちもまた人間であり、無知や無能として見られたくない・そんな自分を認めたくない的なプライドはあります。 あるいは、単に私たちは時間をかけたくない理由をつくって正当化するわけですが、どこかで「なんでこんなことに苦戦しなきゃいけないんだろ」との葛藤が表出します。 ### ヘッドレス * 融通利かなすぎ * この人といるとルールや文化の外からは一歩も出られないんじゃないか…… * 私もこの人のような信者に引きずり込まれてしまうんじゃないか…… **現行踏襲的で融通が利かない人** を指します。ヘッドレスとは「首なし」の意であり、アンデッドとして操られているニュアンスを込めています。 「融通の利かなさ」には議論の余地はありますが、以下をすべて満たすものだと考えてください。 * 巷では新しいやり方や考え方が出ているのに、それを知らない、知ろうともしない * [表向きは融通を利かせないのは仕方ない](https://note.com/workhack20/n/naa984ad2dbe2)として、裏でも利かせてくれない。また見逃してくれない * 融通を利かせたという具体的な行動をしていない。その形跡がない * ファウルヘッド(確信犯的に無視する)を併発します。表面上は応えるような素振りをすることがありますので、形跡を見ることが重要です おそらく **脅威としては最も身近なもの** になると思います。 ヘッドレスは、指示命令系統に従って淡々と動く人材としては優れていますが、チームプレイやマネジメントには向いていません。宗教の勢力や階層的なあり方など歴史を見てもわかるように、このような人材は非常に多いです。多い分、向いてないアサインも多く発生します。 ## 脅威に対処する ### まずは対話しましょう 脅威本人と対話します。悪意がなかったり、誤解があったりすることも多く、この場合は調整すれば済みます。 このように対話の余地があることを[ **トーカブル(Talklable)**](https://note.com/workhack20/n/nf33eaa57c7bb)と呼びます。脅威がトーカブルであれば、対話によりどうにかなる可能性があるというわけです。 ### 距離を置きましょう トーカブルでない場合、建設的な改善はできません。 まずは自分から距離を置けないかを考えます。場合によっては上司に相談したり、転職したりといった面倒な対応が必要かもしれませんが、そこは脅威との相談です。どうしても許容できないなら、さっさと置く行動をした方が良いです。 ※すでに述べたとおり、精神的安全性は居心地や快適さに関するものですので、その観点で述べてます。それらを重視しない場合は、今までどおり我慢するなり、感情を殺して機械的に応対するなりで良いと思います。 ### 対処しましょう トーカブルでもなく、距離も置けない場合、残された手段は対処です。 つまり、脅威を隔離・追放できるように(あるいはしてもらえるように)戦うということです。 ## 仕事術2.0も使えます 当サイト『仕事術2.0』では、様々な仕事術(仕事のやり方や考え方)を扱っています。 対話、距離を置く、対処のどの段階でも参考にできるものと出会えると思いますので、ぜひ読み漁ってみてください。 参考までに、「多様性」という観点はいかがでしょうか。エクスポーザーとエイリアンについては、生かし方次第では強い戦力になるかもしれません。 ただ、生かし方という手段を知らないと何もできないので、仕事術2.0を通じて手段を知る(あるいはあたりをつける)のです。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7&context=note&mode=search) # Title: 仕事術2.0の記事を滝のように眺める ~Article Cascade~ ![](/assets/nb73515c91a3f_22a620f1b7eda838b0bdf4e8657846d3.png) 仕事術2.0の Article Cascade をつくりました。 ![](/assets/nb73515c91a3f_picture_pc_5f637d8c24fe934f7ccf2c992d3ae0a8.gif)こんな感じです。一時停止すればクリックもできます。 ### こちらからアクセスできます ### Article Cascadeとは? [Word Cascade](https://river.tango-gacha.com/) に触発されています。 「記事一覧をこんな風に表示したら面白いんじゃないか」というわけで、つくってみたものです。 当サイトでは様々な仕事術を扱っており、好き勝手に探索してもらうことを想定していますが、「面白そうな探索場所」として使ってもらえたら幸いです。 ### 何かありましたらコメントまで 本記事のコメント欄を開放していますので、何かございましたらお知らせください。 # Title: 仕事術を取り入れる際に必要となる「さしすせそ」 仕事術(仕事のやり方や考え方)も道具と言えますが、工具やソフトウェアではない「概念的な」道具です。 ちゃんと向き合って、検討して、取り入れるためには、それなりのブツが必要となります。「さしすせそ」で整理しました。 ## さ: サルベージ **サルベージ(Salvage)** とは、意識の奥底にあるものを救出することです。薄々気付いている内心を自覚し、言語化するとも言えます。 なぜサルベージが重要かというと、仕事術が本質的に個人的なものだからです。 **何をどのように使うかは自分で決めねばなりません。あるいは、それができないなら、何かに任せればいいですが、その何かを決めねばなりません** 。 この原則が嫌だとしたら、正論やセオリーに従えばいいですが、難しいと思います。私たちは人間であり、感情や事情といった文脈を持つからですね。他人やシステムには推し量れません。 文脈を踏まえたいなら、自分でやるしかないのです。そして文脈とは自分の意識(世界をどう解釈しているか)ですから、それを知れ、ということになります。 当サイトではよく「 **軸を持つ** 」と表現しています。軸がないと判断のしようがなく、なにかの言いなりになることしかできません。 特に仕事術は、主に文化的・経済的な理由で、古い単一のやり方ばかりが幅を利かせがちです。軸を持たないと、為す術もなく従うことしかできなくなります。信者と化するのなら、それはそれで良いのですが、誰にでもできるとは限りません。 というわけで、自分に眠っているはずの軸を救出してください。 ## し: システム **システム(System)** とは、その人個人が持続するための仕組み全般を指します。 まず、その人固有の仕組みが要る理由を書きます。 私たちは有限の存在ですが、持続性は当たり前に求めると思います。以前持続的な生産性について書きましたが、 傑作を一つ生産できたら死んでいいかというと、たいていは違いますよね。また生産できたりできなかったりといったムラもなくしたいと思います。安定的に生産を継続できるあり方が良いはずです。 さて、持続するためには、テキトーな生活では上手くいきません。わかりやすく言うと、食事や睡眠は必要ですよね。 問題は、 **どう過ごせば持続のラインを保てるかが人によって違う** ことです。自分のラインを見つけて、守らねばなりません。 ※一見テキトーに過ごしている人でも、単に無自覚 or 恥ずかしくて言ってないだけで、自分なりのラインを見つけて守っています。本当にテキトーに過ごしている人は、たぶん 0.1% もいないんじゃないかと思います。 次に仕事術とのかかわりをお伝えします。 仕事術は道具であり、日頃からあれこれ試す――始めたり、変えたり、微調整したり、やめてみたりといったことをするものです。厄介なのは、冒頭で述べたとおり「概念的な道具」であることで、 **テキトーに使うということがそもそもできません** 。 どこにどんな仕事術をどう適用するのか、という自覚が必要です。どの「どこ」にあたるのがシステムです。 もっとも仕事術の適用先が「自分」や「自分のシステム」とは限りませんが、たいていは何らかのシステム(つまりは仕組み)です。仕組みを自覚して、この部分がこうなっているから、それをこう変える、といった考え方をするのです。 **言わば仕組みのDIYであり、このDIYで使う道具が仕事術なのです** 。 もっとも身近な仕組みは、ここでいうシステムです。特に自分のシステムですね。 生活リズム、人との付き合い方、使っている場所や道具――普段使っているものや過ごし方が色々あるはずです。これらを自覚し、もっと良くするためには、を考えることで「仕事術という道具を使う」立場に立てるようになります。加えて、自分のことなので使うこともしやすくて、入門としては最適なのです。 ※ちなみに、自分のシステムよりも他人や集団のシステムについて考える方が得意な人もいます。他人や集団を動かせる要領があるなら、それでも構いません。しかし、動かせないと「仕事術という道具を使う」ことができず、意味がないので、要領がない人は、やはり自分のシステムから始めましょう。 自覚できないと何もできません(やりようがありません)が、自覚できれば変えられる可能性があります。変えてもいいのだと気づけます。 ## す: スラック **スラック(Slack)** とは余裕を指します。 仕事術を知り、学び、実際に試したりするだけの余裕がなければそもそも話になりません。 恒常的にやりたいなら1日1時間は欲しいですし、現状を打開したい場合でも、たとえば3時間、それが厳しくても1時間、30分くらいは捻出しなければならないわけです。 もう一つ、時間だけではなく、認知資源やメンタルも重要です。いくら時間を捻出できても、残業後で頭が疲れてます、慢性的な疲労やストレスで何もやる気が起きません、では意味がないのです。 要は何かをするためにはリソースが必要、という、ただ当たり前の話なのですが、仕事術という観点ではなぜか忘れ去られます。 **1日1時間すら捻出しようとしないのです** 。 スラックについては、当サイトでもすでに解説しているので、参考にしてください。 ## せ: セーフティー **セーフティー(Safety)** とは、個人的な安全性を指します。 サルベージの項でも述べましたが、仕事術は本質的に個人的であり、それゆえ集中を要したり、個人のプライベートな部分にまで立ち入ったりします。仮に、他人に割り込まれる可能性があるとしたら、まともに取り組めないですよね。 邪魔されることなく取り組めるという安全性が重要なのです。 当サイトとしても重点的に解説してます。 安全性は特に **「自分が自由に使える、まとまった時間」** に左右されます。ここをいかに侵害されないかが重要です。 ## そ: ソロワーク **ソロワーク(Solo work)** とは、チームワークという本番試合ばかりではなく、ひとりで活動する練習やトレーニングの機会も必要だよねとする考え方です。 以下記事で解説しています。 仕事術において重要となる理由は二つあります。 一つは、個人の仕事術は自分にしか通じないので、自分だけで行動できた方が動きやすいよねという話。 もう一つは、「 **チームや組織の仕事術」を考える際に、皆で話し合いながら行うのはそもそも無理** だという話です。 ※だから現代でもまだまだ働き方は下手くそです。未だに9時~17時のような朝型のスタイルが主流だったり、全員に同じ働き方を課したり、リモートできるのに出社させたり、原始的に会議ばかりしたりしますよね。 じゃあどうするのかというと、まずは各個人で考えて、「私はこうすればいいんだけど」といった形で「仕事術」を提案します。これを皆で揉むのです。そうしていくことで、そのチームその組織で使える「仕事術」が見えてきます。 ということは、その「仕事術」をつくるための時間が必要ということです。チームワークではできません。 # Title: Wide Review ![](/assets/nb28ed4c2f5f4_e78537e12bbc8affb5dcc06bafa79511.png) 本記事は、ワーク・ゲーミフィケーション(下記記事)の一手法です。 ## Wide Reviewとは **Wide Review** とは、レビューしてほしいアウトプットを成功報酬つきで公開し、組織内の誰でもレビューできるようにするやり方です。 ### レビューについて 前提として、用語を押さえます。 **レビュー** とは、何らかのアウトプットを評価してもらうことです。正式に外に出す前の内部レビューだったり、顧客に採用可否を判断してもらう外部レビューだったりします。 レビューは通常、評価する側が OK を出すまで続きます。OK が出なかった場合、「ここをこう直してほしい」のような指摘を出します。アウトプットする側は、それら指摘を踏まえて修正して、またレビューを出して――というサイクルとなります。 紛らわしいですが、 **Wide Review では OK を出すのは評価する側ではありません。アウトプットを出す側です** 。 ### 流れ アウトプットを出す側を **提出者** 、アウトプットをレビューする側を **評価者** と呼ぶことにします。 Wide Review の流れを示します。 ![](/assets/nb28ed4c2f5f4_1731107488-hIbSCXNPgtwliUQ94M3OYED5.png)Wide Reviewの流れ。 * 1: 公開 * 提出者が、アウトプットを公開する * 2: レビュー * 組織内の者は誰でもアウトプットを見れる * レビューしたい人は誰でもレビューできる(評価者になる) * 3: 採択 * 提出者は、集まったレビューを見て、ベストレビューを決める * Q&Aサイトでいうベストアンサーを決めるようなもの ### 報酬の分配 アウトプットには報酬(お金あるいは類するもの)がついており、これは採択の段階で分配されます。 たとえば、評価者によるレビューが 4 件あるとして、 * アウトプット * レビュー1 * レビュー2 * レビュー3 * レビュー4 提出者が「レビュー2が一番良かった」「レビュー4もちょっと役に立った」と思ったとします。どれだけ良かったかの割合をアサインします。 * アウトプット * レビュー1 * レビュー2 ★80% * レビュー3 * レビュー4 ★20% すると、アウトプットに設定された報酬は、レビュー2の評価者に8割、レビュー4の評価者に2割、という形で配分されます。 ### すべて見える Wide Review 上のやりとりはすべてフルオープンです。 * 組織内全員が誰でも自由に公開やレビューを行えます * アウトプットやレビューの内容も永続的に残り、誰でもいつでも見ることができます ### システムと制度について 本記事では理論を扱っています。報酬として実際にお金を動かす部分など、実現にあたって必要となるシステムや制度については、以下記事を参照してください。 ## メリデメ * ⭕メリット * 組織内全員の数の力に頼った、広域なフィードバックを期待できる * やりとりがすべて見えるため、提出者側が採択をサボるのを抑止できる → 評価者の努力が報われない(採択されず支払われない)リスクを減らせる * やりとりがすべて見えるため、提出者の採択の傾向を見ることで、より提出者に沿った評価をしやすくなる → [BtoA](https://note.com/workhack20/n/nbde0989abb51)がしやすい * ❌デメリット * やりとりがすべて見えるため、公開や採択のハードルが高く感じられ、盛り上がるまでが大変 * 先にレビューを出した評価者が不利になりがち(先に書かれたレビューを踏まえて、より質の高いレビューを書ける)であり、先にレビューを出しづらくなる → 素早くレビューするインセンティブが薄くなり、形骸化につながる ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: レビューを募集する期間はどれくらいが良い? Ans: 指定できるようにします。 半日、1日、3日など指定できるようにします。あまり長く募集しても意味はない(レビューが来ないアウトプットは日が経っても来ません)ので、長くても最大一週間くらいにして、新陳代謝を促した方が良いと思います。 この点は、以下記事(ワーク・ゲーミフィケーションの別手法)のQ&Aでも書きました。 ### Q: 良いレビューが集まらなかったので、採択したくない。どうすればいい? Ans: 理由をつければ問題ありません。 正当な理由があれば、評価者側も納得できるでしょう。やりとりはすべて見えているので、たとえ採択無しが続いたとしても、理由が正当であれば不評にはならないと思います。 ### Q: 先にレビューを出した者が不利になる問題はどう対処すればいいか? Ans: まずは良識に任せます。ダメそうなら仕組みに頼ります。 まずは組織内全員の良識に任せたいです。 たとえばAさんがレビューを出した後、Bさんがそこに被せたレビューを出す場合、 **「Aさんも述べているように」と言及した上で、Bさんの追加分を書けば、BさんはAさんの顔を立てることができます** 。提出者としても、Aさんが述べている部分が3割くらい役に立ったのなら採択時に3割を設定する、といった配分ができます。 良識がない場合、Bさんは、Aさんを無視して、提出者に選ばれるような書き方をするかもしれません。提出者も、Aさんが先に書いているのを気にせず、Bさんのレビューに10割の採択を出すかもしれません――と、こういうのを防ぎたいのです。 良識に任せるだけではダメそうな場合は、仕組みで縛るしかありません。一番わかりやすいのは、 **採択が完了するまでレビュー内容は(提出者以外には)見えない** ようにすることです。 ですが、これをすると、「既存のレビューを見て、過不足を足す」「さらに思いつくことを足す」といったコラボレーションができないので、できるだけ控えたいところです。しかし、この問題のせいでレビューが形骸化しては本末転倒なので、形骸化するくらいなら迷わず採用してください。 ### Q: レビューや採択が恣意的になるのを防ぐことはできますか? Ans: 恣意的でも構いません、あるいは必要なら観点を設けます。 そもそもの前提として、提出者が満足すればそれでいいので、恣意的でも構いません。 ただし、ビジネスとしては、それだとやりづらいところもありますので、必要なら提出者はアウトプットに「レビュー観点」をつけましょう。つまり、こういう点を気にしているのでコメントしてほしい、これこれの点をチェックしてほしい、こういう感じの意見を特に欲している――など、どんなレビューを望んでいるかを明示します。 # Title: 日課が厳しいなら隔日課や週課を取り入れる 日課が厳しい場合でも、隔日課や週課ならいけるかもしれません。 ## そもそも日課とは? 日課とは、 **いつでもいいので** 毎日やることを指します。 いつでもいい、というのがポイントです。予定や生活リズムとは違って、昨日は朝にやったけど今日は夕方にやってる、みたいな「ばらつき」があっても構いません。ばらばらでも構わないから、とにかく毎日やるというものです。 「毎日やる」とはミッションのニュアンスですね。なので、日課は、英語で言えばデイリーミッションです。 ## 毎日はきつい…… やるタイミングを問われないのはマシにしても、それでも毎日やるというのは中々厳しいものです。 ## 日課の「もう少し手加減した版」が欲しい そこで日課よりも、もうちょっと手加減したものを使います。 ### 隔日課(かくにっか) **隔日課とは、2日に1回くらいやれればいい** という考え方です。 二週間に一回という頻度を隔週と呼びますが、「隔」とは隔離とかの隔で、飛び飛びの意味があります。 ![](/assets/n067c050b9758_1731111808-qzxvHyfi1A6tujY9MNIGX0rW.png)隔週 なので隔日とは、日単位で飛び飛びにします。 ※隔日は造語だと思います。一般的な言葉としては使われていません(通じるとは思いますが……) かといって、「2日ごとに1回」というのも、それはそれで窮屈なので、もう少し楽にして **「2日に1回くらいできればいい」とします** 。 ですので、毎日やった、が5日くらい続くこともあれば、3日に1回くらいしか出来てない、が1週間続くこともあるかもしれませんが、それでも大体全体で見て「2日に1回くらいできてる」なら、それでいいとします。 ### 週課(しゅうか) 週課とは、日課の週バージョンです。つまり1週間に1回くらいやればいい、です。 ここでも隔日課と同様、神経質に「1週間に1回だけ」と決めるというより、1週間に1回くらいできればいいよねと気楽にとらえます。 一方で、実は「毎週土曜日にやるのがなんだかんだ安定するかも」といったことが意外とあるので、まずは何曜日にやるかを決めてみるのがいいと思います。 と、気楽さはさておいて、週課として一番言いたいことは、以下です。 > あなたが日課で行っていること、実は週に一回くらいでもいいのでは? 一度自問自答してみてください。 今、あなたが日課として抱えていることは、本当に毎日やらないといけないことなのでしょうか? 実は週に一回くらいで良かったりしませんか? もしそうなら、日課から週課に切り替えてしまいましょう。 # Title: ファサード戦略 理不尽な相手と付き合う際、相手が納得してくれる「ダミー」をつくってしのげると楽ちんです。 これを **ファサード戦略** と呼びます。 ## 内部向けと外部向け ファサードには内部向けと外部向けがあります。 ### 内部向けの例 内部向けとは、チームメンバーや上司など一緒に働く者に対するファサードです。 例として **ファサード・プログレス** があります。 これは「もう終わっている仕事を、あたかも進行中であるかのように報告する」ことです。 たとえば一週間後に提出する仕事があるとして、これを2日目時点で終えたとしましょう。素直に提出しても、3日分の自由時間はおそらく生まれません。新しい仕事を入れられたり、細かい指摘をされて、仕事は残る3日分を食いつぶすまで膨張するでしょう。パーキンソンの法則と呼ぶこともあります。 自由を守り、膨張から守るためには、「進行中です」的な見せ方をするのが無難です。 ※ファサード・プログレスの是非は状況次第ですが、この場合は「1週間後に提出すればいい」と決めたはずなので問題ありません。自由を侵害したり、膨張させたりする相手側が理不尽だと考え、理不尽から守るために偽るのです。 ※ちなみにファサード・プログレスは外部向けとしても使えます。しかし、パーキンソンの法則に抗えない人は「理不尽」であり、そのような人から内部にも多いので、内部で使える場面は多いと思います。 ### 外部向けの例 外部向けとは、チームの外に対するファサードです。 例として **ファサード・パフォーマンス** があります。 社内外の声が大きい人達を納得させるためのものを専用でつくり、それを見てもらうというものです。うわべのパフォーマンスですね。一方、それ以外の人達向けのものは別でつくります。 以下ポストがわかりやすいです。 > > 社内政治による情報設計(IA)の歪みを上手に回避しているベストプラクティスはマクドナルドのスマホアプリだと思っている。ホーム画面にいくら情報が溢れても、ユーザー体験は歪まず、社内の声が大きい人も満足させられている(と思われる)。 ![](/assets/n5944f97984d8_1731189112-y3nEipIm5vWNkJX9wB0VLPrM.png) 構造としては、 * 1: ユーザーは「ホーム」以外の動線を使っており、現状スッキリした見せ方にして成功している * 2: 声の大きな人達は色んな情報を載せたがる * 3: 2を1に侵食させると、ユーザー離れが起きてしまう。でも2は無視できない となっているので、2を満たすために「ホーム」をファサードにしています。ホームを見ると実際に色んな情報が載っているので「ほらね、言われたとおりにやったでしょ?」と主張できるわけです。 もう一つの例が **ファサード・シチュエーション** です。 これは理不尽な相手に対してのみ、お受けできないんですよ的な状況をでっち上げてお伝えするというものです。 こちらもわかりやすいポストがあります。 > ……こんな電話が多々ある。世代的にはある程度の年齢の日本人男性。 初対面でなんでため口?もう客の気分になってんの? 名乗りもせず、お前誰やねん!? > > そういう方には「あいにく今日は満室でございます」 と断る。もちろん部屋が空いてても。 > 一発目にこの態度で電話かけてくるレベルの客はいらん。泊めてもめんどくさくないのが読めるから。 > そもそも泊まっていらん。客になってほしくない。 > > ホテルに電話を掛けて、今日は満室です!と言われるのが多い方。このパターンで施設から避けられてまっせ! ## メリット Ans: 理不尽な相手からリソースやビジネスを守れることです。 特に日本の価値観だと「正直に伝えねば」「あり方は一つでなくては(平等主義)」と考えがちですが、だからといって理不尽な相手向けに合わせると割りを食います。 ですので、理不尽な相手に対してはファサードを用意してしのぎ、本来のリソースやビジネスを守ります。 ## ファサードの語源 ファサード(Facade)とは「うわべ」「見せかけ」といった意味があります。 いくつかの業界では用語として存在します。建築用語としては「建築物の正面・外観」を意味します。プログラミング用語としては「複雑な手続きを統一的に使うための窓口的な役割」を意味します。 ## (関連記事) 似た戦略としてアダプター戦略があります。 # Title: モンスター社員のマトリックス **モンスター社員** なる存在をマトリックスで整理します。 ## モンスター社員のマトリックス モンスター社員は「言動の激しさ」と「余計なことをやるか」で4パターンに分けることができます。 ![](/assets/n8b69561c1f82_1731192092-6sx7qIyOJroZVSp1tL9XCjBb.png)モンスター社員のマトリックス 以下、各パターンを見ていきます。 ### 1: ビースト 言動が激しく、余計なこともしまくるタイプです。 例: * 誰も望んでいないことを積極的に提案してくる、何なら命令に近しい言い方をする * あたりがきつい、語気や口調が強い、隠していても漏れ出てくる圧がある * [日本の文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)に乗っ取らない * 階層主義に則らず、上司や自チームを越えた先にいきなり連絡取りに行く * 合意を取らず、自分が良いと思ったという理由で無許可で試す * 場やチームのルールに開幕から従わず、いきなり反発・反論をする etc 典型例として[ブリリアントジャーク(優秀だけどイヤな奴)](https://note.com/workhack20/n/n2513648a6964)が知られています。一方で、優秀ですらない、ただのイヤな奴もいますし、周囲が知らないだけで実は天才だったというケースもあります。 ### 2: ウイルス 言動はおとなしいが、余計なことはしまくるタイプです。 本質的にはビーストと同じで「傲慢なオレサマ」です。性格や興味により、人に直接絡まないので、一見するとおとなしくて人畜無害に見えますが、その裏では余計なことをしまくっています。 厄介なのは、その「 **余計なこと」は意外と一人か数人くらいのメンバーや関係者が見ている** ということです。 心理的安全性の高い組織だと、その人がすぐに相談してすぐに発覚しますが、そうでない組織も多く、下手すると「上司の顧客は知っているが上司は知らない」状況になっていたりします。問題が起きるか、偶然知ったところで、上司は「なんてことしてくれてるんだ」となったり「まさかこんなことする人だったなんて……」とショックを受けます。 まるでウイルスのように水面下で蝕み、あるとき、一気に被害が出ます。 ### 3: ベイビー 余計なことはしないが、言動は激しいタイプです。加えて、余計どころか必要最小限なことしかしません。それすらもしないこともあります。 その名のとおり、駄々をこねている赤ちゃんのような存在です。たとえば、やたら質問が多かったり、物わかりが悪かったり応用が利かなかったりします。また、一度言われたことも中々身につきません。 ベイビーは **確信犯的に「できない自分」「悲劇のヒロイン」を演じていることが多い** です。後述するクワイエット(静かな退職)をこなすだけの要領がないので、赤ちゃんを演じることくらいしかできないわけです。 ### 4: クワイエット 言動がおとなしく、余計なこともしないタイプです。必要最小限のことはしますが、それ以上はしません。 いわゆる[静かな退職](https://note.com/workhack20/n/ncbf2b13df0ab)を指します。書籍『静かに退職する若者たち』の言葉を借りると「いい子症候群」で、競争や多忙から降りて無難に生きるために無難な演技をします。 **演技の質も、組織や仕事への適応も高く** 、1on1 でも露呈しないほど「いい人」に見えます。つまりは要領を持つので、いざとなれば大体な行動にも出れます。たとえば、全くその素振りがなかったのに、いきなり退職したりもします。 ## 対処する 続いて各タイプの対処法を見ていきます。 ### ビーストに対処する 前提として、管理できる相手ではないので、管理することは諦めてください。 **上手く共存するか、その価値がなければ全力で追放するかの二択です** 。 中途半端に放置すればするほどチーム全体の被害の総量は増え続けるので、迅速にどちらかを選んで厳しく対処するべきです。 共存するほどの価値がある――たとえば有能である場合は、共存を考えます。 基本的にはアダプター戦略が良いでしょう。 つまり、ビーストと接する人を必要最小限にします。ビーストゆえに野放しはできないはずなので、あとはもう誰が接点になるかという問題なのです。その上で、ビーストには自由に行動してもらい、その成果を必要に応じて拝借する形が良いと思います。 とにかく、チームの一員として平等に扱おうなどとは考えないことです。日本の価値観としては平等主義が強いですが、それで上手くいくほど甘くはないので、特別扱いに踏み切ってください。 ※野放しが許されるのであれば、実はそうした方が良かったりします。上司の責任ではなく、本人の責任に帰着するほど特進させるのです。そのビーストが有能であれば、結果はすぐに出ます。荒れるとは思いますが、本人の責任なので正直どうでも良いでしょう。 共存の価値がない場合は、全力で追放しましょう。 日本では解雇のハードルは非常に高いですが、社内で別のプロジェクトや部門に移ってもらうよう仕向けるくらいなら工夫次第で可能でしょう。おそらく、ビーストは、チーム内の総意で「敵」とみなせると思いますので、協力も得やすいはずです。 注意したいのは、ビーストは、プライベート(SNSなど)でも影響力や発信力を持っていることが多く、下手な手を打つと会社レベルで面倒くさいことになりかねないことです。ビーストの意思で、自分達のチームから(あるいは会社から)出てもらうよう誘導していく必要があります。 ちなみに、最も楽な対処は、自分自身が上司に相談することで、ビーストと同じチームから逃げ出す or 上の力でビーストを別のチームに移してもらうことです。 ### ウイルスに対処する 外に影響を及ぼさない砂場を用意して、そこで遊ばせるのが良いでしょう。 **目に見えるところで遊ばせておく** ということです。 まず、ウイルスは、自分なりにやりたいことや成し遂げたいことがあり、 **この頑固さはビーストレベルで強い** ので、どうしようもありません。 多少マイクロマネジメントをしたところで、ビーストほどわかりやすくないので、こっそりやられてしまいます。そもそも、モンスター社員一人をマイクロマネジメントするほどの余裕なんてないでしょうし、やりたくもないですし、下手すればこちらがハラスメントになります。 ですので、ウイルスが自由に遊べる砂場をつくって、そこで遊ばせるのが一番無難なのです。 ウイルスが有能であれば、それなりに役に立つアウトプットが出るはずなので、素直に使いましょう。使う人数が少ないと採算が合わないと感じるなら、範囲を広げるといいでしょう。たとえばチーム内や部門内に限定せず、事業部内や社内レベルで広げてもいいかもしれません。 その他の対処としてはビーストと同様ですが、砂場さえ与えてこまめに監視しておけば、ビーストほど露骨な暴走や被害は抑止しやすいです。 ### ベイビーに対処する まずは仕事に関するモチベーションを何とかして上げます。 具体的にはエンゲージメントです。 記事でも述べていますが、エンゲージメントを上げるにはファミリーか、ミッションか、ビジョンのいずれかです。 ビジョンは難しいと思うので、ミッション(十分な裁量と権限と生活水準を確保する)か、ファミリー(私生活でも関わりがあるほど仲良くなる)かのいずれかでしょう。どちらも難しいですが。 新規事業やカウンセリングなどでも、まずは信頼関係をつくるための対話や[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)を重視しますが、そのイメージです。 **馬鹿の一つ覚えみたいにいきなり仕事を任せるのではなく、まずは信頼関係をつくる営みをしていくということです** 。 あえて厳しい言い方をしましたが、前提として、ベイビーは駄々をこねることしかできない無能(であることが多い)です。仕事なんてできるわけがないのです。 しかし、ただのやる気や納得感の問題で、その辺があればそれなりに働いてくれる可能性はあります。実際、ベイビーな人は、私生活は無難におくれていたりするのです。 ※たとえば普通に友人が何人もいて、恋人もいて、習熟の難しい趣味をバリバリ遊んでいて、など。それほどの要領があれば、たいていの仕事もできるはずです。できないのは、単にやる気の問題です。ならば、やる気次第で反転できます。 もう一つ厳しい言い方をしますが、最も切実に望まれているのはミッション・エンゲージメントです。つまり、十分な裁量と権限と生活水準を確保できるかどうかです。 たとえば、フィードバックよりもアドバイスができるか。 夜型という多様性に配慮する、くらいの融通を利かせられるか。 「年収400万が高給」などという貧しさではなく、年功序列とも言わず、もっとちゃんとした給料を出せるか。あるいは、それができないなら、せめて残業ゼロにできるか(ワークライフバランスを確保できるか) etc 現代の、特に若者は色々と肥えていますので、この程度はできないと話になりません。後述するクワイエットか、今扱ってるベイビーになるのも正直仕方がないなと思えます。 「社会を舐めすぎ」「仕事を舐めすぎ」と思われるかもしれませんが、私たちの方が実はアップデートできていません。時代は令和であって、昭和や平成ではないのです。 もちろん、 **いきなりはできませんし、そもそもやり方を知らないとやりようがありません** 。そこで当サイト『仕事術2.0』が役に立ちます。様々な仕事術(仕事のやり方と考え方)を紹介しており、「やり方」を知ることができます。 よろしければ色々と読み漁ってみてください。 ### クワイエットに対処する 対処としてはベイビーと同じです。 記事も書いたので参照してください。 # Title: 今週の記事 2024/11/03 今週は 18 記事書きました。 当サイト開始から 8 週が経ちました。 [←前 2024/10/27](https://note.com/workhack20/n/nc0507b319cf1) [2024/11/10 次→](https://note.com/workhack20/n/n6a8d3be71eab) ## 仕事のゲーム化 ## 発想法と仕事への応用 ## 新しい潮流・価値観 ## 人のタイプ ## 働き方の多様性 ## コミュニケーション ## 日課・習慣 ## モンスター・エンジニアリング ## 仕事術論 ## (作成したコンテンツ) ## # Title: 柳沢正史氏の睡眠ノウハウ・知見まとめ すでにわかりやすい動画や記事が多くありますが、改めて整理してみました。 ちゃんと見たい方は各自調べるか、末尾の参考を見てください。 ## 睡眠は減点法、減点をなくす * まずはいいから睡眠量を増やす * 人それぞれ適性の睡眠時間があって、それ以下は論外 * まずは適性量を確保する * 量がないのに質を論じても意味がない * 部屋を暗くする * スマホのブルーライトよりも、部屋の照明が明るすぎることの方が問題 * 日本の照明は明るすぎる * 海外行ったことある人は、こんな薄暗いの!?とびっくりすると思うが、あれくらいが良い * 同氏は「夜の街灯の真下くらい」と表現している * スマホでショート動画など報酬が強いものを見ない * 同氏は「インタラクティブなもの」と表現している * 映画など一方通行なコンテンツは問題ない * エアコンはつけっぱなしにする * 室内を一定温度にしないと、睡眠中の体温調整が上手くいかずに質が落ちる * カフェインを飲まない * 体質次第だが、17時以降はもう良くない * コーヒーはもちろん、緑茶にもカフェインは入ってる * アルコールを飲まない * 日本は寝酒の文化が強いが、良くない * たしかに入眠はしやすいが、睡眠の質が悪い * 眠れないのに無理にベッドに横にならない * むしろ条件付けが強化されて「ベッドは眠れない場所」になってしまう * 同氏は「パブロフの犬」を挙げている * できればベッドタイムルーティンを見つけるといい * 入眠儀式 * 同氏は「つまらない論文を読むこと」 ## 睡眠時間について * ショートスリーパーは体質なので目指さなくていい * 割合的にはたぶん数百人に1人のレベル * 巷のショートスリーパー芸人は、選ばれし者か、ただの睡眠不足 * たいてい後者 * 必要な睡眠時間は人それぞれ * 測りたければ以下を試す * 方法1: 寝られるだけ寝てみる * たとえば9時間寝て起きたとしたら、それが適正量 * ※後述の負債も参照 * 方法2: 睡眠時間を30分増やしてみて様子を見る * 「これ以上増えない」ラインを探る、そこが適正量 * 睡眠時間は貯金が効かない * 十分眠れたら、それ以上眠ることができない * なので「それ以上眠れない」「寝れるだけ寝て自然に起きた」ところが適性量 ## 睡眠負債と返済 * 適正量の睡眠ができてないと負債になる * 負債があるときに眠ると、無理に起こさなければ適正量より多い睡眠になる(返済) * 負債を返却しきるまでには4日くらいかかる * (例) * 適性量8時間の人 * 普段平日7時間しか眠れてないとする * 休日、寝られるだけ寝るとする → たぶん9時間くらい寝る * \--- * しかし返済には4日くらいかかるので、休日2日だけでは返しきれない ## 朝型夜型の判断 * 人によって違うし、加齢によっても変わる * 一般的には: * 20-30代の若者は夜型が多い * 高齢者は朝型が多い * \--- * 若いと夜型で、加齢により朝型にシフトしていく * 判定は「朝型夜型質問紙(MEQ)」でできる * ネットで探せばある ## (参考) ### 記事 [「高齢者は無理して眠らなくても良い」睡眠の権威が高齢者の理想の睡眠を語る|賢人論。|みんなの介護](https://www.minnanokaigo.com/news/special/masashiyanagisawa/) ### 動画 # Title: 自律と生活リズムのマトリックスによる資質判定 自律性と生活リズムで4つの資質に分けることができます。 ## マトリックス * 自律できる・できない * 生活リズムを固定したい・したくない 上記の2軸でマトリックスにできます。 ![](/assets/n2c5d5faade06_1731282465-Xl502IUMuKayhD43weG6v7PY.png)自律と生活リズムのマトリックス。 ### 1: アスリート 自律できるし、生活リズムも固定したいタイプ。 ベストパフォーマンスを出すには「ベストな状態をつくるための日々の過ごし方」を模索して、それをひたすら続けることですが、アスリートタイプは唯一これができます。 スポーツのプロ選手だからアスリートタイプというわけではありません。資質の話なので、プロ選手だから等は関係がないです。プロ選手はたしかに長期的な鍛錬を要しますが、これは別に自律してリズムを固定しなくてもできます。 アスリートに当てはまりそうなこと: * 生活リズムを守るためにタイムボックス(仕事を行う時間)を決めている * たとえば残業はしないと決めている * かつ、侵害されそうなときに遠慮なく提案して勝ち取りに行く * 身体がだらしなくない * 食事睡眠トレーニングを規則的に取り入れるので引き締まります * 休日や長期休暇でもリズムを崩さない * 朝起きてまずこれをして、次にこれをして、それから……という流れを組んでいる * 朝型である * 現代は朝型優位なので、夜型の人がアスリートとして生きていくのは厳しいです ### 2: シープ 自律はできないが、生活リズムは固定したいタイプです。 シープ(Sheep)は羊の意味であり、ここでは「信者」の意味合いを込めています。 辛辣に言えば、何かにすがりたい人や自分を持ってない人がこのタイプで、圧倒的なマジョリティです。たぶん3人に2人はこれだと思います。 シープに当てはまりそうなこと: * 仕事は毎日平日9-18時がいいし、連休はGWや夏休みや年末年始がいい * 自分で好き勝手に融通利かせるよりも固定してもらった方がいい派 * 朝会その他定例会議など、仕事における会議は定期的なイベントにしがち。また違和感なく適応しがち * 自律できないので、自分で決めるというより何かのリズムに順応します * 計画や目標を立てがち * 立てずに探索的に動いてみる、という発想を持てません。すがる先がないと動けないからです * あるいは自分で立てるだけの自律性がないので、自分で立てないといけない場面を避けます ### 3: クリエイター 自律できるが、生活リズムは固定したくないタイプです。 何かをつくるためには集中がすべてだと考えており、必要なら他を捨ててでも集中しますし、必要ないなら丸何日も一向に動かないこともあります。 紛らわしいのは、メールやチャットに返せないから自律性がないということです。返せるだけの自律性はありますが、単に優先順位が低くて「行動しない」だけです。 ちなみに、クリエイターだからといってクリエイタータイプであるとは限りませんし、むしろ少数派だと思います(次で述べるアプライアが多い)。 クリエイターに当てはまりそうなこと: * 睡眠は「寝たいときに寝る」「目覚ましもセットしてない」 * SNSと交友関係は無いか、少ないか、普段はあっても一時的に遮断することができる * メモやノートを取る * 集中の他にひらめき(アイデア)が大事だとも知っているので、逃さないためにはメモするしかないので、メモします * 脳内だけで思考するには限度があるので、ノートに書くことで補助を使います ### 4: アプライア 自律できないし、生活リズムも固定したくないタイプ。 アプライアとは造語ですが、Apply + er で、適応に長けた存在といった意味合いを込めています。 シープタイプの次にマジョリティで、資本主義や多忙主義と最も相性が良いタイプでもあります。 この人達は「場」に自分を放り込んで、そこで起こる刺激にひたすら反応していく形で生きようとします。自律できないし、固定したくもないので、外部の環境を拠り所にします。退屈も嫌いがちで、生き急いでいるように見えることもよくあります。 アプライアに当てはまりそうなこと: * プライベートでも仕事したり、次の仕事につなげる活動をしたりする * パートナーがいる or 一時的にいないがいることが当たり前 * ペットを飼っている(特に猫) ## 判定に迷う事例 ### Q: アスリートタイプのように生きつつ、クリエイティブなことをしているのは? Ans: アスリートタイプだと思います。 クリエイタータイプであれば、生活リズムを固定するという発想は捨てて、偶発的なひらめきや集中にフルコミットするような生き方をします。 ※クリエイティブなこと自体は、別にアスリート的でもクリエイター的でもどちらの生き方でもできると思いますし、天才と呼ばれる人であっても両方の例があると思います。 ※難しいのは、アスリートタイプとして、クリエイタータイプの「自由な過ごし方」を取り入れるケースがあるということです。そういう意味では、厳密に分けるのは難しいですね。 ### Q: SNSやゲームにおぼれているクリエイターは何タイプ? Ans: アプライアタイプだと思います。 クリエイタータイプであれば、その程度の刺激は遮断します。あるいは一時的に浴びることはあるかもしれませんが、浴びるターンを終えたら遮断できます。 恒常的に浴びている、つまりは溺れているような人は、まさに外部環境を拠り所にしているわけで、典型的なアプライアです。 「クリエイターはクリエイタータイプじゃないの?」 とはよくある誤解ですが、少ないと思います。むしろ、環境に飛び込んで、刺激を浴びまくって、そこで素早くアウトプットを出すビジネス的なクリエイターが多いのが実情だと思います。し、現代もそういう時代なので、このあり方が多くなるのも必然だと思います。 ### Q: 私生活がだらしない、またはアスリートタイプほどではないプロは? Ans: アプライアタイプだと思います。 プロになるほどの鍛錬を長期的に積んでいるはずですが、それは単にアプライアとして、そういう環境に飛び込んで適応し続けただけである可能性があります。 一つの目安として、この手のプロは以下のいずれかが当てはまることが多いはずです。 * パートナーがいて、生活をその人にコントロールされている * プライベートがない(仕事人間) ### Q: 会社員はシープ? Ans: その可能性は高いですが、一概には言えません。 シープ的に過ごさないと会社で生きていけないので、シープではない人は我慢しているか、あるいは上手く誤魔化しています。 一つの目安として、会社や組織やチームなどが規定する「デフォルトの過ごし方」から外れることが多かったり、外す提案をすぐ出すような人は、シープではない可能性が高いと思います。 逆にシープは外れることすら疑いませんし、新しい過ごし方を出していいのは「雲の上の何か」だと考えているので、目の前の同僚から出た提案は素直に受け入れません。信者という意味合いを込めたのも、ここにあります。 早い話、シープは過ごし方など「あり方」の融通が利きません。と書くと部下側の人に限定されそうに聞こえますが、そうではなく、部下を抱えるマネージャーや、その上や、経営層であってもシープは珍しくないです。 ※ただし、その立場を守るためにシープを演じているケースもあるので一概には言えませんね……。 # Title: 課題には Subject と Issue がある 「課題」という言葉は多義語であり、人によって何を指しているかが違うのでよく混乱します。終止符を打ちます。 ## 課題は Subject と Issue の二つ * Subject という意味での課題 * **課されたお題** を意味します * Issue という意味での課題 * **課された問題** を意味します ### Subject としての課題 例: * 論文の課題 * 課題図書 * 学生に課される課題(宿題) 「これこれに取り組んでくださいね」と課されたお題を指します。 イメージとしては、 **運ばないといけない荷物を背負わされた** 、です。 ### Issue としての課題 例: * 「今見えてる課題は3点あります」 * 「案Aには技術的な課題がありますね」 * 「少子高齢化による労働力現象は喫緊の課題です」 「今目の前に立ちはだかっている」問題を指します。事実上、課されているようなものであり、課されている問題と言えます。 イメージとしては、 **目の前にハードルがある** 、です。 ## 詳しいニュアンス 詳しいニュアンスは、人によって違うのでその都度調べてください。 端的なのは、本記事で示しているとおり「あなたがいう課題とは Subject(お題)なのか、それとも Issue(問題)なのか」を問うことです。 ## 課題を迂回する 背負わされた荷物は捨てたり誰かに譲ったりできますし、目の前のハードルを越えずに迂回することもできます。 というわけで、 **課題は迂回できます** 。 「本当にこの荷物を運ぶ必要があるのか?」 「運ぶのはいいけど、あそこまで運ばないといけないのか?」 「このハードルは本当に越えなきゃダメか?」 といった視点は常に持つと良いでしょう。 ## (参考) 辞書の定義をあたるのが一番です。 英語の意味を見てみるのも役に立ちます。思っているよりも単語が多くて、ニュアンスが細かいことがわかりますね。 これは「問題」と「アクション」を区別せよ、と言っており、アクションの部分に課題という言葉を充てています。キャッチなータイトルをつくるための工夫でしょう。 ## (関連記事) 「課題」について、もう少し詳しく整理しました。「問題」と合流してマトリックスになってます。 # Title: 課題と問題のマトリックス 「課題と問題の違いは何か」と言われて、答えられるでしょうか。 言葉遊びはどうでもよくて、重要なのは **「そういう感じの言葉」に微妙なニュアンスの違いがある** ことです。 これを端的に把握するために、マトリックスをつくりました。 ## 課題と問題のマトリックス * お題か・問題か * 誰かに背負わされたものか・自然と見つかったものか 上記の二軸でマトリックスをつくれます。 ![](/assets/nc08bece3e953_1731299752-veZBVG4lRrCWqyYsK97Efdb5.png)課題と問題のマトリックス。 課題とは 1: Subject と 4: Issue のことです。以下記事でもまとめました。 問題とは 2: Problem と 3: Object のことです。別記事はなく、本記事で解説します。 以降では各パターンについて詳しく見ていきます。概要の解説と、どう向き合えばいいかをお伝えします。 ## 1: Subject 課題の一種であり、 **背負わされたお題** を指します。 「お題」であるため内容は多岐にわたります。学生の場合は宿題として課されたものだったりします。 また、読書感想文における課題図書(選んでいい本)を指定されることがありますね。これは「読書感想文」という課題(宿題)を指定され、さらに何の本を使えばいいかという手段も指定されています。 「お題」は色々あるのでどうでもよくて、本質は **誰かによって背負わされる** という点です。当然ながら自分の納得感とは無関係なので、捨てるという選択肢もありえます。 実際、学生も戦略的に宿題をサボったりしますよね。真面目な学生はそのような発想は抱きませんし、通常は捨てない方が無難ではありますが、それでも「必ず背負いきらなければならない」なんてことはありません。 とはいえ、Subject は通常は「何らかの場において」「全員に課される」ものなので、素直に背負わないとペナルティ(失格など)を食らいがちです。ということは、ペナルティを食らってでも背負うのをやめたいかどうかを判断することになります。 実際はもっと融通が利きます。背負わされた荷物を途中まで運んでおわりにする(全く運ばないよりはマシ)とか、誰かに運んでもらうとかもできるわけです。 ## 2: Problem 問題の一種であり、 **背負わされたトラブル** を指します。 「お題」ではなく「トラブル」なので、通常 Subject よりも厄介です。要は **誰かが抱えるトラブルを背負わされています。** トラブルということは、その誰かは具体的に困っているわけで、無視するとその誰かの状況が悪化します。 誰かのために肩代わりしてあげるか、それとも悪化させてでも肩代わりをやめるかを選ばねばなりません。 トラブルを捨てるかどうかの判断は大変ですし、問題一つ一つも大変ですのでトラブルの総量を減らすのが大事です。具体的には **発生源(トラブルを背負わせてくる誰か)と特定した上で、付き合う数と距離を調整します** 。 生活や仕事が上手くいかない人は、たいていはこのバランスが狂っています。純粋に発生源と付き合いすぎ・発生源に近づきすぎです。 取捨選択は物相手ならわかりやすいですが、実は人や居場所であっても同じことです。 ## 3: Object 問題の一種であり、 **見つかったお題** を指します。 自分の行動によって見つかったお題であり、そのお題をどうするかは自分次第です。最もかんたんなのは「すべてを無視する」ことですし、通常それでも生活に支障は出ませんが、一部の人にとってはそうもいきません。 たとえばクリエイターの人は、新しいアイデアの種を日頃から集めることが重要でしょう。日々目に入ったもの、特にふと「気付いた」ものに対して、待てよ、と足を止めて向き合えるかどうかが創造性の分かれ目となるはずです。 **これを噛み砕いて言うと「アイデアをメモする」や「違和感を言語化する」** になります。 このように、Object は何かを進展させるためのヒントとして捉えることが多いです。そういう意味で、(強引ではありますが)問題の一種としています。 クリエイターの例は言わば「創造的な問題(問題の候補)」であり、一般人に縁はありませんが、これが「洗濯の洗剤切れてるの忘れてたのを思い出した」であれば、縁があると思います。軽微ですがこれも問題ですよね。 要するに、Object はメモするなどしてちゃんと捉えることが大事です。これを **捕捉(キャプチャー、Capture)** といいます。 捕捉をしないと、基本的に Object は忘れ去られます。最悪全部無視しても生活に支障は出ないか、大きな支障にまでは至らないと思いますが、それでも上述のとおり、創造性や細かい QoL の向上という点ではクリティカルです。 ## 4: Issue 課題の一種であり、 **見つかったハードル** を指します。 自分自身で行動していて、ふと(あるいは遠目から)ハードルが見えてきたというニュアンスです。 基本的にハードルを越えないと先に進めないので、進むしかありません。ビジネスや経営でも行動の重要がよく説かれますが、それはこの Issue を指しています。 **自分が進んできて、見えてきたハードルなんだから、(本当に先に進みたいなら)越えるしかねえだろ** というわけです。 一方で、実はハードルを越えなくてもいい回り道があるかもしれません。よほど妙案を思いつくか、そうでもなければ詳しい人から聞いて教えてもらうことで可能です。前者に期待をしないのなら、これも実質「詳しい人を探す」「聞く」という行動をするかどうかの話になります。 もう一つ、マネージャーなど複数の「前進する人達」を管理する立場の場合は、Aさんのハードル、Bさんのハードル、AさんとBさんの両方を遮るハードルなど、皆のハードルを認識する力が要求されます。 別の言い方をすると、AさんやBさんがどういう方向を向いて進んでいるかを知らねばなりません。知った上で、そこを見渡すことでハードルが見えるからです。逆に、ここを知ることができず、見当違いのハードルがこの先あるぞと言ったところで、AさんやBさんには刺さりません。 と、強引なたとえが続きましたが、要はAさんやBさん(あるいはこの人達が向き合っている仕事)のことをちゃんと知れないと、無能の域を出ることができません。 # Title: 提案の可否を決める3T 提案を受理してもらうためには、3つほどフィルターがくぐらねばならないと感じます。これを3つのTで整理しました。 ## 3つのT ### Trust * 信頼 * 提案者への信頼感があるか ### Tradition * 伝統 * 踏まえるべき慣例があるか * 慣例とは、ルールやプロセスその他明示的に言語化されてないもの ### Theory * 理屈 * 提案を行うべき具体的理由があるか ## 提案はどのように評価されるか 「提案者」が「承認者」に提案を出すとします。 提案とは、提案者がやりたいことの許可を承認者に取ることとします。なので、承認者はOK(やってもいい)、NG(やっちゃダメ)、保留のいずれかをジャッジすることになります。 承認者が3Tをどのように使うかを見ます。 ### 1: まずは伝統 チームにも組織にも会社にも、伝統というものがあります。 宗教と同様、これを踏まえないと異教徒扱いします。正直言って論外です。当然ながら NG を出します。 ただし、提案者が伝統に組み敷かれている立場だと、ここで無条件に OK が出ることがあります。 たとえば同族経営の会社で、創業者の子供や親戚が平社員として来ているケースで、その人が提案を出している場合です。伝統として「創業者の家族はひいきする」があるわけですね。 ### 2: 次に信頼 信頼には正と負があります。 承認者が提案者に対して「こいつは信用できない」と負の信頼を抱いている場合、NG を出します。ですが、これを正直に言うわけにはいかないので、見かけ上は保留に倒したり、もっともらしい理屈をつけて遠回しに NG を匂わせたりもします。 逆に承認者が「こいつは信用できる」と正の信頼を抱いている場合、その信頼が大きいと、OK が出ることがあります。この場合、通常は提案者は相応のポジションを持っているはずです。一方で、ポジションがあるから OK を勝ち取れるとも限りません。 ここで OK が出る目安は、以下を **両方** 満たすことです。 * 相応の実力があると証明できる何かがある * 実績やポジションなど * 提案者の人となりを知っている * 特に[日本は関係ベース](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)であり、半年以上過ごして知っているといったレベルの関係性が暗に求められていることが非常に多いです ### 3: そして理屈 ここでようやく提案の中身がジャッジされますが、実はこの Theory(理屈)についても、中身を見ているようで見ていません。 というより、ここは要は、 > 承認者「私は納得させてみろ」 ということであり、承認者は自分が納得しない限りは OK を出しません。 承認者が何を求めるかは恣意的で、以下 5W1H でいうと、どれをどれだけ要求するかは人次第です。 * なぜわざわざ私達がやらないといけないか * Why / 理由 * 何をやるのか * What / 概要やイメージ * どうやって実現するのか * How / 実現性 * いつまでにできるのか * When / スケジュール(コストも要求されることが多い) * 誰がやるのか * Who / 体制 * 誰を巻き込むのか・どこにアプローチするのか * Where / ステークホルダーや市場といった全体像と今回アプローチする部分 ## 提案自体の洗練よりもやることがある 3Tが言っているのは、いくら提案自体が良いものでも受理されるとは限らないということです。 承認者も人間ですし、組織人ですから、3Tを使うことが多いです。3Tに毒されていない組織や融通を利かせられる承認者もゼロではないと思いますが、1%どころではない希少さだと思います。期待はできません。 というわけで、3Tをクリアすることこそ重視しましょう。 # Title: 提案時はWhy、What、Howを全部出す 仕事や私生活において提案を行う場面はあると思いますが、上手く通じずに歯がゆさを感じる人もいるでしょう。 ## 十中八九、説明不足です Why(メリットや効果や妥当性)、 What(提案の概要やイメージ)、 How(具体的な進め方)、 これらを全部説明してください。 ## あなたが一番強い 提案に関して一番詳しいのは、おそらくあなたですが、相手もそうではあるとは限りません。 相手は、 * あなたほど提案について知らない(新しいことを受け付ける手間が生じます) * あなたほど提案に関する諸々について勉強や思考をしていない * あなたほど提案に時間をかける余裕やモチベがない というわけで、 **時間もやる気もない無能** のようなものです。 ## 相手が強くても関係がない 提案先の相手が自分より上の立場だったり、経験豊富だったりする場合も同様です。 よほど実力差のはっきりした世界でない限り、実力は提案側であるあなたの方が高いです。想像以上にあなたの方が高いのです。 ## 難しいコミュニケーション だからこそ、無能向けに、丁寧に説明をしなければ通じません。 それでも提案を全部伝えることはかないません。100の情報量のうち、よくて10しか伝えられないでしょうが、これは仕方のないことです。相手との差は埋めようがないからです。 提案とは、この難しくて理不尽なコミュニケーションに勝つことです。 この際、重要となってくるのが、タイトルと冒頭で書いた Why、What、How です。 要は、割と死角無しに全部端的に教えねばなりません。 ここで[ゴールデンサークル理論](https://go.chatwork.com/ja/column/efficient/efficient-735.html)を思い浮かべるかもしれませんが、本記事の内容は、プレゼンで共感を集める場面に限った話ではなく、もっと身近なものです。 たとえば Why → What → How の順番が最適とは限らず、Why は知っている相手に提案をする場面がありえます。この場合は What と How が必要ですし、ゴールデンサークル的に What → How の順で順序立てればいいというものでもありません。Why についても、[日本はハイコンテキスト](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)ですから、下手に伝えると「言われなくてもわかっとるわ」と印象を悪くする可能性すらあります。 そういう意味で、より一般的に言えば、 **Why・What・Howの三軸すべてを過不足なく伝えよ** です。不足もダメですし、過剰もダメなのです。 ## (関連記事) 相手との実力差を埋めるには、(日頃から対等な実力者として一緒に仕事をするのでなければ)相手にも対等な立場に立ってもらうしかありません。 この考え方をお伝えしたのがフェア・エフォートです。 以下記事では、提案の可否は3Tで決められるという話をしています。 # Title: スタートアップ・チケット 提案はそもそも提案者が圧倒的に不利なものです。もちろん無秩序を認めるわけにもいきませんが、それでも、提案をジャッジするという営みそのものがハードモードであり、もったいないものです。 このようなあり方を提案1.0と呼びます。 **提案1.0の限界を越えるには、新しいパラダイムが必要です** 。これを提案2.0と呼びます。 概要は以下記事に譲るとして、 本記事では、提案2.0の一つのやり方をお伝えします。 ## スタートアップ・チケットとは **スタートアップ・チケット** とは、誰の許可を取る必要もなく、新規事業や改善活動を行える制度を指します。あるいは、その制度で使うチケットそのものを指します。 社員にはチケットが付与されており、このチケットを消費することで行えます。 チケットの要件は事前に定めておきます(以下CRATEを参照)。 ## メリット バランスよく提案1.0の限界を越えられることです。 * 提案2.0的なあり方を採用しているので、提案1.0の限界を越えられます * しかし、チケットの要件を定めることができるのでガバナンスも利かせられます ## チケットの要件「CRATE」 チケットがあるからといって、何でもやっていいわけではありません。 どこまでやっていいか、どこはダメなのかといったラインを要件と呼びます。チケットには要件があり、要件の範囲内でのみ行動しても良いとします。 要件として決める際に使える観点が CRATE です。 * Charge * 使える時間は「期間」にするのか、「消費」にするの * Resouce * 使える予算と道具設備はどれくらいか * Approach * どこまでアプローチしていいか * 部内で提案を出すだけか、社内の誰に行ってもいいか、指定の顧客なら勝手に行ってもいいか etc * Transfer * チケットの譲渡はどうするか * 可能な場合、やらない人・やりたくない人のチケットも有効活用できるが、やる人が偏る * Encash * チケットの給与への反映はどうするか * **Transferが不可能であるという前提** * 反映する場合、チケットを残さず取っておけば自分の給料に加算される * チケットを使う人は「加算する分をも使ってスタートアップをする」ということで、モチベーションの高さが演出される → 追い風になる ### 要件として定めないこと * 1: どんなネタ(事業ネタや改善ネタ)を扱ってもいいか、という指定 * 2: チケットの補充ペース 以下補足します。 1: については、ネタ自体を要件に含めてしまうと提案2.0の意味がないため、意図的に排除しています。 組織としては「重点領域だけ扱わせたい」などと考えがちですが、それでは意味がないのでやめましょう。可能性や発想を絞らず、社員基点で、何でもやらせる余地をつくるこそこそが重要なのです。 2: については、チケットの補充をどうこうするといった話はチケット自体の話ではなく、チケットをどう扱うかの話なので、CRATEとしては扱わない、ということです。 ここを混同するとスタートアップ・チケットの議論や検討が煩雑になるので、チケットそのものとチケットの扱いは区別してください。 ## おわりに スタートアップ・チケットを実現するための、具体的な制度やシステムの話はしません。本記事では、提案2.0の例として概要だけをお伝えしました。 # Title: 書いて議論せよ 「トピックライティング」 口頭ベースの議論は中々上手くいきません。そもそも調整も大変です。 かといってチャット程度のやりとりもまた上手くいきません。X(Twitter)は泥沼ですよね。 このあたりの限界を越えたいなら、 **書いて** 議論すればいいのです。 ## トピックライティングとは **トピックライティング(Topic Writing)** とは、トピック(話題・議題・テーマ)を書いて、それに関する議論もそこに書いていく、という営みを指します。 ### Before/After * Before * 対面で口頭で会話する * 同上、空気を読んだりファシリテーターに頼ったりして会議する * メール、LINE、Teams や X(Twitter) のようなメッセージの応酬でやりとりする * After * Miro のような付箋ボードにトピックを置き、各自は言いたいことをその周囲に付箋で書いて貼り付ける * 1-トピック 1-ページ(ファイル)で書く場所をつくり、各自は言いたいことを、そのページに行って書き込む ### 既存の用語とは違います ドキュメント作成の分野で「トピックライティング」という言葉が使われていますが、 本記事の概念はこれらとは違いますので、ご注意ください。 これらは「汎用的に使える文章片(スニペット)」をつくって、これを組み合わせて文章を組み立てていこうという考え方です。 一方、本記事の概念は、トピックを書いて、これに関するコメントも書くという「書いて行うコミュニケーション」のやり方を指します。 ## メリット * メンバーの生活水準を確保できます * 会議するために時間や場所が拘束される、といったことがありません(少なくとも減らせます) * 書けばいいだけなので、各自が各自の生活リズムで[非同期的にコミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)できます * 深い議論ができます * 情報量が増えるので、議論が深くなります * 言いたいことは全部書けばいいので、情報量を増やせます * 空気を読まなくてもいいので、普段言えない人でも書けます * 皆の発言が見えるので、それを見てさらに思いついたり、ツッコミを入れたりできます etc * 情報格差や政治を減らせます * 書いたことが見えるので、こっそり内密に話し合うといった政治的余地を減らせます ## トピックライティングの進め方 ### 流れ 発想法的な進め方になります。 * 1: トピックを書いた場所を用意する(会場) * 2: 会場で、まずは発散をする * 3: 発散が落ち着いたら、収束を行う * 4: 意思決定を下す 発散と収束については、以下記事を参照してください。 ### 開催時間について 基本的には期限を設定します。 上記の流れで言えば、まず 4: の意思決定をいついつまでにしたい、があると思うので、それを決めます。2: の発散や 3: の収束についても、決めた方がはかどるなら決めればいいでしょう。 とはいえ、トピックライティングは各自が各自のペースで行えるのがメリットですから、 **なるべく決めない方が良い** です。 決めなくても、重要なトピックは自然と盛り上がります。盛り上がらないものは、重要ではないのです。これを **トピック・ダイナミズム(Topic Dynamism)** と呼びますが、自然な盛り上がりという成り行きを尊重しようと考えるのです。 しかし、そのためにはメンバーが自律性に行動して、書き込んでくれることが前提です。これができない場合は、啓蒙とトレーニングからです。 当サイトとしては、トピック管理という形で整備していたり、会議に頼らないあり方(脱拘束)も整理しています。 様々なヒントを扱っていますので、活用してみてください。 それも難しいようなら、書く会議を開催しましょう。従来どおり時間や場所を設定して集まりますが、喋るのではなくトピックライティングをします。 **集まっているのに、喋らずもくもくと書き込んでいる** という形です。奇妙に感じられるかもしれませんが、トピックライティングは書くからこそ効力を発揮するので、書かねば意味はありません。 もくもく会も参考になると思います。当サイトではマトリックスの形で整理しており、使えそうなパターンを俯瞰できて便利だと思います。 ### ツールについて 以下記事で紹介しています。すでに述べたとおり、発想法が行えるようなツールを使うのが良いです。 チャットでは力不足ですが、チャット以外にもツールはあります。それをまとめたのが QWIC です。チャットは C(Chat)に相当します。他にも三つほどあるということです。 # Title: 組織内全員で書いて議論する 「オープン・トピックライティング」 トピックライティングについては以下を見てください。 本記事では、このトピックライティングを組織内に開放した手法を扱います。 ## オープン・トピックライティング **オープン・トピックライティング(Open Topic Writing, 以下OTWと略します)** とは、トピックライティングを組織内全員で行えるようにしたものを指します。 ※主に会社(つまりは社内)を想定しますが、会社以外の組織でも使えます。規模としては数百人以上を想定しています。数千や数万も想定します。以降では会社を想定して書きます。 全員がアクセスする場を一つ用意して、誰でもいつでもトピックを設定したり、既存のトピックにコメントを書き込んだりできるようにします。 オープンな場ですので、アクセス権の設定はありません。部門内限定公開といった機能もありません。これがしたいなら、部門用のOTWツールを立ち上げてください。 ## メリット * 会社に関する議論が活性化します * 誰でも読み書きできるため、「全社レベルの課題」など全社という視座に立った議論ができます * 通常、この視座に立てるのは経営者だけですが、OTWでは全社員に開かれています * 組織内の健全性を上げることができます * 議論と意思決定が見えて透明性があるためです * 情報を追うことができますし、見えているので閉鎖的な政治もしづらくなります ## OTW実現のポイント 3点ほど整理します。 ### 1: ネットワークをつくる OTWでは、 **似たトピックをまとめたり、トピック同士のつながりを表現するべきです** 。具体的には、トピックからトピックに気軽にリンクを張れる必要があります。 現状これをサポートするツールは Cosense(Scrapbox) くらいでしょう。 このように表現すると、OTW全体はネットワーク構造になります。私たちはネットワークをあちこち辿ることで、トピックとその関連を辿っていけます。 人間関係や記憶やインターネットなど、ネットワーク構造は日常的に使いやすく親和性のある構造であり、それをOTWでも採用します。議論は再利用するものなので、あとから読み返したり生かせたりしないと広がりません。従来のカテゴリやリストやタグ的な整理だと限度があります。この限界を越えられるのは、現状ネットワークだけです。 ### 2: 新しいツールが必要 OTWは既存ツールでも実現できないことはないのですが、厳しいです。 既存ツールとして以下があります。 * 1: Miroのような無限キャンバス * 2: Scrapboxのようなネットワーク型のWiki * 3: GitHub Issues(Discussion)のような Issues * 4: GoogleドキュメントやBox Notesのような1-ドキュメント 1-ファイルでつくれて共同編集できるもの * 5: [Pol.is](https://pol.is/home)のような投票・議論ツール しかし、全員が使うポテンシャルがないのです。 たとえば従業員2000人の大企業で使う場合、2000人全員が自由に読み書きすることになりますが、そのポテンシャルがないのです。 * 1: と 2:(無限キャンバスとWiki)については、2000人の同時アクセスに対応していません * 3: と 4: (Issuesや共同編集ドキュメント)については、実現可能ではありますが、トピックを繋ぐ仕組みがないため、ネットワークを構築できず収拾がつかなくなります * 後述のメンテナでカバーはできます * 5:(Pol.is)は、ポテンシャルはありますが、全員誰もが色んなトピックをつくる・それを俯瞰したり探したりという部分が弱いです ですので、OTW用のツールを新しくつくるのが良いと思います。まだ巷には無いと思うので、ビジネスネタとしてもお役立てください。 ### 3: メンテナも必要 **メンテナ(Maintainer)** とは、その名のとおりOTWの場をメンテナンスする存在です。 メンテナのスタンスは 3 つほどあります。 * 1: 重複メンテナ * 重複した議論が出てきたときに、「その議論もう出てるよ」と教える存在 * 上述した従来ツールでOTWを行う場合、必須になります * Stack Overflow や GitHub の一部リポジトリなど、ソフトウェア開発の分野ではすでに知られています * 重複を教えたり「質の悪いコンテンツ」を掃除したりして場を清潔に保つための専任者がいます * 2: ネットワークメンテナ * ネットワーク構造をメンテナンスする存在 * 太りすぎた議論をnつの議論(nつのトピック)に分割したり、重複した議論を繋げて辿れるようにしたり、関連する議論を束ねたリンク集をつくったり etc * 3: メンテナを設定しない * メンテナンスを放棄するスタンスです * 議論の再利用を諦めることに等しく、今投稿された議論だけを扱うことに集中します * 当サイトで言えば [Rapid Q&A](https://note.com/workhack20/n/n3cce1fc66426) はこのスタンスです ## Q&A よくある話題をQ&A形式で整理します。 ### Q: 雑談やQ&Aをどこまで許容するか? Ans: トレードオフです。 投稿内容の自由度と「エンタメやノリの醸成具合」は比例します。 自由であればあるほど、誰もがとっつきやすいエンタメ的なコンテンツが盛り上がります or トップや一部部門の発信など特定のノリが幅を利かせます。一方、投稿内容に制約が多すぎると、そもそも活性化せず形骸化します。 良い塩梅は「 **議論なら** 何でもいい」とするくらいでしょう。仕事中に出た議論を、機密情報を漂白してOTWに投稿してもいいですし、もちろん全社レベルの提案や提起を行っても良いです。特定チームや部門の議論を、あえてOTW上で行うことでチーム外部門外からのコメントを期待するのもアリです――と、このように、議論だけであっても書けることはたくさんあり、十分盛り上がります。 ### Q: 書きやすくするために匿名にした方が良いか? Ans: 一長一短です。 実名の場合、最初のハードルは高いし、書かない人は書かないが、軌道に乗れば皆が集まる動線になります。乗らない場合は、同じ顔ぶれだけが使う + トップ層がたまに使うというノリが形成されるに終始しがちです。 匿名の場合、採用や導入のハードルは高いが、書きやすいので盛り上がります。「実名で、皆に見える場所に書く」ができない人はそれなりに多いですが、匿名だとこのハードルを越えられます。そのかわり、[日本は関係ベースで包括的思考であり](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)匿名と相性が悪いため、匿名自体のハードルがあります。 ※このハードルは高いです。ビジネスにおいて匿名でコミュニケーションを行えるツールが見当たらないことからも明らかでしょう。たとえばあなたは、10人以下のチームで「匿名でコミュニケーションを行うツール」を想像できるでしょうか。Teams や Discord などに「匿名チャンネル」があって、普段から使いこなす光景をイメージできるでしょうか。おそらく難しいと思います。文化的に抵抗感が大きいからです。 ### Q: 意思決定は誰がやるか、またどう示すか? Ans: 然るべき人がやります。示し方は複数考えられます。 まず誰がやるかについては、相応の権限を持った人なり部門なり適切な人がやるだけです。この点はOTWがあろうが、なかろうが、何ら変わりません。ただ、OTWを使うと、全社員による議論が情報として集まりますというだけです。 次に、意思決定の結果や根拠をどう残すかですか、二通りあります。 * 1: OTW上に意思決定者の見解を書く案(推奨) * 2: OTW上に書きはしないが、施策展開時などにOTWを根拠にした言い方・書き方をする * たとえば資料内の説明で、OTWのこの議論をインプットにした旨を書くなど 健全性の高い組織を目指すなら前者が良いです。意思決定の見解を示すことで透明性を確保できますし、OTW 上に見解が残ることで次の議論にも広がりやすいからです。 たとえば、提案Aが経営層によって却下された場合、「却下された理由それぞれを解消するにはどうしたらいいか」というトピックを新たにつくれば、すぐにでも議論を始められます。 ### Q: OTWにより全社員の議論が活性化したら、会社の意思決定が遅くなるのではないか? Ans: いいえ。 オープンな組織やフラットな組織でありがちですが、意思決定が遅くなるのは単に意思決定が下手なだけです。 まず、意思決定は然るべき者が腹をくくって行うべきです。そのために使えるヒントが、オープンな組織やフラットな組織やOTWの場合は増えるというだけの話です。増えたヒントにあぐらをかいて、意思決定を怠けてしまうのは、ただの無能にすぎません。 たとえ全社員に見えていて、厳しいコメントが飛んでくるとして、意思決定を怠っていい理由にはなりません。当たり前のことです。意思決定者なら腹をくくりましょう。あるいは、それができないのなら、できる人にバトンを渡すべきです。 別解として、ティール組織のように意思決定のプロセスを事前に決めておくという手もあります。 # Title: 提案2.0 新しい提案のあり方を示します。 ## 提案1.0 * 従来の提案のあり方 * 提案ネタをしっかりつくって、プレゼンして勝ち取るもの * 提案側が圧倒的な不利な状況 提案1.0の難しさはいくつか整理しています。 ## 提案2.0 * 新しい提案のあり方 * 1.0的な提案は不要で、無許可で始めることを認める * 2.0的では、提案とは「始めてみた活動の様子や成果」と「それに対する反応や影響」を指す ### リソースは最初から与えるか、無許可で取りに行ける 1.0的な提案では、提案を勝ち取ったあとに活動のリソースが与えられます。 一方、2.0 では、最初から従業員全員がリソースを持ちます。あるいは無許可で取りに行くことができます。 権限も含めて、無限に与えられているわけではありませんが、ゼロイチを行えるくらいは与えられているイメージです。従業員は、自分の持ち分を無許可で自由に使えます。 ### 動的な提案 提案2.0では、提案をしません。 かわりに各自が無許可で勝手に始めることができます。承認者は、その行動の様子や成果、あるいは反応や影響を見て、可否を決めます。1.0とは違って、 **行動前の時点ではジャッジはしません** 。 これを **動的な提案(Dynamic Proposal)** と呼びます。 ## メリット 新規事業や改善活動といった新規活動が活性化します。 * 1.0 から脱することができます: * 提案の準備に要するコストを減らせます * 承認者という偏ったハードルを緩和できます * 動的な提案をジャッジする権限は引き続き持ちますが、提案2.0ではすでに影響があらわれているので、承認者以外のルートから継続が決まることもあります ## 例 ### 20%ルール 業務100%ではなく、20%は好きなこと(本来の業務以外のプロジェクトやアイデア)をしても良いとする制度です。 > 投資せずにイノベーションを期待することはできません。主体性を持たせるために Google が採用している方法のひとつに、「20% ルール」があります。 20%ルールは、2.0的に言えば時間が最初から与えられているものと言えます。 ### スタートアップ・チケット 「新規活動を行えるチケット」を指します。従業員全員に配布されており、チケットを使うことで活動を行えます。 具体的にどれだけの活動が行えるか(リソースがあるか等)は、チケットの要件として定められています。要件を逸脱した活動はできません。 ### オープン・トピックライティング まず書いて議論するトピックライティングという手法があります。これを従業員全員に開放して、一つの場で全員が自由に書いて議論を行えるようにしたのがオープン・トピックライティング(OTW)です。 たとえば従業員1000人の企業であれば、1000人全員が自由に読み書きして議論できる「一つの場」があるということです。 提案2.0としては、OTWに誰でもいつでも書き込んでもいいことと、これにある程度の時間(たとえば1日1時間以上とか)を費やしても良いことを会社として正式に認める必要があります。 ## (関連記事) 上司など「活動の対象ではない人(本来関係がない人)」が阻んでくることがあり、これを事実上のお客様と呼んでいます。 提案1.0のあり方でよく見られる現象です。2.0にシフトすると、動的な提案を社内外に広く示せるので、これをスルーできる可能性が高くなります。 # Title: 無限キャンバスと「イーグル・アイ」 ![](/assets/n9cbad0d5548e_e3641c874e0989a6743eb934dbc718e5.png) Miro など無限キャンバスの悩みは、広すぎてどこに何があったかがわからなくなり、あちこち行き来してしまうことです。 これを解消するアイデアとしてイーグル・アイを提唱します。 ## イーグル・アイとは **イーグル・アイ(Eagle Eye)** とは、無限キャンバス上に設置できる眼です。眼一つに対してビューが一つあります。 つまり眼を4つ設置すると、ビューも4つあります。4つの景色を俯瞰できるということです。4つなので、おそらくは 2x2 で表示することになると思います。 別の言い方をすると、監視カメラの映像を俯瞰する中央制御室のようなものです。 ## 例 こんな無限キャンバスがあるとして、イーグル・アイを4個設置したとします。 ![](/assets/n9cbad0d5548e_1731530773-X2d8LpTJHEthzCvZkVD3Ks7n.png)1~4の眼を設置しています。 このとき、ビューとしては、次のようになります。 ![](/assets/n9cbad0d5548e_1731530810-irYU6k09zNBEvhpGOj2m48Tl.png)眼それぞれの視界を俯瞰できる。 ここでは4個の例でしたが、1個でも2個でも、あるいは4個以上も可能です。 ## メリット 無限キャンバスの悩み――あちこち行き来するという無駄な時間を減らせます。 ## イーグル・アイを使う 残念ながら、イーグル・アイを実装した無限キャンバスは無いと思います。たとえば Miro にもありません。 モニター室の例もあるように、決して新しい概念ではないですが、これを無限キャンバスに当てはめることで抜群に便利になるはずです。ぜひ検討してみてください。 # Title: ❌(停止中) 仕事依頼 ![](/assets/n1d25bbd96bf3_60c95316859300c1e1e13ee27d85a4d5.png) ## (2024/11/16) 現在停止中です 当サイトでは仕事術の解説・開発を受け付けております。 ## (お知らせ) * 2024/11/16、仕事依頼を停止しました * 2024/11/15、仕事依頼を開始しました 停止理由: 当サイトの探索体験が損なわれるおそれがあるため * 仮に仕事依頼が盛り上がった場合、当サイトの記事として「依頼に応えた記事」が増える * しかし、このような記事は、当サイトを読み漁りたい人にとってはノイズ * 仕事依頼は、当サイトの探索体験を損ねない形で別途実施するべきと判断した ## (クイックリンク) ご依頼フォーム メンバーシップ 有料記事 [https://note.com/search?context=note_for_sale&q=from%3A%40workhack20&sort=new](https://note.com/search?context=note_for_sale&q=from%3A%40workhack20&sort=new) ## ==== ## ご依頼のイメージ 基本的な流れ: * お客様は、「こんな仕事術がほしい」といった **依頼を出す** * 当サイトは **、** 依頼に応えた **有料記事を公開する** * お客様は、これを **購入して読む** やりとりの反復: * お客様は、 **追加リクエスト** があれば記事内コメントとして書き込む * 当サイトは、追加リクエストに応えた **有料記事を公開する** * お客様は、これを **購入して読む** まずは無料でかんたんなやりとりを行い、次第に記事の分量と価格を増やしていくというモデルです。 内容が気に入らなければ、そこでやめることができます。また有料記事といっても無料部分と有料部分があり、無料部分だけ見て気に入らなければそこでやめることもできます。 当サイトとしては「依頼やリクエストが来たら応える」だけであり、催促などは致しません。 ## ご依頼の例 * こんな感じの仕事術を教えてほしい、つくってほしい * 仕事のやり方を検討しているので壁打ちしたい * ~~について解説してほしい、既存の記事のこの部分を詳しく解説してほしい etc. もちろん、この他にも何でもお気軽にご相談ください。 ## 当サイトにご依頼するメリット * ご自身が本当に必要とする仕事術と向き合えること * 常識、文化、仕事の堅苦しさや締切といった制約にとらわれない、面白い仕事術と出会えること ### 仕事術は本質的に個人的なものだと思います 正論が通じるとは限らないように、正しいことがベストとは限りません。何がベストかはお客様次第です。 当サイトは仕事術2.0の豊富な知見と発想を生かして、お客様に様々なヒントをご提供します。 お客様を導こう、変えようなどとは考えません。ただただ持てうるベストを尽くして、ヒントをお出しするだけです。これをどう活用するかはお客様次第です。 ### 仕事術と向き合うための取り組み お客様自身に、ベストな仕事術を模索していただくために、この仕事依頼では「しないこと」と「すること」を決めています。 しないこと❌: * 締切や会議体や成果保証などの設定 * 音声通話やビデオ通話 * 機密性が必要なやりとり すること⭕: * テキストによるオープンなやりとり * アウトプットとして note 記事をご提供 * 最初は無料でやりとりを行い、徐々にご提供記事の金額を上げていきます 言うなれば、テキストで書いた「情報密度の高い仕事術」をお客様にぶつけるスタイルです。お客様としても、ご依頼や追加リクエスト等は当方に遠慮なくぶつけてください。 仕事術の模索に必要な、「情報の」やりとりに専念するということです。コーチングやカウンセリングやコンサル等ではありません。 ## ==== ## ご依頼の流れ(ざっくり) 2ステップからなります。 **ステップ1** では、お客様の依頼を受け取り、こちらから「大体こんな感じのことが書けそう」との選択肢を出します。どれを書いてほしいかを選んでください。 ![](/assets/n1d25bbd96bf3_1731583007-eJjv7f46yVEoiUIwkcrACML2.png)ステップ1の図解。掲示板へのアクセスにメンバーシップが必要です。 **ステップ2** では、選んでいただいたネタをもとに、こちらで有料記事を書いて公開します。お客様はこれを読んでいただき、問題なければ購入して続きも読んでください。 追加リクエストがあれば、記事のコメント欄からお願いします。リクエストに応えた有料記事を再び公開します――という形で、やり取りを繰り返します。 ## ご依頼の流れ(ステップ1) ### 1: 依頼を書く 以下のGoogleフォームからお書きください。 ### 2: メンバーシップに参加する いただいたご依頼への回答は、メンバーシップ内掲示板に書きます。ですので、 **メンバーシップに参加しないと閲覧できません** 。 [メンバーシップへのご参加](https://note.com/workhack20/membership)をお願いいたします。 * noteアカウントが必要です * メンバーシップへのご参加が必要です * 100円/月です(初月無料) ### 3: 書いてほしいネタを選ぶ 掲示板内にて、いただいたご依頼に対する回答を書いています。 ※掲示板内に新しく「 **投稿** 」しています。 具体的には「こんな内容を書けそう」といった選択肢をnつ提示しますので、どれが良いかを選んで、返信してください。 ※該当する「投稿」に「 **コメント** 」する形で返信してください。 1つだけ選んでも良いですし、複数選んでも良いです。1つだけだとじっくり書けます。複数だと1つ1つの内容が浅くなります。割合の指定があれば指定しても大丈夫です(あくまで目安としてとらえます)。 ## ご依頼の流れ(ステップ2) ### 1: 有料記事を読む 当サイトから有料記事をご提供します。 ※[有料記事については、こちらをご覧ください](https://note.com/workhack20/n/n0a664f58012d) 記事のタイトルは、お客様のご依頼によるものだとわかるようなタイトルにします。具体的には「フォームに書いてもらった名前」を使って宛てます。 記事をいつご提供するかの確約はできませんので、こまめに覗きに来てください。あまりに遅いようなら、掲示板の該当の投稿から催促してください。なお、こちらから遅延や辞退のお知らせを出すことがあります。 ### 2: 追加リクエストがあれば出す さらに書いてほしいことがあれば、記事のコメント欄にて追加でリクエストをお願いします。 こちらでリクエストを読んだ後、再び記事を書きます。読んだらスキをつけます。 ![](/assets/n1d25bbd96bf3_1731581969-uJVDrlSs5jEYat2kbozWnZ7B.png)既読としてスキをつけます。 なお追加リクエストは **記事を購入したアカウント** からのみ受け付けます。ですので、ご依頼した本人はもちろん、本人でなくとも購入した人であれば追加リクエストは出せます。 ### 3: 有料記事を読む 追加リクエストに応える形で有料記事を書きますので、それを読んでください――と、上述の 1: と 2: を繰り返します。 ## ==== ## 料金表と受付可能な文字数 ### 料金表 当方からご提供するものの内訳を示します。 ![](/assets/n1d25bbd96bf3_1731582092-mdkL5lH3TENOqheZSvwPftJu.png)やりとりが増えるほど分量と金額が上がります。 ご提供する記事の分量は目安であり、前後することがあります。 ### お受け可能な文字数 次にお客様からお受けできるご依頼や追加リクエストについて整理します。 ![](/assets/n1d25bbd96bf3_1731582334-dxyWM5fXPZcSuKHz3bJwY7hj.png)長々とした分量はお受けしません。 文字数は「半角1文字、全角2文字、空白と空行はカウントなし」で測ります。URLの文字数もカウントします。 超過分はカットさせていただきます。1回目で600文字をお受けした場合、最初の500文字部分を見ます(後ろ100文字はカットされます)。 文字数目安ですが、[この記事](https://note.com/workhack20/n/n9ff637acd68a)がURL抜きで800文字くらいです。 ## 注意事項 ### ラフにやりとりします ここまでご覧いただいたとおり、正式にお仕事をお請けするというよりは、もっとラフにやりとりをします。 最初は無料でできますし、気に入らなければそこでやめることができます。返事の催促もありませんので、途中で音信不通になっても問題ありません。お気軽にご利用いただけます。 そのかわり、当方もラフに望みます。 * 所定時間内の返事は保証しません * 基本的には数日以内、分量が多いものでも一週間以内など、ベストエフォートで取り組みます * また必要に応じて目安を提示します * 状況によりお受けしないことがあります * 基本的に返事は必ず返します * 荒らし、業者、スパムなどの場合は無視することがあります ### やりとりはすべてオープンです お客様のご依頼も、当方からご提供する記事も、 **すべて他の人も見ることができます** 。 * メンバーシップ内掲示板は、メンバーなら誰でも見れます * 有料記事は、 * 無料部分は誰でも見れます * 有料部分も購入者なら誰でも見れます * また有料記事のコメント部分も誰でも見れます * Googleフォームに寄せられた内容も、メンバーシップ掲示板や有料記事中で取り上げます したがって、 **機密性やプライバシーが必要なやりとりは行えません** 。ご依頼時に含めないように注意してください。 含まれていると思われる場合、当方で削除等の対応をすることがあります。 ## Q&A ### Q: 仕事依頼に関する質問があります Ans: この記事のコメント欄をお使いいただけます。 ### Q: 仕事依頼ではないが、コメントやリクエストを出したい Ans: メンバーシップ内掲示板からお願いします。あるいは仕事依頼フォームから仕事依頼ではない旨を添えて送ってください。 仕事依頼とリクエストの違い: * どちらも依頼ですが、当サイトのスタンスが違います * 「仕事依頼」は、基本的に誠心誠意対応させていただきます * 対応できない場合もその旨を返事します * アウトプットとしては必ず有料記事になります * 「リクエスト」は、完全に気分や興味で対応します * また雑に対応することもあります * 無料記事としてアウトプットすることもあります また「追加リクエスト」は、ご依頼の延長で、お客様からさらにリクエストをいただくことを指します。仕事依頼の一種です。 ### Q: 依頼や追加リクエストにURLを記載することは可能ですか? Ans: 可能です。 ただし、どこまで閲覧するかは気分や興味によります。 別の言い方をすると、ご依頼や追加リクエストの内容は(お受けする文字数分は)一字一句精読しますが、URL先についてはそこまではしません。 ### (随時追加します…) # Title: 邪推しない 邪推しても全く良いことがありません。 ## Case1: 正確に邪推できる この場合、邪推じゃなくて「割と正確な推測」と言えます。 ならば推測に基づいて上手く立ち回れば済むだけです。こうすれば行けそうというならやればいいし、どうしようもないなら距離を置けば良い。 ## Case2: 邪推が杞憂になることが多い 最初は邪推していたが、実際話してみるとそうでもなかった、杞憂だったということはよくあります。 であるならば、「どうせ外れることが多い」のだから、邪推はやめた方がいいでしょう。 むしろ、日頃から邪推することで自分のメンタルもキツイですし、その人へのあたりもきつくなります。邪推が正しくなかったとすると、実際そうでもないのに、一方的にきつくなっているわけで、これは自分の首を締める行動です。で、邪推が外れることが多いのなら、そうなる可能性も高い。 なら、その根本である、邪推そのものをやめた方が良いと言えると思います。 ## 邪推しないためには ポイントは二点です。 * 邪推という行為自体を食い止めること * 邪推先の相手という根本へのアクションを行うこと ### 邪推を食い止める 自分がどう考えるかという話であり、その考えをやめようという話なので他者や環境はあてになりません。 ※考える暇がないほど忙しくする、は解の一つです。 頼れるのは自分だけです。つまり、自分で「邪推している自分」に気付いて、自分の意思でやめる必要があります。 瞑想やメインドフルネスという言い方がされることもありますが、要は **メタ認知** です。 もう一つ、どうしても考え尽くしたい、もやもやしているという場合もありますので、その場合は考え尽くすことで発散しましょう。 とことん考え抜いて「考えきった」という段階に至れたら、それ以上はないのでもやもやも消えます。当サイトでは「内省」として取り上げています。 メタ認知と内省の両方でもダメな場合は、適性がありませんので、 **考える暇がないほど忙しくなってください** 。 実は、これが最もシンプルな方法で、自己啓発書や金言などでもよく見かけるほどの鉄板でもあります。 パートナーと一緒に暮らしたり、子供をうんで育児をしたり、ペットと暮らしたりといった「大変な営み」をなぜするかというと、考えなくて済むからです。特に養育欲求は、ケンリックの欲求ピラミッドでは最上位に置かれるほど強いそうです。 ※欲求ピラミッドはマズローが有名ですが、近年ではケンリックを支持する声も増えてきました。本記事では詳細は割愛します。note記事を一つ見つけたので置いておきます。 ### 邪推先に働きかける 邪推は仮説であり、仮説は検証されねばスッキリしません。検証するためには、邪推先となる相手に働きかけねばなりません。 具体的には、 * 相手から実際の声を聞く * これ以上相手と接する必要がない、という状態にする * 自分から距離を置く * 何らかの議論や手続きにより、相手との関係性を断つ * 相手を追放する etc などです。 別の言い方をすると、 **働きかけるための行動をさっさとせよ** 、と言えます。早ければ早い方がいいです。行動をして、スッキリするまでは基本的に永続します。偶然働きかけが起きたら良いですが、そうそう起きません。 ### 文化の違いもある [日本はハイコンテクスト](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)であり、直接言わずに「察しろ」を美徳としますから、察せない人は不利です。 これは文化的なものなので、ローコンテキスト的に「率直に言い合おうぜ」と持ち込もうとしても、相手は中々言いません。言ったとしても間接的で遠回しです。 ですので、 **ハイコンテクストを読めない側の人は、日本の文化圏では正直不利(邪推に疲弊しやすい)だと思います** 。 だからこそ、食い止めるため・働きかけるための行動を意識して、積極的にやってください。それが自分の精神を守ることにも繋がります。 # Title: インフォモスフィア(雰囲気という情報) ![](/assets/nb8633e87c910_544ab49600909a0e7d9cfe2bb4f80760.png) 場の雰囲気は、それ自体が重要な非言語情報です。にもかかわらず、ハイブリッド開催ではおざなりになりがちです。 具体的には、現地での中継は **「登壇者が立つ舞台周辺」だけ** が映されがちです。 ## インフォモスフィア 「場の雰囲気」という情報を **インフォモスフィア(Infomosphere)** と呼びます。 Information + Atmosphere からつくった造語です。 「場の雰囲気という情報」は重要な概念なので、名前をつけました。名前をつければ言及ができ、言及ができれば議論ができます。 ## インフォモスフィアは多い ハイブリッド開催の構図は、たとえば次のとおりです。 ![](/assets/nb8633e87c910_1731635889-qwne9JXATSlQsbUg6Bz8CxpN.png)一つのリアル会場と、n箇所からのリモート接続。 青色部分だけが映されがちですが、インフォモスフィアは他にもあります。 **リアル会場自体の他の場所** もそうですし、 **リモートで繋いでいる各拠点・自宅・出先** もそうです。 ## メリット インフォモスフィアを重視するメリットは3点あります。 ### 1: オンラインとオフラインの不公平感を中和できる 現地参加オフライン勢と、リモート参加オンライン勢との確執は至るところで見られます。 特に日本は[関係ベースの文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)であり、[礼儀1.0(手間暇費やすことこそが礼儀だとする立場)](https://note.com/workhack20/n/n4326177679d5)を常に要求するケースもまだまだ多いです。 これを解消する方法は以下のとおりですが、 * [エンゲージメントを高くする](https://note.com/workhack20/n/n0013a371c674) * [働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)を取り入れる * オンラインを前提としたあり方にし、オフラインはやりたい人達が行うようにする * オンラインファーストと呼びます * 逆に従来はオフライン・ファーストなので、オフライン側が幅を利かせてしまい、オフライン側が不利な立場になります どれも改革・変革が必要なレベルの変化であり、すぐに行えることではありません。 **即効性の高いやり方が非言語情報、特にインフォモスフィアを交換すること** です。つまり、 * オフライン側は、会場のインフォモスフィアを共有する * オフライン側が、相手の非言語情報を得ることができます * オンライン側は、自身のインフォモスフィアを共有する * オンライン側も、相手の非言語情報を得ることができます ということです。 お互いがインフォモスフィアを提供すれば、お互いに相手が差し出しているとわかるので不公平感が減ります。 ### 2: グルーミングを強化できる すでに述べたとおり、日本は関係ベースであり、一緒に過ごして親近感を醸成することは重要です。このような営みを **グルーミング** と呼びます。 通常、グルーミングは、同じ場所と時間に同座することで行いますが、ハイブリッドでは叶いません。 しかし、できるだけ近づけることができます。ここでキーとなるのがインフォモスフィアです。 ハイブリッド開催でグルーミングが上手くいかない人や組織は多いですが、単に共有する非言語情報量が少ないのです。もっと増やせば済みます。かといって全員が喋るわけにはいきません。どうすればいいかというと、インフォモスフィアを増やします。 ### 3: イベントへのコミットが増える インフォモスフィアがあると、単純に退屈しないので、参加者がイベントに居座る率が高くなります。居座り続けると、当然それだけより興味を持ってもらえる率も増えます。 これはオンラインに限らず、現地オンライン勢も同様です(ただし現地で自分のデバイスで繋げることが前提)。 ## インフォモスフィアをもっと共有するには インフォモスフィアという非言語情報をもっと共有するためのヒントを整理します。 ### ライバーを使う **ライバー** とはリアル会場において、インフォモスフィアの中継を行う役割を指します。 会場で会議に接続し、ビデオをオンにして、会場の様子を移し続けます。統一的なプロセスやガイドラインに従って動いてもいいですし、ライバー本人のキャラクターに委ねてもいいでしょう。 ライバーの良い点は **固定的な景色でもないし、機械的な切り替えでもない** ところです。人間が映した、ストレスフリーで温かみと個性のある光景を演出できます。 ただし、ライバーのカメラワークやトークなどの実力はもろに出ます。将来的にはライバーは専門職となり、イベントに駆り出される存在となるでしょう。 ### 回転中継を使う カメラを置くだけだと固定的な景色となり、退屈します。もったいないことです。また、現地で「カメラに映りたくない人」や「映りたい人」の静かな醜い争いが勃発します。くだらないことです。 これらの問題をスルーするために、 **映らない安全地帯など無い** という中継の仕方を採用します。 **回転中継** はその一つで、リアル会場の中央などに回転機構(等速で回転する装置)を置き、カメラをそれにくっつけるやり方を指します。 ※カメラに詳しくないため詳細は割愛しますが、おそらくカメラ単体では実現不可能で、回転機構を別途用意する必要があるはずです。あるいは、現状無いのであれば、回転機構自体が新たなビジネスネタになります。 ### 装飾された舞台を使う **装飾された舞台(Deecorated Scene)** とは、自宅などから繋ぐオンライン勢向けのやり方で、素の部屋ではなく投影用に整えた一画を映すというものです。 机や棚を映してもいいですし、自慢の陳列棚や本棚を映してもいいでしょう。あるいは愛猫が気まぐれで行き来するベッドを映してもいいかもしれません。やりようはいくらでもあります。 一見すると「そんなものを映して何の意味が?」と思われるかもしれませんが、それでいいのです。何も無いよりははるかにマシです。 ### ライブユニットとキャパシティ インフォモスフィアを共有する単位を **ライブユニット** と呼びます。 たとえばリアル会場でカメラを二個使って中継する場合は、ライブユニットは二つです。オンライン勢は通常一人一つでしょう。 もう一つ、ライブユニットの推奨個数を **キャパシティ** と呼びます。キャパシティに至るまではユニットは増やしてもいいですが、キャパシティよりも多く増やすとノイジーになります。 キャパシティの求め方は、次のとおりです。 > 1 + (島の数) まず会場全体という「場」がありますので、1 つはありますね。 残りは「島」の数次第です。島とは、グループで固まって座っているテーブルのようなものです。物理的でもいいですし、論理的でも構いません。物理的に分かれてるテーブルを島としてもいいですし、物理的には並んだパイプ椅子に座っているだけだが所属組織ごとに分かれて座っているなら、その単位を島とみなしても良いです。 オンライン勢の場合、自室などの会場があるので 1、自分一人の島もあるので 1 で、キャパシティは 2 になります。 キャパシティの定め方は他にもありますが、上記のシンプルな式が端的で使いやすいと思います。 **インフォモスフィアの真価は、ライブユニットを増やしていくことで発揮されます。しかし、いたずらに認めても、無闇に増えすぎてノイジーです** 。キャパシティという考え方は、ちょうどよいバランスに落ち着かせるのに役立ちます。 ### ビデオとインフォモスフィアの分離 多くの場合、一つのカメラ(ビデオ)で「本人の様子」「本人の音声」「本人がいる場のインフォモスフィア」のすべてをまかなおうとしますが、これは固定観念です。 分けることができます。 たとえば、以下のように2つにもできますし、 * 本人の様子 + 本人の音声、を担当するカメラ * 本人がいる場のインフォモスフィアを担当するカメラ 以下のように細かく分けることもできますし、 * 本人の様子、を映すだけのカメラ * 本人の音声、を届けるだけのカメラ * 本人がいる場のインフォモスフィアを担当するカメラ ライブユニットを増やすのなら、以下のようなこともできます。 * 本人の様子、を映すだけのカメラ * 本人の音声、を届けるだけのカメラ * 本人がいる場のインフォモスフィアを担当するカメラ1 * 本人がいる場のインフォモスフィアを担当するカメラ2 要は **「会議につないで情報を伝える単位」は柔軟に拡張できるということ** です。インフォモスフィアの概念は、この柔軟性に気付かせてくれます。 とはいえ、現状のオンライン会議ツールですと、増やした分だけ見かけ上のユーザーが増えてしまいます。 たとえば🐶さんが上記4つの単位を使った場合、会議場の参加者欄には🐶さんと思しきものが4人分並んでしまうでしょう。そもそも🐶さんとしても4つのデバイスを使うことになります。 ですので、ライブユニット含め、このような柔軟な単位を実現するための何らかのソフトウェアが待たれます。 # Title: オンライン勢とオフライン勢の確執を解消するには 以下記事で少し取り上げましたが、 本記事にて改めて解説します。 ## 確執とは **現地会場に参加するオフライン勢と、現地には参加せずリモートで参加するオンライン勢との間に生じる確執** を指します。 特徴としては、目に見えるほど露骨なバチバチは生じませんが、静かには生じています。たとえば、 * オンライン勢から見ると: * 「参加しない奴って何なん?」 * 「オンライン勢のための中継?資料共有?だるくない?参加しない方が悪いんじゃん」 * オフライン勢から見ると: * 「しょうもないノリで楽しんでてアホくさ」 * 「なんで資料共有しないんだろう、中継しないんだろう、自分達さえ良ければそれでいいのか?」 などです。 しっかりと議論して吸収できれば良いのですが、たいていはそうはならず、リアル会場でそれなりのプロセスを踏むという[建前](https://note.com/workhack20/n/nc2bb7da1a498)に収束します。オンライン勢は「現地でちゃんとやったのでそれでいいよね」となりますし、オフライン勢「一応参加はしているのでそれでいいよね」となります。 ## 確執を解消するには 文化やメンタルモデルといった「根本」が原因なので、解決するのは難しいです。変革と呼べるレベルで、丸ごとやり方を変えて「そもそもそんな確執が生まれないようなあり方」に変えるしかありません。 アプローチとしては3つほどあると思います。 ### 1: エンゲージメントを高くする エンゲージメントが十分満たされていれば、オンライン・オフラインといったあり方は些細になります。 問題は、そのエンゲージメントを満たすことがそもそも難しいことです。 上記記事でも述べましたが、ファミリーか、ミッションか、ビジョンしかありません。ファミリーとビジョンの場合は、おそらく現地参加一択になると思いますので、事実上ミッションでしょう。 つまり **ミッション・エンゲージメント(ME)を十分満たせれば、確執は自然と解消に向かうと思います** 。実際、MEが満たされているということは、各自が各自の働き方で満足感高く働けているということですから、オンラインだのオフラインだのといったくだらない対立も生まれません。どちらも多様性として尊重されますし、どちらも満たせるような立ち回りを双方とも実施するはずです。 ### 2: 働き方の多様性を確保する 働き方の多様性(WSD)とは、n通り(少なくとも2以上)の働き方が共存されている様を指します。 たとえば朝型と夜型が共存しています。 朝6:00に勤務開始する人と、昼前の11:00に勤務開始する人とが共存しています。片方が他方に「こちらのリズムで勤務しろ」などと強要することはありません。 要は、WSDとして、オンラインとオフラインの二つが確保されればいいだけの話です。1: で挙げたエンゲージメント観点も、WSDで改善できる観点の一つです。 ### 3: オンラインファーストにする オンラインを前提としたあり方にし、オフラインはやりたい人達が行うようにするあり方を **オンラインファースト(Online First)** と呼びます。 一方、従来はオフラインが前提であり、オンラインはオフラインよりも軽視されがちです。これをオフラインファーストと呼びます。 そもそも **確執の原因は、もう現代ではオンラインのやり方ができるのにもかかわらず、オフライン派が幅を利かせすぎている** ところにあります。ですので、そんなオフラインファーストなあり方をやめて、オンラインファーストに移行するのです。 オンラインファーストであれば、オンラインでも仕事が行えるように整うはずですから「基本的にオンラインで済ませる」が当たり前になります。 しかし、人間ですし、人によってはオフラインがほしいでしょう。そういう場合はオフラインをすればいいのです。ただし、オンラインファーストですので、オンラインで通用することを前提とした上で、さらにオフラインに関する準備を行わねばなりません。 手間はかかりますが、オフラインがしたいのですから許容できます。また、すでにオンラインでも済むはずなので、オフラインしたい人たちが手を抜いたところで影響はないはずです。 # Title: SiNS(Social intra-Networking Service) 本記事は、ワーク・ゲーミフィケーション(下記記事)の一手法です。 ## SiNS **SiNS(Social intra-Networking Service)** とは、社内SNSを指します。特にワーク・ゲーミフィケーションが発生しやすい性質を持つものを想定します。 ## 例「社内Twitter」 社員のみが利用できるX(Twitter)のようなSNSがあるとします。以下を満たすとします。 * 社員には必ずアカウントが付与されます * 社員は自分のアカウントを自由に使えます * 上司や所属PJ・チーム・組織などから管理されることはありません このような社内SNSがあると、現実のX(Twitter)と同様、個人レベルで多様なつながりや拡散が生まれます。同じ社員同士ゆえに親近感があり、民度も高いため、建設的なやりとりも生まれやすいです。 結果として **ワーク・ゲーミフィケーションが重視する「フィードバック」の機会も増えます** 。わからないことをポストしたら知っている人が応えてくれたり、問題提起や企画を書けばコメントをくれるでしょう。 もちろん、従来のSNSと同様、インプレッションや存在感を示すことが価値につながるので、ポストやリプライを行うインセンティブも高いです。ポストやリポストの総量が増え、総量が増えればそれだけフィードバックが来る率も上がります。 SiNSにより、従来の閉鎖的な階層組織だけでは行えなかったスケールで情報量と流通量が増えます。よって **誰もがフィードバックを得やすくなります** 。 ## SiNSの要件 ワーク・ゲーミフィケーション、特にフィードバックを活性化させるためには、それなりの要件を要します。 ### 調達の要件 * 全社員に必ずアカウントを配ること * 使わないのはアリだが、社員である限り利用停止は不可能 * 退職時のアカウント削除は、個人本人が選べること * 必ず残すでもなく、必ず消すでもなく、本人が選ぶ * ただし残す場合はアーカイブの扱いにしても良い ### 自由の要件 * 各人は完全に自由に行動できること * 上司や所属組織による管理を受けないこと * 誰でも誰とでも繋がれること * フォローバックやブロックなどは自由だが、フォローやリプライやリポストも自由 * 別の言い方をすると、社員は誰でも誰にでもアクションを起こせるという前提を持つこと * 利用に関する制限がないこと * 1日1時間まで、といった制限はなく、いつでも誰でもいくらでも使える * 「使いすぎて仕事サボってる」「問題発言してる」などは各自で対処する ### オープンの要件 * オープンを保つこと * オープンとは社内全体公開を指す * 別の言い方をすると、 * **DMなどクローズトなやりとりは禁止すること** * **鍵アカウントやプライベートグループも禁止すること** ### インセンティブの要件 * 各個人というエンティティが存在し、各個人レベルの活動や成果が見えるつくりであること * なので **DiscordやTeamsのようなチャット型は該当しない** * 各個人のスコア(影響力や貢献)を可視化できること * X(Twitter) でいうフォロワー数、リポストやいいね数 * Q&Aサイトでいう「稼いだポイント」 * ブログサービスや動画サイトでいう「総閲覧数」 etc * 同上、スコアは所属組織ではなく個人に紐づくこと ### 運用の要件 * 24時間365日、安定的に稼働すること * 中央組織によるモデレーションやリコメンデーションを入れないこと * たとえば🐶さんのポストは🐶さんにしか削除できない。誹謗中傷や機密漏洩など要削除ポストがある場合も、🐶さん本人に削除してもらう * ただし各個人は「緊急時に代理で操作できる者」を設定しておくことができる ## SiNSを実現する 以下の2つが必要です。 * 1: 社員全員の利用に絶えうるツールの整備・展開 * 2: 上述した要件を保証する制度 本記事では 1: のツールのみ議論します。 ### どのようなSNSを使うか? 手段の例を挙げます。 * 拡散的マイクロブログ * 例: X(Twitter) * Fediverseな拡散的マイクロブログ * 例: Mastodon * ブログ * 例: note、はてなブログ * Q&A * 例: Yahoo! 知恵袋、Stack Overflow、Quora * Issues * 例: GitHub Issues * 動画 * 例: YouTube、Twitch、Tiktok 他にもあると思いますが、オープンの要件やインセンティブの要件を満たせるものでなくてはなりません。 正解はなく、どれを使っても SiNS は可能ですが、発信難度と影響力と表現力に差があります。 * マイクロブログは発信しやすく、影響力も非常に大きいが、表現力は短文のみ * 動画は表現力が高く、影響力も(バズれば)大きいが、発信のハードルが高い * Q&A や Issues は質疑応答の意味では発信しやすいが、影響力は弱い etc * せいぜいアクセスや書き込みの多い質問回答が出る程度でしょう とはいえ、発信のしやすさと影響力の大きさを考えると、現状はマイクロブログ一択だと思います。 どのSNSも社内SNSとしては便利ですが、今回はワーク・ゲーミフィケーションの文脈であり、フィードバックを活性化させたいので、発信のしやすいマイクロブログに分があります。 ### SiNSを実現できるツールはあるのか? Ans: ありません。 まず社内SNSを実現できる手段そのものが少ないのと、あったとしても、上述した要件を満たすものがありません。 要件を満たすことは非常に重要です。要件を満たせないと、ワーク・ゲーミフィケーションと呼べる(フィードバックが活発である)状態に至れません。 また、社員全員のアクセスに耐えうるインフラが必要といった課題もあります。課題全般は以下記事で整理しています。 ### それでも現実的に実現するとしたら? 2024/11 現時点で、最も現実的に実現しやすいのは Issues でしょう。 たとえば GitHub Issues(あるいはよりコミュニケーションに適した Discussions)が使えます。すでに何千何万人が参加するオープンソースとしての事例が数多くあります。 仮にこれを採用する場合、一つのリポジトリに全社員を集めて、Q&Aサイトとして使うことになるでしょう。 しかしながら、インセンティブ要件の「各個人のスコア」が無いので完全ではありません。また、社員数が多くて盛り上がる場合は、流速が速すぎて追いきれなくなり形骸化します([Rapid Q&A](https://note.com/workhack20/n/n3cce1fc66426)のように割り切るなら問題ない)。 次いで Viva Engage のようなマイクロブログです。 ですが、オープンの要件を満たさないので、クローズドな利用がメインとなってしまって、ワーク・ゲーミフィケーションと言えるほどフィードバックの多い状態には至れないと思います。 と、この程度であり、まだまだ現実が追いついていません。 ※だからこそ圧倒的なビジネスチャンスだと考えます。 他のSNSについては、社内で使うものすらありません。 あるいはあっても少人数用です。ブログ系ではすでに企業向けもありますが、たとえば従業員3000人の大企業で使うとして、3000人全員が使えるかというと、使えません(想定されてもいません)。 # Title: 整理の本質は固定(場所と総量と常用を固定せよ) 整理の本質は「固定」と言えると思います。さらに、何を固定するかを三つに絞って、わかりやすくまとめました。 ※汚くても自分がわかればそれでいい、のような意味での整理はここでは言及しません(一応「常用」の部分では扱えます) ## 場所を固定する * モノの置き場所を固定する * 使ったものは、その場所に戻す ## 総量を固定する * モノを抱える総量が一定量を超えないようにする * キャパオーバーしないようにする * キャパオーバーした分は捨てる * たとえば新しく1つ手に入れたら、古いものをどれかを1つ捨てる * 2つ手に入れたなら2つ捨てる etc ## 常用を固定する * 常用とは「普段使っている」もの * 常時使っているもの * 愛用しているもの etc * 常用がすでに固定されているならそれでよい、固定されていないなら固定する * つまり毎回同じものを使うようにする また、「 **常用」には「場所」と「総量」のロジックは適用しなくて良い** とします。 たとえば常用するものは机に置いて、散らしても良いです。いちいち特定の場所に仕舞う必要もありませんし、 しかし、だからといってたくさん散らしていると収拾がつかなくなるので厳選します。「 **n個まで」と総量的に決めるというよりは、数に縛られず、必要なものを最小限だけ使うイメージ** です。状況によって変化することもあるでしょうし、人によって「1個」もあれば「15個」もあるでしょう。自分にとって、を意識してベストなバランスを調整してください。 ## 一言で言うと? Ans: 整理のPST、と名付けてみました。 場所(Place)、総量(Total)、常用(Regular)ということでPSTです。 # Title: お前はまだ本当の行動評価を知らない 行動評価は機能しづらい、との感触があると思います。なぜ機能しづらいかというと、 **行動評価の皮を被った成果評価になっているから** です。 ## 現状の行動評価 * 組織が「あるべき行動」を決める * ビジョン的に全社員が心がけるべきもの * 等級や役割ごとに異なるもの * 行動には目標が設定され、その達成を見る トップダウンあるいは合意形成で決められており、目標が存在しており、これの達成程度が給料とキャリアに繋がります――というわけで、事実上、成果評価になっています。 行動評価という名の **内部成果評価** とでも言えるでしょう。より率直に言えば **ノルマ** でしかありません。行動を評価すると言いつつ、見ているのは成果なのです。 ## 保守的と冒険的 現状の行動評価は **保守的** と言えます。 組織全体を守るために、全員に「このように行動せよ」と課すのです。また、ビジネスですから、行動自体ではなく行動の結果を測定しようとします。 これはこれで有益ですし、重要ですが、行動評価のあり方はもう一つあります。それが冒険的なものです。 ## 冒険的な行動評価 **冒険的な行動評価** とは、組織の多様性や変革を促すための行動評価であり、組織内で実情としてマイノリティとなっている、あるいは事例のない行動を評価する制度です。 ### ### 例 * フレックス制度は整っているが、9:00~17:00勤務が当たり前の部門において、唯一5:00-13:00勤務を一ヶ月実現した * [ミュートウィーク](https://note.com/workhack20/n/n1c6b5462dba2)を実現した * 物理的に出社できる場所に住む(東京本社なら関東圏など)のが当たり前だったが、北海道で二週間リモートワークをした * 声と圧の強い、太いお客様に対して、プロジェクトの歴史上初めて明確な反論を申し上げた ### 評価方法 * 1: 加点式であること * 2: 全社員が評価すること まず加点式にします。何もしなくても加点がないだけで、減点はありません。「現状維持」という多様性も踏まえるためです。 次に評価者を全社員にします。つまり、どんな行動をしたかという報告は、全社員に見える場所で行う(公開する)ことになります。その上で、全社員がいいねをつけます。 **チームや上司や上位上司が(だけが)評価するわけではないことに注意してください** 。 また、事前に目標のすり合わせやトップダウンからの圧力もないことに注意してください。あくまでも各自が自分なりに冒険的な行動をして、それを公開します。 ### 全社的に公開する理由 チーム内や部門内など、狭い範囲で評価を完結させると、マイノリティが十中八九潰されてしまうためです。 そのような現状を憂いているからこそ、冒険的な行動評価では広く公開します。「ほらね、全社レベルで見たら意外と悪くないでしょ」を証明するのです。 また、評価シーズン時は全社員が全社員の行動を見ますから、多様な行動があるんだな、やってもいいんだ、できるものなんだと学びにもなり、[働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)が底上げされます。 ## (関連記事) 冒険的な行動評価のように「仕事のやり方や考え方の工夫」を評価することを **工業(こうせき)** と呼んで、整理しています。 # Title: noteへの要望: エクスポートした記事データにハッシュタグとマガジン情報も含めてほしい 2024/11/16 現在では含まれていません。 含んでもらえると助かります。 * ハッシュタグにせよ、マガジンにせよ、クリエイターが考え抜いて設定したものであり「作品の一部」だと思うからです * 人によっては賛否両論ありそうです * 反論の例: * 宣伝や分類のための項目であり、作品の一部ではないから入れなくていい * エクスポートするデータ量が増えるから要らない # Title: ダイバーシティ・エンジニアリング 仕事において多様性を尊重するために、仕事術(仕事のやり方や考え方)を工夫すること。 ## 背景 * 単に「配慮しろ」といわれても困る * プライベートであれば「かかわらない自由」があるが、仕事ではそうはいかない * 頭では「多様なあり方を受け入れるべき」とわかっているが、わかったつもりになっているだけで、行動に移せていない * 主義やルールや成果に反するから * ぶっちゃけだるいから つまり必要性は高まっていますが、やり方がわからず前に進めない、進みようがないのが現状です。 ## ダイバーシティ・エンジニアリング **ダイバーシティ・エンジニアリング(Diversity Engineering)** とは、多様性を確保するために、仕事のやり方や考え方を工夫することです。 少し変えたり調整したりすることもあれば、現状のあり方を言語化して認識してもらったり、皆で議論したりもします。また、新しいやり方を開発することもあります。 私たちは既存の文化やルールにとらわれますし、組織やチームとして単一のやり方にこだわりがちですが、ダイバーシティ・エンジニアリングはここに抗います。 * 自分達が何にとらわれているかを認識します * 他のどのようなやり方があれば良さそうかを模索し、言語化・方針化・理論化します * 複数のやり方が共存できるようにします(共存してもいいという発想の定着と、共存するためのやり方の模索) ## 例 ダイバーシティ・エンジニアリングは考え方、やり方、個別の例(「多様性」として具体的に何があるか)から構成されます。 いくつか例を挙げます。 ### 考え方 多様性と聞いて思い浮かべるのは「典型的な多様性」だと思いますが、それ以外ではないという点を述べています。 当サイトが「仕事術2.0」は、まさにダイバーシティ・エンジニアリングにうってつけです。 ### やり方 マイノリティとの共存方法は色々ありますが、代替案を提示することで共存しやすくするのが「代替による共存」です。 多様性というと抽象的でわかりづらいですが、「働き方の」多様性に絞って考えるとやりやすくなります。 ### 個別 ハイブリッドワークは、ダイバーシティ・エンジニアリングの観点ではまだまだ足りません。より融通を利かせられるあり方を開発しました。 朝型と夜型も多様性の一つです。 自己管理できる人とできない人がいます。 これも多様性であり、自己管理できない人にはできない人なりの、できる人にはできる人なりのやり方が必要で、かつどちらも共存したいです。 この区別は非常に重要であり、当サイトとしても重点的に解説しています。 # Title: 静かな隔離と内密な隔離 モンスター社員や「物わかりの悪い集団」の対処法として隔離があります。 ## 隔離とは **隔離** とは、集団を適用対象と非適用対象に分けて、後者にバレないよう前者にのみ適用を続けることを指します。 後者を **無害郡** 、前者を **有害郡** と呼びます。つまり隔離とは、集団を無害と有害に分けて、無害だけでこっそりやる、それも有害にはバレないようにやるということです。 チームで行う場合、有害郡は1人になると思います。たとえばモンスター社員です。 組織で行う場合、有害郡は複数の社員になります。たとえば、ある全社的施策において、しつこくクレームを送ってくる一部のクレーマー社員です。従業員5000人の会社において、ある施策に対するクレーマー社員が4人いる場合、この4人が有害郡です。 ## メリット 有害郡に疲弊せずに済みます。 有害郡への対処は、通常はチームや組織として毅然と対応すると思いますが、そうかんたんに行かずに長期化しがちです。また矢面に立つ人(上司やリーダーやマネージャーやフロント)も疲弊します。 抜本的な対処にはどのみち時間がかかりがちですが、これは言い方を変えるなら、その間は耐えねばならないとも言えます。毅然と向き合い続けることは「手段の一つ」であり、他にもあります。 それが隔離です。 **隔離を使えば、有害郡に気付かれることなく、有害郡を無視して進められるので疲弊しません** 。 ## 隔離のやり方は二つ ### 静かな隔離 隔離は行うが、有害郡にバレないようにする努力まではしません。ですので、有害郡に見つかることがあります。 ### 内密な隔離 隔離を行う上、有害郡にバレないよう努力もします。バレないような仕組みや運営の手間があります。 ## 例 7人のチームで🐶さんという有害なメンバーがいる場合: * **🐶さんを除外した6人用のチャットチャンネルをつくります** * 静かな隔離の場合: * ワークスペース内でパブリックなチャンネルをつくる * 🐶さんに見つかる可能性がある * 内密な隔離の場合: * プライベートなチャンネルをつくる * 🐶さんに見つかる可能性はない * もちろん画面投影などでチラつくと「何そのチャンネル」「私は知らないのだが」となることはあります * さらに用心するなら、このようなアクションもしないといった心がけをすることになります 例2: 会社の新制度を全社的に適用したい場合 * 文脈: * 反発する社員が多いが、やれば効果はわかっている * まずは一部の社員にだけ適用することで効果を知らしめたい * **適用する社員にだけ制度を適用します** * 静かな隔離の場合: * 単に全社員の中から抽選で選んだり、「事前に選定したパイロット社員にのみ展開します」といった案内を出したりする * 内密な隔離の場合: * 対象社員には「他の人には教えないように」と釘を刺す ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 内密な隔離一択ではないのか?あえて静かな隔離をする意味はあるのか? Ans: あります。 そもそも常に内密な隔離ができるとは限りません。 こっそりプライベートなチャンネルをつくって有害郡以外を招待する、くらいならわかりやすいですが、そう単純に「無害郡だけが居る場所」をこっそりつくれるとは限らないのが一つ。 そしてもう一つが、仮につくれるとしても、「こっそりハブるのは違うんじゃない?」といった反発をする人がそれなりにいるのが一つ。 ですので、内密な隔離ができるとは限らない(静かな隔離になってしまうことがある)のです。 次に、有害郡にあえてダメージを与えるために、静かな隔離をするという戦略があります。つまり有害郡に遠回しに「私たちはあなたをハブってますよ」と伝えるのです。 これにより有害郡とのさらなる確執を狙います。有害郡がこれで変に暴走すれば、追放の口実にできます。 ただし、これは性格の悪いやり方ですので好みが分かれます。また、 **有害郡への個別のフォローも忘れないようにしてください。たとえば、有害郡に対して仕事上必要な情報を渡さないようなことがあると、それはただのハラスメントです** 。たとえ相手が有害郡であろうと、あってはならないことです。 ここでアタプター戦略も役に立ちます。 ### Q: 隔離を良しとしない人はどう説得すればいい? Ans: 有害郡の脅威が強ければ説得は不要です。 平等意識の高い人などは、隔離というやり方そのものに異を唱えがちです。ですが、有害郡の有害性が高い場合は、そうも言ってられなくなります。 **そうも言ってられないほど満場一致で有害かどうか** 、は一つの目安です。たとえば[ブリリアントジャーク](https://note.com/workhack20/n/n2513648a6964)は、現代では満場一致で有害になると思います。 別の言い方をすると、ちょっとした好き嫌いで隔離を行うのは間違っています。あくまでも有害性が高い場合の、現実的な策として隔離を行うのです。 あるいはキラークエスチョンとして「じゃあ君に任せてもいい?」も使えるでしょう。 私たちはすでに最善を尽くしたが、割に合わないので隔離に踏み切ろうとしている。でもあなたは反対している。ならあなたに対応をお任せしたいが、どうか? というわけです。卑怯な言い方かもしれませんが、重要です。有害郡と一緒に過ごすことによる弊害は大きいものであり、一個人の「ハブるのは人としてどうかと思います」的な意見と付き合っている場合ではないのです。 現実的な対処が他に思いつかないからこそ、隔離に踏み切ろうとしているのです。 # Title: 今週の記事 2024/11/10 今週は 19 記事書きました。 当サイト開始から 9 週が経ちました。 [←前 2024/11/03](https://note.com/workhack20/n/n5a7fca44b79c) [2024/11/17 次→](https://note.com/workhack20/n/ndd8d4c10a476) ## 課題や問題のとらえかた ## 提案 ## 書いて議論 ## 睡眠 ## コミュニケーション ## 仕事にゲーミフィケーションを ## QoLを上げる心がけ ## 業績評価以外の評価 ## 資質分類 ## 発想法・ツール ## (運営) ## (noteへの要望) # Title: 今月の記事 2024/11 [← 2024/10 前](https://note.com/workhack20/n/n375e3ce05115) [→ 2024/12 次](https://note.com/workhack20/n/n6e6631c31b54) # Title: 生活リズムや習慣をチューニングする際に使える「リズムマトリックス」 ![](/assets/n83cec7345a2e_c23e6b537cc3310f9d4c2111e48218f7.png) 自分なりの生活リズムを持つことは大事です。自覚していないことも多く、たいていの人は必ず自分なりのリズムを持っています。 部分的には習慣や日課といった言葉で語られることもあり、生活リズムをいじくる際は、これらをいじくることが多いです。 と、このあたりは全体像が見えにくいので、今回マトリックスをつくって端的に整理しました。 ## リズムマトリックス 生活リズムをいじくるとは、実質的に「習慣」や「日課」といったレベルの何かをいじくることを意味します。 ※他の捉え方もできますが単純化します。 その「何か」に4つのパターンがあることを整理したのが **リズムマトリックス** です。 ![](/assets/n83cec7345a2e_1731811847-f1Pxrj5YMSXRe64kCTKFnmz3.png)リズムマトリックス。 ## メリット 生活リズムをいじくる際に、4つのパターンを柔軟に使いこなせば良いということを教えてくれることです。 別の言い方をすると、習慣や日課といった「厳しめのもの」だけに頼る必要はありません。 以降からは詳しい解説に入ります。 ## 軸の説明 **頻度(Frequency)** とは、日単位で「やる日かどうか」を決めるものです。 * 毎日 * 2日に1回 * 週に1回 * 3~4日くらいに1回 * 平日のみ(平日は毎日) etc **タイミング(Timing)** とは、その日やると決まったものに対して、いつやるかを決めるものです。 * 10:15にやる * 10:10~10:20くらいにやる * 10:00~10:59くらいにやる * 午前中にやる * いつでもいい etc ## 各パターンについて ### 1: 習慣 習慣とは、頻度もタイミングも決まったものを指します。 タイミングは厳しめです。以下の例で言えば、習慣とは 1: か 2: でしょう。3: は含めてもいいかどうか、というくらいです。 * 1: 毎日 7:15 くらいにやる * 2: 毎日 7:10~7:20 くらいにやる * 3: 毎日 7:00~8:00 くらいにやる * 4: 毎日午前中のどこかでやる もちろん頻度も厳しめであり、サボることは想定していません。毎日やるものであれば、必ず毎日やるのです。やらない場合、それは習慣とは言えません。 ### 2: 日課 日課とは、頻度は決まっているがタイミングは決まっていないものを指します。 たとえば毎日やる日課があるとして、これをいつやるかは決まっていません。7:00 でも、9:00 でも、12:00 でも 15:45 でも 19:20 でも、いつやってもいいのです。 習慣と比べると、 **やるタイミングが自由な分、融通が利きます** 。いわゆる習慣トラッカー(ラジオ体操のカードもそうですね)と呼ばれるものがありますが、これはその日やったなら印をつけるだけであり、タイミングを指定していないので、実は日課を記録したものと言えます。 しかし、頻度は決めているので、やると決めたのなら必ずやらねばなりません。「まあいいや、今日はサボろう」などとサボってしまうのは日課ではありません。日課は、一日たりともサボりを許しません。 そういう意味で、日課もまだまだ手厳しいものです。 もうちょっと楽にできないか――というわけで、後述のパターンがあります。 ### 3: 監視 監視とは、頻度は決まっていないがタイミングは決まっているものを指します。 ここで重要な説明をします。 **「頻度が決まっていない」とは「頻度は決めているが、サボってもいい」という意味です** 。たとえば毎日という頻度を決めてはいるが、やる日があってもいいし、やらない日があってもいい、といった考え方をします。 このように捉えることで扱いやすくなります。 習慣にせよ日課にせよ「厳しい」ものですが、なぜ厳しいかというと、サボりを許容しないからです。しかし「頻度を決めない」としてしまうと何も定着しません。ですので、頻度は決めるけど、サボってもいいとのバランスを導入します。 > 頻度を決めない < 決めるけどサボってもいい < 決めるしサボらない 厳しさを不等号で表現すると、こんな感じです。 これを踏まえると、監視とは、 **頻度は決めているし、タイミングも決まっているが、やるかどうかはその都度決める** というものです。 たとえばゴミ捨てを例にします。 可燃ごみは毎週月曜日と木曜日に捨てるとしましょう。おそらく、会社に出かける前の 7:35 くらいに捨てる、といったリズムがあると思います。律儀に守ると、毎週月曜日と木曜日に必ずゴミ捨てを行うことになります(習慣)が、面倒ですよね。 監視として捉えると、ゴミの量を見て「今日はやらなくていいか」と判断できます。その都度判断するのが面倒なら、ゴミ箱の内側に線を引いておいて「このライン越えてなかったら捨てなくていい」とする、などルール化してもいいでしょう。 と、少し大げさに書きましたが、サボるという選択肢を取れることに注目してください。これが監視です。 サボると書きましたが、まずは監視して(監視自体は必ずやる)、やったほうが良さそうならやる(実際の行動はサボれる)と捉えた方がわかりやすいかもしれません。 ### 4: 投資 投資とは、頻度もタイミングも決まっていないものを指します。 3: で述べたとおり、頻度が決まっていないとは「決まってはいるがサボってもよい」でしたね。ですので、投資とは、 **頻度は決まっているがサボってもいいし、タイミングに至っては決まってすらいない** というものです。 たとえば毎日ブログ記事を書きたいとして、これを投資として捉えると * 毎日書くかどうかの判断は必ずやる * 書くと判断するかどうかはわからない * また、 * 判断をいつするかはわからない(いつしてもいい) * 書くと判断した後、実際書き始めるのもいつかはわからない(いつしてもいい) と言えます。 言葉にすると無駄に長々としていますが、課しているのは「書くかどうかを判断する」部分だけです。いつ判断してもいいし、判断した後の行動もいつやってもいいのです。 生活リズムを変えたい人は、いきなり習慣だったり、日課や監視だったりに手を出しがちですが、いきなりできれば苦労はしません。 **最も緩いのは投資なので、まずは投資として行う・行うことができたという実績をつくるべきです** 。投資すらできないのに、もっと厳しい日課や監視、まして習慣なんて、できるわけがありません。 ![](/assets/n83cec7345a2e_1731814078-8Ak7GQzZ2bojD9lNtOrUqnWe.png)いきなり左上は無理なので、左 or 右から回り込みましょう。 逆もあります。 最初から習慣をガッチガチにつくれる・変えられる人は「もっと融通を利かせたい」「息苦しさから解放されたい」い」といった思いを持っています。これを行う場合も、いきなり投資を始めようとしてもうまくいきません。 **まずは習慣を少し緩めて日課や監視にして、そこで上手くいかせます** 。その後で、さらに緩めて投資に持っていくのです。 ![](/assets/n83cec7345a2e_1731814048-b9fRcz6iWuYF2ITmyPpNoHtG.png)いきなり右下は無理なので、右 or 下から回り込みましょう。 ## 各パターンの使い分け まずは **あなた自身のタイプを踏まえたい** です。 習慣を増やせば増やすほど上手くいくタイプ(ロボット)と、投資を増やせば増やすほど上手くいくタイプ(自由人)がいます。どちらが合うかは人次第なので、自分で判断してください。 どちらか 100% に偏ることは無くて、おそらく「私は習慣 : 投資 = 7: 3 くらいがベストっぽい」のようなグラデーションになるはずです。 その上で、 **そのバランスに近づけてください** 。日課と監視はそのつなぎとして、必要に応じて取り入れてください。 **近ければ近いほど良いです** 。生産性でも QoL でも、もっと主観的な満足感でもいいですが、近いほど高まります。近づくための努力は大変かもしれませんが、近いほど高まるので、高めたいなら近づく努力をしてください。 とはいえ、人間ですし、状況も日によって変わりますから「習慣100%」「投資100%」ほど極端になることはありません。 大事なのはむしろ、状況やニーズに応じて微調整していくことです。この習慣とこの習慣は今週はキツイから日課にしようとか、一ヶ月後の大仕事に備えて習慣を増やしたいけどいきなりは無理だから監視から取り入れようとか、こういったことが息するようにできると便利です。 中には感覚的にやってしまう天才肌もいますが、大多数はそうではないので、 **こうして意識的に把握して、まるで機械の設定をいじくるかのように微調整するのです。リズムマトリックスは、そのための道具として使えます** 。 # Title: 「CMC定理」 調子・動機・文脈は同時には満たせない 調子(Condition)、動機(Motivation)、文脈(Context)の3つを同時に満たすことはできない、という経験則があります。 これを **CMC定理** と呼びます。 ## CMC定理 なぜ同時に満たせないかを述べます。 ### 調子を整えれば整えるほど、 整えることに時間を使います。それゆえに時間がなくなるため、文脈を知ることに費やせなくなります。ストイックな生活リズムとトレーニングを行う人は付き合いが悪いですが、まさにこれです。 また調子が第一になるため、セーブされて熱量も削がれます。動機は熱量に依存しているので、動機も薄くなります。 別の言い方をすると「調子を整える」ことが第一の動機になってしまい、別の動機――たとえば何らかのタスクや目標への動機を第一に置くことができなくなります。 ### 動機が高ければ高いほど、 没頭します。心身が疲弊するため調子が削られていきます。 また、視野が狭くなって、自分のやりたいことを突き進みがちになる(そうしないと没頭できない)ので、文脈も把握しなくなっていきます。クリエイターはわかりやすいと思います。 ### 文脈を知れば知るほど、 泥臭い部分、好きじゃない部分、納得できない部分が出てきて動機が削がれます。ですので、一般的にはお金や地位名誉やゲーム性といった外発的な動機に頼りがちです。 また、万人ではありませんが、文脈のそういった汚さへの認識が発展して、組織やコミュニティや国や人類に対する失望や絶望にまで発展することがあり、ここまでくると調子(特に精神)に悪影響が出ます。 ## 結論 したがって、調子・動機・文脈のすべて満たすことはできません。 どれを満たしたいか、あるいはどれなら軽視してもいいかを決めて選択すると良いでしょう。 あなたが大切なのは調子ですか?動機ですか?それとも文脈ですか? ## 余談: 名前の由来 CAP定理というIT用語から取っています。 ※CMC定理は定理ではなく、ただの経験則ですが、名前の語感が良いので定理とつけています。 # Title: SNS疲れ → 多様性疲れ → 文化疲れ SNS疲れがあります。SNSは欠かせない存在だけど、ぶっちゃけ疲れる……。 多様性疲れがあります。多様性は大事って建前だけど、ぶっちゃけだるい……。 同じことが組織や社会の文化にも言えます。これを **文化疲れ** といいます。 ## 例 ### 会議 みんな薄々要らないことはわかってるし、もっと上手くやれることも知ってるけど、変えられない。 * [日本は合意形成な文化だから](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c) * 「こういうことにするけど、これでいいよね?」を確認する儀式が必要だから * [グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)が混ざっているから * 一緒に過ごして信頼関係をつくっていく営みが混ざっているから ### 飲み会 ぶっちゃけだるいし、仲良い奴とだけつるみたいけど、変えられない。 * 飲みニケーションの文化があるから * 建前と本音があるから * [結城さくなから見る建前の文化](https://note.com/workhack20/n/nc2bb7da1a498) 表では建前しか言えないが、それでは仕事や組織は回らない → どこで本音を交わすか → 飲み会、という構図になっています。 ※近年ではマグネットスペース(喫煙室や給湯室のようなもの)も重要視され始めていますが、「専用イベント」が飲み会からすり替わっているだけで本質的には飲み会と同じです。 ### 朝型の勤務時間 もっと融通利かせたいけど、便宜のために全員同じ時間帯だし、生活リズム変えるのも大変だし、代わりの時間帯決め直すのも大変だから、変えられない。 * 就業規則が朝型のままだから * 営業時間が朝型のままだから * なんだかんだ上手くやれてるから(変える理由がない) ### 文化疲れとして●●疲れが出てくる つまり文化疲れとして、●●疲れが生じます。 ここまでの例で言えば会議疲れ、飲み会疲れ、朝型疲れですね。 ## 文化疲れを解消するには? ### 1: 言語化と議論により、現状を正しく認識する とにかくまずは現状認識です。知らないと何もできません。 特に「なぜ今のこのようなあり方になっているのか」の背景――別の言い方をすれば文化の出どころや成り立ちを知りたいところです。 理由は二つあって、一つは、このような背景は言わば **特殊解** であり、ここがはっきりしておかないとスッキリせずに先に進めないあからです。「本音や真実が知りたい」「知らないと先に進めない」のと同じですね。 もう一つは、特殊解という形で対象が見えることで「私のせいじゃないよね」「文化のせいでしかないよね」と胸を張れるからです。自分に原因があるんじゃないかという自責を捨てることができます。あなたが悪い、私が悪いではなく、今の文化に則っているがゆえの制約・限界なのだと問題の構図を変えることができます。 ### 2: 現状以外のやり方ができないかを考える 現状認識ができたら、次は「別のやり方はできないか?」を考えていきます。 * 捨てられないか? * 代替はあるか? * 「今後も続ける人」と「今後やらなくていい人」とで分けることはできないか? * また、両者を共存させるためには何が必要か? * 組織全体で統一するには無理にしても、小さく始めることはできないか? * そもそも組織全体で統一する必要があるのか? etc たとえば「今は毎日出社しているけど、本当に必要なのか?」とか。出社せずに済ませられることとして何があるかとか、出社せずに済ませている事例はないのかとか、出社する人としない人を両方共存させることはできないかとか――。 パンデミックによりリモートワークは急速に普及しましたが、最近は出社回帰の流れもあります。これも「出社」「対面」といった文化にとらわれているからにすぎません。本当にそうしないと仕事はできないのでしょうか?できないとして、なぜできないのでしょうか?できない原因を軽減することはできないでしょうか? と、このように自問自答をはさみながら、現状以外のやり方を考えてみるのです。 ### 3: 仕事術2.0を学ぶ ここで重要となってくるのが、仕事術(仕事のやり方や考え方)自体を知ることです。 **道具や知識がないと何もできませんし、自分たちだけで一から思いつくには限度があります** 。たとえば「文化疲れ」という概念自体も、この記事を見たからこそ認識できたはずです。あるいは、薄々認識していたことを改めて認識できたはずです。 これが **仕事術の力** です。 仕事術それぞれが常に万人に当てはまる正しさを持っているとは限りませんが、仕事術はそれ自体が知識であり道具です。自分なりに 解釈したり試したりできます。 仕事術は色々ありますが、当サイトでは仕事術2.0と題して、現代だからこそ必要となる仕事術を色々と取り揃えておりますので、ぜひ読み漁ってみてください。 最後に、いくつか例を挙げておきます。 会議疲れについては、以下の考え方が役に立ちます。 会議そのものにグルーミング(交流)の要素も混ざっていますが、グルーミング自体は人間的にも文化的にも欠かせないことですから削れません。 ならば、会議とグルーミングを切り離して、グルーミングはグルーミング用のイベントを別途やればいいのです。たとえば1日1時間、「仕事せず一緒に過ごすだけの時間」をつくったりすればいいのです。グルーミングはそこで終わらせて、それ以外の会議では、グルーミングを廃して会議そのもの集中します。これなら会議効率化はできます。 飲み会疲れについては、アウトプットベースの価値観に切り替えることで解消できます。 要するに議題やコメントを、会話ではなくアウトプットの形で行えるようにすれば、それだけで議論ができてしまいます。 言語化の手間と、皆に見えているというプレッシャーには耐えねばなりませんが、だからこそ建設的な議論が可能となります。いちいち表では建前を言って、でも飲み会で本音を交換して、みたいなムーブから解放されます。 ちなみに、よく飲み会以外の対話の場が設定されがちですが、飲み会から別のイベントに変わったというだけで本質ではありません。対話疲れに変わるだけです(たとえば、すでに1on1疲れはあるのではないですか?)。 朝型疲れについては、より融通の利く働き方が必要です。 リモートとフレックスがあればだいぶ融通が利くようになります。朝5時から働く人と、昼13:00から働く人の共存も容易いです。 しかし、リモートとフレックスがあっても、結局皆で時間を合わせてオンライン会議ばかりしているというシチュはよくありますので、非同期的に働けるようにする(その極地がフルアシンク)も重要です。 もう一つ、フルマスクについてはここでは取り上げませんが、このように働き方の融通を利かせることは可能なのです。 # Title: コミュニケーション3.0 コミュニケーション2.0の続きです。 * 場を介したコミュニケーションであること * 特定の誰かを「想定」するというよりも、何かを「期待」するコミュニケーションであること * 非同期コミュニケーションにおいて必要であること などを以下記事でお伝えしました。 では、2.0の次はどのようなあり方になるでしょうか。生成AIが絡むと思います。 ## コミュニケーション3.0 **コミュニケーション3.0** とは、公開するコミュニケーションです。 * 1.0 * 特定の誰かを「想定」して、その人にだけ届ける * 2.0 * 何らかの「期待」を抱いて、場に置いておく * 3.0 * AIに処理してもらう前提で、自分の情報を「公開」しておく ### AIに任せるために、自分の情報をインプットする [生成AI](https://note.com/workhack20/n/n7618ac2e3a01)が盛り上がっています。政治的あるいは経済的な云々(※)がなければ、今後も引き続き盛り上がるでしょう。 ※国がAIに規制をかけて一般人が使えなくなるとか、AI≒機械学習≒学習を稼働させるマシンの所有量次第≒経済力ゆえに資本主義的な寡占や格差が生じるとかいったリスクがあります。 すでに多くの議論や想像が述べているとおり、エージェント(AI秘書)に任せる形になると思います。そうなると、人間よりもはるかにタフで高性能ですから、以下のスタイルが増えてきます。 * 以下だけではなく: * 人間同士でやりとりする * 以下が増える: * エージェント同士でやりとりする * 自分ではなくエージェントとやりとりしてもらう * 自分もAさん本人ではなく、Aさんのエージェントとやりとりする しかし、AIは魔法ではなく、自分の事情を踏まえて行動してもらうためにはデータが必要です。 **自分のデータをどれだけAIにぶっ込めるか** が肝心になってきます。 ### AI相手だと「公開する」になる 人間相手にデータを渡す場合、必要なときに渡せばいいと考えてしまいますが、エージェント相手ではそうはいきません。 まず、エージェントはAIであり機械ですから24時間365日動けますし、必要なら何十何百人とクローンをつくれますし、処理性能も人間の何億倍もあります。「必要なときに渡す」だと、渡す側の人間がボトルネックになりますので、 **公開しておいて、後はお好きにどうぞ** とするしかありません。 これだけだと「AIにだけ見せればいい」ので公開とは言えませんが、これで終わりません。 エージェントはこちらのデータを使って、他のAIや人とコミュニケーションやコラボレーションを行いますが、このとき **他のAIや人にこちらが渡したデータを(直接的 or 間接的に)見せるでしょう** 。これは公開と言えるはずです。 ### 情報の委譲 そういうわけで、実質的に「自分の情報をどこまで公開できるか」という話になってきます。 人間相手だと機密やプライバシーは上手く守ってくれますし、NDAなど契約で結ばせることもできますが、エージェント相手には期待できません。もちろん調整(※)のやりようはありますし、おそらくやり続けないといけなくなるでしょうが、それでも「公開」という本質は変わりません。 ※たとえば現状でも ChatGPT にエッチなイラストをお願いしたり爆弾の作り方をリクエストしたりはできません。それでも上手く弱点を突けばできたりしますが、もちろん対策はされます――と、サイバー犯罪と同様にいたちごっこになっています。 極端な話、AIはブラックボックスですから、 **自分が与えた情報をエージェントがいつどこでどのように使っているかはわかりません** 。この「どう使われるかわからん」を許容する強さが要求されます。 仕事や権限を委譲するといいますが、エージェント相手だと **情報を委譲する** とでも言えるでしょう。 ## おわりに VUCAな昨今、未来がどうなるかなんてわかりません。わかるわけがありませんし、仮に当たったとしてもたまたまです。 それでも思いを馳せたくなるものです。未来は自らつくるものだという言葉もあります。 当サイトでは『仕事術2.0』として主体的に情報を出すことの重要性を強調していることもあって、このコミュニケーション3.0を提示しておきます。 ## (関連記事) 生成AI用に残した自分の情報をプロファイと呼びます。Profile For AIの略です。まさにコミュニケーション3.0だからこその考え方ですね。 # Title: 想定伝達範囲 コミュニケーションを行う際は、自分の情報を「具体的に誰に届けるか」を想定します。これを **想定伝達範囲(Implicit Reach)** と呼びます。 無自覚な場合もあります。極端ですが、「あなたの発言を録音してインターネットに公開します」とした場合、やめてくれとなるでしょう。これは想定伝達範囲を越えてしまうからです。 ## メリット コミュニケーションのメンタルモデルを変えることができます。 後述しますが、原始的なコミュニケーションの不便さに抗うには非同期コミュニケーションが必要ですが、これには技術と方法以前にメンタルモデルの変更が必要です。 想定伝達範囲という概念を知ると、このメンタルモデルを自覚できますので、変更にも手を付けられます。 ## 想定伝達範囲とコミュニケーションメンタルモデル 想定伝達範囲は、 **コミュニケーションのメンタルモデル** にもかかわっています。 想定するメンタルモデルは1.0です。私たちが通常使っているものですね。 ネット上への投稿など、想定がないか緩いものは2.0と呼びます。コミュニケーションというと、お互いの時間や場所を拘束する原始的なものがメインですが、ここから抗うには[非同期コミュニケーション](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)が必要です。 問題は、この非同期コミュニケーションには、2.0のメンタルモデルが必要だということです。 いくら技術と方法があっても、メンタルモデルを変えないことにはどうしようもできません。実際、現代であっても未だに原始的なコミュニケーション――たとえば出社や会議、あるいはリモートでもオンライン会議は主流です。 さらに踏み込んで、3.0も整理しました。 推測でしかありませんが、AIのために自分の情報を残すこと、そしてAIがその情報をいつどこで使うかがわからないこと、わからないということを受け入れることが大事である――という世界観になるのではないかと思っています。 つまり想定伝達範囲の放棄が起こるのではないか、と。 # Title: 生活リズムを変えたいなら「チェイン」を特定する 従来は環境(付き合う人 or 住まい or 仕事)を無理やり変えるか、[習慣をチューニング](https://note.com/workhack20/n/n83cec7345a2e)していくしかありませんでした。第三の選択肢を提示します。 ## チェイン **チェイン(Chain)** とは、ある行動Aをしたあと、Bをして、Cをして……のような一連の行動のセットを指します。 この場合、Aの行動を1時間早めると、以後の行動も1時間早まります。チェイン(連鎖)しています。 **チェインの先頭を早めるだけで、チェイン内の行動すべてが早まる** のです。 ## 例 * 仕事 → 夕食 → 趣味のブログ投稿 → 風呂、というチェインがあるとする * 仕事はコントロールできないとする このとき、チェインは「夕食 → 趣味のブログ投稿 → 風呂」の部分になります。 ![](/assets/n72dca40f3f63_1731962942-ZGxjf5Vdh0LOec4nNgvz2sY6.png)チェインの例 このとき、 **風呂に入り終わる時間は、夕食を始める時間次第** だと言えます。 ですので、いつもより夕食を1時間早く食べたら、風呂も1時間早く終われます。 仮に就寝時間を早めたいとすると、夕食を1時間早めるだけで、夕食から風呂までは1時間早めることができます。この調子で、他のチェインも特定して、早めていけば、就寝時間も早められるでしょう。 * 仕事 → (この辺のダラダラ)→ 夕食 * おそらくこの辺を端折ることで早められるはず ## チェインとその先頭にだけ注目する チェインという考え方のメリットは、手軽なことです。 チェインを特定して、その先頭を早めるだけなので単純です。少なくとも従来の環境変更や習慣チューニングよりは楽です。 ## チェインが見つからない人は? Ans: 無自覚なだけだと思います。 通常は、単に気付いていないだけで「生活リズム」なるものはあります。そして、リズムがあるならチェインもあります。 自覚できない人は、記録を取ってみるといいでしょう。 時間管理(タイムトラッキング)アプリを使って、普段何をしているかを全部記録します。1週間分記録してみると、おそらく生活リズムが見えてきて、チェインも見えてくると思います。 記録が難しい場合は、決め打ちしてみましょう。たとえば「入浴」がチェインの先頭だと仮定します。入浴の時間を早めてみたり、単に入浴の時間を記録してみたりします。すると、入浴に引っ張られている行動が他にも見えてくると思います。 それでも、どうしてもチェインが見つからないという場合、あなたは珍しいタイプだと思います。安定した生活リズムを持たないタイプですね。 この場合、チェインの考え方は役に立ちません。 # Title: 典型的な勉強だけが勉強じゃない いきなりですが、マトリックスで整理します。 ![](/assets/n7d5476ea7264_1731975127-VwvAjNT8G3a2tD5k1rOuCebi.png)勉強マトリックス。 勉強というと、目標も締切もある「パターン1」を浮かべる人が多いと思います。これを **典型的な勉強** と呼びましょう。 勉強=典型的な勉強、でしょうか? 答えはノーです。 パターン4も勉強の一種だと思います――というわけで、パターン4という意味での勉強について、考え方とやり方を紹介します。 名前がないと不便なので、パターン4のあり方を(目標や締切がないので) **終わりなき勉強** と呼ぶことにしましょう。 ## 勉強とは何か 勉強とは「自分の糧にすること」だと思います。そして糧にするためには行動が必要です。 だからこそ、パターン1の典型的な勉強がよく登場します。受験勉強、試験勉強、資格勉強には「試験を経て」「何かを手に入れる」という具体的な行動があります。また、現場で仕事を経験して経験から学んでいく、という場合も、やはり日々行動しています。 では、目標も締切もない「終わりなき勉強」の場合、行動とは何を指すのでしょうか。 **書くこと** です。 書いて言語化し、書いたものを見て「これが私の理解である」ということを確定(必要なら修正)します。大げさに言えば、ものづくりです。 つまり終わりなき勉強には、書くという営みが登場します。方法としても「書くためには?」を扱わねばなりません。 ## 終わりなき勉強を行うために やり方や考え方を端的に整理します。 ### スタイル * 読み終えた後に書く * 読みながら書く * [噛読(ごうとく)](https://note.com/workhack20/n/n85e8df57ac6b)は以前紹介しました * 他にも様々なやり方があると思います * iPadで表示しながら書き込む * アナログな本に直接ペンで書き込む * [アクティブ読書](https://note.com/workhack20/n/nadc48671843a) etc * 詳しくは後述します * 読みながらマーカーを引き、読み終えた後はマーカーを読み返しながら書く ### ツール * VSCode などテキストエディタ(テキストファイル) * Notion などノートツール * Googleドキュメント、Microsoft Wordなどドキュメントツール * Teams や Slack や Discord などビジネスチャット * X(Twitter) などミニブログ * Miro など無限キャンバス * Cosense など SaaS のネットワーク型ノート * Obsidian などデスクトップアプリのネットワーク型ノート ### 何を読むか * 記事 * 書籍 * 論文 * (読むというより聴くですが) * YouTube * Podcast * 何らかのイベントや会議に参加する ### 引用の仕方 * 写経のごとく、自分の手で書く * コピペする * 電子書籍やアナログだとできない * 写真やスクショを撮る * 自炊する * 紙の本を裁断して、全ページスキャン(デジタル化)します * OCRにかけるとテキストの検索も可能になります ### どこで終わらせるか ある対象(たとえば今読んでる一冊の本)の勉強をどこで終わらせるかという話 * 飽きたら * n個書けたら、n文字書けたら * 回収できたら * =内容のすべてを理解できたら * =内容のすべてに関するノートを書けたら * 元々知りたかったことを知れたら 要するに自分で好き勝手に終わらせればいいのです。 もちろん、終わらせたものをまた勉強しても良いですし、それが嫌なら終わらせたものを捨てる・削除する・ブクマから外すなどして手放す、といった工夫もできます。 ## おわりに 典型的な勉強だけが勉強ではないと思います。 もっと肩の力を抜いて、好き勝手に楽しんでもいいのです。その際、書くことが重要です。行動しないと糧にならないから、かつ終わりなき勉強では行動≒書くこと、だからですね。 それではこの辺で。勉強ライフを楽しみましょう! # Title: アクティブ読書 アクティブ読書とは、[Cosense](https://scrapbox.io/)で書籍を読むことです。 ## 概要 書籍データを Cosense に取り込んで、Cosense 上で読書します。 アクティブの名のとおり、単に読むだけではなく書き込みも行います。ペンで書き込むというよりは、Cosense 上でノートを書くイメージです。 * わからない用語のページをつくる * その場で補足やアイデアを書き込む * 用語やフレーズをリンクにする * リンクにすると「リンク先」「リンク元」とで接続が生まれて、ページから成るネットワーク構造ができます etc Cosense はネットワーク的に情報を書いていけるツールです。いわば、アクティブ読書により、読書しながら自分なりの知をつくっていくことができます。 ## 歴史 アクティブ読書は、Cosense(旧名Scrapbox)の開発者である増井俊之氏による手法です。 ## メリット 高濃度な読書体験と再利用性です。 * 読書体験 * 読書しながら自分なりにノートをつくり、ネットワーク的に知を育てていく営みは純粋に楽しい * 能動的なので理解も捗る * 再利用性 * 書籍データも、自分のノートも残るので、あとから読み返したり引用したりもしやすい * ネットワーク構造なので探しやすい * 人間関係やインターネットや脳などネットワーク構造は「ありふれていながら強力」な構造で、階層やタグ付けよりも整理・検索がしやすいものです また、読者も編集していいのだという新たな読書パラダイムを身につけることもできます。 ## やり方 ### 1: Private Projectをつくる Cosense では一つのワークスペースを Project と呼びます。まずはこれをつくります。 その際、著作権上の問題を抑えたいので、公開範囲を Private にします。アクティブ読書では書籍データを放り込むため、私的利用に留めないと(留めるために公開範囲を自分だけにしないと)権利侵害となってしまいます。 ### 2: 書籍データを、Cosenseに投入できる形式に変換する あとは書籍データを取り込むだけですが、そのままではできません。 いくつか方法があります。 * 1: 自炊した画像を [Gyazo](https://gyazo.com/) に取り込む * ※Gyazoとは画像ストレージサービスで、Cosenseと同じ会社が運用しています。Cosenseからは、Gyazoの画像をかんたんに貼り付け・表示できます * Gyazo では自動で OCR が走ります * Cosense には Gyazo 内の画像か、OCR で生成されたテキストを貼り付けます * 2: 電子書籍データやPDFを、Cosense 用の形式に変換する * Cosense は専用の形式によるインポートに対応しています * 右記を参照: [アクティブ読書用データの作り方](https://scrapbox.io/villagepump/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E7%94%A8%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%AE%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9) * 3: 1+2 * 1: で変換したテキストや画像を、2: の形式に変換して、これをインポートします IT 知識が必要であり、これ以上の詳細は割愛します。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: ひとりで行うものか?複数人でも行えるか? Ans: 可能です。 Cosense の Project は他の人を招待できますし、そもそも Cosense 自体は複数人で共同編集することを重視したツールです。 しかし、上述したとおり、権利侵害には気を付けてください。 ### Q: 複数の書籍データをアクティブ読書したい場合の単位は?1-書籍 1-Project? Ans: ご自由にどうぞ。 書籍ごとにProjectをつくってもいいですし(1冊1スペース)、アクティブ読書用のProjectをつくってn冊の書籍を入れてもいいです(n冊1スペース)。どちらでもアクティブ読書は可能であり、一長一短があります。 基本的には **1冊1スペースをおすすめします** 。 というのも、Cosense は Project のエクスポート(と再インポート)ができるので、あとでn冊1スペースに移行することは可能だからです。一方、n冊1スペースを1冊ごとに分けることはできません。 また、Cosense は Project をまたいだ全文検索も可能なので、1冊1スペースで分かれていても通常は困りません。 というわけで、まずは1冊1スペースでやってみることをおすすめします。それで不便や不満が出てきたら、n冊1スペースを試してみましょう。 たとえば「仕事で読む専門書だけn冊1スペースにまとめる」「最近読んだこの3冊だけまとめてみる」など、小さく試せば感触も掴めます。 ### Q: アクティブ読書の例はあるか? Ans: 一応あります。 すでに述べたとおり、権利的にプライベートにせざるをえないので例は中々ないのですが、権利元から認められた場合にはパブリックな例もありえます。 たとえば以下です。 ### Q: ABC(アクティブ・ブック・ダイアローグ®)とは違うのか? Ans: 違います。 ABCは商標登録されたグループワーク手法であり、一冊の本を各自が分担して読む → サマリーをつくってプレゼンや議論をしていくもののようです。 ![](/assets/nadc48671843a_1731983102-VMrOFQiTnj2uWe1mx0blXDys.png) より 一方、アクティブ読書は、単に Cosense に書籍データを入れて読書するだけです。読書の仕方は人それぞれです。ひとりで読むこともできますし、グループワーク的に進めることもできるでしょう。 # Title: IPAの「変革のススメ」に答えます 変革のススメ: 仕事術2.0として、これに答えます。 ## Q.組織変革に起こりがちな課題は何でしょうか? Ans: 変革の本質を理解していないことです。 そもそも変革は狙えるものではありません。ビジョンくらいはあった方が良いですし、最初の計画くらいはあっても良いと思いますが、あくまでも羅針盤にすぎません。 計画や目標やマイルストーンといったことにとらわれるのは、害悪ですらあります。変革を行うには、広く化学反応を起こす・起こし続けるしかありません。その過程で「これだ」というものが見えてきて、盛り上がりが収束してきます。 つまり **成るようにしか成りません** 。計画や目標はもちろん、ビジョンでさえも、必要に応じて変えるものにすぎません。 ## Q.変革を邪魔する阻害要因(人、もの)は何でしょうか? Ans: 会社の文化とルール、そして多忙主義者です。 まずは会社の文化とルールです。 制約は変革において邪魔でしかありません。できるだけ取っ払わないといけません。文化とルールに染まった「人間」が行えるほど甘いものではないですし、むしろその外にある新しきをつくりだすからこそ変革です。 ですので、通常は出島戦略のような、大胆な隔離をします。 言葉としては知られていると思いますが、この出島戦略、思っているよりもずっと難しいものです。まともにできている組織はほとんど無いと思います。 次に多忙主義者です。 彼らは今抱えている仕事にしか脳がないので、変革する上では役に立ちません。たとえるなら、思考停止して盲目的に動いている信者のようなものです。 より最悪なのは、このような信者が権限を握っている場合です。残念なことによくあります。 ## Q.選ばれる組織の要件は何でしょうか? Ans: 生活水準を担保できるだけの多様性を備えていることです。 たとえば[朝型と夜型](https://note.com/workhack20/n/n7b5a906abe89)があります。 朝型として5:00から仕事を始める人と、夜型として13:00から仕事を始める人が共存できねばなりません。 よくあるのが、制度としては柔軟にできているが、実態として 9:00~17:00 の従来のリズムが強要されていることです。この場合、朝型も夜型もどちらも生活水準を保てないので、静かに退職するか、退職してしまいます(選ばれない)。 書籍で言えば、『静かに退職する若者たち』がわかりやすいと思います。若者を動かすための仕事術(特に考え方)は当サイトでも取り上げましたが、 一言で言えば、現代の「水準」はアップデートされています。 ですので、 **キャッチアップしていかないと、それだけで選ばれません** 。あるいは表面上は選ばれているが、静かな退職をされてしまいます。 セクハラやパワハラに対して「いや社会とは・組織とは・会社とはそういうものだから」と強要している組織があったとしたら、選ばれないですよね。それと同じことが起きています。 ## Q.変革に向けたどのようなアプローチが必要でしょうか?(組織的視点) Ans: 3つほどお伝えします。 1つ目は、すでに述べたとおり出島戦略です。 **変革が起きるための最初の火を灯せるのは変人だけです** 。変人を登用して、自由に遊ばせて、その過程や成果を全社員が見にこれるような場所をつくります。 2つ目は、余裕の確保です。 手始めとして、1日1時間、 **業務時間中に** 自由に過ごせるようにします。変革を導くには、ひとりひとりに主体的に行動してもらうことが必要です。これを発揮できればできるほど成功率は上がります。そのためのネックの一つが、すでに述べたとおり多忙ですので軽減するのです。 3つ目は、ワーカー・トライアングルの推進です。 これは **兵農分離の現代版** です。 現代は、ひとりの社員が兵士(普段の仕事)も農業(新規事業や改善活動)もしているようなものですが、この二つは適性も全く違いますし、どちらもそれなりに時間がかかるものなので、両立はそもそも無理です。 ## Q.推進役に必要な素養・経験は何でしょうか?(個人的視点) Ans: 推進役が2タイプあるので、両方とも答えます。 まず推進役には以下の2タイプがあります。 * 静かな推進役 * 組織に寄り添って少しずつ流れを変えていきます * 賑やかな推進役 * 遠慮なくアウトプットを出し続けて社員を殴り続けることで流れを変えていきます 静かな推進役: * プロデューサーの素養が必要です * 色んな人と仲良くなって(ビジネスライクでも友達感覚ででもあり方は問わない)、必要に応じて繋げるようにする人脈 * 社内政治の機微を読み取り、難なく渡り歩いていける要領 * 問う力。適切な人に適切なタイミングで適切な問いを出すことで、その人自身に悟らせる * 人は正論では動かないので、自分で気付いて判断したんだ感を演出する必要がある。問うことで可能です * 現場経験が必要です * ドメイン(現場にいる実際の人達とその事情)を踏まえない限り、動いてもらえることはありません * ドメインを踏まえるためには、自分も現場にある程度は入って肌で知らねばなりません * 暗黙知や非言語も多いからです * 慣れてくると、現場にいる人とつながって話を聞く・その人に問うて動いてもらう程度でまかなえますが、この境地に至るにも経験が必要です 賑やかな推進役: * 発想法とアウトプットの素養が必要です * 最も重要なのは累積思考量であり、思考を蓄積するには発想法(発散と収束)の営みが必要です。これができないと知識の蓄積しかできず、引用ベースで知識を披露・応用することしかできません。博識なコンサルはできても、変革はできません * 多くの人からの継続的なフィードバック、彼らによる議論、彼らが日々過ごして周囲に軽微に及ぼしていく影響(化学反応)も重要です。これを行うには、社内で広くアウトプットができねばなりません。ブロガーのようにたくさん書くか、配信者のようにたくさん喋るか、のどちらかです * 広く公開して恥をかいた経験が必要です * 賑やかな推進には、インターネット上に本名と容姿も込みで性癖を晒せるような、あるいは渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で一発芸をするようなメンタルが要求されます * 通常、これはクリエイターまたはエンターテイナーとして何らかの作品をつくりあげ、インターネット上に広く公開することで培われます # Title: 「ゲームタイム」 業務時間中にゲームする コミュニケーションタイムの一つとして、ゲームタイムがあります。 ## コミュニケーションタイムを必要とする背景 詳細は以下記事で解説していますが、 日本の文化が直面する課題として「会議時間が長い」があり、その主因が「会議と交流が混ざっていること」です。文化的に交流は必要不可欠なので、会議を減らす≒交流を減らすとなり、受け付けられません。 ですので、会議は会議だけ行い、交流については別途交流用の時間(コミュニケーションタイム)を設ければ良い、と考えます。 コミュニケーションタイムは、必要なことですので **業務時間中に確保します** 。 たとえば1日1時間、昼休憩とは別に確保します。 ## ゲームタイムとは **ゲームタイム** とは、コミュニケーションタイムの一種で、ゲームをして過ごすというものです。 ## メリット * コミュニケーションタイムのメリット * 会議と交流を切り離したことで、会議を減らせるようになる * ゲームタイムのメリット * 会話や対話ではなくゲームがメインとなるので、口下手でも実行しやすい * ゲーム内で協調したり対戦したりするので、非言語的に人となりを知ることができる ## ゲームタイムを設計する かんたんに取り上げます。 オフィス、バーチャルオフィス、オンラインの三つがあります。 ### 1: オフィス * 物理的に集まる方式です * 一画を用意して、携帯ゲーム機やボードゲームやカードゲームを設置します * パーティーゲームでも可能です ### 2: バーチャルオフィス * 仮想的に集まる方式です * 例 * マイクラ * Gather などバーチャルオフィスツール上で集まって、アバターや会話で行えるゲームをする * Zoom などオンライン会議上で集まって、会話やホワイトボードで行えるゲームをする ### 3: オンラインゲーム * 自席から直接ゲームに参加する方式です * バーチャルオフィスのポテンシャルがあるものは 2: のカテゴリです * ここ 3: については、ゲームで遊ぶことに特化した手段を使うニュアンスです * 例 * FPS全般 * Among us * ボードゲームアリーナ ## (参考) エンゲージメント向上や社内イベント支援の事例やソリューション、という形でこの手のヒントを得ることができます。 一例としてバヅクリがあります。 # Title: マグネットスペースの要件 **マグネットスペース** とは、カジュアルに社員が集まり会話が弾む場所を指します。磁石が吸い寄せられるように人が集まるというニュアンスです。 日本では喫煙所と給湯室が知られています。文化によってあり方が異なり、ドイツでは社内カフェ、フィンランドではサウナだったりします。 ですが、パンデミックにより盛り下がっています。落ち着きを見せてから現代に至るまでは **オープンオフィスが台頭していますが、これらは実はマグネットスペースではありません** 。 マグネットスペースを取り戻すに、あるいは新しくつくるために、本記事では要件を整理します。 ## 1: 非公式的な場であること 休憩や雑談の場として過ごせること。 会議室など **仕事で正式に使う場であってはいけません** 。また、 **正式なイベントで使うための予約も認めてはいけません** 。 ただし、会話の延長で仕事の話になるのは問題ありません。 ## 2: 行きたい人だけが誰でも行けること まず、オフィスに来た人が必ず通る場所、のような「動線的な強さ」はあってはなりません。目立ちすぎると後述 3: の閉鎖性が損なわれます。マグネットスペースは **行きたい人が足を運べば行ける** くらいのアクセス性が良いです。 次に、許可なく誰でも使えなくてはなりません。申請や入退場管理などもっての他ですし、できれば施錠もせず開放したいです。 ## 3: 閉鎖性があること 以下の二つが必要です。 * 出入り口が一つ(複数でもいい)で、 **出入りを完璧に把握できること** * **広すぎないこと** * 同座している他の人の会話が聞こえるか、耳をすませば聞こえるくらい * 窮屈無く十数人が居座れるキャパシティを超えないくらい というのも、マグネットスペースでは仕事やプライベートの話を含む、それなりに濃い会話に発展することが多く、閉鎖性がないとこれらを出しづらいからです。特に状況――誰がいるかをその場で見定めながら、出す話題をコントロールしたりするので、それができるよう、 **同座している人を把握できる程度の規模感に収まっていることがマスト** なのです。 そういうわけで、実は **昨今のオープンスペースは悪手です** 。フロア内で心理的安全性が十分であれば別ですが、少人数の組織でもない限りはレアケースだと思います。 オープンだと想定伝達範囲(以下記事参照)が広くて警戒してしまい、体裁を取り繕った表面的な会話から脱しづらくなります。 ## 4: ある程度の開放性があること 3: と相反しますが、閉鎖性が強すぎても問題で、ある程度の開放性もほしいです。 まず密室だと警戒的になり、その場所は人を選ぶものになってしまいますます。たとえば男性の多い職場だと女性は寄り付かないでしょう(逆も然り)。また、狭すぎて圧迫感があっても、居心地が良くないので人が定着しません。 喫煙室のように壁が透明であるとか、給湯室のようにドアがないとかいった例はわかりやすいと思います。 ## 5: 店員など部外者がいないこと 部外者がいると、社外秘を含む仕事の話を出しづらいため、可能な限り排除してください。 ※特に現代はコンプラ意識が強まっていることもあり、昔みたいに部外者もいる喫煙所で仕事の話をするなんてことはもうできません or している人は信用できません。このあたりの感覚は意外と鈍い人が多いので、鈍い人はアップデートしてください。 清掃が必要な場合も、なるべく社員が使わない時間帯に行ってもらうのが良いでしょう。 あるいは社員自身が掃除した方が良かったりします。時代に逆行するように聞こえますが、 **部外者がいて仕事の話をしづらいという機会損失をなくせる** のなら軽いものだと思います。むしろ、マグネットスペースを主に使う人達で回したりすれば、それ自体も話のタネになって、盛り上がりに貢献します。 # Title: 新しいマグネットスペース マグネットスペースの必要性が叫ばれています。 近年はオープンなオフィスが主流ですが、実はオープンだと身構えてしまい、あまり捗りません。そこで前回は「マグネットスペースの要件」を整理しました。 今回は、これを踏まえた上で、喫煙所や給湯室に代わる新しいマグネットスペースを提案します。 ## ゲームエリア ゲーム機や道具が置かれており、ゲームタイムを行えるスペースです。 詳細は以下記事を参照してください。 ## インターナル・オフィスキッチン オフィス内にキッチンがある形態をオフィスキッチンと呼びますが、これらは来客を(あるいは来客も)想定したものでした。 しかし、来客が想定される場所は、マグネットスペースとしては機能しません。来客の想定が必要ない、完全に内部的なあり方が必要です。これを **インターナル・オフィスキッチン** と呼びます。 ## フリージアム 誰でもフィギュアやぬいぐるみや書籍などを展示できる部屋をつくり、自由に観覧・雑談できるようにしたものです。 ポイントは **占拠と統一をなくす** ことです。単一のオタクが占拠したり、特定のテーマに縛った展示会テイストにしたりすることは避けてください。むしろ、複数人が譲り合って各自の城を展示するようにしたいです。かつ、誰がどこに何を展示するかは、動的に変わっていった方が良いでしょう。 たとえるなら、フリーマーケットのミュージアム(博物館)版ですね。当サイトでは **フリージアム(Free + Museum = Freeseum)** と呼んでいます。 ## ミーティング・ライブスペース 観覧可能な会議がライブ中継されるスペースを指します。 概念的にやや煩雑ですが、 * 1: 自動的にライブ中継される会議室を用意します * 2: 中継を聞ける場所を用意します(ミーティング・ライブスペース) * ウェビナー的であり、こちらから 1: に干渉することはできません という構図になっており、1: で行われている会議を、誰でも 2: に行けば聴けるというものです。 ミーティング・ライブスペースは、以下のように広めにしつつ、複数の中継を用意します。会話しつつ、行き来しつつ、くつろぎもできるという風にしたいです。 ![](/assets/n4a3e65e2e623_1732078473-5D6xN0GblvUEtqML7XPCVwrK.png)ミーティング・ライブスペースのイメージ。 これは一例ですが、ただでさえ真面目な文脈や雰囲気になりやすいので、マグネットスペースとして気軽に使ってもらえるように心がけて設計してください。 ## ホワイトルーム 壁一面がホワイトボード的で、自由に書き込めるようになっている部屋を指します。 マグネットスペースの要件にもあるとおり、利用には一切の制限を設けず、誰でも好き勝手に書き込めます。落書きやお絵描きをしてもいいですし、カジュアルにブレストをしたり、もちろん仕事の話につなげて広げても良いです。 よく陥るアンチパターンが「消さないで」のような占有行為ですが、 **これは絶対に禁止してください** 。マグネットスペースは、占有行為が入り込めば入り込むほど形骸化しやすくなります。 ## ホワイトウォールロード 広い廊下などに長いホワイトボード(のように書き込める壁)を設置し、誰でも何でも書き込めるようにしたものを指します。 例としては、ホロライブのスタジオがわかりやすいと思います。 [https://www.youtube.com/watch?v=RIZAtsyaIc8&t=5s](https://www.youtube.com/watch?v=RIZAtsyaIc8&t=5s) ![](/assets/n4a3e65e2e623_1732078835-m43rUZBVzHcl6jPthMu75A8e.png) より抜粋 ただし、ホワイトウォールロードはマグネットスペースですので **目立ちすぎてはいけません** 。社員全員が通りがかるような動線上に置くなどもってのほかです。 意図的に立ち入らないと目に入らない程度に、少し外れた場所に設置しましょう。 ## オフィズー **オフィズー(Offizoo)** とは、オフィス内に設置したプチ動物園です。動物といっても、動物園から連想される動物は不可能でしょうから、熱帯魚や爬虫類といったものになります。 ハードルは高いと思います。 * **社員として** 係が必要であること * 要件で述べたとおり、部外者(外部業者)だと仕事の話がしづらくなります * 就業時間外の世話をどうするかという問題もあります * 多数の社員が訪れてくることにストレスを感じない生物を選定し、また環境を整える必要があること # Title: 仕事術カード ![](/assets/n27afbf813b85_2d44377201d602a03fad3215c96af912.png) 仕事術(仕事のやり方や考え方)を伝えるのは難しいですが、カード化すれば比較的伝わりやすいかもしれません。 ## 仕事術カード 仕事術をカードで表現したものです。 ![](/assets/n27afbf813b85_1732134153-7FyYq9fulrt3AUTOCMVJQsKh.png)例としてポモドーロ・テクニックをカード化。 画像は より。 ![](/assets/n27afbf813b85_1732134520-TbKlGjzZD1hkdNW7QMwL54BJ.png)当サイトでつくった仕事術の例1 [https://note.com/workhack20/n/na0577b3d862e ](https://note.com/workhack20/n/na0577b3d862e誤字には気をつけましょう……(親切)誤字には気をつけましょう……(親切 → 新設) ![](/assets/n27afbf813b85_1732134555-8VSR0pus69bTtI5AwLPyd3KH.png)当サイトでつくった仕事術の例2 ## カードに書くもの 名前とイラスト、そして以下の3Pが良いと思います。 * 目的(パーパス) * 何をするものか * プロセス * 手順 * パラメーター * カスタマイズの余地 ![](/assets/n27afbf813b85_1732134222-u2wYpyWXHfQve9ZDatiGcOmI.png)カードに書く内容。 書き込む分量は一行レベルでシンプルに抑えたいところです。カードをつくる人の腕の見せ所ですね。 別にこのカードだけで完結させるものではなく、実利用時はカード以外にも見るでしょうから、カード自体は簡易的に把握する・程度で良いと思います。 ## メリット * 覚えやすい * 俯瞰しやすい * 文章だけではモチベーションが上がらない人でもモチベーションを上げられる * グッズ化すればビジネスになる可能性 * ただし商標登録の場合は許可を取りましょう * ※ちなみに[ポモドーロ・テクニックも商標です](https://note.com/workhack20/n/n175f18ea881e) # Title: カーデーション(カード化) **カーデーション(Cardation)** とはカード化のことです。 ## カードとは 一つの情報単位を一枚の札で表現しきれるように上手くまとめたものです。 * 情報をコンパクトにまとめる * イラストやデザインなどビジュアルを重視して、わかりやすさと収集心を刺激する * ゲーミフィケーションを導入する(カードゲーム化する) ## メリット * 読んでもらいやすくなる * 共通言語としてコミュニケーションや議論を促進する * グッズ化できればビジネスに貢献できる 啓蒙、コミュニケーションや議論、あるいはビジネスを促進させるためのヒントとして活用できるでしょう。 ## 例 カードゲームの例は割愛して、仕事術を例にします。 ### トラパタとまなパタ IPAが提供するパターン集であり、各パターンをカード化していると言えると思います。 ![](/assets/naabbd9af4c5d_1732135314-hzuPnNsDotdwHIG3RE79Le2Z.png)トラパタの一部。 ![](/assets/naabbd9af4c5d_1732135342-5Oa4jvu3HgM02ZFUKEePyiJD.png)まなパタの一部。![](/assets/naabbd9af4c5d_1732135361-Q5xpMyTgFbWGaC2uq4HL81lt.png)イラストと記述とで分かれている。いわば表面と裏面。 記述量は多め。 仕事術カード。 ## カードをつくるには * カードの内容をつくる * 1: ジャンルの選定 * 2: ジャンル内でカード化する対象を選定 * 3: 素材(カードの名前、記述、イラスト)を作成 * カードの原型をつくる * 4: 素材を配置して画像化 * カードをつくる * 5: 画像をウェブサイト化・ドキュメント化・グッズ化 * 届ける * 6: 配布 カードというとカードゲームを思い浮かべますが、つくりかた自体は様々です。というより、 **カードの画像をいかにして見せるか** という話ですから、物理的なカードの形でつくる以外の方法も取れます。 # Title: ペアワーク **ペアワーク** とはワーク・ゲーミフィケーションの一種であり、ペアプログラミングを一般化した「仕事の仕方」です。 ※ワーク・ゲーミフィケーションについては解説しません。以下記事を参照してください。 ## ペアワークとは ### ペアワークで扱える対象 「ひとりがつくって、その結果を別の人に見てもらう」ような仕事が対象です。 また、ここでいう仕事とは、作業のウェイトが大きいものを指します。つまり「時間をかければ確実に前に進められそう」くらいの難易度です。ひらめきや発想法が要求されるレベルの、高度で創造的な仕事は向いていません(※)。 ※この場合は単に[発想法的なやり方](https://note.com/workhack20/n/nd06f10b86a95)を使います。 ### Before/After ペアワークを適用すると After になります。 * Before * つくる人がつくる → 見る人に見てもらう * After * 二人が同座して、ひとりはつくる役、ひとりはツッコミ役になって、二人一緒につくる ### 用語 つくる人を **ドライバー、** 見る人を **ナビゲーター** と呼びます。 車の運転にたとえられます。操縦者と案内者ですね。 ![](/assets/n2249891add55_1732158348-gzumGeTB0lE5VMS3jc46J1s9.png)ペアワークのイメージ。 ### 由来 ペアプログラミングから来ています。 従来はプログラミングも通常の創造活動と同様、クリエイター(プログラマー)がひとりでつくって、それを評価者に見てもらう形でした。 ※成果物を見てもらうことを **レビュー** と呼びます。レビューを行う人をレビュアーと呼びます。 しかし、これだとレビュアーがボトルネックになってしまう問題がありました。また完成後の成果物しか見れないため、教育面の効率も上がりませんでした。 このあたりを解消するために生まれたのが、ペア(二人組)で一緒につくりあげていく **ペアプログラミング** です。OJT さながらに二人三脚で一緒に取り組むことで、仕事しながらレビューと教育も行ってしまうのです。 このあり方には仕事術一般に拡大できるほどのポテンシャルがあるため、今回当サイトでは「ペアワーク」と名付けて一般化しました。 ※このようにソフトウェア開発の世界からビジネス一般に持ち込む流れはよくあります。[アジャイル](https://note.com/workhack20/n/n4e23691194d4)やリーンスタートアップもそうです。 ## メリット **レビュアーというボトルネックを解消できること** です。 多くの階層組織がそうであるように、レビューを行えるような有能な者・権限を持つ者に仕事は集中しがちです。その者のキャパシティ≒チーム全体のパフォーマンス、となってしまうほどのインパクトもしばしばあります。 これは組織力学と言えるほど自然かつ必然的な現象であり、これを打破するには組織のあり方そのものを変えねばなりません。 ペアワークは端的な解となります。 ものづくりを行う現場の、階層的なあり方を壊せます。なぜなら、後述するように、ペアワークはペアとなる二人が双方対等でなければ成立しないからです。成立するということは対等ということであり、(その現場その仕事に限りますが)階層的なあり方から打破できていることになるからです。 実際、パフォーマンスも上がります。 と、小難しく言っていますが、要するに「それなりにつくるのが大変なもの」をつくる場合、一人がつくってもう一人がレビューするよりも、二人で一緒につくった方が早いという話です。 ## なぜペアワークでパフォーマンスが出るのか Ans: **フィードバックが多いから** です。 まず現代では、仕事に対するフィードバックが得られにくくなっています。上述したように階層的なあり方が敷かれていたり、生活水準の向上により無闇に拘束しづらくなっていたりするからですね。 これを何とかするために、ゲームの力(ゲーミフィケーション)を取り入れるのがワーク・ゲーミフィケーションであり、特にフィードバックの量を増やすことに注力しています。ペアワークはその一つです。 つまり **ペアワークをするとフィードバックが増えます** 。対等な二人が、一つの仕事に一緒に取り組むわけですから、そうでない場合よりもパフォーマンスが出るのは当然です。 その代わりに、一緒に過ごす分、疲れはします。作業内容にもよりますが、1日数時間しか保たなくても不思議ではありません。 ## ペアワークの成立条件 ペアワークの成立には色々条件がありますので、整理します。 ### 1: ナビゲーターは、ドライバーと同等以上の実力と権限を持つ者であること 元ネタのペアプログラミングでは、ナビゲーターがドライバーを教育するニュアンスが強かったりします。 要はドライバーが初心者で、ナビゲーターが上級者で、初心者に仕事をやらせて、それをそばで眺めて、リアルタイムにサポートしていくのです。 **ペアワークではこのような教育的な用途を許容しません** 。 ナビゲーターとドライバーは対等であるべきです。 対等とは実力と権限の両方を指します。実力に偏りがあると、介護になってしまうのでダメです。また、権限に偏りがあっても、権限を持つ方に合わせてしまう形となりフィードバックが弾まないのでダメです。 ### 2: ナビゲーターは、助言を行う立場にすぎず、命令者ではないこと 意思決定はドライバーが行います。実際にどう作業して、どう完成させるかはすべてドライバーが決めます。 ナビゲーターの役割は助言であり、ドライバーに干渉する権限はありません。ドライバーに全権を委ねることで、余計な摩擦な合意形成を減らすことができます。 別の言い方をすると、ペアワークを行うには意思決定を行える程度の自律性と実力が必要とも言えます。 **意思決定できない者にペアワークは務まりません** 。自律性があっても実力が足りないとダメですし、実力があっても優柔不断など性格的に意思決定できないのであればやはりダメです。 といっても、難しい判断を迫られるということはほとんどなく、通常はペアワーク中の議論で自然な結論が出ます。 あるいは、出ない場合は、ドライバーがさっさと決めます。サイコロを振って決めることもあります(し、悩んでもきりがないことをこうしてさっさと決めることこそまさに意思決定です)。 ### 3: 中断して議論を行うこと 議論が多くて作業が進まなかったり、「いったん議論を深めておかないとヤバそうなのでは」的な直感が二人とも一致したりすることがあります。 **よくあります** 。 このような場合は、ペアワークを中断して議論の方を行ってください。 議論の仕方については割愛しますが、当サイトでもいくつか取り上げています。 発想法的に議論する: 書いて議論する: ペアワーク中断の兆候も挙げておきます。 * 議論が多くて作業が進まない * 危ないのでは、的な直感が二人とも一致する * 「これはいったん議論を深めておかないとヤバい感じがする」 * 「なんか場当たり的に進めてるよねこれ……」 * 「確認しておいた方が良さそう」 etc * 片方または両方に集中力の低下が見られる * スマホを見る * ため息が出る * 雑談が弾み始める etc ### 4: 作業時間や休憩タイミングのすり合わせをしておくこと ペアワーク中の優先順位は、そのタスクが第一でなくてはなりません。しかし、ふたりとも人間ですし、性質も違えば事情も違いますから、無限に続けるわけにもいきません。 かといって **お互い遠慮をしたり、無理したりするとペアワークが続きません** 。そもそもそれが厳しいからこそ、現代では生活水準が上がって、各自のペースで仕事していこうとなっています。 ※当サイトでは VUCARD と呼んでいます。 プロのアスリート等が高いパフォーマンスを出せるのは、時間の過ごし方が決まっているからです。 同様にペアワークを行うときも、お互いが納得できるやり方を議論して決めてください。 * 1日何時間くらいやるのか * 1日いつからいつまでやるのか * 毎日同じ時間帯でいいのか * 曜日ごとに時間帯を変えないとダメなのか * 何分ごとに休憩を入れるか etc その際、 **常識は撤廃してください。あくまでも自分たち二人にとってのベストを考えるべきです** 。たとえば、会社の就業時間が 8 時間だからといって、8時間ペアワークしなければならないなんてことはありません。集中力が2時間しか続かないのなら、2時間でもいいのです。残りの6時間は、その2時間を最高のものとするために使います。あるいは使うことで支障が出るのなら、休んですらいいでしょう。 別の言い方をすると、 **量よりも質** を求めてください。 もし上手く決まらない場合、その都度休憩や終了を相談するやり方にしましょう。下記のようなやりとりを気軽に行えるようになれたら良いですね。 🐶「今日もう疲れたんですけど、終わりにしません?」 🐱「ここだけ終わらせたいです」 🐶「正直今日はもういいやって意識になってるんで明日がいいです」 🐱「ならしゃーないですね、終わりますか」 最も重要なのは二人のパフォーマンスであり、もっと言えばパフォーマンスを生み出すための心身です。仕事のためだからと安易に我慢して、無理して取り組むのは最悪です。 **ペアワークは無理・無茶して行うものではありません** 。無理や無茶は危険信号です。もし、そのような状況にあるのだとしたら、その状況自体がおかしいので、状況自体を何とかする議論から始めるべきです。 あるいはそもそもペアワークが向いてないので、やめるべきです。 もう一つ、最適な時間や休憩タイミングはしばらく模索が続くものと考えてください。自分のそれを理解していない人は多いので、通常、ペアワークの初期段階では二転三転します。 また、一度決めたペースも、あとで変わることがあります。仕事や生活の事情で急に変わることもあります。 というわけで、 **ペースは動的なものだと考えて、融通を利かせてください** 。一度決めたペースに律儀に従うという例は多いですが典型的なアンチパターンです。 「 **今現在** 、最も自然に集中できて高いパフォーマンスを出すにはどんなペースが良い?」 を毎日意識したいところです。 ### ### 5: 割り込みが発生しないこと ペアワークを行っている最中は、 **一切の割り込みを許容してはいけません** 。 可能なら、ちょっとスマホを見たりネットサーフィンしたりする脱線すら許容しないレベルで、しっかり集中したいです。少なくとも通知はすべてオフにするべきです。 ※休憩中は問題ないです。本当を言えば休憩中もしっかり休んでほしいですが、そこまでは縛らなくても成立はします。 逆を言うと、このレベルで「集中できる環境」を手に入れる気がない人や、このような環境での仕事ができない人はそもそもペアワークに向いていません。 **よくあります** 。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: リモートでも可能? Ans: 可能です。 ただし 5: でも述べた割り込み(脱線含む)の遮断が至難だと思います。 一応、当サイトでも遮断力と題して遮断の仕方を解説してはいますが、これは個人レベルの話であって、ペアワーク時は参考になりません(自分なりに遮断できれば良いわけではなく、ペアワークが成立レベルでの遮断を実現せねばならないからです。通常、後者は前者よりも厳しいです)。 そういうわけで、可能な限り、対面で同座するのが良いと思います。 ### Q: 1日何時間くらいが良い? Ans: 人や仕事によりますが、1~2時間でも不思議ではありません。 人間の集中力はたかが知れていますから、4時間以上だと「ちゃんとできてる?集中力落ちてなあなあになってない?」を疑います。というわけで、まずは3時間を目安にするといいと思います。 そもそもペアワークを成立させること自体が難しいので、最初は1時間を目指してみると良いでしょう。 ちなみに、仕事が作業的なものであれば、4時間以上でも続くことがありますが、 作業的な仕事はそもそもペアワークが不要(ひとりでやればいいしできる)だと思います。 ### Q: 子どもやペットがいる場合、リモートでは可能か? Ans: おそらく不可能です。 子どもやペットに邪魔されながら仕事する人は例外なくマルチタスクワーカーであり、表面的・作業的な判断は得意でも、深い思考や議論はできません。 おそらくペアワークは成立しないか、しても深い思考や議論が出来ずに大したパフォーマンスが出ないと思います。 もし子どもやペットがいる場合は、ペアワーク中は1秒も邪魔されないよう遮断してください。 しかし、経験上、ペアワーク中も子どもやペットに関する思考が頭をよぎってしまって集中しづらいので、やはり成立はしづらいと思います。特に休憩中に子どもやペットを触れたあと、再開したはいいが、そこで思考に子どもやペットが入り込んでしまう、ということがよくあります(ノイズ現象)。 # Title: PX(Peace Transformation) **PX(Peace Transformation)** とは、ティール組織に至るための変革を指します。Peace(平和)の概念については、以下記事を参照してくあさい。 本記事では PX の本質を3つにまとめます。 ## 1: ビジネス・パシフィズム Peaceを絶対に守る、という考え方を指します。 特に資本主義的なあり方や仕組みから組織を守ることを意味します。実質的に経営者レベルでの取り組みが必要であり、この点はDXと同じです。 ちなみにパシフィズム(Pacifism)とは「平和主義」の意です。 ## 2: ワールド・カスタマー 世界の内外すべてを顧客と考えて、丁重に扱います。 「社員を顧客だとみなす潮流」は以前取り上げましたが、 これをステークホルダーの内外すべてにまで拡大します。 ## 3: オープンネス ティール組織はPeaceを目指す性質上、健全性を示す必要がありますが、健全性とは透明性をもって示されるものです。 情報をオープンし、社外からのアプローチもオープンに受け入れます。冒頭の3Pの記事でも取り上げましたが、特にプロトコルがオープンになっていることが一つの目安です。 # Title: XX(XXXX Transformation) **XX(XXXX Transformation、なんとかトランスフォーメーション)** を整理します。 ## 全般知識 ### そもそもトランスフォーメーションとは? 変革を意味します。直訳が「変態」であるように、根本からガラリと変わるニュアンスがあります。 少なくとも「組織パラダイム」または「働き方」のいずれが変革されます。 ### なぜTransformationがXになるのか Transに「交差する」の意味があり、Cross(そしてその略称であるX)を充てることができるからです。 ## DX(Digital Transformation) **デジタル** への変革を指します。「働き方」が変わります。 GAFAMに代表されるように、デジタル(IT)の力は絶大ですが、この力を享受するにはデジタルの流儀に従わねばなりません。 ITエンジニアにはお手の物ですが、大多数のマジョリティはそうではないため、長期的な投資と訓練を要します。 当サイトでもいくつか記事を書いています: ## AX(Async Transformation) **非同期** への変革を指します。「働き方」が変わります。 現代は VUCA だといわれますが、当サイトでは Diversity と Remote を加えた [VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485) を提唱しています。 現代は個人の生活水準が上がっており、各々の生活を尊重することが当たり前になりつつある――は言い過ぎですが、尊重できない会社は選ばれなくなってきています。 尊重できるかどうかを分かつのがコミュニケーションの仕方であり、時間と場所を拘束する同期コミュニケーションから、 **拘束しない非同期コミュニケーションにシフトできるかどうかが鍵** です。 ここでトランスフォーメーションレベルのシフトを要します。AXと呼ぶことにしました。 AXができない組織は、結局同期コミュニケーションを手放すことができません。これは投資に踏み切れずにDXを始められないのと同じ構図です。 ## PX(Peace Transformation) **ティール組織におけるPeace(平和)** への変革を指します。「組織パラダイム」が変わります。 ティール組織では資本主義的なあり方から抗います。この概念にはまだ名前がついていませんが、当サイトではPeace(平和)という言葉を使っています。 営利第一になるのではなく、それを強要する現状のあり方に迎合するのでもなく、持続的に自分たちの使命を果たすことを考えます。利益はその結果としてついてくるものと捉えます。 詳細は以下記事を見てください。 ## DocX(Documentation Transformation) ドキュメントを重用した働き方への変革を指します。 2025/01 現在、GitLab 社と Helpfeel 社が該当します。他にも当てはまる企業はあると思います。よろしければ教えてください(コメント欄開放中、その他[お問い合わせ](https://lit.link/workhack20)からでも)。 # Title: マルチタスクのマトリックス 「マルチタスク」という言葉一つだと、実は上手く捉えられません。タスクの他にコンテキストも導入して、マトリックスにすることで、上手く捉えることができます。 ## マルチタスクのマトリックス タスクとコンテキストの二軸で整理したものを **マルチタスクのマトリックス** と呼びます。マルチタスクと呼ばれるものには、実はタスクとコンテキストの二軸があるのです。 ![](/assets/ne9d4e394e2b2_1732240046-qx4WhXunMt3H965fGRiomNaw.png)マルチタスクのマトリックス。 以下、詳しく見ていきます。 ## 軸について ### コンテキスト **コンテキスト** とは、現在抱えてる立場を指します。 役割、所属、責任など言い方は色々ありますが、 **数日以上の「全く関与しない」ができない程度に恒常的に仕事を発生させるもの** と考えてください。 仕事に限った話ではなく、子どもやペットや植物の養育や、毎日活動している趣味ゲームサークルのリーダーという立場などもコンテキストになります。 コンテキストを一つだけ抱える場合は **シングルコンテキスト** 、二つ以上だと **マルチコンテキスト** といいます。 ### タスク **タスク** とは、現在進行中で締切を持つ「無視できない」事柄を指します。 打ち合わせなど参加を要請されるものも締切に含めます。なので、定期的な会議や会合がある場合は恒常的にタスクを抱えていることになります。 また、「無視できない」の定義は人それぞれです。極端な話、ろくでなしだと仕事や育児さえも無視できますし、ネグレクトだと生活上の諸手続きを無視できます。 タスクを一つだけ抱える場合は **シングルタスク** 、二つ以上だと **マルチタスク** と呼びます。 ## マトリックス コンテキストとタスクのそれぞれについて、シングルかマルチかで分けることができます。 ![](/assets/ne9d4e394e2b2_1732240046-qx4WhXunMt3H965fGRiomNaw.png)再載します。 以下、各パターンを見ていきます。 ### 1: シングルコンテキスト-シングルタスク コンテキストもタスクも1つだけ持っているか、全く持っていない状態を指します。 現代において、この状態に至ることは通常ありません。あるにしても一瞬だけ・短期間だけとか、あるいは療養や生活保護くらいでしょう。言わば一種の境地であり、この境地に至る人を **コグニティブ・ミニマリスト(Cognitive Minimalist)** と呼びます。 つまり、ミニマリストと呼べるレベルで意図的に捨てていかない限りは到達できないような、特殊な状態です。 ### 2: マルチコンテキスト-シングルタスク 複数のコンテキストを抱えているが、それぞれのタスクは一つ以下で済ませている状態です。 単一のタスクしかやらない人(職人気質)、あるいはできない人(不器用)が複数のコンテキストを抱えると、こうなります。 例を挙げるとクリエイター、末端の作業員や、腫れ物となっているメンバーやモンスター社員などですが、有能か・無能かはあまり関係がありません。また、本人が狙って至るケースと、周囲からの要請や自然な成り行きで至るケースがあります。 いずれにせよ、通常この状態に留まることは難しく(一つタスクができるのならさらに課すため)、とどまっているだけの特殊な理由がほぼ必ずあります。 ### 3: シングルコンテキスト-マルチタスク 単一コンテキストの中で、複数のタスクを抱えている状態を指します。 現代ではあまり見かけません。 範囲を限定すれば、たとえば私生活はさておき「新卒で入社した会社内」に限定すればありえます。新人や平社員は、まずはシングルコンテキストの中で一つタスクを課され、それができたら複数のタスクが課される(3:の状態)でしょう。 しかし、人手不足の現代では社内だけでもマルチコンテキストは当たり前ですし、もちろん私生活もあります。単純な話、仕事と育児があれば、もうマルチコンテキストになるわけで、3: からは離れてしまいます。 ### 4: マルチコンテキスト-マルチタスク 複数のコンテキストを抱えており、それぞれのタスクも複数抱えているという状態です。 現代では、通常この状態になります。あるいは最初は 1: ~ 3: だったとしても、次第に責任や興味の範囲が増えて、すぐにこの 4: になります。 ## マトリックスから言えること **4: のマルチコンテキスト-マルチタスクが唯一ではない** 、ということです。 * コンテキストをシングルにする、あるいはタスクをシングルにするという発想があります * **シングリファイ(Singlify)** と呼びます * 非常に特殊ですが、両方ともシングル以下にする境地もあります * 👉️コグニティブ・ミニマリスト * 人生の範囲を限定すれば、より応用がしやすいです * 例 * 「私生活」で * 「所属している会社」で * 「所属している会社の案件1」で * 限定した範囲内でシングリファイを狙えます ## (関連記事) シングリファイにはライフスタイルにできる価値がありそうなので、「シングリスト」として提唱しました。 # Title: マトリックス芸人と、つくったマトリックスたち ![](/assets/n4c674fc7017f_5fc135a04b918ecb38168ae3e4f47aaa.png) 当サイトでは仕事術として、様々なマトリックス(2x2で4パターンを示すもの)をつくってきました。 まるでマトリックス芸人です。 本記事では、それらマトリックスを整理して読み漁れるようにしたいと思います。 ### (更新履歴) * 2024/11/22 本記事を公開しました * コンテンツは今後拡大予定です * ……と思いましたが、下記で示す検索結果にて自動的に反映されるので、この記事として手動更新するのはやめます ### (概要) マトリックスとは、以下のように 2x2 で 4 パターンを整理したものです。 ![](/assets/n4c674fc7017f_1732242723-gBQXW7S5mYoMKj8NqJaFrxVO.png)マトリックスの例: [もくもく会のマトリックス](https://note.com/workhack20/n/ne71947e04caf)より ## マトリックスの一覧 noteの検索結果を利用したものです。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9&context=note&mode=search) # Title: シングリスト(Singlist) **シングリスト(Singlist)** とは、ミニマリストでもシンプリストでもない第三のライフスタイルです。 ## シングリストとは 一つだけ持つようにする、という哲学を採用したライフスタイルです。名前はシングル(Single)から来ています。 ### ミニマリストでもシンプリストでもない ミニマリストのように「大半のモノはそもそも持たない」わけではありません。必要なら一つだけ持つことができます。 また、シンプリストほど融通を利かせたり調和を重視したりすることもありません。「持つなら一つ」という単純なルールを適用します。 ### シングリファイ シングリストは常にあらゆるものを一つずつ持つ、 **というわけではありません** 。 シングリストが持つのはシングリファイの哲学です。 **シングリファイ(Singlify)** とは「一つだけ持つようにする」という意味で、動詞と考えてください。必要に応じてシングリファイします。 単純な例として、「朝の時間がもったいないから、毎食固定にするか」はシングリファイです。朝のメニューを一つだけ(一メニューだけ)にしているからですね。 と、この例だけだと新しさを感じませんが、シングリストはこのシングリファイを頻繁に使います。 たとえば仕事や立場に対して使うことができます。詳細は以下記事を参照してください。 ## 例 * 抱えるタスクを一つだけにする、抱えるコンテキスト(立場)を一つだけにする * 👉️[マルチタスクのマトリックス](https://note.com/workhack20/n/ne9d4e394e2b2) * 机、椅子、ディスプレイ、PC、その他デバイスを一つだけにする 購入する単位を1つ(1パックや1ケースなど)だけにする * 毎日食べるメニューを1種類だけにする * 朝、昼、夜食べるメニューをそれぞれ1種類にする * 自炊、外食、中食(持ち帰り)をそれぞれ1種類にする etc どのようなカテゴリを敷いて一つにするかは人それぞれですが、とにかく「一つだけにする」を必要に応じて(しかし頻繁に)使います。 ## メリット Ans: **認知資源を減らせる** ことです。 * 一つだけ持てばいいというシンプルなルールに従えばいいので、判断の量を減らせます * ミニマリストみたいに厳しい取捨選択に認知に費やす必要もなく、シンプリストみたいに調和の維持に認知を費やす必要もありません * 片付け、断捨離、整理整頓といった観点を持たないので、気軽に使えます * 自分なりのシングルをマイペースに模索していけるので疲れません ## 比較 ### すべての所有物に理由を持つ点は同じ ミニマリスト、シンプリスト、そしてシングリストの本質はどれも同じで、 **すべての所有物(ヒトモノコトカネ全部含む)に理由を持つ** ことです。 「なぜ持つのか?」 「なぜ持たないのか?」 「本来は持つべきではないが、今持っているのはなぜか?」 「本来は持つべきなのに、今持っていないのはなぜか?」 etc 一般の人は理由なくテキトーに持ったり捨てたりします(※)が、この人達はテキトーを許さず、ほぼ必ず理由をつけます。 ※特に日本は[宗教観の影響で捨てることは難しい](https://note.com/workhack20/n/nb5bd9433ebc1)ので、溜め込みがちです。 ### どれだけ少なくするかが違う * ミニマリストは、できるだけ少なくする * シンプリストは、なるべく少なくする * シングリストは、1つだけにする ### 目的も違う * ミニマリストは「本質的に少ない暮らし」の追求 * シンプリストは「調和の取れた暮らし」の実現 * シングリストは認知資源の節約 ### 歴史も違う 最初はミニマリストです。国内ではライフスタイルの文脈で 10 年ほど前から SNS で見られるようになった潮流だと思います。はじまりは『[ぼくたちに、もうモノは必要ない。](https://www.amazon.co.jp/dp/4847093461/)』だと思います。 その後、ミニマリストに挫折した人達が、さほど敷居が高くなく融通を利かせられる第二のあり方を模索し始め、シンプリストとして台頭し始めます。こちらは 5 年も経っていないと思います。 そして 2024/11/22、当サイトからシングリストを提唱します。 # Title: WSD-Lv(働き方の多様性レベル) 働き方の多様性(ワークスタイル・ダイバーシティ)について以前お伝えしましたが、 これの程度を推し量る指標として **WSD-Lv** があります。 ## WSD-Lv WSD-Lv(働き方の多様性レベル)とは、WSD(働き方の多様性)の段階を推し量る指標です。 ある組織に対して、ある観点について、働き方が何通り共存できているかをレベルにします。1つだけならレベル1、2つならレベル2です。 レベル2以上を準多様的、レベル3以上を多様的と呼びます。 ## メリット * 働き方の多様性を測ることができます * WSD-Lvを意識することで、働き方の多様性を上げることができます 働き方の多様性を上げること自体のメリットは、[冒頭に挙げた記事](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)を参照してください。こちらでも書いておくと、働きアリの法則を壊せることです。 ## 測り方 ### 1: 測る先の組織を定める チームやプロジェクトといった小さい単位が基本となります。「普段一緒に仕事をしたり集まったりする集団」が目安です。 そのような集団だからこそ働き方が単一(レベル1)になりがちなわけで、これを上げたい、そのための指標が欲しいわけです。 部門や事業部といった大きな単位で測るなら、部門内全員・事業部員全員向けの取り組みを想定してください。 たとえば全員に出社を要請するイベントだったり、偉い人との1on1で全員に対面を要請したりといったことです。通常ですと、全員出社・全員対面であり、レベルは1ですが、これが「リモートでもok」「テキストで非同期でもok」も当たり前に許容されるとしたら、それはレベル2以上と言えます。 ### 2: 測りたい「働き方」の観点を定める 「働き方」として何があるかは様々ですが、主なものを挙げますのでニュアンスを感じ取ってください。 * 同期性 * 1: 常時リアルタイムでやりとりする * 2: ハイブリッド(半々くらい) * 3: 常時非同期でやりとりする * 忙しさ * ※月150時間(平日7.5時間、つまり残業ゼロ)をベースラインとします * 1: ビジー。常にベースを超える * 2: ビジー寄り。ベースラインだが、超えることが多い * 3: スラック寄り。ベースラインだが、下回ることが多い * 4: スラック。常にベースを下回る * 管理・計画 * 1: ウォーターフォール。常に計画を立てて、そのとおりにやる * 2: アジャイル。1-2週ごとに何するか決めて試す、を繰り返す * 3: [エクスプロラトリ](https://note.com/workhack20/n/n78e509a4fcda)。一定期間中、一切の計画・管理なしに自由に動く ### 3: 計測(観測)する 定め終えたら、実際に計測します――といっても「働き方」が何通り許容されているかを観測すればいいだけです。 わかりづらいので例を挙げます。 例1: 同期性 全員が対面やオンライン会議で会話することが当たり前だとしたら、これは同期性についてはレベル1です。働き方の多様性は無いに等しい状態です。 レベルを上げるためには、一日の半分くらいは一切喋らないハイブリッドや、一日全く喋らない非同期も許容しなければなりません。これらが許容され、当たり前に共存できていて、はじめてレベル2以上と言えます。 例2: 忙しさ 全員がベースラインを超えている場合は、やはりレベル1であって多様性がありません。 一方、月200時間(残業50Hのビジー)の人と月120時間(ベースライン以下のスラック)の人が同じチーム内にいて、共存できている場合は、レベル2と言えるでしょう。この場合、当然ですが、 * スラックの人「そろそろ月120時間行きそうなんで、その仕事はしないです」 * ビジーの人「自分はもっと働きたいので残業するな、と言われても困ります、やりたいです」 上記はいずれも認められねばなりません。 いずれにせよ、 **多様性がない組織から見ると「そんなことできるわけがないだろ」と感じると思います。それがまさに多様性がないことの証左でありレベル1です。** レベル1は唯一ではありません。単に発想がなかったり、やり方がわからなかったり、あるいは行動をしてこなかっただけにすぎません。WSD- Lvを知ると、レベル1が唯一ではないことを教えてくれます。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 育児や介護による時短勤務ができているからレベル2以上? Ans: いいえ。 典型的な多様性だけでは、働き方の多様性としては認められません。 WSD-Lv は典型的な多様性以外も扱います。たとえば何の事情や問題もない健康的な独身がいたとして、この人が当たり前にハイブリッドやスラックやアジャイルができるか、という話です。 別の言い方をすると、育児や介護といった「典型的な多様性」として認められる **特殊な事情の有無は関係がありません** 。仮にレベルが2だとしたら、誰であろうと、どちらの働き方を選べるはずです。 # Title: 「フレキシブル・アロケーション」でダイナミックケイパビリティを手に入れる ダイナミック・ケイパビリティの本質は「 **配分を動的に変えていく** 」ことです。VUCAな世の中についていくために、何にどれだけ費やすかという配分を、動的に微調整していきます。 経営論ということもあり、アプローチはトップダウンのみが想定されていますが、もう一つあります――ボトムアップにやっていくこともできます。 ## 背景 ダイナミック・ケイパビリティは経営論ですので、アプローチとしてはトップダウンが想定されています。 つまり、経営層が「動的な変更」を覚えた上で、組織全体に落としていくわけですね。しかしながら、トップダウンですのでスピードは遅いですし、経営層のバイアスも入ります。きめ細かくないのです。 この問題に対処するために、 **ボトムアップベースの** 動的な変更も取り入れます。 ## フレキシブル・アロケーション **フレキシブル・アロケーション(Flexible Allocation)** とは、組織を構成するチームや個人が「配分を動的に変える」ことを実践していくことです。 ## メリット Ans: ダイナミック・ケイパビリティを身につけることができます。 特に経営層からのトップダウンではなく、 **現場からのボトムアップによる「変更への耐性」が手に入ります** 。 要は、現場側で各種配分を動的に変えること、もっと言えば融通を利かせられることが当たり前になるので、その分、変化に強い組織になります。 現場から発しているものなので、トップダウンほど一方通行ではなく現実に即しています。加えて、 **現場自体が変化に強くなっているので、トップダウンによる変更をキャッチアップするスピードも上がります** 。 ## 何の配分を変えるか 変えられる配分は多岐に渡りますが、いくつか例を示します。 * 時間の使い方 * 権限 * 付き合う人や話す人 * 使うツール ### 時間の使い方 過ごし方と言い換えても良いでしょう。 たとえば毎日朝会をしている場合に、朝会をしないという過ごし方に変えた場合、これは「時間の使い方」の配分を変えたと言えます。 何も変えない場合、朝一に朝会をするという過ごし方から脱せません。以下記事でも言及していますが、 おそらく一人のマネージャーがボトルネックとなるあり方から脱せないでしょう。 逆を言えば、朝一に朝会に費やすという配分を変えることで、異なるあり方を開拓できます。たとえば、当サイトでは、現場とマネージャーのスケジュール観が違うと述べた上で、両者がお互いに歩み寄れるハイブリッド・スケジュールを提案しています。 ハイブリッド・スケジュールにより、現場はまとまった時間でしっかりと仕事でき、マネージャーは現場を邪魔せず、しかし必要なコミュニケーションはコンパクトに高密度に行えます。win- winを取れます。 ### 権限 権限は、配分が変更されないものの筆頭です。 これを変えてみることにより、膠着した組織に科学反応を起こすことができます。 たとえば普段は必ず承認を敷いていたり、提案すべてに計画とコストなどの妥当性を説明させているとします。このあり方では承認者がボトルネックになっていますが、これは変えられます。 どこまで適用するかはさておき、承認や提案なしに、とりあえず始めてもいいことにする(権限の配分を変えています)のです。当サイトでは提案2.0という概念をお伝えしました。 ### 付き合う人や話す人 私達はプライベートでも仕事でも、固定的な人とだけ付き合う傾向がありますが、これが融通の無さを生みます。 付き合う人を変える(誰と付き合うかという配分を変える)ことで、これを打破できて、より融通が利くようになります。 たとえば「社員全員と接する存在」を立ち上げることで、社員全員に刺激を与えることができるでしょう。当サイトでは社内エバンジェリストを取り上げました。 社内全員が誰でも誰とでも議論できる、というあり方も盲点とされがちです。これにより、チーム内や部門内といった井の中に閉じてしまう弊害を防げます。 もう一つ、日本では平等思考が強くて、チームメンバーとは必ず接しなければならないと考えがちですが、そんなことはありません。極論、モンスター社員であれば、一部の専任者とだけ接するようにしてチーム全体を守る方が建設的です。当サイトでは「隔離」というテクニックをご紹介しました。 いずれも「誰と付き合うかという配分」を変えています。変え方次第で、こんなにも融通が利いたり、広がりをもたせたりできます。 ### 使うツール [仕事の質](https://note.com/workhack20/n/n47b1505a2577)やパフォーマンスはツール次第なところがあります。どのツールをどれだけ使うかという配分を変えることで、質やパフォーマンスのテコ入れができます。 たとえばコミュニケーションツールとして Teams や Slack などのビジネスチャットを使っている組織は多いと思いますが、他にもあります。 ビジネスチャット(Chat)以外にも、Wiki や Q&A や Issues といったものがあります。 これらを使うことで、当然ながらチャットではできなかったこともできるようになります。質疑応答や議論が捗ったり、会議を減らせたりできるでしょう。 また、私達は何かと会議をしがちですが、会議には交流とプレゼンスが混ざっており、分離することができます。 会議では会議だけ行って、交流やプレゼンス確認はそれ用のツールを別途使うのです(会議中についでに充足させようとしない)。 これにより、会議にばかり費やしているという原始的な配分から脱せます。 ## (関連記事) フレキシブル・アロケーションとは、言い方を変えると「働き方の多様性」を上げるとも言えます。 ですので、働き方の多様性を上げることを考えることで取り組みやすくなるでしょう。このレベルを測る指標も開発したので、ぜひご利用ください。 # Title: 会議体(Meeting system) **会議体(Meeting system)** とは、ある組織において、会議をどのように行っているかという実態を指したものです。 ## メリット 会議体という概念を知ることで、自らの会議を言語化・可視化して捉えられるようになります。見える化できたら、具体的に改善していくことができます。 つまり会議改善に繋げることができます。 ## 会議体の構成要素 会議体は「思想」と「実態」から成ります。 思想とは、会議をコントロールできる者(意思決定者)の思想あるいはチーム全体の思想のことで、会議に関する考え方やスタンスを指します。会議体のあり方は、ほぼ思想で決まります。 実態とは、今現在実際に運用されている会議の集合です。定例(定期的なもの)と随時(随時行うもの)があります。 ## 会議体の設計 典型的な流れをまとめます。 * 1 現状の思想と実態を把握する * 2 改善したいことや新たにやりたいことを洗い出す * 3 同上、優先順位をつける * 4 適用する ## その他のテクニック 上述した流れ以外にも、様々なテクニックが使えます。 ### リセット法 全部または一部の会議をゼロにします。その上で非同期ベース + 個別に相談する程度でやってみます。不便ならその都度、会議を追加していきます。 リセット法により、必要な会議を改めてゼロから追加していけます。特に[日本の文化では宗教観的に捨てるのが苦手](https://note.com/workhack20/n/nb5bd9433ebc1)で、「まあとりあえず続けようか」となりがちですが、「捨てる」とは違った「リセット」であれば始めやすいです。 また、リセット法は一種の試金石としても使えます。意思決定者がリセット法を(正当な理由を出せずに)断る場合、何らかの理由で会議にすがっている可能性が高いです。 ### キャパシティ法 使える会議時間の上限を設定し、超えないように運用します。 たとえば1日2時間以内とか、週に12時間以内など。 設定する上限に正解はありませんが、「会議以外の時間がこれだけあったら助かる」「何とかなる」といったメンバーの声から組み上げると良いでしょう。 また、上限は人によって違っても構いません。通常は(おそらく全員と接するであろう)マネージャーの方が多くなります。逆に、[隔離しているメンバー](https://note.com/workhack20/n/n24db2fefd9fd)などは極端に少ないこともあります。 ### コアタイム 定例会議をゼロにした上で、「この時間帯は誰でもいつでもコミュニケーションを取っていい」という時間帯をつくります。いわゆる **コアタイム** ですね。 ※コアタイムは多義語ですが、ここでは上述の意味として使います コアタイム中は誰でも誰にでも割り込めるので、コミュニケーション重視の過ごし方になります。コアタイム中にすべて吸収するので、わざわざ会議はしなくてよくなります。少なくとも定例会議はなくなるはずです。 より詳しくは以下記事も見てください。 ## 会議体の例 こんなチームがあったとします。 * 計5人 * 1人のマネージャー(🦍) * 4人のメンバー(🐶🐱🐏🐵) * プロジェクトは3つ走っている(PJ1、PJ2、PJ3) * 🦍は3つすべてでマネージャーを務める * ピープルマネジメントという終わりのないプロジェクトも1つある * 1on1、会社絡みの連絡事項や雑務対応、業績評価など「直接作業」以外も諸々 * これも🦍がマネージャー 会議体は、たとえば次のようになるでしょう(🦍の例): ### 思想 * 全社から降りてくるイベントは真面目にやります * 🦍としては、定例会議の場で進捗確認をします * (🦍自身が自覚していないことがあります) * その他のイベントは基本的に開催しませんが、新技術と業界動向のキャッチアップを目的とした勉強会はやります * 他にも希望があれば受け付けます ### 実態 定例: * チーム定例: 週一 * 勉強会: 月一 * 委員会定例: 月一 * 業績面談: 四半期に一回 * 全社から課される対話会: 四半期に一回 * PJ1 朝会: 毎日 * PJ1 夕会: 毎日 * PJ2 週次定例: 週一 * PJ3 週次定例: 週一 随時: * PJ1内の成果物レビュー * PJ2内の成果物レビュー * 新規事業や改善活動の提案 ### この会議体を変えるとしたら? この場合は、🦍の思想次第だとうかがえます。マネージャーの🦍が思想を変えない限り、大きく変えることはできないでしょう。 逆に思想を変えられたら、変えようはいくらでもあります。たとえば、 * 「全社から降りてくるイベントは真面目にやります」 * 👉️ * 真面目にやらずに各自適当に資料読んで済ませましょう * 上への報告は🦍の方から適当にやっておきます * 報告に必要な情報が欲しいときは適宜お願いするので、協力してください * 結論: **全社から課される対話会と委員会定例は無しにする** * 「🦍は3つすべてでマネージャーを務める」 * 👉️ * PJ3については、リーダーの🐶さんで回せるので、マネージャー権限も🐶さんに渡します * 🦍は基本的にタッチしません * 相談があれば随時乗ります * 稀に上への報告が必要なことがあるので、状況知りたいときは個別に相談します * したがって🦍は進捗の把握もしないので、会議も開催しません * 結論: **PJ3 週次定例を無しにする** # Title: 組織と市場の従属マトリックス 「組織に従うかどうか」と「市場に従うかどうか」でマトリックスにできます。 ## 組織と市場の従属マトリックス 次のとおりです。 ![](/assets/n79c53d7dc684_1732328268-6GfuQNwg98ZEjReA7xJ3hzXy.png)組織と市場の従属マトリックス ## メリット Ans: 自他の資質を判定することができます。 当サイトでは以前「頭の性能」について取り上げましたが、 世の中には努力が通用するとは限らず、戦う場所・過ごす場所は上手く選ばねばなりません。そのためには、巷にどのような資質が存在し、自分がどれに当てはまるかを知らねばなりません。 このジャンルは玉石混交ですが、おおよその傾向は薄々知られているか、すぐに理解できます。当サイトではこのような「資質を判定するための枠組み」も適宜紹介していきます。本記事もその一つです。 ## 軸について ### 組織 組織に従うとは、何らかの組織に組み敷かれて、その文化のもとで生きていけていることを指します。 実際に居続けられている(ことを許されている)かどうかで判断します。「従う」には以下のパターンがあります。 * 意思❌能力⭕: 従う気はないが、能力があって、居れている * 意思❌能力❌: 従う気はないし、能力もないが、居れている * 意思⭕能力❌: 能力はないが、従う気があって、居れている * 意思⭕能力⭕: 能力も従う気があって、居れている また、ある組織では上手くいかなくても、別の組織で上手くやれていれば「従う」と判断します。 ですので、「従わない」は希少です。たとえば、どの会社やコミュニティでも上手くやっていけないような人かつ独身(※)の人が該当します。 ※既婚であっても、パートナーを「便宜を満たす手段」として使っていたり、対等ではなく自分が相手を従えていたりする場合は「従わない」タイプである可能性があります。 ### 市場 市場に従うとは、自分のやりたいようにやるのではなく、市場(など場を支配する理)に従うことです。 たとえばビジネスやゲームに勝つために従ったり、無難にやり過ごすために組織のルールや空気に従ったりします。従うための手間は惜しまず、嫌であっても、面倒であっても「やるのが最速 or 最低リスク」なのでやります。 現代のビジネス論や人生論では「従う」一択です。趣味、一部の天才やイノベーションを除けば、従わないという選択肢はありません。 別の言い方をすると、市場に従うとは「 **成功を欲する** 」とも言えると思います。成功するためには、基本的に市場に従うしかないからです。 逆に、それでも自分の意思を優先して行動するような人は「従わない」に当てはまります。 配信を例にすると、現在流行っているプラットフォームやジャンルや題材があるのに、それらに迎合せず「私は自分のやりたいことで食べていきたいんだ」と自分を優先することが相当します。 **趣味ではなく、仕事として食べていくというシチュエーションである** ことに注意してください。後者であっても、自分を貫こうとするのが「従わない」です。 ## 各タイプ 次に各タイプを見ていきます。 ### 1: 開放 組織にも従うし、市場にも従う。 自分を持たずに開放しており、必要に応じて組織や市場に従っていける柔軟性があります。 成功者は一般的にこのパターンに属しています。組織で頭角を表しつつ、組織の市場での成功に貢献する立ち回りを強めていきます。 特徴: * 誰であっても同じような人になる * 組織での最適解と市場での最適解を両方取り入れており「正解が狭い」ので、構造的に似通う * 人並以上に人脈が多いか、博識であるか、アウトプットが多い * 組織という井の中を超えて、市場も見ないといけないので、それができる・それを続けている証拠がある * 人脈派、知識派、アウトプット派に分かれる * 配分はグラデーションだが、通常いずれかに偏る * 性能が高い * [頭の性能](https://note.com/workhack20/n/n7a5f69f32f87)が低いと、両方に適応することができない ### 2: 外向 組織には従わないが、市場には従う。 市場には従うので成功を望んでいます。しかし、組織に従うことができないので、多かれ少なかれ独立します。 経営者(初代)やフリーランスはこのパターンに属しています。ひとりで過ごすか、組織をつくって自分が長になるかは人次第です。 特徴: * 肩書が多い * 独立が最善であるとの自覚がなかったり、それが面倒だったりして複数の組織を上手く転々とする人が多い * 人間関係が激しい * 組織に従うことよりも自分を選びこと、また自分で組織を持ってからもワンマンになることなどから人間関係が激しくなる * 4タイプの中では最も揉めた経験やトラブルが多い ### 3: 内向 組織には従うが、市場には従わない。 組織の中で勝ち上がったり安定を手に入れたりすることを望みます。市場は見ていないので、井の中の蛙を脱することができません。 紛らわしいのは、一見すると市場に従っているように見えるが、その実、組織に従っているだけというケースです。これは「"市場に従っている組織" に従っている」だけであり、本人が市場に従っているわけではありません。 マジョリティはここに属しています。市場に従い続けたり、組織に抗ったりするだけのモチベーションや能力が無いからです。というより、現代は(現代も)組織に迎合するだけで生きていける時代なので、通常は内向タイプから脱する理由がありません。 特徴: * 創造的な営みをしていない * 正解のない何かを、外部と遮断して、長時間取り組んでつくりあげて、公開する――といったことをしない * 変人的・狂人的な露出やエピソードがない * 社会人以降、ネット上での発信活動がない * 組織内で「史上最悪(または最高)」と評されるだけのエピソードがない ### 4: 自閉 組織にも市場にも従わない。 組織に迎合できず、成功を望んでいるわけでもなく。行き着く場所は一つで、自分の世界に浸っています。 一部のASD、ミニマリスト、クリエイター、遊び人や怠惰な者などがここに属します。 特徴: * 浮いている * 集団内やコミュニティ内で浮いている(言動や作品を誰一人として理解できない) * 単一の組織のみならず、複数のどの組織でも浮く * 対人関係が乏しい * 友人以上の関係がいない、いたことがない等 ## 応用 発展的なトピックを雑多にまとめます。 ### 内向の吸引力 3の内向タイプには吸引力があり、他のタイプでも内向タイプに引き寄せられることがよくあります。 ![](/assets/n79c53d7dc684_1732335053-4KH91B73IiRx2ZgkQjhpmrn5.png)内向タイプに吸い寄せられていく。 たとえば「守るものができた」ときです。 外向タイプの人が、成功してそれを守る立場になると内向タイプになります。自分がつくりあげた組織という「自分の城」に王様として君臨するイメージです。よくある光景ではないでしょうか。 ※ちなみに、吸引されないタイプは、新しい事業や活動をどんどんやっていきます。組織を後任に譲ったり売却したりもしますね。 この吸引現象に関する力学としては、次のとおりです: * 開放 → 内向 * 1 開放タイプとして生きている * 2 市場に従うのが大変でもうやめたい or 従う必要がなくなった * 3 市場に従うのをやめる(内向タイプになる) * 外向 → 開放 → 内向 * 1 組織に従うのは大変 → 外向タイプとして生きている * 2 成功する * 3 自分が組織をつくる → 自分の組織に自分で従う(内向タイプになる) * ※あとは開放 → 内向と同じです * 自閉 → 内向 * 1 自閉タイプとして生きている * 2 生きていくのは大変(社会的経済的に水準を保てない) * 3 組織に従ってみる * 4 定着する(内向タイプになる) * 自閉 → 外向 * 1 自閉タイプとして生きている * 2 生きていくのは大変 * 3 市場に従ってみる * 4 食える程度に成功する(外向タイプになる) * ※自閉タイプは自分の世界に閉じこもれるので外向からは動きません。食い扶持がなくなって自閉に戻ることはあります # Title: フォースプレイス(4th Place) サードプレイスが知られていますが、実はもう一つあります。 ## フォースプレイス **フォースプレイス(4th place)** とは、第四の場所という意味で、キャリアに通じるが義務感は無い活動を行える場所を指します。 ## プレイスのマトリックス プレイスの関係性を整理します。 ![](/assets/n23bc7ebff10a_1732395610-DEM62zknRLwtbVlG4Ce5g7i9.png)プレイスのマトリックス。 ### 軸について **キャリア** とは学びや成長を要求するものです。最低限こなせれば良いというよりも、伸ばせるだけ伸ばしたい、得られるだけ得たいといった広がり・渇望があります。たとえば、成果に応じた外発的報酬がもらえる世界(たとえば仕事)が該当します。一方、プライベートとはそれ以外です。家庭が該当します。 **義務** とは「やらなければならない」感です。約束や契約があったり、破ることでペナルティが生じたりする場合は義務があります。 ### 各プレイスについて **ファーストプレイス** とは、プライベート的で義務感があるものです。自宅や別荘など居住地での生活が該当します。 * キャリア的ではない * キャリア的にすることもできますが、それでも報酬が出るわけではないので、やはりキャリア的ではありません * 義務感がある * 自宅に関する諸手続きを無視したり、育児を放棄したりするとペナルティがあります **セカンドプレイス** とは、キャリア的で義務感があるものです。職場が該当します。 * キャリア的である * たとえば報酬無しで行うことはできないでしょう * あるにしても、投資(未来の報酬のための投資)であるはずです * 義務感がある * 仕事を無視するとペナルティがあります **サードプレイス** とは、プライベート的で義務感がないものです。 * キャリア的でない * 義務感がない * 必要に応じてスルーができます * 逆を言うと、スルーができないほど責任を負っている場合は、ファーストプレイス化しています そして **フォースプレイス** とは、キャリア的で義務感がないものです。 * キャリア的である * 報酬は得られないか、得ても雀の涙です * ゆえに基本的に投資目的となります * 義務感がない * スルーできます * 活動や成果の程度も自分で自由にコントロールできます ## フォースプレイスの例 例1: YouTuberとして発信活動を行う * 義務感はないのでマイペースにやる * しかしキャリア的ではあるため真面目にやる、勉強や試行錯誤や挑戦も伴う * 場所については問わない * 後述します(ミックス現象) * ファーストでもセカンドでもサードでもない場所である必要はある * 自宅でできるかもしれないし、テレワークブースやカラオケを借りるかもしれないし、ひとけのない散歩道や公園かもしれないし、スポーツで賑わう賑やかな体育館やダンススタジオの一画かもしれない 例2: 資格の勉強をする 例3: 自己啓発の勉強とワークをする ## ミックス現象 プレイスのマトリックスが述べているのは、 **同じ場所であってもあり方が異なれば(場所としての意味合いが)異なる** という点です。 いくつか例を見てみましょう。 * 会社の社長は、オフィスを自宅としても使うことがあります * ファーストとセカンドが混在している * カフェは、交流の場として使う人もいれば、ひとりで過ごす場として使う人もいます * サードとフォースが混在している * 自宅であっても、時間帯と言い訳を工夫すれば家事育児を負わずにひとりになれるでしょう * ファーストとフォースが混在している * YouTubeでは、ひとりで趣味的に発信する人もいれば、仕事で義務を抱えて発信している人もいます * セカンドとフォースが混在している ## メリット フォースプレイスのメリットは、以下の視点に気付かせてくれることです。 * **キャリア的でありながら義務感がないというあり方** * そのためにファーストでもセカンドでもサードでもない、第四のあり方が必要であること * **場所の役割は固定的ではなく、自分次第で変えることができる** のだという融通の余地 サードプレイスまでの概念だと、このあり方にありつけませんでした。パワフルな人がセカンドプレイスを増やすか、アクティブな人がサードプレイスを増やすか、あるいはキャリアを諦めてファーストプレイスで頑張るしかありませんでした。 しかし近年、特に日本ではサードプレイスを「ひとりで義務感を抱えずに、でもキャリア的に過ごす」場所として使っている例が増えてきました。これをサードプレイスのまま扱うと扱いづらいです。 ですので今回、マトリックスをつくって切り出してみました。それがフォースプレイスであり、ミックス現象という本質です。 # Title: レンタルプレイス サードプレイスという言葉があります。また当サイトではその次のフォースプレイスも提唱しました。 これらプレイス(場所)の本質は「同じ場所でも扱い方によって序数が変わる」ことです。 たとえば、カフェを交流目的で使うならサード(3)プレイスですし、ひとりで集中する場所として使うならフォース(4)プレイス、仕事するならセカンド(2)プレイスになります。 言い換えると **プレイスのあり方を決めるのは本人であり、プレイスとして使えるかどうかは本人の努力や特性に左右されます** 。優しくないですね。 近年では、特定の序数に特化した場所をつくって提供するニーズが見られます。これをレンタルプレイスと呼びます。 ## レンタルプレイス **レンタルプレイス** とは、特定の序数に特化した場所をレンタルするあり方を指します。特に個人でも安価で利用できるものを指します。 ## 例 最もわかりやすい例はテレワークブースです。 テレワークブースは、明確にセカンドプレイス用に設計されています。それ以外の場所として使うことは通常ないでしょう。そもそも設置場所からして、ビジネスパーソンの動線を決め打ちしています。 **レンタルプレイスの概念が忠実されているのは、テレワークブースが初めて** だと思います。 別の例として、概念的にはカフェ、カラオケ、コワーキングスペース、ラブホテルなども含めることができます。 ※通常のホテルは宿泊利用が前提なので含めません。一方、ラブホテルは数時間単位で比較的安価に利用でき、近年では女子会などアジュアルな利用が拡大しています。 ![](/assets/n9c0ec530b20b_1732414577-347fZjRzwkoV6iUdNFHOhXpB.png)既存の場所系サービスを整理してみる。 整理してみると、まだまだ開拓の余地があることに気づきます。たとえば「オープンな個室」や「プライベートな個室」がまだ実例がありません。 ## メリット 本記事を読むことで得られるメリットは二点あります。 * 1: 自分なりのプレイスを手に入れるヒントを得ることができる * 2: レンタルプレイスというビジネスネタを知ることができる 特に 2: が強いと思います。上述のマトリックスを見てもわかるとおり、 **レンタルプレイスには開拓の余地があります** 。ぜひご検討ください。 ## 新しいレンタルプレイスのアイデア 以降では、キラーになるかもしれないアイデアをいくつかご紹介します。 ### オープンサイレント(4th) サイレントなもくもく会を行う場所を提供します。たとえるなら作業可能な有料自習室であり、オープンな場でありながら私語厳禁という場所です。 もくもく会については以下記事を見てください。 プレイスとしてはフォース(4th)になります。私語厳禁なので交流要素はありませんし、むしろ排除します。あるいは、やるにしても会場の外で行ってもらうようにします。 現状、このようなニーズはカフェでまかなわれていますが、オープンサイレントによりかっさらえるかもしれません。 ### ソロブース(4th) テレワークブースを一般化したようなもので、レンタル制のひとりブースです。 特徴は以下のとおりです: * 利便性 * 時間帯で予約し、比較的長時間も可能 * 予約中の入退場は自由にできる * 多様なコンセプト * たとえば以下コンセプトのブースをつくれる: * コンセプトすらない精神と時の間 * ソファーやマットレスつき * 広い机があって作業しやすい * 広いホワイトボードがあって発想法がしやすい etc * 多様な用途 * 仕事に限らず、遊びや休憩まで幅広く使える * ビジネスパーソン以外の客層を狙える コンセプトや立地は相当練らねばならないでしょうが、ひとりで集中して過ごすプレイスのニーズは高まっていると考えます。 ### ブースカー(2th 4th) ブース・カー(Booth Car)です。移動式の車の形で、テレワークブースやソロブースを提供します。 アイデアレベルなので法的・技術的な実現性は未検証ですが、外出していない層にもリーチできるブルーオーシャンだと考えます。 ### ワーカフェ(1th) ワーカー + カフェ = ワーカフェ。 カフェで仕事できるようなワーカーを対象とした、利便性とコラボレーションに優れたコワーキングスペースです。 特徴: * 基本要素 * 快適なデスク、椅子、通信回線、十分なコンセント * 壁一面の広いホワイトボード * ポモドーロタイマーの利用 * 高頻度な利用を前提とした月額制 * 常連化・囲い込み * 飲み食いを安価に手間なく利用してもらうスタイル * 店員注文不要で食事を取るバイキングスタイル * 食事メニューと時間帯を固定して提供(寮スタイル) etc * スタンススタンド * マクドナルドの立て札(スタンド)のようなものです * 「集中してます話しかけないで」 * 「いつでも話しかけてください」 * などコミュニケーションのスタンスを掲げます * 専用コミュニケーションツール * 来場者だけが使えるツールを用意して、非同期的にやりとりできるようにします * 例: * SlackやDiscordのようなビジネスチャット * Cosenseのような同時編集Wiki * RemottyやTeracyのような[プレゼンススペース](https://note.com/workhack20/n/nefa624958359) * Gatherのようなバーチャルオフィス * マイクラのようなメタバース(オープンワールド) etc * コミュニケーションタイム・ファシリテーション * 例: [ゲームタイム](https://note.com/workhack20/n/nf780071bb95d) * コミュニケーションを行うためのイベントを運営・有志により開催します(できます)、誰でも参加できます と、雑多に挙げましたが、このようにしてワーカーに寄り添った場所を意図的につくりあげます。 ソロワーカーも、コミュニケーションやコラボレーションをしたい人も、普段はソロだけど休憩時は人と絡みたい人も、誰もが自分らしく過ごせる場所を演出します。これは従来の場所ではまかなえないバランスであり、新しいレンタルプレイスとして新たにつくる必要があります。 # Title: 今週の記事 2024/11/17 今週は 24 記事書きました。 当サイト開始から 10 週が経ちました。 [←前 2024/11/10](https://note.com/workhack20/n/n6a8d3be71eab) [2024/11/24 次→](https://note.com/workhack20/n/n1ebcd4f0eb5b) ## 変革 ## マグネットスペース ## 生活リズム・習慣 ## コミュニケーション ## 働き方 ## ライフスタイル ## 勉強・読書 ## カード化 ## ティール組織 ## 会議・ミーティング ## ワーク・ゲーミフィケーション ## 資質分類 ## (未分類) ## (仕事術リンク集) # Title: モンスター・エンジニアリング モンスター社員の扱い方は体系にできると思います。モンスター・エンジニアリングと名付けて整理していきます。 ## モンスターを知る ### 分類 マトリックスにて整理しています。 ![](/assets/ne9a159d5f717_1732480221-8tA4XDBrx7G3E2sL9Fik1UHV.png)モンスター社員のマトリックス ### 類型 精神を脅かす存在の例をまとめています。 ![](/assets/ne9a159d5f717_1732480292-c0OINreuasL6RJYkVPhyx9Bm.png)目次より。 ## 対処する ### 対処例 基本的には隔離が有効です。 ダミーをつくって凌ぐこともできます。 ### モンスターは相対的 単一の働き方しか許容しない組織では、モンスターが生まれやすくなります。モンスター≒マイノリティであり、許容されない側がモンスターと扱われてしまうためです。 そういう意味で、モンスターとは相対的なものです。 これは多様性([働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n3aada79f7850))の問題であり、多様性を確保するための取り組みが別途必要になります。当サイトではこれ用のエンジニアリングも整備しています。 多様性という言葉はよく聞きますし、わかった気になるものかんたんですが、実際取り入れるのは難しいのです。 ### 異分子 異分子的な人材はモンスターとして扱われがちですが、もったいないことです。 扱い方を工夫できれば人並以上の成果、あるいはイノベーションすら起こせる可能性があります。「異分子というレベルで違う」人材にはそれだけのポテンシャルがありますし、特にイノベーションは通常常識からは生まれませんので、むしろ好機です。 問答無用でモンスター扱いする前に、特別扱いしてみましょう。当サイトではフリーリジョンと名付けて捉えています。 専用の特区をつくって、まとめて扱ってしまう方法もあります。 ダークトライアドのポテンシャルがビジネスでも注目され始めています。多様性として扱うと、上手くいくと思います。 ダークな人達もモンスターとみなすことができ、モンスター・エンジニアリングを応用できます。 # Title: ティピカルワーク クライアントワークとプロジェクトワークと総称して **ティピカルワーク(Typical Work)** と呼びます。 直訳すると「典型的な仕事」です。 ## メリット 仕事=ティピカルワーク、 **ではない** と知れることです。 ティピカルワークだけで済めば良いのですが、VUCAな現在、そうとも言えません。また、ティピカルで済むとしても、現状のやり方や働き方が納得がいかないものだとすると、我慢し続けねばなりません。 仕事は与えられるもの、決められたもの、変えられないもの――そんな固定観念を打ち崩すためには、現状を指す言葉が必要です。それがティピカルワークです。 ## 典型的な仕事以外には何がある? たとえば当サイトではテラワーク(探索的な仕事)を提唱しています。 ティピカルワークについても整理しています。その上で、その次の潮流としてテラワークが使えると述べています。 また、イノベーションを生み出すための仕事術(仕事のやり方と考え方)も揃えています。 特殊な人材をどう探して見い出していくかとか、 社員全員に広く発信したり、フィードバックを受け付けたりして広く影響を及ぼす特殊ポジションを設けるとか、 イノベーションを狙うために使われる出島戦略がいまいち理解されていないので、本質をちゃんとお伝えしたりなど。 ティピカルワークが重要であることに変わりはないですし、現在でもティピカルワークのみで成立させることはできるでしょうしかし、メリットを得たいのであれば、他にもやりようはあるのです。 テラワークはあくまで当サイトの言語化にすぎませんが、他にもあるはずです。「何がある?」ではなく「生み出せる」「生み出していい」のです。 # Title: リストをつくれない人は負荷をかけると良さそう リスト(箇条書き)をつくるとは、リストをつくるという「地味で退屈な作業」に集中することを意味します。 **集中の問題であることが多いです** 。 よって、リストをつくれない人は、つくれるほどの集中ができていない可能性が高いです。 ## 集中するには? Ans: 負荷をかけます。 7つほど雑多に紹介します。 重ねがけも可能です。とにかく、自分に合った負荷のかけ方を開拓していってください。 ## 1: 自宅ではなく喫茶店やフードコートにでかける * 外出先で人目があれば、自宅よりは誘惑が少ない ## 2: 手書きで書く * 手書きはフリック入力やタイピングよりも「作業的」で、集中しやすい * 字の綺麗さにこだわったりもできるので、意識を持て余す人でも集中しやすい ## 3: お題を決めて、実際に書く * リストにしたい事柄を言語化して、実際に書きます * それを見ながら項目を洗い出していきます * 「書かれたお題」を見ることで注意が惹きつけられます * 絵ではなく言語で書きます * 言語は目に入れて理解して、のコストが高いので、脳の処理を結構使います * これが良い負荷になります * 絵だとすっと理解できてしまうのであまり負荷になりません(なる人もいます) ## 4: 制限をかける * [ポモドーロ・テクニック](https://note.com/workhack20/n/n175f18ea881e)などが有名です * 自分に時間制限をかけています * 時間制限に加えて「お題」と「洗い出す個数」まで決めると、ゲーム性が上がってやりやすいでしょう ## 5: ステップに分ける * 最終的に5個に絞りたい場合、いきなり当てることはできません * たとえば以下の3ステップにします * 1: できるだけ洗い出すステップ * 2: グループ分けするステップ * 3: 5個に絞るステップ ## 6: ながらをする * 意識を持て余している人は、ながらをすることで適度に消費できます ## 7: ファシリテーションしてもらう * 会議中、会話中、ゲーム中などはサボりづらいように、何らかのファシリテーションが聞いていると集中しやすいです * 「リスト会議」もおすすめです * 以下をひとりずつ回します * 1: ひとりが「~~のリストをつくります」と「n分ください」をいう * 2: 開始する * 他の人も自分なりにつくってみる or 自分のつくりたいのをつくっててもいい * 3: n分後、どんなリストができたか、どこまでできたかを軽く紹介する * 見せたくない場合は一言で進捗を言うくらいでも良い # Title: 先送りとタスク管理を両立する「いつやるシート」 ![](/assets/n423ea2a2145c_f32a8861b8288fdb2b579513157bb2f0.png) タスク管理とは、見える化と意思決定です。できるだけ楽に、しかし確実に行えるかというバランスを探り当てるのが大事です。 良いバランスがあります。 ## いつやるシート **いつやるシート** とは、タスクをいつやるかを5つのエリアに分けるものです。 ![](/assets/n423ea2a2145c_1732566377-PB3bSOacX82re6YMV4IC9jmW.png)いつやるシート。 ## 使い方 * 1: タスクは **付箋** として洗い出します * 2: エリアとして5つを用意します * 今日やる、明日やる、週末やる、来週やる、来月やつ あとはタスクを、好きなエリアに置くだけです。 移すタイミングはいつでも構いません。明日以降に先送りしてもいいですし、先送りしたものをやっぱり今日やろうと今日やるに移してもいいです。 ## メリット 日々のタスク消化と先送りを両立できます。 * かんたんです * タスクをエリアに分けるだけです * 細かい手順はなく、自分なりに適当にできます * 融通が利きます * 全体を眺めつつ、付箋を移すだけなので融通を利かせやすいです * その場の気分や後々やっておきたい気持ちなど、微妙な機微を反映しやすいと思います * 使いやすいです * エリアは絶妙なものを5つ採用しており、「大体この辺でやりたい」を反映しやすいです ## Q&A 細かい議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 今日やるエリアはデイリータスクに相当する? Ans: はい。 デイリータスクの概念について以下記事を見てください。 今日やるタスクを全部終わらせたら今日はおしまい、とするものです。 全部終わらせる(空にする)ことが重要で、空にするからこそ今日はもうおわりなのだというメリハリをつけることができます。精神的に特に重要です。 これで日々メリハリをつけるのと、つけないのとでは、持続性が違うと思います。タスク管理が続かない人の主因は、メリハリをつけられなくて疲弊してしまうことです。 ### Q: タスクの粒度はどれくらいが良い? Ans: 細かい方が良いでしょう。 粒度が粗いと行動しずらく、判断疲れを起こしやすいので、具体的に行動できるレベルにまで分解するのが良いと思います。 例: * ❌北海道旅行する * 🔺北海道旅行の計画を立てる * 🔺旅行を差し込める長期休暇(4泊5日以上)を確保する * ⭕北海道で行きたいところをリストアップする * ⭕長期休暇(4泊5日以上)を確保できそうなタイミングをリストアップする しかし、人やタスクによっては「ある程度粗い方がその都度何するか気分で決められる」から良いこともあります。 典型的には扱うタスクの量次第だと思います。1日に10、20以上消化するような多い人は、タスクを具体的にするべきでしょう。逆に1日2~5個しか扱わないような人は、抽象的なタスクを日々眺めながら立ち回ると思います。 ### Q: 終わったタスクの付箋はどうする? Ans: ある程度溜めて、捨てます。 進捗感が得られるので、可能ならその日とかその週くらいは保持しておいて「これだけ終わらせられたのだ」と見える化できた方がテンションが上がります。しかし、あっても邪魔なだけなので、基本的には捨ててください。 運用としては、 **エリアとして「やった」を一つつくって、ここに貼り付ける** と良いでしょう。やったエリアが埋まってきたら、貼り付けた付箋を全部捨てます。 捨てるのが惜しい人は、やったエリアを仕舞って保管してもいいでしょう(アーカイブ)。コレクションや日記として機能するので、テンションが上がる人もいるかもしれません。タスク管理はただでさえ無味乾燥でつまらないので、テンションが上がる要素は大事です。 一方で、 **終わったタスクをやったエリアに移す手間もバカになりません** 。面倒くさいと感じたなら、さっさと捨ててしまいましょう。 あるいは別解として、 **今日やるエリアには貼り付けたままにするが、終わったものは打ち消し線を引く** という手もあります。翌日になったら、打ち消し線を引いた付箋は捨てます。 ### Q: デジタルが良い?アナログが良い? Ans: アナログをおすすめします。 タスク管理、特にタスクの整理中は **コンテキスト・スイッチング・ウォームアップ(Context Switching Warm-up, CSW, 頭を切り替えるための前段階としてニュートラルに戻す)** が発生します。 デジタルだと、すぐ操作が終わってしまうし、淡白なのでこの効果があまりありません。現代であっても手帳を好む人は多いですが、それはCSWを行えるからです。 ### Q: 複数人またはチームでタスク管理する用途では使える? Ans: 使えません。 いつやるシートは、自分の主観で雑に運用して、自分の気持ちを上手く表現するためのものです。「今日はもうだるいから明日にしようっと」といったことを気軽に行うためのものです。 この柔軟性を、複数人での利用で発揮するのは難しいでしょう。 # Title: ドライ・ケイパビリティ **ドライ・ケイパビリティ(Dry Capability)** とは、特定のメンバーをドライに扱うことに対する耐性を指します。 ドライに扱うとは、標準的に適用するコミュニケーションの量・質を確保しないことです。 ## 例 * [モンスター社員](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%A4%BE%E5%93%A1&context=note&mode=search)である🐶さんを隔離する * 人付き合いが苦手な🐱さんを、ひとりだけランチや飲みに誘わない * ASDである🐵さんや、HSPである🐏さんとは必要最小限のやりとりだけする * 1on1やその他イベントで関係を深めるといったことは一切しない(しない存在だと割り切る) * 基本的に声もかけない ## メリット ドライアブル(ドライに扱うことができる)なときに、ドライに扱えるようになることです。 ドライに扱った方が良い人材または場面はあります。 **ドライ・ケイパビリティがない人は、それでも通常の扱い方しかできません** 。そのせいで無駄に問題を発生・悪化させます。 ドライ・ケイパビリティの概念を知ることで、これを防げます。 ## なぜドライ・ケイパビリティが乏しいのか * 1: 日本は[関係ベースの文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)であり、関係を深めていくことが当たり前だから * 自覚がないことも多いです * 2: 平等思考が強く、ひとりだけ特殊な扱いにすることに対する拒絶感を持つから しかし、関係性構築や平等を押し付けることこそが負担になっていることもあります。お互いが望むのであれば、素直にドライに扱った方が良いです。 特に日本はハイコンテクストでもあるので、 **長い時間をかけて、暗黙の了解で自然とドライになりがちです(サイレント・ドライ)** 。しかし、この至り方には再現性がないですし、時間をかけること自体が不毛です。ドライで済むならさっさとやってしまえば良いのです。 ## ドライに扱うためのステップ ### 1: 自覚 * 関係ベースや平等思考といった「あり方」を理解する * 自分がそれにとらわれていることを認めます ### 2: 本人に打診して良さそうかの判断 * 許容ラインを超えているかどうかの判断 * 通常だと標準的な適用で問題ないか、多少あっても許容できると思います * しかし許容できない場合があります * ドライを提案しても良さそうかの判断 * 相手次第では「ハラスメントだ!」と考えるかもしれません * 実際、並の相手に対してこれをするとハラスメントになるでしょう ### ### 3: 本人に打診 * 「ドライに扱うけど、どう?」のような提案をします * 1対1で、クローズドで行うのが良いでしょう * 顔を突き合わせてやらねばと思いがちですが、2: の結果次第ではテキストで打診するだけで済むこともあります ### 4: チームに共有 * 必要なら、ドライ・ケイパビリティの概念をチームに自覚してもらいます * ドライに扱う本人と直接関わる人達 # Title: オープンケージ(開放特区) ![](/assets/n1c5bf01dd90b_ffff38195a4484a5e11b006f525083c1.png) 本記事はモンスター・エンジニアリングの一手法です。モンスターエンジニアリングの解説は以下記事を見てください。 本題に入ります。 **オープンケージ(Open Cage)** とは、モンスター社員を上手く閉じ込めつつも活用するための手法です。 ## 概要 モンスター社員(以後モンスター)を、チームや部門など専用の組織単位に集めます。これを **オープンケージ** と呼びます。 ![](/assets/n1c5bf01dd90b_1732601142-b68ZXSCxDE9zVWmRvigP5awT.png)オープンケージ。 ## 特徴 ### モンスターは[ティピカルワーク](https://note.com/workhack20/n/n60cc3ab03e66)を負わない モンスターはプロジェクトワークやクライアントワークを負いません。 ### モンスターは社員全員に見えるアウトプットを出す 代わりに、モンスターは社員全員に見える形で進捗やアウトプットを出します。 社員全員は、これらをいつでも誰でも自由に見たり活用したりできます。 ### モンスターはアイドルである アイドルとは「推す」という一方的な妄想や偶像化をぶつけることが許された存在です。 モンスターも同じようなもので、全社員から遠慮なく言及されたりフィードバックを受けたりすることが許された存在です。 ## メリット * モンスターによる現場の消耗を防げます * 全社員の士気を上げることができます * モンスター次第ですが、たとえば: * エンタメ的なコンテンツを扱うため社員たちの気分転換になる * 相談や壁打ちやレビューの相手として雑に使えるので便利 * 新事業や改善のたたき台を出すので、議論がはじまる・はかどる etc * 多様性の取り組みが加速します * モンスターでも生かし方次第という実例が得られるので、多様性について学びと刺激になります ## 入檻(にゅうかん)要件 あらゆるモンスターがオープンケージに入れるとは限りません。満たすべき要件があります。 ### 1: オープンケージのあり方を理解し、また耐えられること 当然ながら檻の中で過ごし続けることに耐えられねばなりません。 また、お世話係などはつけないので自律できる必要があり、その力を持つかどうかの目安が「オープンゲージの概念を理解できること」です。 つまり、 * オープンケージの概念を自ら理解し、 * 実際に耐えることもできる の2つを双方とも備えている必要があります。双方を備えていると、おそらく自律性も持っています。 ### 2: テキストベースでのコミュニケーションが可能であること オープンケージの運営や利用者とのコミュニケーションは、基本的にテキストで行います。 少なくともメールやビジネスチャットを当たり前に使いこなせるスキルが必要です。これには、第三者にわかる程度に応答できる素早さや言語化・国語力も含みます。 ネット上で発信活動を続けられる程度の力があれば問題はありません。 ※一般的な社員がこの程度の力を持っていることは、実はあまりありませんが、モンスターであればまだ高いです。 ### 3: 継続的なアウトプットが可能であること 一つの目安としては、以下のいずれかです。 * 毎日2000文字以上のブログ記事を書ける * 毎日30分以上の配信を行える * 毎日30分以上の勉強会、発表会、相談会などを開催できる モンスターは全社員に対してアウトプットを続けることで貢献する存在ですので、この程度の継続性は必須です。 ※毎日更新が必須という意味ではなく、この程度の力が要るという意味です。実際は毎日更新できるとは限りません。たとえば、長大なアウトプットをつくる場合は更新が途絶えることがあります。 ## オープンケージを実現する 実現に必要な考え方ややり方を、かんたんに整理します。 ### 組織体制 * 「 **全社員へのアウトプットを生業とするフリーランスの集団** 」というイメージで組みます * アドバイザーとプロトコル 階層組織的な上司として管理と承認を負う、といったあり方はいけません。モンスターの力を生かすためには、モンスター各々が自律的・主体的に活動できることが絶対に必要です。 もちろん **モンスター各々の働き方も自由** であり、たとえば朝5:00から勤務する朝型もいれば、昼13:00から勤務する夜型もいます。また、定例会議や審査など会議もないはずです。基本的にはアウトプットとテキストコミュニケーションで済ませるべきです。 ※必要であれば個別にモンスターと調整します。 ただし、全社的なガバナンスを最低限利かせるための存在は必要です。ティール組織では助言プロセスと呼ばれますが、「意思決定権は持たないが助言をする」存在を確保します。仮に **アドバイザー** と呼びましょう。 このアドバイザーがマネージャーのようなもので、モンスター達に、必要に応じて助言や情報提供、その他対話も行います。 「必要に応じて」がポイントであり、「週一で定例で1on1をしよう」などと強要してはいけません。モンスターはフリーランス的であり、かつティピカルワークを抱えているわけでもありません。 **どう働くかの主導権はモンスターにあります** 。 もう一つ、自律的なモンスターを上手く制御するためには、憲法やガイドラインのようなものがあると便利です。ティール組織の特徴でもあり、当サイトではプロトコルと呼んでいます。 ### 評価 * 全社員の行動量やアンケートなどで評価します * 出世競争的な側面は除外します * 業績だけでなく[工績(こうせき)](https://note.com/workhack20/n/n4cf0969bc6ea)も加味します ティピカルワークをしない関係上、通常の評価方法では難しいので、全社員の動向や声からデータを取るようにします。 また、このとき、昇進など出世競争を誘発するようなあり方は無しにした方が良いでしょう。モンスターは興味がないので機能しないと思います。基本的には **平社員以上の、十分暮らせるだけの給与をベースラインとしつつ、評価の高い者には加点式のインセンティブを与えるくらいが良いバランス** です。 もう一つ、可能なら工績も評価したいところです。組織の健全性が上がります。 モンスター以外にも「仕事をこなすよりも仕事のやり方や考え方を何とかする方が向いている」人はいて、この人達が活躍する余地を広げることができるからです。 ### ツール * 全社員が自由に見れる以下が必要 * ブログ、Wiki、静的サイトなど、まとまったテキストを発信する手段 * コメントやフォームなど、フィードバックを送る手段 * ビジネスチャットやオンライン会議ツールなど、音声とビデオでやり取りを行う手段 いつでも誰でも誰にでも届けられること、またコメントも受け付けられるだけのツールとインフラが必要です。 オープンケージを行えるだけの大企業であればすでに備えているか、備えるだけのお金があるはずです。[DXと同様](https://note.com/workhack20/n/n7aeae764c4a5)、ここは投資しなければならない部分です。 **ここツールの部分を確保できない場合、オープンケージは成功しません** 。 ツールについては、以下記事も見てください。 ### アウトプットの内容 * 基本的には不問とします * 必要なら全社員やアドバイザーからリクエストを与えます すでに述べたとおり、モンスターはティピカルワークを諦めた存在ですので「仕事として直接役に立つ」ことを狙ってはいけません。 むしろ、自由な遊び場で好き勝手に遊ばせて、社員達がそれを好き勝手に見る・使うイメージです。 **どんなネタが誰の何の役に立つかはわかりません** ので、遊ばせるくらいの感覚で放任します。 しかし、それでも会社ですので、できるだけ役に立つ方向に寄せたいものです。ですので全社員やアドバイザーからフィードバックやリクエストを送れるようにします。 モンスター側も、これを取り入れていく義務があります(前述したプロトコルで規定してください)。しかしノルマにしてしまっては意味がないので注意します。 **ティピカルワークのテイストを持ち込むと、モンスターは不満が溜まって本来のパフォーマンスが出せません。暴れたり荒れたりする可能性もあります** 。組織体制でも述べたように、基本的には放任でやらせましょう。 ### モンスター同士のやりとり * 当人達に任せます * 問題が起きた場合や、起きそうなときはアドバイザーが仲裁に入ります 誰ともコミュニケーションを行わず、ひとりで行う者も多いと思います。 しかしモンスターも「アウトプットを読む社員のひとり」ですから、やりとりが発生するに越したことはありません。 イベントを企画したり、ちょっとした取り組みのメンバーを募ったり、コメントをお願いしたりといったことは積極的にやるといいでしょう。やりたくなければ、モンスターの側から断ります。 # Title: 完璧主義をやめれば自動化に近づく 「ツールド・ベストエフォート」 ITのメリットであり、DXの肝もである自動化が進まないのは、完璧主義すぎるからです。完璧に仕上げたいがゆえに「機械じゃダメだ」「人手で修正しなければ」と手作業を入れてしまうのです。 ## ベストエフォートを変える必要性 完璧主義は良くない、100%はありえない、程々で良い―― このような妥協の必要性は知られているようで、意外と知られていません。「目安はあるけど、保証はしない」「可能な限り努力するだけ」という塩梅を **ベストエフォート** と呼びますが、その前提は人手となっています。 人手によるベストエフォートです。ゆえに、「それは完璧主義じゃないのか……」と言えるほど病的に品質にこだわりしまうことがよくあります。そしてそれをビジネスだから、顧客のためだから、などと正当化します。 この価値観がネックですので、ここを変えねばなりません。 ## ツールド・ベストエフォート **ツールド・ベストエフォート(Tooled Best Effort)** とは、人手ではなくツールを用いてベストエフォートすることを指します。 ## 例 ### 例1: 海外発のサービスやアプリ 日本語版の日本語訳が拙いことがあります。あれは **「機械翻訳したものをそのまま出している」くらいの品質であり、ツールド・ベストエフォートです** 。 翻訳品質は微妙ですが、サービスとしては成立しますし、中の人は余計な苦労を負っていません。翻訳だけなので、上手く自動化できれば手間はほぼゼロになります。 ### 例2: 海外製の社内システム 国内におけるITシステムは、顧客の複雑な要件をそのままシステムに落とし込もうとします。オーダーメイド的であり、私たちが主、ITが従です。当然ながら自動化はできないか、できても相当なコストがかかります(ので普通はできません)。 一方、海外では、標準的な画面やワークフローを先に確立して、利用者がそれに合わせます。標準的です。 **ITが主であり、私たちが従です** 。標準の分をつくりさえすればいいですし、DXがまさにそうであるように「[自動化しやすい形で標準をつくればいい](https://note.com/workhack20/n/n7aeae764c4a5)」ので、自動化しやすいのです。 後者はツールド・ベストエフォートとも言えます。「システム上そうなってるので要求には答えられません」「システムにカスタマイズの余地があるので、それを使って各自対応してください」と突っぱねられるからです。 一方、国内の価値観だと、オーダーメイドなので「わかりました!つくります!」となってしまいます。上手く契約できないと「ここが微妙なのでやり直してください」「前回ああ言いましたが、やっぱりこういう感じでつくってください」などと二転三転します。 ### 例3: SBOM SBOMについて軽く説明しておきます。 * SBOMとはソフトウェア部品表を指す * あるソフトウェアがどんなソフトウェアから使われているかをちゃんとリストアップしましょうというもの * 食品における栄養成分表示のようなもの * 成分の表示を義務化することで、健全性を上げたい * 昨今はサイバー犯罪が多く、犯罪の大部分は「不具合のあるソフトウェアを使っているせいでそこを突かれる」こと * なので「そういうの使ってないよね?」を見える化していきたい このSBOM、手作業でつくるのは大変で、専用ツールを使います。ツールによる出力で妥協するとも言え、これはツールド・ベストエフォートです。 **多少出力の品質が甘くても、何もないよりははるかにマシですから、それでいい** のです。海外の各種勧告やガイドラインも、品質面にはさほど言及していません。 ところが国内では、これをスルーします。「ツールの出力に加えて、人手によるチェックや修正が必要である」としているのです。総務省など権威的な情報源からしてそうですから、この価値観に抗うのは容易ではありません。 もちろん品質は完璧な方が良いですが、だからといってせっかくツールド・ベストエフォートで済むところを、さらに人手をかけて完璧に仕上げようとしているわけです。 ひどいところだと、最初から完全に手作業でつくろうと舵を切るケースさえあります。もしツールがなければ、つくればいいだけです。それを手作業で泥臭くカバーしようというのは、完璧主義以外の何者でもありません。 # Title: ファミリー・ダイバーシティ **ファミリー・ダイバーシティ(家族の多様性)** とは、どんな家族のあり方も公平に価値があるという考え方です。 特に独身者など **ソロのあり方** も、既婚者や子ども持ちといったあり方と同様の価値があると考えます。 ## ソロもファミリーの一種 いつの時代も、ソロは軽視されがちです。 力学: * 人間的に問題があるのではないか、とみなされがち * 出生を増やせるのはペア以上のファミリーであるため、これを優遇するのは当然 * ペア以上のファミリーである者がマジョリティなので、そのあり方が是となりがち 場所にもよりますが、ソロは構造的にマイノリティ側となり軽視されがちでした。 ファミリー・ダイバーシティではこれをおかしいと考えます。ソロもファミリーの一種だと考えます。 ## ソロファミリーとペアファミリー 成員が2人以上のファミリーを **ペアファミリー** と呼びます。2人いたら、それ以上増やせる(増やしやすい)ので2以上でもペアとしてくくります。 成員が1人のファミリーを **ソロファミリー** と呼びます。 従来は「ファミリー=ペアファミリー」の了解がありました。ファミリー・ダイバーシティではこれを崩して、 > ファミリー = ソロファミリー + ペアファミリー とします。 ## メリット * ソロファミリーを味方につけることができます * ソロファミリーという多様性を取り入れて、組織を底上げできます ペアファミリーへの一辺倒は、男性への一辺倒と同じくらい偏りのあることです。この偏りを解消することによるメリットは、言うまでもないでしょう。 特に近年は(特に国内では)ソロファミリーのあり方も台頭しておており、無視できなくなっています。ソロを取り込めるかどうかが分かれ目になると思います。 ## ソロの皆さんへ ソロファミリーもファミリーの一つですので、ペアファミリーに臆したり遠慮したりする必要はありません。 「ペアファミリーであれば通る言い分」は、ソロファミリーでも通るべきです――そう考えて、遠慮なく主張していきましょう。 ファミリー・ダイバーシティの拡大は、ソロの皆さんにかかっていると思います。マイノリティだからと負けずに、謳歌していきましょう! # Title: イシュードリブン、ギャザードリブン、コンセプトドリブン ドライバー(●●ドリブンという言葉の●●の部分)のパラダイムは現在2つまで知られていますが、もう1つあります。 ## 1: Issue Driven * 問題解決駆動 * イシュー(何らかの問題やニーズ)がまずあって、それに対して「お応えしましょう」をする * ビジネスは基本的にこれとされている ちなみに、イシューが存在しない中で、新たにつくることを新規事業といいます。既存顧客から新しいニーズを聞く、一緒に話し合う程度は新規事業ではありません(営業です) ## 2: Gather Driven * 集合駆動 * 人が集まるイベントを開催して、何か起きること・身につくことを期待する * コミュニケーションやエンゲージメントの文脈で、これもよく使われる * 大規模・広範囲でなければお金も動きやすい ## 3: Concept Driven * 概念駆動 * 仮説や空想を含む何らかの概念や原理や思想をつくって、それらを議論したり試したりする * 新しいパラダイムである * 少なくとも概念を出しただけでお金が動くことはほぼない * 世界的にも(芸術や美術の分野を除けば)ビジネスとしてはほとんど見られない ## コンセプトドリブンというパラダイム ### 当サイトとコンセプトドリブン 当サイトはコンセプトドリブンとしても動いています。一部の仕事術は、概念レベルで新たに提示しているものです。読者はこれらを自由に捉えて、こねて、議論したり試したりすることで、自らの仕事術(仕事のやり方と考え方)を変えられるでしょう。 このような営みは、すぐに成果が出るわけではありません(イシュードリブンではないため)。 また、人が集まる場があって、参加するだけで満足感が得られるものでもありません(ギャザードリブンではないため)。 どちらでもない、新しいドライバーです。 ### 概念の力 概念の力は偉大です。 まず純粋に楽しくて、面白くて、知的好奇心と思考をかきたてます。次に、常識を外して飛躍できるので、多様なものが生まれやすいです。 古くからはフィクションがこの役割を果たしてきました。ビジネスでもシナリオ・プランニング、スペキュラティブ・デザイン、SFプロトタイプなどが活用されています。 今のところ「遠い未来を描く」「そこからバックキャストして現在に落とし込む」といった限定的な用途ですが、概念の可能性はそれに留まりません。たとえば、今現在困っていることを解決するために使うこともできます。 まだ見ぬコンセプトドリブンの可能性へ―― ぜひお試しください。当サイトもぜひ漁ってみてください。 # Title: コンテキスト・ワークショップ ![](/assets/ne28b1415da14_2763f36da7e3ed5ca994a6aa63347e32.png) **コンテキスト・ワークショップ(Context Workshop)** とは、現状の文脈について認識を合わせるためのワークショップです。 ## やり方 チームで行います。数人から数十人規模でも可能です。 ワークショップ中、参加者は以下を行います。 * 1: コンテキストを提示 * 「~~である」「~~している」といった文体で文脈を挙げていきます * 開始時に最初からある程度挙げておくとスムーズです * 2: 意見を表明 * 挙げられたコンテキスト各々に対する意見を表明する * 選択肢制です * 理解できる / 同意できる / 説明できる * 当てはまる部分に自分のアイコンを置きます ## メリット Ans: 活動のスタートラインに立つことができます。 VUCAな昨今、正解や事例がない中で進まねばならない場面が増えてきています。そのためには 1:[各々が情報を出し合った](https://note.com/workhack20/n/n49f7b327a804)上で、2:意思決定する必要があります。 コンテキスト・ワークショップは 1: を支援します。 文脈とその認識を見える化することによって、現状を全員に思い知らせます。またワークを通じて主体性や当事者意識も育めますし、多様性や課題も見える化するため、現実を突きつけてくれます。 もう一つ、いやらしい言い方をすると、やる気がない人やサボりがちな人、あるいは表明をしない人といった「動かない人」もあぶり出せます。 ## やり方詳細 ### 表明の選択肢 以下のLv0~Lv3のいずれかを表明することになります。 * LV0: 無反応 * 最初は全員がここに表明している、とみなします * (ワーク中に何もしなかった人はここにアイコンが残り続けます) * LV1: 理解できる * コンテキストの内容について、理解はできるという意味です * LV2: 同意できる * コンテキストの内容について、理解はできるし、同意もできるという意味です * LV3: 説明できる * 理解はできるし、同意もできるし、何なら自分から説明してもいい・説明もできるよという意味です ### ワークショップの流れ 至ってシンプルです。 * 1: 通常の会議やワークと同様、関係者を集めます * 2: 30分~1時間の間、全員が提示と表明を行います * **個人ワークとして行います** これだけです。 ポイントは個人ワークとして行うことです。それだけです。それだけで、様々なコンテキストとその表明が可視化されます。 可視化されたそれをどうするかは別途話し合ってください(コンテキスト・ワークショップでは扱っていません)。 ### 使うツール 以下が使えます。 * 付箋ツール * 例: Miro、Mirosoft Whiteboard * ノートアプリ * 同時編集が可能なもの * 例: Cosense、Googleドキュメント、Micorsoft Loop、Notion お題を提示して、自分のアイコンを置くだけですので、アナログでもできます。 ## 例 以下の場面を想定します。 * 大企業、とある部門 * 全社から降りてきた「コミュニケーション改善」活動を何かしないといけない * 何をしたい? 現状を把握するために、コンテキスト・ワークショップをします。ツールとしては Miro を使うとします。 ### 開催前 開催前に準備しておきます。 ![](/assets/ne28b1415da14_1732764260-juyERtL4ZrFPUkQpNn87l9hT.png)準備時。 ここでは3つのコンテキストが挙がっています。 メンバーとしては5人――🐮、🐷、🐶、🐱、🐵がいます。それぞれのアイコンに対応します。たとえば「佐藤さんは🐮を使う」のようにします。 ※絵文字が不服なら、アバター画像や顔写真などでも構いません。名前など文字でもいいですが、「圧や退屈さ」が生まれるので、可能なら何らかの絵を使ってください。 ### 表明の例 次に、ワークショップを始めて、表明を行ったとします。たとえば以下のようになりました。 ![](/assets/ne28b1415da14_1732764462-QI1sboCmcuE5nSU72epXjzFk.png)ワーク(各自が表明)した後。 ここから色々なことがわかります。 * 誰がどんな表明をしたかがわかる * 説明までできる人がいたり * 部会形骸化については過半数が理解していたり etc * 表明していない人がわかる * 「部会が形骸化している」については、🐷さんが表明していません。無反応からは消しているので、意図的に表明していないことがわかります ### 提示の例 コンテキストは、誰でも新たに足すことができます。 ![](/assets/ne28b1415da14_1732765038-lktsiPqX1H3KCcrLp5BfZveQ.png)「部長への権限集中」から派生させて、課長版を足した例。 もちろん、足したコンテキストへの表明も各自やります。 このようにしてコンテキストをどんどん増やしつつ、表明もしていくというワークです。 ### 「コンテキスト」として何を挙げるか 何でも良いです。 **意味不明なら「理解できる」がつかない、というそれだけのことです** 。 ただし、コンテキスト(文脈)ではあるので、以下を意識したいです。 * 現状の状態や状況を端的に示す * 断定する * ❌ ~~だと思う * ❌ ~~の傾向が見られる * ⭕ ~~である 特に断定が大事で、 **断定しないと「ケースバイケースだよなぁ」となってしまって身動きが取れません** 。別の言い方をすると、断定できそうなくらい言えそうなこと、言いたいことを提示するのがやりやすいと思います。 以下に、今回の例におけるコンテキストを挙げてみます: * 1on1が形骸化している * 部会が形骸化している * 仕事量に偏りがあり、毎日定時と毎日残業に二極化している * 毎日残業している「忙しい人」がコミュニケーション活動をおざなりにしている * 部長に権限が集中しておりボトルネックになっている * 様々なコミュニケーション活動をしてきたが、決まって形骸化するのは、必要性を感じないからである * 様々なコミュニケーション活動をしてきたが、決まって形骸化するのは、忙しいからである * たまの飲み会やイベントは好評であるため、コミュニケーション活動自体の需要はある etc ## 例(ノートアプリの場合): Cosenseを例にします。 初期状態は、以下のようになるでしょう。 ![](/assets/ne28b1415da14_1732765597-hAsRTrH7fDNwynS4mlC1XO6G.png)初期状態。 表明を行うと、たとえば以下のようになるでしょう。 ![](/assets/ne28b1415da14_1732765626-NExIC9XAwGH3q4Lc6Mzghr0Y.png)表明後。 提示として、新たに一つ足すと、以下のようになるでしょう。 ![](/assets/ne28b1415da14_1732765681-nTgZXspRbuElwk7iaj9Nq5fB.png)課長版を足した例。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: ワークが盛り上がりません Ans: コンテキスト・ワークショップでは扱いません。 個人ワークで黙々やるだけという特殊なワークですし、ツールも使うし、メンバー全員に見える形で表明もするので何かとハードルは高いです。別途クリアしてください。 よくある原因は以下です: * 単にリテラシーが足りていない * 文化的に、このようなワークショップを行う発想がなくて動きようがない * 単純に忙しすぎて、ワークに集中できてない(内職している) おすすめは、皆で対面で集まってワークショップをすることです。つまり皆で同じ場所に集まりつつも、黙って個人ワークをするという光景になります。 このスタイルですと、場の圧力や非言語情報が豊富なので集中しやすくなります。 ### Q: 盛り上がってくると横長 or 縦長になっていくが、どうすればよいか? Ans: どうもしません。 ワークショップ中は、各自あちこち行き来しながら提示と表明に努めます。それだけです。 数十人以下、1時間以下の規模ですと、提示の個数も現実的に収まるはずです。 ### Q: 付箋アプリとノートアプリはどちらが良いか? Ans: 一長一短です。 付箋アプリは馴染みやすいですが、コンテキストを提示するのがつらいです。 **迂闊に文章を書くと、文字が小さくて読みづらくなり体験を損ねます** 。以下も見てください。 一方、ノートアプリは、文章は書きやすいですが、 **付箋アプリよりも慣れていない人が多い** 傾向にあります。「慣れている人口の多さ」で言えば、以下だと思います。 > Zoomなどビデオ会議 > TeamsやSlackなどビジネスチャット > Miroなど付箋アプリ > 同時編集可能なノートアプリ **付箋アプリまでは使える人でも、ノートアプリになると身動きが取れない、なんて人もざらにいます** 。 ### Q: 掲示や表明をし終えて、やることがなくなってきたが、どうすればいいか? Ans: 二つあります。 まず提示については、アイデアと同様、意外とたくさん出せます。基本的に提示を増やすことを考えてください。 次に、 **コンテキスト・ワークショップは1時間以内、長くても90分以内をおすすめします** 。個人ワークでただでさえ疲れますし、なんだかんだ飽きます。慣れてくると45分や30分も可能です。 # Title: モブワーク **モブワーク** とはワーク・ゲーミフィケーションの一種であり、モブプログラミングを一般化した「仕事の仕方」です。 ## (前提) ワーク・ゲーミフィケーションについては解説しません。以下記事を読んでください。 また、モブワークはペアワークの派生系であり、 **本記事でもペアワークについて知っていることを前提として話を進めます** ので、知らない方は以下を読んでください。 ## モブワークとは 基本的にペアワークと同じで、ナビゲーターが1人ではなくn人になったものです。 目的やメリットも同じで、 **レビュアーというボトルネックを解消すること** です。n人全員で1つのタスクに専念して、ぶっつけ本番で終わらせてしまいます。 本番なので、あとで別途レビューするといったことはしません。一回限りの本番を積み重ねていきます。 ## ペアワークとの違い ### 本番試合(プレイ)の概念があること モブワークでは、 **プレイ(Play)** という単位で仕事を進めます。 プレイとは、 * 10分~100分くらいで、 * 休憩がなく、 * 全員が1つのタスクに専念する というもので、いわば一試合分に相当します。プレイは常に本番であり、いわばモブワークを行うチームは、本番の試合を戦い続けるアスリートチームのようなものです。 ### 強くファシリテーションすること ペアワークでは、お互いにとって最良の過ごし方(無理や無茶をせずに質を求める)を模索すればよく、労働時間や休憩タイミングの融通は利かせやすいものでした。 **モブワークは違います** 。 n人全員で1つのタスクに専念するという性質上、全員の心地を求めるのは不可能です。プレイとしてこうやるんだ、と決めたら、我慢してでも食らいつかねばなりません。 もちろんチーム内でベストな塩梅を模索するべきですし、変更も可能ですが、それでもペアワークほど融通は利か無いことが多く、強いファシリテーションはおそらく必要です。もし、 **どうしても馴染めないメンバーがいたら、その人は追放してください** 。 モブワークではプレイ中の専念が Must です。 ### ストラテジー(ドライバー戦略)の概念があること モブワークではチームn人中、ドライバー1人、ナビゲーターn-1人で望みます。プレイ中に誰がどれだけドライバーを担当するかは **ストラテジー** 次第です。 ストラテジーとは、ドライバーをどのように運用するかという戦略を指します。 仮に1プレイ60分、チーム4人だとして、ストラテジーの例を挙げます。 * ローテーション作戦 * ドライバーを15分ずつ担当する * 60分/4人 = 15分、全員均等に回るようにする * フリー作戦 * 最初はランダムにドライバーを決めて始める * ドライバーの変更タイミングは、以下のいずれか * 1: 現在のドライバーが誰かを指名する * 2: ナビゲーターが「やりたい」と希望する * いずれにせよ両者が合意したら成立、変更する * 成立しなかった場合は変更はしない * が、いつでも指名や希望はできる * サドン作戦 * ランダムなタイミングで、ランダムなメンバーを提示するプログラムをつくっておく * プレイ中はこのプログラムに従う * つまりプレイ中、突然ドライバーの入れ替わりが発生する * 細かい挙動は適宜カスタマイズする * 例: 20分間隔で発動させる、連続して同じ人を提示させない この例を見てもわかるとおり、またモブワークでも述べているとおり、 **メンバー全員は対等な実力を持つはず** ですので、ドライバーの選出もランダム性が高くなります。 逆に、このタスクは🐶さんと🐱さんが詳しいから主にこの二人をドライバーにしよう、といった偏りは望ましくありません。 ※一方、緊急度の高いタスクの場合はガッチガチに偏らせることもあります。ずっと同じ人(たとえば最も手が早い人)がドライバーになることもあります。 ストラテジーは、事前につくっておけば使い分けることができます。 「ローテで行くか」「サドンでやろう」といったように、共通言語化して語れるとコミュニケーションがスムーズです。 ### タスクを終わらせる意識が強いこと ペアワークは二人だけで、量よりも質を求めるもので、ということもあってある意味じっくり行うこともできますが、モブワークは違います。 会議が時間中に何とか決定・進展させたいのと同様、 **モブワークもプレイが終わるまでに「きりのいいところまで」進めます。進めることを強く目指します** 。 理由はいくつかあって、 * n人の場合、じっくり取り組むと収拾がつかなくなるから * n人いるので、たいていのことはすぐに解決する or 意思決定できるはずだから * プレイは相当疲れるものであり、きりのいいところまで負われないと精神的に参るから などです。 この「プレイごとにきりのいいところまで進められる」塩梅を **モブワーク・リズム** と呼びます。 モブワークの定着は、このリズムを手に入れられるかどうかにかかっています。それくらいに重要です。 別の言い方をすると、リズムを得られるようにプレイの中身(タスクとプレイ時間とストラテジー)を調整していってください。 # Title: ハンディキャップ度合いを推し量る「NSD」 NSDとは、 * ニューロ(Neuro) * スペック(Spec) * デバフ(Debuff) の略です。 「頭の良さ」的なものを推し量る基準、特に「恵まれてなさ」「ハンデの度合い」を推し量るのに使えます。 ## NSD ### ニューロ ニューロダイバーシティ(神経多様性≒発達障害の多様性)という言葉がありますが、そのニューロです。 先天的か、後天的でも強い負荷や長期的な負荷により形成された「マイノリティの特性」を持つことを指します。 例: * 発達障害(ASD、ADHD、LDなど) * アファンタジア * アロマンティック * LGBTQ 特性であるため、基本的に変えられません。なのにマイノリティなので社会や集団に馴染めず苦労します。 ### スペック 頭の良さを指します。当サイトでは「頭の性能」という言語化をしています。 一つの目安としてIQがあります。 IQが平均未満(100未満)の場合、NSDのSが無い、とカウントします。これを **ロースペック** と呼びます。 ### デバフ 身体障害、境遇の悪さ、不幸なイベントなどにより身体的・精神的にデバフ(弱化)がかかっていることを指します。 例: * 身体的障害: 身体的な障害がある * 長期的高負荷による歪み: ネグレクト(愛情不足)や貧乏(経済力不足)などがある程度続いた * 依存先の喪失: 最愛の家族やペットを亡くした 目安は「ひとりで暮らせない」「慣れたら or 精神的にある程度立ち直れたら何とか可能」です。ただの寂しがり屋や、実家暮らしで経験がないなどは含まれません。むしろ普段は一人暮らしに慣れているし、ひとりでも平気な気質なのに、できなくなるというほどのインパクトです。 ## 2つ以上あるとキツイ NSDは2つ以上あると、生活が厳しくなります。 1つだけなら(不利ではあるが)大したことはありません。他の手段でカバーできますし、むしろ不利な分、思考や行動もするので、0つの人よりも充実しやすくなります。強い人には相応の理由がある、というアレですね。 問題は2つ以上の場合です。2つ以上あると途端にハードモードになります。 * ニューロとロースペックがある場合: * デバフは無いので健康ではある * ニューロがあるので、マジョリティに馴染めない * ロースペックなので、努力すれば勝てる世界でも勝てるほどの高みに登れない * 👉️[ゲーム不適合者](https://note.com/workhack20/n/n9136c1c11311)も参照 * ロースペックとデバフがある場合: * ニューロはないので、マジョリティには馴染める * ロースペックなので、人並以上になれない * デバフなので、人並以上の努力ができない * ニューロとデバフがある場合: * ロースペックではないので、努力すれば人並以上になれる * ニューロがあるので、マジョリティに馴染めない * デバフがあるので、馴染める場所の模索や居場所での努力があまりできない # Title: VUCAに勝つための組織 「●●特区」 特区と呼ばれる特別な組織をつくることで、VUCAに対抗することができます。 どのような特区があるかを整理します。 ※随時更新予定。 ## 出島戦略 イノベーションを生み出すために、組織の理から切り離した「特区」をつくります。 よく知られている概念ですが、実践は非常に難しいです。 ## 開放特区 モンスター社員を上手く生かすための特区です。典型的な仕事を免除するかわりに、見世物の扱いにします。 遠慮のないアウトプットと議論が行われるので、変革や化学反応が起きやすくなります。 # Title: スマホをバッグで封印する スマホの使いすぎを防ぐために、バッグが使えます。 外出時に常に持ち運ぶバッグ( **レギュラーバッグ** )があるとして、スマホは常にここに仕舞うようにします。 ## メリット スマホの使いすぎを防げます。加えて、外出時の準備・片付けコストも減ります。結果として QoL が上がります。 理由を説明します。 スマホをレギュラーバッグに常に仕舞うようにすると、以下の状態になります。 * 1: 外出時はレギュラーバッグを持ち運ぶだけで済む * 2: 帰宅後もスマホはレギュラーバッグの中にある 1: は単純に便利です。 そして本題ですが、2: により **スマホをいじるときにいちいちバッグから取り出さないといけなくなる** ので面倒になります。これがスマホを無闇に使うことを妨げてくれます。 これだけ見ると「効果あんの?」と思われるかもしれませんが、ここで 1: が効いてきます。レギュラーバッグをちゃんと確立できていいると、 > レギュラーバッグ ≒ 外出時にのみ触るもの = 外出モードのときに触るもの という刷り込みが出来上がってきます。 この刷り込みの力が強力なのです。自宅ではくつろぎモードになっていると思います。ここから外出モードに移行するのは容易ではなく、単にバッグから取り出すだけでも面倒に感じます(だからこそ「レギュラーバッグを持ち歩けばいいだけ」という単純な状態を目指しています)。 この面倒がハードルとなってくれます。自宅にいて、くつろぎモードになっているときに、わざわざ「外出モードのときに触るレギュラーバッグ」には触れようとしないのです。心理的にそうなります。 慣れてくると、レギュラーバッグの存在すら忘れます。つまりスマホの存在すら忘れるという境地に至れます。 ## 肝はレギュラーバッグの確立 すでに述べたとおり、このやり方の肝はレギュラーバッグです。 **「外出時は常にこれを持ち歩く」という小さなバッグ** をぜひ確立してください。 ポイントは以下のとおりです: * 常に持ち歩くものなので、なるべく小さい方が良い * サコッシュやウェストポーチがおすすめ * 両手両腕が空くものが良い * 手提げ系や肩掛け系はおすすめしません * 持ち歩くものは厳選する * スマホ + 貴重品 +αくらいでしょう * 別の言い方: 「ポケットや両手だけで持ち運びきれる分量」に留めてください * 雨具は想定しなくて良いです さらに荷物が必要な場合は、レギュラーバッグに加えて別のバッグを持ちます。レギュラーバッグは常に持ち歩くものです。 ## 自宅のどこに置くか Ans: 普段居座る場所から離して、つるしておくと良いです。 まず、普段居座るリビングやデスクからは届かない場所にします。可能なら視界にも入らない場所が良いです。どうしても入ってしまうのなら、物やカーテンなどで仕切りましょう。 次に、バッグは吊るした方が使い勝手が良いです。百均ショップや無印良品などでフックを調達すると便利です。 ## バッグロックも使うとなお良い 以前「人間ロック」を紹介しましたが、 これを行うとなお良いです。つまり、 **スマホとレギュラーバッグをチェーンやストラップなどでつなぎます** 。 こうするとスマホを単体で持ち運ぶことができなくなる or やるにしてもいちいち外さないといけなくてだるいので、かなりの抑止力になります。 ## Q: スマホがない場合はどうやって時間を潰せばいい? Ans: 本記事では扱いません。 パソコンでも、読書でも、何らかの趣味でも、何でもいいと思います。 ## おわりに レギュラーバッグの考え方は、スマホを無闇に使うことを防ぐための優れた方法です。 本当に防ぎたいのなら、(無理やり強制されて封じられるのが嫌なら)このような行動はどうしても必要です。 **レギュラーバッグは、かんたんな方です** 。比較的誰でもかなりかんたんに行える(面倒くさくはあります)よう、考え抜かれて設計されたものだからです。 正直申し上げると、これさえできないようでは、防ぐことはできないと考えてください。 本当に悩まれている方は、ぜひ試してください or 試さない方や、試してもできない方は **その気がないか、適性がないので諦めましょう** 。 # Title: 「ページズム」 文書よりもページ 情報共有には文書が使われがちですが、前時代的です。軽い情報や日頃の共有程度なら、文書よりもページを使いましょう。 ## ページズム **ページズム(Pagism)** とは、文書ではなくページを用いて情報共有を行うという考え方を指します。 ページとはウェブページのページです。固有のURLがあり、ブラウザでアクセスするとすぐに開くことができるものです。 **現時点で最も利便性の高い提供手段** となっています。 ## 背景 ### 文書で共有することの弊害 文書とはワード、エクセル、パワポやPDFを指します。 文書には以下の弊害があります。 * 読む側: * 開くまでに時間がかかる * ダウンロードが必要 * コピペや検索がしづらい * 共有しづらい * つくる側 * 情報量が増えがち * 無限にこだわれるため * 形式や体裁が盛り込まれがち、かつ踏襲されがちのため * 情報が曖昧になりがち * 絵や図を使えるので、言語を使わず曖昧に表現できてしまう * 共有される量が減りがち * つくる・伝えるのが手間なので、出せる量に限りがある * 手間が大きいので、インセンティブがない限りは出さない つまり無駄と手間が多いです。結果として **情報共有が形骸化し、結局会議で集めて直接伝えるという二度手間が生じます** 。 ### なぜページだと利便性が高いのか ブラウザが使えるからです。 ブラウザはインターネットとともに発展し続けてきたコアな技術であり、現状最も情報の読み書きに優れたツールです。あえてブラウザを使わない理由はありません。 ブラウザを使うと以下の恩恵を受けられます。 * アクセスするだけで読める * タブで複数表示できる * ブックマークできる * コピペや検索ができる * その他拡張機能による様々な便宜を図れる ### ページの意味 ブラウザでページを表示と書きましたが、ここでは **ブラウザで直接ウェブページを表示すること** を想定しています。 * ❌文書(ワード・エクセル・パワポ・PDF) * ❌ページで通知を出して、詳細は文書 * ❌チャットで通知を出して、詳細は文書 * 🔺チャットで完結 * ❌SNS(たとえばTwitter)で知らせて、詳細はページ * 🔺SNSで完結 * ⭕ウェブページで完結 チャットやSNSなどは該当しないことに注意してください。まとまった文章を表現できて、表示も高速で、固有のURLもあってこれを叩けばいつでもすぐにアクセスできるものがページです。 チャットやSNS、その他昨今のWebサービスは基本的に **これを満たしません** 。 ## メリット 情報共有を実現できます。 情報共有というと、個別に口頭で伝えるイメージがあるかもしれませんが、違います。関係者全員に見える形で残しておくことこそが本質です。 しかし、だからといって文書を残せば良いというものではなく、ここまで述べたとおり文書は不便なので、形骸化してしまいます。 形骸化を食い止めるには、ブラウザの恩恵を受けられるページでの提供が必要なのです。ページズムというほどページでの提供にこだわることで、ようやく実現ができます。 ## ページによる情報共有を実現する ### 実現に必要な仕組み オープンに静的コンテンツを扱う仕組みが必要です。 概念的には以下が知られています。便宜上「 **情報共有基盤** 」と呼ばせてください。 * (情報共有基盤) * ブログ * Wiki * CMS 原理的にはウェブサイトをつくるだけですが、 **情報共有なので情報を出したい人が(専門的知識がなくてもすぐに)出せる必要があります** 。また、すでに述べたとおり、ページの表現力や性能も要りますので、チャットやSNSを始め、たいていのサービスは当てはまりません。 このポテンシャルを持つのは現状、上記の3つだけです。 上記のいずれかを、たとえば組織内全員が自由に使えるようにしてはじめて、情報共有が実現可能となります。 ### 情報共有のやり方 まず、基本的にPublicを心がけます。 * Public * 組織内全員に公開する * 基本的にこちらを使います * Private * 指定した条件に当てはまる相手にのみに公開する **DMのような個別の受け渡しは含まれていない** ことに注意してください。個別レベルのやりとりはただの伝達であり、オープンでもないため、情報共有ではありません。 Privateも推奨しません。プライバシーや機密情報があるのは当然ですが、情報共有はインターネットと同様、Publicであるべきです。ここを当たり前にしないと閉鎖的なあり方を脱せず、形骸化します。 次に、Private の実現方法は以下に分かれますが、どれを使っても構いません。一長一短です。 * 集合住宅的 * 情報共有基盤上に一つのスペースがあり、これを全員が上手く使い分ける * ⭕ガバナンスやアクセス制御を利かせやすい * ❌個人単位での情報共有がしづらい * 管理が厳しくなりがちのため。形骸化のリスクも高いです * 戸建て的 * 情報共有基盤上に、各自がスペースをつくる * ⭕情報共有がしやすい * ❌全社員に伝える、発見してもらうといった広がりを起こしづらい * ❌スペースをつくる側のリテラシーがないと問題が起こる * インターネット上にフルオープンにしてしまう等 * ゲーテッドコミュニティ的 * 情報共有基盤上に、各自がスペースをつくる * 組織内に中央管理部部門が存在し、管理の権限も持っている * ⭕戸建て的の融通を保ちつつも、ガバナンスを利かせられる * ❌ガバナンスが下手だと、集合住宅的になってしまう セキュリティを守ること、個人レベルの共有を阻害しないこと、全社員に見てもらう・見つけてもらうような広がりにも繋げること、のバランスを確保してください。 最後に、情報共有基盤の母体です。これも一長一短ですが、可能ならクラウドに任せたいです。 * オンプレ * 自組織でシステムを運用する * ⭕機密面の心配がない * ❌システムの運用が必要 * クラウド * 運用元が持つシステムを使う * ⭕自前での運用が不要 * ❌費用が高額になりがち * ❌機密情報や個人情報を保存しづらい クラウドに任せる理由は明快で、 **情報共有基盤を安定的に運用することは非常に難しい** からです。[特に国内は文化的にまだまだITへの投資を軽視しがち(ITで商売をする企業であっても)](https://note.com/workhack20/n/n3f7ab4d17e36)なので、インフラの弱い基盤に終始してしまいます。 インフラが弱いと表示に時間がかかるとか、負荷を収めるためにメンテナンスが増えたりとか、ひどい場合は情報共有自体に検閲を敷く(情報の総量を減らすために本当に重要な情報以外を認めないようにする)こともあります。いずれにせよ、情報共有が形骸化します。 わかりづらい人は、たとえば Teams や Zoom のようなシステムを自前でつくって運用できるか、という話です。 ## 使えるサービス ブログ、Wiki、CMSとして使えそうなツール・サービスを挙げます。 小規模(数百人以下): * Cosense * Notion * その他ビジネス利用を想定したブログやWikiサービス全般 小規模程度であれば、様々な選択肢が存在します。 中規模(数千人以下): * WordPressやDrupalなどのCMS * オンプレになります * 現時点では修羅の道と思います * 情報共有として形骸化しないレベルで実現した例は、国内には無いと思います * 上述したとおり、それだけの投資を行う文化ではないからです * Confluenceなどの中規模実績のあるWiki * ガバナンス面は優れていますが、使い勝手がいまいちです * 実績のあるWikiは息の長いものが多く、情報共有用途として使えるほどのカジュアルさがありません というわけで、実は **中規模以上を確実に実現する手段は現時点では無いと思います** 。 修羅の道と書きましたが、本格的な投資と内製は必須でしょう。あるいは小規模向けのサービス提供者と組んで、中規模大規模向けのサービスをつくりあげるかです。 # Title: 今週の記事 2024/11/24 今週は 15 記事書きました。 当サイト開始から 11 週が経ちました。 [←前 2024/11/17](https://note.com/workhack20/n/ndd8d4c10a476) [2024/12/01 次→](https://note.com/workhack20/n/n5b470a94c971) ## モンスター・エンジニアリング ## タスク管理 ## 多様性 ## 組織変革 ## 情報共有 ## できない人向けのハック ## 仕事の種類 ## 自動化 ## パラダイムシフト ## 高頻度なフィードバック (ワーク・ゲーミフィケーション) # Title: 通知を3種類に分ける 通知しか知らないと、通知が来る度に反応することになってノイジーです。これを軽減したいなら、三つの概念に分けるといいでしょう。 ## 通知は「3つのI」に分ける 通知(Notification)を以下に分けます。 * **割り込み(Interrupt)** * すぐに確認するもの * 割り込まれるようなものです * **インボックス(Inbox)** * あとで読めばいいもの * **情報(Information)** * 基本的に見なくていいもの * あとで必要になったら見ればいいもの 現状、通知と呼ばれるものは「割り込み」の扱いになっています。ピコンと新着が来る度にすぐに反応しますし、そのとき居なくても、後で画面を見たときに通知件数が増えていたら、すぐに開こうとします。 ### 割り込み(Interrupt) このような通知のあり方は、現代人なら当たり前と思われるかもしれませんが、違います。麻痺しています。 **割り込みは、たとえるなら「ねぇちょっと」と突然肩を叩かれるようなものです** 。それが仕事やプライベートで、一日に何回もあるわけです。正気の沙汰ではないですよね。 多くの権限と責任を持つ高給取りの立場か、育児中の人ならまだしも、 **私たち一般人が恒常的に負っていい負荷ではありません** 。 ### 割り込みはできるだけ減らすべき 相応の立場や状況でもなければ、割り込みはできるだけ減らすべきです。 そのためには「割り込み(Interrupt)」以外にも二つの I を使います。何でもかんでも割り込みとして扱うのではなく、できるだけ次の二つの I として扱ってください。 ### インボックス(Inbox) インボックスとは「あとで見る」という概念です。 たとえばインボックスにメッセージが5件溜まっていたら、この5件は後で全部見ます。 **割り込みではないので、届いた直後に見る必要はありません。しかしスルーするわけにもいかず、どこかで見ないといけません** 。どれくらい猶予があるかはメッセージ次第ですが、目安は「今日中」です。 ### 情報(Information) 情報とは「必要になったときに見る」という概念です。 インボックスよりも雑に扱っていいもので、 **あとで見る必要すらありません** 。情報が何件溜まっているかはわかりませんし、何百件と溜まっているかもしれませんが、構いません。見なくて良いです。 見るタイミングは「必要になったら」です。必要になったときに一覧から眺めて探したり、あるいは検索したりします。 ## 3つのIを実現する 「割り込み」を減らすために、「インボックス」と「情報」のウェイトをどうやって増やしていくかを見ていきます。これを割り込みのスリム化と呼ばせてください。 ![](/assets/nb7f2830cb18a_1733046965-OFsdU0K236taxhJE1yC54pLN.png)割り込みのスリム化。 ### メール メールは古典的な手段ですが、まだまだ進化しており割り込みのスリム化を実現できるものもあります。 メーラーの Hey や、タスク管理として処理する Asana などいくつか戦略があります。下記記事で解説しています。 ### チャット 現時点で、 **チャットに対して割り込みのスリム化を行うことはできません** 。というのも、チャット側に通知の挙動をカスタマイズする余地がないからです。 現時点でよく使われる仕事術は「通知は全部オフにして、新着はたまに見に行く」というものです。たとえば1日に1回だけ見るとか、毎日朝と昼だけ見るとかいったものです。 つまり **通知機能を丸ごと切ることで、丸ごとインボックスにしています** 。当然ながら、すぐ見るべき重要なメッセージも見逃してしまうので融通は利きません。 それでも「すぐに見るべき」が無い人には重宝します。これは実質、「すぐに見るほどの忙しさや制約を抱えないあり方」ができるかどうかにかかっています。よほど仕事を選べる立場でもなければ、現代ではミニマリストや静かな退職といったレベルで絞ることになるでしょう。 もう少し融通を利かせたければ、チャットアプリの進化を待たねばなりません。 メールレベルの仕分け能力を持つ――だと、大多数の一般人は高機能すぎて使えません(すでにメールが通った道のりです)ので、より簡単な方法でインボックスや情報を増やせるような、新しい考え方が必要です。 当サイトとしては以下を提案しています。 * 1: 本当に重要なメッセージは「割り込み」で扱う * 2: 必要なときに見ればいいメッセージは「情報」で扱う * 3: 上記以外は「インボックス」で扱う * 4: 情報やインボックスに来たメッセージのうち、 **受信密度** が高いものは「割り込み」として扱う 1~3はただのフィルタリングであり、目新しくありません。新しいのは4の受信密度です。 受信密度とは「n分の間に、同じ人から何回届いたか」「n分の間に、あるチャンネルで何回投稿・返信されたか」を示すものです。 **短期的な盛り上がり** を知るのに適しています。 つまり、チャットアプリが、 * 柔軟かつ使いやすいフィルタリング機能と、 * 受信密度ベースの割り込み の二つをサポートすればいいわけです。この考え方を実現できたら、チャットというものを一段階変革できるでしょう。 ### スマホ スマホには様々なアプリが入っており、それぞれがたくさんの通知つまりは割り込みを飛ばしてきます。 スリム化を行う方法はシンプルです。 **割り込みとして処理しなくていいアプリについては、通知をオフにしてください** 。 基本的にチャットなどコミュニケーション系以外はオフにできると思います。 よりおすすめなのは荒療治です。明らかにオフにしたら困るもの以外はとりあえず全部オフにして、それで過ごしてみて困ったことがあれば個別にオンにします。というのも、これくらい極端にやらないと、いつまでたってもオフにしないからです。 よく挙がるのが集中モードなど「特定の時間帯だけオフにする」運用ですが、これは(無いよりはマシですが)おすすめしません。というのも、 **一時しのぎでしかない** からです。問題と向き合っていません。 本当に割り込みを減らしたいなら、一時しのぎには頼らず、恒常的に減らすことに挑んでください。上述したような個別の設定オフは、当たり前に行えるようになりたいです。 アプリやスマホの設定画面の、通知設定部分をこまめに見るクセがつくくらいになったら上出来です。 ### インターホン 事前に調整された訪問以外は全無視します。 * 真っ当な業者であれば必ず事前通知が来るはずで、調整を行うはずです * Amazon など宅配業者についても、置き便を使えば反応は要らなくなります * あるいは到着時刻を指定すれば、その時間帯のAmazon配達員の格好をした人だけ見ればいいので、(インターホンを常に確認するよりは)スリム化できます 上記だけを割り込みとして扱います。つまりインターホンを普通に確認して対応します。 **上記以外は全無視でOKです。インターホンの確認すら必要ありません** 。おそらく十中八九、業者や宗教勧誘のはずです。そうではない、たとえば近所の人による緊急の場合などは、もっと切羽づまった感じになるのですぐにわかります。 ### 電話 これもインターホンと同様、事前に調整されたもの以外は全無視で良いです。 本当に重要な用件であれば、何度か催促が来ます(受信密度が高くなる)。あるいは、あとで着信履歴を確認したときに電話番号をググるなどして、業者ではなかった場合はこちらから折り返せば済みます(着信履歴はインボックス)。 電話についても、チャットと同様、決定打がありません。着信音とバイブをオフにした上で、 * 発信元ベースのフィルタリングをする(重要な人物からの着信のみ音を鳴らす) * 受信密度が高まったら音を鳴らす * 指定期間のみ音を鳴らす * 事前に調整された分を反映します といったことができると需要があるでしょう。 # Title: 催促ドリブン キャパオーバーレベルで仕事や役割を抱えている人は、催促されたら行動することを心がけると楽できます。 読者としてマネージャー以上の多忙な人を想定しています。 ## 催促ドリブン 受信箱やタスク、また今来たメッセージなどには反応せず、認識だけしておき、催促が来たら行動に移すことを **催促ドリブン** と呼びます。 用語で書くと、インボックス(あとで見て処理が必要なもの)は見るだけにして、行動は催促されてから行うとも言えます。 ※ただし主観的に明らかに重要だとわかるもの(主観的重要性が高いもの)は、催促を待たずに行動します。本記事で言っているのは、主観的重要性がさほど高くない大多数の情報について、その扱いをどうするか → 催促ドリブンにしよう、という話です。 ## メリデメ メリット⭕: * 自分の認知資源を守ることができます デメリット❌: * 反応してくれない無能だと扱われやすくなり、長期的には不利になります ## デメリットのカバー ### 予定ドリブンになる **予定ドリブン** とは、基本的に会議などの予定を設定して、その時間内で行動する、自分は多数の予定を消化していくマシーンと化す――そんなスタンスを指します。 [マネージャー ](https://note.com/workhack20/n/n227e0a2918cc)など多くの人と喋るのが仕事な人は、基本的にこのスタンスになります。 つまり「私は予定ドリブンです」「私に用がある人は会議をぶっこんでください」というキャラになれば、インボックスの総量を減らせます。 ### 権限委譲・役割分担する キャパオーバーな人は、十中八九責任や立場を抱えすぎです。要するに任せるのが下手クソで、全部自分で抱えてしまっているので、そりゃ自分に依頼や伝達が集まるのも当たり前だよね、という話です。辛辣に言えば、ボトルネックになっています。 ならばもっと任せれば良いのです。 理想は、自分が暇になることです。未来のために時間を使いつつ、何か頼られたらすぐ行動できるようにしておくことこそがあるべき姿でしょう。当然ながら、情報量も減るのでインボックスの総量自体を減らせます。 よくできない理由として「この仕事は私にしかできないから……」が挙がりますが、違います。主因は以下です。 * 暇が嫌だ * 暇である自分をプライド的に許せない * 他のやり方を認めたり、キャッチアップしたりする気がない これらに抗い、権限委譲していきましょう。そうしない限りボトルネックから脱せません。 ## (関連記事) 催促ドリブンは、もう少し詳しく言えば「インボックス扱いだったものを割り込み扱いにする」という発想になります。 # Title: 主観的重要性 重要とは主観的なものです。この捉え方を **主観的重要性(Subjective Importance)** といいます。 ## 例 ### 時間管理マトリクス 7つの習慣で有名な優先順位付け方法で、タスクを以下のいずれに分けます。 ![](/assets/n0d66d0ca51d9_1733106829-3ptHLT8cSJZmn0vQbyaGlPdF.png)時間管理マトリクス。 以下のように扱います。 * 第4領域は、ゴミなので相手にするな * 第3領域は、自分を蝕むものなので減らしていけ * 第1領域は、速やかにやれ * だがここ抱えすぎるとパンクするので程々に * 第2領域は、トレーニングや勉強や投資やメンテなどであり最も重要 * ここを増やしていけ さて、ここで登場する「重要である/ない」も主観的重要性です。何が重要かは自分で決めます。 ### 催促ドリブン 催促が来たら対応する、それ以外は基本的にスルーするというやり方です。 しかし、「重要なもの」については催促がなくても対応します。 この「重要」も主観的なものです。誰が教えてくれるものではありませんし、他人に求めてしまうと、それこそ重要と書かれたメッセージに反応してしまう → 結局全部に目を通してしまうなんてことになるでしょう。 ## 主観的重要性を判断できるようになるために ### 1: 自分の軸を持つ 自分なりに何が重要化を言語化して、掲げることで軸になります。 これには **深い思考が必要で、かつプライベートな部分にも遠慮なく踏み込まないといけないので、他者との対話では難しい** ところがあります。 ※たとえば、誰にも喋ってない個人的な思いを隠しながら喋る、という過ごし方で深く思考できるでしょうか。できません。深く考えるためには、外部の目と割り込みを完全に遮断して、何の心配も無く没頭できねばなりません。 では何が使えるかというと、内省です。 ### 2: 文脈を理解する 文脈がわかれば納得感も増えます。洗い出すのも良いですし、動いてみて探るのも良いでしょう。いずれにせよ、行動が大事です。いくつか便利な仕事術を挙げます。 行動に必要なのは素早さであり、これはアジャイルという概念でビジネス一般にも知られつつあります。 複数人で過ごす場面であれば、ワークショップで洗い出すのもおすすめです。 文脈の重視に絡むのが調子と動機で、すべてを満たすことはできません。文脈を重視したいなら、調子や動機に捧げすぎないようにしましょう。 ### 3: 自分の荷物を棚卸しする 自分が抱えるタスクや役割や時間の使い方を棚卸しします。まとまった時間を確保して、書いて洗い出しましょう。 書けば可視化されます。可視化されれば比較ができます。そして、比較ができたら、相対的に良し悪しが見えてきます。最後に、その判断基準や思いを言語化すれば完了です。 あなたの主観を明らかにするために、まずはあなたが抱えるものを書き並べましょう。 # Title: 予定ドリブン(会議ドリブン) **予定ドリブン(Schedule Driven)** とは、自分を予定に従う機械と見立てて、ひたすら予定を消化していく過ごし方を指します。 予定≒打ち合わせとなることも多いので、 **会議ドリブン(Meeting Driven)** と呼ぶこともあります。 ## 概要 ### やり方 自分の時間枠を開放して、誰にでも使えるようにします。 細かい運用の仕方は色々あります。 * 現代ではグループスケジューラーを開放して「用がある人は勝手に予定をぶっこんでください」とするスタイルが主流です * 古典的には、特に階級が高い者が秘書を経由させます * 原始的には、スケジューラーでは管理しないが、声をかけられたら対応する(対応中なら他の人はそれが終わるまで待つ)というリアクティブなスタイルも使われます ### メカニズム マネージャーなど人その他リソースを使う・管理する側の立場になると、基本的に予定ドリブンになります。というのも、以下の事情が伴ってくるせいで、他に適した働き方がないからです。 * キャパオーバー * 物理的にすべてを処理しきれないほどの仕事量・情報量、もっと言えば判断の量がある * タスク管理の欠如 * このような人達は素早さと意思決定を生業としており、タスク管理という泥臭い営みのスキルとモチベが無い * [グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e) * 人間関係の構築・維持・修復も絡むため、会話や対話の時間をどうしても取る(場合によっては重ねる)必要がある このようなシビアな状況下では、自分の時間を開放した上で、 「皆さん、必要なら私の時間枠を予約してください」 「私はそのとおりに動きますんで」 とするくらいしかできません。 ### 対象者 人を含む「リソースを使う・管理する」ウェイトが増えれば増えるほど、予定ドリブンになりがちです。 例: * 管理職 * マネージャー * ディレクター * 経営者 例を見ればわかるように、上下関係が存在します。立場が上の者が持つ貴重なリソースを、立場が下の者が取り合うという構図です。 ※ちなみに「予約が必要なサービス」や「広く仕事を受け付けるフリーランス」など需給関係として予定ドリブンが成立することがありますが、本記事では扱いません。 ## メリデメ ### メリット⭕ 本人が楽できます。 予定に従うだけでいいですし、権限もたいていは本人にあるので、(労働時間や判断量が多くて疲れはしますが)ラクチンです。 最も楽な働き方の一つに数えられるでしょう。実際、予定ドリブンは非常に身近な働き方で、よく見かけます。 ### デメリット❌ 本人自身がボトルネックになります。 * 統一性と再現性がありません * 権力者として自分のリソースを自分の判断で分け与えることに等しいので、好き嫌いが反映され、政治がはびこります * 有能と無能・有害と無害がはっきりと分かれます * この塩梅は人によって違うので、管理される側はしばしば振り回されます * 変化に弱いです * [こまぎれの時間](https://note.com/workhack20/n/n227e0a2918cc)で反射的に捌く世界になるので、新しい事柄や深い事柄にリーチできません * そんな反応的な生き方が恒常的で、日頃から疲れているので、自ら新しく・深く考える体力や習慣もありません * 不在や消失に弱い * 情報が本人の頭の中に閉じてしまう上、[情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc)を行うスキルやモチベもないため、広がりません * 自分は難しいことをしているというプライドを守りたいため、むしろ情報を出し惜しみます * 結果として後進が続かず、バックアップもなくて、本人の切れ目≒停滞になりがちです ## ボトルネックを解消するには ### 組織パラダイムを変える 諸悪の根源の一つは「階層的な組織」にあります。 階層的ですと、力学的にどうしても上の立場が多くを抱えることとなり、予定ドリブンで凌ぐことしかできなくなります。これを防ぐためには、 **権限委譲をもっと進めるしかないのですが、階層という組織パラダイムではできません** 。 ですので、全く別の組織パラダイムが必要となります。たとえばティール組織などです。 ### 非同期を推進する ボトルネックの原因は、予定ドリブンを行う本人の出し惜しみです。 **本人との予定(打ち合わせ)でしか** 情報がやり取りされず、状況も進まないようになっているわけですから、そりゃボトルネックにもなります。 加えて、仮にn人集めたとしても、同時に一人ずつとしかやりとりできないので、その一人以外の全員を無駄にします。ここまで来るとボトルネックを通り越して、有害ですらあります。 ![](/assets/n3340431187ad_1733111619-IOLWFQTC1U4eJhnsRit2wjzv.png)よくある会議の一例。 これを打破するには、予定無しでも進むようにしなくてはなりません。つまりは非同期コミュニケーションです。 情報を読み書きできる場所をつくり、誰でもそこで議論できるようにします。 そうすれば、本人が絡まなくても勝手に進みますし、意思決定も自分のペースで下せば済みます。情報として残っているので、自分に何かあったときも何とかなりますし、何なら自分でなくても何とかなることがわかってきます。 ですが、非同期を行うためには相当にツールやメンタルモデルを変えねばなりません。 ここが文化的に不足しているせいで、日本は(日本も)いまだにリモートが定着しません。あるいは、しても **オンライン会議ばかりという悲しい実態** に終始しがちです。 当サイトでは非同期的に働くための仕事術を多数揃えておりますので、ぜひ読み漁ってみてください。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%20%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%9C%9F&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%20%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%9C%9F&context=note&mode=search) ### あそびを取り入れる 予定ドリブンの実践者は、多忙を是としがちです。この点は(主に経営者向けですが)以前言語化しましたが、 大局的に言えば、資本主義的価値観に毒されています。 現状最も強い自分を最大限使うことが最大の利益に繋がりますし、実際つながるので、予定ドリブンをやめられません。 **現代人は情報の洪水に依存していますが、ビジネスパーソンも仕事の洪水に依存しています** 。どちらも同レベルの依存であり、身も蓋もない言い方をすると病気です。 これは宗教や文化といったレベルで染み付いており、変えるのはおろか、自覚させることすら非常に困難です。 たとえば「稼いで何が悪い」「稼げてない雑魚が何をいう」などと返ってきます。 たしかに、稼ぎという意味では最適ですが、現場の生活水準や多様性など軽視されているものもまだまだ多いです。そして、何度も述べているとおり、本人がボトルネックとなっているので、本人が終われば終わってしまいますし、本人以上の伸びもありません。 この現状を打ち崩すには、荒療治が必要です。問題は何を使うかですが、たとえばスラック(余裕)があります。 前段として、コミュニケーションタイムの概念も役に立つでしょう。 よりわかりやすく言えば「あそび」です。 あそびにより、資本主義的な多忙を緩めることができます。その分、各々の生活水準に手がまわり、余裕が出てくるので、多様性も確保できます。 余裕と多様が手に入るので、中長期的に見ると大きなパワーとなります。少なくともVUCAには対抗できます。[変革](https://note.com/workhack20/n/nbd4417a09adf)も起こせるかもしれません。 VUCAな世の中では何が起こるかがわかりませんが、想像もしなかったことが起きて私たちを助けてくれます。これと同じことを、自分の組織内で、自分の配下で、もたらせるようになります。 # Title: 仕事術2.0のドライバー 仕事術2.0として、ドライバー(●●ドリブン)を扱うことがあります。リンク集としてまとめます。 ※随時更新予定です。 ## 予定ドリブン 自分のスケジュールにひたすら従うだけという働き方を指します。 マネージャーなど打ち合わせが多い人が陥りがちなスタイルで、基本的にシンプルで有用ではありますが、ボトルネックにもなってしまっている諸刃の剣です。 ## 催促ドリブン (明らかに[重要](https://note.com/workhack20/n/n0d66d0ca51d9)なもの以外は)全部に反応するのではなく、基本スルーしておいて、催促があったものだけ相手にするという過ごし方を指します。 忙しい人には便利です。 ## コンセプトドリブン * 1: イシュー(何らかの問題やニーズ)に取り組む * 2: ギャザー(漠然とした期待や満足感のために集まる) 仕事のような真面目な文脈であっても、比較的無条件に取り組まれる活動として上記二つがあります。 もう一つあります(あるべきだと思います)。それがコンセプトであり、誰でも何でも言語化したものを出して、自由に議論したりこねまわしたりします。 # Title: 「遮断力」 集中したいなら物理的な刺激を遮断する 以前「インプットを遮断する」という観点で記事を書きましたが、 今回は「物理的な刺激を遮断する」という観点で書きます。 ## 「物理的な刺激」について ### スティミュライ 以下のような刺激は、集中を妨げます。 * **物理的な刺激(スティミュライ, Stimuli)** * 音 * 光 * 視界 単純化のため、スティミュライは上記の3つのみとします。 ### スティミュライの弊害 スティミュライがあると、たとえ無自覚であっても感覚器官が反応しているので、その分脳の処理が鈍ります。疲労もしやすくなります。 1秒、1分単位では軽微かもしれませんし、かんたんな作業であれば影響は無視できますし、ゲームや慣れた作業のようなものだと「没入しやすい」のでやはり無視できます(ひどい場合は「依存」になります)が、 **集中を要するような場面ではスティミュライは軽視できません** 。 というより、 **スティミュライを遮断できない人は、そもそも集中という営みをまともに行えないと思います** 。 たとえば1時間以上、ひとりきりでインプットやゲームや単純作業を伴わないものづくりや思考を行えるでしょうか。大多数の一般人は無理でしょう。なぜかというと、単にスティミュライに邪魔されているからです。 ### 集中と没入の違い ※辞書的な意味ではなく、本記事における定義として説明します。 集中とは、意識の使い方や向き先を特定の対象に専念することで、普段では行えないような深い思考を可能にすることです。能動的な没頭です。 一方、没入とは、単に何らかの仕掛けや刺激によってそれに没頭することです。受動的な没頭です。 **スティミュライの遮断は、集中(能動的な没頭)を助けるものです** 。集中をしたい人にとっては、本記事は役に立ちます。逆に、単に没入できれば良いという人には役に立ちません。 ## 遮断するには? スティミュライの各々について、遮断のやり方を取り上げます。 ### 音 防音です。 * ドアを閉める * 音が鳴っているものを切る * ノイズキャンセリングのヘッドホン、イヤーマフ、耳栓などをつける etc たとえば自宅でリモートで仕事しているとして、換気扇や洗濯乾燥機の音があるとすると、これは集中を阻害されています。 スティミュライと捉えて、ちゃんと遮断するのであれば、すべてのドアを締め切るとか、そもそも稼働させないとか、もちろん耳栓などでも良いですが、対処が必要です。こういった遮断をしていない場合、無自覚のうちに集中を阻害されています。 ### 光 「眩しい」を避けます。 * 直射日光を浴びない * カーテンを敷く、デスクやモニターの位置を変える etc * 照明の明るさを下げる * [日本の照明は明るすぎることが多い](https://note.com/workhack20/n/n649eaa694a07)です、海外のような「薄暗いくらい」で十分です * モニターの反射を避ける * 配置場所、角度、ノングレア(非光沢)のものを使う etc 眩しさは絶対的なものと相対的なものがあります。 後者としては、たとえば「暗い部屋でスマホやパソコン」がありますが、これもスティミュライとしては負荷が高い(つまり集中が阻害される)過ごし方です。 ゲーマーが好む環境ですが、そもそもゲームは没入するものなので関係がないのです。没入はできますが、集中には向いていません。実際、このような部屋で、集中ができている例は少ないと思います。 ### 視界 目に入る対象の数を減らします。仕事術2.0では **ミニマイズ** と呼んでいます、つまりミニマリズムの範疇であり、 **徹底的にものを減らす・捨てる意識で減らす必要がある** ということです。 場所としては、以下が当てはまります。 * デスクの上 * ディスプレイの表示内容 * デスクトップ、ウィンドウ、壁紙、ブラウザのタブ etc * またデュアルモニタなど複数枚も良くないです * 部屋の中 これらについて、できるだけ物(対象)の数を減らします。ミニマムが難しければシンプルや[シングル](https://note.com/workhack20/n/n2fe3c3aef937)も検討してください。 しかし、いきなりミニマイズしていくのも難しいですから、通常は **専用の環境を用意します** 。 たとえば仕事部屋を用意します。部屋が難しければ、部屋の一画を仕切ってつくります。パソコンの目線で言えば、仕事用のパソコンを用意してもいいですし、[仮想デスクトップ](https://note.com/workhack20/n/n858da42b1259)で画面を分ける方法もあります。 # Title: 「充填力」 集中したいなら充填する 過去記事では、集中には[スルー](https://note.com/workhack20/n/n6bacdd55ae49#fd1ce110-2e90-40d2-95f5-9c5a07d9eaeb)や[遮断](https://note.com/workhack20/n/nd244c1509c29)が重要だと書きましたが、もう一つあります。 それが **意識の充填** です。 ## 箱モデル 充填の概念を理解していただくためには、 **意識を箱としてとらえる** 、という考え方を使います。 ### 意識は箱 何かに意識を向けると、箱の中身にそれが入ります。まだ余裕がある場合は、他にも入れる(つまり他にも意識を向ける)ことができます。 ### 箱の中が空いていると不快になる ここからが肝心ですが、 **箱の中が空いていると不快になります** 。 人は **空いている分は詰めたくなる** ものと考えてください。一種の欲求、あるいはもっと原始的な生理的反応であり、これに抗うのは難しいと考えてください。不快を感じるレベルで強制的に発動するものです(ものだと考えてください)。 以下のように、不快な状態だと集中が阻害されます: * あれやこれを入れたり出したりと忙しなくする(気が散っている)から → **疲れます** * 些細な刺激やコンテンツにすぐ飛びついて反応してしまうから → **疲れます** * 箱に入れやすいコンテンツを入れようとしてしまうから → **本来入れるべき(集中するべき)ものが入らなくなります** * スマホ中毒はまさにこれです ### 空きを埋める(充填する) 空いていると集中が阻害されます、なら空けずに何かを詰め込めばいいのです。これを **充填** と呼びます。意識という箱に詰めるわけですね。 以前、以下記事で「負荷をかける」と表現しましたが、同じことを言っています。 ## 箱は人それぞれ ### 大きい人と小さい人 箱の大きさは人それぞれです。 箱が小さい人は、特段充填をしなくても「別に普通に集中できますけど」で済みます。 しかし、箱が大きい人は、たとえば今やるべき仕事だけではスッカスカなので集中できません。いろんなものを詰め込んで充填しなければなりません。 ### 箱の大きさは推し量れる 後述しますが、ながら作業をしたり、部屋が汚かったり、あるいは賑やかな場所に出かけたりペットを飼ったりする人は、おそらく箱が大きい人達です。充填の必要性を感覚的に理解しているからこそ、そういうものに手が伸びます。 逆に箱が小さい人は、そういうものには一切手が伸びないか、伸びるにしても仕事中は必ず切り離します。たとえば仕事中にペットが乱入してくるといったことは絶対に許しません。この手のタイプはリモートよりも出社を好んだりします。 と、箱の違いによって、その人の行動原理をある程度推し量ることができます。 **容易に想像できると思いますが、両者は相容れません** 。 ### 意識の多様性 仕事術2.0としては、この箱も多様性の一つとして捉えたいと考えています。大きい人も、小さい人も、どちらもあり方の違いにすぎず、どちらにも配慮したいのです。 **意識の多様性(Consciousness Diversity)** と呼びます。 大きい人しか考慮しないと、小さい人はまともに集中できません。すでに箱が満杯なのに、他にもいろいろな刺激があって鬱陶しいからです。小さい人は「片付けねば」という意識が働きます。その必要がない大きい人とは衝突しがちです。私生活でよくある光景ではないでしょうか。 逆に、小さい人しか考慮しないと、大きい人もやはり集中できません。加えて浮きます。箱が全然満たされないので、あれこれ満たそうとして暴れがちになるからです。これはじっとしていられないとか、言動が不真面目といった形で表れます。社会不適合の烙印をおされがちです。 ## 充填の仕方 理屈はこれくらいにして、充填のやり方に入りましょう。大まかに3つに分けられます。 ### 受動的 * 何らかの「場」を利用します * 単純な例だと、自宅ではなく喫茶店に出かけることがこれにあたります * 場に行くだけで充填できる分、どれだけ充填できるかは融通がきかないので微調整できません * ちょうど充填しきれる場が見つかるかどうか、そこに通い続けられるかどうかがポイントです ### 反応的 * アットランダムに注意を促してくる何かを利用します * ≒生物です * たとえば家族、友人(特に高頻度・長時間一緒に過ごす仲)、ペットなど * 「場」よりは融通が利きますが、相手は生物なのであまり制御ができません * 深い集中や長時間の集中を行う人には不向きです ### 能動的 * 意識を向けることのできる、何らかの対象を用意して利用します * たとえば「ながら」はこれです * 動画やテレビを見ながら、通話しながら、ゲームしながらなど * またマルチタスク(複数のタスクを行ったり来たりしながら処理する)もここ相当します * 非常に融通が利きますが、受動や反応と違って向こうからやってはこないので怠けがちです * 当然ながら怠けると充填されず、集中もしづらくなるので、集中できる機会自体が減ります * 自分なりのコンテンツやルーティンを辛抱強く探す必要があります * が、これは難しいので、受動や反応に頼る人が多いです # Title: 集中するための3つのアプローチ ~遮断と充填と無視~ 集中するためのやり方や考え方は様々ですが、仕事術2.0は端的に3つに整理しました。 ## 1: 遮断 集中を阻害するものを遮断するというアプローチです。 インプットを遮断します。 スティミュライ(音や光といった刺激)を遮断します。 ## 2: 充填 意識を「箱」にたとえて、箱が空いていると不快になると考えます。人には、空いているものは詰めたくなる(意識を向けたくなる)性質があると考えます。 ですので、空いていると何かしら詰めようとしてしまうので集中できません。これを防ぐには、箱の空きを詰めておけば良いのです。充填と呼びます。 ## 3: 無視 スルー力の話です。 カジュアルには「スルー力」、本格的には「瞑想」「マインドフルネス」といった言い方をしますが、どれも本質は同じで、気が散りそうな刺激や雑念や誘惑が来ても、その度に即座に叩き落とします。何度でも、何度でもです。 # Title: 課題がないと動けない人たちと、その特効薬「デサルトリー」 [課題(課されたお題)](https://note.com/workhack20/n/n8aa9767ce872)がないと動けない人は多いです。 その背景と、その人達を動かすのに必要な概念を整理します。 ## 課題がないと動けない人が多い理由 理由として背景を整理します。 * 立場や役割といった帽子を被っており、これらの最中は「私」を出さないから * 例: 公人、軍人 * 仕事とは課題に応えることである、というメンタルモデルを持っているから * ヒエラルキー的な組織パラダイムの影響です * [調和を重んじ、周囲の様子をうかがい、対立を回避する文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)だから * 日本では顕著、というより世界屈指です * 「目標とその進捗」を効率的に求めるメンタルモデルに支配されているから * 資本主義、成長主義、ゲームなどによる影響です 一言で言えばモード、メンタルモデル、文化の3つが複合的に絡まり合って、課題がないと動けないあり方に染まっています。 ## 課題がなくても動くためには 新しい考え方をインストールする必要があります。それがデサルトリーと呼ばれるものです。 ### デサルトリー **デサルトリー(Desultory)** とは、課題が無くてもテキトーに動くことを指します。具体的な行動はもちろん、言葉を発したり書いたりすることも含みます。 原義としては「とりとめのない」「漠然とした」「支離滅裂な」といった意味です。 ### デサルトリーが含まないもの 一言で表現するなら「テキトー」なのですが、これだけだと理解しづらいので例を挙げます。 * 脈絡がない * 根拠がない * 意思がない * 意味がない * 価値やメリットがない * 目標に紐づいていない etc このようなことを軽率に出すことがデサルトリーです。 ### ラフとの違い 課題の有無が違います。 課題が無いときや見えないときに、雑にやるのがデサルトリーです。課題があるときや見えるときに、雑にやるのがラフです。 一般的に「いいかげん」「テキトー」といった言葉として「ラフ」が使われますが、ラフも課題があることが前提です。何らかのお題があって、それを何とかすることをテキトーにやるのがラフです。 ラフとデサルトリーは違います。 **ラフな人でも、課題がないと動けません** 。 課題無しでも動くためには、課題がないときにテキトーに動くという考え方――デサルトリーが必要なのです。 ## メリット Ans: VUCAな時代において、融通を利かせたりQoLを上げたりすることができます。 私たちは想像以上に課題にとらわれています。負荷が高いのはもちろん、正解がない状況では身動きが取れません。 こういうときは、課題がない中でも動けばいいのですが、これは現代の価値観では(あまりに発想がなくて)難しいことです。ここにメスを入れるために、仕事術2.0ではこの度デサルトリーという概念を開発しました。 これであなたも、今日から、課題がなくても動けるようになるはずです。少なくとも動くために必要な考え方は理解できたかと思います。 ## 試したいならデサルトリータイムを デサルトリーの概念を試したいなら、専用の時間を確保するとよいでしょう。 **デサルトリータイム** を紹介します。 30分でも、1時間も構わないので、まとまった時間を確保した上で、自由に考え事をしましょう。書きながら行うと捗ると思います。 何を考えるのか、ふくらませるのかは自由です。テキトーです。正解なんてないですし、求めないでください。それがデサルトリーです。深く考えず、思いつくままに、気が向くままに、あるいはそれさえもなしに、テキトーにやります。 途中で「これを深堀りしたい」というものが見つかったら、そこに集中しても構いません。もちろん、途中でやめて、またテキトーにやってもいいです。正解はありません。テキトーにやりましょう。 ※上手い表現がなくて申し訳ないのですが、現状最も合っている表現は「テキトー」だと思います ひとりでやってもいいですし、Miroなどを使って複数人で付箋を書き散らすこともできます。 最も重要なのは、このデサルトリータイムをあえて確保する勇気です。テキトーに過ごす時間をわざわざ確保するわけですが、ここにも理由や見返りなんて求めてはいけません。 **デサルトリータイムもデサルトリーに確保しましょう** 。 ## (類似の概念) エクスプロラトリ。 当サイトでは元々「エクスプロラトリ(Exploratory, 探索)」を使っていました。が、これはまだまだ通じづらく、この前段としてデサルトリーが必要だと思います。 発想法。 アイデアや気になることを出して広げて、それを上手くまとめていくという営みの必要性は増しています。ジャンルとして「発想法」としてあちこちで利活用が進んでいますが、この発想でも、まさにデサルトリーが要ります。 お題が設定されたアイデア出しなら問題ないのですが、お題すらない状態で出していく場面もあるからです。このようなときは、デサルトリーに(つまりテキトーに)出していかないと始まりません。 当サイトでは、発想法まわりは「フリー仕事術」として整理しています。 コミュニケーション1.0。 実はコミュニケーションのメンタルモデルも、デサルトリーを想定していません。私たちは常に特定の誰かを想定してコミュニケーションしているはずです。 これは原始的なメンタルモデルで、1.0と名付けています。 一方で、1.0だけだと非同期コミュニケーションなど、現代的な働き方はカバーできません。特定の誰かを **想定しない** 、2.0のメンタルモデルが必要ですが、ここでもデサルトリーは役に立ちます。 # Title: ティール組織的な報酬のあり方 ~給与格差もないし意識すらしない~ ティール組織の実現にあたって最大のハードルとなるのが報酬です。なんちゃってティールだと「従業員自身が決める」やり方が取られがちですが、不十分です。 どうするかというと、 **フラットサラリー(Flat Salary)** を使います。 ## ティールで採用すること ### 1: 給与格差をなくす 社長だろうと事務職だろうと、給与格差をなくします。芸能や配信の演者とマネージャーなども同様です。 格差どころか差をなくして、全従業員一律の給料にします。これを **フラットサラリー** と呼びます。 ### 2: 給与的なインセンティブをなくす 頑張った分だけ給与が増える、といったこともなくします。また、なんちゃってティールにありがちな「報酬は自分たちで決める」もやりません。 そういうことにエネルギーを費やすのは、社内政治と同レベルの「くだらないこと」です。 仕事に必要なことは経費で処理します。たとえば外交が多い社長は、給料を高くするのではなく経費として必要な交通費・接待費その他自己投資の分を使います。その他、お金が欲しい人は各自副業なり社内副業なりをします。 ### 3: 給与と経費はオープンにします 社員は誰でも全員の給与と経費を見ることができます。 メリットは2つあります。まず特定期間の経費をビューとして切り取ることができるので、ナレッジになります。これを **ナレッジとしての支出(Spend As A Knowledge)** と呼びます。 ※当然ながらこのようなビューを搭載したシステムが必要です。なければ自製します。 たとえば「社長として~~のイベントに対応するために、この期間でこれだけの経費をかけた」という情報を取り出すことができます。これは一種のナレッジです。 もう一つのメリットは、いつでも誰でも見れるので、悪さや腐敗の抑止力になることです。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 社長と事務職が同じ給料なのはおかしいのでは? Ans: いいえ * 役割に貴賤はありませんし、稼いだ金額に応じて給料も増やすべきだ的な古典的な成果主義も採用しません * もし「給料に見合わない役割がある」のなら、解体しましょう * たとえば「清掃スタッフ」はおそらく見合わないでしょう * アウトソースするか、持ち回りでやります * ※ * 清掃スタッフでも見合う可能性はあります。要するに社員全員が「一人分の給料を払える価値のある役割」だと思えればいいのです。おそらく何らかの付加価値は必要でしょう * アウトソースは推奨しません。アウトソースされた人材はティールを理解していないので、組織全体の調和を乱す可能性が高いです。やるにしても、区分をしっかり設計した上で、割り切って使うようにします ### Q: フラットサラリーの額はいくらくらいが良いか? Ans: 組織の利益にもよりますが、2024年現在の日本における目安を挙げてみます。 * 400万円: 少ない * [ファミリーエンゲージメント](https://note.com/workhack20/n/n0013a371c674)を確保しないと「生活が苦しい」可能性がありますし、都内では苦しいです * 600万円: 標準的 * 贅沢な暮らしに慣れているか、生活力が皆無か、子どもが多いとか教育熱心とかいったことがなければ、通常は適応できる額です * 800万円: 高水準 * ティールとして目指したいラインです * ここを許容できない者はティールには向いていません 問題なく還元できるなら、高いに越したことはありません。1000万円以上も可能でしょう。 しかし、あまり高くしすぎるとスケール(ティールのまま組織を拡大する)しづらくなります。全従業員に同じ水準を適用できなくなって結局格差が生じるか、あるいはアウトソースが増えて組織の品質が落ちてしまいます。 ### Q: フラットサラリー以上の収入を得たい場合はどうする? Ans: 大前提として、高収入を得ることはティール組織の主目的で **あるべきではない** です。 その上で、オプションとして用意します。例を挙げます。 * 1: 仕事に関する自己投資を含めて、なるべく経費で処理します * 2: メンバーを増やしすぎないようにします * メンバーが多いとそれだけ各人の額は下がります * 継続的に[プロトコル](https://note.com/workhack20/n/n059dc3642458)に従わない不良社員は容赦なく追放してください(逆を言えば解雇に厳しい日本でもこれを行える程度にプロトコルその他仕組みをつくりこんでおく必要があります) * 3: 副業を認めます * 社外副業 * 社内副業(インナーソーシング) * 社内で仕事と報酬のやりとりを可能にします * クラウドソーシングの社内版です * ただし資本主義の発生を防ぐために、仕事とは直接関係がないネタ(たとえばエンタメや生活のサポート)を扱います。 **仕事と関係するネタは、そもそも報酬なしでもやりとりするべき** です * 4: 生活に関するナレッジを共有、スタンスを啓蒙します * ナレッジとしては資産運用、節約、その他ライフスタイルやライフハックなど * スタンスとしては **キャンサー(癌となる生き方)** を定義した上で、プロトコルに組み込みます * たとえば年収3000万円の生活を夢見ていて、昇進してそうなりたいという人は、ティールには合いません * このようなスタンスは「自分本位な生活に寄りすぎている」と捉えます、実際ティールでも足を引っ張ります、このような人材はキャンサーとして扱い * あるいは、そういう生活がしたいのなら、この組織以外の場所で満たすようにします(副業や転職) * もちろん、副業のノウハウもナレッジとして共有していけるとベストです * 「もっとお金欲しいのでいったん転職するが、落ち着いたので出戻り」もアリです プロトコルは当サイトの用語だと思います。下記記事を見てください。 ### Q: フラットサラリーなのに給与をオープンにする意味はあるのか? Ans: あります。抑止力になります。 給与がオープンになっていると、何らかの小細工などで増やした人がいてもすぐにわかるからです。値が増えていたらわかりますし、見えないよう細工しようとしても、やはり不審なのでわかります。 ### Q: やはり社長など一部の役割は給料が高い方が何かと都合がいいのではないか? Ans: いいえ 給与格差は一つでも認めると割れ窓的に拡大しますので、フラットサマリーは死守してください 。 **「フラットサマリーでも成立するには」** を考えてください 。社長だからこそ率先してください。 というより、社長が率先して行わないとティール組織は難しいと思います。あるいは「ティール組織なのになぜか社長だけ給料が高い理由」をちゃんと従業員全員に納得できるように説明できるなら構いませんが、難しいと思います。 で、まだまだ資本主義に毒されている現代では、ここを行える社長はそうはいません。今現在ティールを謳っている、あるいは自称している会社の99%はなんちゃってティールです。 ※もちろんそれでもただの階層パラダイムよりははるかに先進的かつ意義があります。ただ、それでも資本主義的なあり方に抗えないことにはティールには届きません。手強いのです。 ### Q: そこまでフラットサラリーにこだわる理由は?ただの意固地や逆張りではないのか? Ans: いいえ * すでに述べたとおり、資本主義的なあり方を薄めたいのです * 出世競争、給与の設計や一喜一憂といったことに貴重なエネルギーを割きたくないのです * 別の言い方をすると、ゼロサムではなくプラスサムへのパラダイムシフトを目指しています * 資本主義による競争は現代を押し上げていますが、この「モチベーションドライバー」として新たな要素を持ち出したいのです * すなわち **Peaceへの共感と渇望** です * したがってサラリーを意識から排除することは当然のことです Peaceも当サイトも用語だと思います。以下記事を見てください。 # Title: ニーズ、シーズ、ブリーズ ビジネスにおける提案は、この順番で解決していかねば受けてもらえません。 どこまで示せば認めてもらえるかは相手と状況次第ですが、少なくとも「企画」と呼ばれるものはブリーズまで求められることが多いでしょう。 ## 1: ニーズ(Needs) 必要性。 「あ、それ金払ってでもほしい!」が存在するのか。 潜在的な場合もあります。この場合、高確率でニーズを引き出せたら「潜在的にある」とみなせます。 ## 2: シーズ(Seeds) 実現性。 概念や手段として世の中に存在していることと、それを自分達が実際に手にして使えることの二点が必要です。 ## 3: ブリーズ(Breeds) 持続性。 採算は取れるのか。 ニーズとシーズがあっても「赤字になりました」や「1年目は上手く行きますけどその後は赤字にしかなりません」では通常、意味がないので許容されません。 ※Breedとはブリーダーなどのブリードです。 # Title: 提案時に使えるフレームワーク 3要素としてまとめたものを整理します。 ## Why, What, How 5W1Hだと覚えづらいですが、この3つであれば覚えやすく使いやすいと思います。 ゴールデン・サークル理論を思い浮かべるかもしれませんが、伝える順番というよりもこの3要素を全部漏れなく伝える(すでに知っているなら不要)ことが重要です。 ## Trust、Tradition、Theory Trust(信頼があること)やTradition(伝統を破らないこと)がないことには、そもそも相手にされません。 Theory(提案の中身)をつくって伝える以前に、信頼の構築と伝統の把握および踏襲が大前提となります。 ## 必要性と実現性と持続性 ニーズとシーズはよく聞くと思いますが、もう一つ持続性(ブリーズ)があります。 また、ニーズとシーズは「あれば良い」程度に捉えられガチですが、実質必須となることも多いです。 ## (こういう面倒を避けたいなら?) * ここまでいちいち伝えないといけないのか? * やってみないとわからなくない? etc 提案という営みにうんざりしている人も多いと思いますが、何らかの事情あるいは単に無能ゆえにアップデートできていない人が多いので仕方がありません。このようなあり方を当サイトでは提案1.0と呼んでいます。 1.0から逃れるためには、新しいパラダイムが必要です。 提案2.0と呼んでいます。 あるいは「変革」を使うこともできます。 # Title: 短時間正社員は悪くないが、もっと上手くできる 仕事術2.0の力をお見せするために、短時間正社員という制度を改善してみます。 ## 前提: 短時間正社員とは **1週間の所定労働時間が短い正社員** を指します。 通常、正社員は週40時間(8時間 x 平日5日)が標準的ですが、これよりも短くて済みます。たとえば週16時間で済みます。 ただし、給料はその分少なくなります。上記の場合、もらえる給料は40%(2/5)です。 > 時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等 [「短時間正社員制度」導入・運用支援マニュアル](https://part- tanjikan.mhlw.go.jp/tayou/tanjikan/download/pdf/sogo_manual_r02.pdf)より その他詳しくは厚生労働省の資料を見てください。 [「短時間正社員制度」導入・運用支援マニュアル](https://part- tanjikan.mhlw.go.jp/tayou/tanjikan/download/pdf/sogo_manual_r02.pdf) ## 改善案 続いて、この制度を改善してみましょう。 ### 最初にサマリー やりたいことに応じて、3つに分けます。 * 1: メンバーシップの緩和 * 非正規雇用者を正社員に引き上げるための制度 * 2: 時短勤務の多様性 * 正社員本人が自らの労働時間を減らすための制度 * 3: 勤務2.0 * 社員の生産性と満足度を上げるために、そもそも労働時間の下限や標準を定めない制度 次に、各々について詳しく見ていきます。 ### 1: メンバーシップの緩和 Ans: 非正規雇用者を正社員に引き上げるための制度です。 短時間で働いている非正規雇用者に、正社員の給与水準、福利厚生、権限を付与できるようにします。 **短時間正社員制度が本来想定しているのは非正規雇用者だけのはずです。** しかし、今の制度だと、正社員の労働時間を減らす手段としても使えてしまいます。 **会社に有利であり、望ましくありません** 。 ※マニュアル上は「短時間正社員になるための手続きについては、個々の社員に適用される就業規則に規定しておくことが必要」とありますが、早い話、「会社の都合で正社員を短時間正社員にすることができる」的な規定を書くだけで、どうとでもできてしまいます。 公平に運用されるなら良いですが、そうはならないでしょう。たとえば、高給をもらっている上層部を短時間正社員にする(もちろん給料は減ります)ことはしないでしょう。不公平ですね。 もちろん、こんなことで会社が発展するはずもなく、お金のために無駄にだらだら勤務する人、会議する人が増えるだけです。 と、制度として存在していると悪用されやすいので、短時間正社員制度は、本来の狙いに沿うなら「非正規雇用者のみ」を対象にするべきです。 ### 2: 時短勤務の多様性 Ans: 正社員本人が自らの労働時間を減らすための制度です。 すでに時短やフレックスやリモートなど、働き方の選択肢は色々ありますが、どれも典型的な多様性のみを想定しがちです。 融通が利かないと言わざるをえません。ですので、有給のように理由なしに誰でも使えるようにしたいところです。 というと「それで仕事が成立するわけがない」とツッコミが飛んできますが、違います。それでも成立するように考える、努力することが大事なのです。 時代はVUCARDです。 経営や仕事の都合で、社員を搾取していい理由にはならないのです。アップデートしてください。「時短勤務を誰でも使えるようにする」は、とっかかりとしてはわかりやすいと思います。 ### 3: 勤務2.0 Ans: 社員の生産性と満足度を上げるために、そもそも労働時間の下限や標準を定めない制度です。 労働時間に強い制約をかけている今の勤務のあり方を **勤務1.0** と呼びます。現代にはふさわしくありません。どう変えられるかという点を以下に整理します。 * 週40時間(8時間 x 5日)は標準的だが、法的にはそんな制約はない * 標準労働時間が存在すると、同調の強い日本では事実上の強要になりがち → 制度から「標準」の存在をなくす必要がある * そもそも下限(所定労働時間)の設定自体が非本質的 → なくしてしまえばいい * とはいえ長時間働くリスクはモニタリングしないといけないので、従来の制度は引き続き使う + 他にも必要ならモニタリングする つまり上限だけはモニタリングしておいて、労働時間で縛ること自体をやめてしまえば良いということです。 これを実現するための考え方が **ASPモデル** です。 ASPモデルでは、あり方を以下の3種類に分けます。 * 勤務 * 1: アクティブ(Active) * 2: スタンバイ(Standby) * 3: プライベート(Private) プライベートとは従来どおり業務時間外を指すだけなので割愛します。重要なのは **勤務というあり方をアクティブとスタンバイの二つに分けている** ことです。 * アクティブとは、コアタイムみたいなもので必要なら時間や場所も縛るものです * スタンバイとは、時間や場所を縛られず好き勝手に過ごすもの、しかし仕事は適宜行うものです アクティブは必要に応じて設定すればよく、基本はスタンバイで良済ませます。スタンバイであっても「勤務」であることの管理は必要ですので、スタンバイを出入りするたびに勤務開始・終了の報告をします。 つまり、従来の勤務1.0は、以下に等しいものでした。 * アクティブが100% * なので出社や会議などの拘束も事実上強制される * 加えて週40時間など、謎の所定労働時間がある これがASPモデルに基づく **勤務2.0** では、以下のようになります。 * アクティブとスタンバイが使える * どう使うかは各自あるいはチームで調整する * 所定労働時間はない 必要に応じてアクティブになればよく、それ以外の仕事はスタンバイで各自済ませればいいのです。 例: 「今日は10:00~20:00くらいでスタンバイする」としたら、これは10~20時で勤務はしてるけど、過ごし方は自由という意味です。中抜けや休憩も自由ですし、スタンバイの人に対して会議に参加させるといったこともできません。 ただし、勤務中ではありますので、基本的には仕事はしますし、コミュニケーションにも反応します。 また、勤務報告もしているので勤務時間のデータも取れます。つまり **スタンバイによる勤務時間も勤務時間としてカウント** します。これなら法的な制約との齟齬も出ません。 もしスタンバイでは済まない、密な拘束が必要であれば、それはその分だけアクティブにすればいいのです。 従来の勤務1.0は、たとえるなら **毎日なぜか8時間の長時間会議に参加させられている** ようなものです。 このおかしさを緩和するために、勤務2.0では「拘束されている」状態をアクティブと名付けて分離し、これよりも軽い「勤務はしているけど自由な状態」も併せて設けることで、融通を利かせます。 ## おわりに 当サイトでは、VUCAで多様な現代にも通用する、様々な仕事術(仕事のやり方や考え方)を開発しています。 その一例として、短時間正社員制度の改善案を開発してみました。いかがでしょうか。 無論、法や人事の目線で専門的に作り上げたわけではないので粗いですが、それでもやり方・考え方次第でどうとでもできることがおわかりいただけたかと思います。また、この案をたたき台にして議論することもできます。すでに、皆さんも言いたいことが思い浮かんでいるのではないでしょうか。 これが仕事術の力です。 もしよろしければ、当サイトを読み漁ってみてください。現代で悩む皆様の力になれるでしょう。 # Title: トラッカライズ(トラッカー化) **トラッカライズ(Trackerize)** とは、リストを習慣トラッカー化することを指します。 習慣トラッカーとは、項目ごとに「1日1回どこかで実施したら」チェックを入れるというもので、ラジオ体操カードなどがわかりやすいです。日課リストと呼ぶこともできます。 つまりトラッカライズとは、何らかのリストを日課リスト化することとも言えます。 ## 例 リストは何でもいいですが、ここでは書籍『人を動かす』からつくった、以下のリストを使います。 ### 1: リスト 「人に好かれる六原則」のリスト * 1 誠実な関心を寄せる * 2 笑顔を忘れない * 3 名前を覚える * 4 聞き手にまわる * 5 関心のありかを見抜く * 6 心からほめる ### 2: トラッカライズ 次にこれをトラッカライズします。 といっても、 **コピーして手元に持っておくだけ** です。デジタルでもアナログでも構いませんが、数秒以内に閲覧できるようにはしておきたいです。 また、加工もできるようにしたいです。というのも、今日できたものにはチェックをつけたいからです。 ### 3: 運用する トラッカライズしたら、あとは運用するだけです。 といっても、適当な頻度で読み返したり意識したりしながら、できそうなことがあればやります。やったものはチェックをつけていきます。 以下はメモ帳を使ってトラッカライズしたもので、1と4にチェック(絵文字の✅)がついていますね。 ![](/assets/n3bc2921cf15b_1733393064-A0X4ZByntSjxLI1a8zmsrvGi.png)メモ帳による例。 これだけです。 ## メリット Ans: マイペースに行動につなげることができます。 原理的には習慣トラッカーをつくっているだけですが、ストイックに習慣として処理する必要なぞありません。しかし、トラッカーとして **手元に持ってはいるので、目につきやすく、何もないよりは行動しやすい** です。 別に「一度も行動できなかった……」でも構いませんし、一度でも何か行動できたことがあれば御の字です。あまり成果にはこだわらず、 **今日は何をトラッカライズして使おうかなーくらいの軽い気持ちで楽しんでください** 。それだけでも違います。 何もしないと一週間、一ヶ月経っても何も変わりませんが、トラッカライズしたトラッカーを日々眺めたり意識したりしていると、そのうち行動が生まれます。意識高い人からはいいかげんに見えるかもしれませんが、それでもいいのです。マイペースに楽しむことが大事です。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 1日に1回トラッカライズすればいいのか? Ans: それがわかりやすくて良いですが、それ以外でも構いません。 たとえば出社前に一回、昼休憩中に一回と一日二回行うこともできます。自由です。 ### Q: リストではなくイラストや図をトラッカライズすることもできるか? Ans: できます。 たとえば、ちょうど今日発見したので例にしますが、[たーし|時間革命仕事術](https://x.com/tashi2616)さんが取り上げているようなイラストをトラッカライズしても便利でしょう。 「今日は時間を有効活用したい!」とするなら、同氏の「時間泥棒20選」をトラッカライズして、 それを適当に読み返しつつ、意識しつつ、こなせたことがあるならチェックをつけます。20個が多いなら、半分消して10個にしたり、さらに絞って4個だけにしてみてもいいでしょう。 同氏に限らず、このようなイラスト形式のリスト(のような情報)は多いので、気に入ったものは保存してトラッカライズしましょう。書籍もおすすめです。 ### Q: トラッカライズは習慣化のカテゴリーか? Ans: いいえ。 トラッカライズは、どちらかと言えば「今後心がけていきたいこと」をこなすために、あえてトラッカーをつくって意識する・読み返します。そうすればたぶん行動できる率が上がるよね、というものです。 習慣化というほど厳格で苦しいものではありません。 ### Q: トラッカライズで習慣化につなげることはできるか? Ans: できなくはないです。 トラッカライズは、下記記事で述べているマトリックスで言えば、パターン4の「投資」に相当します。 「投資」は、「日課」や「習慣」よりもはるかに楽なものですが、ここから日課へ、さらに習慣へと引き上げていく必要があります。詳しくは上記記事を見てください。 ここでもかんたんに書いておくと、結局習慣という厳しい営みを避けることはできませんが、その前段として、まずはトラッカライズで雑に過ごすことで「行動できたという実績」をつくることはできます。実績ができたら、増やしていきます。そうして慣れとモチベーションを上げていって、日課や習慣に近づけていきます。それだけです。近道はありません。 日課の部分でつまづくなら、以下も参考にしてください。 ### Q: 使い終えたトラッカーはどのように管理すればいいか? Ans: 捨てて良いと思います。 記録や振り返りが好きな人は保存してもいいですが、保存その他管理に時間を使うのがもったいないので、問題なければ捨ててください。 ### Q: デジタルとアナログ、どちらが良いか? Ans: どちらでも良いです。やりやすい方にしましょう。 一般的なメリデメを挙げておきます: * デジタルは準備や加工はしやすいが、モニタ越しであり情報量が少ないので定着しづらい * アナログは手指で触れるなど情報量が多いので記憶面では有利だし楽しくやりやすいが、 **人に見られやすい** 太字が意外と盲点で、トラッカライズしたいことには「他の人には見られたくないこと」も多いので、可能ならデジタルにするか、アナログでも人に見られないという安心感の確保はしっかり行いましょう。 ※たとえば上述した「時間泥棒20選」は、職場では使いづらいと思います。周囲を時間泥棒扱いしていることがバレてしまいます。 ### Q: どんなリストをトラッカライズすると便利か? Ans: 人次第、状況次第なので何とも言えませんが、一般論をまとめます。 まずリストとしては、主に以下があります。 * タスクリスト * やったら終わりなものを並べたもの * 心がけリスト * 心がけ(適切なときに適切な振る舞いをする)を並べたもの * ポジティブ(やれ)とネガティブ(やるな)があります * チェックリスト * 特定の場面において、集中的に一つずつ点検する項目を並べたもの * メモリスト * メモ(あとで読んで何らかの処理をするもの)を並べたもの * インプットリスト * インプット(あとで読むものや見るもの)を並べたもの さて、トラッカライズに適しているのはタスクと心がけです。 **やったかどうかがはっきりとわかるものが良い** のです。逆に、メモやインプットは、どこまでやれば「やった」と言えるかが曖昧なので、やりづらいと思います。 また、チェックリストは、その特定の場面になったときに見る(見続ける)ものなので、雑に過ごしたいトラッカライズの用途では不向きです。 # Title: 人事評価にランダムを取り入れる 人事評価の透明性を高めるために、ランダムを取り入れたら良いという話をします。 ## 人事評価は本質的に正当ではない 「同格2人のうち、昇進できるのは1人」という状況を考えます。 このとき、正当な評価と言えるケースはただ一つで、 **議論も含めて全部公開された場合だけ** です。透明性があると表現します。 逆に透明性がない場合、いかなる説明をしようと正当とは言えません。作文ができてしまうからです。正当だと示すには見せる他はありません。 しかし現状、このように人事評価を公開する事例はほぼ無いのです。 **人事評価は本質的に正当ではない** と言えます。実際、評価制度が整っていたとしても、内部的には評価者による恣意的な(たとえば好き嫌いによる)判断がされています。やましいことはわかっているので、当然公開などできません。 正当だと示したいなら、単に公開すればいいだけです。それをしないのは、やましいからです。それを **「人事情報はプライバシーだから」などと正当化します** 。 ## 透明な人事評価も難しい では、透明性のある人事評価を行えるかというと、難しいです。 理由は明確で、 **組織とは政治的な営みになりがちだから** です。 透明な人事評価を行いたければ、単にシステム――ポイント(アウトプットと言い換えても良い)とその評価方法を設計、定義して、計測するだけです。かんたんではありませんが、煩雑の域を出ません。 それでも難しいのは、以下の問題があるからです。 * 1: 意思決定の問題 * こういうアウトプットを評価対象にします、という意思決定を行える人がいない * 2: 感情の問題 * 人間関係や好き嫌いといった感情を切り離して冷静に、しかし人間が現実的についてこれるというバランスのシステムをつくれる人がいない * 3: 怠惰の問題 * 煩雑なシステムをつくったとして、それに従い続けられる人がいない 1: は経営者など意思決定に慣れた人でないとできません。一般人やマネージャー程度では難しいでしょう。 2: は、発達障害者など特性が特殊な人か、プログラマーや数学者など自然言語以外の営みに費やしてきた人でないとできません。 3: は、[自律と生活のマトリックス](https://note.com/workhack20/n/n2c5d5faade06)でいうアスリートタイプでないとできません。 さて、煩雑なポイント設計と運用をするには、1 ~ 3 のすべてが必要ですが、これを全部満たせる人間が一体どれだけいるでしょうか。 現代でも透明な人事評価が生まれていないくらいには珍しいことなのです。というより、そんな人間は正直いないと思います。この 3 つはどれも異なる才能であり、同時に3つの才能を持つのも、後天的に揃えるのも非現実的だからです。資本主義含む現代のパラダイムが変化しない限りは無理だと思います。 ## 透明と不透明の中間を取る 人事評価は正当ではない(不透明である)、しかし正当にする(透明にする)のも難しい―― ならば間を取りましょう。 一つのアイデアとしてランダムがあります。要は **「じゃんけんで決める」** です。 ### やり方 ランダムで決まる手段なら何でも良いですが、以下をすべて満たす必要があります。 * Live * ライブで行うこと * 評価対象者と評価者以外の関係者も参加できます * Random * 不正の介在しない、ランダムなツールを使うこと * Archive * アーカイブ(録画)を公開すること ランダムを満たせるなら、あみだくじなど原始的なものでも構いません。むしろ原始的な方がいいでしょう。デジタルだとかえって小細工がしやすいので、結局物理的に細工できない仕掛けで行うのが確実です。宝くじのやり方がわかりやすいと思います。 ※宝くじを例に出しましたが、透明性があるとは言えないケースがあることに注意してください。たとえば[宝くじ公式サイトのバックナンバー](https://www.takarakuji- dream.jp/takarakuji/backnumber)にてナンバーズの抽選会を見ることができますが、これはただの機械であり、透明的ではありません。 ![](/assets/n85d1fa179bad_1733473889-Bq7oFDCtuSUhLnevHbzRVOYy.png)ナンバーズの抽選。 ### メリット ある程度の正当性を示せます。 不透明な従来の評価でもなく、現時点では理想論でしかない透明な評価でもなく、その間を取れます。要は「じゃんけんで決める」ようなものですから、透明性(つまりは正当性)はずっと確保しやすいです。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 正当性=透明性としているが、違うのではないか? Ans: 厳密にはそのとおりで、違います。 正当性とは正しさの度合いであり、人事評価においては以下の2つに対して言えます。 * 1: 評価の体系(システム) * 2: 実際にシステムのとおりに運営されているか 1: については本記事では言及しません。 2: の正当性を示すためには実質的に透明にするしかない、が本記事の主張です。やましさがないなら見せればいいだけだからです。 しかし、そのためにはプライバシーへの配慮なども必要ですから、見せても困らないようなシステムをつくらねばならないのです。これが現実的に難しいことは、すでに(3つの才能も交えて)述べたとおりです。 ### Q: 同格二人に椅子一つ、以外にランダムを適用できる場面はあるか? Ans: あります。 正当性を示したい場合で、かつシステムに則って選べない場合はいつでも適用できます。 # Title: インクリメンタルな情報共有と1-3-10-P-D法 情報共有を持続的に行うための一つのコツは、「情報」の見せ方を工夫すること――もっと言えば **読み手にとって負担の少ない見せ方にする** ことです。 一つの考え方とフレームワークを示します。 ## インクリメンタルな情報共有 **インクリメンタルな情報共有** とは、段階的(Incremental)に情報量を増やしていくという情報共有手法です。 * Before * 文書を丸々ドンッと出して「これを見て」 * After * 文書を1行で要約した情報を伝える * さらに気になる方向けに、5行で要約した情報も書いておく * より詳細が気になる方向けに、文書へのリンクも書いておく Afterはインクリメンタルとなっています。1行 → 5行 → 文書と3段階で広げていけます。 ## メリット Ans: 情報共有に費やすリソース(時間や認知資源)を減らせます。 私たちは、以下の固定観念を持っています。 * 読み手として: * 情報はなるべく全員が一次情報(元の情報)を読むべきだ * 書き手として: * 情報はなるべくたくさん詰め込んでおくべきだ しかし、現代の情報社会を見てもわかるとおり、全部をちゃんと読むのは非現実的です。実際、読み手も書き手もちゃんとしている割には、それだけでは済んでいません。結局個別にフォローしたりしてますよね。 ならば、もっと減らせば良いのです。情報を出す側は「かんたんに理解できるサマリー」と「全部読める詳細」の両方を用意してお膳立てをして、読む側もちゃんと読むつもりがないのならサマリー部分だけ読めばいいと割り切ります。 双方が受け入れると、ようやく情報共有に必要なリソースを減らせます。必要ならフォローなどすればいいです(従来と変わりません )。 つまり、どうせフォローが必要になるんだから、だったら普段の情報共有はもっと肩の力を抜けばいいわけです。これを実現するために使えるものの一つが、インクリメンタルな情報共有です。 ## 1-3-10-P-D法 インクリメンタルな情報共有を行うためのフレームワークで、以下の5段階を使います。 * 1行でまとめる * 3行でまとめる * 10行でまとめる * 1ページ、A4 1枚、スライド1枚程度でまとめる * PはPageです * 文書 * DはDocumentです 元々は文書だけか、文書と通知(社内ウェブサイトのページとしてつくるなど)などが多いと思います。そうではなく、 **1-3-10のようなかんたんなサマリーもつくって、そこだけ読んでも良い** ようにしましょうというものです。 情報の書き手は、5段階をできるだけ用意します。特に1行、3行などの端的なまとめは一つは用意したいです。 情報の読み手は、1段階目から必要なところまでを読みます。あるいは、 **書き手がつくれていない段階があったら、つくっても構いません** 。 まとめかたは主観的で構いません。 書き手自身が、あるいは特定の段階をつくりたい読み手自身が主観でまとめればいいです。 まとめる際の形式も自由です。 組織やチームの好みがあるなら、尊重した方がいいでしょう。 一般的には、1-3-10の3段階までは箇条書きが良いです。4段階目のページは、見出しアリの構造的な文章(ブログ記事のような)か、情報量の多いスライドか、あるいはわかりやすさと見やすさを重視したビジュアルなイラスト(グラレコなどがわかりやすい)になるでしょう。 まとめるのに時間を費やしてはいけません。 **まとめかたに問題がある場合は読み手と議論すればいい** だけです。たたき台をつくるくらいのつもりで、さっさとつくってしまいましょう。 ## (関連記事) 軽い情報であれば「文書」はやりすぎです、しかしチャットといったものも扱いづらいです。適切な塩梅は「ページ」なのです――ということを解説しています。 # Title: INPO(Incident Program Office) **INPO(Incident Program Office)** とは、インシデントの管理や対処を専任する部門を指します。 OSPOはオープンソース(Open Source)に関する諸々を全社レベルで担う部門ですが、INPOはそのインシデント版です。 ## 役割 ### 1: Escalation Hub 全従業員は、INPOに頼るだけ・INPOからの連携に応えるだけ済むようになります。 * 単一の窓口 * INPOは24時間365日動いています * **インシデント発生時、全従業員はいつでも誰でも常に最初にINPOにエスカレーションをします** * 連携 * INPOは全従業員・全組織の情報にもアクセスできます * エスカレされた情報に基づいて、必要に応じて関係者と連携を取ります * プロフェッショナル * INPOのスタッフは全員がインシデントに関するプロです * **インシデント・エンジニア(Incident Engineer)** と呼びます ### 2: Incident As A Knowledge インシデント情報を集約、ナレッジ化して利活用できるようにします。 * ナレッジ化 * 集まったインシデント情報はナレッジ化します * ポストモーテムの作成、ページ化、ネットワーク構造化 etc * インサイト * 情報およびナレッジはデータとして貯めて、分析します * 生成AIも使います * 新しい知見やアイデア(インサイト)を得ることができます * オープンな利活用 * これらは全社的なデータベースおよびサービスとして公開され、全従業員が誰でもいつでも見れます * またコメントも書き込めるので議論もできます ### 3: No Task Force 大げさな対策をなくします。 * タスクフォースの廃止 * インシデント発生時は、都度タスクフォース(対策委員会など臨時的な体制)が立ち上がって莫大なリソースを要します * 全社員への強制的かつ一方的な啓蒙・教育も実施されがちで、やはり莫大なリソースを要します、しかし効果は計測されず自己満足で終わります * タスクフォースは前時代的であり、廃止します * ナレッジの公開とテストの実施 * タスクフォースのかわりに、ナレッジを全社的に公開して見てもらいます * インシデントに絡む対象者にはオンラインテストを課して、解いてもらいます * テストは誰でも利用できますが、対象者には必須で課します * 対策はこれだけで済ませます * 説明責任対策 * 外部向けの説明としては、それなりの体裁が求められますので、これに効率的に対処する活動も行います * 計測体系の開発や実施など研究的な活動を含むことがあります ## メリット * 従業員各々の負担を減らせます * ❌従業員は煩雑なルールに従って慣れない対応をする or 覚えてないのでその場で調べながら忙しなく連携する * ⭕従業員はINPOに任せる * インシデント対応のスピードと品質が上がります * 専用の専門的な人材が担当するので、スピーディーです * 現場もINPOに任せる&連携するだけなので、強いプレッシャーや煩雑な手続きから解放されます * 率直な情報共有を行えるようになります * 従業員のインシデント・リテラシーを向上できます * ナレッジがあるので読んでもらえますし、必要なら読ませることもできます * また共通言語としても使えるので、インシデントやセキュリティに関するコミュニケーションの質も上がります * 新しいビジネスや組織改善に繋げられます * 集約したインシデント情報からインサイトを引き出しますが、ここには新しいアイデアが含まれています ## Q&A よくある議論をQ&A形式でまとめます。 ### Q: インシデントの定義は? Ans: 全社レベルでの調査・報告・対策を要する事件・事故。 実際に損害が起きたものも、ヒヤリハットも、どちらも扱います。IT業界で使われるニュアンスと同義だと思っていただいて構いません。 細かい定義というよりも、程度でお考えください。 **全社的にやるレベルかどうか** が目安です。 ### Q: インシデント管理をまともにしていない組織が、いきなりINPOを立ち上げることはできるか? Ans: できないことはないです。 ただし従業員のリテラシーが十分ではないので、相当啓蒙には力を入れねばなりません。 OSPOと同様とお考えください。オープンソースを全く使っていない組織で、いきなりOSPOを立ち上げるようなものです。できないことはないですが、啓蒙に力を入れることになるでしょう。 INPO自体は、以下の想定を解決するための新しい概念として開発しています。 * 従業員1000人以上の大企業で、 * すでにしっかりとしたインシデント管理ができているが、 * マニュアル的・属人的だったり、タスクフォースが大げさだったり、その他大企業病的な形骸化も見られていて、上手くいっていない # Title: 今週の記事 2024/12/01 今週は 17 記事書きました。 当サイト開始から 12 週が経ちました。 [←前 2024/11/24](https://note.com/workhack20/n/n1ebcd4f0eb5b) [2024/12/08 次→](https://note.com/workhack20/n/necaf3e416572) # Title: エンゲージメント、ビロンギング、サティスファクショナビリティ ![](/assets/n4c90212ca782_6fba68e431f1ccec9f5790511b74f6e0.png) **コミットメント・ドライバー(Commitment Driver)** とは、仕事や組織への傾倒・献身を支える要素を指します。 エンゲージメントはよく知られています。最近では D&I → DE&I → DEIBの形でビロンギングも台頭してきました。実は、もう一つあります。 本記事では、3つのドライバーを整理します。 ## 指向性の違い それぞれがどこを向いているかを示します。 ![](/assets/n4c90212ca782_1733645125-iYLAzpuhNRjyoH5T8l1Kv0nc.png)各ドライバーの指向性の違い。 ## 1: エンゲージメント(Engagement) * 興味関心 * 「黙っていても能動的にやりたくなる」 * 意識が **外** に向いている エンゲージメントをどう捉えるかは人・組織それぞれですが、当サイトでは以下の 3 種類を唱えています。 * ファミリー。家族のために。 * ミッション。関心のために。関心を満たすために主体性(とそれを恒常的に発揮できること)が大事 * ビジョン。神のために。崇拝 詳しくは以下記事を見てください。 ## 2: ビロンギング(Belonging) * 居心地 * 「”ただの手段" 以上にかけがえのない位置づけになる」 * 失いたくない、ずっと維持したいと表現されることもある * 意識が **居場所** に向いている ビロンギング(Belonging)は帰属意識と訳され、ダイバーシティ潮流の第 4 概念として台頭してきています。 * 1: Diversity/多様性 * 広い入口 * 「普通」以外の特徴や属性を持つ人を迎え入れること * あるいは、それを経て様々な人が集まっている状態のこと * 2: Inclusion/包括性 * 全員ヒアリング * 個人ひとりひとりを尊重すること、全員の意見を聞くこと * ティール組織本の組織パラダイムでいう「グリーン」 * 3: Equity/公平性 * 一律的な水準 * ベースラインを設定して、全員これを満たすように是正すること * 仮に最低給与保証を40万/月にするとして、現21万の人と36万の人がいた場合、それぞれ+19、+4する * +4よりも+19が明らかに多くて不平等だ、などとは言わない * 4: Belonging/帰属意識 * 居心地 * 心理的安全性、[精神的安全性](https://note.com/workhack20/n/n2513648a6964)、存在価値がすべて満たされていること * 言いたいことを言い合うことができ、メンタルを脅かす異分子もおらず、自分の存在価値もわかっているため劣等や卑下もないという快適な状態 ビロンギングをどう捉えるかもまだ定まっていないと思いますが、当サイトでは上述のように捉えています。 ## 3: サティスファクショナビリティ(Satisfactionability) * 実現 * 「何としてでも実現・達成したい」 * 意識が **内(自分)** に向いている 用語としては当サイトが提唱するものとなりますが、概念的には目新しくありません。 サティスファクショナビリティとは、「何としてでも実現・達成したい」という **渇望(Satisfaction)** が満たせる度合いを指します。長いので **s17y** と略します。 > s(ここが17文字あります)y。 余談ですが、このような略し方をヌメロニムと呼びます。 s17yを満たすには以下が必要です。 * ソロでプレイできること * ソロでまかなえない部分は道具と仕組みでカバーできること 昨今のビジネスはチームワークの時代と言えますが、これと相反します。そんなことよりも渇望が大事であり、そのためには全面的に自分自身で何とかできることが最適解です。 とはいえ、ひとりでは限界があるので、道具や仕組みとして効率的にまかないます。 **チームだとかいったものには興味がありません** 。 s17yは権力者に限ったドライバーではありません。コミットメント・ドライバーとして挙げているからには、より一般的なドライバーとしても使うことを想定しています。 そのためには組織のあり方にも一工夫必要ですが、以下記事で解説します。 # Title: サティスファクショナブルな組織を支える4つの役割 ![](/assets/nbc0b9d087f72_4b9ca57535b8bf74d30f510146f56563.png) サティスファクショナビリティ(Satisfactionability, s17y)については以下記事を見てください。 本記事では、s17yをメインにしたい組織において、どのような役割を据えればいいかという話をします。 ## PGTM サティスファクショナブルな組織を上手くやるためのやり方はまだ定まっていませんが、一つ提示します。 それが **PGTM** です。これはPlayer、Guide、Tool、Maintainerから取ったものです。サティスファクショナブルな人材(Player)を中心に置いたようなあり方になります。 各役割の関係を図で示します。 ![](/assets/nbc0b9d087f72_1733649611-7i3MjtO2AEfbh1FCkm0PXvrK.png)プレイヤーが中心。 以下、各役割の詳細を見ていきます。 ### 1: プレイヤー(Player) サティスファクショナブルな人材を指します。経営者のように優秀で我が強く、組織における中心的な役割となります。 働きアリの法則では有能中庸無能が 2 : 6 : 2 に分かれますが、プレイヤーは有能の2割に該当する人材です。つまり、主戦力を有能2割だけにします。残りの8割はプレイヤーではないとし、サポート役に回ってもらうことになります。 ### 2: ガイド(Guide) プレイヤーとサポーターを繋ぐ人材です。従来の用語で言えばマネージャーが当てはまると思います。 **芸能における演者とマネージャー** は、プレイヤーとガイドとしてわかりやすいと思います。プレイヤーの本質的な仕事以外はすべてガイドが支えます。典型的なイメージでは私生活レベルでこきつかわれていたりしますよね。 PGTMでも似ていますが、一方的・搾取的ではありません。たとえば[ティール組織](https://note.com/workhack20/n/n059dc3642458)的に運用することも可能ですし、演者とガイドとで[給与格差がない](https://note.com/workhack20/n/n4b6c228b720a)こともありえます。 また、プレイヤー以外の人材はプレイヤーのサポートにフルコミットするためサポートの質は高いです。かつ、プレイヤー側もその高品質なサポートの上手く使うための努力は **かなり** 必要です。この間に入って、上手くやるのがガイドです。そういう意味では、プロアスリートにつくコーチやトレーナーのような存在とも言えます。 ### 3: ツール(Tool) プレイヤー以外の人材はすべてサポートであり、 **プレイヤーから見ると道具(ツール)とみなします** 。 道具ですので、チームだとか対等だとかいった茶番はありません――というと非人道的にも聞こえますが、ツールという役割は各々の機能に特化します。 別の言い方をすると、昨今ではチームワークが主流ですが、 **それよりも「プレイヤーのワンマン的なあり方」のほうが優れている** よねと考えます。プレイヤー以外の人材はすべてツール(道具)であり、プレイヤーから上手く使われるための存在です。 プレイヤーが直接使うこともできますが、多くの場合、上手く制御できないので通常はガイドが間に入ります。 ### 4: メンテナー(Maintainer) プレイヤーが必要に応じて頼るのはツールとシステム(仕組み)です。 **システム** とは人手を介さず機能するもので、ハードウェアとソフトウェア、特にソフトウェアによる何らかの仕組みに相当します。ソフトウェアの重要性は言うまでもなく、すでに[DX](https://note.com/workhack20/n/n7aeae764c4a5)として叫ばれています。 さて、メンテナーとはシステムをメンテナンスする人を指します。改善したり新しいものをつくったりすることもあります。 メンテナーは、基本的にプレイヤーとは直接は接しません。プレイヤーとしてもシステムには関心がないことが多いです。そもそもプレイヤーにシステムを意識させないくらい自然に、縁の下として貢献できるのがベストです。 ## (関連記事) PGTMのように、役割を Worker と Supporter に分ける潮流は他にもあります。以下はWorker、Helper、Adviserの三者に分けたモデルです。 # Title: NERG(Neuro ERG) ~ニューロ従業員リソースグループ~ **NERG(Neuro ERG)** とは、ニューロ・ダイバーシティに関するERG、つまりは発達障害者による従業員リソースグループを指します。 ## 背景 ERGは「典型的な多様性」にフォーカスしています。 しかし、上記記事でも述べたとおり、多様性はそれだけではありません。NERGは好例として機能します。 ## メリット Ans: ニューロ・ダイバーシティを推進できることです。 ERGは既存の概念であるため、ある程度わかりやすいです。また社内に実際に組織やコミュニティが出来上がりますし、DEIBの一環として組み込まれるため、影響をもたらしやすくなります。 ## 主な活動 ### 発達障害の高解像度な啓蒙 一般論的な理解だけでは十分な配慮や尊重を行えないことが知られています。組織のドメインと絡めた理解が必要です。 NERGでは組織内の発達障害者を集めるので、これが行えます。情報発信のみならず、双方向的・非同期的な議論も含みます。 ### 変革活動 発達障害者は、健常者よりもある面では優れた特性を持ちます。特に[変革](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E5%A4%89%E9%9D%A9&context=note&mode=search)との相性が良いです。 変革は一般人にはできません。文化やルールといった既存の理にとらわれすぎてしまうためです。発達障害者の特性はこれをスルーしやすいため、変革に向いています。しかし、両者を混在させると、どちらかが負けてしまいます。 ですので後者の、スルーできる人材を集めたチームが必要なのです。現在、このようなチームをつくるという視座を持ち行動に移せる猛者は皆無に等しいですが、NERGにより実現しやすくなります。 ### スペシャルエージェント 多様な意見をスピーディーに出してくれる存在は有用です。最近ではChatGPTを始めとする生成AIが知られていますが、発達障害者もこのカテゴリーとして使うことができます。コミュニケーション面での遠慮の無さ(ASD)や、発想の多動性(ADHD)は、裏を返せば、普段は出ない意見をスピーディーに出せるということもできるのです。 このようなものを **スペシャルエージェント(Specia Agent)** と呼びます。たとえばNERGをスペシャルエージェント部門として、全社員に利活用できるようにします。 # Title: ワークスタイル・ファースト ワークスタイル・ダイバーシティ(下記記事)の推進にあたって、重要となるメンタルモデルを指します。 ## 従来 * Lv1 * 働き方は単一的で全員従わねばならなかった * Lv2 * 仕事があって、それを支える働き方があって、ここにマッチする人を受け入れる * しない人は矯正するか追放する * Lv3 * チームがあって、チーム内で通用する働き方があって、ここにマッチする人を受け入れる * しない人は矯正するか追放する 現時点の働き方のリテラシーは、この程度です。 **仕事やチームありきとなっています** 。 ## ワークスタイル・ファーストでは * Lv4 * 個人の働き方があって、これをチームや仕事で尊重してもらう * その働き方でも通用するよう仕事術を学ぶ・取り入れる・そのための投資をする 仕事やチームではなく個人ありきにするというパラダイムシフトです。 ## 仕事術の重要性 そして、これを支えるためには **仕事術(仕事のやり方・考え方)が必要です。** たとえば「夜型なんで 13:00 から勤務開始したいです」という人がいたとして、この人と一緒に仕事を行うにはどうすればいいでしょう?それ相応の仕事術が必要です。たとえば、 * 時間が合わないでしょうから、迂闊に会議には頼れません。[非同期コミュニケーション](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%9C%9F%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&context=note&mode=search)や[情報共有](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%85%B1%E6%9C%89&context=note&mode=search)ができねばなりません * 労働基準法の深夜労働などにより深夜帯の労働はしづらいですから、安易に深夜帯まで働いてしまうのをガードせねばなりません。当人の自主性に任せますか?会社として管理しますか?管理する場合、マイクロマネジメントにならないよう、でも違反にならないような塩梅にするためにはどうしますか? * そもそも「個人の働き方を尊重することの価値」をどうやって説明しますか?当サイトでは[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)を挙げています etc 仕事術を知っている(あるいはつくれる)なら融通を利かせられます。逆に、現代ではまだまだ知られていないから、Lv2 や Lv3 しかできていません。 # Title: Four Loads ~従業員に課される4つの負荷~ 従業員は多くの負荷(Load)に課されていると思います。これらを自覚することで、改善につなげることができます。4つにまとめてみました。 ## Four Loads **Four Loads** とは、従業員に課される4つの負荷を示します。マトリックスとして分類できます。 ![](/assets/nfc7400bc95e4_1733775251-DCBQ7dkjGcIpqAyUtJX9M5mP.png)Four Loads。 軸について説明します。 * 軸1 * オンデマンドとは、必要に応じて課すことです * エンドレスとは、習慣やルールなど恒久的に課すことです * 軸2 * 定量的か、定性的かで分けています ### 1: ワークロード(Workload) 作業量。ノルマ。 このティッシュを100個配れ、というのはワークロードとして100個分課されていると言えます。 オンデマンドで、定量的なものです。たとえば繁忙期だったり欠員があったりすると増えますし、大きなイベント等により集客がいつもより少ない場合は減るでしょう。 ### 2: ペイロード(Payload) 消費量。リソース。 payloadの原意は「対価を得られる荷物」です。ここでは主に時間を指します。時間は通常、資産と捉えられていて、厳密に管理されがちです。たとえば勤務時間には所定労働時間という下限がありますが、これは事実上下限分の消費を課されています。 エンドレスで、定量的です。たとえば所定労働時間の概念は、従業員である限りは課されます。 ### 3: ゴールロード(Goalload) 目標量。ミッション。 目標、ミッション、KPIなど色々な言い方がありますが、課されたゴールを指します。作業量や消費量といった負荷とは関係なしに、とにかくこのゴールを達成せよ、と求めます。[やり方(特に期限)](https://note.com/workhack20/n/ne649f626b863)も設定されることも多いです。 オンデマンドで、定性的なものです。まず達成したらおわりなのでオンデマンドです。次に、ゴールは本質的に定性的なものです。ビジネスでは定量が好まれて、無理やり定量化されがちですが、だからといってその数字を満たしさえすれば完璧かというと、そんなことはありません。ゴールには色んな人の意思が絡んでおり、定量化された表面だけではカバーしきれていません。 ### 4: バリューロード(Valueload) 価値(観)量。バリュー。 バリュー、ビジョン、カルチャーなどこれも色んな言い方がありますが、課された価値観を指します。昨今はカルチャーマッチ(企業文化を言語化して明示的にすり合わせる)もよく見られますが、言語化されているとは限りません。そもそも日本はハイコンテクストであり、言語化をきらう場面も少なくありません。 ※よくある例をいくつか挙げます――「何?そこまで言わないと理解できないと思ってるわけ?」、「何勝手なこと言ってるのそんな単純じゃないよ」、「新人のくせに何言ってんの」 エンドレスで、定性的なものです。ペイロードと同様、従業員である限りは課され続けます。 ## 応用 Four Loadsとして言語化されたものを捉えたら、次は応用ができます。いくつか例を出します。 ### ペイロードをなくす 重要なのは日々の作業量(ワークロード)の消化と、中長期的なミッション(ゴールロード)の達成のはずです。なぜか我々は時間などリソースの消費量(ペイロード)に制約をかけがちですが、本質的ではありません。 では、思い切ってなくしてみてはどうでしょうか。ワークロードやゴールロードを消化できるなら、[別に1日8時間や週40時間でなくても良い](https://note.com/workhack20/n/na183692c4d75)ではないですか。 こんなこともわからない人は多いですが、今回 Four Loads という形ではっきりと存在を示したので、これでもう少し対処しやすくなるはずです。ペイロードに手を付ければいい、とわかりやすいからです。 ただし、長時間労働による搾取につながるので、使いすぎをモニタリングする必要はあります。 ### ゴールロードを定量的なものと捉える ゴールロードを、ワークロードに帰着させることができます。 定性的な目標を抱え続けるのは精神的に負荷が高いですが、定量的なワークロードであれば、単にその数字を満たすだけ、そのためにブレイクダウンするだけなので(大変かもしれませんが)精神的負荷は抑えられます。 メンタルが強い人は、このテクニックをよく使っています。定性的なうんぬんの理解を放棄して「数字を達成すればいいんだろ?」「くだらねえしよくわからねえけどこれ達成したら次につながるからさっさとやるか」としているわけです。 ### バリューロードを定量化する 定性的な事柄は従いづらく、実際バリューロードを飼いならしてもらうのはどの企業も手を焼いているでしょう。なので実質的には「できる人」と出会えるまでの運ゲーと課しがちで、出会ったときに逃さない or 合わなかった人材を確実に断るために採用コストをかけがちです。それくらいしかできないのです。 では、バリューロードを定量化するのは、どうでしょう。 バリューとして「Be Open(オープンであれ)」を掲げるとします。これを定量化すると、たとえば以下のようになります。 * 1: 日々の作業、検討、メモは「全従業員に見える」ノート上で行う。全従業員、週報と月報はここで書かねばならない * 2: 半期ごとの業績評価に関する各種打ち合わせは、全従業員に見える形でアーカイブと文字起こしを公開する。全従業員は最低限、半期ごとに「上長との分」「メンバーとの分」で計2つ以上公開しなければならない これらの作業を日々こなすことで、Be Openとはどういうことかを実感できるでしょう。単にバリューロードとして課すよりも、よほど定着しやすいはずです。 採用時においても、このような作業がありますよと提示することで、合わない人を端的に遠ざけることができます。 # Title: ストックアウトプット **ストックアウトプット(Stock Output)** とは、[情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc)として望ましいアウトプットの仕方、特にそのような仕方で出したアウトプット自体を指します。 ## CROFT要件 ストックアウトプットが満たす要件を5つにまとめたものを **CROFT(クロフト)** と呼びます。 ### 1: Collaborative * プレーンテキストであり検索とコピペができる * コメントとフィードバックを受け付けている * 「メアドやDMで教えて」はオプションとしてはアリだが、これだけでは満たさない ### 2: Readable * ブラウザだけで読める * パーマリンク(固有のURL)があり、ブクマができる・ダイレクトにアクセスできる * 構造化されている(ただの散文や日記ではなく記事や文書のクオリティがある) 文書よりもページが良いということです。以下記事も見てください。 ### 3: Open * いつでも誰でも見ることができる オープンの概念は難解です。ITエンジニアやインターネットユーザーは馴染み深いものですが、そうではない方には縁のないものです。当サイトでも解説記事を書いているので、ぜひ押さえてください。 ### 4: Free * 利用に制限がない * 有料でない、会員登録やログインを要求しない、広告がない etc ### 5: Transparent * 個人によるアウトプットであり個人名が出ている or 組織単位の場合でも個人名が出ている * 投稿日時や更新日時を記録されており、読者も閲覧できる * 手動でメンテするか自動で記載している * 履歴が記録されており、読者も閲覧できる 発信者の透明性を指します。 特に **発信者が具体的な個人に紐づいていること** が重要です。でないとコラボレーションが生まれづらいからです。情報共有は組織内の各個人が自由に行えるべきであり、個人でない発信単位はこれを阻害します。 ## Q&A ### Q: 文書などCROFTでは表現しづらい、まとまった情報もCROFTであるべきか? Ans: いいえ。 ただし、最低限文書へのリンクはCROFTで示したいです。可能なら要約版もつくりたいところです。 この考え方をさらに突き詰めると、インクリメンタル(次第に情報量を増やす)となります。 # Title: ファーストペンギン、ファーストチック、ファーストシャコ、ファーストキリン ![](/assets/n8d26c0c20c09_cf74776d8dad2275fda62da9b4b56f88.png) 最初に行動する人を **ファーストアニマル** と呼びます。 よく知られているのはファーストペンギンでしょう。最初に飛び込む、つまりは挑戦する人という意味です。 他にもあるので整理します。 ## 1: 🐧最初に挑戦する人 * ファーストペンギン * ペンギンの群れは、最初の一羽が飛んだ後に皆続いていくことから 最初に行動を始める人を指します。 近年ホットな生成AIのトピックで言えば、o1 pro(ChatGPT Proプラン)を使ってみる人はこれにあたると思います。ちなみに月200ドルです。 ※余談ですが、この記事で取り上げる名前もo1 proにつくってもらいました。豊富な知識から素早く比喩する力は、もはや人間では敵いませんし、結果の品質や読みやすさも従来モデル(4oやo1)より高いと感じます――これも、ファーストペンギンとして試してみたことで得られた成果でしょう。 月200ドル、つまりは3万円と非常に高価で、しかもサブスクなわけですが、社会人であれば、出そうと思えば出せるはずです。ダウングレードも可能なので一ヶ月だけ使ってみる等もできます。 o1 proの恩恵は、実際に使った人(ペンギンになった人)だけがわかります。そして、実際に使った人がいると、他にも使い始める人が出てくる率が上がります。この前進感がファーストペンギンの最大の価値です。 ## 2: 🐤最初に無知なことを言う人 * ファーストチック * Chick(ひな鳥)は、無力なのにうるさいことから 新しい活動や議論が始まったとき、通常は様子見するかファシリテーターに従います。そうではなく、たとえ無知であっても、とりあえず発言する人がファーストチックです。 いわばたたき台として機能するので有益です。ファーストチックは、場の初動を上げるのに優れています。最初の発言はとても勇気がいることですし、何を言えばいいかわからない人も多いからです。いるのと、いないのとでは全然違います。下手をすれば場の成立や形骸化にかかわるインパクトさえあります。 また、チックを疎ましがる人材(無能な人材や非協力的な人材)をあぶり出すのにも役立ちます。チックに乗らない人は、そもそもその気がないのです。この場合、チック本人は場所を変えるべきでしょう。あるいは、乗れないほどの問題がある場合は、まずそちらを解決するのが先です。 ## 3: 🦐最初に提唱する人 * ファーストシャコ * シャコは強力なパンチが有名です。その衝撃波で周囲の注目を集める、周囲を撫でるニュアンスを込めています [変革](https://note.com/workhack20/n/nbd4417a09adf)の重要性は認識され始めていますが、その第一歩は「革新的な考え」を出すことです。無論、その時点では本当に革新的かどうかなんてわからないので、突拍子のない思いつきや奇抜な発想に見えます。 それでも、勇気を出して出す(そしてちゃんと相手にして議論する)ことができたら、その先の議論や検討に進めます。純粋に刺激となって、長い目で見て誰かの何かを少し変えるかもしれません。化学反応ですね。 ## 4: 🦒最初に逃げる人 * ファーストキリン * 警戒心の緩みにより突然走り出すことがあることから 私たちのリソースは有限なので意思決定が必要です。主に「何を選ぶか」が見られがちですが、「何を選ばないか」「捨てるか」も同等以上に大事です。 しかし、サンクコストといった心理もありますし、日本だと[宗教観もある](https://note.com/workhack20/n/nb5bd9433ebc1)ので難しいです。だからこそ、最初に捨てる行動を取れる人がいると強いです。 ※「捨てる」だと抽象的すぎるので、ここでは「逃げる」を扱いたいと思います。 逃げるとは「いきなり100%放棄する」 **わけではない** ことに注意してください。距離を置く、あるいは置けるよう備えておくと表現するのが正しいです。距離を置いた上で様子見することもできます。思っている以上に融通が利くのです。 ファーストキリンがいると、距離を置くという選択肢を取りやすくなって戦略の幅が広がります。 # Title: ランダムなタイミングで叫ぶモード **ランダムスクリームモード(Random Scream Mode, RSM)** とは、ランダムなタイミングで特定のワードやフレーズを叫ぶモードを指します。 ## 概要 登場要素は以下のとおり。 * スクリーマー * 叫ぶ仕組みのこと * モード * 有効と無効があり、有効のときはランダムなタイミングで叫ぶ、というもの * 設定 * 何を叫ぶか、ランダムなタイミングとは具体的にどのようなものかといった設定のこと つまり、必要に応じてモードを有効にすることで、ランダムな叫びが発動します。 ## メリット Ans: 場にいる人への啓蒙・周知が行えます。 どうしても忘れたくないイベントや心がけを、一時的に、皆に思い知らせるために使うことができます。 ### 例 「誠実であれ」というビジョンを掲げているとして、忙しいときにおざなりになりがちだとして、まさに忙しい局面が来たとします。 このようなときにRSMを有効にして、「誠実であれ!」とランダムに叫んでもらうようにすると、場にいる人達はビジョンを思い出せます。 タイミングもランダムであり、脈絡がないのである種のおかしさを生み、冷静さも取り戻しやすいでしょう。 ## 実現方法 工作やプログラミングにより、RSMの仕組みをつくってください。その際、放送の形でオフィス全域に流すことはおすすめしません。放送越しだと効果が半減します。フロアが広い場合は、RSMが複数個配置されていて、それぞれが異なるタイミングで叫ぶといったこともありえます。 ### RSMは人が演じてもいいか Ans: 推奨しません。 もし人材に余裕があって、かつやりたい人がいるのなら、その人にRSMを演じてもらっても良いでしょう。この場合、うろつくことができるので融通が利きます。 しかし、これをやりたがる人はそうはいないので、基本的にこの選択肢は無いと考えてください。新人や手の空いた人に無理やり任せるのはハラスメントです。 また、RSMは機械的にランダムに叫ぶところに価値があるので、ついでに雑談するといった余計なことは絶対にしないでください。雑談自体の価値を否定するものではありませんが、RSMとしては不要です。 ――のように、人でRSMを再現するのは想像以上に難しいので、やはり無いと考えてください。 # Title: 分離エンジニアリング(Separation Engineering) 混ざっているもの A+B を、A と B に分けて扱うことを **分離** と呼びます。 この考え方は汎用的に使えますが、かんたんに使えるものではないため理屈を整備した方が良いでしょう。 **分離エンジニアリング(Separation Engineering)** と名付けます。 ## 何のために分離するのか? Ans: 融通と集中のためです。 * マルチタスクをシングルタスクにすることで、パフォーマンスを得る * 扱いが異なるものを分けることで、 * 適切な分担を推進する(あるいは不適材不適所の弊害を軽減する) * 悪い部分の影響を食い止める(隔離する) * 優先順位を切り分ける(高いものと低いものに分ける等) etc * 分けることができる → 部品として交換可能になる、で調整や拡張をしやすくする ## 分離と分類 ### 分類≠分離 分類やタグ付けなど **種類や性質の付与は分離ではありません** 。 たとえば以下は「通知」を割り込み、インボックス、情報の3つに分けていますが、これは分離ではありません。 また、「やること」と「やらないこと」を仕分けるなど、取捨選択の営みもよく思い浮かべますが、これも分離ではありません。あえて言うなら選別であり、分離の一種にすぎません。「やる」「やらない」の分類をしているだけです。 ### 分離の例 以下記事は、会議を会議 + 交流と捉えており、分けようとしています。これは分離の例です。 会議が長引きがちで、削減もしづらいのは、会議(議論や意思決定の営み)と交流が混ざっているからです。これを削減することは、交流もなくすことを意味します。コミュニケーションは大事ですし、多くの人が潜在的に依存しているものでもありますから、「ふざけるな」となってしまいます。 ですので、分けます。会議は会議用の時間を取り、交流は交流用の時間を取るのです。すると前者と後者は、個別に最適化しやすいでしょう。また、議論や意思決定に絡まない人は前者には参加しなくていいですし、交流しなくていい人も後者に参加せずに済みますので適材適所も進みます。 ### 図で示すと ![](/assets/n3db967d4c067_1733977639-I6V74kus8zvUPriTZXB0JcOj.png)分類。対象それぞれに何らかのラベルをつけます。![](/assets/n3db967d4c067_1733977666-LGS1nIUZBj5Y0KaFrHy3RxPq.png)分離。混ざっているもの2つを分けます。 ## (関連記事) ### 分離エンジニアリングの成果物 ### 分離エンジニアリングの理論 TODO: 記事を書いてリンク # Title: 分離エンジニアリングの成果物 分離エンジニアリングについては、以下記事を見てください。 本記事では、分離エンジニアリングの成果物を示します。当サイトがつくったものもあれば、すでに知られているものもあります。 ※随時更新 ## 会議と交流の分離 会議とは議論・意思決定・合意形成などを行うものです。 時間や体力といったリソースを費やす営みであり、改善の余地もニーズも大きいはずですが、実態としては進んでいません。なぜかというと、交流の要素も混ざっているからです。 会議を改善――特に減らそうとすることは、交流を減らすこと **も** 意味してしまうのです。ですので、会議用の時間と、交流用の時間を分けます。そうすると後者を損ねることなく前者をいじれます。 ## 仕事と働き方の分離 仕事と働き方はセットで語られがちです。なので、ある仕事を担当することになると、事実上特定の働き方が強要されてしまうことがよくあります。 これでは融通が利きませんし、その働き方が合わない人があぶれてしまいます。VUCARDな現代としての望ましくありません。 ここをクリアするために、仕事と働き方を分離します。そうすれば後者に選択の余地が生まれます。 ## グループタスクと個人タスクの分離 Outlookでは予定のみを扱うべきであり、個人タスクという「予定でないもの」を入れていると途端に、予定調整がしづらくなります。 この問題を解決するためには、グループタスクと個人タスクという分け方を意識すると良いです。 ## 機密情報の分離 情報から機密情報を分離します。情報共有を推進する上で必須となる考え方です。 これができないと「機密情報を含むため共有できません」などと融通の利かないあり方になってしまいます。 ## ビデオと雰囲気(インフォモスフィア)の分離 オンライン会議や配信では、ビデオというと「参加者」と「会場」をまとめて映しがちです。 そうではなく、ビデオで移す対象として「参加者の姿」「音声」「会場の様子」などに分かれていると考えます。特に重要なのが「様子」で、これを個別に扱うことでハイブリッド開催のデメリットを吸収できます。 記事ではインフォモスフィア(Information + Atmosphere)と名付けています。 ## チャットと通知の分離 通知を踏まえて何をするか、には様々なやり方があるはずですが、現状はチャットが通知も担っているため、≒チャット、となってしまっています。 この固定観念を打破するためには、チャットと通知を切り離して「通知のみを有したソフトウェア」というものを考えると良いでしょう。 ## 共有の分離(情報と感情と情緒の分離) 最も重要なのは情報の共有ですが、感情や情緒も混ざりがちです。そのせいで低い生産性や高い負荷に陥ってしまいます。 しかし人間なので感情や情緒は必要です。そこで、仕事としては情報共有に徹し、オプションとして適宜感情共有や情緒共有も注入する、というふうに分けて考えます。 ## リーダーと権限の分離 意外かもしれませんが、リーダーは権限を抱えるべきではありません。どう実行するかはフォロワーに任せるべきなのです。 権限も抱えて、強くガバナンスを利かせるあり方はマネージャーであってリーダーではないのです。 ## ケアとグルーミングの分離 グルーミング(交流)には、しばしば「コミュニケーション不足で不調になった人向けのケア」も混ざっています。 このケアをグルーミングから分離します。すると「ケアのための時間」ができますが、ケアが不要な人は参加しなくて済みます。 コミュニケーションはそれ自体が時間と場所を拘束する営みなので、なるべく全員参加は回避するべきです。 そのためには、コミュニケーションの目的を細かくした上で、単一目的の機会を開催するようにします。そうすると、目的に合わない人は参加しなくてもいいので、回避しやすくなります。前述の「会議と交流の分離」も、今回の分離も、まさにそのために分離しています。 # Title: 仕事と働き方の分離 仕事と働き方はセットで語られがちです。なので、ある仕事を担当することになると、事実上特定の働き方が強要されてしまうことがよくあります。 この現状をクリアして、より融通を利かせるためには分離の発想が必要です。 ## なぜクリアしたい? Ans: 融通が利きませんし、そもそも現代は働き方を押し付けていい段階ではないからです。 当サイトでは[働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)を啓蒙しています。また、その前段として、新しい価値観も一つ提唱しました。 ## どうやってクリアする? 仕事と働き方を分離します。 本来仕事と呼ばれるものは、実は、 > 仕事 = (仕事) + (その組織が想定する働き方A) にすぎません。実際は以下であるはずです。 > 仕事 = (仕事) + (ここは色々ありますよね) 向いている働き方は人それぞれですから、各自自分に合った働き方を選択できればいいのです。たとえば、以下のようになります。 > 🐶さんの仕事 = (仕事) + (働き方A) > 🐱さんの仕事 = (仕事) + (働き方B) こういった融通の利く考え方をするためには、仕事と働き方を分離せねばなりません。 ちゃんと書くなら、たとえば以下のようになるでしょう。 > Work = Task + Style 仕事(Work)と呼ばれるものには、実際にはやること(Task)と働き方(Style)があるということです。 そして、このように捉えることによって、両者は分離できます。たとえば Style の方を複数個つくって、人によって適切なものを使うといった融通の利かせ方ができます。 ## (関連記事) このような分離の考え方は便利なため、別途整備しました。 # Title: スーパーフォーカスタイム ~たった一つの事柄と向き合う~ **スーパーフォーカスタイム(Super Focus Time)** とは、紙面または画面いっぱいに一言を表示して、それを見ながら内省をするという時間です。 ## 概要 * [内省](https://note.com/workhack20/n/na77a9fef662c)の一種です * 一言は何でもいいですが、 * 言葉であること * 長さも一単語、数単語、短文以内であること * 時間は任意ですが、最低でも10分は集中します * タイマーをセットすると良いでしょう * [ポモドーロ・テクニック](https://note.com/workhack20/n/n175f18ea881e)も便利です ## メリット 書くのが苦手な人でも内省しやすいこと。 当サイトとしては[書く内省](https://note.com/workhack20/n/nac5fc8fb7036)をおすすめしていますが、書くことには向き不向き好き嫌いがあるので、当てはまらない人も多いです。 しかし、ただ考え事をするだけで行えるほど内省は甘くもありません。そんなとき、スーパーフォーカスタイムが役に立ちます。 ## Q&A ### Q: スーパーフォーカスタイム中に思いついたことがあったら、どうすればいい? Ans: ブラックボックスな入れ物に入れます。 まず目に見える手段でメモしてはいけません。思考がそちらに脱線するからです。脱線を許容する内省もありますが、 **スーパーフォーカスタイムは脱線を許さず、表示した一言と向き合い続けるもの** です。 しかし、思いついたことは価値があるものですから見逃すのももったいないです。 というわけで、目に見えない手段でメモします。たとえば: * 自分自身にメールを撃つ * [メモを送る用のフォームをつくる](https://note.com/workhack20/n/n76a690b18cb7) * 付箋に書いた後、その付箋をすぐに袋に入れる etc # Title: ブラックボックス・メモ ![](/assets/n76a690b18cb7_f072aa6bfa32bff0733125b0b5973643.png) メモは通常オープンです。何かを書いた後でも、その領域が表示され続けるので目に入ります。あるいは、閉じていても、すぐに開くことができます。これは **脱線を生じさせます** 。 脱線を生じさせないためのメモのやり方を示します。 ## ブラックボックス・メモ **ブラックボックス・メモ** とは、書いたものが見えなくなるというメモのあり方を指します。 例: * 1: 自分自身にメールを撃つ * 2: メモを送る用のフォームをつくって、そこに送る * 3: 付箋に書いた後、その付箋をすぐに袋に入れる * 4: **貯金箱** のような箱をつくって、付箋をそこに入れる 2 と 3 はブラックボックス・メモですね。見ようと思えば見れますが、ひと手間かかるはずです。3 については、4 の貯金箱の方がより強いです。 1 については、メールをすぐに見れないようにしておく必要があります。アプリ一つで開けて見れてしまうとか、通知も普通に来ちゃうとかだと、あまり効果がありません(書いたメモを手元に置いておくよりははるかにマシです)。 ## フォームによる実装例 デジタルの場合、Googleフォームなどフォームを使うのが手軽です。 ![](/assets/n76a690b18cb7_1734036725-HhLN1PuVAdR85DpWCSmwB3lr.png)こんな風に、段落(複数行テキスト)を一つだけ入れたフォームをつくります。 フォームのURLはブクマなどしておいて、すぐに呼び出せるようにしておきます。 ブラックボックス・メモを使いたいときは、フォームを開きます。 ![](/assets/n76a690b18cb7_1734036827-6FI354TmpHSDvJG0zEfjcKty.png)メモを打ち込んで、送信します。![](/assets/n76a690b18cb7_1734036846-US2EpA8iQ0eXvILNjhlOPdJR.png)「別の回答を送信」からまた送れます。 溜めたメモは、あとで処理しましょう。 処理したメモは消しましょう。でないと残り続けて収拾がつかなくなってしまいます。 ![](/assets/n76a690b18cb7_1734036895-pQ5SxBAuirDekIUaFHsR7tJW.png)メモは回答として見ることができる。 # Title: LINEヤフーの出社日設定から見る調和主義の手ごわさ LINEヤフーが2025年4月から出社日を設けるそうです。 開発部門などは月一ですが、それ以外は週一。それも「原則出社」と表現しています。 ## あのヤフーが出社日!? 前身ヤフー株式会社と言えば、大企業でありながらも働き方の面で優れていました。 1on1ブームはヤフーから始まったものですし、ニューロダイバーシティにも取り組んでいます([経産省レポート](https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/neurodiversity/neurodiversityreport2021.pdf))。 リモートワークについても、2020年10月に[無期限リモートワーク](https://www.j-cast.com/2020/09/29395412.html?p=all)に移行していますし、約2年後の2022年9月には居住地や交通費上限といった縛りを撤廃して、ハイブリッドワークの柔軟性を拡大しています。 それほどのパイオニアが、なぜ原則出社などと逆行してしまったのでしょうか。 ## Ans: 調和主義の存在でしょう おそらく調和主義によるものと思います。 この手の話でよくあるのは以下ですが、 * [減税のため](https://note.com/workhack20/n/n567c4080285c) * Amazonの例ですが、元AWS社員が「Amazon gets MASSIVE tax breaks from cities and states where they have offices.」とリークしていました * トップの独断 * イーロン・マスクがわかりやすいですが、欧米はトップが非常に強い意志決定権を持っており、かつ人気企業はいくらでも人が集まるため「従順な駒」が揃うような搾取的施策を適用しやすいです * たとえば「全員毎日出社」のようなこともできてしまいますし、それでも破綻しません。むしろ毎日出社できる信者を揃えられます 今回は割愛します。 ## 調和主義 **調和主義** とは調和性を重視するスタンスを指します。 調和性とは[ストレングスファインダーが扱う資質](https://www.gallup.com/cliftonstrengths/ja/253436/%E8%AA%BF%E5%92%8C%E6%80%A7-%E8%B3%87%E8%B3%AA.aspx)の一つで、衝突を嫌い、かつ一致を探ろうとする傾向です。 日本人に最も多い資質とされていますが、この資質をそれなりに持つ人は世界的に見てもそれなりにいます。 単純な話、衝突が好きな人なんてそうはいないですし、大して興味がないことや我慢すれば何とかなるものは衝突する方が面倒ですから妥協しがちです。こういったことを許さないのは「調和性資質が最下位近辺にある人」だけであり、全体で言えばマイノリティです。10人、いや20人に1人もいないでしょう。 ### 調和主義は単一のあり方を好む 問題の根源は、調和主義が単一のあり方を好むことです。 あり方が複数あると原理的に衝突が発生するので、一つにするしかありません。ルール、プロセス、ガイドラインなど理が一つになりがちなのもそのためです。 さて、これは働き方にも波及します。つまり **調和主義は単一的な働き方を好みます** 。 ### 出社に倒れる リモート vs 出社の構図があります。 単一に倒したい調和主義がどちらに倒すかと言えば、出社です。対面で非言語でコミュニケーションすることは原始的な欲求ですし、非言語が豊富だと衝突の解消もしやすいからです。 つまり調和主義者が多いと、出社が増えます。すでに述べたとおり、調和主義者はそれなりにいます。特に大企業にもなると、人材のよりすぐりは不可能(※1)ですから、調和主義者の割合も増えます。つまり **出社が増えるのは必然に近く、もはや現象とも呼べる** ものです。 ※1 階層的な組織パラダイムによる組織力学です。ある程度規模が大きくなると、どうしても「無知で怠惰な一般人」が混ざってきます。それがマジョリティとなってしまい、組織全体がマジョリティに引っ張られます。この現象を食い止めるには、[ティール組織](https://note.com/workhack20/n/n059dc3642458)など別のパラダイムが必要です。 加えて、意思決定権を握る経営層に限っても、やはり調和主義者はそれなりにいます。何なら、上に必要な資質が調和性となっているケースも少なくないと思います。[日本の文化としては致し方ない](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)ことです。 というわけで、大企業という規模を待たずに、出社に倒れることもよくあります。 あるいは、再編により経営層のメンツが変化して調和主義者の配分が増えることもあるでしょう。もしかしたら今回はこれかもしれませんね。 ### ハイブリッドワークは公平じゃない よくある反論として「そもそもハイブリッドワークじゃないか」があります。今回のLINEヤフーの例でも「言うて週に1回だけじゃないか」といった意見は頻出するでしょう。 違います。 **大前提として、ハイブリッドワークは公平ではありません** 。以下記事でも解説していますが、 「出社」を課されている以上は、それは出社ワークなのです。 リモートワークというからには、フルリモートでなくてはなりません。あるいは少なくとも上述のようにフレキシブルにするべきです。ハイブリッドワークで公平だと思っている人は、出社の価値観に毒されているので矯正してください。 ## 出社に倒れるのを防ぐには 以下の3つを心がけましょう。個人や少人数で組織全体を変えるのは不可能ですが、原理的にはこれらを心がけることで防げると思います。 ### 1: 調和主義による現象を理解する 何が起きているかを理解しないと何もできません。 ここまでで解説しました。 ### 2: 働き方の多様性を知る もう一つ、新しい考え方が必要です。 当サイトでは「働き方の多様性」を提唱しています。また、前段として、そもそも各々の働き方こそが最初にあるべきだよねという考え方も言語化しました。 時代[はVUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)です。VUCAであるだけでなく、RemoteとDiversityもあるのです。 現代の生活水準はそれだけ上がっています。一度上がったものは下げるべきではありません。昭和の遺物から「パワハラ・セクハラは当たり前だったんだぞ」と言われても困りますよね。 ### 3: 仕事術を知る 最後に、n通りの働き方が共存するためには相応の道具が必要です。仕事術(仕事のやり方や考え方)です。 仕事術と聞くと、ある種の胡散臭さや意識高い系のノリ、あるいはビジネス書のような感じを浮かべるかもしれませんが、違います。これらを含む上、もっと広範囲ですし、(専門家でなくても)必要に応じて新たにつくれます。また、仕事術は本質的に個人的なものであり、何がどうマッチするかはわかりません。 ですので、一蹴せず、木こりのジレンマにも陥らずに、言語化や試行錯誤といった行動をいかに行えるかが重要となります。 当サイトでは仕事術2.0という形で、VUCARDな現代にも通用する仕事術を開発しています。ぜひ読み漁ってみてください。 ### 仕事術の例を挙げます リモートで仕事をするためには「 **非同期コミュニケーション** 」が必須です。これに関する仕事術をいくつかご紹介します。 非同期コミュニケーションとは、お互いを拘束せずにコミュニケーションを行うというものです。概要は以下記事で書きました。 非同期コミュニケーションをするためには専用のツールが要ります。Teams や Slack などビジネスチャットはよく知られていますが、正直その程度は全然足りません。 当サイトではチャット(C, Chat)以外にもあるのだという点をQWICとして端的にまとめました。 また「情報を出す」ためのとっかかりを持っていない人もたくさんいらっしゃいます。ここを支えるための、わかりやすい概念が「下書き」です。 下書きの営みを身近にすることが、非同期コミュニケーションの推進に繋がります。 実は、非同期コミュニケーションにおける最大のハードルが「メンタルモデル」です。 考え方が変わらないと、いくら方法やツールがあってもどうにもならないですから、まずはここを自覚していただき、非同期コミュニケーション用のものを新たにインストールしてもらう必要があります。 少し話が逸れますが、実は「管理」も絡んでいます。 現代の仕事はまだまだ管理過多となっているので、もっと現場に裁量をもたせたり、そもそも管理の比重を下げる必要があります。 **要は、非同期コミュニケーションが進まないのは、管理過多であり、管理するために集まる必要があるから** です。ということは、管理を減らせば、集まる必要も減ります。 できます。単にやり方と考え方を知らないだけです。 探索的な仕事の仕方を言語化しました。 管理を減らすということは、自分で自分の仕事を管理するという「タスク管理」も要ります。これができない社会人は非常に多いです。だからこそ「皆で集まって」「場の圧力で腰を上げよう」とします。 タスク管理も色々ありますが、比較的万人に使いやすいものとしてデイリータスクリストがあります。 と、軽く紹介してみましたが、いかがでしょうか。 これはほんの一部です。仕事術を知り、実践すれば、出社という原始的な働き方などどうとでもできます(もちろんすぐできるようになるものではなく大変な道のりですが、それでもできます)。 できない・やらないのは、単に知らないからです。 # Title: うちの会社ではこうしてる ![](/assets/nd737e40166bc_cff2fb041d78da994a7cbd3b61c4d4a8.png) > 新卒でずっと同じ会社にいると、他の会社のことがわからない といった声をよく聞きます。 一般化すると、井の中の蛙から脱するためには、また組織の同一性から逃れるためには、他の組織を知る必要があります。 しかし現時点では難しいです。なぜなら **機密情報の名のもとに、会社の事情を外に漏らせない** からです。一応、転職サイトを使えば中の人による口コミを読めますし、文化としても黙認されてはいますが、限定的です。 この問題を解消するためには、異なる会社どうしで意見をシェアする仕組みが必要です。整理しましょう。 ## コウシテル 意見をシェアするプラットフォームをつくります。「うちではこうしてる」という意味で、仮に **コウシテル** と名付けます。 ![](/assets/nd737e40166bc_1734124819-hcWXmAgCVjfi6DlI4BLbZ1wU.png)コウシテルのイメージ。 詳細を見ていきましょう。 ### 1: まずはテーマ コウシテルでは、まず「テーマ」を投稿し、これに対して各社が意見をぶら下げる形を取ります。 ※テーマの投稿を誰が管理するかという話は割愛します。 ### 2: フィルターは2つ 各社の意見はフィルターを2つ通します。 一つは **共通フィルター** です。コウシテルが持つ共通フィルターで、表現を無難なものにします。特に誹謗中傷や個人情報などを削除したり、言い回しを柔らかくて無個性的なものにします。 もう一つが、 **会社フィルター** で、会社ごとのフィルターです。どうフィルタリングするかは各社が決めます。 ### 3: 会社フィルターの運用状況は公開される ここからが重要ですが、 **会社フィルターの運用状況は公開されます** 。 * フィルターを通った意見の率 * 使っているフィルター * 自動か、手動か、複数の層か * 手動の場合、どういう人が判定しているのか * また判定タイミングや頻度はどのくらいか etc **フィルター運用スコア** として点数を出せると良いでしょう。つまり、運用状況が晒されることで、ある程度その会社の健全性や透明性を推し量ることができます。 このやり方であれば共有のジレンマ(※1)を解消できます。 ※1 共有できるようにすると機密情報などが漏れるリスクが上がる、かといってチェックを入れると厳しくなりがちであり共有自体が機能しなくなる、あるいは良くても政治を勝ち抜いたものしか出せない チェックを厳しくすると運用スコアが下がって「情報を出し惜しんでいる会社」「健全じゃない会社」に見えるので、積極的に通すようインセンティブが働くためです。 ## コウシテルが構造的な不健全性にメスを入れる 機密の名のもとに、各社のあり方は共有されないのが現状です。 現代において、これは不便かつ不自由で、不健全性ではないでしょうか。この前時代的なあり方を変えるためには、コウシテルのようなプラットフォームと、会社フィルターという当事者コントロールの両方が必要です。 他社について知りたいと考える人は多く、ニーズは高いと言えます。というわけで、ビジネスチャンスでもありますので、このコウシテルのアイデアをぜひお使いください。 世の中を変えましょう! # Title: 当サイトについて ![](/assets/na9184613ed9e_7f7e7e575215cdfdb94e9e2f42478e68.png) ご覧いただき、ありがとうございます。 当サイトについて案内させていただきます。 ※筆者のプロフィールはありません(コンセプト参照) ## 当サイトのあさりかた🏃 ## お問い合わせ✉️ 下記 lit.link のお問い合わせ先からお願いします。 ## ご利用について * 有料記事も含め、言及・抜粋・引用・生成AI利用などはご自由に行って頂いて構いません * 筆者としては幅広く知ってもらうことを意図しており、歓迎いたします * 有料記事も含め、営利組織における利用もご自由に行って頂いて構いません * 特に以下を歓迎いたします * 記事の内容をベースとした製品やサービスを開発する * 記事の内容を組織・チームで試行し、その結果を発信する * SNSやオウンドメディアなどで取り上げる ## 概要 ### 仕事術2.0について 当サイトでは **仕事術 = 仕事のやり方や考え方全般** としています。その上で、現代に通用させるにはアップデートが必要と考えており、2.0と名付けて整備しています。 詳しくは以下記事をご覧ください。 ### 当サイトのコンセプト **仕事術をシンプルに解説すること、そして自由に揉んでもらうことを期待しています。** 以下はありません。当サイトとしても意図的に排除しています。 * ストーリー * 長文で字数を稼ぐこと(活字を読む体験の演出) * 作者のキャラクター性 * **※プロフィールも意図的に用意していません** * 交流やコミュニティ * エビデンスの提示による正確性や権威性の保証 当サイトはあくまでも淡々と仕事術を紹介し、読者から好き勝手にご利用いただくことを想定しています。 ### 当サイトのウリ Ans: 他では見ることのできない仕事術があります。 * 新規性や独自性が高いため、常識を覆したりインスピレーションを湧かしたりします * 既存の仕事術の概要や本質をわかりやすくお伝えしており、従来理解していなかった方でも端的に理解できます * 容赦の無い言語化をしており、日頃抱えているモヤモヤを吹き飛ばします etc ※この関係上、 **造語をよく使います** ので、必要なら各自調べたりAIに尋ねたりしてください。また、名前よりも内容――どんな感じのことを言っているかに注目してください。所詮は仕事術ですので、内容自体は難しくないはずです。 ### 当サイトのビジョン **Expand Diversity(多様性を広げる)** です。 多様なあり方の共存が理想だと考えます。各々が尊重され、個性や強みも生かされ、上手く連携をして、堅実と変革も両立する―― そんな世界を実現するための要が仕事術です。やり方や考え方を知らないと何もできないからです。 当サイトでは様々な仕事術を言語化して提示し、読者の思考と試行を促します。たとえば: * [典型的な多様性以外もあるよね](https://note.com/workhack20/n/n132a57d8259c)とか[こういう文化があるよね](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)との形で言語化をしたり * 新しい取り組み方を提案したり([[1]](https://note.com/workhack20/n/n4c90212ca782) [[2]](https://note.com/workhack20/n/n45e75d301d32)) * 個人向けのテクニックやフレームワークをつくったり([[1]](https://note.com/workhack20/n/nd06f10b86a95) [[2]](https://note.com/workhack20/n/n76a690b18cb7)) etc つまり、 **たくさんのゼロイチをつくって広く届ける** 形で貢献します。 段階も考えており、現在はStep1にいます。 * Step1: コンセプト固めとアピール * Step2: 何らかの組織に登用してもらって、そこで貢献する * Step3: 活動を外に広げ、世の中に貢献する 直接利益を生む形態ではないこともあり、無名な個人の力では限界があります。Step2 というスタートラインに立ちたいです。登用をお待ちしております。ぜひお問い合わせください。 また、当方から企業や個人の皆様にアプローチすることもあり、この仕事術2.0の note をご提示することがあります。前向きにご検討いただけますと幸いです。 ### 有料記事について 有料記事とは: * 続きを見る際に[購入が必要](https://www.help-note.com/hc/ja/articles/360010310214-%E6%9C%89%E6%96%99%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%82%92%E8%B3%BC%E5%85%A5%E3%81%99%E3%82%8B-%E8%B3%BC%E5%85%A5%E6%96%B9%E6%B3%95)となるもの * [クレカ、PayPay、PayPal、キャリア決済などに対応](https://www.help-note.com/hc/ja/articles/22970099486617-%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E5%88%A5-%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E6%94%AF%E6%89%95%E3%81%84%E6%96%B9%E6%B3%95) * noteアカウントがなくても可能 有料記事の方針: * **現在は「一切しない」です** * since 2024/12/09~ * 集客がもっと増えてから再検討します * [すでに有料となっている記事](https://note.com/search?context=note_for_sale&q=from%3A%40workhack20&sort=popular)も無料化できます * **見たい記事があればご連絡ください。無料化します** * **冒頭のお問い合わせ先か、本記事コメント欄(要noteアカウント)も使えます** # Title: リキッドな等級 現代はまだまだソリッドな等級となっています。これに代わる、新しい等級のあり方を示します。 ## 等級の現状 ### 等級とは 等級とは社員のランクを指します。 ### 等級のブーム 等級にはブームがあって、複雑とシンプルが交互に来ています。 * 1: 典型的なもの。複雑 * 一般社員 → 主任 → 係長 → 課長 → 部長 → …… * 歴史のある大企業では現在でも使われています * 2: 小規模向けのもの。シンプル * スタッフ → マネージャー → 経営層 * ベンチャー企業など新たに立ち上がった会社では、しばらく2~4層くらいのシンプルなあり方が続きます * 3: 大規模向けのもの。複雑 * シニア、ディレクター、プレシデントといった横文字が使われがちです * 巨大な外資系などから輸入されがちです * 4: 汎用的なもの。シンプル * バンドで3~5層に分けます * **ブロードバンディング** と呼ばれます 近年はシンプル期であり、ブロードバンディングの導入がよく見られます。 ### ソリッドという本質 しかし本質は変わっていません。 特定のポジションや役割がまずあって、その範囲で十分な成果や期待を満たしたものだけが昇格するという固定的なあり方になっています。これを **ソリッド(Solid)な等級** と呼びます。 ## ソリッドな等級の弊害 ### 人事評価が政治的・属人的になる なぜなら、ソリッドな等級における焦点は「特定のポジションにおける成果や期待」であり、 **これらは総合的なもの** だからです。何かを満たせば無条件にクリア、というものではなく、上位者や周囲からの定性的な評価が必ず入ります。 当然ながら透明性を出すこともできません。構造上の限界です。ですので、以前の記事では「じゃんけんで決めればいい」と大胆な提案をしています。 これくらいしかできないのです。ソリッドである限りは総合的になり、総合的であるならば定性的になるので、どうしても恣意的になります。良くても属人的ですし、悪ければ政治的になります。 良い悪いを論じているのではなく、恣意的になるという本質から逃れられないということです。転職サイトを見たことがある方は、評価が(特に上司により)属人的であることへの不満を一度は見たことがあるでしょう。ソリッドゆえの限界です。 ### 多様性が広がらず、融通が利かない ポジションや役割といった形で専門性が定義されているので健全に見えますが、すでに述べたとおりに、構造的に評価が恣意的になります。当然ながら、評価を行う人達の色が色濃く反映されることになります。 この点は、等級ではなくポジションの観点ですが、以下記事にてお伝えしました。 ## リキッドな等級 ソリッドな等級に代わる、新しい等級のあり方が **リキッドな等級** です。 ……しかし、現時点でリキッドな等級がこうだ、とはまだ見えていないので、リキッドな等級の例を置いてきます。追々整備していきたいと思います。 ランクド・バッジ。 バッジという単位を使って、オープンな評価を行います。 # Title: ランクド・バッジ ![](/assets/n76d7afb1f877_3cc108659e2fac63bc029a248a31afbe.png) **ランクド・バッジ(Ranked Badge)** とは、リキッドな等級の一つです。リキッドな等級については、以下記事を見てください。 また、ランクド・バッジはワーク・ゲーミフィケーションの一部となります。こちらについても、気になる方は以下記事を見てください。 では内容に入っていきましょう。 ## 概要 ランクド・バッジがどんな仕組みなのかを解説します。 ### 1: バッジという概念 「~~の状況で~~をした」を定めたものを **バッジ(Badge)** と呼びます。 ### 2: 事前合意と事後合意 社員は、仕事がどんなバッジから構成されているか、また仕事が終わった後にどのバッジを達成したかを評価します。 前者を **事前合意(Before Consensus)** 、後者を **事後合意(After Consensus)** と呼びます。合意と書いているように、バッジは自己申告で勝手に手に入るものではなく、関係者との合意を持って決めます。 字面を見ると「何らかの合意の前や後に何かするのか?」と思えますが、Before/Afterは仕事をやる前・やった後だと考えてください。 ### 3: ランクに分かれる バッジは、難易度に応じてn段階に分かれています。ランク = 等級があるということですね。 ### 4: 人事評価はランクで決まる 人事評価はランクで決まります。 これはブロードバンディングの考え方と同じで、あるランク(バンド)帯にいる人は、入手したバッジがどうであっても同等の評価になります。 ## メリット リキッドな等級を実現できます。 * 透明性のある評価を実現できます * バッジが根拠であり、共通言語になるためです * 柔軟な評価体系をつくれます * 色んなバッジをつくれます * 既存のバッジを参考にできるので、新たなバッジをつくりやすいです * ランクの要件や昇格方法など、等級の概念自体も保持できます ## = 以降は実現に向けた話 = ランクド・バッジをどのように実現するか、ヒントを整理します。 ## システム ### いつでも誰でも使えること 全社員全員がいつでも誰でも使える、オープンで堅牢なものが欲しいです。 事前・事後合意や、バッジの追加削除更新、その他提案や議論などは動的に行われます。システムは常に使える状態でなくてはならないわけです。 ### 全員のバッジとコメントが全員に見えること ランクド・バッジの肝は **透明性** です。 * 誰が、いつ、 * どんなバッジを手に入れたか * 誰のどのバッジに対して、どんなフィードバックを行ったか * 新たにどんなバッジを追加したか * 誰を、どういう理由で昇格させたか etc このようなことは全部フルオープンであり、全社員に見えます。ログとして、証跡として、記録は残り続けます。 ### 事前合意・事後合意はシステム上で行えること 通常、業績評価はクローズドな面談の形で行われますが、これは過剰です。業績評価に関する準備や会議に追われてしまうことは、組織が抱える課題あるあるではないでしょうか。 ランクド・バッジのシステムがあれば、システム上で評価が完結します。 本人と関係者がシステム上でフィードバックや議論をすればいいからです。やりとりはすべて見えていますし、バッジを満たしたかどうかの判断もすぐにできると思うので、そんなに手間はかかりません。 たとえば、チーム内であるプロジェクトが終わったとして、バッジB1とB2が欲しい場合、単に事前合意と事後合意で関係者からのフィードバックを書いてもらえばいいだけです。 それ次第で「両方入手していい」とか「B1は入手でいいけど、B2は正直足りないのでは」といった結論が出ます。 最大の争点は「最終的な意思決定をどうやるか」です。やり方は色々あります。 * バッジに「関係者のn%以上が👍を入れたら入手とみなす」など条件を入れるやり方 * 入手したかどうかは本人が決めるやり方 * [ティール組織の助言プロセス](https://note.com/workhack20/n/n059dc3642458)ですね * すでにシステムがオープンなので、フィードバックに則って自然な判断ができますし、仮に横暴な判断をしたとしてもその判断も見えます * 通報機構を用意して、通報の多かったバッジを取り下げる仕組みを入れてもいいでしょう(もちろんいつ誰が通報したかの記録も全部残るし見える) * 入手したかどうかを関係者のひとり(意思決定者)に委ねるやり方 * やはりシステムはオープンなので、適当なことはできません 次の争点が「関係者」の定義でしょう。 これはなるべく広い方が良いです。また、必要なら社外の顧客や業務委託先からのフィードバックも募れると良いでしょう(システムにそういう機能をサポートする)。 上司だけが評価する、のような狭い関係者はなるべく控えてください。適切な評価ができません。しかし、全く関係がない人や、ほとんど関係がない人を入れるのも良くありません。極論、ファンの多い人が👍を稼げてしまいます。 こういう小細工は行えないよう、誰を関係者として設定するかは注意深く設定したいですね。 ### 可能ならナレマネとインサイトに繋げる バッジ情報を以下の情報と結びつけることで、ネットワーク構造的な「価値の眠る」情報になりえます。 * プロジェクト情報 * チーム情報 * 個人プロフィール たとえば、「このバッジを取得している人物・チーム・プロジェクト」とか「このバッジを最近半年以内に取得した人物が、他に同期間内に取得したバッジ」とかいったことを辿れるようになります。人間関係など「ネットワーク構造」はありきたりで自然なものですが、だからこそ、つくれると、生きたナレッジとして役に立ちます。 もちろん、分析を加えたりAIに食わせたりすることでインサイト(知見や洞察)を得ることもできるでしょう。 ## バッジの種類を規定する「8S」 最大の争点は「どんなバッジをつくるか」ですが、一つフレームワークをつくりました。8つのSから成るので **8S(エイト・エス)** と呼ばせてください。 バッジを設計する際の参考にしてください。 ### 全体像 バッジの種類は8個あります。これらは4つのカテゴリ――遂行、獲得、能力、還元に分かれます。 * **遂行:仕事をこなす** * Servive 乗り切った・生き残った系 * **獲得:仕事を増やす** * Scale 仕事を手に入れた系 * Setup 新しい活動やサービスの元ネタを考えた系 * **能力** * Synergy あるチームや組織内におけるメンバーからの評価 * Skill 発揮できたスキル(の習熟度) * Style 働き方の実現 * **還元:アウトプット** * Share ストックアウトプットの数 * Star アウトプットその他活動のインプレッションの数 従来では遂行ばかりが評価されがちですが、他のカテゴリーもあることに注意してください。 ### 詳細 8つそれぞれの詳細を整理します。 道中、「スコア」という概念が出てきますが、これは仕事の難易度を示す式を指します。 たとえば金額p、期間Lのプロジェクトのスコアをp*Lとする、などです。 この場合、金額が大きく期間が長いプロジェクトほどスコアが高くなりますね。もちろん、数式次第では調整はどうとでもなります。いずれにせよ、定量的な因子を用いた式としてつくってください。 では詳細解説に入ります。 遂行 > Servive * 乗り切った系・生き残った系 * 例 * これこれの **スコア** を持つプロジェクトを、これこれの **貢献率** で乗り切った 獲得 > Scale * 手に入れた系 * 例 * これこれの **スコア** を持つ仕事をこれこれの **貢献率** で手に入れた 獲得 > Setup * ゼロイチ系 * 例 * これこれの活動や実績や用語の元ネタを提唱した * 解説 * 名付け親や発案者などを評価するための項目です * 言語化や議論、変革を活性化させるインセンティブとして働きます 能力 > Synergy * あるチームや組織内におけるメンバーからの評価 * 例 * ネガティブが 10% 以下 * ポジティブが 50% 以上 * 解説 * チームワークを測るもので、ネガポジを投票します * ネガティブ: 👎向いてない * ポジティブ: 👍向いている * 何も投票しない(エンプティ) * 投票は主観的に行います。向いていると思えばポジティブにします。どちらでもなければエンプティで構いません。エンプティが多くを占めることもあります * 各社員のネガポジ率や記録も見えるので、極端なことをしても可視化されます(意図的に👎ばかり出す人など) 能力 > Skill * 発揮できたスキル(の習熟度) * 例 * これこれの **スコア** を持つプロジェクトで、これこれの **スキル** を、これこれの **習熟度** で発揮した * 解説 * スキルを示すものです * スコアと習熟度も絡んでいるため、より実践的な目線で示されます * 「スキル」の定義が悩ましいです * 自由記述にすると、関係者間で合意が取れさえすればいいので柔軟ですが、会社全体で見た時の統一感が減ります&あとから統一するのは困難です * 会社全体で統一すると、多様性が阻害されます。そもそもソリッドなあり方が問題だからリキッドなあり方をしているのです * 良い解法はまだ思いついていません…… 能力 > Style * 働き方の実現 * 例 * これこれの **働き方** を、これこれの **負荷** ( **期間・回数など)** で持続した * 解説 * 8Sでは「働き方」も評価に値する成果として扱います * たとえば(フレックスやリモートがあれど)週1出社、9:00~17:00 が標準的な会社において、半年間数回の出社しかせず、5:00~14:00の超朝型勤務を半年続けた人がいたら、立派な成果です 還元 > Share * ストックアウトプットの数 * 例 * これこれの **手段** で、ストックアウトプットを **n個** 公開した * 解説 * [ストックアウトプット](https://note.com/workhack20/n/nb42a7b03bc77)は情報共有において望ましいアウトプットであり、これを評価対象にしています * この Share 観点では、正当性や品質は評価しません 還元 > Star * アウトプットその他活動のインプレッションの数 * 例 * これこれの **活動** で、 **これこれの間** に、 **このような種類のインプレッション** を獲得した * 解説 * 影響力を測ります * ストックアウトプットに限らず、勉強会その他イベントも有効です ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: ランクに関する議論がないが、どうすればいいか? Ans: 本記事では扱っていません。 要は等級の設計であり、既存の人事知識でまかなえる(ただバッジを使う点が違うだけです)と思いますので優先度は低めです。 ### Q: 全社員が日常的にランクド・バッジのシステムを触るようになるイメージか? Ans: はい。 おそらく、自分が関係者となった場合、システムから「この人がこのバッジにふさわしいかフィードバック書いてください」と通知が届く感じになると思います。 ### Q: バッジの追加や削除はどのように管理すれば良いか Ans: 8Sの能力 > Skillの項でも述べたとおり、現時点では良い解決策がありません。 軽く考察すると、まず全社員に任せるだけだと収拾がつかなくなるので論外です。しかし、普通に管理しようとすると、人事制度のように融通が利かないソリッドなあり方になってしまいます。 おそらく、様々な工夫を複合的に組み合わせることになると思います。たとえば: * バッジメンテナーを任命し、バッジ自体の追加削除更新の意思決定権を与える * ジャンルごとに担当者を決めて議論させるか、単純に多数決を取るか等 * BMPO(Badge Management Program Office)をつくる * たとえば全社員からのコメントを常時募集し、1ヶ月ごとに更新する等 * バッジはシステム上で自由に探索、またリコメンドされるようにする * 再利用性が高まります * バッジの閲覧数、利用数、ブクマ数などを集計したりランキング表示したりする # Title: 今週の記事 2024/12/08 今週は 18 記事書きました。 当サイト開始から 13 週が経ちました。 [←前 2024/12/01](https://note.com/workhack20/n/n5b470a94c971) [2024/12/15 次→](https://note.com/workhack20/n/n2e75f0960c47) ## 記事 ## 運営 # Title: ミニマリズム・トリガーリスト ミニマリズムのメンテナンスに役立つトリガーリストを提案します。 ## 前提知識 **トリガーリスト** とは、頭の中から情報を引き出すための自問自答集を指します。GTDとセットで使われる概念で、ライフハック界隈ではよく知られています。 **ミニマリズム** とは、所有するモノ・コトを極端に減らすことで「異次元の身軽さ」を手に入れるというライフスタイル・パラダイムです。「髪が邪魔なら坊主にすればいいよね」レベルで大胆に減らすものであり、99% の一般人には縁のないものです。 ## 課題 ミニマリズムの難しさとして、 * あまり減らせていないジャンルのモノやコトを減らしに行くのが難しいこと * 特に時間の使い方など「目に見えないもの」は扱いづらい * 一度減らしてミニマムになった状態を維持すること の二点があります。 ## 解決策 **捨てるためのトリガーリストをつくって、GTDに組み込む** ことで定期的に捨てられるようにする(捨てるための考え事の時間を取れる)ようにします。 このようなトリガーリストを **ミニマリズム・トリガーリスト** と呼びます。 ## ミニマリズム・トリガーリストの例 正解はないので、好きに作れば良いですが、一つだけ例を挙げます。 リストの例を挙げた後、GTDへの組み込みを論じます。 ### 1: 「シンプル化の問い」 ホワイトスペース本(以下記事)において、 「シンプル化の問い」というトリガーリストが出てきます。 これは「時間泥棒のリスクとその解決策」を問うものであり、以下の4項目から成ります。 > 〈意欲〉が〈がんばりすぎ〉になったら問うこと:手放せるものはあるか? > > 〈優秀さ〉が〈完璧主義〉になったら問うこと:「十分」とはどの程度か? > > 〈情報〉が〈情報過多〉になったら問うこと:本当に知るべきことは何か? > > 〈活発さ〉が〈やりすぎ〉になったら問うこと:本当に注目すべきことは何か? > 『[WHITE SPACE ホワイトスペース―仕事も人生もうまくいく空白時間術](https://www.amazon.co.jp/dp/B0B7NBF4ZD/)』 ### 2: GTDへの組み込み 次にGTDに組み込みましょう。 といっても、どこかのレビューで扱うだけです。 たとえば週次レビューで扱うといいでしょう。 5分取って、 * 1: 「シンプル化の問い」の内容をコピペする * 2: 思いつくことをまず書く * 3: 行動に移したいことを考える * 4: 行動をタスクの形で書く * 5: ネクストアクションリストやプロジェクトに反映する ようにします。この場合、週次レビューごとに、シンプル化の問いに従って何かを捨てていく営みになるはずです。 もちろん細かい時間ややり方は調整します。10分くらいかけてもいいかもしれませんし、日次レビューで1分、週次レビューで5分、月次レビュー10分など多段にしてもいいでしょう。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: GTDも使わないといけないのか? Ans: いいえ。 しかし、トリガーリストだけあっても使う機会がないので、通常は GTD(のレビュー)のように **定期的に振り返るタイミングで目を通すことで** 定期的に捨てるメンテナンスを行うようにします。 捨てるメンテナンスができればいいだけなので、GTDレビューに頼らずともできるならそれでも構いません。 ### Q: GTDもできないし、何もしなかったら当然できないし、じゃあどうすればいいのか? Ans: 諦めてください。 本記事は、捨てるメンテナンスを継続的に行うことを課題として、その解決策を提示するものです。 そもそも大前提として、ミニマリズムはアスリート的な営みであり、トレーニングと同様、継続的定期的にちまちまと行動していくものです。 ### Q: 他にトリガーリストの例はないのか? Ans: あるとは思いますし、必要に応じて自分で作ればよいですが、本記事では扱いません。 基本的には、他者がつくった、ミニマリズムとして使えそうなトリガーリストを使うのが良いと思います。なぜかというと、自分でつくったものを使っても茶番感が出て腰が上がりづらいですし、捨て慣れたことばかり続けてしまってマンネリするからです。 他者がつくったものであれば、どちらもなくなるので上手く機能します。もちろん、その分、負荷は高いですが。 # Title: トーク管理 タスク管理、[トピック管理](https://note.com/workhack20/n/n2a0267d14a04)に続く、第三のパラダイムがトーク管理です。 ## 概要 **トーク管理(Talk Management)** とは、トークを管理するという考え方を指します。 ここでトークとは、時間や目的を気にせずカジュアルに行うコミュニケーション全般を指します。雑談など[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)がわかりやすいですが、仕事上の議論や評価であってもカジュアルなものはトークになります。 ### トークの特徴と弊害 人間なのでトークの営みは必要です。あえて言うまでもありません。この **必要性の強さ** がトークの特徴です。 しかしトークはあらゆる活動に混じってしまい、それが **効率と多様性を削ぎます** 。 会議に交流が混ざっている点がわかりやすいでしょう。 会議削減の話をすると、それは交流の削減 **も** 意味してしまい「人間としてありえないだろ」となってしまうわけです。 加えて、交流が会議で行われてしまっているため、会議に参加できる人だけが交流できることになります。参加できない側との格差が生じますし、多様性も削がれます。 ### 弊害をなくすために管理する 弊害をなくすためには、こうします。 * 1: トークなるものをちゃんと捉える * 2: その上で、どんなトークを、いつ、誰とやればいいかを考える これでもっと融通が利くようになります。 * Before * トークは漠然と色んなところに混ざっていた * 「混ざっている先」にコミットするしか選択肢がなかった or コミットしなければトークへの参加もできなかった * After * どんなトークがあるかが言語化され、整理されている * 誰がどのトークをどれだけやればいいか(あるいはやらなくてもいいか)をコントロールできる 要するに言語化と整理により、トークという概念を扱えるようになるということです。扱えるようになったら、あとはやり方として工夫する段階でしかありません。 ## トーク管理は整理と整備から成る トーク管理は整理と整備から成ります。 * 1: 整理。トークなるものを言語化し、議論できるよう整理もする * 2: 整備。整理したそれを行動や制度に組み込む 整理については扱いません。一般論を言えば、回数や時間や対象者といった形で制限をかけることになるでしょう。 ## トーク管理のマトリックス 整理の一例として、トークを含む「コミュニケーション」の営みを分類してみましょう。 **トーク管理のマトリックス** と呼ばせてください。「トーク」とは一体どの辺なのか、を明らかにするものです。 ![](/assets/n56f32d488623_1734309009-euBDT0mwPzCQ8EHxjGyIf9t1.png)トーク管理のマトリックス。 仕事ではコミュニケーション≒ミーティング、なところがありますが、もっと細かく分けることができます。その中の一部としてトークを据えます。 では詳細を見ていきましょう。 ### 軸について まず全員参加かどうかで分けます。 次にトーク、チームワーク、ソロワークで分けます。 ※ソロワークとは誰ともコミュニケーションを取らずにひとりで過ごす時間を指します(非同期コミュニケーションはしますがメインではないし強制力もない)。チームワーク過多な現代に必要となるものです。 ### マトリックスのサマリー ![](/assets/n56f32d488623_1734309009-euBDT0mwPzCQ8EHxjGyIf9t1.png)トーク管理のマトリックス(再載)。 * チームワークとソロワークでは、トークはしない * トークは **トークとして同列に存在** している * トークには全員参加型のものと、自由参加のものがある * これらをどうやって実現するかのヒントとして、まさにマトリックスに書いたCIやワークイベント等が使える * トーク管理についてはここまで * 3~6については、トーク管理とは関係がない、コミュニケーションの整理なので読み飛ばし可 残りは各象限の詳細を見ていきます。 ### 1: CI(コミュニケーションの注入) 何らかのコミュニケーションするためだけの時間「コミュニケーションタイム」を、必要に応じて注入(実施)しようというものです。 たとえば「業務時間中に、毎日、1時間の雑談タイムを設けよう」などとします。 雑談の重要性は言わずと知れていますが、だったら雑談用の時間を確保してしまえば良いではないかということです。もちろん、雑談はこの雑談タイムでやるので、それ以外の会議は雑談にかまけず集中して生産的にやります。 トーク管理の話に入ると、 **コミュニケーションタイムとして「トークタイム」を入れることができます** 。 要は「何らかのトークをするための時間」をつくって運用すればいいのです。1on1はわかりやすいと思います。すでに「キャリアについて雑談するための時間」「月に1回くらい注入する」等となっているかと思います。 この考え方を、あらゆるトークにも当てはめるだけです。これをまさに「コミュニケーションの注入」として整理したのが上記記事です。 ### 2: ワークイベント 何らかの個人ワークを行うためのイベントをワークイベントと呼び舞う。 たとえば「これから瞑想しまーす」と社員の誰かが瞑想イベントを急きょ開催して、ここに同じく瞑想したい人がすぐに集まってきて各自瞑想をする、といったイメージです。 トーク管理の話に入ると、 **何らかのトークを行うためのイベントをワークイベントとして開催する** ことができます。要は **トークイベント** ですね。ただ、ワークイベントのニュアンスにもあるとおり、誰でも、いつでも、好きなテーマで開催できるカジュアルさがあります。 ※ただしワークイベントは本来は「個人ワーク」を行う場をつくるものであり、個人ワークではコミュニケーションはしません。トーク管理として使う場合は、トークですので、ここを破って、コミュニケーションもすることになります。 ### 3~6について トーク管理とは関係がないので、かんたんに扱います。 3: の **コアタイム** とは、全員が集まってコミュニケーションのために時間を使うという時間帯です。非常に負荷の高い働き方なので、あまり長い時間はやれません。なのに、現代では当たり前のように10:00~16:00など広い範囲で設定してしまっている現状があります。 コアタイムの逆が、5: で書いている **フリータイム** です。その名のとおり、各自が自由に過ごすことができますし、コミュニケーションの義務もありません。たとえば 9:00~10:00、15:00 ~ 17:00がフリータイムだとすると、この間はチャットや電話その他コミュニケーションに答える義務がありません。 この二つは以下記事で解説しました。 4: のミーティングと 6: の **プレゼンシング** については、ミーティングだけでなく、もう一つ、コミュニケーションほどじゃないけどプレゼンス(存在感)を共有する的なあり方があるよね、という話です。 概念的には以下記事を見てください。 実例については以下記事を見てください。 # Title: T-パラダイム ~テキトーにやってたことを管理する~ 一言で言えばタスク管理、トピック管理、トーク管理です。 従来テキトーにこなしていたものを、上手くやれるようにするために「管理」するというパラダイムシフトがあります。 T 始まりで 3 つほど整理できたので、これを **T-パラダイム(T-Paradigm)** と名付けます。 以降では各パラダイムについて軽く取り上げます。背景と課題を述べた後、解決策としてパラダイムがどのように解決するかを記事とともに紹介します。 ## 1: タスク管理(Task) やること(タスク)を頭の中だけで制御する人は多いですが、限度があります。 まず特性によっては日常生活すらまともに行えなくなります。普段なら問題ない人でも、忙しくなると成立しなくなります。 たとえば抱え込みすぎてパンクしてしまいます。これらはたいてい、単にやり方が下手(というより知らない)だけです。 また、 **優秀な人でも「安易に会議を開催する」形で自身のタスク管理能力を棚上げすることがよくあります** 。 当サイトでは[予定ドリブン](https://note.com/workhack20/n/n3340431187ad)と呼んでいますが、予定に従うだけで成立するため非常にラクチンなのです。その代わり、会議が増えるのでしわ寄せの行く人が出てきますし、現代においても出社に頼らないといけない(or リモートでもオンライン会議ばかりしている)などという原始的な事態から脱せません。 このような課題を解決するには、自分が抱えるタスクを自分で上手く扱わねばならず、これを **タスク管理** と呼びます。 当サイトでもたまに扱います。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86&context=note&mode=search) 一番わかりやすいのはデイリータスクリストだと思います。 これを使いこなせるかどうかが、タスク管理の最低ラインです。これすらできない場合は、やる気がないか特性上適性がないかなので、相当頑張らねばなりません。 ## 2: トピック管理(Topic) 議論、よりカジュアルに言えば「話し合い」というと、皆で集まって空気を読み合いながらやっていくものとのイメージが強いと思います。 もっと言えば、対面で集まって喋らないといけないとの制約があるとも言えます。当然会議も増えますし、 **拘束も多いので負担が大きい** です。 また、口頭ではまとまった情報をじっくり扱えないので、 **浅い事柄を瞬発的に判断するゲームと化します** 。意思決定者やチームや一部プレイヤーが有能かどうかで決まるという、再現性のないあり方に終始しています。そして、それをコミュニケーションは大事だの、スピードが大事などと正当化します。好き嫌いや相性にも大きく依存するので、人材面でも非常に高コストになります。 この課題を解消するために、トピックという情報単位をつくって、これに各自が情報を持ち寄る形で議論を行う・意思決定をする、という考え方を採用します。 **トピック管理** と呼びます。 たとえば、議論したいことが30個あったら、トピックを30個つくって、各自それらを眺めて読んで書き込めばいいわけです。 これなら、お互いの時間や場所を拘束せず[非同期的に](https://note.com/workhack20/n/n24c1adde5331)行うこともできます。 ただし、現実的なペースで進むためには各自がいつまでにどのトピックを見るのかといった管理を各自で行う必要があり、ここで 1: のタスク管理が必要になります。 理想を言えば、タスク管理の素養なしに済ませたいですが、まだこれを行えるキラーアプリやキラー組織モデルはありません。 そもそもメンタルモデルも追いついてないでしょう。たとえば「一日中、システムと向き合ってトピック上で議論するだけの日」に耐えられる人がどれだけいるでしょうか。 ## 3: トーク管理(Talk) 雑談などトークの営みは重要で、チームワークやマネジメントに欠かせない要素として注目されています。 しかしその実態は、仕事中についでにトークもするというもので、いいかげんで、かつ不可分です。 たとえば会議を減らしたくても、会議はトークを行う場でもあるので、「トークを減らすのか?」「それでも人間か?」となってしまい不発に終わります。 これに限らず、トークはあらゆる活動にひっついているので、あらゆるものを減らしづらいという厄介な状況となってしまっています。トピック管理の項でも述べましたが、≒一緒に過ごせる者を選定する、という気が遠くなるようなやり方に終始しがちです。 このような課題を解決するためには、トークという概念とちゃんと向き合う必要があります。 当サイトでは **トーク管理** と名付けて整備を始めました。 たとえば、 * そんなに雑談が重要なら、業務時間中に1日1時間くらい、雑談するだけの時間を確保すればいい * 昼休憩とは別です * その代わり、会議では雑談は一切しないくらいに厳しく生産的に過ごそう といった考え方をします。これは「トーク」として「雑談」という概念にフォーカスし、会議などの活動から切り離して、独立して扱っています。 こうすると会議は会議、雑談は雑談、と別々に扱えるので融通が利きますし各々の改善もしやすいです。 ついでに書いておくと、トピック管理の項でメンタルモデルの話をしましたが、そこもトーク管理で解決できます。つまり、必要なコミュニケーションは、必要に応じて取り入れればいいのです。それをトーク管理として設計すれば良いのです。 たとえば毎日1時間確保しようとか、やりたい人は誰でもいつでも開始できるようにして誰でも集まれるようにしようとか、任意参加と全員参加のバランスはこのように設計しようなど、どうとでも設計できます。 # Title: パーカーおじさん論争から学ぶ「SPEDテクニック」 盛り上がっている議論を整理するときに使えるのが **SPEDテクニック** です。パーカーおじさん論争を例に、SPEDテクニックを使ってみます。 対象読者は次のとおりです: * SPEDテクニックについて知りたい人 * SPEDテクニックなるもので処理された「パーカーおじさん論争」の整理内容を見たい人 ## (前提) SPEDテクニックとは 以下の略です。 * Source * 一次ソースを確認せよ * Platitude * 当たり障りのない一般論を挙げてみよ * Example * 具体的なケースを設定して議論してみよ * Distill * 一連の情報から本質を導いてみよ(蒸留) 情報をSPEDに従って集めていきます(自分の考えを出すことも含む)。順番もS、P、E、Dのとおりですが、PとEとDは行ったり来たりします。 明確な終わりはないので、きりのいいところで勝手に終わります。よくあるのは「一通り出し切った」や「大体わかったのでこれくらいでいいや」などです。 以降からはSPEDテクニックを適用していきます。 ## Source 一次ソースを確認する 元ネタは以下の動画と思われます。 該当箇所は11:22頃。再生数は 2024/12/16 15:30 時点で 8.3 万程度となっています。 また Yahoo! ニュースなどで追加説明もあります。 少し長いですが引用します。 > > これはTPOの話で、編集でカットされてる部分があるのですが。商談の時とかにもいるじゃないですか。ITとかベンチャー企業の方でパーカーを着る方が。そういうのってどうなの?みたいな。TPOの話で言っただけなんですよ。港区とかにいる“意識の高い系”のおじさん向けに話したことなんです。 > > おじさんはなぜパーカーを着てはいけないんだ、何を着ようと自由だろ、という話になっていて。休日におじさんがパーカーを着ることについては私は何も言ってないんですよ。昔、みんなスーツだったじゃないですか。だけど、いまIT企業に限らず、勤務中の服装が自由な会社が増えている背景もあって、パーカーを着てる部長とか、Tシャツで歩いている局長とか、40代社員なのにSupreme着てる人がフロアにいるのって、多様性と言われているけれど、見る人によってはだらしないというか。社会に出る人として大丈夫なの?って思います。それがなんか変に「パーカー着るな」という話だけが大きくなってしまったんです。 ## Platitude 一般論を挙げる たとえば、以下になるでしょうか。 * 誰が何着ようと自由である * おじさんを決め打ちして断定するのはハラスメントである * 40代(50代)だけどパーカーは着ている人は珍しくない ## Example 具体的なケースを設定して議論する ここではケースを「~~という主張ではないか」として使います。たとえば「ケース: だらしない」は、「だらしないという主張ではないか」という意味です。 また肯定派と否定派に分けて、意見の例を一つだけ書きます。肯定派を先に書いて、それに対する否定派の意見を一つ書いています。 ### ケース: だらしない 肯定派 * 体型や身だしなみに投資していない。パーカーを着続けているのもその一環に感じられる。たとえば価値観をアップデートせず若い頃からの惰性で着続けるのでは、とか 否定派 * 容姿への投資は趣味やスタイルの範疇にすぎない。では毎日30分本読んでないからだらしないとか、毎日30分ChatGPTに触れてないからだらしないとか、毎日30分瞑想してないからだらしないとかいうのか ### ケース: 礼儀がない 肯定派 * 部屋着はプライベートのものであり、仕事とプライベートは別のモードでやるべきだから、仕事は部屋着以外の服装になるべき。またパーカーは部屋着である――とすると、パーカー着て仕事しているのは部屋着で仕事しているようなものであり舐めている。どうせ人によって態度を変えるんだろう。たとえば重要な相手の場合は変えるのだろう? 否定派 * 今の時代、リモートでも仕事できるし、スーツもそうだが通常のデスクワークなら服装にさして意味はないし、そもそも人の服装にあーだこーだ言うのも多様性的に論外である。パーカーかどうかは関係がないし、仮に部屋着の延長であろうとも関係がない。そもそも身だしなみで礼儀をはかろうとする[礼儀1.0](https://note.com/workhack20/n/n4326177679d5)的なあり方が前時代的だ ### ケース: SUPREMEを着ているのが痛い 肯定派 * 着こなしが未熟なのに高級ブランドだから着てますという「成金が高価な時計つけてカッコ付けてます」感が痛い 否定派 * カッコつけてるつもりはない。単に有名で入手しやすいから着ているだけ。お金は稼げてるので別に背伸びもしてない ## Distill 本質を導く どのような本質を導くかは人それぞれです。 たとえば以下は、インフルエンサーのコメントとニュースサイト上のコメントを拾い読みして、なるほどと感じたことを言語化してまとめたものです。 * ビジネスネタへの昇華 * 例1: おじパーカーをつくって販売している例が複数見られる * 例2: 「パーカーおじさん」というネタにはこれだけ盛り上がる力がある。このセンスを学ぶことはできないか?他にこれだけのパワーを持つワードを考えることはできないか? * 選別の足しにする * ひろゆき氏の「こういうタイプの人に寄って来て欲しくないので、パーカーを着る事で両者に幸せが訪れると思うおいらです」 * 弱い人の存在 * 「これのせいでパーカー着なくなるおじさんが増える」的な意見が目立った * これは「いやその程度じゃ変わらないよ」な人から見たら「その程度で変える人がいるんだ」と学びになる * 偏向という本質 * 可能性としては以下が考えられる * 1: 新R25編集部が意図的に捻じ曲げているんだな * 2: 妹尾ユウカ氏が後日のインタビューで後出ししているな * 品格を問う * 例1: インフルエンサーやコラムニストとして予防線を張った物言いをすることはできなかったのか * 例2: 若手が浅いこと言ってるんだから涼しい顔してスルーすればいい、下手に反応すると自分の品格も疑われる ## SPEDテクニックを終えて いかがでしょうか。 SPEDテクニックの醍醐味は、断片的な情報に基づく Platitude(一般論)に終始せず、ちゃんと一次ソースから確認して、具体的ケースも設定して意見を集めて――としていくことで、解像度高く捉えられるようになることです。上手くいけば、学びやアイデアを蒸留することもできます。 その分、時間はかかりますし、頭の中だけではできないので書きながら行うことになりますし、と大変ですが、それだけの価値があると思います。 ※ちなみに、SPEDを通じてどのように整理し、どんな本質を導くかは人それぞれなので、他人のSPEDの結果を見てもピンと来なかったりします。それでも比較的わかりやすく、盛り上がっているテーマを選んでみたつもりです――が、やはり自分でやってみるのが確実ですね。 ## (関連記事) SPEDテクニックは、発想法的な側面があります。つまり、書くことを前提に、じっくりと、アイデアを思いつかせるように考えるところがあります。 このような営みは、人によっては無縁かもしれません。当サイトではフリー仕事術として解説していますので、よろしければ見てみてください。 # Title: パーソナルフォーム ~ひとりひとりがマイフォームを持つ時代~ ひとりひとりがフォームを持つ時代が来るかもしれません。マイホームならぬマイフォームです。 フォームにはそれだけのポテンシャルがあり、新たなコミュニケーションのあり方を確立すると思います。 このようなあり方を、フォームが個人化しているということで **パーソナルフォーム(Personal Form)** と名付けましょう。 ## 概要 ### フォームとは? たとえば以下のようなものです。 * Googleフォームのようなフォーム * マシュマロのような質問箱 ### どんなフォームを持つの? Ans: 複数のフォームを持ちます。 🐶さんは10個のフォームを持っていて、🐱さんは3個だけ持っている、といったあり方になります。 🐶さんに何か言いたいときは、10個のフォームの中から適切なものを選びます。もちろん AI などで案内してもいいですし、うち3個は知り合い向けだから赤の他人の🐱さんからは7個しか見えない、いたいなアクセス制御もアリです。 フォームの具体例を挙げる前に、いくつか観点を挙げます。 * 匿名で誰でも送れる or 実名で送れる * 返信要否 * 既読を知らせる or 知らせない * 用途別 * 仕事依頼の受付用 * 「ブラックフライデーで買うべきものを募集します」 * 知人向け連絡用 etc また SNS のようにフォローフォロワーやリストといったものもあり、これらを使ったアクセス制御もできます。 * Private * 指定した人以外は見ることすらできないフォーム * Closed * 指定した人以外でも見ることはできるが、投稿はできないフォーム * Open * URLさえわかれば誰でも投稿できるフォーム(限定公開) * Public * 誰でも投稿できるフォーム もちろん、フォームの中身もカスタマイズできます。 * 何も設置せず送信ボタンだけ * 「手を挙げる」的な機能を実現できます * 選択肢一問、記述一問などシンプルなフォーム * オーディションや仕事依頼など、本格的な募集のために記入項目を10以上用意した大きなフォーム * ボタンを用意して、押した回数を送れるようにしたフォーム etc 続いて具体例を少し挙げます。 * 誰でも匿名で何でも送れるフォーム * 友達向けの連絡フォーム * 「友達」リストをつくって Private にする等 * フリーランスとして使う仕事依頼フォーム * フォロワーの多いインフルエンサーが、ファンからネタを集めるために「今年買って一番良かったもの」を募集するフォーム * 匿名で好意を送れるフォーム etc 他にも様々なフォームをつくれるはずです。 ### DMやメールとは何が違うの? フォームは、以下の点が強いです。 * ブラウザで完結できます * もちろん使いやすいアプリでも可 * 融通が利きます * 書式や投稿回数など柔軟なカスタマイズができる * 用途に応じて何個でもつくれます * 廃止したり中断したり複製したりなどもできる * **モノミュニケーション** ができます モノミュニケーションについて補足します。 ## ❌コミュニケーション、⭕モノミュニケーション ### モノミュニケーション!? **モノミュニケーション(Monomunication)** とは、一方的な情報伝達を指します。造語です。詳細は以下記事をどうぞ。 ここでも少し解説します。 従来のコミュニケーションという概念は双方向的であり、結果として一方的になることはあれど、想定としては双方向的でした。 本質的に双方向的なのです。 **それゆえに遠慮や義務感が発生してしまい、出せる情報を出し渋る** ことがよくあります。これはコミュニケーションという概念の限界です。 一方、現代は情報社会であり、VUCA であり、と個人個人が持つ情報がより重要になってきています。お互いにもっと出せたら、もっと上手くいくと思いませんか。思います。 もっと情報を出してもらうためには、コミュニケーションという概念そのものを越えねばなりません。そこで、単に一方的に送りつければいいという新しい価値観を導入します。それがモノミュニケーションです。 ### フォームがあり方を変える さて、従来の手段はすべてコミュニケーション用のため、これを使ってもモノミュニケーションはできません。 ようやく最近になって可能になってきました。それがフォームです。フォームは「一方的に送っておしまい」という設計になっているので、モノミュニケーションができます。 これを一般レベルに落とし込むために、当サイトではこの度パーソナルフォームという概念をつくったのです。 GoogleフォームやMicrosoft Forms、あるいはマシュマロなど、フォームはすでに馴染み深いはずです。あとはこれを徹底的に活用するだけです。 コミュニケーション改め、モノミュニケーション。 フォームのフル活用により、この新しいあり方は花開くはずです。 ## おわりに ひとりひとりがフォームを持つ時代が来てもおかしくないと思います。 この視座に気付いている人はまだいないようです。チャンスです。ぜひ、あなたの手で、パーソナルフォームなる概念を形にしてください。 プラットフォーム化できたら天下を取れるかもしれません。それだけのポテンシャルがあると思います。 # Title: コミュニケーションだけでなくモノミュニケーションも **モノミュニケーション(Monomunication)** とは、一方的な情報伝達を指す概念です。 ## 課題 ### コミュニケーションの限界 従来のコミュニケーションという概念は双方向的であり、結果として一方的になることはあれど、想定としては双方向的でした。 本質的に双方向的なのです。 **それゆえに遠慮や義務感が発生してしまい、出せる情報を出し渋る** ことがよくあります。これはコミュニケーションという概念の限界と言えます。 ### いかに情報を出すか 一方、現代は情報社会であり、VUCA であり、多様性の時代でもあり、と個人個人が持つ情報がより重要になってきています。情報というとわかりづらいですが、意見も含みます。 さて、現代ではまだまだ「対面で集まって」「非言語的に伝える」ことを是としていますが、集まるのには負担がかかりますし、融通が利きません。[働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)が狭いです。 理想は以下だと思います。 * 集まるという負担の高い働き方を軽減する * しかし、情報はちゃんと伝える そのためには、各々に「[いかに情報を出してもらうか](https://note.com/workhack20/n/n49f7b327a804)」が肝心となります。 ## 解決策は「一方的な伝達」 ### コミュニケーションでは足りない これら課題を解決するためには、コミュニケーションでは力不足です。すでに述べたとおり限界があります。 ですので新しい概念が必要です。 そこで、単に一方的に送りつければいいという新しい価値観を導入します。それが **モノミュニケーション** です。 ### 別に難しくない モノミュニケーションの概念は、別に難しいものではありません。 一方的に送りつけるというのは、すでに結果論として何度でも発生しますし、フォームなどまさにそれを行う手段もあります。 あとは手段を上手く整える段階でしょう。たとえばフォームを個人かするのはいかがでしょうか。 あるいは、生成AIを持ち出すなら、そう遠くない将来、自分用の秘書AIが立ち上がるでしょうから、 * ❌ 🐶さんに伝える * ⭕ 🐶さんの秘書AIに一方的に送りつけておく といったこともできます。機械が相手なので、コミュニケーションせずに一方的に送るだけで済みます。🐶さんへの伝達は、AIさんが上手くやってくれます。 # Title: グループタスクと個人タスクの分離 Outlookで個人タスクを管理する人がいます。 問題の本質はグループタスクと個人タスクの混同です。 ## 元ネタ Xから引用します。 > 「Outlookに個人タスク敷き詰めてる人へ」 > > 個人タスクはローカルで管理してくれ。 > 『この時間、会議入れていい?』って確認するのが一手間になってることを知ってほしい。 ## 問題を整理する ### 前提1 まずタスクとしては以下が存在します。 * グループタスク * 予定の形で押さえるもので、誰かと何らかのコミュニケーションをする * ≒打ち合わせ、あるいはグループワーク * 個人ワーク * ひとりで仕事する * この間は仕事に集中するため、誰かとコミュニケーションはしない。そのため、 **Outlookに「個人ワークという予定」を入れてブロックする** ことがある * 個人タスク * 個人の仕事 * 個人ワークも含むが、個人ワーク以外も含む * つまり、 **個人タスクを行っているときは、グループタスクを行ってもいいかどうかが不明** になる * これを **ファジーな予定** と呼びます ### 前提2 また、Outlookなどグループスケジューラを用いた仕事術として、以下が存在することも押さえます。 * スケジュールは全社員に見えている * 🐶さんに予定を入れたい人は、🐶さんの予定表を見て、空いているところに予定を追加する * これで🐶さんが許可すればそれでいいし、拒否されたら調整すればいい 要はいちいち口頭やチャットで確認せず、予定表に空いてたらいいからツッコんでくれ、という運用です。これは現代では当たり前の予定調整方法です。仮に **ダイレクト・アジャスト** と呼びましょう。 ### 問題の言語化 これで問題を言語化できます。 問題は、Outlookの予定表はグループタスクを調整するものであり、グループタスクか個人ワークかのいずれかを入れておくべきなのに、個人タスクを入れてしまっているという点です。 グループタスクにせよ、個人ワークにせよ、「予定」なので「そこには予定を入れられない」ことが明らかです。あるいは、どうしても入れたい場合は調整すればいいです。 しかし、個人タスクが入っていると「それは個人ワークなの?それともワークではないから予定入れてもいいの?どっち?」となるわけです。 というわけで、問題を一言で言うと、 **ファジーな予定を入れているせいでダイレクト・アジャストが阻まれている** です。 ## 解決策 ### 標準的な解決策 ファジーな予定、つまりは個人タスクをOutlookに入れるのはやめましょう。かわりに、 * 個人ワークであるなら、そのまま残します * あるいは「ブロック」などその旨がわかると親切です * 個人ワークでない場合、予定からは削除します とします。 そうなると、じゃあ自分個人のタスクはどこで管理するのかとなりますが、Outlook以外でやりましょう。デイリータスクリストはおすすめです。 ツールとしては、M365 でやるなら Microsoft TODO があります。もちろんメモ帳や自分宛チャットで書いたり、手書きでメモしてもいいです。リマインダーがほしいなら、別のスケジュールアプリを使えばいいでしょう。 ともかく、Outlookにはすでにダイレクト・アジャストの文化があるわけですから、個人タスクを安易に乗せるのはやめましょう。 より突っ込んで言うと、個人のタスクは個人で他者に見えないように管理することが重要です。タスク管理のスキルとも言えます。これがないと、この問題のように他者を邪魔してしまったり、会議ばかり開催してしまったりといった有り様から抜け出せません。 良い機会ですので、個人タスク管理を勉強しましょう。 ### 後退的な解決策 ダイレクト・アジャストをやめます。 この場合、予定調整の手間は増えてしまいますが、Outlookで個人タスクを扱えるようにはなります。 推奨はしません。そもそもそれが面倒くさすぎるからダイレクト・アジャストが台頭してきたのです。 ### 先進的な解決策 Microsoftその他開発者への提案でもあります。 **秘匿な予定(Secret Appointment)** をサポートしてください。 現状でも **秘密の予定(Private Appointment)** は存在しますが、他者にも予定自体は見えます。これではファジーです。 ※あるいは関係者間で「秘密の予定は個人ワークとみなしてください」と運用するのはアリです。 ですので、もう一つ、予定の存在すらも他者から見えない「秘匿な予定」をサポートするのです。これなら個人タスクも問題なく扱えます。当然、他者からは見えないのでダイレクト・アジャストされる可能性はありますが、それが嫌なら明示的に個人ワークという予定をつくれば済む話です。 ## (関連記事) このように「混ざっているもの」を上手く分離して扱うことを分離エンジニアリングと呼んでいます。 身につけると便利ですので、ぜひ読んでみてください。 # Title: 100時間のロードデトックス **ロードデトックス(Load Detox, 負荷のデトックス)** とは、普段抱えている負荷の一切を捨てるという取り組みを指します。デジタル・デトックスではデジタル機器に全く触れませんが、同様に、負荷に全く触れません。 ## 負荷をデトックスするとは ### 負荷とは 普段抱えているものはすべて含むと考えてください。 たとえば Four Loads も含みますし、 時間管理マトリクスでいう第二領域的な活動(勉強、トレーニング、その他メンテナンスや投資全般)もそうです。 ### デトックスとは 原義は解毒ですが、ここでは「しばらくの間、一切触れない」ことで日頃の負担をなくし回復に導くという意味です。 ### ロードデトックスの目安 * **干渉ゼロ** * 通知がゼロである(割り込みがゼロである) * 「一日の間、誰とも一切喋らない・SNSでもやりとりしない」に手が届く * **インプットゼロ** * 読書やイベントなど、新しいインプットをしない * ランダム報酬の強い娯楽をしない * SNS全般、新しいゲーム、ウェブサイトやブログ全般 * 別の言い方をすると「相手がいる」営みをしない * 相手がいなくて、かつやり慣れて飽きてるゲームくらいなら可 * **疲労ゼロ** * 日課をしない * [習慣](https://note.com/workhack20/n/n83cec7345a2e)はしても構いません。定着しているので逆にやらない方が負荷になります。ただし負荷をかける習慣はやめてください。必要なら事前準備で妨害する仕組みを入れてください。 * 汗をかかない、息切れをしない デジタル・デトックスも含むと考えて構いません。加えて、アナログ的な充実も遮断します。さらに、運動的な負荷も遮断します。 ## メリット * 回復すること * 回復に伴い、本来の調子を取り戻して「ベストコンディション」を知れること 情報社会といいますが、それだけでなく負荷社会と言えると思います。身体的な負荷というより、認知や精神も含めた総合的な負荷です。 現代人は恒常的に負荷を抱えているので、回復する暇がありません。休日であっても、です。疲労骨折しているようなものです。 これを食い止めて、一度回復してみようじゃないか、というのがロードデトックスです。 デトックスとしては **従来はデジタル・デトックスが知られていますが、足りません** 。これで遮断できるのはデジタル機器だけですが、まだ日常の負荷はありますし、合宿形式なものですと結局対人的・イベント参加的な負荷があります。こういったものも含めてデトックスしなければ、真の回復には至れません。 ## やり方 ### 100時間確保する 100日(4日)確保します。 最後の1日は日常に戻るためのリカバリに充てるので、 **実質的には3日** となります。 ### スタンスを選ぶ スタンスとしてインドアとアウトドアがあるので、どちらかを選びます。 * インドア * 出かけたりはせず、自宅で過ごす * ⭕刺激が少なく、デトックスしやすい * ❌家事は必要 * ❌負荷を降ろしづらい、ともすると誘惑に負ける * アウトドア * 旅行など出かける * ⭕日常生活から切り離しやすい、負荷も降ろしやすい * ❌刺激が多く、かえって疲れる可能性 * ❌下準備が必要 合っている方を選んでください。 ### 事前準備をする 普段抱えている負荷の発生源、すべてに対して「3日間全く触れないのでよろしくお願いします」的な配慮をしにいきます。 たとえば: * 毎日更新しているアカウントがあれば、3日間停止する旨をお知らせする * 仕事は有給を取る * 休日に連絡が来る可能性も遮断する * ≒連絡が来る可能性のある仕事をやめる or 連絡が来ても無視すると開き直る * ペットや育児対象がいるなら預ける * 家族がいるなら、ロードデトックスをする旨を伝えて納得してもらう など。 また、インドアの場合は3日間の家事が不要になるような準備を、アウトドアの場合は3日間のおでかけが成立する程度の準備もします。 ### 実施 準備できたら、当日から3日間、実施します。 あくまでもデトックスであるため、「楽しむ」だとか「充実させる」だとか「日頃やらない勉強をしよう」などとは考えないでください。 おそらくすぐ退屈を感じると思いますが、それを噛みしめるように受け止めます。どうせ3日間は何もしないので、諦めて退屈に溺れてください。無限にぼーっとしてみるとか、散歩してみるとか、過去の日記や写真があるなら無限に読み返してみても良いでしょう。整理整頓もおすすめです。すっかり遊び尽くしたゲームやパズルもいいですね。 大別すると、おそらく以下になるかと思います。 * 静止系 * ぼーっとする、ごろごろする、ひなたぼっこする * 移動系 * 散歩、ポタリング、電車を無限に乗り継ぐ * 惰性系 * 遊び尽くしたゲーム(プレイする)、読み尽くした本(読む)、使い尽くした環境(片付けや整理整頓をする) * 振り返り系 * 過去の記録や作品を読み返す # Title: If-Thenの話「インナーイフゼンとアウターイフゼン」 If-Thenとは「もし~~なら~~する」というもので、プログラミングの条件分岐や、ライフハックのIf-Thenプランニングなどが知られています。 これの性質を整理します。 ## イフゼン If-Then(もし xxx なら yyy をする)のことを **イフゼン** と呼ぶことにします。 ## イフゼンには内部発と外部発がある 自分でイフゼンを決めて心がける場合、自分内部からイフゼンが出てきます。これを **インナーイフゼン(Inner If-Then)** と呼びます。If- Thenプランニングはインナーです。 一方、上司から「A社から連絡が来たら君の見解も踏まえた上で教えてくれ」のように、外部からイフゼン的な指示やイベントなどが来ることがあります。これを **アウターイフゼン(Outer If-Then)** と呼びます。 ## イフゼンと上手く付き合うには イフゼンは **条件** と **アクション** から成ります。 > If 条件 then アクション 条件を満たしたらアクションをせよ。 これを踏まえて、イフゼンと上手く付き合う方法を見ていきます。 ### 条件とアクションを具体的にする どちらもできるだけ具体的にするべきです。たとえば、数字化できた方がわかりやすいでしょう。 ### できれば自動化するか、よりわかりやすいイフゼンに変換する 手作業よりも自動化の方が良いのはイフゼンも同様です。 たとえば「17時になっても先方からメールが来なかったら教えてくれ」と上司からアウトーイフゼンが降ってきた場合、 * 1: 16:55くらいに「メールチェックして来てなかったら伝えよ」と書いたリマインダーを設置する * 2: 16:55に「メールチェックした上で上司に伝えよ」と書いたリマインダーを設置する などをすると、リマインダーが教えてくれるので楽でしょう。 2: の方がより楽をしています。指示を愚直に解釈すると「メールが来たら教えなくても良い」ですが、実際そんなことはないですよね。来ようが、来まいが、伝えた方が無難です。 ### インナーイフゼンは厳選する インナーイフゼンは[習慣](https://note.com/workhack20/n/n7cbdf6ca31e4)と同じようなもので、少しずつ定着させていくものです。いきなりあれこれ抱えたところで上手くいきません。 新しい習慣を手に入れるつもりで、一つずつ少しずつ取り入れていきましょう。 ### アウターイフゼンは定期的にリマインドする アウターイフゼンをずっと頭で抱えていると大変なので、忘れてしまいましょう。かわりに、定期的に思い出せるようにします。 かんたんなところで言えば、今持っているアウターイフゼンをリストアップしたイフゼンリストをつくって、これを一日一回見るようにするだけでも違います。以下のように、タスク管理や先送りの対象として上手く扱うわけですね。 より確実にやりたいなら、リマインダーとして設定します。リマインダーは仕事術として非常に便利であり、目覚まし時計やスマホのアプリ以外にも様々存在します。 当サイトとしても気合を入れて解説しています。よろしければ、ぜひ身につけてください。 # Title: ジョブ型雇用とジョブ型人事のマトリックス 混同されている例が多いので、違いとパターンを整理します。 ## マトリックスについて ![](/assets/nf5ceee3d9a42_1734640460-fZgIE7R901mQo58GcuNKUpJv.png)ジョブ型雇用とジョブ型人事のマトリックス ### 軸について ジョブ型雇用とは、ジョブ(業務内容や期待する役割をしっかり定義したもの)を定義して、これに基づいて労働契約を結ぶものです。 **ジョブに基づいた雇用** ですね。 余談ですが、ジョブを定めた文書をジョブ・ディスクリプションと呼びます。 ジョブ型人事とは、ジョブに基づいて人事管理を行うことです。人事制度としてジョブが網羅されていたり、人事評価もジョブとその達成度次第で決めたりします。 **ジョブに基づいた人事運用** ですね。 余談ですが、ジョブの他にはランク([ソリッドな等級](https://note.com/workhack20/n/n6bb3d6780eec))があって、同じジョブでもランクが高い方が評価が高くなる設計になっていることが多いです。 どちらも別物なので、ある/なしが取れて、計4パターンが言えます。 以降からは各パターンを見ていきます。 ### 1: ジョブ型雇用でもあり、ジョブ型人事でもある ジョブ型らしいパターンです。 ジョブ基準で雇用されるし、評価もされるので統一感があります。外資系や欧米ではすでに一般的です。 スキルや実績があれば職には困りませんが、身につけるまでが大変で、競争や格差が激化しがちです。日本のようなメンバーシップ型は通用しません、たとえば新卒のようにスキルや経験がない人を雇ってじっくり育てるなんてことは想定されません。 ### 2: ジョブ型雇用でないが、ジョブ型人事である ジョブで雇用していないのに、人事制度ではジョブ的――というよくわからないパターンです。 ChatGPT に聞いてみたところ、 > > このケースでは、雇用契約において職務が具体的に規定されていない、あるいは非常に柔軟性があるが、人事制度としては職務に基づいた評価やトレーニングが行われている場合です。 > > 例えば、日本の企業において、総合職採用が広く行われつつも、組織内では職務に基づいた評価制度を構築している場合がこれに当たります。 だそうです。 人事制度、特に評価の便宜のためにジョブ単位で定めてはいるが、雇用としては使っていないという状態、とも言えます。 雇用の間口を広げるメリットはあると思います。新卒や未経験者でも取れますし、ジョブ・ディスクリプションほど厳格ではなく「総合職経験者」くらいに雑な定義で募集することもできるからです。もちろん、即戦力ではないので長い目で見た教育・指導が必要となる点はメンバーシップ型と同じですね。 ### 3: ジョブ型雇用であるが、ジョブ型人事でない アンチパターンです。 ジョブ基準で雇用しているのに、人事制度は従来のまま、たとえば年功序列のままだったりするようなあり方を指します。 まず適正な評価がされないでしょうし、人事制度レベルの拘束力がないので、ジョブ型雇用なのにやらせてもらえなかったり関係ないことをやらされたりといった矛盾も起きがちです。 ### 4: ジョブ型雇用でないし、ジョブ型人事でもない 従来のメンバーシップ型のあり方です。 新卒などで間口を広げて採用し、じっくり育て上げながら、その一部が昇進していきます。流動性や多様な経験のために数年単位で仕事や所属を変えることもあります(ローテーション)。 ジョブという共通言語がないので、採用も評価も政治的になりがちです。日本では年功序列や解雇規制もセットになっていて、さらに制約も加わります。たとえば向いてないからと無闇に辞めてもらうことができなかったり、顕著な成果を出したのにすぐには評価されなかったり、昇進枠が決まっていたり、そもそも従業員が多いのでコスト削減のために一律的な制限をかけて融通を利かなくさせたりなど。 ## ジョブ型の推進にあたって * やるからには 1: を目指しましょう * 段階的にやるなら、まずは 2: (ジョブ型人事を先にやる)が良いでしょう * 逆に 3:(ジョブ型雇用を先にやる)は、評価として反映されないし、現場でもジョブのとおりに運用されないし、で最悪なのでアンチパターンです ## (関連記事) ジョブ型とは直接関係ありませんが、人事制度に絡む話題として、先進的な組織パラダイムや仕事のゲーミフィケーションを取り扱っています。よろしければ参考にしてください。 # Title: メンバーシップ型 → ジョブ型 → ギルド型 第三の雇用パラダイムとして **ギルド型** があります。 ## 概要 ### ギルド型の特徴 2024年12月現在、これといった定義はありませんが、おおよそ以下の特徴が見られます。 * 1: フリーランスを集める * 「副業」「専門家」「プロフェッショナル」といったワードもよく使われる * 2: 指揮命令系統が無い * 対等であるとか、ノルマがないとかいった表現がされる * 3: プロジェクトエコノミー的である * プロジェクト単位で集まり、終わったら解散する ### 融通の利くメンバーシップ 別の言い方をすると、個の集まりだと保証や立場が無くて弱い、でも従来の会社だと融通が利かない、というわけで前者に「守ってくれる組織(ギルド)」を追加するニュアンスが強いです。 サイボウズの以下記事の「ギルド的メンバーシップ」が端的な表現だと思います。 ### マトリックスで捉える マトリックスで整理すると、ギルド型は次のようになります。 ![](/assets/n5a6a101ef78d_1734660751-SzKPE7GHjJunxROMgcCm0lXV.png)雇用パラダイムのマトリックス 接続する、と表現しています。従来の雇用パラダイムは所属を前提としていましたが、この所属の概念を崩すのがギルドです。 接続の概念はすでにコミュニティの視座において見られます。以下記事がわかりやすいと思います。 ## ギルド型組織に必要なもの 小さな会社であれば、単に優秀かつ「合う」人を集めればいいだけなのでどうとでもなりますが、これでは再現性がありません。 たとえば何千、何万と様々な従業員が存在する大企業においても実現するためには、どうすればいいでしょうか。三点で整理します。 ### 1: 組織として保護する 上述しましたが、個の立場だと脆いので、これを組織的に保護する必要があります。 一言で言えば **正社員的なフリーランス** です。フリーランスは仕事がないと死んでしまいますが、正社員であれば固定給があります。それでありながら、フリーランスのレベルで融通を利かせる――ギルド型なら可能です。 ※もちろん誰もがフリーランスのように自律的に動けるとは限らないので、自律性を鍛える仕組みや、どうしてもできない人のための支援なども必要です。 というより、これを可能とするようなあり方にするのがギルド型だと思いますし、もしこれを実現できているなら、もうギルド型と呼んで差し支えないとも思います。 ### 2: リキッドキャリアを推進する 現代は「固定的なポジション」を用意する文化となっており、 * 1: すでに存在するポジション以外の貢献方法がない * 2: 様々な職務、雑務、ポジションでは捉えられないスキマ仕事も存在しており、これらもこなせる要領を前提としている という欠陥があり、選ばれる人材が偏りがちです。 たとえばまだ存在しない、言葉もないポジションは誰からも相手にされませんし、あるポジションで極めて有能であっても、2: をこなせない人材は無能とみなされます。これらは「チームワークが大事」「一緒に働けるかどうかを吟味する」といった形で正当化されます。 このあり方をソリッドキャリアと呼んでいます。ギルド型でも同じです。ソリッドキャリアの限界を越えられません。 ここを越えるには、固定的なポジションにとらわれない、新しいパラダイム―― **リキッド** なあり方が必要です。 リキッドなあり方を取り入れると、直接業務以外の活動も行いやすくなります。当サイトでもいくつか言語化しているので、参考にしてください。 要するに **探索や変革を行えるようになります** 。 ### 3: ネットワーク型にシフトする 組織パラダイムというと階層的なものが主流ですが、これは融通が利きません。脳の構造や対人関係がそうであるように、人にとって自然かつ融通が利く構造はネットワークです。 ネットワーク型のあり方にシフトしなければなりません。これができないと、どこかでボトルネックになります。たとえば会社が階層パラダイムのままだと、どこかの上位者がボトルネックになったり、支配的になって格差が生まれたりします。 **大きな組織をギルド型に変える場合は、すでに支配側に立っている人達の是正が必須です** 。 ネットワーク型のあり方では、誰であろうとネットワークの構成要素にすぎません。もちろん、重要な要素は多くの要素から接続されており、やはりボトルネックとなりえますが、この問題は単に冗長化をすれば済みます。そうでなくとも、ネットワークが発達しているのならば、上手く連携・協力しあってどうとでもなります。 さて、このネットワーク型のあり方をどうやって実現するかですが、現状最も近いのはティール組織でしょう。 ## (関連記事) 要するにギルド型はまだまだ発展途上であり、新しいパラダイムを持ち出さねばならないほど難しいものでもあります。 これを支援するため、当サイトでも様々な仕事術を開発していますので、よろしければ参考にしてください。 いくつか軽く紹介します。 DEIBの文脈でビロンギングが語られますが、チームワークに寄りすぎです。個が軽視されつつあります。これを食い止める概念を一つつくりました。 織田信長の兵農分離は当時は革新的だったと思いますが、同じアプローチは現代でもできます。 ゲームの力は言わずと知れていると思います。これを仕事に持ち込めると強いでしょう。 # Title: SVBSV(Single Video to Best Short Video) 一つの動画から、自分専用の最高のショート動画をつくることを **SVBSV** と呼びます。 Single Video to Best Short Video の略です。 ## 概要 ### 素材は「ある一つの動画」のみ たとえば movie.mp4 という動画があったとして、これでSVBSVを行うとしたら、素材は movie.mp4 だけです。 ### Step1: 一つの動画から素材を切り出す たとえば、以下は5つの素材を切り出しています。 * 素材1: movie.mp3 の 0:11~0:15 のシーン * 素材2: movie.mp3 の 0:24~0:30 のシーン * 素材3: movie.mp3 の 1:21~1:23 の音声 ### Step2: 最高のショート動画をつくる 素材を組み合わせてショート動画をつくります。 たとえば、 * 素材1と素材2を横に並べる(音声は消す) * 音声として、素材3を入れる * ただし尺が足りないので、存在3は複数回仕込む こうすることによって、素材1・2の二つのシーンを同時に盛り込みかつ、素材3というお気に入りの音声も混ぜ込むことができています。 強引な詰め込み方ですが、自分にとって最高であれば良いのでこれで良いのです。 ## メリット Ans: 自分を興奮させることができます。 「ショート動画」としているのは、本当に自分が気に入っている部分だけを濃縮するためです。そうすることで、自分の、自分による、自分のためのショート動画が出来上がります。 これは一般化すると「テンションを上げる」や「気を引き締める」と言えますし、さらに一言で言うと「興奮させる」と言えるでしょう。 ## 適用例 腰が上がらない自分を興奮させるために、JDI(Just Do It)のショート動画をつくるとしましょう。 素材としては、Just Do Itおじさんでも構いませんし、桜井政博さんの動画でも良いでしょう。これを使って、自分が最も興奮するような動画に仕上げます。 たとえば「リズミカルに増やすと良さそう」であれば、以下のようになるでしょう。 ※これはショートよりも少し長いので、SVBSV としては微妙です。できれば10秒以内に抑えたいです。 ## Q&A よくある議論を整理します。 ### Q: なぜ10秒以内のショート動画なのか? Ans: 興奮を最大化させるためです。 興奮は瞬発的なものなので、瞬時に興奮するのがベストです。そのようにつくる、となると必然的にショートになります。 ### Q: 視聴するときは連続再生するものか? Ans: はい。 ### Q: 用途の例を教えてください Ans: 挙げます。 * 活入れ * JDIを使って仕事をさせる、作業をさせる、目標やビジョンを思い出させる * 尊敬する人の動画の、名言を発言している部分だけを濃縮して浴びる * 憎悪のメンテナンス * 憎い人の動画からショートをつくって、それを見て気持ちを湧き上がらせる * 覚醒 * 気分がアガる音を集めたものを浴びる * 自己肯定感のメンテナンス * 自分が取材された動画から、褒められている部分だけを濃縮したショートをつくって流すことで励ます ### Q: そもそもどうやってショート動画をつくるのですか? Ans: スマホアプリを使うか、PCアプリを使います。 PCの方がやりやすいでしょう。以下があれば素材は集めきれます。 * 動画編集アプリ * 録音アプリ * 録画アプリ # Title: シンメトリーアクロニム アクロニムとは単語の先頭の文字を取って略語にしたものです。 **シンメトリーアクロニム(Symmetry Acronym)** とは、見た目がシンメトリーになっているアクロニムを指します。 ## 例 ### SVBSV SVBSV(Single Video to Best Short Video)とは、一つの動画から自分用の最高のショート動画をつくることです。 これはシンメトリーアクロニムです。 > SV B SV 左右対称ですね。 ### SFFS Single Focus and First Stepの略で、スタートラインに立つための必要な本質を表現しています。 ## 使い道は? Ans: アクロニムの命名に苦戦しているときに、使ってみることで打開できるかもしれません。 アクロニムは通常、母音を交えた語感の良さを重視しますが、都合よく見つかるとは限りません。 そんなときにシンメトリーアクロニムを探してみると、見つかることがあります。シンメトリーなので、母音がないようなアクロニムであっても覚えやすいし、インパクトも強くなります。 # Title: ファシリテーション・パラダイム ファシリテーションとは、対話やワークなど集まって何かする際に場を制御することです。 いくつかパラダイムがあるので整理します。 ## 1: モデレート 「検閲」のニュアンスを持ちます。厳しく統制するか、モデレーターの好み以外が許容されない、融通の利かないあり方になります。 例: * SNSにおける「モデレーション」 * YouTuberが採用しているモデレーター。ライブ時、不適切なコメントがあれば注意喚起したり対処したりする * より一般化すると、参加者達を監視する役割を指します * 会議に参加している「発言力の強い人」 ## 2: ファシリテート モデレートでは融通が利かないので、代わりに、進行を制御する専任者をつくってそれに任せます。それがファシリテートの概念です。 「司会」のニュアンスを持ちます。場の進行を代表的に制御します。何らかのプロセスに従うか、信念(日本では多数決や平等主義が多い)に基づくことが多いです。良くも悪くも無難になりがちです。 進行制御以外に、議論やワーク自体に参加するかどうかは、ファシリテートの好みに分かれます。仕事の文脈では、管理・支配したがる人も多くて参加しがちです。仕事が絡まない議論やワークの場合は、サボったり内面を出したくなくて避けがちです。参加する場合、パワーを持っていると実質的にモデレートになることもよくあります。 例: * [マネージャーが部下全員を呼んで行う定例会議](https://note.com/workhack20/n/n28d83a520871) * イベントにおける司会進行 ## 3: ディスラプト ファシリテートでは良くて「無難」であり、無難を越えづらいです。越えるためにはもう少し冒険が必要で、たとえば秩序を破壊しに行く営みはよく使われます。 これを **ディスラプト(Disrupt)** と呼ばせてください。ディスラプトの実践者を **トリックスター** と呼びます。 「混乱」のニュアンスを持ちます。発想法的な発散をして無秩序に情報をばらまいたり、常識や前提を疑う意見を出したり、あるいは単に批判的な意見を出したりします。 [日本の文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)とは想定されないあり方ですが、VUCAな時代に伴い、需要も増えていて、近年ではSFプロトタイピングなどビジネスでも使われ始めています。 例: * SFプロトタイピングのワークショップを主導するSFプロトタイパー * [社内エバンジェリスト](https://note.com/workhack20/n/ne3ee4b62df6a) ## 4: ? まだ見えていないパラダイムです。 第三パラダイムでは、ディスラプトを担うトリックスターは単一あるいは少数であり、ディスラプトが機能するケースがそもそも少ないとの課題があります。機能するには以下のいずれかが必要です。 * 権力を持つ者自身がトリックスターであり、かつ継続的なフォローも行う * (後者がないと現場が振り回されるだけになる) * 組織がトリックスターを活用する視座を持っており、実際活用するだけのリソースも持っている このネックを解消するためには、万人がトリックスターも演じられるようなあり方が必要と考えます。 当サイトでは以下がキーになるのではと見ています。 * [発想法](https://note.com/workhack20/n/nbc2c71a1a524) * [マスクド・アイデンティティ](https://note.com/workhack20/n/nb6d56dea5732) * あるいは「ロールプレイ」のカジュアルな活用でも良いが、アイデンティティが足かせになっているので、まずそこを見えなくして「暴れやすくする」ことが必要ではないかと考えています * [スラック(余裕)](https://note.com/workhack20/n/n91e069963343) * 現代人は多忙すぎるといいますが、恒常的にトリックスター的に動けるだけの余裕がそもそもないのは課題です # Title: フィクション・キャスティング ![](/assets/n194ac4fecb30_ed5272d7aa693a82f594aa8c83617c48.png) 現実から未来を手繰り寄せる **フォーキャスティング** と、未来から逆算して現実を手繰り寄せる **バックキャスティング** は知られていますが、 ![](/assets/n194ac4fecb30_1734745397-yWRFTlck1HIBu0fpzPtdqewK.png)フォーキャスティングとバックキャスティング。 このような、いわばキャスティング思考とも呼べそうなものは他にもあります。 その一つ、フィクション・キャスティングを紹介します。 ## フィクション・キャスティング **フィクション・キャスティング(Fiction Casting)** とは、フィクションを基点にして、現実にも持ち込もうとする攻め方を指します。 ![](/assets/n194ac4fecb30_1734745484-D9MtNYX53IjCrdaceVWbyuzZ.png)フィクション・キャスティング。 ### 例 SFプロトタイピングです。他の手法もあります。 以下引用します。 > どうやら世の中にはSFプロトタイピングやデザイン・フィクション、あるいは > スペキュラティブ・デザインと呼ばれる領域において、フィクションとリアルの境目をなくして、フィ > クションから得られるものをリアルに導入するということが提唱・実践されていることがわかってきた。 『SFプロトタイピング SFからイノベーションを生み出す新戦略』 ※このような考え方は便利ですので、名前をつけて扱えた方が良いでしょう。そこで今回、当サイトにてフィクション・キャスティングと名付けました。 ### そもそもキャスティングって? ここでキャスティング(Casting)とは、配役ではなく「~を投げる」といった意味です。 Aの世界から、Bの世界に投げるということです。 * フォーキャスティング * 現在から未来に投げる * バックキャスティング * 未来から現在に投げる * フィクション・キャスティング * 空想から現実に投げる ## キャスティングの必要性 Ans: VUCARDな世の中に適応していくために必要だから。 羅針盤をつくり、呪いを解くことができます。 * 時代は[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)。正解も無ければ先も読めないし、頻繁に変わるし、多様性もあるし、と難しい時代 * 正解を自ら模索したり、臨機応変に変わったりする行動力が重要 * しかし **羅針盤(ビジョンや軸や方針)がないと動きようがないし、呪い(固定観念にとらわれている)があっても動きづらい** * ここでキャスティングが重宝する たとえばSFプロトタイピングでは「物語には感情を動かす力がある」「SFを免罪符にする」「空想による思考の枷を外す」といった表現がよくされます。 ## (関連記事) もう少し一般化しました。 # Title: Terra Air(テラエア) ~様々なキャスティング~ ![](/assets/n952811d9912b_b11c588381102d4b862fffa4a41bf67f.png) バックキャスティングなど「キャスティング思考」とでも言えそうな営みがあるため、捉えましょう。 ## 既存のキャスティング まずはじめに、現在確認されているキャスティング(先ほど当サイトで公開したばかりのものも含む)を挙げます。 フォーキャスティングとバックキャスティングは知られていますね。 ![](/assets/n952811d9912b_1734746389-H8kFD9EM7CyXt3JBbQVYwRgd.png)よく知られているやつ。 次に、当サイトにて整理した[フィクション・キャスティング](https://note.com/workhack20/n/n194ac4fecb30)も取り上げます。 ![](/assets/n952811d9912b_1734746426-45QD7mujwJU0Ch1MakoWrHFV.png)フィクション・キャスティング ## キャスティングは他にもある? ここまで眺めてみると、他にも何とかキャスティングなるものがありそうだとわかります。 ## Terra Air(テラエア) それが **Terra Air(テラエア)** です。 まず、キャスティングには世界Aから世界Bに投げる(Aの要素をBに持ち込む)という構造があります。また、AとBは、片方が今現在私たちが手にできているもので、他方はそうではなく手に入らないものを指しています。 これを地上と空でたとえます。地に足をつけるといいますが、地上は私たちが手に入れているものです。一方、人間は空を飛べないように、空は手に入らないものの象徴でもあります。 あとは名前です。地上(Terra)と空(Air)をチョイスして、ひっつけることで Terra Air としました。 ※最初は Ground と Air で G+Air、Gair(ガイア)を検討しましたが、ギリシャ神話の女神ガイア(GAIA)が強すぎるのでナシにしました。 ## テラエアの例 * 現在 - 未来 * 現実 - 空想 * 物理 - 仮想 * アバター、VTuber、バーチャルオフィス等は知られていますよね * たとえば、当サイトでは仮想→物理のキャスティングから[マスクド・アイデンティティ](https://note.com/workhack20/n/nb6d56dea5732)を導きました * 現行 - 廃止 etc ## おわりに テラエアの考え方により、様々なキャスティングを考えることができると思います。 # Title: 機密情報の分離 情報共有を阻むハードルの一つは「機密だから」です。これを緩和するためには、情報から機密情報を分離するという発想が必要になります。 ## 分離するには ### 機密も含む情報はそれ自体が機密になる まずは性質を押さえます。機密は伝搬します。 どこかに含んでいる、あるいは含んでいるかもしれない、となると途端に **情報全体が機密情報となり、そもそも共有できなくなってしまいます** 。 ### 機密情報を独立させておく ではどうするかというと、ひと手間必要です。 * 1: 機密情報を厳密に把握する * 2: それを独立させる(部品化する) * 情報 = 機密情報 + 非機密情報 * 3: 普段情報として使うときは、2の各々を足して「情報」をつくって、これを使う 普段の運用をこのようにしておきます。 こうしておけば、情報共有時は **「非機密情報」の部分をそのまま渡すだけで済みます** 。 ### 情報共有と分離運用のトレードオフ 上記の運用(分離運用)は面倒くさいですが、そのかわり、情報共有ができるようになります。トレードオフですね。 ## 分離の例 アプリ開発の文脈ですが、オープンソースが良い例です。オープンソースとは、世界の便宜と自組織の透明性のために、アプリのソースコードをインターネット上で公開する文化です。 分離について、単純な例を一つ見ます。 ※非常に単純化した説明ですので、ご存知の方はご容赦ください。 この世界では、GitHub というプラットフォーム上でアプリのソースコードを公開します。 さて、あるアプリAのソースコードを公開したいとします。しかしアプリの要である企業秘密処理部分だけは公開したくないとします。 分離ができていないと「公開しない」に倒すしかありません。 分離できていると、公開できます。 どうやるかというと、 * 1: ソースコードを「企業秘密部分」と「それ以外」に分ける * 2: .gitignore という「指定したファイルを公開対象から外す」仕組みがある * 3: 2を使って、1の「企業秘密部分」だけを指定する こうします。 1: の部分が分離に相当します。2: の仕組みがファイル単位なので、分離もファイル単位(フォルダ単位も可)で行わないといけません。たとえば企業秘密部分は secret/ というフォルダに入れるようにして、.gitignore では secret/ を指定しよう、などとします。 こうすると、secret/ フォルダ **以外** のみが公開されるので、企業秘密部分を公開することなく、オープンソースができます。 ただし、このソースコードを使いたい利用者は、secret/ フォルダにあたる部分を自分で用意しないといけません。 無論、一から用意するのは大変ですから、アプリAの提供側が便宜を図ります。通常はダミーのファイルを置いといて「各自カスタマイズしてください」のような案内を説明書に書いたりします。 ## 分離はニ種類ある **静的な分離(Static Separation)** とは、ここまで述べた分離のことで、機密情報をあらかじめ分離しておくことを指します。 ### 動的な分離 もう一つ、 **動的な分離(Dynamic Separation)** とは、情報を共有するときに、その場で機密情報の分離を行ってしまって共有することを指します。 言葉は難しいですが、誰もが知っている営みです。 たとえば友達に会社の愚痴を喋りたい場合、その場で、頭の中で機密情報を省いたり、人名などを適当に誤魔化したりして喋りますよね。 あるいは、YouTube でもなんでも良いですが、たくさん発信を行っている人は一般的・抽象的なことばかり言います。これは、具体的な情報が何らかの機密情報にあたることが多くて、言えないからです。言える範囲で出そうとすると、どうしても一般的にしたり、抽象度を上げたりすることになります。 ### 動的な分離よりも静的な分離 動的な分離は、言葉にするまでもなく当たり前なので割愛します。そもそも **動的な分離だけでは情報共有は行えません** 。 大前提として、情報共有とはオープンなものです。 以下記事でも解説しましたが、 いつでも誰でも読めるようになっていて初めて共有なのです。 **口頭で伝えましたとか、会議で伝えました(ので参加した人以外にはわかりません)といったことは情報共有ではありません。ただの伝達です。** **共有というからには、公開して残さなければなりません。** ※辞書的な定義ではなく、情報共有としてあるべき姿の話をしています。 このような情報共有を行うのに、機密情報が含まれていると「機密があるのでできません」になっちゃうので、静的な分離が必要となります。 ## (関連記事) このような分離の考え方を扱った仕事術があります。 # Title: Are.naで「アートとしての仕事術」を展示します ![](/assets/n45e33e0225c6_8d31582a38c7e4cb0147ca456a623e87.png) 仕事術――特に当サイト『仕事術2.0』で扱っているような新しい概念は、実はアートの側面が強いのではないかと思っています。 より大胆に言えば、 **コンセプチュアル・アートではないか** 。 ……と、ようやく見えてきたので、アートとしての見せ方も始めます。 ## Are.naで展示します Are.na というアーティスト用SNSで公開しています。 更新は不定期ですが、ガンガン出していきたいと思います。 ![](/assets/n45e33e0225c6_1734777140-E0kwD5ej4tTgbiML2FJXc6O7.png)Are.na の見た目。 ## コンセプト ### Practical Conceptual Art 仕事術ですので、実際に使っていただく(少なくとも議論していただく)ことも重要です。つまり、コンセプチュアル・アートであるだけでなく、実践にも接続せねばなりません。 ですので、Practical(実践的)をつけて、サブジャンルの位置づけにしてみました。 ### テキストによる表現 私が最も大事にしているのは概念です。そして、概念を表現できるのは言語だけです。 絵や音は使わず、 **純粋にテキストだけで表現します** 。もちろん、長々と書いてしまっては、ただの記事や本ですので、グッと短く、それでもって本質を表現します。 コンセプチュアル・アートとしてのポテンシャルは十分あるはずだと信じています。 # Title: 墓ファイル(Grave File) ![](/assets/n85afbd4367b8_a539a2c9942f1c4f32a966e737f78242.png) 物理的な墓ではなく、インターネット供養でもない、第三のあり方が墓ファイルです。 ## 背景 物理的な墓は歴史が長く、物理的に訪ねやすいものでもありますが、コストがかかります。 第二の潮流として、ネット越しに供養を行い、管理もお任せするインターネット供養があります。コストは抑えられますが、管理を他人に任せてしまうことになりますし、好きなタイミングで訪ねることができません or 訪ねられないこともあります。 改善の余地があります。 ## 墓ファイル **墓ファイル(Grave File)** とは、故人の情報をA4一枚でまとめたファイルを指します。 必要に応じてウェブサイトをつくって墓ページにしたり、印刷して手元に置いておくことができます。 これならコストも大してかかりませんし、管理も自ら行うことができます。デジタルデータと印刷、とハイブリッドに残すこともできるので保存面でも安心です。 ## メリット 当サイトは仕事術(仕事のやり方や考え方)を扱うサイトですので、この観点でメリットを述べます。 **宗教観へのとらわれを軽減できる** ことです。 日本の強みとして(比較的)無宗教であることが挙げられます。宗教観は思考や活動のネックともなりますが、変えるのは基本的に不可能です。[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)な時代では不利でしょう。 宗教観さえもネックの一つと捉えて、とらわれすぎないようにすることは重要です。墓ファイルはそのヒントとなります。 つまり、墓は物理的なものであるという固定観念を打ち破ります。 ## (関連記事) 日本は無宗教だと思われがちですが、実は根強いものがいくつかあります。その一つを取り上げています。 # Title: 「ヘッドライン・リーディング」 見出しだけ読むとちょうどいい ![](/assets/n2d0058aaded8_0aac4f96450b155682d21d46dd3da9f2.png) ニュースサイトやSNSを読むと疲れます。しかし、全く読まないのも情報を追えなくて不便です。 両者の間を取る手法がヘッドライン・リーディングです。 ## ヘッドライン・リーディング **ヘッドライン・リーディング(Headline Reading)** とは、見出しだけを読んでそこで終わるという読み方を指します。 ## 例 ### はてなブックマークを例に はてなブックマークを例にします。 開いてみると、2024/12/22 09:37 現在ではこんな感じ。 ![](/assets/n2d0058aaded8_1734827868-3pd9S1LXbE45IM2AyqfvwcVH.png)ブラウザで開いた場合。 これを読んで、気になった記事やコメントを見に行くと思いますが、それだと疲れちゃいます。 ですので見出しだけ読みます――といっても、意志の力だけでは上手くいかず、結局見に行ってしまうので、 **仕組みで封じます** 。 ### 仕組み1 見出しだけを表示する たとえば以下のように、純粋に見出しだけ表示します。 ![](/assets/n2d0058aaded8_1734828065-IifAk8VaNKleC5b4QgpDS2FM.png)本当に見出しだけ表示している。 ### 仕組み2 リンクを無効にする クリックしても別サイトに飛べないようにします。 ![](/assets/n2d0058aaded8_picture_pc_ef2c70063c91e7b7760ebd760ef2ebef.gif)[マウス蛍光ペン](https://learn.microsoft.com/ja- jp/windows/powertoys/mouse-utilities)でクリックを可視化。クリックしているのに飛ばないことがわかる。 ## メリット バランスの良い情報摂取を実現できることです。 この手法自体は目新しくはないですが、意志だけで行うのが難しいものでした。 **上述した仕組みを適用することで、比較的実現しやすくするのがミソです** 。 ## (高度な話題) ### 仕組み2の方が良い 仕組み1(表示の工夫)と仕組み2(リンクの無効)のどちらが良いかというと、後者の仕組み2です。 なぜなら、前者の仕組み1には以下の課題があるからです。 * RSSリーダーなどの既存のフィードアプリでも可能だが、結局見に行ってしまう * 上述のように本当に見出しだけ表示した場合は、見た目が退屈すぎて読むに耐えない 大多数の人は失敗すると思います。それよりも、表示上は本来のままだが、リンクを禁止するという仕組み2の方が上手くいきやすいです。 ### 仕組み2 リンク無効化を実現する Tampermonkeyによる例を示します。 ※Tampermonkey自体の解説はしません // ==UserScript== // @name リンク削除 はてブ // @namespace http://tampermonkey.net/ // @version 2024-12-22 // @description リンクをクリックしてジャンプできないようにします // @author You // @match https://b.hatena.ne.jp/hotentry/* // @icon https://www.google.com/s2/favicons?sz=64&domain=hatena.ne.jp // @grant none // ==/UserScript== (function() { 'use strict'; // Function to disable links function disableLinks() { // Get all anchor elements var links = document.querySelectorAll('a'); links.forEach(function(link) { // Remove href attribute link.removeAttribute('href'); // Disable the click event link.addEventListener('click', function(event) { event.preventDefault(); }); }); } // Run the function when the page is fully loaded window.addEventListener('load', disableLinks); })(); コードは ChatGPT につくらせたものですが、単にすべてのaタグを捉えて、リンクの挙動を消しているだけです。 # Title: 今週の記事 2024/12/15 今週は 18 記事書きました。 当サイト開始から 14 週が経ちました。 [←前 2024/12/08](https://note.com/workhack20/n/necaf3e416572) [2024/12/22 次→](https://note.com/workhack20/n/n6d0ccd29663c) ## 運営関連 ## 記事 # Title: 性的なことは一切受け付けませんモード 「セクシャル・シャットアウト」 ![](/assets/nfe624768a69a_ee3bc141708b57d1100ea6c290e4f404.png) 大阪高裁の医大生逆転無罪判決が話題になっています。争点は性的同意の解釈にあり、この話題はかねてから社会問題となっています。 仕事術のプロとして何かできないか、というわけで、一つつくりました。 ## セクシャル・シャットアウト **セクシャル・シャットアウト(Sexual Shutout、SeSと略します)** とは、「私は性的な行為を一切受け付けません」と明確に表明するスタンスを指します。 SeSを表明している間は、同意の問題はクリアされます。SeSはそもそも「同意する気は0%です」と表明しているわけですから、この間に性的な行為を受けたとすれば、100%相手が悪いと言えます。 ## 運用するために SeSはまだ概念でしかありませんが、これを運用するための議論をしていきましょう。 ### 必要に応じて表明する 何らかのグッズを用いて、必要に応じて表明できると良いですね。たとえばバッジやキーホルダーやアクセサリーなどの形にしておいて、閉鎖的な空間に行く前に掲げます。 この時点で「私は今から同意0%になります」と表明しているわけですから、同意の問題は起こりえません。 ### 表明を記録する 動画や音声などで「明日9:00まで表明します」のように宣言します。これはSeS表明の証拠となるでしょう。 このような証拠とその保全をスマートに行うアプリがあると便利だと思います。 たとえば: * 自動でクラウドに保存 * GPS連携で場所も保存 * SNS的にフォロー・フォロワーで繋がれるようにして、いつ誰がどこで表明をしたかを見れるようにする * ここまで行くと好みが分かれそうですが ### SeSの概念を広める SeSをその場で説明するのは骨が折れるかもしれませんから、誰もが知っているくらい広めたいものです。 表明される側も、やましさがないのであれば、仮にSeSを提示されたとしても問題無く受け入れるはずです。 ### 悪意を持った加害者からは守れない とはいえ、SeSを無視するような、あるいは逆手にとってターゲットにしてしまうような悪意を持つ加害者は防げません。 一応、SeSは常に提示するものではなく、必要に応じて表明するものとしているので、無闇に目をつけられるリスクはある程度は抑えられると思います。ただし、その分、表明することを忘れてしまったり、状況がとっさすぎてできなくなってしまったりするリスクはあります。 ## おわりに 同意は0%です、の旨を事前に明示的に表明する、という概念を提案させていただきました。 たたき台として、議論や活動にお役立ていただけますと幸いです。 # Title: クロノ・ダイバーシティ(体内時計の多様性) 朝型や夜型も多様性だと考えます。以下記事でも述べました。 しかし、言葉がないと不便です。これらの多様性を一言で言いたいですし、朝型とは具体的にいつからいつまでか、の定義があった方が議論もスムーズです。 というわけで、整理します。 ## 体内時計の多様性 **体内時計の多様性(Chrono Diversity)** とは、体内時計の性質を朝型・昼型・夜型に大別した上で、いずれも尊重するべき個性として扱うという考え方です。 ## 朝型・昼型・夜型に分ける 体内時計は外日リズム(サーカディアンリズム)に基づきますが、まだまだ研究も発展途上であり、確かなことは言えないと思います。 しかし、尊重するためには分類は必要です。特に「朝型って具体的に何時から何時までなの?」といった疑問を解消するため、ある程度雑でも定義してしまった方が便利でしょう。 そこで、体内時計の多様性としては、以下のように定義します。 ### 朝型は 3~9 時に起床する ![](/assets/nb5292b44ba3b_1734918240-y7NPLtURJb52KeQICipnVrOE.png)朝型。 ### 昼型は6~12時、または9~15時に起床する ![](/assets/nb5292b44ba3b_1734918295-OnQ9uZWzyNCS1shPAYUeixow.png)昼型その1。6~12時。![](/assets/nb5292b44ba3b_1734918316-CcE47AJhbmyjpVnUHxMDlPe6.png)昼型その2。9~15時。 ### 夜型は12~18時に起床する ![](/assets/nb5292b44ba3b_1734918415-lvqDSY0RW1pAiIwbmfdor74j.png)夜型。 ## ハイブリッドとイレギュラー ### 時間帯が重なる部分 上記の分類では一部時間帯が被っていますが、これを **ハイブリッド** と呼びます。基本的に朝型だが、昼型もできなくもない、のように多少融通が利きます。 具体的には、以下があります。 * 朝型で6~9時の人 * 昼型の6~12時にも合わせられる(3時間遅く) * 昼型で6~9時の人 * 朝型の3~9時にも合わせられる(3時間早く) * 昼型で12~15時の人 * 夜型の12~18時にも合わせられる(3時間遅く) * 夜型で12~15時の人 * 昼型の9~15時にも合わせられる(3時間早く) ### 普段と異なるリズムで過ごす ハイブリッドの人が、普段とは違ったリズムになることを **イレギュラー** と呼びます。 体内時計の多様性としては、イレギュラーの以下のように扱います。 * 許容できるイレギュラーは3時間まで。加えて、 * 朝型は遅くすることのみ可能 * 夜型は早くすることのみ可能 * 昼型はどちらも可能で、選ぶ * 両方良い or 遅くするのみ or 早くするのみ * イレギュラーは乱用しない * イレギュラーした日には同日以上のコンディショニングデーを設ける * 勤務時間を少し減らす等 * たとえるなら休日出勤と同じようなものです ## メリット Ans: 体内時計を踏まえた過ごし方を設計できるようになります。 冒頭でも少し述べましたが、具体的な定義がないと尊重が進みづらいです。体内時計の多様性は、これを定めます。 # Title: 頭の性能と社会スタンスのマトリックス 為末大さん出演の動画にて「社会に挑むか、社会とダンスするか」の話が挙げられています。 観点がもう一つあると便利なので、追加した上でマトリックスにします。 ## 「頭の性能」と「社会スタンス」のマトリックス まずはマトリックスを示します。 ![](/assets/ncb2e51df757f_1734919547-bNoQTZwzyqS9APDsevkVhH2I.png)マトリックス。 これは「頭の性能」と「社会とどう付き合いたいか」の二軸で、自分の生き方が決まるというものです。 「決める」ではなく「決まる」と書いていることに注意してください。もちろん、努力は否定しませんが、無理やり自分の収まる先から変えようとするのは茨の道です。抗うよりも、自分のパターンを自覚した上で、そのパターンとして生きる道を探した方が健全だと思います。 ### 軸について 頭の性能とは、当サイトで以前解説しました。 詳細は記事を見てください。以下のように捉えています。 > 性能 > = 処理性能 > = 瞬発性(素早く処理)+ 原始性(道具や記録に頼らず処理) 次に社会スタンスですが、冒頭動画で述べられているもので、まとめます。 * 社会に挑む * アメリカが顕著だが、自分から周囲に働きかけてコントロールを勝ち取る * パワーが要る * 上手く行かないとダメージが大きいが、上手くいけば満たされる * 社会と踊る(ダンスする) * 「自分」を持たずに、環境に合わせる * ダメージの波は安定するが、自分がなくなって染まってしまう危険性がある ### 1: 腫れ物 性能が低く、社会に挑む者。 性能が低いので挑んでも勝てません。勝てるとしても、何らかの腫れ物になって、悪い意味で特別扱いしてもらうくらいです。 ### 2: 戦士 性能が高く、社会に挑む者。 性能が高いので挑んでも勝てます。もちろん、戦い方や舞台が悪いと負けることもあります。賢くやればどこかで勝てますし、今の場所でとりあえず勝っていくことができます。 大まかに分けると、今いる場所(たとえば会社)で挑むタイプと、社会運動への参加など別の活動として挑むタイプに分かれます。これは想定する「社会」が何であるか、とも言えます。自分の周囲だったり、「日本そのもの」だったりと様々です。 もう一つの特徴は、挑んでいるがゆえに日頃から(特に精神的に)疲弊しているので、気分転換が激しくなりがちです。言動の激しさ、金銭への執着、対人関係の問題がよく見られます。 一方で、現代では仕事術も整っており、上手く使っている人は外部から戦士だと感じさせないくらいスマートに生きています(ステルス戦士)。 ### 3: 信者 性能が低く、社会と踊る者。 性能が低いので、ただただ舞台に踊らされることしかできません。良くない舞台と出会ってしまうと搾取されがちです。 ### 4: エンジョイ勢 性能が高く、社会と踊る者。 性能が高いので、搾取や悪目立ちを回避できます。また退屈を嫌ってあちこちと顔を出すので、経験と人脈も貯まります。器用貧乏の域を出ることはできませんが、4パターンの中では最も楽しく過ごせます。 ただし、性能が高くても、知識・見識・社会経験などが浅い場合は 3: の信者状態になってしまうことがあります。たとえば、転職すればいいだけ(かつそれだけの性能がある)なのに、それをせずブラック企業に勤め続けているといったことがあります。 また、楽しいがゆえに色々手を出してしまって、恒常的に高負荷を抱えてしまっていることもよくあります。 # Title: Just Walk It ~いいから散歩しろ~ 以前 Just Do It について解説しましたが、 その散歩バージョンも解説します。 ## いいから散歩しろ! 散歩の効用は絶大です。 リモートワークが上手くいかない人の大部分は、単に散歩が下手なだけです。出社・退勤時はそれなりに歩いていたので顕在化しませんでした。あるいは、上手く行っている人も、犬を飼っていて散歩ができているから、のことが多いと思います。 さて、散歩のやり方や細かい効用を問いても仕方がありません。やらない理由など無いからです。 無理やりたとえるなら、散歩をしないというのは、ウン千万円というお金を持ちながらも資産運用をしないようなものです。よほどのことがない限りは、やらない理由がありません。 ですので、Just Do It と同様に、いいから散歩しろ!としてしまった方が合理的です。いいから散歩してください。 ## 散歩の効用 ついでに整理しておきます。 * 緊張の緩和 * 身体的なこわばり * 精神的なこだわり * 認知的なとらわれ * 肉体の保持 * 酸素の供給 * 血流の促進 * 筋骨の刺激 * 機会の獲得 * 思索の機会 * 交流の機会 * 発見の機会 これを見ると、散歩するべきタイミングも見えてきます。緊張を解きたいとき、肉体をメンテナンスしたいとき、あるいは機会を期待したいときですね。 しかし、いちいち狙って散歩するのもかえってしんどいですから、タイミングなど意識せず、 **家事や仕事の一部として組み込んでしまうくらいが良いでしょう** 。少なくとも緊張緩和と肉体保持は、生きている限りは必要なことです。 ## (関連記事) 散歩は自律性(ひとりでも自分の行動を制御できる)の判定にも使えます。 ひとりで散歩できる人にはあります。犬や連れがいればできる人にはありません。どうしてもひとりではできないという人は、おとなしく何かに頼ってください。 散歩を定着させたい場合は「習慣」が役に立つかもしれません。当サイトでもいくつか扱っているので参考にしてください。 # Title: 人間の根本的な悩みは「4Eの法則」で捉える 「HARMの法則」がありますが、使い勝手が悪いので新しい法則をつくります。 ## HARMの法則 出典は書籍『人を操る禁断の文章術』のようです(2015, メンタリストDaiGo)。HARMは以下の略ですが、 * Health(健康) * Ambition(キャリア・夢・将来) * Relationship(人間関係) * Money(お金) 根本的というほど万人の悩みを捉えてはいません。たとえば美容や鍛錬など自分に閉じた自己実現を捉えられません。 しかし、マズローやケンリックのような欲求ピラミッドを持ち出したところで「ふーん」にしかならず、実践には繋げづらいです。 ## 4Eの法則 というわけで、ちょうど良いバランスの法則をつくります。 その名も4Eです。 * Excitement 興奮の持続 * Equilibrium 均衡の持続 * Effect 影響の実感 * Expectation 期待の実感 まず持続(続けたい)と実感(感じたい)の二軸があります。 次に、それぞれ相反する指向があります。退屈が持続するのは嫌なので、盛り上げる(興奮)するか安定させるか(均衡)に傾けます。また、虚無を感じるのも嫌なので、与える(影響)か与えられるか(期待)に傾けます。 ## あなたの悩みは4Eのどこ? * 興奮が欲しいのに足りないのが悩みですか? * 均衡が欲しいのに慌ただしいのが悩みですか? * 影響を与えたいのに与えられていないのが悩みですか? * 期待されたいのにされていないのが悩みですか? たとえば同じ「健康」であっても、人によってどの悩みに絡むのかが違います。 もっと興奮するために健康で居たいのかもしれないし、興奮しすぎてしんどいから均衡にしたくて、その一環として健康になることで心身面を均衡にしたいのかもしれません。 他にも、短期的な悩みもあれば長期的な悩みもあります。また状況によって変化もします。 そういうわけで、悩みと向き合う際は、4Eのうち、どこが足りないからどうしたいかを考えると便利です。 # Title: 新語が出たときに踊る人達(DANCE) 「風呂キャンセル界隈」を例に、踊る人達を見ていきましょう。 また、踊る人達に対してどう向き合えばいいかも軽く整理します。情報化社会において、心の平穏は自ら守るものです。少しだけお役に立てると思います。 ## リアクションの「DANCE」 DANCEとは、新語が出たときの典型的な反応をまとめたものです。 * Definition 定義 * 「風呂の定義は?浸からずにシャワーだけ浴びる場合は?」 * Antipathy 反感 * 「いや汚いでしょ。風呂くらいちゃんと入りなさいよ」 * Nostalgia 懐古 * 「昔は入らない日があるのも当たり前だったんだよ」 * Context 事情 * 「現代では水やガスも高いから仕方ない」 * 「リモートで外出ないなら問題ないよね」 * 「海外では入らない日が当たり前にある国もある」 * 「うつ病だと入れなくなる」 * Empathy 共感 * 「私もそうなんだよね。それでいいんだ」 ## DANCEとどう向き合うか 正解はありませんが、いくつか目安を挙げます。 ### 一読者として読む・聞く場合 不快なものは丸ごとスルーしましょう。 基本的に懐古と反感と定義の3つは不快なことが多いと思います。懐古は「じゃあ昔はパワハラも当たり前だったんだぞとでも言うのか」ですし、反感は多様性を理解できてないし、定義は(ビジネスや議論では重要ですが)細かすぎてウザいか、単に空気読むのが下手でわかってないか、とろくなことがないと思います。 事情については、うんちく的なところがあり、知的好奇心があるなら相手にしてもいいですが、鬱陶しいならこれもスルーで良いです。 ### 新語を出す立場の場合 これも同様、共感と事情以外はスルーで良いです。 反応の割合や傾向を調べたい欲求に駆られるかもしれませんが、大喜利、自己顕示、攻撃目当て等でひねったコメントをする人も多いので、まともに相手するだけ損です。面白がれるメンタル(才能だと思います)がないなら、病みにいくようなものなのでスルーしましょう。 そもそもデータが欲しいなら、ちゃんとしたアンケート等で実施してください。 ### ビジネスやプライベートで新しい提案をしたとき 新語からは外れますが、新しい提案をしたときもDANCEはよくあります。 この場合は、提案を勝ち取るために真っ向から議論しましょう。多少相手が強い場合でも、提案の場であれば議論は許されるので挑みましょう。 議論により、自分が妥当か未熟かが判明します。自分が妥当な場合は、懐古や反感や定義を潰せるはずです。逆に未熟な場合、無視できない事情があって、それを考慮できていないことが多いです(その浅慮さが反感や懐古といった形で指摘されます)。 もし議論が許されない場合は、自分が妥当だと考えてください。よほどの越権か強引な状況でもなければ、提案に対して議論に応じないのは論外です。 ※しかし現実的には、提案を受ける側は忙しくて無知(忙しいゆえにキャッチアップできない)なことが多いので、応じないことはよくあります……。 # Title: Practical Conceptual Art 仕事術――仕事のやり方や考え方は、アートの側面も強いのではないかと感じます。 というわけで、Are.na というアーティスト用SNSを使った展示を始めました。 ジャンルとしてはコンセプチュアル・アートをお借りし、実用に接続するということで、Practical をつけてサブジャンル化してみました。 アートですので、細かい説明は抜きにして、蒸留に蒸留を重ねた本質的なネーミングと要素のみを書いています。ぜひ鑑賞してみてください。以下からアクセスできます。 以降では、もう少し詳しい話をします。 ## Practical Conceptual Art の必要性 ### 背景は仕事術の軽視 仕事術は重要であり、主語を大きくすると、日本の停滞は仕事術の軽視にあるとさえ思います。 しかし、ビジネスではいまいち重要視されるまでには至れていません。たとえば仕事術に関する役割はありません。 なぜかというと、 **仕事術が本質的に個人的なものだから** です。 ともすると「ふーん」「あなたはそうなんですね」で終わってしまいますし、特にビジネスで成功している人達はそもそも性能が高いので頼る必要性も持ちません。 そもそもエビデンスを示せるものではないので、ビジネスとは相性が悪いのです。現在、巷で組織から発信されている仕事術は、現場での実践を経て体系化されたものばかりです。 **しかし、そうではなく、仕事術の本質は、仮説としてつくったものを議論・試行するところにあります** 。 ※興味がある方は以下記事も見てください。無条件で時間をかける対象として現在はイシューとギャザーがありますが、もう一つコンセプトも入れたいのです。仕事術もここに相当します。 ### 伝え方を変えた方がいいのではないか 仮説検証として仕事術をつくり、使っていく営みは、あまりに先進的すぎて通じません。 そもそも多忙な現代がそうなっていません。たとえば仕事術のために、1日1時間の余裕を「業務時間中に」つくれるかというと、ノーでしょう。 時代が追いついていけない、あるいは時代に合っていないと言えばそれまでですが、諦めていいものだとは思えません。 ### アートとして啓蒙するのはどうか SFプロトタイピングなど、フィクションの力をビジネスに生かす潮流が盛り上がってきています。仕事術の啓蒙者としても励みになりました。 こちらの路線ではないかと日に日に思うようになり、ある日アートではないかと思いつきました。 とはいえ、音や絵で表現できるものではありません。仕事術は概念であり、ソフトウェアのように実用寄りの淡白な概念とその連携でつくるものです(組織と同じです)。このようなものは、言語で表現するべきです。 では、そんなものがアートとして成立するのか? 成立したとして、理解してもらえるのか? 理解してもらえたとして、啓蒙に繋げられるのか? わかりません。わかりませんし、現代に至るまで確立されていないのが答えじゃないかと言われると何も言えません。 それでも、私は仕事術の有用性とポテンシャルを信じています。ここで潰していいものだとは、どうしても思えないのです。 やってみるしかない。 というわけで、ChatGPT と壁打ちしながら方針を固めていき、コンセプチュアルアートとして、Are.na でやってみよう、となりました。 ## お待ちしております というわけで、Practical Conceptual Art です。 ぜひ Are.na にお越しいただき、楽しんでいただけますと幸いです。 ## (関連記事) ### 描写の委譲 Practical Conceptual Artで使っている技法です。 # Title: ワークレストバランス 休憩・休息・休養のニーズが高まっています。主な応え方としては以下があります。 * 1: 何らかの専門家が限定的な営みについて解説する * たとえば[睡眠](https://note.com/workhack20/n/n649eaa694a07) * 2: 講師やインフルエンサーを生業とする人が、話題の一つとして扱う * 3: 独自の体系をつくって啓蒙する * 書籍『休養学: あなたを疲れから救う』など しかし情報がとっ散らかっていて、「それ以前の本質」があまり捉えられていないと感じるので、ここで一つつくります。 ## ワークレストバランス **ワークレストバランス(Work-Rest Balance)** とは、ワークとレストをバランス良く回そうという考え方です。 ※何らかの理論ではなく、当サイトが整理した仕事術にすぎません。このように捉えると取り組みやすいかも、という一つのヒントとしてお使いください。 ※具体的なテクニックや知識は扱いません。それらよりも一歩高い目線に立っています。 ### ワークとレスト **ワーク(Work)** とは、やること全般です。 暇で何して過ごしてもいい時間 **以外** はすべてワークとなります。仕事はもちろん、プライベートの用事もそうですし、SNSやゲームに夢中になっているのもワークです。より直感的に捉えたければ「負荷」と捉えると良いでしょう。 この時点で、 **負荷自体をやめる時間も必要だ** と読めます。そのとおりです。多忙な現代人には難しいですが、正直そこがすべてです。 次に **レスト(Rest)** とは休憩、休息、休養の総称です。 * 休憩(Recess) * 小休止。心身を物理的に休めること * Recessは「学校の休み時間」の意、そのとおり定期的に差し込むもの * 休息(Repose) * 静寂。気を抜くこと * 誰からも割り込まれずひとりでいること。物理的に静かである必要はない(赤の他人しかいないカフェでも良い) * 休養(Recovery) * リカバリ。消耗したものを回復させること * ≒ 睡眠 + 気分転換 * (もう一つ、本来の能力を取り戻すための厳しいトレーニングも含まれるが、通常は無縁のはず) ### バランス **ある一日の過ごし方が半年以上、問題なく持続できる** ことを「バランスが取れている」と表現します。 ですので、一夜漬けや徹夜は当てはまりませんし、「4ヶ月くらい鬼のように働いた後、一年くらいダラダラして充電してました」のような過ごし方も当てはまりません。 前者は3日ももたないでしょうし、後者も身を削っているはずで半年もつかわかりません or もったとしてもまた同じことができる保証はないでしょう。 別の言い方をすると、ワークレストバランスは持続性を好みます。そもそも半年以上問題なく続く過ごし方こそが是だ、とするわけです。 ## バランスを取るために バランスを取るために必要な考え方を、さらに整理します。 先にまとめます: * 7+3 = 10 の原則 * 4つの体力ゲージ * 瀕死とクリティカル ### まずは 7+3 = 10 を取る ワークレストバランスの第一歩は、 **7時間以上の睡眠時間(床に入る時時間)と3時間以上の暇を確保すること** です。 ※これより少ない時間でバランスを取れる人もいますが、1割もいないと思うので想定しません。 これは前提です。これすらできない場合は話にならないので、頑張って確保してください。 この前提から逃げてはいけません。ここから逃げて、それでも上手く休みたいと願うのは、ダイエットしたいと言いながら暴飲暴食しているようなものです。話になりません。 というわけで、実はこの 7+3 をいかにして取りに行くかが肝心であり、この後でも扱います。 ### 体力の種類を把握する ゲームでは HP や MP などわかりやすく表示されますが、人も似たようなもので体力ゲージがあります。 4本あると考えてください。 ![](/assets/n0bbeb491f14a_1735100946-IHmL4ehkKUdu3ptg5FPnVbqC.png)体力マトリックス。 1 の物理的な体力はわかりやすいと思います。 3 の認知的は認知資源だと考えてください。注意資源と呼ばれることもありますが、頭を使って判断をすると消費します。SNSやゲームでも消費します。 2 の神経的は自律神経その他体内のリズムだと思ってください。「自律的」とあるように、 **身体が勝手に制御する** ものです。 同様に、4 の情動的つまりは感情についても、刺激に応じて勝手に反応します。一応、この[反応を殺すテクニックや境地](https://note.com/workhack20/n/n6bacdd55ae49)もありますが、今回は扱いません。 ### 自分の体力を知る 4つの体力それぞれについて、自分の場合はどうなのかを知ってください。厳密に数字で知るのは現代では無理なので、感覚でも構いません。 具体的には、以下の三点です。 * キャパシティ Capacity * 総量 * ゲージの長さです * 燃費 Consumption * 消費効率 * ゲージの回復や消費の効率です * 効率が良い = 燃費が良いと言えます * コスト Cost * 消費 * ある行動でゲージがどれだけ減るかです 次に「壊れる」タイミングを押さえます。以下の二つがあります。 * 瀕死 * キャパシティを使い切った or 使い切りそうな状態 * クリティカル * 高コストな消費が一気に来ること 最後に「壊れる」とどうなるかの例を押さえます。種類ごとに違います。 * 物理的 → 痛い、動かせない、血が出る * 神経的 → 体調不良や精神不調 * 見かけ上は物理的 or 認知的な壊れ方と同じです * 認知的 → 頭が働かない、頭に入って来ない、何する気も起きない * 情動的 → 手が出る、暴言が出る、涙が止まらない ## ここまでのまとめ ワークとライフ: * ワークとは、何らかの負荷がかかっていること * レストとは、3種類ある * 休憩(Recess)、小休止、心身を物理的に休める * 休息(Repose)、静寂、気を抜く * 休養(Recovery)、リカバリ、≒ 睡眠 + 気分転換 7+3 = 10: * 7時間の睡眠時間と3時間の暇を確保せよ 4つの体力: ![](/assets/n0bbeb491f14a_1735100946-IHmL4ehkKUdu3ptg5FPnVbqC.png)体力マトリックス(再載)。 壊れるということ: * 体力の種類により、どうなるかが違う * 「瀕死」で壊れる場合と、「クリティカル」で壊れる場合がある と、材料が揃ったので、まとめます。 ワークレストバランスとは、壊れない過ごし方を目指します。 そのためには4つの体力ゲージすべてを扱わねばなりません。瀕死とクリティカルを避けるべきですし、回復もせねばなりません。 そのためには 7+3 = 10 時間を確保することと、自分の「4つの体力」すべての仕様を知ることが重要です。 ## ワークレストバランスのABCD ここからはワークレストバランスを取りに行くために、心がけると良いものを整理します。ABCDで4点にまとめています。 * Axis 軸 * 自分の軸 * Baseline ベースライン * どこまでならいけそうか、何回までやれそうかというライン * Cost コスト * 上述したキャパシティ、燃費、コストの話 * Decision-Making 意思決定 * やること(というよりやらないこと)を決める ### Axis 軸 自分の軸を持ちましょうという話です。判断基準、羅針盤、ビジョン、哲学、信念、価値観など言い方は色々あります。 これは Decision-Making(意思決定)とセットになります。要は **自分の軸がないと意思決定しようがありません** 。何かを判断するためには、何らかの判断基準つまりは軸が必要です。 軸は一朝一夕に見つかるものではありません。継続的に[内省](https://note.com/workhack20/n/na77a9fef662c)してください。 あるいは、深く対話できる(たとえば自分の欲望や性癖を晒せる)相手がいるならそれでもいいですが、恵まれないと難しいでしょう。友人や家族であっても、できるとは限りません。 ひとりで内省を覚えるのが確実ではあります。が、こちらも適性があります。当サイトでは多少解説を重視しているので、読み漁ってみてください。 ### (意思決定が重要な理由) そもそも意思決定が重要な理由ですが、ワークレストバランスには 7+3=10 時間くらいが必要です。ここがないと話にならないとはすでに書きました。 この10時間を確保するためには、通常それなりの持ち物を捨てねばなりません。結論ですが、 **捨てるために意思決定が必要となります** 。 意思決定は通常、管理職や経営者といった特殊な立場の人が行うものですが、そうも言ってられません。むしろ、それらよりも難しいでしょう。仕事では何らかの基準やルールがあるので、心をビジネスライクにすれば済みますが、ワークレストバランスの文脈ではそうもいかないからです。 ここで自分の軸が必要になります。自分の軸がないと判断のしようがないですし、あったとしても弱ければ決断はできません。 余談ですが、現代人はワークを抱えすぎです。 かんたんな話、残業前提の仕事、片道30分の通勤、子育てを全部抱えたら、それだけで達成不可能になります。ですので、頑張ってどれかを捨てねばならないのです。あるいは勝ち取るための衝突かもしれません。 たとえば定時を勝ち取る、忙しくない仕事に転職する、リモートワークを認めさせる、そもそも子どもを生まない、マイクロケア(※1)をやめる――他にも無数にあります。 **安易に抱えて全部取ろうとするから、バランスを保てない** のです。そりゃそうでしょとしか言えません。 有能ならば良いですが、そうでもない人が欲張るのはただただ見苦しいのです。もちろん、それでも苦しんででもやりたいなら構いません。人生は自由です。 ただ、それだとつらい人もいると思うので、ワークレストバランスとしてバランスを取りましょうと提案しています。 ※1 [マイクロケア](https://note.com/workhack20/n/n2b66c0f00140)とは造語で、マイクロマネジメントをもじっていますが、子どもに世話を焼きすぎることを指します。幼いならまだしも、多少放置できるのに焼きすぎるのは、ただの自己満足であり自業自得です。本当にバランスを取りたいなら「しばらくの間は放置する」「泣いてでもやる」「慣れろ」、でも「その分濃密に過ごせる時間もつくる」でいいのです。それで済む過ごし方を模索することに努力するべきなのです。 ### ### Baseline: ベースライン 4つの体力すべてに関して、自分なりの基準を知りましょうという話になります。 具体的には、以下の3つです。 * 壊れるライン * ここまでなら大丈夫、ここから先は危ないといったライン * 回数や分量で知れると良いです * デフォルトライン * 特殊なイベントがなく平均的に過ごせた場合に、どれくらい消耗するかというライン * 特に余力の有無がわかるといいです * 要睡眠ライン * 睡眠以外の軽微なレストでは効き目がないというライン * 壊れるほどでないが、いつものパフォーマンスが出ないというラインがあると思います。 以下にイメージを示します。 ![](/assets/n0bbeb491f14a_1735106453-FVoiC5aRnxYPDr6ZpmJLlX0h.png)デフォルトなら十分耐えられるという例。![](/assets/n0bbeb491f14a_1735106516-1WBFdEGAxMkiVj5DUSYctyLo.png)デフォルトでも要睡眠ライン超えちゃうので、生活を見直した方がいいかもという例。 ベースラインの把握は **感覚的で構いません** 。 感覚が難しいなら、起きたイベントの数や、ある時点における状態など、色々計測してみましょう。セルフモニタリングや習慣トラッカーも参考になると思います。 ### Cost コスト すでに上述しました。4つの体力ごとにキャパシティ、燃費、コストがありますので、それを把握しましょうという話です。 まず特に意識したいのがキャパシティと燃費です。 ![](/assets/n0bbeb491f14a_1735106788-ZjdW1g3VLXME0epKFGIxyzNt.png)キャパシティと燃費のマトリックス。 1の人は、いわゆる「四六時中」が実現できます。逆に4の人は午前中でバテたりするでしょう。 **4の人が1の生き方を真似することはできません** 。できないのだということを自覚したいのです。 2と3の人は、1の人を目指すのはおすすめしませんが、日常生活で不便はないと思います。 次に、キャパシティと燃費はある程度上げられます。物理的な体力が特にわかりやすいですが、負荷をかけて限界を押し上げる方向性と、技術を習得して「難なくこなせるようになる」方向性があります。 どこまで極められるかは努力量と才能次第ですが、プロと呼ばれる人達は基本的に 1 です。 ということは、 **キャパシティの高さと燃費の良さを両方手に入れられない人は、そもそもプロになれない(なる才能がない)ということです** 。実際、才能がない人は比較的すぐに限界が来て、成長が見込めなくなります。 たとえば認知的な体力で 4 の域を出られない人は、「ゲーム」で勝てなくなります([ゲーム不適合者](https://note.com/workhack20/n/n9136c1c11311))。受験勉強でいうと、どれだけ努力しても偏差値50を超えられません。あっちを覚えるとこっちを忘れてしまったり、そもそも3年間で偏差値50を越えられる分量をマスターできなかったりします。 何が言いたいかというと、キャパシティと燃費から才能を推し量れるということです。そして、才能がない 4 の人は、そのジャンルで勝負するのは分が悪いということです。 上記の例だと「努力してるのに偏差値 50 すら超えられないのはなんかおかしいぞ」と気づけます。たとえば高校一年生の頃は偏差値が 60 あったのに、高校二年の後半では 50 を切る、などです。認知的な体力の才能がなくて、4 の域を出られていないのです。二年になると周囲の 1、2、3 の人達も努力を始めるわけですが、彼らはキャパシティか燃費かその両方が上がるのでガンガン強くなっていけます。平均も引き上げます。一方、4 の人は押し下げられます。それが偏差値(60 → 50)として表れています。 最後に、コストについては、「こういう行動をしたら大体これくらい消費する」という感覚を覚えるといいでしょう。ベースラインと組み合わせて把握してください。 ### Decision-Making 意思決定 Axis(軸)の部分で解説しました。割愛します。 ## おわりに ワークライフバランスという形で、休むことと付き合う際の基盤をお伝えできたかと思います。 具体的なテクニックやその他の理論は扱っていませんので、この基盤をベースにして、各自適用・運用してみると良いでしょう。 # Title: マイクロケア ~育児で正当化する人達~ マイクロマネジメントの育児版として **マイクロケア(Micro Care)** があります。 ## 育児で正当化する人たち 必要以上に育児に費やしておきながら「忙しい」「大変だ」などと悲劇のヒロインを演じる人は少なくありません。 この問題を解決するためには、当人達が自覚せねばなりません。マイクロケアという言葉は、そのために使えます。マイクロマネジメントの概念がわかる方なら、直感的に理解しやすいはずです。 **費やしすぎ** なのが問題なのです。 たとえば1日1時間の余裕を確保できるでしょうか。マイクロケアを理由に、できないと決めつけているのではないでしょうか。 ## マイクロケアを和らげるには マイクロケアを減らすためのアプローチは以下3つです。 * 軽減 * 放置・放任する時間を増やす * 代替 * 家事代行やシッターなどアウトソーシングする * 分担 * パートナーその他家族や同居人と分担する どれも当たり前に聞こえますが、ストイックにやらねばなりません。 必要なら傷も負います――これは暴力という意味ではなく、たとえば多少泣いてでもわからせるとか、支出が増えるが仕方ないと割り切るとか、パートナーと逃げずに議論する、それこそ仕事の会議のようにビジネスライクにちゃんとやるといったことです。 要するに、プライベートだからといって怠けるな、ということです。いたずらに時間を費やして献身することは、実は楽なことです。育児という性質上、美化もされやすいのが問題に拍車をかけています。 本質的には長時間残業を是としているのと同じだと理解しましょう。 あるいは別の言い方をすると、あなた自身の健康ももう少し労ってあげてください。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 乳幼児はマイクロケアするしかないのでは? Ans: はい。 しかし、マイクロケアをできるだけ軽くすることも諦めないでください。 一般的には、小学生低学年からは軽くしやすいです。一方で、高学年でも難しいケースもあれば、幼児の段階でもある程度可能なケースもあります。言うまでもなくケースバイケースです。 とにかく、軽くすることの模索を諦めないでください。支障の出ない範囲で実験もしてください。 ### Q: コミュニケーションの絶対量が減って問題が生じるのでは? Ans: 補強してください。 マイクロケアを和らげると、今度はコミュニケーションの絶対量が足りなくなってきます。これは別途補強すれば済みます。 たとえば「濃密にコミュニケーションする時間」を「1日1時間」設けます。時間にすると、たった1時間ですが、重要なのは量よりも質です。 このような考え方を **コミュニケーションの注入** と呼びます。常に一緒にだらだら過ごすのではなく、メリハリをつけて「濃密に過ごす」と「過ごさない」に分けるのです。 ※もちろん「だらだら一緒に過ごす」も入れていいです。ただ、これだけだとマイクロケアになってしまうので、「過ごさない」と「濃密に過ごす」を両方入れてバランスを取ることで「だらだら一緒に過ごす」の総量を減らしたいわけです。 ## (関連記事) マイクロケアを自覚して軽減できると、ワークレストバランスを取れるようになります。 ※ワークライフではなくワークレストです。レスト(休憩休息休養)を扱っています。 # Title: ダークネス・ダイバーシティ ![](/assets/n0b849d30572b_de9160f99e90187f03c3ad8f7614e0d9.png) ダークトライアドも多様性の一つと捉えます。 ## ダークネス・ダイバーシティ 以下の3つをダークトライアドと呼びます。 * ナルシシズム(自己中) * サイコパシー(反社会的) * マキャベリズム(他者道具化) * マキャヴェリアニズムとも ※ダーク(邪悪)とされる資質は他にもあります。 **ダークネス・ダイバーシティ(Darkness Diversity)** とは、これらダークな人達も多様性として扱うことを指します。 ## メリット Ans: ダークな人達のポテンシャルをフル活用できる。 特に以下のケースで真価を発揮できます。 * [変革](https://note.com/workhack20/n/nbd4417a09adf) * [ディスラプト](https://note.com/workhack20/n/n67c61d86018a) * ファシリテーションの第三パラダイムです * トリックスターとも呼ばれます つまり、対人関係として上手くやる以前に、本質に切り込まねばならない場合に重宝します。というより、前者の上手くやれる人達は、代わりに後者ができません。 両者の才能は両立しないと思います。後者が欲しいのであれば、ダークな人達を生かすのが最も近道です。そのためにはダークの許容が必要ですので、多様性の概念を合流させて実現します。 ## ダーキーを組織で生かすには 用語がないと不便なので定めます。ダークな人を **ダーキー(Darky)** と呼ばせてください。 さて、ダーキーを組織内で生かすためには、特殊な仕事術が要ります。具体的には以下のとおりです。 * 1: まずはソフト or ハードを判断し、ソフトならチームワークで良い * 2: ハードの場合、特区を設ける * 3: 同上、ボム(爆弾要員)として使うこともできる ### 1: ソフト or ハードの区別 ダーキーにはソフトとハードがあります。 ソフトとはチームワークを行えるほど無難に振る舞えるが、中身はダークであり漏れ出ることもある状態を指します。この程度であれば、普通の社員、普通のメンバーとして扱って構いません。そもそもダークとして問題になることもないか、カジュアルな場面でいじられる程度でしょう。 問題はハードの場合で、これは無難な振る舞いを越えて、ダークな振る舞いをする状態を指します。ダーキーは主にこちらを指します。 **ハードなダーキーはチームワークが不可能ですので、特殊な扱いが必須です** 。 ※ダーキー自身が権力を持って命令で動かすモデルもありますし、経営者としては珍しくないのですが本記事では割愛します。 典型的なアンチパターンは、ハードなダーキーもチームに馴染ませようとすることです。意味がないのでやめましょう。それよりも、次に示す特殊解の実現に費やすべきです。 ### 2: 特区 特区とは、一般社員のチームワークから外れた治外法権的な組織単位を指します。 [日本の文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)ベースですと、このような例外扱いは非常に受け入れづらいですが、他の手はないと思います。ダーキーを生かしたいなら必須です。 ただし、特区をつくって隔離するだけでは役に立たない可能性があるので、橋渡しする役割も必要です。当サイトではアダプターと呼んでいます。 ### クローズドな特区が要るかも 当サイトでは、特区はオープンなものとして扱っています。つまり特区での活動や成果物は全社員が自由に読めて、フィードバックも出せて、何なら議論もできるほど開かれています。 しかし **ダーキーの場合はオープンが好ましくないこともあります** 。ダーキーは攻撃性が高く、社員が病んでしまったり、口論などトラブルに発展することもあるからです。 そういった懸念が強い場合、特区をクローズドにしてください。つまり全社員からは見えなくして、アダプターなど限られた人だけがアクセスできるようにします。 経営者などメンタルが強い層の社員にも開放して良いでしょう。あるいは希望性もアリです。クローズドな特区では、全社員フルオープンではなく、見れる人だけが見れるように絞ります。 ### 3: 必要ならボムを すでに述べたとおり、ダーキーは特区に隔離して生かすのが良い、が本記事の主張です。 しかし、もう一つ使い道があります。 **ボム(爆弾要員)** です。 ボムとは、チームワークが前提となっている何らかの組織やプロジェクトに入って、そこをかき回す存在を指します。 膠着した状況を進展させたい場合や、厄介な[モンスター社員](https://note.com/workhack20/n/n8b69561c1f82)に対抗したい場合など、 **荒療治でアプローチしないとどうにもならない場面で投入** します。社内とは限らず、顧客含む社外の状況への投入もありえます。 その分、リスクは高いので、ボムは特に優秀なダーキーでなくてはなりません。 **少なくとも特区を上手くやれる程度の実績は必要** でしょう。 # Title: 今週の記事 2024/12/22 今週は 10 記事書きました。 当サイト開始から 15 週が経ちました。 [←前 2024/12/15](https://note.com/workhack20/n/n2e75f0960c47) [2024/12/29 次→](https://note.com/workhack20/n/nafd7a44ee8e6) ## 記事 ## ロードデトックスを実施しました 12/27,28,29の3日間で[ロードデトックス](https://note.com/workhack20/n/nf462200ad08b)を実施していました。 ![](/assets/n6d0ccd29663c_1735504988-8FHAZLSiNhmEr6u9Ml3JzbDq.png)[lit.link](https://lit.link/workhack20)でも告知していた 毎日更新は途絶えてしまいましたが、心の平穏を取り戻す良い機会になりました。毎週末行うなど今後も取り入れていきたいなと思いました。 # Title: 今月の記事 2024/12 [← 2024/11 前](https://note.com/workhack20/n/n008e7a4e2a95) → 2025/01 次 # Title: SFFS(Single Focus and First Step) **SFFS(Single Focus and First Step)** とは、スタートラインに立つために心がけるべき本質を表現したものです。以下を指します。 * Single Forcus * 一つのことに集中しろ * First Step * 第一歩を踏み出せ = 小さな成果を出せ ## 詳しく 「千里の道も一歩から」「まずはやってみる」「小さな成果を積み上げる」など、同様の本質はありふれていますが、SFFSはこのあたりをわかりやすく表現したものです。 ### Single Focus まずは Single Focus、一つのことに集中せよと説きます。 [マルチタスク](https://note.com/workhack20/n/ne9d4e394e2b2)をやめなさいと言い換えることもできます。退屈でも辛くても、いいからまずは一つのことだけやってみるのです。1日20分を5のコトに費やすのではなく、1日100分を1つのコトに費やします。 これは意外と難しくて、何に集中するかという意思決定も必要ですし、日常的な誘惑や割り込みからもガードせねばなりません。もちろん、100分続けるだけの体力や集中力も要りますから、それができるよう生活も調整します。SNSに依存しているなら断つべきですし、栄養や[睡眠](https://note.com/workhack20/n/n649eaa694a07)が不足しているならその解消から始めます。 逆を言えば、Single Focus すらできていない時点で論外なのです。1日20分でいったい何ができるというのか。 ※もちろん場合によります。管理、指導、経営の文脈ではマルチタスクが求められますし、特性としてマルチタスクが得意な人もいます。 ### First Step [ファーストペンギン](https://note.com/workhack20/n/n8d26c0c20c09)という言葉もありますが、ファーストステップと聞くと「とりあえず行動すれば良い」と聞こえます。少し違います。 第一歩とは、少しでもいいので具体的な成果を出せていることです。 **成果の第一歩** です。提案やたたき台でも構いません。次の議論に繋げられるだけの何かである必要があります。 行動自体に意味はありません。あるいは、意味があっても通じるとは限りません。少なくとも成果として認識してもらえる程度のお膳立て(何らかの言語化や作品が要る)は必要です。仮に組織文化として面倒な[提案](https://note.com/workhack20/n/nd34b68e19e57)が要るのだとしても、やるしかありません。 とにかく、成果の第一歩を踏み出してください。でないと次に繋がるかどうかが完全な運任せ、他力本願となってしまいます。 ### 両方要る First Stepを踏み出すために、実は Single Focus も必要です――というと語弊がありますが、した方が有利です。 第一歩レベルとはいえ、何らかの成果を出すのにはそれなりに時間(と覚悟)が要るからです。 ### 意外と難しい SFFSは至極当たり前に聞こえますが、意外とできません。 たとえばビジネスでは、本業の片手間で改善や新規事業に従事する(させられる)ことが多いですが、まさにできていません。本当にやりたいなら、SFFSを行える人材を用意するべきなのです。 個人レベルでも、多趣味的にあれもこれもと欲張る人が多いでしょう。ただでさえに仕事とプライベートとで抱えている中で、あれこれと手を出したところで身につきません。 ## (関連記事) SFFSと似た概念としてJDI(Just Do It! / いいからやれ!)があります。 SFFSはシンメトリーアクロニムの一例です。 # Title: トップダウンのAIUEO 現在のところ、組織とトップダウンは切っても切り離せません。 だからこそ、トップダウンの型を理解しておくことには価値があります。組織の改善や改革に役立つからです。 型をたたき台として、議論を始めることができるのです。たとえば組織改革のためにトップダウンを減らすとして、どこを減らすか考えることができますし、逆に推進力を上げるためにどのトップダウンを使うか検討することもできます。 本記事では **AIUEO** という型を整理します。 ## そもそもトップダウンとは トップダウンとは、パワーを持つ側から持たない側に降りてくる命令級の影響を指します。同じことを同格以下が言っても見向きもしないのに、上位が言うとなぜか従うのです。これを **External top-down** と呼びます。 もちろん、単に同じ組織内で命令として降ってくることもあります。トップダウンというとこちらをイメージするでしょう。 **Internal top-down** と呼びます。 ## トップダウンのAIUEO ### Authority 権威 * External * GAFAM、政府、調査会社、研究機関その他権威を持つ組織によるもの 国内の大企業においてよく見られます。たとえばリモートワークから出社への回帰も、GAFAMの後に続く形で実施します。 ### Influencer インフルエンサー * External * インフルエンサーと呼ばれる人達や、その他有名人によるもの SNSでよく見られます。インフルエンサーは訴求が上手く、バズったりすると数字の説得力も出ますし、SNS自体が共感しやすいプラットフォームになっていることもあって、と強い影響力を及ぼしやすいです。個人ではびくともしない企業を動かすこともあります。 ※インフルエンサーではない人の投稿から盛り上がるケースもありますが、AIUEOとしては取り上げません。 ### Umbrella 傘 * Internal * 経営層と現場層の中間に位置する「ミドルマネジメント」によるもの * マネージャー、管理職、中間管理職とも ビジネスでは非常によく見られます。マネージャーは自分を主とするチームを持っているようなものであり、メンバーを自由に動かせるためトップダウンを及ぼしがちです。 そもそも古典的な組織では、文化や規則としてトップダウンを前提としていることがよくあります。 ### Executive 経営層 * Internal * CxO、幹部その他経営層 [ティール組織](https://note.com/workhack20/n/n059dc3642458)など先進的な組織を除けば、このトップダウンの型は必ずと言っていいレベルで存在します。 ### Others ステークホルダー * External * やや強引ですが、社内から見て「その他」ということでステークホルダーを指します * 顧客から投資家まで含みます ステークホルダーとのパワーバランス次第ですが、何らかのトップダウンは存在します。特に株式会社など仕組み上発生してしまうものや、顧客であっても契約として発生してしまうものがあります。 # Title: リフレッシュワーク 私たちは退屈と頭の切り替えが苦手なので、休憩をおそろかにしがちです。 そこで「そこまで負荷がかからず」「適宜に退屈を潰せて」「頭の切り替えもゆるやかにできる」行為を使うと便利です。これを **リフレッシュワーク(Refresh Work)** と呼びます。 ## 例 * 家事 * 皿洗いや食器拭き * かんたんな片付けや掃除 * 洗濯物をたたむ、干す * グルーミング * 家族と * ペットと * 観葉植物と(水やり等) * 手先 * 折り紙や手芸などの趣味 * コーヒー豆を挽く、野菜の下ごしらえなど飲食の下準備 * タスクの洗い出し、日記、書類記入など筆記 ## リフレッシュワークではないもの * 散歩 * 散歩は運動のカテゴリーだからです * リフレッシュワークは、散歩よりも負荷の小さい行動を意図しています。たとえば室内でできるものです ## 運用のコツ リフレッシュワークの候補を日頃からストックしておき、使いたいときに消化していくと良いと思います。 特に頭が働きづらいときに使うと効果があります。たとえば[覚醒](https://note.com/workhack20/n/n7b5a906abe89)していないときや就寝に近い時間帯などです。 ## (関連記事) 休憩の概念はもう少し奥が深いので、気になる方は踏み込んでください。以下はワークとレストのバランスを述べたもので、休憩なるものとして休憩・休息・休養を挙げています。 # Title: ドウセンス ~記事に生地を見出すセンス~ 書籍や記事など「まとまった情報」の読み方は4種類あると思います。 **ドウ(Dough)** もその一つです。 ![](/assets/nc2844cdd5b10_1735696533-VhTK95DoZLXIGAxink0c7gFU.png)読み方マトリックス。 どの読み方にもスキルや適性があり、人によって得手不得手や向き不向きが変わります。あけすけに言えば、異なるセンスが要求されます。 それぞれのセンス、特にドウセンスを整理します。 ## ドウ以外 ### 1: ストーリーセンス * 物語を読むセンス * 持つ人の例: * 読書家 * ライターやブロガー * 会話や映画が好きな人 * センスの例: * 人への興味 * 脳内で音声やイメージや動画を再生する能力 * 文脈と機微を瞬発的に理解できる能力 最も多くの人が備えるセンスであり、健常者のセンスと言ってもいいかもしれません。何にハマるかは人によって異なり、本や映画だったり、ゲームだったり、人と話すことだったりします。エンタメと非言語情報を好みます。 逆を言えば、豊富な情報を、順を追って浴びていかないと読み進められません。勉強や研究やものづくりには(やろうと思えばできるが好んで続けるセンスではないという意味で)向いてないタイプです。 ### 2: タイプセンス * 活字を読むセンス * 持つ人の例: * 活字中毒 * センスの例 * 活字の造形自体への興味 * 活字から意味やイメージをつくる作業にハマる感性 * ジャンルを選ばない雑食 レアなセンスであり、どちらかといえば強迫観念や依存症の側に位置するものです。活字そのものにとらわれており、本だろうとラベルだろうと広告だろうと、活字であれば何でも読みます。 非言語情報への依存はかんたんですが、活字への依存はかんたんではありません。依存できるほど処理能力が高いと言え、このタイプは聡明で博識であることが多いです。ストーリーセンスを備えていることも珍しくありません。 ### 3: ヒントセンス * 役に立つ情報(ヒント)を読むセンス * 持つ人の例: * 経営者 * ビジネス書を好むビジネスパーソン * センスの例: * 知識への興味 * 勉強の要領 * 意思決定能力 ビジネスと親和性の高いセンスであり、読むものを情報源と捉えて、そのとき必要なヒントを探して拾い上げる読み方をします。速さを求める場合は速読と呼ぶこともあります。 ヒントセンスの程度を最も司るのは意思決定の能力でしょう。要は情報を高速に取捨選択していく力と、そもそも何を基準に良し悪しを判断するのかという軸の設定が要求されます。 完全な理解や丁寧な向き合い方も想定していない(※1)ので「人間」から外れがちです。このたがを外すためには、通常、ビジネスとしての強い文脈が必要となります。あるいは、ストーリーセンスを持たない者も、このセンスに頼りがちです。 ※1 必要に応じて何度も読み直したり精読したりすることはあります。 ## ドウセンスとは ### ドウについて **ドウ(Dough)** とはパン生地を意味する言葉で、「こねたりふくらませたりできるもの」を指します。 情報をストーリーやヒントとして尊重せず、好き勝手にこねたりふくらませたりします。「だしにする」と表現してもいいでしょう。 ### ドウの例 たとえば🐶さんがTというテーマで、A,B,Cと3つの主張をしているとします。 ストーリーセンスなら、🐶さんの語り口や経験といったものを見聞きして物語を浮かべるでしょう。🐶さんが出していない場合は、会話などで引き出すかもしれません。 ヒントセンスであれば、役に立つならちゃんと読むし、立たないのならスルーするでしょう。あるいは「この辺でいいか」とBまで読んだところでアクションに移ることもあります。 いずれにせよ、🐶さんの主張自体はちゃんと読んで、把握しようとします。 **ドウセンスはそうではなく、最初からちゃんと読むことはしません** 。 ※結果的にちゃんと読むことはあります。 たとえば、 * Bで使われてる、ここのフレーズが美しいので自分も使いたい。ちょっと気に入らないので、もうちょっと美しくしたい * 私が🐶さんだとしたら、テーマTに対してどんな主張をつくるだろうか。暇だし、ちょっと遊んでみるか * 🐶さんがなんか色々ストーリー語ってるけど、興味ないのでスルーして、結論っぽいところだけ拾ってそこから要約をつくってみるか。あ、主張Cも何言ってるかわからないからスルーでいいか のような、自分勝手な読み方をします。 ### 4: ドウセンス * ドウを読むセンス * 持つ人の例: * 造語を好むクリエイター * 概念や本質にこだわるクリエイター * センスの例: * 物語や原義や文脈をスルーできる感性 * 言語化やネーミングの能力 * 自分の発想や感性を第一と信じる精神 ドウセンスは、タイプセンスに次ぐレアなセンスです。 あえて言うならば、日常的に[発想法](https://note.com/workhack20/n/nbc2c71a1a524)をしているようなものです。情報は「発散されている事柄」であり、使うも使わないも自由ですし、使うにしても、どう使うかも自由だととらえます。 目的は単純で、「自分なりに綺麗な何かを出したい」です。ニーズや文脈よりも自分の納得感が第一であり、そのためならば手段を選びません。実際、ドウという形で手段を選ばずこねたりふくらませたりします。 ## 仕事術2.0ではヒントとドウにフォーカス ドウセンスの解説は以上です。ここからは仕事術2.0の話をします。 仕事術2.0では、ヒントセンスとドウセンスを意識しています。またプロフィールでも述べているとおり、[ストーリーは気にかけていません](https://note.com/workhack20/n/na9184613ed9e)。 つまり、 * 当サイトで提示された仕事術を、ヒントやドウとして読んでもらう * ヒントやドウを用いて、あなたなりの仕事術をつくってもらう ことを意図しています。仕事術2.0を通じて、 **ヒントセンスとドウセンスをインストールしていただきたい** のです。 仕事術2.0は[VUCARD(VUCA + Remote + Diversity)](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)に対抗するための、新たな仕事術です。その核心は **個性の化学反応を起こし続ける** ことであり、従来の文化では到底足りません。 各自がもっとたくさんのヒントを出して、取り入れて、ドウも膨らませて、あるいは受け入れるからこそ、化学反応を持続できます。先が読めず、変化が激しく、多様も尊重せねばならない現代だからこそ必要と考えます。 # Title: カジュアリスト ~可読性を上げるカジュアルな箇条書き~ 文章ではなく箇条書きを使うと、可読性が上がることがあります。特に作法にとらわれず、カジュアルに書くことも組み合わせた箇条書きを **カジュアリスト(Casualist)** と呼びます。 カジュアリストの例を見ていきます。 ## 例1 [GitLab本](https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0DJV337M1/)から抜粋します。 ### 1: 可読性が低い文章 > 「各工程の見積もり作成において、 作業実績、 > 成果物の品質などの項目について各要員が保有能力や稼働状況に応じて、次工程への開始時期を評価しながら作成する」 > 可読性が低いというか、無いに等しいでしょう。まともに読み取ることができません。文法的に破綻しています。 ### 2: 可読性がまずまずの文章 > 「初期工程の納期見積もりは、プロジェクトリーダーが次工程の開始時期を想定するために作成する。 > 納期の見積期間は、同様の作業の今までの実績や要求される品質に基づいて算出する。担当するプロジェクトリーダーの経験が浅い場合や参考にできる実績がない場合には、プロジェクトマネージャーに確認した上で見積もりを作成する」 同書で述べられている「可読性が高い」例です。 意味的には通じますが、読み手の認知負荷が高いです。人によってはメモしながらでないと理解できないでしょう。可読性が高いとは言えないと思います。 ### 3: カジュアリスト 上記をカジュアリストで書き直してみます。 * 初期工程の納期見積もり: プロジェクトリーダーがつくる * 何のために? → 次工程の開始時期を想定するため * 納期見積もり期間の算出は、 * 以下a:とb:に基づいて行う * a: 同様の作業の今までの実績 * b: 要求される品質 * 条件つきで以下c:も使う * c: プロジェクトマネージャーへの確認(リーダーの経験が浅い or a:がないとき) あるいは、以下のようなまとめかたも可能です。 * 誰が? * プロジェクトリーダー * 何をつくる? * 初期工程の納期見積もり * なぜつくる? * 次工程の開始時期を想定するため * つくりかた > 納期見積もり期間の算出方法は? * 以下二つに基づいて算出 * a: 同様の作業の今までの品質 * b: 要求される品質 * リーダーの経験が浅い or a:がないときは以下を使っても良い * c: プロジェクトマネージャへの確認 文章よりもかなりカジュアルですし、行が増えて縦長になってしまいますが、2: よりもはるかに読みやすいと思います。 そのカラクリは認知負荷です。情報が見やすく並んでいるので、頭の中で覚えたり並べたりする必要がないのです。 ## 例2 書籍『[AI vs. 教科書が読めない子どもたち](https://www.amazon.co.jp/dp/4492762396)』で取り上げられた問題を例にします。 ### 1: 可読性が低い文章 > Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。 > > この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。 > > 「Alexandraの愛称は( )である。」 > > (1)Alex (2)Alexander (3)男性 (4)女性 読解力の問題だそうですが、これを読解力でくくるのは軽率でしょう。読解力の他に記憶力も要求されます。実際、この例は、最初の一文だけで覚えることが4つもあります。 読み手に負荷をかけている、優しくない文章です。可読性は低いと言ってもいいレベルです。 ### 2: カジュアリスト カジュアリストで書き直します。 * Alexは、男性に使われる名前 * Alexは、女性に使われる名前 * Alexは、女性の名Alexandraの愛称 * Alexは、男性の名Alexanderの愛称 可読性は段違いです。続く問いも見てみましょう。 > 「Alexandraの愛称は( )である。」 3行目を見れば明らかです。答えはAlexです。 これが可読性を上げるということです。 ## 可読性のトレードオフ 上述したとおり、カジュアリストを使うことで可用性を引き上げられます。しかしデメリットもあります。 デメリット: * 文章でこそ表現できる複雑な情報を表現しきれない * 物語やルールの記述には不向きです * リズミカルに読めないので没入しづらく、疲れやすい * 特に[物語を読むセンス](https://note.com/workhack20/n/nc2844cdd5b10)を持つ人は、脳内で物語として処理できると疲れにくいのですが、箇条書きではこれができません * オフィシャルには使えない * カジュアリストの名前のとおり、文体はカジュアルになります * 正式な文書や発信内容として使うのは苦しいでしょう ですので、これらデメリットを受け入れてでも可読性を優先したいときにカジュアリストを使います。 より一般的に言えば、可読性を上げれば上げるほど上述のデメリットが強くなります。トレードオフの関係があるのです。 # Title: コミュニケーションや情報共有の指向性を4つに分類する ![](/assets/ndf0142831449_57206b53e9d430878c3fdbe47f5b63a0.png) チャット以外にもコミュニケーションや情報共有を行える手段はあり、[QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339)として整理しました。 * Q: Q&A * W: Wiki * I: Issues * C: Chat ★チャットは一手段にすぎないのです 同記事では各手段の指向性も解説していますが、全体像があると理解も捗ると思います。マトリックスで整理します。 ## カイス・マトリックス **カイス・マトリックス(CaIS Matrix)** と呼ばせてください。細かい意味などは末尾に飛ばします。 ![](/assets/ndf0142831449_1735788412-B45lwgzM8Iud3hKPW1OCETi9.png)カイス・マトリックス ### 軸について まずトークとテーマがあります。 トークとは会話や対話を通じて収束していく営みを指します。対してテーマとは、あるお題が与えられて、これに応える形で望みます。 テーマは問題が解決したらそこで終わりなので単純です。一方、トークは[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)の営みも想定しており、テーマほどドライではありません。 それからフローとストックがあります。 フローとはリアルタイム性の高いやりとりを指します。ITリテラシーに長けていない人でも比較的使いやすいですが、情報をあとから探すのに苦労します。 ストックとは再利用・再参照を重視したやりとりを指します。最初から記録や文書の形で残したり、継続的に手直ししたりすることもよくあります。情報をあとからでも生かしやすいですが、つくる・維持するのが大変です。 ### 1: Chat、時系列指向 トーク的でフロー的。 チャットやSNSなど、時系列的にメッセージを流すモデルはよく使われます。これをそのまま **時系列指向** と呼んでいます。 比較的誰にでもわかりやすく、会話に近い感覚で使いやすいですが、それだけです。 ### 2: Q&A、アンサー指向 テーマ的でフロー的。 お題があって、かつリアルタイム性の高いやり方です。Yahoo! 知恵袋やQuoraなど、Q&Aサイトはすでに知られていると思います。 質問というお題があって、それに対して、なるべく早く答えを出して、ベストアンサーが出ればそこで終了するというものです。答え (アンサー)さえあればそれでいい、というわけで **アンサー指向** と呼んでいます。 ※チャットにはTeamsやSlackがありますが、ビジネス向けのQ&Aツールはまだ開拓されていません。開拓できたら覇権を取れると思います。経営者や起業家の方は、ぜひ検討してください。 ### 3: Wiki、ナレッジ指向 トーク的でストック的。 チャットはフロー的でしたが、Wikiはストック的です。チャットよりも広く、深く、長く情報を残していけます。 少し補足させてください。 古典的なWikiは、コミュニケーションツールとしてのポテンシャルを持ちませんでした。承認やアクセス権など管理機能ばかりが目立っていて、公的な文書をつくるのに等しいフォーマルさが前提となっていたからです。 しかし、Cosenseなど現代的なWikiのおかげで確立されつつあります。(Wikiではないが)Notion などドキュメントツールがわかりやすくて、関係者なら誰でも好き勝手にページをつくれる・つなげるし、同時編集もできるという、あの世界観です。あれをWikiにも持ち込んだのが現代的なWikiであり、本記事でいうWikiもここを指しています。 話を戻します。 Wikiはストック的であるため、情報は必ずどこかに残ります。汚部屋のようにテキトーに放置するわけにはいかず、それなりの整理と秩序が要求されます――そうなると、結局「質の高い情報を書く」「情報の重複を防ぐ」「体系的に階層的に整理する」といった活動が顔を出します。 本質はナレッジ(知識)です。チャットと同様、フロー的で割とリアルタイムに会話するかのように進めていくことはできますが、最終的にはナレッジと呼ぶような有益な情報を残します。これを **ナレッジ指向** と呼んでいます。 ### 4: Issues、トピック指向 テーマ的でストック的。 Issues とは GitHub Issues のようなツールを指します。ジャンルとしてはイシューとかチケットなどと呼んだりします。歴史的には、問題が起きたときに、その問題を示すチケット(ページ)をつくって、以後はそのページ内でやりとりしてね、を実現するシステムです。 しかし、これには問題解決以外にも、コミュニケーションや情報共有のポテンシャルがあります。実際、GitHub も Issues と同等の機能をもう一つつくって、GitHub Discussions と名付けています。 このようなあり方は、1つの話題(トピック)を1つのページで扱っていると言えます。 **トピック指向** と呼んでいます。 ### (余談) カイス・マトリックスについて 名前の由来を書いておきます。 カイス(CaIS)とは、Communication and Information Sharing の略です。「コミュニケーションと情報共有」だと長いので定義しました。 ![](/assets/ndf0142831449_1735788412-B45lwgzM8Iud3hKPW1OCETi9.png)カイス・マトリックス(再載) # Title: Documentation Transformation 紛らわしいですが、DigitalではなくDocumentationです。ドキュメントベースの仕事の仕方に、抜本的にシフトすることを **ドキュメンテーション・トランスフォーメーション Documentation Transformation** と呼びます。 ## メリット * フルリモートで働けます * 議論と思考の風土が醸成されます * 政治を廃した、透明性の高い組織運営ができます ## 例 ### GitLab社 [自社の働き方や文化や各種プロセスに関するハンドブックを公開している](https://handbook.gitlab.com/)会社です。先月、日本語の解説本が出ました。 ハンドブックを「信頼できる唯一の情報源」として扱うことを徹底しており、全社員が例外無く憲法や法律として使うものです。 Everythins is in draft(すべては下書きである)の原則もあるため、絶えず変更も行われます。しかし無秩序ではいけませんから、ページごとにメンテナを立てて承認制にしたり、SAFEフレームワークと呼ばれる「非公開にするべきかどうか」の判断指針があったりもします。 GitLab は「ハンドブックを作成することは売上やチャーンレートと同じくらい重要である」と述べており、かなりの力の入れようです。 ### ### Helpfeel社 FAQシステムを売っている会社です。 この製品を支えるのが Cosense という Wiki です。当サイトでも何度か紹介していますが、複数人同時編集に強く、ページ間をリンクで繋いで知のネットワークをつくれる点が秀逸な Wiki です。 同社も内部向けの Wiki を一つつくっていて、[ページ数は 2025/11 で 10 万超え](https://scrapbox.io/nota- private-sample/%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%AB)。いわば内部向けのドキュメントとして機能しています。 情報や議論は基本的に Cosense で行い、[Slack は指示やお願いの用途で使っている](https://scrapbox.io/nota- techconf/Day2_%E8%B3%AA%E5%95%8F%E3%83%BB%E9%9B%91%E8%AB%87%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC_\(2021\)#6048ad7797c2910000d3de02)そう。これは前述の GitLab でも見られた特徴であり、従来私たちが重用しているビジネスチャットは「通知機能を持つ **サブの** コミュニーション手段」でしかありません。 ## DocXの特徴 DXだと被ってしまうので、 **DocX** と略すことにします。 さて、DocXには見られるであろう特徴を5つに整理します。DocX を成したければ、これら特徴を満たすように動いていけば良いでしょう。 ### 1: 集約と非同期を目指す 以下は前述のGitLab本から引用したものです。 ![](/assets/n95643fe60024_1735851931-jWQxhHo0s954gJBT7ryilmna.png)集約と同期のマトリックス(名前は当サイトによる)。 DocX では右上を目指します。つまり、非同期的に使えるもので、かつ集約――唯一の情報源として機能させることの両方を目指します。 ### (補足) 信頼できる唯一の情報源 信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth、SSoTと略す)とは「ここさえ見ておけば良い」を保証した情報源を指します。 あちこちウェブサイトやストレージを探したり、人に聞いたりする必要がなく、唯一ここだけ見れば絶対見つかることを保証します。あるいは、SSoT を探してもないとしたら新しく追加させますし、単にわかりづらくても上手く整理してわかりやすくします。 全従業員が頼る依代となるものですから、メンテナンスにはかなりのコストをかけます。単一のファイルで実現するのは厳しいため、ウェブサイトかWebサービスになるはずです。 ちなみに、もともとはソフトウェア開発の用語でした。ソフトウェアにはデータベースなどデータの保存がつきものですが、その保存場所が複数箇所に分散すると設計上混乱しがちなので、ただ一つの保存先をつくってそこだけ使おうぜ、とするわけです。 ### 2: ドキュメントをドッグフーディングする **ドッグフーディング** とは、自分たちでつくったものを自分たちで使うことを指します。特にビジネスの分野では、自分達が恒常的に使っているものを売ることを指します。 DocXでは、全従業員が使う(読んで従う)ドキュメントを自分達でつくります。もちろん一度つくって終わりではないので、恒久的にメンテナンスや更新は続きます。 ドッグフーディングというと、SaaS などのプロダクトが対象となりがちですが、ドキュメントでも可能なのです。 ### 3: 経営層による投資 [DXもそうです](https://note.com/workhack20/n/n3f7ab4d17e36)が、トランスフォーメーション(変革)には経営層による投資が必要不可欠です。 ボトムアップで現場から少しずつ広げよう、などは言い訳にすぎません。そんなものは変革とは呼べません。変革とは荒療治であり、荒療治できるだけのリソースを最初から揃えて、一気にスタートさせるものです。 少しずつ、というのは、そのようにスタートラインに立った後、実際に社内を変革しきるまでの時間がそれなりにかかるよねという話であって、 **スタートラインに立てる程度の投資を怠る言い訳ではない** のです。 DocXの場合、おそらく以下が必要でしょう。 * 全従業員がストレス無く読み書きできるドキュメントツールの整備 * 集約と非同期の両方を目指すことへのコミット * 集約 …… 信頼できる唯一の情報源をつくります。既存の情報も全部移行していきます。時間やお金がかかってもやります * 非同期 …… フルリモートを可能にさせます。たとえば全国どこに居住しても良いようにしますし出社頻度も設けません * といったことを経営層が正式に決定します * DocXを軌道に載せるための専任部隊の創設、十分なリソースと権限の付与、また詳しい人の内部登用や外部招聘 etc ### 4: オープンでフラットだが、意思決定者も居る DocX ではオープンかつフラットであり、ドキュメントは従業員全員誰でも読み書きできます。一部のプライバシーや企業秘密を除いて情報格差はありません。仮にドキュメントに書かれていなかったとしても、誰かが(たとえば知っている人に聞いた上で)書くことができます。書くことを邪魔したり軽視することは許されません。 ただし、これだけでは編集時に無秩序ですから、意思決定者も必要です。ここで意思決定者とは、最終的に「こうするぞ」と決める権限を持つ人のことです。 GitLab 社ではページごとにメンテナを設けていて、この人から承認をもらわないと更新できないようになっています。また誰かが公開した情報が法的にまずそうな場合、法務部は問答無用で非公開に戻せます(戻していい権限を持っています)。メンテナや法務部が意思決定者ですね。 Helpfeel 社ではメンテナは存在せず、誰でも承認無しに編集できるようになっています(そもそも Cosense に承認機能がない)。しかし履歴は残りますし、必要なら意思決定者が介入することもできるでしょう。具体的な意思決定者は不明ですが、おそらくCxOやその他主担当が意思決定を下せる(書き込める)風土になっていると思います。 ### 5: トピック指向 話題Aに関する情報はページAに書く、との考え方と[ **トピック指向**](https://note.com/workhack20/n/ndf0142831449)と呼んでいます。トピックとは話題の意です。 DocX ではトピック指向を徹底します。どこに何が書いてあるかをしっかりと定めることで、迷いなくアクセスできるようにします。チャットのように「色んな話題が時系列でこの辺に散らかっている」なんてことはありませんし、もしそうだとしたら整理してトピック指向にするべきです。 細かい整理のやり方は組織次第でしょう。 GitLab 社では、MECEを放棄しつつも伝統的に階層で整理しているようです。 Helpfeel社では、Cosenseがそもそもネットワークをつくるツールであり階層とも無縁なこともあって、整理をしません。かわりにページ間をリンクで繋いで地図をつくり、あとで曖昧な記憶でも辿りやすくします。もちろん、必要なら階層的な目次のようなリンク集をつくっても良いでしょう。 いずれにせよ、トピック指向では1-ページ 1-トピックとなり、各トピックはURLを持っていて個別にアクセスできます。もちろんリンクをすればページ間で繋がりができます。いわばトピックをビルディングブロックとみなして、必要に応じて自由に繋いだり剥いだりできます。 ## (関連記事) DocXはティール組織を支える概念としても使えます。ティール組織では全従業員が依り代にするプロトコルをつくりますが、これをドキュメントで担うことができます。 # Title: マンダランゲージ ![](/assets/n36d363f973d8_93ce799e47bfb81720b79a61f0e911fc.png) **マンダランゲージ(Mandalaungage)** とは、マンダラートを共通言語としたものです。具体的には、3x3 のテンプレートを用いて意見を並べます。 ## メリット ちょうどいい制約として働くため、議論がしやすくなります。 制約が創造を生むといいますが、議論も同じです。マンダラートを使うと「議題」と「出せる意見の数」と「参加人数」のすべてに制約をかけることができます。これにより、議論が * まずは個人ワークで各自マンダラートを仕上げる * その後、マンダラートを見せ合いながら議論する というフローとなってやりやすくなります。また、複数人の意見をまとめて俯瞰することもできますし、マス目も限られているので少人数で完結できます。 ## マンダランゲージ Ver1.0 共通言語としてマンダラートを使うためには、マンダラートとはどのようなものか、またどのように使うかを定めねばなりません。 当サイトとして試しに定めてみます。 ### マンダラート 3x3 の 9 マスの見せ方を **マンダラート** という。略して **マンダラ** と呼んでも良い。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735944226-iHazbxE72oreIpXyRN6DkWft.png)マンダラート。 ### マスの呼び方 電卓やテンキーと同じで、 **左下から数字を振る** 。これを **コールオーダー** と呼ぶ。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735944267-1u8lYRWfwE3bamO56JdxNo2p.png)左下からマス1、マス2、マス3、一段上がってマス4……と続く。 特定のマスを指したいときは「マス4」「4」「4のマス」など数字で言及する。 ### センターとエッジ マス5を **センター** と呼ぶ。 センター以外のマス1,2,3,4,6,7,8,9を **エッジ** と呼ぶ。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735944709-7BR6aLnglsUqmH3fkxPiN54Z.png)センターとエッジ。 また、後述する深さ2の場合はマンダラが9マス並ぶことになるが、中央のマンダラを **センターマンダラ** 、周囲のマンダラを **エッジマンダラ** と呼ぶ。 ### 深さ マンダラートを何層まで表示するかを **深さ** という。 深さ1は 3x3 = 9 マスである。 深さ2は 9x9 = 81 マスである。 深さ3は 27x27 = 729 マスである―― ただし現実的に俯瞰できるのは深さ2までである。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735944267-1u8lYRWfwE3bamO56JdxNo2p.png)深さ1。![](/assets/n36d363f973d8_1735946669-0sOcbdKYr4Utf7xC8nGVFQDN.png)深さ2。 ### ==== ### 議題と意見の書き方 議題(より一般的に言えばお題でも良い)はセンターに書き、その議題に関する意見をエッジに書く。 ### 意見の並べ方 並べ方を問わなくていい場合と問いたい場合がある。 問いたい場合は、まずは **左上から時計回りに並べる** 並べ方を使うと良い。これを **クロックワイズ** と呼ぶ。「左上から始まる」ことと「時計回りで辿る」の両方を満たすことに注意する。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735945187-VPY6XHnR7W9A3UwtegCaMpcF.png)クロックワイズ。 基本的にクロックワイズを用いるべきである。クロックワイズを前提とすることでコミュニケーションコストの肥大化を抑えるためである。もしクロックワイズが使えない場合も、別の並べ方を定義して全員に周知させた方が良い。 ### 呼び方と呼び方は違う マス目の呼び方と、意見の並べ方は区別するべきである。つまりコールオーダーとクロックワイズ(他の並べ方も同様)は別物である。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735946013-kvPc4jTeanMDFA9g5fSry016.png)コールオーダー(c)とクロックワイズ(CW)の比較。 意見の並べ方は、状況に応じて変わる可能性がある。支障がなければデフォルトのクロックワイズ(左上から時計回り)を使えば良い。 一方、 **マスの呼び方は厳密に揃えるべきである。マンダランゲージではコールオーダーを使う** 。 例: クロックワイズで3番目の意見に言及したい場合 「マス7の意見は……」のようなコールオーダー的な指し方をすれば確実に通じる。ただし「3番目の意見は……」などクロックワイズ的な指し方でも良い。特に順に話してもらうときは重宝する。 ### ==== ### クロックワイズに基づいた並べ方 クロックワイズに基づけば、n人の意見もスムーズに並べる・読むことができる。 ### 深さ1で、n人の意見を並べる 2人、3人、4人が可能である。いずれにせよ全員が同数の意見を並べる。 例として🐶、🐱、🐮、🐵の4人を想定する。 2人の場合、以下の4パターンが可能である。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735946230-xAje8z2LC0hrsWn7UwQiSOka.png)1人4つ並べる。![](/assets/n36d363f973d8_1735946244-DstkjWZ1FmSpozh3VLbBUKPN.png)1人3つ並べる。![](/assets/n36d363f973d8_1735946255-RwnXT3xqlK9E4zNC6mYgkc5u.png)1人2つ並べる。![](/assets/n36d363f973d8_1735946338-w3H5gBLe1pW8umDRMnlJjtSc.png)1人1つずつ並べる。 3人の場合、以下の1パターンが可能である。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735946376-sxMyHnPoIzkjcuJwWUK2Gi6Z.png)1人2つずつ並べる。 4人の場合、以下の2パターンが可能である。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735946411-kJb0apEcCXF613oQVD2stP45.png)1人2つずつ。![](/assets/n36d363f973d8_1735946421-29C1MLjBGTEKHXyhIWovObi8.png)1人1つずつ。 ### 深さ2で、n人の意見を並べる 8人まで並べることができる。 センターマンダラには1人1要約で意見を置き、エッジマンダラには1人1マンダラで補足を置く。 エッジマンダラのセンターにはその人の意見を置くと良い。センターマンダラにも書いているので重複するが、視線移動の手間がなくなり読みやすくなるので重複の手間を負ってでも書くべきである。 ![](/assets/n36d363f973d8_1735946786-z1jTUmIKt4GDdgYkxuf9ChEe.png)4人で並べる場合のイメージ。 ## (関連記事) マンダラートは汎用的なツールであり、他にも使い道はあります。たとえば一人用や複数人用のタスク管理としても使えます。 # Title: 仕事術2.0のArticle Network ![](/assets/neaa0212fdbec_01da3658593eb96a2b9593e6f9e08c65.png) 当サイトは記事から記事へのリンクを積極的に行っており、知のネットワークが構築されています。いわば **記事のネットワーク(Article Network)** が出来上がっています。 このネットワークを辿りやすくするためのウェブサイトをつくりました。 ## こちらからアクセスできます ## ギャラリー ![](/assets/neaa0212fdbec_1736030702-V4Hf5FIwpOuy0azs1otg6j87.png)記事一覧をいくつか用意しています。 ![](/assets/neaa0212fdbec_1736030728-zbMa0dcpTikfngPwYmHNeXBD.png)記事を見るとリンク元、リンク先、2ホップリンクを見ることができます。 ![](/assets/neaa0212fdbec_1736030777-a9Cu1N8xqiSVYydZLBH25KRJ.png)[今週の記事](https://note.com/workhack20/m/m9b1a500d7d70)もバッチリ見えていますね(2025/03/16追記 [廃止してます](https://note.com/workhack20/n/n14ee3a5c4d74)) ## 何かございましたらコメント欄へ コメント欄を開放しています。 何かございましたら、お気軽にどうぞ。 # Title: 今週の記事 2024/12/29 今週は 9 記事書きました。 当サイト開始から 16 週が経ちました。 [←前 2024/12/22](https://note.com/workhack20/n/n6d0ccd29663c) [2025/01/05 次→](https://note.com/workhack20/n/n2e531308afee) ## 記事 ## ウェブサイト # Title: 仕事依頼 **(2025/05/09 追記) トップページからのリンクは外していますが、引き続きお待ちしております。** 特に以下に関して、私の起用をご検討いただける方をお待ちしております。その他のご依頼もお待ちしております。 お気軽にご連絡ください。 ### 変革部門の皆さまへ * 仕事術の開発・推進を行う[社内エバンジェリスト](https://note.com/workhack20/n/ne3ee4b62df6a) 仕事術は本質的に個人的なものであり、自ら模索するしかありません。そのために模索を活性化させる仕掛けが必要で、これを担うのが **社内に** 向いた **仕事術の** エバンジェリストです。 ### DEIB推進室の皆さまへ * 仕事術を軸としたダイバーシティの推進者 ダイバーシティにおいて重要なのは、マイノリティが実際に共存するための仕事術(仕事のやり方と考え方)です。仕事術を知らないと結局何もできません。声を大にするだけでは、腫れ物にしかならないのです。 真にダイバーシティをもたらすために、仕事術にこそ目を向けねばならないと考えています。たとえば[働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)や[DEIBよりもRAISE](https://note.com/workhack20/n/n1215696687c6)を提唱しています。 ### パトロンの皆さまへ * [Practical Conceptual Art](https://note.com/workhack20/n/nad6c53fa736a)、その他「アートとしての仕事術」を開拓するアーティスト 仕事術は本質的に個人的なものであり、ビジネスや研究ほど事例やエビデンスが正義とも限りません。ひょっとすると、芸術として探求した方が面白いのではないかと考えることがよくあります。 アートとしての仕事術です。 その試みとして、テキストで概念を表現した[ Practical Conceptual Art ](https://note.com/workhack20/n/nad6c53fa736a)を始めました。このジャンルに芸術性を、その可能性を見い出していただける方のスカウトをお待ちしております。 ### お問い合わせはこちらから お問い合わせはこちらからどうぞ: また、当サイトについては、こちらからどうぞ: # Title: エンバラスメント **エンバラスメント(embarrassment)** とは気まずさを意味します。特にビジネスシーンにおいて発生する沈黙を指します。 ## 例 * 待ち時間中の会話が続かず、沈黙が気まずい 気まずさは他にもありますが、 **エンバラスメントとして扱うのは沈黙です** 。 ## メリット Ans: 気まずい状況そのものに言及できること。 エンバラスメントの概念を知っていると、「エンバラスメントですね」のように、今の気まずい状況について言及できます。 ビジネス用語なので、単に「気まずいですね」と言うよりも心理的に楽です。誰かが悪いのではなく、普遍的な現象としてよく起こることであり、単に起こった事象に言及するだけという構図です。気まずさを気にする「人間」なのだという点も再認識できます。つまりは **場が和みます** 。 そして **言及できれば対処もできます** 。 * 「私は気にしませんよ」と受容する * 「エンバラスメントが続くのもアレですし、……」と解消に繋げる * そもそも準備段階でエンバラスメントの予防を考えておく etc # Title: 現象化(Phenomenize) ビジネスにおいて自然に起こるものだ、つまりは「現象なのだ」と捉えることを **現象化(Phenomenize)** と呼びます。 ## 例 「気まずさ」を現象化してみました。エンバラスメントと名付けています。 エンバラスメントは現象であり、誰が悪いというものではありません。現象なので「雨が降りましたね」と同レベルで制御不可能なものです。起きるときは起きます。 それでも気まずさが起きていることには言及できますし、受容や軽減や予防といった対策も取れます。 ## 他の例は? ### リーケージ(leakage) 普段忘れない人でも、たまには or 稀には忘れてしまうことを指します。 leakageは「漏れる」の意です。特に容器に小さな穴が空いていて、少しずつ漏れていくニュアンスがあります。穴が空いているので、時間が経てば物理的にある程度は漏れます。 忘れたときはその人の問題として扱われがちですが、人間なので忘れることはあります。ビジーなど状況次第では忘れやすくもなります。ですので、自然現象のごとく現象なのだと捉えてしまうわけです。すると、 「すいません、リーケージしてました」 のような言及ができて、不毛な問題化――その人を責めることもなくなります。リーケージを防ぐためには、といった思考にリソースを振りやすくもなります。 ### MP(魔力) 認知資源を指します。すでに比喩的に用いられている言葉だと思います。 認知資源(または注意資源)とは、判断を行う際に消費するリソースだと考えられているものです。これを使い切ると思考も判断もできなくなってしまいます。 スマホでも消費しますし、睡眠しないと回復しませんので、生産的に過ごしたいなら日中いかに節約するかが鍵となります。同じ服を着るといったライフハックはよく知られています。 さて、認知資源を現象化してMPだと捉えると、「HPのように消費するものである」「宿屋で寝ないと(睡眠しないと)回復しないものである」と理解しやすくなります。 ゲームでは回復アイテムや回復魔法がありますが、認知資源を回復する手段はありません。これも「宿屋以外に回復手段のない厳しめのゲーム」と捉えることで直感的に理解できるでしょう。 「今日はもうMPがない」といった表現もできるように(また通じるように)なります。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 心理現象との違いは? Ans: 心理現象は研究によって明らかにされたものです。 一方、現象化は明らかにされているとは限りません。具体的には、以下のパターンがあると思います。 * 明らかにされていないが、誰もが薄々感じているもの * 明らかにされているが、その心理学的な名称がわからないもの もう一つ、「明らかにされていないし、誰もが感じているわけでもないもの」もありますが、現象化しても通じづらいでしょう。 ### Q: 現象化とは「まるで現象であるかのような名前をつけてクッションにする」ことと考えて良い? Ans: はい。 冒頭で挙げたエンバラスメント(気まずさ)はまさにそうで、一見するとどちらか or 双方のコミュニケーション上の問題と捉えがちな気まずさを、問題ではなくただの現象と捉えます。 そうすることで「あなたが悪い」「私が悪い」と考えることを回避できます。ただの現象ですよね、雨や強風と同じようなものですよねと捉えられるようになります。 # Title: チャットの次は「キャスト」 チャット(Chat)と似た、新しい概念としてキャスト(Cast)を提案します。 ## チャットとキャスト ### チャット 1対1でメッセージをやりとりするものです。 ビジネス用に強化したのがビジネスチャットであり、以下機能を持っています。 * ワークスペース、チャンネル、グループチャット * n人に同時に届けることができる * スレッド * 関連する会話をひとまとめにできる * メンション * 通知を飛ばせる ### キャスト 1対Nでメッセージをやりとりするものです。 チャットメッセージは指定した人(あるいは指定した場所内に属する人)にのみ届けるものでしたが、キャストメッセージは **常に全員に届きます** 。 仮に社員3000人の大企業でキャストを行った場合、🐶さんのキャストメッセージは常に3000人全員に見える形で届きます。当然ながら🐶さん自身にも、3000人分のメッセージが届きます。 ※キャストとはブロードキャストだと考えてください。広く届けるニュアンスです。 ## キャストの概要 ### 送信者と受信者 キャストメッセージを投稿人を **送信者(Sender)** 、それを受け取る全社員側を **受信者(Receiver)** と呼びます。 ### 受信(レシーブ) 受信者には全社員分のキャストメッセージが届きますが、もちろん愚直に表示するわけにはいきません。パンクします。 そこで、受信者は「これまで投稿されたキャストメッセージすべて」から「上手いこと取り出す」操作を行います。これを **レシーブ(Receive)** と呼びます。 レシーブとして使えます。 * 1: 要約を取り出す * プロンプトエンジニアリング * 2: 傾向を取り出す * ブロードリスニング * 3: 原始的なフィルタリング * プリミティブ・フィルタリング 1: と 2: を見てわかるとおり、生成AIのパワーを使っています。 プロンプトエンジニアリングとは、生成AIに問い合わせる質問(プロンプト)を上手くつくって投げることです。すでに工学(エンジニアリング)と呼ばれるレベルで整備されています。 ブロードリスニングとは、大量の意見を傾向を可視化することです。直近では都知事選の安野たかひろ氏が使いました。詳細は以下記事を見てください。 > ブロードリスニングという言葉はオードリー・タンらが行なっている社会運動(Plurality)で使われるようになった言葉です。 最後、3: のプリミティブ・フィルタリングは、その名のとおり原始的な――つまりは従来のフィルタリングです。時期や投稿者やその他キーワードを指定して絞り込みます。 ### 投稿に対する反応は4R X(Twitter)では投稿に対してリプライやリポストができますが、このような反応はキャストでもできます。 以下をサポートします。 * リプライ。返信 * リポスト。複製投稿 * 🐶さんの投稿Aを🐱さんがリポストした場合、「🐶さんの投稿A」を🐱さんがコピペして投稿したような挙動になります * リアクション。スタンプ * リマインド。新しい概念なので説明します * 🐶さんの投稿Aを🐱さんがリマインドするとします * たとえば「明日の朝また教えて」「明日から2日ごとに教えて」といった指定をします。すると指定した頻度で「🐶さんの投稿A」が🐱さんにリマインドされます * また、🐶さんの投稿Aには「リマインド: 1」のようにリマインドされた分がカウントされます また送信者側は、リプライ可能な人を指定できます。「誰でもOK」「指定した人・組織だけOK」「全員NG」。 ### 無いもの * メンション * 通知 * (リマインドはあります) * フォロー・フォロワー * X(Twitter)でいうリスト ## メリット [オープンな情報共有](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc)を実現できます。 従来はSlackやTeamsなどビジネスチャットで行われていましたが、階層やグループの分類がひどくて、よほど組織文化で後押ししない限りはまともな情報共有になりません。 また[QWIC](https://note.com/workhack20/n/n601fd74a0339)でいうWiki(ウィキ)を使っても可能ですが、数百人以下の小中規模な組織でしか通用しません。またフロー型ではなくストック型であるため、利用に要求されるハードルが高いです。 ※一般人のITリテラシーは、SNSやチャットなど「単一の投稿エリア」からメッセージを投稿する、が限度だとされています。これより複雑な仕組みとなると、相応のメンタルモデルやスキルが必要です。たとえばウィキはページの概念があり、どのページに書くかとかページ間リンクをどうつなぐかとか記法はどう書くのかといったことをマスターする必要があります。 そういうわけで、新しい概念が必要です。それがキャストです。全員に届くという大胆な転換により、情報共有を可能とします。 ## おわりに チャットの次の手段としてキャストを提案しました。事業や改善のたたき台として使えるでしょう。 # Title: Fine Communication(きめの細かいコミュニケーション) 仕事でもチャットが使われるようになって久しいですが、チャットでは「痒いところに手が届かない」ことがあります。 手が届くようにするための細かい機能や概念を **Fine Communication ** と呼びます。Fineとは(粒度が)細かいという意味です。 チャットにおける、Fine Communicationの例を3つほど紹介します。 ## 時限消去メッセージ **時限消去メッセージ(Time-Limited Message, TMM)** とは、一定時間経過後に削除されるメッセージを指します。 私たちはメッセージがずっと残っているだけでも疲弊します。いつ誰に読まれるかわからないとの不安があるためです。また「出世競争」の概念がある企業では、揚げ足を取られないためにできるだけ残したくないという心理も働くことがありますし、昨今はDiscordコミュニティなどクローズド化も進んでいます。 この疲弊感を減らすのがTMMです。 ### 事例 * GitLab社ではSlackにて、90日後に消す運用をしているそうです * [ドキュメントとしてまとめることを促す](https://note.com/workhack20/n/n95643fe60024)ためだそうです ### 90日より短くても良い 疲弊感を減らす目的であれば、もっと短くても良いでしょう。たとえば一週間後、2日後といった短期間を使えば、有意に効果を感じられるでしょう。 ## ネストした公開設定 **ネストした公開設定(Nest Visibility)** とは、ビジネスチャットにおける「ワークスペース(チーム)」「チャンネル」といった組織単位の中に、さらに「一部メンバーのみに伝える」範囲指定を追加したものです。 違い: * グループチャット * 組織単位とは独立して、n人のみを指定するものです * ワークスペースやチャンネル * メンバー全員に届けることしかできません * ワークスペースであれば「プライベートチャンネル」をつくれば済みますが、融通が利きません(後述) 情報共有を阻む課題として「DM、プライベートチャンネル、グループチャットの乱立」がありますが、その一因は **単に関係者を素早く招集できないから** だと思います。 ネストした公開設定を使うと、普段使っているワークスペースやチャンネル内から指定の人だけを集められます。 **かんたんに行えます** 。たとえばメンバー一覧から選択させる UI を使えば良いでしょう。 かつ、これでつくられた場は「一時的なグループチャット」であり、一段落したら閉じることができます。また閉じることを推奨します。閉じたあとは Read only となり、新しく投稿したりメンバーを追加したりはできません(ので **安心です** )。 ### コクーン この「一時的なグループチャット」を **コクーン(cocoon)** と呼びます。 仮にネストした公開設定を多用する場合、ワークスペース内やチャンネル内には多数のコクーンができるでしょう。すでに述べたとおり、新しくつくるのがはるかにかんたんだからです。 コクーンは誰でもつくれますし、用が済めばすぐに閉じれますし、タイトルもつけられます。いわば **小さな会話片(スニペット)** として機能します。グループチャット内で長々と会話を繰り広げるよりも、はるかに読みやすく言及しやすいのです。昨今、Obsidian や Cosense などのネットワーク型ノートも台頭していますが、同じノリで繋いでネットワーク化していくこともできます。 さらに、コクーンのタイトルと接続は個人設定です。つまり、🐶さんが設定した内容と、🐱さんが設定した内容は違います。あくまでも各個人が好き勝手に整理するものです。これにより、整理しない人はそのままでいいですし、したい人は自由にできます。争いが起きません。 ### 事例 ありません。 ですのでチャンスです。ぜひ、あなたの手でネストした公開設定を実装してください。新たなチャットツールとして覇権を取れるポテンシャルさえあると思います。 ## ステータス化 **ステータス化(Statusize)** とは、メッセージに状態を導入することです。状態はタスク管理において使われるもので、未着手・進行中・終了といったものがありますよね。 ただし、Fine Communication では **タスク管理はしません** 。かわりに以下を導入します。 * ウォッチしたい状態: * 既読有無 * 賛否(OK or NG)有無 * 返信有無 * リマインド: * いついつまでにアクションがない場合に、リマインドを出すか つまり、指定した状態が指定した時間内に見受けられない場合、その人にリマインドが送られるというものです。 たとえば「既読、2日」とした場合、2日経っても開いていない人にリマインドが行きます。「返信、7日」であれば一週間経っても返信がない場合にリマインドが行きます。 一見すると煩雑そうな概念ですが、 **ステータス化のメリットはタスク管理を減らせる** ことです。誰がどんなステータス化をするか、という点は難しいですが、ステータス化さえすればあとはシステムがリマインドしてくれます。複雑なタスク管理はまかなえませんが、多くの人を救えるはずです。 ### 事例 ありません。 ネストした公開設定と同様、このステータス化を実装したチャットがあれば非常に便利でしょう。ぜひつくってみてください。 ### ステータス化のスコープ ステータス化によりリマインドする際、誰にリマインドするかという対象範囲(スコープ)が悩ましいでしょう。 論点は二つあると思います。 * スコープの指定をどうやるか * 愚直にやるなら @mention タグで良いでしょう * タグがない場合は、参加メンバー全員にするか、何もしないかです * 乱用されると鬱陶しい問題をどうするか * たとえばトップダウンの通知でこれを使われると非常に鬱陶しいです * 乱用される余地があると、組織構造的に乱用されがちですので防いだ方がいいでしょう(まだ妙案はありません) # Title: FAPA ~淡々と情報を出す人格~ 日本は[関係ベースな文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)であり、同じ社員やプロジェクトメンバーであっても信頼関係をつくらないと情報が出てこないところがあります。 関係の構築を廃して、素早く情報を出し合うためには、それ専用のロールプレイが必要だと思います。今回は、こんなふうに演じればよいという一つのロール(仮想人格)を紹介します。 ## FAPA FAPA(ファーパ)とは、淡々と情報を出すために心がけると良いことを4つにまとめたものです。 * Flat * 立場や関係性を持ち込まない * 例: 赤の他人だから、役職が低いから * Annonymous * 匿名で * Plain * 口調をプレーンに * 「ですます調」でも「である調」でもなく、備忘録のような文体です([備忘口調](https://note.com/workhack20/n/n39edd477a25a)) * Abstruct * 具体名を避けて抽象的に 注意点として、 **これら4つは全部同時に** 使います。FlatとPlainだけ、など一部だけでは効果がありません。必ず4つ全部使います。 ### FAPAで情報を出す≒書く FAPAに従うためには、対面で口頭だと無理があります。チャットや共同ドキュメントや付箋アプリなど何でも良いですが、書く必要があります。 ※ボイスチェンジャーを用いた録音などを使えば、話すやり方でも可能ではあります。 ### FAPAで出す情報≒トリガー FAPAで出す情報は、Abstructのとおり抽象的となります。具体性がなく、情報になってないと思われるかもしれませんが、そうではありません。 抽象的な情報は **トリガーとして** 使えます。各自の思考や意見を引き出すためのヒントとして使うのです。また、匿名とはいえ、赤の他人ではなく、同じ社員やプロジェクトメンバーによるものなので、多少の信頼性や親和性はあるはずです。もちろん、ヒントなので、使う使わないは自由です。 ## メリット FAPAのメリットは、関係ベースを廃して情報を出すための明快な指針を与えていることです。 関係ベースを廃することは非常に高度であり、現代でもまだまだ先鋭的な概念ですが、FAPAを使うと比較的かんたんに実現できます。 # Title: 多様性を支える4つのT 多様性を実現するのはかんたんではありません。 知識として知っているだけ、配慮しますの口先だけ、はよくありますが、これだけでは何も救えません。 実際に多様なあり方を実現し、かつ維持するためには相応のやり方と考え方――つまりは仕事術が肝心である、とは以前述べた通りです。 今回は、多様性を支えるという題目で、4つの観点を整理します。 ## 1: Tenet テネットと読みます。原義は信条や教義ですが、ここでは文化とメンタルモデルだと考えてください。 例: * 日本含めアジア圏では[関係ベースの文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)が存在しています * 一緒に過ごす時間を経なければ信頼関係が構築されづらいです * これは事実上、一緒に過ごす要領(いわゆるコミュニケーション能力)とその組織から見て「合うこと」を要請します * 合わない人は排斥されます * [常に特定の人を想定してコミュニケーションをする](https://note.com/workhack20/n/nd70bc71f3450)というメンタルモデル(コミュニケーション1.0)があります * このメンタルモデルにとらわれていると情報共有が行われません * 情報共有は不特定多数に対してオープンに行うものであり、1.0の考え方では(想定ができないので)動きようがないからです * 1.0が蔓延している職場では情報共有が行われず、もちろんオープンにもならずに、政治が蔓延します すべては **テネットを言語化して自覚すること** から始まります。言語化するからこそ自覚できますし、自覚できるからこそ議論ができます。 今現在のテネットに合わない人、にフォーカスを当てることができるのです。 ## 2: Thought と Technique Thought(考え)とTechnique(方法)です。 多様性としてこんなあり方もあるよねという考えを言語化します。また、こういうやり方にすれば上手く共存できそうじゃない?という方法も言語化します。 言語化すると議論できます。また試すこともできます。 例: * 朝型や夜型も多様性だよね * 👉️[クロノ・ダイバーシティ](https://note.com/workhack20/n/nb5292b44ba3b) * 朝型と夜型が時間や場所を合わせるためには、こういう方法を使うといいよね * 👉️[コアタイム](https://note.com/workhack20/n/nc3929b522116) * 👉[️ハイブリッドスケジュール](https://note.com/workhack20/n/n406b0bde0a12) テネットもそうですが、既存の用語として存在しているとは限りません。むしろ造語して当たり前です。下記記事で述べたように、典型的な多様性だけが多様性ではないのです。 **重要なのは言語化です。そして、言語化したことを議論して揉むことです** 。そうすることでのみ、多様性の解像度を高くすることができます。 ## 3: Technology 考えと方法だけでも十分まかなえますが、人手で動かないといけないため大変です。向き不向きもあります。 そこでTechnology(技術)でカバーします。主にソフトウェアです。考えや方法を、誰でも統一的かつ楽に行えるようにするソフトウェアを使えばいいのです。 既存のSaaSを使ってもいいですし、自製(内製)してもいいでしょう。いずれにせよ、ソフトウェアの使い方は啓蒙やトレーニングが必要ですが、見合う効果があります。皆さんの働き方が、すでに多数のソフトウェアによって支えられていることからもわかるとおりです。 ここで、上述を踏まえた例を出します。 体内時計を、尊重する。 『Chronos(クロノス)』 Chronosは、従業員各々の体内時計を尊重した働き方を実現するコラボレーションツールです。 ご自身の体内時計を設定して、チーム内で共有します。体内時計に基づいて都合がつく時間帯が可視化されるので、無理のないコラボレーションが可能です。 また勤務中のパフォーマンスも計測しており、体内時計のリズムと合わせて最適なレポートとリマインドを提供します。このデータはローカルに保存され他者には見えません―― この例は大げさに製品風にしてみましたが、朝型・夜型の宣言を社内で認めてそれを Outlook 予定表に反映しておく、くらいでも効果はあります(Outlookを使う部分がTechnologyです)。 # Title: トランスフォーマトリー **トランスフォーマトリー(Transformatory)** とは「変革が必要な」という意味の形容詞です。 ## トランスフォーマトリーの3性質 トランスフォーマトリーであるとき、以下3つの性質が当てはまります。 ### 1: 経営層による投資が必要である DXもそうですが、変革はボトムアップに狙うのは難しく、トップダウンで荒療治的にスタートラインに立つ必要があります。 これはつまり相応のリソースをドカッと用意せよということであり、権限を握る経営者が出すかどうかにかかっています。 ### 2: 新しいメンタルモデルをインストールする必要がある 変革は、文化が変わるレベルの大きな転換になるため、新しいメンタルモデルが必要です。たとえばビジネスモデルや働き方や組織体制が大きく変わります。 ### 3: 内製が必要である 変革は個別最適であめ、外からの受け売りではなく(or受け売りでもいいが)、自分たち自身が手足頭を動かして形にせねばなりません。 たとえば変革にデジタルを用いる場合、SIer に任せきりなのはいけません。あるいは、任せるなら、高密度なコミュニケーションをしてちゃんと組織のドメインを反映せねばなりません。 ## メリット 変革が必要な状況である、という言い方ができるようになります。 トランスフォーマトリーな状況があったとすると、それはもう経営層が投資するしかありませんし、変革の対象者は新しいメンタルモデルと内製を覚悟せねばなりません。 従来、このような状況を指す概念はなく、議論のしようもありませんでした。特に表面的な議論や提案を続けることで(経営層による投資やメンタルモデルの変更という)現実から目を背ける例もよく見られます。今日で終わりです。 「この活動はトランスフォーマトリーだよね」 (意訳:この活動は経営層に投資してスタートラインに立たないと始まらないよね、みんなには新しいメンタルモデルも入れてもらうことになるよね、内製も頑張ってもらうことになるよね) この、それなりに難解な概念を、トランスフォーマトリーの一言で使うことができます。トランスフォーマトリーなのだから、あとはもう投資するか、しないかの世界です。あるいは投資してもらうための説得をしたり勉強をしてもらうだけです。 ## 変革について DXが知られていますが、他にもあります。以下記事でまとめています。 # Title: 描写の委譲(Description Delegation) 以前、「アートとしての仕事術」についてお伝えしました。 当サイトでは **Practical Conceptual Art(PCA)** と呼んでおり、作品はAre.naで公開しています。実用的な概念を、少量のテキストのみ表現するアートです。その名のとおり、コンセプチュアル・アートの一種になります(なると思っています)。 本記事では、PCAが採用する技法を一つ紹介します。 ## 描写の委譲 **描写の委譲(Description Delegation)** とは、本来作品側で描写するべき情報を描写せず、読者の想像と思考にゆだねてもらうことを指します。 これは単に「小説を読んで想像してもらう」「絵を見て想像してもらう」といった意味ではありません。小説も絵も描写はしています。描写とは、たとえば以下を指します。 * 絵や音による表現(非言語情報) * 絵画、イラスト、音楽、写真や動画 * 文章による表現(言語的な詳細) * 記事、小説、小論、名言や引用などフレーズ 描写の委譲とは、非言語情報と言語的な詳細の両方を描写しないことです。描けること、いや書けることは非常に限られていて、言語的な概要だけです。 ## PCAと描写の委譲 PCAは、描写の委譲を採用しています。 ![](/assets/nf77655f2ec43_1736370382-fGyQwX76rl9FjWnkqNod2RBx.png) より。 タイトルと要素(3要素で揃えることが多いです)の列挙しかありません。これだけで作品が成立しています。 作品をいくつか見てみましょう。 ![](/assets/nf77655f2ec43_1736370174-qUt476YEnW0HzC2aBVZJugsF.png)作品「Tatemae」 建前という概念を表現しています。ハイコンテキスト、階層性、同質性と3つのキーワードが並んでいます。H- 始まりで統一されている美しさがまずありますね。 この3つの関係性は何でしょうか。皆さんも考えてみてください。この思考こそがPCAの醍醐味です。 ![](/assets/nf77655f2ec43_1736370291-mIbtKs4odHWEGTyhODLr0N1u.png)作品「3つのエンゲージメント」 エンゲージメントと題して、家族とミッションとビジョン、の3つの要素が並んでいます。これはどういう意味でしょうか。 ![](/assets/nf77655f2ec43_1736370361-3ZxklWo1HgAFvPfNzmrebc8G.png)作品「Singlist」 シングリストと名付けられています。Single + ist でしょうか。 並んでいる要素は Minimalist、Simplist、Singlist となっており、わかる人が見ればミニマリスト → シンプリスト → シングリストとの変遷が読み取れます。つまり、この作品は、シングリストという第三潮流を提案しています。 いかがでしょうか。PCAの世界をお楽しみいただけたでしょうか。 作品として描写はせず、読者の想像と思考にゆだねています。しかし、それができるだけの新規性が凝縮されています。これがPCAです。 ※PCAとしては、基本的に新規性のある概念をつくります。「建前」は言うまでもなく古くから知られる概念ですが、説明の便宜のためにつくりました。 実は、作品は当サイトの記事からつくっています。 以前、当サイトの仕事術は[数千文字を数時間かけて読むもの](https://note.com/workhack20/n/n3f09b4cda0dd)とお伝えしたこともありますが、PCAは別の読み方を提案します。仕事術の本質をぎゅっと凝縮して、アートとして味わえるようにしたものなのです。 # Title: ビジネスにおける「アモルファス」 [アモルファス金属や結晶の話は無関係です](https://fa- dic.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/38391)。ビジネス用語として、新しく定義したものです。 ## アモルファス **アモルファス(amorphous)** とは、概念的かつ曖昧であるさまを指します。 * 概念であること * 概念であるため、何らかの名前と定義は定まっている * 抽象的な話だけでは概念とは言えない * それを **自分なりに定義づけて名前をつけて「概念」に落とし込む必要がある** * 曖昧であること * たとえばエビデンスがない、明確な意思決定や合意形成が下されていない等 * 宙ぶらりん、あるいは正しさがないとも表現できる * **ネガティブケイパビリティでいうネガティブのニュアンス** ## 思考の飛躍に必要 ビジネスとアモルファスは相性が悪いです。 一方で、昨今は VUCA かつ DEIB の時代であり、先が読めず変化が激しい上に多様にも配慮も要求される、と難しい時代となっています。このような時代で生き残るには、 **変化し続ける力や中長期的に備える力が要ります** が、ここで思考の飛躍が必要です。 例: * SFプロトタイピング * アモルファスと言えるでしょう * 数十年スパンで未来を考えてそこから[バックキャスティング](https://note.com/workhack20/n/n194ac4fecb30)します * アモルファスとはいえ結構つくりこみます: * 対話を通じて細部をつくりこむし、作家の力も借りてストーリーももたせます * [Practical Conceptual Art(PCA)](https://note.com/workhack20/n/nad6c53fa736a) * 当サイトの提唱であり、テキストによる「実用的な」概念を、名前 + 箇条書き数行程度で表現します * 細かい解釈を読者に委ねており、読者主体で思考を広げていけます([描写の委譲](https://note.com/workhack20/n/nf77655f2ec43)) また当サイトで開発・提示している数々の仕事術も、アモルファスなものが多いです。つまりは概念的であり、正解と呼べるほどの権威性や成果もないものです。 ## この用語を定義した理由 このようなアプローチは通じづらいです。 そこで既存の単語で、かつビジネス領域では使われていないものを持ってきました。 amorphousは「無形の」の意味です。具体性や正解といった「形」がないものを扱うのだ、という意味合いを込めています。 # Title: 匿名オープンフォーム ![](/assets/n3dc582788270_982bf67532edbb3c1eb0d0755fcc5c09.png) 匿名オープンフォームとは、 **誰でも何回でも投稿できて、かつ投稿結果も自由に見れるフォーム** を指します。 ## メリット **率直な意見を、非同期的に集めることができます** 。 かんたんにつくれて、かんたんに答えられるので、誰でも募集したり投稿したりできます。 **最初のハードル** を越えるのに苦労するかもしれませんが、ひとたび越えられたら、情報の飛び交う量が従来より増えます。 大胆に言えば、フォームを用いたコミュニケーションという「新しいコミュニケーション手段」をインストールできます。 ## 例 当サイトでアクセスの多い、以下記事について、匿名オープンフォームを設置します。 フォームはこちら: 投稿結果はこちら: すでにこちらでいくつか投稿しています。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: どの組織単位で実施するものなの? Ans: 問いません。 1人でメモ帳として使うこともできますし、数人~十数人くらいのチームで使ってもいいですし、数百数千規模の単位で広く募集しても良いです。 ### Q: 匿名で収集していることはどうやって証明する? Ans: フォームの仕様に従います。 Googleフォームの場合、以下の表示が出ます。 ![](/assets/n3dc582788270_1736482368-J4fRo0y7uQjIqhb95dOlP8EG.png)「共有なし」があると、Googleアカウントの情報が共有されません。 つまりは匿名で投稿できます。 疑う方は、実際にご自分でフォームをつくって、答えてみて、回答結果がどう記録されるかを確かめると良いでしょう。 ### Q: 最初のハードルとは? Ans: 匿名への忌避感とインセンティブです。 まず匿名には忌避感があります。特に日本は[関係ベースの文化](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)であり、一緒に過ごして信頼関係をつくってそれから情報を出す考え方なので、匿名で出すという発想をそもそも持てません。ビジネスではなおさらです。 次にインセンティブです。匿名オープンフォームに投稿して何の意味があるの?業務中、時間を削ってまでして何のうまみがあるの?ということです。インセンティブとしては以下が挙げられます。 * 色んな意見が集まるので楽しい、または有意義であること * 知的好奇心や一種の成長欲求です * 匿名オープンフォームというコミュニケーションのやり方を体験できること # Title: レコメンダー **レコメンダー(Recommender)** とは、社内において事業部全員・社員全員など広い範囲からの相談を受けて「おすすめ」を提案する存在を指します。 ## 概要 * レコメンダーとは、全員が頼れる「おすすめを教えてくれる人」のこと * 専用の役割であり、レコメンダーはこの活動に100%費やす * 何をおすすめするかはレコメンダー次第だが、「おすすめを聞く」「おすすめを提示する」点は共通 以下、もう少し詳しく見ていきます。 ### おすすめという共通言語 レコメンダーは「おすすめ」をやり取りします。 利用者は「おすすめ」を聞きますし、レコメンダーも「おすすめ」を教えます。やりとりするのは「おすすめ」です。 このように **「おすすめ」をやり取りする、と決める** ことでコミュニケーションがスムーズになります。 ### 何をおすすめするのか 組織ごとに決めねばなりませんが、文化的には、 * 日本は[包括的思考](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)であり、周囲の誰が何を言っているか・しているかを好むので誰かの発言や事例をおすすめする * アメリカは応用優先であり、事実と意見と議論を好むので、ファクトと持論をおすすめとして提示する * ヨーロッパは原理優先であり、理論と概念を好むので、定義をつくって理屈を組んだもの(あるいは既存のもので済むならそれ)をおすすめする のが良いと思います。 ### レコメンダーはコーチング的 つまり「やる気のある人」に「ヒントを与える」スタンスです。 まず相談者からやってこないと相手にできません。やる気や能動性のない人の世話はしません。 次に、レコメンダーがおすすめするのはあくまでもヒントです。ヒントをどう使うかは相談者次第であり、レコメンダーがフォローやマネジメントを行うものではありません。 ### レコメンダーは典型的な仕事を負わない レコメンダーはベストエフォートでおすすめを提示する役割であり、[ **ティピカルワーク(プロジェクトワークとクライアントワーク)**](https://note.com/workhack20/n/n60cc3ab03e66) **は一切負いません** 。 ですので締切を負うこともありませんし、何らかのチームに入ったり定例会議への参加を強要したりもできません。あるいは、入ってもベストエフォートになりますし、深くコミットすることもありません。すでに述べたとおり、広い範囲から受け付けるものです。広く浅く答える存在です。 基本的には非同期的にやり取りするか、同期的な場合は有限時間内で対応して一区切り、となります。ただし、もらったリクエストにはすべて応えます(対応できない旨も含む)。捌ききれないようなら、一時的に受付を停止したり予約制にしたりすることも検討します。つまり **セルフマネジメントできなくてはなりません** 。 ### レコメンダーは閑職ではない レコメンダーにはそれなりの知識量と、相談者から上手く引き出して回答を行うファシリテーションが要求されます。相談者の文脈は都度聞けばいいし、(コンサルやマネージャーではないため)業務知識を把握する必要はありませんが、把握できるに越したことはありません。また、少なくとも「会社内」のレベルでは把握できねばなりません。 というわけで、無能な人を押し込めておく閑職などでは決してないのです。 **レコメンダーの成立には本人の適性と熱意、そして会社の協力が両方必要です** 。 ここで会社の協力とは、トップダウンでレコメンダーの存在を知らせて **宣伝** することと、全社員がレコメンダーを **遠慮なく使う** ことの二つです。 ## メリット 第三者目線でヒントが手に入ることです。 レコメンダーは同じ社員であるため機密情報を気にせずやりとりでき、またチームメンバーではなく利害関係もないため率直なやりとりもできます。このような存在は貴重です。余談ですが **セーフフランク(Safe Frank)** と呼びます。 次に「おすすめ」という共通言語があるため、カウンセラーを始めとする専門的な知見がなくても貢献できます。 ## Q&A よくある議論をQ&A形式で整理します。 ### Q: 生成AIで済むものではないのか? Ans: いいえ。 生成AIでカバーできる人ならレコメンダーは不要ですが、難しいと思います。 * 生成AIを使いこなせる人はまだ少ない * たとえば既存の相談相手や秘書の活用を半分以上減らすか、解約するかのレベルで重用できている人は少ない * 生成AIは「自分ひとりでも頑張ればできること」をショートカットするものであり、前者が成立しないケースではそもそも大して役に立たない こんなとき、人間として動けるレコメンダーの方が頼れます。 ### Q: レコメンダーが生成AIを使うのはアリか? Ans: アリです。 ただし、生成AIのコンテンツをそのまま相談者に返しても通じづらい(し通じるなら相談者は生成AIを使っています)ので、レコメンダー自身が上手く翻訳せねばなりません。 ### Q: おすすめをやり取りするとはどういうことか Ans: 「おすすめ」縛り、と考えてください。 まずレコメンダーは必ず最終的には「おすすめ」を答えるようにします。相談者も、そのつもりで相談します。 コミュニケーションにはグルーミング、議論、意思決定、壁打ちなど様々な要素がありますが、 **レコメンダーが行うのは「おすすめを出すこと」ただ一点です** 。 ### Q: レコメンダーが通用する組織規模は? Ans: 数人から数万人まで可能です。 人数が少ない場合、同じ人からの多数の相談をガンガン捌くことになるでしょう。また、打ち合わせを開催して深く文脈を知りに行くこともやりやすくなります。 人数が多い場合、Q&Aベースでかんたんに答える程度になるでしょう。どこまで捌けるかはレコメンダーの能力と工夫次第です。あまりに多くて捌けない場合は受付の一時停止、予約制で待ってもらう、抽選などランダムで選ぶといった工夫も必要です。 いずれにせよ **「想定する対象の全員がアトランダムで相談しにくる」が前提です** 。ひいきはいけません。この前提なら、数万人程度なら十分可能です。 ### Q: FAQをつくるのはアリか Ans: どちらかと言えばナシです。 レコメンダーは、相談者からの相談を真摯に受け止めて、自分なりにおすすめを出すことに意義があります。相談をちゃんと解釈して、則ったおすすめを出すのです。 近しい概念として Rapid Q&A があります。これは「過去の質問を探す必要なんてない」「被っててもいいから毎回聞け」「要は質問者がすぐに回答を得られればそれでいいのだ」に全振りしたQ&Aのあり方です。 # Title: 今週の記事 2025/01/05 今週は 12 記事書きました。 当サイト開始から 17 週が経ちました。 [←前 2024/12/29](https://note.com/workhack20/n/nafd7a44ee8e6) [2025/01/12 次→](https://note.com/workhack20/n/n79d5537d4bd5) ## 記事 ## 仕事依頼の開始 # Title: 情緒共有 情報ではなく情緒です。 **情緒共有** とは情緒を共有することを指します。無頓着に実施されがちなので、もう少し賢くやりたいです。 そのためには言語化して自覚する必要があるため、この言葉を定義しました。 ## そもそも情緒とは ### 感情と情緒の違い 感情(Emotion)とは万人共通で瞬発的な心の動きを指します。 一方、情緒(Affect)とは文化・経験依存で持続的な心の動きを指します。気分やムードと呼ばれることもあります。 ### 情報との違い 情報とは、ここでは **言語で表現できるもの(Verbal)** を指します。言語で表現するのがベストです。 しかし現実的には絵、音、身振り手振りや雰囲気といった非言語(Non-verbal)も使われます。 **情緒は非言語情報の一種** です。 ## 大事なのは情報の共有 仕事では「情報」の共有が大事です。極論を言えば情報のやりとりで完結します。 とはいえ、私たちは機械ではなく人間ですから情緒も必要ですが、人間の事情にすぎません。 **情緒の共有を重視しすぎて、情報の共有がおろそかになっては本末転倒ですから、** 情緒共有は効率化するべきです。他ならぬ人間だからこそ、可能なことです。 いくつか例を挙げます――その前に、まず情緒共有の目的を「欲求の解消」だと考えると、退屈や持て余しを満たしたいがために情緒に頼るのだと言えると思います。 さて、例に入りましょう。「欲求の解消」を仕事で行うとはどういうことか、を単純な欲求から見ていきます。 **性欲** はどうでしょうか。仕事中の解消はしないですよね。色恋営業や社内恋愛もゼロではないですが、多くの場合、表に出すことはないはずです。プライベートで勝手にやるべきです。 **食欲** はどうでしょうか。微妙なところです。会食や飲み会はよく知られていますが、業務中には行わず業務外でやるのが通例というバランスになっています。一方で、パンデミックによりリモートワークが行われてきたことで、飲み会不要論が盛り上がっているとも感じます。 **睡眠欲** はどうでしょう。重要性は謳われていますし、法律やコンプライアンスとしても長時間労働是正の観点で強化されてきていますが、業務中に何かするというほど直接的ではありません。せいぜい昼休憩中か、裁量の高い人なら好きなタイミングで仮眠を取る程度でしょう。 話を戻します。 **仕事において重要なのは情報の共有であり、欲求の解消は削いだ方が効率的です** 。しかし、人間ですからゼロにするわけにもいきません。このジレンマをどう解消するかは、いくつかのパターンがあります。 * **プライベート** :各自のプライベート任せ。仕事では出さない * →性欲 * **インダイレクト** :重要性の啓蒙と間接的なサポート * →睡眠欲 * **アウトサイド** :業務外での実施 * →食欲 どのパターンが良いでしょうか。 まずプライベートをデフォルトとします。次にオプションとしてインダイレクトやアウトサイドも用意しておき、頼りたい人が頼れるようにします――これが良いと考えます。 一番わかりやすいのが性欲でしょう。食欲(飲み会や会食)は事実上アウトサイドを要する場面も多いと思いますが、もし性欲的にそうだとしたらいかがでしょうか。ありえないはずです。 同じことです。食欲もそうですし、 **情緒の共有もそうです。当人同士が良いならさておき、仕事だからといって安易に欲求の解消を強要してはいけないと思っています** 。強要する人は「体の付き合いをした方が色々上手くいくよ」「やろう」と言っているようなものです。 セックスも、食事も、あるいは(情緒を共有するための対面口頭な)打ち合わせも、どれも本質的には同じです。ナンパはセックス目的で声をかけます。一方、ビジネスでは会食や飲み会など食事に誘おうとしますが、これを **ライトナンパ** と呼んでいます。本質的にはナンパの一種であり、その気がある人同士でやるなら良いですが、仕事として一般化するのは暴力的だとさえ思います。 欲求の解消を押し付けてはいけないのです。 だからこその情報です。 **情報を** 共有すればいいのです。不便だったり、苦しかったりしても、それは上手くできるように頑張るべき・投資するべきであって、「セックスしよう」「食事しよう」「打ち合わせよう」と安易に逃げるのは違うと思います。 残念なことに、現代でもまだまだです。性欲については表向きにはなくなりつつあるという程度です。 ## 情緒共有を効率化するには? 仕事術(仕事のやり方や考え方)を使います。要するにやり方と考え方を工夫します。 当サイトでも様々な仕事術を扱っています。いくつか例を挙げます。これらを駆使して **「情報のやりとり」を上手くやれるようになると、情緒共有の方も上手く扱えるようになります――仕事から切り離したり、必要な分は別途最低限実施したりといったことができるようになります** 。 では見ていきましょう。 ### 非同期コミュニケーション 情報とは言語であり、言語とはテキストです。 テキストコミュニケーションをいかに行えるかにかかっており、そのためには相応のやり方と考え方を身につけねばなりません。最も重要なのが非同期コミュニケーションです。 つまりは聞いたり話したりする → 読んだり書いたりする、にシフトします。 ### テキストで非言語を伝える テキストベースでも非言語情報を伝えることはできます。 チャットのスタンプはよく知られていますし、当サイトでも「フランクな非言語」を提案しています。 ### 言語化する 言語として表現するためには言語化が必要です。 たとえば以下は「多様性を支える要素」を言語化したものです。多様性と口先だけ言っても何も変わらず、実際に変えていくためには具体的に何を自覚すればいいか、使えばいいかを述べています。 また言語化をするためには、ひとりでじっくりと考えたり練習したりする時間が必要であり、当サイトでは内省と呼んでいます。 ### 情緒共有を必要に応じて差し込む 情緒共有自体をなくすことはできません。 性欲のように完全にプライベートに任せても良いですが、仕事の一環としてサポートすることもできます。 そのためには、まずは情緒共有の要素を切り離します。たとえば会議には混ざっているので、切り離します。 すると「純粋に会議だけ行う時間」と「それ以外」に分かれます。情緒共有は後者でやります。つまり **情緒共有をするためだけの時間を別途確保する** と考えます。 たとえば1日1時間、情緒共有のためだけの時間を確保しても良いです。人間であって、必要なのですから文句はないはずです。会議に安易に混ぜて効率や多様性を削ぐよりも、よほど健全です。 一例として、当サイトでは「コミュニケーションの注入」として整理しています。情緒共有的なコミュニケーションを **必要に応じて差し込む** と考えます。 また、そもそも「情緒共有のための時間」を取るだけの余裕も必要ですね。現代は多忙になりがちなので、この視点は極めて重要です。 よく使う言い方があります。 「毎日1日1時間、業務時間中にヒマな時間をつくれるか?」 これすらできない人が多いのです。資本主義とSNSに毒されすぎです。1日1時間のヒマさえつくれない人に、一体何ができるのでしょうか。日々降ってくるタスクに答えることしかできません。それでは何も変えられません。 そして、余裕をつくるためには「捨てる」行動が必要ですが、そのための仕事術も取り上げております。 [https://note.com/search?context=note&q=from%3A%40workhack20%20%E6%8D%A8%E3%81%A6%E3%82%8B&sort=popular](https://note.com/search?context=note&q=from%3A%40workhack20%20%E6%8D%A8%E3%81%A6%E3%82%8B&sort=popular) ### その他にもたくさん ここで挙げたものはごく一部です。 [当サイトでは多数の仕事術を扱っております](https://note.com/workhack20/n/na9184613ed9e)ので、ぜひ読み漁ってみてください。 # Title: インボックスはTASTに分ける **インボックス(inbox)** とは「あとで処理するもの」を溜める入れ物です。[中身をゼロにすることを目指します](https://note.com/workhack20/n/n763dcc87ce9e)。 奥が深く、個人差も大きい概念ですが、比較的万人に通用する分け方がありますので紹介します。 ## TAST分類 インボックスを以下の4つに分けます。 * Thought * 自分が思いついたもの * 例:アイデア、やりたいこと * Anyone * 自分以外の誰かから来たもの * 例:指示、お願い、相談事項 * Source * 購読・ウォッチしているもの * 例:あとで読むもの、読んで気になって深堀りしたいもの * Task * すでにタスクとして存在しているもの * 例:日々の業務、ルーチンワーク、打ち合わせなど定期開催イベント この4つはそれぞれ扱い方が異なりますし、人によっては扱わなくてもいいもの(逆に重点的に扱わねばならないもの)が違います。自分に合った扱い方を考えねばなりません。 ## TASTそれぞれの扱い方 ### Thought * 自分が思いついたもの * 例:アイデア、やりたいこと メモを扱います。 思いついた時点で行動できればベストですが、たいていはそうもいかないので「いったんメモしておく」ことになります。当然、後で読み返して行動せねばなりません。 **読み返しと落とし込みの両方が必要** なことに注意してください。メモは時間が経てば経つほど意味不明になる(腐る)ので、 **できるだけ早めに読み返します** 。また、読み返しただけでは何も変わらないので、 **具体的な行動に落とし込みます** 。行動とは、何らかのアクションを取るか、ノートを取って「考えを形に残すか」のどちらかです。 読み返しと落とし込みは能動的にやるしかありません。誰かが管理してくれるものではないからです。これには腰を上げるエネルギーも必要で、時間的にも精神的にもある程度の余裕が欲しいところです。多忙な毎日ではまともに扱えません。頻度は毎日でも数日でも週一でもいいですが、 **何にも誰にも邪魔されない時間が1時間くらいは欲しい** ところです。 ### Anyone * 自分以外の誰かから来たもの * 例:指示、お願い、相談事項 メッセージを扱います。チャットやメールが多いと思いますが、口頭の場合もあります。 いずれにせよ、 **そのままでは失念してしまうので記録に残してください** 。メモなど私的な記録で問題ありません。また、記録に残す手間が大きいと形骸化するので、できるだけ手間の少ないやり方を追求するべきです。 たとえばチャットの場合、ブックマーク的な機能で印をつけておくだけでも違います。対応したら印を外す、とすればインボックスとして使えます。 脳内だけで済ませていいのは、以下のケースだけです。 * 忘れても誰かがフォローしてくれる * 例:フォローが手厚い新人、部下を持つマネージャー、意思決定権を持つ経営者 * 扱う情報量が少なくてカバーしきれるし、実際フォローされずに回せている * 状況が高頻度に変わるか、高頻度に共有するスタイルである * 目安:朝会など毎日レベルの定例的な場があるか、[ペアワーク](https://note.com/workhack20/n/n2249891add55)など一緒に仕事するスタイルを採用している ### Source * 購読・ウォッチしているもの * 例:あとで読むもの、読んで気になって深堀りしたいもの 読み物を扱います。書籍や記事であることが多いです。見聞きした単語や人・組織を深堀りしたいこともありますが、最終的には書籍や記事にたどり着くので同じことです。 このソースは以下の戦略で処理します。 * 間食的 * 「あとで読む」箱に溜めておいて、空き時間に読む * 食事的 * インプット時間をつくって、集中的に読む 具体的には、以下のスタイルのいずれかになります。 * 間食のみ * 忙しい人はこれになります * 例:育児などながらが多い人、移動が多い人、打ち合わせが多くて待ち時間が長い人 * 食事のみ * 余裕がある人やアスリート的な人はこれになります * 例:毎日規則正しく生活している人 * 間食と食事 * 通常はこれになります * 例:平日休日やワークライフが分かれている会社員、忙しさに波がある人 正解はないので、状況に応じて使い分けてください。 ポイントを一つずつ挙げるとすれば、まず間食ではすべてを処理するのは通常不可能ですから、目的を設定して開き直って取捨選択します。毎週溜まるペースが+20、消化ペースが-5という破綻(+15ずつ溜まるのでゼロにならない)はよくありますが、気にせず **それなりに消化できればそれでいい** と考えます。ただ、漠然としていても形骸化するだけですから、その時々の目的(おそらくは喫緊のニーズか中長期的な課題)に役立ちそうなものを選ぶと良いでしょう。 次に食事ですが、 **本格的に身につけたい場合は食事ではなく「勉強」をしてください** 。食事は、たとえるなら「いつもは10分だけど今回はたっぷり1.5時間使って本を読む」「記事を読み漁る」行為ですが、これでは足りないことがあります。勉強とは書籍や論文など、まとまった情報源を精読することです。 ※精読しながら記事や生成AIを活用するのはもちろんアリです 場合によっては何らかの教育や講義を受講したり、講座や資格取得に向けて勉強の日々をおくることもあります。 要するに、達成感が得やすい・自己陶酔しやすいからと、すぐに消化できる情報のインプット(食事と間食)ばかりしていてもよろしくないということです。 ### Task * すでにタスクとして存在しているもの * 例:日々の業務、ルーチンワーク、打ち合わせなど定期開催イベント タスクと予定を扱います。 すでにタスク化、あるいは予定化されていて、しかるべきツールで管理されているはずです。 **されていない場合はしてください** 。 Anyoneの範疇であることが多いです。 別の言い方をすると、タスクはインボックスとして **処理してはいけません** 。タスク管理、予定管理としてしかるべきツールを使ってください。 # Title: フォーリ・マトリックス ![](/assets/ndb3576a4b228_21ac255074a76fb88db01352c70fc998.png) 人の行動パターンを、4 つの Re- で整理したものを **フォーリ・マトリックス(Four-Re Matrix)** と呼ばせてください。 ![](/assets/ndb3576a4b228_1736733303-40OHyWfTliuzVb2FChE17M6x.png)フォーリ・マトリックス。 ## メリット 「行動する」の解像度を上げることができます。 特に、マトリックスのうちどれを指しているのか、どれをやるべきなのかといったように、マトリックスを用いた具体的な議論が可能となります。 ## マトリックスの解説 ### 軸について ![](/assets/ndb3576a4b228_1736733303-40OHyWfTliuzVb2FChE17M6x.png)フォーリ・マトリックス(再載)。 横軸: **オンデマンド** は「必要に応じて」の意です。要求があったときに応えます。 **プロアクティブ** は「先を見越した」の意です。未来のために先手を打って動きます。 縦軸: **一度限り** とは、一度行動したらおしまいであることを指します。 **繰り返し使う** とは、n回行動することを指します。 ### 各パターンについて ![](/assets/ndb3576a4b228_1736733303-40OHyWfTliuzVb2FChE17M6x.png)フォーリ・マトリックス(再載)。 順に見ていきましょう。 ### 1: Reaction * オンデマンドで、一度限りなもの 要するにリアクション(反応)であり、来たことに一度応えたらおしまいという行動です。 ### 2: Reminder * プロアクティブで、一度限りなもの 未来のために一度だけやりたいですが、今できるとは限らないので、いつやるかを決めます。決めただけでは忘れるので、忘れないようにします。これを実現するための行動としてリマインドが知られています。リマインダーをつくるのです。 ### 3: Reference * オンデマンドで、繰り返し使うもの 何か来ることが何度も起こる場合、毎回リアクションしていると大変ですから備えます。ドキュメンテーションやFAQやナレッジなど色んな概念がありますが、一般化するとリファレンス(参照できるもの)をつくるということです。 ### 4: Retryable * プロアクティブで、繰り返し使うもの 未来のため、特に中長期的な何かのための行動は不確定的なものです。事前に計画したり、ゴールを設定したりといった従来のビジネスは役に立ちません。とりあえず投資して、まとまった密度で動いてみて、それで得られたことを振り返って次どうするかを考えるという探索の営みが求められます。 この探索は、現代では高度な概念であり理解しづらいです。当サイトでは[ウォーターフォール、アジャイルに続く第三の潮流(エクスプロラトリ)として紹介](https://note.com/workhack20/n/n78e509a4fcda)していますが、おそらく難しいでしょう。 そこで、比較的かんたんに探索を行うための概念をつくりました。それがリトライアブルであり、n回取り組むことを目的とした行動を指します。 ※造語です。詳しい説明は後述します。 ## リトアイアブルについて n回取り組むことを目的とした行動を **リトライアブル(Retryable)** と呼びます。 来たら応えておわり(リアクション)でもなく、いつ来ても対処できるよう参照をつくっておく(リファレンス)でもなく、また近いうちに一度やるために仕込んでおく(リマインダー)でもない、第四の行動です。 ### n回やる リトライアブルは、最初にn回くらいやってみようと決めたことです。一度やって終わりでもなければ、明確な達成条件があるわけでもありません。とにかく決めた回数分やります。 この決まりの悪さはビジネスの考え方には合いませんが、とにかく **n回やることを目的とするのです** 。 [探索的な営み](https://note.com/workhack20/n/n78e509a4fcda)とも言えます。正解も計画もない中、それなりの分量をやってみると考えます。それを「n回やってみる」の形で表現しています。 ### 「n回」も固定的ではない n回やると書きましたが、最初に決めたnを律儀に守る必要もありません(守っても良いです)。 とりあえず「3回くらいやってみるか」と決めたあと、「まだまだ盛り上がるのであと5回は続けよう」としてもいいですし、「いまいち広がらないのでいったんやめますか」と中断してもいいのです。 ### エフェクチュエーションと似ている ここでエフェクチュエーションを思い浮かべる方がいるかもしれません。 思想としては似ていますが、何を使うかが違います。 * エフェクチュエーションは「手段」にフォーカスして、持てうる手段を使ってやってみる(手段ありき) * リトライアブルは「回数」にフォーカスして、行動をn回やってみる(回数ありき) ※エフェクチュエーションについては解説しません。以下記事を見てください。 いずれにせよ、ビジネスとしてはまずは計画や課題その他ゴールありきで考えると思いますが、そうではないということです。 # Title: FOL(Focus on Length) **FOL(Focus on Length)** とは、長さに注目してモニタリングや振り返りを行うことです。 ## 例 デイリーノートを運用しているとします。つまり日付ごとにページをつくって、その日のタスクやメモや日記をあれこれ書いているような運用です。 この前提ですと、モニタリングや振り返りでも当然ノートは読み返しますが、 **FOLでは文字数に注目します** 。 この日は文字数が多い。 この日は少ない。 いつもは大体これくらいの文字数になる―― そういった傾向が見えてくるはずです。これはそのまま良し悪しを判断する指標になります。たとえば文字数が多い日は危ないとか、文字数が少ない日が一週間以上続いているとマンネリを示しておりメンタルヘルスがよくない感じであるとか、何らかの傾向がわかるでしょう。 ## メリット FOLのメリットは、シンプルに運用できながらも一定の効力(傾向がわかる)が出やすいことです。 ## Q&A ### Q: FOLをやりたい。何が要る? Ans: 計測できるものの保存と自動計算です。 前提として文字数を計測できるものを日頃から残しておく必要があります。何らかのノートやメモになるでしょう。SNSやチャットでも構いません。 また、計測は面倒くさいですから、できれば自動で、最低でもテキストエディタやその他ツールに食わせるとすぐに計算される程度の便宜は欲しいところです。そういう意味では、SNSやチャット、あるいはアナログの日記などは不便です。 ### Q: グラフ化や分析はどうやればいい? Ans: Excelや生成AIが使えると思います。 Excelなど表計算ソフトは鉄板です。文字情報は自分でまとめないといけません。 ChatGPTなど生成AIを使うのもアリでしょう。 ![](/assets/ne07c0fbf1f7e_1736799559-d2W4zprX7l1q9mnxoPSew6ZB.png)数字を与えてグラフつくってと言えばつくってくれる。 # Title: インプットでもアウトプットでもなくオンプット インプットとは、自分の脳内に置くことです。 アウトプットとは、他者のために形にして外に出すことです。 もう一つあります。 **オンプット(onput)** とは、 **自分のために** 形にして外に出すことです。わかりやすい例として備忘録やデイリーノートがあります。 ## 例 ### 備忘録 自分があとで見るために書いておくものです。仕事でよく使う手順やスニペット(テキストの断片)を、一手間かけてまとめておくと、次からはそれを流用できます。 ### デイリーノート 日付ごとにページをつくって、その日のタスクやメモや日記などを何でも書いていく営みを **デイリーノート** と呼びます。 以前[デイリータスクリスト](https://note.com/workhack20/n/n2e0cd93468a2)を紹介しましたが、これのノート版と考えてください。 ## メリット * 便利であること * 記憶ではなく記録として残すため * 言語化の練習になること * [内省](https://note.com/workhack20/n/na77a9fef662c)の練習になること * 書くためにはそれなりの余裕と集中が必要ですが、オンプットは良い練習になる * 控えめなアウトプット、あるいは素早いアウトプットとしても使える 最後について補足します。 通常、アウトプットにはそれなりの手間をかけるものですが、オンプットであれば「自分のために書く」だけなのでさほど手間はかかりません。そのままだと自分しか読みませんが、以下の二点、 * 他者に見えるところに置く * 他者でも理解できるよう、少しだけ手間をかける を加えると他者でも読めるアウトプットになります。その分、必ず見てもらうことを期待するわけにはいきませんが、「見てもいい」くらいの緩さでは運用できます。 ## Q&A ### Q: SNSやチャットはオンプットになる? Ans: なりません。 記事や文書、その他資料などまとまった情報を想定しています。 要するに、SNSやチャットのように流れること前提で適当に垂れ流すものではなく、恒久的に残していつでも読めるような何かをつくるということです。 もちろん、SNSやチャットを後者の用途として使うのであればオンプットになると思いますが、(別途整理しておかないと)あとで読み返すのが大変なので厳しいと思います。SNSやチャットでの投稿はオンプットにはならない、と捉えるのが良いでしょう。 ### Q: 日記はオンプット? Ans: 必要に応じて読み返して活用するのであれば、イエスです。 しかし通常はノーだと思います。日記は書くときに満足感を得るものであって、読み返す頻度は不定(かつ低頻度)だと思います。 逆に毎日読み返すとか、思考や行動の際に読み返しながら考えるんだという人でしたら、イエスでしょう――が、稀だと思っていますので日記は基本的にオンプットではない、と理解してください。 前の質問もそうですが、 **オンプットの目安は「それをそのまま公開できるか」です。あるいは「公開する運用に切り替えられるか」です** 。できない場合、オンプットとは言えません。 ここで「信頼できる人になら見せられる」と答える人がいますが、それは違います。公開と書いていることに注意してください。オンプットも、アウトプットも、そもそも広い範囲に公開するものです。人を選んで出すものはオンプットでもアウトプットでもありません。[情報共有ですらありません](https://note.com/workhack20/n/nfd5de19d32bc)。情報伝達にすぎません。 ### Q: 他者に公開することも前提とした場合、オンプットにおすすめのツールは? Ans: [Cosense](https://scrapbox.io/)です。 従来のウェブサイトやブログよりも、はるかにかんたんに書くことができますし、誰に見せることもなしに楽しく書き続けられるよう設計されているので **続きます** 。続くことは大事です。 # Title: RAMA(Realtime AMA) **RAMA** とは **リアルタイムなAMA(Ask Me Anything)** を指します。 ## 概要 ### そもそもAMAとは AMA(Ask Me Anything)とは、Reddit発の文化であり、日本語圏では「~~だけど質問ある?」に相当します。 通常、AMA は非同期的にやりとりされ、リアルタイムに行うニュアンスはありません。例外は「たまたま空き時間なのでしばらくは答えるよ」であり、このケースは X(Twitter) や 5ch などインターネットではよく見られます。張り付いているという意味ではリアルタイムと言えなくもありません。 ### ではRealtime AMAとは RAMAは、会議に参加するレベルのリアルタイム性で答えることを指します。 たとえば「今から30分、来た質問にひたすら答えていくよ」といったものです。答えることにしっかりと集中します。従来のAMAのように片手間や手抜きはせず、まるで会議に参加しているかのように向き合います。 別の言い方をすると、 **Q &Aを前提とした短時間のライブ配信、ただしテキストベースのみで**、とも言えます。 ## メリット * やりやすさ * テキストベースかつ短時間なので、スキマ時間に行いやすいです * ライブ配信のように姿を晒しませんし、自分のペースで行えまてスルーもしやすいので負担が小さいです * ただし「スルーすることもある」のような周知を事前にしておいた方がわだかまりが少ないでしょう * 熱量 * 短時間の集中開催なので人と意見が集まりやすく、ある意見から別の意見が浮かんだりもするため、熱量が高く面白くなります * 広く浅く貢献できる * たとえば社内で役員や社長がRAMAを行うことで、自身の知見や思いをカジュアルに伝えて貢献できます * 情報共有の側面 * 誰でも質問できるし、あとからでも見れるとした場合、情報として残るので情報共有にもなります ## (余談) Slackのヒント集を見ていたときに、 まさにAMAの解説がありました。 ![](/assets/n6a9be6fad385_1736919323-SX34CHerGmFltzpUZR9cswJi.png)「スマートに仕事を進めるための、Slack アプリとワークフローの活用ヒント 16」より。 これを見てRAMAの概念を導きました。 より詳しく書くと、AMAにはバリエーションがあると思いました。 ![](/assets/n6a9be6fad385_1736919462-1AMqk7WUfHXad8R2zNbpCP5F.png)AMAマトリックス。 従来のAMAと、Slackのブックが言っているものと――他のあり方もあるのでは、というわけで、このマトリックスを導き、2の部分をRAMAと名付けました。 # Title: noteで「ひかえめな公開」ができるようになったようです (2025/01/16追記) 公式アナウンスが出ました。 ## Before * 投稿した記事は、必ずクリエイターページに表示されていた ## After * 投稿時に表示可否を選べるようになった ![](/assets/ne484de79ad75_1736919985-hc15ql2NrzvGxfoEL8BndKYI.png)投稿前の詳細設定に追加されていました。 この表示をオフにした場合、 **投稿しても** 見えなくなります。 ![](/assets/ne484de79ad75_1736920034-LgaA8KR6cUjSmdpVZQ2esE0z.png)[「RAMA」記事](https://note.com/workhack20/n/n6a9be6fad385)を投稿したのに、表示されていません。 また「記事」から一覧表示しても見えなくなります。 . ※ちなみにレイアウトが少し崩れているのは[PC版Firefoxのバグ?](https://note.com/workhack20/n/n33b3465b632d)だと思います → #noteへの要望 自分の記事一覧を見たときは表示され、その旨も併せて表示されるようです。 ![](/assets/ne484de79ad75_1736920050-APIEyTUBmsqLQlFg0Rec84fp.png)「クリエイターページに非表示」とある。 ## 詳細 * たぶん本日リリースしたと思われる * あるいはA/Bテスト的なことをしていたらユーザーごとにバラバラの可能性もある * noteプレミアムの機能かもしれない * [note公式](https://note.com/info)やヘルプではまだ言及がなさそう # Title: 3-30-300リーディング 一冊の本を計3周する読み方です。 ## 概要 **3-30-300リーディング** は、以下のように計3周する読み方です。 ※その前に、前提として「マーカーを引く」「必要ならさらにメモも書く」「2周目以降はノートに取る」を要します。Kindle + Cosenseを想定してますが、他の手段でも構いません。 * Step1: 1周目 * 精読する(最初から最後まで全部目を通す) * 気になった箇所はマーカーを引く * さらに、言いたいことがあったらメモを書く(つまりマーカーした部分にメモを書く) * Step2: * 3分で行う * そらで学びを書く * Step3: 2周目 * 30分で行う * もう一度精読するが、メモした部分のみを読み返して、ノートにまとめる * Step4: 3周目 * 300分で行う(オプション) * もう一度精読するが、ハイライトした部分のみを読み返して、ノートにまとめる ## メリット **自分の状況を考慮した、自分なりの深い学びを入手できること** です。 3-30-300リーディングの特徴はハイライト、メモ、ノートといった「自分で判断して整理する」営みがあることと、3→30→300と段階的に復讐していくことの二点です。これにより **自分なりに学べます** し、かつ「30分のところまででいいや」など **自然な中断もしやすい** のです。 そもそも、読書というと「必要なので四の五の言わずに読む」ケースと「娯楽として楽しんで終わり」ケースが多いと思います。 これだけでは自分があまり広がりません、たとえば成長できません。できる人もいますが、それは適性があるだけであって万人向けではありません。ともすると「仕事で経験積むしかないのかな」「目の前の仕事にフルコミットするか」などと思考停止しがちです。 そうではないのだと。自分なりにもっと広げたいことや解決したいこと、あるいは興味が強くて前々から深堀りしてみたかったことなどがあるはずです(なければそれはそれで良い)。そういったものを自分なりに取り入れるのも読書の特権ですが、単に読むだけでもさほど身につきません。 **勉強するように読まねば** ならないのですが、3-30-300リーディングはそのためのかんたん(それでも大変ではありますが)な手法です。 ## Q&A ### Q: 資格勉強のような本格的な勉強としても使える? Ans: いいえ。 そういう状況なら、逃げずに本格的な勉強をしてください。 ### Q: 3-30-300リーディングはどんな本が対象? Ans: 新書や(すでに慣れた分野の)技術書や小説作品など、スラスラ読めるものです。 3-30-300リーディングがやっていることは取捨選択と言語化であり、単に読むだけでは何も選べないところを、わざわざ自分なりの手間をかけることで選ぶ・言語化しているわけです。 ### Q: Kindle + Cosenseではどうやっている? Ans: デスクでPCでKindleで読み、ハイライトとメモもKindleの機能を使っています。 また、2周目以降は、Cosense上にページをつくって、そこに書いていきます。 ![](/assets/n8f97af6ccd02_1736973494-7f19EDraXcqSQg540VLNsCdR.png)メモした部分のスクショと、それを踏まえた上での学びを書いている例。 ([リーダーシップの旅~見えないものを見る](https://www.amazon.co.jp/dp/B00GU4R8VE)) その際、メモやハイライトの部分はスクショして貼り付けると良いでしょう。貼り付けた上で、それについてどう思ったか、まとめるかを言語化して書くのです。 ※このやり方はしばしば引用の範囲を越えるため、私的利用に留めましょう。たとえばネットに公開せずプライベートでやります。 ### Q: アナログでもできる? Ans: できると思います。 本自体にマーカーと引くこと、メモを書くことを許せるなら可能です。 ノートも自由です。アナログなノートでもいいですし、こちらはデジタルでもいいでしょう。つまり本はアナログで、ノートはデジタルで、といったハイブリッドもありえます。 しかし、両方デジタルかアナログかにした方が良いと思います。デジタルのメリットは便利で、(使いこなすスキルがあるなら)考えたことをすぐに反映できることです。アナログのメリットは、没入しやすいことです。ハイブリッドだと、どちらも中途半端になっていまいち気分に乗りにくいと思います。 ### Q: ベッドで寝転がりながらやるのは難しい? Ans: スマホで完結させられるスキルがあるなら可能でしょう。 そうでないなら難しいと思います。 # Title: DBG(Don't Be Greedy, 欲張るな) **DBG(Don't be greedy)** は格言であり、生産性に関する誤った通説を一言で表現したものです。直訳すると **「欲張るな!」** です。 ## 誤った通説の例 * マルチタスクが良い * 長時間労働が良い(費やせば費やすほど良い) * 大きな目標や綿密な計画が良い * コミュニケーションツール上の整頓にも時間をかけるのが良い * できるだけ参加した方が良い etc いくつか情報源を置いておきます。 ## DBGはなぜ有効か 常にDBGであれ、とは言いませんが、基本的に心がけた方が上手くいきます。理由は二つあると思います。 現代でも、 * 1: 私たち人間自体のスペックはさして変わってないから * 2: 生産性の搾取は行われているから です。 まず現代の技術と方法論の発展には目を見張るものがありますが、人間自体のスペックは変わっていません。脳やそこが司る認知機能、集中力なども例外ではなく、1日中頭を使い続けることすらできません。 鍛錬を重ねて「作業として消化できる」域に至ったプロを見ると勘違いしそうになりますが、これはただのスキルと習熟にすぎず、スペックが変わっているわけではないのです。 にもかかわらず、社会は私たちの生産性を搾取しようとします。昔はわかりやすく肉体労働でしたが、今は頭脳労働です。 **搾取すればするほど潤うのは当たり前** の現象であり、国家や経営者もよく使います。資本主義の根付いた競争社会は言うまでもありませんし、ここで成功してきた人達も自身の虚しさを紛らわせるために後進に同じことをします(先輩から受けてきた後輩が先輩になったときに新しい後輩に同じことをするのと同じ)。 会社レベルで言えば、[GAFAM](https://note.com/workhack20/n/n567c4080285c)やL[INEヤフー](https://note.com/workhack20/n/n1247f08e621d)の出社回帰もご存知でしょう。表面的にはもっともらしい理由を挙げていますが、出社の方が従順にしやすく搾取しやすいからにすぎません。 つまり個のスペックがたかが知れている + 社会が搾取してくる、のダブルコンボなわけです。 **だからこそ** 自分の身は自分で守らねばなりません。DBGは、端的な道しるべとして役に立ちます。 # Title: パワード(Power words) ~3文字で表せる強力な格言~ 下手なテクニックやメソッドよりも格言の方が効くことがあります。特に強力な格言というものがあり、3文字の略称で示せます。 これを **パワード(Power words)** と呼ぶことにしましょう。 ## 当サイトで紹介したもの ### JDI(Just Do It) 「いいからやれ!」 ### DBG(Don't Be Greedy) 「欲張るな」 ### DAA(Don't Assume, Ask) 「思い込みや決めつけをするな」 「どうしても何とかしたいなら直接尋ねよ」 ### KKD → SSS 拠り所として、昔はKKD(勘、経験、度胸)と言われていましたが、それはQCDS(品質コスト納期スコープ)に変わっています。 現代はさらに進化していると思っていて、当サイトではSSS(スキル仕組み標準)と表現しました。 ## まだ紹介していないが、既存のもの ChatGPTに提案してもらったものを解説します。 ### LIM(Less Is More) 少なさは豊かさである、のような意味だと思います。 ミニマリストやシンプリスト(当サイトではその先の[シングリスト](https://note.com/workhack20/n/n2fe3c3aef937)を取り上げました)など、まさに少なさにフォーカスした概念もあります。 ### KIS(Keep It Simple) 元はプログラミング用語で、Keep it simple, stupid(KISS)から来ているとされていますが、「シンプルを保て」といった意味になります。 安易に複雑にしてつくることはかんたんですが、後の拡張やメンテナンスがしづらくなります(技術的負債と呼んだりもします)。それよりも、頭を使って苦しくはありますが、単純なつくりを維持した方がやりやすくなります。 よりカジュアルにたとえるなら、部屋は常に綺麗なままにせよ、とも言えるでしょう。綺麗な方が QoL が上がりますし、汚くした後にまた掃除するよりも手間も少ないはずです。綺麗にし続けるのは大変ですが、結局は近道です。 ### NGU(Never Give Up) 諦めるな、ですね。 言うまでもなく有名です。「ネバギバ」というフレーズは歌詞や漫画作品として使われいたりもします。 ### FIT(Figure It Out) 自分でなんとかしてみる、考えてみるといった意味になります。 自分事なのだから自分でやるのが一番良い、とも言えます。正論は通じないと言いますが、これは私たちにそれなりの事情や感情があるからです。最もよく知っているのは自分自身であり、したがってそれらを踏まえられるのも自分なので、自分がやるのが一番良いのです。 この概念を活用したものは多数あります。 コーチングは、人に問うことでその人自身が自分の力で悟っていくことを目指します。 内製とは、SIer など業者に開発を任せるのではなく、ITスキルを自分で身につけて自分で開発することを指しますが、これも自社の複雑な事情を業者に正確に伝えるのが難しいからこそ生まれてきた潮流です。DX(デジタル・トランスフォーメーション)も叫ばれていますが、これも内製をするためです。内製をするためのITスキルを身につけるために、デジタルな思考回路にシフトするわけです。 ## Q&A ### Q: なぜ3文字なのか? Ans: バランスが良いからです。 2文字以下のフレーズだと抽象的すぎます。4文字以上のフレーズだと少し汎用性に欠けるか、リズムが悪くて覚えづらくなりがちです。 3文字での表現、それもアクロニムで3文字というくらいがちょうど良いバランスだからです。 # Title: アワーク(awork) 非仕事的、という意味になります。 ## 背景 仕事というと[ティピカルワーク(プロジェクトワークやクライアントワーク)](https://note.com/workhack20/n/n60cc3ab03e66)や[イシュードリブン(問題解決駆動)](https://note.com/workhack20/n/n303da7d1ec2a)なニュアンスがあると思います。 プロジェクトやクライアントに馴染めなかったり、指定された問題の解決に直結できなかったりする場合は仕事とみなされません。そのような人材は排斥されがちです。 一方で、[変革](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E5%A4%89%E9%9D%A9&context=note&mode=search)など上記が当てはまらない仕事、仕事のための投資もありえます。仕事らしい仕事だけが仕事ではないのです。 ## アワークとは アワーク(awork)とは「非仕事」「非仕事的」という意味で、以下の3つが当てはまります。 * 非同期的(Async) * 非社会的(Asocial) * 非典型的(Atypical) ### 非同期的 まず非同期的なので、同期的(リアルタイム)なやり取りはしません。一日誰とも喋らないミュートデイも当たり前に行えます。 一方で、情報を残すことが大事ですから、テキストはもちろん、録画や録音、ライブ配信を使うこともあります。 ### 非社会的 次に非社会的なので、人と仲良くなることを前提としません。 特に日本で見られる[関係ベース](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)――一緒の時間を過ごすことで信頼を積み上げていく営みも想定しません。ですので、赤の他人であってもいきなり率直な議論を始められますし、自己開示も厭いません。 ### 非典型的 最後に、 **アワークの実践者や集団は非典型的な人から構成する必要があります** 。 非典型とは元は科学用語で、正常異常の異常の別の言い方です。異(おかしい)ではなく典型じゃない、という言い方をするわけですね。特に典型から外れた能力を指すそうです。 アワークの文脈では、その仕事において「浮いている人」や「変わり者」を指します。単に珍しい能力を持つ者ではなく、場に馴染めない(馴染む要領がない)し、馴染まない(馴染む意思がない)者だと考えてください。以下がサインになると思います。 * 協調性がない、我が強い、皆とは全然違うやり方や考え方をする * 馴染まなさがはっきりとわかる程度に、自己主張やアウトプットが強い * 複数の、というより割とどのチーム、プロジェクト、所属部門でも馴染めないし馴染まない アワークは非同期的かつ非社会的と述べましたが、これを **同期的で社会的な人が行うことができません** 。この人達に非同期的・非社会的に振る舞ってもらうのは難しいです。 ですので、発想を変えて、非同期的・非社会的な人をそもそも集めるようにします。非同期と非社会を比較的両方とも満たせるのが、非典型的な人なのです。 ## メリット 「仕事ではないけど重要な活動」のあり方を端的に示せることです。 当サイトでは[変革のための特区](https://note.com/workhack20/n/n45e75d301d32)、[テラワーク](https://note.com/workhack20/n/n90e89b1ab8e1)、[働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)など、表面的な「仕事」にとらわれないあり方をいくつも紹介していますが、このようなあり方は現時点では特異であり理解しづらいです。 そこで、理解しやすくするために「アワークという性質があるのだ」と表現できるようにしました。つまり非同期的かつ非社会的に過ごすのがポイントであり、この過ごし方にはおそらく非典型的な人を集める必要があるだろう、という主張です。それをアワークの一言で表現しています。 # Title: 今週の記事 2025/01/12 今週は 11 記事書きました。 当サイト開始から 18 週が経ちました。 [←前 2025/01/05](https://note.com/workhack20/n/n2e531308afee) [2025/01/19 次→](https://note.com/workhack20/n/n8d18f57f9a29) ## 記事 ## (noteネタ) # Title: QWINCS ~コミュニケーションツールの主な選択肢~ 以前QWICについて解説しました。 QWICとは以下の頭文字を取ったものです。 * Q&A アンサー指向的 * Wiki ナレッジ指向的 * Issues トピック指向的 * Chat 時系列指向的 ですが、もう少しだけツールがあるので、再整理します。 ## QWINCS QWINCS(読み方はクインクス)は、以下の略です。 * Q&A * Wiki * Issues * **Note** * Chat * **Sticky board** 今回追加したのは太字二つ部分であり、どちらも複数人の同時利用が可能な点が特徴です。コラボレーションの需要に応えるツールと言えるでしょう。 ### ノート(Note) * 複数人同時編集が可能なノートやドキュメントを指します * 例 * Notion * Cosense(系統としてはWikiです) * Googleドキュメント * Box Notes * Zoom Docs ノートやドキュメントといった「文書」的なページがあって、そこに複数人が同時に書き込める世界観となります。 [議事メモ](https://note.com/workhack20/n/nd54e3bec3407)としての活用はよく見られますが、重用できれば口頭による打ち合わせを廃して、 **テキストのみの打ち合わせすら可能となります** 。現実的にはまだまだといったところです。というのも、ノート内のどこに何を書くかというファシリテーションの体系が未整備だからです。 ※これを当サイトでは[コラボレーティブ・ノートテイキングと呼んでいます](https://note.com/workhack20/n/nae0e17fd7077)。 ### 無限キャンバス(Sticky board) * 2次元空間上に情報を配置するボードを指します * 例 * Miro * Microsoft Whiteboard * [postalk](https://postalk.jp/)(コンセプトとしてはChatです) * Trelloなどタスクをボードに配置するものはこれには含まれません * その名のとおり、2次元空間を無限に使えて自由に配置できる必要があります 元は付箋を貼り付けるホワイトボードから始まりましたが、今では付箋以外の情報も扱ってワークスペースとしてのポテンシャルを誇っています。 本質的にはバーチャルオフィスだと考えます。「n次元空間」に「どんな物を配置」するか、また「各個人をどう表現するか」が違います。 * マインクラフト * 3次元空間 * ブロックを配置 * 各個人はブロックにデフォルメされたキャラクターで表現 * Miro * 2次元空間 * (主に)付箋を配置 * 各個人はカーソルで表現 この手のツールは無限キャンバス(Infinite Canvas)と呼ばれたりもしますが、付箋という言葉のわかりやすさとQWINCSの響きの良さとで、ここでは Sticky board としました。 ## 指向は? ではノートと無限キャンバスは何指向と言えるでしょうか。 QWICに太字で追加します。 * Q&A アンサー指向的 * Wiki ナレッジ指向的 * Issues トピック指向的 * **Note ギャザー指向的** * Chat 時系列指向的 * **Sticky board 空間指向的** ### ノートはギャザー指向 ギャザー(Gather)とは、一つの場所に集まるという意味です。ノートでは一つのドキュメントやページに集まって、行の塊を皆でつくりあげていきます。 ![](/assets/n023f1ef91e3e_1737333982-q2tObTLRPGEKYogVUAch3pyI.png)ギャザー指向。 テンプレートをつくっておいて埋めていったり、ひとりひとりが塊をつくって発散してから収束用の塊をつくったり、あるいは単に1-議題 1-塊にしてコメントを書き込んでいったり、などやり方は無数にあります。 その本質は、皆が同じ場所に集まっていることです。従来は対面で部屋に集まっていましたが、それをノートでやるのです。ノートという部屋に集まっているのです(Note As A Room)。 ### 無限キャンバスは空間指向的 無限キャンバスは、建物や住所が存在する現実世界と同じような世界観であり、いわば空間的なものです。 ![](/assets/n023f1ef91e3e_1737334426-n381m2AopBMubkHOeCvTqRlW.png)空間指向。Miroのような2次元+カーソルアバターの場合。 ただし現実世界とは違って、世界(ワールド)を複数個つくったり、それらを繋いだりできます。postalkではすでにボード間のリンクをサポートしています。 また、同じ世界内でのワープもおそらく今後盛んになってくるでしょう。無限キャンバスからは離れますが、マインクラフトではネザーゲートを用いたワープがよく使われています。 ## おわりに QWICにノートと無限キャンバスを加えて、QWINCSとしました。 コミュニケーションツールとして、これら6つ――Q&A、Wiki、Issues、Note、Chat、Sticky board が存在するということです。これらを活用することで、原始的な出社や口頭ベースの打ち合わせから脱しやすくなるでしょう。 # Title: コラボレーティブ・ノートテイキング 主なコミュニケーションツールとして[QWINCS](https://note.com/workhack20/n/n023f1ef91e3e)があり、Nはノート、特に複数人同時編集型のノートを指します。このようなノートのあり方を **コラボレーティブ・ノート** と呼ぶことにします。 コラボレーティブ・ノートの難しい点は、誰がどこに何を書くかのコントロールです。ファシリテーションと言ってもいいでしょう。コラボレーティブ・ノートだからこそのファシリテーション、を考えねばなりません。 ## コラボレーティブ・ノートテイキング コラボレーティブ・ノートを、ファシリテーションつきで上手く成立させることを **コラボレーティブ・ノートテイキング(Collaborative Note- Taking、CNT)** と呼びます。 ### ファシリテーションの重要性 ノートを取ることをノートテイキングと呼び、従来はひとりで自由に行うものでした。しかし、コラボレーティブ・ノートでは、 * **特定の有限性(たとえば会議内でつくるノート)** を伴って、 * **複数人が同時編集をする** との世界観になっています。 対面の会議であればファシリテーションがなくとも表情や雰囲気を読み取って収束していけますが、ノートではそれらも使えません。ファシリテーションは必須です。 よって、コラボレーティブ・ノートを成立させるためには、事実上ファシリテーションも必要であり、この点も組み込んだのがコラボレーティブ・ノートテイキングです。 ### 緩いファシリテーション ファシリテーションというと、司会進行が皆を導くイメージを浮かべるかもしれませんが、CNTでは違います。 CNTでは、以下の形で緩めにファシリテーションします。 * 全員がCNTにおける動き方を理解しておく * ノート上でテンプレートや役割を設定して、各自が主体的に動きやすくする * 最終的な意思決定は、意思決定者を設けることで担わせる これを **緩いファシリテーション(Flexible Facilitation、フレキシリテーションとも)** と呼びます。 ### CNTで使う3つの考え方 緩いファシリテーションを実現するために、CNTでは以下の3つを使います。 * スリーエリア(3種類のエリア)を使う * 意思決定者を設定する、また書き込ませる * 進め方の型があるので、どれを使うかを決める 以後、詳しく見ていきます。 ## CNTで使う3つの考え方 まず前提として、CNTでは、1つのノートに複数人が集まり同時編集します。これを **部屋としてのノート(Note As A Room)** と呼びます。部屋に集まって会議をするように、ノートに集まって会議をするイメージです。 この前提で、以下3つの考え方を採用します。 ### 1: スリーエリア ノートにはSecret、Private、Publicの3つのエリアを適宜設けます。 * Secret * 自分にしか見えない * Private * ノート内に書き込める、自分専用の領域 * 書けるのは自分だけ、でもメンバー全員が読める * Public * ノート内に書き込める、皆の領域 * 誰でも書き込める 1つのノートはnつのエリアを設けており、私たちは必要に応じてエリアをつくっていきます(あるいは後述するように事前に設置しておいてもよい)。 たとえばメンバー3人でCNTを行う場合、各人のprivateが1つずつ、最終的な結論を書き込むpublicが1つで、計4つのエリアから成るノートを使うことができます。 ![](/assets/nae0e17fd7077_1737419267-NzLfjtsxCw6K8OlkoqIhM49r.png)CNTにおけるノートの一例。やりようは無限にあるが、要はエリアから構成する。 Secret についてですが、これはいきなり Public や Private に書くのに抵抗がある人が適宜使うものです。 **Secret は人には見せないのでノートには書きません** 。 今のところ、各自で別の場所に書くしかないでしょう。将来的にはノートアプリがシームレスに Secret を書ける機能を提供するかもしれませんが、2025/01 現在、これをサポートするノートアプリは無いと思います。ちなみに当サイトでは[似た概念を考察しています(下書きとして考察)](https://note.com/workhack20/n/n12652d4cd1ab)ので参考にしてください。 ### 2: 意思決定者 CNT では意思決定 **を書き込む** 意思決定者を決めます。 というのも、いくらCNTを進めて議論が捗ったとしても、最終的に誰が何をするという決めの問題は避けられないからです。誰かが行わねばなりません。 従来の会議でも、通常はマネージャーなり経営者なり推進者本人なり、誰かしら意思決定を担う者がいるはずです。CNTも例外ではありません。そして CNT はノートですから、 **意思決定をするとは、意思決定の内容をノートに実際に書き込むことを意味します** 。 ### 3: 型を使う CNT の進め方には「型」があります。 今のところ当サイトでは2つほど整理しており、おそらくいずれかを使うと、多くの場合上手くいくはずです。足りない場合は、各自新しい型をつくってください。 型がないと収拾をつけづらいので、CNTにおいて何かしら型をつくって、全員が「今回はこれこれの型でやる」というふうに動けた方が良いのです。 **型1: 勉強型** 意思決定が存在しないCNT。勉強会など共有・体験に適する。 * やり方 * 事前にノートとエリアを整備しておいて、その通りにうごく * 例1: 発表ネタごとにエリアをつくっておいて、発表中自由にコメントを書く * 例2: 1人1プライベートエリアをつくってもいいことにして、自由に書く * Q&Aや雑談用のエリアをつくっておくのも良い **型2: 議論型** 意思決定が存在するCNT。 * やり方 * DDDに従う * 1 Define(議題の定義) * 2 Discussion(議論) * 3 Decision-Making(意思決定) * Defineについて * 事前にノートにアジェンダを書いておくのがやりやすい * 1議題 1エリアをつくるとやりやすい * 議題はMust、Should、Optionで分ける * Must:このCNTで意思決定までやりたい * Should:このCNTで少なくとも議論はしたい * Option:それ以外 * 新しい議題が増えたときは、CNTの最中でもOptionとして適宜追加しても良い * Discussionについて * 議題ごとに情報を出す * CNTでは **意思決定するための情報を集める** と考える * 各自の持論も、参考情報も、コメントのやり取りで膨らむ内容も、全部情報と言える * 情報の出し方は色々ある * ひとりずつコメントを書き込むだけ * 意思決定者が質問を書いて、それに誰かが答える * メンバーが質問を書いて、意思決定者(答えられるならメンバーでもいい)が答える etc * Decision-Makingについて * 議題ごとに、意思決定者が意思決定を書き込む * 少なくとも「同意 or 不同意 or 不足(情報が足りない)」は書く * できれば次の行動と担当者(Action And Assign)も決める * 意思決定者の選定には融通を利かせる * 通常は役職の高い人になりがちだが、任せられるなら任せてしまってもいい(その旨は書く) ## Q&A ### Q: CNTが想定する拘束時間はどのくらいか? Ans: 1時間以内が推奨です。 読み書きをヘビーに行うので疲れます。真面目にやると、 **対面で喋って打ち合わせるよりも何倍も疲れます。** 1時間以内を一つの目安にした方が良いでしょう。 ### Q: CNTは会議のように同期的なものか? Ans: はい、そうです。 もちろん、非同期コミュニケーションの文化とスキルが十分であれば、同期的にせずとも「いつでも誰でも好きなときに更新してね」で成立しますが、現時点では難しいと思います(できるなら問題ありません)。 ですので、CNT でも、会議のように同期的に皆で集まって集中して取り組むことを想定しています。 ### Q: CNTを行うときに、対面やリモートで顔を合わせる必要はあるか? Ans: ありません。 CNT は、ノートにアクセスして集まるだけでも成立します。 **言語による議論に集中するためにも、(議論型の方は)最終的にはこれができることを目指したい** です。 ただし現実的には、慣れないうちは難しいと思いますので、対面で集まった上で CNT をする、オンライン会議で繋いだ上でやる、と従来の集まり方も一緒にやった方がやりやすいでしょう。 # Title: ワーク・ライフ・スラック [ワークライフバランス](https://note.com/workhack20/n/nd6c863e8970d)の潮流は以前整理しましたが、ライフにおいても何らかの責務や雑務を負いがちです。 自ら選んだのであれば良いにしても、この **「本質的にビジーな状況」以外の選択肢が無いのは好ましくありません** 。そこでワークとライフの他に、もう一つ概念を加えます。 ## ワーク・ライフ・スラック **ワーク・ライフ・スラック(Work-Life-Slack、WLS)** とは、ワークとライフにスラックを加えたものです。 スラック(Slack)は余裕を指します。何も負っておらず、この間は最悪何もしなくていいというレベルの余裕を指します。 WLSでは、このスラックを意識的に確保することを要請しています。ワークでもなく、事実上ワークの亜種でしかないライフでもなく、スラックこそ重要であると強調します。 ### スラック・キャパシティ WLSの度合いを測る目安が **スラック・キャパシティ** です。 これは「スラックを一日何時間取れそうか」「それも恒常的に取れるか」を自己申告したものです。本当に何もしない、というのはできないので、実際は **誰からも何からも干渉されないこと(無干渉)** を見ます。 たとえば以下はNGです。干渉であるとみなします。 * 誰かから声をかけられる * 誰かと会話する(テキストやバーチャルのコミュニケーションも含む) * スマホの通知に反応する * 家事や雑務を行う * 仕事や人生のための、何らかの備えをする * 休憩や睡眠 etc 誰からも干渉されず、完全に趣味的あるいは無為な行動ができる時間ということです。 ### キャパシティ3 WLSが取れていることの一つの目安は、キャパシティ3です。 つまり3時間取れていれば、スラックも取れているとの目安になります。もちろん、一度限りではなく、恒常的に取れねばなりません。恒常というからには、週に6日くらいは安定して取れねばなりません。 おそらく大半の人が出来ないと思います。これはワークライフバランスの概念を知らなかった前時代を彷彿とさせます。 ### スラックを強要するわけではない WLS は、いたずらにスラックを安定的に取ることを強要するものではありません。 スラックがあった方が水準が高いよ、という目安です。 またスラックをどう使うかも自由です。ワークやライフに費うこともできます。それでも単なるワークライフバランスとは違います。ワークとライフしかない状態と、スラックがある上で、これをワークやライフに充てることもできるのとでは全然違います。 ## (関連記事) ロードデトックス(負荷のデトックス)は、いわばデトックス活動としてスラックを確保するものです。 当サイトでは以前、レスト(休むこと)という概念を使ってワークレストバランスと表現しました。こちらは休み方を解像度高く捉えますが、より抽象的で高い視座としては力不足のため、今回WLSをつくりました。 以前からスラックについて何度か論じています。特に「業務時間中の余裕」の重要性を取り上げています。 # Title: DAA(Don't Assume, Ask) **DAA(Don't Assume, Ask)** とは、以下の原則に則ることを指します。 * **思い込みや決めつけはしない** * 特に人の行動から意図を読み取ろうとする行為を指します * どうしても決めたいなら **直接尋ねる** つまり「思い込みや決めつけを一切しない」か「やるなら直接尋ねる」のどちらかに振ってしまう姿勢を指します。 ## メリット QoL(生活の質)が向上します。 QoLは上げることだけでなく下げないことこそが重要です。主な「下げるもの」は悩みであり、主な悩みは対人関係によるものです。そして、対人関係の悩みの主な構成要素は、思い込みと決めつけです。 つまり、思い込みと決めつけをやめてしまうことが QoL を下げないことに繋がります。また、どうしてもなんとかしたい場合は Ask(直接尋ねる)することもできます。何にでも誰にでも Ask できるとは限りませんが、選択肢としては提示されているため意思決定できます。実際に Ask していることで、誤解は解けて、やはり QoL は上がるでしょう。 ※さらにこじれることもありますが、それでも進展はするため、結果的には上がります(というより思い込みと決めつけを抱え続ける「長期的な下げ」をなくせます)。 ## (関連記事) 3文字の略称にはパワーがあります。 # Title: チャットと通知の分離、ベルウェア(Bellware) **チャットが根強く使われる理由の一つは通知** です。 声をかけたいとき、対面だと直接かければいいですが、リモートや非同期だとそれができません。手紙を置く、メールを飛ばしておく等のやり方ですと、すぐに見てもらえるとは限りません。 そこでメンション(@mention)をつけるなどして通知を飛ばします。 ## チャットの問題は、通知と結びついていること 本来ならば通知を受けて、ではどうするかのやり方が様々あるはずです。しかし現状はチャットが通知機能も担っているため、 ≒チャット となってしまっています。これでは融通が利きません。 実際未だにフルリモートも当たり前になっていないくらい、働き方は古典的で、大手企業でさえも出社回帰に倒してしまいがちです。この一端は、通知に対する処理方法がチャットしかない、という方法の乏しさにあると考えます。 方法を増やすためには、チャットへのとらわれから解放しなくてはなりません。 ## 通知だけ行うソフトウェアがあるといい そこで、チャットと通知を分けて、通知だけを行うソフトウェアを考えます。 これを **ベルウェア(Bellware)** と呼びます。呼び鈴のベルです。 ## ベルウェアについて ### ベルウェアの機能 * グループ機能を持つ * DMのような1対1 * グループチャットのようなn人 * チームやプロジェクトや部門など組織を反映したn人 etc * グループ内の全員 or 特定の人(達)に向けて、ベルを鳴らすことができる ### ベルとは ベルとは「呼び鈴」のベルですが、特定の人に通知を飛ばすだけのものです。 例として、🐶さんが誰かを想定してベルを鳴らすとします。「誰か」には 🐶さんがベルを鳴らしたことが通知されます。 **ベルの内容は URL です。** 「これを見て」「ここに来て」といったURLがついています。URL は必ずつけないといけないもので、つけないとベルを鳴らせません。 ですので、「後で話そうか」みたいな安易なことはできません。必ず事前にどこかに何かを書いて、そのURLを教える形でベルを鳴らさないといけないのです。 **ベル自体にコミュニケーション機能はありません** 。 もちろん、URLは色々ありえます。チャットのスレッドでもいいですし、ノートのURLも可能です。コミュニケーションツールは色々あります。 ### メリット * 通知後のアクションを取るやり方として、今は「チャットを使う」がまず来ますが、ベルウェアを使うとこれ以外も考えることができるようになります * 短絡的な割り込みが減ります。ベルだけではコミュニケーションを取れないので、鳴らす側がちゃんと考えるようになるためです 前提として、私たちは「ベルウェアだけ見ておけば良い」との運用をしている必要があります。 ## Q&A ### Q: 緊急の場合はどうすればいい?いちいちURLつくってベル鳴らす暇はないと思うが? Ans: たとえばアラートウェア(Alertware)があります。 本記事ではチャットと通知を分離しました。 一方で、通知自体も「緊急ではないもの」と「緊急なもの」に分離できます。ベルウェアは前者を扱います。後者を扱うものがないので、それはまた別のソフトウェアで扱います。仮に **アラートウェア(Alertware)** と呼びましょう。 アラートウェアは、緊急の通知――来たらすぐ対応するものだけを扱ったソフトウェアです。そうではない内容は一切扱いません(ので基本的には使う機会は無いはず)。 こうすると働き方にメリハリが出ます。 従来はチャットで通知していたので、緊急も、そうでないものも全部チャットでやり取りすることになりすべて確認しなければなりませんでした。負担が高かったのです。 しかしベルウェアとアラートウェアを導入すると、アラートが来てたらそれには対応するが、それ以外はベルに従って自分のペースでやればいい、となります。 ### Q: このように混ざっているものを分離する発想は汎用性が高そうだと思うが? Ans: そのとおりです。 当サイトでは「分離エンジニアリング」として整理しています。チャットと通知の分離もその一つです。 詳しくは以下をご覧ください。 ### Q: 通知やメンションについて他に扱った記事はある? Ans: あります。 当サイトでもいくつかの捉え方をしています。3記事ほど紹介します: # Title: キャリアブレイク改めキャリアドリフト キャリアブレイクの効用が強調されていますが、そもそもブレイクできるなら苦労はしません。 そこで、キャリアブレイクほど人は選ばないが、通常よりも肩の力を抜ける取り組みを紹介します。 ## 背景:キャリアブレイクは難しい **キャリアブレイク** とは、一時的に仕事に就かない休憩期間(ブレイク)を指します。 「キャリアの再検討」と「心身のリフレッシュ」を同時に行える取り組みですが、これを行える人は限られています。 **たとえば3ヶ月ブレイクしたいとして、できるでしょうか?** 通常はできないと思います。なぜなら、まず現職では通常(病欠などの理由なしに)これだけ休む手段がありませんし、離職した場合は当然再就職の保証がないからです。 結局、キャリアブレイクとは、病欠レベルの強い理由を持っている人(強い事情)、あるいは「まあ転職できるだろう」との自信・実力(強い実力)を持つ人だけが行えるものです。 多くの人にとって、キャリアブレイクは非現実的です。そもそもキャリアブレイクできるだけの強い実力を持っているなら、キャリアごときで苦労などしません or どうとでもきます。あるいは、閉鎖的すぎて冷静になれていない強い人が冷静になるのに役に立つ程度です。 ## キャリアドリフト キャリアブレイクよりも、もう少し現実的に使える概念を一つつくりました。 **キャリアドリフト(Career Drift)** とは、キャリアについて考えるのをやめることを指します。Driftには漂流する、放浪するといった意味があります。ぷかぷかと浮いて身を委ねるくらいでいいじゃないか、とのニュアンスです。 もちろん、ただ思考停止して留まるだけでは将来が危ないですから、それなりの備えはします(後述)。それでも、中長期的なキャリアについて考え続けて疲弊するよりはマシだと考えます。 具体的には、以下を行います。 * 定期的に行うこと * 恒常的に行うこと * 偶発的に行うこと それぞれ三つありますので、詳しく紹介します。 ## 1: 定期的に行うこと * 内省 * キャリアファサードのアップデート * ミニマイズ 定期的とは、たとえば毎週日曜日にやるとか、毎月10日にやるとか、あるいは毎日やるなど特定の頻度で欠かさず行うことを指します。 習慣や日課というほど強力ではなく、やる機会は確保しておいて、できないならまあサボってもいいかくらいで考えてください。もしこの認識でサボりが常態化するのでしたら、まずは習慣や日課レベルで強く頑張りましょう。 ### 内省 [内省](https://note.com/workhack20/n/na77a9fef662c)とは、自分ひとりで誰にも邪魔されずに集中的に深く振り返ることです(当サイトの定義)。 自分の本心と向き合えたり、向き合った上で良さそうなアイデアが思いついたりします。これは **自分ひとりで、誰にも邪魔されずに考え事をすることでしか至れません** 。 内省により、本心と現実のバランスを取れるようになります。自分の気持ちは自分にしかわからないし、全部他人に見せるわけにもいきませんし、もちろん自分の気持ちを知らない他人からの正論などくそくらえです。よって、内省ができない人は自分の人生を生きられません。実際忙しさに溺れたり、推しや宗教に依存したりする人は多いです。 キャリアドリフトでは、キャリアという拠り所がなくなるので、定期的に内省することで自分を保つ必要があります。 ### キャリアファサードのアップデート キャリアファサードとは、キャリアの提出が必要な相手向けの「適当なハリボテ」です。 今年度の業績目標だとか、中長期的なキャリアはどうするのかといったことはよく問われる(これをキャリアの提出と呼んでます)と思いますが、これにはハリボテで対応します。ファサードとはハリボテの意味です。つまり **真面目に考えすぎず、評価する人達に納得してもらえる程度の作文ができたらそれでいい** と考えます。 特に重要なのが自分を曲げて、その居場所で重視されている立ち回りを無難に取り入れて、無難に評価してもらうことです。 キャリアの提出機会は定期的にあるでしょうから、キャリアファサードも定期的にアップデートするのが望ましいです。 ### ミニマイズ ミニマイズとは、 **ミニマリズムのレベルで大胆に捨てる** ことです。日本では断捨離として知られていますが、これは断捨離®であり商標であって使いづらいので、当サイトではミニマイズと呼んでいます。 ありきたりですが、抱えるものが多いと、それだけでエネルギーを消耗します。要らないものは捨ててしまった方が楽です。また必要になれば、その時買えば or 借りればいいのです。 ミニマイズは、キャリアドリフトにおいては重要です。 従来の「キャリアを絶えず考えてそれに向かって頑張る人」は自己犠牲的なもので、キャリアという目標で自分を奮起させます。目標のためには手段を選ばず、進み続ける才能が求められます。たとえば部屋が汚いといった些細なことなど気にしません。 しかし、キャリアドリフトでは、そのキャリアなるものを捨ててしまうわけですから、拠り所となる目標もないわけです。この状態ですと、細かいことを無視してがむしゃらに進み続けることもできません。細かいことも気になりだして(無自覚であることも多い)、消耗に繋がっていきます。だからこそ、意識的に「これ要らないんじゃね?」と振り返った上で、要らなそうなら思い切ってミニマイズしてしまうことが重要なのです。 ## 2: 恒常的に行うこと * 自分のスタイルを死守 * 余裕(特に時間と精神) * 刃研ぎ(トレーニングとアップデートとアンテナ) 恒常的とは、習慣や日課として絶えず続けることを指します。 **キャリア・ドリフトは、言ってしまえば「日頃から自分なりに鍛えておいて」「チャンスが目に入ったら飛びつく」生き方です。** 前者の日頃から鍛えておく部分を、この恒常性でカバーします。 ### 自分のスタイルを死守 スタイルとはワークスタイルやライフスタイル、もっと言えば自分なりの生き方を指します。 死守してください。自分のスタイルを守り続けられるような過ごし方を心がけてください。必要なら提案や衝突をしてでも守ってください。 というのも、キャリアドリフトでは、キャリアを目標にして自己犠牲的にがむしゃらするのをやめて、 **マイペースの方に寄せた生き方だからです。マイが大事なのです。** ※もちろん現実はそう単純ではないので、通常はどこまでアピールしてどこで妥協するかといったバランスを探り続けることになります。そういう意味でも「恒常的」ですね。 自分のスタイルを守るつもりがないか、守らなくてもどうとでもできる人は、キャリアドリフトには向いていません。スタイルに依存せずとも生きていけるということであり、優秀でしょうからキャリアブレイクでいいと思います。 ### 余裕 余裕とは、当サイトでスラック(Slack)と呼んでいるものであり、時間的・精神的な「最悪何もしなくても済むという余り分」を指します。 少し前にワークとライフに加えて「スラック」もあると良い、との記事を書きましたが、まさにこのスラックです。 キャリアドリフトは、キャリアのために自分を捨ててがむしゃらに動くことをやめた生き方です。かわりに、マイペースに自分をメンテナンスします。ということは、メ **ンテナンスするための余裕がある程度は必要ということです** 。 余裕は自ら確保しにいかない限りは生まれません。現代は仕事も忙しいですし、スマホにSNSにゲームにと注意も奪ってくるので、自らたとえば「1日3時間くらいは暇でいよう」と考えて、守る行動を続けなくてはなりません。 **そんなのもったいない、常に何かしていたいという人はキャリアドリフトには向いていませんので、回れ右してください。** たぶんこれまでどおり、キャリアのために自己犠牲的にがむしゃらに働く方が向いていると思います。 ### 刃研ぎ 書籍『7つの習慣』にて「刃を研ぐ」との表現が出ますが、同じようなものです。日頃から自分を鍛えることで強くしておきます。 具体的にはトレーニングとアップデートとアンテナです。 * トレーニング * スキルや能力を鍛えるための「鍛錬」 * 地道な反復練習や、手順に沿った練習をする * アップデート * やり方や考え方を変える * 当サイトでは仕事術――仕事のやり方と考え方をまさに扱っています * アンテナ * 情報や動向を追いかける * 日常のマンネリ防止、気分転換、インスピレーションの獲得などにつながります * 追いすぎると情報過多なので、程々が良い * (1/27追記) [負担を減らすテクニック](https://note.com/workhack20/n/ned2c1dc3eff4)もあります 何にどれだけ費やすかは人次第でしょうから抽象的なことしか言えませんが、とにかく鍛錬的なもの、変える的なもの、追いかける的なものと3つの行動をもって日頃から自分を強くするものと捉えてください。 ## 3: 偶発的に行うこと * Clear Event : 探索や思考をしてて見えた! → さっさと行動する * Chance Event: なんか良さそうな機会が起きた! → さっさと手を挙げる、飛びつく * Cue Event: ニーズやお願いやヘルプといった合図が来た! → さっさと応答する キャリアドリフトでは、偶然起こる「良さそうなイベント」や「応えた方が良さそうなイベント」が起きたときに、なるべく応えるようにします。計画的偶発性理論など、キャリアに偶然の要素が強いことは昔から知られています。だったらもう、最初から **偶然起きたら応える、とのイベントドリブン的なスタイルで良いんじゃないかと開き直るわけです** 。 ただし、何もしないと応えづらいですし、起きたことにも気付けないかもしれないので、日頃からなるべく備えています。それを 1: の定期的、2: の恒常的の形で解説しました。 ### Clear Event 内省もそうですが、自分なりに考えていると、ふと「あ、見えてきたかも」「たぶんこういうことだ」との気づきが訪れます。 見えたきたら、さっさと行動します。直感は正しいと言われますが、同じことです。それ以上の思考は大して意味がないので、さっさと行動してみて検証しましょう。 このカジュアルな仮説検証をどれだけ行えるかが、キャリアドリフトの成否を決めます。仮説検証をせず、ただ考えるだけの人は頭でっかちにすぎません。 といっても、製品をつくるという大げさな話ではありません。 たとえば内省で「あ、最近毎日だるいのは食事量が絶対的に少ないからでは?」が見えてきたとしたら、食事量を増やしてみる行動(検証)をするのです。少ないからでは?の想像で終わるのではなく、まがいなりにも見えてきたのですから、仮説ととらえて検証してみるわけです。こうして行動に移さない限り、次には進みません。 ### Chance Event なんか良さそうな機会が起きたな、と思うことがあります。そういうときは飛びついてみます。 たとえば会社で、新規事業や組織改善のタスクフォースが新たに立ち上がるとして、それを見て何かビビッと来るものがあるとしたら、手を挙げてみるというものです。だるいから、怖いからと相手にしないのではなく、ビビッと来たとのシグナルを信じて、やってみるのです。 ただし、このChance Eventをどう処理するかは人次第です。ビビッと来た、のような直感が大体正しい人もいれば、内省を通して改めて見直してから判断した方が良い人もいます。 **最終的にはリスクをどこまで許容できるかの話** になると思います。上記の例だと、仮に「最悪1日1~3時間残業が増えそうだ」とわかったとしましょう。これを受け入れるかどうかは自分次第です。 ### Cue Event Cue は合図を意味します。何らかのお願いやヘルプといった合図が来たら、応えてみましょう。 Cue Event は、上からの命令やバイネームでのお願いというわけではなく、 **「誰かやってくれないか?」と言われても、でも誰も応えてない類のものです** 。明示的に声は挙がっていないが明らかにニーズがあるものも含みます。 こういうのにも積極的に応えてみると良い、と言っています。Cue Event は、その居場所において明確に求められているものです。好き嫌いはさておき、応えていくことで確実に貢献を稼げます。要はポイント稼ぎです。 情報は情報を出す者に集まるといいますが、同様に、機会も機会に応える者に集まります。ありきたりですが、応えてくれる人に頼りたいのが心理ですし、そうでなくとも応えていけばその分目立つからです。 キャリアというと主体的に切り開いていくイメージがありますが、Cue Event に応えて存在感を増すムーブをすると **キャリアが受動的に拓かれていきます** 。Chance Event が集まりやすくなります。 もちろん、イエスマンとして何でも応えてしまってはあっという間に多忙になります。そうならないために、定期的・恒常的で挙げた諸々のメンテナンスも必要です。そうして自分を保った上で、マイペースに Cue Event を消化していくのです。 # Title: 今週の記事 2025/01/19 今週は 6 記事書きました。 当サイト開始から 19 週が経ちました。 [←前 2025/01/12](https://note.com/workhack20/n/n79d5537d4bd5) [2025/01/26 次→](https://note.com/workhack20/n/nb2af167a9336) ## 記事 # Title: ワンハンド・キャッチアップ 仕事でも私生活でもキャッチアップしていると大変です。気が休まりません。そこで、仕事でのみ行うか、逆に私生活でのみ行うようにして、同時に両方で行わないようにします。 これを **ワンハンド・キャッチアップ** と呼びます。両手は使わず、常に片手だけを使うとのニュアンスです。 ## キャッチアップのマトリックス 私たちには仕事(ワーク)と私生活(ライフ)があり、キャッチアップするかどうかで 4 通りに分かれます。 ![](/assets/ned2c1dc3eff4_1737957729-wBRDIi2gA1c8mG4hr3tzkeE7.png)キャッチアップのマトリックス。 どちらでも行うボスハンズは疲弊しますし、どちらでも行わないノーハンドだと不安です。そこで、どちらか片方だけ行うワンハンドを取るのです。 ### キャッチアップとは キャッチアップとは、ここでは新しさを学ぶことを指します。わかりづらいので、キャッチアップしないとはどういうことかを整理します。 キャッチアップしないとは、以下の三つを指します。三つともしません。 * 調べない * 知らない単語の意味等 * 追いかけない * ニュース、タイムライン、最新動向等 * 挑まない * 挑戦をしない等 別の言い方をすると、現状の自分で対処するとも言えます。これを便宜上 **キープ** と呼ばせてください。 ### ワンハンド・キャッチアップ ワンハンド・キャッチアップは、 **ワークとライフのどちらか片方を常にキープする** 、とも言えます。 両方でキャッチアップするのはしんどいですよね。ですので、ワークでキャッチアップするならライフではしないし、ライフでやるならワークではしない、とコントロールするのです。 ### 切り替え ワンハンドをいつ切り替えるか、との議論があります。日以上の単位で、適当にやりましょう。 今日はワークをキープするか、でもいいですし、今週はワークが忙しいのでライフをキープしよう、など状況に応じて適当に切り替えてください。 # Title: DEIBよりもRAISE 多様性の潮流は Diversity → D&I → DE&I → DEIB となっています。多様性、公平性、包括性、帰属意識の略です。 一方で、行き過ぎた多様性を疑問視する声もあります。今月もトランプ大統領による大統領令や政策の撤回が話題となっています。 一つの解として、多様性つまりは「多様である度合い」の高さを望ましい状態とした上で、この状態を目指すための実践的な活動にフォーカスを当てます。RAISEを紹介します。 ## RAISE RAISE は以下の略です。 * R: Representation * 代表多様性 * 組織の「代表者」の顔ぶれがどれだけ多様か * A: Access * アクセス * 情報格差がなく、いつでも誰でも可能な限りあらゆる情報にアクセスできる * I: Inclusion * 包摂性 * スタンダーフ(後述)とみなす範囲が広い * S: Support * サポート * スタンダーフを段階的に拡張していける * E: Equity * 公平性 * 平等主義や画一主義の発揮がないか、薄い 以下、従来の概念と何が違うかという形で解説します。 ### 「代表の」多様性を見る(R) 代表の定義は様々ですが、たとえば経営層だったり、社外向けの発信に顔を出すメンバーだったりを指します。 Representation は、代表のあり方がどれだけ多様かを見ます。いくら口先で多様性と言っていても、経営層が男性ばかりとか、採用サイトがスーツばかりでは説得力がないわけです。 **多様性の実態を推し量るには、代表の多様性を見るのが端的** です。 ### 情報の透明性を重視する(A) 情報格差は政治を生みます。 政治とは好き嫌いに基づくゲームであり、勝敗があります。政治がはびこる組織では、問題と向き合うことよりも勝ち負けを気にしてしまうため、成長もしづらいですし(ゲームが好きで勝てもする一部の人以外は)居心地も悪いです。 **この構造から脱却するには、情報を公開していつでも誰でも見れるようにするのが鉄板です** 。透明性を高めると表現します。 たとえばサイボウズ株式会社では、 > 経営会議の議事録や経費の情報もプライバシーやインサイダーに関わるもの以外は公開しています。 とあり、これは経営の透明化と言えます。 他にも業務の透明化――つまり業務に関する情報を社員全員が見えるように公開する、などもあります。こちらはプロジェクト外秘や機密情報の形で阻害されがちだったり、顧客との契約で公開ができなかったりして難易度が高いです(たぶんサイボウズもそこまではできてなくて、それで「経営会議の」と書いているのだと思います)。 RAISE では、この透明性の取り組みを Access にて表現しています。 ### スタンダーフを広げる(I、S) **スタンダーフ** とはスタンダード・スタッフ(Standard Staff)の略であり、標準的な社員を意味します。 **「社員」という人権を表現した単位** だと考えてください。 さて、インクルージョン(Inclusion)とは何でしょうか。 多様性の文脈で古くから語られており、日本語では包摂とか包括性と訳されます。本記事では包括性と書いています。 **包括性とはスタンダーフの広さ** を指します。 仮に就業規則のレベルで「毎日出社するのが義務である」旨を定めている会社があるとします。この会社のスタンダーフは狭いです。なぜなら、毎日出社できる人しか社員になれないからです。 身体障害、その他何らかの事情で出社できない人は社員になれません。会社内において人権が無いようなものです。包括性というなら、このような「あぶれ者」も社員として扱えねばなりません。就業規則の定義を緩和する、事情があれば例外にする旨を追加する等はすでによく見られます。 次にサポート(Support)ですが、これもスタンダーフの概念で説明できます。 **サポートとは、スタンダーフを広げる能力を持っていることです** 。 さっきの例を出すと、現時点でフル出社できる人しか人権がない状態で、これを緩和できるかということです。そのためには、 * 実際にスタンダーフからあぶれている者への配慮を実行する * その配慮を、会社として正式に採用する * あるいは少なくとも、必要に応じて使えるようにはしておく(Accessですね) の両方が必要です。 **一度、配慮を実行しておしまいではないことに注意してください。再現性がないとダメなのです** 。そこまでできてサポートと言えます。これはつまり、スタンダーフを拡張できるということです。 ### 平等や画一に抗う(E) 会社では、社員全員に一律的な制約を課しがちです。 たとえば全員に対して同じハイブリッドワークスタイルを課します。「社員全員、原則週に一度は出社せよ」などですね。 本当は、 「週一でいい人」 「もっとやりたい人」 「週一でも厳しい人」 「月一くらいならできる人」 「月一でも厳しい人」 など様々なのに、これらを無視して単一の基準を強行するのです。もっともらしい理由がつくことも多いですが、所詮は強行です。やり方や考え方が未熟であるがゆえに、単一にすることしかできていないだけです。 ※当サイトでは以前「[働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)」と表現しました。「働き方」が同時に一つしか存在できず、複数共存できていないのです。 さて、 **公平性(Equity)ですが、これは単一の基準を強行しない度合い** を指します。 単一よりも二つ、二つよりも三つ、あるいは最初は一つだが増やしていける方が公平性が高いと言えます。 働き方に限った話ではありません。よくあるのは報酬です。 競争に勝つために給与水準を上げるとして、現年収が400万円の社員🐶さんを、550万円にまで上げたとしましょう。一方で、その他、600万の🐱さんや950万の🐷さんは一円も上がりませんでした。 これを見て、どう思うでしょうか。 不公平だ。平等にするべきだ。たとえば全員一律で +30万 にするべきだ、でしょうか。これは公平的ではありません。 (給与水準引き上げの目的にもよるのですが)この場合はベースラインの向上として引き上げたいとします。であれば、ベース未満の低い人をベースに来るまで引き上げるのは当然です。 単純ですが、ベースが 550 万だとしたら、550 万に至ってない人は 550 万になるまで上げるのです。仮に 300 万円の人がいたとしたら、+250 万と激増になります。一方で、すでにベースを超えている人は一円も上がらず、これも当然と言えます。 このような考え方をして、実際に反映していけるのが公平性という指標です。 # Title: 聞き話し、読み書き、聞き書き、読み話し ![](/assets/na3e144c8ea69_93920aae6d8616cca25df622ffd2540a.png) コミュニケーションは「聞いて話す」と「読んで書く」が主流ですが、実は 4 パターンあります。 このあり方の多様性を **言語的多様性(Linguistic Diversity)** と呼びます。言語的多様性を広げるメリットと、そのための 4 つのパターンの関係や連携を見ていきましょう。 ## メリット コミュニケーションの量、質、融通を全部底上げできます。 単純な話、やり方が多い方がその分「向いているやり方」を発揮しやすくなりますし、状況に応じて適切なやり方を選べるので融通も聞きやすくなります。 たとえば、安易に出社回帰に倒したり、会議を増やしたりせずとも、読み・書きを混ぜることで「会議レスなリモートワーク」を実現しやすくなります。一方で、恒常的には、読み・書きが得意な人、聞き・話しが得意な人、どちらもできる人の全員が得意を発揮しつつ連携できるので、コミュニケーションの量も増えますし質も上がります。 従来は「聞き話し」派と「読み書き」派の 2 パターンで議論されがちでしたが、どちらもあり方がだいぶ異なるため共存が不可能でした。 しかし「聞き書き」と「読み話し」という仲介者を設けることで、連携が可能となり、共存もできるのです。 ## 4つのパターンの連携 ### マトリックス まず全体像をマトリックスで整理しましょう。 ![](/assets/na3e144c8ea69_1738023255-7eg8PJuzUbSEjkdiVtWAhHBQ.png)マトリックス。 ### 役割 次に役割を分けます。 左上の「1 聞き話し」は **スプリンター(Sprinter)** です。瞬発的なやりとりが得意です。短期的・短時間な状況に向いています。 右下の「4 読み書き」は **サステイナー(Sustainer)** です。サステインとはサステナビリティの動詞です。持久的なやりとりが得意です。中長期的・長時間な状況に向いています。 そして残る二つは **仲介者(Mediator)** です。スプリンターとサステイナーを仲介します。 ### 連携方法 最初に図で示します。 ![](/assets/na3e144c8ea69_1738024033-N8PFRWiUAr6q5cYvmB0gHEVX.png)連携の全体像。 次に文章でも説明します。 スプリンターは、スプリンター同士でやりとりします。また「2 読み話し」の仲介者が話したことも聞きます。 サステイナーは、サステイナー同士でやりとりします。また「3 聞き書き」の仲介者が書いたことも読みます。 仲介者は個別に見ます。 * 「2 読み話し」の仲介者は、「3 聞き書き(別の仲介者)」「4 読み書き(サステイナー)」が書いたことを、「1 聞き話し(スプリンター)」に話して伝えます * 「3 聞き書き」の仲介者は、「1 聞き話し(スプリンター)「2 読み話し(別の仲介者)」が話したことを、「4 読み書き(サステイナー)」に書いて伝えます # Title: マインドフルネス瞑想のポイントは単純没入(シンプルダイブ) ![](/assets/n4d85fb8394aa_53565631bd3b28c011f8bbf05fcbf34f.png) マインドフルネス瞑想がやりたいなら、単純没入を意識すると良いでしょう。 ## 単純没入 **単純没入(Simple Dive)** とは、単純な作業に没入することを指します。 ### 「呼吸を意識せよ」を一般化したもの マインドフルネス瞑想のポイントは「今この瞬間に、単純な対象へ集中して、他の雑念に流されないようにする」ことです。これにより平穏を取り戻せますし、平穏であれば[自分を客観視](https://note.com/workhack20/n/n4ca33cbe103c)することもできます。 とすると、ハードルは最初の「単純な対象への集中」であり、このためによく使われるのが呼吸を意識せよ、身体の感覚を意識せよです。 この部分を一般化したのが単純没入です。 ### 単純没入の5条件 * すぐに始められること * 1分以内 * 作業でないこと * 進捗を意識しないこと * 待ちが無いこと * イレギュラーがないこと * たとえば人と接することはできませんし、退屈を潰してくれる刺激や環境にも頼れません * 終わりがないこと ### 単純没入の例 マインドフルネス瞑想以外の瞑想で使うものも含みます。 * 呼吸に意識を向ける * 身体の各部位を意識を向ける * マントラを思い浮かべる * マントラとは自分が心地よく感じる短い音や言葉 * (トランセンデンタル瞑想) * 息を数える * 息を吐くときに「1」、吸ってまた吐くときに「2」というように数を数えながら呼吸に集中する。10まで数えたら1に戻る * (禅) * 温かな気持ちになれる言葉を思い浮かべる * たとえば「私が幸せでありますように」「私が安心でありますように」「私が健やかでありますように」など * 慣れてきたら対象を広げる。自分 → 家族や友人 → 中立的な人 → 苦手な人 → すべての存在など * (メッタ瞑想) またヨガによる瞑想や、ウォーキングやダンスといった動的瞑想など運動に頼ることもできます。 ## 単純没入を探す 単純没入のメリットの一つは、条件に当てはまる行動を自分なりに模索できることです。 例を一つ挙げます。 ## マイクラ瞑想 **マイクラ瞑想** とは、マインクラフトでマインドフルネス瞑想を行うことです。 ### 概要 条件に当てはまる動き方を考えて、それをします。マイクラはゲームなので、ちょっとした作業でも条件を満たさなくなります。注意深く考えてください。 たとえば **ブロックをひたすら積み上げる** は単純没入とみなせるでしょう。 ![](/assets/n4d85fb8394aa_picture_pc_6e60d81fa213f6f187868be562a979b6.gif)ブロック積み上げ法。 ### 手順と解説 * 1: クリエイティブモードでワールドをつくります * 2: 0, 0に移動します * コマンドだと /tp @s 0 100 0 など * 高さy座標は適当。低いと埋まりやすい。ここでは100 * 3: 適当に進行方向を決めます * わかりやすいように足場や橋を敷いてもいいでしょう あとはひたすらブロックを積むだけです。 限界高度y=319まで来たら、一マスずれて飛び降りて、また積みます。 終わりはありません。マインドフルネス瞑想としてきりがいいところまでやるだけです。y=319まで到達する単位を「本」と呼び、この単位で考えると便利でしょう。「2本くらいやるか」といったようにコントロールできますし、瞑想中に発生する雑念の一つとして捉えやすいものでもあります。 ### メリット * 呼吸や身体感覚の意識よりも、やりやすい可能性があります * ただでさえ没入しやすいマイクラをベースとしているので、没入に至りやすいです * 本数や座標により実態を定量的に把握できるので、振り返りやすいです # Title: ●●的安全性 心理的安全性以外にもありますので、整理します。 ## 心理的安全性 対人関係のリスクを取っても問題無いと信じている状態です。 元ネタの論文は「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams, 1999, Amy C. Edmondson」ですが、Google がチームワークの重要因子として取り上げたことで、有名になっていきました。 リスクを取るとは、 * チーム内で質問や助けを求める * 誤りを認める * 意見を率直にぶつける * 異論を唱える etc といった行動を指します。こういった行動には「恥や罰が伴うのではないか」のような不安がつきまとい、これをリスクを表現しています。 心理的安全性はチームの状態(共通の信念)であり、個人の能力やメンタルの強さとは無関係です。 ## 精神的安全性 当サイトでつくったものです。 自分のメンタルを脅かす脅威が無い度合いを指します。心理的安全性はチームの状態でしたが、精神的安全性は **個人の** 状態を指します。 ブリリアントジャークやエイリアンなど、精神的安全性を脅かすタイプを整理してますので、ぜひ見てみてください。 ## 時間的安全性 当サイトでつくったものです。 「いつ終わるかわからない」の度合いです。わからない場合、時間的安全性が低いと言えます。これが低いと報連相と参加がしづらくなります。 終われる権利(Right to Leave)など対策も議論しているので、ぜひ見てみてください。 # Title: 熟話 熟話(じゅくわ)とは読み話し型のコミュニケーションです。[読み書きでもなく、聞き話しでもなく、読み話し――「読む」と「話す」を使います](https://note.com/workhack20/n/na3e144c8ea69)。 熟慮的な議論を熟議と呼びますが、熟慮とはよく考えを巡らせることです。熟話は、問う際は話すことで行い、その応答は読むことで行います。考えを巡らせやすいやり方なのです。 ## 例 ChatGPT など生成 AI を使う場合。 特に音声で入力して、テキストの返事を読むスタイルは熟話的と言えます。このやり方で使うと、おそらく生成 AI からの返事をじっくり読みながら、時折次の問いをつぶやく、といったスタイルになるはずです。 コミュニケーションと言えば、リアルタイムに素早く応酬していくことが求められがちですが、そうではないのです。熟話では、そのような反射的なゲームから脱することを目指します。聞く → 読むにシフトすることで、可能となります。 人に対して熟話を行う場合。 仕事の当事者🐶さんと、この人のマネージャー🤓さんがいるとします。熟話するとなると、役割分担は以下のようになります。 * 🐶さんは書く * 🤓さんは話す 🤓さんは🐶さんに口頭で問いを出し、🐶さんは書くことでそれに応えます。 マネージャーの🤓さんはむやみに焦らず、🐶さんが書いた内容をよく読んで考えながら、次の問いを出します。同様に、🐶さんも、熟話的に出された問いにはじっくり考えて、書いて答えます。 お互いが熟話的に動くのです。 ## メリット 考えを巡らせやすくなります。 コミュニケーションが瞬発的――反応的なゲームになりがちなのは、聞き話しというスタイルの問題です。 しかし読み書きですと、[非同期コミュニケーション](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%9C%9F%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&context=note&mode=search)など相当のリテラシーが求められるため、おそらく現実的ではありません。そこで前回は読み書きと聞き話しを中継する言語的多様性を紹介しましたが、 これもまだ難しい概念です。 もう少しライトで、2人でも使えるものとして今回熟話を開発しました。熟話では、聞く → 読むに変えることで、段階的に瞬発性を取り除いています。 # Title: エグゼクティビゼーション(Executivization) 今後さらにAIエージェントが盛り上がると、誰もがn人のAIメンバーを指示監督することになるでしょう。万人に経営者の資質が求められると言えます。 このような現象を、あるいはこのような資質を入手・鍛錬する取り組みを **エグゼクティビゼーション(Executivization)** と呼びます。 ## 本質は意思決定 エグゼクティビゼーションの本質は、意思決定です。 己の信念と、己を取り巻く文脈を踏まえた上で、何をやらないかを決めます。[捨てることの重要性は当サイトでも強調しています](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E6%8D%A8%E3%81%A6%E3%82%8B&context=note&mode=search)が、 かんたんなことではありません。本来は経営者が行う営みです。 人間にせよ、組織にせよ、リソースは非常に限られているので「何をやらないか」つまりは「何を捨てるか」が非常に重要です。 **意思決定とは、まずは捨てることなのです** 。 ※経営者は捨てることをマスターした冷酷な前進者と呼ぶこともできます。よって、経営者は超合理的で冷たいか、傲慢な人間に見えることが多いです。 つまり経営者の資質とは、捨てるための意思決定の資質と言えます。エグゼクティビゼーションとしても、まずはこれを入手・鍛錬することを目指します。 ### マネージャーとは違う ここで「それはマネージャーではないか」と思われるかもしれませんが、マネージャーと経営者は違います。 マネージャーが行う意思決定は限定的で、必要なのは文脈だけです。自分の信念は要りません。 実際、自分の意思を介在させず、組織のプロセスに従うだけのプロセス原理主義者はよく見かけるかと思います。こうすると自分を出さなくていいし、「だって組織がそうなってるんだもん」の一言で責任も逃れられる、かつ権力も行使できるので楽なのです。そういう意味では、マネージャーは実は楽な仕事の一つです。 ## エグゼクティビゼーションを行う 経営者としての意思決定能力、特に捨てることを身につけるためには、どうすればいいでしょう。5点で整理します。 キーワード:軸、エージェント、余裕、ボトルネック ### 1: 軸の運用 **軸(信念)をつくって言語化** します。意思決定を行うには何らかの軸が必要だからです。捨てられない人は、単に軸がなくて何を基準にして捨てればいいかがわからないだけです。軸の言語化には[内省](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E5%86%85%E7%9C%81&context=note&mode=search)が使えます。 かつ、言語化した軸は、エージェントに伝えなければなりません。 **継続的な啓蒙** も必要です。 ### 2: 権限委譲する(エージェント化) 権限委譲した対象を **エージェント** と呼びます。エグゼクティビゼーションでは **自分で手を動かすのではなく、エージェントを運用します** 。 よって、そもそも権限委譲できなければ話になりません。権限委譲とは管理を手放すことです。エージェントに仕事を任せて、自分はその結果や進捗をチェックし、必要ならフィードバックを出すだけです。 ### 3: エージェントの役割分担を最適化する エージェントには向き不向きがあるため、適材適所を推進する必要があります。無能な経営者は一律的なやり方を課しがちですが、これが機能するのは「単純な作業で通用する世界」と、あとは「搾取」だけです。 ※資本主義的には搾取が正解なのですが、ここでは割愛します。 また、向き不向きは能力だけではなく、働き方も当てはまります。[仕事と働き方は別物](https://note.com/workhack20/n/n16471e2ac44d)であり、それぞれに向き不向きがあるのです。働き方は一つしかないから何かしら決めて全員従わせればいい、は原始的な搾取的発想にすぎません。 AIエージェントを例にすると、モデルによって料金が違いますよね。ChatGPT で言えば、4o-mini モデルは安く、o1 pro モデルは非常に高価(月3万ドルのサブスク)です。 おそらくは、4o-mini のような安いモデルを普段はたくさん使って、o1 proのような高価なモデルはここぞで使うはずです。全部同じ使い方をする、なんてしないですよね。これは料金と性能のトレードオフに応じた役割分担をしている、ということです。 同じことです。料金と性能以外にも検討すべき因子はたくさんあるのです。無論、あらゆる因子を完全に理解して配慮するなど不可能ですが、その姿勢は諦めてはいけません。 ### 4: 余裕をつくる VUCAな時代への適応は生半可ではありません。軸のメンテナンスはもちろん、時代の動きもキャッチアップして備えていかねばなりません。そうでなくとも、緊急事態が生じることもよくあります。 こういった備えや緊急対応をするためには、物理的な余裕が必要です。当サイトでは[スラック](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF&context=note&mode=search)と呼んでいます。 たとえば1日2時間、誰にも邪魔されずに考え事やインプットに耽けることのできる時間を取れるでしょうか。 ### 5: ボトルネックを省く エージェントの運用は、特に人数が増えて組織となってくると依存関係が複雑になってきます。組織には、構造的に「詰まっているポイント」があり、これをボトルネックと呼びます。 ボトルネックの解消は経営者の仕事です。組織全体を制御する権限を持ち、軸をもって運用もしている経営者にしかできないことです。 ※もちろんボトルネックの解消自体はエージェントに任せた方が良いでしょう(権限委譲)。 # Title: 今週の記事 2025/01/26 今週は 7 記事書きました。 当サイト開始から 20 週が経ちました。 [←前 2025/01/19](https://note.com/workhack20/n/n8d18f57f9a29) [2025/02/02 次→](https://note.com/workhack20/n/nedfd22cc477a) ## 記事 # Title: ポータブル・プロンプト プロンプトとは「生成AIに与える言語的な指示」を指します。 生成AIにより、色んな場所でプロンプトを使う機会が増えましたが、おそらくその都度入力しているか、コピペをしていると思います。あるいは使う口すら用意されていない(アプリ側で埋め込まれており利用者は意識しない)こともよくあります。 これでは少し不便です。そこで、よく使うプロンプトを自分で持っておいて、各アプリですぐに使えるようにすると考えます。これを **ポータブル・プロンプト** と呼びます。 ## 必要なこと 以下の二点です。 * 1: ポータブル・プロンプトを管理するアプリ、あるいは最低でもデータ形式 * 2: 各種アプリがポータブル・プロンプトを読み込む機能をサポートすること ここまで整うと、1の形でポータブル・プロンプトを用意しておくだけで、各種対応アプリ側ですぐ使えるようになります。 ## 例 [1-3-10-P-D法](https://note.com/workhack20/n/n9455c50b7673)的なプロンプトを考えます。 > ・1行で要約して > ・何に注目していて、そのBeforeとAfterがどうなるかを3行でまとめて > ・10行で専門家向けに整理して > ・10行で初学者向けに整理して > ・A4用紙1枚のボリュームで、財布を握っている上司にアピールして D(Document, 文書レベル)は割愛します。 これは汎用的なプロンプトであり、割とあらゆる場面で使えます。これをポータブル・プロンプトとして保存していたとします。保存名は「1-3-10-P-D的」とでもしておきます。 アプリ側では、アプリの機能として「ポータブルプロンプトを使う → 1-3-10-P-D的」を呼び出すだけで使えます。 **手打ちやコピペは不要です。コピペ用ツールを自分でつくるのも不要です** 。 ## メリット * シームレスにプロンプトを使い回せるので便利です * コピペの省力化を各人が負わなくても済む * たとえば定型文コピーツールの導入や設定が不要になる * プロンプトの共有がはかどります * ポータブル・プロンプト・プラットフォームのようなものもつくれるでしょう * 色んな人の便利プロンプトが集まります ## Q&A ### Q: 定型文コピーとは違うのか? Ans: 違います。 定型文コピーはツールであり、自分で定型文を登録・呼び出す操作をします。 ポータブル・プロンプトは違います。登録は必要ですが、呼び出しはアプリ側で行えます。 ### Q: プロンプトはアプリ側で隠蔽するべきではないか? Ans: 両方取れた方が融通が利きます。 たしかにIT初学者向け、あるいはよく練られたAIエージェント的な機能であれば、内部のプロンプトをわざわざ意識させる必要はありません。 しかしChatGPTなど、プロンプトを使ってやりとりすることに慣れている人は、自分でプロンプトを使えた方が便利なことが多いです。かつ、便利プロンプトのストックは貯まっていることが多いので、これを素早く使い回せるともっと便利なのです。 # Title: コミュニケーションの肩力(Shoulder Strength) 投球や送球において、肩は「力を伝える中継点」として機能します。柔軟性が無いと伝えづらく、筋力がないと壊れやすい。握力のような、わかりやすい「発揮する力」とは少し違った、縁の下の力持ちです。 さて、コミュニケーションにおいても、肩に相当するような素養があると思います。 これを **(コミュニケーションの)肩力** と呼びます。英語ではShoulder Strength で、SSと略すことがあります。 ## 肩力の4要素 * ラフとデサルトリー * 完璧主義ではなく雑に出すこと * 文脈の理解や構造化 * 文脈を理解し続けないと、意味不明になって返せなくなる * あるいは文脈を理解するまでのコストが甚大で、手がつかなくなる * トピックの設定 * 一度に扱うトピック(話題)は一つにします * シングルタスク的とも言えます * 一つずつ結論を出していくことで、積み上げていくのが結局のところ一番早いです * 自然なモチベーションとタイミング * モチベーションがないときにコミュニケーションをしても仕方がありません * テキトーになってしまいます 詳しく見ていきましょう。 ### 1: ラフとデサルトリー > 完璧主義をやめて、雑に出せる人は肩力が強い。 デサルトリーについては以前議論しました。 ラフとは「お題」がある状態で、それに対する雑な行動をします。一方、デサルトリーはお題すらない中で、何かしら雑な行動をします。 いずれにせよ雑に動くことが重要です。 **完璧主義をやめて** 、とりあえず少し考えてみたものを出してみるということです。 ### 2: 文脈の理解と構造化 > 文脈を踏まえれば、コミュニケーションは続く。 > 踏まえるための言語化と構造化と保存ができる人は、肩力が強い。 何事にも文脈があります。文脈を踏まえない情報に価値はありません。正論が通じづらいのも、単に文脈を踏まえてないからです。 文脈は、実は **理解し続けないといけない** ものです。というのも、続けないと忘れるからです。一度忘れたことを思い出すのは難しいでしょう。 ひとりで中長期的な取り組みをしている際も、前回の文脈を覚えてなくて、でも思い出すのは面倒で――と形骸化まっしぐらな経験はあるあるではないでしょうか。コミュニケーションならなおさらです。 しかし、だからといって定例会議的に定期的に喋りましょう、では苦しいでしょう。 **リソース(特に時間)は有限なので、このやり方ではすぐにパンクします** 。 そこで文脈の構造化が重要になってきます。文脈を言語化し、非同期的にあとで読めるよう外に出すのです。また、単に書き散らすだけでは読みづらいので、適宜構造化します。図表も使えますし、本記事もそうですが見出しをつけて塊化(かたまり化)したり、塊を並べたりもできます。 ### 3: トピック(話題)の設定 > コミュニケーションでもシングルタスクができる人は肩力が強い。 タスクもそうですが、基本的に一つずつきりがいいところまで進めていった方が上手くいきます。あちこち中途半端に行ったり来たりしていては(本人は楽しいので満足感はありますが)身になりません。 コミュニケーションも同じで、話題は一つずつ相手にして、きりがいいところまで進めるのが良いのです。もちろん、雑談など目的のない営みならその必要すらないですが、そうではなく、仕事やその他真面目なコミュニケーションの場合は、一つずつが良いでしょう。 そして、これは結局がシングルタスクが良いという話です。 ### 4: 自然なモチベーションとタイミング > モチベーション、特にタイミングを尊重できる人は肩力が高い。 私たちは人間なのでモチベーションがあります。 モチベーションがないときにやらされても、大したことはできません。立場上、サボるのが許されない場合は、テキトーにやってしまいます。そしてそれを非言語情報でもっともらしく加工して誤魔化します。 モチベーションに配慮をしたほうが、コミュニケーションの質は上がります。少なくとも非言語情報でごまかすなどという害悪は抑えられます。モチベーションは奥深いですが、 **最も端的なのがタイミング** です。 内発的にも、外発的にも適切なタイミングがあります。あるいは不適切なタイミングがあります。少なくとも不適切なタイミングは避けたいです。可能なら、適切なタイミングに当てたいです。 **わかりやすい例として、機嫌が悪いときに相談はしたくないですし、できれば機嫌がいいときに相談したいですよね** 。 機嫌以外にも様々な因子があるので、それを尊重しましょうという話です。 ## 肩力のあり方は一つではない たとえばテキストで非同期的にやることもできるし、対面で口頭でやることもできます。 加えて、やり方ごとに「必要とするスキル」が変わってきます。 * テキスト非同期だと: * いつどこを読むか・書くかの自己管理 * 言語化やタイピングの能力 * ページやドキュメントのどこにどう書くか的なファシリテーション * 対面口頭だと: * いつ誰との打ち合わせに参加するか・設定するかの予定管理 * 非言語情報も踏まえて、瞬発的に話し言葉を出す能力 * 会議や対話で使うファシリテーション ## 肩力とは非同期的なもの しかしながら、 **肩力は非同期的なもの** です。 なぜなら、同期的だと以下の面で限界があるからです。 * 文脈を頭の中に入れることしかできず、限界がある * 打ち合わせの形で時間と場所を拘束するため、モチベーションも何もない * 「予定」なのでモチベーションにかかわらず必ず参加しなければならない 実際、同期的なコミュニケーションしかない人は肩力も弱いです。 多くの場合、深い議論や中長期的な議論はできないでしょうし、シングルタスクの原則もこなせずいたずらにビジーになりがちです。トップダウンによる命令と非言語情報によるカバーでゴリ押すことでしのぎます。 そして、仕事とは、コミュニケーションとはそういうものだ、などと正当化します。 **違います。単に肩力が弱いだけです** 。 肩力を鍛えるには、非同期的な手段に頼る必要があるのです。 そうして肩力を身につけたら、同期的コミュニケーションも改善できます。たとえば[議事メモ](https://note.com/workhack20/n/nd54e3bec3407)や[コラボレーティブ・ノートテイキング](https://note.com/workhack20/n/nae0e17fd7077)にて、情報を残しながら進められます。 そういうわけで、肩力を身につけるためには、まず非同期的な手段を使って鍛えて、それから同期的な場面でも応用する、との二段階が必要なのです。 # Title: スタック駆動でタスク管理 ![](/assets/nbc0857bf7c4e_7beea913aa6b05a7aef9ab174f91a3ea.png) スタックとは「情報の入れ方」の一種で、後に入れたものが先に取り出されます。 ![](/assets/nbc0857bf7c4e_1738830332-zjHCwUN5Mbs0ZPeRTcYiI2pS.png)スタック構造。 服や本などを積んだ場合も、(上から順に取り出すのなら)スタックになります。 さて、このスタック構造を使ってタスク管理を行うことができます。シンプルだからこそ使いやすいものです。 ## スタック駆動 スタックを用いたタスク管理を **スタック駆動(Stack Driven)** と呼びます。 ### やり方 * スタックを表現できる手段を用意します * 日々の過ごし方は、以下に従います: * タスクはスタックに積みます * 上から一つずつ取り出して、今取り出しているものを終わらせます * 割り込みが生じたら、それも積みます つまり、一度に一つずつ実行するシングルタスクの手法と言えます。スタックなので、後から積んだものが先に処理されます。 ### メリット * 割り込みに対応できます * 後から積んだものから処理するため * 欲張ると当初のタスクがどんどん沈んでいってしまうので、一つずつ消化していくモチベーションが上がります * [インボックスゼロ](https://note.com/workhack20/n/n763dcc87ce9e)を使えるので、メリハリがつきます * 「スタックが空になったら終わり」というゴールがあります シングルタスクに悩まされている方に重宝します。 ### どうやって実現するか アナログの場合、付箋を重ねるといいでしょう。 一番上の付箋(に書いてあるタスク)をこなしていき、終わったら剥がして捨てます。 割り込みが来たら、その内容も付箋に書いて、一番上に貼り付けましょう。 デジタルの場合、X(Twitter)のようなSNSで鍵アカウントでつぶやくか、Discord や Teams などのチャットでひとりチャンネルをつくって投稿することで行えます。 一番最新のメッセージを今取り出しているものだと捉えます。終わったらメッセージごと消します。割り込みが来たら、単にその内容をメッセージとして投稿します。 操作に手間がかかると煩わしいので、ショートカットキーを使うといいでしょう。たとえば Discord は、Shift キーを押しながらだとメッセージを確認なしで削除できたりします。 ## 関連記事 以前スタッキューをご紹介しました。 スタッキューはスタックとキューの二種類の入れ方を合成したような、新しい入れ方です。中身が見えない、前からも後ろからも入れられるなどトリッキーな特徴があり、刺さる人には刺さるかもしれません。 # Title: AI時代はARAW(Any Read, Any Write) 従来は人間を相手に、配慮しながら聞いたり話したりしていました。AI相手だとその必要がなく、好きなだけ書かせたり書かせたものを読んだりできます。 これを **ARAW(Any Read, Any Write)** と呼びます。いつでも、いくらでも書いてもらえるし読めるということです。 ## ARAWのために備えておきたいこと ### 情報を出すためのフットワーク(Speedy) 頭の中にとどまっている情報は多いはずです。「今記録として存在している情報」だけでは、AIに与えるには不十分でしょう。AI(生成AI)は未来予知ができる神ではなく、与えられた情報の次を統計的に推測する数学的アルゴリズムでしかないからです。 **統計は十分なデータが無いと機能しませんが、生成AIも同様です** 。だからこそ情報を意識的に出していく、出しておくという発想に切り替え、日頃からそうしていく必要があります。 ### 情報を出して蓄える仕組み(System) 手作業で情報を出していくのはたいへんです。可能なら自動で出すか、ソフトウェアなど道具を使っている過程で自然と貯まるのが良いです。 たとえばチャットでやるとしたら、以下が考えられます。 * あなたの発言をタイムスタンプと発言先をつけてすべて自動で記録 * 記録は基本的にすべて「生成AIが見る情報」として参照される * あなたはいつでも or チャットツールから定期的にリマインドされることによって、記録情報の振り返りができる。参照されたくない情報やパターンを指定して除外できる * 自分で振り返るのはたいへんですから、リマインドしてもらえると親切ですね ### センシティブな情報の分離(Separation) 以下は機密情報とそれ以外を分離しておくことで、共有したい情報に機密情報が含まれるのを防ぐ――含まれないから共有しやすくなることを述べた記事です。 同様に、私たちは他人や部外者には教えたくない「センシティブな情報」を抱えています。 **普段は意識していないため、情報≒センシティブも含んでいるかもしれない、となってしまい(AI相手も含めて)共有の心理的ハードルが上がります** 。 この問題を解消するには、センシティブな情報なるものを常に意識して、日頃から使い分けねばなりません。人間関係においても、ごく一部の親しい人以外には言わないことなどを上手く使い分けていると思いますが、同じです。 # Title: 今週の記事 2025/02/02 今週は 4 記事書きました。 当サイト開始から 21 週が経ちました。 [←前 2025/01/26](https://note.com/workhack20/n/nb2af167a9336) [2025/02/02 次→](https://note.com/workhack20/n/n0fad6936e213) ## 記事 # Title: キャッチアップ・ダイバーシティ キャッチアップの仕方にも多様性がほしいところです。 いわゆる情報共有をどうやるかのスタンスが2つありますが、どちらも多様性がありません。 * 会議の場で共有するのは、自律的にキャッチアップできる人を軽視しています * 各自のキャッチアップに任せるのは、自律的に動けない人を軽視しています 多様性という観点では、両方ともサポートするべきです。 ## キャッチアップ・ダイバーシティ **キャッチアップの多様性(キャッチアップ・ダイバーシティ)** とは、キャッチアップのあり方が複数共存するさまを指します。 ## 例 情報共有を例にすると、参加したい人はするが、しない人やできない人でも追えるように資料化もしておくことが挙げられます。 さらに配慮するなら、資料は会議後に共有するのではなく事前に共有した方がグッドです。なぜなら、会議後の共有だと「いつ出るかがわからない」点で、参加しない側の人達にとっては不便だからです。また心理的に会議は終わってるので共有も忘れがちですし、忘れている人に「出してください」とは(心理的安全性が担保されてなければ)言いづらいものです。 ## メリット 多様性が無いことによるデメリットを軽減できます。 デメリットとは: * 自律派を軽視する場合、参加する人達のノリが形成される * 情報や信頼の格差が生じて政治が発生します * 参加派を軽視する場合、参加派のパフォーマンスや意欲が出ません * 参加派は同期的コミュニケーションに依存しているので、情報共有に関してこれを封じられるとモチベーションが削がれます。メンタルに影響することもあります キャッチアップ・ダイバーシティを確保することで、これらを減らせます。 ## Q&A ### Q: [働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)と何が違う? Ans: 一部です。 キャッチアップ・ダイバーシティは、働き方の多様性の一つです。 キャッチアップに限定して扱っている分、わかりやすいと思います。働き方の多様性を学ぶ際の初動としても使いやすいです。 ### Q:キャッチアップの種類は「情報共有」以外にもある? Ans: あります。 情報共有も含めて整理します。 * 情報共有 * 知見を持つ人が、他の人にも伝えること * 共有(Share)の名前のとおり、ボランティア的に行うニュアンスがある * (実態としては業績評価に繋がる分だけ行う人が多い) * [当サイトでは「オープンに公開しておく」ことこそが情報共有である](https://note.com/workhack20/n/ncffb914a99e4)としているが、一般的には「クローズドに会議の場で伝える形」も情報共有とみなされる * アンテナリング * 業界や製品や組織などの動向を追いかけること * 特に複数人でプロセスを定めるレベルで追いかけること * 例:働き方の設計に携わる人達が、[厚生労働省の新着情報](https://www.mhlw.go.jp/stf/new-info/)をアンテナリングする * 週に一度、皆で集まって輪読的に読むなど * オンボーディング * 新人が、必要な知識を一通り取り入れること * 形態としては研修レベルで教育する(参加派)か、ドキュメントを読んでもらう(自律派)が多い * これが整備されていないと、いわゆるOJT(実践しながら学べ)になる ### Q: オンボーディングでもキャッチアップ・ダイバーシティは広げられる? Ans: はい。 オンボーディングというと参加的なプログラムが主流ですが、自律派向けに「各自読んでおいてね」「演習セットも解いてね」とすることもできます。 特にオンボーディングの場合、どうしても取り入れてほしい基礎を扱っているのでマイクロマネジメントしがちですが、ここがまさに多様性を狭める罠です。どうしても理解してほしいからといって、研修のような参加型を強要することは、多様性がないと自白しているようなものです。 ※研修以外で多様性が確保されていればまだいいですが、オンボーディングで確保できていない組織はその他の場面でも確保できていない傾向があると思います。 しかし、参加的ではないオンボーディングというのが考えづらいのも事実でしょう。だからこそ、そうではないのだと言いたくて、今回この概念をつくりました。 あるいは、キャッチアップ・ダイバーシティのサブセットとして **オンボーディング・ダイバーシティ** をつくってもいいくらいです。オンボーディングにも多様性をもたらすべきだ、と。難しい挑戦だが、だからこそキャッチアップの多様性に通ずるのだと。 # Title: データ構造的なタスク管理 **データ構造的なタスク管理(Data Structured Task Management)** とは、原始的なデータ構造を用いて、個人のタスク管理を行うことです。 ## 3つのアプローチ ### 1: リスト駆動 言わずと知れたアプローチです。 タスクと言えば、タスクリストを思い浮かべる人も多いと思いますし、タスクの概念を知らない人でも自然と使うことすらあります。 リストとは、項目を並べたものです。単に並べるだけだと形骸化しがち(TODOリストがまさにそう)なので工夫が必要で、タスク管理の力量が出ます。 たとえば日ごとにリストを作り直すデイリータスクリストがあります。 ### 2: スタック駆動 ここからはあまり見かけない手法です。というより、 **リスト以外のアプローチもありえる** ことを示したくて、この概念(データ駆動的なタスク管理)をつくりました。 さて、スタック管理とは、スタックを使ったアプローチです。 スタックは「積むもの」の意で、順に積み上げていくような構造になります。一番上から取り出すことしかできません。日常生活でも日用品のストックや積読した本などはそうするでしょうし、ブラウザの戻る・進むもこれで実装されています。 詳細は以下記事を見てください。 特徴: * 後に入れたものを先に取り出すので、割り込みに処理しやすい * 消化を進めていかないと、以前に入れたものが底に溜まる ### 3: キュー駆動 スタックと似た構造としてキュー(Queue)があります。 好例は待ち列で、先に入った人が先に出ます(先に並んだ人が先にサービスを受ける)。スタックは後に入ったものを先に出すのですが、キューでは先に入ったものを先に出します。早いもの勝ちですね。 当サイトではまだ紹介していません。 ※話は逸れますが、[スタックとキューを両方合体させた手法なら紹介しています(スタッキュー)](https://note.com/workhack20/n/n733cf1035c84)。特徴として「中身を見えないように」することで認知資源を節約します。 このキューを用いてタスク管理を行うこともできます。 特徴: * 細かい順番を気にせず、先に入れたものから順に処理するので認知資源を節約できる(迷わない) * 割り込みに弱い ## データ構造を組み合わせる 一つの構造を一つだけ使うと融通が利きません。そこで、一つの構造を複数個使ったり、複数の構造を複数個使ったりして、上手く連携させます。 たとえば以下は、デイリータスクリストを複数個使っています。スイッチングの名の通り、複数のリストを切り替えながら使っていくことで迷いと怠けを軽減します。 また、人生管理メソッドの王道「GTD」も、複数のリストを使い分けている好例です。インボックス、プロジェクト、いつかやる、カレンダーなど多数のリストが登場し、ワークフローに従って使い分けていきます。 同様に、スタックやキューについても、複数個を上手く連携させながら使うことで、自分のタスク管理にフィットさせることができるでしょう。 ## その他のアプローチ (随時更新します…) # Title: スプレディケーション ![](/assets/n4640123ef341_f85750b437577a0c1240396fcbeef61b.png) コミュニケーション ドキュメンテーション スプレディケーション ★ここを解説します。 ## スプレディケーションとは **スプレディケーション(Spreadication)** とは、発想法的な情報のやりとりの仕方を指します。 発想法は[発散と収束と蒸留](https://note.com/workhack20/n/nbc2c71a1a524)から成ります。ブレストがそうであるように、まず情報を散らかし、その後で整理をしたりさらに足したりして、最終的に本質をひねり出します。 Spreadは発散を意味する言葉です。スプレッドシートのスプレッドでもあります。広がるニュアンスがあります。 ## 違いとメリット ![](/assets/n4640123ef341_1739392476-ICApZa1zPvj6gWbNkOrLJVi0.png)それぞれの違い。 **コミュニケーションは2者間で行うもの** です。 特定の相手がいて、その人向けの情報を出します。3人以上だったり、チャットなどで非同期的に行ったりもできますが、本質的には2者間のやりとりです。 [相手のことを知らないと何もできません](https://note.com/workhack20/n/nd70bc71f3450)。なので[相手を知るための営み(グルーミング)](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)が必要ですし、知るためには一緒に過ごす必要もありますから、一緒に過ごせる相手かどうかの選定が走ります。さらに、会議の調整など時間的リソースの奪い合いも起きます。原始的ゆえに限界があって、コミュニケーションコストと表現することもあります。 次に **ドキュメンテーションは、ひとりで文書をつくってそれを読んでもらう形を取ります** 。 本質的には読者の設定範囲が広いです。というのも、コミュニケーションではまかなえない範囲をカバーするものだからです。未来の人を対象にしたり、何百何千人に読んでもらうことも可能です。 デメリットとしては、文書を書くことも、読んでもらうこともどちらも難しいことです。近年は共同編集ドキュメントも充実していますが、コミュニケーションの代替として使うにはまだまだ時代が追いついていません。あるいは [Documentation Transformation](https://note.com/workhack20/n/n95643fe60024) レベルの変革を要します。 最後に本題、 **スプレディケーションですが、これはアイデアを置ける場所をつくって、誰もが自由に置きます** 。 最も有名なのはブレストで、一枚のボード上にみんなで付箋を自由に書いて貼ると思いますが、これを一般化したものだと思ってください。 コミュニケーションではないので、特定の相手は想定しません(想定してもいい)。思いついたことをとりあえず出していいですし、誰かが出しているものを見て関係しそうなことを出したりもします。 **特定の人ではなく、文書でもなく、自分の思いつきや場に出ているコメントを相手にします** 。 これにより、コミュニケーションの限界も突破できますし、ドキュメンテーションほど読み書きも難しくはありません(世界観が全然違うので定着のための訓練や勉強は必要)。 ## 詳しいやり方 ### 同期と非同期 スプレディケーションにも同期と非同期があります。 **同期スプレディケーション** は、ブレストのようにみんなで集まって情報を出します。たとえば 60 分でやるぞと決めて、参加者を集めたら、その60分でスプレディケーションをします。 細かい進め方はファシリテーション次第です。発散だけで済ませることもできますし、15分-15分-15分で発散、収束、蒸留をして最後15分で通常の会議みたくコミュニケーションをして取りまとめるでもいいでしょう。 コミュニケーションには非同期がありますが、同様に、 **非同期スプレディケーション** も可能です。 たとえば情報を自由に出せる場所をつくって、今から1ヶ月間誰でも自由に出してね、とします。 どれだけ盛り上がるかはみんなのリテラシーとモチベーション次第ですが、何百何千という意見を出し、かつまとめていくことも十分に可能です。通常、このレベルのワークは数日以上の合宿でもしなければ行えませんが、非同期だとできます。 ### ツール まずMiroなどホワイトボードをイメージすると思います。可能ですが、 **話題ごとにボードを分けてください。** 仮に一週間で、チーム内で計 30 のスプレディケーションを行う場合、ボードも30個あるはずです。これはチャットでいうスレッドのようなものです。話題と場所は分けるべきです。 ホワイトボード以外も使えます。 以下はフォームを用いた例です。匿名で、投稿結果さえも公開されるフォームなので、自由に情報を出せます。 以下はコラボレーティブ・ノートテイキング(CNT)の記事です。ツールとして共同編集ノートを使っています。 CNTでは「型」をつくって、皆がそれにしたがってノートを書きますが、この型としてスプレディケーションを指定できます。 主なツールの種類をQWINCSという形で整理しました。 ここまでですでにSticky Board(ホワイトボード)、Note(共同編集ノート)が出ていますが、他にもIssues(チケット)、Wiki(ウィキ)などがあります。 ただ、スプレディケーションとして使うのは苦しいと思うので、今のところはホワイトボードか共同編集ノートが良いでしょう。 工夫すれば、上述のフォームのように、既存の手段でも行えないことはありません。 ### ファシリテーションの仕方 コミュニケーションとは異なるやり方となります。 まず従来の会議のように **誰かが誰かに喋ることで進める、といったことはしません** 。かわりに、情報を出せる場に、情報を出していきます。まずは制限なしに、各自が好き勝手に出します(発散)。 ただし、出すだけでは収拾がつかなくなるので、似た情報を近くに寄せたり、リンクをつけて辿れるようにしたりといった整理を行います(収束)。 すると全体像が見えてくるようになります。かつ、さらに思いついたことを追加することもできます。木と森を行き来して死角をなくしていく状態になります。 とはいえきりがないので、どこかで打ち切らねばなりません。これは意思決定に他なりません。決定事項を何とかひねり出して、言語化して出します(蒸留)。 つまり、 **スプレディケーションにおけるファシリテーションとは、発散と収束と蒸留の3つだけをコントロールします** 。 * 発散 * 何もコントロールしない * 各自に好きに出させる * 収束 * 発散に加え、整理をする段階 * たとえばどう整理するか、誰が整理するか、どこに整理するかなどを決めて従ってもらう * 各自は整理を重視しつつ、さらに思いついたことがあれば発散も引き続き行う * 蒸留 * 発散と収束が十分にできてきたら、本質をひねり出す * 誰がやってもいいが、きりがないので終わりは決める * 蒸留したものの中から決定事項を決める。これは意思決定にほかならない * 通常は意思決定者が行う 収束や蒸留の部分では、コミュニケーションを使うことがあります。また、慣れてないうちは、発散時であっても参加者間でコミュニケーションを交わすのもアリでしょう。 しかし、 **慣れてきたらコミュニケーションを一切しないで完結させることができます** 。つまりコミュニケーションコストにとらわれなくなるということです。スプレディケーションの最大のメリットは、この境地に至れることにあります。 # Title: ミニコース **ミニコース** とは10分講義のことです。~~について知りたい人向けに、~~に関する10分ほどの雑な講義を開きます。 [ワークイベント](https://note.com/workhack20/n/ne6feab383efa)の一種です。 ## 文脈 * リモートメインで働いている * 集まる機会が不足しがちなので補強したい * 👉[️ワークイベント](https://note.com/workhack20/n/ne6feab383efa) * ワークイベントおさらい: * 1: 個人が誰でも自由に開催でき、誰でも自由に参加できる * 2: 何らかのワークを行うためのイベントであり、会話や対話は発生しない * 3: 集まっている感を出すため、ビデオはオン * 社員全員が使える専用プラットフォームがあるといいが、まだない ## ミニコースとは ワークイベントとして10分講義を行います。 主催者(あるいは主催側の講師)は、雑でもいいので講義の体で進めます。資料も欲しいですが、雑で構いません。たとえばドキュメントやページを一つ設けて、そこに雑に書いて、それで講義すればいいだけです。 参加者は講義を聞くだけです。 **質疑応答やアンケはありません。** あくまでも一方的に講義を行うイベントとなります。 ## メリット 第一に、社員の知識を緩く底上げできます。 日本の社会人は勉強しないというデータがあります。文化的に社会人以降に勉強の仕組みがないのと、仕事とプライベートが忙しいからだとされています。 ミニコースは10分ですし、ただ聞くだけなので軽く頼れます。集合の体を取っているので、ひとりで空き時間をつくって勉強できない人でも利用しやすいです。 第二に、LTのようなコミュニケーション手段を新たに構築できます。 LT(Lightning Talk)はご存知でしょうか。5分くらいで雑にプレゼンを行うことで、主にITエンジニアに使われる文化です。堅苦しくないテーマを気軽に扱えますし、発表の練習にも最適ですし、雑でいいのだという合意がそもそもあるので気楽で楽しいものです。 これは資料をつくって相手に伝えるあり方であり、 **コミュニケーションというよりはドキュメンテーション** と言えます。コミュニケーションよりもまとまった情報を伝えられるので、覚えておくと便利です。とはいえ、通常、ドキュメント(資料)をつくるのは大変です。 カジュアルなドキュメンテーションがあると便利なのですが、LTはその一つです。ミニコースもその一つです。つまり、 **ミニコースは、「カジュアルなドキュメンテーション」のバリエーションを増やすものです** 。 ミニコースに慣れてくると、たとえば「~~の理解がチーム全体で不足してるから、ミニコースするか」のようなやり取りも可能になります。伝え方の幅が広がります。 ## (当サイトもミニコース的) 余談ですが、当サイト仕事術2.0の記事も、ミニコース的なボリュームだと思います。1記事あたり数千文字以内であり、10分の講義で喋れるでしょう。 # Title: 共有の分離 ~情報、感情、情緒を分ける~ 情報の共有 感情の共有 [情緒の共有](https://note.com/workhack20/n/n6bc3d8c004ec) 似ているようで、どれも違います。これらを区別して使い分けられるようになると、もっと生産的かつ快適になります。 ## 違い ### 情報は言語情報 テキストで表現できるので、ITリテラシーやスキルが許せば、対面無しに進めていけます。ただし言語化の能力が問われますし、読み書きは負担の高い行為なので長続きしません。 そういうわけで聞く・話すが使われますが、こちらはこちらでやりとりした文脈を覚えないといけなくて大変です。通常、そこまで覚えられないので、聞く・話すだけだと浅いやり取りや議論しかできません。 ### 感情は瞬発的な心の動き 非言語情報として表現します。非言語というのは声音、表情、仕草などですね。あるいはスタンプなど「絵」も非言語にあたります。[実は言語で表現することもできます](https://note.com/workhack20/n/nc37490cfe244)が、たかが知れています。 私たちは人間であって、機械ではないので、(搾取的な関係でもなければ)感情を踏まえねばなりません。しかし感情は言葉で伝えるのが困難であるため、身振り手振りで非言語的に伝えます。 これはつまり、身振り手振りで非言語を伝える機会がどうしてもある程度は必要になる、ということです。 ### 情緒とは持続的な心の動き 気分、ムード、雰囲気と同義です。 私たちには意識にはあり、意識はそれなりに暴れん坊です。退屈を極端に嫌います。この暴れん坊を抑え込むのに情緒が必要になります。 意識を場の雰囲気に向けさせると言えます。場を理解し続けるのにはそれなりの手間がかかりますから、暴れん坊もおとなしくなるわけです。子どもにおもちゃを与えておとなしくさせるようなものですね。 情緒の共有には「場」が必要です。時間と場所をどちらも拘束することになります。会食がまさにそうですが、 **情緒の共有にはその時間その場所の演出と、当人達のコミットの両方が必要です** 。 演出が足りないと意識をおとなしくできずに葛藤が溜まりますし、コミット(費やしてもいいという合意)が取れてないと搾取になります。 ## 感情共有と情緒共有をどれだけなくせるか 感情労働は今回は割愛するとして、仕事で最も重要なのは情報です。そして情報とは言語情報であるため、言語情報さえやりとりできれば済むとも言えます。 一方で、私たちは人間なので感情共有と情緒共有も求めます。しかし感情共有には非言語情報が必要ですし、情緒に至っては場が必要です。実際、多くの時間と場所を使います。たとえばリモートワークできずに出社したり、リモートであってもオンライン会議が多かったりします。 生産的に働くためには、後者、感情共有と情緒共有を減らさねばなりません。 **感情や情緒の共有のついでに言語情報もやりとりするのではなく** 、言語情報をやり取りする方法に専念するべきなのです。なぜなら、 **感情共有は非言語を扱うものであり、情緒共有は場を扱うものであって、情報を扱うものではない** からです。扱えないことはないですが、最適ではありません。そもそも高コストです。 極端な話、箇条書き5行で表現できる情報を伝えるのなら、テキストで5行を書いて、それを見せるだけで済みます。会って非言語を見せたり、ましてオフィスや会議室といった場に集まる必要などありません。 なのに、こんなこともわからず、いちいち会いたがったり集まりたがったりします。生産性の低さはよく指摘されますが、無理もないことです。 逆に、情報共有を、感情や情緒に頼らず賢く行えるようにすると、より生産的になりますし、高コストでもないので快適にもなります。フルリモートやフルフレックスくらい可能です。 ## 人間なので感情と情緒はおろそかにはできない とはいえ、私たちは人間であって機械ではないので、感情共有や情緒共有はゼロにはできません。 そこで必要に応じて注入すると考えます。 たとえば1日1時間くらい感情共有をしたり、1ヶ月に1回くらい情緒共有したりします。 仕事で日常的に出社や会議をしてごちゃまぜにやるのではなく、仕事では情報共有に徹して感情共有と情緒共有はなくします。それだと人間として苦しいので、後者の共有は定期的に注入することで対応するというわけです。 ## 分離せよ 本記事で言いたいことは一つで、現状は「情報+感情+情緒」共有と全部が混ざりがちですが、そうではなく、 * 仕事は情報共有で進める * でも人間なので、感情共有と情緒共有も適宜注入する のように分けて考えよう、ということです。 このように従来混ざっていたものを意識的に分けることを、当サイトでは[分離エンジニアリング](https://note.com/workhack20/n/n3db967d4c067)と呼んでいます。分けることで見えてくるものがありますし、個別に対処することで最適に近づけます。 # Title: 今週の記事 2025/02/09 今週は 5 記事書きました。 当サイト開始から 22 週が経ちました。 [←前 2025/02/02](https://note.com/workhack20/n/nedfd22cc477a) [2025/02/09 次→](https://note.com/workhack20/n/n556fa87757c8) ## 記事 # Title: WYRS(What You Read Sharing) **WYRS(What You Read Sharing)** とは、読んだものを共有するという意味です。 普段仕事やプライベートで色んな記事、ポスト、書籍などを読むと思いますが、同時に共有したくもなります。このような営みに名前をつけたのがWYRSです。 ## WYRSのやり方 主なやり方を示します。 ### Slack や Discord で流す 情報共有用のチャンネルをつくって、共有したいことを流します。URLをそのまま投稿すればいいだけなので気軽です。 チャンネルに流す部分は、自分で手作業でやってもいいですし自動化もできます。自動化の場合、たとえば以下が使えるでしょう: * ブログのRSSを取得して、チャンネル側に連携する * ブログの新着更新がすべて自動で流れるようになります * Pocketなどブクマサービスの内容を、チャンネル側に連携する * [検討例](https://scrapbox.io/villagepump/%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%8C%E8%AA%AD%E3%82%93%E3%81%A0%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%A8%E3%81%8B%E3%82%92%E5%8D%8A%E8%87%AA%E5%8B%95%E3%81%A7times%E3%81%AB%E6%B5%81%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84) * IFTTTのようなツールを使って、Pocket側を監視 → データが追加されたら → それをチャンネル側にも投稿、のようなワークフローを仕掛けます ### X(Twitter)で流す X(Twitter)ではなく[分報](https://note.com/workhack20/n/n6cc7d8c45d6d)でもいいですが、ともかく自分の投稿スペースがある場合に、単にそこに流すこともできます。 この場合も同様に、自分で手作業で投稿するか、連携前提で自動的に流すかはどちらも使えます。 ### 専用のSNSを使う まだ確たるアプリやSNSは無いと思いますが、ブックマークベースのコミュニケーションツールやSNSがあったとします。 ※[過去事例](https://www.slideshare.net/slideshow/veinpsychological-safety-and- introduction-of-vein/136959253)はあります。 グループはつくれるが、メッセージは投稿できずURLしか投稿できないような世界です。このような世界だと、事実上URLを用いた情報共有しか行えないことになります。アクセス数やいいね数などでソートすれば、グループ内で盛り上がっているURLなどもわかるでしょう。 ### 監視、ステージング、コミット 以下のような仕組みを考えます。 自分の動線を **監視** して、自分が読んだものをすべて「公開候補」として提示する仕組みがあるとしましょう。たとえばあなたの「ブラウザのブックマーク」と「Notionのワークスペース」を監視して、新たに出現したURLは全部捕捉されるとします。 捕捉されたものは「公開候補」として提示されています。これを **ステージング** と呼びます。あなたはステージングされたものを見て、公開しちゃだめなものを除外したあと、公開ボタンを押します。 すると、 **ステージングされたものがすべて公開されます** (コミット)。 ……いかがでしょうか。 ※余談ですが、このような考え方はソフトウェア開発の履歴管理で使われています([Git](https://git-scm.com/))。 このような仕組みがあれば、あなたはいちいち手動で共有する手間から解放されます。どこかのタイミングで、ステージングされたものをチェックすればいいだけです。チェック自体を忘れるなら、[リマインダー](https://note.com/workhack20/n/n7cbdf6ca31e4)を設定しましょう。 ただし監視される気持ち悪さと、チェック時にうっかり見逃して公開したくないものを公開してしまうリスクはあります。 また、溜めすぎるとチェック分量が多すぎて破綻するので、[インボックスゼロ](https://note.com/workhack20/n/n763dcc87ce9e)を心がけて、こまめに処理した方がいいでしょう。 ### 共有イベント 別のアプローチとして、読んだものを共有する会を開催することです。 朝会を始めとする定例会議はよく使われますが、ここのバリエーションとして「読んだことを共有する会」も加えます。たとえば週に一度、読んだものを1~4個くらい共有する小さな会を開催するなど。 注意点としては、バランスが難しいことでしょうか。 * そもそも言語化が大変なので、読んだものを共有するだけで済ませたいとの背景がある。しかしイベントにしてしまうと対話が発生しがちで、この背景が守られにくい * ひとりで投稿しておしまい程度の共有では退屈である。イベントとして集まることでモチベーションも上がる 上記二点のトレードオフを注意深く探る必要があります。無闇に開催しただけでは重荷になりかねません。 おすすめは同時編集可能なノートを用いて、以下のようにすることです。 * 共有したい人は、URLをそのまま貼り付ける * コメントしたい人は、URLの下にコメントを自由に書く これならURLを貼るだけで済みますし、コメントもやりたい人だけができます。また、同時編集なので誰かの会話を待つこともなく、自分のペースで貼れます。 しかし会ではあるので、皆で集まってはいます。会話も可能しながら、ノートに貼り付けていく形にすると盛り上がるでしょう。 ちなみにチーム内で行うこともできますし、社内で誰が来てもいいよ的なやり方もできます([ワークイベント](https://note.com/workhack20/n/ne6feab383efa)など)。 ## メリット 言語化を伴わない、イージーな情報共有が行えることです。 Twitterのリツイート機能がよく使われる理由の一つは、言語化の必要がないことです。この気軽なやりとりを一般化したのがWYRSです。 # Title: 関係ビルダーと情報ビルダー 仕事の指向性として、信頼関係をつくりたがる人と情報をやりとりしたがる人がいます。 前者を **関係ビルダー** 、後者を **情報ビルダー** と名付けて、どう共存していけばいいかを議論していきましょう。 ## 関係ビルダー Relation Builder. * 信頼関係をつくりたがります * 信頼関係を構築できた相手にのみ、情報を出します * しばしば[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)を伴います * つまり関係を構築するために「一緒に過ごそうとします」 * 人間として自然な営みですが、[日本では顕著](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)です ## 情報ビルダー Information Builder. * 情報を交換したがります * 相手が誰であるかは重視せず、情報を率直に出します * また機会を増やすために公開します * しばしば情報共有を伴います 当サイトはこちらを重視することが多いです。 参考: ## ビルドの多様性 どちらか片方のあり方だけですと、他方が生かされないどころか衝突を生みます。 * 関係ビルダーだけだと: * 関係構築に重きを置かない情報ビルダーが反発します * 情報ビルダーは関係構築の場に参加しないので、関係ビルダーのノリが形成されてしまいます * **ノリに合わない人を排斥してしまうような、多様性のない組織になりがちです** * 情報ビルダーだけだと: * 信頼関係をつくってから情報を出したい関係ビルダーが反発します * 関係ビルダーは何も出さなくなるので、情報ビルダーのノリだけが形成されてしまいます * **情報を出せればいいため、多様性は確保しやすいですが、関係ビルダーは排斥されます** 重要なのは共存することです。 ## 共存するためには 以下を心がけます。 関係ビルダーは、 * 情報ビルダーを関係構築の場に引きずり込むのをやめます * 情報ビルダーとの関係構築は、相手が望まない限りは放棄します * 情報ビルダーが出す情報を読みます * 信頼関係を構築していない情報ビルダーに対して、こちらが直接情報を出す必要はありませんが、情報ビルダーの出す情報を読む必要はあります 情報ビルダーは、 * 関係ビルダーに情報を見てもらうための歩み寄りをします * たとえば「各自が読めばいいだろ」ではなく、関係ビルダーが好む打ち合わせ・イベントの体で解説する等 * 関係ビルダーが情報を出してくれないことを許容します * 関係ビルダーは、信頼関係をつくった相手でないと情報を出せません。そういう生き物とみなして、情報を出さないことに腹を立てたり責めたりするのをやめます 関連記事として、以下も役に立つでしょう。読み書き派と聞き話し派を、4つの役割で連携させることで共存します。 # Title: リアクション・スイッチング リアクション・スイッチングとは、会議において「応答していいかどうか」を切り替えることです。 * リアクション可能 * 通常どおり、誰かの発言に対して応答しても良い * リアクション不可能 * **応答してはならない** ## リアクションの固定観念を打ち破る リアクションを制御するという視座は、ありそうで意外とありませんでした。[ホラクラシーの戦術会議](https://www.holacracy.org/constitution/5-0/#art3)などティール組織では使われることがあります。 > Responses are not allowed. > (応答は許可されていません) Meeting Processとして時折指定されています。 従来は「常に可能である」か、「特に指定してないけど常に可能である」のいずれかでしょう。いずれにせよ、常にリアクションが来るものであったため、 **リアクション無しで円滑に進行するのが難しかった** のです。 ## リアクション無しで円滑に進む リアクションが許されているとは、割り込みが許されているということです。その場で対話をしていくには向いていますが、円滑に進めたい場合は必ずしも向いているとは限りません。 SNSでも文脈を理解せずに大きな声を挙げる光景がよくありますが、会議でも同様の光景はよく見られます。この迂闊な現象を食い止めるためには、リアクションそのものをプロセスやルールとして禁止しなくてはなりません。 もちろん、会議の間ずっと禁止するのも融通が利かないですから、リアクション・スイッチングという形で切り替えられるようにします。 ## メリット リアクション・スイッチングの概念を使うと、「リアクションを禁止する時間帯」を使えるようになります。 これにより、リアクション無しで円滑に進めたい場面を機能させることができます。たとえば: * 反応が来ないようにすることで、感想を言う敷居を下げる * 反応を封じることで、まずは熟考してもらうことを促す etc ## Q&A ### Q: 講義のような一方的な聴講との違いは? Ans: リアクション・スイッチングは、リアクションが可能な双方向的な状況において、一時的にリアクションを封じれるようにする、というものです。 一方、講義のようなあり方は、デフォルト(標準)でリアクションが不可能であり、時折Q&Aなどの形でリアクション可能にしています。 ### Q: リアクション可能と不可能の比率に黄金パターンはある? Ans: 目安はあります。 **イーブンです** 。 たとえば会議が40分だとすると、リアクション可能な時間が20分、不可能な時間も20分、と半々で設計します。 従来は 40:0 の一択でしたが、これを 20:20 にします。そうすることでリアクション不可能時間帯という「円滑に進む時間帯」の恩恵を味わえます。 多くの場合、40:0 で常にリアクション可能な状態で続けるよりも、はるかに生産的になります。タスクもそうだと思いますが、割り込みは好ましくないのです。 ### Q: リアクションレートから何がわかる? Ans: そのチームや組織の傾向がわかります。 **リアクションレートとは、平均的な会議におけるリアクション可能とリアクション不可能の比の値** です。 たとえば30分の会議で、可能:不可能 = 20:10 の場合、20/10 = 2.0 がレートとなります。 レートが高いほど、そのチームは瞬発的です。仕事は慌ただしく、会議も多く、対面で集まって高密度に話し合って進めたがります。おそらくリモートワークもないか、あっても出社自体はなくさないでしょう。あるいはリモートであっても、オンライン会議や常時繋ぎっぱなしのようなことが多いと思います。 レートが低いと、そのチームは持久的です。ひとりでじっくりと考えたりつくったりする時間も取れます。リモートワークも実現しやすいです。ただし、自律的なキャッチアップや、しっかりとした成果物の提出または率直なレビューなどが求められます。プライベートでも仕事のための勉強や鍛錬を行うような強さがないと務まりません。 **一つの目安として、レートが5.0以上だと瞬発的だと言えます。** 逆を言えば、30分中5分くらいリアクション禁止を確保していれば、それはもう持久的の域と言えます。もちろんレートが小さいほどより持久的なので、4.0のチームと2.0のチームとではおそらく全然違います。 ちなみにリアクション禁止を導入しない場合は、レートは計測不可能です。リアクション・スイッチングの観点では、スタートラインにすら立っていない「論外の水準」と言えます。 # Title: Decoration Description 生成AIにより、要約をかんたんにつくれるようになりました。本や記事に対して、まるでデコレーションのように「様々な要約」をつけることさえできます。 これを **Decoration Description(装飾された記述)** と呼びます。 ## 例 本や書籍に関して、以下の要約をつけます。 * 1行要約 * 専門家向けの3行要約 * 素人向けの3行要約 * 参考文献リスト * Before/After * この情報により何がどう変わるか イメージは次のとおりです。要約によって装飾されています。 ![](/assets/n488acbfa3261_1739823789-LiC2WxzJIYrsoy1gZwBUQMcj.png)Decoration Descriptionのイメージ。 別の言い方をすると、プロパティの一種です。 情報、特に文書がわかりやすいですが、「タイトル」「サイズ」「タイムスタンプ」などのプロパティがついています。ここに「要約」もあるのです。それも一つではなくnつ並べることができます。 ## メリット 情報の読み書きが促進します。 要約により情報を読みやすくなります。聞き話しから読み書きへのシフトは、より良い働き方を手に入れるための第一歩ですが、読み書きは疲れる営みです。これをカバーできます。 ## Q&A 以下Decolation DescriptionをDDと略します。 ### Q: 1-3-10-P-Dとの違いは? Ans: DDの一種と言えなくもありません。 1-3-10-P-D法は以前解説しました。1行、3行、10行、1ページ、1文書と5段階で要約を用意する(1文書の前に4段階の要約をはさむ)ことです。 ただし、DDとしては「1-3-10-P」の4段階の要約を一つ装飾するという見え方になります。なぜなら、1-3-10-P-D では「まず1行要約を見て、続きが見たいなら3行要約も見て……」と段階的に進むからです。 一方、 **DDでは1行要約や3行要約は並列に並んでおり、段階に構わず好き勝手に見れます** 。いきなり3行要約から見ることもできます。そういう意味で、DDのニュアンスからは少し外れます。 ### Q: フラクタル要約との違いは? Ans: DDではありません。 フラクタル要約とは、[Bluemo氏](https://x.com/blu3mo/status/1801454542938325206)によるWebサービスで、情報をレベル別に要約して行き来しながら読むことで理解を促進するツールです。 ![](/assets/n488acbfa3261_1739824445-YFICLS1w3ozku9xepiqUQD7h.png)フラクタル要約。 DDでは元の情報に要約を添付しますが、フラクタル要約はしません。したがってDDではありません。 逆をいうと、フラクタル要約の内容を元の情報にも添付するのでしたら、DDの一種と言えなくもありません。 ※ **そういう意味では1-3-10-P-D法も同様です。1、3、10行要約などを元の情報に添付してはじめてDDと言えます** 。 ### Q: DDの特徴は、元の情報に要約情報も添付しておくことにある? Ans: そのとおりです。 生成AIは現在過渡期であり、要約をつくる際は利用者側で意図的にアクションを起こす必要があります。これはシームレスではありません。 要約に関してシームレスにしたい場合、要約処理の高速化と自動発動を除けば、事前に作って組み込んでおくことが解となります。DDもその一つです。 # Title: 多様性改め多彩性 多様性ではなく多彩性を提案します。 From Diversity To Variety. ## 背景 ### DEI撤回の動き トランプ大統領を皮切りに、多様性(もっと言えばDEI)撤回の動きが加速しています。行き過ぎた多様性配慮に終止符が打たれようとしています。 ### 当サイトのスタンス 一方で、当サイトとしては[典型的な多様性](https://note.com/workhack20/n/n132a57d8259c)以外の多様性も尊重したいと主張してきました。 そのためには仕事術(仕事のやり方と考え方)が必要であり、むしろ仕事術の模索によって万人のパフォーマンスとQoLが底上げすると考えています。 行き過ぎた多様性配慮はともかく、多様性自体を踏まえる潮流と機運を殺したくはありません。 ### 別の言葉を使うべきではないか? 今後DEIをはじめ、多様性(ダイバーシティ)という言葉には「行き過ぎにより撤回された概念」とのイメージがつくでしょう。この言葉をそのまま使うと、相手にされにくくなる率が増えるかもしれません。 そもそも多様性とは「多様である状態」を指す言葉にすぎず、多様であればいいんだよね?とマイノリティが正当化しがちです。ビジネスに生かしたところで、現在そうなっているとおり腫れ物の域を出ません。 問題はそこではなく、マイノリティも含めて実際に共存するためのやり方や考え方をつくることです。そういう意味で、より実践に寄せた概念の方がいいでしょう。それで以前RAISEを提唱しました。 RAISEにはアクセス、サポートといった「実際にどうやるのか」の観点を重視しています。 このように、多様性という言葉では限界があります。別の言葉を立ち上げるべきではないかと思うのです。 ## 多彩性 多様性という言葉と似ていてシフトしやすい、ということで、この言葉を考えました。 **多彩性(Variety, バラエティ)** とは、いろいろな要素が混在している様を指します。特に混在を楽しんだり生かしたりするというポジティブなニュアンスを持ちます。 仕事で言えば、各人の事情、能力、特性、個性その他性質を要素として列挙し、手札とみなして、どう生かしていくかを考える。考えることを楽しむ――そんなニュアンスです。 ### カード 多彩性における各要素を **カード(Card)** と呼びます。 私たちひとりひとりは様々なカードを持ちます。当然ながらチームや組織も多数のカードを持っていることになります。これらカードをどう組み合わせて使うか次第で、無限の可能性があります。 ### 言語化 しかしカードははっきりとは見えていませんので、言語化が必要です。 たとえば以前朝型と夜型の多様性を取り上げましたが、 これもカードです。朝型というカード、夜型というカードがあるのです。 一見すると「夜型はマイノリティ」「いいから朝型の生活リズムに合わせろ」となりがちですが、そうではなくどちらも生かしようのあるカードと考えます。 たとえば接客を行っている場合、朝型の人材は朝と昼、夜型の人材は夕方と夜に担当してもらうことで、以下が狙えます。 * 接客の品質が上がる。朝型は夕方以降に勤務する必要がなく、夜型は昼以前に勤務しなくてもいいため。 * 朝から夜まで死角なくサービスを提供できる。朝型にとらわれている多くの競合よりも優位に立てるでしょう。 すでに朝型と夜型がいるのでしたら、すぐに始められますし、仮にいないとしても「夜型が足りないので募集してます」「夜型のリズムを尊重する職場です」と募集すればすぐに集まるでしょう。 こういったことは、 **朝型と夜型という言語化をしているからこそできることです** 。 ### 仕事術の必要性 多彩性を生かすためには、 **デフォルト(標準)として融通の利く働き方を採用する必要があります** 。 たとえば「うちは 8:30~17:30 の出社が絶対だ!」とした場合、この時間帯に勤務できない人や、リモートならできるけど出社できないといった人があぶれます。多彩ではありません。 ※これを当サイトでは「[働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)がない」と表現していました。 多彩性を生かすためには、もっと融通の利く働き方を採用して、その上で、 * 「8:30 ~ 17:30 で勤務できる」というカード * 「出社できる」というカード といったカードがあると考えます。もちろん、これらカードが使えない人は、代わりのカードを使います。たとえば: * 「6:00 ~ 15:30 で勤務できる」 * 「日中、誰とも一言も喋らずリモートワークできる」 * 「テキストコミュニケーションが得意で、一日で100以上のやりとり、1万文字以上の発信ができる」 など。カードとして並べてみると、どうやれば生かせるかも考えやすくなります。 さて、多彩性とはカードの言語化と活用に他なりませんが、その際に仕事術(仕事のやり方と考え方)が必要となります。 なぜなら、仕事術を知り、仕事術の視座(目線)に立たなければカードを使えないからです。また前提となる「融通の利く働き方をデフォルトにする」もできません。 極端な話、「うちでは 8:30 ~ 17:30 に出社すると決まってる」「それ以外の選択肢はなくない?」では何もできません。出社のあり方は一つではないこと、出社のやり方は法律ほど強い効力がなく変えようがあること、出社せずとも仕事を成立させるための[非同期コミュニケーション](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E9%9D%9E%E5%90%8C%E6%9C%9F%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3&context=note&mode=search)――こういった仕事術を知っていれば、検討と議論を始められます。逆に **知らなければ何もできません** 。 ## おわりに * 今後も世の中の動向を追いかけます * 「多様性」がマズそうなら、かわりに「多彩性」を使っていきたいと思います * 多彩性についても議論しました * カードを言語化し、カードを使い分けます * そのためには仕事術の視座が必要です * 当サイトはまさに仕事術を扱っておりますので、ぜひ読み漁ってみてください # Title: ジャンプマーク ~ファイルやページ内を素早く行き来する~ ![](/assets/n217ddd9ac548_cd9bb70d545df1ca68f42058397ff128.png) スクロールして行ったり来たりするのは地味に手間です。特に「この辺を重点的に見ている」という箇所が複数ある場合に、いちいち各箇所を覚えて、手作業でスクロールするのは大変です。 これを軽減するのがジャンプマークです。 ## デモ ![](/assets/n217ddd9ac548_picture_pc_024a9676bf29a940634c93a6385fdb2c.gif)ジャンプマーク📍に素早く移動します。 ## 概要 **ジャンプマーク** とは、検索機能を使ってその位置にジャンプするための記号です。 たとえば絵文字の📍("ぴん"で変換可)を使います。 **📍を書いておき、📍で検索するとその位置に飛べます** 。 つまり、今見ている部分に 📍 という行を置いていけばいいのです。あとは飛びたいときに検索機能を呼び出せばいいだけです。 たとえば以下の状態で、下に向かって検索をすると、3つ目の📍 → 1つ目の📍 → 2つ目の📍、というふうに周回します。 ![](/assets/n217ddd9ac548_1739997536-ARx1NISYC8QdHyZbOUfa6t7r.png)下に検索する場合の、ジャンプマークを辿る順番。 ## メリット * 認知資源をセーブできます * スクロールの手間なく、素早くアクセスできます 検索を呼び出して機械的に一つずつ巡回するだけで、「あった、ここだここ」と望みの場所にたどり着けます。この手軽さは、一度覚えたら手放せなくなります。 特に一つのファイルやページ内で長文をつくる際に便利です。あるいは共同編集ドキュメントで複数人で作業しているときも便利で、「ジャンプしてきて(意訳:📍置いてるからここまで来て)」のように一言ですぐに集まれます。 ## TIPS * **「📍で検索」を一発で呼び出せると便利** です * テキストエディタやIDEなどでショートカットキーを指定する、ツールバーにアイコンを置く等 * 検索結果は **ループできた方が便利** です * 最後の検索結果に着いたときに、一番最初の結果にジャンプ(逆も然り)する機能 * 例1: 秀丸エディタでは「一周する」チェックで切り替え * 例2: VSCodeはデフォルトで搭載しています ![](/assets/n217ddd9ac548_1739997278-w7Bj0KdbNnFhJVrz3Tm8AWsf.png)ループ機能の例。 ## Q&A ### Q: テキストエディタやIDEだけではなく、Miroのような無限キャンバスでも使える? Ans: 使えることがあります。 ツール次第ですが、検索機能があればたいていは使えます。 以下はMiroの例です。 ![](/assets/n217ddd9ac548_1739997710-UtXvExYsLqu9HCoW6jO3bZ5p.png)Miroの例。![](/assets/n217ddd9ac548_1739997793-AReEWGlarsizvXhLpPwf074D.png)ジャンプマークは付箋の中に書けばいい(ジャンプ付箋)。 ただし、テキストエディタやIDEのように「前後の検索結果に飛ぶ」「ループする」、「ショートカットキー一発で呼び出す」ほどの利便性は無いと思います。 # Title: 今週の記事 2025/02/16 今週は 6 記事書きました。 当サイト開始から 23 週が経ちました。 [←前 2025/02/09](https://note.com/workhack20/n/n0fad6936e213) [2025/02/23 次→](https://note.com/workhack20/n/n84aee9a13034) ## 記事 # Title: 共同分報 n人分の[分報](https://note.com/search?context=note&q=from%3A%40workhack20%20%E5%88%86%E5%A0%B1&sort=popular)を **一つの** エリアで書くことを **共同分報** と呼びます。 たとえば3人で分報を運用すると、普通は3人それぞれが自分専用の分報チャンネルをつくりますが、共同分報は違います。場所は1つだけ確保して、そこに3人が書き込みます。 **ただしチャットでは難しいのでノートを使います** 。 ## 概要 以前の記事でも取り上げましたが、 同時編集可能なページをつくって、そこで各々が自分用エリアをつくって分報を書きます。ページは「2024/10/11」「2024/10/12」のように1日1ページで区切るとわかりやすいです。 ![](/assets/nd77bf3706cc3_1740279903-pmifBy7hwbcHzgRes4Ik2Nnq.png)共同分報。 ## 例 分報ではないですが、Cosense でつくられたコミュニティ「井戸端」はわかりやすいと思います。 たとえば[2025/02/23](https://scrapbox.io/villagepump/2025%2F02%2F23)のページをみると、各々が自分のエリアをつくって日記を書き込んでいます。 ## メリット * コラボレーションが加速します * 一つの画面で皆の様子が見えるので、やりとりや把握が加速します * 個別にチャンネルに覗きに行く手間やハードルもなくなります * あとで振り返りやすいです * 1日単位でページをつくるので、あとで読み返しやすいです ## 実現する [QWINCS](https://note.com/workhack20/n/n023f1ef91e3e)でいうと、WikiやNoteが良いでしょう。ページを自由につくれて、複数人同時編集も可能なものを選びましょう。 **チャットでは難しい** ので気を付けてください。 **まずはチャットでやってみよう、などとは考えないでください** 。 共同分報ではメンションや通知があると破綻する(うっとうしくてやってられない)ので、各自が自由に書いて自由に読む、との緩さを意識的に確保せねばなりません。チャットではできません。 # Title: 愛用化 **愛用化(Favoritize)** とは、道具を愛用にすることです。 ## 背景 道具との向き合い方を「使う」と「扱う」に分けたとします。 ※この分け方は右記の記事によるものです:[[1]](https://note.com/rashita/n/n988ed72d6a39) [[2]](https://note.com/famous_newt6493/n/na8593ea5b9eb)。本記事では、この解釈を推し進めて、一つの概念をつくったものです。 次に「扱う」には **メンテナンス** と **アンハードリング** (使うまでのハードルを下げる)の二つがあるでしょう。アンハードリングとはアンハードル+ingであり、ハードルを下げることとします。 さて、アンハードリングのやり方はいくつかありますが、その一つが単に「愛用にする」ことです。これを愛用化と呼んでいます。 ## 例 新しいツールを試したいときに、あえてそれ **だけを** 使ってみます。 たとえば普段パソコンでdiary.txtをつくって日記を書いている人が、スマホの日記アプリを導入したので、しばらくそれだけを使ってみる等です。 愛用というからには、それなりに使う機会を増やさねばなりません。日記アプリだけを使うのが一番ですが、「自宅以外では日記アプリだけを使う」など状況を設定しても構いません。 ## メリット * 道具に慣れるまでが早くなります * 道具の質はどれだけ使い続けて慣れるかに依存しますが、最初から愛用にすると決めて向き合えば、最短で慣れます * 愛用の機動力を上げられます * 愛用化を意識するとは、愛用するものを変える機会が増えるということです * これは単一の道具にとらわれず、状況に応じて使い分けていける「使い分ける力」の鍛錬に寄与します 愛用化と聞くと、当たり前のことを言っているように聞こえますが、違います。実際、同様の概念は既存ではないため、こうしてつくってみせています。 愛用化とは、愛用を結果論として捉えるものではなく、意図的に狙ってもいいものとみなす、ということです。 ## 愛用化の前に ### 必要なら鍛錬を いきなり愛用化をしたところで、道具としてまともに使いこなせなければ意味がありません。 まずは道具として使えるレベルにまで鍛錬が必要です。これは日課や習慣の形で、地道に行います。上記の例でいうと、日記アプリの練習を1日30分行うなどですね。 重要なのは **「使いながら慣れていけばいいよね」などとはしないことです** 。それでできるならそれはもう愛用化すればいいですし、愛用化できないほど未熟であれば、「ながら」ではなく、きちんと鍛錬するべきです。 たとえば「あああ」「いいい」など書く内容は放棄した上で、各機能を試すことに専念してみるとか、スマホでのフリック入力が遅いならまずはそこから練習してみるなど。 ### 愛用化は一つずつ 愛用できる道具には限りがありますので、無闇に増やさないようにします。 [習慣の構築](https://note.com/workhack20/n/n83cec7345a2e)と同様、一つずつ愛用化を試すのが無難でしょう。その一つに対して結果(定着するか定着に失敗して挫折する)が出たら、次の愛用化を検討します。 # Title: コソロ(co-solo) **コソロ(co-solo)** とは、個人ワーク的でありながら、ゆるやかにコラボレーションもできるあり方を指します。 ## 背景 ### グループワークと個人ワーク グループワークは協調的で、自然な営みに聞こえますが、大部分がコミュニケーションコストに割かれてしまいます。また協調が苦手な人には苦痛です。 個人ワークは、個人レベルの生産性としては優れていますが、ひとりの限界(ひとり以上の生産性とひとりゆえのバイアス)を越えられませんし、ひとりでじっと集中するのが苦手な人には苦痛です。 ### 片方が苦痛 私たちは双方を切り替えながら実施していきますが、どちらを選んでも片方は常に苦痛なのです。実際は、それが嫌だから、マジョリティ側のやり方に偏ります。特にグループワークを重視する組織が多いでしょう。出社回帰もそうですし、リモートであってもオンライン会議ばかりしているケースも多いです。 一日誰とも喋らず個人ワークだけしている、との過ごし方は珍しいと思います。これはグループワークが重視される風潮であることを示しています。 ### 苦痛をなくし、生産性を上げる 片方(特にグループワークが苦痛な側)が苦しむ構図を変えるためには、両者をいいとこどりした、新たなあり方が必要です。 また、生産性という観点では、膨らみすぎたコミュニケーションを抑えつつ(でも削ぎすぎないように)、個人ワーク的な集中の配分を増やした方がいいでしょう。 ## コソロとは コソロとは、 **個人ワークと共同ノートを組み合わせたあり方** です。 ### すること * 個人ワークなので、各個人が自由に過ごして仕事します * 共同ノートがあるので、自分の報連相、ノウハウ、日記、その他雑談などを書き込んで共有します つまり個人ワークに、ノート上でのやりとりを追加した形となります。ノートなのでチャットとは違い、各自のタイミングで読み書きできます。 ### しないこと * 会議、特に定例会議 * 絶対しないではなく、なるべくしない * ノート上で通知を出すこと * 例:メンションを飛ばさない ### 実現する 手法としては、共同分報がわかりやすいでしょう。 理論としては、コラボレーティブ・ノートテイキングが役に立つと思います。 ## Q&A ### Q: コソロの適用シーンは「就業中」か、それとも「特定の作業のとき」だけか? Ans: どちらも行けます。 粒度としてはリモートワーク or 出社と同じくらいで捉えるといいでしょう。リモートの日、出社の日、午前リモートで午後出社、くらいの時間枠で使い分けると思いますが、コソロも同様に使うのが使いやすいと思います。 しかし、 **コソロはもっと小回りが利きます** 。「会議の冒頭30分をコソロでやろう」のような使い方もできますし、 **コソロ的な会議** (事項参照)をすることもできます。 ### Q: コソロ的な会議とは? Ans: 同期的な情報共有を指します。 コミュニケーションや情報共有のあり方は4つに大別できます。 ![](/assets/ncc27e5a699ba_1740344031-cEOC4eFYIJi0t2ZwH1PorkVB.png)マトリックスで整理。 私たちが普段行っているのは 1 の同期的なコミュニケーションです。一方、書き込みや記事や文書を各自のペースで読み書きするという「時間差のあるやり取り」は 4 の非同期的な情報共有に該当します。 コソロで可能なのは 3 と 4 です。特に同期的でありながら情報共有をする 3 を、コソロでは実現できます。これをコソロ的な会議と呼ばせてください。 具体的には、 * 通常どおり会議をする * つまり場を設けて人を集め、参加者は拘束されます * しかし喋りはせず、ノートをつくって各自そこに書き込む という過ごし方になります。会議ではあるので他の過ごし方はできません。 **仮に30分の会議だとするなら、参加者は全員、30分間はノートと向き合い続けることになります** 。 ### Q: コソロでつくるノートはどのように運用する?人数規模は? Ans: 1チーム、一桁人数くらいが良いでしょう。 全員が全員の名前を覚えられて、かつ全員の書き込みを追えるくらいの規模感が良いです。 これ以上の規模だと発散しすぎて、仕事上の連携が共有がしにくくなります(趣味的コミュニティや同期・友人の集まりであれば無問題)。 ### Q: 会議がしたい場合はどうするのか? Ans: 必要なものを個別に調整して開催します。 コソロでは共同ノートに **書いておく** と考えます。書いておけば読まれますし、重要なこともノート上で議論していけるので、緊急度の高い話題以外はノートで完結します。また、完結するように済ませる意識で望みます。だからこそのコソロです。 どうしてもやりたい場合は、個別に調整して、人数を絞ってください。「とりあえず全員参加の定例会議」はやめましょう。それはグループワーク的発想です。 ### Q: コソロだけでは物足りないのでは?欲求が満たされず不調になる人もいるのでは? Ans: ありえます。何ならそれが多数派だと思います。 コミュニケーションは適宜注入してください。 先ほど定例会議はやめましょうと書きましたが、純粋にコミュニケーション目的の場をつくるのであれば問題ありません。ただし全員参加はやめて、欲求を充足したい人だけが自由参加できるようにします。 # Title: Workspace As Presence メンバー全員のプレゼンス(在席など過ごし方の状態)を共有するツールを[プレゼンススペース](https://note.com/workhack20/n/nefa624958359)と呼びました。 Remotty では 2 分ごとにウェブカメラで撮った画像が共有されます。Teracy では、現在のアクティブウィンドウがステータスメッセージとして共有されます。 プレゼンススペースを使うと、リモートメインでありながらもお互いの状態を知れる、という上手いバランスを実現できます。本記事では新しいあり方を一つ示します。 ## 概要 **Workspace As Presence** とは、 **ウィンドウやデスクトップ画面のスクリーンショットを** プレゼンスとして共有することです。 ※ワークスペース(作業場)をプレゼンスとみなす、ということでこの名前をつけました。 長いので以下 **WaP** と略させてください。 ## ツールはまだない WaP を行うツールはまだありません。WaP はおそらく、当サイトが今日新しく提唱する概念だからです。 ※既存がありましたらぜひ教えてください。コメント欄を開放しています 以降では WaP を実現するための議論をしていきます。 ## メリット ### Remotty と Teracy の間を取れること Remotty はウェブカメラが必要ですし、自分の顔を映すので心理的なハードルがあります。また(良し悪しは状況次第ですが)サボりにくいので、サボらず着席し続ける仕事の仕方に寄せられてしまいます。 Teracy は、顔こそ映しませんが、今現在使っているウィンドウのタイトル(あるいは「ブラウザ」などカテゴライズされた単語)しかわからないので情報量が少ないです。 どちらのツールも心理的安全性が保たれているならどうとでも使えますが、そもそもそんな組織は稀です。 **さほど保たれていない、多数の組織でも上手く使えるプレゼンススペースが欲しい** のです。 WaP は、Teracy よりも少し踏み込んだ情報(ウィンドウや画面のスクショ)を見せますが、顔は見せないのでハードルは下がります。 ※もちろんスクショを見せるハードルは上手く解決せねばなりませんが。 ### ナレッジ共有や話題の提供になること WaP は、スクショなどで画像としての情報量が多く、ナレッジや話題の提供にもってこいです。 特に生成AIと組み合わせると、自動で画像からテキスト情報や状況を吸い上げて、要約してもらったり知らない知識を教えてもらったりもできるでしょう。 ※生成AIにプライバシーや機密情報を渡す恐れがあり、この問題は後述します(センシティブ安全性)。 ## 共有の仕方 さすがに自動で共有されるのはプライバシー観点でキツイですから、一工夫必要です。一案を述べます。 まずは共有頻度を決めます。 remotty では 2 分ですが、Wap でもこのレベルを目指したいです。プレゼンスは高頻度で共有してこそだからです。いきなり 2 分は厳しいので、まずは 10 分や 5 分くらいから始めたいところです。 次に共有するまでの流れですが、自動と手動を組み合わせることを考えてみましょう。 たとえば、スクショ自体は1分間隔でランダムに撮るとします。共有タイミングが来たら、撮られたスクショの中から一つを選んで共有します。これなら、共有したくないものを選ばなくていいし、共有できるものも一つは混ざってるでしょうから共有できます。 この場合、調整すべきパラメーターは以下二つですね。 * 共有頻度 * スクショの頻度 たとえば「0.5/10」は、0.5分(30秒)間隔でスクショを取り、10分間隔で共有することを示します。1/10、1/5、2/15など、色んなバランスがありますので模索しましょう。 ここで一つ気になるのは「共有頻度ごとにスクショを選ぶのが面倒くさい」問題です。 **10分間隔だとしても、10分に1度選ばないといけません。面倒くさすぎてやってられません** 。 どうすればいいでしょうか? いくつか解があります。 * 大胆に頻度を下げる * たとえば1時間に1回、2時間に1回など * これならスクショ選択の手間は比較的許容できるでしょう * その代わり、プレゼンスとしての意味はほぼなさなくなりますし、正直言って適当にスクショを撮って誤魔化すだけになるのでオススメしません * 共有するモニター([仮想デスクトップ](https://note.com/workhack20/n/n858da42b1259)含む)を決める * 仮に🖥️1、🖥️2、🖥️3の3枚使っているとして、🖥️3を共有する、と決めます * 共有したくないものは🖥️1や🖥️2に置けばいいので、棲み分けしやすくなります * リマインドつきのアクティブウィンドウ共有 * Teracyと同様、アクティブウィンドウを共有しますが、リマインドさせます * 例:「共有まであと3分です」 * これならウィンドウを切り替えるか、問題ないならそのまま過ごせばいいだけなので比較的手間が少ないです など。 正解はないですし、むしろここをどうできるかが WaP の肝だと思います。上手くできたらビジネスにもできると思いますので、ぜひ挑戦してみてください。 ## Q&A ### Q: センシティブ安全性って? Ans: 自動で or 丸ごとデータを渡す場合の「センシティブな情報渡してないよね?大丈夫だよね?」的な不安を指します。 以下のツールを考えましょう。 「あなたのデスクトップ配下のすべてのファイルを生成AIがリアルタイムで読んで、何でも答えられるようにします」 これを聞くと、ITリテラシーの高い人は「プライバシーが生成AIに渡ってしまう」と心配すると思います。このような状況を **センシティブ安全性が低い** といいます。 ※センシティブとはプライバシーや機密情報などのこと。個人情報、パスワード、社外秘情報、誰にも見せない日記やログなど色々ありえます。 さて、WaP でも、スクショを生成AIに渡して役立てようとした場合は、センシティブ安全性が下がります。 スクショには「チームメンバーにも見せたくないもの」もあれば、「チームメンバーには見せてもいいけどその外には見せたくないもの」もあるはずです。生成AIに渡す場合、後者にひっかかるでしょう。 生成AIも活用したいのであれば、この安全性もクリアせねばなりません(本記事では扱いません)。 # Title: 会議中のセキュリティ(In-Meeting Security) オンライン会議のセキュリティの対象は会議前、会議中、会議後です。特に会議中(In-Meeting)に注目したものを **会議中のセキュリティ** と呼びます。 ## 概要 会議中のセキュリティとしては、以下に努めます。 * 部外者の抑制、および排除 * 関係者の不正の抑制、および排除 ## メリット 本記事を読むと、会議中のセキュリティという「あまり開拓されていないジャンル」を開拓できます。 ## 4つの観点 会議中のセキュリティは4つの観点に分かれます。 ※共同ホストの設定など「セキュリティを操れる立場」目線の話は割愛します * 1: 入退室の制御 * 2: プレゼンスの確認 * 3: 操作の制限 * 4: モデレーション ### 1: 入退室の制御 会議中の途中入退室を制御します。ただし退室禁止は事実上不可能なので、≒途中入室の制御となります。 例: * 一切禁止する(ロック) * あらかじめ指定していた人だけ可能にする(ホワイトリスト) * クイズやテストを設置して、回答できた人だけ可能にする(クエスト) * 待機室を設けて、個別に判断する(ロビー) Zoomはロックとロビーをサポートしています。ホワイトリストとクエストは、おそらく新しい概念です。 ### 2: プレゼンスの管理 いわゆる点呼がわかりやすいですが、参加者の存在を確認する手続きを差し込みます。 例 * ビデオを常時オンにする * 参加者各自が所定のタイミングで、何らかのアクションを行う(点呼) * ファシリテーターが参加者に問題を投げて、参加者が応える(サドンクエスト) 重要なのは部外者の把握であって、参加者のサボりの把握(サボタージュガード)ではありませんが、プレゼンス管理をするとサボタージュガードになりがちなので注意しましょう。 ### 3: 操作の制限 出してはいけない情報をうっかり出さないように、あるいは残してはいけない情報を残してしまわないように、会議中に行える操作を制限します。 例: * 発言を禁止し、ホストが都度許可する形にする * 画面投影を禁止する * ノートのみ許可する(言葉の記述のみ可能) * ノートのみ許可し、ノート自体も会議後 or 会議中でも用が済んだら破棄する ノートのみ許可するスタイルは、おそらく新しい概念です。機密性の高いやりとりは会話で行われがちですが、会話では込み入った議論ができません。セキュアにノートを使うスタイルを確立できると、一歩抜きん出ることができるでしょう。 ### 4: モデレーション モデレーションとは会議中に目を光らせることであり、モデレーターという **専用の** 役割が担当します。 ファシリテーター、タイムキーパー、書記など役割はいくつかありますが、モデレーターもこの位置づけであり、 **モデレーションにのみ専念します** 。 基本的に会議中のセキュリティを一手に請け負う存在として立ち回ります。上述した1~3に加え、モデレーター個人の洞察で会議を止めて追及しても構いません。 権限は意思決定者よりも高く、意思決定者(通常は参加者内の最高権力者)すらも追及できます。とはいえ、このような役割を用意するのは難しいですから、意思決定者が兼ねるのがベターです。 ## Q&A ### Q: 会議中のセキュリティ、特にモデレーションを自動化することはできないか? Ans: 現状そのような技術や概念はありませんが、[Facilitation As Code](https://note.com/workhack20/n/n75d91bd80aa6) に組み込めば可能でしょう。 # Title: 今週の記事 2025/02/23 今週は 5 記事書きました。 当サイト開始から 24 週が経ちました。 [←前 2025/02/16](https://note.com/workhack20/n/n556fa87757c8) [2025/03/02 次→](https://note.com/workhack20/n/n198ee1459aad) ## 記事 # Title: 許可的な共有よりも拒否的な共有が良い 情報共有を促進したいなら、許可的よりも拒否的が良いでしょう。 ## 概要 ### 許可的な共有とは 持ち主が出したいものを出します。 英語ではSelective Sharingであり、その名のとおり「共有するものを選ぶ」ニュアンスです。 ### 拒否的な共有とは 持ち主が出したくないものを出さない、とします。 **それ以外は勝手に共有されます** 。 英語ではRejective Sharingです。言葉だけではわかりづらいですが、共有したくないもの(拒否したいもの)を指定して、それは共有しないことを指します。もちろん、これだけでは何も共有されないので、裏を返して、拒否したもの以外は全部共有する、とします。 ### 許可的な共有は良くない * 共有コストが高いので、共有される情報が少ないです * 持ち主のリテラシーが低いと、ほとんど共有されません or 政治的にこちらが引き出しに行く必要さえあります ### なぜ拒否的な共有が良いのか **Ans: いつ、何の情報が、誰の役に立つかはわからない** からです。 ですので情報共有は、なるべく出しておく方が良いのです。もちろん出しすぎると「多すぎて読みきれない」「ノイズが多くて邪魔」となりかねませんが、そこは仕組みを工夫してフィルタリングなり要約なりすれば済む話です。それこそ生成AIも使えます。 ## やり方 工夫次第でどうとでもできますが、3つほど紹介します。 ### パブリックな作業動線 **作業動線** とは「個人のパソコンのデスクトップ」など、普段使っている場所を指します。作業動線は通常、自分のみがアクセスするプライベートな場となっています。 これをパブリック(チーム全員が見れるなど)にします。 たとえば、クラウドストレージなどでパブリックなフォルダF1をつくって、そこをローカル側フォルダF2と同期して、普段の作業動線をF2にします。 こうすることで、 * 自分は普段どおり、パソコン側のフォルダF2で過ごす * F2の内容は、クラウドストレージ側のF1に同期される * のでチームメンバーも見ることができる ### デスクトップ・シェアハウス デスクトップは通常プライベートなものですが、これをパブリックな作業動線にして、かつチーム全員分集めたものを **デスクトップ・シェアハウス** と呼びます。 デスクトップ・シェアハウスをすると、クラウドストレージ上では以下のように見えます。 * / * (ラウンジ) * (🐶さんのデスクトップ) * … * (🐱さんのデスクトップ) * … また、🐶さんのパソコンでは、たとえば以下のようになるでしょう。 ![](/assets/n0f4047253f31_1740876086-VCQFONslM8aJ24oAh3jeXGWy.png)Desktopフォルダは「🐶さんのデスクトップ」と同期されている。 Loungeフォルダは「ラウンジ」と同期されている。 つまりデスクトップ・シェアハウスをつくると、全員が全員のデスクトップを見ることができます。また、全員で共同で読み書きするために「ラウンジ」を使うこともできます。[分報](https://note.com/workhack20/n/nd77bf3706cc3)も彷彿とさせますね。 ### 自動同期 プライベートな作業動線を拒否的に共有するためには、以下のような仕組みが必要です。 * 1: プライベートな作業動線のコンテンツのすべてを、パブリックな場に同期する仕組み * 2: 1だけだと共有したくないものも共有されるので、それを弾く仕組み(マークをつけたものは同期から除外するなど) これを自力で実現します。 一つ例を挙げます。 Cosense(旧称Scrapbox)の例ですが、まさにこの仕組みを行えるツールがあります。 開発者向けの高度なツールですが、かんたんに解説します。 * 1: Cosenseでプライベートなプロジェクト(作業場)をつくっている * 2: 1を共有するために、パブリックなプロジェクトもつくる * 3: このツールは、1から2へのコピーを自動化する * 4: ただし、そのままだと共有したくないものもコピーされてしまうので、共有したいページには [public.icon] を書く 4 のマーク付けが少し違っているので、補足します。 拒否的な共有では「共有したくないものにマークをつける(それは共有されない」ですが、このツールでは「共有したいものにだけマークをつける」であり、許可的な共有です。おそらく安全に倒すための処置でしょう。 本当の意味で拒否的な共有がしたいのなら、 **共有したくないページには [private.icon] を書く** のようにするべきでしょう。もちろん、このマークを付け忘れると共有されてしまうのでリスクはあります。 # Title: AIデトックス デジタルへの依存とその弊害を和らげるための行動を **デジタルデトックス** と呼びます。主な対象はSNSやゲームです。 ここに近い将来、 **AIが加わる可能性があります** ので備えておきましょう。 ## デトックスとは まず始めにデトックス(Detox)の概念を整理しておきます。特にデジタルデトックスを指しますが、以下二つの意味合いがあります。 * 1: 治療 * 依存症を治療するために、無理やり切り離して荒療治する 例: ゲーム依存を直すために、ゲームが使えない環境で過ごしてもらう * 2: ガス抜き * 医療行為ほどではないが、慢性的な依存とその弊害に抗うために、必要に応じて距離を置く * 例: 明日は一切ゲームしない日にしよう 1:の治療については扱いません。2:のガス抜きの方を扱います。 ガス抜きは、本質的には仕事と休憩でいう休憩と同じです。一日に何度も入れる小休憩と、休日のようなまとまった休憩がありますよね。何事も同じです。やりすぎは良くなくて、たまには休まねばなりません。 さて、デトックスというと、後者の休日を指します。 **まとまったゆとりを差し込む** ということです。 ## AIデトックス **AIデトックス** とは、AIで生成したコンテンツへの依存を減らすためのガス抜きを指します。 ### Q: AIがつくったコンテンツなんてたかが知れているのでは? Ans: 今はそのとおりです。 今後はわかりませんが、私たちが納得するレベルのコンテンツをつくれるようになるかもしれません。 そうなると、SNSやショート動画のように、大量のコンテンツを漁るようになるでしょう。あるいは、AI秘書があなたの消費傾向を全部把握した上で、あなたが好むコンテンツを推薦し続けてくれるかもしれません。もしくはゲームを楽しむようにコンテンツを探索するサービスがつくられて、それにのめりこむかもしれません。 不便なので、この現象を仮に **『コンテンツ・シンギュラリティ』** と呼ぶことにします。 ### コンテンツ・シンギュラリティの弊害 AI製のコンテンツに限った話ではないですが、以下弊害があります。 * フィルターバブルが起きる * 日常的に注意力を奪われる * → 主体的に行動する機会と集中力も奪われる * → そうする習慣や発想が鈍っていく * → 搾取されやすくなる * 自分で考えたりつくったりする力が養われない 消費して過ごすだけなら別に良いのですが、残念なことに時代は VUCA です。正解がなく、先が見えず、変化も激しい時代なので、自分を持たないと流されるだけです。 ### 備えておかないと這い上がれない 特にコンテンツ・シンギュラリティが起きると、従来以上に自分にとって気持ちいいコンテンツと出会える率が増えるはずです。 SNSが無かった頃のタイムライン、YouTubeが無かった頃の動画、ショート動画が無かった頃のショート動画――そんな革命がまさに起きるわけです。 飲み込まれた後に抗うのは難しいことです。すでにSNSやショート動画に依存してしまっている人は、あなたの周囲にもいると思います。何ならあなた自身もそうかもしれません。 その場合、上述した弊害に見舞われているはずし、そういう人がデトックスを知ったところで行動に起こすのも難しいでしょう。 だからこそ、今のうちに備えておく必要があると考えます。備えたところで結局飲まれるかもしれませんが、心構えを持っておくだけでも違います。 ※ちなみに本当に弊害を回避したいなら、「依存するまで触らない!」と徹底するしかありません。病気と同じで、一度かかったら大変です。そういう予防の意味でも、AIデトックスの概念を知っておく価値はあると思います。 ## AIデトックスを実施する ここから実践の話をしましょう。 すでに述べたとおり、治療ではなくガス抜きの観点で扱います。といっても言えることは単純で、 * **休憩(触れない時間)を取りましょう** * 1: 一日の中に小さな休憩を入れましょう * **2: 休憩日を入れましょう** これだけです。 ※1: はデトックスではないので割愛します。 すでに書きましたが、仕事と休日の関係がわかりやすい。とりあえず土曜日と日曜日は休みますよね。そのおかげで、仕事に依存しすぎる弊害を回避できていると思います。 そんなふうに、 **AIデトックスとしての休憩日(AIコンテンツに触れない日)を恒常的につくる** だけです。 ここで「 **触れない日なんてつくれない」という人は、依存に片足を突っ込んでいると考えてください** 。 すでにSNSやYouTubeに触れない日をつくれない人は多いと思いますが、単に依存しているからです。そういう人は上述の弊害に見舞われていると思います。逆に「つくれる」人は、弊害が起きていないか、起きることがあっても軽減できるでしょう。 # Title: 今週の記事 2025/03/02 今週は 2 記事書きました。 当サイト開始から 25 週が経ちました。 [←前 2025/02/23](https://note.com/workhack20/n/n84aee9a13034) 2025/03/dd 次→ ## 記事 # Title: 仕事術2.0のllms.txtを公開しました ![](/assets/ndc34e8337856_0a54decc40c173d7e64290e9e86f7b08.png) ## 以下からアクセスできます: ## 以降は説明です: ### llms.txtとは? 生成AI、特にLLM(大規模言語モデル)の利用が身近になってきましたが、ここで問題となるのが「LLMにどうやって情報を与えるか」です。 **ウェブサイトの情報を与えたい場合** 、どうすればいいでしょうか。ChatGPT などにいちいちコピペする――のは論外ですね。やってられません。 これを可能にするために、「このファイルを使ってください」というのを用意しておきます。それが llms.txt です。2025 年 3 月現在、まだ標準化はされていませんが、IT 技術者を中心に盛り上がっており対応事例が増えています。 種類としては、概要を述べた llms.txt と、ウェブサイト内のコンテンツすべてを記載した llms-full.txt があります。 ### 仕事術2.0のllms.txt 当サイトとしてもつくってみました。冒頭のリンクからアクセスしてください。 ![](/assets/ndc34e8337856_1742026852-gOVkxRBhGLUvru2wiscX5D7a.png)llms.txtのイメージ。 本当は直に置くべきなので、 https://note.com/workhack20/llms.txt ↑ このような URL で提供したいのですが、note 側が対応していないため、仕方なく別の URL にしました。 また、現時点では「ひとまず置いてみた」くらいなので、中身はあまり最適化していません。が、どうせ LLM が解釈するので、情報さえ揃えておけばいい気がします。 ### 参考 原典です。 以下は技術者向けの、わかりやすい記事です。 # Title: 「今週の記事」と「今月の記事」を廃止します note上であちこち辿れるようにするために、今週の記事と今月の記事をまとめていましたが、廃止します。 ## 廃止理由 * あまり使っていないから * 筆者も全然使ってないです * すでに辿る手段はあるから * noteでも記事一覧がありますし、[Article Network](https://note.com/workhack20/n/neaa0212fdbec)もつくってます * その割に毎週・毎月更新するのはだるいから * 今週の記事は、書いてる記事が少ないと新着が「今週の記事」ばかりになりがちで見栄えが悪いから * 今週の記事は、週一で振り返れば定着の振り返りになるとも期待したが、URLをコピペしているだけであり効果が薄いから 費用対効果が微妙だからです。 ## どんな取り組みだった? マガジンとして提供していました。 ※削除しており現在見れません。 また各記事の中身は、以下をご覧ください。 特徴として、前後の記事へのリンクを張っていたので、その場で次へ(前へ)行けてました。 # Title: タスクリストよりもコンテキストリスト タスク管理をしない理由として「いちいち書いて管理するのがだるい」「脳内でできる」があると思います。 しかし、人間ですのでたまには忘れますし、忙しいときなど状況次第でもかんたんに忘れます。トレードオフの問題です。 * タスク管理すると忘れないが、面倒くさい * タスク管理しないと面倒はないが、忘れる ちょうどいい感じの塩梅はないでしょうか。あります。それがコンテキストリストです。 ## コンテキストリストとは **文脈を並べたリスト** を指します。 タスクリストはタスクを並べますが、コンテキストリストは文脈を並べます。タスクを扱っているわけではないので、完了マークつけたりする手間はありません。 ## 使い方 * 1文脈 1行で書いてください * 適当に書いて、適当に読み返してください * 文脈を読むことで、連想的にタスクも思い出せます * 逆を言うと、 **読み返して思い出せるような文脈を書いておけ** とも言えます ## 文脈とは? 正解はありません。タスクを思い出せるのなら何をどう書いてもいいのです。 いくつか例を挙げます。 * ステークホルダー(グループの名前と個人の名前) * 5W1H * 自分に課された人、場所、時間帯 etc また写真やスクショを並べても OK ですが、画像を並べるツールが必要です。何らかのノートアプリが良いでしょう。 ## たとえ よくフィクションでは容疑者の顔写真を貼って人物相関を整理します。これは「人」というコンテキストを並べています。これらを **眺めるだけでも色々とタスクは思いつくので、タスクリストをつくる必要がない** のです。 コンテキストリストは、この考え方を一般化したものです。 具体的には: * 「人」だけでなく文脈全般を扱えます * 写真だけでなく情報全般(特に言語)を扱います ## (関連記事) タスクリストについては、すでに当サイトで扱っています。リストのつくりかたや考え方の参考になるでしょう。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20%20%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88&context=note&mode=search) # Title: 批判者(Criticizer) **批判者(Criticizer、クリティサイザー)** とは批判する役割を指します。 創造において批判は重要です。検証として有用ですし、批判的思考(クリティカル・シンキング)もよく知られています。 ## 批判の仕方 必ず **何らかの主張や根拠(批判の種=シーズ)を提示** して、シーズによるとあなたのこれはおかしいですよ、との形で批判します。 シーズを用意できねばなりません。単に問うだけではダメです。ただ問うたりアラを探すだけならかんたんですし、建設的ではないからです。シーズがあるからこそ、シーズと比較する形で建設的になります。 なおシーズは持論でも構いませんが、きちんと言語化して伝えなくてはなりません。 ## 批判者の目的は死角をなくすこと 「これ以上思いつかない!」「考え尽くした!」に至るために批判をします。 創造は難しいものであり、正解がないため「考え尽くした」に至るのがベストですが、ここまで至るのは困難を極めます。当サイトでは[フリー仕事術](https://note.com/workhack20/n/nd06f10b86a95)を紹介していますが、これも手段の話にすぎません。 そこで役割を工夫して、割り切って振る舞ってもらうことで盛り上げます。メンターやカウンセラーはまさにそうで、壁打ちに徹していますよね。他にも質問と回答のみに縛るやり方もあります(質疑応答)。 ここにもう一つ追加します、それが批判者です。「とにかく批判する」と割り切ってもらうのです。 ## 緩衝材の必要性 ですが批判という行為はハードルが高いです: * 特に[日本の文化は「間接的なネガティブフィードバック」](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)であり、批判自体に慣れていない * 人間なので、批判されるとむっとする(作品への批判を自身への人格批判だととらえてしまうなど) ですので、これらを下げる緩衝材的な何かが要ります。いくつか例を挙げます。 ### 生成AI ChatGPT など対話型の生成AIが使えます。たとえば以下のようなプロンプトを使います。 > 以下の観点から批判して > ・企業の事例から > ・偉人や有名人の発言から > ・理論体系から > ・論文から ### 形式的なロールプレイを設定する たとえば「今から批判者の帽子を被ります」と宣言した上で、批判者を演じるイメージです。 さらに緩衝したければ、口調を変えてもいいでしょう。お嬢様言葉を使うようにするなど。 ### 匿名にする 匿名は忌避されがちですが、緩衝材としては優れたやり方です。 私たちは[常に特定の誰かを想定して情報を出す、とのメンタルモデル(コミュニケーション1.0)](https://note.com/workhack20/n/nd70bc71f3450)を持ちがちですが、これがあると批判しづらいです。 匿名は、このメンタルモデルが通用しないやり方の一つです。つまり批判しづらいメンタルモデルから脱するやり方を使うのも有効ということです。 具体的な手段としては、チャットでもフォームでも何でもいいので、誰が書いたか記録されない手段を使って批判を行います。当サイトでもいくつか取り上げたことがあります: ### フォーマットを定める 余計な表現やノイズを減らすために、フォーマットを定めることもできます。以下に例を示します。 > シーズ: > シーズの主張: > あなたの主張: このフォーマットだと、シーズがどう言っているかを書くことになるので、余計なノイズがありません。批判される側としても、批判者本人が言っているのではなく、シーズの元ネタが言っていることなのだと見え方になるので精神的に楽です。 # Title: フッキング(Hooking) フッキング(Hooking)とは **後で扱うために名前をつけておく** ことです。 その名のとおり、フックをひっかけるニュアンスがあります。 ## メリット ### 名前をつけることで、扱い「続ける」ことができる 何でも曖昧な認識やイメージだけで済むと便利ですが、そうもいきません。他者や、あるいは **未来の自分** に対しても、言語化しないと伝わらないことがあります。 また、特に創造やメモの文脈だと、言語化して捉えておかないと、あとで思い出せなくなってしまいます(ロスト)。 逆を言うと、 **名前をつけてしまえば、以後はその名前でその対象にアクセスできるようになります** 。「あれ」や「あんな感じ」や「あの辺」といったものも扱えるようになるのです。 私たちの生活を支える IT は、主にプログラミングによってつくられています。 このプログラミングは、言ってしまえば名前というブロックを使ったパズルです。変数、関数、モジュールやクラス、パッケージ、ファイル名など至るところで名前をつけています。名前をつけているからこそ、ブロックとして扱えています。 名前をつける営みは、それほどまでに強力なのです。フッキングは、この力を意図的に利用するものです。 ## 難易度 ### 名前をつけるのは、実は難しくない 万人に通用する名前や、センスが良い名前は難しいですが、 **自分が後でも扱えるようにするための名前程度であれば、実はそんなに難しくありません** 。自分にさえ理解できればいいからです。 極端な話、「1号」「太郎」「ひーちゃん」「アルファ」みたいな意味のない名前でもいいのです。むしろ、好きな単語をとりあえず付けることで愛着を狙った方が定着しやすいまであります。 ## フッキングに慣れる 3ステップに分けて説明します。 ### Step1 日記と同じで、まずは誰にも見せずひとりで、雑に始めてみましょう。 何にフックをひっかけても(何に名前をつけても)構いません。自由です。おそらく、思い浮かべるだけでそのうち忘れてしまうものとか、上手く言えないけどモヤモヤしているものなどがあるはずです。そういったものに、好き勝手に名前をつけてみるのです。自分ひとりなので、出来は気にしなくてもいいです。 ### Step2 そうして慣れてきたら、次は未来の自分が理解できる名前を目指しましょう。未来の自分とは、たとえば **明日の自分** がその名前を見て思い出せるか、ということです。 明日ができたのなら、3日後、1週間後、1ヶ月後など伸ばしてみましょう。 この過程で、名前の付け方の奥深さに気づいてくると思います。特に何十と概念を扱いたい場合、テキトーな名前では扱いきれなくなります。意味的にしっくりくる名前をちゃんと考えないといけない段階が来ます。特に、前提となる単語の知識(語彙)はあった方が良さそうだと気づきます。たとえば、普段よく使う言葉を辞書で引いてみたりして、微妙な違いを調べたりするようになるでしょう。 スポーツには身体能力が、ゲームにはスキルが大事ですが、名前をつける営みには語彙力が重要です。 ### Step3 未来の自分相手でも通じる名前をつくれるようになったら、ひとまずはゴールです。あなたは自分の思いやアイデアを、比較的思い通りに捉えられるようになっているはずです。 その先、他者に伝える部分を目指したいのであれば、あなたがつけた名前を誰かに伝えましょう。あるいは公開しましょう。 例: * 1: 私が薄々考えてた新規事業のあるべきアプローチ、「エフェクチュエーション」って名前がついてたよ * 2: 名前をつけて捉えられるようにすることを、フックをひっかえることから「フッキング」と名付けよう 例1は、名前をつけたというより、既存の単語を当てはめたものです。よくあります。世界も歴史も広いので、あなたの頭にあるそれには大体誰かしらが名前をつけています。 例2は、自分で考えた名前をつけたものであり、既存の名前に新しい意味を充てるパターンと、新しい名前を充てるパターン( **造語** )があります。本記事がまさに好例で、造語しています。 どちらを使っても構いません。既存のを探したり思い出したりするのが得意な人もいれば、自分で新たに定義する方が得意な人もいます。 一般的には前者、既存が好まれますが、細かい意味の掘り下げが甘くなりがちです。「コミュニケーション」や「エンゲージメント」などはそうですよね。逆に、ちゃんと掘り下げて伝えたいなら後者、造語が良いですが、ちゃんと定義・説明しないとまともに伝わりません。 ちなみに、当サイトは後者のスタンスを取っています。[エンゲージメントは過去記事でも扱いました](https://note.com/workhack20/n/n0013a371c674)し、[コミュニケーションに代わる概念を造語したり](https://note.com/workhack20/n/n4640123ef341)もしてきました。 # Title: ナレッジとしての自分(Self As A Knowledge) ノウハウでもノウフーでもない、第三の「情報共有の仕方」あるいは「仕事のマッチング」の仕方について見ていきましょう。 ## 概要 **ナレッジとしての自分(Self As A Knowledge)** とは、自分が持つナレッジをしっかりとアピールすること、特にそうしたものを指します。 採用の文脈では職務記述書(Worker Decription)を書きます。仕事(ジョブ)に関する記述であり、要は求人票ですね。一方、ナレッジとしての自分では、労働者自身が自分のナレッジをアピールしたものを書きます。 あえて言うなら **人材記述書(Worker Description)** です。 ## 目的 社内転職含む **社内の「仕事のマッチング」を盛り上げること** です。 ## 違いに関するQ&A ここで既存との違いを深堀りしておきましょう。 ### Q: 履歴書や職務経歴書とは何が違う? Ans: ナレッジとしての自分は「ナレッジ」を表現します。 ナレッジとは、アピールできそうな知識・経験・所有物・肩書やステータス・趣味など何でも含みます。形式にも指定はありません。つまり **アピールできそうなものは何でも詰め込めていいです** 。 一方、履歴書や職務経歴書は、何をどう書くかがほぼ決まっており、極めて形式的なものです。 ### Q: ノウハウやノウフーとは違う? Ans: 違います。 まずノウハウとは How(どうやるか)を言語化、特に手順化や文書化したものです。手順やマニュアルと呼ばれることが多いですが、要はやり方を言語で整理したものですね。 次にノウフーとは、「ある問題Xの解決にはナレッジKが必要である」が見えている前提で、Kを持つ人を探す or 探せる仕組みを整えるものです。人材管理システムの類で試みられることが多いですが、まともな成功事例は聞いたことがありません。現代でもまだまだ口づてベースです。 さて、ナレッジとしての自分ですが、どちらでもありません。ノウハウのようなただの「やり方の言語化」ではないですし、ノウフーのように「問題Xを解決するためのKを持っているかどうか」を見るものでもありません(ノウフーとして使うことはできる)。もっと開放的で、限定しないものです。 ## 運用 ナレッジとしての自分をどう運用するか、を軽く整理します。 ### 構図と基本用語 役割は以下の二つです。 * 仕事がほしい人(ワーカー/Worker) * 仕事がこなせる人を探している人(シーカー/Seeker) ワーカーが自分のナレッジを表現して公開し、シーカーがそれを見ることで **マッチング** を考えます。必要なら対話もします。 再言及になりますが、ワーカーがつくった「自分のナレッジをまとめたもの」を **ワーカー・ディスクリプション(Worker Description)** と呼びます。 ### とにかく幅広くする ナレッジとしての自分は、とにかく幅広くリーチすることを大前提に置いています。 たとえば **ワーカー・ディスクリプションは社内全体に公開しますし、社員全員がシーカーです** 。 誰もが志願者であり、誰もが採用担当なのです。もちろん、マッチング自体は然るべき人物が然るべきプロセスを踏むでしょうが、それ以前の情報共有、対話、調整などを活発化するために、こうして幅広くするのです。 ### 公開しておく ワーカー・ディスクリプションは、 **記事や動画のように公開しておきます** 。 また、シーカーはいつでも読むことができますし、生成AI経由で要約や検索をしてもらっても構いません。むしろ推奨します。 どんなナレッジがいつ誰の役に立つかなんてわからないのですから、とにかく情報をたくさん詰め込み、好きに読むことを前提につくりあげてください。 典型的には、以下のようにするといいでしょう。 * 1: 社員全員がアクセスできるフォルダやワークスペースをつくる * 2: 1の場所に、ひとりひとつのディスクリプションを置きます 仮に従業員1000人の会社なら、1000個分のワーカー・ディスクリプションが並ぶことになります。もちろん、全社員は誰でもいつでも見に行けます。 細かい運用は各自整備してください。 たとえばシーカーが「気になるので話を聞きたい」と思ったときの連絡先はどうするか。ワーカー・ディスクリプションとして必ず書いておくように定めるといいでしょう。 ### ### 形式は指定しないでください フォーマットやテンプレートといった形で書き方を指定する例はよくありますが、いけません。ナレッジとしての自分の最大の価値である「ナレッジの多様性」が削がれてしまいます。 **形式をなくして、本人に、自由に書いてもらうからこそ多様になり、面白くなり、読まれて、対話も生まれて、と盛り上がっていくのです** 。形式の指定は、絶対にやめてください。 連絡先を必ず書かせたい、などの指定が必要でしたら、形式ではなく単に「何を書かねばならないか」だけ定めてください。 ## メリット ナレッジとしての自分には、以下のメリットがあります。 * 偶発性の高いマッチングを実現できる * 労働者基点でのアピールを実現できる * [ソリッドキャリア](https://note.com/workhack20/n/n521d079f9715)に抗える 当サイトでは「ソリッドキャリア」として言語化していますが、現代の人材マッチングは、固定的なポジションと記述書を用意して、それにマッチする人材を探すという「融通の効かないやり方」をしています。 社外はともかく、社内でしたら、もっと融通を利かせていいはずです。そのためにはソリッドキャリアの考え方そのものから脱する必要があります。ナレッジとしての自分は、まさに脱するためにつくった、新たなマッチング方法です。 # Title: 地方創生2.0に必要なこと 地方創生2.0を盛り上げるために必要なやり方・考え方を、仕事術2.0の観点で提案します。 ## 前提: 地方創生2.0って? 元は2014年から始まったもので、日本を持続させるために、東京一極集中を緩和し、各地域を活性化させようという取り組みです。 しかし、10年経っても成果が不十分なので、政府は地方創生 **2.0** としてテコ入れしました。 ### 詳しい内容は内閣府の資料を * * ### ここでもかんたんに整理します まず「基本的な考え方」を以下のように定義し始めて、今後10年で詰めていくそうです。 > > 今後、人口減少のペースが緩まるとしても、当面は人口・生産年齢人口が減少するという事態を正面から受け止めた上で、人口規模が縮小しても経済成⾧し、社会を機能させる適応策を講じていく。このため、 > > ○ 一極集中をさらに進めるような政策の見直し、 > ○ 持てるポテンシャルがまだまだ眠っているそれぞれの地域の経済・社会、これらを支える人材の力を最大限に引き出す政策の強化、 > ○ 若者や女性にも選ばれる職場や暮らしを実現する政策の強化、 > ○ 都市と地方の新たな結びつき・人の往来を円滑化する政策の強化 > > などに取り組む。 政策については、60以上のKPIでモニタリングするそうです。 ![](/assets/nf2a4dc94e697_1743736564-zMk2prgLQClPHbY13iwxjqXB.png)参考: ## 本題: 必要なものは多様性と内製 本題に入りましょう。 今回は地方創生2.0に必要な考え方をいくつか紹介します。一言で言うと **多様性と内製** です。 以下、論点を二つに分けて、詳しく見ていきましょう。 ## 論点1. その地方の暮らしや仕事に染まる必要はない 地方創生とは、国や自治体レベルの方策を除けば、新たに地方に参加する人( **参加者** )を増やすこと、また定着してもらうことと同義だと思います。 しかし参加者には、その地域の流儀に従いながら暮らしていくことが事実上要請されます。もっと言えば、 **その地域の流儀がイマイチだったとしても従わないといけない** のです。逆に問いたいのですが、これで参加者なんて集まるでしょうか。 ### 生活様式の多様性 発想を変えます。 **地方は環境だ(Region as Environment)** と捉えます。 地方は土地や気候や文化といった要素の集まり(環境)であり、参加者はその **環境を利用する** ために参加します。広い土地、豊かな自然、温暖な気候、美味しい名産品などなど。 ライフスタイルや仕事は強要されるべきではありません。都会にいたときと同じでいいのです。同じスタイルと仕事を、地方でもするのです。つまり住む環境が変わるだけです。 この観点を **生活様式の多様性(ライフスタイル・ダイバーシティ)** と呼びます。現状の地方創生は、参加者に、その地方のライフスタイルを強要しがちですのでやめましょうと言っています。 もちろん、だからといってその地方のあり方を尊重せず、めちゃくちゃにしていいはずはありません。しかしその地方のあり方を強要するのも暴力的なことです。バランスを取らねばなりません。多様性ですね。 ### 生活のサポート 次に、都会派の人を地方に呼び込むためには、生活のサポートという観点が有効です。なぜ都会に済むかというと、単に利便性が高いからです。 ならば、 **地方であっても利便性を確保できればそれでいい** のです。むしろ地方という豊富な環境が使えますし、地価も安いですから、移住や訪問の理由になります。 サポートとは、たとえば衣食住を指します。実家暮らしは、そのあたりを両親に任せることで楽をしますが同じことです。ただ家族ではないので無償とは行きません。かわりに、金銭や仕事の支援によりギブアンドテイクを成立させます。 食を例にすると、寮のように三食を提供するサービスをつくればいいのです。地元民が供給し、参加者がお金を払って使います。飲食店が常連でも成立するように、ビジネスとしての成立も(大変ではあるが)難しくはないでしょう。 このように生活の利便性をサポートするサービスをつくることを **LSO(Life Support Option)** と呼びます。オプションのとおり、サービスは豊富に用意されていて、参加者は自分が使いたいものを自由に使うイメージです。 ### フルリモロケフリ この論点1を成立させるには、そもそも参加者が都会で行っている仕事をそのまま持ち込める必要があります。 **事実上フルリモートとロケーションフリーが必要です** 。 ということは、地方創生がしたいなら、都会で暮らしている企業がもっとフルリモートとロケーションフリーをできねばならないのです。本当にやる気があるのであれば、国をあげて推進しなければなりません。 パンデミックによりリモートワークが広がったのは、単に強制力があったからです。私たちは仕事術と働き方にはてんで無知ですし、経営者は資本主義的に搾取する構造になっていて、かつリモートでは搾取しづらいのでなかなか浸透しません。 ボトムアップで社会現象が起きるのを待つ or 狙うのを除けば、国をあげて、半ば無理やりにでも推進していかない限り難しいでしょう。 ### (余談) フルリモートとロケーションフリー フルリモートとは「出社ゼロでもいい」です。リモートワークオンリーと言ってもいいでしょう。 ロケーションフリーとは「どこに住んでもいい」です。 通常、フルリモートであればロケーションフリーも許されるはずですが、会社によっては緊急時に早く出社できるよう「オフィスからある程度近いところに住め」と定めることがあります。 つまり、 **フルリモートなのに、東京オフィスに通える範囲に住まないといけないから地方に住めない** なんてこともありえます。 これをやめるには、 **フルリモートとロケーションフリーはセットでなくてはなりません。** 略してフルリモロケフリと呼んでいます。 ## 論点2. 地方を知るのは地元民 論点1は地方を環境と捉えるという、ある種ドライなものでしたが、逆のアプローチもあります。地方創生を従来どおり「その地方の流儀に従って推進していく」と捉えます。 さて、地方を知っているのは誰でしょうか。もちろん地元民です。一方、地元民は東京やその他都会ほど進んではいません。 **仕事術や技術には疎いのです** 。疎いから、本人たちだけでは創生はできません。 ### 外部の人間に内部を知ってもらう、は上手くいかない こういうとき、通常は「仕事術や技術に詳しい人」を外部から呼んで、地方に馴染めせようとします。コンサルやSIerもそうですよね。しかし上手く行きません。 コミュニケーションコストがかかるからです。 地方の繊細で複雑な事情を、外部の人が理解するのは困難です。個人レベルでそれをするのが医者や弁護士ですが、ご承知のとおり、高度な専門職ですし、それなりに時間をかけてコミュニケーションします。かつ、医者や弁護士側が立場が大きいからこそ、顧客を従わせられます。 地方への参加者、という構図で同じことができるでしょうか。できません。 **このような困難なコミュニケーションコストを抱えること自体がそもそも間違い(少なくとも修羅の道)** なのです。 また、すでに述べたとおり、ライフスタイルや仕事も地方側に合わせないといけない負荷(何なら理不尽)もあります。 ### 内製すればいい このコミュニケーションコストの問題を脱する動きが近年見られます。[DX](https://note.com/workhack20/n/n7aeae764c4a5)、内製、リスキリングと呼ばれるものです。 いずれも「デジタルに詳しい人を参加してもらう」のではなく、 **すでに詳しい自分達がデジタルを覚えた方が早い** と捉えたものです。そのためにデジタルのあり方を知って合わせるのがDX、デジタルな道具や仕組みを自らつくるのが内製、またデジタルに限らず新しい知識やスキルを学び直すのがリスキリングです。 つまり地方を創生したいなら、創生するための術を地元民自らが学んだ上で、自ら創生していけばいいのです。これを **内製的な地方創生** と呼びます。 ※ただし、どうやって地元民に内製してもらえばいいかの案はまだありません。検討中です。 ## おわりに 地方創生を推進するために、当サイトなりの目線で論点を二つお届けしました。 地方創生に取り組まれる方も、創生される側の地元民の方も、ぜひ参考にしてください。 # Title: 打刻のアプローチは4つ、特に「主観的な打刻」 打刻とは出退勤や休憩の開始・終了を記録することです。古典的にはタイムカード、現代的には勤怠管理システムが使われています。 打刻は引き続き重要です。 **法律によって一部の健康管理が義務化されている** ので、フルフレックスや裁量労働制のような柔軟な働き方でも欠かせません。要は、いつ勤務や休憩を開始・終了したかという記録が必要なのです。 また実態をDeep Researchに調べてもらったところ、記録の管理が甘い会社は搾取の傾向があるようです。特に裁量労働制は定額働かせ放題ともいわれます。 とはいえ打刻するのは面倒ですよね。うまいやり方はないでしょうか……というわけで、4つほどアプローチを紹介します。 ## アクティブ * 開始と終了を、自分で道具を使って or 仕組みに通うことで記録する * 例: タイムカード、手作業記入、社員証をゲートにかざす * メリ⭕ * わかりやすい * デメ❌ * 自分で押すのを忘れる * リモートの働き方がしづらい 古典的なアプローチで、物理的な道具や仕組みを使います。 **自分から行動する(アクティブ)** ものです。 ## リアクティブ * 何らかのツールを仕込んで挙動を自動採取し、勤怠や休憩を計測する * 例: 勤怠管理ツール、PCログツール * メリ⭕ * 忘れることなく自動で行われる * デメ❌ * 中抜けなど細かい管理がしづらい * 挙動が監視されており、マイクロマネジメントになりやすい 自動で記録するツールを使うので、自分から行動する必要はありません。 **何らかの行動をしたら記録が開始・終了する、という意味で反応的(リアクティブ)** です。たとえば会社PCにログインした=ツールも記録開始=勤務開始、とみなすなど。 ## レトロスペクティブ * 振り返りをして自己申告します * メリ⭕ * 道中の細かい管理が不要 * デメ❌ * ちゃんと思い出そうとすると面倒くさいし、振り返り自体も面倒くさい * 記憶ベースだと正確性に欠けがち * 会社としては性善説に立つ必要があり、悪用に弱い 新しい打刻方法なので少し解説します。 **回顧的(レトロスペクティブ, Retrospective)** という意味であり、あとで振り返ってどうだったかを申告します。 たとえば毎日、その日の終わりに「今日の勤務状況はどうだったか」を申告します。申告は「1時間単位」で、以下のいずれかを選びます。 * Work。勤務した * Rest。してない(休憩した) * Half。勤務と休憩が半々くらい なので、たとえば8時台はW、9時台もW、10時台はH、11時台はW、12時台はH……のような申告になります。 これは例であり、やり方にはバリエーションがあります。特に以下のとおりです。 * 振り返る頻度 * 日次、週次、月次 etc * ですが週以上空けてから全部思い出すのは難しいので、日単位がほぼほぼ必須です * 状態の選択肢 * 上記ではWork, Rest, Halfの3つを挙げました * 選択肢を細かくすればきめ細かい管理ができますが、振り返り作業も面倒になって形骸化しやすくなります ## リマインディブ * 直近の勤務状況をシステムが聞いてくる(リマインドしてくる)ので、答えます * メリ⭕ * 来たときに答えればいいだけなので楽 * デメ❌ * リマインド自体がうるさい、特に集中しているときはノイジーだし無視すると溜まる このアプローチも新しいので少し解説します。 **リマインド的(Remindive, リマインティブ)** という意味です。 ※おそらく造語です。 予定の直前になってお知らせしてくれる「リマインダー」がありますが、このアプローチは言わば「直近の勤務状況を申告しなさい」という予定を思い出させるようなものです。 別の言い方をすると、先述のレトロスペクティブにリマインドの機能をつけたものです。 ですので、リマインディブを使うと、たとえば2時間ごとに「どうだった?」とシステムが聞いてくるようなイメージです。ダイアログにはスライダーが表示されていて、勤務 : 休憩の配分を調整します。 ![](/assets/n6d8141092e9c_1743973656-fvCwzp8ygHKkubI6a0J4XY1G.png)あくまでイメージ。どう記入してもらうかの UI のやりようは色々あります。 勤務してない時間帯はリマインドが溜まりますので、各リマインドには **回答可能時間** を設けるといいでしょう。 たとえば 10 分以内に回答する、などです。この時間を超えても回答がなかった場合は「勤務してない」に倒します。 さらに、これ以上溜まったらリマインド自体を消すという機能もあるといいでしょう。たとえば10時間以上回答がなければ消す、など。ここまでやると「勤務してない時間帯に来たリマインドは勝手に消える」となるため、運用可能になります。 リマインドの間隔や頻度は各自がカスタマイズできた方がいいでしょう。新しいアプローチなのでまだ事例はありません。 ## おわりに 新しい打刻のアプローチとしてレトロスペクティブとリマインディブを紹介しました。 従来のアクティブは「モードベース」と言えます。ワークとライフがしっかりと分かれており、ワークを始めたときに開始、終わったときに終了する、とメリハリがはっきりしているからです。 また、リアクティブは「客観ベース」と言えます。ツールを使って記録しているからですね。 そして今回紹介したレトロスペクティブとリマインディブは「主観ベース」です。自ら振り返って申告するため、主観的です。つまり本記事では **主観的な打刻** を提案したのです。 # Title: 分離されたリーダー リーダーに権限を集中させるのは望ましくありません。リーダーと権限は切り離しましょう。 この考え方を **分離されたリーダー** と呼びます。 ## 概要 ### リーダーと権限を分離する **リーダーは「フォロワーが自発的についてくる」ことで生まれます** 。フォロワー側の自発性が重要であって、リーダーがフォロワーをマネジメントするわけではないのです。 もしリーダーが権限を握ってしまうと、リーダー自らがマネジメントする他はなくなってしまいます。マネージャーとしては正しいかもしれませんが、リーダーとしては向いていません。リーダーと権限は切り離してください。 ### 違い **リーダーは問題を見つける人** です。見つけた問題に共感し、支援してくれる人(フォロワー)を増やしていくことで、力をつけていきます。 一方、 **マネージャーは問題を解決する人** です。通常、問題とその解法はすでに設定されていて、誰をどう動かすかの戦いになります。権限を集中させて、うまく使いこなすのが主流です。近年ではマネジメントレスの潮流――たとえばマネージャーがいない組織やチームも見られますが、それでも権限を持つ代表的な意思決定者は設定されます。 ちなみに「経営者」は、リードもマネジメントも両方必要となる役割です。特に初期の、組織規模が小さい間は顕著ですし、これらに限らず何でもやらねばなりませんが、大きくなってくるとそれも追いつかなくなります。 **リードとマネジメントは分離するべきなのですが、できない経営者が多くて、ワンマンになりがちです** 。 ### 分離されたリーダーのつくりかた 以下のようにします。 * リーダーは意思決定権を持ち、ビジョンを示す * それをどう実行するかには関知しないか、[ティール組織のように助言に留める](https://note.com/workhack20/n/n059dc3642458)(助言プロセス) * リーダーは開放性と余裕を確保し、新規フォロワーの受け入れと既存フォロワーのメンテナンスも行う * ここを確保しておかないと、リーダー自身がボトルネックとなって集団が腐ります。最悪乗っ取られます これを **DAVOS(ダボス)** と呼びます。DAVOSは以下の略です。リーダーはDAVOSであるべきです。 * Decision-Making 意思決定権を持つ * Advice 助言的に立ち回る * Vision ビジョンを示す * Openness 新規を相手にする開放性を持つ * Slack 余裕を持つ もちろん、リーダー自身がスーパーマンで手も動かせるのであればそれでいいですし、初期の頃は多かれ少なかれそうなるでしょう。しかし、組織が大きくなってくると、物理的にひとりでは立ち行かなくなるため、リーダー自身はDAVOSに留めねばならないのです。 欲張って、あるいは欲望の赴くままに権限も抱えて何でも牛耳ろうとすると、組織として鈍化します。 ## 分離するメリット Ans: 「組織の拡大」が鈍化するのを防げます。 すでに述べたとおり、リードとマネジメントを両方抱えると、そこがボトルネックになって、それ以上伸びなくなります。 この問題から脱したいなら、抱えることをやめねばなりません。それを一言で言うと「権限を分離する」であり、5要素で言えば「DAVOSであれ」なのです。 ## 活躍するリーダーの例 いくつか紹介します。 ### フォロワーとしてマネージャーが多いタイプ 自分が描いたことを、マネージャー達が自分のチームで実践してくれます。 **ただの階層組織でないことに注意してください** 。リーダーの下につくマネージャーが、そのリーダーのフォロワーになっていなくてはなりません。フォロワーだからこそ、そのマネージャーは自分なりに動くのです。 逆に、フォロワーでなければ、ただ言われたことをやるだけの受け身か、あるいはうまく受け流して好きに振る舞うだけです。それでは困るので、ガバナンスを利かせるしかありません……というわけで、よくある「現行踏襲的なおかたい組織」になってしまいます。大企業病と言ってもいいでしょう。 ### 有能なマネージャーから委譲されているタイプ 一部のブレーンや秘書が相当します。 有能なマネージャーが組織を動かしているが、リードの才能はないので任せているという形です。これを **バックグラウンド・リーダー** と呼びます。 バックグラウンド・リーダーは表に出ないことが多いです。一方で、フィクションでは「誰かを輝かせる人」として主人公やメインキャラの座で描かれることがあります。 ### 発信力が強いタイプ いわゆるインフルエンサーです。 ### 仲介者タイプ トム・デマルコがいう「触媒」などが相当します。 一見するとおしゃべりや何でも屋さんにしか見えませんが、その実、周辺の人間関係の均衡を保っている存在です。この人がいなくなった途端に組織が崩壊することさえあります。 単純化した例だと、友達の友達もこれです。 🐶さん、🐱さん、🐏さんの3人グループがいるとして、🐶-🐱、🐶-🐏が友達の場合、🐱-🐏は友達の友達ですが、🐶がいる限りは成立します。🐶がいなくなると、友達の友達でしかなくなるので成立しなくなります。🐶さんが触媒なのです。 無論、実際の組織はもっと複雑ですが、「仲介者」と書いているとおり、必ず誰かと誰かの仲介を担っています。 ## (関連記事) このように「混ざっているものを分離する」仕事術を、当サイトでは[分離エンジニアリング](https://note.com/workhack20/n/n3db967d4c067)と呼んでいます。 今回は、リーダーと権限が混ざっているのを分離しました。 また以下書籍も参考になるでしょう。リーダーという概念と本質を詳しく考察しています。 * リーダーシップの旅~見えないものを見る~, 野田 智義 (著), 金井 壽宏 (著) # Title: コニュニケーションケアとグルーミングの分離 コロナ禍でリモートワークが本格化すると、体調を崩す人が増えてきました。 例: [東京医科大学の調査結果](https://www.tmu- ph.ac/research/uploads/20240304151529721_pdf_japanese_overview_1.pdf)、[厚生労働省のメンタルヘルス対策の手引](https://www.mhlw.go.jp/content/000917259.pdf) 手引きにもあるように、コミュニケーションの機会を **一律的に** 増やすことでカバーしようとしがちですが、これでは[働き方の多様性](https://note.com/workhack20/n/n6a415cc990fa)がありません。 ## 概要 ### コミュニケーションケアは必要な人だけで良い コミュニケーションが足りずに不調になる人向けに、コミュニケーションを増やすことを **コミュニケーションケア(Communication Care)** と呼びます。 そしてケアは「ケアが必要な人にだけやればいい」です。社員全員に一律的に課すことは、極めて短絡的なことです。 たとえば「コミュニケーションケアのために週一は出社して会話しよう」というのは、ケアが必要な人だけやればいいことで、全社員に強要することではないのです。 ### ケアが不要な者を特定する **ケアが不要な者(ヘルシー社員)** を特定してください。その上で、ヘルシー社員のコミュニケーションケアを免除します。 ヘルシー社員をどう判定するかの解はまだありませんが、健康診断は使える気がします。体格、血圧、肝機能あたりを使うのはいかがでしょうか。 この場合、健康診断の結果が一定以上良いヘルシー社員であれば、コミュニケーションケアには参加しなくてもいいとなります。 ※実用レベルで使えるかどうかは検証したいところです。また万人向けではなく「ヘルシー社員を使いたい人は公開すればいい」「使わなくていい人や、恥ずかしさの方が勝る人は公開しなくていい」といったオプションの形になるでしょう。 ## 分けて考える コミュニケーションケアを一律で適用、つまりは全社員に強要してしまうのはなぜでしょうか。混同しているからです。 コミュニケーションはたしかに重要です。重要ですが、目的はいくつか分かれます。 目的ごとに要不要を考えて、不要な人には課さないべきです。なぜなら、 **コミュニケーションは時間と場所を拘束する営みであり、かつ非言語情報を主に交換するがゆえに適性と好き嫌いが出るからです** 。私生活や小さなベンチャーでは好きにすればいいですが、仕事において、こんなものを重用する方がおかしいのです。 以前、[グルーミング](https://note.com/workhack20/n/nb7feb3038e9e)の概念をお伝えしました。信頼や親近を積み重ねるために一緒に過ごすことです。 特に会議にはグルーミングが混ざっているから、分けようという話をしました。グルーミングはそれ用の機会をつくって行えばよくて、会議では(グルーミングも混ぜてダラダラやるのではなく)ちゃんと議論に集中するのです。 このグルーミングを、さらに分けます。 **グルーミングにはコミュニケーションケアも混ざっていますので、これを分けます** 。グルーミングのためのコミュニケーションと、ケアのためのコミュニケーションを別々に確保するのです。 こうすると後者、ケアのためのコミュニケーションは、ヘルシー社員は参加しなくていいと判断できます。 ## (関連記事) このように「分けて考える」営みを分離エンジニアリングと呼んでいます。 便利なスキルですので、他の分け方もぜひ学んでみてください。 # Title: タスク管理のラリルレロ 自分のタスクを自分で管理する「 **個人の** タスク管理」は、自分に合ったやり方でやるのがベストです。 大まかなアプローチは 5 つあると思います。ラリルレロで整理しました。 ぜひ自分に合うものを見つけて、試してみてください。 ### 最初にまとめ どんな人に何が向いているかを整理します。 複数の拠点や作業場や管理ツールを行ったり来たりする人 タスク管理自体は頭の中で考えたい人 脳内が忙しすぎて他のやり方ではうまくいかない人 → **ライン** あとで適当なタイミングで思い出させてほしい人 先送りをその場で判断していきたい人 脳内が忙しすぎて他のやり方ではうまくいかない人 → **リマインダー** 自分のリズムで行動したい人 → **ルーチン** じっくり考えながら過ごしたい人 → **レビュー** 記憶ではなく記録に頼りたい人 メモやノートが好きな人 → **ログ** ### ラ:ライン(動線) 生活動線と言ったりしますが、動線とは毎日よく通る場所です。 一日何回、何十回と通ります。物理的な道や建物に限らず、PCのデスクトップやスマホのホーム画面、仕事で毎日開いてるチャットなども相当します。 **動線上にタスクを置いておくと、自然と目に入るので忘れずに対処しやすくなります** 。 ポイントは、道と部屋と入口を意識することです。 極端な話、「自室が動線だ!」と言って書類や道具を散らかしたり、「デスクトップが動線だ!」といってアイコンを散らかしたところで、うまくいかないでしょう。 そうではなく、通り道を通って部屋から部屋に移動する、という世界観をつくります。すると道や出入り口にタスクを置けるようになりますし、分散するので散らかりにくくなって破綻しづらくなります。 ![](/assets/n47ea6a79e3b2_1744176453-c0tmvHPQiGjqZ7zygENsnCRx.png)通り道と部屋に分けて、あちこち通うような世界観をつくる。 ### リ:リマインダー 自分が設定した用件を、開始前にお知らせしてくれる機能を **リマインダー** といいます。 OutlookやGoogleカレンダーなどスケジューラーで予定を設定すると、n分前にお知らせしてくれますが、まさにそうです。単純な例としては、目覚まし時計も「起きるという用件を」「指定日時に」「音で」伝えるという意味でリマインダーです。 タスクをリマインダーとして登録しておくと、忘れていても思い出せるので便利です。 **課題としては、リマインダーを重用するための手段が現状無いことです** 。私たちは、軽微の家事や雑務なども含めると、一日に数十個のタスクを持っていますが、これらすべてをリマインダーとして登録するのはキツイでしょう。 専用のツールが必要です。「タスクAはあとですぐやりたいので5分後に教えて」「タスクBはしばらくはいいから来週月曜の朝でいいよ」「タスクCは今日の夕方にまた教えて」のように、どのタスクがいつリマインドされるかを自在にコントロールできるようなツールが必要です。 ※今回は解説を割愛します。 ### ル:ルーチン **ルーチンとは定期的なタスク** を指します。ルーチンタスク、定期タスクと呼ばれる事が多いです。 タスク管理ツールでは毎日、毎週、毎週水曜日と木曜日、毎月13日など定期的に行うタスク(ルーチンタスク)を扱う機能があります。 これを徹底的に管理すると、自分が抱える生活のリズムすべてをツールで管理できるようになります。国内では[タスクシュート](https://blog.taskchute.cloud/)が有名でしょう。[ルータム](https://routam.app/)などアプリもありますし、同様の機能はスケジューラーも持っています。 ### レ:レビュー レビューとは、ここでは **振り返り** を指します。 定期的、不定期的に振り返ることでタスクを思い出したり、次に何をするかを考え直したりします。 重要なのは以下の三点です。 * 1: いつ振り返るかを設計すること * 毎日、毎週、毎月、毎年など * 一日の中でも朝、昼、夕方など設定できます * 2: 思い出しやすくするためのヒントをつくっておくこと * 何を振り返りたいでしょうか?何も無いと思い出しづらいです * 後述する「ログ」も組み合わせるといいでしょう * 3: サボらずちゃんと振り返ること * これが一番難しいです * 前述した「リマインダー」も使えます ### ロ:ログ ログとは記録を指します。 履歴などツールによって自動で記録されるものと、日記や[分報](https://note.com/workhack20/n/n6cc7d8c45d6d)や[デイリータスクリスト](https://note.com/workhack20/n/n2e0cd93468a2)など自分で手動で記録していくものがあります。 自動の場合、高頻度で読まないとすぐに記録が溜まって収拾がつかなくなるので、ルーチンも必要でしょう。ただし今では生成AIに食わせて要約してもらうこともできます。 手動の場合、こまめに記録するためには、記録する場所(たとえば普段使っているノート)を動線化しないといけません。つまりは前述のラインですね。ノートで記録して、仕事や生活に戻って、タスクを一つ終わらせて、またノートに戻ってきて――とノートに何度も来ることになります。 ### 最初のハードル ラリルレロのいずれにせよ、タスク管理ではありますので **何らかの道具や仕組みには必ず頼ることになります** 。 ということは、道具や仕組みに頼ること自体を忘れてしまっては意味がないということです。習慣も同じですが、忘れるなく頼って使えるよう定着させねばならないのです。 これは事実上、新しい習慣をつくることと同義です。本記事では解説を割愛しますが、習慣化のノウハウを攻めてください。 # Title: マインドフィル(Mindfill) マインドフルではなく **マインドフィル** です。 ## 概要 マインドフィルとは、 **脳内の持て余しを埋めること** です。 持て余していると集中できません。気が散りますし、不快だからです。ですので埋めます。 ## 例 以下動画がわかりやすいと思います。 先生は持て余すタイプなのでしょう。中々作画に集中できません――というわけで、ポモドーロ・テクニック、発声、おにぎりを食べるなど様々な工夫をしています。これらは持て余しを埋めている行動なのです。 他にも漫画家やイラストレーターの界隈では「映画を見ながら作業する」「通話しながら作業する(さぎょいぷ)」もよく見られますが、同様に、マインドフィルをしているのです。 ## キャパシティ 持て余しの大きさをキャパシティと呼びます。 **キャパシティの大きさは人それぞれ** です。私は[頭の性能(スペック)](https://note.com/workhack20/n/n7a5f69f32f87)と似ていると感じますが、現在でも解明されていません。 大まかな目安として、マインドフィルの頻度や量で測れます。高頻度でたくさん行っている人ほど、おそらくキャパシティも高いです。 ここで以下のような疑問が浮かぶかもしれません。 > キャパシティよりもスキルではないか。たとえばプロは、キャパシティが高いというよりも、スキルが高くて作業に要する負担が小さいのではないか? 質問その1 因果関係が少し違います。 キャパシティが大きいからこそスキルも高くなります。そもそも作業にはスキルだけではなく「文脈の理解」も必要ですが、この **文脈の理解にキャパシティが必要です** 。 ※この点は以前[タイニーヘッド](https://note.com/workhack20/n/n9169b6d249cf)としてお伝えしました。 つまり、プロのように仕事ができる人は、そもそもキャパシティが高いからそうなれていると言うのが正しいでしょう。 そういう意味で、キャパシティは才能です。いくらスキルが高くても、あるいは他の才能があっても、文脈を理解するキャパシティがなければ作業はできません。作業とは仕事であり、仕事には文脈があります。よほど自分を買われている才人でもなければ、文脈を踏まえられない者はただの宇宙人です。 ## マインドフィルネス マインドフィルを行う営みを **マインドフィルネス(Mindfillness)** と呼びましょう。 マインドフィルネスでは、以下の原則に従います。 > To concentrate, fill. > (集中するために、充填せよ。) マインドフィルネスの原則。 どういう作業のときに、どれだけ持て余しているかを理解してください。 その上で、どうやって埋めるかを考えて、実践してください。 行動は大事と言いますが、マインドフィルネスでも同様です。自分のキャパシティと、何を使ったら上手くフィットするのかは **自分にしかわかりません** 。自分自身で試していく他はないのです。 # Title: 世話派と支援派 人との向き合い方として、以下のタイプに分かれます。 * 世話したい・されたい派(世話派) * 支援したい・されたい派(支援派) 通常はどちらかに傾いていますが、状況次第でどちらにもなりえます。 ## 概要 ### 世話と支援 世話とはお節介です。 世話を焼きたい、お節介されたい、ナンパされたい、誰か良い人が声かけてくれないかなー、助けてくれないかなー etc 細かいことはいいから「良い人」がいたら何とかしてほしいなと考えます。あるいは自分を「良い人」と信じており、他者を救えると考えます。 支援とは対応です。 頼られたい、頼りたい、誰でもいいんじゃなくてあなただからいい、あなたと続けたい深めたい etc 何らかの要請があったときに、それに応えようとします。また助けてほしいときは相手を選んで要請を出します。世話派とは違って、要請がないのに来られるのは嫌ですし、自分も要請を出さない相手には近づきません。 ### 例 ナンパを嫌がる女性。 これは世話派として過ごしているからです。出会いを要請していないのに、相手から来るのがうざいのです。 特に男性は「性欲を満たしたい」「相手は誰でもいい」と世話派になっているのに対して、女性は(特にナンパされるような場所に出向いているときは)用事があって支援派になっているので、構造的にミスマッチになっています。またナンパに限らず、趣味仲間や友達なのに性的関係を求めてくるのも同様です。 聞かれたら答えるからオープンだ、という人。 支援派です。仕事でありがちです。 情報共有はオープンであるべきですが、[聞かれたから答えるというリアクティブな姿勢はオープンではありません](https://note.com/workhack20/n/ncffb914a99e4)。にもかかわらず、未だに、このリアクティブな姿勢で待つ人が多いのは、支援派だからです。 世話派としてお節介をするのが良くないとわかっているので、相手から要請をもらうのを待っているのです。 ### メリット 世話派・支援派を意識することのメリットは、通じないアプローチで攻めるという愚行を防げることです。 * 世話派は、支援では足りません * 要請を待つことなくガンガン世話したいし、されたいのです * 支援派は、世話をうっとうしく感じます * 想定する相手からの(への)要請だけを相手にします 自分と相手が世話派なのか、支援派なのかを意識することで、このアンマッチを防ぐことができます。 特に人間関係は減点が続くと終わってしまいますが、アンマッチを防ぐとは、まさに減点を防ぐことです。 ## 世話と支援のマトリックス ここからは「通常どちらのタイプになるか」の話をします。する・されるでマトリックスを取ります。計4タイプです。 あなたはどこに属しますか? また、あなたが気になっている人はどこに属しますか? ### マトリックス ![](/assets/n3f941e1cf1a7_1744760853-5eU8BrVs2tA0ZJpKcqLmPTga.png)世話と支援のマトリックス。 ### アドバイス * タイプ1は危ないので、矯正した方がいいです * ※矯正方法は割愛します * タイプ2、3、4のどれが合っているかは人次第です * 利己的な人はタイプ2が良いでしょう * 利他的な人はタイプ3が良いでしょう * 大望があるか、ドライな人はタイプ4でいいでしょう ### タイプ1: 世話したいし、されたい * 寂しがり屋タイプです * 自暴自棄になりやすいので危ない、また騙されやすい * 詐欺やカルトにひっかかるのは、通常この状態になっているときです ### タイプ2: 世話したいが、支援されたい * 自分勝手なタイプです * 世話して気持ちよくなりたいが、自分は世話を望んでいません * 困りごとは持っていて、要請を出したいとの思いもありますが、適切な相手に出せません * むしろ、世話したいタイプなので、ところかまわず要請を出しています * 周囲からは疎ましく感じられやすいです * 周囲から浮いているときは、大抵の場合この状態になっています ### タイプ3: 支援したいが、世話されたい * 仕事はできるが、生活は下手なタイプです * 支援が好きだし、得意なので仕事もできます * 本人に自覚がないことも多いです。「気づいたら仕事になっていた」「仲間が増えていた」というタイプは大体これです * 生活がおざなりになりがちです * 支援することで満たされているので、支援されたいとは思いません * しかし生活はあるし、手も回っていないし、特性的に他者のためなら動けるが自分のためには動きづらかったりすることもあるため、生活はおざなりになりがちです * この点は友人やパートナーの力を借ります。そしてその人達の味を覚えて、その人達に世話されたいと望むようになります * 特性的に利己的な人は、この状態になりやすいです * 特に一部のADHDが顕著です * 多才、多趣味、器用貧乏、マルチポテンシャライト等と呼ばれることもあります ### タイプ4: 支援したいし、支援されたい * ドライなビジネスマンや起業家タイプです * 支援には応えていくし、自分の困りごとも適切な人に支援を出して助けてもらいます * ギブアンドテイク的です * まさにビジネスに適してます * タイプ3は「自己犠牲的な自分」を世話焼きパートナーで支えますが、このタイプ4は広く浅く交友があります。パートナーがいることもありますが、過度な依存はしていません * 別の言い方をすると、色んな手札を持っていて、上手く使い分けます * 大きな野望を持つ人は、この状態になっていきます # Title: 言語化ニンジャ ![](/assets/ndbb323e88071_517f17a7734e7ef4a72dad13afcc326a.png) 言語化ニンジャとは、 **組織、コミュニティ、プロジェクトなどに潜り込んで見聞きし、持ち帰ってきて言語化する者** を指します。 ![](/assets/ndbb323e88071_1744763456-tC3LREiSpYbv5NkyIVm7qoag.png)言語化ニンジャ。自組織のために、潜伏先に潜り込んで持ち帰ってくる。 専用の役割です。たとえば将来的には、採用にて「言語化ニンジャ」というポジションを募集することになるでしょう。 ## 概要 ### 活動例 * 採用を広げるために、自社や自部門のカルチャーを言語化する * 腐敗を防ぐために、自社や自部門の閉鎖性や偏りを言語化する * 多忙だけどキャッチアップするために、新しい場所に飛び込んでもらって持ち帰ってもらい、わかりやすく語ってもらう etc ### 活動の流れ * 1: 選定 * どこに潜り込むかを洗い出し、絞り込みます * 2: 潜入 * 潜り込みます * =必要な手続きや調整をした後、潜り込みます * 3: 潜伏 * 潜り込んだ先で、観察に徹します * その名のとおり、ひっそりと潜んで観察するイメージです * 4: 整理 * 潜伏中に、または潜伏を終えて帰還した後に、観察してきたことを言語化して整理します * (まだ提出はしないが、見えるところに置いて「見てもいい」にしてもいい) * 5: 説明 * 整理した内容を伝える * 伝え方は様々です * テキストで書いて置いておくので、読んで * 軽い講義風に録画したので、視聴して * 上司との対話を録画したので、視聴して * 説明会を開催するので参加して or 録画を見て etc ### 言語化ニンジャのメリット **「わかったつもり」をほぐして、気づきと議論を促せます。** 言語化は稀有なスキルです。あるいは才能かもしれません。できる人はほとんどいませんし、いても仕事に忙殺されています。 だからこそ、言語化を専任で行う役割に価値が生まれます。 結局意思決定や行動は現場の人達がやらねばなりませんが、そのためのインプットを「言語化されてないものを言語化する」ことで行います。 また、言語化ニンジャは、自分を抱えるチームや組織の事情も知っていますから **「事情を踏まえた上での言語化」ができます** 。この点が、ただの情報発信や調査依頼とは決定的に違うです。 ## 言語化ニンジャのニュアンス わかりづらいので補足します。 ### 言語化ニンジャはメンバーではない 言語化ニンジャは、メンバーではありません。たとえばプロジェクトに潜入する場合でも、プロジェクトメンバーではありません。 またメンバーも、言語化ニンジャには関与しません。あるいはしてもいいですが、仕事を与えることはありません。 ### ステルスか、パッシブか 言語化ニンジャには二つのあり方があります。 * ステルス * メンバーに気付かれず、こっそり潜伏する * 手引きする者はいても良いし、通常いないとスムーズに潜伏できない(もしくは違法になる) * パッシブ * メンバー公認で潜伏している、つまりメンバーらに認知されている状態 * メンバーらに納得してもらうために、言語化した内容を伝えるというギブを行う必要がある どちらでも構いません。というより、どちらもできた方が活動しやすいです。 いずれにせよ **協力者が不可欠です** 。ステルスの場合は手引きしてくれる者が必要ですし、パッシブの場合も「この人は言語化ニンジャといって――」と周知してくれる者が必要です。 # Title: ブランクフィル(Blankfill) 先日[マインドフィル](https://note.com/workhack20/n/n0d9132ca2e19)について書きました。脳の持て余しを埋めることです。 **人は埋めたがる生き物** だと思います。その対象を「マインド」という言葉で整理したのです。実はもう一つあります。 ## 概要 **ブランクフィルとは、空白を埋めること** です。 ブランク(Blank)とは空白を意味します。 フィル(Fill)とは埋めることです。 ### 空白って? では空白とは何でしょうか。わかりやすい情報があるので抜粋します。 > [好奇心]を持つには[知識]が必要と言う話 > 知識の空白を埋めようとする力が好奇心 より 私なりに定義し直すと、次のとおりです。 > 興味関心のある領域のうち、はっきりと見えていない部分。 まず興味関心のある領域があって、その中で「よく見えてない部分」があります。これを空白と呼びたいです。 見えてない=何も無い という比喩です。 で、何もないと落ち着かないので、何か埋めようとします。 ### 空白の埋め方 色々あります。人によって好みが出ます。 例: * 権威性。権威性の高い情報で埋めたい * 依存性。自分が依存している人の情報で埋めたい * 原典性。オリジナルの情報で埋めたい * 優位性。自分の仲間に自慢できる情報で埋めたい * 実用性。役に立つ情報で埋めたい * 独自性。「自分が」考えた情報で埋めたい ここでは「情報」としていますが、よく「知識」という言葉が使われがちです。 知識とは「●●性の伴った情報」と言えるでしょう。どう捉えるかは人によって違いますが、実用性や権威性が人気だと思います。 ### 性格のようなもの よくある質問として「どう埋めるかは状況次第では?」がありますが、案外そうでもありません。空白を埋めたがる気持ちを好奇心と呼ぶことにすると、好奇心は性格のようなもので、その人に深く根付いています。 たとえば権威性で埋めたがる人は、権威性の高いものを志向します。ランキング入りの情報を見るとか、有名人が言っているから見てみるとかいったものですね。無論、このような人でも、仕事として他の埋め方はできますが、本人としてはあくまでも権威性が好物なのです。性格のようなものなので、すぐに変えることはできません。 そういう意味で「好みが出ます」と書きました。 ### 人間関係や成功への応用 性格の合う・合わないは重要です。同様に、埋め方についても合う・合わないは重要です。 たとえば原典性の高い人は「発案者はどう言ってるの?」「一次ソースは?」が口癖です。独自性の高い人の「私はこう捉えてる」的な意見は無視するでしょう。逆に、独自性の高い人から見ると、原典性の高い人は「自分で考えないつまらない人間だ」と考えたりするでしょう。いずれにせよ、合いません。 正しい、正しくないではなく、性格の一致不一致の問題です。 一方で、特定の志向が組まれている世界もあります。 ビジネスでは実用性が重視されるでしょうし、アカデミックでは原典性や権威性が重視されます。これら重視観点を踏まえないと相手にされないでしょう。 そういうわけで、空白の埋め方を見定めて、合わせていくことは人間関係やその居場所での成功には不可欠です。 何を当たり前のことを……と思われるかもしれませんが、それはあなたが自分に合った居場所にいて適合できているからにすぎません。 **自分に合わない埋め方に適応するには、あるいは適応できないと見切りをつけて回避するには、このような埋め方の視座に立つ必要がある** のです。 ## 二種類のフィル 人は埋めたがる生き物だと思います。 ここまでで二種類取り上げました。つまり、 * マインドフィル * 脳の持て余しを埋めたがる * ブランクフィル * 興味関心のある領域のうち、見えてない部分を埋めたがる の二つです。 ## おわりに 「埋め方」という目線に立つことで、ではどうやって埋めていこうとか、合わない埋め方なので回避しよう、といった判断ができるようになります。 時代はVUCAです。また当サイトでは多様性も含めて[VUCARD](https://note.com/workhack20/n/nd87c0fece485)としています。複雑な世の中に適応していくためには、このようにあり方(今回は埋め方)を俯瞰できる目線に立って、それから判断をするということが重要になってきます。 当サイト仕事術2.0は、そのための道具をまさに取り揃えておりますので、ぜひご活用ください。 # Title: エルハラ(LLMハラスメント) エルハラとは、今後ハラスメントになるかもしれないもので、 **LLMを使えばいいのにあえて禁止すること** を指します。 LLMハラスメントを略してエルハラ、と名付けてみました。 ## 概要 ### テクハラの一種です すでにテクノロジーハラスメント(テクハラ)があります。二通りあります。 * 侮辱型 * できる人が、できない人に行うもの * 「先輩、Zoomも使えないんっすか?」 * 抑圧型 * できない人が、できる人に行うもの * 例:「マクロ使うのは許さん。手でやれ」 **エルハラは抑圧型です** 。LLMが使えるのに、あえて使わせてもらえないのです。 ### エルハラの立ち位置 エルハラという言葉はたぶん私の造語ですが、同じことを考えている人や遭遇してきた人は多数いるでしょう。 一方で、LLM含め生成AIのリスクも懸念されているわけで、セキュリティやコンプライアンスの名のもとに、利用を制限されているケースも多いと思います。 その辺もクリアされて、今後LLMの利用が当たり前になってきたときにエルハラも盛り上がってくると思います。テクハラという言葉があるように、抑圧してくる人や勢力はいるのです。テクノロジーに限らず、新しいものを拒む構図はよくあることです。 ## エルハラに備える ### エルハラをしない エルハラを起こす側にはまわりたくないものです。自分が使わないのは勝手ですが、使っている人達を抑圧しないようにしましょう。無自覚にやってしまうと、知らないうちに味方が減ることにもなりかねません。いわゆる「老害」になります。 エルハラをしないためには、自分もLLMを使って「使う側」に行くか、それができないなら距離を置くなり任せるなりするべきでしょう。 ### エルハラをさせない エルハラを受けることも今後考えられます。特にコンプラ、セキュリティ、人間らしさといったもっともらしい理由で説得させられる可能性もあります。 ※それらも重要ですが、本記事では議論は割愛します。 持論ですが、生活水準を下げることを許してはいけません。電車を使っている人に「電車を使うな」「健康と鍛錬のために自転車を使え」と抑圧することは、暴力以外の何者でもないでしょう。一度上がった水準は、下げるべきではないのです。 LLMでも同じことで、LLMを使うことによる利便性の向上も水準です。「LLMを使うな」は暴力的なことであり、毅然と立ち向かうべきです。 ### 「LLM利活用をどこまで認めているか」を評価指標に LLMをどれだけ使えるかは、その会社の方針次第です。一方で、 **会社はコンプラやセキュリティその他道徳や倫理を持ち出すことで、合法的にエルハラを行いやすい** 立場でもあります。 この流れは止めたいと思っていて、評価指標を持ち出せばいいと考えています。 **ALLLM(アルルム) - Acceptable Level of LLMs.** と名付けました。 アルルムとは、LLMの利活用をどこまで許しているかというレベルを示したものです。中身はまだつくっていませんが、たとえば以下のイメージ。 * Lv0:使えない * Lv1:自社でつくったシステムであれば使える * Lv2:個人でも申請すれば ChatGPT、Claude、Gemini など外のサービスも使える * Lv3:申請不要で個人でも使える * Lv4:全社員が身につけるリテラシーとして当たり前に使えることはもちろん、オンボーディングもする その上で、会社としてどのレベルにいるかを公表します。公表していない会社はそもそも不透明であり、エルハラに遭遇する可能性が高いと考えます。 実運用は難しいでしょうが、このような評価指標があれば、LLMの利活用抑圧は抑えられるはずです。 未来像としては、たとえば OpenWork のような転職口コミサイトで「アルルムは3を謳っていますが、実態は2でした」のようなことが書かれる光景をイメージしています。 ## おわりに エルハラについて整理しました。 現時点ではまだまだ遭遇しないかもしれませんが、今後起こると思います。備えておきましょう。 # Title: コンテキストスイッチングの戦略 ~リジュームとリスタート~ 別の作業を始めたり、前回の作業から再開したりといった「切り替え」をコンテキストスイッチングと呼びます。 この戦略は二つあります。 ## リジュームとリスタート リジュームとは再開です。 リスタートとは仕切り直しです。 ### リジューム 前回の作業を再開など、前回の続きから着手することです。 前回どうだったかという文脈(コンテキスト)を思い出す必要があります。それができれば苦労はしません。 唯一、かんたんにできるのは、クリエイターなど、脳内で豊富な世界を展開できる才能の持ち主が、その仕事を継続しているケースだけです。稀ですよね。通常はそこまで才能はありませんし、生活も忙しくて、もっと雑多なタスクを多数抱えています。 では思い出すためにはどうしましょうか。以下がすべて必要です。 * **1: 思い出すためのヒントを残しておく** こと * 2: ヒントにすぐたどり着けること * 3: ヒントを見て、すぐに思い出せること(ヒントがわかりやすいこと) * 4: そもそもヒントと向き合うモチベーションがあること(タイミングや調子が自然であること) とても難しいです。これを実現するには、以下の考え方が要ります。 * 1: コンテキストを残しながら仕事するという姿勢( **コンテキスト駆動** ) * 2: コンテキストをわかりやすい場所に書いておくという勘所 * 3: 見てすぐ思い出せるような言語化能力と、それを実際に適用する手間を負い続ける胆力 * 4: 自分のモチベーションや調子を理解した上で、良いときに行い、悪いときには近づかないという調整(※) 様々な仕事術が要求されます。 ※わかりづらいですが、コンテキストスイッチングは認知資源をかなり食うので、疲れているとできません。脳死でもできる作業よりもはるかに高度なことです。無理にやろうものなら、文脈を踏まえない「めちゃくちゃな進め方」をしてしまって後々後悔するでしょう。もっとも本質よりも「誠意」を重視する社会では、それでも進めた方が評価が高くなりがちですが……。 ### リスタート 前回のコンテキストは置いといて、というより捨てて、一からやり直すことを指します。 **仕切り直し** です。 たとえば資料作成で言うなら、今までつくっていたもの(全部でも一部でもいい)を捨てて、また一から作り直すことを指します。リジュームの場合、 **どうつくっていたかを眺めながら思い出していましたが、それが大変なので、いっそのこと仕切り直してしまおう** 、というわけです。 ### どちらを使うのが良いか? もちろんケースバイケースですが、リジュームが苦手な人はリスタートに頼るのがいいでしょう。 リジュームに必要なことは、上述のとおり言語化しました。これを見て「それくらいかんたん」なのか、「いやいや無理だろ」なのかは分かれると思います。後者の人は、たぶんリジュームには向いていないので、リスタートに頼った方がいいでしょう。 ※もちろん自身の忙しさをなるべく軽くして、切り替えに要するコストを根本的に下げる「盤外戦術」も重要です。が、リジュームが苦手な人は盤外戦術も苦手だと思います……。 もう一つの目安として、 **よく積読する人もリスタートでいいと思います** 。 もしリジュームの力があるなら、積読なんてする必要がなく一つずつ潰していけるからです。積読する人は、単に一つずつ潰していく力がないか、状況が許さないだけです。いずれにせよ「再開する力が弱い or 発揮しづらい」と言えるのです。 ※ただし娯楽的・享楽的に「あさる」目的は覗きます。この場合は欲求の赴くままに読み漁るので積読になりがちです。 ## 応用 これらはいずれもコンテキストスイッチングの話であり、もっといえばタスク管理における「コンテキスト」をどう扱うかという話です。 コンテキストもまだまだ整備されていない領域ですから、仕事術2.0としてもやっていきたいところです。おそらく **コンテキスト・エンジニアリング(Context Engineering)** と題して整備していくのが良いでしょう。 ## 触発 以下のページを見たとき、 > [再開可能性]というか、「中断してたアレ」の再開のやりやすさ。造語 [リスタートアビリティ](https://scrapbox.io/taktamur/%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3)より 私はコンテキストスイッチングでカバーできると考えたのですが、なるほど、たしかに「再開」と「やり直し」で捉えた方がわかりやすそうだと思い、今回このように整理してみました。 # Title: 生成AIに渡すためのエクスポート 「EFAI(エーファイ)」 **EFAI(エーファイ)とは Export For AI の略** で、生成AIに渡すためにテキスト形式でエクスポートすることを指します。 ## 概要 ### オリジナル おそらくは Cosense でしょう。まさに Export For AI という機能を持っています。 ![](/assets/n7b687b9ae38d_1745267747-IZ7cYQwn3rVRxH2iSv5fMKJq.png)Export For AI 機能。 これは「今見ているページ」から辿れるページも含めて、全部を 1 ファイルに束ねたものをダウンロードさせます。これにより、生成AI に与えやすくなります。 ### 他の例 まだ機能としては存在しませんが、イメージとしていくつか挙げます。 * Teamsのスレッド * 特定のスレッド内の会話全部をエクスポート * Miroのボード * 特定のボード内の付箋情報をすべてエクスポート * 位置関係も上手く反映できるといいかもしれません * (ちなみにエクスポート自体は一応存在しますが、少し不便です。EFAIというからには即座にコピーしたい) * XTwitter * 特定のスレッド内のポスト全部をエクスポート * 自分の「今週のポスト」を全部エクスポート etc * (一応、Grok がありますが、どの生成AIにどんな指示で与えた以下は自分で制御したいものです) * GitHubリポジトリ * 特定のリポジトリ内の特定ファイルをすべてエクスポート * (ちなみにこの手のツールはごまんとあります) * 例: * (また Cline など AI アシスタントは実質的にファイル内容をシームレスに読み取っています) ### メリット EFAI という概念を知り、利用者としては積極的に活用し、開発者としては積極的に実装することで、以下のメリットがあります。 * 生成AIの恩恵を受けやすくなる * 生成AIに渡す手間は0.1秒でも減らしたいものです。減らせば減らすほど、より生成AIを使いやすくなります * アピールできる * 利用者の立場だと、生成AIを活用するスキルがあるとアピールできるでしょう * 開発者の立場だと、うちの製品は生成AIと連携がしやすいですよと謡えるでしょう ## おわりに EFAI は今後さらに重要に、いや当たり前になってくるはずです。EFAI を使えるかどうか、製品としてサポートされているかどうかが処遇を分かつことさえあると思います。 今のうちに備えておきましょう。 # Title: 埋めたさと動機のマトリックス 先日、二つの「埋めたさ」を取り上げました。 * [ブランクフィル](https://note.com/workhack20/n/nad98bb9dbecc)。知識の空白を埋めたがること * [マインドフィル](https://note.com/workhack20/n/n0d9132ca2e19)。脳内の持て余しを埋めたがること この二つと、内発的か外発的かという「動機」の軸を導入して、マトリックスにできます。 ## 概要 ### マトリックスについて 次のようになります。 ![](/assets/n03cee0264eb7_1745268627-OWz8IZi7xe4MEcdsRgh0Htnf.png)埋めたさと動機のマトリックス 横 →:マインドフィルか、ブランクフィルか 縦 ↓:内発的か、外発的か 横軸についてはすでに解説しました。冒頭のリンクから各記事を見てください。 縦軸については、いわゆる内発的動機づけ、外発的動機づけの話です。 内発的とは、興味関心や好奇心や健康や持続性(サステナブル)といったモチベーションを指します。外発的とは、お金や名誉や「罰されたくないから」など外から来る報酬・罰則によるモチベーションを指します。 心理学的には、外発的よりも内発的の方が強く、かつ持続もしやすいとされています。外発的な方は、ニンジン(報酬)で釣る形にならざるをえず、持続的ではありません。持続させるためには報酬の重さや何かへの依存に頼らざるを得ません。責任が重くて高給な経営者を見れば、明らかだと思います。 ### このマトリックスで何ができる? 人は埋めたがる生き物ですが、どのように埋めていきたいか、には型があります。この型を 4 つに整理したのが、このマトリックスです。つまり、 **埋め方の型を端的に俯瞰する** ことができます。 俯瞰することで、以下ができます。 * 自分または相手が、どの埋め方に従っているかを推し量る * 今の埋め方は合わないので、別の埋め方を考える ## マトリックス詳細 4 つの型それぞれについて、詳しく見ていきましょう。 ### 1: 内発的なマインドフィル ![](/assets/n03cee0264eb7_1745268997-bqCFd1ZSxsvzjEIBNMtXnVJ7.png) 自分自身を知るため、あるいは最適化するためのマインドフィルです。どう埋めるかの工夫を楽しみます。 ライフハッカーや意識の高いビジネスマンが当てはまります。たとえば「今週は毎日散歩を取り入れてみよう」といった「生活のカスタマイズ」をします。もちろん、決めたことに律儀に取り組める実行力があります。 ### 2: 内発的なブランクフィル ![](/assets/n03cee0264eb7_1745269366-tThCl2FK5E9ViLJkH0mcgNDv.png) 純粋な好奇心によるブランクフィルです。 誰に言われるまでもなく勉強したり、大学院に通ったり、本をたくさん読み漁ったりする人はここが強いです。 また「人と会話することで引き出す」タイプもおり、高頻度でいろんな人と会うことを信条とする経営者やビジネスマンがこれです。一方で、「仕事に役立つ知識を得るために」と割り切っていることもあります(この場合は後述する 4: です)。 ### 3: 外発的なマインドフィル ![](/assets/n03cee0264eb7_1745269468-UOzFx87YwJXSDNjVWZBl3I9c.png) 仕事をするために、あるいは寂しさや退屈を紛らわせるために、とにかく何でもいいから埋めるというマインドフィルです。 1: の内発的な方は「自分のために」行っていましたが、3: のこちらは節操がないもので、埋められるなら手段は選びません。 たとえば仕事に集中するために、いろんな「ながら」を試すクリエイターはこのタイプです。あるいは、空き時間を単調なゲームに当てるビジネスマンもたまに見ます。 もっと身近には、 **仕事をして、家庭がいて、かつペットも飼うような人もおそらくこれです。マインドが大きいせいで、生物という「埋めやすい存在」に頼らざるを得ない** のです。 ### 4: 外発的なブランクフィル ![](/assets/n03cee0264eb7_1745269700-HKxGQORXlyIYm2BoPZA7Nkhz.png) 役に立つものがほしいから、認知資源節約したいから、コミュニティで優位に立ちたいからといった理由によるブランクフィルです。 勉強や研究が好きな人というと、2: の内発的な方を浮かべるかもしれませんが、実はそうではないことが多いです。判断するのはかんたんで、ひとりで完結しているかどうかを見ます。もし、誰かとの対話や正式な発表などに頼っているとしたら、4: です。 一方で、仕事の場合は、もちろん外へのアピールも重要ですから、仕事として行っている人はほぼ必然的に 4: になります。別の言い方をすると、 **2: のように内発的にブランクフィルを楽しむためには趣味でなくてはなりません** 。 # Title: 仕事術2.0を小説で ![](/assets/n9ab84f623d6a_17f09fa842417e03ed3dcebc3852b2d6.png) 仕事術をわかりやすくお伝えするのは難しいことです。当サイト note の他にも[滝をつくってみたり](https://note.com/workhack20/n/nb73515c91a3f)、[芸術として表現してみたり](https://note.com/workhack20/n/n45e33e0225c6)しました。 今回は別の表現を紹介します。 **小説** です。 ## 姪と従姉妹と仕事術師 こちらからアクセスできます: プロトタイプとして4話まで公開しております。 略称は「 **いといとし** 」です。 やや強引ですが、め **いといと** こと **し** ごとじゅつし、です。 ## (以降は細かい背景です) ### 小説に目をつける 仕事術とは概念であり、概念は言語で表現するものなので、言語的な表現は避けられません。幸いにも文学、より身近に言えば小説はよく知られたジャンルです。 ### 小説要素をどこまで入れるか 問題は、小説を書くとなると、ストーリーやキャラクターや世界観といった要素が押し出されてしまうことです。伝えたいのは仕事術ですし、いくら物語をつくりこんだところで、伝えるべき仕事術の概念的複雑性はなくなりません。 たとえるなら、哲学を小説で伝えるようなものです。あるいはマンガでもいいでしょう。イメージで直感的なわかりやすさを持ち出すことはできますが、哲学そのものの小難しさは回避できないと思います。 とすると、つくりこみは最低限にして、仕事術を伝える部分を重視した方がいいのではないかと思いました。 ### 表現の模索 試行錯誤の末、以下のようなテンプレートに落ち着きました。 * 会話文だけにする * 物語要素は「日常系」に留める * ラブコメ、ミステリー、ハーレムなどノイズも入れない * 構成は1話1仕事術で、章や終わりはない * 地の文は書かない。最低限想像できる程度に会話に入れる。また空行で間をつくる * 発言者を絵文字で示すことで、認知の負担を軽減する ![](/assets/n9ab84f623d6a_1745551969-gGX7btMwQSK2EyNV8z10RHcm.png)いといとしはこんな感じ。 仕事術をメインに表現しつつ、日常系の小説としてカジュアルに興味を引けるのでは思いました。 ### 小説投稿サイトはどこにするか 小説の公開となれば、小説投稿サイトを使うのが鉄板です。そうしないとWeb小説を読む読者層に届かないからです。 となれば、あとはどのサイトを使うかです。 小説家になろうとカクヨムの二択だと考えていましたが、わざわざアカウントをつくるのもなぁと渋っていました。そんな中、今年4月から note の系列で[ TALES ](https://tales.note.com/)が始まっていることを知り、これだと決めました。 note の延長で、note と同じ UI で書き込めるので使い勝手がよくて素敵です。手元で書いていた原稿もそのままコピペできますし、|振り仮名《ルビ》のような記法もちゃんと処理されます。 # Title: プロファイ(profai) ~生成AI用にプロフィールをつくっておく~ 生成AIを活かすには、テキストで書いた文脈を渡す必要があります。自分について答えてほしいなら、自分の情報を書いて渡せばいいのです。 **プロファイ(Profai)とは Profile For AI の略で、生成AIのために自分のプロフィール情報を書いておく** ことを指します。 本記事では、プロファイを充実させるためのヒントを整理します。 ## プロフィールを書くためのヒント ### 下書き そもそも大多数の人には「テキストを書いておく」という発想がありません。この発想を持つのは一部のビジネスマンやクリエイター、あるいは日記やノートが好きな人だけです。 よって、そもそもこの発想を身につけてもらう必要があります。当サイトでは下書きに目をつけ、 **継続的下書き** として整理しました。 ### 100の質問や前略プロフィール 20年以上前の文化ですが、長大な自己紹介を書く文化がありました。 当時はSNSも動画も、画像すらあまり扱えず、インターネットはもっぱらテキストサイトでした。プロフィールもテキストで書いており、長文で書くことも当たり前でした。 少し解説します: * **100の質問** とは、100個の質問に答えたものをブログなどに載せる文化です。 * **前略プロフィール** も似たようなもので、質問に答える形で自分のプロフィールを載せたサイトをつくれていました。今ではXTwitterを始め、SNSアカウントで交流しますが、当時は前略プロフだったのです。 プロファイでは、このような文化がまさに役に立ちます。自分のプロフィールをひねり出すのは難しいですが、質問に答えるだけならかんたんです。 そして、プロファイは AI が使うものなので、100個どころか1000個書いても使ってもらえるし、むしろ精度もよくなるのです。 ### 日記や振り返り 「自己紹介」の概念は、よほど引きこもっている人でもなければ少しは縁があるでしょう。しかし、プロファイでは、その何倍、何十倍、何百倍もの情報が必要です。 そんな大量な情報をいきなり書くのは難しいので、日頃から書いて貯めていく営みは必須です。 まず日記は役に立ちます。次に、日記に書いたことを読み返して振り返ることも同様に、役に立ちます。 **書いたものを読むことで「外に書けること」も思いつきやすいから** です。 また、このような内省的な活動を支援するアプリも登場しています。 ### 資質や性格の診断レポート * ストレングスファインダー * ビッグファイブ * MBTI * キャリア・アンカー など、人の資質や性格を診断してくれる体系がいくつか存在します。これらのレポートも、プロファイとして役に立つでしょう。 ### 発想法 プロファイには正解がありませんし、何が書けるかは自分自身しか知りません。よって、アイデア出しのように、自分で能動的にあれこれひねりだしていくことも求められます。 当サイトではフリー仕事術として、このアイデア出し(発想法)の営みを整理していますので、参考にしてください。 ### ペルソナやキャラクター設定 マーケティングではペルソナ(架空の顧客像の詳細設定)をつくります。物語をつくるときもキャラクターの設定はつくりこみます。 これらで使うフォーマットや項目は、プロファイでも役に立ちます。ペルソナとして、設定として「自分自身」について整理すればいいのです。 ## (関連記事) 関連記事として、生成AIに関する記事を載せておきます。 生成AIに渡すために「テキストとして出力する」機能は重要になるでしょう。エーファイ(EFAI - Export For AI)と名付けました。 今後生成AI(特に GPT など大規模言語モデルと呼ばれるもの)は当たり前に使われるでしょう。使えるにもかかわらず、使わせないのはハラスメントと言えるほど「ありえない」ことになりかねません。老害になってしまわないように、キャッチアップしましょう。 LLMハラスメント、ということで「エルハラ」と名付けています。 # Title: アプローチの3C ~Care, Cure, Core~ 人や問題へのアプローチの仕方は3つありますので、3C の形で整理します。 ## Cure わかりやすいので Cure から行きます。 **Cure とは「治癒」であり、問題解決を指します** 。解決なので、恒久的・抜本的な解消というよりは、今目の前にある問題をひとまず解決する、とのニュアンスが強いです。 ビジネスでは極めて当たり前の発想ですが、人を相手に Cure をすると、しばしば反発されます。良くも悪くもドライですし、急ぎがちだからです。 ## Care **Care とは「世話」であり、解決はおいといて、とりあえず寄り添う** ことを指します。 家族や友人など、親しい間柄での過ごし方はこれですよね。 またコンサルやカウンセラーもそうですし、実はビジネスでもよく使われます。出社回帰もそうですよね。リモートで情報をやりとりすれば済むのに、あえて会いたがるのは、Care の側面もあるからです。 当サイトでは[「グルーミング」や「コミュニケーションケア」](https://note.com/workhack20/n/n0be0c4855b0d)として捉えています。またグローバルの文脈では、[日本含むアジア圏は関係性(一緒に過ごす)を重視する](https://note.com/workhack20/n/ne84388513d7c)ため、なおさらです。 ## Core **Core とは直訳すると「芯を取り除く」であり、問題を根本から解消する** ことを指します。 Cure は解決でしたが、Core は根本に踏み込んで恒久的になくすことを目指します。 Care や Cure とは違って、容赦なく踏み込みますし、こちらの価値観や文化を変えたり、常識にとらわれない発想を採用したりも必要なので非常に難易度が高いです。 ## 例 例:高頻度なひげ剃りや散髪(あるいは美容院)の煩わしさをなんとかしたい。 Cure(問題解決)の場合、たとえば以下をします。 * ひげ剃り、理髪店や美容院の通いを「定期的な予定」としてスケジューラーにセットする * 高級なひげ剃りを使う * 近所の店を探したり、は退勤時に自然に通える店を探したりして通うハードルを下げる Care(世話)の場合、たとえば以下をします。 * 友人に悩みを相談する * 理髪店や美容院の店員に相談する * ChatGPT に相談してみる Core(問題解消)の場合、たとえば以下をします。 * 脱毛やスキンヘッドに変えることで手間をなくす or 自分ひとりで済ませられるようにする * ひげや髪を伸ばすスタイルに変える * マスク、カツラ、ウィッグなどで隠蔽する * (わかりづらいですが、ひげや髪への処置を回避しているので Cure ではなく Core です。ですが、蓋をしているようなものであり、次は蓋自体の 3C を迫られるでしょう) ## (関連記事) 元ネタは以下のページです。 これらを見たとき、私はもう一つあると思いました。Core に相当する概念です。 これを C-re で揃えれば、3C としておさまりもよくなるだろうということで粘ったところ、Core に「芯を取り除く」意味があるとわかり、採用しました。 # Title: デイリーワークスペース 毎日 **その日のワークスペースを新たに作り直すことをデイリーワークスペース(Daily Workspace)** と呼びます。 長いので **デイワ(Daiwo)** と略します。 ## 例 ### デイリーノート 最も有名なデイワの一つです。何でも書き込む[動線](https://note.com/workhack20/n/n47ea6a79e3b2)的なノートはよく使われますが、これを日単位でつくりなおします。 昨日が2025/04/28なら「2025/04/28」という名前のノートやページがあって、そこに書き込んでいるはずですし、今日はおそらく「2025/04/29」ノートをつくるはずです。 ### [デイリータスクリスト](https://note.com/workhack20/n/n2e0cd93468a2) これもデイワの最有力候補です。タスクリスト(TODOリスト)は破綻しがちですが、日ごとに分けて書いて、かつ今日は[今日の分を全部潰すことだけ考えるようにする](https://note.com/workhack20/n/n763dcc87ce9e)のです。 しかしながら、通常はタスク以外にも書きたいメモが出てくるので、前述したデイリーノートになっていきます。デイリーノートの先頭にタスクリストを書くというハイブリッドもよく使われます。 ### デイリーチャンネル ここからは新しい概念です。 これは **毎日投稿内容がリセットされるチャットチャンネル** です。LINEでもSlackでもTeamsでも何でも構いません。 毎日リセットのメリットは、余計な情報が目に入りにくくなり今に集中できることと、翌日リセットされてしまうがゆえに意思決定が賢くなることです。 特に、あとで関係者だけでやればいい議論や、残しておけばいいやりとりなどは、チャンネルではなく別の場所に移してそっちで続けよう、とのインセンティブが働きやすくなります。ただし、手作業で移すのは大変なので、自動でやりたいです。これを行うツールはまだなく、現状はエンジニアが自製しなければなりません。 ※余談ですが、このようにチャットの内容を丸ごと保存して、元のチャンネルからは消すことを **フローズン(Frozen)** と呼びます。冷凍して倉庫に保存するニュアンスです。 ### デイリーワールド ここでワールドとは、バーチャルオフィスやメタバースのような仮想空間のことです。広義には Miro などデジタルホワイトボードも含みます、なぜなら「アバターがカーソルで」「世界は二次元」の仮想空間だからです。 さて、デイリーワールドとは、特定のワールドが日次でリセットされるものです。 おそらく現時点で最も馴染み深いのはマインクラフトでしょう。マイクラでは多数の参加型サーバーがあり、建築ワールドと資源ワールドが分かれていて、資源ワールドの方は日次でリセットする運用が多いです。この資源ワールドはデイリーワールドと言えます。 ### デイリーデスクトップ 現時点では確認されていませんが、デイリーデスクトップとはデスクトップを日次でクリアする仕組みを指します。 デスクトップとは物理的なデスクも指しますし、Windows その他パソコンのデスクトップも指します。それを毎日クリアするというのは、何とも乱暴に聞こえますが、無闇に汚くなるのを回避し、毎日取捨選択しながら進めていけるので生産性は上がります。 ※一方で散らかしておいてその中から(本能や感覚の)赴くままに手をつけたい、という人もいます。デイワ全体に言えることですが、万人向けではありません。 ## デイワの特徴 例を挙げたところで、改めて整理しましょう。 * ワークスペースを日時でリセット(クリア)する * リセットすることの恩恵は二つ * 1: 毎日ゼロベースで考えることができる * 2: 直近使わないものを退避できる(整理整頓が進む) * リセットのやり方 * 最も単純なのは、単に全消去することだが、現実的ではない * 現実的には以下を使う: * **持ち越し** 。明日に持ち越したい情報を、明日のワークスペースにコピーする * **退避** 。持ち越しはしないが、残しておきたい情報を別の場所に保存しておく つまり **デイリーワークスペースとは、ゼロベースと整理整頓を推進するために、日時でワークスペースをクリアする営み、ないしは仕組み** です。 ## デイワをつくる 割愛します。 毎日何時にリセットするのかとか、手作業は大変なので自動化はどうやるのかとか、別の場所に保存するとして、どんな形式でどこに保存すればいいのかなど、考えることは色々あります。 個人レベルのデイリーノートやデイリータスクリスト程度であれば手作業でもできますが、通常はエンジニアによる自製が必要になることが多いです。 # Title: 面接、線接、点接 ![](/assets/n9a7c2aa2778c_dbbe7fbf391b8619f5005ec4a29f15af.png) 「面接」に頼らない採用選考をイメージするのは難しいでしょう。面接、もっと言うと対面のあり方はそれだけ支配的です。 しかし、仕事術の目線で言えば対面は「やり方の一つ」にすぎず、支配的なのが滑稽にさえ映りますが、なかなか通じません。 というわけで、わかりやすい言葉をつくりました。 ## 何で接するか 「何で」接するか、と捉えます。この考え方により **「"面" 接のあり方以外もあるよね」と理解しやすくなるはず** です。 ### 面接 面で捉えます。 面とは顔を指します。顔で接しているわけですね。そうするためには事実上、対面が必要です。近年ではリモートも可能ですが、ビデオはオンにするでしょう。 ### 線接 線で捉えます。 IT の世界では「通信(コネクション)を確立する」と表現しますが、まさにそのイメージです。通信路を確保して、確保している間はリアルタイムに交換しあうイメージです。 古典的には電話がわかりやすいです。情報の伝達路を確保して、お互いを拘束して、やりとりし合うのです。線で接しているわけですね。 ### 点接 点で捉えます。 点を置いておく、という発想をします。置いてあった点を読んだり、さらに点を追加したりします。このように「点と」接します。点とは情報の塊や集まりを指すものと考えてください。 当サイトではトピック指向(話題指向)と呼ぶことがあります。話題という単位で捉えています。 ## 視覚的に比較する ![](/assets/n9a7c2aa2778c_1746142150-oO1TECgtNYQZWw0IxjRVqMmh.png)視覚的に比較。 面接は同座した上でやりとりします。お互いの面(顔)を見ています。 線接は伝送路を確保した上でやりとりします。 点接は情報の塊を介してやりとりします。 ## 同期性と非言語性で比較する 同期的か非同期的か 非言語コミュニケーションか言語コミュニケーションか の二軸でも比較してみましょう。マトリックスにした上でプロットします。 ![](/assets/n9a7c2aa2778c_1746142470-RVE0kur1hsDWjGi4wzoCbSPH.png)マトリックスにプロットする。 ただし「動画や画像」を送る・残すことで、非言語情報を非同期的に送ることもできます。つまり点接や線接でも(あらかじめつくっておいた)非言語情報をやりとりできます。 ## おわりに 面接の絶対性を疑うために、「面」に注目した上で、線と点もあるよねと示しました。 私たちは面接ばかり使いがちですが、線接や点接も使えます。選考はもちろん、他のコミュニケーションや審査においても、ぜひ面だけにとらわれず活用に挑んでみてください。 # Title: アートとしての仕事術の第二版を公開しました ![](/assets/nae1c7c1abb25_d792976437bfe498d310ba1f1e804e35.png) アートとしての仕事術「Practical Conceptual Art」を Are.na にて公開しています。 第二版を公開したので、お知らせします。 ## こちらからアクセスできます ## Practical Conceptual Art についてはこちら ## 以降は細かい話 ### ver2.0を公開した 今回は version 2.0 と題して、新しく公開し直しました。 ### 表現方法を「タイトルのみ」に変えた アップデート内容ですが、タイトルのみで表現するようにしました。 ![](/assets/nae1c7c1abb25_1746573414-tmShax3rQvEZJ4TM6FVP7cbl.png)Before。元々はタイトルと補足説明をつけていた。 ![](/assets/nae1c7c1abb25_1746573449-N0B9rOJ1ZSdLl5tW7fCDq4Ym.png)After。タイトルのみにした。 補足説明を入れても中途半端ですし、不格好です。だったらいっそ、タイトルだけで表現してしまえばいいのです。まさにアーティストとしての腕の見せ所です。 ### 仕事術2.0で取り上げた概念を載せています 前回と同様、Are.na では当サイトで取り上げた概念を載せています。 つまり、当サイトをあされば「作者がつくった詳細」という「一種の答え」を見ることもできます。この点は、既存の芸術にはなかった体験だと思います。 ちなみに、探しづらい場合は、以下にお越しください。当サイトをあさるための色んな手段をご用意しております。 # Title: 仕事術は「ありたい姿」を宣言したもの 仕事術に関して、よくある問いの一つが「保証の有無」です。 事例はないのか? 研究はあるのか? といったことです。その仕事術の有効性は証明されているんだよね?を知りたいわけです。 無論、証明があるに越したことはないですが、ないことの方が多いです。そもそも仕事術との付き合い方が間違っています。 ## 仕事術は自分でつくるもの 仕事術は、自分でつくるものです。 仕事術が語るのは「概要」と「作者本人による数少ない例」にすぎません。例は無いこともあります。 **利用者が行うことは、概要を理解し、共感や可能性を感じることです。感じたら、その続きは自分でつくります** 。 仕事術は個人的なものですし、内容自体はそんなに難しくありません。ですので、自分や自組織自身で、自分たちに合ったものをつくります。 **概要は羅針盤にすぎません** 。 ## 宣言的(Declarative)という潮流 この考え方を理解するために、宣言的という概念を紹介します。 ソフトウェア開発の用語ですが、手続き的 vs 宣言的の構図です。 ### 単純な例 エアコンで部屋の温度を快適に保ちたいとします。 まず従来の「手続き的」だと、自分でリモコンを操作して、パネルの温度表示や浴びる風量を見ながら「これくらいかな?」と調整すると思います。 次に「宣言的」の場合は、24℃で固定して、とありたい姿を宣言します。これだけです。実際に24℃に調整する部分は機械に委ねます。 **ありたい姿を満たしたいだけなので、どう満たすかは気にしません** 。 ### どうやるか vs どうありたいか 従来の **「手続き的」は、どうやるかを指示します** 。ソフトウェア開発の場合、どうやるかを全部プログラミングするわけですね。 一方、 **「宣言的」の場合、どうありたいかを指示します** 。どうやるかは機械に任せます。昔は全部人間がプログラミングしないといけませんでしたが、自動化や抽象化が進んだ現代では、ある程度は任せられるのです。 宣言的といえば、生成AIもまさにそうですよね。 どうありたいかをAIに指示することで、AIが答えを出します。人間はそれを見て微修正したり、気に入らない部分に追加の指示を出したりして、ぐるぐる回してつくっていきます。 実際には「どうやるか」も知っておいて、その視点で指示しないと良いものはつくれないですが……。ともあれ、どうありたいかベースでつくれる、宣言的な営みなのです。 ## 仕事術も宣言的 改めて解説すると、仕事術もまた宣言的なものです。 例として一つ前の記事を取り上げましょう。 これは面接の絶対性を疑うために、面というたとえに注目して、線と点もあるよねと深堀りしたものです。実際にこのような事例や研究があったわけではありません。 言ってしまえば、机上の空論にすぎません。そうではなく、こういう背景をもとに、こういう概念を持ち出してみたんだけど、どうだろう?と問うています。 たとえば採用選考において、面接に頼る組織は多いと思いますが、この仕事術を見ると、面接以外の手段も検討できるはずです。面以外にも線と点で接する、という「ありたい姿」が宣言されているからです。 **この姿を踏まえて、具体的にどうやればいいかはあなた達が考えることです** 。仕事術の役割は、ありたい姿という道しるべを提示できるところにあります。 ## ディクレアラ ~宣言的に振る舞う人~ 最後に、用語も定義しておきましょう。このように **宣言的に振る舞う者をディクレアラ(Declarer)と呼びます** 。 一方、従来の手続き的で「どうやるか」で動く人をプロシージャラ(Procedurer)と呼びます。 ビジネス全般ではプロシージャラが求められます。なぜなら実際に動くのは自分だからです。 一方、マネジメントや経営になると、ディクレアラが求められます。たとえば大企業の幹部は、自組織のビジョンと方針をつくって共有しますが、具体的な実現方法にまではタッチしません。そこは各自で考えよ、ということです。 仕事術も同じです。 仕事術の作者が、仕事術という形で宣言をしています。利用者は、それを踏まえて、自分でどうやるかを考えるのです。 **仕事術にはディクレアラが求められます** 。字面からもプロシージャラだと思いがちですが、違うのです。 ## おわりに:仕事術で、ディクレアラの練習を! 生成AIもそうだと思いますが、ディクレアラとして生きるためには「ありたい姿」と向き合わねばなりません。 自分で言語化して伝えたり、そうでなくとも他のありたい姿を読んで理解して、自分ごとに落とし込んで具体をつくっていかねばなりません。 仕事術は、まさにこのディクレアラの生き方の練習になります。当サイトでも様々な仕事術を紹介しているので、ぜひ練習してください! # Title: ハイパーフレックス スーパーフレックスよりも、より融通の利くフレックスをご紹介します。 ## (前提知識) ### フレックスタイム制 まずフレックスタイム制については、[厚生労働省の資料](https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo- roudoukyoku/library/2014318104110.pdf)が詳しいです。 ![](/assets/nd7da616684b7_1746755778-eiXAgLj73YvmrtUfkdyhKHoO.png)『フレックスタイム制 の適正な導入のために』より。 まとめると: * **月の所定労働時間** を決めた上で、それを従業員各自が好きに消費する * コアタイムとフレキシブルタイムがある * コアタイム。必ず労働しなければならない時間帯 * フレキシブルタイム。各自で労働するかどうか選べる時間帯 ### スーパーフレックスとは コアタイムのないフレックスタイム制を指します。厚生労働省が定めた正式な用語ではありません。 別の言い方をすると、 **月の所定労働時間はまだあります** 。 たとえば月150時間であれば、従業員は150時間分を消費しなければなりません。150時間に満たない場合は、会社にもよりますが欠勤扱いとなるでしょう。 ## ハイパーフレックスとは 造語だと思いますが、 **所定労働時間に融通を利かせたフレックス** です。また、スーパーフレックスは引き継いでいるため、コアタイムもありません。 例を挙げます: * 月の所定労働時間は 150 時間以上が鉄板だが、半分以下の 70 時間にする * 月の所定労働時間は撤廃して、週の所定労働時間を定める ### 事例 水産加工会社の事例です。 > > パプアニューギニア海産の武藤工場長は、働きやすい環境を追求しながらも、経営を維持するため、「2週間で20時間以上働いてもらうこと」というルールを設けているそうだ。 これは「2週間単位での所定労働時間」を「20時間」にしている、という意味でハイパーフレックスです。 ### メリット Ans: 融通の利く働き方を手に入れやすくなることです。 ハイパーフレックスの本質は、 **所定労働時間という経営者優位のルールを緩和できる** ことです。所定労働時間は変えてもいいんだ、変えられるのだとの示唆を与えます。 管理上のメリットもあります。所定労働時間が月単位だと、粗いので管理も雑になりがちです。実態として残業の多い職場も多いでしょう。逆に日単位だと細かすぎて、暇なときと忙しいときの波に対応できません。実は週くらいがちょうどいいのです。もちろん、単位は自由なので、一週間(5日)でも二週間(10日)でも7日でも設定できます。 ### メリットを体感する例 メリットを体感するために、日、月、週の分けて考えてみましょう。 お題を設定します。 > 暇なときは2時間くらいで済ませたい。 > 忙しいときは10時間働きたいとします。 とします。皆さんの仕事を踏まえても、よほど恒常的に忙しい人でもなければ妥当でしょう。 さて本題です。所定労働時間の単位はどうしましょうか。日、月、週で考えてみましょう。 まず日単位だと上手くいきませんね。仮に7時間と置いた場合、どちらにも対応できません。対応させるためには休暇や残業といった面倒な手続きを経ねばなりません。管理コストもかかります。 月単位だとどうでしょう。経営者目線では、安全に倒したがるので多めに積んでしまいます。月 150 時間もそうで、これは平日 20 日としたら 7.5 時間/日です。暇なときが多い場合は使いきれません。忙しいときはある程度対応できますが、恒常的に忙しい場合はこれでも足りません。 最後に、週単位ではどうでしょう。暇なとき : 忙しいときを、経営者優位で後者を多めにして 2 : 3 に置いたとすると、 > 2(時間) * 2 + 10(時間) * 3 = 4 + 30 = 34 週34時間、きりが悪いので30時間にしましょう。月換算だと120なので、150時間よりも低いです。 しかしながら、週ごとに30時間あるので、暇なときと忙しいときをバランス良くさばけます。仮に今週ずっと暇だとしても、1日6時間で済みます。逆に忙しいときでも、10時間勤務を3日使うことができます。それでも足りなければ残業になりますね。 良いバランスではないでしょうか。 **月120、というと抵抗が強いですが、週30というとそうでもないと思います** 。単位を変えると、このような心理的な違いを突けます。 このようにして、より総労働時間の少ないあり方を実現できると、「これでもいけるぞ」とわかります。より融通を利かせた働き方をデザインできるでしょう。 ハイパーフレックスは、まさに所定労働時間そのものをカスタマイズするものですから。 ## (関連記事) 意外と知られていませんが、働き方は思っている以上に融通を利かせられます。労働基準法では「働きすぎ」を防ぐための上限を敷いているだけで、下限は敷いていません。1日8時間労働も、月150時間の所定労働時間も、法的には何の根拠もないのです。 だからこそ、スーパーフレックスやハイパーフレックスなど「働き方にメスを入れるもの」は重要です。 **このような概念と向き合うことで、働き方を変えていいんだとの目線に立てます** 。 当サイトでもいくつか扱っているので、関連記事として紹介しておきます。 労働時間が少ない = その分給料も減らす、としがちですが、労働者目線では優しくないです。短時間正社員という制度がありますが、これも給料を減らすものであり望ましくない。 給料を減らさず、でも労働時間もっというと負荷を減らすには、を考えています。 フリータイムという「より融通の利く時間帯」を定義しています。働き方のデザインの役に立つはずです。 本質的には「時間帯をどう設計するか」という話でもあります。当サイトではセクションウェアと名付けて、整理しています。 # Title: プロジェクトとトランスジェクト(Project vs Transject) 現代はプロジェクト・エコノミーであり、プロジェクトの時代とも言えますが、プロジェクトにも限界があります。 新しい考え方を導入しましょう。 **トランスジェクト(Transject)** です。 ## プロジェクト vs トランスジェクト まずはトランスジェクトの概要を、プロジェクトとの違いを比較しながら見ていきましょう。 ### プロジェクトとは プロジェクトの定義は権威次第ですが、一般的には以下を満たします。 * 一時的であること * 開始と終了がある、つまり終わりがある * 制約があること * スコープ・スケジュール・コストのトリプル制約 * ゴールがあること * 成果物(アウトプット)を定義する場合と、その先の実益の入手(アウトカム)まで射程に入れる場合がある * プロセスがあること * プロセスベースで進めていくことを指定している場合があります * PMBOK や PRINCE2 は指定していない * ISO 21500 や IPMA は指定している つまり「ゴールと終わりがあって」「制約もあって」「プロセスもあったりなかったりする」活動を指します。 実際、現代では必要に応じてプロジェクトをつくったり壊したりしており、このあり方をプロジェクト・エコノミーと呼びます。 ### トランスジェクトとは トランスジェクト(Transject)とは、「ゴールや終わりがなくて」「制約もプロセスもない」活動を指します。 プロジェクトは Pro- のとおり、前に進めるのが目的なので、色々としっかり決めてから責任を持って取り組むものです。 一方、これだけでは、 **進むと決定された事柄以外がこぼれ落ちますし、中長期的な検討や議論もできません** 。また **肩の力を抜いて遊んでいるからこそ生まれてくるようなものありますが、プロジェクトでは捉えられません** 。トランスジェクトは、これらの問題をカバーします。 Trans- は「越境して」という意味です。トランスジェクトは、あちこち行ったり来たりして深めていくことを指します。 仕事でも雑談をしたり、給湯室や喫煙室、あるいは別のチームの島に遊びに行って話したりすると思いますが、まさにそういうことです。プロジェクトのように何もかも決めて、責任を持って取り組むわけではないが、肩の力を抜いてそれなりに取り組んでいはいるという、そういうものです。 トランスジェクトと言葉を定義したのは、 **このような活動をもっと重要視して、プロジェクトと並ぶ概念として共存させていきたいからです。** ### Work and Busy → Play and Slack PJ(プロジェクト)とTJ(トランスジェクト)の違いは、一言で言えば次のとおりです。 * PJ は Work and Busy * TJ は Play and Slack プロジェクトは仕事として制約も責任も重たいですし、しばしば忙しくなりがちです。制約やゴールを守るためには、時には無茶もします。 一方、 **トランスジェクトは逆で、そういう負担を一切負いません。Work ではなく Play(あそび)ですし、Busy ではなく Slack(余裕)なのです** 。 ### PJとTJの違いを、4要素から比べる 永続性 * PJ は一時的です。開始と終了があります * TJ は永続的です。開始や終了はありません * 半永久的に続きます * いつやってもいいし、やらなくてもいいのです 提供性 * PJ は提供性があります * 顧客に何らかの成果物を提供することが定められています * TJ には提供性はありません 変動性 * PJ はリソースは変動しません * プロジェクトとして決めた予算、人員、期間がドカッと確保されて、基本的に使い切ります * 調整も可能ですが、融通は利きません * TJ はリソースは変動します * まず **ミニマムリソース(許容可能な最低限のコスト)** があって、常に消費します * ミニマム以上については、必要に応じて増やしても構いません 計画性 * PJ では計画をつくり、そのとおりに動きます * 計画を見直したり、小さい範囲でつくることもありますが、計画ありきです * TJ では計画をつくらず、偶然生まれたものを大事にします ### PJ と TJ は共存するもの プロジェクトとトランスジェクトは共存します。 * 前に進めるためにプロジェクトをします * 横や奥に広げたり、立ち止まって考えたりするためにトランスジェクトをします どちらか片方では望ましくありません。 * プロジェクトだけだと、前に進むことしか考えないので色々とアラが出る。負荷も高くなる。結果として「総合的に優秀な人」の有無で成否が決まる世界になる。再現性がなく、できる人・できない人の格差がついて偏る * トランスジェクトだけだと、何をすればいいかわからなくなったり、締切や制約もないからサボったりしてろくに進まなくなる。絶対的な基準もないから、自分で動ける人以外が全く動けなくなり、やはり格差がつく。 プロジェクトでしっかり前に進んで、でもそこでできなかったことをトランスジェクトでやります。トランスジェクトとしては、特にプロジェクトで役に立つことを追求するでしょう。つまりお互いに生かし合います。 私たちは仕事をしているからこそ私生活も楽しめると思います。私生活ゼロの過労も、仕事ゼロの無職も、どちらもやりづらいはずです。推進と脱線のバランスは重要なのです。 人材としては、ウエイトで分けます。 * PJ 100% * TJ 100% * PJ 2 割、TJ 8割 * PJ も TJ も半分ずつ etc このように PJ と TJ の配分を分けるようにします。人によって向き不向きはありますし、同じ人でも状況次第で変わるでしょうし、変えていいです。 従来のプロジェクト・エコノミーは、いわば PJ 100% しか選択肢がないようなものですが、そうしなくてもいいのです。少し極端に言えば、 **プロジェクト対応でヒーヒー言っているメンバーの横で、残業ゼロでのんびりトランスジェクトで遊ぶメンバーがいたっていいのです** 。 プロジェクトは、プロジェクトに向いた者がやればいいのです。逆にトランスジェクトに向いている者もいます。 ## なぜトランスジェクトか 今までなぜトランスジェクトという考え方が生まれてこなかったかというと、資本主義だからです。 資本主義は、構造的に少数の権力者(勝者)が多数の駒を搾取することで成り立ちます。まさに機械がそうですが、多数の駒を効率的に動かすには、やり方を決めてそれに従わせるのがベストです。 すでに見てきたとおり、プロジェクトは決め事にまみれた営みです。権力者が管理しやすいのです。 **資本主義でいる以上は、プロジェクトを脱した考え方が生まれません。生む必要もないし、何なら生ませたくないまであります** 。 だからこそ、トランスジェクトを意図的に啓蒙・導入していく必要があります。搾取を食い止め、より多様な社会を目指すために。そのために、この度トランスジェクトの概念をつくったのです。 ## トランスジェクトを実施する では、トランスジェクトは具体的にどのように進めていけばいいのでしょうか。プロジェクトもそうですが、やり方や考え方は一つではありません。 そこで、ここからは仕事術2.0を使って一例を示します。 考え方、手段、制度の3要素それぞれについて、3つずつ取り上げて整理しています。 ### 考え方 1: トピック指向 TJ は PJ ほど制約が強くないため、「情報を外に残す」ことで進めていかねばなりません。しかしチャットや録音録画、文書といった程度では上手くいきません。 話題ごとに置き場所を変える、という概念を導入せねなばなりません。トピック指向と呼びます。 2: コンセプトドリブン 具体的なニーズや問題に応えたり、コミュニケーションのために集まったりといったことは疑うまでもなく重視されます。このようなものをドライバーと呼び、前者はイシュードリブン、後者はギャザードリブンと呼びます。 トランスジェクトには、実はもう一つ必要です。それがコンセプトドリブンで、その名のとおり「概念」を重視します。自分なりに概念をつくって、言語化して、伝えて議論して、という営みを楽しむということです。 ドライバーというほどですから、仕事の一環として堂々と行えるほどの座に上げます。 3: ソロワークとソーシャライブのバランス 現代はチームワークの時代でもありますが、チームワークは常に本番試合をしているようなものです。 スポーツやゲームがわかりやすいですが、本番だけでは上手くいきません。個人練習も必要ですよね。それがソロワークです。その名のとおり、ひとりで考えて形にします。 孤独とも言えますが、トランスジェクトでは重要です。社会人ならば必須のスキル・リテラシーと言えるレベルで重要ですので、当サイトでも強調しています。 一方で、ソロばかりだと病んでしまいます。集まってやった方が早い場合は、もちろんそうした方が良いです。ソロとソーシャルを、各自に合った形で行き来できるとベストです。 ### 手段 1: QWINCS トランスジェクトでは、デジタルツールを使った情報のやりとりを主に行います。ツールを使わねばなりません。 主なツールとして Q W I N C S の 6 種類があり、上記記事にて整理しています。ちなみに C はチャットですが、チャットはこのうち一種類に過ぎません。チャットしか知らない人(たとえば Teams や Slack や LINE など)は、全然足りません。 2: コラボレーティブ・ノートテイキング ツールのうち、特に重要なのがノートアプリです。 言葉で書いて、議論するためには、チャット程度ではなく、ノートレベルの「ちゃんと書ける」手段とが必要ですし、複数人で連携・協調するためには同時編集など、それなりの便宜も必要です。 このあたりの理論を整理したのが「コラボレーティブ・ノートテイキング」です。 3: プレゼンシング 私達は人間なので、デジタルツールで情報を交換するだけで完結はできません。しかし、従来のように出社して対面で、打ち合わせをして――となると負担が高すぎます。プロジェクトはともかく、トランスジェクトでは成立しません。 そこで折衷案として「存在感を共有する」塩梅があり、これをプレゼンシングと呼んでいます。プレゼンス(存在感)を共有するわけですね。 ### 制度面 1: 勤務2.0 現代の労働観はまだまだ原始的で、労働者にとって搾取的なものです。先日は[ハイパーフレックス](https://note.com/workhack20/n/nd7da616684b7)を取り上げましたが、ハイパーどころかスーパーでさえもマイノリティです。 トランスジェクトは、Play and Slack のとおり、各自が余裕をもって遊ぶように取り組むことで行えるものです。勤務制度で働き方を縛られていてはスタートラインにも立てません。融通を利かせねばならず、そのあたりを勤務2.0と呼んで整理しています。 2: ティール組織 先述にて資本主義の構造的な問題を指摘しましたが、これは組織のあり方からも来ています。いうまでもなく現代でもまだまだ階層的な組織が採用されていますが、階層的である以上、どうしても権力が偏ります。限度が出ます。 ですので、組織のあり方そのものをアップデートせねばならないのです。現在最も確かであろうものがティール組織であり、当サイトとして取り上げています。 特に上記記事は、ティールの本質を 3 つの P で端的に整理しました。 3: 特区 イノベーションなど先進的な文脈では、既存の組織が足を引っ張ることがあります。組織のルールや文化が邪魔なのです。 ですので、組織から切り離した治外法権的な場所をつくらねばなりません。当サイトでは特区と呼んで、整理しています。 トランスジェクト推進においても、まずはトランスジェクト用の特区をつくって推進するのが鉄板でしょう。 ## おわりに プロジェクトの限界をカバーするために、トランスジェクトという新しい概念を提唱しました。 また、トランスジェクトを実現するために、仕事術2.0の仕事術をどう使えばいいかの一案も述べました。 ぜひご活用ください。 # Title: エビデンス至上主義から脱却するための仕事術 以下記事では経営学から攻めていますが、 本記事では仕事術の目線で攻めてみましょう。 ## 背景:エビデンス至上主義の危うさ 記事中にて、舟津さんは文脈の欠落を指摘していると思います。つまり、 **エビデンスが導出されたときの文脈と、そのエビデンスを使おうとする私達の文脈は違う** ということです。 エビデンスとは前者の文脈に従って導出されたものであり、後者の、私達の文脈の場合にもそのまま当てはまるとは限りません。 にもかかわらず、専門家のお墨付きだからと思考停止して取り入れたり「エビデンスはあるの?」と、単純な有無だけでは判断したりするのは短絡的なのです。 ## 文脈を踏まえよ では、どうすればエビデンス至上主義から脱せるのか。 答えは単純で、 **文脈を踏まえる** ことです。 > > 医療者はエビデンスを学んで常に知識をアップデートしています。しかしエビデンスに真面目に向き合うほどに「とは言い切れない」「可能性が高い」「この状況ではこうだ」としか言えないものが多いことに気付くはずです。それでは医療が非効率化するばかりですし、患者さんとのコミュニケーションも停滞します。エビデンスを知るからこそナラティブや箴言が重要になるのです。 この引用は、医療者がエビデンスを鵜呑みにせず、エビデンスをインプットした上で、自分の文脈に当てはめていることを説明しています。 ビジネスではドメイン知識と呼ばれることもあります。その場その組織なりの固有の事情があります。そして、通常はそれら当事者から引き出す他はなく、結局はコミュニケーションやコラボレーションといった営みをして引き出していきましょう、となります。 ## 文脈を踏まえられるのは当事者自身 文脈を理解するのはかんたんではありませんし、通常は不可能です。 よく外部から偉い人が来て支援や改善をする場面がありますが、たいていうまくいきません。文脈を理解しきれないからです。極端なのが正論で、正論がそのまま役に立つとは限りませんし、むしろ当事者を苛立たせます。 では、どうすればいいかというと、 **すでに文脈を知っている当事者自身がやればいいのです** 。 当サイトでもすでに[地方創生2.0](https://note.com/workhack20/n/nf2a4dc94e697)の記事で解説していますし、DXの文脈でいう内製もまさにそうです。文脈を知らない外部の SIer に頼むよりも、文脈を知る自分たちが IT を身につけて(リスキルして)つくれるようになった方が早いのです。 ## 脱却するための汎用的な手段として仕事術を エビデンス至上主義を含め、既存のやり方や考え方から逃れるのは難しいことです。 冒頭の記事では書籍『経営学の技法』にて、経学的にエビデンスをどう読み解けばいいかという路線で汎用的な手段を表現しているようです。本記事では別の表現にします。 仕事術です。 **何かから脱却するためには、ひとりでしっかりと熟考する** ことが不可欠です。しかし現代人は多忙ですし、現代はチームの時代ですから、ひとりでいれる機会もなければ、熟考する力すら持たないことが多いのです。 この現状をカバーするために、当サイト仕事術2.0では、いくつかの仕事術をつくりました。 内省。 内省自体は既存の言葉ですが、ビジネスにおける熟考として捉え直して、整理しています。 ソロワーク。 チームワークは本番試合のようなものです。本番試合ばかりしていては脆いですよね。個人練習や練習試合も必要なはずです。それをソロワークと呼んで、捉えました。 スラック。 スラックとは余裕を指します。ひとりで考えるためには、物理的なゆとりが必要です。たとえば一日一時間、業務時間中に、誰からも何にも邪魔されない時間を取れますか?毎日取れますか? この程度もできない現状が、控えめに言ってもイカれています。イカれていることさえ自覚できません。だからこそ、余裕そのものを概念にして、啓蒙しなければならないのです。 トランスジェクト。 プロジェクトと対になる概念です。 プロジェクトは何もかもが決まっていて、そのとおりに進めて確実に前に(Pro-)進めるものですが、トランスジェクトは Trans- のとおり、越境的なニュアンスがあります。 Work and Busy ではなく Play and Slack です。肩の力を抜いて、立場や責任にもとらわらず、余裕をもってあそびます。ひとりでの熟考も、トランスジェクトだからこそできることですし、熟考したことをみんなに共有して議論するのにも、やはりトランスジェクトが必要です。 プロジェクトの考え方では限界があるのです。 ## おわりに 人は弱い生き物であり、安易に何かにすがりたくなります。宗教は典型例であり、エビデンス至上主義も、言ってしまえばエビデンス教です。 そうではなく、文脈を知る自分たち自身で考えることによって道は開けます。そのためには、それを継続的に行えるだけのやり方と考え方を知り、実践せねばならないのです。 当サイトでは様々な仕事術を紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。 # Title: ビューとしての壁紙(Wallpaper As A View) ビューとは何らかの情報を表示したものを指します。大げさに言えばダッシュボードですが、XTwitterのタイムラインやOutlookの予定表もビューです。 ビューは通常、何らかのアプリの中で表示します。そうではなく、 **常に表示されている壁紙を使おう** というのが趣旨です。 ## 既存の例やたとえ スマホではお馴染みでしょう。 特に時刻やカレンダーの表示は、ガラケーの時代から行われています。一方で、スマホでも、通常はウィジェットなどアプリの一部として表示されがちです。そうではなく、最も背面に表示される壁紙として表示したいのです。 物理的にたとえるなら、机上に時計を置くのではなく、机上に日時を表示するようなものです。 パネルにするか、プロジェクターのように投影するかなどやり方は色々あるでしょうが、物体を置くわけではないのでスペースは占有しません。 ## メリット Ans: ビューをストレス無く確認しやすくなります。 アプリやウィジェットとは違い、最背面の壁紙として表示されているので **自然に目に入りやすくなります** 。小難しく言えば、シームレス(垣根がない)です。 シームレスは重要です。生成AIを用いたプログラミングについても、単に ChatGPT からコピペするのと、Cline などで直にコードを挿入してくれるのとでは便利さが全然違います。 ## ビューとしての壁紙を実現する Windows の場合を解説します。二通りあります。 ### 1: 壁紙を模したウィンドウをつくる 最大化したウィンドウを表示し、デスクトップアイコンも見えるように透過させて――と特殊なウィンドウをつくることで擬似的に壁紙を実現します。 Wallpaper Engine はこのアプローチです。 このようなソフトウェアではなく、自分でつくりたい場合は、Windows API を用いたプログラミングを頑張ることになります。 ### 2: スライドショー機能を使う Windows には壁紙としてスライドショーを設定できます。 この機能を使うことでも、ビューとしての壁紙は実現できなくもありません。 ![](/assets/n2c11f602be24_1747081813-RGAkbrx8gU46c2NtiWvfQCLy.png)スライドショーの設定画面 未検証ですが、ポイントは以下のとおりです。 * 切り替え間隔は1分にする * 指定したフォルダに「表示したい情報」を **画像として動的に** 追加する たとえば Outlook の予定表を表示したい場合、予定表をキャプチャした画像をフォルダに保存します。細かい間隔や枚数は試行錯誤が必要でしょう。要は、スライドショーの機能が表示してくれるような保存の仕方を模索せねばなりません。 ## おわりに ビューとしての壁紙を解説しました。アプリやウィジェットとは違い、最背面に常に表示されているので、純粋に目に入りやすくなって便利です。 課題は実現方法であり、一応 Wallpaper Engine など実現性はありますが、気軽ではありません。もっとかんたんに行えるソフトウェアがあるといいのでしょうね。 # Title: Fresh Perspective(フレッシュ目線) フレッシュ目線とは、 **新人や部外者といったフレッシュの目線** という意味です。 ## フレッシュ目線の価値 通常、フレッシュ目線は相手にしないと思います。新人や外部コンサルがいきなり提案を述べたところで「何言ってんだ」となるでしょう。また、SNSでは無責任な部外者のコメントが散らかりがちです。つまりフレッシュ目線は、相手にする価値はないとみなされます。 一方で、組織には必ずバイアスがあり、フレッシュ目線はそこにとらわれない目線を提供できます。フレッシュ目線には、実は価値があるのです。 **良くも悪くも、受け手次第なのです** 。 ## 「フレッシュ目線では」 フレッシュ目線という言葉のおかげで、「フレッシュな目線」そのものに目を向けたり言及したりできます。 たとえば、フレッシュな人にフレッシュ目線でコメントをお願いしたり、関係者であっても「フレッシュ目線では……」と発言できたりします。 これは同時にロールプレイ的でもあるので、角も立ちづらいです。「フレッシュ目線で喋るモードになりますよ」と言っているからです。 ちなみに、英語だと From a fresh perspective, になると思います。 # Title: Box Baton、Box Q&A、Box Git Box の新製品案を[フレッシュ目線](https://note.com/workhack20/n/ne1e4a018f6ce)で提案してみましょう。 ## はじめに 本記事は、フレッシュ目線のサンプルです。 要は外部から Box の新製品案を勝手に考えているだけです。しかし、だからこそ生まれてくるものがあります。 また、このように、既存の組織をダシにして案を出すことは、仕事術を考える上で訓練にもなります。といっても、一からキャッチアップするのは大変なので、普段使っている製品が良いでしょう。私も [Box は使っている](https://note.com/workhack20/n/n4cc6829e3da6)ので、今回選ばせてもらいました。 ## 背景:オールインワンが狙い目ではないか 今後ますますオールインワンが重要になってくると思います。 まず、生成AIの利活用は外せないとして、そうするためにはデータがなくてはなりません。Box は[非構造化データの構造化(文書からデータ抽出+メタデータつけて探せるように)](https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/interview/1640369.html)を皮切りに、必要な機能を拡充させているようです。 さて、データというと資料や記録と思われがちだが、普段のコミュニケーションでやりとりする分も含みます。これらを集めるには「やりとりで使うツール上で」採取するのがベストです。Box を使う場合、Box でやりとりさせねばなりません。 つまり Box 自体をワークプレイスかつワークスペースにしないといけません。そのために必要な機能を全部集めるオールインワンを目指すことになります。 別の言い方をすると、 **現状の Box はストック型のデータを貯められるのみです。フロー型のデータも重要ですが、これを貯める機能がありません** 。 通常、フロー型とストック型は別々のツールが使われますが、Box がフロー型もサポートすれば、全部 Box で完結するというオールインワンを実現できます。 囲い込めるし、よりドメインの濃い事例も増えて、ビジネス拡大に繋げられるでしょう。 日常生活の家事や料理、あるいはスマホアプリがそうであるように、通常はたくさんのツールを使い分けますが、 **ビジネスで、かつ IT に明るくない場合はその限りではないです。費用面、リテラシー面などの問題で、必要なツールを全部揃える&使いこなすことができないのです** 。 よって、そのコストと手間を抑えるオールインワンが求められます。すでにMS365、Google Workspace、サイボウズのグループウェアなどニーズはありますよね。特に組織が大きくなるほど、この問題も大きくなりますからなおのことです。Box もまさに大企業向けが伸びているとのことで、適切でしょう。ここを目指せると思うのです。 そろそろ問いを立てましょう。 オールインワンとしての Box を目指すとした場合、足りないのは何か? それは **コミュニケーションの機能とバージョン管理の機能** です。 ## Box Baton > コミュニケーションの機能 これをカバーする製品として、 **Box Baton** を考えます。 ### バトンウェア バトンとはリレー競争で引き継いでいくバトンのことです。 バトンを使ったコミュニケーションを考えてみましょう。 * 🐶さんがバトンをつくって、文脈と質問を書いて、応えてほしい人に渡す * リレー競争のようにバトンが渡っていく * 書き込まれていくのでバトン内の情報(回答)も増える * バトンは最終的に🐶さんに戻ってくる このようなソフトウェアを **バトンウェア** と呼んでいます。 つまり Box Baton とは、Box 内でバトンウェアを構築しませんかという話です。 ### Box Baton 詳細 典型的には、文脈としてBox内に資料を置いてそのポインタを記すことになるでしょう。 回覧板のイメージがわかりやすいと思います。自分にバトンが来たら、応えて、次の人に渡します。あるいはバトンの設定で、自動で回してもいいでしょう。 もちろん、その他細かい挙動は設定できるので安心です。バトンを渡せる範囲を指定したり、誰が何を書いたかを見えないようにしたり(逆に見えるようにするのもアリ)など。目的に応じて自由に調整できます。 ### メリット バトンウェアの良いところは、タスクとして処理されやすいところです。メールやチャットのような「単にメッセージが届いた」よりもわかりやすいのです。必要な文脈はバトンの中に入っていますし、設定次第ですが、そのバトンに何が書き込まれているか、また今後どう流れていくかも見えるので透明性もあります。 また「好きな人に渡してください」もできるので、偶発性も期待できます。総じて、コラボレーションが加速します。 ### Q: ビジネスチャットにはしないの? Ans: しません。 ビジネスチャットはすでにシェアが強く、機能も豊富なので、今さらキャッチアップするのは苦しいです。 チャットとは異なるアプローチで「コミュニケーションに使える」を開拓せねばならないのです。今回はバトンを中継していくリレーのメタファーを使って、Box Baton にしてみました。 ※ちなみに、すでに Box Relay があります。リレー(中継)のコンセプトは理解できるはずです。 ## Box Q&A > コミュニケーションの機能 もう一つ、 **Box Q &A** という製品でもカバーしたいです。 ### Box Q&Aとは Q&AサイトのQ&Aです。これをBox上に構築します。 フォルダ上にQ&A機能をつけて、[コラボレータ](https://support.box.com/hc/ja/articles/360044196413-%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%9C%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%AE%E6%A8%A9%E9%99%90%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6)なら誰でも質問回答ができるようにします。 ### Q&Aについて Q&Aというジャンルについて整理しておきましょう。当サイトでは[QWINCS](https://note.com/workhack20/n/n023f1ef91e3e)として解説しています。 * Q&Aは主要ツールの一種だが、企業向けは未開拓 * 誰でで質問でき、誰でも回答できる * ゲーミフィケーションにより参加を促すことで、「いつ質問しても、誰かがすぐに応えてくれる」状態を目指す * ドメインの込み入った質問は機能しない * 知っている人(ブレイカー)なら一瞬で答えられるものが良い * つまり **Q &Aはブレイカーとのマッチングを最大化するもの** ### Box Batonとの違い Baton はバトンをつくる人が、誰に渡すかを決めます。 **委譲ドリブン** と呼びます。また誰に渡すかを委ねることもできるので越境的・偶発的です。 Q&A は質問を見た人が答えられそうなら答えてくれるというものです。 **質問ドリブン** と呼びます。「誰」は意識しません。重要なのは回答であり、回答さえ来るのなら誰でもいいのです。 ※もちろん AI でも良いです。し、生成 AI が盛り上がる昨今、未開拓の Q&A を改めて問い直す価値はあります。 このとおり、ドライバーが違います。それでもコミュニケーションを、特にフロー型のコミュニケーションを行う機能である点は同じです。 ## Box Git > バージョン管理の機能 意外と見過ごされがちなのが、バージョン管理――いわゆる VCS(Version Control System)の機能です。すでに Box がサポートする履歴管理ではなく、Git の話です。 ### Box Git とは Box上にGitの機能をつくるという話です。 ### 背景 Git のデファクトスタンダードは GitHub ですが、リテラシー的・コンプラ的に使えない会社も多いです。 そんな組織でも Box は使えています。なら、Box 上でサポートしてしまえばいいのです。生成 AI が最も生きるのはプログラミングであり、コードはGitで管理するものです。Git ストレージが Box にあると連携もしやすいのです。実際、AWSやAzureも独自の Git ストレージを持っています。 さて、Box がターゲットにしているような大企業では、手を動かせるエンジニア or それに匹敵する力の持ち主も多くいます。しかし、そのためのツールが整っておらず、GitHub も安易に使えません(むしろ禁止されがち)。仮に使えたとしても、オープンソース的なコラボレーションまでは行えません。 **この現状は穴場です。すでに大企業に導入されているツール上で Git エコシステムを実現できたら、この人達が力を振るえます。Web 2.0 やオープンソースが世の中を席巻したように、企業内の化学反応も加速するでしょう** 。Box Git があれば、そういう熱を起こせる製品です、と謡えるのです。 ※本当は Git は煩雑なので、よりもシンプルなバージョン管理プロトコル(もちろん互換性のために Git 準拠)を開発したいのですが、高度な話になるので割愛します。まずはデファクトスタンダードの Git で良いでしょう。 ### インナーソースを狙う 社内でオープンソース的活動を実現したものをインナーソースといいますが、インナーソースの実現は非常に難しいです。 Box Git があれば可能です。ちなみに、GitHub Issuesに相当する部分は、Box Q&A でカバーできます。 ## おわりに Box を例に、フレッシュ目線で新製品を提案してみました。Box の中の人も、利用者も、どちらでもない人も、色々と示唆を得られると思います。 # Title: Contextize(文脈化する) 文脈を言語化して形にすることを **Contextize(コンテキスタイズ)** と呼びます。 **Contextualize とは違う** 点に注意してください。Contextualize は「文脈に当てはめる」という意味です。A を B に当てはめるという形で、A を B の文脈に入れるとのニュアンスです。 ## 概要 ### 言語化 + 残す Contextize とは文脈を言語化して残しておくことを指します。 * 1 言語化すること * 2 残すこと この二点がどちらも必要です。つまり後で読んで思い出せる or 忘れててもその場で理解できるということです。 忘れがちなのは 2 で、言語化したことをその場で誰かに伝えておしまい、では意味がありません。書いて残さねばなりません。 ### 描くのではなく、書く Contextize は書くものです。 文脈を記述するには言語化が必要であり、言語は書かねばなりません。図表など限定的に「描く」ことはできますが、抽象的・感覚的になりがちな絵を描くことに逃げてはいけません。 ### なぜ重要か? なぜ Contextize なる概念をわざわざ定義したのでしょうか?それは文脈を言語化して残すことのニーズが増えてきたからです。 最も端的なのは生成AI、特にLLM(大規模言語モデル)です。 LLMにはテキストを渡す必要がありますし、より正確な回答がほしければ自分の文脈も渡さねばなりません。これはつまり、文脈をテキストで記述して渡すことに他なりません。 最近、ChatGPT が過去のやり取りを保存して常に参照するようになりましたが、これも「過去のやりとり」という「テキスト化された文脈」を使っていると言えます。Contextize の一種と言えます。 また、テキストとして残しておけば再利用ができます。たとえばチームの文脈を誰かが一度テキストにして、かつプロセスも整備してメンテナンスしておけば、チームメンバー全員が使えるようになります。 このように、文脈をテキスト化する必要性が増えています。名前をつけて議論できるようにした方が良いですし、体系化した方が便利でしょう。当サイトでは Contextize と名付けました。 ちなみに、生成AIに限った話ではなく、Contextize 自体は昔からあります。 * プログラミングの文脈では昔からある * 未来の自分は他人。未来の自分は他人も同然なので、他人でも理解できるようにしておかないとあとで詰む * コードとドキュメント。コードを書くだけじゃだめで、コードを理解するドキュメントも必要 * コードとコメント。コードの中にコメントを書けるようになっていて、ドキュメント相当をこれで済ませる派閥もいる * リーダブルコード。逆にコメントなどドキュメントには頼らないで、コードを見てわかるように「わかりやすいコード」を書いていこうって潮流もある。たとえば名前一つ一つのわかりやすさにもこだわる * いわゆるタスク管理でも近年出てきています * [文芸的タスク管理](https://zenn.dev/sta/books/taskmanagement-kamikudaku/viewer/literate)。そうでなくとも[デイリーノート](https://note.com/workhack20/n/n620837dd9917)などで日々なんでもノートに書きながら仕事・生活する人はそれなりにいる。文脈を書いていると言える ## Contextize と仕事術 Contextize の説明は以上です。 ※この記事では体系の内容までは踏み込ません。体系化が進んできたら改めて共有します。 要するに文脈の言語化と、それをテキストに残すことの二点をどうやって行うか、また続けるかを考えて実践すればいいと言えます。 参考までに、仕事術2.0を使って、少し考えてみましょう。 私が指南しても良いのですが、せっかくなので生成AIを使ってみましょうか。 ### 準備 * 1: [仕事術2.0のllms.txt](https://note.com/workhack20/n/ndc34e8337856)をコピペします * AIに食わせるために仕事術2.0の内容を全部テキスト化しています * 2: ChatGPT など生成AIを使って、以下のプロンプトを投げましょう > # 仕事術2.0 > (仕事術2.0のllms.txtの内容) > > # Contextize について > (本記事の内容) > > # 質問 > Contextize > を体系化するために仕事術2.0を使いたい。どのような仕事術が使えそうかを「文脈の言語化」と「テキスト化して残す」の二点に分けて整理して論じて。 プロンプトの構造。 今回は ChatGPT o1-pro でやってみます。 ![](/assets/nf698bc974060_1747255630-wlGR6Yx0boUtKkvQW3fs8INc.png)問い合わせている様子。 [ChatGPT のログはこちらから見れます](https://chatgpt.com/share/68250198-ecd4-8007-82c1-ac336b73e18e)。 ### 結果 ChatGPT が出した結果を共有します。[ChatGPT 側のログ](https://chatgpt.com/share/68250198-ecd4-8007-82c1-ac336b73e18e)を見ても良いです。 まずは「A. 文脈の言語化に役立つ仕事術」を出しています。 > > 文脈は多くの場合、「暗黙知」や「頭の中のニュアンス」として存在しており、それをいかに言葉にできるかがポイントになります。仕事術2.0で言語化を促す・助ける概念をいくつか挙げてみます。 記事としては、以下を取り上げています。 次に「B. テキスト化して残す(記録・再利用)ために役立つ仕事術」を論じています。 > > 文脈を言語化しても、そのまま頭の中や口頭のやり取りだけで終わってしまうと、後から参照したり、他の人に再利用してもらうことができません。「残す」仕組みが不可欠です。 記事としては、以下を取り上げています。 最後に、まとめとポイントが改めて述べられています > まとめとポイント > > * 文脈の言語化 > \- 暗黙知や頭の中の前提をメタ認知し、言葉に落とす > \- 「トピックライティング」「提案時の Why/What/How」「観察者としての私」などが有力 > \- 「文脈」をいかに自覚・引き出し・整理するかがカギ > > * テキスト化して残す > \- 言語化した文脈を、その場で終わらせず書き残す > \- 「オープン・トピックライティング」「ラピッド・リファレンス」などを活用 > \- 生成AI との連携(EFAI や プロファイ)にも繋がる > \- 「分報」や「トピックボード」で日々の文脈を継続記録し、後から参照・共有しやすくする > > > 仕事術2.0には、単なるコミュニケーションやタスク管理を越えて、「いかに背景・文脈まで含めて共有するか」を意識したノウハウが多数存在します。これらを組み合わせれば、Contextize(文脈を言語化して残す) > という営みを強力に進めることができるでしょう。 ……いかがでしょうか? 全体像やストーリーや哲学は無く、純粋に使えそうな仕事術を拾って列挙しただけですが、それでも使えそうなものを読んで試していくことはできるでしょう。 ## おわりに 文脈を言語化して保存することを Contextize と呼んだ上で概要を解説しました。また、仕事術2.0 を使ってどう Contextize するかの一案も述べました(生成AIでつくりました)。 本文で取り上げそこねましたが、名詞として言及するなら Contextization(コンテキスタイゼーション)が良いでしょう。 と、それはともかく、あえて言葉を定義したのには理由があります。生成AI時代、特に求められてきたからです。 皆さんもぜひ Contextize を進めてみてください。 # Title: 仕事術を詩で表現します ![](/assets/n814731a53efe_c0f51264ff6fdf8025d26a9b1df478e0.png) すでに[アートで表現](https://note.com/workhack20/n/nae1c7c1abb25)したり、[小説を書いてみたり](https://note.com/workhack20/n/n9ab84f623d6a)していますが、今回新たに「詩」を書いてみました。 ## こちらからアクセスできます noteの姉妹サイト『Tales』で公開しています。 不定期更新ですが、これからどんどん書いていきたいです! ## 以降は詳しい解説です ### なぜ詩? 仕事術の啓蒙はとても難しいことです。いわば、まだ検証されていない概念をお伝えし、試していただかねばならないわけで、茨の道です。 仕事術の対象はビジネスであり、ビジネスマンですが、この世界の住人は実利を重視します。概念は中々刺さりません。エビデンスやプロトタイプばかり求めてきます。足踏みしてないで、思考と概念の力にもっと頼れ、踏み出せ、行動せよ―― というわけで、従来からアップデートして仕事術『2.0』と名付けていますが、新しい試みということもあり実績もなく、啓蒙はままなりません。 最近は、アプローチ先の世界を変えた方がいいのではと思っています。 それでアートとしての仕事術(芸術)だったり、小説を書いてみたり(創作)していますが、もう少し武器を増やしたかったのです。何で当たるかなんてわかりませんから。 そうして目をつけたのが詩です。 ### どういう詩を書くつもり? 新しい仕事術(仕事のやり方や考え方)をそのまま表現するのは厳しいので、既存の仕事術を自覚してもらい、疑ってもらうための「濃縮された」「目を引く」センテンスを書こうとしています。 たとえば、こんなイメージです。 ![](/assets/n814731a53efe_1747380566-tS7aDF9Ex1QVJjBnuYdOfP02.png)『完璧と潔癖』 従来の詩との違いは、感情やイメージの想起にほとんど頼らないことです。アートとしての仕事術として Practical Conceptual Art を立ち上げましたが、仕事術ですので Practical(実用)の側面は重視せねばなりません。 **イメージに逃げて誤魔化してはいけないのです。読者が抱く仕事術を――『実用の理』を揺さぶらねばなりません** 。 しかし、詩ではありますので、芸術の余地もつくらねばなりません。 ### 『しごとし』 そうして生まれたのが『しごとし』です。 仕事詩をひらがなにしただけですが、詩らしい柔らかさと含みをシンプルに持たせられていると思います。 細かい背景や思いもありますが、語っては無粋でしょう。これくらいにしておきます。 ぜひお越しいただき、お楽しみいただければと思います! # Title: ストレスポートフォリオ > 人生とはストレス投資である。 人生戦略として、 **どのストレスにどれだけ投資するかという考え方** があります。 **ストレスポートフォリオ** と呼びましょう。 ## 概要 ### どのストレスに投資するか ストレスポートフォリオでは、ストレスのレパートリーを **主観的に** 列挙した上で、どれにどれだけ費やすかを決めます。 単位としては回数や時間が使えます。持ち分も適当で良いです。あくまでも主観的に数字化します。ということは、まずは雑に設定してみて、日々過ごしながら最適な持ち分や配分を見つけていくことになります。 ### ストレスポートフォリオの例 まずは範囲と単位とメニューを決めます。 範囲: 週 単位: 回 * 10分以上会話する * インターネットへのアウトプット * 勉強(生成AI、英会話) * 身体と心肺の強化(筋トレ) * 1日2回以上の自炊 次に持ち分と配分を決めます。 ![](/assets/na38b66ff5429_1747871767-t2wK7yurI5BQiGjVbUvcWl48.png)20(回)の持ち分を配分。 ちなみに使いきれてないので、今後持ち分を減らすでしょう。 最後に、このポートフォリオを意識しながら日々行動していきます。範囲は週ですから、一週間分過ごしおえた後に振り返りをしましょう。 ### 習慣トラッカーと似てない? ここで習慣化に詳しい人は[習慣トラッカー](https://note.com/workhack20/n/n3bc2921cf15b)を思い浮かべるでしょう。ラジオ対応カードが有名ですが、日ごとのノルマをリストアップして、対応したらチェックをつけるというものです。 似ています。 というより、 **回数ベースの** ストレスポートフォリオに従って日々活動できているか、を記録するのに習慣トラッカーが使えます。 ### ストレスポートフォリオの思想 * 人生はストレスへの投資と考える * バランスを探るために、ポートフォリオの概念を使って可視化する * ポートフォリオに従って日々行動し、結果を振り返ることで **自分にとっての** 最適なバランスを探す * ポートフォリオはゲーミフィケーションでもある。今回はこれにこれだけ費やせばいいんだ、という目標が見えているので対応しやすい ## Q&A ### Q: ポートフォリオのメニューはどうやって挙げたらいい?主観的と言われても…… Ans: 端的な解はありません。 ※ご要望があれば(つくりかたを)おつくりしますので、お問い合わせください。 ストレスは非常に主観的なものなので、ご自身でつくるのが望ましいです。いくつかポイントを挙げると、 * [発想法](https://note.com/workhack20/n/nbc2c71a1a524)に頼るのがいいでしょう * 良さそうなポートフォリオができるまでは、のんびりつくっていきましょう * 1日10分、1~2週間かけてつくるでも全然OKです * 以下を意識すると、洗い出しやすいと思います * Must。ストレスだけど、やらないといけないこと * Should。ストレスだし、やらなくても今すぐは困らないが、やっておいた方がいいこと * Won't。ストレスだし、報酬を出されてもやりたくないこと。やらなくていいなら今すぐ喜んでやめたいこと ### Q: ポートフォリオは何個つくる? Ans: 複数個作って使い分けてもいいです。 たとえばオンオフで2つつくれます。オンのときに使うポートフォリオと、オフのときに使うポートフォリオの2つをつくるということです。 もっと細かく分けて、平日オンオフと休日オンオフで4つにすることもできます。 しかし、複数個つくると運用の手間も増えます。まずは1つで試してみて、カバーしきれない場合は1つずつ増やしてみましょう。 ### Q: ポートフォリオの修正は週単位でいい?日単位や月単位は? Ans: 可能です。 というより、好きな頻度で構いません。日、週、月もありますし、隔週や[隔日](https://note.com/workhack20/n/n067c050b9758)もあります。 理論的には「振り返り」であり、ポートフォリオに基づいた行動を振り返っているにすぎません。 # Title: 曜日ごとに異なる完了マークを使う タスクの完了を示す絵文字として✅などが使えますが、[習慣や日課](https://note.com/workhack20/n/n83cec7345a2e)を扱いたい場合、日ごとに書かねばなりません。 しかし、タスクリストを分けるのは面倒ですので、 **タスクリストは分けずに、完了の絵文字を分ける** ようにします。 ## Before 2025/05/19 (月)、1をこなした ✅Task1 Task2 Task3 Task4 2025/05/20 (火)、何もこなしてない ✅Task1 Task2 Task3 Task4 2025/05/21 (水)、3をこなした ✅Task1 Task2 ✅Task3 Task4 2025/05/22 (木)、3と4をこなした ✅Task1 Task2 ✅✅Task3 ✅Task4 [デイリーワークスペース](https://note.com/workhack20/n/n65766a4766f0)の宿命ですが、タスクリストの複製が必要なのでだるいですし、あとで俯瞰して見るときも見づらいです。 ## After 2025/05/22 (木) 🌛Task1 Task2 🌳💧Task3 🌳Task4 どの曜日に何をこなしたかがすぐわかるかと思います。 ## 絵文字の対応 ご自身でカスタマイズして、辞書登録すれば良いです。 以下は Google 日本語入力の場合の、サンプルです。 ![](/assets/n0abb2c992673_1747978114-NzCXyUWcqA9wtGoPkgvM6meB.png)曜日の一文字目 + 全角のz、により変換しやすくしている。 日曜日は太陽、月曜日は月、火曜日は火などそれらしい絵文字を採用。 絵文字が思いつかない場合、ChatGPT などに相談しましょう。上記サンプルもそうしてつくりました。土曜日の🪨は岩だそうです。 # Title: オープンニューロ(Open Neuro) オープンニューロとは、自身がニューロであることを公表することです。 その昔、マンガ・アニメ・ゲームといったオタク趣味の風当たりが強かった時代に、公表している人をオープンオタクと呼びました。そのニューロ版です。 ## ニューロとは ここではニューロ・ダイバーシティのニューロを指します。発達障害は神経的な特性によって起こるものであり、障害ではなく **神経の多様性** として扱うべきだとする立場です。つまり発達障害と同義です。 ## オープンニューロとは つまりオープンニューロとは、自身が発達障害であることを堂々と公表するさま、または立場を指します。 社内でたとえるなら、自己紹介で使うスライドに「ADHDです」「ASDです」のようなことを書くレベルです。現状でもストレングスファインダーや MBTI は書くと思いますが、そのノリで、ニューロについてもオープンにするわけです。 ## オープンニューロと健全性 オープンニューロが存在するかどうかは、その組織の健全性をはかる指標になるでしょう。存在するということは、神経の多様性への理解と配慮があることを意味します。現代的です。 ニューロの割合は、数十人のクラスに一人はいるといわれていますから、よほどの少人数か、選別された組織でもなければ「いるはず」なのです。にもかかわらず、オープンニューロがいないということは、その組織は健全ではありません。おそらく古典的でしょう。 ## ニューラブル オープンニューロが存在するさまを **ニューラブル(Neurable)** と呼びます。 現代ではニューラブルな組織はほとんどありません。時代が追いつくまで、もう少し待たねばならないでしょう。 あるいは、あなた自身が切り開いてください。 ## ニューロの価値 ニューロはただ庇護されるだけの存在ではなく、強みを持ちます。ニューラブルな組織は、この強みを生かせる組織と言い換えることもできます。 たとえば、 * ADHD はマルチポテンシャライトとも呼ばれ、常人よりもはるかに多くの対象に好奇心を示し、行動を重ねることができます。四六時中の言葉がよく似合う貢献を見せます * ASD は馴れ合いや読み合いをせず、率直に情報をやりとりするので言語化と議論のスピードが早いです。また関係のできてない初対面が相手でもすぐに連携できます * LD、特にディスクシア(識字障害)は、[トレードオフとして空間認識能力に優れており](https://dyslexiaida.org/dyslexia-and-visuospatial-processing/)、ゲームにおける地理把握や技術的な設計業務に分があるかもしれません この手の記事や研究は多くありませんが、いくつか見られます。 また当サイトでもいくつか仕事術を扱いました。 ## おわりに オープンニューロは、次世代におけるキー指標になるでしょう。今のうちに備えておきましょう。何なら先取りしましょう。 # Title: モンスターコメンター モンスターペアレントやモンスターカスタマーなど、攻撃的な言動をする「神様」は、もはや許されなくなっています。身近で言えば、店頭でカスタマーハラスメント禁止のポップを見かけるようになりました。 またITの世界では、優秀だけどイヤな奴(ブリリアントジャーク)を採用しないと謳う企業もあります。 攻撃的な言動は許されないことであり、拒否してもいいとの機運がきています。 ## コメントを書く人にも適用しよう この考え方を、コメントを書く人にも適用しましょう。 仮に **モンスターコメンター** と呼びます。 つまり、モンスターコメンターも拒否していいということです。 ## 背景と適用 SNS、掲示板、メールやチャット、フォームなど、コメントを扱う立場の人は珍しくないと思います。 そして、攻撃的なコメンターに悩まされているのもあるあるでしょう。攻撃的とはいえ、コメントをくれているお客様または同業者ですから、耐えるしかありませんでした。 違います。 **コメンターであっても、モンスターであれば毅然と対処していいのです** 。 機運も高まっていますから、おそらく周囲や上に提案することで毅然とした対応をする、と意思決定してもらえるでしょう。 ## 名前の力、仕事術の力 モンスターコメンターは、当サイトがつくった仕事術です。中身は単純で、既存の存在に名前をつけただけです。それもモンスターカスタマーなど既存の名前から取ってきただけです。 ですが、この程度の仕事術であっても、非常に役に立ちます。モンスターコメンターを知った皆さんは、今後コメンターについても、毅然と対応できるようになるでしょう。 そういうものです。名前一つで、あるべきやり方・考え方を思い出し、奮い立たせることができます。わかれば至極単純で、かんたんなことなのに、言われるまでわかりません。誰かが言わねばならないのですが、案外言えないものです。 ここをカバーするのが私のような仕事術師です。こういう現象がありますよね、こういう考え方を使えば対処できそうですよね、ということを、名前をつけてお届けするわけです。 当サイトでは、他にも様々な仕事術を扱っておりますので、ぜひごゆるりとご覧になってください。 たとえば、まさにモンスターを扱う理論をつくっています。 # Title: モンスタライズ(Monsterize) **モンスタライズとはモンスター化(モンスターの具現化)** を意味し、毅然と対処するべきモンスターを用語化することです。 ## 例 * モンスターカスタマー * モンスター社員 * [モンスターコメンター](https://note.com/workhack20/n/n846412af0dc4) * 当サイトによるモンスタライズの例です * コメントを書く人を仮にコメンターと呼ぶことにして、ここをモンスタライズしました * つまり、コメントを書く人達であっても、モンスターであれば毅然と対処していいのだ、と示しています このように、おそらくモンスター●●という形で名前をつけるのがわかりやすいでしょう。 ## メリット モンスタライズを行うことにより、皆が薄々あるいは強く思っていた理不尽に名前がつくので、「毅然な対処をするんだ!」という機運を高めやすくなります。 名前をつけることは重要です。名前をつけるからこそ言及でき、言及できると議論や会話もできる、議論や会話ができると対処にも繋げられるからです。 ということは、対処するためには、最初に名前をつけるといいのです。モンスタライズは、まさにそれをします。 ## モンスターを扱うための理論 もう一つ、モンスターを扱うための武器があるといいでしょう。 当サイトでは、モンスター社員を上手く扱うための理論を整備し始めています。 # Title: ASDism - アスディズム(脱文脈主義) ASD の「ものの見方」を意識的に採用した立場を **ASDism(アスディズム)** と呼ぶことにしましょう。 ## 定義 アスディズムは **脱文脈主義** 、または **エゴセントリッキズム** と呼ぶこともできます。 1行で: * アスディズムは文脈よりも持論を重視する立場です 3行で: * アスディズムは、既存の文脈を踏襲することよりも、自分の持論を重視します * 通常、私たちは既存の文脈を踏まえた上で、あれこれしますが、アスディズムはその文脈を無視または軽視します * ASDはいわば文脈の踏襲が苦手な特性とも言えますが、逆を言えば文脈にとらわれない強みとも言えます。アスディズムもこの強みにフォーカスします ## 背景 アスディズムを理解するために、いくつか前提知識を押さえていきましょう。 ### 文脈とアロセントリック 私たちは通常、外界のあれこれを踏まえた上で物事を認識したり、思考や行動をしたりします。 * 1: まず外界を知って * 2: それを踏まえた上で思考や行動を重ねる のように、外界を第一に考えます。これは **既存の文脈** を第一にするとも言えます。 あるいは、 **外界の情報を基準とした「相対的な」ものの見方** とも言えます。これを **アロセントリック(略してアロ)** と呼びます。 ### ASDの特性 発達障害の一種である ASD は社会性の障害とされます。身体的な障害はわかりやすいですが、その社会的なバージョンです。 症状としては以下二点が挙がりますが、 * 1: コミュニケーションが苦手。暗黙の空気や意図を読めない。 * 2: こだわりが強い。何よりも優先することがある。 この根本原因と考えられているのが「ものの見方の違い」であり、アロセントリックに対して **エゴセントリック(略してエゴ)** と呼ばれます。 ### エゴセントリックと脱文脈 アロは外界を基準にして、相対的に認識しますが、エゴセントリックは違います。 **自分を基準にして、絶対的に認識します。** これは言い換えると、既存の文脈を無視または軽視するとも言えます。これを私は **脱文脈** と呼んでいます。 ### 例: アロとエゴを比較する 例としてダンスを挙げましょう。 SNSで流行っているダンスミームを考えてください。YOASOBI「UNDEAD」のダンスは有名ではないでしょうか。 さて、ダンス動画で注目を集めたいとします。どのようにアプローチしますか? アロセントリックの場合、外界を踏まえますので、すでに流行っている UNDEAD を選びます。振り付けについても、勝手にオリジナルにはせず、ミームどおりにするでしょう。 ※以下は UNDEAD ダンスの例。 これは「まず外界を踏まえる」というアロセントリックの考え方です。外界としては、ちょうど UNDEAD が流行っていますし、振り付けもこの動き方で周知されているので、これを踏まえることになります。 次に、エゴセントリックの場合を考えましょう。 アロとは違って外界は見ないので、おそらく UNDEAD は相手にしません。仮に見たことがあっても、使おうとは思わないでしょう。あるいは使うにしても、振り付けはオリジナルにするでしょう。 外界を第一にして、その相対で考えるという発想 **ではない** のです。 ### エゴとアロのメリデメ 例の続きを考察しましょう。どちらが正しい・正しくないというものではありません。どちらも見方の一種にすぎないからです。 しかしながら、健常的なのはアロなので、アロの方が良い結果になるでしょう。 アクセス数も稼ぎやすいでしょうし、よーわからん気持ち悪いダンスだとか想定と違ってていまいちだとかいった不評を食らうリスクも小さいでしょう。逆に、エゴはそういったマイナスを食らいやすいです。外界に従っていない、気持ち悪い存在だからです。 ではエゴには良いことがないかというと、そうでもありません。 この UNDEAD の振り付け以外の、革新的な振り付けを生み出せる可能性があります。もちろん、UNDEAD 以外の新しい曲のダンスをはやらせられるかもしれません。 とはいえ、可能性は非常に低いです。そもそも現代の SNS や感性が共感寄りかつファンダムエコノミーですので、事実上可能なのは「すでに多くのファンを獲得した者」がエゴ的に振る舞った場合に、それが広まることがあるというくらいです。しかし実際は、供給側としても大多数のアロ相手に無茶はできませんし、エゴ的な作品を出したところで通じませんから、通常は新しい作品もアロ的です。 まとめると: * 基本的にはアロ一択。外界の文脈を踏まえるしかない * エゴであれば、そのような踏襲をぶちこわして革新を起こせるかもしれないが、通常は相手にもされず無視される。あるいは気持ち悪い存在として非難される ## 概要 アスディズムの中身に入っていきましょう。 アスディズムは、外界よりも内面を重視した立場です。あるいは既存の文脈よりも持論を重視した立場とも言えます。 ASD のものの見方に名前をつけたものでであり、 **ASD + ism でアスディズム** です。 ## メリット 個人レベルでも、組織レベルでも、 **変革を行いやすい** ことです。 ### 変革とは まず変革とは Transformation であり、根本から生まれ変わること・根本からつくりかえることを意味します。 当サイトでも組織の目線で取り上げています。 ### 変革を履き違えている 変革にはエゴが必要と考えています。そもそも **現状の文脈を踏まえたアロ的なあり方で膠着しているのですから、ここを壊すにはエゴしかない** のです。 しかし、現実的には、変革とはアロ的にあちこちを踏まえながら少しずつ変えていって塵を積んで山にしようとしています。それはただの改善であって、変革ではない。 そういうわけで、エゴに向いた「変態的な人材」を登用することの重要性を強調してきました。 ### アスディズムはうってつけ まさにアスディズムは、変革にうってつけです。最大の障壁であるアロ的発想から脱せるからです。 ## 例: ITとアスディズム ITの世界ではアスディズムがよく見られます。 皆さんは仕事で海外製のSaaSを使っていると思いますが、日本とは違って「自分達のためにオーダーメイドでつくってくれる」ものではありません。 むしろ、提供サービスに **私たちが** 合わせています。これはアスディズム的と言えます。 要するに、 > 「おれたちのやり方・考え方の方が凄いんだから、いいからお前らは黙って従えよ」 というわけです。 もちろん実際はそう単純でもなく、関連サービスや界隈の文脈をある程度踏まえてはいます。ただ、日本文化のように丁寧に踏まえているわけではなく、さっさと本質だけ捉えてヒントにして、大胆に「こうすればいいだろ」をつくっているのです。 ITは「ソフトウェア」の形で「道具」をつくれるので、アスディズムでつくったソリューションをぶつけやすいのです。 たとえ既存の文脈を無視する「ろくでもないもの」であっても、役に立つかどうかは使えばすぐわかりますし、使ってもらえるよう配信するコストも低い。 そうして使えるとわかってもらえれば、一部の先進的な人々は乗ってくれます。アーリーアダプターですね。あとは、アーリー達が広めてくれて、上手く広まればそのうちアロになります。 IT はこのようなアスディズム的変革を起こしやすいからこそ、ここ数十年でここまで発展したのです。 ## 例: 坊主のたとえ 長髪の人がいて、日々のメンテナンスや抜けた毛の掃除が大変だと悩んでいるとします。 アスディズム的にとらえると、たとえば次のような助言をします。 > 「坊主にすれば?」 > 「バリカンで自分で剃ればいい」 > 「運用や評判も慣れてしまえばいい」 > 「どうしても坊主だと困る場合はカツラやウィッグを使えばいい」 理屈上はそのとおりで、自分でバリカンで坊主にしてしまえば、メンテナンスや掃除の手間はほぼなくなります。坊主へのシフトも、慣れの問題であり、どうとでもできるでしょう。極めて単純なことです。アスディストから見ると、なんでこんなかんたんなこともわからないのか、と疑問さえ抱きます。 しかし、実際にバリカンで坊主にする、との行動を取れる人はほぼいません。大多数の人がアロであり、外界の文脈では「坊主でいることは望ましくない」ことだからです。 ※一方で昔の野球部など、外界として抵抗がない場合は採用しやすくなります。 **外界次第です** 。 実際、アロからは、このようなシンプルで本質的な回答は出ませんし、この回答を見ても「短絡的すぎるでしょ」「まずは相手の事情を聞いて共感から始めるのでは……」などといいます。まさにアロ的な考え方です。 ## アスディズムを取り入れるには 整備中です。。。 ここを整備できれば、アスディズムをデフォルトで備えたASDに頼る以外の選択肢が取れます。たとえば、ASD でない人が、アスディズムを取り入れることで、ASD のようなエゴ的な思考ができるようになるはずです。 ## アロとエゴの協調 最後に、アスディズム的な人材を活かして変革を促すための考え方を一つ紹介します。 4つの役割を定義して、その分担を考えます。 ### 4つの役割 アロとエゴの間に、アゴとエロがあります。 ![](/assets/n3f29439560d3_1748513540-izMqNGkcrdFh0U9OpI13CZg5.png)4つに分ける。 * アロ * 100人に95人 * 大多数はここに属する * 気質的にアロセントリックなので、 **アスディズムを踏まえることが難しい** (別の言い方をするとアスディズムの才能がない) * アゴ * 100人に数人 * 普段はアロとして振る舞っているが、気質としてはエゴ(たとえばASDである等) * アロとして振る舞えるだけの高い知能を持っており、いわゆる高IQなASDなどはここに該当する * アロに染まっており、エゴとして振る舞うインセンティブも持たないため、 **アスディズムとして振る舞うのは難しい** * エロ * 100人に数人 * エゴとして振る舞うこともでき、アロとしても振る舞えるハイブリッド * ASD的気質は持たないが、知能は高く、また自身の分野に長く深く携わっていて創造性も備えているため、 **アスディズムとして振る舞うこともできる(ようになる)** * あらゆるジャンルでアスディズムになれるのではなく、あくまでも自身が精通したジャンルのみ * エゴ * 100人に1人 * **基本的にアスディズムとして振る舞う** * アロとしては振る舞わないため、周囲からは相手にされていないことが多い。造語が多く、統合失調症などと揶揄されることがある * 十分なインプットと熟考を踏まえると、エロと同等の革新をつくれることがある。しかしエロと違って、アロ的な踏襲と貢献が少ない(あるいはない)ため相手にされづらい ### 分担 アスディズムを生かして変革を促進するには、以下の分担を心がけます。 * 1: エロが牽引する * 自分で種をつくって咲かせるか、エゴの種をヒントにする * 2: エゴは種をつくる * 3: アゴはエゴにアロセントリックの目線で文脈を教える * 4: アロは「良さそうな "エゴの種"」の続きを咲かせるのを手伝う * またエロとエゴを邪魔しない * できれば、エロとエゴが専念できる環境づくりも行うとなお良い つまりエロとエゴが牽引して、アゴとアロはサポートに徹します。エロは有能で、邪魔さえしなければ結果は出せます。 問題はエゴで、エゴはエロほど有能ではないため、文脈を教えてあげる必要があります。これは **自身もエゴの気持ちがわかるアゴが担うのが良いでしょう** 。 また、エゴは自分ひとりで成果を出し切るところまで至れません。革新的な概念や、せいぜいプロトタイプや軽い企画をつくるくらいです。その続きは **大多数存在するアロが頑張らないといけません** 。エゴの成果は革新的だと信じて、投資するわけです。 よくある誤解が「エゴの出した概念を隅々まで汲み取れ」ですが、違います。あくまでヒントにすぎないので、アロ達は自分なりに行動すればいいのです。 このような取り入れ方に着眼したのは、『知的生産の技術』で知られる梅棹忠夫だと思います。 > いわば本をダシにして、自分のかってなかんがえを開発し、そだててゆくというやりかたである。……このやりかたなら、読書はひとつの創造的行為となる。 『知的生産の技術』 本の内容をバカ真面目に踏襲する必要はないのです。勝手に部分的に切り取って使ったっていいわけです。アロはこのようなやり方を嫌いますが、それゆえ変革ができません。梅棹は、当時もアロが支配的だった中、このようなエゴ的な考え方を提示したという意味で、極めて革新的なのです。 話を戻しましょう。しかしながら、エゴのインプットや思考が未熟だと、出てくる概念も出来の悪いものとなります。そういうわけで、エゴが十分発揮できるようサポートも必要だと書いています。 変革が欲しいなら、 * 少なくとも邪魔をするな * できればサポートしろ * 続きも引き取って行動しろ というわけですね。 ### アスディズムによりエゴを増やす 整備中と書きましたが、アスディズムを整備できれば、誰でも(ではないかもしれませんが)ASD のエゴ的なものの見方を使えるようになります。 つまりエゴを増やせます。変革の効率も上がるでしょう。 # Title: 静かな退職はソフトなストライキであるということ 静かな退職への言及が増えてきました。最近見た記事では、 > > これまでは、例えば役職定年を迎えた方や、出世レースから外れてしまった中高年層に多いとされていました。しかし、いま注目すべきは、こうした「静かな退職」状態が、20代〜30代の若手社員の間にも広がってきているという点です。若手層がこのようなスタンスを早期に取るようになっている。これが、いま企業が直面している新しい課題だと捉えています。 とあります。 この記事に限りませんが、どの記事や書籍も問題の真因を捉えられてないと感じます。 ## ソフトなストライキであるということ 静かな退職を起こす最大の理由は、 **生活水準を脅かされてしまう** からです。 **令和の現在、水準は上がっています** 。たとえば以下はできますか? * 月の残業時間がゼロ。 * 月あたりの出社日がないか、多くても数回。そもそもよほど重要な用事以外は自由に選べる。ゼロ回も当たり前にできる。 * フルフレックス。月の所定労働時間を満たせるなら、いつ働いてもいい * 仕事において、普段私生活で使っている SaaS を当たり前に使えること * 仮に上記を破るなら、それを許せるだけの給料 * 新卒でも年500万、中堅社員なら平社員でも800万 いつの時代も老害がのさばり、前時代の水準を押し付けがちです。現代は給料が低いのに拘束も多いというハードな時代なので、自衛しなければやっていけません。 何なら、ある種開き直って、自衛し続けることで自己主張しています。罪悪感はありません。当たり前の水準を犯されていること自体がおかしいと考えているので、内心は堂々としています。これを **ソフトなストライキ** と呼んでいます。 ## 静かな退職を和らげたいなら、待遇を改善すべし では静かな退職を食い止め、和らげるためにはどうすればいいかというと、待遇改善です。 上述した水準を当たり前に担保できるか? できないなら、それだけの報酬を載せられるか? 無論、すべてをいきなり全員に享受させるのは非現実的でしょうが、少しずつでもやっていかねばならないのです。話はそこからなのです。 そういう意味では、上記記事の続きとして語られている対策は、あまり本質ではないでしょう。 ![](/assets/ncebfcab840dd_1748907400-zsLdrElMuemUWfJqioPRZyBj.png) この記事に限らず、静かな退職へのカウンターとして「平常よりローパフォーマーだから待遇も低くする」発想が使われがちですが、そうじゃない。 まずは待遇を改善しなさいよ、上述した例くらいは満たしてあげさいよ、こそが本質です。 ## 仕事術を学べ では、 **なぜ待遇を改善できないかというと、そうするためのやり方や考え方を知らないからです** 。 たとえば資本主義的な考え方に染まっていると、上の人たちが下を搾取するのが当たり前ですから、下に対して十分還元するという発想が出来ません。 現場の社員の平均給与が350万なのに、役員が2000万といういびつさが生じます。 役員が3人いるとして、1000万にまで落とせば3000万浮きます。これを現場社員のベースアップ +150万に使うと、20人の社員の給与を500万にできます。350と500とではだいぶ違います。静かな退職でセーブすることなく、仕事に取り組んでもらえるでしょう。 たとえば毎日朝型の勤務リズムで、出社もして、残業もして、は標準的な働き方とされていますが、唯一ではありません。他の働き方は色々あります。 そもそも皆で合わせる必要さえありません。そのためには非同期的にやりとりを行う術を知らねばなりません。ツールの整備も必要です。特にITは避けては通れません。 当サイトでも以前解説しました。 当サイトはまさに仕事術(仕事のやり方・考え方)を扱っており、大いに参考になるはずです。 もっとも直接使えるとは限りませんが、仕事術を自分なりに見直して、カスタマイズして、柔軟に使い分けていく、何なら自らつくっていくとの視座には立てます。 大胆に言えば、仕事術の視座に立って、柔軟に運用していくことは現代のリテラシーです。これがないというのは、PCやスマホ使えません(ITリテラシーがありません)というくらいに深刻だとさえ思います。 ## 令和の水準 そういえば先日、仕事詩として書いていました。 ![](/assets/ncebfcab840dd_1748907938-Imxy8ZQCtpwizfM6XLF3PYoS.png)[しごとし『令和の水準』](https://tales.note.com/workhack20/wracm8xjx4hop/episodes/eaikk9gu74phx)より 水準の向上としてわかりやすいと思います。 仕事だからといって手が出る人は論外ですし、無闇に怒鳴り散らすのも論外ですよね。しかし、水準をアップデートできてないと、殴ったり怒鳴ったりしてしまうのです。そういう業界や会社をブラックと呼びます。 水準はアップデートされています。みなさんは更新できていますか? ブラックの、老害の仲間入りになってはいませんか? 今一度、立ち止まってください。 見直してください。 勉強してください。 搾取して成果を出せるのは当たり前です。だからといって戦国時代や王政時代がいいかというと、違うでしょう。いかに搾取を控えめにして、それでも成果を出せるかを考えねばならないはずです。 仕事を牽引するのは、立場や権力を持つあなた達なのです。あなた達がアップデートできなければ、下はついてきません。 ## (余談) 静かな退職と文化 静かな退職のあり方は国によって異なります。 書籍『静かに退職する若者たち』でも述べているとおり、日本では「いい子症候群」です。問題が起きないよう、表面上は真面目で従順なキャラを被っています。 一方、アメリカではハッスルカルチャーが強くて、もっと大胆に反発します。たとえば全く仕事をしていないのに請求する、くらいの大胆なことをします。戦いです。 中国では、996問題(朝9時~夜9時が週6日)と言われるように、競争と拘束が苛烈で、反動として寝そべり族やネズミ人間のスタイルが生まれました。スタイルで言えば、日本でもミニマリストはありますよね。 いずれにせよ、本質は生活水準が脅かされていることです。脅威への対抗の仕方が文化によって異なるだけで、本質は同じです。 # Title: 知的生産のエリーサイクル ![](/assets/n1b864b663d52_22b6c2cd94212bce1f4bfead6ebd5c0a.png) **知的生産とは、ここでは「実用的な」新しいやり方や考え方、あるいは作品を生み出すこと** としましょう。 ※実用的でないものは芸術や創作の範疇になります。 正解も指図も無い中、自分で答えを決めて形にせねばなりません。創造的な営みであり、再現性は無いように見えますが、実はサイクルはあります。 それが **エリーサイクル** です。 ## 概要 知的生産者は、しばしば以下のようなサイクルを回しています。これをエリーサイクルと呼ぶことにしました。頭文字を取って ELIE です。 ![](/assets/n1b864b663d52_1749004979-NMQjrT6RsIWOgCzXhclZ4f8L.png)エリーサイクル。 以降では要約のあと、各ステップの詳細に入ります。 ### 要約 * 興奮する、怠ける、肉付けする、思いつくは全部外せないし、それぞれ段階というものがある。このサイクルに則ることで知的生産が捗る * サイクルが一巡するには数時間はかかる。つまり下手に焦っても意味はないし、むしろ逆効果なので、おとなしくサイクルに従う ### 1: Excitement / 興奮する * 集中して作り上げる段階 * 長くは保たない * 小休止を入れて再開は可能だが、それでも何度もは続かない * ~60分 サイクルの前段階を経ていた場合、すでにアイデアの肉付きまで進んでいて、あとは作業して完成させようとの段階になっているはずです。 ここで必要なのは、面倒で大変な作業をブーストさせるモチベーションであり、興奮に頼ります。作業興奮だとか、ドーパミンだとか、いろいろな言い方がありますが、ともかく「興奮」という一時的なブースト状態に頼ります。 ### 2: Loafing / 怠ける * サイバーローフィングのローフィング * 要はネットサーフィンだが、他にも退屈なゲームで時間を潰す等もありえる * だらけてる段階。頭を入れ替えるための撤収と準備を兼ねている * ある程度は続くが、問題がなければそのうち止む * ~120分 ネットサーフィンは有害とされることもありますが、近年では一種の休養やリズムの役割を果たしており、必要であるとの見解が強いです(*1)。 また、疲労やモチベーションなどの問題がない場合は、頭が少しずつ切り替わってきてそのうち止みます。目安は2時間くらいだと思います。それでも止まず、ずっとだらけてしまう場合、その日はもう疲れ切っていてダメでしょう。あるいはメンタルがよろしくないので、まずはその回復からかもしれません。 *1 「怠惰」なんて存在しない 終わりなき生産性競争から抜け出すための幸福論, 2024, デヴォン・プライス (著), 佐々木寛子 (翻訳) ### 3: Incubating / 思いつく * 思いつき(ひらめき)が起こる * その思いつきをその場で深堀りするのは難しいが、すぐ忘れてしまうためメモが必要 * 長くは保たない * ~30分 この段階は少し複雑です。 まず、 **思いつきはアクティブリフレッシュの最中でないと中々起こりません** 。アクティブリフレッシュは造語ですが、心地よい程度に身体性を伴った気分転換を指します。アイデアの3Bは有名ですが、入浴中(Bath)・就寝準備中(Bed)・移動中(Bus) は典型例です。 次に、思いつきが起きているときの頭は、状態としてはリラックスであり、言語化を含む深い思考や理性的な検討がしづらいです。 **無理にやろうとすると、この貴重な思いつきモード自体が壊れてしまいます(ストレイ)** 。 それでありながら、思いつきを後で思い出すのは困難です。。メモは大事との金言はよく見かけますが、そのとおりで、後で思い出せる程度にメモしておく必要があります。言い換えると、 **メモを取っていない思いつきはほぼ必ず失います(ロスト)** 。 ここでメモのジレンマが生じます。つまり: * あとで思い出せなくなる(ロスト)のを防ぐには、メモが必要 * しかしメモを欲張りすぎると、思いつきモード自体が壊れてしまう(ストレイ) この思いつく段階は、知的生産において最も難しい部分です。アクティブリフレッシュを行えるだけの余裕と、メモのジレンマに打ち勝つ微妙なバランスの両方が求められます。 というより、この二つを行えるだけのスキルや生活リズムを、日頃からメンテナンスしなくてはならず、 **知的生産者はアスリートである** 、とはよく言ったものです。来るかどうかもわからないし、来ても30分もないような短い時間なのに、こんなことのためにアスレチックであらねばならないわけです。 ### 4: Elaborate / 肉付けする * とらえた思いつきに肉付けをしていく * メモでとらえている概念を深堀りする * 主に言語で書いて、それを見ながら修正を加えていく 思いつく段階でも述べたとおり、思いつきをその場で深堀りすることはできません。ではどうするかというと、メモとして取っておいて、あとでメモを見て思い出しながら続きをやるのです。 ここで重要なのは、 **外に出したものを育てる** という営みです。頭の中だけで曖昧にやるのではなく、言語化した形で外に出して、それを改変していきます。 別の言い方をすると、概念を自分ひとりでラフに仮説検証しているとも言えるでしょう。 **ひとり仮説検証** です。 すると、そのうち「あとはもういけそうだな」と見えてきます(一向に見えてこないこともあります)。 ここまで来たら、あとは終わるまで作業する・しないの段階です。これをブーストするのに、1: で述べた興奮を使う――という形で、サイクルがぐるぐるまわっていきます。 ちなみに、思いつきと肉付けは小さいか、ないこともあります。つまり最も小さいサイクルは「興奮 → 怠ける」ですね。 ![](/assets/n1b864b663d52_1749007216-g9i4GqYL3ACQUb7OsoeDHRmP.png)十分に見えていたり、見えてなくても状況が許さないときはこうなる。 ### 余談: 肉付けは難しい 肉付けの段階ですが、実はかんたんではありません。 言語化能力はもちろん、ノートを書くスキルが要ります。ノート絡みの仕事術については、当サイトでも何回か取り上げたことがあります([[1]](https://note.com/workhack20/n/n023f1ef91e3e) [[2]](https://note.com/workhack20/n/nae0e17fd7077))。 高度な営みであり、クリエイターやエンジニアでもなければ通常、縁がないでしょう。私たちの大半は、すでに決められた仕事や上からの指示として降ってきた「作業」をこなしているだけで、知的生産という創造的な営みはしていません。また、振る側にいる人達も、同様に上あるいは外界からの情報を愚直に処理しているだけだったりします。 そうではなく、知的生産では必ず思いつきを使います。自分の深くて醜い信念や内省、あるいは鋭かったり鮮やかだったりする直感や感性を伴った何かを、上手いこと(あるいは強引に)加えます。 それをメモとして捉えたわけですが、メモだけでは到底足りないので、頑張って再現・復元を試みるわけです。それは意思決定と仮説検証の連続であり、頭の中で曖昧にやっているだけでは成せません。かんたんなはずがありません。 現状では、ノートアプリのような「書くことに適して手段」を使って、言語化するのが筋の良いやり方に思います。 歴史はそれなりに深いはずですが、手法としてはまだまだ体系化されていない印象です。いずれ当サイトとしても取り組んでいきたいですね。 # Title: リアクションセットをつくって反応を増やす ![](/assets/n099f6b4b33fb_e58784e13f99222ff326d1a83c0e2314.png) 絵文字やスタンプによるリアクションは馴染み深いですが、意外と活性化しづらいです。👍(いいね)のように万能すぎて情報量のないものばかり使われますし、選択肢が多くて認知負荷がかかって腰が上がりにくかったりもします。 この現状を打破するために、リアクションセットをつくると良いでしょう。 ## 背景 絵文字やスタンプによるリアクションは馴染み深いです。非言語情報を、非同期的に、端的に表現できるのが強みです。 しかし実際はさほど使われておらず、 **対面や打ち合わせをカバーするには至っていません** 。さほど使われていない理由は次のとおりです。 * 👍など「汎用的すぎて大して情報量がないもの」ばかり使われがちであること * 絵文字やスタンプ自体は多数あるが、逆にありすぎてどれを使えばいいかに悩むこと → だるいので腰が上がらないこと これらを解消できれば、対面や打ち合わせという高コストなやり方のウェイトを減らせます。リアクションをベースにしたコミュニケーションが加速するのです。これを **スタンプ・ベースド・コミュニケーション** と呼びましょう。 ## 問題 スタンプ・ベースド・コミュニケーションが阻害されていること。 ## 解決策 Ans: リアクションセットを導入する。 ## 概要 ### リアクションセットとは 使用できるスタンプを厳選して、それだけを使わせることを **リアクションセット** と呼びましょう。あるいは厳選したセットそのものも指します。 たとえば「スタンプとして5個用意したのでこれだけを使ってね」のようにします。 ### スタンプとは **リアクションとして付与する絵文字全般** を指します。 色んな形態があります。例を示します: ![](/assets/n099f6b4b33fb_1749253920-I6zMLAKfClrStE9O3Dindp5e.png)チャットでありがちな、メッセージにつけるタイプ。![](/assets/n099f6b4b33fb_1749254175-g80LRpd7EHeQuwNnVjKrIzJ1.png)メッセージとして絵文字を直接書き込むタイプ。 Discordではテキストで絵文字を入れても、このように画像化されます。![](/assets/n099f6b4b33fb_1749254075-TBWUaSm5P9LiEYsCxzcrAXKZ.png)Cosenseでありがちな、絵文字と署名(自分のアイコン)をつけるタイプ。 この例では二名が、Bさんの案に👍をつけている。 ちなみに、イラスト化されたスタンプやアニメーション化されたスタンプもよく使われます(LINEは有名)が、 **ここでは含めません** 。 **スタンプとは、あくまで絵文字を指す** こととします。 ### メリット Ans: スタンプ・ベースド・コミュニケーションが加速します。 というより、 **加速するようなスタンプのセットをつくる** のだと考えてください。リアクションのデザイン(設計)と言ってもいいです。 システムが用意したものをそのまま使うのでもなく。 👍のような使いやすいものに安易に頼るのでもなく。 使い勝手の良いスタンプを、しっかりと検討して選んで、みんなで使うのです。これを、本記事の言葉でいうと「リアクションセットをつくろう」となるのです。 ## リアクションセットの例 リアクションセットはどうとでもつくれますが、いくつか例を挙げます。 ### リアクションのあいうえお ![](/assets/n099f6b4b33fb_1749254796-EdjpGJ9Tu6ilFgqALN31DI2a.png)あいうえお。 ### リアクションのはひふへほ ![](/assets/n099f6b4b33fb_1749254725-jL4mQbMhVcID6kuSl9gHyCoz.png)はひふへほ。 ### 畳語リアクション 畳語(じょうご)とは、同じ単語や単位を繰り返してつくった言葉です。ここでは「ひらがな一文字」のみ想定します。そうすると、わかりやすくて使いやすいからです。 畳語リアクションとして、たとえば以下があります。 ああ うぅ…… ええー おおっ ぬぬっ ははっ ふふっ へへ…… ほほー むむっ ややっ これは一例です。状況次第で適当につくってください。 ## リアクションのデザイン 最適なリアクションセットはチームごと、プロジェクトごと、組織ごとに異なるでしょう。つまり、その場その人に合ったセットをつくらねばならないのです。 そういうわけで、デザイン(設計)の営みは必要と思います。 将来的には、リアクション・デザイナーなる役割すら生まれるかもしれませんね。 余談ですが、当サイトとしても、上述したようにリアクションセットをおつくりすることがあります。せっかくですので、意識していることを軽く挙げておきます。 * **ネガティブの強いスタンプは採用しない** * そういう意味では、上述したはひふへほの「は?」は微妙ですね。ちなみに最初は「はぁ?」でしたが、これは強いのでやめました * 今一度つくるなら、私なら「ははは……」にすると思います。これなら「は?」ほど攻撃的ではなく、しかし苦笑や当惑を表現できると思います * **喜怒哀楽は全部サポートする** * 喜び、怒り、悲しみ、楽しみはなるべく全部サポートします。その方が使いやすいからです * ただし怒りと悲しみは、上述のとおり強い表現は望ましくないので弱くします。上述でいうと、あいうえおの「えー……」が相当します * **まずはテキストで表現する** * 絵文字を採用する前に、まずはテキストで表現します * そのテキストに合った絵文字を当てはめる、と考えると、やりやすいと思います * **末尾でニュアンスをコントロールする** * 畳語リアクションの例を見ると、末尾にバリエーションがあることに気づきます * …… * っ * ー * どれを使うかによってニュアンスが変わるので、微調整にお役立てください * 「ええ……」と「ええっ」と「ええー」は全部違います # Title: このサイトのあさりかた ![](/assets/ndd92680580cc_45ea31667244eb86493349f8c408c426.png) 多数の仕事術をあさっていただくために、様々な見せ方をご用意しております。 ※[当サイトの概要やお問い合わせはこちらからどうぞ](https://note.com/workhack20/n/na9184613ed9e) ## 記事一覧 ![](/assets/ndd92680580cc_1749339096-iMHV1dNebkhJmxKZXznA0348.png)記事一覧。キーワード検索もできます。 [https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20&context=note&mode=search](https://note.com/search?q=from%3A%40workhack20&context=note&mode=search) ## Article Cascade(記事の滝) ![](/assets/ndd92680580cc_picture_pc_568e8e238c50dabacd9109511c5a45da.gif)Article Cascade。 ## Article Network(記事ネットワーク) ![](/assets/ndd92680580cc_1749339251-X6MLptHevxBGkluSdCyJ0ThD.png)Article Network。記事一覧と記事間リンクを網羅しています。![](/assets/ndd92680580cc_1749339291-p4J01YsmlBOQrit9EzVgM3Ru.png)[デイリーワークスペース](https://note.com/workhack20/n/n65766a4766f0)の例。 リンク先やリンク元を網羅しており、辿っていけます。 ## llms.txt(生成AI用の全展示) ![](/assets/ndd92680580cc_1749339411-cjfZsYmwbABQr8iXGqHIdyTU.png)[llms.txt](https://llmstxtwh20.vercel.app/llms.txt)の内容。 すべての記事タイトルとURLをリストアップしています。 生成AIに渡す際に便利です。![](/assets/ndd92680580cc_1749339457-83D2MLAkvz4y9TNfq0ti7GrH.png)[llms- full.txt](https://llmstxtwh20.vercel.app/llms-full.txt)の内容。 すべての記事のすべての中身を並べています。 重たいので表示には注意してください。 ## アートとしての仕事術 ### Practical Conceptual Art ![](/assets/ndd92680580cc_1749339552-DR5itwup3VU1ZnGmYIFbdoSq.png)PCA(Practical Conceptual Art)です。Are.naを使用。 [解説はこちらをご覧ください](https://note.com/workhack20/n/nae1c7c1abb25)。 ### 仕事術の小説 ### 仕事術の詩 # Title: Remote or Salary > 基本的にリモートを認めよ。 > できないなら、十分な給料を出せ。 その企業が搾取的かどうかを判断する指標として使えます。あるいは、今後指標になってくると思います。 ## リモートは基本的人権 オフィスワークやホワイトカラーにおいては、もはやリモートは基本的人権です。 **働き方のパラダイムは住み込み → 出社 → リモートとシフトしており、現代は第三のリモートです** 。リモートをしないというのは、出社パラダイムにおいて住み込みを強要するようなものです。 無論、出社や住み込みなど「集めた方が生産性が出る」のは当たり前ですが、それでは搾取でしかありません。我々労働者の生活水準も向上させるべきであり、現代は第三のリモートまで来たということです。 ※もちろん100%常にリモートだけせよ、という意味ではなく、必要に応じた出社、出張などはします。ただ「週2出社」のような強要はやめましょうという話です。 ## 十分な給料を出せ リモートを保障できない場合、相応の補填が必要です。それが給料であり、金額で言えば **年収四桁です。** 出社ベースの働き方には大きな負担がかかります。現代の水準としては不相応なのです。相応の補填が要ります。 給料がこれくらいあると余裕を持った生活ができます。外出先でも財布を考えず消費できますし、共働きなしでも家族を養えます。 外資系、コンサル、その他大手企業は出社回帰に倒しがちです。また経営陣、幹部層、管理者層なども対面を重視します。 **共通するのは、彼らに十分な給料があるからです。十分な給料があれば、出社ベースの負荷を、お金でカバーできるのです** 。 ## (関連記事) このような X or Y 的なフレーズを整理しています。 # Title: ポリクロイティ(Polychroity, 多色性) 多様性(Diversity)や多元性(Plurality)と似た概念として、多色性(Polychroity)を開発したのでご紹介します。 ## ポリクロイティ **ポリクロイティ(Polychroity, 多色性)** とは、以下の性質をあらわす言葉です。 * 同じものであっても、見方によって見え方が変わること * 同じ人であっても、環境によって見え方が変わること * しかし、見え方にはある程度傾向が生じてくること また、これら性質を前提とした、以下の考え方も含みます。 * 色んな見え方をガンガン出して共有していくことが大事 * そうしているうちに共通した見え方や、重要な見え方が見えてくる 原義は、鉱石に見られる多色性です。 ## ポリクロイティの推進 三つの原則で整理しました。 * BTT - Break The Trade-off / トレードオフを壊せ * BOO - Barrier Of Output / アウトプット障壁(を減らせ) * BRR - Become Relay Role / 中継役になれ ### BTT - Break The Trade-off / トレードオフを壊せ 品質とスピードはトレードオフといいます。このように、たいていはAとBが両立できず、片方を取れば他方が犠牲になる構造になっていて、トレードオフと呼ばれます。 しかし、この **トレードオフの理は壊せます** 。 情報を十分集めて、十分な熟考と議論を行うと、どちらも損ねない自然な結論を出せます。あるいは、どちらも両立できるようなやり方・考え方をつくって、これを維持しながら進んでいくこともできます。 たとえば PLURALITY 本(*1)では、デジタルを駆使すれば現状トレードオフ的な政治を再興できることを示しています。また IT 開発における品質とスピードのトレードオフについても、継続的デリバリー本(*2) などが示すように、継続的に測定する仕組みを最初からつくって維持していけば壊せます。 これらはまさにポリクロイティです。色んな見方を出して、議論して、突き詰めることで、トレードオフを壊せるほどの新しい境地を切り開けています。 ですので、 **ポリクロイティを推進したければ、トレードオフを壊せるくらい情報を、意見を、熟考や議論を突き詰めてみるといい** のです。 ### BOO - Barrier Of Output / アウトプット障壁(を減らせ) ポリクロイティにおいては、とにもかくにも情報です。まずは情報を出さないことには話になりません。 ここではアウトプットを「第三者が理解できて、活用できるかもしれない情報」と定義します。 **ポリクロイティとは、多彩なアウトプットを出し続ける営みとも言えます** 。 しかし、アウトプットは色々な理由で出し渋られます。 たとえば: * 心理的安全性がない * ナレッジを独り占めしたい or タダで他人に渡すのはしゃくだ * 単に興味がない * 忙しすぎて余裕がない * 立場や体裁上、許されない etc こういったものをアウトプット障壁と名付けています。 **障壁を減らせば減らすほどポリクロイティが促進します** 。 端的に言えば、結局のところインセンティブがないと人は動かないですし、インセンティブとは快楽 or 評価ですから、以下のいずれかが必要です。 * 趣味として **アウトプットを行えるだけの余裕** を確保する * **アウトプットも評価されるよう、制度に組み込む** 当サイトとしても、いくつか仕事術を提案しています。 当然ながら、これらには相応の投資が必要ですが、そこは権限を持つ者が投資せねばなりません。DXや変革もまさにそうで、当サイトとしても強調しています。 さらに言えば、投資できるほどの見識を持つためには、仕事術(仕事のやり方や考え方)を学ばねばなりません――というわけで、当サイトのように、仕事術をつくる目線で語る者が重要になってくるわけです。 と、さりげなく宣伝になっちゃってますが、ともかく、アウトプット障壁をできるだけ減らしてください。 ### BRR - Become Relay Role / 中継役になれ ここで中継役とは、居場所Aと居場所Bの双方に属する者が、Aで得たことをBに持ち込むことを指します。情報を中継しています。 ※ここでは語感のために Relay Role と小難しく言っていますが、別に中継でも触媒でも紐帯(ちゅうたい)でもブリッジでも何でも構いません。 ポリクロイティにおいて情報を出すことが最重要ですが、だからといってもなんでもかんでもフルオープンにはできません。現実的には、各自が属している居場所(組織でもコミュニティでもなんでも)に入って、その中で小さく共有するのが主になります。 ですので、情報共有を増やしたいならば、そういう共有の活動を増やさねばなりません。これを端的に述べたのが中継役であり、中継役になれ、との形で原則化しています。 私達はひとりひとりが、様々な居場所にいるはずです。Aで得たことを、Bに持ち込むということは、やろうと思えばできるはず。 その行動が、Bに小さな変化をもたらします。一つ一つは小さいかもしれませんが、その蓄積が大きな影響につながるかもしれません。実際色んな居場所に色んな情報が持ち込まれることになるわけですから、ポリクロイティも進みます。 ## (余談) 以前、以下の仕事詩を書きました。 ![](/assets/ne05e8e4ef0fe_1749600051-rEYXpzRJO2bShD1mcutV5Ww3.png)[しごとし『多様性、、多元性』](https://tales.note.com/workhack20/wracm8xjx4hop/episodes/eat34btis6j1b)より 多元性は⿻の文字で表現されます(*1)。だとすると、多様性は点の集合と捉えられると思います。これで面と点が揃ったので、あとは線があるはずだ――との知的探求を表現しました。 さて、線の案は色々考えられますが、試しに一つつくってみようということで生まれたのがポリクロイティです。 ## (関連記事) 「多彩性」なる概念をつくっています。 これはトランプ大統領のDEI撤回を受けて、多様性という言葉の訴求力が落ちることを懸念して、代替として提案したものです。 ## (参考) * *1 PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来, 2025, オードリー・タン (著), E・グレン・ワイル (著), 山形浩生 (翻訳), ⿻ Community (その他) * *2 継続的デリバリーのソフトウェア工学 もっと早く、もっと良いソフトウェアを作るための秘訣, 2022, David Farley (著), 長尾 高弘 (翻訳), 榊原 彰 (その他) # Title: ボイスタンプ(音声スタンプ) チャットにおいて、絵文字その他画像によるスタンプはよく使われます。スタンプは、ないよりははるかに有意義ですが、そこまで日頃のコミュニケーションをカバーできるものでもありません。 なぜかというと、 **スタンプ自体にその人自身に関する非言語情報があまり載ってない** からです。載ってないので覚えづらいし、親しみも湧きづらい。実際、よくスタンプしてる人だけど、顔と名前は覚えてない……はあるあるではないでしょうか。 しかし、じゃあ常に対面で同座するかというと、そうもいきません。家族や学校じゃないですし、仕事だとしても現代はリモートがふつうです。 このジレンマを解消するために、新しいスタンプのあり方を採用します。 ## 概要 **ボイスタンプ(Voistamp, Voice Stamp, 音声スタンプ)** とは、リアクションを録音したものをスタンプとして使うことです。 たとえば佐藤さんが👍(いいね)したい場合、佐藤さん自らが「いいね」と言ったのを録音して、その音声情報をつけるというイメージです。 仮に👍3のようについていて、内訳が 佐藤さん 木村さん 鈴木さん だったとして、佐藤さんの名前を選択すると、佐藤さんの「いいね」が再生されます。 あるいは、 **内訳を見ようとしたタイミングで自動再生してもいい** です。最初のリアクションほど再生されやすくなりますから、リアクションするインセンティブになります。 ### その場で録音 or 使いまわし ボイスタンプは、その場で録音できます。また以前録音したものを使い回すこともできます。 ### リアルタイムな再生 オプションですが、指定範囲(たとえばワークスペースやチャンネル)内で **新しいリアクションがあったとき、そのボイスタンプを自動で再生させる** こともできます。 たとえば木村さんが #random で「なるほど」とリアクションしたとすると、「なるほど」という木村さんの声が再生されます。 これにより、ある種の賑やかさを得ることができます。メンバーの存在感を感じられるわけです。以前取り上げたプレゼンシングの一種とも言えます。 ### あくまで「自分自身が」喋るもの **ボイスタンプは、スタンプをつける本人の声で録音しなければなりません** 。好きな声優や配信者のボイスを使う、といったことはダメです。 なぜなら、ボイスタンプの目的は、リアクションした人本人の非言語情報を載せることだからです。声という非言語情報を載せることで、より覚えてもらいやすくするためです。 ## ボイスタンプの実装 残念ながら、現在ボイスタンプを扱った製品は存在しません。自製が必要です。 ポイントは、普段チャットメッセージに👍などリアクションをつけると思いますが、それくらいにかんたんかつシームレスに行えるようにすることです。 また、技術的な課題もあります。 * 保存されたボイスタンプは見返す、探すにはどう見せればいいか。音声は文章よりも一覧化や検索がしにくい、一つずつ聞いて回るのは使いづらい可能性が高い * 👍のボイスタンプは「いいね」であるべき。「よかったよ」「なるほどねぇ」など他の発言が入ってはいけないが、これをどう守らせるか。性善説でいいのか? * 声を出せない人はどうすればいいか? * ボイスタンプを使うにはすぐ喋ってもらわないといけないが、喋る営みは身近ではない。常時マイクをオンにしてもらうわけにもいかない。いったいどうやってこのハードルを下げるか おそらく生成AIの力は借りた方がいいでしょう。 事実上、ボイスタンプ向けの新製品・新コミュニケーションツールをつくることになるでしょう。 ## (おまけ)Deep Research 調査結果 本文を貼り付けて「既存事例や類似事例を調べて」と依頼したものです。 音声メッセージの投稿や、事前アップロードしておいた音声の再生などはあるようですが、ボイスタンプ――特にリアクションとして付与するとの考え方はまだ無いようです。 # Title: ウェイト・レスト(Wait Rest) ~~が終わるまで待つ、という形の休憩方法を開発しました。 **ウェイト・レスト** と呼んでください。 ## ウェイト・レストの例 ### ドライウェイト 手が乾くまで待ちます。 ### キャンディウェイト 飴を舐め終えるまで待ちます。 ### オッドウェイト 何らかの家事や雑務を終えるまでが休憩、とみなします。 ※オッドとは Odd Jobs などの Odd です。家事や雑務を示す単語として Odd をつけたりします。 ### キャットウェイト 飼い猫が飽きてどこか行くまで待ったり、野良猫がその場から立ち去るまで待ったりします。 にらめっこでも何でもいいですが、休憩として成立するものを選びましょう。 ## メリット 休憩の取り方が下手くそな人にとって、使いやすい可能性があることです。 ウェイト(終わるまで待つ)だけでいいから楽です。いつまでやろうか、と判断に割く手間もありません。 また、自分に合った待ち方も開発できるでしょう。本記事でもすでに4つ挙げていますが、こんな感じで、自分なりに開発してください。 ## (関連記事) 「休憩」は仕事術においても重要な概念です。多くの人が軽視しており、そのせいで生産性や QoL の低下を招いています。 また、意識的に休憩を確保し、その前提で立ち回ってないと、仕事や他者に時間を奪われがちです。つまり休憩は自分の時間を守る盾でもあります。重要なのです。 休憩に関する過去記事を紹介しておきます。